(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022032126
(43)【公開日】2022-02-25
(54)【発明の名称】洗浄機
(51)【国際特許分類】
B60S 3/04 20060101AFI20220217BHJP
B05B 3/06 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
B60S3/04
B05B3/06 B
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020135637
(22)【出願日】2020-08-11
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】391017436
【氏名又は名称】株式会社洲本整備機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106024
【弁理士】
【氏名又は名称】稗苗 秀三
(74)【代理人】
【識別番号】100167841
【弁理士】
【氏名又は名称】小羽根 孝康
(74)【代理人】
【識別番号】100168376
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 清隆
(72)【発明者】
【氏名】番所 祥平
【テーマコード(参考)】
3D026
4F033
【Fターム(参考)】
3D026AA02
3D026AA12
3D026AA19
3D026AA25
4F033PA01
4F033PB02
4F033PC05
(57)【要約】
【課題】噴射する洗浄水の水量や水圧の調節を容易にしつつ、汚れの酷い部位を十分に洗浄すると共に、車体の損傷を防止することのできる洗浄機の提供。
【解決手段】自動車11が通過する門型フレーム2にノズル装置3~7を装備する。共通の洗浄水用ホース8でノズル装置3~7に洗浄水を供給する。ノズル装置3~7を回転ノズル装置とする。ノズル12、13の噴射方向を径方向に広がる方向に設定する。ノズル装置3~7の傾斜角度(α1、α2)を小さくして洗浄力を高める。傾斜角度(α1、α2)を大きくして洗浄部位の負荷を抑える。洗浄部位の汚れの程度とその部位の強度に応じて、ノズル装置3~7ごとに、ノズル12、13の噴射方向の傾斜角度(α1、α2)を設定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側を自動車が通過する門型フレームと、該門型フレームに装備された複数のノズル装置と、該複数のノズル装置に洗浄水を供給する共通の給水路とを備えた洗浄機であって、
前記ノズル装置は、ローター軸の周りに回転自在なローターにノズルを設けてなり、前記ローターを回転させながらノズルから洗浄水を噴射して前記自動車を洗浄する回転ノズル装置とされ、
前記ノズルは、噴射方向をローター軸の中心軸線に対して傾斜して径方向に広がる方向に設定され、複数のノズル装置のノズルの噴射方向が複数の傾斜角度に設定されたことを特徴とする洗浄機。
【請求項2】
前記ノズルは、噴射方向をローター軸の径方向に広がりつつ周方向に傾斜する方向に設定され、噴射の反動でローターを回転させながら洗浄水を噴射することを特徴とする請求項1に記載の洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、門型フレームに装備した複数のノズル装置のローターを回転させながらノズルから洗浄水を噴射して自動車を洗浄する洗浄機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車の洗浄に用いられる洗浄機は、ノズルから噴射した高圧のジェット噴流によって汚れを除去するものであり、この洗浄機に、ノズルを取り付けたローターを回転させながら洗浄水を噴射する回転ノズル装置を用いることがある(例えば特許文献1)。このような回転ノズル装置は、洗浄水の噴き付け先がローターの回転に伴って変化するので、各々の装置ごとに、自動車の広範囲にわたる部位を洗浄することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、門型フレームに複数のノズル装置を装備して洗浄機を構成し、その内側を通過する自動車に複数のノズル装置から洗浄水を噴射することにより、自動車の全体を短時間かつ容易に洗浄することができる。
【0005】
このような洗浄機では、共通の給水路から複数のノズル装置に洗浄水を供給することにより、その構成を簡単にすることができるが、給水路を共用することにより、あるノズル装置が噴射する洗浄水の水量や水圧の変化が他のノズル装置に影響を与えるため、各ノズル装置が噴射する洗浄水の水量や水圧を適切に調節するのが難しくなりやすい。
【0006】
これに対して、全てのノズル装置の噴射する洗浄水の水量や水圧を同一となるよう設定することにより、各ノズル装置が噴射する洗浄水の水量や水圧の調節を容易にすることができる。
【0007】
しかしながら、自動車には、タイヤホイールのように比較的に頑丈であるが汚れの酷い部位と、車体上面のように比較的に汚れにくいが損傷しやすい部位とが混在し、各部位の洗浄に適切な水量や水圧の洗浄水を噴射することが求められる。このような自動車の洗浄において、全てのノズル装置の噴射する洗浄水の水量や水圧を同一にする場合、汚れの酷いタイヤホイールなどの洗浄に適切なよう洗浄水の水量や水圧を高めると、それと同一の水量や水圧の洗浄水によって、車体の変形や塗装の剥がれを生じるおそれがある。
【0008】
本発明は、噴射する洗浄水の水量や水圧の調節を容易にしつつ、汚れの酷い部位を十分に洗浄すると共に、車体の損傷を防止することのできる洗浄機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る洗浄機は、内側を自動車が通過する門型フレームと、門型フレームに装備された複数のノズル装置と、複数のノズル装置に洗浄水を供給する共通の給水路とを備えたものであり、そのノズル装置を、ローター軸の周りに回転自在なローターにノズルを設けた構成で、ローターを回転させながらノズルから洗浄水を噴射して自動車を洗浄する回転ノズル装置とし、そのノズルの噴射方向をローター軸の中心軸線に対して傾斜して径方向に広がる方向に設定し、複数のノズル装置のノズルの噴射方向を複数の傾斜角度に設定したものである。
【0010】
上記構成によれば、門型フレームに装備する複数のノズル装置の噴射方向を複数の傾斜角度、すなわち別々の傾斜角度に設定するので、ノズル装置ごとに、その傾斜角度を小さくして洗浄力を高めたり、傾斜角度を大きくして洗浄部位の負荷を抑えたりすることができる。ここで、噴射方向を径方向に広がる方向に設定した回転ノズル装置は、その傾斜角度を大きくするほど、洗浄範囲が広くなると共に、洗浄部位までの距離が長くなり、しかも、洗浄部位に対して斜めに噴射されることになるので、単位面積当たりの洗浄力及び負荷が弱くなる。
【0011】
これにより、複数のノズル装置に共通の給水路から例えば同一の水量及び水圧の洗浄水を供給するようにして、洗浄水の水量及び水圧の調節を容易にしつつ、洗浄する部位の汚れの程度とその部位の強度に応じてノズルの傾斜角度を設定するようにして、所望の洗浄力及び負荷に設定することができる。
【0012】
具体的には、泥などが付着しやすいタイヤホイールや虫などが付着しやすい車体前後部のように、比較的に頑丈であるが汚れの酷い部位を洗浄するノズル装置については、ノズルの噴射方向の傾斜角度を小さくして洗浄力を高め、車体上面や車体側面のように、比較的に汚れにくいが損傷しやすい部位を洗浄するノズル装置については、ノズルの噴射方向の傾斜角度を大きくして洗浄する部位の負荷を抑えることができる。
【0013】
また、ノズルの噴射方向をローター軸の径方向に広がりつつ周方向に傾斜する方向に設定し、噴射の反動でローターを回転させながら洗浄水を噴射するようにしてもよい。
【0014】
この構成によると、噴射の反動でローターを回転させるので、ローターを回転させるための専用の構成を不要にすることができる。この場合、ローターの回転速度は、洗浄水の水量及び水圧に影響され、その回転速度が過度に高まると、遠心力で洗浄水が広がって洗浄範囲が拡散してしまうが、前述の構成を採用して、洗浄水の水量及び水圧を適切に調節することにより、ローターの回転速度を所定の速度に設定して、所望の範囲を洗浄することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のとおり、本発明によると、門型フレームに装備する複数のノズル装置の噴射方向について、ノズル装置ごとに、その傾斜角度を小さくして洗浄力を高めたり、傾斜角度を大きくして洗浄部位の負荷を抑えたりすることができる。これにより、複数のノズル装置に共通の給水路から例えば同一の水量及び水圧の洗浄水を供給するようにして、噴射する洗浄水の水量や水圧の調節を容易にしつつ、汚れの酷い部位を十分に洗浄すると共に、車体の損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る洗浄機で自動車を洗浄する様子を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る洗浄機を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【0018】
図1~
図4に示すように、洗浄機1は、門型フレーム2と、門型フレーム2に装着された複数のノズル装置3、4、5、6、7と、ノズル装置3、4、5、6、7に洗浄水を供給する給水路としての洗浄水用ホース8と、門型フレーム2に装着された複数の発泡ノズル9と、発泡ノズル9に液体洗剤を供給する液体洗剤用ホース10と、を備え、門型フレーム2の内側を通過する自動車11にノズル装置3、4、5、6、7から洗浄水を噴射して洗浄するものであり、そのノズル装置3、4、5、6、7を中心軸線に対してノズル12、13の噴射方向が径方向に広がる回転ノズル装置とし、ノズル12、13の噴射方向を自動車11の洗浄部位に応じて異なる傾斜角度に設定したものである。
【0019】
門型フレーム2は、例えば、鋼製パイプ及びエルボ管を接続して門型に組み立てた簡易な構造とされ、この門型フレーム2にノズル装置3、4、5、6、7及び発泡ノズル9が装着されている。
【0020】
図5及び
図6に示すように、ノズル装置3、4、5、6、7は、枠体14を介して門型フレーム2にローター軸15を取り付け、このローター軸15の周りに回転自在に支持されるローター16にノズル12、13を設けた構造とされ、ローター16を回転させながらノズル12、13から洗浄水を噴射するようになっている。
【0021】
一方のノズル12は、ローター軸15の中心軸線に対して、噴射方向が傾斜角度(α1)で径方向に広がりつつ周方向に傾斜する方向に設定され、噴射の反動でローター16を回転させる回転駆動用ノズルとされる。他方のノズル13は、ローター軸15の中心軸線に対して、噴射方向が周方向に傾斜することなく傾斜角度(α2)で径方向に広がる方向に設定され、噴射の慣性力でローター16の回転を抑えるブレーキ用ノズルとされる。このノズル12、13は、回転駆動用ノズル及びブレーキ用ノズルの機能により、ローター16をその回転速度を過度に高めることなく安定して回転させる。
【0022】
全てのノズル装置3、4、5、6、7は、噴射する洗浄水の水量や水圧を同一に設定され、そのノズル12、13の傾斜角度(α1、α2)の設定により、洗浄水による負荷及び洗浄力を所望の程度に設定される。
【0023】
具体的には、自動車11のタイヤホイールを洗浄するノズル装置3は、そのノズル12、13の傾斜角度(α1、α2)を小さく設定されて洗浄範囲を狭く設定され、その洗浄水による負荷及び洗浄力が高められる。
【0024】
自動車11の車体側面を洗浄するノズル装置4は、そのノズル12、13の傾斜角度(α1、α2)を中程度に設定されて洗浄範囲を中程度の広さに設定され、その洗浄水による負荷及び洗浄力が中程度とされる。
【0025】
自動車11の車体前後部を洗浄するノズル装置5、6は、そのノズル12、13の傾斜角度(α1、α2)を小さく設定されて洗浄範囲を狭く設定され、その洗浄水による負荷及び洗浄力が高められる。
【0026】
自動車11の車体上面を洗浄するノズル装置7は、そのノズル12、13の傾斜角度(α1、α2)を大きく設定されて洗浄範囲を狭く設定され、その洗浄水による負荷及び洗浄力が低く抑えられる。
【0027】
洗浄水用ホース8は、門型フレーム2に沿って配置されて、ノズル装置3、4、5、6、7の背面側の給水口17に洗浄水を供給するように架け渡され、給水路として、ノズル装置3、4、5、6、7への洗浄水の供給に共用される。
【0028】
発泡ノズル9は、液体洗剤の泡を形成して自動車11に吹き付けるためのものであり、自動車11の広い範囲に液体洗剤が行き渡るよう、門型フレーム2の複数個所に設置される。
【0029】
液体洗剤用ホース10は、門型フレーム2に沿って配置されて、複数の発泡ノズル9に液体洗剤を供給するように架け渡される。
【0030】
次に、洗浄機1を用いて自動車11を洗浄する様子を説明する。まず、自動車11を前進させて門型フレーム2の内側を通過させながら、複数の発泡ノズル9から自動車11に液体洗剤の泡を吹き付ける。
【0031】
次いで、自動車11を後進させて門型フレーム2の内側を通過させながら、ノズル装置3、4、5、6、7から洗浄水を噴射して洗浄する。その際、ノズル装置3、5、6は、その洗浄力が高く、泥汚れの酷いタイヤホイールや虫などが付着した車体前後部を十分に洗浄することができ、しかも、タイヤホイールや車体前後部は、洗浄水の高い負荷に耐えることができる。また、ノズル装置4は、その洗浄力が中程度で、自動車11の車体側面を損傷することなく、十分に洗浄することができる。また、ノズル装置7は、洗浄水による負荷及び洗浄力を低く抑えられ、車体上面を十分に洗浄しつつも、その損傷を防止することができる。
【0032】
上記構成によると、共通の洗浄水用ホース8から複数のノズル装置3、4、5、6、7に洗浄水を供給するので、その構成を簡単にすることができる。しかも、全てのノズル装置3、4、5、6、7から噴射する洗浄水の水量や水圧を同一に設定するので、ノズル装置3、4、5、6、7の互いの影響を抑えて、その水量や水圧の設定を容易にすることができる。
【0033】
さらに、ノズル装置3、4、5、6、7のノズル12、13の傾斜角度(α1、α2)を適切に設定することにより、洗浄水の水量や水圧を同一にしたまま、各ノズル装置3、4、5、6、7が噴射する洗浄水による負荷及び洗浄力を所望の程度に設定することができる。これにより、洗浄機1を用いて、自動車11のタイヤホイールや車体前後部などの汚れの酷い部位を十分に洗浄すると共に、車体の損傷を防止することができる。
【0034】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、適宜変更を加えることができる。例えば、ノズル装置3、4、5、6、7は、回転駆動用ノズルとしてのノズル12の噴射の反動でローター16を回転させるだけでなく、ローター16を回転させる専用の回転駆動部を設けることもできる。
【符号の説明】
【0035】
1 洗浄機
2 門型フレーム
3 ノズル装置(タイヤホイールの洗浄用)
4 ノズル装置(車体側面の洗浄用)
5 ノズル装置(車体前部の洗浄用)
6 ノズル装置(車体後部の洗浄用)
7 ノズル装置(車体上面の洗浄用)
8 洗浄水用ホース
9 発泡ノズル
10 液体洗剤用ホース
11 自動車
12 ノズル(回転駆動用ノズル)
13 ノズル(ブレーキ用ノズル)
14 枠体
15 ローター軸
16 ローター
17 給水口
α1、α2 傾斜角度
【手続補正書】
【提出日】2020-12-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側を自動車が通過する門型フレームと、該門型フレームに装備された複数のノズル装置と、該複数のノズル装置に洗浄水を供給する共通の給水路とを備えた洗浄機であって、
前記ノズル装置は、ローター軸の周りに回転自在なローターにノズルを設けてなり、前記ローターを回転させながらノズルから洗浄水を噴射して前記自動車を洗浄する回転ノズル装置とされ、
前記ノズルは、噴射方向をローター軸の中心軸線に対して傾斜して径方向に広がる方向に設定され、汚れやすい部位を洗浄するノズルの噴射方向の傾斜角度を小さくすると共に、汚れにくい部位を洗浄するノズルの噴射方向の傾斜角度を大きくするよう、複数のノズル装置のノズルの噴射方向が複数の傾斜角度に設定されたことを特徴とする洗浄機。
【請求項2】
前記ノズルは、噴射方向をローター軸の径方向に広がりつつ周方向に傾斜する方向に設定され、噴射の反動でローターを回転させながら洗浄水を噴射することを特徴とする請求項1に記載の洗浄機。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る洗浄機は、内側を自動車が通過する門型フレームと、門型フレームに装備された複数のノズル装置と、複数のノズル装置に洗浄水を供給する共通の給水路とを備えたものであり、そのノズル装置を、ローター軸の周りに回転自在なローターにノズルを設けた構成で、ローターを回転させながらノズルから洗浄水を噴射して自動車を洗浄する回転ノズル装置とし、そのノズルの噴射方向をローター軸の中心軸線に対して傾斜して径方向に広がる方向に設定し、汚れやすい部位を洗浄するノズルの噴射方向の傾斜角度を小さくすると共に、汚れにくい部位を洗浄するノズルの噴射方向の傾斜角度を大きくするよう、複数のノズル装置のノズルの噴射方向を複数の傾斜角度に設定したものである。