(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022032652
(43)【公開日】2022-02-25
(54)【発明の名称】ドローン拘束状態離脱装置、ドローンおよびドローン拘束状態離脱方法
(51)【国際特許分類】
B64D 25/00 20060101AFI20220217BHJP
B64C 27/08 20060101ALI20220217BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
B64D25/00
B64C27/08
B64C39/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020136656
(22)【出願日】2020-08-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100168985
【弁理士】
【氏名又は名称】蜂谷 浩久
(72)【発明者】
【氏名】石山 和誉
(72)【発明者】
【氏名】松井 穣
(57)【要約】
【課題】障害物により拘束されたドローンを拘束状態から離脱させることができるドローン拘束状態離脱装置を提供する。
【解決手段】ドローン拘束状態離脱装置2は、ドローン1の外周部に配置され且つ気体の封入および排出に応じて変形可能な緩衝部材11と、緩衝部材11の内部から気体を排出させるためのエアポンプ(気体排出機構)17と、エアポンプ17を駆動することにより緩衝部材11を変形させる駆動制御部18とを備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
障害物により拘束されたドローンを拘束状態から離脱させる装置であって、
前記ドローンの外周部に配置され且つ気体の封入および排出に応じて変形可能な緩衝部材と、
前記緩衝部材の内部から前記気体を排出させるための気体排出機構と、
前記気体排出機構を駆動することにより前記緩衝部材を変形させる駆動制御部と
を備えるドローン拘束状態離脱装置。
【請求項2】
無線信号を受信してオン状態またはオフ状態となる無線スイッチを備え、
前記駆動制御部は、前記無線スイッチがオン状態の場合に、前記気体排出機構を駆動する請求項1に記載のドローン拘束状態離脱装置。
【請求項3】
前記ドローンが拘束状態にあることを検知する拘束検知部を備え、
前記駆動制御部は、前記拘束検知部により前記ドローンが拘束状態にあることが検知された場合に、前記気体排出機構を駆動する請求項1に記載のドローン拘束状態離脱装置。
【請求項4】
前記拘束検知部は、
前記緩衝部材の内部圧力を検出する圧力センサと、
前記圧力センサにより検出された前記緩衝部材の内部圧力が所定時間にわたって予め設定されたしきい値を超えた場合に、前記ドローンが拘束状態にあると判定する拘束判定部と
を含む請求項3に記載のドローン拘束状態離脱装置。
【請求項5】
前記拘束検知部は、
前記緩衝部材に作用する張力を検出する張力センサと、
前記張力センサにより検出された前記張力が所定時間にわたって予め設定されたしきい値を超えた場合に、前記ドローンが拘束状態にあると判定する拘束判定部と
を含む請求項3に記載のドローン拘束状態離脱装置。
【請求項6】
前記緩衝部材は、電気絶縁素材からなる請求項1~5のいずれか一項に記載のドローン拘束状態離脱装置。
【請求項7】
前記気体排出機構は、エアポンプまたは吸引ファンからなる請求項1~6のいずれか一項に記載のドローン拘束状態離脱装置。
【請求項8】
前記ドローンは、
無人飛行を行うためのドローン本体と、
前記ドローン本体の全体または一部を取り囲むガードフレームと
を含み、
前記緩衝部材は、前記ガードフレームに装着されている請求項1~7のいずれか一項に記載のドローン拘束状態離脱装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載のドローン拘束状態離脱装置を備えるドローン。
【請求項10】
気体の封入および排出に応じて変形可能な緩衝部材を外周部に備え、障害物により拘束されたドローンを拘束状態から離脱させる方法であって、
前記緩衝部材の内部から前記気体を排出させて前記緩衝部材を変形させることにより前記ドローンを拘束状態から離脱させるステップ
を備えるドローン拘束状態離脱方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ドローン拘束状態離脱装置に係り、特に、障害物により拘束されたドローンを拘束状態から離脱させる装置に関する。
また、この発明は、このようなドローン拘束状態離脱装置を備えるドローンにも関している。
さらに、この発明は、障害物により拘束されたドローンを拘束状態から離脱させるドローン拘束状態離脱方法にも関している。
【背景技術】
【0002】
近年、各種の調査、点検、観察、撮影等、幅広い分野でドローンと呼ばれる無人飛行機の活用が普及しつつある。
ドローンは、一般に、複数の回転翼等による推進機と、推進機を駆動制御する制御部を備えているが、障害物との接触による破損を防止するため、回転翼、制御部等を囲むガードフレームを備えたドローンが開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数の回転翼および制御部の全体を、複数の梁部材の組み合わせにより構成された多面体形状のガードフレームで囲むドローンが開示されている。
また、特許文献2には、複数の回転翼の外周部を、それぞれリング形状のガードフレームで囲むドローンが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-58562号公報
【特許文献2】特開2016-182940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなガードフレームを備えることにより、飛行中のドローンが障害物に接触しても、回転翼または制御部等が保護され、ドローンの破損、墜落等を未然に防止することができる。
【0006】
しかしながら、例えば、老朽化して多数の障害物が存在する工場建屋内部の点検箇所の撮影を目的として、カメラが搭載されたドローンを建屋内で飛行させる場合等には、ドローンに備えられたガードフレームが障害物の間に嵌り込んで、ドローンが障害物に拘束されるおそれがある。このようにして、ドローンが拘束状態に陥ると、回転翼等からなる推進機を駆動しても、ドローンの移動ができなくなってしまう。
拘束状態となったドローンに対しては、作業者による救出作業が必要となり、ドローンの救出に多大の手間と時間を要するという問題がある。
【0007】
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、障害物により拘束されたドローンを拘束状態から離脱させることができるドローン拘束状態離脱装置を提供することを目的とする。
また、この発明は、このようなドローン拘束状態離脱装置を備えたドローンを提供することも目的としている。
さらに、この発明は、障害物により拘束されたドローンを拘束状態から離脱させることができるドローン拘束状態離脱方法を提供することも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るドローン拘束状態離脱装置は、障害物により拘束されたドローンを拘束状態から離脱させる装置であって、ドローンの外周部に配置され且つ気体の封入および排出に応じて変形可能な緩衝部材と、緩衝部材の内部から気体を排出させるための気体排出機構と、気体排出機構を駆動することにより緩衝部材を変形させる駆動制御部とを備えるものである。
【0009】
無線信号を受信してオン状態またはオフ状態となる無線スイッチを備え、駆動制御部は、無線スイッチがオン状態の場合に、気体排出機構を駆動するように構成することができる。
あるいは、ドローンが拘束状態にあることを検知する拘束検知部を備え、駆動制御部は、拘束検知部によりドローンが拘束状態にあることが検知された場合に、気体排出機構を駆動するように構成することもできる。
【0010】
拘束検知部は、緩衝部材の内部圧力を検出する圧力センサと、圧力センサにより検出された緩衝部材の内部圧力が所定時間にわたって予め設定されたしきい値を超えた場合に、ドローンが拘束状態にあると判定する拘束判定部とを含むことが好ましい。
あるいは、拘束検知部は、緩衝部材に作用する張力を検出する張力センサと、張力センサにより検出された張力が所定時間にわたって予め設定されたしきい値を超えた場合に、ドローンが拘束状態にあると判定する拘束判定部とを含むことが好ましい。
【0011】
緩衝部材は、電気絶縁素材からなることが好ましい。
気体排出機構は、エアポンプまたは吸引ファンから構成することができる。
また、ドローンは、無人飛行を行うためのドローン本体と、ドローン本体の全体または一部を取り囲むガードフレームとを含み、緩衝部材は、ガードフレームに装着されるように構成することができる。
【0012】
この発明に係るドローンは、上記のドローン拘束状態離脱装置を備えるものである。
【0013】
この発明に係るドローン拘束状態離脱方法は、気体の封入および排出に応じて変形可能な緩衝部材を外周部に備え、障害物により拘束されたドローンを拘束状態から離脱させる方法であって、緩衝部材の内部から気体を排出させて緩衝部材を変形させることによりドローンを拘束状態から離脱させるステップを備える方法である。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、駆動制御部が、気体排出機構を駆動することにより、ドローンの外周部に配置されている緩衝部材の内部から気体を排出させて緩衝部材を変形させるので、障害物により拘束されたドローンを拘束状態から離脱させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】この発明の実施の形態1に係るドローン拘束状態離脱装置を備えたドローンを示す斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係るドローン拘束状態離脱装置を備えたドローンの構成を示すブロック図である。
【
図3】障害物の近傍を飛行するドローンを示す斜視図である。
【
図4】障害物により拘束状態となったドローンを示す斜視図である。
【
図5】拘束状態から離脱したドローンを示す斜視図である。
【
図6】実施の形態2に係るドローン拘束状態離脱装置を備えたドローンの構成を示すブロック図である。
【
図7】実施の形態3に係るドローン拘束状態離脱装置を備えたドローンを示す斜視図である。
【
図8】実施の形態4に係るドローン拘束状態離脱装置における緩衝部材を示す部分平面図である。
【
図9】実施の形態5に係るドローン拘束状態離脱装置を備えたドローンを示す斜視図である。
【
図10】実施の形態6に係るドローン拘束状態離脱装置を備えたドローンを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1
図1に、実施の形態1に係るドローン拘束状態離脱装置2を備えたドローン1を示す。
ドローン1は、無人飛行を行うためのドローン本体3と、ドローン本体3の全体を取り囲む多面体形状のガードフレーム4を有している。
ドローン本体3は、ハウジング5と、ハウジング5に固定された複数のモータ6と、複数のモータ6にそれぞれ連結された複数の回転翼(プロペラ)7とを有している。さらに、ドローン本体3は、ハウジング5の外部に取り付けられた撮影用のカメラ8を有している。
【0017】
ガードフレーム4は、剛性を有するもので、図示しないジンバル機構により、ドローン本体3に対して3次元方向に回転可能に保持されており、複数の直線状の梁部材9を組み合わせることで形成されている。梁部材9は、軽量で且つ強度に優れたものが好ましく、例えば、カーボンロッドから形成することができる。また、飛行中のドローン1が電線等の障害物に接触した場合であっても、感電しないように、ガードフレーム4の表面は電気絶縁体からなることが好ましい。このため、カーボンロッドにより梁部材9を形成する場合には、表面に絶縁コーティングが施されたカーボンロッドを使用することが好ましい。
【0018】
このようなドローン1のガードフレーム4の外周部に緩衝部材11が配置されている。
緩衝部材11は、可撓性を有する管状体からなり、ガードフレーム4の外周部を囲んだ円環形状を有するもので、密閉された内部空間を有している。緩衝部材11は、例えば、フッ素樹脂(PTFE)、ポリカーボネート等の電気絶縁素材からなるフィルムまたはシートを丸めて両端縁部を互いに熱溶着することにより管状体を形成し、さらに、管状体を、ガードフレーム4の外周部に巻き付けて円環形状とし、管状体の両端部を互いに熱溶着して管状体の内部を密閉することにより形成することができる。
円環形状の緩衝部材11の内周部を、ガードフレーム4を構成する梁部材9に接着等で固定することにより、緩衝部材11をガードフレーム4に装着することができる。
【0019】
緩衝部材11を形成している管状体は可撓性を有しているため、緩衝部材11の内部空間に空気を封入すると、緩衝部材11は膨らみ、逆に、緩衝部材11の内部空間から空気を排出すると、緩衝部材11は萎むこととなり、緩衝部材11は、空気の封入および排出に応じて変形可能に構成されている。
【0020】
例えば、
図1に示されるように、内部空間に空気が封入された円環形状の緩衝部材11は、多面体形状を有するガードフレーム4の径D1よりも大きい外径D2を有している。緩衝部材11は、ガードフレーム4の外周部に巻き付けられているので、緩衝部材11の内部空間における空気量に関わらずに、緩衝部材11は、ガードフレーム4の径D1よりも大きい外径を有しているが、
図1の状態から緩衝部材11の内部空間の空気を排出するに従って、次第に緩衝部材11が萎み、緩衝部材11の外径は、D2よりも小さくなる。
【0021】
また、
図1に示されるように、円環形状の緩衝部材11の内周部が接触しているガードフレーム4の内側に、緩衝部材11を変形させるための緩衝部材変形部12が取り付けられており、緩衝部材11と緩衝部材変形部12により、実施の形態1に係るドローン拘束状態離脱装置2が構成されている。
【0022】
図2は、ドローン拘束状態離脱装置2を備えたドローン1の構成を示すブロック図である。
ドローン本体3は、複数のモータ6に接続された飛行制御部13と、カメラ8に接続された撮影制御部14と、飛行制御部13および撮影制御部14に接続された無線通信部15と、バッテリ16を有している。
【0023】
飛行制御部13は、無線通信部15を介して入力される飛行制御信号に基づいて複数のモータ6の回転をそれぞれ制御する。複数のモータ6に連結された複数の回転翼7の回転速度を制御することにより、ドローン1は、飛行制御信号に対応する速度、方向および高度で飛行することができる。
撮影制御部14は、無線通信部15を介して入力される撮影制御信号に基づいてカメラ8による撮影を制御する。
無線通信部15は、操作者により無線送信された飛行制御信号および撮影制御信号を受信して、飛行制御信号を飛行制御部13に伝送し、撮影制御信号を撮影制御部14に伝送する。
バッテリ16は、ドローン本体3内の各部に電源を供給する。
【0024】
また、緩衝部材変形部12は、緩衝部材11の内部空間に接続されたエアポンプ17と、エアポンプ17に接続された駆動制御部18と、駆動制御部18に接続された無線スイッチ19と、バッテリ20を有している。
エアポンプ17は、気体排出機構を構成するもので、緩衝部材11の内部から空気を排出させることができる。
駆動制御部18は、無線スイッチ19がオン状態の場合にエアポンプ17を駆動して、エアポンプ17による緩衝部材11の内部からの空気の排出を行わせる。
無線スイッチ19は、操作者により送信される無線信号に基づいてオン状態またはオフ状態となる。
バッテリ20は、緩衝部材変形部12内の各部に電源を供給する。
【0025】
ドローン1を操作する操作者の近傍には、操作盤21と無線信号送信機22が配置されている。
操作盤21は、ドローン本体3の無線通信部15と無線接続される無線通信部23と、無線通信部23に接続された操作部24を有している。操作部24は、各種のスイッチを備えており、操作者は、操作部24を操作することで、無線通信部23を介してドローン1に飛行制御信号および撮影制御信号を無線送信することができる。
無線信号送信機22は、緩衝部材変形部12の無線スイッチ19と無線接続されており、操作者は、無線信号送信機22からドローン1に無線信号を送信して、緩衝部材変形部12の無線スイッチ19をオン状態またはオフ状態にすることができる。
【0026】
次に、ドローン拘束状態離脱装置2を備えたドローン1の動作について説明する。
なお、ドローン拘束状態離脱装置2の緩衝部材11の内部には、予め所定量の空気が封入され、
図1に示されるように、緩衝部材11は外径D2を有するものとする。
まず、操作者が、操作盤21の操作部24を操作することにより、無線通信部23を介してドローン1に飛行制御信号が送信されると、飛行制御信号は、ドローン1のドローン本体3の無線通信部15で受信され、無線通信部15から飛行制御部13に伝送される。飛行制御信号が入力された飛行制御部13は、飛行制御信号に基づいて複数のモータ6の回転をそれぞれ制御し、これにより、複数のモータ6に連結された複数の回転翼7の回転速度が制御され、ドローン1の飛行が行われる。
【0027】
このようにして、ドローン1が、例えば、老朽化した工場建屋の点検を目的として、工場建屋内に入り、点検箇所の近傍に至ると、操作者が、操作盤21の操作部24を操作することにより、無線通信部23を介してドローン1に撮影制御信号が送信される。撮影制御信号は、ドローン1のドローン本体3の無線通信部15で受信された後、無線通信部15から撮影制御部14に伝送され、撮影制御信号が入力された撮影制御部14によりカメラ8が制御され、点検箇所の撮影が行われる。撮影データは、撮影制御部14を介して無線通信部15から操作盤21の無線通信部23に送信され、操作盤21の図示しないモニタに撮影画像が表示される。あるいは、カメラ8で撮影された撮影データが、ドローン本体3に搭載されている図示しないメモリに保存されるように構成することもできる。
【0028】
ここで、ドローン1が飛行する老朽化した工場建屋内部に、例えば、
図3に示されるように、はしご状の障害物Bが存在し、障害物Bの互いに平行な2本の柱状部材Pの間隔W1は、ドローン1のガードフレーム4の径D1よりも大きく、且つ、緩衝部材11の外径D2よりも小さい値を有するものとする。
【0029】
ドローン1の飛行に伴って、ガードフレーム4が、障害物Bに接触すれば、図示しないジンバル機構によりドローン本体3に対してガードフレーム4が回転し、これにより、ドローン1は、障害物Bに拘束されることなく、飛行を続けることができる。しかしながら、ドローン1が、障害物Bの2本の柱状部材Pの間に向かって飛行すると、これら2本の柱状部材Pの間隔W1は、ガードフレーム4の径D1よりも大きく、且つ、緩衝部材11の外径D2よりも小さいため、
図4に示されるように、可撓性を有する円環形状の緩衝部材11が2本の柱状部材Pの間に挟み込まれ、ドローン1が障害物Bに拘束されるおそれがある。
【0030】
このようにして、ドローン1が障害物Bにより拘束状態に陥ると、操作者が操作盤21から飛行制御信号を送信して、複数の回転翼7を回転させても、ドローン1は移動することができずにドローン1の位置は停滞し、カメラ8による撮影画像も変化することなく固定されたものとなってしまう。
【0031】
そこで、操作者は、停滞したドローン1の位置または固定された撮影画像に基づいて、ドローン1が拘束状態になったことを感知すると、無線信号送信機22からドローン1に無線信号を送信して、緩衝部材変形部12の無線スイッチ19をオン状態とする。これにより、駆動制御部18がエアポンプ17を駆動し、エアポンプ17により、緩衝部材11の内部から空気が排出される。緩衝部材11の内部からの空気の排出に従って、次第に緩衝部材11が萎み、緩衝部材11の外径は小さくなる。そして、
図5に示されるように、緩衝部材11が、障害物Bの2本の柱状部材Pの間隔W1よりも小さい外径D3を有するようになると、緩衝部材11の外周面が障害物Bの2本の柱状部材Pから離れ、ドローン1が障害物Bによる拘束状態から離脱することとなる。すなわち、ドローン1は、操作盤21から送信された飛行制御信号に従って、再び飛行することができるようになる。
【0032】
このように、ドローン1が障害物Bにより拘束された場合であっても、作業者による救出作業を必要とすることなく、容易にドローン1を拘束状態から離脱させることが可能となる。
なお、緩衝部材11は、エアポンプ17により空気が排出されて萎んだ状態にあるので、ドローン1が再び何らかの障害物に拘束される場合に備えて、緩衝部材11が当初の外径D2を有するまで、緩衝部材11の内部に空気を封入する必要がある。
【0033】
実施の形態1に係るドローン拘束状態離脱装置2においては、緩衝部材11の内部から空気を排出させる気体排出機構としてエアポンプ17が用いられているため、駆動制御部18を介してエアポンプ17を駆動することにより、緩衝部材11の内部に空気を送り込んで封入するように構成することができる。
気体排出機構としては、エアポンプ17の他、吸引ファンを用いることもできる。また、緩衝部材11の内部を、緩衝部材11の外部である大気圧よりも高い圧力、いわゆる正圧状態とし、気体排出機構として、弁を使用することもできる。弁を開放することにより、緩衝部材11の内部が大気圧となるまで、空気を排出させることができる。ただし、緩衝部材11は、空気の排出に応じて変形される必要がある。
【0034】
また、上記の実施の形態1では、操作盤21とは別に配置された無線信号送信機22から無線信号を送信することにより、緩衝部材変形部12の無線スイッチ19をオン状態にしてエアポンプ17を駆動したが、これに限るものではない。例えば、ドローン本体3と緩衝部材変形部12とを電気的に接続し、操作者が、操作盤21の操作部24を操作することにより、無線通信部23を介してドローン1に無線信号を送信し、無線信号を受信したドローン本体3の無線通信部15から緩衝部材変形部12に無線信号を伝送して無線スイッチ19をオン状態にするように構成することもできる。
このようにすれば、無線信号送信機22を使用することなく、操作盤21からドローン1に無線信号を送信して、緩衝部材11の内部から空気を排出することができる。
【0035】
上記の実施の形態1では、
図2に示したように、緩衝部材変形部12が、ドローン本体3のバッテリ16とは別に、専用のバッテリ20を内蔵しているが、これに限るものではない。ドローン本体3と緩衝部材変形部12とを電気的に接続し、ドローン本体3に内蔵されたバッテリ16により、緩衝部材変形部12内の各部に電源を供給するように構成すれば、緩衝部材変形部12のバッテリ20を省略することができる。
【0036】
実施の形態2
上記の実施の形態1では、停滞したドローン1の位置または固定された撮影画像に基づいてドローン1の拘束状態を感知した操作者が、無線信号送信機22から無線信号を送信することにより、エアポンプ17を駆動して緩衝部材11の内部から空気を排出したが、操作者による操作を必要とすることなく、ドローン1が拘束状態となった場合に自動的に緩衝部材11の内部からの空気の排出を行うように構成することもできる。
【0037】
図6は、実施の形態2に係るドローン拘束状態離脱装置2Aを備えたドローン1Aの構成を示すブロック図である。
ドローン1Aは、実施の形態1におけるドローン1において、ドローン拘束状態離脱装置2の代わりにドローン拘束状態離脱装置2Aを有するものであり、ドローン本体3と、ドローン本体3の全体を取り囲む多面体形状のガードフレーム4は、実施の形態1で用いられたものと同一である。
【0038】
ドローン拘束状態離脱装置2Aは、ガードフレーム4の外周部に配置された緩衝部材11と、ガードフレーム4の内側に取り付けられた緩衝部材変形部12Aとを有している。
緩衝部材11は、実施の形態1において使用されたものと同一である。
【0039】
緩衝部材変形部12Aは、実施の形態1において使用された緩衝部材変形部12において、無線スイッチ19の代わりに拘束判定部25および圧力センサ26を有するものである。すなわち、緩衝部材変形部12Aは、緩衝部材11に接続されたエアポンプ17と、エアポンプ17に接続された駆動制御部18と、駆動制御部18に接続された拘束判定部25と、拘束判定部25に接続された圧力センサ26と、バッテリ20を備えている。
圧力センサ26は、緩衝部材11の内部空間に接続されて緩衝部材11の内部圧力を検出する。
拘束判定部25は、圧力センサ26により検出された緩衝部材11の内部圧力が、所定時間にわたって、予め設定されたしきい値を超えた場合に、ドローン1が拘束状態にあると判定して、駆動制御部18によりエアポンプ17を駆動させる。
【0040】
図4に示されるように、可撓性を有する円環形状の緩衝部材11が障害物Bの2本の柱状部材Pの間に挟み込まれて、ドローン1Aが拘束状態になったときには、緩衝部材11が2本の柱状部材Pにより相対的に押し込まれるため、
図3のように、ドローン1Aが拘束状態でない場合に比較して、緩衝部材11の内部圧力が上昇する。そこで、圧力センサ26により検出された緩衝部材11の内部圧力が、所定時間にわたって、予め設定されたしきい値を超えることで、拘束判定部25は、ドローン1Aが拘束状態になったと判定することができる。
【0041】
圧力センサ26による緩衝部材11の内部圧力の検出は、ドローン1Aの飛行中に常時行われる。そして、圧力センサ26により検出された緩衝部材11の内部圧力が、所定時間にわたって、予め設定されたしきい値を超えた場合に、拘束判定部25により、ドローン1Aが拘束状態にあると判定され、駆動制御部18によりエアポンプ17が駆動されて、自動的に緩衝部材11の内部から空気が排出される。
【0042】
緩衝部材11の内部からの空気の排出に従って、緩衝部材11の内部圧力は、次第に低下するが、緩衝部材11の内部圧力が、
図3のように、ドローン1Aが拘束状態でない場合の内部圧力に等しくなるまで、エアポンプ17による空気の排出が行われる。緩衝部材11の内部圧力が、ドローン1Aが拘束状態でない場合の内部圧力に等しくなるまで低下すると、障害物Bによる緩衝部材11の押し込みは解消されたと判断され、また、このとき、
図5に示されるように、空気の排出により緩衝部材11の外径D3が障害物Bの2本の柱状部材Pの間隔W1よりも小さくなって、ドローン1Aが障害物Bによる拘束状態から離脱される。
【0043】
このように、ドローン1Aが拘束状態となった場合に、自動的に緩衝部材11の内部から空気を排出して、障害物Bによる拘束状態からドローン1Aを離脱させることが可能となる。
【0044】
なお、拘束判定部25は、圧力センサ26により検出された緩衝部材11の内部圧力が、所定時間にわたって、予め設定されたしきい値を超えた場合にドローン1Aの拘束状態を判定している。これは、ドローン1Aの緩衝部材11が障害物B等に単に衝突しただけであっても、緩衝部材11の内部圧力は一時的に上昇するので、拘束状態と単なる衝突とを見分けるために、緩衝部材11の内部圧力が予め設定されたしきい値を超えている状態が、所定時間にわたって持続された場合に、ドローン1Aが拘束状態にあるとの判定を行っている。「所定時間」は、数秒間、例えば、2~3秒間とすることができる。
【0045】
上記の実施の形態2では、圧力センサ26により緩衝部材11の内部圧力を検出することで、ドローン1Aの拘束状態を判定しているが、圧力センサ26の代わりに緩衝部材11に作用する張力を検出する張力センサを用いることもできる。
緩衝部材11の内部圧力が上昇すれば、可撓性を有する管状体からなる緩衝部材11の張力も上昇し、緩衝部材11の内部圧力が下降すれば、緩衝部材11の張力も下降する。このため、張力センサにより検出される緩衝部材11に作用する張力が、所定時間にわたって、予め設定されたしきい値を超えることによっても、拘束判定部25は、ドローン1Aが拘束状態になったと判定することが可能となる。
【0046】
上述した実施の形態1および2では、緩衝部材11の内部に空気が封入されているが、これに限るものではなく、空気以外の気体を緩衝部材11内に封入することもできる。例えば、窒素等の不活性気体を用いることができる。
ただし、気体排出機構として用いられているエアポンプ17により、緩衝部材11の内部への気体の封入も行う場合には、外気である空気が緩衝部材11の内部に入り込むこととなるため、緩衝部材11内に封入される気体としては、空気が好ましい。
【0047】
なお、
図2に示した実施の形態1におけるドローン1において、緩衝部材11の内部圧力を検出する圧力センサ26を緩衝部材変形部12に配置すると共に、ドローン本体3と緩衝部材変形部12とを電気的に接続し、圧力センサ26により検出された緩衝部材11の内部圧力を、ドローン本体3の無線通信部15から操作盤21に送信して、操作者が、操作盤21により緩衝部材11の内部圧力を把握することができるように構成することもできる。
このようにすれば、操作者は、緩衝部材11の内部圧力に基づいてドローン1が拘束状態になったことを検知し、無線信号送信機22からドローン1に無線信号を送信して、緩衝部材変形部12の無線スイッチ19をオン状態とし、緩衝部材11の内部から空気を排出することができる。
【0048】
実施の形態3
上記の実施の形態1に係るドローン拘束状態離脱装置2では、
図1に示されるように、ドローン1のガードフレーム4の外周部に円環形状の1本の緩衝部材11が配置されているが、これに限るものではない。
【0049】
図7は、実施の形態3に係るドローン拘束状態離脱装置32を備えたドローン31を示す斜視図である。
ドローン31は、実施の形態1におけるドローン1において、ドローン拘束状態離脱装置2の代わりにドローン拘束状態離脱装置32を有するものであり、ドローン本体3と、ドローン本体3の全体を取り囲む多面体形状のガードフレーム4は、実施の形態1で用いられたものと同一である。
ドローン拘束状態離脱装置32は、ガードフレーム4の外周部に配置された緩衝部材33と、ガードフレーム4の内側に取り付けられた緩衝部材変形部12とを有している。
【0050】
緩衝部材33は、ガードフレーム4の外周部に配置された可撓性を有する3本の円環形状の管状体33A、33Bおよび33Cから形成されている。3本の円環形状の管状体は、例えば
図7に示されるようにXYZ座標を規定した場合に、XY面に沿って延びる管状体33Aと、XZ面に沿って延びる管状体33Bと、YZ面に沿って延びる管状体33Cからなり、これら3本の管状体33A、33Bおよび33Cは、互いに交差する交点部分で連結され、それぞれの内部が連通して1つの内部空間を形成している。
緩衝部材変形部12は、
図2に示した実施の形態1における緩衝部材変形部12と同一であり、緩衝部材変形部12に具備されたエアポンプ17が、緩衝部材33の内部空間に接続されている。
【0051】
ドローン31が拘束状態になった場合に、操作者が無線信号送信機22からドローン31に無線信号を送信し、緩衝部材変形部12の無線スイッチ19をオン状態として、駆動制御部18がエアポンプ17を駆動することで、緩衝部材33の内部から空気が排出される。これにより、緩衝部材33が変形してドローン31が拘束状態から離脱することができる。
実施の形態3では、3本の円環形状の管状体33A、33Bおよび33Cからなる緩衝部材33がガードフレーム4の外周部に配置されているので、管状体33A、33Bおよび33Cのうち少なくとも1つが障害物に接触してドローン31が拘束された場合においても、拘束状態の離脱を行うことが可能となる。
【0052】
なお、緩衝部材33を構成する円環形状の管状体は、3本に限るものではなく、2本または4本以上の円環形状の管状体を連結して緩衝部材を構成することもできる。
【0053】
また、実施の形態3において、緩衝部材変形部12の代わりに、
図6に示した実施の形態2における緩衝部材変形部12Aを用いることもできる。この場合、3本の円環形状の管状体33A、33Bおよび33Cからなる緩衝部材33の内部空間に、緩衝部材変形部12Aのエアポンプ17および圧力センサ26が接続される。これにより、ドローン31が拘束状態となった場合に、自動的に緩衝部材33の内部から空気を排出して、拘束状態からドローン31を離脱させることができる。
【0054】
実施の形態4
上記の実施の形態1では、ドローン1のガードフレーム4の外周部に円環形状の1本の緩衝部材11が配置され、実施の形態3では、ドローン31のガードフレーム4の外周部に3本の円環形状の管状体33A、33Bおよび33Cからなる緩衝部材33が配置されているが、これに限るものではない。
図8は、実施の形態4に係るドローン拘束状態離脱装置42を備えたドローン41の緩衝部材43を示す部分平面図である。
ドローン41は、実施の形態1で用いられたものと同一のドローン本体3とガードフレーム4とを有しており、
図8に示されるように、ガードフレーム4を構成する複数の梁部材9の外側に、それぞれ、可撓性を有する複数の管状体43Aが配置され、これら複数の管状体43Aを互いに連結することにより、1つの内部空間を有する緩衝部材43が形成されている。
【0055】
この緩衝部材43に、
図2に示した実施の形態1における緩衝部材変形部12のエアポンプ17を接続すれば、操作者が無線信号送信機22から無線信号を送信することにより緩衝部材43の内部から空気を排出してドローン41の拘束状態を離脱させるドローン拘束状態離脱装置42を構成することができる。
また、緩衝部材43に、
図6に示した実施の形態2における緩衝部材変形部12Aのエアポンプ17および圧力センサ26を接続すれば、ドローン41が拘束状態となった場合に、自動的に緩衝部材43の内部から空気を排出してドローン41の拘束状態を離脱させるドローン拘束状態離脱装置42を構成することができる。
【0056】
実施の形態4における緩衝部材43は、ガードフレーム4を構成する複数の梁部材9の外側にそれぞれ配置された複数の管状体43Aから形成されているので、ドローン41が障害物に対してどのような向きで拘束された場合であっても、緩衝部材43の内部から空気を排出することで、拘束状態を離脱させることが可能となる。
【0057】
また、多面体形状のガードフレーム4を構成する複数の梁部材9の外側に、可撓性を有する複数の管状体または球状体を、互いに分離された状態で配置し、これら複数の管状体または球状体により緩衝部材を構成することもできる。この場合、緩衝部材を構成する複数の管状体または球状体のそれぞれに、
図2に示した実施の形態1における緩衝部材変形部12と同一の構成または
図6に示した実施の形態2における緩衝部材変形部12Aと同一の構成の緩衝部材変形部を接続することで、ドローンが障害物に拘束された際に、管状体または球状体から空気を排出させて、ドローンを拘束状態から離脱させることができる。
【0058】
実施の形態5
上記の実施の形態1におけるドローン1は、ドローン本体3の全体を取り囲む多面体形状のガードフレーム4を備えているが、これに限るものではない。
図9に、実施の形態5に係るドローン拘束状態離脱装置52を備えたドローン51を示す。ドローン51は、複数の回転翼(プロペラ)7を含むドローン本体3と、ドローン本体3の一部である複数の回転翼7の回りをそれぞれ囲む複数のリング形状のガードフレーム54を備えている。ドローン本体3は、
図2に示した実施の形態1におけるドローン1に用いられたものと同一の構成を有している。それぞれのガードフレーム54は、剛性を有し、対応する回転翼7を保護する、いわゆるプロペラガードを形成している。
【0059】
ドローン拘束状態離脱装置52は、複数のガードフレーム54の外周部をそれぞれ囲み且つ互いに分離して配置された、可撓性を有する複数の円環形状の管状体53Aからなる緩衝部材53を有している。また、ドローン拘束状態離脱装置52は、緩衝部材53を構成する複数の管状体53Aにそれぞれ接続された図示しない緩衝部材変形部を有している。この緩衝部材変形部は、
図2に示した実施の形態1における緩衝部材変形部12と同一の構成を有している。
【0060】
このように、複数の管状体53Aからなる緩衝部材53を用いても、緩衝部材53が障害物に挟まれる等によりドローン51が拘束状態になった場合に、操作者が、
図2に示される無線信号送信機22から無線信号を送信することで、緩衝部材53を構成する複数の管状体53Aにそれぞれ接続された図示しない緩衝部材変形部のエアポンプ17により対応する管状体53Aの内部から空気を排出することができる。これにより、複数の管状体53Aがそれぞれ変形してドローン51を拘束状態から離脱させることが可能となる。
【0061】
また、緩衝部材53を構成する複数の管状体53Aにそれぞれ接続された図示しない緩衝部材変形部が、
図6に示した実施の形態2における緩衝部材変形部12Aと同一の構成を有することもできる。この場合には、複数の管状体53Aの内部圧力が、それぞれ、対応する緩衝部材変形部の圧力センサ26により検出される。従って、ドローン51が拘束状態になった場合には、複数の管状体53Aのうち、圧力センサ26により検出された内部圧力が、所定時間にわたって、予め設定されたしきい値を超えた管状体53Aに対してのみ、自動的にエアポンプ17により空気の排出が行われて、ドローン51が拘束状態から離脱される。
【0062】
このようにして、いわゆるプロペラガードを形成するガードフレーム54を備えたドローン51に対しても、この発明を適用して、障害物により拘束されたドローン51を拘束状態から離脱させることが可能となる。
なお、
図9では、4つの回転翼7が示されているが、回転翼7は4つに限るものではなく、それぞれの回転翼7に対応して、回転翼7のガードフレーム54の外周部を囲む管状体53Aと、管状体53Aに接続された緩衝部材変形部とを備えていれば、回転翼7の個数は、3つ、あるいは、5つ以上であってもよい。
【0063】
実施の形態6
上記の実施の形態5におけるドローン51では、緩衝部材53が、複数の回転翼7のガードフレーム54の外周部をそれぞれ囲み且つ互いに分離して配置された複数の管状体53Aからなっているが、例えば、
図10に示されるドローン61のドローン拘束状態離脱装置62のように、複数の回転翼7のガードフレーム54の全体を囲む1本の管状体63Aにより緩衝部材63を形成することもできる。
【0064】
この場合、緩衝部材63が1本の管状体63Aから形成されているので、緩衝部材63に対して1つの図示しない緩衝部材変形部を接続すればよい。緩衝部材変形部は、
図2に示した実施の形態1における緩衝部材変形部12と同一の構成または
図6に示した実施の形態2における緩衝部材変形部12Aと同一の構成を有することができる。
このような構成としても、緩衝部材63が障害物に挟まれる等によりドローン61が拘束状態になった場合に、緩衝部材63の内部から空気を排出してドローン61を拘束状態から離脱させることが可能となる。
【0065】
なお、上記の実施の形態1~6におけるドローン1、1A、31、41、51、61では、ドローン本体3の全体または一部を取り囲む剛性のガードフレーム4、54の外側に緩衝部材11、33、43、53、63が配置されているが、必ずしもガードフレーム4、54を必要とするものではなく、ドローン本体3の全体または一部を取り囲むように配置された緩衝部材11、33、43、53、63に、ドローン本体3を保護するためのガードフレームの機能を持たせることもできる。
ただし、緩衝部材11、33、43、53、63は、可撓性を有し、気体の封入および排出に応じて変形するため、剛性を有するガードフレーム4、54に緩衝部材11、33、43、53、63を装着することが好ましい。
【0066】
上記の実施の形態1~6では、回転翼7を回転させることにより飛行するドローン1、1A、31、41、51および61が例示されているが、ドローンの形式は、回転翼を利用するものに限られない。例えば、バルーンの内部にヘリウムガスを充填して飛行する、いわゆるバルーン型ドローンに対しても、バルーンの外周部に、気体の封入および排出に応じて変形可能な緩衝部材を配置することで、この発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0067】
1,1A,31,41,51,61 ドローン、2,2A,32,42,52,62 ドローン拘束状態離脱装置、3 ドローン本体、4,54 ガードフレーム、5 ハウジング、6 モータ、7 回転翼、8 カメラ、9 梁部材、11,33,43,53,63 緩衝部材、12,12A 緩衝部材変形部、13 飛行制御部、14 撮影制御部、15,23 無線通信部、16,20 バッテリ、17 エアポンプ、18 駆動制御部、19 無線スイッチ、21 操作盤、22 無線信号送信機、24 操作部、25 拘束判定部、26 圧力センサ、33A,33B,33C,43A,53A,63A 管状体、D1 径、D2,D3 外径、B 障害物、P 柱状部材、W1 間隔。