(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022032199
(43)【公開日】2022-02-25
(54)【発明の名称】学習支援システム、情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G09B 7/02 20060101AFI20220217BHJP
G06Q 50/20 20120101ALI20220217BHJP
G16Y 10/55 20200101ALI20220217BHJP
G16Y 20/40 20200101ALI20220217BHJP
G16Y 40/20 20200101ALI20220217BHJP
【FI】
G09B7/02
G06Q50/20 300
G16Y10/55
G16Y20/40
G16Y40/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020135744
(22)【出願日】2020-08-11
(71)【出願人】
【識別番号】709006024
【氏名又は名称】株式会社ベネッセコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】石田 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】永田 祐太郎
(72)【発明者】
【氏名】永見 良介
(72)【発明者】
【氏名】國吉 啓介
(72)【発明者】
【氏名】中島 悠太
【テーマコード(参考)】
2C028
5L049
【Fターム(参考)】
2C028BA01
2C028BA02
2C028BA03
2C028BB04
2C028BB07
2C028BC01
2C028BD02
2C028CA13
5L049CC34
(57)【要約】
【課題】学習者が学習範囲や時間を指定することで、指定された条件の下で学習者にとって適切な問題を提供すること。
【解決手段】学習支援システムは、所定の学習者により指定された所定の学習範囲と時間とを取得する取得部と、所定の学習範囲内に含まれる問題を抽出する抽出部と、抽出された問題に対し、所定の学習者の第1学習履歴及び他の学習者の第2学習履歴に基づいて優先度を付与する付与部と、優先度と、問題に対する学習者の平均取組時間とを用いて、所定の学習者により指定された時間に関する所定の条件を満たす問題を選定する問題選定部と、選定された複数の問題を、学習者に対して出力する出力部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の学習者により指定された所定の学習範囲と時間とを取得する取得部と、
前記所定の学習範囲内に含まれる問題を抽出する抽出部と、
抽出された問題に対し、前記所定の学習者の第1学習履歴及び他の学習者の第2学習履歴に基づいて優先度を付与する付与部と、
前記優先度と、前記問題に対する学習者の平均取組時間とを用いて、前記所定の学習者により指定された時間に関する所定の条件を満たす複数の問題を選定する問題選定部と、
選定された前記複数の問題を、前記学習者に対して出力する出力部と、
を備える学習支援システム。
【請求項2】
前記問題選定部は、前記所定の学習者の未取組問題を含む複数の問題を選定することを含む、請求項1に記載の学習支援システム。
【請求項3】
前記第1学習履歴は、前記未取組問題を示す情報と、取り組んだ問題に対する正誤情報とを含み、
前記第2学習履歴は、前記問題に対する前記他の学習者の平均正答率と、前記平均取組時間とを含む、請求項1又は2に記載の学習支援システム。
【請求項4】
前記付与部は、前記平均正答率が所定値より低い未取組問題を、前記所定の学習者が正答した問題よりも優先度を高く付与することを含む、請求項3に記載の学習支援システム。
【請求項5】
前記所定の条件は、選定される問題の前記平均取組時間の合計が、前記所定の学習者により指定された時間以内になることを含み、前記問題選定部は、前記優先度が高い方から、当該所定の条件を満たす問題を選定することを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の学習支援システム。
【請求項6】
プロセッサを含む情報処理装置であって、
前記プロセッサが、
所定の学習者により指定された所定の学習範囲と時間とを取得すること、
前記所定の学習範囲内に含まれる問題を抽出すること、
抽出された問題に対し、前記所定の学習者の第1学習履歴及び他の学習者の第2学習履歴に基づいて優先度を付与すること、
前記優先度と、前記問題に対する学習者の平均取組時間とを用いて、前記所定の学習者により指定された時間に関する所定の条件を満たす複数の問題を選定すること、
選定された前記複数の問題を、前記学習者に対して出力すること、
を実行する情報処理装置。
【請求項7】
情報処理装置が、
所定の学習者により指定された所定の学習範囲と時間とを取得すること、
前記所定の学習範囲内に含まれる問題を抽出すること、
抽出された問題に対し、前記所定の学習者の第1学習履歴及び他の学習者の第2学習履歴に基づいて優先度を付与すること、
前記優先度と、前記問題に対する学習者の平均取組時間とを用いて、前記所定の学習者により指定された時間に関する所定の条件を満たす複数の問題を選定すること、
選定された前記複数の問題を、前記学習者に対して出力すること、
を実行する情報処理方法。
【請求項8】
情報処理装置に、
所定の学習者により指定された所定の学習範囲と時間とを取得すること、
前記所定の学習範囲内に含まれる問題を抽出すること、
抽出された問題に対し、前記所定の学習者の第1学習履歴及び他の学習者の第2学習履歴に基づいて優先度を付与すること、
前記優先度と、前記問題に対する学習者の平均取組時間とを用いて、前記所定の学習者により指定された時間に関する所定の条件を満たす複数の問題を選定すること、
選定された前記複数の問題を、前記学習者に対して出力すること、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習支援システム、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、問題の属性ごとに正誤判定による正誤数を集計し、集計の結果から、正答が少ない、あるいは誤答が多い苦手な属性を認識し、苦手な属性を有する問題から出題を選択する学習システムが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されている発明は、学習者の苦手な問題を認識し、苦手分野の問題を出題することは可能であるが、学習者が取り組みたい問題がある場合や時間が限られている場合などに、学習者へ出題される問題の選択について柔軟性がなかった。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、学習者が学習範囲や時間を指定することで、指定された条件の下で学習者にとって適切な問題を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明に係る学習支援システムは、所定の学習者により指定された所定の学習範囲と時間とを取得する取得部と、前記所定の学習範囲内に含まれる問題を抽出する抽出部と、抽出された問題に対し、前記所定の学習者の第1学習履歴及び他の学習者の第2学習履歴に基づいて優先度を付与する付与部と、前記優先度と、前記問題に対する学習者の平均取組時間とを用いて、前記所定の学習者により指定された時間に関する所定の条件を満たす問題を選定する問題選定部と、選定された前記複数の問題を、前記学習者に対して出力する出力部と、を備える。
【0007】
上記課題を解決するために本発明に係る情報処理装置は、プロセッサを含む情報処理装置であって、前記プロセッサが、所定の学習者により指定された所定の学習範囲と時間とを取得すること、前記所定の学習範囲内に含まれる問題を抽出すること、抽出された問題に対し、前記所定の学習者の第1学習履歴及び他の学習者の第2学習履歴に基づいて優先度を付与すること、前記優先度と、前記問題に対する学習者の平均取組時間とを用いて、前記所定の学習者により指定された時間に関する所定の条件を満たす問題を選定すること、選定された前記複数の問題を、前記学習者に対して出力すること、を実行する。
【0008】
上記課題を解決するために本発明に係る情報処理方法は、情報処理装置が、所定の学習者により指定された所定の学習範囲と時間とを取得すること、前記所定の学習範囲内に含まれる問題を抽出すること、抽出された問題に対し、前記所定の学習者の第1学習履歴及び他の学習者の第2学習履歴に基づいて優先度を付与すること、前記優先度と、前記問題に対する学習者の平均取組時間とを用いて、前記所定の学習者により指定された時間に関する所定の条件を満たす問題を選定すること、選定された前記複数の問題を、前記学習者に対して出力すること、を実行する。
【0009】
上記課題を解決するために本発明に係るプログラムは、情報処理装置に、所定の学習者により指定された所定の学習範囲と時間とを取得すること、前記所定の学習範囲内に含まれる問題を抽出すること、抽出された問題に対し、前記所定の学習者の第1学習履歴及び他の学習者の第2学習履歴に基づいて優先度を付与すること、前記優先度と、前記問題に対する学習者の平均取組時間とを用いて、前記所定の学習者により指定された時間に関する所定の条件を満たす問題を選定すること、選定された前記複数の問題を、前記学習者に対して出力すること、を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、学習者が学習範囲や時間を指定することで、指定された条件の下で学習者にとって適切な問題を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態における学習支援システムの一例を示す構成図である。
【
図2】学習支援サーバのハードウェア構成の一例を示す構成図である。
【
図3】学習支援サーバを構成の一例を示す構成図である。
【
図7】学習用端末を構成の一例を示す構成図である。
【
図8】学習用端末のユーザインタフェースにより表示される画面の一例を示す図である。
【
図9】学習支援システムの処理手順の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0013】
<学習支援システム1>
図1は、本実施形態における学習支援システム1の一例を示す構成図である。
図1に示すように、学習支援システム1は、学習支援サーバ10、学習用端末20A、B、Cを含む。以下、各学習用端末20A、B、Cを区別しない場合は、単に学習用端末20と表記する。学習支援システム1では、学習支援サーバ10及び学習用端末20がネットワークNを介して相互に通信可能に接続される。なお、本実施形態においては、学習支援システム1は複数の装置で構成されるように説明するが、一の装置において実現されてもよく、例えば学習用端末20のみで実現されてもよい。
【0014】
学習支援サーバ10は、学習用端末20を介して学習者に各種問題を提供する情報処理装置である。また、学習支援サーバ10は、学習者が指定した学習範囲や時間に基づいて、その学習者にとって苦手な分野を効率よく学べる問題を特定し、学習者に合った適切な問題を提供する。
【0015】
学習用端末20は、学習支援サーバ10から提供された問題をディスプレイに表示して、学習者の各種操作を受け付ける情報処理装置である。学習用端末20は、例えば、タブレット端末装置やパーソナルコンピュータにより構成される。なお、学習用端末20は、例えば家庭用ゲーム機器(携帯型ゲーム機を含む)、携帯電話機(いわゆるフィーチャーフォン)、スマートフォン(多機能携帯電話機)、携帯情報端末(Personal Digital Assistant)、電子書籍リーダ、その他のコンピュータ機器により構成されてもよい。
【0016】
ネットワークNは、例えばインターネット等を含む情報処理に係る通信回線又は通信網であり、学習支援サーバ10、学習用端末20の間で各種情報の送受信可能に構成されていればよい。
【0017】
以下、学習支援サーバ10及び学習用端末20の構成につき説明する。
<学習支援サーバ10>
以下、
図2を参照して、学習支援サーバ10のハードウェア構成について説明する。
図2は、本実施形態に係る学習支援サーバ10のハードウェア構成の一例を示す構成図である。
図2に示すように、学習支援サーバ10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical processing unit)等のプロセッサ10a、メモリ10b、HDD(Hard Disk Drive)および/またはSSD(Solid State Drive)等の記憶装置10c、およびネットワークインターフェース10dを備える。また、学習支援サーバ10が備える各構成要素10a~10dはバスによってそれぞれ接続されている。
【0018】
プロセッサ10aは、メモリ10bや記憶装置10cに格納されているプログラムを実行することで、
図3以降で詳述するような処理および機能を実現する。メモリ10bは、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)を含んでよく、ROMは、ブートプログラムなどのプログラムを記憶する。RAMは、プロセッサ10aのワークエリアとして使用される。記憶装置10cは、プロセッサ10aの制御に応じてデータのリード/ライトを制御してディスクにデータを記憶する。記憶装置10cは、例えば後述する各種テーブルを記憶する。なお、メモリ10bや記憶装置10cに格納されているプログラムは、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体として構成されてもよい。
【0019】
ネットワークインターフェース10dは、インターネットなどのネットワークNに接続され、該ネットワークNを介して、学習用端末20などの外部装置に接続される。そして、ネットワークインターフェース10dは、ネットワークNと学習支援サーバ10を実現するコンピュータ装置の内部とのインターフェースをつかさどり、学習支援サーバ10を実現するコンピュータ装置と外部装置との間におけるデータの入出力を制御する。
【0020】
以下、
図3を参照して、学習支援サーバ10の構成について説明する。
図3は、学習支援サーバ10の構成の一例を示す構成図である。
図3に示すように、学習支援サーバ10は、例えば、記憶部11、取得部12、解答判定部13、抽出部14、付与部15、問題選定部16、出力部17を備える。
【0021】
記憶部11は、例えば、学習者基本情報11a、学習履歴情報11b、問題情報11cを記憶してもよい。
【0022】
図4を参照して、学習者基本情報11aの一例について説明する。
図4に示すように、学習者基本情報11aは、例えば、学習者を識別する「学習者ID」などの適宜な項目を主キーとして、学習者の基本的な情報を示す「学校情報」、「志望校情報」、「レベル情報」、「合否情報」などを含む。
【0023】
「学習者ID」は、学習者を識別可能にする情報を含む。「学校情報」は、学習者が通う学校の情報を含み、例えば学校名、学年、クラスなどを含む。「志望校情報」は、学習者が志望する学校(中学、高校、大学など)の情報を含み、例えば、学校名、コース(学部、学科など)などを含む。「レベル情報」は、学習者が志望する志望校、コースの難易度を含む。「合否情報」は、学習者が志望校に合格したか否かの情報、又は現役生であれば未入力「-」などの情報を含む。なお、上記以外にも、学習者基本情報11aは、学習者の氏名等を含んでもよい。
【0024】
図5を参照して、学習履歴情報11bの一例について説明する。
図5に示すように、学習履歴情報11bは、「学習者ID」などの適宜な項目を主キーとして、学習者の学習履歴を示す情報である「学習状況情報」、「学習時間情報」などを含む。
【0025】
「学習者ID」は、
図4に示す学習者IDに対応し、学習者を識別可能にする情報を含む。「学習状況情報」は、例えば、所定の学習範囲内での学習者が取り組んだ問題の情報(例えば問題ID)、時期、正解か否かの判定結果、未取組問題の情報などを含む。所定の学習範囲は、学習者が志望する学校等により適宜変更されてもよい。「学習時間情報」は、学習者が取り組んだ各問題に対し、解答するのに要した時間(以下、「解答時間」ともいう。)などを含む。
【0026】
図6を参照して、問題情報11cの一例について説明する。
図6に示すように、問題情報11cは、「問題ID」などの適宜な項目を主キーとして、問題の情報を示す「単元」、「難易度」、「問題内容」、「平均正答率」、「平均取組時間」などを含む。
【0027】
「問題ID」は、問題を識別可能にする情報を含む。「単元」は、その問題が含まれる、一定の学習順序によって構成した学習内容のひとまとまりの情報を含む。「問題内容」は、その問題の内容を含む。「平均正答率」は、その問題に対する所定の学習者の平均正答率を含む。所定の学習者は全学習者でもよいし、所定基準で選定されたグループ内の学習者でもよい。所定基準は、例えば成績上位者、同じ志望校を志望する学習者、及び同じ学校、地域、又は学年などの学習者であることの少なくとも1つを含む。「平均取組時間」は、その問題に対する所定の学習者の平均取組時間を含む。所定の学習者は、「平均正答率」の所定の学習者と同じでもよいし、異なる学習者であってもよい。
【0028】
図3に示す取得部12は、学習用端末20などの外部装置から各種情報を取得する。また、取得部12は、例えば、学習用端末20から、所定の学習者により指定された所定の学習範囲内(例えばカリキュラムで設定された学習範囲、又は単元)と、時間とを取得する。また、取得部12は、学習者が入力した解答情報や解答に要した解答時間情報などを取得する。
【0029】
解答判定部13は、例えば、解答情報に基づいて所定の問題に対する解答者の解答が正解か否かを判定する。
【0030】
抽出部14は、取得部12により取得された所定の学習範囲内に含まれる問題を抽出する。例えば、抽出部14は、学習範囲に含まれる単元に基づいて、その単元内の問題を抽出する。
【0031】
付与部15は、抽出された問題に対し、所定の学習者の第1学習履歴及び他の学習者の第2学習履歴に基づいて優先度を付与する。例えば、付与部15は、抽出された問題に対し、第1学習履歴に基づいて特定される所定の学習者の苦手な問題、第2学習履歴に基づいて他の学習者が苦手な問題の優先度が高くなるよう優先度を付与する。
【0032】
問題選定部16は、付与部15により付与された優先度と、問題に対する学習者の平均取組時間とを用いて、所定の学習者により指定された時間に関する所定の条件を満たす問題を選定する。例えば、問題選定部16は、平均取組時間の合計が、指定された時間以内になるように、優先度の高い問題から複数の問題を選定する。
【0033】
出力部17は、選定された複数の問題を学習者に対して出力する。例えば、出力部17は、学習者の学習者IDを用いて学習者が利用する学習用端末20を特定したり、学習範囲や時間の送信元の学習用端末20を特定したりして、特定した学習用端末20に、選定された複数の問題情報をまとめて送信してもよい。
【0034】
これにより、本実施形態によれば、学習者が学習範囲や時間を指定することにより、指定された条件の下で学習者にとって適切な問題を提供することができるようになる。また、時間指定により、学習者の限られた時間の範囲内で効率よく出題することが可能になる。また、一度に複数の問題を選定することが可能になるため、一問ずつ問題を選定するよりも処理負荷を軽減することができる。学習者にとっては、選定された複数の問題を解き、理解することで、自身の苦手な分野の問題等を優先的に解くことが可能になる。
【0035】
また、問題選定部16は、所定の学習者の未取組問題を含む複数の問題を選定することを含んでもよい。例えば、問題選定部16は、指定された学習範囲内に、この学習者の未取組問題が含まれる場合、少なくとも1つ未取組問題が選定されるように問題を選定してもよい。また、問題選定部16は、選定される未取組問題について、平均正答率が低い問題を優先的に選択するとよい。
【0036】
これにより、学習者の苦手な分野に対し、未取組問題を含めることで、学習者に対して同じ問題を何度も繰り返し出題するだけではなく、新しい問題も出題することが可能になる。また、未取組問題として平均正答率が低い問題を出題すれば、学習者は他の学習者が苦手な問題を共有し、皆が苦手な問題を解消することができるようになる。
【0037】
また、付与部15において考慮される第1学習履歴は、所定の学習者の未取組問題を示す情報と、取り組んだ問題に対しては正誤情報とを含み、第2学習履歴は、各問題に対する他の学習者の平均正答率と、平均取組時間とを含んでもよい。例えば、付与部15は、これらの情報を基に、問題の優先度を付与してもよい。
【0038】
これにより、所定の学習者の取組状況や正誤情報や、他の学習者の問題の平均正答率や平均取組時間などを優先度の付与の際に考慮することができ、所定の学習者にとって苦手な問題とともに、他の学習者にとって苦手な問題についても優先度を付与することが可能になる。
【0039】
また、付与部15は、平均正答率が所定値より低い未取組問題を、所定の学習者が正答した問題よりも優先度を高く付与することを含んでもよい。例えば、付与部15は、所定の学習者が取り組んでいない未取組問題であっても、他の学習者の平均正答率が低ければ、平均正答率が低い未取組問題が選定されるように優先度を高く付与してもよい。
【0040】
これにより、未取組問題のうち、平均正答率が低い、すなわち、他の学習者にとって苦手な問題が選定されるようになるため、学習者は、既に解いた問題だけではく、他の学習者の学習状況が考慮された未取組問題を効率よく解くことができるようになる。なお、付与部15は、所定の学習者が誤答した問題の優先度を一番高く付与したり、所定の学習者が正答した問題の優先度を一番低く設定したりしてもよい。
【0041】
また、問題選定部16により判定される所定の条件は、選定される問題の平均取組時間の合計が、所定の学習者により指定された時間以内になることを含んでもよい。この場合、問題選定部16は、優先度が高い方から、問題の平均取組時間の合計が、指定された時間以内になることを含む所定の条件を満たす問題を選定することを含んでもよい。例えば、所定の学習者により学習時間として30分が指定されている場合、問題選定部16は、優先度の高い順に、平均取組時間の合計が30分以内になるように問題を選定する。なお、問題選定部16は、必ずしも指定された時間以内とする必要はなく、所定の時間だけ、指定された時間から平均取組時間の合計時間が超えるような問題を選定してもよい。
【0042】
これにより、学習者の限られた時間の中で、学習者の苦手な問題を効率よく解くことができるようになる。
【0043】
<学習用端末20>
次に、学習用端末20について説明する。学習用端末20のハードウェア構成(不図示)は、学習支援サーバ10のハードウェア構成に対して、例えば、入力操作を受け付ける入力デバイスと、情報の出力を行う出力デバイスとを加えた構成である。入力デバイスは、例えば、タッチパネル、マイク、キーボード、および/またはカメラであってよい。出力デバイスは、例えば、ディスプレイおよび/またはスピーカーであってよい。学習支援サーバ10と同様の構成についてはその説明を省略する。
【0044】
ディスプレイは、画面を発光させて画像を映し出す表示装置である。ディスプレイは例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどである。
【0045】
タッチパネルは、ディスプレイに積層され、操作位置に応じた信号をプロセッサ10aに対して出力する。タッチパネルは、たとえば抵抗膜方式や静電容量方式、音響パルス認識方式、超音波表面弾性波方式、赤外遮光方式、画像認識方式など公知の各種の方式のものを用いることができる。
【0046】
マイクは、アナログデータとして入力された話者の声をアナログ/デジタル変換し、デジタル形式の音声データを生成する。
【0047】
スピーカーは、例えば、音読メニューの実行時にデジタル形式の音声データをデジタル/アナログ変換し、アナログ形式の音声データに基づいて、スピーカーコーンにおけるコイルに通電するなどして音声を出力する。
【0048】
カメラは、タッチパネルの操作によって撮像対象を撮像し、画像データを生成する。生成された画像データは、メモリ10bなどに記憶される。
【0049】
以下、
図7を参照して学習用端末20の構成について説明する。
図7は、学習用端末20の構成の一例を示す構成図である。
図7に示すように、学習用端末20は、例えば、通信部21、記憶部22、問題表示部23、解答入力受付部24、解答表示部25を備える。
【0050】
通信部21は、学習支援サーバ10から各種情報を受信して取得する。また、通信部21は、学習者の解答に関する解答情報、解答時間や、学習者により指定された所定の学習範囲、時間等を学習支援サーバ10に送信する。
【0051】
記憶部22は、通信部21を介して学習支援サーバ10から取得した各種情報を記憶する。
【0052】
すなわち、学習用端末20においては、学習支援サーバ10から学習者の学習に関する各種情報を取得して、該各種情報を記憶部22に記憶し、各部での処理に利用する。なお、学習用端末20は、学習支援サーバ10から該各種情報を取得せずに、予め該各種情報を記憶していてもよい。以下説明を省略するが、学習用端末20は、例えば、所定の期間ごとに学習支援サーバ10から各種情報をダウンロードして、ダウンロードした各種情報を記憶部22から適宜取得して利用するものとしてよい。
【0053】
問題表示部23は、記憶部22などに記憶された問題情報に基づいて、ディスプレイに問題を表示する。また、問題表示部23は、所定の学習範囲や学習時間の入力を受け付ける画面をディスプレイに表示してもよい。
【0054】
解答入力受付部24は、学習者によって入力された解答を受け付ける。解答入力受付部24は、例えば、学習者がディスプレイのタッチパネルに接触して解答を記入し、プロセッサが当該解答を標準文字に変換する。これにより、解答をディスプレイに表示することができる。また、解答入力受付部24は、問題ごとに、解答するのにどれくらいの時間がかかったかを計測してもよい。また、解答入力受付部24は、学習者により、所定の学習範囲と時間との入力を受け付け、通信部21に出力してもよい。
【0055】
解答表示部25は、学習者によって入力された解答をディスプレイに表示する。解答表示部25は、所定の領域に学習者の手書き入力をプロセッサが解析して標準文字に変換し、当該標準文字を表示する。これにより、学習者に対して手書き学習を提供できるため、学習者の学習効率を向上できる。
【0056】
<画面例>
図8は、学習用端末20のユーザインタフェースにより表示される画面の一例を示す図である。
図8に示す表示画面8aは、学習者により、所定の学習範囲(例えば因数分解~2次関数の最大・最小)が指定され、学習合計時間(60分)が指定された状態の画面が示されている。なお、所定の学習範囲や、学習合計時間は、複数の選択肢があり、学習者は複数の選択肢の中から選択できるとよい。
【0057】
表示画面8bは、所定の学習範囲のうち、さらに詳細な範囲(関数とグラフ等)が指定された状態を示している。表示画面8bのように、取得部12は、所定の学習範囲として、大項目、中項目、小項目などの細分化された範囲を取得してもよい。
【0058】
表示画面8cは、学習支援サーバ10により問題が選定され、その内容が表示された状態を示している。表示画面8cのように、選定された問題は、複数のグループ(例えば5問ずつ)に分けられて出題されてもよく、選定されて問題の進捗状況(例えば正解:8、不正解:4、未取組:4)などが表示されてもよい。上述した機能は画面に表示される「マイパック」を学習者が選択することで、学習者は複数の学習範囲、時間等を指定することが可能になり、学習者に応じて選定された複数の問題を解くことができるようになる。
【0059】
<処理手順>
次に、
図9を用いて学習支援システム1の処理手順の一例について説明する。
図9は、学習支援システム1の処理手順の一例を示すシーケンス図である。
【0060】
S102において、学習用端末(端末)20の問題表示部23は、学習者に対して、所定の学習範囲や時間を指定することが可能な受付画面を表示する(例えば
図8a及び8b参照)。
【0061】
S104において、学習用端末20の解答入力受付部24は、受付画面に入力された所定の学習範囲と時間とを受け付ける。
【0062】
S106において、学習用端末20の通信部21は、受け付けられた所定の学習範囲と時間とを学習支援サーバ(サーバ)10に送信する。
【0063】
S108において、学習支援サーバ10の取得部12は、学習用端末20から受信された所定の学習範囲と時間とを取得する。所定の学習範囲は、大項目、中項目などの複数の項目に分かれて問題の絞り込みができるようになっていてもよい。
【0064】
S110において、学習支援サーバ10の抽出部14は、取得された所定の学習範囲に含まれる問題を抽出する。例えば、抽出部14は、単元等で分類されている問題の中から、学習者が指定した単元等に関連付けられている問題を抽出する。
【0065】
S112において、学習支援サーバ10の付与部15は、抽出された問題に対し、前記所定の学習者の第1学習履歴及び他の学習者の第2学習履歴に基づいて優先度を付与する。例えば、付与部15は、学習者が誤答した問題の優先度を高くしたり、学習者の未取組問題であっても、平均正答率が低い問題の優先度を高くしたりする。
【0066】
S114において、学習支援サーバ10の問題選定部16は、付与された優先度と、問題に対する学習者の平均取組時間とを用いて、所定の学習者により指定された時間に関する所定の条件を満たす問題を選定する。
【0067】
S116において、学習支援サーバ10の出力部17は、問題選定部16により選定された複数の問題を学習用端末20に出力する。これにより、学習者が学習範囲や時間を指定することで、指定された条件の下で学習者にとって適切な問題を提供することができる。
【0068】
また、学習支援サーバ10は、上述した各処理を実行することが可能であり、例えば、未取組問題を選定したり、複数の問題をグループごとに出題するようにしたりしてもよい。
【0069】
以上、本実施形態によれば、学習者が学習範囲や時間を指定することにより、指定された条件の下で学習者にとって適切な問題を提供することができるようになる。また、時間指定により、学習者の限られた時間の範囲内で効率よく出題することが可能になる。また、一度に複数の問題を選定することが可能になるため、一問ずつ問題を選定するよりも処理負荷を軽減することができる。学習者にとっては、選定された複数の問題を解き、理解することで、自身の苦手な分野の問題等を優先的に解くことが可能になる。
【0070】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これは本発明の説明のための例示であって、本発明の範囲をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、他の種々の実施形態でも実施することが可能である。
【0071】
例えば、変形例として、学習支援サーバ10の一部の処理又は機能を、他のサーバで処理させるようにしてもよい。例えば、問題選定部16は、他のサーバに構成されるようにしてもよい。この場合、学習支援サーバ10は、問題を選定するために必要な情報を他のサーバに送信し、選定された複数の問題を取得してもよい。
【符号の説明】
【0072】
1…学習支援システム、10…学習支援サーバ、11…記憶部、12…取得部、13…解答判定部、14…抽出部、15…付与部、16…問題選定部、17…出力部、20…学習用端末、21…通信部、22…記憶部、23…問題表示部、24…解答入力受付部、25…解答表示部。