(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022032367
(43)【公開日】2022-02-25
(54)【発明の名称】マウスシールド
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20220217BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020136055
(22)【出願日】2020-08-11
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年7月30日に、源良友が株式会社ツジショーにメール送信したことにより公開。 〔刊行物等〕 令和2年8月5日に、源良友が株式会社ツジショーにメール送信したことにより公開。 〔刊行物等〕 令和2年8月8日に、源良友が株式会社ツジショーにメール送信したことにより公開。 〔刊行物等〕 令和2年8月5日に、源良友が広島県議会議員中原好治に対して、新型コロナウイルス感染症感染拡大防止策を提言したことにより公開。
(71)【出願人】
【識別番号】517143160
【氏名又は名称】源 良友
(74)【代理人】
【識別番号】100161300
【弁理士】
【氏名又は名称】川角 栄二
(72)【発明者】
【氏名】源 良友
(72)【発明者】
【氏名】源 秋策
(57)【要約】
【課題】 口元への着脱が容易な、飛沫を遮蔽するマウスシールドを提供することを目的とする。
【解決手段】 口から放出される飛沫を遮蔽するマウスシールド1であって、口をカバーする遮蔽板10と、遮蔽板10から外側に向けて突出する環状体21とを備え、環状体21は、下から上に向けて反って延びる湾曲部20aを有し、左右に貫通する孔20bを有する。使用者は、湾曲部20aを動かすことで、遮蔽板10の姿勢を変えることができる。また使用者は、孔20bに指を挿入してマウスシールド1を持ったまま、カップCやグラスを把持することができる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口から放出される飛沫を遮蔽するマウスシールドであって、
口をカバーする遮蔽板と、
前記遮蔽板から外側に向けて突出する突起体とを備える
ことを特徴とするマウスシールド。
【請求項2】
前記突起体が、下から上に向けて反って延びる湾曲部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のマウスシールド。
【請求項3】
前記突起体が、左右に貫通する孔を有する環状体である
ことを特徴とする請求項2に記載のマウスシールド。
【請求項4】
前記環状体が、前記遮蔽板の縁から下に延び出る帯体が環状に巻かれてなる
ことを特徴とする請求項3に記載のマウスシールド。
【請求項5】
前記遮蔽板が軟質の樹脂からなる
ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のマウスシールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口から放出される飛沫を遮蔽するマウスシールドに関する。
【背景技術】
【0002】
感染症の主要な感染経路の一つに、飛沫感染が挙げられる。飛沫感染は、感染者のくしゃみ、咳、唾などの飛沫に含まれる病原体を、非感染者が吸い込むことにより発生する。飛沫感染を抑制するためには、飛沫の放出を抑制することが重要である。
【0003】
口から放出される飛沫を遮蔽するものとして、マスクが広く使用されている。マスクとしては、通気性を有する布で口を直接覆うものが一般的であるが、それ以外に、口の前面に樹脂製の透明な薄板を配置することで飛沫を遮蔽するものも知られている(特許文献1参照)。特許文献1に記載のマスクは、着用時でも薄板が口に接触していないため、口を動かしやすく話をしやすいというメリットがある。
【0004】
特許文献1に記載のマスクは、口の前面に配置される薄板の左右両端にゴムバンドが設けられており、このゴムバンドを耳に掛けることで薄板の位置が固定される。このマスクを着用した状態では、薄板が邪魔になり、飲食することはできない。そのため、何か食べたり飲んだりしようとすると、その度にマスクを外すか、薄板を顎にずらしたりする必要がある。しかし、マスクを着脱する動作や薄板をずらす動作は面倒であり煩わしい。そのため、飲食の際にはマスクを外したまま、薄板をずらしたままにしがちであり、そのまま発話をすると、飛沫が放出されることになる。
【0005】
そこで、飲食を伴う場においても、面倒な着脱動作を伴うことなく、容易に飛沫の放出を防止する手段が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記問題点を鑑みて、本発明は、口元への着脱が容易な、飛沫を遮蔽するマウスシールドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、口から放出される飛沫を遮蔽するマウスシールドであって、口をカバーする遮蔽板と、前記遮蔽板から外側に向けて突出する突起体とを備えることを特徴とするマウスシールドである。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、マウスシールドを口元から離した際には突起体を指に掛けて保持でき、マウスシールドを口元に配置する際には突起体を指で挟んで移動できるため、口元への着脱が容易なマウスシールドを提供することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記突起体が、下から上に向けて反って延びる湾曲部を有することを特徴とする請求項1に記載のマウスシールドである。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、湾曲部を親指で動かすことで遮蔽板の姿勢を変えることができ、すばやく着用することが容易なマウスシールドを提供することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記突起体が、左右に貫通する孔を有する環状体であることを特徴とする請求項2に記載のマウスシールドである。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、環状体の孔に指を挿入することで、マウスシールドを持ったままカップやグラスなどを把持することが可能なマウスシールドを提供することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、前記環状体が、前記遮蔽板の縁から下に延び出る帯体が環状に巻かれてなることを特徴とする請求項3に記載のマウスシールドである。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、遮蔽板と環状体を一体の部材から構成することができ、低コストのマウスシールドを提供することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、前記遮蔽板が軟質の樹脂からなることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のマウスシールドである。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、遮蔽板と顔との間の隙間が小さくなるように、遮蔽板を湾曲することが可能なマウスシールドを提供することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、口元への着脱が容易なマウスシールドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係るマウスシールドを示す図であって、口元に配置した状態を示す概略斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るマウスシールドを示す図であって、組み立てる前の状態を示す平面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るマウスシールドを示す図であって、組み立てた後の状態を示す側断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るマウスシールドの使用状態を示す図であって、(a)はマウスシールドを口元に配置した状態を示す部分側断面図であり、(b)はマウスシールドを口元から外した状態を示す部分側断面図である。
【
図5】本発明の他の実施形態に係るマウスシールドを示す図であり、(a)は他の実施形態の一の例の側断面図及び矢視図であり、(b)は他の実施形態の他の例の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施形態)
次に、本発明を適用したマウスシールドの実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な実施形態であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0021】
本発明の実施形態に係るマウスシールドの動作及び構成について、
図1~4に基づき説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るマウスシールドを示す図であって、口元に配置した状態を示す概略斜視図である。
図2は、本発明の実施形態に係るマウスシールドを示す図であって、組み立てる前の状態を示す平面図である。
図3は、本発明の実施形態に係るマウスシールドを示す図であって、組み立てた後の状態を示す側断面図である。
図4は、本発明の実施形態に係るマウスシールドの使用状態を示す図であって、(a)はマウスシールドを口元に配置した状態を示す部分側断面図であり、(b)はマウスシールドを口元から外した状態を示す部分側断面図である。
【0022】
まず、本発明の実施形態に係るマウスシールドの基本的な構成について
図1を参照して説明する。
図1に示すように、マウスシールド1は、口から放出される飛沫を遮る遮蔽板10、遮蔽板10から口と反対側の外側に突出する環状体21を有している。使用者は、環状体21の孔に指を挿入して、口からの飛沫が遮蔽板10で遮蔽されるように、マウスシールド1を口元に配置する。また、遮蔽板10の上端には、鼻の両脇の隙間を塞ぐ遮蔽片13,13が設けられている。
図1に示すように、遮蔽板10は使用者が指で挟むことで湾曲しており、これにより顔との間の隙間が狭まっている。
【0023】
次に、本発明の実施形態に係るマウスシールドの詳細な構成について
図2,3を参照して説明する。
図2の平面図に示すように、組み立てる前のマウスシールド1は、一枚の薄いシートから構成される。シートの材料は任意に選択できるが、PP、PVC、PETなどの透明な軟質の樹脂が好適に使用される。組み立てる前のマウスシールド1の中央には、略矩形の遮蔽板10があり、遮蔽板10の上端には遮蔽片13,13が繋がっている。遮蔽板10の下の縁10aからは、その中央で帯体11が下に向けて延び出ている。遮蔽板10における帯体11の上方には、左右に延びる切込12a,12bが設けられており、切込12aと切込12bとの間に挟込部12が形成されている。
【0024】
次に、組み立てた後のマウスシールド1について
図3に基づき説明する。
図3は左右中央線での断面を示す側断面図であり、図における左側に口が位置するようマウスシールド1は配置される。遮蔽片13は、遮蔽板10に対して、左に向けて直角に折り曲げられている。帯体11は、反時計方向に環状に巻かれるとともに、切込12a,12bそれぞれを貫通し、挟込部12により挟まれて固定されている。これにより、口から反対側の外側に向けて遮蔽板10から突出する環状体21が形成される。環状体21は、下から上に向けて反って延びる湾曲部20aを有する。また環状体21は、左右に貫通する孔20bを有する。環状体21は遮蔽板10の下端に配置されており、これにより、環状体21はマウスシールド1全体の重心より下に位置することになる。
【0025】
このようにマウスシールド1は、一枚の薄いシートを折り曲げ、一部分を巻いて切込に挿入するだけで組み立てられるので、低コストで提供することができる。またマウスシールド1は組み立てが容易であり、使用者が実際に使用する場面で、初めて組み立てることもできる。そのため、マウスシールド1をストックする場合でも、薄いシートを重ねておくだけでよいため、収納スペースを多く必要としない。
【0026】
なお、環状体21を構成するのに切込12a,12bは必須ではなく、例えば帯体11を環状に巻いて接着や粘着テープなどで留めることも可能である。また、マウスシールド1は、一枚のシートから組み立てるのではなく、複数の部品を結合して構成することも可能である。例えば、予め環状に構成しておいた環状体21を接着や粘着テープなどで遮蔽板10に結合することも可能である。
【0027】
次に、マウスシールド1の使用方法について、
図4を参照して説明する。なお、
図4におけるマウスシールド1は、左右中央線での断面を示す側断面図として示している。
図4(a)に示すように、使用者は、環状体21の孔20bに人差し指Fを挿入し、親指と挟むことで遮蔽板10を直立させた姿勢に保ちつつ、マウスシールド1を口元に配置する。この状態で使用者が発話しても、口から放出される飛沫は遮蔽板10により遮られる。また、鼻の両脇には、遮蔽板10から垂直に延び出る遮蔽片13が配置されているため、飛沫が漏れにくくなっている。また、使用者は、鉤型に曲げた人差し指Fと親指とで遮蔽板10を挟むことで、遮蔽板10は左右に湾曲し、顔との間の隙間が狭まり、飛沫を漏れにくくすることができる。
【0028】
使用者は、発話を止めて飲食などする際には、マウスシールド1を口元から離す必要がある。この際に、遮蔽板10を挟んでいた人差し指Fと親指の圧力を緩めると、環状体21の孔20bを通る人差し指Fを中心に、マウスシールド1は回転可能となる。この状態で、遮蔽板10を親指で押すか、遮蔽板10を図における時計方向に傾けると、マウスシールド1は図における時計方向に回転する。そしてマウスシールド1の重心が人差し指Fより下に位置する姿勢で止まる。この姿勢においては、マウスシールド1は人差し指Fで吊り下げられており、遮蔽板10は、
図4(b)に示すように指の関節の外側に位置する。そのため使用者は、マウスシールド1を保持したまま、手のひらを自由に使うことができ、例えば
図4(b)に示すように、飲み物の入ったカップCを握ることが可能となる。このようにして、使用者はマウスシールド1を持ったまま、飲食することができる。
【0029】
使用者が飲食をいったんやめて発話するために、マウスシールド1で口を遮蔽する場合は、環状体21の湾曲部20aを親指で押さえて下に下げる。するとマウスシールド1は、
図4における反時計方向に回転する。そして
図4(a)に示すように、遮蔽板10が環状体21より上に位置して直立する姿勢で止め、口元に配置する。これにより、発話の際に口から放出される飛沫は遮蔽板10により遮られる。
【0030】
このように、使用者は環状体21を操作することで、マウスシールド1を容易に着脱することができる。また、環状体21の湾曲部20aを動かすことで、遮蔽板10の姿勢を変えることができる。また、環状体21の孔20bに指を挿入しておくことで、マウスシールド1を手放さず常時持っておくことができ、またマウスシールド1を持ったままカップやグラスなどを把持することが可能となる。また、遮蔽板10を指で挟むことで左右に湾曲させることができ、これにより顔との間の隙間を狭め飛沫を漏れにくくすることができる。
【0031】
(他の実施形態)
次に、本発明を適用したマウスシールドの他の実施形態について
図5に基づき説明する。
図5は、本発明の他の実施形態に係るマウスシールドを示す図であり、(a)は他の実施形態の一の例の側断面図及び矢視図であり、(b)は他の実施形態の他の例の側断面図であり、いずれも左右中央線での断面を示す。
【0032】
(他の実施形態の一の例)
先述の実施形態では、使用者がマウスシールド1を回転させる際には、
図4に示すように、環状体21の湾曲部20aを親指で押さえて操作する。ここで、
図5(a)に示すように、環状体21を構成する帯体11に切欠11aを設け、起立部20cを折線11bで外側に向けて折っていれば、使用者は親指で起立部20cを引っ掛けることにより、マウスシールド1を容易に回転させることができる。なお起立部20cはこの構成に限られず、湾曲部20aから外側に突出する突起であれば、親指で引っ掛けて回転させることが容易となる。また突起ではなくとも、湾曲部20aに段差などが設けられていれば、同様に親指で引っ掛けて回転させることが容易となる。
【0033】
(他の実施形態の他の例)
また、先述の実施形態では、
図2,3に示すように、遮蔽板10から延び出る帯体11を環状に一周巻いて環状体21を構成していたが、周回させず、遮蔽板から外側に向けて突出する突起体として構成することも可能である。
図5(b)に示すマウスシールド2は、突起体20の端部は遮蔽板10と接触せず若干の隙間が設けられているものの、下から上に向けて反って延びる湾曲部20aを有している。そのため使用者は、先述の実施形態と同様に、マウスシールド2を持ったままカップやグラスなどを把持することができ、また、突起体20の湾曲部20aを動かすことで、遮蔽板10の姿勢を変えることができる。
【0034】
また突起体20の形状も
図5(b)に示すものに限られず、任意の形状に設定することができる。着用時の姿勢において遮蔽板10から外側に向けて突出する突起体20が存在することで、口元から離した際に突起体20を指に掛けてマウスシールドを保持することが可能となる。また突起体20を指で挟んでマウスシールドを移動させることができ、口元への着脱が容易となる。
【0035】
また、先述の実施形態では、
図1~3に示すように、遮蔽板10から垂直に延び出る遮蔽片13は、遮蔽板10の上端にのみ設けられていたが、設置する場所はここに限られず、遮蔽板10の左右の端部や下端などにも適宜設けることもできる。これにより、顔とマウスシールドとの間の隙間をより狭くすることができる。また、隣接する遮蔽片同士を結合することで強度を高めることもできる。一方、遮蔽片13を設けることなく、遮蔽板10のみで飛沫を遮蔽するよう構成することも可能である。また、遮蔽板10を、平板でなく予め湾曲させて構成することも可能である。
【符号の説明】
【0036】
1,2 マウスシールド
10 遮蔽板
10a 縁
11 帯体
11a 切欠
11b 折線
12 挟込部
12a,12b 切込
13 遮蔽片
20 突起体
20a 湾曲部
20b 孔
20c 起立部
21 環状体
C カップ
F 人差し指