(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022032666
(43)【公開日】2022-02-25
(54)【発明の名称】回路基板
(51)【国際特許分類】
H05K 3/28 20060101AFI20220217BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20220217BHJP
H05K 1/11 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
H05K3/28 B
H05K1/02 A
H05K1/11 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020136680
(22)【出願日】2020-08-13
(71)【出願人】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094330
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 正紀
(72)【発明者】
【氏名】木村 牧哉
(72)【発明者】
【氏名】山賀 聡
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 洋一
【テーマコード(参考)】
5E314
5E317
5E338
【Fターム(参考)】
5E314AA06
5E314AA24
5E314BB02
5E314BB12
5E314BB15
5E314CC01
5E314DD05
5E314GG19
5E317AA04
5E317GG09
5E338BB65
5E338EE60
(57)【要約】
【課題】保護膜を有し、相手コンタクトが保護膜上をスライドしてパッド上に乗るタイプであって、着脱による劣化を抑えた回路基板を提供する。
【解決手段】板状の基体40と、基体40の表面に形成されて相手コンタクトとの電気的な接触を担うパッド20と、パッド20の縁に接して基体40の表面に広がる保護膜30とを有する。また、パッド20の縁と、保護膜30の、パッド20の縁に接した部分が、互いに連続した高さを有する。そして、パッド20は、保護膜30に接してスライド方向にスライドしてきた相手コンタクトをパッド20に乗り上げさせて、乗り上げた相手コンタクトと接触する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の基体と、
前記基体の表面に形成されて相手コンタクトとの電気的な接触を担うパッドと、
前記パッドの縁に接して前記基体の表面に広がる保護膜とを有することを特徴とする回路基板。
【請求項2】
前記パッドの縁と、前記保護膜の該縁に接した部分が、互いに連続した高さを有することを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
【請求項3】
前記パッドが、前記保護膜に接して所定のスライド方向後方にスライドしてきた相手コンタクトを該パッドに乗り上げさせて、乗り上げた該相手コンタクトと接触するものであって、
前記パッドの、前記スライド方向前端の縁が、該スライド方向に対し交わる幅方向に直線状に延びていることを特徴とする請求項1または2に記載の回路基板。
【請求項4】
前記パッドが、順次に間隔を空けて前記スライド方向に複数配列され、
前記保護膜が、前記スライド方向に複数配列された前記パッドのうちの相対的に前方に配置された第1のパッドの後端の縁と該第1のパッドの後方に隣接する第2のパッドの前端の縁との双方に接して、前記基体の表面に広がることを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか1項に記載の回路基板。
【請求項5】
前記スライド方向に順次に間隔を空けて前記パッドが複数配列されてなる列が、該スライド方向に対し交わる幅方向に複数列配列され、
前記幅方向に隣接する2つの列に配列された前記パッドが、前記スライド方向に互いに偏倚した位置に形成されていることを特徴とする請求項1から4のうちのいずれか1項に記載の回路基板。
【請求項6】
前記パッドと前記保護膜が、前記基体の両面に形成されていることを特徴とする請求項1から5のうちのいずれか1項に記載の回路基板。
【請求項7】
前記基体の、前記相手コンタクトが前記スライド方向後方に移動してきて前記保護膜に最初に接する側の前端部が、前方ほど厚みを減じるテーパ形状を有し、
前記保護膜が、前記前端部を覆って広がることを特徴する請求項1から6のうちのいずれか1項に記載の回路基板。
【請求項8】
前記保護膜が、前記基体表面と比べ、低摩擦係数を有することを特徴とする請求項1から7のうちのいずれか1項に記載の回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードエッジコネクタ用として好適な回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板に形成された導電性のパッドを、嵌合相手のコネクタに備えられた相手コンタクトと電気的に接触するコンタクトとして使用するカードエッジコネクタが知られている。例えば、特許文献1には、相手コンタクトとの接触を担う導電パッドの、嵌合に当たり相手コンタクトがスライドしてくる前端側に、保護パッドを形成したカードエッジコネクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回路基板には、レジストと呼ばれる保護膜が形成されることが多い。回路基板には、電気的な導通を担うパッドが形成されることも多い。例えば、カードエッジコネクタの場合、嵌合相手のコネクタに備えられた相手コンタクトとの電気的な接触を担うパッドが形成される。パッドが形成された回路基板に保護膜を形成するにあたっては、パッドが保護膜で覆われないようにパッドの部分を広めにマスキングしてからレジスト液が塗布される。このため、パッドの縁と保護膜との間には隙間が形成される。カードエッジコネクタの場合、相手コネクタとの嵌合に当たり、相手コンタクトが回路基板の保護膜上をスライドしてきてパッドの上に乗り、パッドと相手コンタクトが接触する。このため、相手コネクタへの着脱にあたり、上記の隙間の存在により、相手コンタクトが保護膜上からパッド上に、あるいはパッド上から保護膜上に円滑にはスライドせずに、相手コンタクトおよび回路基板が互いにダメージを与えるおそれがある。すなわち、着脱を繰り返すと相手コンタクトおよび回路基板の劣化が促進されるおそれがある。
【0005】
上掲の特許文献1に開示されたカードエッジコネクタの場合、保護パッドが示されているが、回路基板の基体を覆う保護膜は示されていない。
【0006】
本発明は、保護膜を有し、相手コンタクトが保護膜上をスライドしてパッド上に乗るタイプであって、着脱による劣化を抑えた回路基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明の回路基板は、
板状の基体と、
基体の表面に形成されて相手コンタクトとの電気的な接触を担うパッドと、
パッドの縁に接して基体の表面に広がる保護膜とを有することを特徴とする。
【0008】
本発明の回路基板は、保護膜がパッドの縁に接して広がっているため、保護膜とパッドの縁との間に隙間が形成されているタイプの回路基板と比べ、着脱による劣化が抑えられる。
【0009】
ここで、本発明の回路基板において、パッドの縁と、保護膜の、パッドの縁に接した部分が、互いに連続した高さを有することが好ましい。
【0010】
連続した高さを有することによって、着脱による劣化がさらに抑えられる。
【0011】
また、本発明の回路基板において、パッドが、保護膜に接して所定のスライド方向後方にスライドしてきた相手コンタクトをパッドに乗り上げさせて、乗り上げた該相手コンタクトと接触するものであって、
パッドの、スライド方向前端の縁が、スライド方向に対し交わる幅方向に直線状に延びていることが好ましい。
【0012】
パッドの、スライド方向前端の縁が前方に尖っていると、相手コンタクトがパッドに乗り上げるにあたり、その尖った、幅の狭い前端に接するため、ダメージを受けやすい。これに対し、パッドの前端の縁が、スライド方向に対し交わる幅方向に直線状に延びていると、パッドの前端の縁が前方に尖っている形状のパッドと比べ、ダメージが抑えられる。
【0013】
また、本発明の回路基板において、
パッドが、順次に間隔を空けてスライド方向に複数配列され、
保護膜が、スライド方向に複数配列されたパッドのうちの相対的に前方に配置された第1のパッドの後端の縁と第1のパッドの後方に隣接する第2のパッドの前端の縁との双方に接して、基体の表面に広がることが好ましい。
【0014】
この構造の場合、相手コンタクトが第1のパッドあるいは第2のパッドに乗り上げた状態からもう一方のパッドに乗り上げた状態に至るまでの、挿入および抜去のいずれにおいてもダメージが抑えられる。
【0015】
また、本発明の回路基板において、
スライド方向に順次に間隔を空けてパッドが複数配列されてなる列がスライド方向に対し交わる幅方向に複数列配列され、
幅方向に隣接する2つの列に配列されたパッドが、スライド方向に互いに偏倚した位置に形成されていることが好ましい。
【0016】
パッドを、スライド方向に互いに偏倚した位置に形成することによって、パッドをスライド方向の同じ位置に形成した場合と比べ、パッドを幅方向に密に配置することができる。したがって、回路基板の小型化に寄与する。
【0017】
また、本発明の回路基板において、パッドと保護膜が、基体の両面に形成されていることも好ましい態様である。
【0018】
基体の両面に形成することによって、回路基板の小型化が図られる。
【0019】
さらに、本発明の回路基板において、
基体の、相手コンタクトがスライド方向後方に移動してきて保護膜に最初に接する側の前端部が、前方ほど厚みを減じるテーパ形状を有し、
保護膜が、その前端部を覆って広がっていることが好ましい。
【0020】
前端部がテーパ形状を有し、その前端部を保護膜で覆うことにより、相手コネクタとの嵌合が円滑化され、また、前端部あるいは相手コンタクトへのダメージが抑えられる。
【0021】
さらに、本発明の回路基板において、保護膜が、基体表面と比べ、低摩擦係数を有することが好ましい。低摩擦係数の保護膜を形成することにより円滑な挿抜が行われる。
【発明の効果】
【0022】
以上の本発明の回路基板によれば、着脱による劣化(相手コンタクトまたは回路基板へのダメージ)が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態としての回路基板の斜視図である
【
図2】
図1に斜視図を示した回路基板の上面図(A)、側面図(B)、および底面図(C)である。
【
図3】回路基板の表面の、
図2(A)に破線で示す円R1の部分の拡大図(R1)と、回路基板の、
図2(B)に破線で示す円R2の部分の拡大断面図(R2)である。
【
図4】回路基板表面の高さ分布の測定結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態としての回路基板の斜視図である。
【0026】
また、
図2は、
図1に斜視図を示した回路基板の上面図(A)、側面図(B)、および底面図(C)である。
【0027】
これら
図1、
図2において、回路基板上の、本実施形態に特徴的な要素以外の要素については、図示が省略されている。また、図示が省略されている要素についての説明も省略する。
【0028】
この回路基板10には、おもて面(
図2(A)参照)およびうら面(
図2(B)参照)の双方に、多数のパッド20が配列されている。このように、パッド20を、回路基板10のおもて面とうら面の双方に形成したことにより、パッド20を片面のみに形成した場合と比べ多数のパッド20を配置することができ、また、同じ数のパッド20の場合は、回路基板10を小型化することができる。
【0029】
図1、
図2に示された多数のパッド20は、それらの全てが、不図示の相手コネクタに備えられた相手コンタクトとの電気的な接触を担っているパッドである。すなわち、この回路基板10の、パッド20が配列されている部分は、カードエッジコネクタ10Aとして使用される。回路基板10の少なくともカードエッジコネクタ10Aの部分は、パッド20の直上を除き全面がレジストと呼ばれる保護膜で覆われている。
【0030】
このカードエッジコネクタ10Aは、矢印Fで示す向きに相手コネクタに挿し込まれることにより、相手コネクタと嵌合する。この相手コネクタには、回路基板10のパッド20と同じ配列の、パッド20と同数の相手コンタクトが備えられている。そして、このカードエッジコネクタ10Aが相手コネクタに完全嵌合した状態では、配列されたパッド20の1つずつに、1つずつの相手コンタクトが接触した状態となる。
【0031】
ここで、回路基板10上の、パッド20の配列について説明する。
【0032】
パッド20は、矢印Wで示す幅方向に複数列(ここに示す例では13列)配列されている。そして、各列には、複数個(ここに示す例では8個)のパッド20が、矢印F-R方向に順次に間隔を空けて配列されている。
【0033】
相手コネクタとの嵌合にあたっては、カードエッジコネクタ10Aが矢印Fの向きに相手コネクタに挿し込まれる。このとき、例えば、完全嵌合時に一番後方に配置されているパッド20_8に接触する相手コンタクトは、嵌合が進むにつれて、以下のようにパッド20との接触を繰り返す。すなわち、パッド20_8に接触する相手コンタクトは、保護膜30の上を、矢印Rで示す後方に向ってスライドして、先ずは一番前方のパッド20_1に接しながらそのパッド上20_1を通過する。そして、そのパッド20_1から離れて再度保護膜30上をスライドする。次に、前方から2番目のパッド20_2に接しながらそのパッド20_2上を通過する。これを繰り返して、最終的に、一番後方に配置されているパッド20_8に接触する。また、例えば、完全嵌合時に前から2番目のパッド20_2に接触する相手コンタクトは、前から3番目以降のパッド20_3,・・,20_8にいずれかに接触する相手コンタクトよりも遅れて保護膜30の上をスライドして、一番前方のパッド20_1に接しながらそのパッド上20_1を通過する。その後、そのパッド20_1から離れて再度保護膜30上をスライドする。そして、完全嵌合時には、前方から2番目のパッド20_2に接触する。このように、矢印Rで示す後方に配置されたパッド20_nに対応する相手コンタクトは、そのパッド20_nよりも前方に配置されいるパッド20_1~20_n-1に順次に接触してから対応するパッド20_nに接触する。カードエッジコネクタ10Aを相手コネクタから抜き取るときは嵌合時とは逆の軌跡を描く。すなわち、矢印Rで示す後方に配置されたパッド20_nに対応する相手コンタクトは、そのパッド20_nよりも前方に配置されいるパッド20_n-1~20_1に順次に接触しながら抜き取られる。
【0034】
また、矢印F-R方向に複数個(ここに示す例では8個)並ぶパッド20の配列を1列としたとき、矢印Wで示す幅方向に複数列(ここに示す例では13列)が配列されている。そして、幅方向に隣接する2つの列の各々に属するパッド20は、矢印F-Rで示すスライド方向に互いに偏倚した位置に配置されている。このように偏倚した位置にパッド20を形成することにより、パッド20をスライド方向の同じ位置に形成した場合と比べ、各パッド20の周りに、パッド20が存在しない領域が広がることになる。パッド20が存在しない領域が広がると隣接するパッド20からの電気的な影響を受けにくくなり、その結果、パッド20を幅方向に密に配置することができる。これにより、回路基板の小型化が実現する。
【0035】
図3は、回路基板の表面の、
図2(A)に破線で示す円R1の部分の拡大図(R1)と、回路基板の、
図2(B)に破線で示す円R2の部分の拡大断面図(R2)である。ここで、
図2(B)は、回路基板の側面図であるが、
図3(R2)は、それに対応する部分の断面図である。
【0036】
図3(R1)に示されている通り、本実施形態におけるパッド20は略矩形の形状を有する。そして、各パッド20の、矢印Fで示すスライド方向前端の縁20aは、矢印Wで示す幅方向に直線状に延びている。
【0037】
パッドの、スライド方向前端の縁が前方に尖っていると、スライドしてきた相手コンタクトがパッド20に乗り上げるにあたり、その尖った、幅の狭い前端に接することになり、相手コンタクトはダメージを受けやすい。これに対し、本実施形態のように、パッド20の前端の縁が、スライド方向に対し交わる幅方向に直線状に延びていると、パッドの前端の縁が前方に尖っている形状のパッドと比べ、ダメージが抑えられる。
【0038】
また、保護膜30は、各パッド20の縁に、一周に亘って、その縁との間に間隙を形成することなく接して、板状の基体40の表面(おもて面とうら面の双方)に広がっている。ここでは、具体例として、矢印Fで示すスライド方向に隣接する2つのパッド20、例えば
図3に示す1番目のパッド20_1と2番目のパッド20_2に着目する。保護膜30は、各パッド20の縁に一周に亘って接して広がっている。このため、この保護膜30は、1番目のパッド20_1の後端の縁20bと2番目のパッド20_2の前端の縁20aの双方に接して、基体40上に広がっていることになる。この構造の場合、相手コンタクトが一方のパッド20(1番目のパッド20_1あるいは2番目のパッド20_2)に乗り上げた状態からもう一方のパッド20に乗り上げた状態に至るまでの間の、挿入や抜去による相手コンタクトへのダメージが抑えられる。本実施形態の場合、この構造が、
図1あるいは
図2に示す、スライド方向に並ぶ8個のパッド20およびそれらの間を埋める保護膜30について連続している。したがって、本実施形態の場合、相手コネクタとの挿抜による相手コンタクトへのダメージが抑えられる。
【0039】
各パッド20の縁との間に間隙を形成することなく接する保護膜30を形成するには、例えば以下の工程が採用される。すなわち、パッド20が形成された基体40の全面、あるいはパッド20の縁を覆うように保護膜材料を塗布する。そして、その後バフ仕上げを行って表面を平坦に仕上げる。こうすることにより、各パッド20の縁との間に間隙を形成することなく接する保護膜30を形成することができる。
【0040】
また、基体40については、本実施形態の場合、その基体40の、相手コンタクトがスライド方向後方(矢印Rの向き)に移動してきて保護膜30に最初に接する側の前端部10Bが、前方(矢印Fの向き)ほど厚みを減じるテーパ形状を有する。そして、保護膜30は、その前端部10Bを覆って広がっている。
【0041】
このように、基体40の前端部10Bがテーパ形状を有し、その前端部10Bを保護膜30で覆うことにより、相手コネクタとの嵌合が円滑となり、相手コンタクトおよび回路基板へのダメージが抑えられる。
【0042】
さらに、本実施形態の場合、保護膜30は、基体40の表面と比べ、低摩擦係数を有する。低摩擦係数の保護膜30を形成することにより円滑な挿抜が行われる。
【0043】
保護膜30を形成する材料としては、回路基板の表面の保護に一般的に採用されるレジストのほか、低摩擦係数の樹脂、あるいは、ガラス系コーティング剤等を採用することができる。
【0044】
図4は、回路基板表面の高さ分布の測定結果を示した図である。ここで、(A)は、本発明と対比すべき比較例、(B)は、本発明の一例を示す実施例である。
【0045】
図4(A)の比較例の場合、
図4の左上の(A)の(P)に示すように、回路基板10上の、パッド20と保護膜30との間に、基体40(
図3(R2)参照)がほぼ剥き出しになった溝50が存在する。基体40を保護膜30で覆う場合、従来は、この図(A)に示すように、パッド20の全域を保護膜30から露出させるために、パッド20を、そのパッド20よりも大きめのマスクで覆って、保護膜30の材料を塗布する。このため、パッド20の縁からやや離れた保護膜30が形成され、パッド20と保護膜30との間に溝50が形成される。また、パッド20の形状は、スライド方向に先細りの形状となっている。
【0046】
これに対し、
図4に示す実施例の場合、
図4の左下の(B)の(P)に示すように、回路基板10上の保護膜30はパッド20の縁に接していて、それらの間に溝は存在しない。この構造は、前述した通り、例えばパッド20を、そのパッド20よりも小さめのマスクで覆って、保護膜30の材料を塗布する。このため、一旦は、パッド20の縁にまで重なった保護膜30が形成される。そして、その後、表面が平坦となるようにバフ仕上げする。これにより、保護膜30の、パッド20の縁に重なった部分が削り取られ、パッド20がその縁まで露出するとともに、その縁に接して広がる保護膜30が形成される。また、この実施例の場合、パッド20はほぼ矩形の形状を有していて、幅方向に延びる縁が形成されている。
【0047】
図4(X)は、
図4(P)の(A),(B)の各々についての、横に延びる破線Xに沿う、回路基板10の表面の高さ分布を示した図である。
【0048】
また、
図4(Y)は、
図4(P)の(A),(B)の各々についての、縦に延びる破線Yに沿う、回路基板10の表面の高さ分布を示した図である。
【0049】
これらの図から分かる通り、(A)の比較例の場合は、深い溝50が形成されている。このため、スライドしてきた相手コネクタがこの溝50を通過する際に回路基板10にダメージを与え、これを繰り返すと、回路基板10の表面が削れたりパッド20の縁がめくれ上がるなどの不具合(転じて、スライドしてくる相手コンタクトへの損傷や摩耗等の不具合をも含む)が発生するおそれがある。一方、(B)の実施例の場合は、溝50は形成されておらず、また、パッド20の縁と、保護膜30の、パッド20の縁に接した部分が、互いに連続した高さとなっている。このため、相手コンタクトがパッド20と保護膜30とに跨って移動しても、相手コンタクトが受けるダメージあるいは回路基板10に与えるダメージは極めて小さくて済む。このため、この実施例の場合、上記の不具合の発生のおそれが抑制された信頼度の高い回路基板が実現する。
【0050】
なお、ここでは、
図1、
図2に示すように、複数のパッド20が2次元的に並んだカードエッジコネクタ10Aを取り上げて説明した。ただし、本発明は、パッド20が、幅方向に一列のみ配列されたタイプのカードエッジコネクタにも適用することができる。
【0051】
また、本発明は、その用途がカードエッジコネクタに限定されるものではない。例えば、2次元的に配列された相手コンタクトが上方から回路基板に近づいてきて多少のスライドを伴いながら、回路基板上に2次元的に配列されたパッドに押し当てられるタイプの回路基板にも適用することができる。
【符号の説明】
【0052】
10 回路基板
10A カードエッジコネクタ
10B 前端部
20,20_1,・・,20_8 パッド
20a パッドの前端の縁
20b パッドの後端の縁
30 保護膜
40 基体
50 溝