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  • 特開-バター収納容器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022032600
(43)【公開日】2022-02-25
(54)【発明の名称】バター収納容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/74 20060101AFI20220217BHJP
   B65D 81/36 20060101ALI20220217BHJP
   A47G 19/26 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
B65D85/74
B65D81/36 V
A47G19/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020136527
(22)【出願日】2020-08-12
(71)【出願人】
【識別番号】520305764
【氏名又は名称】足利 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100154210
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 宏
(72)【発明者】
【氏名】足利 昌俊
【テーマコード(参考)】
3E013
3E035
【Fターム(参考)】
3E013CA10
3E013CB03
3E013CC04
3E035AA18
3E035AB03
3E035BA01
3E035BB10
3E035CA10
(57)【要約】
【課題】バターを収納して良質な状態を保って保存し、バターナイフ等を用いてバターを切断することのできるバター収納容器を提供すること。
【解決手段】略直方体形状の内部空間11を有し、内部空間11の周縁の6面のうち最長辺の一端の1面に開口部を有し他の5面が結合された壁体1と、開口部において内部空間と外部とを遮蔽することのできる蓋部2と、バターを載せて壁体と蓋部の内部空間に収納ができると共に開口部から取り出すことのできるカッティングボード3と、カッティングボード3の下面と壁体1のカッティングボード3の下面に接する面とにカッティングボード3を固定する磁石51、52とを備えたことを特徴とするバター収納容器0を提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略直方体形状の内部空間を有し、
前記内部空間の周縁の6面のうち、最長辺の一端の1面に開口部を有し他の5面が結合された壁体と、
前記開口部において前記内部空間と外部とを遮蔽することのできる蓋部と、
バターを載せて壁体と蓋部の内部空間に収納ができると共に前記開口部から取り出すことのできるカッティングボードと、
前記カッティングボードの下面と前記壁体の前記カッティングボードの下面に接する面とに、前記カッティングボードを固定する磁石とを備えたことを特徴とするバター収納容器。
【請求項2】
前記カッティングボードは、前記蓋部に結合し、
前記磁石は、前記蓋部が前記壁体に密着した状態で前記カッティングボードを固定する第1の磁石の組と、前記蓋部が前記壁体から離間した状態で前記カッティングボードを前記壁体から離脱しないように固定する第2の磁石の組とを備えることを特徴とする、請求項1に記載のバター収納容器。
【請求項3】
前記第1の磁石の組は、前記カッティングボードの下面に配される上方磁石と前記壁体の前記カッティングボードの下面に接する面に配される下方磁石の位置関係が、前記下方磁石が前記上方磁石に対して前記蓋部からやや離間した位置にあることを特徴とする、請求項2に記載のバター収納容器。
【請求項4】
前記カッティングボードの上面は、法線方向に射影した平面に対して1.3倍以上の表面積を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のバター収納容器。
【請求項5】
前記カッティングボードの上面とバターの粘性とによって前記バターが前記バター収納容器の配置される方向がいかなる方向であっても前記カッティングボードから離脱せず、前記磁石によって前記カッティングボードが固定されることにより、
前記バターが、前記内部空間に停留し、前記壁体に接触しないことを特徴とする、請求項4に記載のバター収納容器。
【請求項6】
前記カッティングボードの上面及び/又は側面に、バターを切り出す際のバターの大きさの目安となる目盛を有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のバター収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バターを収納して保存し、バターナイフ等を用いてバターを切断することのできるバター収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
市販されているバターは、長立方体の固形物を銀紙に包んだうえ紙製の包装箱に入れて販売されている。ここで、バターをパンに塗って食するためには、バターナイフを用いてバターを切断する(又はバターの一面を削る)必要がある。
【0003】
そこで、バターをバター収納容器に詰め替え、バターナイフを用いてバターを切断する(又はバターの一面を削る)バター収納容器が知られていた。
【0004】
特許文献1には、バターを載置する底板を備え、底板をカッティングボードとして用いることのできるバター収納容器が開示されている。
【0005】
そして、特許文献2には、基台にスリットを設け、該スリットにバターナイフ等(ナイフでなく糸状のものでもよい)を挿入してバターを切断できるバター収納容器が開示されている。また、特許文献3には、スライダーにバターを収容し、スライダーを移動して収納容器から突出したバターを削ることのできるバター収納容器が開示されている。
【0006】
特許文献1~3に開示されたバター収納容器は、いずれも、バターをパンに塗って食するために工夫されたものであるが、収容された状態におけるバターの保存が十分なものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録3153923号公報
【特許文献2】特許4886092号公報
【特許文献3】特開2010-259742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、バターを収納して良質な状態を保って保存し、バターナイフ等を用いてバターを切断することのできるバター収納容器を提供することを課題とする。
【0009】
バターの品質劣化としては、変色と硬化が主なものである。ここで、変色はバターに含まれる油分が空気中の酸素と結合して酸化することで発生し、硬化はバターに含まれる水分や油分が蒸発し乾燥することにより発生する。してみれば、気密性の高い容器に収納することで、バターを良質な状態に保つことができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のバター収納容器は、
略直方体形状の内部空間を有し、
前記内部空間の周縁の6面のうち、最長辺の一端の1面に開口部を有し他の5面が結合された壁体と、
前記開口部において前記内部空間と外部とを遮蔽することのできる蓋部と、
バターを載せて壁体と蓋部の内部空間に収納ができると共に前記開口部から取り出すことのできるカッティングボードと、
前記カッティングボードの下面と前記壁体の前記カッティングボードの下面に接する面とに、前記カッティングボードを固定する磁石とを備えたことを特徴とする。
【0011】
この特徴によれば、蓋部が内部空間と外部とを遮蔽した状態の気密性の高い内部空間にカッティングボードを収納してバターを良質な状態に保つことと、カッティングボードを開口部から取り出してバターを切断することの両方が実現できる。また、磁石によってカッティングボードを固定することで蓋部が内部空間と外部とを遮蔽した状態を保つことができる。
【0012】
本発明のバター収納容器は、
前記カッティングボードは、前記蓋部に結合し、
前記磁石は、前記蓋部が前記壁体に密着した状態で前記カッティングボードを固定する第1の磁石の組と、前記蓋部が前記壁体から離間した状態で前記カッティングボードを前記壁体から離脱しないように固定する第2の磁石の組とを備えることを特徴とする。
【0013】
この特徴によれば、第1の磁石の組によって蓋部が壁体に密着した状態(内部空間が遮蔽された状態)を保持することと、第2の磁石の組によって蓋部及びカッティングボードの壁体からの離脱を防止することの両方が可能となる。
【0014】
本発明のバター収納容器は、
前記第1の磁石の組は、前記カッティングボードの下面に配される上方磁石と前記壁体の前記カッティングボードの下面に接する面に配される下方磁石の位置関係が、前記下方磁石が前記上方磁石に対して前記蓋部からやや離間した位置にあることを特徴とする。
【0015】
この特徴によれば、蓋部が壁体に密着した状態において、第1の磁石の組がカッティングボード及び蓋部を壁体の奥側に加勢する(蓋部を壁体に密着させる)ことができる。
【0016】
本発明のバター収納容器は、
前記カッティングボードの上面は、法線方向に射影した平面に対して1.3倍以上の表面積を有することを特徴とする。
【0017】
この特徴によれば、カッティングボードの上面(バターの接触する面)の表面積が大きくなる。すなわち、バターの粘性によってバターがカッティングボードに係止される蓋然性が高くなる。
【0018】
本発明のバター収納容器は、
前記カッティングボードの上面とバターの粘性とによって前記バターが前記バター収納容器の配置される方向がいかなる方向であっても前記カッティングボードから離脱せず、前記磁石によって前記カッティングボードが固定されることにより、
前記バターが、前記内部空間に停留し、前記壁体に接触しないことを特徴とする。
【0019】
この特徴によれば、バター収納容器の配置される方向によらずにバターが壁体に接触して劣化してしまうことがない。ここで、バター収納容器の配置される方向は、バターがカッティングボードの上面に接して載置される方向(通常方向)であることが好ましいが、バターをバター収納容器に格納して冷蔵庫に保管する際に、冷蔵庫内の空間に合わせて、通常方向とは90度回転した方向となることがある。また、バター収納容器を上下逆に配置してしまう、通常方向とは180度回転した方向となることも考えられる。
【0020】
本発明のバター収納容器は、
前記カッティングボードの上面及び/又は側面に、バターを切り出す際のバターの大きさの目安となる目盛を有することを特徴とする。
【0021】
この特徴によれば、バターを切り出す操作が容易となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、バターを収納して良質な状態を保って保存し、バターナイフ等を用いてバターを切断することのできるバター収納容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、バター収納容器の外観を示す図である。
図2図2は、バター収納容器の内部構造を示す図である。
図3図3は、カッティングボードを引き出した状態を示す図である。
図4図4は、バター収納容器の配置される方向のバリエーションを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、バター収納容器の外観を示す図である。図1(A)は上方から見た図、図1(B)は前方から見た図、図1(C)は側方から見た図である。バター収納容器0は、直方体形状であり、一端に開口を有する壁体1と、開口を遮蔽する蓋部2とを有する。
【0025】
なお、バター収納容器0、図1(B)の下方に見える下面が台に載置できればよく、必ずしも直方体形状でなくともよいが、直方体形状のバターを過不足なく収納するためには、直方体形状であることが好ましい。
【0026】
図2は、バター収納容器の内部構造を示す図である。図1の(A)(B)(C)に対応して、内部を示した断面図である。図2(B)に示すように、直方体形状の壁体1の内部には、内部空間11がある。内部空間11には、底面に沿って移動するカッティングボード3が設けられている。カッティングボード3の上にバター4を載置して使用する。
【0027】
図2(A)には、上方から見た断面図を示す。カッティングボード3とバター4との接触面積は、カッティングボード3を上方法線方向から見た長方形の面積により近似される(バター4がカッティングボードよりもやや小さい分を補正する)。ここで、カッティングボードの上面が粗面であることや凹凸を有することによって、カッティングボード3とバター4との接触面積は長方形の面積よりも大きくなる。バター4の粘性によってバター4がカッティングボード3に係止される蓋然性が高くなる。
【0028】
カッティングボード3には、スリット31が設けられている。スリット31は、カッティングボード3とバター4との接触面積を増大させる。スリット31は図においてバター4の下側にあり表現されていない箇所にも設けられている。バター4が通常の規格の横幅128mm、縦幅68mmのサイズであるとすれば、長方形の面積は8704mm2である。図に示すように、深さ4mmのスリット31がバター4に接する箇所に9個設けられているとすれば、接触面積は13600mm2(各々のスリット31の両側の面積と長方形の面積を加算した値)である。接触面積が長方形の面積の1.56倍となる。接触面積と長方形の面積の比率は切断されたバター4の横幅やスリット31とバター4との相対配置にも依存するが、図2(A)の形状のカッティングボード3であれば、接触面積が長方形の面積の1.3倍以上となる。
【0029】
なお、バター4の横幅及び縦幅はサイズが固定されていることが多い。重量は、厚みによって調整されている。カッティングボード3をバター4の重量にかかわらず使用することができる。
【0030】
スリット31は、バター4を切り出す際のバター4の大きさの目安となる目盛としても機能する。バターナイフをスリット31に向けて移動させればよい。ここで、バターナイフをスリット31に差し込むことができ、バター4を切り出すことが容易になる。スリット31は、カッティングボード3の上面(図2(A)参照)及び側面(図2(B)参照)の両方に設けられている。なお、上面又は側面の一方のみに設けてもよい。
【0031】
図2(B)を用いて、カッティングボード3の固定を説明する。カッティングボード3に上方磁石5Hが設けられ、壁体1に下方磁石5Lが設けられている。上方磁石5H及び下方磁石5Lは相対する面に設けられ、互いに磁着する。上方磁石5Hと下方磁石5Lとが磁着することにより、カッティングボード3が壁体1に固定される。これによって、カッティングボード3の結合した蓋部2も固定され、開口が確実に遮蔽される。蓋部2が内部空間11と外部とを遮蔽して気密性の高い内部空間を構成し、バターを良質な状態に保つ。
【0032】
上方磁石5H-1と下方磁石5L-1、及び上方磁石5H-2と下方磁石5L-2とが磁着する。これにより、蓋部2が壁体1に密着した状態でカッティングボード3を固定する。上方磁石5H-1と下方磁石5L-1からなる第1の磁石の組と、上方磁石5H-2と下方磁石5L-2からなる第1の磁石の組との2つの第1の磁石の組が存在する。
【0033】
ここで、上方磁石と下方磁石との位置関係を見ると、下方磁石5L-1が上方磁石5H-1に対して蓋部2からやや離間した位置にある。下方磁石5L-2と上方磁石5H-2についても同様である。これにより、第1の磁石の組は、カッティングボードを内部空間11の奥側(蓋部2と反対の側)に誘引する。蓋部2を壁体1に密着させるように作用する。内部空間11と外部との遮蔽が確実になる。ここで、「やや離間した位置」は、磁石の組の磁力をあまり減殺ぜず、かつ、誘引方向が内部空間11の奥側となるよう、1mm程度(0.8mm~1.2mm)とすることが好ましい。
【0034】
図3は、カッティングボードを引き出した状態を示す図である。図2(B)に対して、カッティングボード3及び蓋部2を引き出して(図面右方に移動させて)、バター4の切断を可能にした状態である。
【0035】
ここで、カッティングボード3が壁体1から離脱して遊離してしまうと、バター4の切断が容易でない。このため、磁石によってカッティングボード3を壁体1に固定する。
【0036】
上方磁石5H-1と下方磁石5L-2とが互いに磁着して、固定する。図2(B)とは上方磁石と下方磁石との組み合わせが相違する。上方磁石5H-1と下方磁石5L-2との組み合わせを第2の磁石の組と呼ぶ。
【0037】
上方磁石5H-1と下方磁石5L-2とは、図面左右方向の同位置にある。カッティングボード3を内部空間11の奥側に誘引することが必ずしも必要とされないためである。カッティングボード3が壁体1から離脱してしまうことの防止には奥側に誘引することが好ましいが、カッティングボード3が壁体1に不必要に挿入されてしまうことも不都合なので、第2の磁石の組の磁力を最強に保つものである。
【0038】
図4は、バター収納容器の配置される方向のバリエーションを示す図である。図4(A)は、図2(C)に示した状態(上下方向を重力方向に合わせてある)であり、バター4がカッティングボード3の上に載置されている。この状態では、バター4が壁体1に接触しない。
【0039】
しかし、冷蔵庫にバターを入れたバター収納容器0を保存する場合には、図4(A)とは異なる方向(図4(B)、図4(C)、図4(D))に保存される場合がある。これらの場合には、カッティングボード3を磁石によって固定し、カッティングボード3の上面とバター4の粘性とによってバター4がカッティングボード3から離脱しないようにする。
【0040】
図4(B)は、バター収納容器0を保存する領域が幅狭の場合に、図4(A)に対して時計回りに90度回転させて、幅狭の領域に保存するものである。
【0041】
図4(C)は、バター収納容器0を保存する領域の奥行が小さい場合に、図4(A)に対して紙面垂直方向に90度回転させて、小さな奥行の領域に保存するものである。
【0042】
図4(D)は、バター収納容器0を保存する領域は図4(B)と同様であるが、上下逆転しているものである。図4(B)及び(C)において90度回転させていたところを180度回転させたものである。バター収納容器0は、図1に示した外観からはバター4が視認できないので、かかる方向に保存してしまうこともある。
【0043】
カッティングボード3の上面とバター4の粘性とによってバター4がカッティングボード3から離脱せず、磁石によってカッティングボード3が固定されることにより、バター4は、移動することなく内部空間11に停留し、壁体1に接触しない。
【産業上の利用可能性】
【0044】
バターを収納して良質な状態を保って保存し、バターナイフ等を用いてバターを切断することのできるバター収納容器である。多くの家庭で使用されることが期待される。
【符号の説明】
【0045】
0 バター収納容器
1 壁体
11 内部空間
2 蓋部
3 カッティングボード
31 スリット(目盛)
4 バター
51 第1の磁石の組
52 第2の磁石の組
5H 上方磁石
5L 下方磁石
図1
図2
図3
図4