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特開2022-32725開閉部材のロック機構および該ロック機構を備える網付きサッシ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022032725
(43)【公開日】2022-02-25
(54)【発明の名称】開閉部材のロック機構および該ロック機構を備える網付きサッシ
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/52 20060101AFI20220217BHJP
【FI】
E06B9/52 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020136818
(22)【出願日】2020-08-13
(71)【出願人】
【識別番号】592220200
【氏名又は名称】株式会社丸忠
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】米丸 忠良
(57)【要約】
【課題】網体をサッシに対して着脱自在に固定する、開閉部材のロック機構を提供する。
【解決手段】サッシ4に形成された溝19に装入された網体2の縁補強部6を固定する開閉部材20のロック機構30であって、開閉部材は、開位置と閉位置との間でサッシに対して開閉方向Sに移動し、開位置に対応する開切欠25bと閉位置に対応する閉切欠25cとを有し、ロック機構は、サッシに保持される保持部材40と、交差方向に保持部材に対して移動する可動部材50とを含み、保持部材は、開閉部材が移動するときに開切欠または閉切欠に重なる突起収容穴48を有し、可動部材は、突起収容穴に対して移動可能に収容される係合突起部54を有し、係合突起部が閉切欠に係合することにより、開閉部材が閉位置で固定され、係合突起部が開切欠に係合することにより、開閉部材が開位置で固定される。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サッシに形成された溝に装入された網体の縁補強部を固定する開閉部材のロック機構であって、
前記開閉部材は、前記溝の溝開口を開放する開位置と前記溝開口を閉鎖する閉位置との間で前記サッシに対して開閉方向に移動して、前記開位置に対応する開切欠と前記閉位置に対応する閉切欠とを有し、
前記ロック機構は、前記サッシに保持される保持部材と、前記開閉方向に交差する交差方向に前記保持部材に対して移動する可動部材とを含み、
前記保持部材は、前記開閉部材が移動するときに前記開切欠または前記閉切欠に重なる突起収容穴を有し、
前記可動部材は、前記突起収容穴に対して移動可能に収容される係合突起部を有し、
前記係合突起部が前記閉切欠に係合することにより、前記開閉部材が前記閉位置で固定され、前記係合突起部が前記開切欠に係合することにより、前記開閉部材が前記開位置で固定されることを特徴とする、開閉部材のロック機構。
【請求項2】
前記係合突起部が、前記交差方向に延在する抜け止め穴を有し、
前記保持部材が、前記突起収容穴まで延在するガイド嵌入穴を有し、
前記ガイド嵌入穴に嵌入されるガイド体が前記抜け止め穴まで延在することによって、前記係合突起部が、移動可能にガイドされることを特徴とする、請求項1に記載のロック機構。
【請求項3】
前記開閉部材が、前記保持部材に形成された開閉ガイド部に係合する係合板部を有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のロック機構。
【請求項4】
前記開閉部材が、前記サッシに形成された係合鍔部に係合する係合片部を有することを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のロック機構。
【請求項5】
前記可動部材の前記係合突起部には、潤滑剤が配置される潤滑保持部が設けられることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のロック機構。
【請求項6】
前記潤滑剤が、グリースであることを特徴とする、請求項5に記載のロック機構。
【請求項7】
前記溝は、前記溝開口から前記溝の底部に向けて先細形状を有することを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のロック機構。
【請求項8】
前記縁補強部は、前記網体の網部よりも剛性の高い樹脂製テープによって補強されることを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のロック機構。
【請求項9】
前記縁補強部の厚みは、前記網体の網部の厚みよりも厚いことを特徴とする、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のロック機構。
【請求項10】
サッシと、
前記サッシに張り付けられる網体と、
前記網体を前記サッシに対して着脱自在に固定する開閉部材と、
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のロック機構とを備えることを特徴とする、網付きサッシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、開閉部材のロック機構および該ロック機構を備える網付きサッシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、縁補強部を有する網体をサッシに配設する構成が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1は、網体の各辺に取り付けられた補強部をサッシの溝に挿入し、入れ子枠を溝に押し込むことによって、網体を嵌め殺し状態でサッシに張り付けることを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5027043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、網体を嵌め殺し状態でサッシに張り付けるため、網体をサッシから簡単に取り外すことが困難である。したがって、特許文献1の構成は、網体の保守や交換を行うために網体をサッシに対して着脱自在に固定するものではない。
【0006】
そこで、この発明の課題は、縁補強部を有する網体をサッシに対して着脱自在に固定する、開閉部材のロック機構および該ロック機構を備える網付きサッシを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、この発明の一態様に係る開閉部材のロック機構は、
サッシに形成された溝に装入された網体の縁補強部を固定する開閉部材のロック機構であって、
前記開閉部材は、前記溝の溝開口を開放する開位置と前記溝開口を閉鎖する閉位置との間で前記サッシに対して開閉方向に移動して、前記開位置に対応する開切欠と前記閉位置に対応する閉切欠とを有し、
前記ロック機構は、前記サッシに保持される保持部材と、前記開閉方向に交差する前記交差方向に前記保持部材に対して移動する可動部材とを含み、
前記保持部材は、前記開閉部材が移動するときに前記開切欠または前記閉切欠に重なる突起収容穴を有し、
前記可動部材は、前記突起収容穴に対して移動可能に収容される係合突起部を有し、
前記係合突起部が前記閉切欠に係合することにより、前記開閉部材が前記閉位置で固定され、前記係合突起部が前記開切欠に係合することにより、前記開閉部材が前記開位置で固定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、係合突起部の係合によって開閉部材が閉位置および開位置の両方で固定されるので、網体をサッシに対して着脱自在に固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】縁補強部を境にして折り曲げられる前の網体の斜視図である。
図2】縁補強部を境にして折り曲げられた状態にある網体の斜視図である。
図3】サッシの斜視図である。
図4】一実施形態に係る網体付きサッシの斜視図である。
図5】網体における縁補強部および網部を拡大した図である。
図6】網体の縁補強部をサッシの溝に装入する様子を説明する図である。
図7】網体の縁補強部をサッシの溝に装入した状態を説明する図である。
図8】縁補強部を溝に装入した状態で開閉部材を閉位置に移動させることを説明する図である。
図9】開閉部材が開位置であり且つ可動部材がロック位置にある状態を説明する図である。
図10】開閉部材が開位置であり且つ可動部材が非ロック位置にある状態を説明する図である。
図11】開閉部材が閉位置であり且つ可動部材が非ロック位置にある状態を説明する図である。
図12】開閉部材が閉位置であり且つ可動部材がロック位置にある状態を説明する図である。
図13図3に示すサッシの要部の分解斜視図である。
図14図13のサッシにおける枠体の斜視図である。
図15図13のサッシにおける開閉部材の斜視図である。
図16図13のサッシにおける保持部材の斜視図である。
図17図13のサッシにおける可動部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、この発明に係る開閉部材20のロック機構30および該ロック機構30を備える網付きサッシ1の実施の形態を説明する。なお、サッシ4の溝19を開閉するために開閉部材20が移動する方向を開閉方向Sとし、開閉方向Sに交差する方向を交差方向Iとし、開閉方向Sおよび交差方向Iに直交する方向を高さ方向Vとする。交差方向Iは、例えば、開閉方向Sに対して直交する方向である。
【0011】
〔実施形態〕
図1から図5を参照しながら、一実施形態に係る開閉部材20のロック機構30および該ロック機構30を備える網付きサッシ1を説明する。図1は、縁補強部6を境にして折り曲げられる前の網体2の斜視図である。図2は、縁補強部6を境にして折り曲げられた状態にある網体2の斜視図である。図3は、サッシ4の斜視図である。図4は、一実施形態に係る網体付きサッシ1の斜視図である。図5は、網体2における縁補強部6および網部5を拡大した図である。
【0012】
図1に示すように、網体2は、網部5と、縁補強部6とを有する。網部5は、メッシュ状に編み込まれたシートである。網部5は、4辺を有する略長方形状を有する。網部5の具体例は、例えば、個々の隙間の大きさが1.4mm×1.4mmの18メッシュなどである。網体2は、例えば、防虫網である。
【0013】
図5に示すように、縁補強部6は、網部5の各辺に取り付けられるテープ状の補強部材によって補強される。縁補強部6は、後述するサッシ4の開閉部材20によって固定される部分である。縁補強部6は、網体2のコーナー部を除く周端部に設けられている。
【0014】
縁補強部6の補強部材は、網体2の網部5よりも剛性の高い樹脂製テープであり、例えば、ポリエステルである。ポリエステルは、ポリプロピレンなどと比較して、常温状態および常温から加熱された加熱状態でも変形しにくい特性を有する。テープ状の補強部材が例えば高周波溶着で網部5の各辺に固定されることによって、縁補強部6が形成される。これにより、縁補強部6を溝19に装入する作業が容易になり、網体2をサッシ4に綺麗に張り付けることができる。
【0015】
また、縁補強部6の厚みは、網部5の厚みよりも厚い。これにより、縁補強部6が、枠体10と開閉部材20との間で形成される隙間から外れ出ることを抑制できる。
【0016】
図2に示すように、縁補強部6は、縁補強部6を境にして略直角に折り曲げられて、高さ方向Vに延在する。
【0017】
図3に示すように、サッシ4は、枠体10と、開閉部材20と、ロック機構30とを備える。サッシ4の枠体10は、住宅などの建造物に設けられた通風用の開口に固定されて使用される。使用時におけるサッシ4は、鉛直方向に立設状態で通風用の開口などに固定される。
【0018】
枠体10は、中空状の4辺を有し、中央部に開口を形成する。枠体10の内周部分には溝19が形成されている。枠体10の各辺には、少なくとも1つのロック機構30が配設されている。図3では、2つのロック機構30が各辺のコーナー部に寄った位置に配設されている。
【0019】
図4に示すように、略直角に折り曲げられた状態の縁補強部6が、溝19に装入されることにより、網体2がサッシ4に取り付けられる。
【0020】
図13から図17を参照しながら、サッシ4およびロック機構30の構造を説明する。
【0021】
図13は、図3に示すサッシ4の要部の分解斜視図である。図14は、図13のサッシ4における枠体10の斜視図である。図15は、図13のサッシ4における開閉部材20の斜視図である。図16は、図13のサッシ4における保持部材40の斜視図である。図17は、図13のサッシ4における可動部材50の斜視図である。
【0022】
図13に示すように、サッシ4は、枠体10と、開閉部材20と、保持部材40と、可動部材50とを備える。保持部材40および可動部材50は、ロック機構30として働く。
【0023】
図14に示すように、枠体10は、外壁部12と、内壁部13と、底壁部11と、中壁部14と、ガイド部15とを有する。
【0024】
枠体10において、外壁部12、内壁部13および中壁部14は、底壁部11の上面から高さ方向Vの上方に延在する。底壁部11は、開閉方向Sおよび交差方向Iに延在して、枠体10の外側に位置する外壁部12と、枠体10の内側に位置する内壁部13とをつなぐ。中壁部14は、内壁部13よりも開閉方向Sの外側に位置する。中壁部14の上部には、係合鍔部16が形成されている。係合鍔部16は、開閉方向Sの外側に向けて延在する。係合鍔部16の上部には、支持片部17が形成されている。支持片部17が、高さ方向Vの上部に向けて延在する。ガイド部15は、外壁部12の内面から開閉方向Sの内側に向けて延在する。外壁部12と、底壁部11と、中壁部14と、係合鍔部16と、ガイド部15とで囲まれた凹部は、ベース収容部18を形成する。
【0025】
内壁部13と中壁部14とによって囲まれる凹部は、溝19を形成する。溝19は、交差方向Iに沿って延在するとともに、高さ方向Vに凹んでいる。溝19の上部には、溝開口19aが形成される。内壁部13が高さ方向Vの上方にストレートで延在するのに対して、中壁部14は、開閉方向Sでの断面視で、その上部が外側に寄った段差形状を有する。これにより、溝19は、溝開口19aの側(入口側)から溝19の底部19bの側(奥側)に向けて先細形状を有する。これにより、溝開口19aの側(入口側)では、網体2の縁補強部6を溝19に挿入することが容易になるとともに、溝19の底部19bの側(奥側)では、縁補強部6の動きが抑制されるため網体2を精度良く固定できる。
【0026】
図15に示すように、開閉部材20は、カバー部22と、係合板部24と、係合片部26と、開閉操作部28とを有する。
【0027】
開閉部材20において、カバー部22および係合板部24は、枠体10の外側から内側に向けて(言い換えると開閉方向Sに沿って)および交差方向Iに沿って、板状に延在する。カバー部22の上部には、開閉操作部28が形成されている。開閉操作部28は、上部に向けて突出するとともに、交差方向Iに沿って延在するタブである。カバー部22の外側部分には、係合片部26が設けられていて、係合片部26は、断面がL字形状を有し、開閉方向Sの内側に向けて突出する。カバー部22と係合片部26とによって囲まれる凹部は、係合凹部27を形成する。後述するように開閉部材20が閉位置にあるとき、枠体10の係合鍔部16と支持片部17とが、係合凹部27に収容されて係合する。言い換えると、開閉部材20が、サッシ4に形成された係合鍔部16に係合する係合片部26を有する。これにより、開閉部材20が不用意に外れることを防止できる。
【0028】
係合板部24には、スライド用開口25aが形成されている。スライド用開口25aには、保持ベース42の上側部分が挿入される。スライド用開口25aは、開閉部材20が保持部材40に対して開閉方向Sに移動するときのガイド開口として働く。スライド用開口25aの一側には、開切欠25bおよび閉切欠25cが、開閉方向Sに並んで配置される。開切欠25bは、枠体10の内側に位置し、閉切欠25cは枠体10の外側に位置する。開切欠25bおよび閉切欠25cの開閉方向Sの離間距離は、開閉部材20の開閉方向Sの移動距離に対応している。開切欠25bおよび閉切欠25cは、例えば、半円、半長円あるいは矩形の形状を有する。
【0029】
図16に示すように、保持部材40は、保持ベース42と、第1鍔部43と、第2鍔部44と、第3鍔部46とを有する。
【0030】
保持部材40において、第1鍔部43は、保持ベース42の外側部分に位置して、保持ベース42から開閉方向Sの外側に向けて延在する。第2鍔部44は、第1鍔部43の上方に位置して、保持ベース42から開閉方向Sの外側に向けて延在する。第3鍔部46は、第2鍔部44の上方に位置して、保持ベース42から開閉方向Sの外側に向けて延在する。第1鍔部43と、保持ベース42の下部とは、ベース収容部18に収容される。
【0031】
第1鍔部43および第2鍔部44によって、サッシ係合凹部45が形成される。サッシ係合凹部45は、開閉方向Sの外側部分が凹んだ形状を有するとともに、交差方向Iに沿って延在する。サッシ係合凹部45は、枠体10のガイド部15に係合する。
【0032】
第2鍔部44および第3鍔部46によって、開閉ガイド部47が形成される。開閉ガイド部47は、交差方向Iの一側部分および他側部分が凹んだ形状を有するとともに、開閉方向Sに沿って延在する。開閉部材20の係合板部24が、開閉ガイド部47に係合する。これにより、開閉部材20が保持部材40に対してスムーズに移動できる。それとともに、開閉部材20のカバー部22が、枠体10の支持片部17で支持される。
【0033】
保持部材40は、突起収容穴48を有する。突起収容穴48は、交差方向Iに延在する長穴である。突起収容穴48は、開閉部材20が開閉方向Sに移動するときに、高さ方向Vから見て、開閉部材20の開切欠25bまたは閉切欠25cに重なるように構成されている。突起収容穴48は、第3鍔部46から保持ベース42の中央部を経て保持ベース42の下部まで高さ方向Vに延在する。突起収容穴48には、後述する可動部材50の係合突起部54が挿入される。保持ベース42の下部には、ガイド嵌入穴49が形成されている。ガイド嵌入穴49は、開閉方向Sに延在して、突起収容穴48に連通している。ガイド嵌入穴49には、図示しない細い棒状のガイド体(例えば、ガイドピン)が嵌入される。
【0034】
図17に示すように、可動部材50は、ロック操作部52と、係合突起部54とを有する。
【0035】
可動部材50において、ロック操作部52は、開閉方向Sおよび交差方向Iに沿って延在する板状のタブである。ロック操作部52は、第3鍔部46の上面に当接して、第3鍔部46に沿って摺動する。ロック操作部52の下面には、係合突起部54が設けられている。係合突起部54は、ロック操作部52から高さ方向Vの下方に向けて延在する。係合突起部54は、交差方向Iに延在する板状部である。係合突起部54は、突起収容穴48に収容されるが、突起収容穴48の中で交差方向Iに移動できる。係合突起部54の一側には、係合端部56が形成されている。係合端部56は、後述するように、開閉部材20が開位置にあるとき、開切欠25bに係合し、開閉部材20が閉位置にあるとき、閉切欠25cに係合する。
【0036】
係合突起部54には、抜け止め穴55が形成されている。抜け止め穴55は、例えば、交差方向Iに延在する長穴である。ガイド嵌入穴49に嵌入されるガイド体が抜け止め穴55まで延在する。そして、係合突起部54が、交差方向Iに移動可能にガイドされる。これにより、可動部材50が保持部材40から脱離することが防止されるとともに、別体の保持部材40および可動部材50が一体化される。
【0037】
係合突起部54には、凹状のまたは貫通穴の形状を有する潤滑保持部57が形成されている。潤滑保持部57には、係合突起部54が摺動しやすくなるための潤滑剤が配置される。潤滑保持部57には、例えば、半固体状の潤滑剤すなわちグリースが配置される。これにより、係合突起部54が突起収容穴48の中で適度な摺動抵抗で摺動するので、可動部材50の滑らかで適度な操作感を実現できる。
【0038】
図6から図12を参照しながら、開閉部材20の開閉動作およびロック機構30のロック動作を説明する。
【0039】
図6は、網体2の縁補強部6をサッシ4の溝19に装入する様子を説明する図である。図7は、網体2の縁補強部6をサッシ4の溝19に装入した状態を説明する図である。図8は、縁補強部6を溝19に装入した状態で開閉部材20を閉位置に移動させることを説明する図である。図9は、開閉部材20が開位置であり且つ可動部材50がロック位置にある状態を説明する図である。図10は、開閉部材20が開位置であり且つ可動部材50が非ロック位置にある状態を説明する図である。図11は、開閉部材20が閉位置であり且つ可動部材50が非ロック位置にある状態を説明する図である。図12は、開閉部材20が閉位置であり且つ可動部材50がロック位置にある状態を説明する図である。なお、図9から図12では、ロック機構30のロック動作を分かりやすくするために、網体2の図示を省略している。
【0040】
図6に示すように、開閉部材20を開閉方向Sに沿って開位置にすると、溝19の溝開口19aが開放される。そして、網体2において縁補強部6が略直角に折り曲げられることによって高さ方向Vに延在する縁補強部6が、サッシ4の溝19の直上に配置される。縁補強部6を下方に移動させると、図7に示すように、縁補強部6が溝19に装入される配置になる。
【0041】
図8に示すように、開閉部材20を開閉方向Sに沿って閉位置にすると、カバー部22が溝19を覆って、溝19の溝開口19aが閉鎖される。カバー部22および溝19によって閉じられた縁収容空間が形成される。このとき、縁補強部6が、縁収容空間の中に収容されるとともに、網部5が開閉部材20のカバー部22と枠体10の内壁部13との間で挟持される。これにより、網体2がサッシ4の枠体10から脱離することを防止できる。
【0042】
図9に示す状態では、開閉部材20が開位置にある。そして、可動部材50が交差方向Iに移動して、係合突起部54の係合端部56が、開閉部材20における係合板部24の開切欠25bに係合している。すなわち、可動部材50がロック位置にある。これにより、開閉部材20が可動部材50によってロック固定されるので、開閉部材20の開位置が保持されて、不用意な移動が防止される。したがって、網体2の保守や交換を行うために、網体2をサッシ4に対して容易に着脱できる。
【0043】
図10に示す状態では、開閉部材20が開位置にあるとともに、可動部材50が交差方向Iに移動して、係合端部56と開切欠25bとの係合が解除されている。すなわち、可動部材50が非ロック位置にある。これにより、開閉部材20が可動部材50によってロック固定されないので、開閉部材20が開閉方向Sに移動できる。
【0044】
図11に示す状態では、開閉部材20が開閉方向Sに移動することによって開閉部材20が閉位置にある。そして、係合端部56と閉切欠25cとの係合が解除されている。すなわち、可動部材50が非ロック位置にある。これにより、開閉部材20が可動部材50によってロック固定されないので、開閉部材20が開閉方向Sに移動できる。
【0045】
図12に示す状態では、開閉部材20が閉位置にある。そして、可動部材50が交差方向Iに移動して、係合突起部54の係合端部56が、係合板部24の閉切欠25cに係合している。すなわち、可動部材50がロック位置にある。これにより、開閉部材20が可動部材50によってロック固定されるので、開閉部材20の閉位置が保持されて、不用意な移動が防止される。したがって、網体2がサッシ4の枠体10から脱離することを防止して、網体2をサッシ4に固定できる。
【0046】
したがって、上述した開閉部材20のロック機構30によれば、係合突起部54の係合によって開閉部材20が閉位置および開位置の両方で固定されるので、網体2をサッシ4に対して着脱自在に固定できる。
【0047】
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
【0048】
上記実施形態では、潤滑剤として働くグリースが、係合突起部54に形成された潤滑保持部57に配置されるが、グリースが保持部材40の突起収容穴48の側壁面に塗布される態様にすることもできる。
【0049】
また、枠体10の各辺に配設されるロック機構30の数は、少なくとも1つである。各辺の長さに応じてロック機構30の数が適宜に決定されるので、辺の長さが長ければ、1つの辺に3つ以上のロック機構30を離間配置してもよい。
【0050】
上記実施形態では、溝19は、開閉方向Sでの断面視で、段差を持った多角形状を有するが、溝開口19aの側(入口側)が長辺であって底部19bの側(奥側)が短辺である先細の台形形状を有することもできる。また、溝19は、開閉方向Sでの断面視で、縁補強部6が装入可能な溝幅を持った矩形形状を有してもよい。
【0051】
この発明および実施形態をまとめると、次のようになる。
【0052】
この発明の一態様に係る開閉部材20のロック機構30は、
サッシ4に形成された溝19に装入された網体2の縁補強部6を固定する開閉部材20のロック機構30であって、
前記開閉部材20は、前記溝19の溝開口19aを開放する開位置と前記溝開口19aを閉鎖する閉位置との間で前記サッシ4に対して開閉方向Sに移動し、前記開位置に対応する開切欠25bと前記閉位置に対応する閉切欠25cとを有し、
前記ロック機構30は、前記サッシ4に保持される保持部材40と、前記開閉方向Sに交差する交差方向Iに前記保持部材40に対して移動する可動部材50とを含み、
前記保持部材40は、前記開閉部材20が移動するときに前記開切欠25bまたは前記閉切欠25cに重なる突起収容穴48を有し、
前記可動部材50は、前記突起収容穴48に対して移動可能に収容される係合突起部54を有し、
前記係合突起部54が前記閉切欠25cに係合することにより、前記開閉部材20が前記閉位置で固定され、前記係合突起部54が前記開切欠25bに係合することにより、前記開閉部材20が前記開位置で固定されることを特徴とする。
【0053】
上記構成によれば、係合突起部54の係合によって開閉部材20が閉位置および開位置の両方で固定されるので、網体2をサッシ4に対して着脱自在に固定できる。
【0054】
また、一実施形態の開閉部材20のロック機構30では、
前記係合突起部54が、前記交差方向Iに延在する抜け止め穴55を有し、
前記保持部材40が、前記突起収容穴48まで延在するガイド嵌入穴49を有し、
前記ガイド嵌入穴49に嵌入されるガイド体が前記抜け止め穴55まで延在することによって、前記係合突起部54が、移動可能にガイドされる。
【0055】
上記実施形態によれば、可動部材50が保持部材40から脱離することが防止されるとともに、別体の保持部材40および可動部材50が一体化される。
【0056】
また、一実施形態の開閉部材20のロック機構30では、
前記開閉部材20が、前記保持部材40に形成された開閉ガイド部47に係合する係合板部24を有する。
【0057】
上記実施形態によれば、開閉部材20が保持部材40に対してスムーズに移動できる。
【0058】
また、一実施形態の開閉部材20のロック機構30では、
前記開閉部材20が、前記サッシ4に形成された係合鍔部16に係合する係合片部26を有する。
【0059】
上記実施形態によれば、開閉部材20が不用意に外れることを防止できる。
【0060】
また、一実施形態の開閉部材20のロック機構30では、
前記可動部材50の前記係合突起部54には、潤滑剤が配置される潤滑保持部57が設けられる。
【0061】
上記実施形態によれば、係合突起部54が摺動しやすくなる。
【0062】
また、一実施形態の開閉部材20のロック機構30では、
前記潤滑剤が、グリースである。
【0063】
上記実施形態によれば、係合突起部54が突起収容穴48の中で適度な摺動抵抗で摺動するので、可動部材50の滑らかで適度な操作感を実現できる。
【0064】
また、一実施形態の開閉部材20のロック機構30では、
前記溝19は、前記溝開口19aから前記溝19の底部19bに向けて先細形状を有する。
【0065】
上記実施形態によれば、溝開口19aの側では、網体2の縁補強部6を溝19に挿入することが容易になるとともに、溝19の底部19bの側では、縁補強部6の動きが抑制されるため網体2を精度良く固定できる。
【0066】
また、一実施形態の開閉部材20のロック機構30では、
前記縁補強部6は、前記網体2の網部5よりも剛性の高い樹脂製テープによって補強される。
【0067】
上記実施形態によれば、縁補強部6を溝19に装入する作業が容易になり、網体2をサッシ4に綺麗に張り付けることができる。
【0068】
また、一実施形態の開閉部材20のロック機構30では、
前記縁補強部6の厚みは、前記網体2の網部5の厚みよりも厚い。
【0069】
上記実施形態によれば、縁補強部6が、枠体10と開閉部材20との間で形成される隙間から外れ出ることを抑制できる。
【0070】
この発明の別の局面に係る網付きサッシ1は、
サッシ4と、
前記サッシ4に張り付けられる網体2と、
前記網体2を前記サッシ4に対して着脱自在に固定する開閉部材20と、
上述したロック機構30とを備えることを特徴とする。
【0071】
上記実施形態によれば、係合突起部54の係合によって開閉部材20が閉位置および開位置の両方で固定されるので、網体2をサッシ4に対して着脱自在に固定できる。
【符号の説明】
【0072】
1…網付きサッシ
2…網体
4…サッシ
5…網部
6…縁補強部
10…枠体
11…底壁部
12…外壁部
13…内壁部
14…中壁部
15…ガイド部
16…係合鍔部
17…支持片部
18…ベース収容部
19…溝
19a…溝開口
19b…底部
20…開閉部材
22…カバー部
24…係合板部
25a…スライド用開口
25b…開切欠
25c…閉切欠
26…係合片部
27…係合凹部
28…開閉操作部
30…ロック機構
40…保持部材
42…保持ベース
43…第1鍔部
44…第2鍔部
45…サッシ係合凹部
46…第3鍔部
47…開閉ガイド部
48…突起収容穴
49…ガイド嵌入穴
50…可動部材
52…ロック操作部
54…係合突起部
55…抜け止め穴
56…係合端部
57…潤滑保持部
I…交差方向
S…開閉方向
V…高さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17