IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日章工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-地球に優しい宇宙熱源利用システム。 図1
  • 特開-地球に優しい宇宙熱源利用システム。 図2
  • 特開-地球に優しい宇宙熱源利用システム。 図3
  • 特開-地球に優しい宇宙熱源利用システム。 図4
  • 特開-地球に優しい宇宙熱源利用システム。 図5
  • 特開-地球に優しい宇宙熱源利用システム。 図6
  • 特開-地球に優しい宇宙熱源利用システム。 図7
  • 特開-地球に優しい宇宙熱源利用システム。 図8
  • 特開-地球に優しい宇宙熱源利用システム。 図9
  • 特開-地球に優しい宇宙熱源利用システム。 図10
  • 特開-地球に優しい宇宙熱源利用システム。 図11
  • 特開-地球に優しい宇宙熱源利用システム。 図12
  • 特開-地球に優しい宇宙熱源利用システム。 図13
  • 特開-地球に優しい宇宙熱源利用システム。 図14
  • 特開-地球に優しい宇宙熱源利用システム。 図15
  • 特開-地球に優しい宇宙熱源利用システム。 図16
  • 特開-地球に優しい宇宙熱源利用システム。 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022032414
(43)【公開日】2022-02-25
(54)【発明の名称】地球に優しい宇宙熱源利用システム。
(51)【国際特許分類】
   F24F 5/00 20060101AFI20220217BHJP
   F25B 27/00 20060101ALI20220217BHJP
   F24F 3/00 20060101ALI20220217BHJP
   F28F 3/12 20060101ALI20220217BHJP
   F28D 21/00 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
F24F5/00 101B
F25B27/00 H
F25B27/00 P
F24F3/00 B
F24F5/00 102C
F28F3/12 Z
F28D21/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020136150
(22)【出願日】2020-08-12
(71)【出願人】
【識別番号】597087099
【氏名又は名称】日章工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】藤新 成信
(72)【発明者】
【氏名】井無田 龍
【テーマコード(参考)】
3L053
【Fターム(参考)】
3L053BA01
3L053BA03
3L053BA06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】自然エネルギーの熱源である宇宙放射冷却による冷熱または太陽光による温熱を空気調和機等の熱源に利用するための宇宙熱源の熱利用システムを提供する。
【解決手段】宇宙放射冷却による冷熱の熱源又は太陽光による温熱の熱源を宇宙熱源交換パネルの天板表面で受熱、裏面で伝熱する熱交換方式と前記宇宙熱源交換パネル内に充満させた水媒体を強制循環水流式とし、受熱面の裏面で熱源を受熱しながら、水順路を直流的強制水流で循環させ、循環過程で水を対流させ、より均一に受熱し、熱源を蓄熱水タンクへ伝熱できる構造と、さらに前記蓄熱水タンクの熱源水を利用機器へ搬送する熱源搬送ポンプと前記蓄熱水タンクから伝熱水流体を介して熱源を建物内に供給できる循環形式システムを備え、効率的に集熱・熱交換できる金属製薄板からなる平盤形状である宇宙熱源交換パネルを特設している地球に優しい宇宙熱源利用システム。
【選択図】図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然エネルギーを利用しようとする空調設備において、夜間の宇宙放射冷却による冷熱と昼間の太陽光による温熱を利用できる熱放射及び熱収集可能な受熱面を持つ宇宙熱源交換パネルと前記宇宙熱源交換パネルで集熱した熱源を蓄熱する冷熱用の蓄熱層及び温熱用の蓄熱層、2種類の熱源の蓄熱層とそれぞれに連結パイプで繋ぎ、パイプ内を熱伝達媒体として水媒体の強制循環させることができる熱源搬送ポンプと前記2種類の蓄熱層と室内熱交換器を繋ぐパイプ内を熱伝達媒体として水媒体の強制循環させることができ、気象条件によって、地下水の冷熱を取り入れることもできる熱源搬送ポンプを備え、自然エネルギー利用の空調設備を稼働させる制御装置を備えていることを特徴とする地球に優しい宇宙熱源利用システム。
【請求項2】
宇宙熱源交換パネルの構造において、天板表面で受熱、裏面で伝熱し、パネルの裏面と周縁部には断熱効果の高い軽量保温材料で覆われた金属製薄板で構成され、詳しくは、周縁部を止水シールで接合された金属薄板の上下2枚からなる中空扉状薄型容器で、かつ前記容器内部は迷路状の縦方向に固着された複数の流体流路枠を等間隔に設けている流通柵状態になっており、さらに自然対流を生むように、円柱支柱、狭窄部、コーナーアール柵を設けており、表面には0.6~1.6mmの厚さの金属の平薄板を使用して、表面には熱吸収率及び熱放射率の高い黒色の耐候性かつ耐熱性能を有する塗料が塗布され、その上に大気温度へ同化、結露潜熱の影響を受けにくい保護パネルを取り付け、パネル内部の空間部の縦横幅600~2000x600~2000mm、高さ50~150mmで、全体重量が1平方メートル当たり30kg以内になっていることを特徴とする請求項1に記載の地球に優しい宇宙熱源利用システム。
【請求項3】
宇宙熱源利用システムは、扉型平盤形状の宇宙熱源交換パネルで集熱した温熱及び冷熱の熱源を伝熱流体の水媒体によって冷熱用と温熱用と個別の蓄熱層に蓄熱させて、熱源を蓄熱する冷熱用の蓄熱層及び温熱用の蓄熱層は、所要する熱量に匹敵する容量をそれぞれ持ち、家屋の地下部に保温材で保護され、設置し、供給する水量は地下水にて賄うようになっており、また気象条件により放射冷却現象に影響を受けた場合には地下水の冷熱を補助冷熱に利用でき、前記蓄熱層内の冷熱及び温熱を利用手段へ搬送する熱源送水ポンプの供給によって蓄熱層の熱源を空気調和機、あるいは給湯装置に利用できるようになっていることを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の地球に優しい宇宙熱源利用システム。
【請求項4】
宇宙熱源交換パネルの設置において、集熱効果を高めるために遮蔽物が存在することが少ない方向で、天空に向けて30度以内の角度にむけて、連続的に並べて、接続設置されて、また太陽光の照射時、遮蔽時を作る為、太陽光発電パネルの下に可動式に設置し、収納時は太陽光発電のパネル及びパネル側面の庇により太陽光を遮蔽できるようにし、前記宇宙熱源交換パネルの内部構造は、上下2枚の金属板の間に流体流路枠を水流順路になるように配置、接合し、流通柵状体に構成され、隣り合う流体流路枠間において前後方向に断続的に接合され、すべての流体流路枠の前後両端部が、扉型平盤形状容器内の流体流路枠のうち反対片側のみ開口をあけ、連続流通路に形成し、また水流が扉型平盤形状である宇宙熱源交換パネル内を通過する間に、水流を均温にできるような構造にし、さらに水温流通で1℃以内に保温維持できるように容器の側面、裏面を断熱性のある構造にしていることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の地球に優しい宇宙熱源利用システム。
【請求項5】
宇宙熱源利用システムおいて、動力源として太陽光発電を利用して駆動させて、熱放射による冷熱収集量が気象条件の影響によって、冷房に必要な冷熱の蓄積できない場合、蓄熱量センサーの作動により、地下水の冷熱を循環させて、太陽光発電による駆動源にて空気調和機類を稼働させていることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の地球に優しい宇宙熱源利用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、夏季において、宇宙放射冷却による冷熱の熱源を宇宙熱源交換パネルの蓄熱水流体を介して、また、冬季において、太陽光による温熱の熱源を宇宙熱源交換パネルの蓄熱水流体を介して、さらに年間を通じて一定の温度を有する地下水の熱源利用とシステム稼働の動力源としての太陽光発電を利用した空気調和機類に利用させることができる地球にやさしい宇宙熱源の利用システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自然エネルギーの利用は浸透しつつあります。その中で、まだ利用されていない分野が宇宙放射冷却現象と思われます。この現象で得られた冷熱を夏季に冷房に利用する事が進められている。宇宙放射冷却による冷熱は、気象条件に左右されることが大きく、主要空調設備には利用できない恐れがあるので、小空間の冷房又は、冷房を補助する設備として利用が進められている。
【0003】
従来、昼間において、クリーンエネルギーである太陽光エネルギーを熱源に変え、この温熱を利用する太陽熱集熱装置や、これとは逆に、夜間において、水、不凍液などの流体を宇宙放射冷却する宇宙放射冷却装置が知られている。しかし、後者の宇宙放射冷却による冷熱の集熱は気象条件に左右されることが多く、あまり利用されていない。
またヒートポンプへの自然エネルギー利用による省エネ技術が従来から知られており、特に、最近では、二酸化炭素排出抑制などの環境保護の観点からこのような技術が注目を集めつつある(特許文献1参照)。
【0004】
このような熱利用システムとして、低コストで自然現象におけるエネルギー源を利用可能または価値の高いエネルギーとして回収利用するため、用途としてヒートポンプ応用システムとの組合せに適しており、省エネルギー等で大きな効果が期待できるが、特に夏場の夜間における放射冷却の冷熱を、昼間のヒートポンプによる冷房時の凝縮器となる室外機の冷却に利用し、冬場は昼間の太陽熱をヒートポンプの暖房時の蒸発器となる室外機の加熱に利用することで、ヒートポンプの高効率化を行う例が挙げられる(特許文献2参照)。
【0005】
夏場の夜間における放射冷却の冷熱は、放射冷却パネル、スカイラジエター、放射冷却器、太陽熱集熱装置の名称で検討されてきており、装置を小型化することが出来る放射冷却方法として、放射冷却器と蓄熱槽の間の第1循環路に水または不凍液を冷熱媒体として強制的に循環させることにより、蓄熱槽に夜間の冷熱を蓄熱する放射冷却方法において、上記の蓄熱槽に潜熱型蓄熱材を使用する装置の提案がされている(特許文献3参照)。
【0006】
放射冷却による冷熱および太陽熱による温熱を効率よく利用できる自然エネルギーの熱利用システムとして、放射冷却による冷熱または太陽熱による温熱を蓄熱するスカイラジエターと、前記蓄熱手段で蓄熱した熱を利用するための熱交換器と、スカイラジエターの蓄熱を熱交換器へ搬送する熱搬送媒体とから構成され、熱搬送媒体は潜熱を有する蓄熱材であるので、従来と違い熱搬送媒体と蓄熱材との熱交換を必要としないため、蓄熱した熱を効率的に利用できる装置が提案されている(特許文献4参照)。
【0007】
室内等の冷房効果の低下を抑えることができる放射冷却パネル及び空調システムを提供するにおいて、放射冷却パネルは、断熱部材により構成され、一面側から開口が形成された断熱容器と、断熱容器に形成された開口を塞ぐように設けられ、赤外線に対し透光性を有する透過体と、断熱容器内に設置され、熱の放射現象により自己が冷却されると共に、導入した空気との熱交換を行って当該空気を冷却する熱放射体と、を備え、透過体は、熱放射体から、断熱容器の開口端までの間において複数枚設置されている装置が提案されている(特許文献5参照)。
【0008】
太陽光の反射と赤外線の放射を簡便、安価な手段で両立させるために、屋外に設置され天空へ向けての放射熱伝達により冷却効果を得る天空放射冷却装置において、太陽光波長域での分光透過率が高く且つ遠赤外線領域での分光放射率が高い、選択透過性を有する選択透過層と、その片面に密着して設けられた反射層により放射体を構成する。冷却対象から放射体へと熱伝導により伝わった熱は、最終的に選択透過層の表面から赤外線として天空へ向けて放射される。一方、太陽光は選択透過層を透過するが、背面の反射層で反射され、反射光は再び選択透過層を透過して外部へと逃されるため、放射体や冷却対象はこれにより加熱されることがない装置の提案がなされている(特許文献6参照)。
【0009】
集光効率の低下を防止した太陽熱集熱装置として、上壁がガラス板からなる中空箱状ケーシングと、ケーシング内に配置された複数の複合放物面集光(Compound Parabolic Concentrator)型反射板(CPC型反射板)と、反射板内に配置された流体流通管とを備えており、CPC型反射板が樹脂製断熱材に形成された樋状溝内に嵌め込まれ、CPC型反射板の両側縁部が、断熱材に取り付けられた抜け止め部材に形成された突起に係合させられ、CPC型反射板を保持した断熱材を複数ケーシング内に配置することによってCPC型反射板がケーシングに取り付けられているものが提案されている(特許文献7参照)。
【0010】
このようにして、特にエネルギー需要の大きい住宅、また大都会など含めて住宅密集地のヒートアイランドと異常気象による過剰な温暖化が大きな問題となる地域の住宅において、建物を緑化、住宅の間に緑地を作りにより、夜間の放射冷却の冷熱の利用がされつつある。この宇宙放射冷却を利用することは、エネルギー消費の緩和に大きく寄与することが期待でき、また昨今のエネルギー、環境問題の対策の1つとしてさらに取り入れられる可能性がある。特に天空率の良い戸建て住宅街、農村地、屋根面積の大きい工場などにおいて、宇宙放射冷却を利用できる可能性が大きい。
【0011】
気象学における放射冷却の公開資料によると、大気中の温室効果ガスや水蒸気の量に反比例して宇宙放射冷却が阻害される為、夜間に得られる冷熱の量が一定しない。そのため、宇宙熱源利用システムに気象観測システム、温度センサーを取り付け、冷熱の量が十分でない場合は補助冷熱源が必要になる。(気象学における放射冷却の公開資料)
また宇宙への放射冷却と太陽からの太陽熱と太陽発電と地球の地下水を総合的に活用した夏季と冬季の効率的な冷暖房システムについては提案がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開昭63-65240号公報
【特許文献2】特開2001-185778号公報
【特許文献3】特開2001-330278号公報
【特許文献4】特開2007-127291号公報
【特許文献5】特開2017-62055号公報
【特許文献6】特開2019-66101号公報
【特許文献7】特開2003-50057号公報
【非技術文献】
【0013】
【非技術文献1】
【0014】
気象学における放射冷却 p10^~15(近藤純正理学博士)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従来の発明では、宇宙放射冷却の装置の構造及びシステムが複雑であり、冷房装置として商品化する場合に製作期間が長くまた生産コストが高くなる。このことから、新築住宅及び既設住宅に導入が困難であり、宇宙放射冷却装置は未だ研究段階にあり、冷却装置として広く実用化されるためには、なお幾つかの課題を解決する必要がある。また、宇宙放射冷却の現象は水蒸気や温室効果ガスの状態に大きく左右されるため、安定して熱源の確保とその技術が十分に開発されていないことも普及の上でネックになっている。
【0016】
一般的に、放射冷却パネル、放射冷却装置は、外気の熱が表面の透光板に伝わり、透光板の温度はほぼ外気温度に同化してしまう。通常、放射冷却パネルは角度をつけて設置されるため、熱放射体本体と表面の透光板との間の空気層においては温度差が駆動力となり自然対流が発生して熱放射体の放射冷却を阻害してしまう。この結果、熱放射体を十分な低温に保つことができず、室内等の冷房効果が低下してしまう。このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、室内等の冷房効果の低下を抑えることができる宇宙放射冷却パネル及び空調システムを提供することにある。
【0017】
更に、太陽光の温熱を蓄熱する温熱蓄熱用の手段と、宇宙放射冷却による冷熱を蓄熱する冷熱蓄熱の手段とが別体で設置されていることから、装置コストは一層高価となる。
また、蓄熱利用に関しては、蓄熱した熱を利用した後でも更に、冷房装置の運転が行われている場合や、天候変動により蓄熱量が少ない場合などには、冷房装置における蓄熱利用側の熱交換器における熱交換が悪くなり、冷房装置の冷熱能力不足を生じる可能性があった。特に宇宙への放射冷却と太陽からの太陽熱と太陽光発電と地球の地下水を総合的に活用した夏季と冬季の効率的な冷暖システムについて期待されている。
その目的は、装置を軽量化、小型化することが出来る宇宙放射冷却方法、あるいは気象状況で変化する夜間放射量に対応した一定量の冷熱の蓄熱が可能な宇宙放射冷却方法を含む宇宙熱源の熱利用システムを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、宇宙放射冷却による冷熱または太陽光による温熱の2種類の熱源を同じ宇宙熱源交換パネルを使い、夏季には冷熱を収集させ、冬季には温熱を収集させる集熱手段と宇宙熱源交換パネルで集熱した熱源を蓄熱層へ熱搬送する伝熱流体を介して、熱源を蓄熱層に蓄熱させ、さらに伝熱流体を介して空気調和機類へ搬送する熱搬送システムを備えている。
【0019】
前記宇宙熱源交換パネルは、強制循環水流式とし、また前記伝熱流体を水媒体とし、前記宇宙熱源交換パネル内に水媒体を充満させて、直流的強制水流によって前記宇宙熱源交換パネル内の水温を熱交換させた循環水流を蓄熱水タンク内に送り込み、蓄熱し、前記蓄熱水タンクの熱源を利用するため、蓄熱水を利用機器へ搬送する熱源搬送ポンプを備え、前記蓄熱水タンクから伝熱水流体を介して熱源を建物内に供給できる循環形式において、効率的に集熱できるように金属製薄板で製作した平盤形状である宇宙熱源交換パネルを太陽光発電パネルの下に隠れるように特設している宇宙熱源利用システムである。
【0020】
宇宙熱源交換パネルの構造において、天板表面で受熱、裏面で伝熱する熱交換方式とし、前記パネルの裏面と周縁部には断熱効果の高い軽量保温材料で覆われた金属製薄板で構成され、詳しくは、周縁部を止水シールで接合された金属薄板の上下2枚からなる中空扉状薄型容器で、かつ前記容器内部は迷路状の縦方向に固着された複数の流体流路枠を等間隔に設けている流通柵状態になっており、さらに自然対流を生むように、円柱支柱、狭窄部、コーナーアール柵を設け、表面には0.6~1.6mmの厚さの金属の平薄板を使用して、表面には熱吸収率及び熱放射率の高い黒色の耐候性かつ耐熱性能を有する塗料が塗布し、その上に外気温度へ同化や結露発生時の潜熱の影響を受けにくい保護パネルを取り付け、パネル内部の空間部の縦横幅600~2000x600~2000mm、高さ50~150mmで、全体重量が1平方メートル当たり30kg以内としている。
【0021】
宇宙熱源利用システムは、扉型平盤形状の宇宙熱源交換パネルで集熱した温熱及び冷熱の熱源を伝熱流体の水媒体によって冷熱用と温熱用と個別の蓄熱層に蓄熱させて、熱源を蓄熱する冷熱用の蓄熱層及び温熱用の蓄熱層は、所要する熱量に匹敵する容量をそれぞれ持ち、家屋の地下部に保温材で保護され、設置し、供給する水量は地下水にて賄うようになっており、また気象条件により放射冷却現象に影響を受けた場合には地下水の冷熱を補助冷熱に利用でき、前記蓄熱層内の冷熱及び温熱を利用手段へ搬送する熱源送水ポンプの供給によって蓄熱層の熱源を空気調和機、あるいは給湯装置に利用できるようになっている。
【0022】
宇宙熱源交換パネルの設置において、集熱効果を高めるために遮蔽物が存在することが少ない方向で、天空に向けて30度以内の角度にむけて、連続的に並べて、接続設置されて、また太陽光の照射時、遮蔽時を作る為、太陽光発電パネルの下に可動式に設置し、収納時は太陽光発電のパネル及びパネル側面の庇により太陽光を遮蔽できるようにし、また前記宇宙熱源交換パネルの内部構造は、上下2枚の金属板の間に流体流路枠を水流順路になるように配置、接合し、流通柵状体に構成させ、隣り合う流体流路枠間において前後方向に断続的に接合され、すべての流体流路枠の前後両端部が、扉型平盤形状容器内の流体流路枠のうち反対片側のみ開口をあけ、連続流通路に形成し、また水流が扉型平盤形状である宇宙熱源交換パネル内を通過する間に、水流を均温にできるような構造にし、さらに水温流通で1℃以内に保温維持できるように容器の側面、裏面を断熱性のある構造にしている。
【0023】
宇宙熱源交換パネルの設置において、上下2枚の金属板を用意し、一方の上側金属板にプレス加工を施して、加工した平板状金属板を構成枠部材に取り付けて、各板構成枠部材の側縁部に流体流通枠を係合させ、前記流通柵状体を他方の金属板で塞ぐように両金属板を重ね合わせ、両金属板の周縁部を止水シールで接合して流通柵状体を形成した後、平板表の受熱面に黒色耐熱塗料を塗布し、さらに2重構造の塩ビ板を接合し、外気温度への同化や結露発生時の潜熱防止を施している。
【0024】
宇宙熱源利用システムおいて、動力源として太陽光発電を利用して駆動させて、熱放射による冷熱収集量において、気象条件の影響によって、冷房に必要な冷熱の蓄積できない場合、蓄熱量センサーの作動により、年間を通じて一定の温度を有する地下水の冷熱を循環させて、太陽光発電による駆動源にて空気調和機類を稼働させている。
【発明の効果】
【0025】
太陽光の温熱を蓄熱する温熱蓄熱用の手段と、宇宙放射冷却による冷熱を蓄熱する冷熱蓄熱の手段とが同体で設置されていることから、装置コストは経済的になり、また、蓄熱利用に関しては、蓄熱した熱を利用した後でも更に、冷房装置の運転が行われている場合や、天候変動により蓄熱量が少ない場合などには、冷房装置における蓄熱利用側の熱交換器に年間を通じて一定の温度を有する地下水を熱源に活用して、冷房装置の冷熱能力を補充することができる。さらに装置全体で動力源として太陽光発電の電力も活用するので、装置の簡素化、低減化することが出来る宇宙放射冷却方法になり、しかも気象状況の影響による夜間宇宙放射熱回収低減に対応した地下水の冷熱利用が可能な冷却方法を含む宇宙熱源の熱利用システムになった。
【0026】
建物の新設であっても比較的容易に熱搬送システムとヒートポンプシステムの室外機(熱源側熱交換器)を熱交換可能に設置することができ、その工事も容易かつ低コストで行える。大きな空間のある工場または体育館などにおいて、夏季に少し温度を下げたり、冬季に少し温度を上げたりしただけの変化で、工場内作業環境の改善や運動環境の改善につながり、生産効率の向上や利用効率の向上が考えられる。このような建物に熱源循環用電力を担う太陽光発電パネルとその下に熱源集熱用宇宙熱源交換パネルを設置することにより、自然エネルギーの利用のみで、年間を通して、環境空間の改善が行え、かつ建物内の騒音等の場外への流出も防げることにつながる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】材料の選定実験の鳥瞰図を示す。Aは試験片を地下水の入った断熱保温箱に浮かべて、設置した状態を示す。Bは断熱保温箱に地下水を入れた状態を示す鳥瞰図。Cは試験体と地下水の位置を表す断面図です。
図2】実験結果をグラフにした図面です。
図3】結露をしない材料の選定及び素材の電磁波放出を促進する塗料の選定実験を示す図です。Aは結露しにくい材料を選定する為、6種類の材料を使い実験を行った図です。Bは素材を生かす最適な塗料を選定する為、6種類の塗料を塗布した試験体を地下水の入った断熱保温箱に浮かべて、設置した状態を示す。C及びDは試験結果を表しています。
図4】平板型試験体の実験の鳥瞰図です。Aは試験体の内部に地下水を充填し、側面と底面を断熱保温材で覆い、設置した状態の鳥瞰図です。Bは試験体の電磁波放出をどの程度、妨げるかを調べる実験で、試験体の上部30cm所に寒冷紗を設置した状態を示す鳥瞰図です。
図5】平板型試験体の試験結果をグラフです。
図6】平板型試験体の内部構造を示した鳥瞰図及び平面図です。Aは水媒体の水流、及び上下方向の自然対流を示す図です。Bは試験体の設置状態を示す鳥瞰図です。Cは流体流通枠の取り付け位置及び、勾配の方向を示す平面図です。
図7】平板型試験体の内部構造の検討を示す平面図です。Aは水流の変更地点での淀み解消用アール板、及び角部のアール加工を示す。Bは水路の中間地点に円柱を立てて、渦巻きを起し攪拌させる状態を示す図です。Cは上下2枚の平板に突起をつけて流速を早めて攪拌させる状態を示す図です。
図8】攪拌の検討を示す拡大図です。Aは壁面の摩擦による水流の淀みを示す。Bは上下の突起による水流が早くなることを示す図です。Cは円柱を立てて、渦巻きを起し、攪拌させることを示す図です。 Dは宇宙熱源交換パネルの断面を示す図です。3面を断熱材で保護され、放射面は2重構造の塩ビ板で保護されている事を示しています。
図9】宇宙熱源交換パネルの内部構造を示す図です。少しでも実証実験で効果があった形状を全て取り込んでいます。
図10】宇宙熱源交換パネルの利用をまとめた図です。Aは自然エネルギーである太陽光の利用、放射冷却の利用と放射冷却を妨げる水蒸気や温室効果ガスを示す図です。Bは年間を通して自然エネルギーを利用する宇宙熱源交換パネルの全体像及び循環経路を示す。Cは水媒体の系統図です。3系統の流れを示しています。Dは補助熱源とする地下水の循環経路を示す。
図11】宇宙熱源交換パネルの設置状態を示す図です。Aは夏季日中の利用を示し、前夜に冷熱蓄熱層に蓄えた冷熱を熱源搬送ポンプにより循環させる略図を示す。Bは夏季の日没後から日の出前迄、宇宙熱源交換パネルを出現させ、放射冷却を行い冷熱蓄熱層に冷熱を循環させることを示している。Cは冬季の日中の利用を示し、宇宙熱源交換パネルを移動させ、太陽光の温熱を収集し、熱源搬送ポンプにより温熱蓄熱層に循環させる略図を示す。Dは冬季の日没後から日の出迄、宇宙熱源交換パネルを収納した時の温熱の循環を示す。
図12】宇宙熱源交換パネルの設置状態を示す図です。Aは太陽光発電パネルの下に 収納して状態を示す。太陽光や大気の影響を受け難くする為、周囲を寒冷紗で覆っている。Bは宇宙熱源交換パネルを電動で露出させ、放射冷却を行う時の状態を示す図です。Dは宇宙熱源交換パネルの連結が必要になった場合の連結状態を示す図です。
図13】宇宙熱源交換パネルの設置状態を示す図です。単体の場合の水媒体の注入口及び排出口を示す図です。Aは固定枠から出るフレキシブルパイプの設置状態を示す分解鳥瞰図です。Bは太陽光発電パネルの下に収納した状態を示す図です。
図14】室内側の水媒体の循環経路を示す鳥瞰図です。冷熱循環の場合は天井下に循環させ、送風機で冷熱を室内に循環させます。温熱は床上を循環させ、ラジエターからの放熱で自然対流循環させる。
図15】冷熱及び温熱を蓄積させる蓄熱タンクを示す図です。蓄熱タンクの中には3系統の循環パイプが配置させています。熱を最大限伝えられるように表面積は大きくなるようにらせん状で配置する。3系統のらせんパイプの表面積の比率は建物ごとに算出する事になります。Aは水媒体の循環系統図です。Bはパイプのらせん形状の一例を示す。
図16】宇宙熱源交換パネルの可動方法を示す図です。ラックレールと歯車式戸車、及びモーターを使い、室内より操作して露出させる。
図17】2階建てビルの屋上に太陽光発電パネル及び宇宙熱源交換パネルを設置した状態を示す鳥瞰図です。
【発明を実施するための形態】
【0028】
宇宙熱源利用システムにおける宇宙熱源交換パネルは、宇宙放射冷却等による冷熱または太陽光による温熱を天板表面で受熱、裏面で伝熱する熱交換方式で集熱し、冷却あるいは加熱された蓄熱媒体を収容することによる蓄熱と、前記蓄熱手段で蓄熱した熱を利用するための機器と、前記蓄熱手段内の蓄熱媒体を前記利用機器へ搬送する伝熱搬送を具備する熱搬送システムを備えているものである。
【0029】
実証実験1
熱エネルギーを電磁波として放出する宇宙放射冷却現象を良く起こす放射体を選定する為、夜間宇宙放射冷却の実験を図1ように身近な材料を使って行った。溶融亜鉛メッキ鋼板、高耐食性めっき鋼板、アルミニウム板(アルマイト板、2次電界着色板)を箱型に加工し、断熱材で覆った箱に媒体として水をいれ、試験片を浮かべた形状にし、実験を行った。測定結果を図2に示す。宇宙放射冷却現象の確認を優先し、セット時、測定時の特異点での測定を行った。最大で外気温より2.5℃低い温度を観測でき、放射冷却現を確認できた。また材料による放射冷却の違いはさほど出なかった。さらに市販されている塗料の種類による違いもさほど得られなかった。この実証実験において、最も結果を左右したのが、気象条件だったと思われる。大気中の温室効果ガスや水蒸気の量により、宇宙放射冷却が妨げられる為、同じ実験を行っても、その日の天候が違う為、日ごとに測定値が異なり、同じ結果が得られない。
【0030】
試験放射体が外気温より低温になると外気温との温度差に比例して外気温から試験放射体に熱の侵入が生じる。そのままの状態では外気温に同化してしまい、冷熱収集の妨げになると考えられる。また外気温より低温になると放射体表面に結露が発生し、潜熱により冷熱収集が妨げられると考えられる。試験放射体の性能を上げるには、外気との接触、結露を防止する事が必要と考える。
【0031】
市販の塗料に試験素材の電磁波放出を促進するものがあるか検討した。図3、Bのように日没後、設置し、日の出前に温度計を使い、水温の変化を測定する。顕著な差は測定できなかった。塗料の種類については、遮熱塗料、断熱塗料、放熱塗料、耐熱塗料、熱制御塗料と色々なタイプのものがあった。太陽光を反射して建物の熱吸収を阻止するもの、塗膜内の潜熱を使い太陽光を阻止するもの、熱伝導を抑制して太陽光を阻止するもの、数百度高温域では熱を電磁波として放出するもの色々な種類の塗料があったが、目指した温度が低温域であったこと、及び試験体の面積が小さかったことのためか、測定値に差が出なかった。測定結果を元に、塗料の違いによる試験素材の熱エネルギーを電磁波として放出を促進する塗料を選出できなかった。そこで、塗料の役目を錆や熱などから素材を守るという効果を有するものを選び、耐熱性塗料とした。
【0032】
実証実験2
実証実験1の時に観測して試験放射体の受熱面の外気に直接さらされていることや結露などから、試験放射体の受熱面改善のため、表面の保護材について、結露実験を行った。結露をしにくい材料の選定する為、アクリ板、塩ビ板、プラダン板、ガラス、スチール板、アルミ板を図3、Aのように並べて置き、結露実験をする。結露状態の目視観察では プラダン<塩ビ板<アクリ板<アルミ板<スチール板<ガラス となった。
【0033】
実験結果から、結露しにくいアクリ板、又は塩ビ板を試験放射体の受熱面保護材に選定した。図8のDに示すように、試験放射体の受熱面に、薄い塩ビ板を二重にし、空気層の湿気対策として乾燥剤を入れて、サンドイッチパネルを組み立て、試験放射体の受熱面に設置した。この保護材を試験放射体の受熱面に貼り付けて、直接外気と触れることのないようにし、外気温への同化、及び結露の防止対策とした。
この実験において、材料の入手の関係で、厚さを同じに出来なかった点も考慮する必要があると考えている。また図8のDに示すように、試験放射体の受熱面以外の箇所は、厚さ50mmの断熱材で覆い、周囲の環境の影響を受けにくくした。
【0034】
実証実験3
宇宙放射冷却により得た冷熱を空調設備に利用するためには、冷熱媒体の容量も必要になり、また冷熱媒体の温度測定の方法も検討が必要になる。また、複数の試験放射体の連結も考慮せねばならないが、ここでは単体で実験を行った。図4、Aに示すような試験放射体を製作し、実証実験を行った。試験放射体に入る水媒体の量は約32リットル、平板の試験放射体内部に水の順路を作り、冷えた水が下降する事、流れの中に円柱を立てると連続的に渦ができること、水路を少し狭めると流速が早くなることなどの現象を利用し、自然対流を起こし、試験放射体内で自然攪拌できる構造にし、出口温度の均一化を目指した。測定は32リットルの水媒体を試験放射体より6回に分けて取り出し、温度測定を行い、平均値をまとめる。試験結果を図5に示す。最大で気温より3℃低い温度を観測でき、この方法で水媒体の容量を増やし、測定温度の均一化もできることを確認できた。
【0035】
さらに、不必要な宇宙放射冷却現象を起こさないような状態を調べる為、図4、Bのような宇宙放射冷却の妨げの実験を行う。試験放射体の上部30cmの位置に試験放射体と同じ大きさの寒冷紗を被せて、外気は通るが、直接天空が見えないようにし、宇宙放射実験を行った。測定結果は、外気温に同化した水温を測定できた。宇宙放射冷却を行わない時の試験放射体の保管方法をなることを確認した。測定結果を図5に示す。
同じパネルで、冬季には暖房として太陽光の温熱を利用する為、昼間の温熱の収集も行ってみた。試験放射体は実験できる状態にし、屋内へ保管し、実験開始時間に屋外へ出して行った。2時間の集熱で21℃上昇した。この結果、太陽光の温熱を冬季の暖房に利用できることが確認できた。また、不要な温熱を受けないように屋内への保管状態を作る必要があることがわかる。測定結果を図5に示す。
【0036】
実証実験4
実証実験3においては、最大、最小値の温度を除き、測定した温度の平均値を実験値とした。宇宙熱源交換パネルを通過する水媒体の出口での温度を均一とする為、前記宇宙熱源交換パネル内水路形状について検討を行った。冷たい水が下降する現象を利用する為、図6に示すようにパネル水路内に高低差をつけて実験を行った。色の付いた水を注入し自然対流の状態を観察。すべての水路のコーナー部でよどみを観測。常温で行ったため、温度差により上下対流、勾配による対流も顕著な対流を観察できなかった。
【0037】
図7のA、B、C及び図8に示すようにパネル内を通過する水媒体が出口で均一な温度になるような攪拌を生じさせる形状を検討した。加圧式管水路として、参考事例を元に検討を重ねた。水路の流れ変更地点にアール付板及び角部のアール加工を施し、水流の攪拌状態を観察、また流れの中心部に円柱を立て、連続の渦巻きをお越し、水流の攪拌状況を観察、さらには上下2枚の板材に突起をつけ、通過する水流の速度を早くし、水流の攪拌状況を観察した。内壁面については摩擦抵抗による水流の淀み解消のため、できるだけ表面に凹凸の無い表面処理板材料を選定した。
【0038】
宇宙熱源交換パネルを通過する水媒体の出口での温度を均一とする為に行った実証実験のどれも効果が少なからず効果が得られた。そこで宇宙熱源交換パネルの内部構造を図9の形とする。
【実施例0039】
図11、A及びBに示すように、夏季において、夜間の宇宙放射冷却による冷熱を集熱できる宇宙熱源交換パネルと、前記宇宙熱源交換パネルを強制水流循環式とし、また前記伝熱流体を水媒体とし、さらに前記水媒体を前記宇宙熱源交換パネル内に充填させ、強制水流によって前記宇宙熱源交換パネル内を循環させると同時に前記宇宙熱源交換パネルの冷熱を熱交換させ、冷熱の蓄熱水タンクへ循環させる。
【0040】
夜間の放射冷却現象は水蒸気や温室効果ガスの影響を受けやすく、冷熱の蓄熱量が安定しないので、条件が整わない場合、補助冷熱として地下水の冷熱を利用できるように、蓄熱水タンクに地下水を循環させる経路を設置し、蓄熱水タンクと空気調和機類へ循環させる経路を同時に稼働させ、冷熱を循環させた。
気象条件の管理、水温の管理、3系統の強制循環方式の切り替えの管理は気象データーや各所の温度センサーで管理し、宇宙熱源交換パネルと蓄熱水タンクの循環系統は、夜間放射冷却の起きる日没から日の出までの時間循環させ、遮断した。その後、蓄熱水タンクと空気調和機類への循環系統を稼働させ、冷熱を循環させた。
【0041】
日中は宇宙熱源交換パネルに照射する太陽光を遮蔽する為、太陽光発電のパネル下へ収納できるようにし、太陽光パネルの周辺部には寒冷紗を吊るし、太陽光の照射を十分遮蔽できるようにしている。なお、前記宇宙熱源交換パネルは周りに高い建物や樹木がない天空率の大きくなる場所を選んで、天体に向けて20度以内の角度にむけて、連続的に並べて設置した。
【0042】
金属製薄板からなる扉型平盤形状の宇宙熱源交換パネルにおいて、周縁部を止水シールで接合された板厚0.8mm、幅900mm、長さ1800mm、高さ20の金属薄板の上下2枚からなる中空平板状薄型容器で、かつ図5に示すように、前記容器内部に水流のピストン的な一方向流通になるように縦方向に固着された複数の流体流通枠を間隔に設けている流通柵体になっており、前記容器の裏面と周縁部には断熱効果の高い軽量保温材料を張っており、平板表の受熱面に耐候性及び耐熱性の高い塗料を塗布し、その上に外気に触れないよう結露しにくい2重構造の薄板透明塩ビ板を設置した。
【0043】
宇宙熱源利用システムは、平盤形状の宇宙熱源交換パネルで集熱した熱源を伝熱流体の水媒体によって冷熱用の蓄熱水タンクに蓄熱させる系統の経路と前記蓄熱水タンクと空気調整機類へ蓄熱水を搬送させる系統の経路と蓄熱水タンクと地下水の冷熱を利用する系統の経路を3系統の搬送経路を有し、太陽光発電で得られた電力で稼動する熱源送水ポンプにより冷熱供給を循環させた。
【0044】
金属製薄板からなる扉型平盤形状の宇宙熱源交換パネルにおいて、図5に示すように、上下2枚の金属板を用意し、切断加工及びプレス加工を施し、加工した平板状金属板に水流のピストン的な一方通行流通になるように、縦方向に構成枠部材及び複数の流体流通枠を取り付けて、各板構成枠部材の側縁部に流体流通枠を係合させ、前記流通柵体を他方の金属板で塞ぐように両金属板を重ね合わせて接合し、周縁部に止水シールを施した流通柵体板を形成した後、前記容器の裏面と周縁部には断熱効果の高い軽量保温材料を張っており、平板表の受熱面に耐候性及び耐熱性の高い塗料を塗布し、受熱面が外気に触れないように結露しにくい2重構造の薄板塩ビ板を設置した。
【0045】
宇宙熱源交換パネルの扉型平盤形状の内部に設置する流体流通枠は、冷えた水が下降すること、流れの中に円柱を立てると連続的に渦ができること、水路を少し狭めると流速が早くなることなどの現象と加圧式管水路とを考慮し、水路の流れ変更地点にアール付板及び角部のアール加工を施し、流れの中心部に円柱を立て、連続の渦巻きをお越し、さらには上下2枚の板材に突起をつけ、通過する水流の速度を早くし、水流を攪拌させた。内壁面については摩擦抵抗による水流の淀み解消のため、表面に凹凸の無い表面処理板材料で製作し、扉型平盤形状である宇宙熱源交換パネル内の水流を均温で排出できるようにし、水温流通で1℃以内に保温維持できるように容器のケーシングの側面、裏面に特定の断熱材と設置した。
【実施例0046】
図11のC及びDに示すように、冬季において、太陽光による温熱により、平板表の受熱面で集熱する宇宙熱源交換パネルと、前記宇宙熱源交換パネルを強制水流循環式とし、また前記伝熱流体を水媒体とし、さらに前記水媒体を前記宇宙熱源交換パネル内に水を充填させ、強制水流によって前記宇宙熱源交換パネル内を循環させると同時に前記パネルの温熱を熱交換させ、温熱の蓄熱水タンクへ循環させる。熱交換させた循環水流の温熱を蓄熱水タンクで蓄熱し、前記蓄熱水タンクの温熱を利用するため、蓄熱水を利用手段へ搬送する水温搬送を具備する熱源搬送ポンプを稼働させ、蓄熱水タンクと空気調整和類へ温熱を循環させた。冬季に限定して、凍結防止材を水媒体に混入させた。
【0047】
金属製薄板からなる扉型平盤形状の宇宙熱源交換パネルにおいて、図5に示すように、周縁部を止水シールで接合された板厚0.8mm、幅900mm、長さ1800mm、高さ20の金属薄板の上下2枚からなる中空平板状薄型容器で、かつ前記容器内部に水流のピストン的な一方向流通になるように縦方向に固着された複数の流体流通枠を間隔に設けている流通柵体になっており、前記容器の裏面と周縁部には断熱効果の高い軽量保温材料を張っており、表面に耐候性及び耐熱性の高い塗料を塗布した。また、外気に触れなく、結露しにくい2重構造の薄板透明塩ビ板を設置した。前記宇宙熱源交換パネルは周りに高い建物や樹木がない天空率の大きくなる場所を選んで、天体に向けて30度以内の角度にむけて、連続的に並べて設置した。
【0048】
宇宙熱源利用システムは、平盤形状の宇宙熱源交換パネルで集熱した熱源を伝熱流体の水媒体によって温熱用の蓄熱水タンクに蓄熱させる系統の経路と前記蓄熱水タンクと空気調和機類へ蓄熱水を搬送させる系統の経路と2系統の搬送経路を有し、太陽光発電で得られた電力で稼動する熱源送水ポンプにより冷熱供給を循環させた。
【0049】
気象条件の管理、水温の管理、3系統の強制循環方式の切り替えの管理は気象データーや各所の温度センサーで管理し、宇宙熱源交換パネルと蓄熱水タンクの循環系統は、日中の日の出から日没までの時間循環させ、遮断した。その後、蓄熱水タンクと空気調整機類、給湯器への循環系統を稼働させ、温熱を循環させた。天候不良等で、条件が整わない場合、年間を通して一定の温度を保つ地下水を補助温熱として利用できる場合は、蓄熱水タンクに年間を通じて一定の温度を有する地下水を循環させる経路を設置し、蓄熱水タンクと地下水を循環させる経路と蓄熱水タンクと空気調整機類へ循環させる経路を同時に稼働させ、温熱を循環させた。
【0050】
宇宙熱源交換パネルの扉型平盤形状の内部は、流れの中に円柱を立てると連続的に渦ができること、水路を少し狭めると流速が早くなることなどの現象と加圧式管水路とを考慮し、水路の流れ変更地点にアール付板及び角部のアール加工を施し、流れの中心部に円柱を立て、連続の渦巻きをお越し、さらには上下2枚の板材に突起をつけ、通過する水流の速度を早くし、水流を攪拌させた。内壁面については摩擦抵抗による水流の淀み解消のため、表面に凹凸の無い表面処理板材料で製作し、扉型平盤形状である宇宙熱源交換パネル内の水流を均温で排出できるようにし、水温流通で1℃以内に保温維持できるように容器のケーシングの側面、裏面に特定の断熱材と設置した。
【符号の説明】
【0051】
UNKP-1 宇宙熱源交換パネル
THSP-1 太陽光発電パネル
JP 熱源搬送用ポンプ
HB-1 気象条件制御箱
RT 空気調整機群
RNT-1 冷熱蓄積層
ONT-1 温熱蓄積層
TKS-1 地下水
SUN 太陽
SUN-1 太陽光
SUN-2 放射冷却:電磁波
K-1 水媒体循環経路1
K-2 水媒体循環経路2
K-3 水媒体循環経路3
K-4 水媒体循環経路4
K-5 水媒体循環経路5
K-1 水媒体循環経路1
S-1~6 各種試験体
D-1 断熱箱保温材及び断熱保温材
M-1 水媒体
P-1~6 各種試験片
TS1~6 各種試験体
S-1 平板型試験体
KRS-1 寒冷紗
HMI-1,2 平板型試験体表面板
PHI-1 平板型試験体四周枠
SG-1,2 平板型試験体流体流通枠
KB-1,2 平板型試験体勾配板
T-1 試験体設置盤
M-1 試験体馬台
O-1 気温・湿度測定機器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17