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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022032774
(43)【公開日】2022-02-25
(54)【発明の名称】マスクカバー
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20220217BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A62B18/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020136948
(22)【出願日】2020-08-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】大久保 伸一
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185CC73
(57)【要約】
【課題】衛生マスクの趣味嗜好性やファッション性を容易に向上させる。
【解決手段】衛生マスク4の表面側に、金属薄板からなるカバー本体2を有するマスクカバー1を装着する。カバー本体2は、表裏面を貫通する貫通穴を有する模様が形成されている。カバー本体2の模様として任意の模様を形成することにより、装着者の趣味嗜好性に沿ったマスクを容易に実現することができると共に、ファッション性を容易に向上させることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛生マスクの表面側に装着されるマスクカバーであって、
金属薄板からなるカバー本体を備え、
当該カバー本体は、表裏を貫通する貫通穴を有する模様が形成されていることを特徴とするマスクカバー。
【請求項2】
前記貫通穴は、エッチングにより形成されることを特徴とする請求項1に記載のマスクカバー。
【請求項3】
前記金属薄板は、表面にメッキ処理が施されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のマスクカバー。
【請求項4】
前記メッキ処理として金メッキ処理が施されていることを特徴とする請求項3に記載のマスクカバー。
【請求項5】
前記カバー本体の左右それぞれに設けられ、装着者の耳に掛けて前記カバー本体を前記衛生マスクの表面側に保持する耳掛け部材を備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のマスクカバー。
【請求項6】
前記カバー本体は、装着者の顔の凹凸に沿うように変形可能に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のマスクカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、微生物やウィルス、埃等、空中を浮遊する微小異物の鼻及び口への進入を防止する目的で、また花粉症への対策として、鼻及び口を覆う衛生マスクが着用されている。この種の衛生マスクは、ガーゼ等の天然繊維の織布や不織布をフィルタとしたものが知られている。
【0003】
このような衛生マスクは、一般的に無地で白色のものが多く、デザイン性に乏しい。そのため、衛生マスクに刺繍を施したり、各種絵柄を印刷した粘着シートを用意し、使用者の所望する絵柄を選択して衛生マスクの表面に粘着したりする方法等が提案されている。また、衛生マスクの表面側に着脱可能にマスクカバーを設けることにより、電磁波による悪影響を除去するようにしたもの(例えば、特許文献1参照)等も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-217660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、衛生マスクに刺繍を施したり、絵柄が印刷された粘着シートを粘着したりする方法にあっては、特に使い捨てのマスクの場合にはコストの増加につながる。また、衛生マスクの表面側に着脱可能なマスクカバーを設ける方法にあっては、マスクカバー側に刺繍等を施すことにより、デザイン性やファッション性の向上を図ることができるものの、デザイン性及びファッション性に、一層優れたマスクが望まれていた。
【0006】
そこで、この発明は、従来の未解決の問題に着目してなされたものであり、デザイン性やファッション性を一層向上させることの可能な衛生マスク用のマスクカバーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、衛生マスクの表面側に装着されるマスクカバーであって、金属薄板からなるカバー本体を備え、カバー本体は、表裏を貫通する貫通穴を有する模様が形成されている、マスクカバーが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、衛生マスクの表面側にマスクカバーを装着することによって、衛生マスクの趣味嗜好性やファッション性を容易に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係るマスクカバーの一例を示す正面図である。
図2】衛生マスクとマスクカバーとを装着した一例を示す図である。
図3】カバー本体の変形例を説明するための図である。
図4】カバー本体の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
ここで、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、厚みの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0011】
〔マスクカバーの構成〕
図1は、本発明の一実施形態に係るマスクカバー1の一例を示したものである。図2は、衛生マスク4の上にマスクカバー1を装着した状態の一例である。
マスクカバー1は、カバー本体2と、耳掛け用の一対のゴム紐(耳掛け部材)3とを備える。
【0012】
カバー本体2は、枠部11と模様部12とを備え、枠部11と模様部12とは一体に形成されている。カバー本体2は、例えば、金属薄板をエッチングし、金メッキ処理を行うことにより形成される。枠部11と模様部12とは一体に形成してもよく、また、別体として形成した枠部11と模様部12とを接着させて形成してもよい。また、ここでは、ファッション性の観点から、メッキ処理として金メッキを行っているが、メッキ処理に用いる金属は金に限るものではない。例えば、メッキ処理に用いる金属として、抗菌性の観点から、銀や銅、亜鉛、コバルト、ニッケル等を用いてもよい。
【0013】
枠部11は、図2に示すように、衛生マスク4の外形と略相似に形成され、衛生マスク4と同等程度の大きさに形成される。カバー本体2及び衛生マスク4は、例えば図2に示すように、衛生マスク4の外形よりも多少内側に、枠部11が位置するように形成される。また、枠部11には、ゴム紐3が左右に取り付けられている。
【0014】
模様部12は、枠部11と接続されることにより支持される。模様部12は、枠部11により支持することの可能な範囲で任意の形状に形成される。また、衛生マスク4をマスクカバー1で覆うように用いるため、カバー本体2は、衛生マスク4とマスクカバー1とを装着した状態で、装着者が息苦しさを感じない程度の通気性を持つ形状に形成される。具体的には、カバー本体2には、カバー本体2の表裏面を貫通する貫通穴が設けられ、この貫通穴により通気性を確保するようにしている。図1では、枠部11の一部と模様部12の一部とを接続すること、また、模様部12の模様としての「龍」を描く際に白色部分(白抜き部分)に貫通穴を形成することによって、通気性を持たせるようにしている。通気性を持たせる観点から、カバー本体2に形成した貫通穴の面積の総和は、カバー本体2全体の面積の80%から50%程度であることが好ましい。
【0015】
カバー本体2は、装着時に、模様部12に形成された模様の形状をある程度保ちつつ、装着者の顔の凹凸形状に沿って変形する程度の厚みに形成される。例えば、枠部11を、装着者の顔の形状に沿って変形するようにすることによって、マスクカバー1により、衛生マスク4を装着者の顔の形状に沿って密着させることができる。なお、カバー本体2をなす金属薄板は、耐久性及び追従性を考慮して選定すればよく、例えば高級銅合金等を適用することができる。
模様部12の模様は、例えば、図形や記号、絵、文字、さらにその他の模様を含み、本発明において、これらを総称して「模様」という。
【0016】
〔効果〕
本発明の一実施形態に係るマスクカバー1は、金メッキ処理が行われ、任意の模様が描かれている。そのため、従来の無地で白色の衛生マスク4の上にマスクカバー1を装着することによって、デザイン性及びファッション性を向上させることができる。また、模様部12の絵柄等の模様は任意の模様にすることができるため、装着者の好みに応じた模様のマスクカバー1を作成することができ、装着者の趣味嗜好性に沿ったマスクを容易に作成することができる。また、模様部12は、エッチング処理によって形成されるため、複雑な微小な形状であっても、容易且つ精度よく指定された模様を模様部12に再現することができる。
【0017】
また、金属薄板からなるマスクカバー1を衛生マスク4の上に装着したとしても、マスクカバー1の模様部12を、ある程度の通気性を確保できるように形成している。そのため、マスクカバー1を装着することによって、装着者が息苦しさを感じることを抑制することができる。
また、マスクカバー1の枠部11は、比較的変形し易く形成されているため、マスク装着時に装着者の顔に沿ってマスクカバー1を変形させることができる。その結果、マスクカバー1により衛生マスク4が装着者の顔に密着するようにすることができる。
【0018】
また、衛生マスク4の上にマスクカバー1を装着するようにしているから、衛生マスク4のみを交換すればよく、マスクカバー1は継続して利用できる。そのため、コストの大幅な増加を伴うことなく、ファッション性に優れたマスクを実現することができる。
また、マスクカバー1を装着するだけでファッション性を高めることができるため、例えば、模様の異なる複数のマスクカバー1を用意しておき、その日の気分や、服装に応じて所望の模様のマスクカバー1を選択し、装着するようにしてもよい。
【0019】
〔変形例〕
上記実施形態においては、図2に示すように、衛生マスク4の耳かけ用のゴム紐4aと、マスクカバー1用の耳かけ用のゴム紐3との両方を耳にかけているが、これに限るものではない。
例えば、マスクカバー1にはゴム紐3を設けずに、模様部12と枠部11との間に、衛生マスク4の耳かけ用のゴム紐4aを位置決めするための貫通穴を設ける。そして、衛生マスク4の耳かけ用のゴム紐4aを、マスクカバー1に設けたゴム紐4a用の貫通穴に通して、衛生マスク4とマスクカバー1との位置決めを行い、マスクカバー1を衛生マスク4に固定した状態で、衛生マスク4を装着するようにしてもよい。
【0020】
逆に、衛生マスク4においてゴム紐4aを取り外したもの、或いは、衛生マスク4の本体部分と同等程度の大きさのガーゼ等の上にマスクカバー1を重ね、この状態でマスクカバー1を装着することにより、マスクカバー1により、衛生マスク4の本体部分を保持するようにしてもよい。
【0021】
また、上記実施形態においては、衛生マスク4の本体部分とマスクカバー1のカバー本体2とが同等程度の大きさとなるようにした場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、カバー本体2を、衛生マスク4の本体部分よりも小さくしてもよく、逆に、カバー本体2を、衛生マスク4の本体部分よりも大きくなるようにしてもよい。装着者は衛生マスク4自体は装着しているため、衛生マスク4は、マスクカバー1の大きさに関係なく、空中を浮遊する微小異物の鼻及び口への進入を防止する等、マスクとしての機能を発揮することができる。
【0022】
また、上記実施形態においては、模様部12を、枠部11の内側のみに配置する場合につて説明したが、これに限るものではない。例えば、枠部11の内側に模様部12を配置すると共に、枠部11の外側にも枠部11に接続された模様等を配置するようにしてもよい。
また、枠部11は必ずしも設ける必要はなく、模様部12にゴム紐3を設けるようにし、ゴム紐3によって模様部12を直接支持するようにしてもよい。
【0023】
また、上記実施形態においては、貫通穴が形成された部分と、貫通穴が形成されていない部分との2段階を設けることにより、カバー本体2に模様を形成する場合について説明したがこれに限るものでない。例えば、貫通穴を形成しない部分に凹凸を設けることで、貫通穴が形成されていない部分を2段階で表現するようにしてもよい。また、貫通穴を形成しない部分の光沢を異ならせたり、反射方向を異ならせたりすることにより、模様部12の表示形態を異ならせてもよい。
【0024】
また、上記実施形態においては、枠部11と模様部12との間、或いは、模様部12の白抜き部分は、貫通穴を形成する場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、貫通穴部分に、図3に示すように、模様部12と枠部11とを接続する等間隔の細い直線状の補助線部13を縦方向に複数形成し、模様部12と枠部11との接続を強固にするようにしてもよい。補助線部13の方向は、縦方向や横方向であってもよく、また任意の方向であってもよい。さらに、補助線部13は、直線状に限るものではなく、任意の形状にすることができる。例えば、図1に示すように模様として「龍」を表現する場合には、補助線部により滝を表現する等、模様部12の模様に則した形状の補助線部13を形成してもよく、補助線部13を含めて模様として模様部12及び補助線部13を形成するようにしてもよい。例えば、図3の場合、補助線部13を設けることによって、枠部11と模様部12との接続部分の、枠部11に沿った長さを、枠部11の内周の長さの40%程度とすることができ、補助線部13を設けることで枠部11と模様部12との接続をより強固にすることができる。
【0025】
また、上記実施形態において、カバー本体2の耐久性を維持するため、図4に示すように、カバー本体2の上下方向中央に、左右方向に延びる補強部14を設けてもよい。つまり、図4(b)に示すように、模様部12のうち、カバー本体2の上下方向中央の、左右方向に延びる部分(補強部14)と重なる部分については、より厚くなるように模様部12を形成し、すなわち、模様部12の裏側に補強部14を形成したことと同等とすることによって、カバー本体2を装着者の顔の凹凸に沿うように変形させることに伴う耐久性の低下を抑制するようにしてもよい。
【0026】
また、提示された模様からなる模様部12を有するマスクカバー1を作成する際に、提示された模様と、使用する衛生マスク4の大きさと、に応じて、通気性を維持するための貫通穴の面積、模様部12を枠部11で支持するために必要な枠部11と模様部12との接続部の長さ、また、カバー本体2に要求される耐久性等を考慮して、模様の配置位置や、枠部11と模様部12とを接続する位置及び接続部分の長さの決定、また、補助線部13を設けるか否か、また、補助線部13をどのように配置するか、またその形状等、画面上でマスクカバー1のデザインを設計する設計システムを構築し、提示された模様を有し、且つ耐久性や通気性等を考慮したカバー本体2の形状を設計し、設計したデザインのマスクカバー1を作成するようにしてもよい。
【0027】
なお、上述した実施形態は、本発明の一例であり、本発明は、上述した実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 マスクカバー
2 カバー本体
3 ゴム紐
4 衛生マスク
4a ゴム紐
11 枠部
12 模様部
13 補助線部
14 補強部
図1
図2
図3
図4