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特開2022-32346プラスチック判定装置及びプラスチック判定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022032346
(43)【公開日】2022-02-25
(54)【発明の名称】プラスチック判定装置及びプラスチック判定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/44 20060101AFI20220217BHJP
   G01N 21/35 20140101ALI20220217BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
G01N33/44
G01N21/35
G01N21/27 B
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020136006
(22)【出願日】2020-08-11
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-10-13
(71)【出願人】
【識別番号】000144898
【氏名又は名称】株式会社山本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大森 健司
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA03
2G059AA05
2G059BB08
2G059EE01
2G059EE02
2G059EE12
2G059FF08
2G059HH01
2G059JJ01
2G059MM05
2G059MM10
(57)【要約】
【課題】判定プラスチックの材質を高精度で判定する。
【解決手段】プラスチック判定装置では、判定スペクトルの相関係数が類似スペクトル群内の基準スペクトルに対し第1波長範囲において最も高い場合に、判定スペクトルの相関係数が第2波長範囲において最も高い類似スペクトル群内の基準スペクトルを有する基準プラスチックが判定プラスチックの材質と判定される。このため、類似スペクトル群内の基準スペクトルでは、スペクトルの第1波長範囲のみならず第2波長範囲においても判定されるため、判定プラスチックの材質を高精度で判定できる。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数材質の基準プラスチックについて基準プラスチックに部分的に吸収された赤外線のスペクトルである基準スペクトルが記憶されると共に、基準スペクトルが互いに類似する類似スペクトル群が記憶される記憶部と、
判定プラスチックに部分的に吸収された赤外線のスペクトルである判定スペクトルが類似スペクトル群内の基準スペクトルに第1波長範囲において最も類似する場合に判定スペクトルが第2波長範囲において最も類似する類似スペクトル群内の基準スペクトルを有する基準プラスチックを判定プラスチックの材質と判定する判定部と、
を備えるプラスチック判定装置。
【請求項2】
第2波長範囲が第1波長範囲内の範囲にされる請求項1記載のプラスチック判定装置。
【請求項3】
前記判定部は、判定スペクトルが第1波長範囲において最も類似する類似スペクトル群以外の基準スペクトルを有する基準プラスチックを判定プラスチックの材質と判定する請求項1又は請求項2記載のプラスチック判定装置。
【請求項4】
前記記憶部には、同一材質の基準プラスチックの厚肉のものと薄肉のものとについてそれぞれ厚肉基準スペクトルと薄肉基準スペクトルとが記憶され、
前記判定部は、判定スペクトルが厚肉基準スペクトル又は薄肉基準スペクトルに最も類似する場合に当該基準プラスチックを判定プラスチックの材質と判定する
請求項1~請求項3の何れか1項記載のプラスチック判定装置。
【請求項5】
前記判定部は、判定スペクトルの基準スペクトルとの類似度が閾値を超えない場合に当該基準スペクトルを有する基準プラスチックの特殊形態の基準プラスチックの基準スペクトルとの判定スペクトルの類似度を判断する請求項1~請求項4の何れか1項記載のプラスチック判定装置。
【請求項6】
フィルム状の基準プラスチック又は判定プラスチックであるフィルムプラスチックに赤外線を照射する照射部と、
前記照射部が照射してフィルムプラスチックを透過した赤外線を反射する反射部と、
前記反射部が反射してフィルムプラスチックを透過した赤外線を検出する検出部と、
を備える請求項1~請求項5の何れか1項記載のプラスチック判定装置。
【請求項7】
フィルムプラスチック内を通過する光の前記反射部側への侵入を制限する制限部を備える請求項6記載のプラスチック判定装置。
【請求項8】
複数材質の基準プラスチックについて基準プラスチックに部分的に吸収された赤外線のスペクトルである基準スペクトルを記憶すると共に、基準スペクトルが互いに類似する類似スペクトル群を記憶するステップと、
判定プラスチックに部分的に吸収された赤外線のスペクトルである判定スペクトルが類似スペクトル群内の基準スペクトルに第1波長範囲において最も類似する場合に判定スペクトルが第2波長範囲において最も類似する類似スペクトル群内の基準スペクトルを有する基準プラスチックを判定プラスチックの材質と判定するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプラスチック判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックの材質を判定するためのプラスチック判定装置及びプラスチック判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のプラスチック材判定装置では、プラスチック材の近赤外吸収スペクトルをプラスチックである各材質の近赤外吸収スペクトルと比較して、プラスチック材の材質を判定する。
【0003】
ここで、このようなプラスチック材判定装置では、プラスチック材の材質を高精度で判定できるのが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-208684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、判定プラスチックの材質を高精度で判定できるプラスチック判定装置及びプラスチック判定プログラムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載のプラスチック判定装置は、複数材質の基準プラスチックについて基準プラスチックに部分的に吸収された赤外線のスペクトルである基準スペクトルが記憶されると共に、基準スペクトルが互いに類似する類似スペクトル群が記憶される記憶部と、判定プラスチックに部分的に吸収された赤外線のスペクトルである判定スペクトルが類似スペクトル群内の基準スペクトルに第1波長範囲において最も類似する場合に判定スペクトルが第2波長範囲において最も類似する類似スペクトル群内の基準スペクトルを有する基準プラスチックを判定プラスチックの材質と判定する判定部と、を備える。
【0007】
請求項2に記載のプラスチック判定装置は、請求項1に記載のプラスチック判定装置において、第2波長範囲が第1波長範囲内の範囲にされる。
【0008】
請求項3に記載のプラスチック判定装置は、請求項1又は請求項2に記載のプラスチック判定装置において、前記判定部は、判定スペクトルが第1波長範囲において最も類似する類似スペクトル群以外の基準スペクトルを有する基準プラスチックを判定プラスチックの材質と判定する。
【0009】
請求項4に記載のプラスチック判定装置は、請求項1~請求項3の何れか1項に記載のプラスチック判定装置において、前記記憶部には、同一材質の基準プラスチックの厚肉のものと薄肉のものとについてそれぞれ厚肉基準スペクトルと薄肉基準スペクトルとが記憶され、前記判定部は、判定スペクトルが厚肉基準スペクトル又は薄肉基準スペクトルに最も類似する場合に当該基準プラスチックを判定プラスチックの材質と判定する。
【0010】
請求項5に記載のプラスチック判定装置は、請求項1~請求項4の何れか1項に記載のプラスチック判定装置において、前記判定部は、判定スペクトルの基準スペクトルとの類似度が閾値を超えない場合に当該基準スペクトルを有する基準プラスチックの特殊形態の基準プラスチックの基準スペクトルとの判定スペクトルの類似度を判断する。
【0011】
請求項6に記載のプラスチック判定装置は、請求項1~請求項5の何れか1項に記載のプラスチック判定装置において、フィルム状の基準プラスチック又は判定プラスチックであるフィルムプラスチックに赤外線を照射する照射部と、前記照射部が照射してフィルムプラスチックを透過した赤外線を反射する反射部と、前記反射部が反射してフィルムプラスチックを透過した赤外線を検出する検出部と、を備える。
【0012】
請求項7に記載のプラスチック判定装置は、請求項6に記載のプラスチック判定装置において、フィルムプラスチック内を通過する光の前記反射部側への侵入を制限する制限部を備える。
【0013】
請求項8に記載のプラスチック判定プログラムは、複数材質の基準プラスチックについて基準プラスチックに部分的に吸収された赤外線のスペクトルである基準スペクトルを記憶すると共に、基準スペクトルが互いに類似する類似スペクトル群を記憶するステップと、判定プラスチックに部分的に吸収された赤外線のスペクトルである判定スペクトルが類似スペクトル群内の基準スペクトルに第1波長範囲において最も類似する場合に判定スペクトルが第2波長範囲において最も類似する類似スペクトル群内の基準スペクトルを有する基準プラスチックを判定プラスチックの材質と判定するステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載のプラスチック判定装置では、複数材質の基準プラスチックについて、基準プラスチックに部分的に吸収された赤外線のスペクトルである基準スペクトルが記憶部に記憶される。さらに、基準スペクトルが互いに類似する類似スペクトル群が記憶部に記憶される。
【0015】
ここで、判定部では、判定プラスチックに部分的に吸収された赤外線のスペクトルである判定スペクトルが類似スペクトル群内の基準スペクトルに第1波長範囲において最も類似する場合に、判定スペクトルが第2波長範囲において最も類似する類似スペクトル群内の基準スペクトルを有する基準プラスチックを判定プラスチックの材質と判定する。このため、類似スペクトル群内では、スペクトルの第1波長範囲のみならず第2波長範囲においても判定されるため、判定プラスチックの材質が類似スペクトル群内の基準スペクトルを有する基準プラスチックであっても、判定プラスチックの材質を高精度で判定できる。
【0016】
請求項2に記載のプラスチック判定装置では、第2波長範囲が第1波長範囲内の範囲にされる。このため、判定プラスチックの材質を判定するためのスペクトルの波長範囲を小さくできる。
【0017】
請求項3に記載のプラスチック判定装置では、判定スペクトルが第1波長範囲において最も類似する類似スペクトル群以外の基準スペクトルを有する基準プラスチックを判定プラスチックの材質と判定部が判定する。このため、類似スペクトル群以外の基準スペクトルを有する基準プラスチックについて、判定プラスチックの材質の判定を簡単にできる。
【0018】
請求項4に記載のプラスチック判定装置では、同一材質の基準プラスチックの厚肉のものと薄肉のものとについてそれぞれ厚肉基準スペクトルと薄肉基準スペクトルとが記憶部に記憶される。さらに、判定スペクトルが厚肉基準スペクトル又は薄肉基準スペクトルに最も類似する場合に当該基準プラスチックを判定プラスチックの材質と判定部が判定する。このため、判定プラスチックに厚肉のものと又は薄肉のものとが存在する場合でも、判定プラスチックの材質を判定できる。
【0019】
請求項5に記載のプラスチック判定装置では、判定スペクトルの基準スペクトルとの類似度が閾値未満である場合に、当該基準スペクトルを有する基準プラスチックの特殊形態の基準プラスチックの基準スペクトルとの判定スペクトルの類似度を判定部が判断する。このため、特殊形態の基準プラスチックについて、判定プラスチックの材質を判定できる。
【0020】
請求項6に記載のプラスチック判定装置では、フィルム状の基準プラスチック又は判定プラスチックであるフィルムプラスチックに照射部が赤外線を照射する。さらに、照射部が照射してフィルムプラスチックを透過した赤外線を反射部が反射する。そして、反射部が反射してフィルムプラスチックを透過した赤外線を検出部が検出する。このため、フィルムプラスチックについての赤外線のスペクトルの検出精度を高くできる。
【0021】
請求項7に記載のプラスチック判定装置では、フィルムプラスチック内を通過する光の反射部側への侵入を制限部が制限する。このため、フィルムプラスチック内を通過する光を検出部が検出することを抑制できる。
【0022】
請求項8に記載のプラスチック判定プログラムでは、複数材質の基準プラスチックについて、基準プラスチックに部分的に吸収された赤外線のスペクトルである基準スペクトルを記憶する。さらに、基準スペクトルが互いに類似する類似スペクトル群を記憶する。
【0023】
ここで、判定プラスチックに部分的に吸収された赤外線のスペクトルである判定スペクトルが類似スペクトル群内の基準スペクトルに第1波長範囲において最も類似する場合に、判定スペクトルが第2波長範囲において最も類似する類似スペクトル群内の基準スペクトルを有する基準プラスチックを判定プラスチックの材質と判定する。このため、類似スペクトル群内では、スペクトルの第1波長範囲のみならず第2波長範囲においても判定されるため、判定プラスチックの材質が類似スペクトル群内の基準スペクトルを有する基準プラスチックであっても、判定プラスチックの材質を高精度で判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態に係るプラスチック判定装置を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係るプラスチック判定装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態に係るプラスチック判定装置の機能構成の例を示すブロック図である。
図4】(A)及び(B)は、本発明の実施形態に係るプラスチック判定装置における測定装置の別態様を示す斜視図であり、(A)は、測定装置の開閉板の開放時を示し、(B)は、測定装置の開閉板の閉鎖時を示している。
図5】(A)及び(B)は、本発明の実施形態に係るプラスチック判定装置における測定装置の別態様を示す断面図であり、(A)は、測定装置の開閉板の開放時を示し、(B)は、測定装置の開閉板の閉鎖時を示している。
図6】本発明の実施形態に係るプラスチック判定装置における本体装置の画面への表示例を示す正面図である。
図7】本発明の実施形態に係るプラスチック判定装置におけるプラスチック判定処理を示すフローチャートである。
図8】本発明の実施形態に係るプラスチック判定装置におけるHDPE/LDPE判定処理を示すフローチャートである。
図9】本発明の実施形態に係るプラスチック判定装置におけるPS/ABS/POM判定処理を示すフローチャートである。
図10】本発明の実施形態に係るプラスチック判定装置におけるPET/PBT判定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1には、本発明の実施形態に係るプラスチック判定装置10が斜視図にて示されている。
【0026】
図1に示す如く、本実施形態に係るプラスチック判定装置10には、測定部としての測定装置12が設けられており、測定装置12は、プラスチックを測定可能にされている。
【0027】
測定装置12の後側部分には、略板状の把持部14が設けられており、把持部14は、前後方向に延伸されて、測定者が把持可能にされている。測定装置12の前部には、台形柱状の本体部16が一体に設けられており、本体部16は、把持部14に対し下側に突出されると共に、下面が平面状にされている。本体部16の上面には、スイッチ18が設けられており、スイッチ18は、測定者が把持部14を把持する手の指(例えば親指又は人差し指)により操作(押圧操作)可能にされている。
【0028】
図5(A)に示す如く、本体部16の下部には、略矩形柱状の測定空間20が形成されており、測定空間20は、周面が光反射性を有すると共に、下側に開放されている。測定空間20の下端近傍には、矩形板状のガラス板22が固定されており、ガラス板22は、測定空間20の下側近傍を閉塞している。測定空間20の上部には、照射部としての光源24が所定数(本実施形態では2個)固定されると共に、検出部としての分光センサ26が固定されている。
【0029】
図4及び図5の(A)及び(B)に示す如く、本体部16には、アタッチメント28が装着可能にされている。アタッチメント28には、略断面V字形板状の装着板30が設けられており、装着板30は、本体部16に装着されて、上部が本体部16の後面を被覆すると共に、下部が本体部16の下面を被覆する。装着板30の下部には、矩形状の開放孔30Aが貫通形成されており、開放孔30Aは、本体部16の測定空間20を下側に開放すると共に、側面が測定空間20の側面と面一にされる。
【0030】
装着板30には、回動板32が支持されており、回動板32の後端部の上側には、略断面V字形板状の操作片32Aが設けられている。回動板32は、操作片32Aにおいて、装着板30の後部に回動可能に支持されており、操作片32A内は、後側に開放されている。回動板32の下部には、略矩形板状の開閉板32Bが設けられており、開閉板32Bの後端部は、操作片32Aの下端部と一体にされている。回動板32は、付勢されており、開閉板32Bは、付勢力により装着板30の下部に面接触されて、装着板30の開放孔30A下側を閉鎖する(図5(B)参照)。測定者が把持部14を把持する手の指(例えば人差し指)により操作片32Aを操作(回動操作)することで、開閉板32Bが、付勢力に抗して下側に回動されて、開放孔30Aを下側に開放する(図5(A)参照)。開閉板32Bの上面には、反射部及び制限部としての矩形板状の反射板34が設けられており、反射板34の外面全体は、光反射性を有している。反射板34は、上側に突出されており、開閉板32Bが開放孔30Aの下側を閉鎖する際には、反射板34が開放孔30A内に略嵌合される。
【0031】
測定装置12により測定するプラスチックが固形(厚肉)のものである場合には、本体部16にアタッチメント28が装着されない。そして、本体部16の下面がプラスチックの表面に当接された状態で、スイッチ18(下記本体装置36の画面36Aでもよい)が操作されて、光源24が光(近赤外線を含む)を測定空間20及びガラス板22を介してプラスチックに照射することで、プラスチックによって反射されて部分的に吸収された光を分光センサ26が検出する。この際には、測定空間20の下側がプラスチックによって閉鎖されることで、光源24からの光が測定空間20の下側に漏洩することが抑制される。
【0032】
測定装置12により測定するプラスチックがフィルム状(薄肉)のもの(図5の(A)及び(B)のフィルムプラスチックP)である場合には、本体部16にアタッチメント28が装着される。そして、開閉板32Bが下側に回動されて、プラスチック(複数重に重ねられたものでもよい)が装着板30の下部と開閉板32Bとの間に配置された後(図5(A)参照)に、開閉板32Bが上側に回動されて、プラスチックが、装着板30の下部と開閉板32Bとの間及び開放孔30Aの側面と反射板34の側面との間に挟まれて、反射板34の上側に配置される(図5(B)参照)。さらに、スイッチ18(下記本体装置36の画面36Aでもよい)が操作されて、光源24が光(近赤外線を含む)を測定空間20及びガラス板22を介してプラスチックに照射することで、光が反射板34によって反射されると共にプラスチックを往復透過して、プラスチックによって部分的に吸収された光を分光センサ26が検出する。この際には、開放孔30Aの下側が反射板34及び開閉板32Bによって閉鎖されることで、光源24からの光が開放孔30Aの下側に漏洩することが抑制される。
【0033】
以上のように、測定装置12では、分光センサ26がプラスチックに部分的に吸収された光を検出することで、プラスチックに部分的に吸収された近赤外線のスペクトルが測定される。
【0034】
図1に示す如く、プラスチック判定装置10には、本体装置36が設けられており、本体装置36は、測定装置12に例えばUSBコード38によって電気的に接続されている。本体装置36は、所謂タブレット端末にされており、本体装置36には、報知部及び入力部としての画面36Aが設けられている。
【0035】
図2に示す如く、プラスチック判定装置10は、CPU40(Central Processing Unit:プロセッサ)、ROM42(Read Only Memory)、RAM44(Random Access Memory)、ストレージ46、ユーザインタフェース48、報知部50及び測定装置12を有している。各構成は、バス52を介して相互に通信可能に接続されている。
【0036】
CPU40は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU40は、ROM42又はストレージ46からプログラムを読み出し、RAM44を作業領域としてプログラムを実行する。CPU40は、ROM42又はストレージ46に記録されているプログラムに従って、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM42又はストレージ46には、プラスチックの材質を判定するプラスチック判定プログラムが格納されている。
【0037】
ROM42は、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM44は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ46は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成され、各種プログラム及び各種データを格納する。
【0038】
ユーザインタフェース48は、プラスチック判定装置10をユーザが使用する際のインタフェースである。ユーザインタフェース48は、例えば、ユーザによるタッチ操作を可能とするタッチパネルを備えた液晶ディスプレイ(本体装置36の画面36A)、ユーザによる音声入力を受け付ける音声入力受付部、及び、ユーザが押下可能なボタン等の少なくとも1つを含んでいる。報知部50は、プラスチック判定装置10を使用するユーザに例えば本体装置36の画面36Aへの表示により報知を行う。
【0039】
上記のプラスチック判定プログラムを実行する際に、プラスチック判定装置10は、上記のハードウェア資源を用いて、各種の機能を実現する。プラスチック判定装置10が実現する機能構成について説明する。
【0040】
図3に示す如く、プラスチック判定装置10は、機能構成として、測定装置12、記憶部54(ライブラリ)、判定部56及び報知部50を有している。各機能構成は、CPU40が、ROM42又はストレージ46に記憶されたプラスチック判定プログラムを読み出し、RAM44に展開して実行することにより実現される。
【0041】
記憶部54には、固形(厚肉)の基準プラスチックとしてのHDPE、LDPE、PS、PSの特殊形態であるEPS(発泡PS)、ABS、POM、PET、PBT、PVC、PP、PMMA、PA及びPCについて、基準プラスチックに部分的に吸収された近赤外線のスペクトルである基準スペクトル(厚肉基準スペクトル)が予め記憶されている。さらに、記憶部54には、フィルム状(薄肉)の基準プラスチックとしてのHDPE2(フィルム状HDPE)及びLDPE2(フィルム状LDPE)についても、基準スペクトル(薄肉基準スペクトル)が予め記憶されている。なお、基準スペクトルは、測定装置12によって測定されて、記憶部54に記憶されてもよい。
【0042】
また、記憶部54には、HDPE及びLDPEの群が第1類似プラスチック群として記憶され、PS、ABS及びPOMの群が第2類似プラスチック群として記憶され、PET及びPBTの群が第3類似プラスチック群として記憶されている。さらに、記憶部54には、第1類似プラスチック群内の基準プラスチックが有する基準スペクトルの群が第1類似スペクトル群として記憶され、第2類似プラスチック群内の基準プラスチックが有する基準スペクトルの群が第2類似スペクトル群として記憶され、第3類似プラスチック群内の基準プラスチックが有する基準スペクトルの群が第3類似スペクトル群として記憶として記憶されている。第1類似プラスチック群、第2類似プラスチック群及び第3類似プラスチック群では、それぞれの群内のプラスチックの物性が互いに類似しており、第1類似スペクトル群、第2類似スペクトル群及び第3類似スペクトル群では、それぞれの群内の基準スペクトルが互いに類似している。
【0043】
さらに、記憶部54には、判定プラスチックの材質を判定するための下記相関係数の閾値(例えば0.8)が予め記憶されている。
【0044】
判定部56では、測定装置12により測定された判定プラスチックに部分的に吸収された近赤外線のスペクトルである判定スペクトルに基づき、判定プラスチックの材質が判定される。
【0045】
判定部56では、判定プラスチックの材質の判定に、近赤外線分光法が使用される。さらに、判定スペクトルと基準スペクトルとに対し、2次微分処理が行われた上で、前処理(ノイズ除去、平滑化及び平均中央化の処理、例えば所謂SGフィルタ処理及びSNV処理)が行われた後に、判定スペクトルの基準スペクトルに対する相関係数(相関値、所謂ピアソンの積率相関係数)が類似度として算出される。そして、判定スペクトルの基準スペクトルに対する相関係数が高い程、判定プラスチックが当該基準スペクトルを有する基準プラスチックに類似すると判断されることで、所定の条件で、判定プラスチックが最も類似する基準プラスチックが判定プラスチックの材質であると判定される。
【0046】
報知部50は、本体装置36の画面36Aに、判定部56で判定された判定プラスチックの材質又は判定プラスチックの材質が不明であることと、判定スペクトル及び判定スペクトルとの相関係数が最も高い基準スペクトルの少なくとも一方の波形と、判定プラスチックに類似する基準プラスチックの1位から3位のランキングと、1位から3位の基準スペクトルに対する判定スペクトルの相関係数の100倍値と、を表示可能にされる(例えば図6参照)。
【0047】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0048】
以上の構成のプラスチック判定装置10では、プラスチック判定処理(図7参照)が行われる。プラスチック判定処理は、CPU40が、ROM42又はストレージ46からプラスチック判定プログラムを読み出し、RAM44に展開して実行することにより、行なわれる。
【0049】
プラスチック判定処理では、ステップ100において、判定プラスチックに部分的に吸収された近赤外線のスペクトル(判定スペクトル)が測定装置12により測定されて、判定スペクトルが取得される。
【0050】
そして、ステップ102において、HDPE、LDPE、PS、ABS、POM、PBT、PET、PVC、PP、PMMA、PA及びPCについての基準スペクトルが読み出されて、判定スペクトル及び各基準スペクトルの第1波長範囲(例えば1570nm以上1928nm以下)が切り出された上で、判定スペクトルの各基準スペクトルに対する相関係数(相関値)が第1波長範囲において算出される。さらに、相関係数の高い順のランキングが判断されて、基準プラスチックの判定プラスチックに類似する順のランキングが判断される。
【0051】
次に、ステップ104において、ステップ102におけるランキングが1位の相関係数の基準スペクトルが第1類似スペクトル群内のものであるか否かが判断されて、判定プラスチックが第1類似プラスチック群(HDPE及びLDPE)内の基準プラスチックに最も類似するか否かが判断される。
【0052】
ステップ104において、ステップ102におけるランキングが1位の相関係数の基準スペクトルが第1類似スペクトル群内のものであると判断された場合には、ステップ106において、HDPE/LDPE判定処理(図8参照)が行われる。
【0053】
HDPE/LDPE判定処理では、ステップ200において、HDPE及びLDPEの基準スペクトルが読み出されると共に、ステップ202において、HDPE2及びLDPE2の基準スペクトルが読み出される。さらに、ステップ204において、判定スペクトルの第1限定波長範囲(第2波長範囲、本実施形態では1650nm以上1710nm以下)が切り出されると共に、ステップ206において、ステップ200及びステップ202における各基準スペクトルの第1限定波長範囲が切り出される。そして、ステップ208において、判定スペクトルの当該各基準スペクトルに対する相関係数(相関値)が第1限定波長範囲において算出される。なお、第1限定波長範囲は、HDPEの基準スペクトルとLDPEの基準スペクトルとの相違が大きい範囲である。
【0054】
さらに、ステップ210において、HDPE及びHDPE2内の相関係数が高い方の基準スペクトルと、LDPE及びLDPE2内の相関係数が高い方の基準スペクトルと、について、相関係数の高い1位から2位の順位が判断されて、判定プラスチックが類似する基準プラスチックの1位から2位の順位が判断される。但し、判定プラスチックが類似する基準プラスチックがHDPE2及びLDPE2である場合には、それぞれ判定プラスチックが類似する基準プラスチックがHDPE及びLDPEにされる。そして、ステップ212において、ステップ102におけるランキングが1位の相関係数が、ステップ210における順位が1位の相関係数に更新されると共に、ステップ102におけるランキングが1位の基準プラスチックが、ステップ210における順位が1位の基準プラスチックに更新される。
【0055】
次に、ステップ214において、ステップ102におけるランキングが2位又は3位の基準プラスチックがHDPE又はLDPEであるか否かが判断される。そして、ステップ214において、ステップ102におけるランキングが2位又は3位の基準プラスチックがHDPE又はLDPEであると判断された場合には、ステップ216において、ステップ102におけるランキングが2位又は3位のHDPE又はLDPEである基準プラスチックが、ステップ210における順位が2位の基準プラスチックに更新されると共に、ステップ102における当該HDPE又はLDPEについての相関係数が、ステップ210における順位が2位の相関係数に更新される。
【0056】
ステップ214においてステップ102におけるランキングが2位又は3位の基準プラスチックがHDPE又はLDPEでないと判断された場合、及び、ステップ216の次には、ステップ218において、ランキングが1位の相関係数(ステップ210における順位が1位の相関係数)が閾値(例えば0.8)を超えているか否かが判断される。
【0057】
ステップ218において、ランキングが1位の相関係数が閾値を超えていると判断された場合には、ステップ220において、当該相関係数の基準スペクトルを有する基準プラスチック(HDPE又はLDPE)が判定プラスチックの材質であると判定される。ステップ218において、ランキングが1位の相関係数が閾値を超えていないと判断された場合には、ステップ222において、判定プラスチックの材質が不明であると判定される。そして、プラスチック判定処理(HDPE/LDPE判定処理を含む)の判定結果が本体装置36の画面36Aに表示されて(例えば図6参照)、プラスチック判定処理が終了される。
【0058】
また、ステップ104において、ステップ102におけるランキングが1位の相関係数の基準スペクトルが第1類似スペクトル群内のものでないと判断された場合には、ステップ108において、ステップ102におけるランキングが1位の相関係数の基準スペクトルが第2類似スペクトル群内のものであるか否かが判断されて、判定プラスチックが第2類似プラスチック群(PS、ABS及びPOM)内の基準プラスチックに最も類似するか否かが判断される(図7参照)。
【0059】
ステップ108において、ステップ102におけるランキングが1位の相関係数の基準スペクトルが第2類似スペクトル群内のものであると判断された場合には、ステップ110において、PS/ABS/POM判定処理(図9参照)が行われる。
【0060】
PS/ABS/POM判定処理では、ステップ300において、PS、ABS及びPOMの基準スペクトルが読み出される。さらに、ステップ302において、判定スペクトルの第2限定波長範囲(第2波長範囲、本実施形態では1700nm以上1925nm以下)が切り出されると共に、ステップ304において、ステップ300における各基準スペクトルの第2限定波長範囲が切り出される。そして、ステップ306において、判定スペクトルの当該各基準スペクトルに対する相関係数(相関値)が第2限定波長範囲において算出されて、相関係数の高い順の順位が判断される。なお、第2限定波長範囲は、PSの基準スペクトルとABSの基準スペクトルとPOMの基準スペクトルとの相違が大きい範囲である。
【0061】
次に、ステップ308において、ステップ102におけるPS、ABS及びPOMについての相関係数がそれぞれステップ306におけるPS、ABS及びPOMについての相関係数に更新されて、ステップ310において、ステップ102における相関係数の高い順のランキングが更新されると共に、ステップ102における基準プラスチックの判定プラスチックに類似する順のランキングが更新される。
【0062】
そして、ステップ312において、ランキングが1位の基準プラスチックがPSでありかつPSについての相関係数が閾値(例えば0.8)を超えていないか否かが判断される。
【0063】
ステップ312において、ランキングが1位の基準プラスチックがPSではなく、又は、ランキングが1位の基準プラスチックがPSでありかつPSについての相関係数が閾値を超えていると判断された場合には、ステップ314において、判定プラスチックに類似するランキングが1位から3位の基準プラスチックが更新されて、ステップ316において、ランキングが1位の基準プラスチックが判定プラスチックの材質であると判定される。そして、プラスチック判定処理(PS/ABS/POM判定処理を含む)の判定結果が本体装置36の画面36Aに表示されて、プラスチック判定処理が終了される。
【0064】
ステップ312において、ランキングが1位の基準プラスチックがPSでありかつPSについての相関係数が閾値を超えていないと判断された場合には、ステップ318において、EPS(発泡PS)の基準スペクトルが読み出されて、ステップ320において、当該基準スペクトルの第2限定波長範囲が切り出される。そして、ステップ322において、判定スペクトルの当該基準スペクトルに対する相関係数(相関値)が第2限定波長範囲において算出されて、ステップ324において、当該相関係数が閾値(例えば0.8)を超えているか否かが判断される。
【0065】
ステップ324において、当該相関係数が閾値を超えていると判断された場合には、ステップ326において、ランキングが1位の相関係数がEPSについての相関係数に更新されると共に、ランキングが1位の基準プラスチックがEPSに更新されて、判定プラスチックの材質がEPSであると判定される。ステップ324において、当該相関係数が閾値を超えていないと判断された場合には、ステップ328において、判定プラスチックの材質が不明であると判定される。そして、プラスチック判定処理(PS/ABS/POM判定処理を含む)の判定結果が本体装置36の画面36Aに表示されて、プラスチック判定処理が終了される。
【0066】
また、ステップ108において、ステップ102におけるランキングが1位の相関係数の基準スペクトルが第2類似スペクトル群内のものでないと判断された場合には、ステップ112において、ステップ102におけるランキングが1位の相関係数の基準スペクトルが第3類似スペクトル群内のものであるか否かが判断されて、判定プラスチックが第3類似プラスチック群(PET及びPBT)内の基準プラスチックに最も類似するか否かが判断される(図7参照)。
【0067】
ステップ112において、ステップ102におけるランキングが1位の相関係数の基準スペクトルが第3類似スペクトル群内のものであると判断された場合には、ステップ114において、PET/PBT判定処理(図10参照)が行われる。
【0068】
PET/PBT判定処理では、ステップ400において、PET及びPBTの基準スペクトルが読み出される。さらに、ステップ402において、判定スペクトルの第3限定波長範囲(第2波長範囲、本実施形態では1700nm以上1775nm以下)が切り出されると共に、ステップ404において、ステップ400における各基準スペクトルの第3限定波長範囲が切り出される。そして、ステップ406において、判定スペクトルの当該各基準スペクトルに対する相関係数(相関値)が第3限定波長範囲において算出される。なお、第3限定波長範囲は、PETの基準スペクトルとPBTの基準スペクトルとの相違が大きい範囲である。
【0069】
さらに、ステップ408において、相関係数の高い順の順位が判断されて、判定プラスチックが類似する基準プラスチックの1位から2位の順位が判断される。そして、ステップ410において、ステップ102におけるランキングが1位の相関係数が、ステップ408における順位が1位の相関係数に更新されると共に、ステップ102におけるランキングが1位の基準プラスチックが、ステップ408における順位が1位の基準プラスチックに更新される。
【0070】
次に、ステップ412において、ステップ102におけるランキングが2位又は3位の基準プラスチックがPET又はPBTであるか否かが判断される。そして、ステップ214において、ステップ102におけるランキングが2位又は3位の基準プラスチックがPET又はPBTであると判断された場合には、ステップ414において、ステップ102におけるランキングが2位又は3位のPET又はPBTである基準プラスチックが、ステップ408における順位が2位の基準プラスチックに更新されると共に、ステップ102における当該PET又はPBTについての相関係数が、ステップ408における順位が2位の相関係数に更新される。
【0071】
ステップ412においてステップ102におけるランキングが2位又は3位の基準プラスチックがPET又はPBTでないと判断された場合、及び、ステップ414の次には、ステップ416において、ランキングが1位の相関係数(ステップ408における順位が1位の相関係数)が閾値(例えば0.8)を超えているか否かが判断される。
【0072】
ステップ416において、ランキングが1位の相関係数が閾値を超えていると判断された場合には、ステップ418において、当該相関係数の基準スペクトルを有する基準プラスチック(PET又はPBT)が判定プラスチックの材質であると判定される。ステップ416において、ランキングが1位の相関係数が閾値を超えていないと判断された場合には、ステップ420において、判定プラスチックの材質が不明であると判定される。そして、プラスチック判定処理(HDPE/LDPE判定処理を含む)の判定結果が本体装置36の画面36Aに表示されて、プラスチック判定処理が終了される。
【0073】
また、ステップ112において、ステップ102におけるランキングが1位の相関係数の基準スペクトルが第3類似スペクトル群内のものでないと判断された場合には、ステップ116において、ステップ102におけるランキングが1位の相関係数が閾値(例えば0.8)を超えているか否かが判断される(図7参照)。
【0074】
ステップ116において、ステップ102におけるランキングが1位の相関係数が閾値を超えていると判断された場合には、ステップ118において、当該相関係数の基準スペクトルを有する基準プラスチックが判定プラスチックの材質であると判定される。ステップ116において、ステップ102におけるランキングが1位の相関係数が閾値を超えていないと判断された場合には、ステップ120において、判定プラスチックの材質が不明であると判定される。そして、プラスチック判定処理の判定結果が本体装置36の画面36Aに表示されて、プラスチック判定処理が終了される。
【0075】
ここで、上述の如く、判定スペクトルの相関係数が第1類似スペクトル群(第1類似プラスチック群(HDPE及びLDPE)の基準スペクトル)内の基準スペクトルに対し第1波長範囲において最も高い場合には、判定スペクトルの相関係数が第2波長範囲(第1限定波長範囲)において最も高い第1類似スペクトル群内の基準スペクトルを有する基準プラスチック(HDPE又はLDPE)が判定プラスチックの材質と判定される(ステップ104~106参照)。
【0076】
また、判定スペクトルの相関係数が第2類似スペクトル群(第2類似プラスチック群(PS、ABS及びPOM)の基準スペクトル)内の基準スペクトルに対し第1波長範囲において最も高い場合には、判定スペクトルの相関係数が第2波長範囲(第2限定波長範囲)において最も高い第2類似スペクトル群内の基準スペクトルを有する基準プラスチック(PS、ABS又はPOM)が判定プラスチックの材質と判定可能にされる(ステップ108~110参照)。
【0077】
さらに、判定スペクトルの相関係数が第3類似スペクトル群(PET又はPBTの基準スペクトル)内の基準スペクトルに対し第1波長範囲において最も高い場合には、判定スペクトルの相関係数が第2波長範囲(第3限定波長範囲)において最も高い第3類似スペクトル群内の基準スペクトルを有する基準プラスチック(PET又はPBT)が判定プラスチックの材質と判定される(ステップ112~114参照)。
【0078】
このため、第1類似スペクトル群内、第2類似スペクトル群内及び第3類似スペクトル群内の基準スペクトルでは、スペクトルの第1波長範囲のみならず第2波長範囲においても判定されるため、判定プラスチックの材質が第1類似プラスチック群内、第2類似プラスチック群内及び第3類似プラスチック群内の基準プラスチックであっても、判定プラスチックの材質を高精度で判定できる。
【0079】
さらに、第1波長範囲が小くされる(例えば略350nmの範囲にされる)のみならず、第2波長範囲(第1限定波長範囲、第2限定波長範囲及び第3限定波長範囲)が第1波長範囲内の範囲にされている。このため、判定プラスチックの材質を判定するためのスペクトルの波長範囲を小さくできる。これにより、プラスチック判定装置10を小型化(軽量化)できると共に安価にできる。しかも、上述の如く、第1類似プラスチック群内、第2類似プラスチック群内及び第3類似プラスチック群内の基準プラスチックでは、判定プラスチックの材質がスペクトルの第1波長範囲のみならず第2波長範囲においても判定されるため、依然として判定プラスチックの材質を高精度で判定できる。
【0080】
また、判定スペクトルの相関係数が第1類似スペクトル群、第2類似スペクトル群及び第3類似スペクトル群以外の基準スペクトルに対し第1波長範囲において最も高い場合には、当該基準スペクトルを有する基準プラスチックが判定プラスチックの材質と判定される(ステップ116~118参照)。このため、第1類似スペクトル群、第2類似スペクトル群及び第3類似スペクトル群以外の基準スペクトルを有する基準プラスチックについて、判定プラスチックの材質の判定を簡単にできる。
【0081】
さらに、第1類似プラスチック群(HDPE及びLDPE)については、それぞれ、厚肉の基準プラスチックの基準スペクトル(厚肉基準スペクトル)と薄肉の基準プラスチックの基準スペクトル(薄肉基準スペクトル)とが記憶される。そして、判定スペクトルの相関係数が厚肉基準スペクトル又は薄肉基準スペクトルに対し第2波長範囲において最も高い場合に、当該基準プラスチックが判定プラスチックの材質と判定される(ステップ200~220参照)。このため、判定プラスチックに厚肉のものと又は薄肉のものとが存在する場合でも、判定プラスチックの材質を判定できる。
【0082】
しかも、第2類似プラスチック群のPSについては、判定スペクトルの基準スペクトルに対する相関係数が閾値(例えば0.8)を超えない場合に、当該基準スペクトルを有する基準プラスチック(PS)の特殊形態の基準プラスチック(EPS)の基準スペクトルに対する判定スペクトルの相関係数が閾値(例えば0.8)を超えることを条件として、特殊形態の基準プラスチック(EPS)が判定プラスチックの材質と判定される(ステップ312~326参照)。このため、特殊形態の基準プラスチック(EPS)について、判定プラスチックの材質を判定できる。
【0083】
また、測定装置12の本体部16にアタッチメント28が装着された状態で、フィルムプラスチックP(フィルム状の基準プラスチック又は判定プラスチック)が、アタッチメント28における装着板30の下部と開閉板32Bとの間及び開放孔30Aの側面と反射板34の側面との間に挟まれて、反射板34の上側に配置される(図5(B)参照)。そして、光源24が光をフィルムプラスチックPに照射することで、光が反射板34によって反射されると共にフィルムプラスチックPを往復透過して、フィルムプラスチックPによって部分的に吸収された光を分光センサ26が検出する。このため、光がフィルムプラスチックPを往復透過してフィルムプラスチックPに吸収されるため、フィルムプラスチックPについての近赤外線のスペクトルの検出精度(測定精度)を高くできる。
【0084】
さらに、上述の如く、フィルムプラスチックPが開放孔30Aの側面と反射板34の側面との間に挟まれる。このため、測定装置12外からフィルムプラスチックP内に侵入してフィルムプラスチックP内を通過する外乱光が反射板34の側面によって反射されることで、外乱光が開放孔30A(反射板34側)に侵入することが制限される。このため、フィルムプラスチックP内を通過する外乱光を分光センサ26が検出することを抑制でき、フィルムプラスチックPについての近赤外線のスペクトルの検出精度(測定精度)を一層高くできる。
【0085】
なお、上記実施形態では、プラスチック判定処理をCPU40がソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行する。しかしながら、プラスチック判定処理をCPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、プラスチック判定処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0086】
さらに、上記実施形態では、プラスチック判定プログラムがROM42又はストレージ46に予め記憶(インストール)されているが、これに限定されない。プログラムは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【符号の説明】
【0087】
10 プラスチック判定
24 光源(照射部)
26 分光センサ(検出部)
34 反射板(反射部、制限部)
54 記憶部
56 判定部
P フィルムプラスチック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2021-01-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
請求項1に記載のプラスチック判定装置は、材質が互いに異なる複数の基準プラスチックについて基準プラスチックに照射されて部分的に吸収された赤外線のスペクトルである基準スペクトルが記憶されると共に、基準スペクトルが互いに類似する類似スペクトル群が記憶される記憶部と、前記記憶部に記憶された基準スペクトル及び類似スペクトル群に基づき材質を判定するプラスチックである判定プラスチックに照射されて部分的に吸収された赤外線のスペクトルである判定スペクトルが類似スペクトル群内の基準スペクトルに第1波長範囲において最も類似する場合に判定スペクトルが第1波長範囲内の第2波長範囲において最も類似する類似スペクトル群内の基準スペクトルを有する基準プラスチックを判定プラスチックの材質と判定する判定部と、を備える。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
請求項2に記載のプラスチック判定装置は、請求項1に記載のプラスチック判定装置において、前記判定部は、判定スペクトルが第1波長範囲において最も類似する類似スペクトル群以外の基準スペクトルを有する基準プラスチックを判定プラスチックの材質と判定する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
請求項3記載のプラスチック判定装置は、請求項1又は請求項2に記載のプラスチック判定装置において、前記記憶部には、同一材質の基準プラスチックの厚肉のものと薄肉のものとについてそれぞれ厚肉基準スペクトルと薄肉基準スペクトルとが記憶され、前記判定部は、判定スペクトルが厚肉基準スペクトル又は薄肉基準スペクトルに最も類似する場合に当該基準プラスチックを判定プラスチックの材質と判定する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
請求項4に記載のプラスチック判定装置は、請求項1~請求項3の何れか1項に記載のプラスチック判定装置において、前記判定部は、判定スペクトルの基準スペクトルとの類似度が閾値を超えない場合に当該基準スペクトルを有する基準プラスチックの特殊形態の基準プラスチックの基準スペクトルとの判定スペクトルの類似度を判断する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
請求項5に記載のプラスチック判定装置は、請求項1~請求項4の何れか1項に記載のプラスチック判定装置において、フィルム状の基準プラスチック又は判定プラスチックであるフィルムプラスチックに赤外線を照射する照射部と、前記照射部が照射してフィルムプラスチックを透過した赤外線を反射する反射部と、前記記憶部又は前記判定部と通信可能にされ、前記反射部が反射してフィルムプラスチックを透過した赤外線を検出する検出部と、を備える。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
請求項6に記載のプラスチック判定装置は、請求項5に記載のプラスチック判定装置において、フィルムプラスチック内を通過する前記照射部以外からの光をフィルムプラスチックの前記反射部からの離間側に反射して当該光の前記反射部側への侵入を制限する制限部を備える。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
請求項7に記載のプラスチック判定プログラムは、材質が互いに異なる複数の基準プラスチックについて基準プラスチックに照射されて部分的に吸収された赤外線のスペクトルである基準スペクトルを記憶すると共に、基準スペクトルが互いに類似する類似スペクトル群を記憶するステップと、前記記憶した基準スペクトル及び類似スペクトル群に基づき材質を判定するプラスチックである判定プラスチックに照射されて部分的に吸収された赤外線のスペクトルである判定スペクトルが類似スペクトル群内の基準スペクトルに第1波長範囲において最も類似する場合に判定スペクトルが第1波長範囲内の第2波長範囲において最も類似する類似スペクトル群内の基準スペクトルを有する基準プラスチックを判定プラスチックの材質と判定するステップと、をコンピュータに実行させる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
請求項1に記載のプラスチック判定装置では、材質が互いに異なる複数の基準プラスチックについて、基準プラスチックに部分的に吸収された赤外線のスペクトルである基準スペクトルが記憶部に記憶される。さらに、基準スペクトルが互いに類似する類似スペクトル群が記憶部に記憶される。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
請求項1に記載のプラスチック判定装置では、第2波長範囲が第1波長範囲内の範囲にされる。このため、判定プラスチックの材質を判定するためのスペクトルの波長範囲を小さくできる。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
請求項2に記載のプラスチック判定装置では、判定スペクトルが第1波長範囲において最も類似する類似スペクトル群以外の基準スペクトルを有する基準プラスチックを判定プラスチックの材質と判定部が判定する。このため、類似スペクトル群以外の基準スペクトルを有する基準プラスチックについて、判定プラスチックの材質の判定を簡単にできる。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
請求項3に記載のプラスチック判定装置では、同一材質の基準プラスチックの厚肉のものと薄肉のものとについてそれぞれ厚肉基準スペクトルと薄肉基準スペクトルとが記憶部に記憶される。さらに、判定スペクトルが厚肉基準スペクトル又は薄肉基準スペクトルに最も類似する場合に当該基準プラスチックを判定プラスチックの材質と判定部が判定する。このため、判定プラスチックに厚肉のものと又は薄肉のものとが存在する場合でも、判定プラスチックの材質を判定できる。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
請求項4に記載のプラスチック判定装置では、判定スペクトルの基準スペクトルとの類似度が閾値未満である場合に、当該基準スペクトルを有する基準プラスチックの特殊形態の基準プラスチックの基準スペクトルとの判定スペクトルの類似度を判定部が判断する。このため、特殊形態の基準プラスチックについて、判定プラスチックの材質を判定できる。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
請求項5に記載のプラスチック判定装置では、フィルム状の基準プラスチック又は判定プラスチックであるフィルムプラスチックに照射部が赤外線を照射する。さらに、照射部が照射してフィルムプラスチックを透過した赤外線を反射部が反射する。そして、反射部が反射してフィルムプラスチックを透過した赤外線を検出部が検出する。このため、フィルムプラスチックについての赤外線のスペクトルの検出精度を高くできる。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
請求項6に記載のプラスチック判定装置では、フィルムプラスチック内を通過する光の反射部側への侵入を制限部が制限する。このため、フィルムプラスチック内を通過する光を検出部が検出することを抑制できる。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
請求項7に記載のプラスチック判定プログラムでは、材質が互いに異なる複数の基準プラスチックについて、基準プラスチックに部分的に吸収された赤外線のスペクトルである基準スペクトルを記憶する。さらに、基準スペクトルが互いに類似する類似スペクトル群を記憶する。
【手続補正17】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材質が互いに異なる複数の基準プラスチックについて基準プラスチックに照射されて部分的に吸収された赤外線のスペクトルである基準スペクトルが記憶されると共に、基準スペクトルが互いに類似する類似スペクトル群が記憶される記憶部と、
前記記憶部に記憶された基準スペクトル及び類似スペクトル群に基づき材質を判定するプラスチックである判定プラスチックに照射されて部分的に吸収された赤外線のスペクトルである判定スペクトルが類似スペクトル群内の基準スペクトルに第1波長範囲において最も類似する場合に判定スペクトルが第1波長範囲内の第2波長範囲において最も類似する類似スペクトル群内の基準スペクトルを有する基準プラスチックを判定プラスチックの材質と判定する判定部と、
を備えるプラスチック判定装置。
【請求項2】
前記判定部は、判定スペクトルが第1波長範囲において最も類似する類似スペクトル群以外の基準スペクトルを有する基準プラスチックを判定プラスチックの材質と判定する請求項1記載のプラスチック判定装置。
【請求項3】
前記記憶部には、同一材質の基準プラスチックの厚肉のものと薄肉のものとについてそれぞれ厚肉基準スペクトルと薄肉基準スペクトルとが記憶され、
前記判定部は、判定スペクトルが厚肉基準スペクトル又は薄肉基準スペクトルに最も類似する場合に当該基準プラスチックを判定プラスチックの材質と判定する
請求項1又は請求項2記載のプラスチック判定装置。
【請求項4】
前記判定部は、判定スペクトルの基準スペクトルとの類似度が閾値を超えない場合に当該基準スペクトルを有する基準プラスチックの特殊形態の基準プラスチックの基準スペクトルとの判定スペクトルの類似度を判断する請求項1~請求項3の何れか1項記載のプラスチック判定装置。
【請求項5】
フィルム状の基準プラスチック又は判定プラスチックであるフィルムプラスチックに赤外線を照射する照射部と、
前記照射部が照射してフィルムプラスチックを透過した赤外線を反射する反射部と、
前記記憶部又は前記判定部と通信可能にされ、前記反射部が反射してフィルムプラスチックを透過した赤外線を検出する検出部と、
を備える請求項1~請求項4の何れか1項記載のプラスチック判定装置。
【請求項6】
フィルムプラスチック内を通過する前記照射部以外からの光をフィルムプラスチックの前記反射部からの離間側に反射して当該光の前記反射部側への侵入を制限する制限部を備える請求項5記載のプラスチック判定装置。
【請求項7】
材質が互いに異なる複数の基準プラスチックについて基準プラスチックに照射されて部分的に吸収された赤外線のスペクトルである基準スペクトルを記憶すると共に、基準スペクトルが互いに類似する類似スペクトル群を記憶するステップと、
前記記憶した基準スペクトル及び類似スペクトル群に基づき材質を判定するプラスチックである判定プラスチックに照射されて部分的に吸収された赤外線のスペクトルである判定スペクトルが類似スペクトル群内の基準スペクトルに第1波長範囲において最も類似する場合に判定スペクトルが第1波長範囲内の第2波長範囲において最も類似する類似スペクトル群内の基準スペクトルを有する基準プラスチックを判定プラスチックの材質と判定するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプラスチック判定プログラム。
【手続補正書】
【提出日】2021-04-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
請求項1に記載のプラスチック判定装置は、材質が互いに異なる複数の基準プラスチックについて基準プラスチックに照射されて部分的に吸収された赤外線のスペクトルである基準スペクトルが記憶されると共に、基準スペクトルが互いに類似するとして予め設定された類似スペクトル群が記憶される記憶部と、材質が未知のプラスチックである判定プラスチックに照射されて部分的に吸収された赤外線のスペクトルである判定スペクトルが前記記憶部に記憶された所定の基準スペクトルのうちで前記記憶部に記憶された類似スペクトル群内の基準スペクトルに第1波長範囲において最も類似する場合に当該判定スペクトルが前記記憶部に記憶された類似スペクトル群内の全ての基準スペクトルのうちで第1波長範囲内の第2波長範囲において最も類似する基準スペクトルを有する基準プラスチックを判定プラスチックの材質と判定する判定部と、を備える。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
請求項6に記載のプラスチック判定装置は、請求項5に記載のプラスチック判定装置において、フィルムプラスチック内を面内方向に通過する前記照射部以外からの光をフィルムプラスチックの面内方向における前記反射部からの離間側に反射して当該光の前記反射部側への侵入を制限する制限部を備える。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
請求項7に記載のプラスチック判定プログラムは、材質が互いに異なる複数の基準プラスチックについて基準プラスチックに照射されて部分的に吸収された赤外線のスペクトルである基準スペクトルを記憶すると共に、基準スペクトルが互いに類似するとして予め設定された類似スペクトル群を記憶するステップと、材質が未知のプラスチックである判定プラスチックに照射されて部分的に吸収された赤外線のスペクトルである判定スペクトルが前記記憶した所定の基準スペクトルのうちで前記記憶した類似スペクトル群内の基準スペクトルに第1波長範囲において最も類似する場合に当該判定スペクトルが前記記憶した類似スペクトル群内の全ての基準スペクトルのうちで第1波長範囲内の第2波長範囲において最も類似する基準スペクトルを有する基準プラスチックを判定プラスチックの材質と判定するステップと、をコンピュータに実行させる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材質が互いに異なる複数の基準プラスチックについて基準プラスチックに照射されて部分的に吸収された赤外線のスペクトルである基準スペクトルが記憶されると共に、基準スペクトルが互いに類似するとして予め設定された類似スペクトル群が記憶される記憶部と、
材質が未知のプラスチックである判定プラスチックに照射されて部分的に吸収された赤外線のスペクトルである判定スペクトルが前記記憶部に記憶された所定の基準スペクトルのうちで前記記憶部に記憶された類似スペクトル群内の基準スペクトルに第1波長範囲において最も類似する場合に当該判定スペクトルが前記記憶部に記憶された類似スペクトル群内の全ての基準スペクトルのうちで第1波長範囲内の第2波長範囲において最も類似する基準スペクトルを有する基準プラスチックを判定プラスチックの材質と判定する判定部と、
を備えるプラスチック判定装置。
【請求項2】
前記判定部は、判定スペクトルが第1波長範囲において最も類似する類似スペクトル群以外の基準スペクトルを有する基準プラスチックを判定プラスチックの材質と判定する請求項1記載のプラスチック判定装置。
【請求項3】
前記記憶部には、同一材質の基準プラスチックの厚肉のものと薄肉のものとについてそれぞれ厚肉基準スペクトルと薄肉基準スペクトルとが記憶され、
前記判定部は、判定スペクトルが厚肉基準スペクトル又は薄肉基準スペクトルに最も類似する場合に当該基準プラスチックを判定プラスチックの材質と判定する
請求項1又は請求項2記載のプラスチック判定装置。
【請求項4】
前記判定部は、判定スペクトルの基準スペクトルとの類似度が閾値を超えない場合に当該基準スペクトルを有する基準プラスチックの特殊形態の基準プラスチックの基準スペクトルとの判定スペクトルの類似度を判断する請求項1~請求項3の何れか1項記載のプラスチック判定装置。
【請求項5】
フィルム状の基準プラスチック又は判定プラスチックであるフィルムプラスチックに赤外線を照射する照射部と、
前記照射部が照射してフィルムプラスチックを透過した赤外線を反射する反射部と、
前記記憶部又は前記判定部と通信可能にされ、前記反射部が反射してフィルムプラスチックを透過した赤外線を検出する検出部と、
を備える請求項1~請求項4の何れか1項記載のプラスチック判定装置。
【請求項6】
フィルムプラスチック内を面内方向に通過する前記照射部以外からの光をフィルムプラスチックの面内方向における前記反射部からの離間側に反射して当該光の前記反射部側への侵入を制限する制限部を備える請求項5記載のプラスチック判定装置。
【請求項7】
材質が互いに異なる複数の基準プラスチックについて基準プラスチックに照射されて部分的に吸収された赤外線のスペクトルである基準スペクトルを記憶すると共に、基準スペクトルが互いに類似するとして予め設定された類似スペクトル群を記憶するステップと、
材質が未知のプラスチックである判定プラスチックに照射されて部分的に吸収された赤外線のスペクトルである判定スペクトルが前記記憶した所定の基準スペクトルのうちで前記記憶した類似スペクトル群内の基準スペクトルに第1波長範囲において最も類似する場合に当該判定スペクトルが前記記憶した類似スペクトル群内の全ての基準スペクトルのうちで第1波長範囲内の第2波長範囲において最も類似する基準スペクトルを有する基準プラスチックを判定プラスチックの材質と判定するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプラスチック判定プログラム。
【手続補正書】
【提出日】2021-08-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
請求項1に記載のプラスチック判定装置は、材質が互いに異なる複数の基準プラスチックについて基準プラスチックに照射されて部分的に吸収された赤外線のスペクトルである基準スペクトルが記憶されると共に、基準スペクトルが互いに類似するとして予め設定された類似スペクトル群が記憶される記憶部と、材質が未知のプラスチックである判定プラスチックに照射されて部分的に吸収された赤外線のスペクトルである判定スペクトルが、予め設定された前記記憶部に記憶された基準スペクトルのうちで前記記憶部に記憶された類似スペクトル群内の基準スペクトルに第1波長範囲において最も類似する場合に当該判定スペクトルが、当該類似スペクトル群内の全ての基準スペクトルのうちで第1波長範囲内の第2波長範囲において最も類似する基準スペクトルを有する基準プラスチックを判定プラスチックの材質と判定する判定部と、を備える。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
請求項7に記載のプラスチック判定プログラムは、材質が互いに異なる複数の基準プラスチックについて基準プラスチックに照射されて部分的に吸収された赤外線のスペクトルである基準スペクトルを記憶すると共に、基準スペクトルが互いに類似するとして予め設定された類似スペクトル群を記憶するステップと、材質が未知のプラスチックである判定プラスチックに照射されて部分的に吸収された赤外線のスペクトルである判定スペクトルが、予め設定された前記記憶した基準スペクトルのうちで前記記憶した類似スペクトル群内の基準スペクトルに第1波長範囲において最も類似する場合に当該判定スペクトルが、当該類似スペクトル群内の全ての基準スペクトルのうちで第1波長範囲内の第2波長範囲において最も類似する基準スペクトルを有する基準プラスチックを判定プラスチックの材質と判定するステップと、をコンピュータに実行させる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材質が互いに異なる複数の基準プラスチックについて基準プラスチックに照射されて部分的に吸収された赤外線のスペクトルである基準スペクトルが記憶されると共に、基準スペクトルが互いに類似するとして予め設定された類似スペクトル群が記憶される記憶部と、
材質が未知のプラスチックである判定プラスチックに照射されて部分的に吸収された赤外線のスペクトルである判定スペクトルが、予め設定された前記記憶部に記憶された基準スペクトルのうちで前記記憶部に記憶された類似スペクトル群内の基準スペクトルに第1波長範囲において最も類似する場合に当該判定スペクトルが、当該類似スペクトル群内の全ての基準スペクトルのうちで第1波長範囲内の第2波長範囲において最も類似する基準スペクトルを有する基準プラスチックを判定プラスチックの材質と判定する判定部と、
を備えるプラスチック判定装置。
【請求項2】
前記判定部は、判定スペクトルが第1波長範囲において最も類似する類似スペクトル群以外の基準スペクトルを有する基準プラスチックを判定プラスチックの材質と判定する請求項1記載のプラスチック判定装置。
【請求項3】
前記記憶部には、同一材質の基準プラスチックの厚肉のものと薄肉のものとについてそれぞれ厚肉基準スペクトルと薄肉基準スペクトルとが記憶され、
前記判定部は、判定スペクトルが厚肉基準スペクトル又は薄肉基準スペクトルに最も類似する場合に当該基準プラスチックを判定プラスチックの材質と判定する
請求項1又は請求項2記載のプラスチック判定装置。
【請求項4】
前記判定部は、判定スペクトルの基準スペクトルとの類似度が閾値を超えない場合に当該基準スペクトルを有する基準プラスチックの特殊形態の基準プラスチックの基準スペクトルとの判定スペクトルの類似度を判断する請求項1~請求項3の何れか1項記載のプラスチック判定装置。
【請求項5】
フィルム状の基準プラスチック又は判定プラスチックであるフィルムプラスチックに赤外線を照射する照射部と、
前記照射部が照射してフィルムプラスチックを透過した赤外線を反射する反射部と、
前記記憶部又は前記判定部と通信可能にされ、前記反射部が反射してフィルムプラスチックを透過した赤外線を検出する検出部と、
を備える請求項1~請求項4の何れか1項記載のプラスチック判定装置。
【請求項6】
フィルムプラスチック内を面内方向に通過する前記照射部以外からの光をフィルムプラスチックの面内方向における前記反射部からの離間側に反射して当該光の前記反射部側への侵入を制限する制限部を備える請求項5記載のプラスチック判定装置。
【請求項7】
材質が互いに異なる複数の基準プラスチックについて基準プラスチックに照射されて部分的に吸収された赤外線のスペクトルである基準スペクトルを記憶すると共に、基準スペクトルが互いに類似するとして予め設定された類似スペクトル群を記憶するステップと、
材質が未知のプラスチックである判定プラスチックに照射されて部分的に吸収された赤外線のスペクトルである判定スペクトルが、予め設定された前記記憶した基準スペクトルのうちで前記記憶した類似スペクトル群内の基準スペクトルに第1波長範囲において最も類似する場合に当該判定スペクトルが、当該類似スペクトル群内の全ての基準スペクトルのうちで第1波長範囲内の第2波長範囲において最も類似する基準スペクトルを有する基準プラスチックを判定プラスチックの材質と判定するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプラスチック判定プログラム。