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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022032202
(43)【公開日】2022-02-25
(54)【発明の名称】移動体の充電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20220217BHJP
   H01R 12/91 20110101ALI20220217BHJP
   H01R 13/629 20060101ALI20220217BHJP
   G05D 1/02 20200101ALN20220217BHJP
   B25J 5/00 20060101ALN20220217BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
H01R12/91
H01R13/629
G05D1/02 Z
B25J5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020135751
(22)【出願日】2020-08-11
(71)【出願人】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】中村 亮介
(72)【発明者】
【氏名】照沼 智明
【テーマコード(参考)】
3C707
5E021
5E223
5G503
5H301
【Fターム(参考)】
3C707CS08
3C707CY12
3C707HS09
3C707MS14
3C707WA03
3C707WA16
5E021FA05
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB07
5E021FB21
5E021FC31
5E021HA05
5E021HA07
5E021HC11
5E223AB26
5E223AB31
5E223BA01
5E223BA06
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503FA03
5G503FA06
5H301BB14
5H301CC09
5H301DD13
5H301QQ04
(57)【要約】
【課題】本発明は、コネクタ同士の接続性を向上させた移動体の充電システムを提供することを目的とする。
【解決手段】バッテリー109を備えた移動ロボット1と、バッテリー109に給電する充電ステーション2とにより移動ロボット1の充電システムを構成している。移動ロボット1はバッテリー109に電気的に接続された受電コネクタ110を備えている。充電ステーションは移動ロボット1に向けて配置されると共に、移動ロボット1が充電ステーション2に向かって移動することによって受電コネクタ110と接続する給電コネクタ220を備えている。給電コネクタ220は、受電コネクタ110の向きに応じてヨー方向及びピッチ方向に動作するように受電コネクタ110側に向けて付勢された少なくとも3本の揺動バネ310によって支持されている。
【選択図】 図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーを備えた移動体と、前記バッテリーに給電する充電ステーションとを備えた移動体の充電システムであって、
前記移動体は前記バッテリーに電気的に接続された受電コネクタを備え、
前記充電ステーションは前記移動体に向けて配置されると共に、前記移動体が前記充電ステーションに向かって移動することによって前記受電コネクタと接続する給電コネクタを備え、
前記給電コネクタは、前記受電コネクタの向きに応じてヨー方向及びピッチ方向に動作するように前記受電コネクタ側に向けて付勢された少なくとも3本の付勢手段によって支持されたことを特徴とする移動体の充電システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記移動体の視点を基準とし、前記移動体が前記充電ステーションから離れる方向を前、前記移動体が前記充電ステーションに近付く方向を後、前記移動体の上方及び下方をそれぞれ上、下、前記移動体の左右をそれぞれ左・右と定義したとき、
前記給電コネクタの後方に前記給電コネクタを支持する固定板を備え、
前記固定板は上下方向に移動可能な第1固定板と、左右方向に移動可能な第2固定板とを備えたことを特徴とする移動体の充電システム。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1固定板には、前記第1固定板の上方に配置され、上方向の付勢力を発生する第1上下バネと、前記第1固定板の下方に配置され、下方向の付勢力を発生する第2上下バネが備えられ、
前記第2固定板には、前記第2固定板の左側に配置され、左方向の付勢力を発生する第1左右バネと、前記第1固定板の右側に配置され、右方向の付勢力を発生する第2左右バネが備えらたことを特徴とする移動体の充電システム。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項において、
前記給電コネクタには、前記受電コネクタが接続された際に、前記受電コネクタとの接続状態を維持する係止手段を備え、
前記移動体は、前記受電コネクタと前記給電コネクタとの接続状態が維持され、前記充電ステーションから受電されている状態において来客者の案内及び/又は監視を実行することを特徴とする移動体の充電システム。
【請求項5】
請求項4において、
前記係止手段は、前記受電コネクタに沿って延びた延設部と、前記延設部の前記受電コネクタ側に形成された爪部と、反受電コネクタ側に形成された受部と、前記延設部が前記受電コネクタの外側に向かって回動可能な回動軸と備え、
前記給電コネクタには、前記受部と係合し、前記係止手段の回動動作を規制するソレノイドを備えたことを特徴とする移動体の充電システム。
【請求項6】
請求項5において、
前記受電コネクタには前記係止手段と係合する被係止手段を備え、
前記被係止手段には、前記爪部と係合する突部を備えたことを特徴とする移動体の充電システム。
【請求項7】
請求項4において、
前記受電コネクタと前記給電コネクタは、接続時に前記充電ステーションと前記移動体との間で情報の送受信を行う通信端子を備え、
前記充電ステーションは、前記移動体側に供給する電力を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は前記通信端子を介して前記移動体からの信号が不通の場合には、前記移動体への給電を中止することを特徴とする移動体の充電システム。
【請求項8】
請求項1乃至3の何れか1項において、
前記給電コネクタは複数のガイド孔を備え、
前記受電コネクタは前記複数のガイド孔に挿入する複数のガイドピンを備えたことを特徴とする移動体の充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は移動ロボット等における移動体の充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ビルにおいては来客者の受付や案内、或いは巡回監視といったサービスを自律移動型のロボットが行う場合がある。ロボットはバッテリーを電源として移動するため、バッテリーの電力消費に応じてバッテリーを充電する必要がある。
【0003】
バッテリーの電力が少なくなると、ロボットは充電ステーションへ自ら移動し、ロボットの受電コネクタを充電ステーションの給電コネクタに接続することにより、バッテリーを充電する。ロボットの停止姿勢によっては、受電コネクタと給電コネクタの高さ位置に高低差が生じる場合がある。そこで、ロボット側の受電コネクタを上下方向に設置したシャフトに取付けて受電コネクタを縦方向に移動可能とし、受電コネクタと給電コネクタに生じる高低差を吸収するようにしている。このような技術として、例えば特許文献1が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4645724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自律移動型のロボットは、例えば人間と同様に手脚を備えたものがある。ロボットの手脚は、複数の関節によって回動可能に接続されている。これら複数の関節に接続された手脚の位置により、ロボットは様々な姿勢を取り得ることができる。
【0006】
ロボットは充電ステーションに移動し、受電コネクタを充電ステーションの給電コネクタに接続するよう動作をするが、ロボットの手脚の位置によっては受電コネクタが給電コネクタに対して傾斜した状態となり、受電コネクタが給電コネクタに接続し難いといった課題があった。これを解決するために特許文献1に記載の技術を提供することが考えられるが、特許文献1では受電コネクタが縦方向に移動するだけなので、傾斜した状態でのコネクタ同士は接続し難いものであった。
【0007】
本発明の目的は、上記課題を解決しコネクタ同士の接続性を向上させた移動体の充電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、バッテリーを備えた移動体と、前記バッテリーに給電する充電ステーションとを備えた移動体の充電システムであって、前記移動体は前記バッテリーに電気的に接続された受電コネクタを備え、前記充電ステーションは前記移動体に向けて配置されると共に、前記移動体が前記充電ステーションに向かって移動することによって前記受電コネクタと接続する給電コネクタを備え、前記給電コネクタは、前記受電コネクタの向きに応じてヨー方向及びピッチ方向に動作するように前記受電コネクタ側に向けて付勢された少なくとも3本の付勢手段によって支持されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、コネクタ同士の接続性を向上させた移動体の充電システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例に係るロボット充電システムの外観斜視図
図2】本発明の実施例に係る移動ロボットの背面図
図3】本発明の実施例に係るロボット充電システムの制御ブロック図
図4】本発明の実施例に係る背面カバーを外した状態における給電コネクタの外観斜視図
図5図4における給電コネクタを左方向から見た側面図
図6図5における給電コネクタのVI-VI線断面図(上面断面図)
図7図5における給電コネクタのVI-VI線断面図(上面断面図)
図8】本発明の実施例に係る給電コネクタの動作を示す上面図
図9】本発明の実施例に係る給電コネクタと受電コネクタの接続状態を示す外観斜視図
図10図9における給電コネクタと受電コネクタを左方向から見た側面図
図11図10における給電コネクタのXI-XI線断面図(上面断面図)
図12図10における給電コネクタのXI-XI線断面図(上面断面図)
図13図12におけるXIII要部拡大図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例について添付の図面を参照しつつ説明する。同様の構成要素には同様の符号を付し、同様の説明は繰り返さない。
【0012】
本発明の各種の構成要素は必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、一の構成要素が複数の部材から成ること、複数の構成要素が一の部材から成ること、或る構成要素が別の構成要素の一部であること、或る構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複すること、などを許容する。
【0013】
以下の実施例では移動体の充電システムの一例として、移動ロボットの充電システムについて説明する。図1は本発明の実施例に係る移動ロボット充電システムの外観斜視図、図2は本発明の実施例に係る移動ロボットの背面図である。本実施例の移動ロボット充電システムは移動ロボット1と充電ステーション2から構成されている。本実施例では移動ロボット1の視点を基準とし、移動ロボット1が充電ステーション2から離れる方向を前、移動ロボット1が充電ステーション2に近付く方向を後(背面)、移動ロボット1の上方及び下方をそれぞれ上、下、移動ロボット1の左右をそれぞれ左・右と定義する。また、上下方向の軸をヨー軸、前後方向の軸をロール軸、左右方向の軸をピッチ軸と定義する。また、ヨー軸回りをヨー方向、ロール軸回りをロール方向、ピッチ軸回りをピッチ方向と定義する。
【0014】
本実施例の移動ロボットは、充電ステーション2から離れて動作し、来客者の受付や案内、及び/又は監視(巡回監視)といったサービスを提供する機能を備えている。
【0015】
移動ロボット1(移動体)は、胴体部101と、胴体部101の上部に回動可能に接続された頭部102と、胴体部101の下方に回動可能に接続された複数の脚部103と、脚部103の下端に回転可能に接続された複数の足部104と、胴体部101の左右に回動可能に接続された複数の腕部105を備えている。複数の足部104におけるそれぞれの下方には、その前後に移動ロボット1を移動させるために回転可能に軸支された移動用車輪106及び補助用車輪107を備えている。また、複数の脚部103のそれぞれには、脚カバー部108が備えられている。
【0016】
脚部103は上腿部103aと下腿部103bから構成され、上腿部103aは股関節によって胴体部101に回動可能に接続されている。また、上腿部103aと下腿部103bは膝関節によって回動可能に接続されている。
【0017】
腕部105は上腕部105aと前腕部105bから構成され、上腕部105aは肩関節によって胴体部101に回動可能に接続されている。また、上腕部105aと前腕部105bは肘関節によって回動可能に接続されている。
【0018】
下腿部103bの内側には、それぞれバッテリー109が備えられており、このバッテリー109からアクチュエータ(図示せず)に電力を供給して移動ロボット1を動作させている。
【0019】
また、移動ロボット1の胴体部101の後(背面)には、バッテリー109に電気的に接続され、バッテリー109に給電する受電コネクタ110が備えられている。
【0020】
充電ステーション2は、床面に設置され水平方向に延びた床機構部201と、この床機構部201から上(鉛直)方向に立ち上がった背面機構部202によって外殻を構成している。
【0021】
背面機構部202の前面側には背面機構部202の背面カバー202aから移動ロボット1に向かって前方に突出した給電コネクタ220が備えられている。この給電コネクタ220は、移動ロボット1が充電ステーション2に向かって移動することによって受電コネクタ110と接続し、移動ロボット1のバッテリー109を充電する。
【0022】
床機構部201は、移動ロボット1を載置する載置部210と、この載置部210の左右であって載置部210から上(鉛直)方向に立ち上がった側壁部211が備えられている。この側壁部211は、側壁部211同士の左右方向の幅が、前方から後方に向かって狭くなるように形成されている。また、側壁部211には、一部が切欠かれたガイド部212が形成されている。ガイド部212は、前方から後方に延び、さらに後方において上(鉛直)方向に立ち上がるように形成されている。
【0023】
移動ロボット1はバッテリー109の容量が低下すると、充電ステーション2に移動し、受電コネクタ110を給電コネクタ220に接続し、バッテリー109への充電を行う。その際、移動ロボット1は、後退して充電ステーション2に向かう。移動ロボット1が後退して載置部210に達すると、移動ロボット1は側壁部211に沿って中央寄りに位置を規制され、さらに移動ロボット1の脚カバー部108の下端がガイド部212に乗り上げ、受電コネクタ110が給電コネクタ220に接続されるよう案内される。
【0024】
次に図3を用いて移動ロボット1及び充電ステーション2の回路構成について説明する。図3は本発明の実施例に係るロボット充電システムの制御ブロック図である。
【0025】
移動ロボット1の受電コネクタ110には電源線111を介して、DC/DCコンバータ112と、バッテリー109が接続されている。DC/DCコンバータ112は電源線111を介して制御装置113に接続されている。制御装置113は電源線111を介して移動ロボット1を動作させるモータ114に接続され、モータ114を制御する。受電コネクタ110には電源線111の他に通信線115が配置されており、この通信線115を介して受電コネクタ110は制御装置113と接続されている。また電源線111には、バッテリー109への電力供給を入切するスイッチ116が備えられており、スイッチ116は通信線117を介して制御装置113と接続されている。制御装置113はスイッチ116を制御し、バッテリー109への充電を制御する。
【0026】
充電ステーション2にはAC/DCコンバータ241を介して商用電源300が接続されている。AC/DCコンバータ241は電源線242を介して制御装置243が接続されており、制御装置243には電源線242を介して給電コネクタ220が接続されている。そして、商用電源300から供給される電力は、AC/DCコンバータ241、制御装置243、給電コネクタ220、受電コネクタ110を経由してバッテリー109に充電される。
【0027】
また、給電コネクタ220には電源線242の他に通信線244が配置されており、この通信線244を介して給電コネクタ220は制御装置243と接続されている。さらに給電コネクタ220には、後述する係止手段224の動作を規制するソレノイド245が備えられており、ソレノイド245は電力線246によって制御装置243と接続され、制御装置243によって動作を制御される。
【0028】
次に給電コネクタ220の構成について図4図8を用いて説明する。図4は本発明の実施例に係る背面カバーを外した状態における給電コネクタの外観斜視図、図5図4における給電コネクタを左方向から見た側面図、図6及び図7図5における給電コネクタのVI-VI線断面図(上面断面図)、図8は本発明の実施例に係る給電コネクタの動作を示す上面図である。
【0029】
給電コネクタ220は、受電コネクタ110に挿入する挿入部221と、挿入部221に固定され、受電コネクタ110を受けるコネクタ受部222と、コネクタ受部222に固定されたコネクタ支持部223から構成されている。コネクタ支持部223は、上部から見てU字状に形成されたU字状部材223aと、U字状部材223aの開放側を閉塞するように配置された取付板223bを備えている。U字状部材223aのU字状の底部側は前側に位置し、コネクタ受部222内に挿入されてコネクタ受部222と固定されている。
【0030】
給電コネクタ220の両側面には、受電コネクタ110と接続した際、給電コネクタ220から受電コネクタ110が抜けるのを抑制する係止手段224が備えられている。係止手段224の構成については後述する。
【0031】
また給電コネクタ220の内部には、電源線242と接続された給電端子と、通信線244と接続された通信端子が備えられている。
【0032】
さらの給電コネクタ220には、後述する受電コネクタ110の挿入を案内するための2つ(複数)のガイド孔226を備えている。
【0033】
給電コネクタ220の後方には、給電コネクタ220を支持する支持板301が備えられている。支持板301の前方であって、支持板301と給電コネクタ220との間(給電コネクタ220の後方)には、固定板302が備えられている。
【0034】
固定板302は、上下方向に移動可能な第1固定板302aと、左右方向に移動可能な第2固定板302bとを備えている。第1固定板302aは付勢手段としてのバネによって支持板301に移動可能に取り付けられている。すなわち、第1固定板302aの左右両側には、第1固定板302aの上方に配置され、上方向の付勢力(引っ張り力)を発生する複数の第1上下バネ303と、第1固定板302aの下方に配置され、下方向の付勢力(引っ張り力)を発生する複数の第2上下バネ304が備えられている。第1固定板302aは、第1上下バネ303と第2上下バネ304によって支持板301に支持されることにより、支持板301に対し上下方向に移動可能となっている。
【0035】
第2固定板302bは、付勢手段としてのバネによって第1固定板302aに移動可能に取り付けられている。すなわち、第2固定板302bの上下には、第2固定板302bの左側に配置され、左方向の付勢力(引っ張り力)を発生する複数の第1左右バネ305と、第1固定板302aの右側に配置され、右方向の付勢力(引っ張り力)を発生する複数の第2左右バネ306が備えられている。第2固定板302bは、第1左右バネ305と第2左右バネ306によって第1固定板302aに支持されることにより、第1固定板302aに対し左右方向に移動可能となっている。給電コネクタ220は固定板302に支持され、固定板302は支持板301に支持されている。給電コネクタ220は固定板302を介して支持板301に支持されている。
【0036】
さらに本実施例では、給電コネクタ220と支持板301が複数の揺動バネ310(付勢手段)によって接続されている。揺動バネ310は前後方向に付勢力を発生する複数の圧縮バネで構成されている。本実施例では揺動バネ310は上下左右に計4個配置しているが、個数は4個に限定されるものでは無い。少なくとも3個以上備えるようにすると良い。揺動バネ310の一方はコネクタ支持部223の取付板223bに固定され、他方は第2固定板302bに固定されている。
【0037】
給電コネクタ220に外力が加わると、その外力を逃がすように揺動バネ310の一部が圧縮する。図8において、例えば、給電コネクタ220の左側に外力が加わると、左側に位置する揺動バネ310aが圧縮される。このとき、給電コネクタ220は、ヨー軸を基準としてヨー方向に回転し、左側に傾くように動作する。また、図示しないが、例えば給電コネクタ220の下方向に外力が加わると、下側に位置する揺動バネ310が圧縮し、給電コネクタ220はピッチ軸を基準としてピッチ方向に回転する。その結果、給電コネクタ220は下側に向くように動作する。このように本実施例の給電コネクタ220は支持板301に対してヨー軸方向、ピッチ軸方向に動作することを特徴としている。さらに本実施例では、給電コネクタ220がヨー方向、ピッチ方向に動作することに加え、第1固定板302aと第2固定板302b、及びこれらを支持する第1上下バネ303、第2上下バネ304、第1左右バネ305、第2左右バネ306により上下左右方向に動作する。
【0038】
給電コネクタ220は、移動ロボット1の受電コネクタ110と接続し移動ロボット1のバッテリー109を充電するが、移動ロボット1は胴体部101に回動可能に接続された複数の脚部103との位置関係において、胴体部101が傾いた状態で充電ステーション2に接続する場合がある。この際、胴体部101の傾きによって受電コネクタ110も傾いてしまうため、給電コネクタ220との接続がし難いといった課題がある。
【0039】
そこで、本実施例の給電コネクタ220は、受電コネクタ110側に向けて付勢された複数の揺動バネ310を備えることにより、受電コネクタ110の向きに応じてヨー方向及びピッチ方向への動作を可能とした。これにより、受電コネクタ110が傾いて給電コネクタ220に接続しようとした場合であっても、受電コネクタ110の傾きに合わせ、給電コネクタ220がヨー方向、ピッチ方向へと回転するので、給電コネクタ220と受電コネクタ110との接続がし易くなる。また、上下方向、左右方向の位置調整については、第1固定板302aと第2固定板302b、及びこれらを支持する第1上下バネ303、第2上下バネ304、第1左右バネ305、第2左右バネ306により行うことができる。
【0040】
本実施例によれば、受電コネクタ110が傾いた場合であっても受電コネクタ110と給電コネクタ220との接続性を向上することができる。
【0041】
なお、ロール軸に対するロール方向については、受電コネクタ110が傾く可能性は低いので、少なくとも2つの回転自由度であるヨー方向、ピッチ方向へ移動するように揺動バネ310を配置すると良い。
【0042】
さて、移動ロボット1は充電ステーション2に載置された状態においても、バッテリー109に充電しながら動作することが可能である。例えば、本実施例の場合、移動ロボット1は充電しながら来客者の案内及び/又は監視することが可能である。来客者の案内及び/又は監視にあたっては、頭部102、腕部105を動作させることがある。充電した状態で頭部102、腕部105を動作した場合、頭部102、腕部105に接続された胴体部101は、頭部102、腕部105の動作によって揺れ動くことがある。その際、給電コネクタ220の接続された受電コネクタ110が、給電コネクタ220から外れる可能性がある。これを抑制するための手段について説明する。
【0043】
前述したように本実施例の給電コネクタ220には、受電コネクタ110が接続された際に、受電コネクタ110との接続状態を維持する係止手段224が備えられている。図4図7に示すように係止手段224は、受電コネクタ110に沿って前後方向に延びた延設部224aと、延設部224aの受電コネクタ110側に形成された爪部224bと、反受電コネクタ側に形成された受部224cを備えている。受部224cは受電コネクタ110側に向かって凹むように形成されている。係止手段224の受電コネクタ110側には回動軸225が備えられており、延設部224aが給電コネクタ220の外側に向かって回動可能となっている。係止手段224は、ねじりコイルバネ等を用いて給電コネクタ220の外側へ付勢させるようにすると良い。
【0044】
ソレノイド245は受電コネクタ110側(前後方向)に向かって動作し、係止手段224の回動動作を規制する。図6において、ソレノイド245の先端部が受電コネクタ110側(前方)へ動作し、係止手段224の受部224cに係合する。この状態において、係止手段224は、回動軸225を中心とした給電コネクタ220の外側への動作が規制される。
【0045】
次に受電コネクタ110の接続状態について説明する。図9は本発明の実施例に係る給電コネクタと受電コネクタの接続状態を示す外観斜視図、図10図9における給電コネクタと受電コネクタを左方向から見た側面図、図11及び図12図10における給電コネクタのXI-XI線断面図(上面断面図)、図13図12におけるXIII要部拡大図である。
【0046】
受電コネクタ110の外周には、受電コネクタ110の接続部側を覆うカバー部材120が備えられている。受電コネクタ110の内部には、給電コネクタ220の給電端子と接続する受電端子と、充電ステーション2側の通信端子と接続する通信端子が備えられている。受電端子は電源線111と接続され、バッテリー109に電力を供給する。移動ロボット1側の通信端子は通信線115と接続され、接続時において充電ステーション2と移動ロボット1との間で情報の送受信を行う。
【0047】
給電コネクタ220に受電コネクタ110が接続する際、図11に示すように係止手段224の延設部224aは、ねじりコイルバネの付勢力により給電コネクタ220の外側に向かって開いている。
【0048】
また、受電コネクタ110には、係止手段224と係合する被係止手段121が備えられている。この被係止手段121には係止手段224の爪部224bに係合する突部121aを備えている。さらに被係止手段121は回動軸122を備えており、ねじりコイルバネ等の付勢力により、受電コネクタ110側に向かって付勢されている。
【0049】
受電コネクタ110が給電コネクタ220に向かって移動すると、受電コネクタ110のカバー部材120が延設部224aに当接し、ねじりコイルバネの付勢力に抗して延設部224aを給電コネクタ220側に押し付ける。延設部224aが給電コネクタ220に近づくのに伴い、延設部224aが給電コネクタ220側に移動し、爪部224bが給電コネクタ220の外側に向かって突出するように動作する。また、受電コネクタ110には、給電コネクタ220の2つ(複数)のガイド孔226に挿入する2つ(複数)のガイドピン123が備えられており、ガイドピン123がガイド孔226に挿入することにより給電コネクタ220と受電コネクタ110の接続位置の位置決めが行われる。ガイドピン123とガイド孔226はそれぞれ受電コネクタ110、給電コネクタ220の外周より内側に備えている。2つ(複数)のガイドピン123同士、及び2つ(複数)のガイド孔226同士は、できる限り距離が近づくように配置する。2つ(複数)のガイドピン123同士、及び2つ(複数)のガイド孔226同士の距離が離れると、1つのガイドピンと1つガイド孔を合わせた時における他方のガイドピンと他方のガイド孔の位置ずれが大きくなる。このため、2つ(複数)のガイドピン123同士、及び2つ(複数)のガイド孔226同士は、できる限り距離が近づくように配置することが好ましい。
【0050】
受電コネクタ110の移動する際、係止手段224の爪部224bと被係止手段121の突部121aが接触するが、被係止手段121は回動軸122を中心に受電コネクタ110の外側に向かって回動し、係止手段224の爪部224bを乗り越える。係止手段224の爪部224bを乗り越えた後、被係止手段121はねじりコイルバネ等の付勢力により、回動軸122を中心に受電コネクタ110側に回動し、係止手段224の爪部224bと被係止手段121の突部121aが対向する。
【0051】
さらに、ソレノイド245が受電コネクタ110側に向かって移動し、ソレノイド245の先端部が係止手段224の受部224cに係合させ、係止手段224が回動するのを規制する。
【0052】
この状態において、受電コネクタ110が給電コネクタ220から抜け出すように動作した場合、受電コネクタ110における被係止手段121の突部121aが係止手段224の爪部224bに当接する。本実施例によれば、移動ロボット1が充電中において動作した場合であっても、受電コネクタ110が給電コネクタ220から抜け出すのを抑制し、受電コネクタ110と給電コネクタ220の接続状態を維持することができる。また、本実施例では、移動ロボット1は、受電コネクタ110と給電コネクタ220との接続状態が維持され、充電ステーション2から受電されている状態において来客者の案内及び/又は監視を実行するようにしている。本実施例によれば、移動ロボット1は充電ステーション2から受電しながら動作するようにしているので、バッテリー109の残量に依存せず、来客者の案内及び/又は監視といったサービスを長時間提供することができる。
【0053】
移動ロボット1が充電ステーション2から離れる場合には、ソレノイド245を充電ステーション2側(後側)に移動させ、ソレノイド245の先端部と係止手段224の受部224cの係合を解除する。移動ロボット1の移動に伴い、給電コネクタ220から受電コネクタ110が離れると、ねじりコイルバネの付勢力により係止手段224が回動軸225を中心に給電コネクタ220の外側に回動し、爪部224bが給電コネクタ220側に移動し、被係止手段121の突部121aとの対向位置から退避する。すると、被係止手段121の突部121aは被係止手段121の突部121aと係合することがないので、受電コネクタ110は給電コネクタ220から離れることが可能となる。
【0054】
本実施例における移動ロボット1と充電ステーション2との間では、充電ステーション2から移動ロボット1への電力を供給の他に通信線を介して情報の送受信を行っている。
【0055】
例えば、移動ロボット1の制御装置113はバッテリー109の残量を把握し、その残量情報を通信線115、244を介して充電ステーション2の制御装置243に送信する。充電ステーション2の制御装置243は移動ロボット1側からの残量情報を受け、商用電源300から電力を変換して移動ロボット1側に給電するようAC/DCコンバータ241を制御する。また、制御装置243は移動ロボット1と充電ステーション2との間の信号の送受信を確認し、前述したソレノイド245を動作させる。
【0056】
充電ステーション2の制御装置243は、移動ロボット1の制御装置113からの信号が受信できない(不通)場合には、移動ロボット1への給電を中止する。また、制御装置243はソレノイド245の動作も中止する。移動ロボット1の制御装置113からの信号が受信できない場合は、移動ロボット1あるいは充電ステーション2に何らかの異常が発生したことが考えられる。
【0057】
本実施例によれば、移動ロボット1と充電ステーション2間での通信が不通の場合には充電ステーション2から移動ロボット1へ給電を行わないようにしているので、安全性を向上することができる。
【0058】
なお、本発明は、上述した実施例に限定するものではなく、様々な変形例が含まれる。上述した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定するものではない。
【符号の説明】
【0059】
1…移動ロボット、2…充電ステーション、101…胴体部、102…頭部、103…脚部、103a…上腿部、103b…下腿部、104…足部、105…腕部、105a…上腕部、105b…前腕部、106…移動用車輪、107…補助用車輪、108…脚カバー部、109…バッテリー、110…受電コネクタ、111…電源線、112…DC/DCコンバータ、113…制御装置、114…モータ、115…通信線、116…スイッチ、117…通信線、120…カバー部材、121…被係止手段、121a…突部、122…回動軸、123…ガイドピン、201…床機構部、202…背面機構部、202a…背面カバー、210…載置部、211…側壁部、212…ガイド部、220…給電コネクタ、221…挿入部、222…コネクタ受部、223…コネクタ支持部、223a…U字状部材、223b…取付板、224…係止手段、224a…延設部、224b…爪部、224c…受部、225…回動軸、226…ガイド孔、241…AC/DCコンバータ、242…電源線、243…制御装置、245…ソレノイド、246…電力線、300…商用電源、301…支持板、302…固定板、302a…第1固定板、302b…第2固定板、303…第1上下バネ、304…第2上下バネ、305…第1左右バネ、306…第2左右バネ、310,310a…揺動バネ
図1
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