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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022032830
(43)【公開日】2022-02-25
(54)【発明の名称】紫外線殺菌灯のカバー
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/32 20060101AFI20220217BHJP
   A01K 63/04 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
C02F1/32
A01K63/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020137065
(22)【出願日】2020-08-14
(71)【出願人】
【識別番号】516360007
【氏名又は名称】岐阜技巧株式会社
(72)【発明者】
【氏名】西村 大輔
【テーマコード(参考)】
2B104
4D037
【Fターム(参考)】
2B104CA03
2B104EF12
4D037AA09
4D037AB03
4D037BA18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】家庭用観賞用水槽に使用する紫外線殺菌灯が発する有害な紫外線を遮り、安全かつ効率的に水槽水を殺菌浄化する、安価な紫外線殺菌灯カバーを提供する。
【解決手段】紫外線を略透過しない材料からなる箱状のカバーを作成し、内部に紫外線殺菌灯1を収納して、筐体には水槽水の取込口7および排出口8を設け、エア供給管接続口6を設けてそこにエアポンプを接続し、エアリフト効果により水槽水を箱状のカバー内部に循環させて紫外線を照射し、筐体の開口部等には屈曲部を設けて紫外線が漏出することを防ぐ。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
家庭用観賞用水槽の水質浄化に用いる紫外線殺菌灯の、カバーであって、
前記カバーは、紫外線殺菌灯が発する紫外線を、製品状態で略透過しない、紫外線透過率の性質を有する材料から成り、
紫外線殺菌灯の少なくとも発光部を、該紫外線殺菌灯の周囲に通水路を確保しつつ収納可能な、内部空間を有する、箱状体を主要な構造とし、
前記箱状体は、紫外線殺菌灯通し口と、エア供給管接続口と、水槽水の取込口および排出口を、開口部として有し、
前記通水路は、前記箱状体に紫外線殺菌灯を収納した状態で、該箱状体の内部に確保される、前記取込口から前記排出口に至る連通した空間であり、
前記エア供給管接続口は、前記箱状体に、前記取込口から前記排出口に至る前記通水路のいずれかの位置から、前記カバー外部に向けて開口するように設けられており、
前記箱状体には、照射室とエアリフト管が設けられており、
前記照射室は、前記箱状体のうち、前記取込口から前記エア供給管接続口に至る前記通水路のいずれかの位置で、紫外線殺菌灯の発光部を、収め・取り囲む部位であり、前記通水路内を循環する水槽水に、紫外線殺菌灯の紫外線を照射するための、室状部であって、
前記エアリフト管は、前記箱状体のうち、前記エア供給管接続口から前記排出口に至る部位であり、前記通水路内に水槽水を循環させるエアリフト効果を生み出す、狭管状部であって、
紫外線殺菌灯が、少なくともその発光部を前記箱状体に収納され、前記紫外線殺菌灯通し口を通じて、外部の電源に接続された状態で、
前記エア供給管接続口に、外部からエア供給管が接続され、該エア供給管から供給されたエアのエアリフト効果により、前記取込口から水槽水を取り込み、前記通水路を通して前記排出口から排出することで、
前記箱状体の内部に循環させた水槽水に、紫外線殺菌灯の紫外線を照射して、水槽水を殺菌しながら、該紫外線の、前記カバー外部への照射を遮断することを特徴とする、家庭用観賞用水槽の水質浄化に用いる紫外線殺菌灯のカバー。
【請求項2】
前記箱状体に、開閉機構と境界屈曲部が設けられており、
前記開閉機構は、前記箱状体に、筐体の開閉機能を持たせた部位であり、
前記境界屈曲部は、前記箱状体の、前記照射室とその外部空間の境界に設けられており、
前記照射室の内部空間と外部空間が、該境界において、一の直線で結ばれることを妨げるように、該境界の空間を屈曲させた、前記箱状体の筐体または内壁構造体が形成する、屈曲管状部であって、
前記境界屈曲部を介した、前記照射室の内部空間と外部空間は、連通していると同時に、
その境界領域に設けられた、前記境界屈曲部が形成する、空間の屈曲により、前記照射室の内部空間に収められた紫外線殺菌灯から照射される紫外線が、前記境界屈曲部に当たって遮られ、外部空間に漏出しないように、区分けされていることを特徴とする、請求項1に記載の家庭用観賞用水槽の水質浄化に用いる紫外線殺菌灯のカバー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用観賞用水槽に使用する紫外線殺菌灯を覆って紫外線の拡散を防ぎ、エアポンプを併用したエアリフト方式により、カバー内部に循環させた水槽水に、紫外線殺菌灯の紫外線を照射して殺菌浄化する、紫外線殺菌灯のカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線殺菌機器は、家庭用観賞用水槽の水槽水を浄化するのに大変有効である。 忌み嫌われる苔の胞子や、嫌な臭いの元となる雑菌などの微生物を、速やかに減滅することができる。 これまで、家庭用観賞用水槽に用いる紫外線殺菌機器は、密閉型の筐体内に通水路と殺菌灯を内蔵した内照式が一般的であった。(非特許文献1参照) これは、付属もしくは外部のモーターにより、筐体内の通水路に水槽水を循環させ、通水路のいずれかの部位で殺菌灯の紫外線を照射して、水槽水を殺菌するという構造である。 これに対し、通水路を包含する筐体を持たない、外照式の紫外線殺菌機器も存在した。 しかしこれを水槽内に設置すると、有害な紫外線が観賞する人や飼育する生体に悪影響を及ぼしてしまう。 また水槽水の濾過槽内に設置すると、紫外線の殺菌効果で、水槽水の浄化に有益な濾過微生物まで減滅してしまうため、適した設置場所が無かった。 ゆえに外照式の紫外線殺菌機器はあまり普及していない。 また外照式紫外線殺菌灯を、安全かつ効率的に使用可能にするようなカバーは無かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-290843
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】https://www.kamihata.co.jp/uv/u_0300.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
家庭用観賞用水槽に用いる内照式の紫外線殺菌機器は、通水路やモーター・殺菌室などを密閉型筐体の内部に詰め込むため、装置が複雑かつ大がかりになる反面、搭載する殺菌灯の大型化は難しかった。 モーター別体式のものは、別途モーター機器を用意する必要があった。 これにより、コストが高くメンテナンスが難しいうえ、費用相対的に殺菌効果の低い製品が多かった。
【0006】
外照式の紫外線殺菌機器は、人体やペットに有害な紫外線が危険で、雑菌も有益な濾過細菌も区別なく殺菌してしまうため、水槽と濾過槽からなる家庭用観賞用水槽の設備には、適した設置場所が無かった。 本発明はこれらの課題を解消するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
家庭用観賞用水槽の水質浄化に用いる紫外線殺菌灯の、カバーであって、
カバーは、紫外線殺菌灯が発する紫外線を、製品状態で略透過しない、紫外線透過率の性質を有する材料から成り、
紫外線殺菌灯の少なくとも発光部を、該紫外線殺菌灯の周囲に通水路を確保しつつ収納可能な、内部空間を有する、箱状体を主要な構造とし、
箱状体は、紫外線殺菌灯通し口と、エア供給管接続口と、水槽水の取込口および排出口を、開口部として有し、
通水路は、箱状体に紫外線殺菌灯を収納した状態で、該箱状体の内部に確保される、取込口から排出口に至る連通した空間であり、
エア供給管接続口は、箱状体に、取込口から排出口に至る通水路のいずれかの位置から、カバー外部に向けて開口するように設けられており、
箱状体には、照射室とエアリフト管が設けられており、
照射室は、箱状体のうち、取込口からエア供給管接続口に至る通水路のいずれかの位置で、紫外線殺菌灯の発光部を、収め・取り囲む部位であり、通水路内を循環する水槽水に、紫外線殺菌灯の紫外線を照射するための、室状部であって、
エアリフト管は、箱状体のうち、エア供給管接続口から排出口に至る部位であり、通水路内に水槽水を循環させるエアリフト効果を生み出す、狭管状部であって、
紫外線殺菌灯が、少なくともその発光部を箱状体に収納され、紫外線殺菌灯通し口を通じて、外部の電源に接続された状態で、
エア供給管接続口に、外部からエア供給管が接続され、該エア供給管から供給されたエアのエアリフト効果により、取込口から水槽水を取り込み、通水路を通して排出口から排出することで、
箱状体の内部に循環させた水槽水に、紫外線殺菌灯の紫外線を照射して、水槽水を殺菌しながら、該紫外線の、カバー外部への照射を遮断する、家庭用観賞用水槽の水質浄化に用いる紫外線殺菌灯のカバーを作成する。
【0008】
箱状体に、開閉機構と境界屈曲部が設けられており、
開閉機構は、箱状体に、筐体の開閉機能を持たせた部位であり、
境界屈曲部は、箱状体の、照射室とその外部空間の境界に設けられており、
照射室の内部空間と外部空間が、該境界において、一の直線で結ばれることを妨げるように、該境界の空間を屈曲させた、箱状体の筐体または内壁構造体が形成する、屈曲管状部であって、
境界屈曲部を介した、照射室の内部空間と外部空間は、連通していると同時に、
その境界領域に設けられた、境界屈曲部が形成する、空間の屈曲により、照射室の内部空間に収められた紫外線殺菌灯から照射される紫外線が、境界屈曲部に当たって遮られ、外部空間に漏出しないように、区分けされている、家庭用観賞用水槽の水質浄化に用いる紫外線殺菌灯のカバーを作成する。
【発明の効果】
【0009】
本発明を紫外線殺菌灯およびエアポンプとともに用いると、モーターを備えた密閉型の内照式紫外線殺菌機器に比べ、有害な紫外線の漏出は、本発明箱状体と境界屈曲部により同等に防ぐことができるが、構造が単純で設備コストが低くなる。
【0010】
水循環の動力にエアリフト式を用いているため、多くの内照式紫外線殺菌機器に用いられる電動ポンプ式よりもランニングコストが低くなる。
【0011】
密閉型の筐体と違い、内部の洗浄や殺菌灯の交換など、メンテナンスがし易く、結果製品寿命が延び、殺菌効果が高まり、維持コストが低くなる。
【0012】
構造が単純な箱状で、様々な大きさ・形状の殺菌灯に使用できるため、内照式紫外線殺菌灯として商品化されていないような高出力の殺菌灯を用いて、強い殺菌効果を得ることも、低コストで容易に実現する。
【0013】
家庭用観賞用水槽設備で、外照式紫外線殺菌機器を単独で用いると有害な紫外線の危険があったが、本発明を用いて水槽内に設置すれば、紫外線を透過しないカバーと開口部の境界屈曲部により、紫外線の漏出を防ぎ、人体やペットにとって安全である。 濾過槽内に設置しても、濾材内の有益な濾過細菌を殺菌してしまうことがない。
【0014】
本発明にはエアリフトによる水の循環機構が備わっているため、水槽内に設置したとき、水槽水全体を殺菌浄化できる。 エアの供給量を調節し、エアリフト効果を調整することで、殺菌灯の出力に対する取込み水量の最適化を図り、効率的に水槽水を殺菌浄化できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の説明図である。
図2】照射室とエアリフト管の境界に境界屈曲部を設けた本発明の説明図である。
図3】照射室と筐体外部との境界である紫外線殺菌灯通し口に境界屈曲部を設けた本発明の説明図である。
図4】紫外線殺菌灯を収納した本発明の正面図である。
図5】開閉機構を設けた本発明の筐体を開放した状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
一般的な紫外線殺菌灯1を収納できる、縦5cm横10cm高さ20cm程度の大きさの、黒色硬質樹脂製の箱型筐体2を作成する。 筐体の内部には、通水路12として連通した管状の空間が設けられており、最も大きな空間は、殺菌灯1を収納するための照射室10としている。 その上部には水槽水の取込口7と紫外線殺菌灯通し口5が開口している。 取込口7は、筐体2の内部空間の端部に設けられ、殺菌灯通し口5は照射室10に殺菌灯1を最適にセットしたときに、電源コード3が配される位置に設けられている。 照射室10は、取込口7とは逆の端部付近にその空間の後端があり、これにより、取込口7から取り込んだ水槽水は、照射室10内を淀みなく通過していく。 通水路12は取込口7と排出口8を両端とする管状で、取込口7から照射室10を経たところにエア供給管接続口6が設けられており、そこから水槽水の排出口8までがエアリフト管11として機能する。 エア供給管接続口6は、本発明の最適設置姿勢において、排出口8より鉛直下側に設けられており、エアリフト管11は、鉛直上方向に延伸する直径10mm弱程度の管状となっている。 水中にセットした本発明のエア供給管接続口6に、エアポンプから繋いだチューブ9を接続し、ポンプを作動させると、チューブ9から供給されるエアがエア供給管接続口6から本発明筐体2内に入ったところで、本発明通水路12内を満たす水槽水の気泡となり、エアリフト管11を上昇していく。 この気泡の上昇に伴って、エアリフト管11内には上昇する水流が発生し、水槽水と気泡は管の出口である排出口8から排出される。 この上昇水流が発生する負圧により、本発明通水路12は、取込口7から水槽水を取り込んで筐体2内部を通過させ、排出口8に至る水循環を形成する。
【0017】
取込口7は筐体2上部に円孔状に開けるほか、筐体2を細長形状にし、その下端に設けてもよいし、異物吸入を防ぐためメッシュをかけたり、細長孔や小孔を複数あけてもよい。 水槽水を取り込んで内部を循環させ、排出口8から淀みなく排出する位置および大きさであればよい。 紫外線殺菌灯通し口5は、水槽水の出入りを防ぐため、通した電源コード3の周りを軟質弁や伸縮孔等で塞ぐ機構を設けてもよい。 本発明の筐体2の照射室10周辺に開閉機構を設けて、殺菌灯1の設置はそこから行い、殺菌灯通し口5の開口部は電源コード3を通すための最低限の大きさにしてもよい。 本発明筐体2の一部を開放し、そこを覆う開閉蓋18をヒンジ17で繋いで大きな開閉機構を設ければ、殺菌灯1の設置・取り出しが容易となり、筐体2内部の掃除などのメンテナンスも容易となる。 殺菌灯1の発光部4のみを収納し、電源コード3以外の部分、例えば殺菌ランプ上部等を殺菌灯通し口5に通してもよい。 また、水槽水の取込口7と殺菌灯通し口5を一体としてもよい。 照射室10内には、内部に設置する殺菌灯1を最適位置に置くための台座となる内壁構造体を設けてもよいし、内壁に紫外線の反射面を設けてもよい。 エア供給管接続口6は、一般的なエアチューブ9の径に合わせたサイズでもよいし、それ以外のサイズで作成してもよく、複数設けてもよい。 管を分岐させ、エアリフト用のエアと、酸素供給用のエアを分ける構成にしてもよい。 エアリフト管11は、エアリフト効果を得るため、エア供給管接続口6から排出口8までが、最適設置姿勢で鉛直上方向に伸びていればよく、鉛直真上方向でなくとも斜め上であっても屈曲していてもよい。 管の径も供給するエアと循環させる水量に合わせて適宜決定すればよい。
【0018】
生体に有害な紫外線の、カバー外部への漏出を防ぐため、殺菌灯1の発光部4を収める照射室10の開口部や外部との境界には、屈曲部14を設けてもよい。 筐体2自体を屈曲管状に構成16してもよいし、筐体2内部に板状の仕切りなどの内壁構造体13を設けて、内部空間の屈曲を形成してもよい。 これにより、殺菌灯1の発光部4から直進する紫外線は、屈曲部14で筐体2の内壁または内壁構造体13に当たって遮られ、照射室10の外へ漏出することがない。 境界屈曲部14は、取込口7や紫外線殺菌灯通し口5に設けるほか、エアリフト管11との境界に設ければ、エアリフト管11を紫外線透過率の高い透明樹脂等で作成することが可能となり、またエアチューブ9等の部材が紫外線で劣化するのを防ぐこともできる。
【符号の説明】
【0019】
1 紫外線殺菌灯
2 本発明の箱状体
3 紫外線殺菌灯の電源コード
4 紫外線殺菌灯の発光部
5 紫外線殺菌灯通し口
6 エア供給管接続口
7 水槽水の取込口
8 水槽水の排出口
9 エア供給管
10照射室
11エアリフト管
12通水路
13内壁構造体
14境界屈曲部
15境界屈曲部(紫外線殺菌灯通し口)
16筐体および内壁構造体
17ヒンジ(開閉機構)
18筐体の蓋部(開閉機構)
図1
図2
図3
図4
図5