(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022032432
(43)【公開日】2022-02-25
(54)【発明の名称】物理量測定システム
(51)【国際特許分類】
G08C 17/00 20060101AFI20220217BHJP
G08C 15/00 20060101ALI20220217BHJP
G06K 19/07 20060101ALI20220217BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
G08C17/00 Z
G08C15/00 E
G06K19/07 090
G06K19/07 170
G06K19/07 230
G06K7/10 252
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020136190
(22)【出願日】2020-08-12
(71)【出願人】
【識別番号】000142067
【氏名又は名称】株式会社共和電業
(74)【代理人】
【識別番号】100082636
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 修治
(72)【発明者】
【氏名】高木 真人
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 順倫
(72)【発明者】
【氏名】小澤 佑一
(72)【発明者】
【氏名】砂川 倫昭
【テーマコード(参考)】
2F073
【Fターム(参考)】
2F073AA02
2F073AA12
2F073AA33
2F073AA40
2F073AB01
2F073AB04
2F073AB12
2F073BB02
2F073BC02
2F073CC03
2F073CC05
2F073CC12
2F073CD11
2F073DD01
2F073DE02
2F073EE12
2F073EF09
2F073FF02
2F073FF03
2F073FG01
2F073FG02
2F073GG01
2F073GG05
2F073GG08
(57)【要約】
【課題】 軽量・省スペースであり、測定に関する多岐に亘る大量の情報の記録が可能であり、センサユニットの設置箇所の制約を受けず、しかも比較的安価に構成し得る物理量測定システムを提供する。
【解決手段】 スマートフォン210をタグ装置110に所定距離内に近接させることにより、スマートフォン210側の誘導給電送電部220からタグ装置110側の誘導給電受電部120に誘導給電により電力を供給する。これに併行して、センサユニット140で検出し、タグ装置110側で測定した測定値情報を、第1の通信部112および第2の通信部212を介して第2の制御部213へと伝達する。
測定値情報およびそれに関連する日時、場所、センサ情報等は、操作表示部211に表示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサユニットで検出された物理量情報が記憶されるタグ装置を含む第1の通信端末と、前記タグ装置に記憶された物理量情報を無線通信で読み取る携帯情報端末装置を含む第2の通信端末とを有して構成される物理量測定システムであって、
前記タグ装置は、
前記センサユニットからの情報を適宜増幅、演算等の処理を施す計測回路と、
前記計測回路からの測定値情報を順次記憶すると共に、少なくとも前記タグ装置の固有のID、初期値、校正係数、測定時刻情報、位置情報を記憶する第1の記憶部と、
前記計測回路、前記第1の記憶部を制御する第1の制御部と、
前記携帯情報端末装置からの要求により前記測定値情報を近接無線信号として送信する第1の通信部と、
前記携帯情報端末装置側から発せられる誘導給電を受電する誘導給電受電部と、
を有してなり、
前記携帯情報端末装置は、
携帯電話機能および携帯情報端末機能等の既存の機能を備えると共に、
前記タグ装置と非接触で前記第1の通信部と通信可能な第2の通信部と、
前記携帯情報端末装置の入出力と画像表示を司る操作表示部と、
前記操作表示部を制御し、前記タグ装置から得た情報を処理する第2の制御部と、
前記第2の制御部で処理した情報を記憶する第2の記憶部と、
を有してなり、
さらに、前記第2の通信端末としての前記携帯情報端末装置に一体的に付設され、前記タグ装置側の前記誘導給電受電部に対し誘導給電を行う誘導給電送電部を備えてなり、
前記第2の通信端末を前記第1の通信端末に近接させることにより、非接触通信により、前記タグ装置側に電力を供給すると共に、前記タグ装置側で検出した測定値情報を前記携帯情報端末装置側に伝達するように構成したことを特徴とする物理量測定システム。
【請求項2】
前記タグ装置における前記誘導給電受電部は、受電アンテナおよび第1のRF回路からなり、前記携帯情報端末装置に付設された前記誘導給電送電部の送電アンテナから誘導給電にて送られる電力信号を前記受電アンテナで受信し、前記第1のRF回路で前記電力信号を所定の規格に従い電源として使用できるように復調し、電源回路へ電力を供給するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の物理量測定システム。
【請求項3】
前記携帯情報端末装置に付設された前記誘導給電送電部は、電池と前記電池から供給される電流を高周波信号へ変換する第2のRF回路と、前記高周波信号を受けて前記受電アンテナに向けて給電する送電アンテナからなり、前記携帯情報端末装置およびこれと一体的な前記誘導給電送電部は、前記タグ装置との間が、近接無線通信可能な範囲内にある場合に、前記給電アンテナより自動的に送電を開始すると共に、前記第2の通信部は自動的に通信を開始し、
一方、前記タグ装置との間が近接無線通信可能な範囲外に移動した場合に、前記送電アンテナは、自動的に送電を終了すると共に、前記第2の通信部は、自動的に通信を終了するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の物理量測定システム。
【請求項4】
前記タグ装置に設けられたセンサ電源回路は、前記第1のRF回路によって復調された電力を平滑化して、ひずみゲージ式変換器またはひずみゲージを含んで形成されるホイートストンブリッジ回路に直流電流からなるブリッジ電圧を供給するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の物理量測定システム。
【請求項5】
前記センサユニットは、被測定対象の物理量を検出するひずみゲージ、ひずみゲージを含んで構成されるひずみゲージ式変換器、電圧出力センサ、温度センサのいずれからなるセンサを含んで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の物理量測定システム。
【請求項6】
前記携帯情報端末装置は、前記第2の制御部によって制御され現在の位置情報を取得する位置情報取得部と、現在時刻を取得する時刻情報取得部と、を更に有し、
前記第2の制御部は、前記タグ装置から送信された測定値情報に、前記時刻情報取得部および前記位置情報取得部より取得した現在時刻情報およびGPS位置情報を紐付けて前記操作表示部に表示し得るように構成したことを特徴とする請求項1に記載の物理量測定システム。
【請求項7】
前記携帯情報端末装置の背面側には、前記誘導給電送電部が所定量突出する凸状部を形成し、前記タグ装置の一方の面側には、前記誘導給電部の前記凸状部に緩く嵌合し得る凹状部を形成してなり、前記凸状部を前記凹状部に近接乃至は嵌合させた状態のとき、非接触通信により前記タグ側に電力を供給すると共に、前記タグ装置側で検出した測定値情報を前記携帯情報端末装置側に安定的に伝達し得るように構成したことを特徴とする請求項1に記載の物理量測定強システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理量測定システムに関し、特に、センサユニットで検出された物理量情報が記憶されるタグ装置と、前記タグ装置に記憶された物理量情報を無線通信で読み取る携帯情報端末装置とを有して構成される物理量測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
トンネルや橋梁等を代表例とするインフラ構造物の現場で、ひずみ、変位、加速度、温度等の物理量を測定するに当たっては、下記に述べる多くの課題がある。
例えば、測定器や電池等の機材が多く、これらを測定現場に搬入・搬出するのに多くの労力と時間を要していた。
また、モニタリング装置のように、計測機器を現場に常時設置するようにすれば上記の課題は、解決されるが、搭載している電池は、自然放電もあり長時間の使用に耐えない、という問題がある。
電池に代えて、ソーラーパネルを使用する例もあるが、設置場所に制約があり、例えば、直射日光が当たらないトンネル内や夜間での測定が行えないという問題がある。
【0003】
また、測定時には、専用の測定器をもって計測作業員がその計測現場まで行き、センサケーブルと専用の測定器を接続し、計測を行った上で、接続したセンサラベルと計測値をメモ帳に記録をする、という煩わしさがある。
このように、計測時に使用されたセンサラベルや計測数値をメモ書きとして、書き残す場合、数値の連続性がなく、直感的に分かりづらい、という課題がある。
【0004】
ところで、上記の課題に関する従来技術として、特許文献1(特開2008-145403号公報)および特許文献2(特開2011-179817号公報)などが知られている。
例えば、特許文献1には、建築物等に生じたひずみを非破壊且つ非接触で計測できるようにすることを課題とし、具体的には、建築物の構造部材の内部に埋設されるICタグと、ICタグから情報を読み出す読み出し装置とを備える歪み計測システムであって、ICタグは、構造部材のICタグが埋設された部分の歪みを検出するためのセンサと、センサの出力信号を無線で外部に送信する送信回路とを備え、読み出し装置は、ICタグから送信された信号を受信する受信回路を備えると共に、情報読み出し/記録装置から発信される電磁波等によりICチップの電源となる起電力を発生するためのアンテナとを備えて構成されている。
【0005】
また、特許文献2には、構造物に生じるひずみを無線でモニターしながら、感度の良いひずみ測定システムを提供する、という目的を達成するために、ひずみセンサを金属板に装着し、構造物にリベットにより取り付けた金属板とひずみセンサからの構造物のひずみ情報を、RFIDタグを介する無線通信で送信し、特に、金属板が、縦13mm、横35mm以上であり、縦50mm、横100mm以下である大きさを有し、厚さ0.08mm以上2mm以下の鉄製であることを条件とし、無線通信に、リーダライタからの電波で駆動するパッシブ型RFIDを用い、ひずみ計測のためのブリッジ回路に可変抵抗を用いて、予め可変抵抗でひずみゲージの抵抗をキャンセルした後、RFIDタグを樹脂コートし、樹脂コートは、軟質系の樹脂材料であるシリコンゴム又はブチルゴムで覆ったのちに、エポキシ樹脂を流し込んで成型してなることを特徴とする構造物のひずみ計測装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-145403号公報
【特許文献2】特開2011-179817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1および2のいずれの計測システムにおいても、ひずみ情報を外部の読み出し/記録装置(リーダライタ)をもって、RFIDと称する無線通信システムで読み出し、且つ記録するようにしている。
しかしながら、上記いずれの計測システムの読出し/記録装置にも下記の課題が残されている。
第1の課題として、特許文献1および2には、情報読出し/記録装置(リーダライタ)からパソコンに情報を転送してなるひずみ計測システムが記載されているが、トンネルや橋梁等の現場にパソコンや電源などを搬入するには、多くの時間と労力がかかる、という課題がある。
【0008】
また、第2の課題として、特許文献1および2のいずれにおいても、情報読出し/記録装置(リーダライタ)は、歪みセンサタグ(RFタグ)から得られた情報に基づき演算、記録はするようにしているが、単独では、測定に関する多種の情報、例えば、特別な測定条件、測定位置情報や測定時刻情報その他の多岐に亘る情報を記録したり、分析をするなどの機能を果たし得ない、という課題が残されている。
また、第3の課題として、上記いずれの計測システムにおいても、上記第2の課題とも関連するが、パソコンがなければ、リーダライタのみにおいては、記憶し得る容量に限界がある、ということである。
第4の課題として、上記いずれの計測システムにおいても歪みセンサタグ(RFタグ)がセンサと一体構造となっているため、情報読み出し/記録装置(リーダライタ)をかざすことができない高所などには設置が難しいという課題がある。
そして第5の課題として、上記第1~第4の課題をすべて解決し得るような測定システムを構築するには、少なからぬ費用がかかる、という課題がある。
【0009】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたもので、その第1の目的とするところは、パソコンのような大型の測定機器をトンネルや橋梁等の測定現場に持ち込む必要がなく、軽量且つ省スペースな携帯型の物理量測定システムを提供することにある。
第2の目的とするところは、測定に関する多岐に亘る情報を記録し得る物理量測定システムを提供することにある。
第3の目的とするところは、携帯情報端末装置の記憶容量を大きくし得ることで物理量への換算を可能とした物理量測定システムを提供することにある。
第4の目的とするところは、設置箇所の制限を排し、測定箇所が限定されない測定システムを提供することになる。
第5の目的とするところは、上記第1~第4の目的を達成しつつ、比較的安価な物理量測定システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記第1~第5の目的を達成するために請求項1に記載の本発明の物理量測定システムは、センサユニットで検出された物理量情報が記憶されるタグ装置を含む第1の通信端末と、前記タグ装置に記憶された物理量情報を無線通信で読み取る携帯情報端末装置を含む第2の通信端末とを有して構成される物理量測定システムであって、
前記タグ装置は、
前記センサユニットからの情報を適宜増幅、演算等の処理を施す計測回路と、
前記計測回路からの測定値情報を記憶すると共に、少なくとも前記タグ装置の固有のID、初期値、校正係数、測定、時刻情報、位置情報を記憶する第1の記憶部と、
前記計測回路、前記記憶部を制御する第1の制御部と、
前記携帯情報端末装置からの要求により前記測定値情報を近接無線信号として送信する第1の通信部と、
前記携帯情報端末装置側から発せられる誘導給電を受電する誘導給電受電部と、
を有してなり、
前記携帯情報端末装置は、
携帯電話機能および携帯情報端末機能等の既存の機能を備えると共に、
前記タグ装置と非接触で前記第1の通信部と通信可能な第2の通信部と、
前記携帯情報端末装置の入出力と画像表示を司る操作表示部と、
前記操作表示部を制御し、前記タグ装置から得た情報を処理する第2の制御部と、
前記第2の制御部で処理した情報を記憶する第2の記憶部と、
を有してなり、
さらに、前記第2の通信端末としての前記携帯情報端末装置に一体的に付設され、前記タグ装置側の前記誘導給電受電部に対し誘導給電を行う誘導給電送電部を備えてなり、
前記第2の通信端末を前記第1の通信端末に近接させることにより、非接触通信により、前記タグ装置側に電力を供給すると共に、前記タグ装置側で検出した測定値情報を携帯情報端末装置側に伝達するように構成したことを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載の発明の物理量測定システムにおける前記タグ装置における前記誘導給電受電部は、受電アンテナおよび第1のRF回路からなり、前記携帯情報端末装置に付設された前記誘導給電送電部の送電アンテナから誘導給電にて送られる電力信号を前記受電アンテナで受信し、前記第1のRF回路で前記電力信号を所定の規格に従い電源として使用できるように復調し、電源回路へ電力を供給するように構成したことを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載の発明の物理量測定システムにおける前記携帯情報端末装置に付設された誘導給電送電部は、電池と前記電池から供給される電流を高周波信号へ変換する第2のRF回路と、前記高周波信号を受けて前記送電アンテナに向けて給電する送電アンテナからなり、前記携帯情報端末装置およびこれと一体的な前記誘導給電送電部は、前記タグ装置との間が、近接無線通信可能な範囲内にある場合に、前記給電アンテナより自動的に送電を開始すると共に、前記第2の通信部は自動的に通信を開始し、
一方、前記タグ装置との間が近接無線通信可能な範囲外に移動した場合に、前記送電アンテナは、自動的に送電を終了すると共に、前記第2の通信部は、自動的に通信を終了するように構成したことを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載の発明の物理量測定システムにおける前記タグ装置に設けられたセンサ電源回路は、前記第1のRF回路によって復調された電力を平滑化して、ひずみゲージ式変換器またはひずみゲージを含んで形成されるホイートストンブリッジ回路に直流電流からなるブリッジ電圧を供給するように構成したことを特徴としている。
請求項5に記載の発明の物理量測定システムにおける前記センサユニットは、被測定対象の物理量を検出するひずみゲージ、ひずみゲージを含んで構成されるひずみゲージ式変換器、電圧出力センサ、温度センサのいずれからなるセンサを含んで構成されていることを特徴としている。
【0014】
請求項6に記載の発明の物理量測定システムにおける前記携帯情報端末装置は、第2の制御部によって制御され現在の位置情報を取得する位置情報取得部と、現在時刻を取得する時刻情報取得部と、を更に有し、
前記第2の制御部は、前記タグ装置から送信された測定値情報に、前記時刻情報取得部および前記位置情報取得部より取得した測定時刻情報およびGPS位置情報を紐付けて前記操作表示部に表示し得るように構成したことを特徴としている。
【0015】
請求項7に記載の発明の物理量測定システムは、前記携帯情報端末装置の前記第2の記憶部に記録された情報を、前記携帯情報端末装置の携帯情報端末回線を利用してクラウドサーバー上に保存し得るように構成したことを特徴としている。
請求項8に記載の発明の物理量測定システムにおける前記タグ装置および前記センサユニットは、防水手段をもって被覆されてなることを特徴としている。
請求項9に記載の発明の物理量測定システムにおける前記携帯情報端末装置の背面側には、前記誘導給電送電部が所定量突出する凸状部を形成し、前記タグ装置の一方の面側には、前記誘導給電送電部の前記凸状部が緩く嵌合し得る凹状部を形成してなり、前記凸状部を前記凹状部に近接乃至は嵌合させた状態のとき、非接触通信により前記タグ装置側に電力を供給すると共に、前記タグ装置側で検出した測定値情報を携帯情報端末装置側に安定的に伝達し得るように構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、センサユニットで検出された物理量情報が記憶されるタグ装置を含む第1の通信端末と、前記タグ装置に記憶された物理量情報を無線通信で読み取る携帯情報端末装置を含む第2の通信端末とを有して構成される物理量測定システムであって、
前記タグ装置は、
前記センサユニットからの情報を適宜増幅、演算等の処理を施す計測回路と、
前記計測回路からの測定値情報を記憶すると共に、少なくとも前記タグ装置の固有のID、初期値、校正係数、測定、時刻情報、位置情報を記憶する第1の記憶部と、
前記計測回路、前記記憶部を制御する第1の制御部と、
前記携帯情報端末装置からの要求により前記測定値情報を近接無線信号として送信する第1の通信部と、
前記携帯情報端末装置側から発せられる誘導給電を受電する誘導給電受電部と、
を有してなり、
前記携帯情報端末装置は、
携帯電話機能および携帯情報端末機能等の既存の機能を備えると共に、
前記タグ装置と非接触で前記第1の通信部と通信可能な第2の通信部と、
前記携帯情報端末装置の入出力と画像表示を司る操作表示部と、
前記操作表示部を制御し、前記タグ装置から得た情報を処理する第2の制御部と、
前記第2の制御部で処理した情報を記憶する第2の記憶部と、
を有してなり、
さらに、前記携帯情報端末装置に一体的に付設され、前記タグ装置側の前記誘導給電受電部に対し誘導給電を行う誘導給電送電部を備えてなり、
前記携帯情報端末装置を前記タグ装置に近接させることにより、非接触通信により、前記タグ装置側に電力を供給すると共に、前記タグ装置側で検出した測定値情報を携帯情報端末装置側に伝達するように構成したことにより、
第1には、軽量且つ小型の測定機器とすることで、測定現場への搬送や設置を極めて容易化することができ、第2には、多岐にわたる情報を基に種々の分析をすることができ、第3には、携帯情報端末装置における記憶内容や記憶容量を著しく増大させることができ、第4には、設置個所の制限を排し、測定個所が限定されず、第5には、上記の効果を得つつ、従来装置に比べ、比較的安価な物理量測定システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る物理量測定システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示す物理量測定システムにおける第1の通信端末と第2の通信端末の時系列な処理を示すフローチャートである。
【
図3】
図1に示す物理量測定システムにおける携帯情報端末装置の操作表示部の表示形態の一例を示す正面図である。
【
図4】本発明に係る物理量測定システムの第1の通信端末を構成するタグ装置およびセンサユニットを正面側から見た外観構成を示す斜視図である。
【
図5】本発明に係る物理量測定システムの第2の通信端末を構成する携帯情報端末装置および誘導給電送電部を正面側から見た外観構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
[第1の実施の形態]
【0019】
次に、本発明に係る物理量測定システムの実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る物理量測定システムの全体の構成を示すブロック図である。
本実施形態の物理量測定システムは、第1の通信端末100を構成するタグ装置110およびセンサユニット140と、第2の通信端末200を構成する携帯情報端末装置および誘導給電送電部220とからなる。
このうち、携帯情報端末装置210は、使用者が携帯して使用し得る情報処理装置であり、例えば、スマートフォン、携帯電話機等の移動体通信端末、さらにはPDA(Personal Digital Assistants)等のスレート端末などがその範疇に含まれる。このような携帯情報端末装置のうち、本発明の実施においては、小型であり、その性能も多岐に亘るスマートフォンが好適である。尚、スマートフォンとは、モバイル向けオペレーティングシステムを備えた携帯電話の総称とされる。
【0020】
そこで、以下、携帯情報端末装置を、その代表例たるスマートフォンに置きかえて説明することとする。
先ず、第1の通信端末100について、説明する。
第1の通信端末100を構成するタグ装置110とセンサユニット140のうち、センサユニット140は、例えば、センサの一つである加速度計が、タグ装置110の筐体の内部に収納されるような場合は、タグ装置110と一体のものとなるが、被測定対象物に直接設置されるひずみゲージ、変位変換器、圧力変換器、トルク変換器、荷重変換器等は、タグ装置110とは別体のものとなり、両者の間は、接続ケーブル141を介して接続されることになる。
【0021】
図1において、第1の通信端末100のうち、タグ装置110は、誘導給電受電部120と電源回路111と、センサ電源回路116と、計測回路115と、第1の制御部113と、第1の記憶部114と、第1の通信部112とから構成されている。
上記誘導給電受電部120は、受電アンテナ123と第1のRF(Radio Frequncy)回路122とから構成され、この受電アンテナ123は、後述する誘導給電送電部220の送電アンテナ223より誘導給電をもって送られる電力を受信する。
誘導給電技術としては、Qiという国際標準規格とされたものがあり、これは10mm程度の金属でない遮蔽物を透過するため非接触で電源を給電することができる。
誘導給電受電部120の第1のRF回路122は、受電アンテナ123で受信した電力が、Qi規格によって変調されているため、電源として使用できるように高周波信号を整流し、次のタグ装置の電源回路111へと電力を供給する。
【0022】
電源回路111は、第1のRF回路から受けた電力の電圧を、DC/DCコンバータで所要の電圧に変えて、タグ装置110の内部回路の各部、即ち、第1の制御部113、計測回路115等へそれぞれ電力を供給する。
センサ電源回路116は、電源回路111から受けた電圧を、調整してセンサユニット140へセンサ電源を供給する。
センサユニット140は、ひずみゲージのみで使用される場合の他、ひずみゲージを用いた各種の変換器、例えば、変位変換器、加速度変換器、圧力変換器、トルク変換器、荷重変換器等が含まれる。
ひずみゲージを用いた場合、1ゲージ法2線式モード、1ゲージ法3線式モード、2ゲージ法モード、フルブリッジモード等によって構成は異なるが、ホイートストンブリッジに組み込まれ、その入力端にブリッジ電源(BV)が印加される。
【0023】
また、センサが温度センサや電圧出力センサの場合は、ホイートストンブリッジは組まれず、別途回路構成される。
このようにセンサユニット140は、センサを含んで構成される入出力構成部分を含むものとする。
計測回路115は、センサユニット140の出力を、例えば、ホイートストンブリッジの出力端から、ひずみゲージの抵抗値変化に基づく電圧信号として受けて、増幅する増幅回路(図示せず)や、この増幅回路から受け取った測定値(アナログ信号)を量子化し、デジタル信号に変換するA/D変換回路(図示せず)の機能を有するものとする。
第1の制御部113は、例えば、MCU(Memory Control Unit)からなり、内蔵されるメモリ制御を果たすものであり、上記計測回路115より受け取った、例えば、デジタル信号からなる測定値(計測値)を、第1の記憶部114へ書き込み、さらに後述するスマートフォン210の第2の制御部213へ第1の通信部112および第2の通信部212を介して送信制御する。
【0024】
さらに、第1の制御部113は、上記計測回路115より受け取ったデジタル信号からなる測定値に対して、フィルタでノイズを除去し、フィルタ適用後の測定値が、正常な範囲内かどうかを判断する。測定範囲内の場合、測定が正常に行われたと判断し、当該測定値情報を、例えば、不輝発性のメモリとしてのEEPROMからなる、第1の記憶部114に書き込む。
測定が正常に行われた場合は、第1の制御部113は、例えば、6回計測を行い、そのうちの最大値と最小値を除き、中間の4つの測定値をもとに、平均値を算出し、その結果を第1の記憶部114へ書き込むように構成されている。
測定値が異常であった場合には、再度計測回路115に、量子化要求を出し、測定値を再度受け取る。
この動作は、繰り返し行われるが、内蔵されたタイマーで計測し、一定時間(限定的ではないが、例えば、約10秒間)経過しても測定値が異常であった場合には、測定を終了する。
【0025】
上記第1の制御部113より出力される測定値情報は、第1の記憶部114に書き込まれると共に、第1の通信部112からスマートフォン210の第2の通信部212へ送信される。
この第1の記憶部114には、第1の制御部113からの測定値情報を順次記憶されると共に、少なくともタグ装置110の固有のID、初期値、校正係数、測定時刻情報、位置情報等が記憶される。
次に、第2の通信端末200について、
図1を参照して説明する。
第2の通信端末200は、スマートフォン210と、このスマートフォン210に一体的に付設され、前記タグ装置110側の誘導給電受電部120に対し、誘導給電を行う誘導給電送電部220とで構成される。
【0026】
上記スマートフォン210は、操作表示部211と、第2の通信部212と、第2の制御部213と、第2の記憶部214と、時刻情報取得部215と、位置情報取得部216とから構成されている。
誘導給電送電部220は、電池221と、第2のRF回路222と、送電アンテナ223とから構成されている。
上記操作表示部211は、一般に、液晶のタッチパネルで構成され、指先やタッチペン等で液晶画面に触れることで必要な情報を入力すると共に操作結果に応じた情報を表示する、いわゆる入力と表示の2つの機能を融合したデバイスである。
【0027】
本発明においては、上記操作表示部211には、
図3の正面図に示すように、測定日時、測定値、センサID、センサ情報、設置場所、位置情報(緯度、経度)等を表示するように構成してあるが、これらに限定されるものではなく、携帯電話機能や携帯情報端末機能等の既存の機能を実現するための操作情報を表示させる機能を有していてもよい。
上記第2の通信部212は、前記第1の通信部112との間において、例えばNFC(Near Field Communication)と称する近距離無線通信規格に基づいて無線で情報を収受する。
上記NFCという規格を使用した場合、約10mmの範囲内で、近接通信が可能であり、第2の通信端末200のスマートフォン210を第1の通信端末100のタグ装置110にかざす(接近させる)と、第2の通信部212と第1の通信部112は、自動的に近接無線通信を開始するように動作する。
【0028】
上記第2の制御部213は、第1の記憶部114から計測値等の情報を第1の通信部112と第2の通信部212を順次介して読み込み、第2の記憶部214へ書き込む。また、第2の制御部213は、上記動作を実行すると共に、時刻情報取得部215より現在時刻(測定時刻)を取得したり、GPSからなる位置情報取得部216よりの位置情報を取得し、共に第2の記憶部214へ書き込む。
第2の通信端末を構成する誘導給電送電部220は、電池221と、第2のRF回路222と、送電アンテナ223とからなり、誘導給電送電部220の電源スイッチ(図示せず)をONにすると、電池221から供給された電流が、第2のRF回路222にて、例えば、110KHz~205KHzの高周波信号へと変換され、送電アンテナ223から電力を誘導給電にて送電するように構成されている。
【0029】
図4は、本発明に係る物理量測定システムの第1の通信端末を構成するタグ装置とセンサユニットを、正面斜めから見た外観構成を示す斜視図である。
図4において、タグ装置110は、縦長で比較的薄型の矩形体を呈する筐体110Aの内部に収納されている。上記筐体110Aの下半部には、不等角な八角形状溝からなる凹状部110Bが形成されている。
タグ装置110の筐体110Aの上端部には、接続ケーブル141の基端部が接続され、接続ケーブル141の先端部がセンサユニット140(本実施の形態においては、変位変換器を例示している)に接続されている。
尚、
図4において、筐体110Aの上半部に破線で示す三重丸部分は、第1の通信部112の配設部位に対応し、筐体110Aの下半部に破線で示す五重丸部分は、誘導給電受電部120の受電アンテナ123に対応していることを示している。
【0030】
図5は、本発明に係る物理量測定システムの第2の通信端末を構成する携帯情報端末装置としてのスマートフォンおよび誘導給電送電部の背面側を斜めから見た外観構成を示す斜視図である。
図5において、第2の通信端末200を構成するスマートフォン210の筐体210Aの背面側に誘導給電送電部220が一体的に付設されている。
具体的には、スマートフォン210の筐体210Aの背面側のやや下方寄りに、誘導給電送電部220の筐体220Aが突設されている。
その筐体220Aは、所定量突出する2つの凸状部220Bと220Cが連設されている。
2つの凸状部220Bと220Cのうち、上側の凸状部220Bは、上述した
図4におけるタグ装置110の凹状部110Bよりやや小さい相似形を呈し、該凹状部110Bに嵌合し得るように形成されている。
【0031】
図5において、スマートフォン210の筐体210Aにおける上端寄りの部位に破線で示す三重丸部分は、第2の通信部212の配設部位に対応し、誘導給電送電部220の筐体220Aのうち、上側の凸状部220Bの中央部に破線で示す五重丸部分は、誘導給電送電部220の送電アンテナ223に対応していることを示している。
尚、スマートフォン210の筐体210Aと、誘導給電送電部220の筐体220Aとは、別体のものとして説明したが、両者は、一体の筐体として形成してもよい。
次に、
図2に示すフローチャートを参照して、本発明の第1の実施形態に係る物理量測定システムの動作を説明する。
【0032】
図2において、先ず、スマートフォン210の電源を入れると、OSが立ち上がり(ステップS301)、NFC規格に基づいて第2の通信部212が作動して動作の準備をする(ステップS302)。その後、近接無線通信可能な通常使用状態へと移行する(ステップS303)。
一方、これと並行して誘導給電送電部220の電源をON(ステップS401)にすると、電池221から供給された電流が第2のRF回路222にて、例えば、110KHz~205KHzの高周波信号へと変換され、電力を供給する準備が行われ(ステップS402)、誘導給電送電部220は、待機(スタンバイ)状態となる(ステップS403)。
そこで、第2の通信端末200のスマートフォン210を誘導給電送電部220と共に、タグ装置110に接近(かざす)乃至は、
図5に示す誘導給電送電部220の筐体220Aに設けた上側の凸状部220Bを、
図4に示すタグ装置110の筐体110Aに形成した凹状部110Bに嵌合当接させる。
【0033】
すると、誘導給電送電部220の送電アンテナ223から誘導給電受電部120の受電アンテナ123へ電力が供給される(ステップS404)。その結果、誘導給電受電部120が受電し(ステップS501)、動作を開始する(ステップS502)。誘導給電受電部120においては、第1のRF回路122で、高周波信号を整流し(ステップS503)、電源回路111へ電力を供給する(ステップS504)。
電力を受けたタグ装置110の電源回路111が、起動し(ステップS651)、一方では第1の制御部113側へ電源を供給する(ステップS601)と共に、センサ電源回路116へ電源を供給する(ステップS701)。
電源回路111から電源の供給を受けて、第1の制御部113が起動し(ステップS601)、第1の制御部113は、第1の記憶部114に格納された前回の測定情報を第1の通信部112を介してスマートフォン210の第2の通信部212へ送信する(ステップS602)。
【0034】
上記前回の測定情報の中には、そのセンサに関する情報、例えば、固有のIDや初期値、校正係数と、前回の測定値が含まれる。
タグ装置110の第1の制御部113は、前回の測定情報を送信した後、第1の記憶部114の計測前処理(例えば、第1の制御部113のアンプのゲイン設定、A/D変換器のサンプリングの時定数の設定等の起動準備)を行う(ステップS603)。
一方、スマートフォン210の第2の制御部213は、第1の通信部112および第2の通信部212を介して、第1の記憶部114に記憶された上記前回の測定情報を受信し、読み込みを行う(ステップS304)。
また、スマートフォン210の第2の制御部213は、位置情報取得部216からGPS位置情報を取得し、第2の記憶部214へ書き込む(ステップS305)。
【0035】
上述したステップS602、ステップS603、ステップS304およびステップS305の動作と並行して、タグ装置110のセンサ電源回路116は、電源回路111より供給された電力を、センサユニット140に適した電圧に変換し、例えばセンサユニット140がひずみゲージ式変換器であって、ブリッジ回路が形成されている場合であればそのブリッジ回路の入力端に所定のブリッジ電圧を印加する(ステップS701)。
そして、センサユニット140から出力された電圧は、計測回路115にてA/D変換され、第1の制御部113へ送られる(ステップS702)。
タグ装置110の第1の制御部113は、計測回路115から得た計測値を第1の記憶部114へ書き込み(ステップS604)、第1の通信部112および第2の通信部212を介し、スマートフォン210の第2の制御部213へ送信し(ステップS605)、スリープ状態へ移行する(ステップS606)。
【0036】
一方、スマートフォン210の第2の制御部213は、上述のように送信された第1の記憶部114の計測値の情報を読み込み、さらに先にステップS305にて取得したGPS位置情報と共に、時刻情報取得部215より現在時刻を取得し、共に第2の記憶部214へ書き込む(ステップS306)。
その後、第2の制御部213は、第2の記憶部214に書き込まれた情報を用いて、操作表示部211へ表示する数値についての演算処理を行う(ステップS307)。
ここでいう操作表示部211に表示する計測値とは、例えば計測値から初期値を引いた値(計測値)や、物理量に換算した値(例えば、変位量、加速度、圧力、トルク、荷重、電圧、温度等の物理量値)である。
そして、スマートフォン210の第2の制御部213は、上記計測値、物理量値のほか現在時刻、測定位置情報等を、操作表示部211に表示する(ステップS308)。
この操作表示部211に表示される画面を模擬的に表した図が、
図3である。
【0037】
尚、誘導給電送電部220の電源をOFFにする(ステップS405)と、誘導給電受電部120への送電が停止され、タグ装置110の動作が終了する(ステップS607)。
また、第2の通信端末200を、タグ装置110から所定の距離以上離すことによっても、誘導給電受電部120への送電は、停止される。
また、スマートフォン210の第2の通信部212と、タグ装置110の第1の通信部112との間の通信も、タグ装置110からスマートフォン210を所定距離以上離すことで、同様に停止する。
本発明に係る物理量測定システムについて、その要旨とするところを整理すると、以下の通りである。
【0038】
本発明に係る物理量測定システムは、センサユニット140で検出された物理量情報が記憶されるタグ装置110を含む第1の通信端末100と、前記タグ装置110に記憶された物理量情報を無線通信で読み取る携帯情報端末装置(スマートフォンと読み替えることもある)210を含む第2の通信端末200とを有して構成される。
そして、前記タグ装置110は、
前記センサユニット140からの情報を適宜増幅、演算等の処理を施す計測回路115と、
前記計測回路115からの測定値情報を順次記憶すると共に、少なくとも前記タグ装置110の固有のID、初期値、校正係数、測定、測定時刻情報、位置情報を記憶する第1の記憶部114と、
前記計測回路115、前記第1の記憶部114を制御する第1の制御部113と、
前記携帯情報端末装置210からの要求により前記測定値情報を近接無線信号として送信する第1の通信部112と、
前記携帯情報端末装置210側から発せられる誘導給電を受電する誘導給電受電部120とを、
有してなる。
【0039】
そして、前記携帯情報端末装置210は、
携帯電話機能および携帯情報端末機能等の既存の機能を備えると共に、
前記タグ装置110と非接触で前記第1の通信部112と通信可能な第2の通信部212と、
携帯情報端末装置210の入出力と画像表示を司る操作表示部211と、
前記操作表示部211を制御し、前記タグ装置110から得た情報を処理する第2の制御部213と、
前記第2の制御部213で処理した情報を記憶する第2の記憶部214と、
を有してなり、
さらに、前記第2の通信端末200としての前記携帯情報端末装置210に一体的に付設され、前記タグ装置110側の誘導給電受電部120に対し誘導給電を行う誘導給電送電部220を備えてなる。
【0040】
上記のように構成してなる前記第2の通信端末200を前記第1の通信端末100に近接させることにより、非接触通信により、前記タグ装置110側に電力を供給すると共に、前記タグ装置110側で検出した測定値情報を携帯情報端末装置210側に伝達するように構成したことを特徴としている(請求項1に対応する)。
上記のように構成したことにより、
第1には、軽量且つ小型の測定機器とすることで、測定現場への搬送や設置を極めて容易化することができ、第2には、多岐にわたる情報を基に種々の分析をすることができ、第3には、携帯情報端末装置における記憶内容や記憶容量を著しく増大させることができ、第4には、設置個所の制限を排し、測定個所が限定されず、第5には、上記の効果を得つつ、従来装置に比べ、比較的安価な物理量測定システムを提供することができる。
【0041】
また、前記タグ装置110における前記誘導給電受電部120は、受電アンテナ123および第1のRF回路122からなり、前記携帯情報端末装置(スマートフォン210)に付設された前記誘導給電送電部220の送電アンテナ223から誘導給電にて送られる電力信号を前記受電アンテナ123で受信し、前記第1のRF回路122で前記電力信号を所定の規格に従い電源として使用できるように復調し、電源回路111へ電力を供給するように構成したことを特徴としている(請求項2に対応している)。
このように構成したことにより、タグ装置110内に、自然放電の生じる電池を内蔵させる必要性をなく、延いては、電池の交換作業の手間を無くし得ると共に、夜間やトンネル内等の環境下では、測定が限られてしまうソーラーパネルを使用しなくてもすむという利点が得られる。
【0042】
また、前記携帯情報端末装置(スマートフォン210)に付設された誘導給電送電部220は、電池221と前記電池221から供給される電流を高周波信号へ変換する第2のRF回路222と、前記高周波信号を受けて前記受電アンテナ123に向けて給電する送電アンテナ223からなり、前記携帯情報端末装置210およびこれと一体的な前記誘導給電送電部220は、前記タグ装置110との間が、近接無線通信可能な範囲内にある場合に、前記送電アンテナ223より自動的に送電を開始すると共に、前記第2の通信部212は、自動的に通信を開始し、
一方、前記タグ装置110との間が近接無線通信可能な範囲外に移動(離間)した場合に、前記送電アンテナ223は、自動的に送電を終了すると共に、前記第2の通信部212は、自動的に通信を終了するように構成したことを特徴としている(請求項3に対応する)。
【0043】
このように構成することにより、誘導給電送電部220から誘導給電受電部120への電源の送電と、第2の通信部212と第1の通信部112との間の通信とを、スマートフォン210と、タグ装置110との間を、接近するだけの操作で同時に開始させることができ、両者の間を離間させるだけの操作で、同時に終了させることができるので、操作が極めて簡易化される。
また、前記タグ装置110に設けられたセンサ電源回路116は、前記第1のRF回路122によって復調された電力を平滑化して、ひずみゲージ式変換器またはひずみゲージを含んで形成されるホイートストンブリッジ回路に直流電流からなるブリッジ電圧を供給するように構成したことを特徴としている(請求項4に対応する)。
このように構成することにより、少なくとも、センサユニット140としてブリッジ回路を形成するひずみゲージ式変換器やひずみゲージを含んで構成されるブリッジ回路の入力端に所定のブリッジ電圧を供給することができ、当該ブリッジ回路の出力端から、ひずみゲージの抵抗値変化に基づく電圧信号を取り出すことができる。
【0044】
また、前記センサユニット140は、被測定対象の物理量を検出するひずみゲージ、ひずみゲージを含んで構成されるひずみゲージ式変換器、電圧出力センサ、温度センサのいずれからなるセンサを含んで構成されていることを特徴としている(請求項5に対応する)。
センサユニット140としては、ひずみゲージを含んでブリッジ回路が形成されるひずみゲージ式変換器に限らず、ブリッジ回路が組まれない電圧出力センサや温度センサなど広汎なセンサが適用可能である。
また、前記携帯情報端末装置210は、第2の制御部213によって制御され現在の位置情報を取得する位置情報取得部216と、現在時刻を取得する時刻情報取得部215と、を更に有し、
前記第2の制御部213は、前記タグ装置110から送信された測定値情報に、前記時刻情報取得部215および前記位置情報取得部216より取得した現在時刻情報およびGPS位置情報を紐付けて前記操作表示部211に表示し得るように構成したことを特徴としている(請求項6に対応する)。
このように構成することによって、測定値情報の他に、測定時刻情報、測定位置情報等、多岐に亘る情報を入手することができ、従来のようにメモ等による記録方法に比べ、正確な情報が同時に且つ容易に得られ、種々の分析をする上で、極めて好都合である。
【0045】
また、前記携帯情報端末装置210の前記第2の記憶部214に記録された情報は、前記携帯情報端末装置210の携帯情報端末回線を利用してクラウドサーバー上に保存し得るように構成したことを特徴としている(請求項7に対応する)。
このように、クラウドサーバーを利用することにより、インターネット環境があれば、設備費用等の初期費用を安く抑えることができ、ストレージの拡張性も高いので、多岐に亘り且つ膨大な記憶容量を増大させることができる。
また、前記タグ装置110および前記センサユニット140は、防水手段をもって被覆され且つ防水処理を施されてなることを特徴としている(請求項8に対応する)。
このように構成することで、計測時に雨が降っている場合であっても、タグ装置110の筐体110A、センサユニット140および接続ケーブル141の接続部からの水分の浸入が防止され、内部構成部品の腐食や電気系統の絶縁低下を未然に防止し、延いては測定の安定性と耐久性の向上を図ることができる。
【0046】
また、前記携帯情報端末装置210の背面側には、前記誘導給電送電部220が所定量突出する凸状部220Bを形成し、前記タグ装置110の一方の面側には、前記誘導送電部220の前記凸状部220Bに緩く嵌合し得る凹状部110Bを形成してなり、前記凸状部220Bを前記凹状部110Bに近接乃至は嵌合させた状態のとき、非接触通信により前記タグ装置110側に電力を供給すると共に、前記タグ装置110側で検出した測定値情報を携帯情報端末装置210側に安定的に伝達し得るように構成したことを特徴としている(請求項9に対応する)。
このように構成することで、タグ装置110の凹状部110Bに誘導給電送電部220の上側凸状部220Bを嵌合させて当接保持させるだけの簡単な操作で、誘導給電送電部220からタグ装置110の誘導給電受電部120への電力の供給と、スマートフォン210の第2の通信部212とタグ装置110の第1の通信部112との間の無線送信が安定的に実現され、しかも両者間の距離が一定化されるため、タグ装置110で検出した測定値情報をスマートフォン210側に安定的に伝達させるのに極めて有効である。
【符号の説明】
【0047】
100 第1の通信端末
110 タグ装置
110A 筐体
110B 凹状部
111 電源回路
112 第1の通信部
113 第1の制御部
114 第1の記憶部
115 計測回路
116 センサ電源回路
120 誘導給電受電部
122 第1のRF回路
123 受電アンテナ
140 センサユニット
141 接続ケーブル
200 第2の通信端末
210 スマートフォン(携帯情報端末装置)
210A 筐体
211 操作表示部
212 第2の通信部
213 第2の制御部
214 第2の記憶部
215 時刻情報取得部
216 位置情報取得部
220 誘導給電送電部
220A 誘導給電部の筐体
220B 上側凸状部
220C 下側凸状部
221 電池
222 第2のRF回路
223 送電アンテナ