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特開2022-32399海水マイクロプラスチックの同期収集およびサンプル製造のための一体化装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022032399
(43)【公開日】2022-02-25
(54)【発明の名称】海水マイクロプラスチックの同期収集およびサンプル製造のための一体化装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/04 20060101AFI20220217BHJP
   B01D 29/01 20060101ALI20220217BHJP
   B01D 29/90 20060101ALI20220217BHJP
   B01D 39/20 20060101ALI20220217BHJP
   B01D 39/12 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
G01N1/04 M
B01D29/04 510C
B01D29/04 510E
B01D29/04 520F
B01D29/04 530A
B01D29/42 501A
B01D39/20 B
B01D39/12
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020136123
(22)【出願日】2020-08-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】512000569
【氏名又は名称】華南理工大学
(71)【出願人】
【識別番号】520304457
【氏名又は名称】広州市金佰達生物環保科技有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】517220748
【氏名又は名称】中国科学院広州能源研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100088063
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 康治
(72)【発明者】
【氏名】牛暁君
(72)【発明者】
【氏名】張冬青
(72)【発明者】
【氏名】張茘
(72)【発明者】
【氏名】郭華芳
(72)【発明者】
【氏名】劉敏茹
(72)【発明者】
【氏名】唐志華
(72)【発明者】
【氏名】程麗華
【テーマコード(参考)】
2G052
4D019
4D116
【Fターム(参考)】
2G052AA18
2G052AC05
2G052AD12
2G052BA14
2G052BA22
2G052CA02
2G052CA11
2G052EA03
2G052EB11
2G052FB10
4D019AA03
4D019BA02
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4D019CB01
4D019CB02
4D019CB04
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4D116TT07
4D116UU01
4D116UU19
4D116VV10
4D116VV16
4D116VV30
(57)【要約】      (修正有)
【解決手段】海水マイクロプラスチック同期収集およびサンプル製造のための一体化装置であって、海水粗製サンプルを収集するための海水コネクタ1と、海水粗製サンプルを収容するためのタンク41と、タンク内部まで延伸する外筒体51と、外筒体の底部に設けられた濾過アセンブリ56と、内部に正負の圧力をかけるための通気アセンブリ55とを含む。
【効果】海水を収集すると同時に検出可能なサンプルを製造でき、サンプル洗浄、分離および加圧濾過などの製造プロセスは1つの装置内で行われ、複数の移送ステップを削減し、移送過程中サンプルの汚染および損失のリスクを低減できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプリングサイトで海水粗製サンプルを収集し予備濾過する海水コネクタ(1)と、
前記海水コネクタ(1)から引き出された輸送管路(2)と、
前記輸送管路(2)上に設けられ海水粗製サンプルを定量的に圧送するための定量ポン
プ(3)と、
前記海水粗製サンプルを収容するためのタンク(41)、底部に設けられ廃液を排出す
るための第1の液体排出口(42)、前記第1の液体排出口(42)に設けられた第1の
電磁密封弁(43)を含む反応処理器(4)と、
前記タンク(41)の頂部に位置するカバー(44)と、
前記カバー(44)の中央部にねじ穴(47)が設けられ、カバー(44)上に輸送
管路(2)に接続され海水粗製サンプルを導入するための第1の液体注入口(45)、反
応試薬を添加するための第2の液体注入口(46)、および少なくとも1つの拡張ポート
が設けられ、
前記ねじ穴(47)を介して縦方向にタンク(41)の内部に延伸する外筒体(51)
、外筒体(51)の底部の側面に設けられ第3の密封電磁弁(513)付きの水入口(5
2)、外筒体(51)の底部に設けられ第2の電磁密封弁(54)付きの排水口(53)
を含む加圧フィルター(5)と、
外筒体(51)の内部に正負の圧力をかけるための通気アセンブリ(55)と、
前記通気アセンブリ(55)は、ガスを吸引して負圧環境を形成しマイクロプラスチ
ックを含む海水を水入口(52)から外筒体(51)内に吸引し、ガスを投入して正圧環
境を形成しマイクロプラスチックを含む海水を加圧濾過し、廃水を排水口(53)から排
出するために使用され、
前記外筒体(51)の底部に位置し、加圧濾過の時マイクロプラスチック粒子を捕捉す
るための濾過アセンブリ(56)と、
を含むことを特徴とする海水マイクロプラスチックの同期収集およびサンプル製造のた
めの一体化装置。
【請求項2】
前記海水コネクタ(1)は、上から下へ順次前記輸送管路(2)の末端にねじ接続された
第3段のフィルターフレーム(11)、第2段のフィルターフレーム(12)および第1
段のフィルターフレーム(13)を含み、前記第3段のフィルターフレーム(11)、第
2段のフィルターフレーム(12)および第1段のフィルターフレーム(13)の底部に
径が0.5~1mmの第3段のステンレス鋼網(14)、径が4~5mmの第2段のステ
ンレス鋼(15)、径が8~10mmの第1段のステンレス鋼網(16)が順次設けられ
ることを特徴とする請求項1に記載の一体化装置。
【請求項3】
前記外筒体(51)の底部の外周に環状曝気管(511)が設けられ、前記環状曝気管(
511)の両端が前記水入口(52)の両側に接続され水入口(52)と連通し、且つ環
状曝気管(511)の両端に一方向逆止弁(512)が設けられ、曝気管(511)に直
径2~3mmの曝気穴が複数設けられ、第3の密封電磁弁(513)が水入口(52)の
外筒体(51)に近い一端に設けられ、外筒体(51)の内部に前記濾過アセンブリ(5
6)を配置するためのガスケット(514)が設けられ、
前記通気アセンブリ(55)は、外筒体(51)の上端口を塞ぐゴム栓(551)と、前
記ゴム栓(551)を貫通して外筒体(51)内部に延伸し、下端口が外筒体(51)の
上部空間内に位置し、2つの上端口を有する通気管(552)と、相互に接続された正圧
ポンプ(553)および負圧ポンプ(554)を含むことを特徴とする請求項1に記載の
一体化装置。
【請求項4】
前記正圧ポンプ(553)の吸気口に負イオンアセンブリ(57)が接続され、前記負イ
オンアセンブリ(57)は、正圧ポンプ(553)の吸気口に接続された円筒形ハウジン
グ(571)と、前記円筒形ハウジング(571)の遠位端に設けられたエアフィルター
スクリーン(573)と、円筒形ハウジング(571)の内部に設けられ外部電源に接続
された負イオン発生器(572)とを含み、負に帯電したイオン粒子を通気アセンブリ(
55)を介して外筒体(51)内に送り海水粗製サンプルと混合することを特徴とする請
求項3に記載の一体化装置。
【請求項5】
前記濾過アセンブリ(56)は、径10 μmのガラス繊維フィルター(561)と、前
記ガラス繊維フィルター(561)の下に位置し支持する内輪(562)と、内輪(56
2)外側に嵌設されガラス繊維フィルター(561)を固定するための外輪(563)、
前記外輪(563)上端に設けられ持ち上げのためのハンドル(564)とを含むことを
特徴とする請求項1に記載の一体化装置。
【請求項6】
前記拡張ポートは、加熱ロッド(412)を挿入して水温を加熱するための第1のポート
(48)と、温度センサー(413)を挿入して水温を監視するための第2のポート(4
9)と、水位センサー(414)を挿入するための第3のポート(410)と、超音波振
動ロッド(415)を挿入するための第4のポート(411)を含むことを特徴とする請
求項1に記載の一体化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプル収集の技術分野に属し、具体的に海水マイクロプラスチックの同期収
集およびサンプル製造のための一体化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロプラスチックは、サイズが5.0mm未満のプラスチック粒子、マイクロ繊維、
プラスチック粒子、発泡プラスチックまたはフィルムなどを指し、海洋環境で発生してい
る新しい汚染物である。紫外線と海水の浸食の影響下で、海水に浮かぶプラスチックのご
みがゆっくりとマイクロプラスチックに分解され、海洋環境を汚染し、海洋の植物または
動物によって吸収され食物鎖、ひいては生物鎖全体に有害である。
【0003】
従来の海洋マイクロプラスチック検出では、海水を収集し、その後実験室に戻り処理を行
って検出する必要があり、この方法は面倒で操作しにくく、時間がかかり効率が低いため
、室外に適し収集およびサンプル製造ができる一体化装置を提供し、海水サンプルのマイ
クロプラスチックの効率的、簡単な分離を実現する。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、現在の海水マイクロプラスチックの収集および検出が多段階の移送操作
を必要とし、サンプル汚染および損失のリスクが大きいという技術的問題を解決すること
である。
【0005】
本発明の技術的解決策は、海水マイクロプラスチックの同期収集およびサンプル製造のた
めの一体化装置は、
サンプリングサイトで海水粗製サンプルを収集し予備濾過を行う海水コネクタと、
海水コネクタから引き出された輸送管路と、輸送管路に設けられ定量的に海水粗製サンプ
ルを送る定量ポンプと、
海水粗製サンプルを収容するためのタンク、タンク底部に設けられ廃液を排出するための
第1の液体排出口、第1の液体排出口に設けられた第1の電磁密封弁を含む反応処理器と

タンク頂部に位置するカバーと、カバーの中央位置にねじ穴が設けられ、カバー上に輸送
管路に接続され海水粗製サンプルを導入するための第1の液体注入口、反応試薬を添加す
るための第2の液体注入口、および少なくとも1つの拡張ポートが設けられ、
ねじ穴を介して縦方向にタンク内部に延伸する外筒体と、外筒体の底部の側面に設けられ
第3の密封電磁弁付きの水入口と、外筒体底部に設けられ第2の電磁密封弁付きの排水口
とを含む加圧フィルターと、
外筒体内部に正負の圧力をかけるための通気アセンブリと、吸引ガスを利用し負圧環境を
形成してマイクロプラスチックを含む海水を水入口から外筒体内に吸入し、ガスを通過さ
せて正圧環境を形成しマイクロプラスチックを含む海水を加圧濾過し、廃水を排水口から
排出する、
外筒体の底部に位置し、加圧濾過の時マイクロプラスチック粒子を捕捉するための濾過ア
センブリとを含む。
【0006】
さらに、海水コネクタは、上から下へ順次ねじを介して輸送管路末端に接続された第3段
のフィルターフレーム、第2段のフィルターフレームおよび第1段のフィルターフレーム
を含み、第3段のフィルターフレーム、第2段のフィルターフレームおよび第1段のフィ
ルターフレーム内底部に径が0.5~1mmの第3段のステンレス鋼網、径が4~5mm
の第2段のステンレス鋼、径が8~10mmの第1段のステンレス鋼網が順次配置される
。多段濾過によって破片を遮断し、反応処理器の詰まりを減らし、3つのフィルターフレ
ームは取り外し可能に配置され堆積した破片の除去を容易にする。
【0007】
さらに、外筒体の底部の外周に環状曝気管が設けられ、環状曝気管の両端が水入口両側に
接続され水入口と連通し、環状曝気管の両端に一方向逆止弁が設けられ、曝気管上に直径
が2~3mmの曝気穴が複数設けられ、第3の密封電磁弁が水入口の外筒体に近い一端に
設けられ、外筒体内部に濾過アセンブリを配置するためのガスケットが設けられ、
通気アセンブリは、外筒体の上端口を塞ぐためのゴム栓と、ゴム栓を貫通して外筒体内部
に延伸する通気管とを含み、通気管の下端口が外筒体上部空間内に位置し、外筒体にマイ
クロプラスチックを含む海水を収容する空間を十分に保持し、逆吸い込みを防ぐ。通気管
の上端口が2つであり、それぞれ正圧ポンプおよび負圧ポンプが接続される。正圧ポンプ
、負圧ポンプはそれぞれ通気管の上端口に接続された管路上に第1の弁および第2の弁が
設けられ、第1の弁または第2の弁のスイッチを制御することで外筒体内部正/負圧力を
切り替える目的を実現する。
【0008】
さらに、正圧ポンプの吸気口に負イオンアセンブリが接続され、負イオンアセンブリは、
正圧ポンプの吸気口に接続された円筒形ハウジング、円筒形ハウジングの遠位端に設けら
れたエアフィルタースクリーン、円筒形ハウジング内部に設けられ外部電源に接続された
負イオン発生器を含み、負に帯電したイオン粒子を通気アセンブリを介して外筒体内に送
り海水粗製サンプルと混合する。負に帯電したイオン粒子を含む混合空気が環状曝気管を
介して噴出され、小さな泡を形成することにより、海水が活性化される同時に、マイクロ
プラスチックとそれらに結合された固体破片の分離を促進し、マイクロプラスチック粒子
の分離効率を高める。
【0009】
さらに、濾過アセンブリは、径10 μmのガラス繊維フィルターと、ガラス繊維フィル
ターの下方に位置し支持するための内輪と、内輪外側に嵌設されガラス繊維フィルターを
固定するための外輪と、外輪上端に設けられ持ち上げためのハンドルとを含む。濾過アセ
ンブリの着脱を容易にする。濾過アセンブリとガスケットの結合がより緊密になり、負圧
の吸引力の影響を受けず、ハンドルの上端と通気管下端口をねじ込んで、通気管の圧力制
御によって濾過アセンブリを安定にさせる。
【0010】
さらに、拡張ポートは、加熱ロッドを挿入して水温を加熱するための第1のポートと、温
度センサーを挿入して水温を監視するための第2のポートと、水位センサーを挿入するた
めの第3のポートと、超音波振動ロッドを挿入するための第4のポートとを含む。加熱ロ
ッドによって水温を35~45℃に制御することで、海水中のマイクロプラスチックとそ
れに結合された不純物の分解を促進することができる。温度センサーは海水が設定温度に
加熱されたかを検出する。水位センサーはタンク内の海水の位置高さを検出する。超音波
振動ロッドは外部の超声波発生器に接続され、80KHZ~120KHZ周波数で海水を
超音波攪拌洗浄し、マイクロプラスチックとそれに結合された不純物の分離を補助する。
【0011】
さらに、反応試薬は試薬Aおよび試薬Bを含み、試薬Aはセルラーゼ、キチナーゼ、フミ
ン酸ナトリウム、純水を1:1:3:5の体積比で構成され、セルラーゼ、キチナーゼは
マイクロプラスチックに結合した浮游植物を分解でき、フミン酸ナトリウムは界面活性剤
として海水の界面活性を高め、マイクロプラスチックの分離放出を促進し、試薬Aで処理
した後静置し分離して、底部の不純物を排出し、上層の懸濁液を保留して一段分離を終了
する。試薬Aの添加量と海水の体積比例は1L/m3である。試薬Bは密度分離剤であり
、質量%が75%~85%の塩化亜鉛水溶液を使用し、添加量は一段分離懸濁液体積の1
~1.5倍として、二段分離を行い、マイクロプラスチック粒子を含む海水を得る。
【0012】
また、カバー上に一対の円弧状の貫通溝がさらに設けられ、円弧状の貫通溝を使用しない
場合円弧状のゴム栓で塞ぎ、使用する場合円弧状のゴム栓を開き、両方向スプレーヘッド
を有する洗い流しロッドに差し込み、タンク内壁および外筒体の外壁上の残留マイクロプ
ラスチックを純水で洗い流す。
【0013】
本発明の定量ポンプ、第1の電磁密封弁、第2の電磁密封弁、第3の密封電磁弁、正圧ポ
ンプ、負圧ポンプ、負イオン発生器、加熱ロッド、温度センサー、水位センサー、超音波
振動ロッドは、すべてPLCコントローラーによって制御される。
【0014】
本発明の有益な効果は以下の通りである。本発明の一体化装置は、海水を収集する同時に
検出可能なサンプルを製造でき、且サンプル洗浄、分離および加圧濾過などの製造過程を
1つの装置のみで行われ、複数の移送ステップを省略し、移送過程中のサンプルの汚染お
よび損失のリスクを低減することができる。たま、本発明の装置は積層度が高く、設計が
合理的であり、使用しやすく、室外の検出に適している。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例1の全体構造概略図である。
図2】本発明の濾過アセンブリの構造概略図である。
図3】本発明の実施例2の全体構造概略図である。
図4】本発明の図3における外筒体の底面視図である。
図5】本発明の実施例3の全体構造概略図である。
図6】本発明の実施例3における負イオンアセンブリの具体的な構造概略図である。
図7】本発明の実施例4におけるカバーの上面視図である。
図8】本発明の実施例5の全体構造概略図である。
図9】本発明の実施例5におけるカバーの上面視図である。
図10】本発明の実施例5の洗い流しロッドによる純水洗い流しの全体構造概略図である。
図11】本発明の図10におけるA箇所の拡大概略図である。
【0016】
[符号の説明]
1 海水コネクタ
11 第3段のフィルターフレーム
12 第2段のフィルターフレーム
13 第1段のフィルターフレーム
14 第3段のステンレス鋼網
15 第2段のステンレス鋼
16 第1段のステンレス鋼網
2 輸送管路
3 定量ポンプ
4 反応処理器
41 タンク
42 第1の液体排出口
43 第1の電磁密封弁
44 カバー
45 第1の液体注入口
46 第2の液体注入口
47 ねじ穴
48 第1のポート
49 第2のポート
410 第3のポート
411 第4のポート
412 加熱ロッド
413 温度センサー
414 水位センサー
415 超音波振動ロッド
416 円弧状の貫通溝
417 円弧状ゴム栓
418 洗い流しロッド
419 両方向スプレーヘッド
5 加圧フィルター
51 外筒体
511 環状曝気管
512 一方向逆止弁
513 第3の密封電磁弁
514 ガスケット
52 水入口
53 排水口
54 第2の電磁密封弁
55 通気アセンブリ
551 ゴム栓
552 通気管
553 正圧ポンプ
554 負圧ポンプ
555 第1の弁
556 第2の弁
56 濾過アセンブリ
561 ガラス繊維フィルター
562 内輪
563 外輪
564 ハンドル
57 負イオンアセンブリ
571 円筒形ハウジング
572 負イオン発生器
573 エアフィルタースクリーン
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施例1
図1に示すように、本実施例は海水マイクロプラスチックの同期収集およびサンプル製造
のための一体化装置を提供し、それは、サンプリングサイトで海水粗製サンプルを収集し
て予備濾過するための海水コネクタ1を含み、該海水コネクタ1は、上から下へ順次ねじ
接続された第3段のフィルターフレーム11、第2段のフィルターフレーム12および第
1段のフィルターフレーム13を含み、第3段のフィルターフレーム11、第2段のフィ
ルターフレーム12および第1段のフィルターフレーム13の内底部に、径が1mmの第
3段のステンレス鋼網14、径が5mmの第2段のステンレス鋼15、径が10mmの第
1段のステンレス鋼網16が順次設けられる。多段濾過により破片を外部から遮断し、反
応処理器4の詰まりを削減し、3つのフィルターフレームは堆積の破片の除去を容易にす
るためにすべて着脱可能に配置される。
【0018】
図1に示すように、該装置は反応処理器4をさらに含み、反応処理器4は、海水粗製サン
プルを収容するためのタンク41を含み、タンクは内部の状況を観察するために透明ガラ
ス材料で構成される。タンク41底部に、廃液を排出するための第1の液体排出口42、
第1の液体排出口42に設けられた第1の電磁密封弁43、タンク41頂部にねじ接続さ
れたカバー44、カバー44の中央部に設けられたねじ穴47、カバー44にさらに設け
られた第1の液体注入口45、第2の液体注入口46を含み、ただし、第1の液体注入口
45は輸送管路2を介して海水コネクタ1の第3段のフィルターフレーム11に接続され
、輸送管路2上に海水粗製サンプルを定量的に送るための定量ポンプ3がさらに設けられ
る。第2の液体注入口46は反応試薬を添加するために使用される。
【0019】
図1に示すように、該装置は加圧フィルター5をさらに含み、加圧フィルター5は、ねじ
穴47を介して縦方向にタンク41内部に延伸する外筒体51を含み、外筒体51外部に
雄ねじ部とねじ穴47によってねじ接続が形成され、外筒体51とねじ穴47がねじによ
る伝達を形成し、外筒体51のタンク41内での中心線方向の上下に変位するのに便利で
ある。外筒体51の底部の側面に第3の密封電磁弁513付きの水入口52、外筒体51
底部に設けられ第2の電磁密封弁54付きの排水口53、外筒体51内部に正負の圧力を
かけるための通気アセンブリ55が設けられ、通気アセンブリ55は外筒体51の上端口
を塞ぐためのゴム栓551、ゴム栓551を貫通して外筒体51内部に延伸する通気管5
52を含み、通気管552の下端口は外筒体51の上部空間に位置し、外筒体51にマイ
クロプラスチックを含む海水を収容可能な空間を保持し、逆吸い込みを回避する。通気管
552の上端口が2つあり、それぞれ正圧ポンプ553および負圧ポンプ554が接続さ
れる。正圧ポンプ553、負圧ポンプ554はそれぞれ通気管552の上端口に接続され
た管路上に、第1の弁555および第2の弁556が設けられ、第1の弁555または第
2の弁556のスイッチを制御することで外筒体51内部の正/負圧力を切り替えるため
に使用される。
【0020】
図1に示すように、外筒体51の底部に濾過アセンブリ56を配置するためのガスケット
514が設けられ、ガスケット514の位置が水入口52よりも低い。図2に示すように
、濾過アセンブリ56は、径が10 μmのガラス繊維フィルター561、ガラス繊維フ
ィルター561の下方に位置し支持するための内輪562、内輪562外側に嵌設されガ
ラス繊維フィルター561を固定するための外輪563を含み、外輪563および内輪5
62によってガラス繊維フィルター561を固定し、加圧濾過の時マイクロプラスチック
粒子を捕捉するために使用される。外輪563の上端に持ち上げのためのハンドル564
が設けられ、濾過アセンブリ56の着脱を容易にする。濾過アセンブリ56とガスケット
514の結合がより緊密になり、負圧吸引力の影響を受けないために、ハンドル564の
上端と通気管552下端口をねじ接続され、通気管552によって濾過アセンブリ56を
制御して安定にさせる。
【0021】
本実施例の動作方法は、以下ステップを含む。
S1:一段分離段階:海水コネクタ1をオフショア目標エリアに投入し、定量ポンプ3を
起動し、海水コネクタ1の三段濾過された1cm3の海水粗製サンプルを吸引し、第1の
液体注入口45からタンク41内に送り、第2の液体注入口46から1Lの試薬Aを添加
し、試薬Aはセルラーゼ、キチナーゼ、フミン酸ナトリウム、純水を1:1:3:5の体
積比で構成される。第2の弁556をオフにし、第1の弁555および第3の密封電磁弁
513を開き、正圧ポンプ553を起動して通気管552、水入口52を介して空気を吸
引してタンク41内の海水および試薬Aを曝気・混合・攪拌し、攪拌時間が15minで
あり、第3の密封電磁弁513および正圧ポンプ553を停止して曝気をオフにし、30
min静置し、セルラーゼ、キチナーゼによってマイクロプラスチックに結合した浮游植
物を分解するとともに、フミン酸ナトリウムを界面活性剤として海水の界面活性を高め、
マイクロプラスチックを分離・放出する。分離を終了した後、第1の電磁密封弁43を開
き底部の不純物を排出し、上層の懸濁液を保留し、一段分離を完成する。
S2:二段分離段階:第2の液体注入口46から試薬Bを添加し、試薬Bは質量%が80
%の塩化亜鉛の水溶液で調製され、添加量が一段分離懸濁液体積の1~1.5倍であり、
30min静置し懸濁液を密度分離して、マイクロプラスチックの質量が軽く上層に浮遊
し、不純物が底部に沈殿し、第1の電磁密封弁43を開き底部の不純物を排出し、マイク
ロプラスチックを含む上層液体を保留し、二段分離が完了する。
S3:一回濾過段階:第1の弁555をオフにし、第2の弁556および第3の密封電磁
弁513を開き、同時に負圧ポンプ554を開き、水入口52を介してマイクロプラスチ
ックを含む上層液体を外筒体51内部に吸引し、第3の密封電磁弁513、第2の弁55
6をオフにし、第1の弁555および第1の電磁密封弁43、第2の電磁密封弁54を開
き、正圧ポンプ553によって1Mpaを超える正の気圧を通過させ、マイクロプラスチ
ックを含む上層液体を正圧濾過し、濾過液体を順次排水口53および第1の液体排出口4
2から排出し、マイクロプラスチックをガラス繊維フィルター561上に捕捉する。
S4:二回濾過段階:第1の電磁密封弁43、第2の電磁密封弁54をオフにし、第2の
液体注入口46から1~3Lの純水を加え、タンク41の壁に残留したマイクロプラスチ
ックを洗い流し、外筒体51を回転させ下へ水入口52に移動してタンク41の底部に接
触させ、S3を繰り返してマイクロプラスチックを含む純水を二回濾過し、残りのマイク
ロプラスチックをガラス繊維フィルター561上に捕捉する。
S5:サンプリング検査段階:外筒体51上のゴム栓551を引き抜き、通気管552を
濾過アセンブリ56とともに持ち上げ、ガラス繊維フィルター561を取り出して検査を
行う。
【0022】
実施例2
本実施例は、以下を除いて実施例1と大体同じである。
図3および4に示すように、外筒体51の底部の外周に環状曝気管511が設けられ、環
状曝気管511の両端が水入口52両側に接続され水入口52と連通し、環状曝気管51
1の両端に一方向逆止弁512が設けられ、曝気管511上に直径2mmの曝気穴が複数
設けられ、第3の密封電磁弁513が水入口52の外筒体51に近い一端に設けられる。
S1段階で、水入口52の代わりに環状曝気管511によって曝気を行い、泡がより高密
度で均一になり、海水と反応試薬の接触面積を高め、マイクロプラスチックと不純物の分
離効率を向上させることができる。
【0023】
実施例3
本実施例は、以下を除いて実施例2と大体同じである。
図5および6に示すように、正圧ポンプ553の吸気口に負イオンアセンブリ57が接続
され、負イオンアセンブリ57は、正圧ポンプ553の吸気口に接続された円筒形ハウジ
ング571が設けられ、円筒形ハウジング571の遠位端にエアフィルタースクリーン5
73が設けられ、円筒形ハウジング571内部に外部電源に接続された負イオン発生器5
72が設けられ、負に帯電したイオン粒子を通気アセンブリ55を介して外筒体51内に
送り海水粗製サンプルと混合する。S1段階で、負に帯電したイオン粒子を含む混合空気
が環状曝気管511を介して噴出され、小さな泡を形成することで、海水を活性化する同
時にマイクロプラスチックとそれに結合した固体破片の分離を促進し、マイクロプラスチ
ック粒子の分離効率を高める。
【0024】
実施例4
本実施例は、以下を除いて実施例3と大体同じである。
図7に示すように、カバー44上に加熱ロッド412を挿入し水温を加熱するための第1
のポート48、温度センサー413を挿入して水温を監視するための第2のポート49、
水位センサー414を挿入するための第3のポート410、超音波振動ロッド415を挿
入するための第4のポート411が設けられる。S1段階で、加熱ロッド412によって
水温を35~45℃に制御することで、海水中のマイクロプラスチックとそれに結合した
不純物の分解を促進することができる。温度センサー413は海水が設定温度まで加熱さ
れたかを検出するために使用される。水位センサー414は、タンク41内の海水の位置
高さを検出するために使用される。超音波振動ロッド415は外部の超音波発生器に接続
され、80KHZ~120KHZ周波数で海水を超音波攪拌洗浄し、マイクロプラスチッ
クとそれに結合した不純物の分離を補助する。
【0025】
実施例5
本実施例は、以下を除いて実施例4と大体同じである。
本実施例は、具体的には、図8、9、10、11に示すような構造を有し、カバー44上
に一対の円弧状の貫通溝416がさらに設けられ、円弧状の貫通溝416を使用しない場
合円弧状ゴム栓417によって塞がれ、使用する場合円弧状ゴム栓417を開き、両方向
スプレーヘッド419付きの洗い流しロッド418に差し込む。
S4段階で、図10に示すように、円弧状ゴム栓417を開き両方向スプレーヘッド41
9付きの洗い流しロッド418を一側の円弧状の貫通溝416からタンク41内に延伸さ
せ、タンク41の内側壁および外筒体51の外側壁に残留したマイクロプラスチックを純
水で洗い流し、一側の洗い流しが完了すると、洗い流しロッド418を抽出し他側の円弧
状の貫通溝416からタンク41内に延伸させ継続的に洗い流し、洗い流しが完了すると
円弧状ゴム栓417で円弧状の貫通溝416を再び塞ぐ。該洗い流し方法によれば、水資
源を節約するだけでなく十分に洗浄でき、さらに残留のマイクロプラスチックを回収し、
マイクロプラスチックの回収率を高める。
【0026】
実施例6
実施例5を実験例として、負イオン発生器の追加による一段分離のマイクロプラスチック
回収率への影響を研究し、比較例と実験例の違いは、負イオン発生器を使用し一段分離を
補助しないことであり、他の条件が同じであり、ガラス繊維フィルター561上のマイク
ロプラスチック回収率を検出する。
フィルター上の捕捉物をさらに処理した後、実体顕微鏡で観察し、マイクロプラスチック
疑似粒子を選択し顕微―フーリエ赤外分光システムで分析し、得られた検出パターンを判
断標準に従ってマイクロプラスチックとして判断し統計し、判断標準について、検出パタ
ーンとシステムのスペクトルベースの標準物質のパターンと比較し、マッチング率が70
%を超えるとマイクロプラスチックと判定する。その結果、比較例と実験例のマイクロプ
ラスチック回収率はそれぞれ93.0%と95.6%であった。
【0027】
実施例7
実施例5を実験例として、純水による洗い流し方式のマイクロプラスチック回収率への影
響を研究し、比較例では、第2の液体注入口46から直接純水を加え、実験例では洗い流
しロッド418を介して洗い流す。その結果、比較例と実験例のマイクロプラスチック回
収率はそれぞれ91.4%と96.0%であった。
【0028】
実施例8
実施例5を実験例として、一段分離段階で異なる試薬Aのマイクロプラスチック回収率へ
の影響を研究し、それぞれ5組の比較例とし、
比較例1では、試薬Aはセルラーゼ、キチナーゼ、純水を1:1:8の体積比で構成され

比較例2では、試薬Aはフミン酸ナトリウム、純水を3:7の体積比で構成され、
比較例3では、試薬Aは純水であり、
実験例では、試薬Aはセルラーゼ、キチナーゼ、フミン酸ナトリウム、純水を1:1:3
:5の体積比で構成される。
比較例1~3と実験例の他の条件は同じであり、マイクロプラスチック回収率は表1に示
される。
【0029】
表1 異なる試薬Aでのマイクロプラスチック回収率

【0030】
結論:表1から分かるように、本発明の試薬Aの比率ではマイクロプラスチック回収率が
顕著に向上する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11