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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022032658
(43)【公開日】2022-02-25
(54)【発明の名称】圧力検出装置及び圧力検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01L 19/00 20060101AFI20220217BHJP
   G01L 7/04 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
G01L19/00 Z
G01L7/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020136670
(22)【出願日】2020-08-13
(71)【出願人】
【識別番号】302069930
【氏名又は名称】NECエンベデッドプロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】奥山 湧介
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055AA11
2F055BB20
2F055CC03
2F055DD20
2F055EE40
2F055FF49
2F055GG11
2F055HH11
(57)【要約】
【課題】本発明は、レギュレータとなる流量調整部材を備えた構成において、流量を検出するための接触部品が気体流路にて破損、発火する等のトラブル発生を未然に防止することができる圧力検出装置及び圧力検出方法を提供する。
【解決手段】測定対象となる気体の圧力を検出する圧力検出装置100であって、測定対象となる気体が流れる流路R中に移動可能に設けられ、該流路R中の位置によってその開口断面積を変更する流量調整部材2と、この流量調整部材2の動作に応じて流路Rの外で作動し、流路Rの開口断面積に応じて電気回路3Aを開閉するスイッチ部材3と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象となる気体の圧力を検出する圧力検出装置であって、
測定対象となる気体が流れる流路中に移動可能に設けられ、該流路中の位置によってその開口断面積を変更する流量調整部材と、
この流量調整部材の動作に応じて前記流路の外で作動し、前記流路の開口断面積に応じて電気回路を開閉するスイッチ部材と、を有することを特徴とする圧力検出装置。
【請求項2】
前記流路内の測定対象となる気体の圧力検出値と、前記スイッチ部材の電気回路からの出力に基づき前記流路の開口断面積で示される流量設定値とから、前記気体の残量を演算する演算手段を有し、
前記演算手段は、前記演算した気体の残量が、予め定めた残量基準値以下となった場合にアラームを出力することを特徴とする請求項1に記載の圧力検出装置。
【請求項3】
前記流量調整部材は、測定対象となる気体が流れる流路と交差する断面に互いに面接触しかつ互いに相対移動するコモン層及び流量設定層を有する絞り部材であって、
前記コモン層は少なくとも1つの連通孔を有し、
前記流量設定層は径が異なる複数の流通孔を有し、前記コモン層に対して相対移動させて、これら流通孔のいずれかを前記コモン層の連通孔に接続することにより、前記流路を流れる気体流量を調整することを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の圧力検出装置。
【請求項4】
前記スイッチ部材は、前記絞り部材における前記流量設定層の回転停止位置に基づき、前記それぞれの流通孔を通過する気体の流量に対応する検出信号を電気回路に出力することを特徴とする請求項3に記載の圧力検出装置。
【請求項5】
前記絞り部材を構成するコモン層及び流量設定層は、軸を中心に相対回転可能に支持されており、
前記流量設定層に形成された前記複数の流通孔は、前記軸を中心とする円周上に所定間隔で配置され、
前記スイッチ部材は、前記流量設定層の流通孔の対応する周囲に配置されて、前記流量設定層とともに回転移動することでスイッチングされることを特徴とする請求項3又は4のいずれか1項に記載の圧力検出装置。
【請求項6】
前記スイッチ部材は、前記絞り部材の流量設定層の周囲に、前記流通孔に対応して複数設置されかつ該流量設定層の半径方向へそれぞれ移動可能に設けられた接点部材と、
前記流量設定層の前記軸を中心とする回転によって前記接点部材を選択的に移動させる操作部材と、を有することを特徴とする請求項5に記載の圧力検出装置。
【請求項7】
前記接点部材は、前記流量設定層の外周に複数設けられかつそれぞれが導電性材料により形成された板ばねであって、
前記操作部材は、前記流量設定層の周辺に固定されて、前記板ばねに選択的に接触することにより当該板ばねを弾性変形させて導通ОN状態とする突出部を有する、ことを特徴とする請求項6に記載の圧力検出装置。
【請求項8】
前記絞り部材には、前記流量設定層を前記コモン層に対して手動で相対回転させるダイヤル部が設けられていることを特徴とする請求項3~7のいずれか1項に記載の圧力検出装置。
【請求項9】
前記演算手段には、前記スイッチ部材の選択的な導通状態に基づき、前記流量設定層で設定される気体流量を表示するとともに、前記演算した気体の残量が、予め定めた残量基準値以下となった場合にアラームを表示する表示画面が設けられていることを特徴とする請求項2~8のいずれか1項に記載の圧力検出装置。
【請求項10】
測定対象となる気体が流れる流路中に移動可能に設けられた流量調整部材の位置によって前記流路の開口断面積を変更する工程と、
この流量調整部材の動作に応じて前記流路の外の電気回路を開閉する工程と、を有することを特徴とする圧力検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素ボンベ等のガス排出量を調整するレギュレータに適用されて、電気部品に関する破損、発火等のトラブル発生を未然に防止することができる安全性の高い圧力検出装置及び圧力検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酸素を必要とする患者へ常時酸素を供給するため、携帯に便利なように小型化した酸素ボンベが利用されている。この携帯用の酸素ボンベには、医療補助器具として、酸素残量の減少に伴う圧力の低下を検出して報知するアラーム機能を有する圧力検出装置が備えられている。
このような圧力検出装置は、酸素ボンベと、酸素流量を調節するレギュレータとの間に取り付けられている。前記酸素ボンベアラームの機能は、酸素ボンベ残量低下を検知し、音と光でユーザー(看護師)に報知することにある。一方、レギュレータの機能は、呼吸器疾患のある患者へ酸素を供給する際に、患者が必要とする量に応じて供給量を調節することにある。
【0003】
すなわち、酸素ボンベには、圧力検出装置とレギュレータという機能の異なる複数の機器が必須として備えられている。
このように、酸素ボンベアラームとレギュレータとの二つの機器を必須とする酸素ボンベにあっては、医療機関内にとっても、医療機関等の外で慣れない医療機器を使用する患者にとっても、管理すべき機器の点数が増えることによって、その取り扱いの煩雑化を招くことから、この煩雑化に伴う誤操作に起因する事故のリスクを可及的に小さくしたいとの要望がある。
【0004】
前記酸素ボンベ等に用いられるレギュレータに関連した技術として、特許文献1に示される積算流量計が知られている。
この積算流量計は、オリフィス流量調整器内にて所定の異なる複数の径を有するオリフィスを流通するガス流量と、その流通時間とを乗じてガスの積算流量を算出するよう構成されている。
また、この積算流量計のオリフィス流量調整器では、流量設定ダイヤルの回転軸にロータリースイッチが設けられており、流量設定ダイヤルの設定位置情報が、当該ロータリースイッチを介して演算制御部に伝達されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-5720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に示されるオリフィス流量調整器では、ロータリースイッチにてON/OFF動作する接触部品が、万一の部品の破損、火花の発生といったわずかな故障が、酸素ボンベから流れる酸素による高酸素濃度の環境下で予期しない動作不良引き起こすことを確実に防止する手段の開発が望まれている。
【0007】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、レギュレータとなる流量調整部材を備えた構成において、流量を検出するための接触部品が破損、発火する等のトラブル発生を未然に防止することができる圧力検出装置及び圧力検出方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の第1の形態は、測定対象となる気体の圧力を検出する圧力検出装置であって、測定対象となる気体が流れる流路中に移動可能に設けられ、該流路中の位置によってその開口断面積を変更する流量調整部材と、この流量調整部材の動作に応じて前記流路の外で作動し、前記流路の開口断面積に応じて電気回路を開閉するスイッチ部材と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の第2の形態に示す圧力検出方法では、測定対象となる気体が流れる流路中に移動可能に設けられた流量調整部材の位置によって前記流路の開口断面積を変更する工程と、この流量調整部材の動作に応じて前記流路の外の電気回路を開閉する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、流量調整部材の動作によって流路の開口断面積に応じて電気回路を開閉するスイッチ部材が、流路外で作動するように設けられているので、スイッチ部材の破損が高酸素濃度下で拡大する故障を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る圧力検出装置の最小構成を示す概略図である。
図2】本発明の実施形態に係る、酸素ボンベアラームを備えた圧力検出装置の断面図である。
図3図2のオリフィス板を示す斜視図である。
図4図2のIV-IV線に沿う断面図である。
図5図2のオリフィス板のコモン層部分を示す断面図である。
図6】スイッチ部材の電気回路を示す概略図である。
図7図2の圧力検出装置の全体を示す断面図である。
図8図7の外観図である。
図9図2の圧力検出装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る圧力検出装置の最小構成について図1を参照して説明する。
図1に示される圧力検出装置100は、流路R内の測定対象となる気体の圧力を検出する圧力検出素子1を有するとともに、本発明の特徴部分となる流量調整部材2及びスイッチ部材3をさらに有している。
【0013】
流量調整部材2は、測定対象となる気体が流れる流路R中に移動可能に設けられ、該流路R中の位置によってその開口断面積を変更するレギュレータである。
スイッチ部材3は、流量調整部材2の動作に応じて流路Rの外で作動し、流路Rの開口断面積に応じて電気回路3Aを開閉する。
なお、圧力検出素子1及びスイッチ部材3の電気回路3Aにより、検出手段4が構成されている。
【0014】
そして、このような本発明では、測定対象となる気体の圧力を検出する圧力検出装置100に、レギュレータとなる流量調整部材2を設けた上で、流路Rの開口断面積に応じて 電気回路3Aを開閉するスイッチ部材3を設けるようにした。
これにより、本発明の圧力検出装置100では、スイッチ部材3における流路Rの開口断面積に応じて電気回路3Aの開閉動作、及び測定対象となる気体の残圧値に基づき、測定対象となるボンベB内の気体残量/残り時間を演算することができ、その演算値が、予め定めた基準値以下となった場合にアラームを出力することが可能となる。
【0015】
すなわち、本発明の圧力検出装置100では、ガス残量を検出する検出手段4と、ガス排出量を調整するレギュレータとなる流量調整部材2とを一体的に設けることで、使用性能を向上化した製品をユーザーへ提供することができる。
【0016】
さらに、本発明の圧力検出装置100では、流量調整部材2の動作によって流路Rの開口断面積に応じて電気回路3Aを開閉するスイッチ部材3が、流路Rの外で作動するように設けられているので、スイッチ部材3の破損にも即座に対応でき、かつ流路Rを流れる気体の発火トラブル発生も未然に防止できる。
【0017】
(実施形態)
本発明の実施形態に係る酸素ボンベアラーム機能を備えた圧力検出装置(以下、圧力検出装置101という)について、図2図9を参照して説明する。
【0018】
まず、本実施形態に係る圧力検出装置101の全体構成について説明する。
図2に示される圧力検出装置101は、流路R1内の測定対象となる酸素ガスの圧力を検出するブルドン管からなる圧力検出素子10(図7参照)を有するとともに、本発明の特徴部分となる流量調整部材11及びスイッチ部材12をさらに有している。
なお、圧力検出装置101の流路R1は、ボンベ(図示略)内の酸素ガスが排出されるガス配管13(図7図8参照)に接続されている。
【0019】
流量調整部材11は、ボンベのガス配管13から供給された気体流路R1中に移動可能に設けられるオリフィス板23(後述する)を有し、該流路R1中のオリフィス板23の位置によってその開口断面積を変更するレギュレータである。
この流量調整部材11は、固定部材となる筐体部20及び操作リング21と、回転部材となるダイヤル部22、オリフィス板23及び非導体金属筒24とを主な構成要素としている。
【0020】
操作リング21は、非導体金属筒24(後述する)の外方側に位置しかつ筐体部20の一側部に固定された樹脂製の操作部材であって、中心軸Aに沿う方向に互いに隣接する第1リング21Aと、第2リング21Bとからなる。
また、この操作リング21は、中心軸Aを中心としてオリフィス板23及び非導体金属筒24の支持軸(回転軸25A及び固定軸26A)と同軸に配置されている。
また、操作リング21の内側には、オリフィス板23の外側に設置された板ばね42(42A~42G)及び44を操作するための突出部14が設けられているが、これについては後述する。
【0021】
ダイヤル部22は、筐体部20に回転自在に設けられたものであって、オリフィス板23の流量設定層25及び非導体金属筒24を一体に動作させる。なお、このダイヤル部22はユーザーにより手動で回転操作される。
オリフィス板23は、回転軸25Aを介してダイヤル部22に連結された流量設定層25と、固定軸26Aを介して固定されたコモン層26とからなる絞り部材であって、測定対象となる酸素ガスが流れる流路R1と交差する断面に配置される。
また、このオリフィス板23は、流量設定層25がコモン層26に対して摺動しかつ相対回転するように構成される。
【0022】
オリフィス板23の流量設定層25は、図3及び図4に示されるように、径が異なる複数の流通孔30(30A~30G)を周方向に一定の間隔で有しており、コモン層26に対して相対移動させて、これら流通孔30(30A~30G)のいずれかをコモン層26の連通孔31に接続することにより、流路R1を流れる酸素ガス流量を調整する。
オリフィス板23のコモン層26は、図3及び図5に示されるように1つの連通孔31を有しているが、当該連通孔31は1つに限定されず、周方向に複数個配置しても良い。
【0023】
なお、オリフィス板23の流量設定層25における流通孔30(30A~30G)は、径の大きさに応じて、例えば単位時間当たりの流量が1、2、3、4、5、6(L/min)となるように設定されている。
また、コモン層26の連通孔31は、流量設定層25の最大径の流通孔30(30G)よりも大径に形成されており、該流量設定層25の回転により、径の異なる流通孔30(30A~30G)の1つに接続される。
これによりオリフィス板23では、図2に符号Cで示すように、流量設定層25の流通孔30(30A~30G)で設定された流量の酸素ガスの通過が許容される。
その後、オリフィス板23を通過した酸素ガスは、操作リング21の第1リング部材21Aに設置された酸素ガス排出口15を経由して、必要な用途に使用される。
【0024】
非導体金属筒24は、図2及び図4に示されるように、ステンレスなどの高圧対応の非導体金属により形成されたものであって、オリフィス板23の流量設定層25の周面に固定されている。
また、この非導体金属筒24は、オリフィス板23の流量設定層25と一体で回転するように設けられている。
【0025】
また、非導体金属筒24の周囲でかつ操作リング21の第2リング部材21Bの内側には、スイッチ部材12が設けられている。
このスイッチ部材12は、図2に示されるように、非導体金属筒24上に設置された導体板40と、導体板40上に樹脂部材41を介して固定された複数の板ばね42(42A~42G)と、を有するものであって、板ばね42(42A~42G)により接点部材が構成される。
また、これら複数の板ばね42(42A~42G)は、流量設定層25の流通孔30(30A~30G)に対応して導体板40の周囲にて、半径方向に弾性変形可能かつ揺動自在に設置されている。
【0026】
そして、これら板ばね42(42A~42G)は、ダイヤル部22を介してオリフィス板23の流量設定層25を(図4に矢印Mで示す半時計方向に)回転させることで、操作リング21の内側に形成された突出部14に選択的に押圧される。
これにより板ばね42(42A~42G)では、操作リング21の突出部14に押圧された箇所にて変形して、導体板40に選択的に接触することでON信号を出力する。
【0027】
一方、上述したスイッチ部材12は、オリフィス板23の流量設定層25の回転を検出するために設けられているが、これに加えてオリフィス板23のコモン層26の位置を検出する構成を有していても良い。
コモン層26の位置を検出する構成として、具体的には、図5に示すように非導体金属筒24の導体板43上に、樹脂部材(図示略)を介して板ばね44が接点部材として設けられている。
この板ばね44は、コモン層26の連通孔31の設置箇所に対応して設けられるものであって、コモン層26が回転操作されて位置変更された場合に、操作リング21内の突出部14に押圧されてON信号が出力される。
また、コモン層26の板ばね44を押圧する操作リング21内の突出部14は、図5に示すように周方向に間隔をおいて複数箇所設置されており(本例では8箇所)、いずれの箇所で、板ばね44を押圧するかにより、操作リング21内におけるコモン層26の連通孔31がどの位置にあるかを電気回路50(後述する)にて検知させる。
【0028】
なお、スイッチ部材12の板ばね42及び44により図6で示すような電気回路50が構成され、当該電気回路50を含む回路により検出手段102(図9参照)が形成される。
すなわち、図6で示す電気回路50では、操作リング21の突出部14に選択的に押圧された板ばね42(42A~42G)及び44の変形により、導通状態を示すON信号/非導通状態を示すOFF信号が出力される。
【0029】
具体的には、図6で示す電気回路50では、例えば、接点1がONになった場合には、板ばね42Aが導体板40に接触することで(図4参照)、1(L/min)のオリフィス板23の流通孔30(30A)がコモン層26の連通孔31に接続され、これにより1(L/min)の酸素ガスが供給可能であることを検出する。
また、この電気回路50では、例えば、接点3がONになった場合には、板ばね42Cが導体板40に接触することで(図4参照)、3(L/min)のオリフィス板23の流通孔30(30C)がコモン層26の連通孔31に接続され、これにより3(L/min)の酸素ガスが供給可能であることを検出する。
すなわち、スイッチ部材12の電気回路50では、板ばね42(42A~42G)及び44が、導体板40に選択的に接触されることで、オリフィス板23の流量設定層25及びコモン層26の回転停止位置とともに、流通孔30(30A~30G)及び連通孔31を通過する酸素ガス流量を検出することができる。
【0030】
次に、上述した圧力検出装置101(図2)を含む装置全体構成、アラームを出力するための検出手段102及び表示手段103について、図7図9を参照して説明する。
図7及び図8に示すように本実施形態に係る圧力検出装置101の流路R1は、袋ナット16を介して、ボンベ(図示略)内の酸素ガスが排出されるガス配管13に接続されている。
また、圧力検出装置101の検出手段102は、板ばね42(42A~42G)及び44により形成される電気回路50(図6図9参照)と、流路R1内の酸素ガスの圧力を検出する圧力検出素子10(図7図9参照)と、装置の落下及び衝突を検出する加速度センサ51(図9参照)と、から構成されている。
さらに、これら電気回路50、圧力検出素子10及び加速度センサ51から出力された検出信号は、図7及び図9に示すような、メイン基板52上の演算手段となるマイクロコンピュータ53(CPU:Central Processing Unit)に供給される。
【0031】
そして、このマイクロコンピュータ53では、主にスイッチ部材12におけるオリフィス板23の流路R1の開口断面積に応じて電気回路50の開閉動作(板ばね42(42A~42G)及び44の開閉により出力されるON/OFF信号)、及び圧力検出素子10から出力される酸素ガスの残圧値に基づき、測定対象となるボンベ内の酸素ガス残量/残り時間を演算することができる。
その後、マイクロコンピュータ53では、図9で示すように、ボンベ内の酸素ガス残量/残り時間の演算値が、予め定めた基準値以下となった場合に、表示手段103を介してアラームを出力することができる。
【0032】
表示手段103は、酸素ボンベ内の状況を表示するためのものであって、状況を色で表示する発光部54(LED:Light Emitting Diode)と、状況を数値/文字で表示する液晶表示部55(LCD:Liquid Crystal Display)とからなる。
発光部54では、ボンベ内の酸素ガス残量/残り時間の演算値が基準値以上の通常値である場合に「緑色」を発光し、ボンベ内の酸素ガス残量/残り時間の演算値が基準値以下である場合に「赤色」を発光させる。
なお、このときの基準値、発光部54の発光内容に関する情報は、別途設けた記憶部56(ROM:Read Only Memory)に予め記憶させておくと良い。この記憶部56は、マイクロコンピュータ53内に内蔵させるようにしても良い。
また、液晶表示部55では、マイクロコンピュータ53で計算したボンベ内の酸素ガス残量/残り時間を数値表示するとともに、残圧の基準値となる残圧低下検知レベルを数値表示する。
また、この液晶表示部55では、加速度センサ51で検出した異常情報、後述する無線モジュール58で得られた接続情報、電源スイッチ59及び電力供給手段60で示される電力情報なども表示すると良い。
【0033】
その他、圧力検出装置101には、図9に示すように音声出力手段57、無線モジュール58、電源スイッチ59及び電力供給手段60が設けられている。
音声出力手段57はスピーカーなどにより構成されて、マイクロコンピュータ53で演算した情報、検出した異常を音声出力するために設けられている。
無線モジュール58はWiFi、ブルートゥース(登録商標)などの通信端末等により構成される。
電源スイッチ59は電源をON/OFFするためのスイッチである。
電力供給手段60は圧力検出装置101のマイクロコンピュータ53に電力を供給するためのものであって、乾電池、AC(Alternating Current)アダプタなどにより構成される。
【0034】
そして、以上のように構成された圧力検出装置101では以下のような動作が行われる。まず、ユーザーがダイヤル部22を手動で回転させた場合には、オリフィス板23の流量設定層25が固定側となるコモン層26に対して相対回転され、同時に操作リング21に対しても相対回転させることができる。
その結果、圧力検出装置101では、オリフィス板23の流量設定層25に設けられた板ばね42(42A~42G)を、操作リング21内の突出部14に選択的に押圧させることができる。
【0035】
これにより操作リング21の突出部14に選択的に押圧された板ばね42(42A~42G)が選択的に変形して、導体板40に接触することで、当該箇所の板ばね42(42A~42G)からON信号が出力される。
その後、マイクロコンピュータ53では、ON信号が出力された板ばね42(42A~42G)がどの箇所にあるかにより、オリフィス板23の流量設定層25に形成された流通孔30(30A~30G)のいずれが、コモン層26の連通孔31に連通されたかを検知することができ、その検知結果に基づき、流路R1の開口断面積に応じた酸素ガスの流量を求めることができる。
このとき、ボンベのガス配管13から供給された酸素ガスは、図7に符号C1~C3に示すように、オリフィス板23の流量設定層25に形成された流通孔30(30A~30G)と、コモン層26に形成された連通孔31とを通過することで流量が調整された後、酸素ガス排出口15から排出される。
これと同時に、マイクロコンピュータ53では、オリフィス板23の流量設定層25及びコモン層26により設定される酸素ガスの流量、及び圧力検出素子10で検知される流路R1内の酸素ガス圧力に基づき、ボンベ内の酸素ガス残量及び残り時間を演算する。
【0036】
このとき、マイクロコンピュータ53では、演算したボンベ内の酸素ガス残量及び残り時間が、予め定めた残量基準値以下となった場合に、発光部54、液晶表示部55及び音声出力手段57を介してアラームを出力することができる。
また、マイクロコンピュータ53では、アラーム信号に基づき無線モジュール58を経由して、遠方にいるユーザーに対してボンベ内の酸素ガスが不足している旨の報告もできる。
さらに、マイクロコンピュータ53では、ユーザーがダイヤル部22を手動で回転させたにも係わらず、オリフィス板23の流量設定層25が中途半端な位置に止まって、ON信号が出力されない場合にも、異常を示すアラームを出力することができる。
【0037】
以上詳細に説明した本実施形態に係る圧力検出装置101では、レギュレータとなるオリフィス板23を有する流量調整部材11を設けた上で、該オリフィス板23の流量設定層25により設定される流路R1の開口断面積に応じて、電気回路50を開閉するスイッチ部材12を設けるようにした。
これにより、上記圧力検出装置101では、スイッチ部材12において、オリフィス板23の流量設定層25による流路R1の開口断面積に応じた電気回路50の開閉動作、及び測定対象となる酸素ガスの残圧値に基づき、測定対象となるボンベ内の酸素ガス残量及び残り時間を演算することができる。
そして、上記圧力検出装置101では、演算したボンベ内の酸素ガス残量及び残り時間が、予め定めた残量基準値以下となった場合にアラームを出力することが可能となる。
【0038】
すなわち、本実施形態の圧力検出装置101では、ガス残量を検出する検出手段102と、ガス排出量を調整するレギュレータとなる流量調整部材11とを一体化して設けることで、使用性能を向上化した製品をユーザーへ提供することができる。
【0039】
また、本実施形態の圧力検出装置101では、流路R1の開口断面積に応じて電気回路50を開閉する導体板40・43と板ばね42・44とからなるスイッチ部材12が、流路R1の外で作動するように設けられているので、スイッチ部材12の破損にも即座に対応でき、かつ流路R1を流れる酸素ガスの発火トラブル発生も未然に防止できる。
【0040】
さらに、本実施形態の圧力検出装置101では、接点部材となるスイッチ部材12を、非導体金属筒24上の導体板40・43と、導体板40・43上に樹脂部材41を介して固定された複数の板ばね42・44という簡易な構成体で形成しているので、全体構成の簡素化にも寄与することができる。
【0041】
(第1変形例)
上述したオリフィス板23は以下のように構造変更しても良い。
流量設定層25には、流通孔30(30A~30G)が周方向に沿うように形成されているが、この流通孔30の数及び/又は単位時間当たりに通過可能な酸素ガス量は自由に設定しても良い。
コモン層26は回転自在であっても良いし、固定するように設けられていても良い。また、コモン層26は回転自在である場合には、当該コモン層26に径の異なる連通孔31を複数形成しても良い。
【0042】
(第2変形例)
上述したスイッチ部材12では、板ばね42・44によりON/OFF動作を行うようにしたが、板ばね42・44を用いることに限定されず、光学的、磁気的な非接触検出手段により、流量設定層25の流通孔30(30A~30G)及びコモン層26の連通孔31の位置を検出しても良い。
【0043】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、酸素ボンベのガス排出量を調整するレギュレータに適用されて、電気部品に関する破損、発火等のトラブル発生を未然に防止することができる安全性の高い圧力検出装置及び圧力検出方法に関する。
【符号の説明】
【0045】
1 圧力検出素子
2 流量調整部材
3 スイッチ部材
3A 電気回路
4 検出手段
10 圧力検出素子
11 流量調整部材
12 スイッチ部材
14 突出部
21 操作リング(操作部材)
22 ダイヤル部
23 オリフィス板
24 非導体金属筒
25 流量設定層
25A 回転軸
26 コモン層
26A 固定軸
30(30A~30G) 流通孔
31 連通孔
40 導体板
42(42A~42G) 板ばね(接点部材)
43 導体板
44 板ばね(接点部材)
50 電気回路
53 マイクロコンピュータ(演算手段)
100 圧力検出装置
101 圧力検出装置
102 検出手段
103 表示手段
A 中心軸
R 流路
R1 流路




図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9