(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022032312
(43)【公開日】2022-02-25
(54)【発明の名称】チャック付き包装袋及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 33/25 20060101AFI20220217BHJP
【FI】
B65D33/25 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020135958
(22)【出願日】2020-08-11
(71)【出願人】
【識別番号】000241186
【氏名又は名称】朋和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】神谷 知毅
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AA05
3E064BA17
3E064BA27
3E064BA29
3E064BA30
3E064BA35
3E064BB03
3E064BC08
3E064BC14
3E064BC18
3E064EA30
3E064HN13
3E064HN70
(57)【要約】
【課題】チャックを広く開口することができるとともに、チャックの内側の端部への収容物の詰まりを抑制することができることにより、使い勝手が向上するチャック付き包装袋及びその製造方法を提供する。
【解決手段】2枚の包材10が三方シール部12を介して袋状に接合され、離間する側方シール部13の間に開口部16を有する袋本体2と、開口部16を開閉可能に封止するチャック3と、を備え、側方シール部13におけるチャック3の端部に近接する内側端部に、一方の包材10側から他方の包材10側に食い込んだ凹部41が形成される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の包材がシール部を介して袋状に接合され、離間する前記シール部の間に開口部を有する袋本体と、
前記開口部を開閉可能に封止するチャックと、を備えるチャック付き包装袋において、
前記シール部における前記チャックの端部に近接する内側端部に、一方の前記包材側から他方の前記包材側に食い込んだ凹部が形成される、チャック付き包装袋。
【請求項2】
前記チャックを開いた状態で、前記チャックの端部に、前記凹部によって前記チャックの開く方向に沿って延在する内壁部が形成される、請求項1に記載のチャック付き包装袋。
【請求項3】
前記凹部は、前記チャックを横断する方向に延在する直線状に形成される、請求項1または2に記載のチャック付き包装袋。
【請求項4】
前記シール部における前記内側端部に、他方の前記包材側から一方の前記包材側に食い込んだ凹部が更に形成される、請求項1~3のいずれかに記載のチャック付き包装袋。
【請求項5】
前記凹部は、前記チャックを横断する方向に延在する直線状に形成される、請求項4に記載のチャック付き包装袋。
【請求項6】
2枚の包材がシール部を介して袋状に接合され、離間する前記シール部の間に開口部を有する袋本体と、前記開口部を開閉可能に封止するチャックと、を備えるチャック付き包装袋を製造するにあたり、
形成される前記シール部における前記チャックの端部に近接する内側端部に対して、一方の前記包材の外面から他方の前記包材の方向に凸型を押し付けることにより、前記シール部に、一方の前記包材側から他方の前記包材側に食い込んだ凹部を形成する、チャック付き包装袋の製造方法。
【請求項7】
前記シール部は、圧着部材により前記2枚の包材を圧着して形成され、
前記凸型は、前記圧着部材に設けられ、
前記シール部を形成すると同時に、前記凸型により前記凹部を形成する、請求項6に記載のチャック付き包装袋の製造方法。
【請求項8】
重ねた2枚の包材の原反を搬送する途中において、搬送方向に連続して前記原反に設けられる2つの包装袋の境界にまたがって2つ分の前記シール部を前記圧着部材により一括して形成すると同時に、当該2つ分の前記シール部のそれぞれに前記圧着部材に設けられた前記凸型により前記凹部を形成し、
次いで、前記境界を切断する、請求項7に記載のチャック付き包装袋の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャック付き包装袋及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、液状、粒状、粉状あるいは固形状等の食品や薬品等の収容物を密封して収容する包装袋として、開口部に、内部を開閉可能に封止するチャックを設け、収容物の一部を取り出すことができるとともに、残存する収容物を常に密封して保存できるチャック付きの袋が知られている。例えば、特許文献1には、三方シールされて袋を形成する2枚のフィルムの開口部の内面に、互いに嵌合する一対の凹型及び凸型のチャック部を両側のシール間にわたって設けた袋が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されるような袋においては、両側のシールの部分との境界に近接するチャックの端部が、チャック自身の剛性によって先鋭な鋭角状にしか広がらず、そのため、開口面積が大きくなり難かったり、収容物が粉の場合にはチャックの内側の端部に粉が詰まり易かったりするといった不都合な面があった。
【0005】
そこで本発明は、チャックを広く開口することができるとともに、チャックの内側の端部への収容物の詰まりを抑制することができることにより、使い勝手が向上するチャック付き包装袋及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明のチャック付き包装袋は、2枚の包材がシール部を介して袋状に接合され、離間する前記シール部の間に開口部を有する袋本体と、前記開口部を開閉可能に封止するチャックと、を備えるチャック付き包装袋において、前記シール部における前記チャックの端部に近接する内側端部に、一方の前記包材側から他方の前記包材側に食い込んだ凹部が形成される。
【0007】
(2)(1)において、前記チャックを開いた状態で、前記チャックの端部に、前記凹部によって前記チャックの開く方向に沿って延在する内壁部が形成される。
【0008】
(3)(1)または(2)において、前記凹部は、前記チャックを横断する方向に延在する直線状に形成される。
【0009】
(4)(1)~(3)のいずれかにおいて、前記シール部における前記内側端部に、他方の前記包材側から一方の前記包材側に食い込んだ凹部が更に形成される。
【0010】
(5)(4)において、前記凹部は、前記チャックを横断する方向に延在する直線状に形成される。
【0011】
(6)本発明のチャック付き包装袋の製造方法は、2枚の包材がシール部を介して袋状に接合され、離間する前記シール部の間に開口部を有する袋本体と、前記開口部を開閉可能に封止するチャックと、を備えるチャック付き包装袋を製造するにあたり、形成される前記シール部における前記チャックの端部に近接する内側端部に対して、一方の前記包材の外面から他方の前記包材の方向に凸型を押し付けることにより、前記シール部に、一方の前記包材側から他方の前記包材側に食い込んだ凹部を形成する。
【0012】
(7)(6)において、前記シール部は、圧着部材により前記2枚の包材を圧着して形成され、前記凸型は、前記圧着部材に設けられ、前記シール部を形成すると同時に、前記凸型により前記凹部を形成する。
【0013】
(8)(7)において、重ねた2枚の包材の原反を搬送する途中において、搬送方向に連続して前記原反に設けられる2つの包装袋の境界にまたがって2つ分の前記シール部を前記圧着部材により一括して形成すると同時に、当該2つ分の前記シール部のそれぞれに前記圧着部材に設けられた前記凸型により前記凹部を形成し、次いで、前記境界を切断する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、チャックを広く開口することができるとともに、チャックの内側の端部への収容物の詰まりを抑制することができることにより、使い勝手が向上するチャック付き包装袋及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る包装袋(チャック付き包装袋)を示す平面図である。
【
図4】開封したチャックの端部を示す図であって、
図1のIII-III断面に対応する部分である。
【
図5】従来の包装袋の一例を参考例として示す図であって、開封したチャックの端部を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る製造方法において、製造ラインを搬送される原反の一部を示す平面図である。
【
図7】一実施形態に係る製造方法により得られる包装袋を示す平面図である。
【
図8】一実施形態に係る製造方法で用いる圧着部材を示す側面図である。
【
図9】上記圧着部材により側方シール部及び凹部を形成する工程を示す側面図である。
【
図10】上記圧着部材により形成された側方シール部を切断して包装袋を得る工程を示す側面図である。
【
図11】本発明の他の実施形態に係る包装袋の、凹部が形成された側方シール部及びチャックの部分を示す断面図である。
【
図12】他の実施形態に係る製造方法で用いる圧着部材を示す側面図である。
【
図13】
図12に示す圧着部材により側方シール部及び凹部を形成する工程を示す側面図である。
【
図14】
図12に示す圧着部材により形成された側方シール部を切断して包装袋を得る工程を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、一実施形態に係るチャック付き包装袋(以下、単に包装袋と略称)1の平面図である。
図2は、
図1のII-II断面図である。
図3は、
図1のIII-III断面図である。本実施形態の包装袋1は、袋本体2と、チャック3と、を備える。
【0017】
袋本体2は、
図2に示すように、2枚の包材10によって袋状に形成される。本実施形態の包材10は、シート状の樹脂を矩形状に形成したものである。本実施形態の包装袋1は、平面視が縦長の長方形状であって、
図1の上側の端部が開口側の端部となっている。
【0018】
包材10は、例えば、単層あるいは多層の可撓性フィルム等からなる。単層フィルムの場合には、例えば、OPP(二軸延伸ポリプロピレン)、CPP(未延伸ポリプロピレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)、塩化ビニール等の樹脂で構成されるフィルムが用いられる。多層フィルムとしては、基材層や中間層として、例えば、OPP(二軸延伸ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ONY(二軸延伸ナイロン)、紙等が用いられ、シーラント層には、例えば、CPP(未延伸ポリポロピレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)等の樹脂が用いられる。さらに多層フィルムの場合には、ガスバリアーや遮光などの目的でアルミニウム蒸着やアルミニウム箔の積層など、無機系の層を備えた構成が採用可能である。
このような包材10の厚さは、単層フィルムであれば、例えば15~100μm程度であり、多層フィルムであれば、例えば30~250μm程度である。
【0019】
なお、本発明に係る包装袋1の外形形状は長方形状に制限されず、正方形状、多角形状、あるいは外形線に曲線が含まれる形状、その他の異形形状等、様々な形状を含む。また、本実施形態の包装袋1は、
図2に示すように平袋であるが、本発明の包装袋としてはこの形態に限定されず、例えば、ガゼット袋、スタンディングパウチ等の、立体形状の袋であってもよい。
【0020】
袋本体2は、
図1において図面表裏方向である厚さ方向に重ねられた2枚の包材10の、両側及び底部側の3辺の周縁部が互いに接合された三方シール部12と、表裏の包材10が接合されない残りの辺の内側に設けられる開口部16と、を有する。三方シール部12は、本発明のシール部を構成する。三方シール部12は、
図1において上下方向に延びる互いに平行な一対の側方シール部13と、左右方向に延びる底部シール部14と、を含む。三方シール部12は、表裏の包材10を、例えば、熱溶着(ヒートシール)や超音波溶着等の手段で接合して形成される。なお、三方をシールした包装袋としては、本実施形態のように底部シール部14を形成せず、その代わりにチャック3側の開口をシールして三方シール部を形成し、底部側を開放させた態様の包装袋もあり、本発明はそのような包装袋も含むものとする。
【0021】
チャック3は、開口部16を開閉可能に封止する。チャック3は、離間する左右の側方シール部13の間にわたっている。チャック3は、袋本体2を横断するように底部シール部14と平行に配置される。
【0022】
2枚の包材10の間には、三方シール部12とチャック3とにより囲まれて封止される収容部18が形成される。収容部18には、例えば、所定量の、液状、粒状、粉状あるいは固形状等の食品や薬品等の収容物が、開口部16から投入されて収容される。チャック3を開くと、収容部18内の収容物を取り出すことができ、チャック3を閉じると、収容部18が密封される。
【0023】
なお、チャック3の開放側(
図1で上側)の端縁にも表裏の包材10を接合してシール部を設け、その開放側シール部に、ミシン目等による切断線を設け、初めて収容物を取り出す時にはその切断線を切断した後、チャック3を開けて収容物を取り出すことができるように構成してもよい。
【0024】
図2に示すように、チャック3は、互いに係脱可能に嵌合する一対の雄型チャック32及び雌型チャック34を有する。雄型チャック32は、一方の包材10の内面に設けられ、雌型チャック34は雄型チャック32に対向する他方の包材10の内面に設けられる。雄型チャック32及び雌型チャック34は、いずれも包材10の可撓性に応じて一体に変形可能な可撓性を有する。
【0025】
雄型チャック32は、一方の包材10の内面に熱溶着等によって接合される細い帯状のベース部32aと、ベース部32aに沿って一体に形成された凸条部32bと、を有する。凸条部32bは、雌型チャック34の側(袋本体2の内側)に向けて突出している。凸条部32bは、断面形状が例えば矢印の先端形状、あるいはやじり形状等の形状を有する。
【0026】
雌型チャック34は、他方の包材10の内面に熱溶着等によって接合される細い帯状のベース部34aと、ベース部34aに沿って一体に形成された弾性変形可能な溝型部34bと、を有する。溝型部34bは、雄型チャック32の側(袋本体2の内側)に向けて突出している。溝型部34bは、雄型チャック32に対向する部分に、雄型チャック32の凸条部32bが係脱可能に嵌合する溝34cを有する。
【0027】
雄型チャック32及び雌型チャック34は、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂により形成される。雄型チャック32及び雌型チャック34は立体形状であって、ある程度の厚さ(袋本体2の厚さ方向に沿った寸法)を有するため、包材10よりも剛性が高い。
【0028】
チャック3によれば、チャック3の一端側を手指で挟んで雄型チャック32の凸条部32bを雌型チャック34の溝型部34bの溝34cに弾性的に嵌合させ、チャック3を押さえ付けながら他端側に手指をスライドさせることにより、全長にわたり凸条部32bを溝型部34bの溝34cに嵌合させることができる。このようにチャック3が閉塞して、開口部16が閉塞する。また、表裏の包材10の開放端部を離間するように広げることにより、溝型部34bの溝34cから凸条部32bが外れ、チャック3を開封することができる。
【0029】
図3に示すように、本実施形態の包装袋1においては、側方シール部13におけるチャック3の端部に近接する内側端部に、凹部41が形成されている。ここでいう内側端部は、側方シール部13おけるチャック3側(
図3で右側)の端部をいう。凹部41は、
図1に示すように、左右の側方シール部13のいずれにも形成されている。
【0030】
図3に示すように、凹部41は、一方の包材10側から他方の包材10側に食い込むことにより、一方の包材10側の側方シール部13に形成されている。凹部41は、チャック3を横断する方向(
図1で上下方向)に直線状に延在する溝状に形成される。凹部41の裏側には、形成される凹部41に応じた凸部41bが形成される。本実施形態では、凹部41は、雄型チャック32が設けられた包材10の側に形成されているが、これとは逆に、雌型チャック34が設けられた包材10の側に形成されてもよい。
【0031】
凹部41は、表裏の包材10の周縁部を接合して側方シール部13を形成する際に、側方シール部13と同時に形成することができる。例えば、側方シール部13を、加熱した圧着部材で表裏の包材10を挟み込んで圧着する熱溶着で形成する場合、使用する圧着部材の所定箇所に、凹部41を形成し得る凸型を予め設けておき、その圧着部材による圧着と同時に、凸型により凹部41を形成することができる。
【0032】
凹部41が形成されることにより、チャック3を端部まで開封した場合、
図4に示すように、凹部41が形成された側の雄型チャック32の端部に、厚さ方向にほぼ沿って延在する短い内壁部41aが現出する。これにより、チャック3の内側の開口部16の端部は、例えば
図4に示すように仮想の楕円Gの長径方向端部の外形に概ね沿った半円弧状に開く。すなわちチャック3は、凹部41の形成により、チャック3の端部における雄型チャック32と雌型チャック34との間隔が空くように「癖付け」される。チャック3の内側の開口部16の端部が円弧状に空くことにより、開口部16は全体が楕円状となって開口面積を従来よりも大きくすることができる。また、チャック3を開封する力が掛かった時に、凹部41が起点となってチャック3を開き易い。さらに、チャック3の内側の端部に、例えば粉状の収容物が詰まり難くなる。
【0033】
ここで、
図5に、従来の包装袋のチャック100を示す。チャック100は、本実施形態のように雄型チャック102と雌型チャック104との組み合わせである。この従来の包装袋では、チャック100の端部はチャック100自身の剛性によって先鋭な鋭角状にしか広がらない。例えば開口部116の端部は、
図5に示すように仮想の二等辺三角形Hの頂角に概ね沿った三角形状に開く。このため、開口部116を大きく開け難かったり、チャック100の内側の端部に粉状の収容物が詰まり易かったりしていた。しかし本実施形態では、凹部41を有することにより、従来の包装袋で生じていた上記の不具合を解消することができる。
【0034】
次に、上記包装袋1の製造するにあたり、特に、凹部41の形成方法を主とする本発明に係る製造方法の一実施形態について、
図6~
図10を参照しつつ説明する。
【0035】
図6は、製造ラインにおいて、重ねた原反11をF方向に搬送しながら、三方シール部12を連続的に形成している状態を示している。
図6に示す原反11は、
図8に示すように、互いに重ねられる上側の原反11a及び下側の原反11bの2枚を示している。原反11a及び原反11bは、包材10の材料であって、製造ラインの下流側の工程で切断されて、包装袋1の包材10となる。原反11には、製造ラインの上流側(
図6で左側)において、予め、チャック3すなわち雄型チャック32及び雌型チャック34がそれぞれ原反11に対して熱溶着により連続的に設けられる。
【0036】
三方シール部12は、はじめに、搬送方向に沿った底部シール部14が形成され、次いで搬送方向に直交する側方シール部13が形成される。搬送方向に並ぶ切断前の隣り合う2つの包装袋1の境界にまたがって、側方シール部13の2つ分が一括して形成される。2つ分の側方シール部13Aは、搬送方向に並ぶ包装袋1の境界となる幅方向の中央に、原反11を切断する切断線Sが設定される。三方シール部12が形成された後、製造ラインの下流側(
図6の右側)において切断線SがカッターT(
図10参照)により順次切断され、
図7に示す包装袋1が順次得られる。
【0037】
本実施形態では、底部シール部14及び2つ分の側方シール部13Aは、いずれも加熱した圧着部材で原反11を挟んで圧着する熱溶着により形成する。そして上記凹部41を、2つ分の側方シール部13Aを形成する際に同時に形成する。
【0038】
図8及び
図9は、原反11が搬送される途中において、圧着部材50により、2つ分の側方シール部13Aを一括して形成する過程を示している。圧着部材50は、加熱される上型51及び下型52を備える熱溶着用のシールバーである。上型51及び下型52は、搬送途中の原反11の上側及び下側に、互いに離接可能にそれぞれ配置される。
図9に示すように、上型51と下型52とにより原反11を挟んで圧着することにより、上側の原反11aと下側の原反11bが熱溶着され、2つ分の側方シール部13Aが形成される。
【0039】
上型51の圧着面には、下型52に向かって突出する一対の凸型51aが、幅方向両端部に一体的に形成されている。下型52の圧着面の各凸型51aに対応する部分には、各凸型51aが嵌合可能な一対の凹型52aが形成されている。各一対の凸型51a及び凹型52aのそれぞれは、側方シール部13に上記凹部41を形成し得る箇所に形成される。凸型51aは、チャック3を横断する方向に延在し、直線状の凹部41を形成することができる形状を有する。
【0040】
図9に示すように、加熱された上型51と下型52とにより原反11を挟んで圧着すると、各凸型51aが各凹型52aにそれぞれ嵌合する。これにより、上側の包材10の原反11aの外面から下側の原反11bの方向に凸型51aが押し付けられ、2つ分の側方シール部13Aの幅方向両端に、上側の原反11a側から下側の原反11b側に食い込んだ凹部41が形成される。
【0041】
図10に示すように、上記切断線SをカッターTで切断することにより、切断された両側の側方シール部13のそれぞれに、凹部41が形成された状態となる。このように2つ分の側方シール部13Aの幅方向両端に凹部41をそれぞれ形成する工程と、切断線Sを切断する工程を順次行うことにより、左右の側方シール部13に凹部41が形成された包装袋1を連続的に得る。
【0042】
以下、本実施形態の効果について説明する。
本実施形態に係る包装袋1は、2枚の包材10が三方シール部12を介して袋状に接合され、三方シール部12のうちの離間する側方シール部13の間に開口部16を有する袋本体2と、開口部16を開閉可能に封止するチャック3と、を備え、側方シール部13におけるチャック3の端部に近接する内側端部に、一方の包材10側から他方の包材10側に食い込んだ凹部41が形成される。
【0043】
凹部41が形成されることにより、チャック3の内側の開口部16の両端部は、チャック3の開封時に間隔が空くように癖付けされ、内壁部41aが現出することによってチャック3を広く開口することができる。また、チャック3の内側の端部に、例えば粉状の収容物が詰まることを抑制することができる。これらの結果、使い勝手の向上を図ることができる。
【0044】
本実施形態に係る包装袋1において、側方シール部13に形成される凹部41は、チャック3を横断する方向に延在する直線状に形成される。
【0045】
これにより、熱溶着によりチャック3が潰されて剛性が比較的高くなっている薄い側方シール部13に、凹部41を容易、かつ確実に形成することができる。例えば、凹部41を円形状や矩形状といった二次元的に広がりを有する形状とした場合には、一方の包材10側から他方の包材10側に食い込むような凹部41を形成し難い。しかし、チャック3を直線状に横断する溝状の凹部41とすることにより、開口部16の両端部が広がるような凹部41を、容易、かつ確実に形成することができる。
【0046】
本実施形態に係る製造方法は、2枚の包材10が側方シール部13を介して袋状に接合され、離間する側方シール部13の間に開口部16を有する袋本体2と、開口部16を開閉可能に封止するチャック3と、を備える包装袋1を製造するにあたり、形成される側方シール部13におけるチャック3の端部に近接する内側端部に対して、一方の包材10の外面から他方の包材10の方向に凸型51aを押し付けることにより、側方シール部13に、一方の包材10側から他方の包材10側に食い込んだ凹部41を形成する。
【0047】
凹部41が形成されることにより、チャック3の内側の開口部16の両端部は、チャック3の開封時に間隔が空くように癖付けされ、チャック3を広く開口することができるとともに、チャック3の内側の端部への収容物の詰まりを抑制することができる。その結果、使い勝手が向上した包装袋1を製造することができる。
【0048】
本実施形態に係る製造方法において、側方シール部13は、圧着部材50により2枚の包材10の原反11を圧着して形成され、凸型51aは、圧着部材50に設けられ、側方シール部13を形成すると同時に、凸型51aにより凹部41を形成する。
【0049】
これにより、効率よく凹部41を形成することができ、製造時間を短縮することができる。
【0050】
本実施形態に係る製造方法は、重ねた2枚の包材の原反11を搬送する製造ラインの途中において、搬送方向に連続して原反11に設けられる2つの包装袋1の境界にまたがって2つ分の側方シール部13Aを圧着部材50により一括して形成すると同時に、2つ分の側方シール部13Aのそれぞれに圧着部材50に設けられた凸型51aにより凹部41を形成し、次いで、搬送方向に並ぶ2つの包装袋1の境界である切断線Sを切断する。
【0051】
これにより、連続的に包装袋1を製造するにあたり、側方シール部13と凹部41とを効率的に製造することができ、製造時間を短縮することができる。
【0052】
次いで、
図11~
図14を参照しつつ本発明の他の実施形態を説明する。なお、この他の実施形態において上述した一実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、それらの説明を省略して上記一実施形態と相違する点を主に説明する。
【0053】
図11に示すように、他の実施形態における側方シール部13は、凹部41に隣接する凹部42を有している。
図10では一方側の側方シール部13を示しているが、他方側の側方シール部13にも同様に凹部42を有する。以下、説明の便宜上、各凹部41、42を、それぞれ第1凹部41、第2凹部42と符合を分けて説明する。
【0054】
第2凹部42は、第1凹部41に連続して、第1凹部41の外側に形成されている。第2凹部42は、側方シール部13において第1凹部41とは逆側の面に形成されている。第2凹部42は、他方(
図11で下側)の包材10側から一方(
図11で上側)の包材10側に食い込んだ形態である。第2凹部42の形成により、第1凹部41の外側に凸部42bが形成される。隣り合う第1凹部41及び第2凹部42は、断面形状がS字状に連続している。
【0055】
図12及び
図13は、原反11が搬送される途中において、圧着部材50により、2つ分の側方シール部13Aを一括して形成するにあたり、第1凹部41と第2凹部42とを同時に形成する過程を示している。
【0056】
上型51の圧着面における一対の凸型51aの内側に、凹型51bが形成されている。一方、下型52の圧着面の、各凹型51bに対応する部分に、各凹型51bに嵌合可能な一対の凸型52bが形成されている。各一対の凹型51b及び凸型52bのそれぞれは、側方シール部13に上記第2凹部42を形成し得る箇所に形成される。凸型52bは、チャック3を横断する方向に延在し、直線状の第2凹部42を形成することができる形状を有する。
【0057】
図13に示すように、加熱された上型51と下型52とにより原反11を挟んで圧着すると、各凸型51aが各凹型52aにそれぞれ嵌合し、各凸型52bが各凹型51bにそれぞれ嵌合する。これにより、上記実施形態と同様に第1凹部41が形成されると同時に、下側の包材10の原反11bの外面から上側の原反11aの方向に凸型52bが押し付けられることにより、下側の原反11b側から上側の原反11a側に食い込んだ第2凹部42が形成される。
【0058】
図14に示すように、上記切断線SをカッターTで切断することにより、切断された両側の側方シール部13のそれぞれは、第1凹部及び第2凹部42を有するものとなる。このように2つ分の側方シール部13Aの幅方向両端に第1凹部41及び第2凹部42をそれぞれ形成する工程と、切断線Sを切断する工程を順次行うことにより、左右の側方シール部13に第1凹部41及び第2凹部42が形成された包装袋1を連続的に得る。
【0059】
他の実施形態では、第1凹部41の外側に、更に第2凹部42が形成されている。この第2凹部42は、側方シール部13の第1凹部41が形成された側とは反対側の包材10側から、もう一方の包材10側に食い込んでいる。第2凹部42を有することにより、第1凹部41が形成された部分の側方シール部13が、チャック3を強い力で開くなどして第1凹部41の部分に剥離が生じても、第2凹部42によって、第1凹部41と同様に作用して、チャック3を広く開くことができる。
【0060】
本発明は上記実施形態の態様に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、凹部は、チャック開封時に開口部の両端部を広くできるように、一方の包材側から他方の包材側に食い込むようにして形成されれば、いかなる形状であってよい。また、凹部があることによってチャック開封時に現出する内壁部41aは、上述した癖付けによって現出する態様の一例であり、開口端部を広くできれば、いかなる態様であってよい。
【符号の説明】
【0061】
1 チャック付き包装袋
2 袋本体
3 チャック
10 包材
11 原反
12 三方シール部(シール部)
13 側方シール部
13A 2つ分の側方シール部
16 開口部
41、42 凹部
41a 内壁部
50 圧着部材
51a 凸型