(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022032119
(43)【公開日】2022-02-25
(54)【発明の名称】音漏れ防止アプリケーションプログラム及び音漏れ防止装置
(51)【国際特許分類】
G01H 3/00 20060101AFI20220217BHJP
G10K 15/00 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
G01H3/00 A
G10K15/00 L
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020135628
(22)【出願日】2020-08-11
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2020-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】519282915
【氏名又は名称】ツナガルデザイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001793
【氏名又は名称】特許業務法人パテントボックス
(72)【発明者】
【氏名】大塚 五郎右エ門
【テーマコード(参考)】
2G064
【Fターム(参考)】
2G064AA05
2G064AB01
2G064AB02
2G064AB13
2G064AB15
2G064BA02
2G064BD02
2G064CC41
(57)【要約】
【課題】建物室内から室外への音漏れが発生しうる音量を周波数毎に把握可能とすること。
【解決手段】本発明に係る音漏れ防止装置は、室内の遮音性能に関する情報を取得する取得手段と、遮音性能に関する情報に基づいて室内の音漏れしない最大推定音圧レベルを周波数毎に算出する算出手段と、室内の音圧レベルを周波数毎に計測する計測手段と、室内の音圧レベルと、最大推定音圧レベルとを周波数毎に表示する表示制御手段とを有する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内からの音漏れを防止する音漏れ防止アプリケーションプログラムであって、
コンピュータに、
前記室内の遮音性能に関する情報を取得する取得手段と、
前記遮音性能に関する情報に基づいて前記室内の音漏れしない最大推定音圧レベルを周波数毎に算出する算出手段と、
前記室内の音圧レベルを周波数毎に計測する計測手段と、
前記室内の音圧レベルと、前記最大推定音圧レベルとを周波数毎に表示する表示制御手段と、
して機能させるための、音漏れ防止アプリケーションプログラム。
【請求項2】
前記室内の環境音を周波数毎に計測する計測手段と、
して機能させ、
前記算出手段は、算出した周波数毎の前記最大推定音圧レベルに対して周波数毎の前記環境音を更に加算した最大推定音圧レベルを算出する、
請求項1に記載の音漏れ防止アプリケーションプログラム。
【請求項3】
前記室内の環境音を周波数毎に計測する計測手段と、
時間帯の情報を取得する取得手段と、
記憶手段と、
して機能させ、
前記計測手段は、周波数毎に計測した前記環境音を、計測時の時間帯情報とを対応付けて前記記憶手段に記憶し、
前記算出手段は、算出した周波数毎の前記最大推定音圧レベルに対して前記表示時の時間帯に対応する周波数毎の前記環境音を更に加算した最大推定音圧レベルを算出する、
請求項1に記載の音漏れ防止アプリケーションプログラム。
【請求項4】
前記室内の環境音を周波数毎に計測する計測手段と、
天候情報を取得する取得手段と、
記憶手段と、
して機能させ、
前記計測手段は、周波数毎に計測した前記環境音を、計測時の天候情報とを対応付けて前記記憶手段に記憶し、
前記算出手段は、算出した周波数毎の前記最大推定音圧レベルに対して前記表示時の天候に対応する周波数毎の前記環境音を更に加算した最大推定音圧レベルを算出する、
請求項1に記載の音漏れ防止アプリケーションプログラム。
【請求項5】
前記周波数のうち少なくとも何れかの前記音圧レベルが、前記最大推定音圧レベルを超えた場合、前記室内からの音漏れ発生を示すアラートを出力する出力手段と、
して機能させるための請求項1に記載の音漏れ防止アプリケーションプログラム。
【請求項6】
前記音漏れの発生原因に関する情報を取得する取得手段と、
して機能させ、
前記出力手段は、前記周波数のうち少なくとも何れかの前記音圧レベルが前記最大推定音圧レベルを超えた場合、前記音漏れの発生原因に関する情報に対応して、前記室内からの音漏れ発生を防止するためのユーザ行動指針を出力する、
請求項5に記載の音漏れ防止アプリケーションプログラム。
【請求項7】
前記周波数のうち少なくとも何れかの前記音圧レベルが前記最大推定音圧レベルを超えた場合、前記最大推定音圧レベルを越えた周波数帯における前記音圧レベルの最大値が前記最大推定音圧レベルを超えないレベルまで音圧レベルを下げさせるための音量変更制御信号を、音源器に送信する音量自動調整手段と、
して機能させるための請求項1に記載の音漏れ防止アプリケーションプログラム。
【請求項8】
室内からの音漏れを防止する音漏れ防止装置であって、
前記室内の遮音性能に関する情報を取得する取得手段と、
前記遮音性能に関する情報に基づいて前記室内の音漏れしない最大推定音圧レベルを周波数毎に算出する算出手段と、
前記室内の音圧レベルを周波数毎に計測する計測手段と、
前記室内の音圧レベルと、前記最大推定音圧レベルとを周波数毎に表示する表示制御手段と、
を有することを特徴とする音漏れ防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音漏れ防止アプリケーションプログラム及び音漏れ防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、集合住宅等において、隣室や上下階への音漏れに起因した隣人間の騒音トラブルが社会問題となっている。当人としてはどれ位の大きさの声、楽器もしくはテレビのボリューム等の音量を出しても大丈夫かが具体的に分からないため、自室から発生する騒音に自覚がないことが多く、騒音トラブルに繋がりやすい。
【0003】
これに関する技術として、特許文献1には、騒音を自覚させることによって空気音による騒音の発生を抑止させ、既存の建物において簡易に設置可能にした騒音監視装置が記載れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の発明は、騒音が発生した場合、音漏れ警報情報として、特定の色や音で視覚・聴覚的に通知されるだけなので、騒音原因(音源)が複数あった場合に、どの音源が音漏れの原因になったのかを特定することが困難である。
【0006】
例えば、複数のメンバーでバンド演奏をしていた場合、騒音原因として特定の低周波の音だけが漏れているのであれば、例えばエレキベースの低周波の音だけをアンプで絞るなどの調整を行うことで、バンド演奏自体を中止する必要まではない。また、例えば自室で音楽ライブDVD映像を見ている場合、ある特定曲だけに低音が多く入っていたために音漏れが発生する場合もあり(低音域ほど音漏れしやすい)、ボリューム自体は下げなくてもアンプのイコライザー機能などで低音域のレベルを下げることによって、音漏れが全く問題にならなくなる場合もある。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑み提案されたものであり、一つの側面では、音漏れが発生しうる音量を周波数毎に把握可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明に係る音漏れ防止アプリケーションプログラムは、室内からの音漏れを防止する音漏れ防止アプリケーションプログラムであって、コンピュータに、前記室内の遮音性能に関する情報を取得する取得手段と、前記遮音性能に関する情報に基づいて前記室内の音漏れしない最大推定音圧レベルを周波数毎に算出する算出手段と、前記室内の音圧レベルを周波数毎に計測する計測手段と、前記室内の音圧レベルと、前記最大推定音圧レベルとを周波数毎に表示する表示制御手段と、して機能させる。
【0009】
また上記の課題を解決するため、本発明に係る音漏れ防止装置は、室内からの音漏れを防止する音漏れ防止装置であって、前記室内の遮音性能に関する情報を取得する取得手段と、前記遮音性能に関する情報に基づいて前記室内の音漏れしない最大推定音圧レベルを周波数毎に算出する算出手段と、前記室内の音圧レベルを周波数毎に計測する計測手段と、前記室内の音圧レベルと、前記最大推定音圧レベルとを周波数毎に表示する表示制御手段と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施の形態によれば、音漏れが発生しうる音量を周波数毎に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る音漏れ防止装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図2】本実施形態に係るアプリ画面例1を示す図である。
【
図3】本実施形態に係るアプリ画面例2を示す図である。
【
図4】本実施形態に係るアプリ画面例3を示す図である。
【
図5】本実施形態に係るアプリ画面例4を示す図である。
【
図6】本実施形態に係るアプリ画面例5を示す図である。
【
図7】本実施形態に係るアプリ画面例6を示す図である。
【
図8】本実施形態に係るアプリ画面例7を示す図である。
【
図9】本実施形態に係る音漏れ防止装置のソフトウェア構成例を示す図である。
【
図10】本実施形態に係るアプリ初期設定時処理を示すフローチャートである。
【
図11】本実施形態に係るアプリ使用時処理を示すフローチャートである。
【
図12】本実施形態に係る音漏れ防止装置と音源器との接続構成の一例を示す図である。
【
図13】本実施形態に係る遮音等級曲線を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0013】
[実施形態1]
(音漏れ防止装置)
図1は、本実施形態に係る音漏れ防止装置のハードウェア構成の一例を示す図である。本実施形態に係る音漏れ防止装置1は、具体的に、制御装置(CPU)11、記憶装置(メモリ)12、表示装置(ディスプレイ)13、入力装置14、振動装置15、音声出力装置(スピーカー)16、集音装置(マイク)17、及び通信装置18を含む。
【0014】
制御装置11は、各種のプログラムの実行や演算処理を行う。記憶装置12は、各種のプログラムやデータを記憶する。表示装置13は、液晶ディスプレイなどで実現されるカラーディスプレイである。入力装置14は、固有の操作キーやボタン、もしくはディスプレイ画面上のタップ座標を検知可能なタッチパネルにより実現される。振動装置15は、振動(バイブレーション)を発生させる。音声出力装置16は音声を出力する。集音装置17は、周囲の音声を集音する。通信装置18は、ケーブルを介した有線通信又はWifi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)などの無線通信により、他機器との情報通信を行う。
【0015】
本実施形態に係る音漏れ防止装置1は、当該建物室内の遮音性能に基づいて周囲の部屋に音や声などの音漏れ(騒音)が発生する音量上限を周波数毎に表示画面上可視化するとともに、当該建物室内で計測されたリアルタイム音圧レベルが音漏れの音量上限を超えているか否かを周波数毎に分かりやすく可視化する。また音漏れ防止装置1は、いずれかの周波数帯で音漏れの音量上限を超えている場合、ユーザに対して室外に音漏れが発生している可能性が高いことをアラート等により通知を行う。
【0016】
なお、本実施形態に係る音漏れ防止装置1は、例えばユーザの有するスマートフォンやタブレット端末などの情報処理端末であって、音漏れ防止アプリケーションプログラムが予めインストールされる。以下詳しく説明する。
【0017】
(アプリ初期設定例)
次に、本実施形態に係る音漏れ防止装置1の音漏れ防止アプリケーションプログラム(以下単にアプリともいう)の初期設定例について具体的に説明する。
【0018】
図2は、本実施形態に係るアプリ画面例1を示す図である。初回使用時、ユーザはアプリを起動後に初期設定を行う。具体的にまずユーザは、表示装置13に表示されるアプリ画面上から入力装置14を介し、項目101において、音漏れ防止の対象となる室内の任意名称を登録し、「次へ」102を押下する。
【0019】
図3は、本実施形態に係るアプリ画面例2を示す図である。次に、遮音等級Dr値を決定するために、項目103においてユーザは例えば次に示される所定の選択肢の中から、該当する一の建物の種類を選択する。
・集合住宅
・事務所
・ホテル
・病院
・学校
・戸建住宅
【0020】
続いて、項目104においてユーザは例えば次に示される所定の選択肢の中から、該当する一の建物の構造を選択する。
・木造
・鉄骨造
・鉄筋コンクリート造
・石造またはレンガ造
【0021】
ここで、遮音等級Dr値について説明する。遮音等級Dr値は、建物の戸境壁や床の遮音性能(室間音圧レベル差)を等級化して評価するための指標である。本実施形態においてはいくつかある主な指標のうち、例えばJIS(日本工業規格)のA1419「建築物及び建築部材の遮音性能の評価方法」により規定される指標を用いる。等級分けは、遮音等級曲線(
図13)を定め、それぞれの基準曲線における500Hzの値を、その基準曲線の名称で呼ぶ。またDr値の表記方法はJISの場合、「Dr-00」と表記される。例えば「Dr-50」は、500Hzの値が50dBとなる基準線である。Dr値が大きいほど遮音性能が優れていることを表している。
【0022】
本実施形態においては、まず表1に示す建物用途・構造別の遮音等級表を参照し、ユーザにより選択された建物の種類及び構造との組み合わせに対応するDr値を決定する。
【表1】
【0023】
次いで、表2に示すDr値における音圧レベル差表を参照し、表1で決定されたDr値に対応する周波数毎の遮音性能(単位:dB)を決定する。
【表2】
(1/1オクターブバンド表示)
【0024】
例えば建物の種類が集合住宅、構造が鉄筋コンクリート造である場合、表1によれば遮音等級Dr-50となり、表2によればDr-50の周波数別遮音性能(値)は、125Hzが35dB、250Hzが42.5dB、500Hzが50dB、1KHzが55dB、2KHzが60dB、4KHzが60dBとなる。このDr-50の周波数別遮音性能としての各デジベル値は、その建物室内において室外へ音漏れしないと推定される周波数毎の音圧レベルの上限値(以下、最大推定音圧レベルともいう)を示している。
【0025】
なお、ユーザは遮音性能を示すDr値が判明している場合には、項目103及び項目104に代えて項目107において、具体的なDr値を0~110の範囲で直接入力又は選択入力することも可能である。
【0026】
次に、Dr値の遮音性能に対する補正値を決定するため、項目105においてユーザは例えば次に示される所定の選択肢の中から、該当する一の建物の築年数を選択し、「次へ」106を押下する。
・築20年未満
・築20年以上40年未満
・築40年以上
【0027】
一般的に建物は築年数が古いほど遮音性能が大幅に劣ることが知られており、築年数による補正は、建物の経年劣化や過去の施工方法を考慮の上、表3に示す築年数に応じてDr値の遮音性能をマイナス補正する。
【表3】
【0028】
なお、項目104においてユーザが築年数を選択する他、建築年代を選択するようにしてもよい。この場合、日本で1998年以降に遮音等級が普及するより前の期間(1980年~1997年)に建てられた建物は-5dB(デジベル)程度、1979以前に建てられた建物は-10dB程度の遮音性能の低下を、遮音性能の数値に対してマイナス補正することができる。
【0029】
図4は、本実施形態に係るアプリ画面例3を示す図である。次に室内環境音(暗騒音ともいう)の音圧レベルを周波数毎のマスキング補正値として使用するために、項目108には、室内環境音を計測する旨及び計測に際しての注意事項等が示される。計測開始の準備が整うと、ユーザは「計測開始」109を押下する。
【0030】
図5は、本実施形態に係るアプリ画面例4を示す図である。項目110には、集音装置17を介して集音された音声に基づいて、例えば3秒間計測された室内環境音の周波数帯毎の平均値が計測結果として示される。その後ユーザは「次へ」111を押下する。なお、ユーザは「再計測する」112を押下することで、室内環境音を再計測することができる。
【0031】
ここで、室内環境音を計測する理由としては、静かであると感じられる室内であっても無響音室ではない限り非常に小さな騒音は常時発生しており、その部屋の屋外環境や空調機等の影響を受けて、他室からの音漏れはその環境音(騒音)にマスキングされて聞こえにくくなるためである。例えば、窓のサッシや吸気口等の遮音性能が低い建物では室内環境音は大きくなり、幹線道路沿いや高速道路沿いの建物なども室内環境音が大きくなる。また、昼間と深夜では人混みや交通量などの外部要因変化に伴い、室内環境音も変化する。本アプリでは、建物の立地等によって外部騒音の多い建物においては他室からの音漏れは聞こえにくくなることに鑑みて、外部環境に起因する音漏れへの影響を反映させるべく、計測された室内環境音の音圧レベルの分だけ、音漏れしない音圧レベルの上限値を加算して補正する。
【0032】
図6は、本実施形態に係るアプリ画面例5を示す図である。次に室内から室外への音漏れの発生原因を特定するための情報として、項目113においてユーザは例えば次に示される所定の選択肢の中から、該当する一の利用シーンを選択し、「完了」114を押下する。
・人の声・歌・カラオケ
・テレビ・オーディオ視聴
・楽器演奏(音量調節機能無し)
・楽器演奏(音量調節機能有り)
・弾き語り・バンド演奏等の同時演奏
・掃除機による清掃
・その他
・なし
【0033】
図7は、本実施形態に係るアプリ画面例6を示す図である。本実施形態に係るアプリ画面例6は、初期設定完了後のアプリ画面である。
【0034】
図7に示されるように、初期設定完了後のアプリ画面においては、縦軸には音圧レベル(サウンドレベル)を示す目盛り121、横軸には周波数帯を示す目盛り122が表示されている。なお、音圧レベルの目盛り単位は音の大きさを表すdB(デジベル)、周波数帯の目盛り単位は音の高さを表すHz(ヘルツ)である。
【0035】
計測開始ボタン123は、リアルタイムな音圧レベル(騒音レベルともいう)の計測を開始するための操作ボタンである。ユーザにより計測開始ボタン123が押下されると、集音装置17を介して室内音声が集音されて、室内における音圧レベルの計測が開始される。
【0036】
遮音等級表示124は、初期設定で決定された遮音等級Dr値に基づき築年数に応じた補正後のDr値である。
【0037】
アラート閾値125は、初期設定に基づいて設定されるもので、その建物室内において室外へ音漏れしないと推定される周波数毎の音圧レベルの上限値、即ち音漏れしない周波数毎の最大推定音圧レベルを示す。アラート閾値125は、当該室内でリアルタイムに計測される周波数毎の音圧レベルが当該アラート閾値を越えた場合に音漏れが発生したと判定するための閾値として用いられる。
【0038】
例えば初期設定において、選択入力値として建物の種類が「集合住宅」、構造が「鉄筋コンクリート造」である場合、上述の表1によれば遮音等級Dr-50となり、表2によればDr-50の周波数別遮音性能値は125Hzが35dB、250Hzが42.5dB、500Hzが50dB、1KHzが55dB、2KHzが60dB、4KHzが60dBとなる。また、建物の築年数が「築20年以上40年未満」である場合、各周波数の遮音性能の数値に対して5dBを減算して補正する。なお当該補正は、遮音等級を1等級下げる補正、即ちDr-50からDr-45(
図7の遮音等級表示124)へと補正することと同義である。
【0039】
そして計測された室内環境音が各周波数125Hz、250Hz、500Hz、1KHz、2KHz、4KHzに対して、それぞれ例えば23dB、18dB、17dB、15dB、11dB、11dBである場合、各周波数の遮音性能の数値に対してそれぞれを加算して補正する。
【0040】
その結果、例えば表4に示されるように、音漏れしないと推定される周波数毎の音圧レベルの上限値は、各周波数125Hz、250Hz、500Hz、1KHz、2KHz、4KHzに対してそれぞれ53dB、55.5dB、62dB、65dB、66dB、66dBと算出される。周波数毎に算出されたこれら音圧レベルの上限値は、当該室内で音漏れしない最大推定音圧レベルであるため、各周波数に対してこれらをそれぞれアラート閾値125として表示することができる。
【表4】
【0041】
(アプリ使用例)
次に、本実施形態に係る音漏れ防止装置1の音漏れ防止アプリケーションプログラムの使用例について具体的に説明する。
【0042】
図8は、本実施形態に係るアプリ画面例7を示す図である。初期設定後、例えば
図7に示されるアプリ画面上において、ユーザにより計測開始ボタン123が押下されると、集音装置17を介して室内の音圧レベルの計測が開始され、
図8に示されるようにリアルタイムに計測された周波数毎の音圧レベル(以下、リアルタイム音圧レベルという)126が表示される。
【0043】
リアルタイム音圧レベル126は、縦軸方向に対して所定のインジケータにより周波数毎に表示される。例えば
図8に示されるようなインジケータ部品としての矩形ブロックは、1ブロックあたり音圧レベル5dB分として表示することができる。リアルタイム音圧レベルをインジケータ部品で表示する場合、例えば5dB未満の端数は切り捨てて表示しうる。
【0044】
また、インジケータ部品として矩形ブロック色は、アラート閾値125を基準として、例えば当該アラート閾値125よりも10dB以上低い場合には矩形ブロックの表示色を音漏れの可能性は低いことを示す青色表示、アラート閾値よりも10dB未満低くアラート閾値125を越えない場合には音漏れの可能性があることを示す黄色表示、アラート閾値125を越えた場合には音漏れの可能性が高いことを示す赤色表示とする。これにより、ユーザは直感的にリアルタイム音圧レベルを視認することが可能である。そして特に矩形ブロック色が赤色表示の場合には、リアルタイム音圧レベルがアラート閾値125を越えている、つまり当該室内で音漏れが発生している可能性が高いことを、ユーザが直感的に把握することができる。
【0045】
MAX表示127は、リアルタイム音圧レベルのうち計測された最大音圧レベルを示す。なお、MAX表示127は、リアルタイム音圧レベルがアラート閾値125より大きい場合にのみ常時するようにしてもよい。
【0046】
アラート表示部128には、リアルタイム音圧レベルがアラート閾値125を越えた場合、例えば「Loud」、「音が大きいです」、「音漏れの可能性が高いです」といったように、周りの部屋に音漏れしている可能性が高い旨及び/又はその注意喚起もしくは警告を示す表示が示される。このとき同時に振動装置15により振動を発生させてもよい。
【0047】
また、アラート表示部128には、上述の初期設定において利用シーンを設定している場合、当該設定利用シーンの下ユーザが具体的にどのような対応行動を行えばすれば音漏れを防止可能であるかを示すユーザ行動指針が表示される。具体的に、設定利用シーンに応じて以下の行動指針を表示することができる。
・声量をX%抑えましょう(設定利用シーン:人の声・歌・カラオケ)
・音量をX%下げましょう(設定利用シーン:テレビ・オーディオ視聴)
・演奏を中止しましょう(設定利用シーン:楽器演奏(音量調節機能無し))
・超過周波数の音量を下げましょう(設定利用シーン:楽器演奏(音量調節機能有り))
・超過楽器音を抑えましょう(設定利用シーン:弾き語り・バンド演奏等の同時演奏)
・弱運転に切り替えましょう(設定利用シーン:掃除機による清掃)
・超過周波数の音量を下げましょう(設定利用シーン:その他)
【0048】
なお、行動指針で抑制すべき声量及び音量のX%は、現在のリアルタイム音圧レベルに対して、リアルタイム音圧レベルがアラート閾値125を下回るようになる割合を計算して算出することができる。また、抑制すべき超過周波数については、例えば「超過周波数125Hzの音量を下げましょう」といったように、現在のリアルタイム音圧レベルのうちアラート閾値125を越えている具体的な周波数を示してもよい。
【0049】
ユーザ行動指針が表示されることにより、どの程度声量を小さくしてり、TVの音量を何%下げればよいのか、又はどの周波数の音量を下げればよいのかなど、何をどうすることで音漏れに対する具体的な解決になるのかをユーザが容易に把握することが可能である。
【0050】
超過合計時間表示部129は、リアルタイム音圧レベルがアラート閾値125を越えた場合、その超えている間の時間がカウントされることで、そのカウントされた合計時間(累積時間)を表示する。一時的に音漏れが発生する場合と、長時間にわたって累積的に音漏れ状態が続く場合とでは、隣人等の音漏れに対する心身的な悪影響の大きさが全く異なる。よって単に音漏れが発生した合計時間を把握できるようにしたことで、隣人等への悪影響を配慮し、又はこれを最小化できる。例えば築年数が古い木造アパートなど遮音性能の低い室内で掃除機をかけざるを得ない場合、音漏れ自体の発生を完全に防止できなくとも、ユーザは超過合計時間を参照しながら、音漏れ発生の事実をしっかりと認識しつつ掃除をできる限り短い時間で終わらせるように意識できるので、隣人等への心身的な悪影響を減少させることが可能である。
【0051】
以上のように本実施形態に係る音漏れ防止装置1は、入力された建物の種類、構造及び築年数から建物室内の遮音性能を推定し、表示画面上周りの部屋に音漏れが発生しうる音量上限(アラート閾値)を周波数毎に可視化する。これにより、建物に応じて遮音性能が異なるところ、ユーザは当該建物室内の遮音性能に即して、周りの部屋にどれくらいの音量で音漏れが発生しうるのかを周波数毎に直感的に把握することが可能となる。
【0052】
また、音漏れ防止装置1は、室内で計測されたリアルタイム音圧レベルが周波数毎に音量上限を超えているか否かを、例えばインジケータ部品や部品色などを用いて分かりやすく可視化する。これにより、ユーザは今現在周りの部屋に音漏れが発生している可能性があるのかどうかを周波数毎に直感的に把握することが可能となる。
【0053】
従って、ユーザは音漏れが発生している可能性がある場合、音漏れの原因になっている周波数帯が分かるため、具体的にどの音源が音漏れの発生原因であるかを容易に特定し、当該周波数帯の音圧レベルを小さくするなどして、室外への音漏れ発生を防止することができる。
【0054】
また、リアルタイム音圧レベルが周波数毎に音量上限を超えている場合には、表示画面上、更に音漏れが発生している可能性が高い旨の注意喚起・警告表示やユーザ行動指針などを、ユーザに対して通知する。これにより、ユーザは今現在周りの部屋に音漏れが発生している可能性があることを直感的に把握することが可能となる。更にユーザ行動指針が表示されることにより、ユーザは今現在発生している可能性の高い音漏れに対する具体的な解決方法を、利用シーンに応じて容易に把握することが可能である。
【0055】
(ソフトウェア構成例)
図9は、本実施形態に係る音漏れ防止装置のソフトウェア構成例を示す図である。本実施形態に係る音漏れ防止装置1は、主な機能部として、取得部21、算出部22、計測部23、表示制御部24、出力部25、及び記憶部26を含む。
【0056】
取得部21は、ユーザにより入力された室内の遮音性能に関する情報(遮音等級、築年数等)や音漏れの発生原因に関する情報(行動シーン等)を取得する機能を有している。
【0057】
算出部22は、遮音性能に関する情報、更には室内環境音に基づいて、室内の音漏れしない最大推定音圧レベルを周波数毎に算出する機能を有している。
【0058】
計測部23は、集音装置17を介して集音された音声から、室内の音圧レベルや室内の環境音を周波数毎に計測する機能を有している。
【0059】
表示制御部24は、表示装置13の表示画面上に、室内の音圧レベルや最大推定音圧レベルを周波数毎に表示する機能を有している。
【0060】
出力部25は、複数の周波数のうち少なくとも何れかの音圧レベルが最大推定音圧レベルを超えた場合、室内からの音漏れ発生を示すアラートを出力する機能を有している。
【0061】
記憶部26は、各種表(表1-3、5)といったように、室内の音漏れしない最大推定音圧レベルを算出するための参照情報を予め記憶する。
【0062】
なお、各機能部は、音漏れ防止装置1を構成するコンピュータの制御装置(CPU)、モモリ(ROM、RAM)等のハードウェア資源上で実行される音漏れ防止アプリケーションプログラムによって実現されるものである。これらの機能部は、「手段」、「モジュール」、「ユニット」、又は「回路」に読替えてもよい。また、音漏れ防止アプリケーションプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に格納されていてもよい。
【0063】
(アプリ初期設定時処理)
図10は、本実施形態に係るアプリ初期設定時処理を示すフローチャートである。制御装置11が本フローチャートを実現可能な音漏れ防止アプリケーションプログラムを読み込んで実行することで、各ステップ(以下、「S」と表記する)を実現することができる。
【0064】
S1:取得部21は、ユーザからの選択入力により、建物の種類、構造及築年数を取得する。
【0065】
S2:算出部22は、記憶部26に予め記憶されている上述の表1を参照し、S1で取得した建物の種類及び構造に基づいて、建物室内の遮音等級Dr値を決定する。
【0066】
S3:算出部22は、記憶部26に予め記憶されている上述の表2を参照し、S2で決定した遮音等級Dr値に従って周波数別の遮音性能値を決定する。
【0067】
S4:算出部22は、記憶部26に予め記憶されている上述の表3を参照し、S1で取得した築年数に基づいて、S3で決定した周波数別の遮音性能値を補正する。具体的に、算出部22は、表3において定められた築年数に対応する補正値を、周波数別の遮音性能値のそれぞれに減算補正する。
【0068】
S5:記憶部26は、S4で補正した補正後の周波数別の遮音性能値(周波数別の第1遮音性能値と呼ぶ)を、記憶装置12に保存する。
【0069】
S6:次いで、計測部23は、ユーザによる室内環境音の計測開始操作により、集音装置17を介して集音された音声から周波数別に室内環境音を計測する。
【0070】
S7:算出部22は、S6で計測した周波数別の室内環境音に基づいて、S5で保存した周波数別の第1遮音性能値を補正する。具体的に、算出部22は、計測された周波数毎の室内環境音を、周波数別の第1遮音性能値のそれぞれに加算補正する。
【0071】
S8:記憶部26は、S7で補正した補正後の周波数別の遮音性能値(周波数別の第2遮音性能値と呼ぶ)を、記憶装置12に保存する。
【0072】
S9:表示制御部24は、表示装置13の表示画面上に、S8で記憶装置12に保存された周波数別の第2遮音性能値を読み込んで、読み込んだ周波数別の第2遮音性能値をアラート閾値として設定した初期設定完了後のアプリ画面(例えば
図7)を表示する。本アプリにおいて、アラート閾値として設定される周波数別の第2遮音性能値は、周波数毎の音漏れしない最大推定音圧レベルである。
【0073】
(アプリ使用時処理)
図11は、本実施形態に係るアプリ使用時処理を示すフローチャートである。
【0074】
S21:計測部23は、集音装置17を介して集音された音声から、室内のリアルタイム音圧レベルを周波数毎に計測する。
【0075】
S22:表示制御部24は、表示装置13の表示画面上に、S21で計測されたリアルタイム音圧レベルを周波数毎に表示する。なおリアルタイム音圧レベルは、例えば500ミリ秒毎に計測されて表示されうる。
【0076】
S23:出力部25は、複数の周波数のうち少なくとも何れかのリアルタイム音圧レベルがアラート閾値を超えたか否かを判定する。
【0077】
S24:出力部25は、S23でリアルタイム音圧レベルがアラート閾値を超えたと判定された場合、室内からの音漏れ発生を示すアラートを出力する。なおここでいうアラート出力は、上述したように、例えば「Loud」、「音が大きいです」、「音漏れの可能性が高いです」といったように、周りの部屋に音漏れしている可能性が高い旨及び/又はその注意喚起もしくは警告を示す表示、振動装置15による振動発生、及びユーザ行動指針の表示を含む。
【0078】
[実施形態2]
図12は、本実施形態に係る音漏れ防止装置と音源器との接続構成の一例を示す図である。本実施形態に係る音漏れ防止装置1は、楽器演奏時、カラオケ演奏時又はオーディオ視聴時などの音漏れを自動で防止する音量自動調整機能を備えている。
【0079】
具体的に、本実施形態に係る音漏れ防止装置1としてのスマートフォンに、接続中継器2を介して、マイク、楽器又はオーディオ用のアンプ等の音源器3を接続する。音漏れ防止装置1は、音源器3から発生したリアルタイム音圧レベルがアラート閾値を越えた場合、音源器3に対して音量変更制御信号を送信し、リアルタイム音圧レベルのMAX値がアラート閾値を超えないレベルまで、音源器3の音圧レベルを自動調整する(例えば楽器演奏音量やボリューム音を下げる)。
【0080】
また、音漏れ防止装置1は、複数の周波数帯のうち少なくとも何れかのリアルタイム音圧レベルがアラート閾値を越えた場合、音源器3に対してアラート閾値を越えた周波数帯の情報を含む音量変更制御信号を送信し、アラート閾値を越えた周波数帯におけるリアルタイム音圧レベルのMAX値がアラート閾値を超えないレベルまで、音源器3の音圧レベルを自動調整する(例えばアンプの低音域音圧レベルを下げる)。
【0081】
これにより、楽器演奏時、カラオケ演奏時又はオーディオ視聴時などにおいて、音源器3からの音漏れを自動で防止することが可能である。
【0082】
(補足)
本実施形態において以下の形態についても言及する。
・アプリ画面上に表示される周波数は、JIS(日本工業規格)や日本建築学会基準が6段階で遮音等級を判別していることから、125Hz、250Hz、500Hz、1KHz、2KHz、4KHzの6段階の周波数を表示した1/1オクターブバンド表示としたものである。但し、国際基準のISOでは100~3.15KHzの16段階で遮音等級を判別していることに鑑みて、100Hz、125Hz、160Hz、200Hz、250Hz、315Hz、400Hz、500Hz、630Hz,800Hz、1KHz、1.25KHz、1.6KHz、2KHz、2.5KHz、3.15KHzの16段階の周波数を表示する1/3オクターブバンド表示とすることも可能である。この場合、例えば表2のDr値における音圧レベル差表は1/3オクターブバンド表示にする。
【0083】
・室内環境音の固定マイクによる計測時間は3秒(JIS基準)とするとよい。
【0084】
・人間の耳が周波数別に異なる感度を有するため、音圧レベルの大きさと人間の感じる騒音の大きさとは必ずしも正比例しない。例えば100Hzと2000Hzの音では同じ音圧レベルであっても、人間が感じる「うるささ」は20dB程度異なると言われている。このため、実際の音圧レベルと人間の感じる「うるささ」との感度差を補正するためにA特性と呼ばれる周波数補正値があり、周波数重み付け特性の補正値は、例えば表5に示すようにJIS C1509-1に規定されている。よって本実施形態においても、Dr値に対応する遮音性能、室内の環境音、アラート閾値(周波数毎の最大推定音圧レベル)及びリアルタイム音圧レベルなどは、人間の聴覚の感度に合わせて聞き取りにくいとされる補正対象周波数帯について、A特性による補正値で補正を行うとよい。こうすることで、本アプリで表示される音圧レベル(騒音レベル)はA特性による補正後の音圧レベルで表示されるので、全周波数帯域に渡って実際に人間が感じる「うるささ」に即した音漏れ発生をアラートすることが可能である。
【表5】
(1/1オクターブバンド表示)
【0085】
・室内環境音は、上述したように建物の外部環境の変化により増減するので、最初に計測した室内環境音を適用し続けるのは望ましくない。よってユーザが初期設定を定期的に行うことで、最新の室内環境音を計測し、最新の室内環境音を用いて補正した補正後の周波数別の遮音性能値(周波数別の第2遮音性能値)を、記憶装置12においてアップデートするとよい。
【0086】
・建物の外部環境は、例えば日中と深夜時間帯といったように時間帯によっても変化する。通常、日中の時間帯の方が人混みや交通量が多いので騒音が多く室内環境音が大きくなるので、その分音漏れは室内環境音にマスキングされて発生しにくくなる。また、建物の外部環境は、例えば晴天無風時と雨や風の音が大きい時といったように天候によっても変化する。後者の天候の方が室内環境音は大きくなるので、その分音漏れは発生しにくくなる。よってユーザは初期設定時において、室内環境音が異なって計測されうる条件下、例えば異なる時間帯毎、異なる天候毎に計測し、異なるそれぞれの条件下毎に計測された室内環境音を当該条件と対応付けて記憶装置12に記憶しておく。そして、アプリの使用時にその時点の時間帯情報及び天候情報を取得し、取得した当該時間帯や天候情報に対応して記憶装置12に記憶されている室内環境音を用いて周波数別の第2遮音性能値を補正する(
図10のS7)。その後、補正された周波数別の遮音性能値をアラート閾値として再設定した初期設定完了後のアプリ画面を表示する(
図10のS9)。これにより、アプリの使用時における時間帯や天候に即した周波数別の遮音性能値をアラート閾値として設定することができるため、精度よく室内からの音漏れ発生の有無を判定することができる。なお、本実施形態に係る音漏れ防止装置1としてのスマートフォンは、内蔵する時計から時間帯情報を取得したり、またインターネット上から天候情報を取得することが可能である。
【0087】
・従来、建物の壁・天井・床・躯体などに多くの各種センサーを取り付けて、空間音圧レベル差を実際に計測し、その空間音圧レベル差値から遮音性能や音漏れしない最大音圧レベルを計算する必要があった。一方、本アプリにおいては、アラート閾値として設定される周波数別の第2遮音性能値、即ち音漏れしない最大音圧レベルは、建物の種類、構造、築年数、室内環境音に基づいて推定される。このため、建物に取付けが必要だった多くのセンサーを不要とすることができる。またこれにより、例えば自宅住居のみに限られず、病院、老人ホーム、学校、オフィス、ホテルといった一時的な訪問施設においても本アプリを使用し、騒音トラブルを防止することができる。
【0088】
なお、本発明の好適な実施の形態により、特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更を加えることができることは明らかである。すなわち、具体例の詳細および添付の図面により本発明が限定されるものと解釈してはならない。
【0089】
なお、本発明は、上述の実施形態の1つ以上の機能を実現するプログラムを、ネットワークまたは記録媒体を介してシステムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読み出し作動させる処理でも実現可能である。
【符号の説明】
【0090】
1 音漏れ防止装置
11 制御装置
12 記憶装置
13 表示装置
14 入力装置
15 振動装置
16 音声出力装置
17 集音装置
18 通信装置
21 取得部
22 算出部
23 判計測部
24 出力部
25 表示制御部
26 記憶部