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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022032153
(43)【公開日】2022-02-25
(54)【発明の名称】超音波流量計
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/66 20220101AFI20220217BHJP
【FI】
G01F1/66 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020135672
(22)【出願日】2020-08-11
(71)【出願人】
【識別番号】000110099
【氏名又は名称】トキコシステムソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】岡田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】新宮 武
(72)【発明者】
【氏名】高橋 太
【テーマコード(参考)】
2F035
【Fターム(参考)】
2F035DA09
2F035DA14
2F035DA19
(57)【要約】
【課題】超音波流量計の計測精度を向上させることが可能な技術を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る超音波流量計1は、仕切板17によって、測定室121、並びに上部圧力室122及び下部圧力室123を含む複数の区画に区分される測定管路部12と、測定管路部12の両端に連結され、外部管路と接続される上流接続部11及び下流接続部13と、何れか一方が測定室121の内部を流れる流体に向かって超音波を送信すると共に、何れか他方が何れか一方から送信される超音波を受信する一対の超音波センサ20,30と、測定室121に流入する流体の流れに正対し、その流れを整える整流板16と、測定管路部12の内部の上流側に設けられ、整流板16の少なくとも一部を測定管路部12内に収容する収容部18と、を備える。
【選択図】図5B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流れる方向に沿うように設けられる仕切板によって、測定室及び圧力室を含む複数の区画に区分される管路部と、
前記管路部の両端に連結され、外部管路と接続される接続部と、
何れか一方が前記測定室の内部を流れる流体に向かって超音波を送信すると共に、何れか他方が前記何れか一方から送信された超音波を受信する一対の超音波センサと、
前記測定室に流入する流体の流れに正対し、その流れを整える整流板と、
前記管路部の内部の上流側に設けられ、前記整流板の少なくとも一部を前記管路部内に収容する収容部と、を備える、
超音波流量計。
【請求項2】
前記整流板の内面には、前記仕切板の端部が挿入される第1の溝が設けられる、
請求項1に記載の超音波流量計。
【請求項3】
前記管路部の内壁面には、前記仕切板の側部が挿入される第2の溝が設けられ、
前記整流板の側面と前記管路部の内壁面との間の第1の隙は、前記仕切板の側面と前記第2の溝の底面との間の第2の隙より小さい、
請求項1又は2に記載の超音波流量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は超音波流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外部管路と接続される流入管路及び流出管路のそれぞれが両端に連結される主管路に流れる流体の体積流量を超音波センサで計測する超音波流量計が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1では、主管路は、その軸方向(流れの方向)に沿う仕切板によって、軸直交方向で、超音波ビームが送受信される測定室、及び主管路内の各区画の圧力を均一化する圧力室に区画される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-89829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、流入管路及び流出管路と主管路との間は、溶接によって連結される場合がある。そのため、溶接後の熱ひずみ(溶接残留応力)によって、主管路の内部に配置される仕切り板に主管路から圧縮応力が作用し、仕切り板が変形してしまう可能性がある。よって、仕切り板の変形に伴い測定室の流路面積が変化し、計測精度が悪化する可能性がある。
【0006】
そこで、上記課題に鑑み、超音波流量計の計測精度を向上させることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本開示の一実施形態では、
流体が流れる方向に沿うように設けられる仕切板によって、測定室及び圧力室を含む複数の区画に区分される管路部と、
前記管路部の両端に連結され、外部管路と接続される接続部と、
何れか一方が前記測定室の内部を流れる流体に向かって超音波を送信すると共に、何れか他方が前記何れか一方から送信された超音波を受信する一対の超音波センサと、
前記測定室に流入する流体の流れに正対し、その流れを整える整流板と、
前記管路部の内部の上流側に設けられ、前記整流板の少なくとも一部を前記管路部内に収容する収容部と、を備える、
超音波流量計が提供される。
【発明の効果】
【0008】
上述の実施形態によれば、超音波流量計の計測精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】超音波流量計の一例を概略的に示す斜視図である。
図2A】計量部の構成の一例を示す斜視図である。
図2B】計量部の構成の一例を示す分解図である。
図3A】計量部の構成の一例を示す断面図である。
図3B】計量部の構成の一例を示す断面図である。
図4】整流板の構成の一例を示す斜視図である。
図5A】整流板の取付状態の一例を示す斜視図である。
図5B】整流板の取付状態の一例を示す断面図である
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
【0011】
[超音波流量計の概要]
図1を参照して、超音波流量計1の概要を説明する。
【0012】
図1は、超音波流量計1の一例を概略的に示す斜視図である。
【0013】
図1に示すように、超音波流量計1は、計量部10と、一対の超音波センサ20,30と、表示部40とを含む。
【0014】
計量部10は、流体を通過させ、流体の流量に対応する検出情報を取得するための構成部分である。流量の計測対象の流体は、例えば、都市ガスや天然ガスや空気等である。計量部10には、超音波センサ20,30が壁部12C(図3B参照)を貫通する形で設置される。また、計量部10の上面には、表示部40が取り付けられる。
【0015】
超音波センサ20,30は、計量部10に通流する流体の流量に対応する検出情報を取得する。超音波センサ20,30は、それぞれ、超音波の送信及び受信が可能に構成される。超音波センサ20,30は、何れか一方が送信する超音波を何れか他方が受信することが可能な態様で配置される。超音波センサ20,30の配置に関する詳細は、後述する。
【0016】
表示部40は、超音波センサ20,30により取得される検出情報に基づき、計量部10に通流する流体の体積流量を計測(演算)する演算部が内蔵され、その計測結果を表示する。超音波センサ20,30と表示部40との間は、図示しない通信線で接続される。また、表示部40には、例えば、外部と通信を行うための通信線を接続する外部通信端子が設けられる。
【0017】
[計量部の構成]
次に、図2図2A図2B)、図3図3A図3B)を参照して、計量部10の構成について説明する。
【0018】
図2A図2Bは、それぞれ、計量部10の構成の一例を示す斜視図及び分解図である。図3A図3Bは、それぞれ、計量部10の構成の一例を示す正面断面図及び平面断面図である。
【0019】
計量部10は、上流接続部11と、測定管路部12と、下流接続部13と、センサ取付部14,15と、整流板16と、仕切板17とを含む。
【0020】
上流接続部11(接続部の一例)は、流量の計測対象の流体が流れる上流側の外部管路に接続される。上流接続部11は、フランジ部11Aと、接続管路部11Bと、接続壁部11Cとを含む。
【0021】
フランジ部11Aは、上流側の外部管路の端部に設けられるフランジ部とボルト締結される。フランジ部11Aの径方向の中央付近には、貫通孔が設けられ、貫通孔と接続管路部11Bとが連結されることで、外部管路の流体は、接続管路部11Bに流れ込むことができる。
【0022】
接続管路部11Bは、フランジ部11Aと測定管路部12(後述の測定室121)との間を接続し、フランジ部11Aから流入する流体を測定管路部12に導く。
【0023】
接続壁部11Cは、接続管路部11Bのフランジ部11Aとは反対の端部に設けられ、測定管路部12の上流側の端部(右端部)を塞ぐ。接続壁部11Cには、上下方向の中央部に貫通孔が設けられ、貫通孔と接続管路部11Bとが連結されることで、接続管路部11Bの流体は、貫通孔を通じて測定管路部12(測定室121)に流れ込む。
【0024】
測定管路部12(管路部の一例)は、流体が流れる方向(左右方向)に細長い、中空且つ両端が開放される略直方体形状を有する。「略」は、例えば、製造上誤差を許容する意図であり、以下も同様の意図で使用する。図3A図3Bに示すように、測定管路部12は、流体が流れる方向に垂直な略矩形の断面に対応して上下及び前後の四方を覆う壁部12A~12Dを含む。
【0025】
壁部12A~12Dは、流体が流れる方向に細長い略矩形形状の板状部材である。
【0026】
測定管路部12は、左右それぞれの端部において、上流接続部11(接続壁部11C)及び下流接続部13(接続壁部13C)と溶接によって連結され、溶接部12Wが形成される。
【0027】
下流接続部13(接続部の一例)は、流量の計測対象の流体が流れる下流側の外部管路に接続される。下流接続部13は、フランジ部13Aと、接続管路部13Bと、接続壁部13Cとを含む。
【0028】
フランジ部13Aは、下流側の外部管路の端部に設けられるフランジ部とボルト締結される。フランジ部13Aの径方向の中央付近には貫通孔が設けられ、貫通孔と接続管路部13Bとが連結されることで、接続管路部13Bの流体は、下流側の外部管路に流出することができる。
【0029】
接続管路部13Bは、測定管路部12(測定室121)とフランジ部13Aとの間を接続し、測定管路部12から流出する流体を、フランジ部13Aを通じて外部管路に導く。
【0030】
接続壁部13Cは、接続管路部13Bのフランジ部13Aとは反対の端部に設けられ、測定管路部12の下流側の端部(左端部)を塞ぐ。接続壁部13Cには、上下方向の中央部に貫通孔が設けられ、貫通孔と接続管路部13Bとが連結されることで、測定管路部12の流体は、貫通孔を通じて接続管路部13Bに流出する。
【0031】
センサ取付部14,15は、略円管形状を有し、前側の壁部12Cから突出するように設けられる。センサ取付部14,15の基端側は、測定管路部12の壁部を貫通する貫通孔と接続され、センサ取付部14,15の先端の開口部と測定管路部12(測定室121)の内部との間が連通する。センサ取付部14,15の先端には、それぞれ、超音波センサ20,30が取り付けられる。
【0032】
センサ取付部14は、壁部12Cの垂直軸に対して、上流方向(右方向)に所定の取付角度だけ傾斜するように設けられる。超音波センサ20は、センサ取付部14の先端の開口からその先端部が挿入される形で取り付けられる。これにより、超音波センサ20の先端部は、壁部12Cの垂直軸に対して、下流方向(左方向)に所定角度だけ傾斜する向きに配置される。そのため、超音波センサ20は、測定管路部12(測定室121)の流体を下流側の斜め方向に横切るように、超音波を送信することができる。超音波センサ20から送信される超音波は、壁部12Dの内壁面で下流側の斜め方向に反射され、超音波センサ30の先端部で受信される。よって、超音波センサ20から送信され、超音波センサ30で受信される超音波は、測定管路部12(測定室121)を流れる流体によって増速される。
【0033】
センサ取付部15は、壁部12Cの垂直軸に対して、下流方向(左方向)に所定の取付角度だけ傾斜するように設けられる。センサ取付部14,15の取付角度は、略同じである。超音波センサ30は、センサ取付部15の先端の開口からその先端部が挿入される形で取り付けられる。これにより、超音波センサ30の先端部は、壁部12Cの垂直軸に対して、上流方向(右方向)に所定角度だけ傾斜する向きに配置される。そのため、超音波センサ30は、測定管路部12(測定室121)の流体を上流側の斜め方向に横切るように、超音波を送信することができる。超音波センサ30から送信される超音波は、壁部12Dで上流側の斜め方向に反射され、超音波センサ20の先端部で受信される。よって、超音波センサ30から送信され、超音波センサ20で受信される超音波は、測定管路部12(測定室121)を流れる流体によって減速される。
【0034】
このように、超音波センサ20,30は、測定室121の流体の流速に応じて増速される経路で伝搬される超音波と減速される経路で伝搬される超音波とを受信することができる。これにより、例えば、表示部40に内蔵される演算部は、これら二つの経路における超音波の送信から受信までの所要時間の差を用いて、超音波の流速を演算し、流速に測定室121の流路面積を乗じることで、体積流量を測定(演算)することができる。
【0035】
尚、超音波センサ20,30は、例えば、何れか一方が壁部12Cに挿入される形で設けられ、何れか他方が壁部12Dに挿入される形で設けられてもよい。この場合、超音波センサ20,30は、それぞれ、他方から送信される超音波を反射させることなく受信する。また、超音波センサ20,30は、上記の場合と同様、何れか一方が上流方向(右方向)所定角度だけ傾斜するように設けられ、何れか他方が下流方向(左方向)に所定角度だけ傾斜するように設けられてよい。これにより、上記と同様に、表示部40に内蔵される演算部は、超音波の送信から受信までの所要時間の差を用いて、超音波の流速を演算し、流速に測定室121の流路面積を乗じることで、体積流量を測定(演算)することができる。
【0036】
整流板16は、測定管路部12の上流側の端部において、流れに略正対する状態で設けられ、測定管路部12(測定室121)に流入する流体の流れを一定に整え、層流に近づける。具体的には、整流板16の上下方向の中央には、多孔部16Aが設けられ、多孔部16Aに設けられる多数の貫通孔を流体が通過することにより、流れが層流化される。図3A図3Bに示すように、整流板16は、測定管路部12の上流側の端部において、その内部(収容部18)に収容される。整流板16の詳細は、後述する。
【0037】
仕切板17は、流体の流れる方向(左右方向)に沿って設けられ、測定管路部12の内部を流れに垂直な方向(本例では、上下方向)で複数に区画する。仕切板17は、仕切板17A,17Bを含む。
【0038】
仕切板17Aは、測定管路部12の内部において、上下方向の上部に配置される上部圧力室122(圧力室の一例)と、上下方向の中央に配置される測定室121との間を区画する。
【0039】
仕切板17Bは、測定管路部12の内部において、上下方向の下部に配置される下部圧力室123(圧力室の一例)と、上下方向の中央に配置される測定室121との間を区画する。
【0040】
図3A図3Bに示すように、接続壁部11C,13Cの貫通孔は、上下方向の中央部に設けられ、測定対象の流体は、測定室121だけに流入し、測定室121から流出する。また、測定室121は、センサ取付部14,15の先端部の開口と連通されている。これにより、超音波センサ20,30は、測定室121を流れる流体に向かって超音波を送信すると共に、測定室121の壁部12Dで反射される超音波を受信することができる。
【0041】
仕切板17の下流側の端部(左端部)と、接続壁部13Cの内壁面との間には、隙間(連通部19)が設けられる。連通部19は、測定室121と他の区画(上部圧力室122、下部圧力室123)との間を連通させる。これにより、測定室121と、上部圧力室122及び下部圧力室123との間の圧力を均一化させることができる。連通部19は、仕切板17Aと接続壁部13Cとの間の隙間として設けられ、測定室121と上部圧力室122との間を連通させる連通部19Aと、仕切板17Bと接続壁部13Cとの間の隙間として設けられ、測定室121と下部圧力室123との間を連通させる連通部19Bとを含む。
【0042】
[整流板の構成]
次に、図4図5図5A図5B)を参照して、整流板16の構成について説明する。
【0043】
図4は、整流板16の構成の一例を示す斜視図である。図5A図5Bは、それぞれ、整流板16の取付状態の一例を示す斜視図及び側面断面図である。
【0044】
尚、図5Aでは、計量部10に組み込まれている整流板16を露出させるため、上流接続部11の図示が省略されている。
【0045】
図4に示すように、整流板16の上下方向の中央部には、上述の如く、多孔部16Aが設けられる。また、整流板16の下流側(内側)の壁面において、多孔部16Aの上下には、前後方向に溝部16B,16Cが設けられる。
【0046】
溝部16B(第1の溝の一例)には、仕切板17Aの上流側の端部(右端部)が挿入され、溝部16C(第1の溝の一例)には、仕切板17Bの上流側の端部(右端部)が挿入される。
【0047】
また、図5A図5Bに示すように、前後の壁部12C及び壁部12Dには、それぞれ、流体の流れの方向(左右方向)に延びるように、溝部12Ca,12Cb、及び溝部12Da,12Dbが設けられる。
【0048】
溝部12Ca,12Da(第2の溝の一例)には、それぞれ、仕切板17Aの前端部及び後端部が挿入される。
【0049】
溝部12Cb,12Db(第2の溝の一例)には、それぞれ、仕切板17Bの前端部及び後端部が挿入される。
【0050】
このように、溝部12Ca,12Da,16Bによって、仕切板17Aの位置決めがなされ、溝部12Cb,12Db,16Cによって、仕切板17Bの位置決めがなされる。
【0051】
整流板16は、上述の如く、流れに略正対する姿勢状態で、測定管路部12の内部の収容部18に収容される。また、整流板16は、その前後方向の寸法(幅)が測定管路部12の内部の前後方向の寸法と略同じになるように構成される。これにより、図5Bに示すように、整流板16の前端面及び後端面は、それぞれ、壁部12C,12Dの内面との隙CL1,CL2(第1の隙の一例)がゼロとなり、壁部12C,12Dの内面に当接する。
【0052】
上述の如く、測定管路部12と上流接続部11及び下流接続部13との間は、溶接によって連結される。そのため、溶接部12Wが冷却されると、溶接部12Wの熱ひずみ(溶接残留応力)によって、測定管路部12に圧縮応力が作用する可能性がある(図5Bの白抜き矢印参照)。すると、この圧縮応力によって、仕切板17A,17Bが変形することで、流路面積に変化が生じ、超音波流量計1の体積流量の計測精度に影響が生じてしまう可能性がある。
【0053】
これに対して、本実施形態では、壁部12C,12Dに整流板16の前端面及び後端面が当接し、壁部12C,12Dの変位を抑制することができる。そのため、超音波流量計1は、溶接部12Wの熱ひずみ(溶接残留応力)による仕切板17A,17Bの変形を抑制することができる。よって、超音波流量計1は、その体積流量の計測精度を向上させることができる。
【0054】
尚、整流板16は、その厚み方向(左右方向)で全体が測定管路部12の内部に収容される必要はなく、その厚み方向の一部が測定管路部12の内部に収容されてもよい。
【0055】
また、仕切板17A,17Bは、上述の如く、その上流側の端部が整流板16の溝部16B,16Cに挿入されてよい。これにより、溝部16B,16Cは、溶接部12Wの熱ひずみ(溶接残留応力)による仕切板17A,17Bの変形を抑制することができる。そのため、超音波流量計1は、その体積流量の計測精度を更に向上させることができる。
【0056】
また、壁部12C,12Dと整流板16とは、壁部12C,12Dがある程度変位した時点で当接する態様であってもよい。例えば、整流板16の側面と測定管路部12、即ち、壁部12C,12Dのそれぞれの内壁面との(前後)隙CL1,CL2の合計は、仕切板17Aの側面と溝部12Ca,12Daのそれぞれの底面との間の(前後)隙CL3,CL4(第2の隙の一例)の合計より小さくなるように構成されてよい。また、同様に、整流板16の側面と測定管路部12、即ち、壁部12C,12Dのそれぞれの内壁面との(前後)隙CL1,CL2の合計は、仕切板17Bの側面と溝部12Cb,12Dbのそれぞれの底面との間の(前後)隙CL5,CL6(第2の隙の一例)の合計より小さくなるように構成されてよい。これにより、溶接部12Wの熱ひずみによる壁部12C,12Dの変位に伴って、仕切板17A,17Bの側面が溝部12Ca,12Cb,12Da,12Dbの底面に当接する前に、整流板16の前端面及び後端面が先に壁部12C,12Dの内壁面に当接する。そのため、超音波流量計1は、仕切板17A,17Bの変形を抑制(防止)し、体積流量の測定精度を向上させることができる。
【0057】
尚、溶接部12Wの熱ひずみによる仕切板17A,17Bの変形をある程度許容してもよい。この場合、整流板16の側面と測定管路部12(壁部12C,12D)の内壁面との(前後)隙CL1,CL2の合計は、仕切板17Aの側面と溝部12Cb,12Dbのそれぞれの底面との間の(前後)隙CL3,CL4の合計より大きくなる。また、同様に、整流板16の側面と測定管路部12(壁部12C,12D)の内壁面との(前後)隙の合計は、仕切板17Bの側面と溝部12Cb,12Dbのそれぞれの底面との間の(前後)隙CL5,CL6の合計より大きくなる。そして、整流板16の側面は、壁部12C,12Dが溶接部12Wの熱ひずみにより仕切板17A,17Bの許容変形量に対応する範囲内で変位した後に、変位後の壁部12C,12Dの内壁面に当接する。これにより、整流板16は、体積流量の測定精度に大きく影響しない範囲で仕切板17A,17Bの変形を抑制することができる。
【0058】
[作用]
次に、本実施形態に係る超音波流量計1の作用について説明する。
【0059】
本実施形態では、測定管路部12は、流体が流れる方向に沿うように設けられる仕切板17A,17Bによって、測定室121、並びに上部圧力室122及び下部圧力室123を含む複数の区画に区分される。また、上流接続部11及び下流接続部13は、測定管路部12の両端に連結され、外部管路と接続される。また、一対の超音波センサ20,30は、何れか一方が測定室121の内部を流れる流体に向かって超音波を送信すると共に、何れか他方が何れか一方から送信された超音波を受信する。また、整流板16は、測定室121に流入する流体の流れに正対し、その流れを整える。そして、収容部18は、測定管路部12の内部の上流側に設けられ、整流板16の厚み方向の少なくとも一部を測定管路部12内に収容する。
【0060】
これにより、溶接部12Wの熱ひずみ(溶接残留応力)によって、測定管路部12に圧縮応力が作用する場合であっても、壁部12C,12Dの変形に対して、測定管路部12内に収容される整流板16が壁部12C,12Dの内壁面に当接することができる。そのため、壁部12C,12Dの変形に伴う仕切板17A,17Bの変形を抑制し、仕切板17A,17Bの変形による測定室121の流路面積の変化を抑制することができる。よって、超音波流量計1は、体積流量の測定精度を向上させることができる。
【0061】
また、本実施形態では、整流板16に流れの整流機能と仕切板17A,17Bの変形抑制機能の双方を担わせることができる。そのため、整流板16の他に仕切板17A,17Bの変形抑制機能を実現する他の部材が設けられる場合に比して、コスト上昇を抑制することができる。
【0062】
また、例えば、整流板16を上流接続部11(接続壁部11C)と測定管路部12との間に挟み込む構成の場合、上流接続部11と整流板16を溶接で連結させ、更に、整流板16と測定管路部12とを溶接で連結させる必要が生じる。そのため、溶接部が相対的に多くなり、超音波流量計1の製造コストが上昇する可能性がある。
【0063】
これに対して、本実施形態では、整流板16は、測定管路部12の内部に収容される形で配置される。そのため、溶接部を相対的に少なくすることができる。よって、超音波流量計1の製造コストを抑制することができる。
【0064】
以上、実施形態について詳述したが、本開示はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 超音波流量計
10 計量部
11 上流接続部(接続部)
11A フランジ部
11B 接続管路部
11C 接続壁部
12 測定管路部(管路部)
12A~12D 壁部
12Ca,12Cb,12Da,12Db 溝部(第2の溝)
12W 溶接部
13 下流接続部(接続部)
13A フランジ部
13B 接続管路部
13C 接続壁部
14,15 センサ取付部
16 整流板
16A 多孔部
16B,16C 溝部(第1の溝)
17,17A,17B 仕切板
18 収容部
19,19A,19B 連通部
20 超音波センサ
30 超音波センサ
40 表示部
121 測定室
122 上部圧力室(圧力室)
123 下部圧力室(圧力室)
CL1,CL2 隙(第1の隙)
CL3,CL4 隙(第2の隙)
CL5,CL6 隙(第2の隙)
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5A
図5B