(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022032705
(43)【公開日】2022-02-25
(54)【発明の名称】空間形成用の骨組構造
(51)【国際特許分類】
E04H 15/34 20060101AFI20220217BHJP
【FI】
E04H15/34 C
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020136780
(22)【出願日】2020-08-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】505151771
【氏名又は名称】ユニトレンド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100158665
【弁理士】
【氏名又は名称】奥井 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100127513
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100206829
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 悟
(72)【発明者】
【氏名】岡田 幸男
(72)【発明者】
【氏名】岡田 勝久
【テーマコード(参考)】
2E141
【Fターム(参考)】
2E141AA03
2E141BB01
2E141CC01
2E141DD22
2E141DD24
2E141DD27
(57)【要約】
【課題】組立、分解が容易であって、分解後にコンパクトに収納でき、さらに複数の空間が集合した骨組構造を構築することも容易な空間形成用の骨組構造を提供する。
【解決手段】パイプ材からなる支柱が平面視4角形の4角の角部に配置され、支柱の上端部において、支柱と支柱との間にパイプ材からなる横架梁を架設して該4角形の4辺を形成し、支柱の下端部において、支柱と支柱との間にパイプ材からなる横架梁を架設して該4角形の3辺を形成し、支柱と横架梁とがジョイントを介して連結された空間形成用の骨組構造であって、ジョイントは、ジョイント本体とサブジョイントからなり、ジョイント本体は正六面体ブロックと該ブロックの5面からそれぞれ直角に突き出る脚部を有し、ジョイント本体の脚部と支柱およびジョイント本体と横架梁は、それぞれサブジョイントにより、離脱しないように接続されていることを特徴とする空間形成用の骨組構造。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプ材からなる支柱が平面視4角形の4角の角部に配置され、
支柱の上端部において、支柱と支柱との間にパイプ材からなる横架梁を架設して該4角形の4辺を形成し、
支柱の下端部において、支柱と支柱との間にパイプ材からなる横架梁を架設して該4角形の3辺を形成し、
支柱と横架梁とがジョイントを介して連結された空間形成用の骨組構造であって、
ジョイントは、ジョイント本体とサブジョイントからなり、ジョイント本体は正六面体ブロックと該ブロックの5面からそれぞれ直角に突き出る5つの脚部を有し、サブジョイントはピンを有する部材であり、
支柱および横架梁を構成するパイプ材の両端部とジョイント本体の脚部とには、サブジョイントのピンが貫通できる孔が形成され、
支柱のパイプ材の端部にはジョイント本体の上記5つの脚部のうち、他の4つの脚部に対して直角の方向に突き出ている脚部が挿入されるとともに、横架梁のパイプ材の端部には該他の4つの脚部のいずれかの脚部が挿入され、
ジョイント本体の脚部と支柱およびジョイント本体の脚部と横架梁は、それぞれサブジョイントのピンが上記の孔に挿入されていることにより接続されていることを特徴とする空間形成用の骨組構造。
【請求項2】
前記サブジョイントが前記パイプ材を把持する略C型の把持片と前記ピンを有するクリップであることを特徴とする請求項1に記載の空間形成用の骨組構造。
【請求項3】
2(n+1)本の支柱と(5n+2)本の横架梁とから、n個の隣接する空間を形成する空間形成用の骨組構造であって、各空間を形成する骨組が請求項1又は2に記載の空間形成用の骨組構造からなることを特徴とする、n個の隣接する空間を形成する空間形成用の骨組構造。
ここで、nは2以上の整数である。
【請求項4】
3(n+1)本の支柱と4(2n+1)本の横架梁とから、各列n個の隣接する空間が隣接して2列形成される空間形成用の骨組構造であって、該2列の各空間を形成する骨組が請求項1又は2に記載の空間形成用の骨組構造からなることを特徴とする、各列n個の隣接する空間が隣接して2列形成される空間形成用の骨組構造。
ここで、nは2以上の整数である。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の空間形成用の骨組構造において、支柱上端部の平面視4角形の4つの角部に形成される支柱と横架梁との間および横架梁と横架梁との間に形成されるコーナー部のうち、少なくとも1つ以上のコーナー部にコーナー材が架設されていることを特徴とする空間形成用の骨組構造。
【請求項6】
請求項3に記載のn個の隣接する空間を形成する空間形成用の骨組構造又は請求項4に記載の各列n個の隣接する空間が隣接して2列形成される空間形成用の骨組構造において、各空間を形成する骨組構造のいずれにおいても、平面視4角形の4つの角部に形成される支柱と横架梁との間および横架梁と横架梁との間に形成されるコーナー部のうち、少なくとも1つ以上のコーナー部にコーナー材が架設されていることを特徴とする空間形成用の骨組構造。
【請求項7】
前記コーナー材が把持部材とパイプ材とからなり、該パイプ材は両端部と両端部に連続する中央部からなり、両端部は長さが異なり、かつ両端部の軸中心線の延長が直角に交差することを特徴とする請求項5又は6に記載の空間形成用の骨組構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間形成用の骨組構造に関わる。
【背景技術】
【0002】
従来、シートや布製加工品で覆われた空間形成用の骨組構造は、シートや布製加工品で覆うことによりさまざまな分野で使用されている。
例えば、屋内で使用されるものとしては、災害時に体育館などの屋内に設営され、プライベート空間を確保できる避難室として使用される仮設テントや臨時の診療室、フィルターを使用して雰囲気を清浄にしたクリーンルームなどが知られている。
また、屋外で使用されるものとしては、運動会等のイベントでは、雨除けや日除けのために設けられたテントや仮設テントが知られている。建築現場などの資材置き場では、建築資材を雨水等から保護するための建築資材保管用のテントが知られている。
これらのテント類の空間形成用の骨組としては、組立、分解が容易にできる空間形成用の骨組構造が求められている。
【0003】
しかし、従来のテント類に使用される骨組構造は、構造が複雑であったり、支柱などのフレーム部品の種類や部品点数が多かったりして、組立や分解に人手や時間を多く消費していた。特許文献1に記載の骨組構造では、リンク機構を利用した折り畳み可能な骨組構造が示されているが、主梁材が入りくんでおり、組立や分解は容易には行えない。
【0004】
また、災害時の体育館などの避難場所には多数の仮設テントが設置されるが、避難が解除された後はこれらの多数の仮設テントを解体して分解された骨組構造の部品を保管しなければならない。このように保管時のことを考慮すると、分解後に広い保管スペースを必要とせず、コンパクトに収納できる空間形成用の骨組構造が求められていた。
【0005】
そこで、本発明者らは、組立、分解が容易であって、しかも分解後にコンパクトに収納でき、広い保管スペースを必要としない空間形成用の骨組構造を提供することを目的として、一方の端部近傍に屈曲部を有し、該屈曲部を除く部位が直線状である2本の同形のパイプ材と該パイプ材を支持する支持材とからなり、該2本のパイプ材同士が対向して屈曲部を除く部位で平行に、かつ点対称に配置されて、一方のパイプ材の屈曲部が他方のパイプ材に近づく方向に屈曲しているように支持材で支持されてなる側面フレームを使用した骨組構造の発明をなすに至った(特許文献2参照)。
【0006】
この従来技術の空間形成用の骨組構造は、単独の空間を形成することはできるが、複数の空間を形成するには、複数の骨組構造を並べるほかなく、多数の空間が集合した骨組構造の構築には適していなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特許文献1:特開2005-155062号公報
特許文献2:特許第5846593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、組立、分解が容易であって、しかも分解後にコンパクトに収納でき、広い保管スペースを必要としない空間形成用の骨組構造であって、かつ複数の空間が集合した骨組構造を構築することも容易な骨組構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
[1]パイプ材からなる支柱が平面視4角形の4角の角部に配置され、支柱の上端部において、支柱と支柱との間にパイプ材からなる横架梁を架設して該4角形の4辺を形成し、支柱の下端部において、支柱と支柱との間にパイプ材からなる横架梁を架設して該4角形の3辺を形成し、支柱と横架梁とがジョイントを介して連結された空間形成用の骨組構造であって、ジョイントは、ジョイント本体とサブジョイントからなり、ジョイント本体は正六面体ブロックと該ブロックの5面からそれぞれ直角に突き出る5つの脚部を有し、サブジョイントはピンを有する部材であり、支柱および横架梁を構成するパイプ材の両端部とジョイント本体の脚部とには、サブジョイントのピンが貫通できる孔が形成され、支柱のパイプ材の端部にはジョイント本体の上記5つの脚部のうち、他の4つの脚部に対して直角の方向に突き出ている脚部が挿入されるとともに、横架梁のパイプ材の端部には該他の4つの脚部のいずれかの脚部が挿入され、ジョイント本体の脚部と支柱およびジョイント本体の脚部と横架梁は、それぞれサブジョイントのピンが上記の孔に挿入されていることにより接続されていることを特徴とする空間形成用の骨組構造。
[2]前記サブジョイントが前記パイプ材を把持する略C型の把持片と前記ピンを有するクリップであることを特徴とする[1]に記載の空間形成用の骨組構造。
[3]2(n+1)本の支柱と(5n+2)本の横架梁とから、n個の隣接する空間を形成する空間形成用の骨組構造であって、各空間を形成する骨組が[1]又は[2]に記載の空間形成用の骨組構造からなることを特徴とする、n個の隣接する空間を形成する空間形成用の骨組構造。ここで、nは2以上の整数である。
[4]3(n+1)本の支柱と4(2n+1)本の横架梁とから、各列n個の隣接する空間が隣接して2列形成される空間形成用の骨組構造であって、該2列の各空間を形成する骨組が[1]又は[2]に記載の空間形成用の骨組構造からなることを特徴とする、各列n個の隣接する空間が隣接して2列形成される空間形成用の骨組構造。ここで、nは2以上の整数である。
[5][1]又は[2]に記載の空間形成用の骨組構造において、支柱上端部の平面視4角形の4つの角部に形成される支柱と横架梁との間および横架梁と横架梁との間に形成されるコーナー部のうち、少なくとも1つ以上のコーナー部にコーナー材が架設されていることを特徴とする空間形成用の骨組構造。
[6][3]に記載のn個の隣接する空間を形成する空間形成用の骨組構造又は[4]に記載の各列n個の隣接する空間が隣接して2列形成される空間形成用の骨組構造において、各空間を形成する骨組構造のいずれにおいても、平面視4角形の4つの角部に形成される支柱と横架梁との間および横架梁と横架梁との間に形成されるコーナー部のうち、少なくとも1つ以上のコーナー部にコーナー材が架設されていることを特徴とする空間形成用の骨組構造。
[7]前記コーナー材が把持部材とパイプ材とからなり、該パイプ材は両端部と両端部に連続する中央部からなり、両端部は長さが異なり、かつ両端部の軸中心線の延長が直角に交差することを特徴とする[5]又は[6]に記載の空間形成用の骨組構造。
【発明の効果】
【0010】
本発明の空間形成用の骨組構造は、5つの脚部を有するジョイント本体とサブジョイントからなるジョイントによりパイプ材からなる支柱と横架梁を接続でき、骨組構造の組立と分解が容易に行うことができ、しかも、骨組構造を構成する部品がパイプ材とジョイントであり、かさばらない形状の部品であるから、骨組構造の分解後はコンパクトに収納ができ、広い保管スペースを必要としない。また、5つの脚部を有するジョイント本体を介して、隣接する空間を連続して形成する骨組構造とすることも容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の空間形成用骨組構造の斜視図を示す。
【
図2】本発明の空間形成用骨組構造の平面図を示す。
【
図3】支柱のパイプ材および横架梁のパイプ材を示す。
【
図5】サブジョイントとして使用される2つの実施形態を示す。(a)、(b)はそれぞれ略C型クリップの正面図、側面図、(c)は割ピンの斜視図を示す。
【
図6】(a)はジョイント本体の脚部に横架梁のパイプ材が装着された状態を示す。(b)は略C型クリップにより、ジョイント本体の脚部に横架梁のパイプ材が接続された状態を示す。
【
図7】サブジョイント(略C型クリップ)によりジョイント本体の脚部に支柱や横架梁が接続されている状態の斜視図を示す。(a)は支柱上端部での接続状態を、(b)は支柱下端部での接続状態の2つのタイプのうちの1つを、(c)は支柱下端部での接続状態の他のタイプの1つを、それぞれ示す。
【
図8】複数の空間が一列に隣接して形成される骨組構造の斜視図を示す。(a)は各空間の冂(けいがまえ)状の骨組が同一平面上にある状態を示す。(b)は、各空間の冂(けいがまえ)状の骨組が同一平面上にない状態を示す。
【
図9】複数の空間が隣接して形成される骨組構造の斜視図を示す。(a)は空間が縦方向に隣接している骨組構造の斜視図を、(b)は縦方向および横方向に隣接している骨組構造の斜視図をそれぞれ示す。
【
図10】隣接した複数の空間が2列に形成され、各列の各空間の冂(けいがまえ)状の骨組が同一平面上にある骨組構造の斜視図を示す。
【
図11】本発明の空間形成用骨組構造の冂(けいがまえ)状の骨組とさらに設けた冂(けいがまえ)状の骨組とにより空間を形成した骨組構造の斜視図を示す。
【
図12】骨組構造の支柱の上端部において、支柱と横架梁が形成する角部に2つのコーナー材が取り付けられている骨組構造の斜視図を示す。(a)は骨組構造全体の斜視図を、(b)は要部を拡大した斜視図をそれぞれ示す。
【
図13】(a)は両端部の長さが異なるコーナー材の平面図を示す。(b)はコーナー材本体部材の平面図を示す。
【
図14】コーナー材の把持部材を示す。(a)は正面図を示す。(b)は平面図を示す。
【
図16】アジャスターがジョイント本体に取り付けられた状態の正面図を示す。
【
図18】ノブ付きネジがジョイント本体に取り付けられた状態の正面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の空間形成用の骨組構造を図面に基づいて説明する。なお、以下において、空間形成用の骨組構造を単に「骨組構造」ということがある。
本発明の骨組構造1は、
図1に示されるように、平面視4角形の4角の角部に配置される同じ高さの4本の支柱2および支柱2と支柱2との間に架設される7本の横架梁3を備えている。
なお、梁とは、通常、柱の上にはり渡し、屋根を支える材料を指しているが、横架梁は支柱と支柱の間に架設される材料を指している。
【0013】
骨組構造1の支柱2の上端部においては、後述するジョイント4を介して横架梁3が支柱2と支柱2の間に架設され、4本の横架梁3が平面視4角形の4辺を形成している(
図2参照。なお、
図2では、支柱2はジョイント4の下に隠れている。また、この図では、ジョイント4を構成しているジョイント本体とサブジョイントのうち、サブジョイントは省略されている)。
他方、支柱の下端部においても、支柱2と支柱2の間にジョイント4を介して横架梁3が架設され、
図1から分かるように、3本の横架梁3が平面視4角形の3辺を形成している。
したがって、骨組構造1は、2本の支柱と該2本の支柱の上端部と下端部に架設される2本の横架梁3とで形成される3つの矩形の骨組、2本の支柱と該2本の支柱の上端部に架設される横架梁3とで形成される冂(けいがまえ)状の骨組及び支柱2の上端部に架設された4本の横架梁3が形成する平面視四角の矩形の骨組で囲われる立方体や直方体の空間を形成することができる。
上記の3つの矩形の骨組および冂(けいがまえ)状の骨組は、骨組構造1が形成する空間の側面を形成し、上記の支柱2の上端部に架設された4本の横架梁3が形成する平面視4角の矩形の骨組は、骨組構造1が形成する空間の天井面を形成することになる。
【0014】
骨組構造1が形成する空間の側面の骨組に布やビニールなどからなるシートを取り付ければ、外部と区切る空間を形成することができる。さらに、骨組構造1が形成する空間の天井面の骨組にシートを取り付ければ、外部と区切る天井付きの空間を形成することができる。
この骨組構造1は、2本の支柱2と該2本の支柱2の上端部に架設された横架梁3で冂(けいがまえ)状の骨組を備えるが、この冂(けいがまえ)状の骨組の横架梁3に、例えば布やビニールなどからなるシートの代わりにカーテンを取り付けると、カーテンをどちらか一方の支柱側に寄せるたり2つの支柱の間に拡げたりして、冂(けいがまえ)状の骨組を骨組構造1が形成する空間への出入り口とすることができる。また、シートやカーテンなどを取り付けない場合は、常に開放された出入り口とすることができる。
【0015】
支柱2と横架梁3は内径および外径が同じパイプ材とする。こうすることで部品の種類の数を少なくすることができる。
支柱2はいずれも同じ長さであるが、横架材3については、少なくとも、互いに平行に架設される横架梁同士が同じ長さでなければならない。
支柱2や横架梁3のパイプ材の両端部の各端部には後述するサブジョイントのピンが該パイプ材を貫通できる2つの孔が形成されている。
図3に支柱2と横架梁3のパイプ材を示した。ここでは、支柱2は横架梁3と同じ長さのものが示されているが、この形態に限るものではなく、支柱2が横架梁3よりも長い場合、あるいは短い場合もある。
【0016】
支柱2と横架梁3はジョイント4により接続して、横架材3を支柱2と支柱2の間に架設することができる。
ジョイント4は、ジョイント本体5とサブジョイント6からなり、ジョイント本体5を
図4に、サブジョイント6を
図5にそれぞれ示した。
【0017】
ジョイント本体5は、正6面体ブロックと正6面体ブロックの6面のうちの5面において、各面に対して直角に突き出る円柱状の脚部51を備えている。これら5つの脚部51の長さと外径は同じである。
5つのうちの4つの脚部51は、脚部51の軸中心線は同一平面上にあり、隣り合う脚部同士の軸中心線は直角を形成している。そして、残りの1つの脚部51は、軸中心線がこの平面に垂直であり、
図4では上向きに示されている。
したがって、ジョイント本体5が有する5つの脚部のうち、1つの脚部(
図4では上向きの脚部)51は、他の4つの脚部51に対して直角の方向に突き出ている。
また、脚部51には、脚部51の軸に直交する貫通孔52が形成されている。後述するように、貫通孔52には、サブジョイント6のピンが挿入される。
【0018】
サブジョイント6は、ピン61を備える部材であり、ジョイント本体5の脚部51から支柱2や横架梁3のパイプ材が外れないようにするためのものある。
図5(a)、(b)および
図5(c)にサブジョイント6の異なる実施形態を示した。
【0019】
図5(a)、(b)に示す実施形態では、ピン61を備える断面が略C型の把持部62を有する略C型クリップ6であり、支柱2や横架梁3のパイプ材を把持することができる。この把持部62は、弾性を有する2つの把持片を有し、把持片を押し拡げて支柱2や横架梁3のパイプ材に装着した後は2つの把持片が閉じる方向に締まるようになっている。
そして、ピン61は、略C型の部位の中央部から把持片側に突き出し、ピン61の径(断面の長さ)はジョイント本体5の脚部51に穿設された貫通孔52の径および支柱2や横架梁3のパイプ材の端部に穿設された貫通孔の径よりもやや小さい。
そして、ピン61の把持片側に突き出ている部位は、支柱2や横架梁3のパイプ材の外径よりやや長く、略C型クリップ6がこれらのパイプ材に装着されると、ピン61がパイプ材の端部に穿設された2つの孔を貫通し、同時にジョイント本体5の孔52を貫通することになる。
【0020】
上述したように、サブジョイント6は、ジョイント本体5の脚部51から支柱2や横架梁3のパイプ材が外れないように接続するためのものあるから、サブジョイント6として、略C型クリップの代わりに、
図5(c)に示すような、ピン61を有する割ピン6を使用することもできる。
割ピン6は、ピン61と頭部63とからなり、ピン61が開脚できる2本の脚からなっている。対象物の孔にこの2本の脚であるピン61を通し、この脚を両側に開くようにして固定するものであり、支柱2や横架梁3のパイプ材の端部に形成された2つの孔とジョイント本体5の脚部51に形成された孔52とを貫通するように、割ピンのピン61を挿入し、パイプ材から飛び出たピンの2本の脚を曲げて開き、支柱2や横架梁3のパイプ材の外周に沿わせることで、ジョイント本体5の脚部51に支柱2や横架梁3のパイプ材を接続することができる。割ピンのピン61の長さは、パイプ材の外径よりも長くなければならない。図示はしていないが、ヘアピン型の割ピンも同様にサブジョイント6として使用することができる。
【0021】
サブジョイント6がピン61を有する部材であるから、該ピンを支柱2や横架梁3、ジョイント本体5の脚部51に形成された孔に挿入して、格別の工具を使用することなく、あるいは工具を使用することなく、支柱2や横架梁3をジョイント本体の脚部51に接続することができ、骨組構造1の組立が容易に行うことができる。逆に分解するときも、同様に容易に行うことができる。
とりわけ、略C型クリップ6は、2つの把持片を手で押し広げて、ピン61を支柱2や横架梁3のパイプ材およびジョイント本体5の脚部51に形成された孔に挿入することにより、工具を必要としないで、パイプ材をジョイント本体5に接続することも可能である。
【0022】
骨組構造1においては、ジョイント本体5の、軸中心線が同一平面上にある4本の円柱状の脚部51のいずれかの脚部に、該脚部51が横架梁3のパイプ材の端部に挿入された状態で、該横架梁3が装着される。この状態を
図6(a)に示した。
そして、支柱2についても、
図6には示されてはいないが、上記の4本の脚部51ではない残りの1つの円柱状の脚部51、すなわち上記の4本の脚部51の軸中心線が形成する平面に対して軸中心線が直角をなす脚部51には、該脚部51が支柱2のパイプ材の端部に挿入された状態で、該支柱2が装着される〔
図7(a)~(c)参照〕。
したがって、ジョイント本体5の脚部51の外径は支柱2や横架梁3のパイプ材の内径以下にしなければならない。脚部51を横架梁3や支柱2のパイプ材の端部に挿入しやすいように、脚部51の外径を横架梁3や支柱2のパイプ材の内径よりもやや小さくして、脚部51とパイプ材がタイトな状態にならないように遊びを持たせることが望ましい。こうすると、ジョイント本体5の脚部51と支柱2や横架梁3のパイプ材を装着あるいは分離することが容易に行える。
【0023】
サブジョイント6は、ジョイント本体5の脚部51が挿入された支柱2や横架梁3のパイプ材の端部に装着されて、ジョイント本体5の脚部51から支柱2や横架梁3のパイプ材が外れないようにするためのものある。
ジョイント本体5の脚部51に支柱2や横架梁3のパイプ材を取り付けるには、まず脚部51をパイプ材の端部に、該パイプ材に穿設された孔(2つ)と脚部51に穿設された孔52とが重なるように挿入し、次いで、ピン61がパイプ材の端部に形成された2つの孔とジョイント本体5の脚部51に形成された孔とを貫通するように、装着して取り付ける。
このようにして、ジョイント本体5の脚部51から支柱2や横架梁3のパイプ材が外れないように取り付けることができる。
図6(a)に、ジョイント本体5の、軸が同一平面上にある4本の脚部51の1つに、横架梁3のパイプ材の端部に挿入された状態を、
図6(b)に、
図6(a)に示された横架梁3のパイプ材の端部にサブジョイント6の略C型クリップが装着された状態をそれぞれ示した。
【0024】
図1に示すように、支柱2の上端部と下端部のそれぞれにおいて、4つのジョイント4を使用することにより横架梁3を架設して、1つの空間を形成する骨組構造1を構築することができる。
そして、
図1や
図7(a)から分かるように、支柱2の上端部では、4つのジョイントのいずれのジョイント本体5においても、軸中心線が同一平面上にある4つの脚部51のうちの2本の脚部に横架梁3が取り付けられるとともに、該同一平面に垂直でかつ下向きに突き出る脚部51には支柱2が取り付けられている。
【0025】
また、支柱2の下端部では、4つのジョイント本体のうち、2つのジョイント本体5においてはいずれも、
図1や
図7(b)に示すように、軸が同一平面上にある4本の脚部51のうちの2本の脚部51に横架梁3が取り付けられるとともに、該同一平面に垂直でかつ上向きに突き出る脚部51に支柱2が取り付けられている。そして、
図1や
図7(c)に示すように、残りの2つのジョイント本体5においてはいずれも、軸中心線が同一平面上にある4本の脚部51のうちの1本の脚部に横架梁3が取り付けられるとともに、該同一平面に垂直でかつ上向きに突き出る脚部51に支柱2が取り付けられている。
そして、
図7(a)~(c)では、ジョイント本体5の脚部51が挿入された支柱2や横架梁3のパイプ材の端部にはいずれも、
図5(a)、(b)に示す略C型クリップのサブジョイント6が装着されて、ジョイント本体5から、支柱2や横架梁3のパイプ材が外れないようになっている。サブジョイント6として、
図5(c)に示す割ピンを使用しても同様である。
【0026】
以上の骨組構造1を基本構造として利用し、骨組構造1が形成する空間を隣接させて縦横に並べることができる骨組構造を構築することができる。以下、複数の空間を形成することができる骨組構造を「骨組構造1M」ということにする。
【0027】
図8(a)には、集合住宅の一形態である長屋のように、骨組構造1が形成する空間を隣接させて横方向に並べた骨組構造1Mを示した。
図8(a)において、左端の骨組構造1を骨組構造1a、骨組構造1aが形成する空間に隣接する空間を形成している、新たに構築された骨組構造1を骨組構造1bとする。
図8(a)に示すように、骨組構造1と同じ構造の骨組構造1aの冂(けいがまえ)状の骨組が形成する面と直角に交差する面を形成する矩形の骨組の2本の支柱2及びこの2本の支柱の上端部と下端部に架設される2本の横架梁3と新たに配置した2本の支柱2と横架梁3により、骨組構造1と同じ構造の平面視4角形の骨組構造1bを構築して、これを繰り返すことにより骨組構造1が形成する空間を複数個横に並べて、長屋のように、骨組構造1が形成する空間が横方向に並んだ骨組構造1Mを構築することができる。
図8(a)では3個の空間が並んでいる。
【0028】
骨組構造1aと骨組構造1bとは2本の支柱2および該2本の支柱間に架設される2本の横架梁3からなる骨組を共有している。そして、骨組構造1aの冂(けいがまえ)状の骨組が形成する面と骨組構造1bの冂(けいがまえ)状の骨組が形成する面とが同一平面上になるように配置されている。同様にして、さらに、骨組構造1cが骨組構造1bが形成する空間に隣接する空間を形成している。
骨組構造1a~1cはいずれも、
図1に示す骨組構造1の構造と同じであり、1つの冂(けいがまえ)状の骨組を有しており、この骨組を出入り口とすることができるから、骨組構造1a~1cが形成する空間は出入り口を有するものとすることができ、そして出入り口の方向が同一である。
【0029】
一方、
図8(b)に示した骨組構造1Mは、
図8(a)と同様に構築されたものであり、骨組構造1a~1cが形成する3つの空間が隣接して並んでいるが、骨組構造1aと骨組構造1cの冂(けいがまえ)状の骨組が形成する面は同一平面上にあり、骨組構造1bの冂(けいがまえ)状の骨組が形成する面は、この平面上にはない。
したがって、冂(けいがまえ)状の骨組を出入り口とすると、骨組構造1a、1cの出入り口と骨組構造1bの出入り口は、
図8(b)に示すように、方向が逆である。
このように、
図8(b)に示される骨組構造1a~1cはいずれも、
図1に示す骨組構造1の構造と同じであり、1つの冂(けいがまえ)状の骨組を有しており、この骨組を出入り口とすることができる。
【0030】
図9(a)には、骨組構造体1aにおける冂(けいがまえ)状の骨組が形成する面と対向する面を形成している、2本の支柱2と該2本の支柱の上端部と下端部に架設される2本の横架梁3とで形成される矩形の骨組を利用して、2本の支柱2と横架梁3を新たに配置することにより、骨組構造1と同じ構造の平面視4角の骨組構造を構築し、新たに配置した2本の支柱2の上部に横架梁3を架設して、冂(けいがまえ)状の骨組することができる。
図9(a)において、最初の骨組構造1を骨組構造1a、新たに構築された骨組構造を骨組構造1a′とすると、骨組構造1aと骨組構造1a′とは骨組構造1aの冂(けいがまえ)状の骨組以外の3つの矩形の骨組が形成する側面のうちの中央に位置する側面の矩形の骨組を共有している。
この場合においても、骨組構造1aおよび1a′はいずれも、
図1に示す骨組構造1と同じであり、1つの冂(けいがまえ)状の骨組を有しており、この冂(けいがまえ)状の骨組を出入り口とすることができるから、骨組構造1aおよび1a′が形成する空間はそれぞれ出入り口を有するものとすることができる。そして、骨組構造1a、1a′の冂(けいがまえ)状の骨組が形成する面は同一平面上にはなく、
図9(a)から分かるように、出入り口の方向は逆である。
【0031】
図9(b)に示すものは、
図9(a)に示される骨組構造1Mにおける骨組構造1a′の2本の支柱2と該2本の支柱の上端部と下端部に架設される2本の横架梁3とで形成される矩形の骨組を利用して、2本の支柱を新たに配置することにより、骨組構造1と同じ構造の平面視4角形の骨組構造1b′を構築し、新たに配置した2本の支柱2の上端部に横架梁3を架設して冂(けいがまえ)状の骨組とし、骨組構造1b′による新たな空間を付加したものである。
図9(b)に示される骨組構造1a,1a′、1b′はいずれも、
図1に示す骨組構造1の構造と同じであり、1つの冂(けいがまえ)状の骨組を有しており、この骨組を出入り口とすることができる。
このように、
図9(b)に示す骨組構造1Mから分かるように、骨組構造1を基本構造として利用し、骨組構造1が形成する空間を隣接させて縦方向にも横方向にも並べることができる骨組構造を構築することができる。
【0032】
図8(a)、(b)および
図9(a)、(b)に示される骨組構造1Mは、いずれも以下のように規定することができる。
『骨組構造1Mは、2(n+1)本の支柱と(5n+2)本の横架梁とから、n個の隣接する空間を形成する空間形成用の骨組構造であって、各空間を形成する骨組が空間形成用の骨組構造1からなるn個の隣接する空間を形成する空間形成用の骨組構造である。ここで、nは2以上の整数である。』
図8(a)、(b)、
図9(b)に示される骨組構造1Mでは、nが3であり、8本の支柱と17本の横架梁が使用されている。また、
図9(a)に示される骨組構造1Mでは、nが2であり、6本の支柱と12本の横架梁が使用されている。
【0033】
さらに、
図9(a)に示す骨組構造1a、1a′に対して、
図8(a)に示すように骨組構造1aに対して骨組構造1bを構築したのと同様に、骨組構造を次々に構築すると、
図10に示すように、空間を2列に横方向に集合的に並べることができる。
図10では、骨組構造1a~1cおよび1a′~1c′が隣接した2列に並んだ6つの集合的な空間を形成し、骨組構造1a~1cの冂(けいがまえ)状の骨組が形成する面および骨組構造1a′~1c′の冂(けいがまえ)状の骨組が形成する面のそれぞれの面が同一平面上になるように配置され、骨組構造1a~1cが形成する空間の出入り口の方向と、骨組構造1a′~1c′の出入り口の方向は逆になっている。
【0034】
ここで、集合的な空間の各空間を形成する骨組構造(1a~1cや1a′1c′)は、
図1に示す骨組構造1と同じ構造を有し、1つの冂(けいがまえ)状の骨組を有するとともに、隣接する空間を形成している骨組構造同士(例えば、骨組構造1aと骨組構造1bや骨組構造1aと骨組構造1a′)は、骨組みの骨組一部を共有しているが、冂(けいがまえ)状の骨組は共有していない。こうすることで、骨組構造1a、1b、・・・や骨組構造1a′1b′、・・・の冂(けいがまえ)状の骨組を出入り口とすることができる。
【0035】
図10に示される骨組構造1Mでは、骨組構造1a~1cや骨組構造1a′~1c′の冂(けいがまえ)状の骨組が形成する面は同一平面上にあるが、図示はしていないが、骨組構造1Mの両端にある骨組構造1a、1c、1a′、1c′の冂(けいがまえ)状の骨組の位置を変えたものとすることも可能である。
例えば、骨組構造1aの冂(けいがまえ)状の骨組を骨組構造1Mの端部の面(
図10では左側の端面)に形成することができる。この場合は、骨組構造1a~1cの冂(けいがまえ)状の骨組が形成する面は同一平面上にはない。そして、冂(けいがまえ)状の骨組を出入り口とすると、骨組構造1aと骨組構造1b、1cとは、出入り口の方向が90°異なっている。
このように、複数の隣接する空間を隣接した2列形成された骨組構造1Mは、
図10に示すような、各列の冂(けいがまえ)状の骨組が形成する面が同一平面上にある骨組構造のものに限るものではない。
【0036】
複数の隣接する空間が隣接して2列形成される骨組構造1Mは、いずれも以下のように規定することができる。
『骨組構造1Mは、3(n+1)本の支柱と4(2n+1)本の横架梁とから、各列n個の隣接する空間が隣接して2列形成されている骨組構造であって、該2列の各空間を形成する骨組が
図1に示す空間形成用の骨組構造からなる、各列n個の隣接する空間が隣接して2列形成される空間形成用の骨組構造である。
ここで、nは2以上の整数である。』
図10に示される骨組構造1Mでは、n=3であり、12本の支柱と28本の横架梁が使用されている。
【0037】
複数の空間を形成することができる骨組構造1Mの空間の側面に対応する骨組にシートなどを取り付ければ、複数の外部と区切る空間を形成することができる。さらに、骨組構造1Mの空間の天井面に対応する骨組にシートなどを取り付ければ、複数の外部と区切る天井付きの空間を形成することができる。
また、骨組構造1Mにおける冂(けいがまえ)状の骨組には、カーテンなどを取り付けたり、あるいは何も取り付けないようにしたりして、骨組構造1Mが形成する各空間への出入り口とすることができる。
【0038】
図11には、骨組構造体1と同じ構造の骨組構造1aにおける冂(けいがまえ)状の骨組を利用して、2本の支柱を新たに配置することにより、骨組構造1と同様の平面視4角形の骨組構造1a′を構築し、新たに配置した2本の支柱の上部に横架梁を架設して、冂(けいがまえ)状の骨組とした骨組構造1Mが示されている。
したがって、骨組構造1a′は、支柱が平面視4角形の4角形の角部に配置され、側面が2つの冂(けいがまえ)状の骨組および2本の支柱2と該2本の支柱の上端部と下端部に架設される2本の横架梁3とで形成される2つの矩形の骨組で側面が囲われる空間を形成することができる。この骨組構造1a′は、2つの側面が2つの冂(けいがまえ)状の骨組を有しており、骨組構造1とは異なる骨組構造を有している。
図11に示される骨組構造1Mは、骨組構造1aと骨組構造1a′が共有する骨組が冂(けいがまえ)状の骨組であり、これを出入り口として使用することができるから、骨組構造1と比べて奥行きが大きな空間を形成している。
図11に示される骨組構造1a、1a′を利用して、
図10に示されるように、空間を連ねると、奥行きの大きな空間を長屋のように集合的に並べた骨組構造1Mを構築することが可能である。
【0039】
骨組構造1や骨組構造1Mにおいて、支柱2の上部では、平面視4角形の4つの角部のいずれかにおいて、ジョイント4で連結された支柱2と横架梁3との間および横架梁3と横架梁3との間に形成されるコーナー部にコーナー材を取り付けることにより、骨組構造1や骨組構造1Mをより堅固なものにすることができる。
図12に、コーナー材の使用例の1つを示した。すなわち、骨組構造1の支柱2の上端部に形成される平面視4角形の角部の1つにおいて、2つのコーナー材7が取り付けられ、支柱2と2本の横架梁のうちの一方の横架梁3aとの間および該支柱2と他方の横架梁3bとの間のそれぞれのコーナー部にコーナー材7が架設されている。
【0040】
コーナー材7は、本体部材71と把持部材72とからなり、該本体部材71の両先端部に支柱2や横架梁3のパイプ材を把持できる把持部材72が固定して取り付けられている。本体部材71はパイプ材などから両端部を曲げて製作することができる。
本体部材71の両端部は、両端部の軸中心線の延長が直角に交わっていなければならない。
図13(a)にコーナー材7の一実施形態を、また
図13(b)に、
図13(a)に示されるコーナー材7から把持部材72を取り除いた本体部材71の一実施形態をそれぞれ示した。本体部材71の両端部に取り付けられる把持部材72は同じ形状のものを使用することができる。
【0041】
図14にコーナー材7の把持部材72の一実施形態を示した。この図から分かるように、把持部材72は支柱2や横架梁3のパイプ材を把持することができる略C型の把持部721と本体部材71の端部が挿入されるソケット部722を有している。そして、該本体部材71の端部と該ソケット部722とのそれぞれにはネジが挿入できる雌ネジ孔(図面番号なし)が形成されており、該孔にネジをねじ込むことにより、把持部材72を本体部材71に固定することができる。
【0042】
略C型の把持部721は弾性体の材料で作られており、コーナー材7を支柱2や横架梁3のパイプ材には、把持部721の把持片の間隔を拡げて押し込めば装着することができる。この把持部721の把持片の開口の向きは、コーナー材7の両端部では同じにすることが望ましい〔
図12(b)および
図13(a)参照〕。
【0043】
図13(b)に示される本体部材71は、両端部と両端部に連続する中央部を有し、両端部は所定の長さを有し、その軸中心線の延長が直角に交差するとともに、両端部の長さは異なっている。こうすることで、
図12に示すように、同じ形状の2つのコーナー材を骨組構造1の支柱2の上端部に形成される平面視4角形の1つの角部に同時に使用することができる。
【0044】
すなわち、
図12では、骨組構造1の平面視4角形の1つの角部において、支柱2の上端部に2つの同じ形状の、両端部の長さが異なっているコーナー材7が使用されている。ここで、仮に一方のコーナー材7を「コーナー材7a」、他方のそれを「コーナー材7b」ということにすると、コーナー材7aの長い方の端部と短い方の端部はそれぞれ一方の横架梁3a、支柱2に装着されているのに対して、コーナー材7bの長い方の端部と短い方の端部はそれぞれ支柱2、他方の横架梁3bに装着されているから、支柱2において、装着されるコーナー材7aの端部とコーナー材7bの端部とは位置が重ならないようにすることができるので、同じ形状のコーナー材7a、コーナー材7bを1本の支柱2に対して同時に使用することができる。
この場合、本体部材71の両端部の長さは、2つのコーナー材7a、7bが支柱の上端部において、支柱2と横架梁3が形成するコーナー部に装着されたときに、支柱2に装着されるコーナー材7aの端部の位置とコーナー材7bの端部の位置が重ならない程度に差がなければならない。
こうすることで、コーナー材の形状を1つにすることができ、部品の種類の数を増やさないで済ませることができる。
【0045】
コーナー材7は
図13に示すものに限るものではなく、両端部が同じ長さのものも使用できるが、1つの支柱2に対して、2つのコーナー材を使用する場合、
図12に示すように、2本の同じ形状のコーナー材を使用することができないから、異なる形状のものを使用することになる。したがって、この場合は、コーナー材として、2種の形状のものを準備しなければならない。
【0046】
骨組構造1の平面視四角の角部において、各支柱2の上端部で支柱2と横架梁3とで形成される2つのコーナー部、横架梁3と横架梁3とで形成される1つのコーナー部がそれぞれ形成され、4本の支柱2の上端部では計12のコーナー部が形成される。この計12のコーナー部の少なくとも1つに、コーナー材7を架設することにより、骨組構造1をより堅固にすることができる。
さらに、この計12のコーナー部の3つ以上の複数個所やすべての個所に架設することにより一層堅固にすることができる。
図12に示すように、冂(けいがまえ)状の1つ骨組を構成する2本の支柱2のうち、1本の支柱2上端部と2つの横架梁3との間に形成される2つのコーナー部のそれぞれにコーナー材7を架設することも、骨組構造1を堅固なものにするには効果的である。
【0047】
複数の空間を形成することができる骨組構造1Mでも、コーナー材の架設は、骨組構造1とおおむね同様であり、例えば、
図8(a)に示される骨組構造1a~1cではいずれの骨組構造においても、各支柱2の上端部で支柱2と横架梁3と間および横架梁3と横架梁3と間に形成されるコーナー部の少なくとも1つの支柱と横架梁に架設すると、集合的な空間が形成された骨組構造1Mをより堅固にすることができる。
複数の空間を形成することができる骨組構造1Mでは、各空間を形成する隣接する骨組〔例えば
図8(a)では骨組構造1a、1b〕が支柱2と横架梁3とが形成するコーナー部を共有しているが、支柱上端部において、共有する支柱と横架梁が形成するコーナー部にコーナー材を架設すると、隣接する空間のそれぞれの骨組構造〔例えば、
図8(a)では骨組構造1aと1b〕を同時に堅固にすることができる。
【0048】
骨組構造1の支柱の下端部に取り付けられたジョイント本体5には
図15に示すようなアジャスター8を取り付けることができる。
アジャスター8は、骨組構造1や骨組構造1Mが設置される場所の床や地面に接するベース部81と雄ネジが刻まれた軸部82からなり、軸部82がベース部81に立設されている。
骨組構造1の支柱2の下端部に取り付けられたジョイント本体5の正6面体の底面(すなわち正6面体において脚部51が存在しない面)にアジャスター8の軸部82の雄ネジと螺合する雌ネジが刻まれた孔が形成されており、
図16に示すように、アジャスター8の軸部をねじ込んでジョイント本体5に取り付けることができる。
【0049】
骨組構造1を構成する4本の支柱2の下端部に取り付けられたジョイント本体5のすべてに、アジャスター8を取り付けると、骨組構造1が設置される床や地面に凹凸があっても、アジャスター8を回転させて、各々の支柱2底部のジョイント本体5の高さ位置を微調整して、骨組構造1のがたつきを抑えることができる。また、ジョイント本体5の底面を保護することもできる。さらに、ベース部81をゴム製にしたりベース部81の床や地面に接する部位にゴムなどの滑り止めを取り付けたりして滑り止め効果を持たせることもできる。
【0050】
骨組構造1を構成する4本の支柱2の上端部に取り付けられたジョイント本体5には
図17に示すようなノブ付きネジ9を取り付けることができる。
ノブ付きネジ9は、ノブ部91と雄ネジが刻まれた軸部92からなり、軸部92がノブ部91に立設されている。
骨組構造1や骨組構造1Mの支柱2の上端部に取り付けられたジョイント本体5の正6面体の上面(すなわち正6面体において脚部51が存在しない面)にノブ付きネジ9の軸部92の雄ネジと螺合する雌ネジが刻まれた孔を形成し、
図18に示すように、ノブ付きネジ9の軸部をねじ込んでジョイント本体5に取り付けることができる。なお、ここでの孔は、アジャスター8の軸部82と同じ雄ネジ溝を軸部92に刻んでおけば、アジャスター8を取り付ける雌ネジが刻まれた孔と兼用することができる。
【0051】
ノブ付きネジ9は、例えば、骨組構造1や骨組構造1Mが形成する空間の天井面や側面にシートなどを張るときに使用することができる。シートにノブ付きネジ9の軸部92が通過できる孔を設けておき、該孔にノブ付きネジ9の軸部92を通した後に、ジョイント本体5の正6面体の上面に穿設した孔に、ノブ付きネジ9のノブ部91を手で回すなりして該ネジ9の軸部92をねじ込み、ノブ部91とジョイント本体5の正6面体の上面との間にシートを挟むことにより、シートを骨組構造1や骨組構造1Mに取り付けることができる。そして、骨組構造1や骨組構造1Mの天井面に対応する骨組にシートを張る場合は、シートの骨組構造1の平面視4角の4つの角部に対応する部位に孔を形成して、各角部の4個所でノブ付きネジ9のノブ部91とジョイント本体5の正6面体の間にシートを挟むことにより、骨組構造1や骨組構造1Mの天井面に対応する骨組にシートを張ることができる。
【0052】
上述したように、骨組構造1や骨組構造1Mでは、2本の支柱2と該2本の支柱2の上端部に架設された横架梁3で形成される冂(けいがまえ)状の骨組を備えている。
この骨組には、支柱2の下端部に架設される横架梁3がないため、骨組構造1が床や地面などに設置されたときに、骨組構造1が形成する空間に出入りする人が横架梁3につまずくことがないので、出入り口とするのに好適である。
すなわち、冂(けいがまえ)状の骨組を除く骨組構造1の側面や天井面に対応する骨組に布やビニールからなるシートで覆い、冂(けいがまえ)状の骨組の横架梁に、例えばカーテンを取り付けると、カーテンを、どちらか一方の支柱側に寄せるたり2つの支柱の間に拡げたりして、骨組構造1が形成する空間への出入り口とすることができる。
骨組構造1Mについても同様である。
【0053】
このように、本発明の空間形成用の骨組構造は、種類が少ない部品を使用して組み立てることができるから、組立作業が容易に行える。そして、主要な部品にパイプ材を使用しているので、軽量な部品を扱うことになるから、この点でも組立作業がしやすい。
また、本発明の骨組構造を構成する部品は、いずれも嵩張らないものであるから、分解後はコンパクトに収納することができる。したがって、本発明の空間形成用の骨組構造は、屋内設置室や屋外設置室の構築に好適である。
【符号の説明】
【0054】
1:空間形成用骨組構造
2:支柱
3:横架梁
4:ジョイント
5:ジョイント本体
51:脚部
52:脚部に形成された孔
6:サブジョイント(略C型クリップ、割ピン)
61:ピン
62:把持部
63:頭部
7:コーナー材
71:本体部材
72:把持部材
721:把持部
722:ソケット部
8:アジャスター
81:ベース部
82:雄ネジが刻まれた軸部
9:ノブ付きネジ
91:ノブ部
92:雄ネジが刻まれた軸部
【手続補正書】
【提出日】2020-12-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプ材からなる支柱が平面視4角形の4角の角部に配置され、
支柱の上端部において、支柱と支柱との間にパイプ材からなる横架梁を架設して該4角形の4辺を形成し、
支柱の下端部において、支柱と支柱との間にパイプ材からなる横架梁を架設して該4角形の3辺のみを形成し、
支柱と横架梁とがジョイントを介して連結された空間形成用の骨組構造であって、
ジョイントは、ジョイント本体とサブジョイントからなり、ジョイント本体は正六面体ブロックと該ブロックの5面からそれぞれ直角に突き出る5つの脚部を有し、サブジョイントはピンを有する部材であり、
支柱および横架梁を構成するパイプ材の両端部とジョイント本体の脚部とには、サブジョイントのピンが貫通できる孔が形成され、
支柱のパイプ材の端部にはジョイント本体の上記5つの脚部のうち、他の4つの脚部に対して直角の方向に突き出ている脚部が挿入されるとともに、横架梁のパイプ材の端部には該他の4つの脚部のいずれかの脚部が挿入され、
ジョイント本体の脚部と支柱およびジョイント本体の脚部と横架梁は、それぞれサブジョイントのピンが上記の孔に挿入されていることにより接続されていることを特徴とする空間形成用の骨組構造。
【請求項2】
前記サブジョイントが前記パイプ材を把持する略C型の把持片と前記ピンを有するクリップであることを特徴とする請求項1に記載の空間形成用の骨組構造。
【請求項3】
2(n+1)本の支柱と(5n+2)本の横架梁とから、n個の隣接する空間を形成する空間形成用の骨組構造であって、各空間を形成する骨組が請求項1又は2に記載の空間形成用の骨組構造からなることを特徴とする、n個の隣接する空間を形成する空間形成用の骨組構造。
ここで、nは2以上の整数である。
【請求項4】
3(n+1)本の支柱と4(2n+1)本の横架梁とから、各列n個の隣接する空間が隣接して2列形成される空間形成用の骨組構造であって、該2列の各空間を形成する骨組が請求項1又は2に記載の空間形成用の骨組構造からなることを特徴とする、各列n個の隣接する空間が隣接して2列形成される空間形成用の骨組構造。
ここで、nは2以上の整数である。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の空間形成用の骨組構造において、支柱上端部の平面視4角形の4つの角部に形成される支柱と横架梁との間および横架梁と横架梁との間に形成されるコーナー部のうち、少なくとも1つ以上のコーナー部にコーナー材が架設されていることを特徴とする空間形成用の骨組構造。
【請求項6】
請求項3に記載のn個の隣接する空間を形成する空間形成用の骨組構造又は請求項4に記載の各列n個の隣接する空間が隣接して2列形成される空間形成用の骨組構造において、各空間を形成する骨組構造のいずれにおいても、平面視4角形の4つの角部に形成される支柱と横架梁との間および横架梁と横架梁との間に形成されるコーナー部のうち、少なくとも1つ以上のコーナー部にコーナー材が架設されていることを特徴とする空間形成用の骨組構造。
【請求項7】
前記コーナー材が把持部材とパイプ材とからなり、該パイプ材は両端部と両端部に連続する中央部からなり、両端部は長さが異なり、かつ両端部の軸中心線の延長が直角に交差することを特徴とする請求項5又は6に記載の空間形成用の骨組構造。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
[1]パイプ材からなる支柱が平面視4角形の4角の角部に配置され、支柱の上端部において、支柱と支柱との間にパイプ材からなる横架梁を架設して該4角形の4辺を形成し、支柱の下端部において、支柱と支柱との間にパイプ材からなる横架梁を架設して該4角形の3辺のみを形成し、支柱と横架梁とがジョイントを介して連結された空間形成用の骨組構造であって、ジョイントは、ジョイント本体とサブジョイントからなり、ジョイント本体は正六面体ブロックと該ブロックの5面からそれぞれ直角に突き出る5つの脚部を有し、サブジョイントはピンを有する部材であり、支柱および横架梁を構成するパイプ材の両端部とジョイント本体の脚部とには、サブジョイントのピンが貫通できる孔が形成され、支柱のパイプ材の端部にはジョイント本体の上記5つの脚部のうち、他の4つの脚部に対して直角の方向に突き出ている脚部が挿入されるとともに、横架梁のパイプ材の端部には該他の4つの脚部のいずれかの脚部が挿入され、ジョイント本体の脚部と支柱およびジョイント本体の脚部と横架梁は、それぞれサブジョイントのピンが上記の孔に挿入されていることにより接続されていることを特徴とする空間形成用の骨組構造。
[2]前記サブジョイントが前記パイプ材を把持する略C型の把持片と前記ピンを有するクリップであることを特徴とする[1]に記載の空間形成用の骨組構造。
[3]2(n+1)本の支柱と(5n+2)本の横架梁とから、n個の隣接する空間を形成する空間形成用の骨組構造であって、各空間を形成する骨組が[1]又は[2]に記載の空間形成用の骨組構造からなることを特徴とする、n個の隣接する空間を形成する空間形成用の骨組構造。ここで、nは2以上の整数である。
[4]3(n+1)本の支柱と4(2n+1)本の横架梁とから、各列n個の隣接する空間が隣接して2列形成される空間形成用の骨組構造であって、該2列の各空間を形成する骨組が[1]又は[2]に記載の空間形成用の骨組構造からなることを特徴とする、各列n個の隣接する空間が隣接して2列形成される空間形成用の骨組構造。ここで、nは2以上の整数である。
[5] [1]又は[2]に記載の空間形成用の骨組構造において、支柱上端部の平面視4角形の4つの角部に形成される支柱と横架梁との間および横架梁と横架梁との間に形成されるコーナー部のうち、少なくとも1つ以上のコーナー部にコーナー材が架設されていることを特徴とする空間形成用の骨組構造。
[6] [3]に記載のn個の隣接する空間を形成する空間形成用の骨組構造又は[4]に記載の各列n個の隣接する空間が隣接して2列形成される空間形成用の骨組構造において、各空間を形成する骨組構造のいずれにおいても、平面視4角形の4つの角部に形成される支柱と横架梁との間および横架梁と横架梁との間に形成されるコーナー部のうち、少なくとも1つ以上のコーナー部にコーナー材が架設されていることを特徴とする空間形成用の骨組構造。
[7]前記コーナー材が把持部材とパイプ材とからなり、該パイプ材は両端部と両端部に連続する中央部からなり、両端部は長さが異なり、かつ両端部の軸中心線の延長が直角に交差することを特徴とする[5]又は[6]に記載の空間形成用の骨組構造。