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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022032885
(43)【公開日】2022-02-25
(54)【発明の名称】動物の保定具
(51)【国際特許分類】
   A01K 15/04 20060101AFI20220217BHJP
   A61D 3/00 20060101ALN20220217BHJP
【FI】
A01K15/04 A
A61D3/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020146318
(22)【出願日】2020-08-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-07-14
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
(71)【出願人】
【識別番号】519445107
【氏名又は名称】笠原 晃子
(72)【発明者】
【氏名】笠原 晃子
(57)【要約】
【課題】犬などの動物をハサミなどを使用してトリミングを施す際に、動物が動くとハサミなどによって怪我をさせてしまう。また、強く押さえつけると動物が苦しくなる。動物が優しく確実に保定されるための保定具が求められている。
【解決手段】動物を内側布材1と外側布材8の2枚の布材で、この順番に巻く。内側布材1は、マイクロファイバーなどの吸湿性が良い布2と長さ調節可能に固定された紐7からなり、動物の首を布2と紐7の間に入れて、頭部のみを出す。外側布材8は、五角形状の布9とそれに固定された長方形状の2枚の布10a、10bからなり、布9と布10a、10bにはマジックテープが固定される。動物は、内側布材1に巻かれ、次に、外側布材8に巻かれてマジックテープで固定される。これらによって、動物は、布材1、8の中で優しく確実に保定されるので動かないでトリミングされる。より確実に保定する場合には、別の長方形状の布材16を巻きつける。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物を直接に包み込むための内側布材と、前記内側布材の上から更に包み込むための外側布材からなり、
前記内側布材は、吸湿性が高い布生地で四角形状の第1の布と、前記第1の布の2か所に長さを適宜調整できるように固定した紐材とからなり、
前記外側布材は、多角形状で表面に起毛されている第2の布と、前記第2の布の一辺の両隣の二辺の端部付近に固定された四角形状の第3の布及び第4の布と、前記第3の布と前記第4の布の端部に固定されたマジックテープと、前記第2の布の角部のうち前記第3の布と前記第4の布が固定されていない他の角部に固定されているマジックテープからなることを特徴とする動物の保定具。
【請求項2】
動物を直接に包み込むための内側布材と、前記内側布材の上から更に包み込むための外側布材と、四角形状の布材からなり、
前記内側布材は、吸湿性が高い布生地で四角形状の第1の布と、前記第1の布の2か所に長さを適宜調整できるように固定した紐材とからなり、
前記外側布材は、多角形状で表面に起毛されている第2の布と、前記第2の布の一辺の両隣の二辺の端部付近に固定された四角形状の第3の布及び第4の布と、前記第3の布と前記第4の布の端部に固定されたマジックテープと、前記第2の布の角部のうち前記第3の布と前記第4の布が固定されていない他の角部に固定されているマジックテープからなり、
前記四角形状の布材は、その両端部にマジックテープが固定されており、前記内側布材と前記外側布材によって動物を保定しても不十分なときに前記外側布材の上から巻くために使用されることを特徴とする動物の保定具。
【請求項3】
動物を直接に包み込むための内側布材と、前記内側布材の上から更に包み込むための外側布材からなり、
前記内側布材は、吸湿性が高いマイクロファイバーの布生地でほぼ長方形状の第1の布と、前記第1の布の2か所に長さを適宜調整できるように固定した紐材とからなり、
前記外側布材は、五角形状で表面に起毛されている第2の布と、前記第2の布の一辺の両隣の二辺の端部付近に固定されたほぼ長方形状の第3の布及び第4の布と、前記第3の布と前記第4の布の端部に固定されたマジックテープと、前記第2の布の角部のうち前記第3の布と前記第4の布が固定されていない他の角部に固定されているマジックテープからなることを特徴とする動物の保定具。
【請求項4】
動物を直接に包み込むための内側布材と、前記内側布材の上から更に包み込むための外側布材と、長方形状の布材からなり、
前記内側布材は、吸湿性が高いマイクロファイバーの布生地でほぼ長方形状の第1の布と、前記第1の布の2か所に長さを適宜調整できるように固定した紐材とからなり、
前記外側布材は、五角形状で表面に起毛されている第2の布と、前記第2の布の一辺の両隣の二辺の端部付近に固定されたほぼ長方形状の第3の布及び第4の布と、前記第3の布と前記第4の布の端部に固定されたマジックテープと、前記第2の布の角部のうち前記第3の布と前記第4の布が固定されていない他の角部に固定されているマジックテープからなり、
前記長方形状の布材は、その両端部にマジックテープが固定されており、前記内側布材と前記外側布材で動物を保定しても不十分なときに前記外側布材の上から巻くために使用されることを特徴とする動物の保定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、犬等の動物の毛をハサミでカットするなどによって毛並みを整える、所謂、トリミングを行う際に、動物が動かないように保定するための動物の保定具に関する。
【背景技術】
【0002】
比較的小型で毛が長く伸びる犬等のように、家庭で飼育している動物に対しては、専門家に依頼して、毛を洗髪し、カットし、櫛で毛並みを整えるなどのトリミングを行う。その場合に、専門家でさえも、動物が動くことによって、ハサミによって動物に怪我をさせてしまうこともある。本件出願の発明者は、トリミングの専門家として、数多くの犬等の動物のトリミングを行っており、犬が突然に暴れだして怪我をさせそうになった経験がある。
【0003】
通常、トリミングの専門家は、犬の洗髪を終えると、タオルに体を包んで拭くことによって、濡れた毛を乾燥させる。その後に、トリミング作業を行う。その場合に、犬の顎に生えている毛を下方に引張ることによって、犬が動きにくくしている。
本件出願の発明者も、同様に、顎の毛を引張りながらトリミング作業を行ってきた。しかし、犬の顎の毛を強く引っ張ることが犬に苦痛を与えていることになり、改善したい想いがあった。一方、タオルで強く巻き付けることによって犬の動きを抑えようとすると、犬は足や胴体が強く締め付けられることになり、心苦しい想いであった。
専門家によっては、犬の動きを制限するための特別の保定具を利用する場合もある。しかし、犬の動きを抑えつつ、犬に苦痛を与えない保定具は考えられていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6603052号
【0005】
特許文献1には、犬などの動物を家庭でケアする場合や、動物病院で治療等をする場合の保定具が示されている。この保定具は、動物の胴体を入れる袋状本体と、その袋状本体の前側に出した頭部を保護するネッカーを有している。また、動物を治療するために、袋状本体は、背中部分がファスナーによって開くようになっている。
【0006】
更に、袋状本体は、動物が入った状態で、安定した姿勢を保てるように工夫がなされており、その一つとして、袋状本体は厚手の綿生地を用いて、立体的な、高さのある形状を形成している。そして、検温などを行う際にも形が崩れず、扱いやすいようになっている。
即ち、この袋状本体は、ある程度、形が崩れないために硬い綿生地を使用しており、小動物を包み込むような感じではなくて、小動物を入れる容器のような役割を持たせていると思われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の特許文献1では、胴体部分を保定する袋状本体は立体的な高さのある形状を形成していて、その形状が崩れないので、動物の胴体部分を治療するような何らかの作業を行う場合には好都合である。しかし、頭部のトリミングをする際に動物が動くことを抑えつつ、動物の頭部や首や胴体や足などに苦痛を与えないために、動物を優しく包み込むことによって動きを抑えることはできない。身体を押さえつけるだけでは、動物は苦痛を感じて、トリミング作業中に動こうとするので、その際に怪我をさせてしまう恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、犬等の動物の頭部にトリミングを施す場合に、ハサミなどの刃物によって怪我をしないために体全体が動かないように保定しつつ、保定によって動物に苦痛が発生しないために、優しく確実に包み込むように保定することによって、トリミング作業中に、保定具の中にある体はもちろん、保定具の外にある頭部も動かそうとしないような、動物の保定具を提供することを目的としている。
【0009】
本発明の保定具の第1の特徴は、
動物を直接に包み込むための内側布材と、前記内側布材の上から更に包み込むための外側布材からなり、
前記内側布材は、吸湿性が高い布生地で四角形状の第1の布と、前記第1の布の2か所に長さを適宜調整できるように固定した紐材とからなり、
前記外側布材は、多角形状で表面に起毛されている第2の布と、前記第2の布の一辺の両隣の二辺の端部付近に固定された四角形状の第3の布及び第4の布と、前記第3の布と前記第4の布の端部に固定されたマジックテープと、前記第2の布の角部のうち前記第3の布と前記第4の布が固定されていない他の角部に固定されているマジックテープからなることを特徴とする動物の保定具
である。
【0010】
本発明の第1の特徴によれば、犬などの動物の頭部にトリミングなどの作業を施す場合に、内側布材によって包み込んだ後に、外側布材でさらに包み込みマジックテープで確実に保定するので、動物を優しく、しかも、確実に保定することができる。その結果、動物は多少の体の自由度を持ちつつ確実に保定されるので、動物は安心する。そして、暴れて動く恐れが少ない。例え、動こうとしても、2枚の布材によって確実に保定されているので大きい動きはできない。従って、ハサミなどの道具によって怪我をさせる恐れが無く、動物が保定されることによる苦痛を発生させることが無い動物の保定具を提供することができる。
【0011】
本発明の保定具の第2の特徴は、
動物を直接に包み込むための内側布材と、前記内側布材の上から更に包み込むための外側布材と、四角形状の布材からなり、
前記内側布材は、吸湿性が高い布生地で四角形状の第1の布と、前記第1の布の2か所に長さを適宜調整できるように固定した紐材とからなり、
前記外側布材は、多角形状で表面に起毛されている第2の布と、前記第2の布の一辺の両隣の二辺の端部付近に固定された四角形状の第3の布及び第4の布と、前記第3の布と前記第4の布の端部に固定されたマジックテープと、前記第2の布の角部のうち前記第3の布と前記第4の布が固定されていない他の角部に固定されているマジックテープからなり、
前記四角形状の布材は、その両端部にマジックテープが固定されており、前記内側布材と前記外側布材によって動物を保定しても不十分なときに前記外側布材の上から巻くために使用されることを特徴とする動物の保定具
である。
【0012】
本発明の第2の特徴によれば、前記第1の特徴の他に、両端部にマジックテープが固定されている四角形状の布材を追加するので、内側布材と外側布材だけでは保定が不十分な場合に、更に、保定の効果を高めた動物の保定具を提供することができる。
【0013】
本発明の保定具の第3の特徴は、
動物を直接に包み込むための内側布材と、前記内側布材の上から更に包み込むための外側布材からなり、
前記内側布材は、吸湿性が高いマイクロファイバーの布生地でほぼ長方形状の第1の布と、前記第1の布の2か所に長さを適宜調整できるように固定した紐材とからなり、
前記外側布材は、五角形状で表面に起毛されている第2の布と、前記第2の布の一辺の両隣の二辺の端部付近に固定されたほぼ長方形状の第3の布及び第4の布と、前記第3の布と前記第4の布の端部に固定されたマジックテープと、前記第2の布の角部のうち前記第3の布と前記第4の布が固定されていない他の角部に固定されているマジックテープからなることを特徴とする動物の保定具
である。
【0014】
本発明の第3の特徴によれば、前記内側布材の第1の布がマイクロファイバー生地の布材であるので、トリミングなどの作業の前に体全体を洗髪してから前記内側布材で包み込んだ際に、吸湿性が高いので毛の乾燥が早く、トリミングなどの作業中にかなり乾燥して、小動物が心地よい気持ちになる。その結果、益々、動物は体を動かさないので、更に、怪我をさせる恐れが無くなる効果がある。
また、内側布材の第1の布がほぼ長方形状であること、外側布材の第2の布が五角形状であること、第3及び第4の布がほぼ長方形状であることにより、内側布材や外側布材によって動物を包み込む際に確実に保定するのに好都合な構造の保定具を提供することができる。
【0015】
本発明の保定具の第4の特徴は、
動物を直接に包み込むための内側布材と、前記内側布材の上から更に包み込むための外側布材と、長方形状の布材からなり、
前記内側布材は、吸湿性が高いマイクロファイバーの布生地でほぼ長方形状の第1の布と、前記第1の布の2か所に長さを適宜調整できるように固定した紐材とからなり、
前記外側布材は、五角形状で表面に起毛されている第2の布と、前記第2の布の一辺の両隣の二辺の端部付近に固定されたほぼ長方形状の第3の布及び第4の布と、前記第3の布と前記第4の布の端部に固定されたマジックテープと、前記第2の布の角部のうち前記第3の布と前記第4の布が固定されていない他の角部に固定されているマジックテープからなり、
前記長方形状の布材は、その両端部にマジックテープが固定されており、前記内側布材と前記外側布材で動物を保定しても不十分なときに前記外側布材の上から巻くために使用されることを特徴とする動物の保定具
である。
【0016】
本発明の第4の特徴によれば、前記第3の特徴による効果の他に、両端部にマジックテープが固定されているほぼ長方形状の布材を追加するので、内側布材と外側布材だけでは保定が不十分な場合に、更に、保定の効果を高めた動物の保定具を提供することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の動物の保定具によれば、犬などの動物の頭部にトリミングなどの作業を施す場合に、内側布材によって動物を優しく包み込み、しかも、外側布材によって確実に保定することができるので、動物が暴れて動く恐れが少ない。例え、動こうとしても2枚の布によって大きい動きはできないので、ハサミなどの道具によって怪我をさせる恐れが無く、動物が保定されることによる苦痛を発生させることが無い動物の保定具を提供することができる。
【0018】
本発明によれば、内側布材をマイクロファイバー生地にすることによって、トリミング作業前に洗髪しても、この内側布材で動物を巻くことによって乾燥が早く、動物が気持ちよくなって動くことがさらに減る効果がある。
【0019】
内側布材と外側布材の2枚の布材で動物を巻いても、なお、動こうとする場合には、両端にマジックテープを固定しているほぼ四角形状の布材を組み合わせて使用すれば、保定具としての効果がより高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の保定具を構成する内側布材を拡げた状態を示す平面図である。
図2図2は、動物を内側布材に巻いた状態を示す概略図である。
図3図3は、本発明の保定具を構成する外側布材を拡げた状態を示す平面図である。
図4図4は、内側布材に巻いた動物を、更に、外側布材に巻く直前の状態を示す概略図であり、矢印は外側布材を巻く方向を示している。
図5図5は、図4に示す通りに犬に外側布材を巻いた状態を示す概略図である。
図6図6は、本発明の保定具を補強する布材を拡げた状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の犬などの動物の保定具を構成する内側布材1を示している。内側布材1の布2は、材質はマイクロファイバー生地の布材であり、その大きさは、縦60cm、横120cmの長方形である。
布2の材質がマイクロファイバー生地であれば、トリミング作業の直前に犬を洗髪してからこのマイクロファイバーの布2に犬を巻いた際に、犬の濡れた毛が乾燥されやすい。犬がトリミングされている間の20~30分間に乾燥してしまう程度に吸湿性が良い。
内側布材1の布2の大きさが縦60cm、横120cm程度であれば、ほとんどの小型犬を一重または二重に巻くことができる適度の大きさである。
【0022】
内側布材1の布2の長い一辺3の端部4とその一辺3の途中の位置5との間を布製またはゴム製の紐6で結んでいる。紐6の途中には、紐6の長さを簡単に調節できる治具7が設置されている。犬は、紐6と一辺3との間に頭部を通されたあと、紐6の長さを治具7で調整することによって、首の部分での紐6の閉まり具合が調整される。犬が不愉快になるほどに首の部分の紐6を強く締めすぎないようにし、頭部が抜けたり足が出たりしない程度までに締めておくことが重要である。
【0023】
図2は、図1に示す内側布材1に犬を巻いて包み込んだ状態を示している。このように、内側布材1で犬を巻きつける作業は、内側布材1を台の上に置いて行っても良いし、トリミングする人が内側布材1を膝の上に置いて、犬を抱いた状態で犬を内側布材1で巻きつけても良い。犬が怖がらないで落ち着いてくれるためには、人が内側布材1と犬の両方を抱いた状態で巻き付けることが好ましい。
【0024】
内側布材1は、小型犬の大きさに比べて充分に大きいので、犬が内側布材1の一辺3と紐6の間で頭部を出した状態で、内側布材1を犬の胴体と足を囲むように柔らかく巻き付ければよい。その際に、犬の足は前足と後足は体を臥せた状態のように、自然の姿勢で折りたたんでいるのが望ましい。この姿勢で犬を内側布材1で一重又は二重に柔らかく巻くことによって、犬は、リラックスできるとともに、足が内側布材1の中で動きにくい状態になっている。
【0025】
図3は、外側布材8を拡げた平面図を示している。外側布材8は、縦横ともに70cmのほぼ正方形の布の一つの角部が削られてできた五角形の布材9と、五角形の布材9に固定されている長方形状の2枚の布材10a、10bからなる。
前記五角形の布材9の一辺11の両隣の2つの各辺12a、12bの端部に、前記長方形状の布10a、10bが固定されている。前記一辺11は、保定具として使用される場合には、犬の首部分に巻き付く部分であるので、一辺11には、可愛い飾りの布13が取り付けられている。この飾りの布13は、飾りの役目もあるが、犬の首に巻き付いた際に柔らかく接するためでもある。
【0026】
外側布材8の前記五角形の布材9と長方形状の布材10a、10bは、ともに、ベルベット材である。通常、ベルベット材は、その縦糸パイルが毛足の長いパイル織物である。縦糸のみに限らず、毛足が比較的長い織物であれば好都合である。その理由は、前記長方形状の布10a、10bの端部に取り付けられたマジックテープ14a、14bが、ベルベット材のどこででもくっつくからである。それによって、内側布材1に巻かれた犬を、更に、内側布材1の外側から適切な状態に巻き付けて、適切な位置でマジックテープ14a、14bによって固定することが可能になるからである。
従って、外側布材8は、ベルベット材に限らず、マジックテープ14a、14bに良くくっつく素材であればよい。
また、五角形の布材8のうち、図示する3つの角部には、夫々、マジックテープ15a、15b、15cが固定されている。
【0027】
次に、図4は、内側布材1によって巻かれた状態の犬を、更に、外側布材8によって巻くやり方を説明するための概略図である。
犬を巻きつけた内側布材1は、犬の足や胴体が動かない程度に巻き付けているので、全体の大きさは小さくなっている。
まず、外側布材8を台の上に置いて拡げる。そして、犬の頭部が外側布材8の一辺11に位置するように、犬を巻いた内側布材1を外側布材8の上に置く。次に、外側布材8を巻きつけるに当たって、外側布材8の各端部を、図中に図示するような矢印の方向へ巻き付ける。
【0028】
巻き付ける順番は、望ましくは、まず、布9のマジックテープ15bの近くの端部を内側布材1に巻きつけて、マジックテープ15bを布材8の布9の上にくっつけて止める。
次に、マジックテープ15a、15cの近くの布9の角部を巻きつけて重ね合せて、マジックテープ15a、15cを布9の上にくっつけて止める。
最後に、長方形の布材14a、14bを交差するように、布9の上から巻き付けて、マジックテープ15a、15bを布9にくっつけて止める。
【0029】
図5は、前述のように、犬を巻いた内側布材1の上から外側布材8を巻き付けられ、更にその上から、マジックテープ14a、14bによって長方形状の布材14a、14bが止められた状態を示している。
この状態においては、犬は頭部だけを外部に出しており、内側布材1によって優しく包まれており、犬はあまり身動きができない。しかし、内側布材1にはマジックテープのような固着部材が取り付けられていないので、犬は多少身動きができるようになっている。その内側布材1の上から外側布材8よって巻かれていて、しかも、マジックテープ14a、14bによって確実に保定されている。
【0030】
従って、犬は、内側布材1によって優しく緩やかに締め付けられており、外側布材8によって更に巻かれてマジックテープ14a、14bによって確実に保定されていることになる。
このように、犬は、内側布材1と外側布材8によって二重に巻かれ、しかも、内側布材1はある程度、優しく、緩やかに巻いており、その状態を確実にするために、外側布材8によって巻かれてマジックテープ14a、14bが有効に機能しているのである。
【0031】
このような状態になれば、犬は、適度の締め付け具合であるので、あまり身動きできないと共に、優しく、緩やかに締め付けているので、犬が心地よい気持ちになり、トリミング作業中に、自ら身動きしようとしなくなるという効果がある。実際に、本発明の保定具を試してみると、犬は心地よくなって眠ってしまうことが多く、暴れることも無く、おとなしくトリミングを受けることが多かった。その結果、犬の顎のひげを引張っておとなしくさせたり、ハサミなどの道具によって怪我をすることも無い。
【0032】
図6は、図5に示すように内側布材1と外側布材8の2つの布材によって犬を巻いても、暴れやすい犬が身動きして、頭部を頻繁に動かしてしまう場合に、更に巻きつけるための布材16を示している。布材16は、縦10cm、横100cmの細長い長方形の帯状布材である。材質は、望ましくは、ベルベット材のようなマジックテープ17a、17bがくっつきやすい生地の布材が良い。
図5に示すような犬を内側布材1と外側布材8で巻いた状態で、その上から布材16で巻き付けてマジックテープ17a、17bによって止める。それによって、犬の動きをより確実に抑えることができる。なお、布材16の巻き方や巻く位置は、適宜、犬を締め付けない程度に、必要な位置で巻き付けて固定すれば良い。
【符号の説明】
【0033】
1 内側布材
2 内側布材のほぼ長方形状の布
3 内側布材の一辺
4 内側布材の角部
5 内側布材の紐の取付部
6 内側布材の紐
7 紐の長さ調整治具
8 外側布材
9 外側布材の五角形状の布
10 外側布材の長方形状の布
11 外側布材の五角形状の布の一辺
12 外側布材の五角形状の布の他の一辺
13 外側布材の五角形状の布の飾り
14 外側布材の長方形状の布に付けるマジックテープ
15 外側布材の五角形状の布に付けるマジックテープ
16 外側布材の上から巻く長方形状の布材
17 外側布材の上から巻く長方形状の布材に付けるマジックテープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6