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  • 特開-油圧破砕機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022032518
(43)【公開日】2022-02-25
(54)【発明の名称】油圧破砕機
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/04 20060101AFI20220217BHJP
   B02C 1/04 20060101ALI20220217BHJP
   E02F 3/36 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
F15B11/04 H
B02C1/04
E02F3/36 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020136378
(22)【出願日】2020-08-12
(71)【出願人】
【識別番号】594149398
【氏名又は名称】古河ロックドリル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 和幸
(72)【発明者】
【氏名】佐保井 大悟
(72)【発明者】
【氏名】小林 功
【テーマコード(参考)】
2D012
3H089
4D063
【Fターム(参考)】
2D012DA02
3H089AA22
3H089AA45
3H089BB15
3H089CC01
3H089CC08
3H089CC11
3H089DA02
3H089DB03
3H089DB13
3H089DB14
3H089DB33
3H089DB34
3H089DB46
3H089DB49
3H089GG02
3H089JJ01
4D063AA06
4D063AA18
4D063GC21
(57)【要約】
【課題】油圧破砕機本体の旋回作動性をより向上させ得る油圧破砕機を提供する。
【解決手段】油圧破砕機100は、作業台車側から油圧アクチュエータ50に接続された開閉用油圧流路80、81と、この流路80、81から分岐して油圧モータ60に接続された旋回用油圧流路90、91、92と、破砕アーム20または油圧アクチュエータ50の位置に応じて流路90、91、92の連通と閉止とを切り替える開閉手段70と、流路90、91、92が連通してから油圧モータ60が回転するまでの遅延時間を与える遅延シリンダ7と、を有する。そして、遅延シリンダ7の上流側流路にシーケンス弁1、遅延シリンダ7の下流側流路に圧力補償付流量調整弁3、遅延シリンダ7の戻り側に接続される遅延弁流路93に流量調整弁2をそれぞれ設け、さらに、油圧モータ60の上流側と下流側との旋回用油圧流路がパイロットチェック弁6で接続されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
破砕アームと、
該破砕アームを開閉可能に支持する破砕機本体と、
該破砕機本体を旋回可能に作業台車のアームに接続する固定ブラケットと、
前記破砕機本体に配置されて前記破砕アームの開閉を行う油圧アクチュエータと、
前記破砕機本体の旋回を行う油圧モータと、
前記作業台車側から前記油圧アクチュエータに接続された開閉用油圧流路と、
該開閉用油圧流路から分岐して前記油圧モータに接続された旋回用油圧流路と、
前記破砕アームまたは前記油圧アクチュエータの位置に応じて前記旋回用油圧流路の連通と閉止とを切り替える旋回用油圧流路開閉手段と、
前記旋回用油圧流路が連通してから前記油圧モータが回転するまでの遅延時間を与える遅延手段と、
前記旋回用油圧流路における前記遅延手段の上流側に設けられた圧力制御弁と、
前記旋回用油圧流路における前記遅延手段の下流側に設けられた圧力補償付き流量調整弁と、
前記遅延手段の戻り側に接続される遅延弁流路に設けられた流量調整弁と、
前記旋回用油圧流路における前記油圧モータの上流側と下流側とを接続するパイロットチェック弁と、
を備えることを特徴とする油圧破砕機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧破砕機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、破砕アームと、破砕アームを開閉可能に支持する破砕機本体と、破砕機本体を旋回可能に作業台車のアームに接続する固定ブラケットと、破砕機本体に配置されて破砕アームの開閉を行う油圧アクチュエータと、破砕機本体の旋回を行う油圧モータと、を備える油圧破砕機が開示されている。
【0003】
同文献記載の技術では、図4に一例を示すように、破砕アームの開閉を行う油圧アクチュエータ310が最縮時に、ピストンロッド側の圧油が、符号390,391の油圧通路を介して遅延シリンダ340に入り、絞り350を通過してから破砕機本体の旋回を行う油圧モータ305に入ることにより、破砕機本体の旋回作動が可能になる。
【0004】
遅延シリンダ340は、絞り351によって遅延時間の調整が可能であり、遅延後は、破砕アームの閉口作動時に、符号395,398の油圧通路を介してチェック弁362により容易に復帰可能となる。
同文献記載の技術では、遅延シリンダ340の作動後に、絞り350を通過して、油圧モータ305で破砕機本体を旋回作動させられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-75726号公報(図5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の技術では、油圧アクチュエータ310から多量の高圧油が入ることにより、作業台車(ショベル側アタッチメント)のコントロールバルブを停止しても、破砕機本体の旋回作動を直ちに停止することが困難である。そのため、同文献記載の技術では、破砕機本体の旋回作動性に改善の余地が残されている。
【0007】
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、破砕機本体の旋回作動性をより向上させ得る油圧破砕機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る油圧破砕機は、破砕アームと、該破砕アームを開閉可能に支持する破砕機本体と、該破砕機本体を旋回可能に作業台車のアームに接続する固定ブラケットと、前記破砕機本体に配置されて前記破砕アームの開閉を行う油圧アクチュエータと、前記破砕機本体の旋回を行う油圧モータと、前記作業台車側から前記油圧アクチュエータに接続された開閉用油圧流路と、該開閉用油圧流路から分岐して前記油圧モータに接続された旋回用油圧流路と、前記破砕アームまたは前記油圧アクチュエータの位置に応じて前記旋回用油圧流路の連通と閉止とを切り替える旋回用油圧流路開閉手段と、前記旋回用油圧流路が連通してから前記油圧モータが回転するまでの遅延時間を与える遅延手段と、前記旋回用油圧流路における前記遅延手段の上流側に設けられた圧力制御弁と、前記旋回用油圧流路における前記遅延手段の下流側に設けられた圧力補償付き流量調整弁と、前記遅延手段の戻り側に接続される遅延弁流路に設けられた流量調整弁と、前記旋回用油圧流路における前記油圧モータの上流側と下流側とを接続するパイロットチェック弁と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様に係る油圧破砕機では、旋回用油圧流路に設けられた圧力制御弁により作動開始時の圧力を調整可能であり、また、遅延弁流路に設けられた流量調整弁で遅延時間を調整可能であり、さらに、旋回用油圧流路に設けられた圧力補償付流量調整弁で油圧モータの回転数を調整可能なので、各々の油路を独立して一義的に調整できる。そのため、油圧破砕機本体の旋回作動性をより向上させることができる。
【発明の効果】
【0010】
上述のように、本発明によれば、油圧破砕機本体の旋回作動性をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一態様に係る油圧破砕機の一実施形態の縦断面図である。
図2】本発明の一態様に係る油圧破砕機の一実施形態における油圧回路の構成図であり、同図では、破砕アームの閉口作動時の状態を示している。
図3】本発明の一態様に係る油圧破砕機の一実施形態における油圧回路の構成図であり、同図では、油圧アクチュエータが最縮時の状態を示している。
図4】従来の油圧破砕機の一例における油圧回路の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0013】
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の油圧破砕機100は、破砕アーム20と、破砕アーム20を開閉可能に支持する破砕機本体30と、破砕機本体30を旋回可能に作業台車のアームに接続する固定ブラケット40と、破砕機本体30に配置されて破砕アーム20の開閉を行う油圧アクチュエータ50と、破砕機本体30の旋回を行う旋回用油圧モータ60と、を備える。破砕機本体30と固定ブラケット40との間には、旋回輪62が介装されており、円滑な旋回動作が可能になっている。
【0015】
本実施形態の油圧破砕機100を駆動する油圧回路は、図2および図3に示すように、不図示の作業台車の側に、ポンプPおよびタンクTが配備され、コントロールバルブ14を介して、作業台車側から油圧破砕機100の油圧アクチュエータ50に開閉用油圧流路80,81が接続されている。
【0016】
油圧破砕機100の側には、この開閉用油圧流路80,81から分岐して旋回用油圧モータ60に接続された旋回用油圧流路90、91、92と、破砕アーム20または油圧アクチュエータ50の位置に応じて旋回用油圧流路90、91、92の連通と閉止とを切り替える旋回用油圧流路開閉手段70と、旋回用油圧流路90、91、92が連通してから旋回用油圧モータ60が回転するまでの遅延時間を与える遅延手段である遅延シリンダ7と、が設けられている。
【0017】
ここで、本実施形態の油圧破砕機100は、独立調整機構付き油圧回路200を備えている。本実施形態に係る独立調整機構付き油圧回路200は、旋回用油圧流路90、91、92における遅延シリンダ7の上流側に設けられた圧力制御弁であるシーケンス弁1と、旋回用油圧流路90、91、92における遅延シリンダ7の下流側に設けられた圧力補償付流量調整弁3と、遅延シリンダ7の戻り側に接続される遅延弁流路93に設けられた流量調整弁2と、を有し、さらに、旋回用油圧流路91、92における旋回用油圧モータ60の上流側Bと下流側Cとがパイロットチェック弁6で接続されている。
【0018】
次に、本実施形態の油圧破砕機100の動作および作用効果について説明する。
ここで、上述した特許文献1に記載の技術では、油圧破砕機の油圧アクチュエータ310が最縮時のロッド側からの圧油を、ロッドの位置検出により旋回モータ305に導いていた。
【0019】
これに対し、本実施形態の油圧破砕機100では、図3に示すように、油圧アクチュエータ50が最縮時には、旋回用油圧流路90が接続されるLポートは高圧となり、シーケンス弁1を介して遅延シリンダ7のAポートに高圧油が入る。
【0020】
このとき、遅延シリンダ7の戻り側に接続される遅延弁流路92が接続するDポート側には流量調整弁2が介装されているため、遅延シリンダ7に対して一定時間の遅延作動を与えることができる。そのため、遅延シリンダ7による一定時間の遅延作動後に、旋回用油圧流路90が接続されているAポートの高圧油は旋回用油圧流路91が接続されたEポートに入る。
【0021】
Eポートからの高圧油は高圧ではあるものの、旋回用油圧流路91には圧力補償付流量調整弁3が介装されているので、この圧力補償付流量調整弁3により、旋回用油圧モータ60の回転に必要な適正油量に調整することができる。これにより、適正油量に調整された圧油が、旋回用油圧流路91から旋回用油圧モータ60の入り口のBポートに入る。
【0022】
このように、旋回用油圧流路91に介装された圧力補償付流量調整弁3の前後の圧力差が大きいところ、本実施形態の油圧破砕機100によれば、圧力補償付流量調整弁3を使用することにより流量調整範囲を限定することができる。これにより、旋回用油圧モータ60の回転数を過度に上昇させることがなく、破砕機本体30の旋回作動性をより向上させることができる。
【0023】
そして、Bポートから流入する高圧油は、チェック弁5を介してCポート側のパイロットチェック弁6を開放することにより旋回用油圧モータ60は回転作動を開始する。
本実施形態の油圧破砕機100によれば、旋回用油圧モータ60の入り口のBポート側にチェック弁5を配置し、旋回用油圧モータ60の出口側のCポートにパイロットチェック弁6を配置しているので、Lポート側の圧油を停止するとBポート側の油圧が低下し、これにより、Cポート側のパイロットチェック弁6が閉じて旋回用油圧モータ4は停止する。
【0024】
このように、本実施形態に係る独立調整機構付き油圧回路200では、旋回用油圧流路90に介装されたシーケンス弁1により作動開始時の圧力を調整可能であり、また、遅延弁流路93が接続されたDポート側の流量調整弁2により遅延時間を調整可能であり、さらに、旋回用油圧モータ60の回転数を、旋回用油圧流路91に介装された圧力補償付流量調整弁3をEポート通過後の圧油に対して調整可能なので、各々の流路の圧油を独立して一義的に調整できる。
【0025】
すなわち、本実施形態の独立調整機構付き油圧回路200は、チェック弁付きシーケンス弁1、Dポート側に流量調整弁2を配置した遅延シリンダ7、および、旋回用油圧モータ60の回転数を制御する圧力補償付流量調整弁3が、上述のように接続されることにより、旋回用油圧モータ60に必要な圧力・流量を適正に確保できるのである。
【0026】
旋回用油圧モータ60の停止後のBポートに残る油圧は、図2に示すように、破砕アーム20の閉口作動時に、圧力補償付流量調整弁3のチェック弁8、旋回用油圧流路90、91のA-E間に介装されたチェック弁9、シーケンス弁1に付設されたチェック弁10を介して旋回用油圧流路90のLポートに排出される。
【0027】
さらに、本実施形態の油圧破砕機100によれば、旋回用油圧モータ60には、旋回用油圧流路91が接続されるBポート側のチェック弁5と旋回用油圧流路92が接続されるCポート側のパイロットチェック弁6の内側に、両方向のリリーフ弁11,12を配置することにより、外力による破砕アーム20のあて回しにも対応している。
【0028】
以上説明したように、本実施形態の油圧破砕機100によれば、独立調整機構付き油圧回路200を備えることにより、破砕機本体30の旋回作動性をより向上させることができる。
なお、本発明に係る油圧破砕機は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0029】
1 シーケンス弁(圧力制御弁)
2 流量調整弁
3 圧力補償付流量調整弁
4 パイロット流路
5 チェック弁
6 パイロットチェック弁
7 遅延シリンダ
8 チェック弁
9 チェック弁
10 チェック弁
11 リリーフ弁
12 リリーフ弁
14 コントロールバルブ
20 破砕アーム
30 破砕機本体
40 固定ブラケット
50 油圧アクチュエータ
60 旋回用油圧モータ
62 旋回輪
70 旋回用油圧流路開閉手段
80、81 開閉用油圧流路
90、91、92 旋回用油圧流路
93 遅延弁流路
100 油圧破砕機
200 独立調整機構付き油圧回路
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2020-11-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
図2
図3
図4