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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022032359
(43)【公開日】2022-02-25
(54)【発明の名称】テレプレゼンスロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 3/00 20060101AFI20220217BHJP
   B25J 5/00 20060101ALI20220217BHJP
   G05D 1/00 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
B25J3/00 Z
B25J5/00 A
G05D1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020136046
(22)【出願日】2020-08-11
(71)【出願人】
【識別番号】518204545
【氏名又は名称】株式会社Keigan
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】徳田 貴司
(72)【発明者】
【氏名】栗本 直彰
(72)【発明者】
【氏名】原田 弘
【テーマコード(参考)】
3C707
5H301
【Fターム(参考)】
3C707BS09
3C707CS08
3C707CY39
3C707HS27
3C707JS07
3C707JT08
3C707JU03
3C707KS39
3C707KT01
3C707KT04
3C707WA16
3C707WL07
5H301AA01
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD05
5H301DD15
5H301GG09
5H301HH10
(57)【要約】
【課題】 複数の人が、現地に遠隔地からリモートで集まり、団体行動で移動し、適宜の位置で周囲の状況を見たり、個々の人がそれぞれ現地の人と会話できる技術を提供する。
【解決手段】 支持フレーム部材13に複数の端末11を取り付けた状態で、遠隔操作により移動が制御される移動ロボット本体10を備える。所定の操作端末15からの指示に基づき移動ロボット本体が移動することで、複数の端末が一体に移動する。この複数の端末は、無線通信を用いたビデオ通話機能により、それぞれ操作端末15と接続される。よって、各操作端末を操作する複数の操作者は、リモートで一緒に移動し、現地でビデオ通話機能を用いて遠隔地の現地の人とコミュニケーションをとれる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末を取り付けた状態で、遠隔操作により移動が制御される移動ロボット本体を備え、
前記複数の端末は、無線通信を用いたビデオ通話機能を備えるテレプレゼンスロボット。
【請求項2】
前記複数の端末の内、少なくとも1つはその端末を移動して撮影領域を変更可能に取り付けるようにした請求項1に記載のテレプレゼンスロボット。
【請求項3】
前記撮影領域を変更可能にする構成は、少なくとも1つの回転軸を有し、先端側に前記端末を保持する連結部材である請求項2に記載のテレプレゼンスロボット。
【請求項4】
前記回転軸は、遠隔操作により動作するモーターの出力軸の回転に伴い回転する請求項3に記載のテレプレゼンスロボット。
【請求項5】
前記連結部材は、アーム部材を有し、前記回転軸を回転中心として前記アーム部材が正逆回転するようにした請求項3または4に記載のテレプレゼンスロボット。
【請求項6】
前記撮影領域を変更可能にする構成は、前記端末を着脱自在に保持する端末ホルダーである請求項2から5のいずれか1項に記載のテレプレゼンスロボット。
【請求項7】
前記移動ロボット本体は、モーターモジュールによる駆動を受けた車輪部の回転動作により移動するようにし、
前記モーターモジュールは、回転する出力部を備えるモーター本体と、無線通信機能と、前記モーター本体の動作を制御する制御部を備える請求項1から6のいずれか1項に記載のテレプレゼンスロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレプレゼンスロボットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
テレプレゼンスロボットは、例えば、遠隔地からパソコンやスマートフォンなどでロボットを遠隔操作し、リアルタイムでロボットが伝送する映像や音声によって、自身がその場にいるかのように他人とコミュニケーションをとる機能を備えている。コミュニケーションをとるため、ロボット本体にテレビ会議システムを実装する。テレビ会議システムは、例えばカメラ・マイク・ディスプレー・スピーカー等を有する。
【0003】
また、テレプレゼンスロボットは各種のタイプがあるが、例えば、電動式の車輪などで自走できるものがある。係る自走タイプのテレプレゼンスロボットは、例えば遠隔操作により移動するロボット本体の頭部分にディスプレイを配置するともに、テレビ会議を行う各種機器を適宜位置に配置して構成される。これにより、現場から離れた遠隔地にいる操作者は、高品質なビデオ会議を行いながら、相手側にいるロボットを遠隔でコントロールすることで自分が主体となって誰とコミュニケーションをとり、どこの場所にいくのかをコントロールできる。ロボットが自分の分身として別の場所を歩きまわり、通話を行うことにより、存在感を相手に与えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の移動式のテレプレゼンスロボットは、1つのロボットシステムとして完成しており、拡張性に欠ける。また、1つのテレプレゼンスロボットが、一人の操作者の分身、アバターとして現場で移動して見回ったり、現場にいる人と会話したりするものであるということが固定概念化しており、様々な利用態様に柔軟に対応することが困難となっている。また、本人や現地の環境・状況等の要因から、実際に現地に行き観光、視察、面会、受診、診察等を行うのが困難な場合にテレプレゼンスロボットの利用を考えた場合に、それらの行為を複数人で行う場合に、使い勝手が悪い。
【0006】
上述した課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、本発明は、必ずしも記載した課題の全てを解決できる必要はなく、少なくとも一つの課題が解決できればよい。またこの課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上述した課題を解決するために、本発明のテレプレゼンスロボットは、複数の端末を取り付けた状態で、遠隔操作により移動が制御される移動ロボット本体を備え、前記複数の端末は、無線通信を用いたビデオ通話機能を備えるようにした。
【0008】
このようにすると、複数の端末のビデオ通話機能を用いて、各端末に接続したそれぞれの操作者は、各端末が撮影する移動ロボット本体の周囲の映像を遠隔地で見ることができるとともに、それぞれの端末のビデオ通話機能を用いて移動ロボット本体の周囲にいる現地の人と直接会話し、コミュニケーションをとることができる。そして、移動ロボット本体の移動に伴い、複数の端末は一緒に移動し、所定のエリア・箇所に移動することができる。つまり、従前のテレプレゼンスロボットのように、複数の操作者がそれぞれ用いた複数のテレプレゼンスロボットが連なって移動するのではなく、1台の移動ロボット本体で複数の操作者のビデオ通話を行うための端末を移動できるので、現地で場所をとらずコンパクトに収まる。また、移動ロボット本体の移動は一人の操作者が行えばよく、他の操作者は、移動中はそのまま操作をせずに待機したり、周囲を見たりすることができるのでよい。そして、当該他の操作者は、移動ロボット本体の移動を制御する必要がないので、現地の地図等を認識していなくても目的地まで到達できるのでよい。
【0009】
(2)前記複数の端末の内、少なくとも1つはその端末を移動して撮影領域を変更可能に取り付けるようにするとよい。このようにすると、例えば移動ロボット本体の移動方向と異なる方向など異なるエリアを見たり、移動ロボット本体の周囲にいる人と正対した状態で会話したりすることができるのでよい。
【0010】
(3)前記撮影領域を変更可能にする構成は、少なくとも1つの回転軸を有し、先端側に前記端末を保持する連結部材とするとよい。回転軸を回転中心として端末が例えば首振り動作のように移動し、所望の方向を向かせることができる。
【0011】
(4)前記回転軸は、遠隔操作により動作するモーターの出力軸の回転に伴い回転するように構成するとよい。このようにすると、遠隔操作により見たい領域をカメラで撮影し、見ることができ、また、周囲の状況を自由に観察、確認等することができるのでよい。
【0012】
(5)前記連結部材は、アーム部材を有し、前記回転軸を回転中心として前記アーム部材が正逆回転するようにするとよい。このようにすると、端末の移動範囲が広がるのでよい。
【0013】
(6)前記撮影領域を変更可能にする構成は、前記端末を着脱自在に保持する端末ホルダーとするとよい。このようにすると、例えば移動ロボット本体の周囲にいる人は、話したい人が表示されている端末を取り外し、自分と向かいあった状態で会話することができる。また、移動体ロボット本体から離れた場所にあるものを、取り外した端末とビデオ通話でつながる操作者に対して見せることができる。
【0014】
(7)前記移動ロボット本体は、モーターモジュールによる駆動を受けた車輪部の回転動作により移動するようにし、前記モーターモジュールは、回転する出力部を備えるモーター本体と、無線通信機能と、前記モーター本体の動作を制御する制御部を備えるとよい。このようにすると、移動ロボット本体の移動制御を容易に行える。このモーターモジュールを移動させる人は、移動ロボット本体に取り付けられた複数の端末のいずれかの操作者とするとよいが、全く別の人としたり、別の制御装置が行ったりしてもよい。端末の操作者の一人が行う場合、複数の人が団体行動しながら移動する様子を醸し出せるのでよく、その場合の移動ロボット本体の移動を制御するための人、機器は、固定されていてもよいし、権限を切り替えて複数の人が交代で制御できるようにするとよい。移動ロボット本体の移動を制御する機器は、端末とビデオ通信でつながる操作端末と別のものでもよいが、同じとし、操作端末を用いて移動ロボット本体の移動を制御できるようにするとより好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、複数の人が、現地に遠隔地からリモートで集まり、例えば団体行動で移動し、適宜の位置で周囲の状況を見たり、個々の人がそれぞれ現地の人と会話ができるようにしたりする状況等において、対応することができる。また、本人や現地の環境・状況等の要因から、実際に現地に行き例えば観光、視察、面会、受診、診察等を行うことが困難な場合でも、リモートで参加し同様の行為・行動を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係るテレプレゼンスロボットの好適な一実施形態を示す図である。
図2】本発明に係るテレプレゼンスロボットの好適な別の実施形態を示す図である。
図3】連結部材21の別の形態を示す図である。
図4】操作パネルウインドウの別の形態を示す図である。
図5】操作パネルウインドウの別の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0018】
図1に示すように、本実施形態のテレプレゼンスロボット1は、移動ロボット本体10と、移動ロボット本体10に取り付けられた複数の端末11を備えている。移動ロボット本体10は、ベース部材12と、ベース部材12との上面に起立形成した支持フレーム部材13と、ベース部材12に回転可能に取り付けた複数の車輪部14を備える。
【0019】
複数の車輪部14のうち、少なくとも1つは駆動モーターに連係されており、駆動輪となる。駆動モーターは、遠隔操作により回転が制御可能になり、例えば回転のオンオフ,回転速度,回転方向等が制御される。また、駆動モーターを複数備える場合、個々の駆動モーターごとに動作を制御できるようにするとよい。この駆動モーターの回転に伴いベース部材12ひいては移動ロボット本体10が移動する。さらに、移動ロボット本体10は、進行方向の向きを変える機能を備える。この向きを変える機能は、例えば、車輪部14に操舵角を変える機構を備えてもよいし、例えば左右の車輪部14にそれぞれ駆動モーターを連携し、左右の駆動モーターの速度を調整することで直進したり曲がったりするように構成してもよく、各種の構成をとれる。
【0020】
駆動モーターは、別途設けた制御装置からの指令を受けて動作するものでもよいが、例えば特許第6108645号公報に開示されたモーターモジュールシステムを構成するモーターモジュールのように回転する出力部を備えるモーター本体と、無線通信機能と、制御部を備えたものとするとよい。このようにすると、構成が簡略化でき、小型化が図れるのでよい。そして、操作者が持つスマートフォン等の設定端末を操作し、各モーターモジュールの制御部に機能を割り付ける。これにより各モーターモジュールは、スマートフォン等の操作端末15からの無線通信による指示を受け、それぞれが所定の動作を行う。
【0021】
図示の例では、左右に設けた2つの車輪部14にそれぞれ駆動モーター(モーターモジュール)を連係し、ベース部材12に隠れているが後方側にフリーの車輪部を設ける。使用に際し、2つの駆動モータ(モーターモジュール)に、それぞれの機能(左側の車輪/右側の車輪)を設定する。これにより、設定後の実際の動作においては、操作端末15からの無線通信を用いた指示を受信した各駆動モーターの制御部が、指示に対応するようにモーター本体の動作を制御する。例えば、受信した指令が前進移動の場合、両方の車輪部14が同一方向に同速度で回転するようにモーター本体を駆動し、受信した指令が後退移動の場合、上記とは逆方向に同速度で回転するようにモーター本体を駆動する。また、例えば受信した指令が右折移動の場合、左側の車輪部14が高速度で回転するように左側の駆動モーターの制御部は、例えばモーター本体の回転数を速くし、右側の車輪部14が高速度で回転するように右側の駆動モーターの制御部は、例えばモーター本体の回転数を遅くするような制御を行う。左折の場合は上と逆の制御を行う。また、速度差を変えることで、方向変換する際の移動半径を変える(小回り/大回り)ようにしてもよい。
【0022】
上記のように複数の駆動モーターを実装する場合、個々のモーターモジュールにそれぞれバッテリを搭載してもよいが、より好ましくは例えばベース部材12の所定位置に配置した1つのバッテリから複数のモーターモジュールに電源供給するように構成するとよい。
【0023】
支持フレーム部材13は、図示の例では、略U字状の枠体を、天地を逆にした形態としているが、その形状は任意であり、例えば略コ字状を90度回転した形態とするなど各種の形状をとれる。また、図示のように帯状を適宜に折り曲げた形態ではなく、板状、箱状などとしたり、複数の支柱を起立するようにしたりする等の各種の構成をとれる。
【0024】
この支持フレーム部材13の所定位置に、端末11を備える。端末11は、カメラ、ディスプレイ、マイク、スピーカー、無線通信機能、それらの動作を司る制御部等を備える。端末11は、例えばスマートフォンやタブレットなどの携帯端末を用いるとよい。これらの携帯端末は、上述したハードウェア構成を基本機能として備えているのでよい。そして、個々の端末11は、無線通信により遠隔地にいる操作者が持つ携帯端末やパーソナルコンピュータ等の操作端末15と通信し、ビデオ通話が可能なものである。
【0025】
図示の例では、端末11は5台装着されているため、操作端末15も5台存在する。操作端末15も、カメラ、ディスプレイ、マイク、スピーカー、無線通信機能、それらの動作を司る制御部等を備え、通信が確立した対応する端末11との間でビデオ通話が可能となる。よって、端末11のディスプレイ17には、対応する操作端末15を操作している操作者の顔が表示され、その操作端末15のディスプレイ16には、端末11のカメラで撮影した映像が表示される。
【0026】
複数(ここでは5台)の端末11のうちの1つは代表者端末となり、その代表者端末ひいてはその代表者端末と通信が確立している操作端末15が、移動ロボット本体10の移動、すなわち、車輪部14に実装された駆動モーターの動作の制御の権限を有する。代表者端末となった端末11のディスプレイ17には、代表者端末であることがわかる態様で表示する。わかる態様は、実施形態では、王冠のマークMを表示している。このマークMの表示位置は、例えば上方など固定した位置に表示してもよいが、画像認識、顔抽出技術等により、ディスプレイ17に表示された顔の位置を特定し、その顔の頭部に重なるようにマークMを描画するとよい。このようにすると、ディスプレイ17に表示された人、すなわち、移動ロボット本体10の移動の制御を行う代表操作者が王冠をかぶっている感じが醸し出され、代表操作者であることを、各端末を見た人が直感的に理解できるのでよい。
【0027】
代表操作者が操作する操作端末15は、例えばスマートフォンやタブレットのような携帯端末でもよいが、移動ロボット本体10の操作と、テレビ通話の両方の操作を行うことから、ディスプレイの画面も大きく、キーボードやマウスなどの多岐の入力装置を利用可能なパーソナルコンピュータ等を用いるとよい。
【0028】
例えば操作端末15をパーソナルコンピュータで構成した場合、そのディスプレイ16の表示画面に、対応する端末11で撮影した映像を表示し、その映像に重ねて操作パネルウインドウ18を表する。操作パネルウインドウ18は、移動ロボット本体10の移動方向を決定する進路ボタン部19と、速度ボタン部20等を備える。
【0029】
進路ボタン部19は、図では、前進/左旋回/右旋回/後退を指示する4つのボタン領域を備える。ポインティングデバイスを操作し、4つのボタン領域のいずれかを選択すると、移動ロボット本体10が例えば前進、その場で左旋回、その場で右旋回、後退の動作をするように駆動モーターが所定の回転動作をする。また、図示の例では、移動停止を指示するボタン領域を備えていないため、例えば、ボタン領域を押し続けている間、その領域で特定される動作をするようにしたり、最後にクリックしたボタン領域で特定させる動作を行い、同じボタン領域を再度クリックすると停止するようにしたりするとよい。また、停止ボタン領域を設けるレイアウトをとってもよい。
【0030】
移動ロボット本体10の移動方向を指示するための操作ユーザインタフェースとしては、上記の例示したものに限るものではなく、各種の態様をとれる。例えば、図4に示すように、操作エリア31に表示した操作ポイント部(この例では、円)Pを移動したい方向に引っ張るスワイプ操作により指示するように構成するとよい。このようにすると、移動ロボット本体10の移動方向を直感的に指示できるのでよい。
【0031】
そして、複数のユーザインタフェースを用意し、UI切替ボタン部32を配置し、このUI切替ボタン部32をタッチすると、操作パネルウインドウ18に表示するインタフェースを変える処理を行うとよい。
【0032】
また、例えば図5に示すように、ロボットの反転ボタン部33を配置し、この反転ボタン部33がタッチされると、例えばあらかじめ決められた角度だけ動くようにするとよい。予め決められた確度を180度にすると、反対方向に進むように反転するが、180度に限るものではない。また、係る反転ボタン部33を図4に示すスワイプ操作によるユーザインタフェースに組み込んでもよい。
【0033】
速度ボタン部20は、移動ロボット本体10の移動速度、すなわち、モーターの回転数を設定するもので、L(低速)/M(中速)/H(高速)の3つのボタン領域を備える。最後にクリックしたボタン領域の速度で動作する。
【0034】
本実施形態のテレプレゼンスロボットによれば、複数の操作者とビデオ通話可能な端末11が、1つの移動ロボット本体10に搭載され、一緒に移動する。これにより、例えば、複数人参加のツアー体験のように、遠隔地にいる操作者が同じ地域・領域を移動し、周囲を見学したり、現地にいる人とビデオ通話により話したりすることができる。例えば、ツアー体験の場合、ツアーガイドとなる人が代表操作者となり、自己の操作端末15を操作し、移動ロボット本体10を所望の場所に移動する。例えば、ガイドする施設内や街中を移動し、見学箇所に来たら移動ロボット本体10の移動を一時停止するとともに、移動ロボット本体10を見学すべき方向に向ける。これにより各端末11は見学すべき方向を向くため、各端末11が備えたカメラが見学対象物を含む領域を撮影し、それを各端末11にそれぞれ接続した操作端末15に送る。よって、各操作端末15のディスプレイ16には、対応する端末11が撮影した映像が表示され、それを持つ操作者(参加者)は、その見学対象物等を、操作端末15を介して見ることができる。そして、図1に示すように、代表者端末を含め全ての端末11が同じ方向を向くように設置した場合、各操作端末15のディスプレイには、代表操作者が操作する操作端末15のディスプレイ16に表示された映像とほぼ同じ見学対象物が表示される。
【0035】
よって、複数の参加者は、それぞれが個々の端末11で参加し、同時に目的地まで移動することができ、移動中或いは移動先で同じものを見ることができる。さらに、例えばツアーガイドとなる代表操作者が、説明その他の話しを口頭で行うと、それを操作端末15のマイクがひろい、端末11(代表者端末)のスピーカーから音声出力する。すると、各端末11のマイクがその出力された音声を拾い、それぞれの操作端末15のスピーカーから音声出力する。これにより、各参加者は、見学対象物を見ながら代表操作者の話をリアルタイムで聞くことができる。
【0036】
さらに、各端末11は、それぞれの操作端末15とビデオ通話可能に接続されているため、例えば、各参加者は、テレプレゼンスロボット1がある現地にいる人と、ビデオ通話を用いてコミュニケーションをとることができる。例えば、現地がお店であれば店員と話をして商品の内容を確認の上で購入し、また、施設であれば説明員など施設の人と話をして展示品等についてより詳細な内容等を確認することができる。
【0037】
更に各参加者は、それぞれが携帯する操作端末15を任意の場所で操作することができるので、各参加者はそれぞれ異なる場所から参加することができる。このように、本実施形態のテレプレゼンスロボット1は、複数の参加者が、実際に現地に行くことなく、リモートで現地の現在の様子を確認したり、現地の人とコミュニケーションをとったりすることができる。しかも代表操作者以外の参加者は、移動ロボット本体10を移動するといった煩雑な操作をすることなく目的地に到達し、そこで各自で見学等したり、コミュニケーションをとったりすることができる。例えば、ツアーガイドが現地に行き、現在の様子を撮影し、音声とともに配信し、参加者がその配信された映像を見ながら音声による説明・案内を聞くようなオンラインツアーと相違し、参加者が対応する端末11を利用して個々に直接現地の人とコミュニケーションをとることができる。さらに、本実施形態では、代表操作者を含め参加者全員が現地に行かずに遠隔地から操作・見学等をすることを特徴とする。これにより、例えば、人が進入するのが危険等好ましくないエリアにも進入し現地の状況等を複数人で同時に確認することができる。
【0038】
図2は本発明の別の実施形態を示している。本実施形態では、端末11の姿勢や支持フレーム部材13に対する相対位置を変更し、端末11のカメラの撮影領域等を変えることができるようにしている。撮影領域の変更は、例えば端末11を移動させて撮影方向・視野方向を変えたり、同一方向であっても前方或いは後方に移動して撮影範囲を変えたりするなど各種の対応がとれる。撮影領域等を変更可能にするための構成としては、例えば、少なくとも1つの回転軸を有し、例えば先端側で端末11を保持する連結部材21や、端末11を着脱自在に保持する端末ホルダー22等とするとよい。
【0039】
連結部材21は、例えば図2中、右下の端末11を保持するもののように、支持フレーム部材13の所定位置に取り付ける第1部材25と、端末11を取り付ける第2部材26と、第1部材と第2部材26を回転自在に連結する回転部材27を備え、その回転部材27の回転軸を上下方向に延びるように配置するものとするとよい。このようにすると、第2部材26ひいてはそれに取り付けられた端末11が、回転部材27の回転軸周りに正逆回転し、左右に首振り動作を行う。これにより、端末11の向きが、水平平面内で旋回し、移動ロボット本体10の進行方向前方に対し任意の角度の横を向くことが可能となる。
【0040】
また、この回転部材27を、例えば上述した通信機能と制御部等を備えたモーターモジュールを用いるとよい。このようにすると、遠隔操作によりモーター本体の回転ひいては端末11の向きを制御できる。そして、その端末11と接続された操作端末15に、そのモーターモジュールの制御機能を実装するとよい。これにより、この端末11と接続された操作端末15を持つ参加者は、例えば移動ロボット本体10の移動中或いは一時停止中に、モーターモジュールの動作を制御して端末11の向きを変えることで、移動ロボット本体10の前方と異なる方向の領域を見ることができる。よって、例えば観光ツアーにおいてバス等の移動手段で移動中に、進行方向前方ではなく横など異なる方向の景色を見るのと同様の状況を醸し出すことができる。また、代表操作者が目的地で移動ロボット本体10を見学対象物に対して正対させた状態にあるとき、端末11を首振り動作させて周囲の異なるエリアを見たり、周囲にいる現地の人に端末11を正対させた状態でビデオ通話によるコミュニケーションをとったりすることなど、実際に現場に行ったリアルの行動に近い状況を作り出すことができる。
【0041】
また連結部材21の別の構成としては、例えば、図2中、右上の端末11を保持するもののように、回転軸を水平方向に延びるように配置し、端末11を上下に首振り動作できるように構成してもよい。係る動作を行うための構造としては、上述した左右に首振り動作させる構成におけると同様のものを利用し、第1部材と第2部材を連携する回転部材における回転軸の向きを90度変更するとよい。このようにすると端末11が向く方向を移動ロボット本体10の前方で水平方向から、斜め上方や斜め下方を向かせることができ、見る領域を変更したり、見物対象物に対して正対したり、コミュニケーションをとる現地の人と正対したりすることができるのでよい。
【0042】
また図示省略するが、上下方向に延びる回転部材と水平方向に延びる回転部材を用意、適宜に連結することで、端末11を左右の首振りと上下の首振りを行えるようにするとなおよい。
【0043】
また、図3に示すように、連結部材21は、例えば第1部材25と第2部材26の間に、1または複数のアーム部材28を配置し、各部材間を回転部材27で回転可能に連結するとよい。このようにすると、端末11の移動範囲が広くなり、例えば移動ロボット本体10から離れた位置まで端末11を移動し、その離れた位置で撮影した映像を見ることができ、当該離れた位置にある撮影対象物を高精度に撮影することが可能となる。また、当該離れた位置にいる人とのコミュニケーションも容易にとれる。そして、各回転部材27は、上述したものと同様に、遠隔操作ができるモーターモジュールを用いるとよい。
【0044】
端末ホルダー22は、例えば図2中、左下の端末11を保持するもののように左右に配置された一対のガイド部材30を備え、その一対のガイド部材30間の間隔を変更可能に構成する。そして、左右のガイド部材30間の間隔を装着する端末11の横幅よりも広くした状態でガイド部材30間に端末11を配置し、その状態でその間隔を狭めて左右のガイド部材30にて端末11を挟み込み保持する。そして、所定の保持機構によりガイド部材30間の間隔が広がらないようにすることで、端末11を保持する。一方、ガイド部材30間の間隔を広くすることで端末ホルダー22から端末11を取り出す。保持機構は、例えばメカ的なロック機構や、コイルスプリング等の弾性部材の弾性復元力を利用した機構などとするとよい。
【0045】
このようにすると、端末ホルダー22に保持された端末11は、例えば、移動ロボット本体10の周囲にいる人が端末ホルダー22を操作して端末11を取り外し、所定の場所に移動することで、移動ロボット本体10から離れた任意の場所に移動して周囲の任意の領域を撮影したり、移動ロボット本体10の正面と異なる位置にいる人とコミュニケーションをとったりすることができる。
【0046】
なお、図2中、左上の端末11と中央の端末11は、上述した各例のようにカメラの撮影方向等を変える連結部材21を介することなく、支持フレーム部材13に取り付けており、移動ロボット本体10の前方を撮影するように構成される。
【0047】
本実施形態のように、 連結部材21を介して端末11を支持フレーム部材13に取り付け、カメラの撮影方向等を変えることができるようにすると、例えば観光ツアーや施設内の見学などに用いた場合、参加者が実際に現地に滞在しているような状況を作り出すことができる。さらに、適用例としては、例えば、病院における院長回診等がある。例えば、複数の医師が参加者となり、移動ロボット本体10が病院内を移動し、各病室内に進入する。そして、病室内では、例えば代表者端末の操作者である院長や、主治医が操作する端末11のビデオ通話機能を利用して入院患者の診察等を行い、他の医師は、自己が操作する端末の向きを変え、例えば医療機器のモニターや周辺の様子を確認したり、別の患者の診察等を行ったりするなど、直接面談するのと同様の行為が行える。
【0048】
また、端末ホルダー22に取り付けられている端末11を取り外すことで、各入院患者の診察等が可能となる。本実施形態では、個々の端末11には、ビデオ通話で接続されている操作端末15の操作者(例えば医師)の姿が、操作端末15のカメラで撮影され、それが各端末11に表示される。よって、テレプレゼンスロボット1の周囲にいる人(患者等)は、それぞれの操作者(医師)の顔を確認し、会話をしたい人の端末11を取り外し、相談等を行うことができる。
【0049】
連結部材21として、フレキシブルアームなどのように手動によりアーム部材の適宜の位置を折り曲げることで先端に取り付けた端末11の向きや位置を変えるような構成を用いてもよい。このようにすると、例えば移動ロボット本体10から離れた位置に端末11を移動させることができるとともに、現地にいる人が所望の箇所に端末11を位置させてカメラで撮影させることができるので、端末ホルダー22から端末11を取り外すのと同様の効果を得られる。さらに、端末11は連結部材21を介して移動ロボット本体10に取り付けられた状態のため、会話をする人は端末11を手で持つ必要がなく煩雑さが軽減し、また、取り外した端末11の端末ホルダー22への再装着を忘れて端末11がセットされない状態のまま移動ロボット本体10が移動してしまうおそれもないのでよい。
【0050】
また、上述した実施形態では、端末11の支持フレーム部材13に対する取り付け機構として、連結部材21や端末ホルダー22を用いたり、それら端末11の視点等を変える機構を設けることなく取り付けたりするなど、各種の態様を混在させているが、全ての端末を連結部材21或いは連結部材21と端末ホルダー22の組み合わせ構造とするとよい。このようにすると、各端末11は、移動ロボット本体10とともに移動し、移動ロボット本体10の移動方向と異なる方向を向くことができるのでよい。
【0051】
上述した実施形態では、端末11を首振り動作させて視点を変える機能や、アーム部材を用いて端末11を移動して視点を変える機能を備え、その動作は、装着された端末11のビデオ通話がつながる操作端末15からの指令により行うようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、別の操作端末15、さらには別の機器からの指令により行うようにしてもよい。
【0052】
このようにすると、例えば、代表操作者が、各連結部材21の動作、すなわち、回転部材27を構成するモーターモジュールの動作を一括して行うことで、各端末11を移動ロボット本体10の移動方向と異なる方向に向かせることができる。これにより、例えば各端末11を連結部材21(先端に端末ホルダー22を取り付けたものも含む)を介して支持フレーム部材13に取り付けるように構成すると、例えばツアーにおいて代表操作者であるツアーガイドが、全員の視点を一斉に見せたい見学対象物に向かせることができる。
【0053】
例えば、係る代表操作者が操作する操作端末15から各回転部材27のモーターモジュールに指令を送るようにした場合、代表操作者のみが各回転部材27の動作を制御できるようにしたり、代表操作者と操作者の双方が各回転部材27の動作を制御できるようにしたりするとよい。双方が制御を行えるようにすると、例えば通常は各参加者(操作者)がビデオ通話でつながっている端末11の向き等を制御し、必要なときに代表操作者が全ての端末11の向きを揃えることができる。双方が制御できる場合、例えば代表操作者と参加者との競合が発生した場合にどちらの指令に従うかの優先順位を設定しておくとよい。これらの設定は、例えばモーターモジュールに機能設定する際に行うとよい。
【0054】
端末ホルダー22は、端末11が装着されているか否かの装着状態を検知する手段を備えるとよい。この検知する手段は、接触式のセンサ・スイッチや、非接触の近接センサ等で構成するとよい。そして例えば、端末ホルダー22に通信機能を持たせ、装着状態を所定の操作端末15等に送信する機能を備えるとよい。所定の操作端末15としては、例えば端末ホルダー22に装着させる端末11と通信を確立する操作端末15や、代表操作者が操作する操作端末15等とするとよい。このようにすると、例えば端末11とビデオ通信を確立する操作端末15を持つ参加者は、当該端末11が端末ホルダー22にセットされているのか、取り外されているのかが容易にわかるのでよい。また、代表操作者の操作端末15に通知が来るようにした場合、代表操作者は、全ての端末11が端末ホルダー22にセットされているか否がわかるので、例えば一部または全部の端末11が取り外された状態で移動ロボット本体10を移動させ、端末11が現地に置き忘れられる事態の発生を抑制できる。
【0055】
操作端末15へ送信する機能は、端末ホルダー22に直接通信する機能を備えてもよいが、例えば近距離無線通信機能を搭載し、端末ホルダー22に着脱される端末11や代表者端末に通知し、その端末11或いは代表者端末からそれぞれの操作端末15に送るようにするとよい。
【0056】
また、装着状態の通信先は、操作端末15に限ることはなく、例えば移動ロボット本体10の駆動モーターを構成するモーターモジュールとするとよい。そして、モーターモジュールの制御部は、端末ホルダー22から取り外し状態の端末11が存在する場合には、回転動作しないようにし、現地に端末を置き忘れる事態の発生を未然に防止するとよい。
【0057】
また、連結部材21の動作制御を行う権限は、上述したものに限ることはなく、他の参加者の操作端末15から行える機能を備えるとよい。このようにすると、例えば、ある参加者が別の参加者の端末の視点を動かし、おすすめの視点を見せるようにするとよい。
【0058】
また、移動ロボット本体10の移動を制御する権限を切り替え、別の操作者(参加者)が代表操作者となって移動ロボット本体10の移動を制御できるようにするとよい。
【0059】
また、移動ロボット本体10を移動させる駆動方式は、上述した各実施形態では、制御部を備えたモーターモジュールを用いたが、通常のモーターその他の駆動方式を用いてもよい。
【0060】
以上、本発明の様々な側面を実施形態並びに変形例を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
【符号の説明】
【0061】
1 :テレプレゼンスロボット
10 :移動ロボット本体
11 :端末
12 :ベース部材
13 :支持フレーム部材
14 :車輪部
15 :操作端末
16 :ディスプレイ(操作端末用)
17 :ディスプレイ(端末用)
18 :操作パネルウインドウ
19 :進路ボタン部
20 :速度ボタン部
21 :連結部材
22 :端末ホルダー
25 :第1部材
26 :第2部材
27 :回転部材
28 :アーム部材
30 :ガイド部材
図1
図2
図3
図4
図5