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  • 特開-給湯システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022032508
(43)【公開日】2022-02-25
(54)【発明の名称】給湯システム
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/10 20220101AFI20220217BHJP
   F24H 1/14 20220101ALI20220217BHJP
   F24H 15/10 20220101ALI20220217BHJP
   F24D 17/00 20220101ALN20220217BHJP
【FI】
F24H1/10 Z
F24H1/14 D
F24H1/10 303A
F24D17/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020136353
(22)【出願日】2020-08-12
(71)【出願人】
【識別番号】000137889
【氏名又は名称】株式会社ミヤワキ
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(72)【発明者】
【氏名】森 真也
【テーマコード(参考)】
3L034
3L073
【Fターム(参考)】
3L034BA38
3L034EA01
3L073AA08
3L073AA13
3L073AB09
3L073AC07
3L073DF01
(57)【要約】
【課題】加熱流体調節弁が故障した場合でも、温水または熱水の供給ことができる給湯システムを提供する。
【解決手段】本発明の給湯システム1は、加熱流体F1と水W1との間の熱交換により熱水W2を生成する熱交換器4と、熱交換器4に加熱流体F1を供給する加熱流体供給通路34と、加熱流体供給通路34に設けられて熱交換器4に供給される加熱流体F1の量を調節する加熱流体調節弁36と、加熱流体供給通路34に設けられて加熱流体調節弁36をバイパスするバイパス通路60と、バイパス通路60を開閉する開閉弁62と、加熱流体調節弁36が故障した場合に開閉弁62を開操作する制御装置55とを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱流体と水との間の熱交換により熱水を生成する熱交換器と、
前記熱交換器に前記加熱流体を供給する加熱流体供給通路と、
前記加熱流体供給通路に設けられて、前記熱交換器に供給される前記加熱流体の量を調節する加熱流体調節弁と、
前記加熱流体供給通路に設けられて、前記加熱流体調節弁をバイパスするバイパス通路と、
前記バイパス通路に設けられて、前記バイパス通路を開閉する開閉弁と、
前記加熱流体調節弁が故障した場合に、前記開閉弁を開操作する制御装置と、を備えた給湯システム。
【請求項2】
請求項1に記載の給湯システムにおいて、前記制御装置は、前記熱交換器からの熱水が所定温度を超えた場合に、前記開閉弁を閉操作する給湯システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の給湯システムにおいて、前記バイパス通路が、前記加熱流体供給通路よりも通路面積が小さく形成されている給湯システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の給湯システムにおいて、前記開閉弁が電磁弁である給湯システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の給湯システムにおいて、前記加熱流体が蒸気である給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱流体と水との間の熱交換により熱水を生成する熱交換器を備えた給湯システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、冷水または温水を蒸気のような加熱流体で加熱することにより、温水または熱水を生成する加熱システムの一種である給湯装置が知られている(例えば、特許文献1)。生成された温水または熱水はユーザに供給される。このような給湯装置の一種として、循環式の給湯システムがある。循環式の給湯システムでは、熱交換器からの配管にタンクへの戻り管を設けることにより、温水または熱水を使用していない時でも温水または熱水を循環させて水温が一定に保たれている。このため、給湯装置から離れた場所であっても、ユーザは、ほぼ待ち時間なしで、温水または熱水を使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5103495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような給湯システムでは、熱交換器に加熱流体を供給する加熱流体供給通路に、加熱流体の量を調節する加熱流体調節弁が設けられている。加熱流体調節弁が故障すると、熱水の生成ができなくなる、つまり、ユーザへの温水または熱水の供給が不可能となり、生産設備等に大きな影響を与えることになる。
【0005】
本発明は、加熱流体調節弁が故障した場合でも、ユーザへの温水または熱水の供給ことができる給湯システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の給湯システムは、加熱流体と水との間の熱交換により熱水を生成する熱交換器と、前記熱交換器に前記加熱流体を供給する加熱流体供給通路と、前記加熱流体供給通路に設けられて前記熱交換器に供給される前記加熱流体の量を調節する加熱流体調節弁と、前記加熱流体供給通路に設けられて前記加熱流体調節弁をバイパスするバイパス通路と、前記バイパス通路に設けられて前記バイパス通路を開閉する開閉弁と、前記加熱流体調節弁が故障した場合に前記開閉弁を開操作する制御装置とを備えている。前記加熱流体は、例えば、蒸気である。また、前記開閉弁は、例えば、電磁弁である。
【0007】
この構成によれば、加熱流体調節弁が故障した場合、加熱流体調節弁をバイパスするバイパス通路に設けられた開閉弁が開操作される。これにより、加熱流体調節弁が故障した場合でも、熱水を生成することができる。その結果、ユーザへの温水または熱水の供給が不可能となることが回避され、生産設備等に悪影響を与えるのを防ぐことができる。また、加熱流体に蒸気を用いることで、熱交換器による水の昇温を迅速に行うことができる。さらに、開閉弁に電磁弁を用いることで、開閉弁の構造が簡単になる。
【0008】
本発明において、前記制御装置は、前記熱交換器からの熱水が所定温度を超えた場合に、前記開閉弁を閉操作するようにしてもよい。開閉弁はON/OFFのみの動作であって開度制御ができず、給湯温度の制御ができないから、給湯温度が上昇することが懸念されるが、この構成によれば、熱交換器からの熱水が所定温度を超えた場合、開閉弁を閉操作して熱水の生成を抑制するので、給湯温度の過上昇を防ぐことができる。
【0009】
本発明において、前記バイパス通路が、前記加熱流体供給通路よりも通路面積が小さく形成されていてもよい。この構成によっても、バイパス通路を小径としているので、加熱流体調節弁が故障時に加熱流体の熱交換器への過剰な流入を阻止でき、給湯温度の過上昇を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の給湯システムによれば、加熱流体調節弁が故障した場合でも、熱水を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係る給湯システムを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る給湯システム1を示す概略構成図である。本実施形態の給湯システム1は循環式の給湯システムであるが、給湯システム1はこれに限定されない。給湯システム1は、水W1が貯留されるタンク2と、加熱流体F1とタンク2から導出された水W1との間の熱交換により熱水W2を生成する熱交換器4とを備え、熱交換器4からの熱水W2がユーザを経てタンク2に戻されている。
【0013】
ユーザに供給される熱水W2は、例えば、95℃に設定されている。このような熱水W2は、例えば、食品メーカの生産設備における殺菌、滅菌等の作業に用いられる。また、本実施形態では、加熱流体F1として、蒸気が用いられている。ただし、加熱流体F1は、蒸気に限定されず、例えば、高温高圧水であってもよい。
【0014】
タンク2に、熱交換器4に水W2を供給する水供給通路6が接続されている。水供給通路6に、ポンプ8および第1温度センサ10が設けられている。ポンプ8は、タンク2内の水W1を圧送する。第1温度センサ10は、水供給通路6内の水W1の温度(水温度)、つまり、タンク2内の水温度を検出する。本実施形態では、第1温度センサ10は、ポンプ8の下流側で熱交換器4の上流側に配置されている。なお、水供給通路6には、ポンプ8に供給される水W1中の異物を除去するストレーナ12と、水W1の流量を検出する流量計14も設けられている。
【0015】
水供給通路6の下流端が、熱交換器4の水入口4aに接続されている。一方、熱交換器4の水出口4bに熱水供給通路16の上流端が接続されている。水入口4aから熱交換器4に流入した水W1は、熱交換器4内において加熱流体F1との間で熱交換されて熱水W2となる。生成された熱水W2は、水出口4bから熱水供給通路16に導出される。熱交換器4における加熱流体F1側の構成については後述する。
【0016】
熱水供給通路16に、第2温度センサ18および第1圧力センサ19と、その上流側の逆止弁17が設けられている。第2温度センサ18は、熱水供給通路16内の熱水W2の温度を検出する。熱水供給通路16の下流端に、ユーザ側配管100の入口が接続されている。
【0017】
ユーザ側配管100の出口に、熱水戻り通路22が接続されている。ユーザ側配管100に供給された熱水W2は、熱水戻り通路22を介してタンク2に戻される。熱水戻り通路22に、電磁弁24が設けられている。電磁弁24は、例えば、給湯システム内のタンク2へユーザ側配管100からの熱水W2の供給を停止する場合に閉止される。
【0018】
タンク2に水補給通路26が接続されている。水補給通路26の下流端部に、ボールタップ28が設けられている。つまり、水補給通路26は、タンク2内の水位が設定レベルよりも低下したときに冷水W3をタンク2に補給して、水位を設定レベルに保つ。冷水W3は、例えば、水道水であり、水補給通路26の入口である給水口26aから水補給通路26に供給される。
【0019】
熱交換器4における加熱流体(蒸気)F1側の構成について説明する。給湯システム1は、熱交換器4に加熱流体F1を供給する加熱流体供給通路34を有している。加熱流体供給通路34に、加熱流体調節弁36および第2圧力センサ38が設けられている。加熱流体調節弁36は、熱交換器4への加熱流体F1の供給量を調節する。本実施形態の加熱流体調節弁36は電動ボール弁である。ただし、加熱流体調節弁36は、これに限定されない。第2圧力センサ38は、加熱流体供給通路34内の加熱流体F1の圧力を検出する。なお、加熱流体供給通路34には、加熱流体調節弁36に導入される加熱流体F1中の異物を除去するストレーナ40も設けられている。
【0020】
加熱流体供給通路34の下流端が、熱交換器4の加熱流体入口4cに接続されている。一方、熱交換器4の加熱流体出口4dに加熱流体排出通路42の上流端が接続されている。加熱流体入口4cから熱交換器4に流入した加熱流体F1は、熱交換器4内において水W1との間で熱交換して水W1を加熱した後、加熱流体出口4dから加熱流体排出通路42に導出される。
【0021】
加熱流体排出通路42に、第3温度センサ44が設けられている。第3温度センサ44は、加熱流体排出通路42内の加熱流体F1の温度を検出する。加熱流体排出通路42の下流端に、スチームトラップ46が設けられている。スチームトラップ46により、加熱流体排出通路42中の復水(ドレン)F2がドレン通路48から排出される。
【0022】
加熱流体供給通路34における加熱流体調節弁36の上流側に、ドレン取出用通路50が接続されている。ドレン取出用通路50の下流端にも、スチームトラップ52が設けられている。
【0023】
加熱流体供給通路34に、加熱流体調節弁36をバイパスするバイパス通路60が設けられている。具体的には、バイパス通路60は、加熱流体供給通路34における加熱流体調節弁36の上流側と下流側とを連通している。バイパス通路60は、加熱流体供給通路34よりも通路面積が小さく形成されている。バイパス通路60は、例えば、加熱流体供給通路34の半分程度の通路面積で形成されている。バイパス通路60の大きさは、これに限定されない。
【0024】
バイパス通路60に、バイパス通路60を開閉する開閉弁62が設けられている。本実施形態の開閉弁62は電磁弁である。ただし、開閉弁62は、電磁弁に限定されず、例えば、エア式または油圧式のON-OFFバルブであってもよい。
【0025】
給湯システム1の各機器は、制御装置55により制御されている。具体的には、第1~第3温度センサ10,18,44、第1および第2圧力センサ19、38、流量計14等の出力値は制御装置55に入力され、ポンプ8、電磁弁24、加熱流体調節弁36、開閉弁62等の機器は制御装置55の指令により動作する。制御装置55は、リレー等からなる電気回路であってもよく、プログラムが実装された演算装置であってもよい。
【0026】
制御装置55は、加熱流体調節弁36が故障した場合に開閉弁62を開操作する。加熱流体調節弁36の故障は、例えば、加熱流体調節弁36の開指令を出力しても、加熱流体調節弁36から開信号が返信されてこない場合、あるいは加熱流体調節弁36の開度が大きくならない場合を含む。加熱流体調節弁(電動ボール弁)36は、ばね等により押圧されて常時閉となるように構成され、開動作時にはモータのような動力源により、ばね力に抗して開くように構成されている。したがって、モータの故障等が発生した場合、加熱流体調節弁36は閉状態となる。
【0027】
加熱流体調節弁36の閉状態が続くと、熱水の生成ができなくなる、つまり、ユーザへの温水または熱水の供給が不可能となり、生産設備等に大きな影響を与えることになる。加熱流体調節弁36が故障した際に、制御装置55により開閉弁62が開操作されることで、バイパス通路60を介して熱交換器4に加熱流体F1が供給され、熱水の生成を可能にしている。
【0028】
制御装置55は、バイパス通路60を介して熱交換器4に加熱流体F1が供給されている際に、熱交換器4からの熱水W2が所定温度を超えた場合、開閉弁62を閉操作する。熱水W2の温度は、第2温度計18の検出値が用いられる。
【0029】
つぎに、本実施形態の循環式給湯システム1の動作について説明する。システムが稼働すると、ポンプ8によりタンク2内の水W1が熱交換器4に供給される。水W1は、熱交換器4内で加熱流体F1との間で熱交換されて熱水W2が生成される。熱水W2は、ユーザ側配管100に供給され、熱水戻り通路22からタンク2に戻される。
【0030】
加熱流体調節弁36が故障した場合、バイパス通路60に設けられた開閉弁62が開操作される。これにより、加熱流体調節弁36が故障した場合でも、バイパス通路60を介して熱交換器4に加熱流体F1が供給され、熱水W2を生成することができる。したがって、ユーザへの熱水W2の供給が不可能となることが回避され、生産設備等に悪影響を与えるのを防ぐことができる。
【0031】
開閉弁62は開度制御ができないから、加熱流体調節弁36の故障時は、給湯温度の制御ができない。したがって、熱水W2の温度調整は、ユーザ側配管100で行う必要がある。この場合、ユーザ側配管100に供給される熱水W2の温度が上昇することが懸念される。上記構成では、熱交換器4からの熱水W2の温度(第2温度計18の検出値)が所定値を超えた場合、開閉弁62が閉操作されて熱水W2の生成が抑制される。これにより、ユーザ側配管100に供給される熱水W2の温度の過上昇を防ぐことができる。
【0032】
また、上記構成では、バイパス通路60を加熱流体供給通路34よりも小径としているので、加熱流体F1の熱交換器への過剰な流入を阻止できる。これによっても、ユーザ側配管100に供給される熱水W2の温度の過上昇を防ぐことができる。
【0033】
開閉弁62として電磁弁を用いることで、開閉弁62の構造が簡単になる。また、加熱流体F1に蒸気を用いることで、熱交換器4による水W1の昇温を迅速に行うことができる。
【0034】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。例えば、上記実施形態では、循環式の給湯システムについて説明したが、本発明の給湯システムは循環式に限定されない。また、本発明の給湯システムは、タンク2を備えない給湯システムにも適用できる。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0035】
1 給湯システム
4 熱交換器
34 加熱流体供給通路
36 加熱流体調節弁
55 制御装置
60 バイパス通路
62 開閉弁(電磁弁)
F1 加熱流体(蒸気)
W1 水
W2 熱水
図1