(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022032900
(43)【公開日】2022-02-25
(54)【発明の名称】陽圧フェイスシールド
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20220217BHJP
A42B 3/20 20060101ALN20220217BHJP
【FI】
A41D13/11 L
A42B3/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020147143
(22)【出願日】2020-08-13
(71)【出願人】
【識別番号】392036005
【氏名又は名称】草場 蓴
(72)【発明者】
【氏名】草場 蓴
【テーマコード(参考)】
3B107
【Fターム(参考)】
3B107CA02
3B107CA03
3B107DA07
3B107EA04
3B107EA05
3B107EA14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】多くの医療従事者等が長時間安全で快適な呼吸が出来る器具を提供する。
【解決手段】顔を覆う立体形状のフェイスシールド本体(1)は透明な合成樹脂で形成され、目、鼻、口、及び周辺を含む顔前面を覆い、視界はほぼ保持して、上辺(2)に取着した支持フレーム(3)で頭部(4)に固定する。シールド本体のやや下部には開口部を設け、フィルター(6)を装着し、給気ファンで外気を取り込む給気装置(8)を立設した。該装置は必要に応じて1または数個立設し、バッテリーにより駆動する。さらに、フェイスシールド本体周側には軟質パッキング(10)を布設して陽圧フェイスシールドとした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔を覆う立体形状のフェイスシールド本体は透明な合成樹脂で形成され、目、鼻、口、及び周辺を含む顔前面を覆い、視界はほぼ保持して、上辺に取着した支持フレームで頭部に固定する。
シールド本体のやや下部には開口部を設け、フィルターを装着し、給気ファンで外気を取り込む給気装置を立設した。 該装置は必要に応じて1または数個立設し、バッテリーにより駆動する。
さらに、フェイスシールド本体周側には軟質パッキングを布設した事を特徴とする陽圧フェイスシールド。
【請求項2】
フェイスシールド本体下辺の一部にはバッテリーで駆動する半導体冷却装置を取着し、該装置の先端は位置可変で平滑な接触面とし、装着者の頸部に当接するよう取着したことを特徴とする請求項1記載の陽圧フェイスシールド。
【請求項3】
さらに、フェイスシールド本体上部にはカメラ器具を装着したことを特徴とする請求項1及び請求項2記載の陽圧フェイスシールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主に医療従事者が用いる感染防止用具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、日本及び世界の医療体制は充実していると思われているが、数年・数十年毎に正体不明の病気が多くの人々の生命を脅かす事がある。
特に、インフルエンザウイルスは毎年世界中で感染が流行し、各国で数万人の死者が出ている。
数年ごとに、他のウイルスも発生しており、患者の咳等による呼吸器由来の感染性湿性分泌物の飛散によって生じる暴露から、眼部・鼻腔・口内粘膜は、常に感染の危険に曝されることとなる。
また、結核菌やウイルスなどの大きさは直径0.1μm前後である為、通常のマスク着用では侵入を容易に阻止できない。
予防薬等が整備されていない場合には、慎重な安全対策が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ウイルスは毎年話題になる季節性インフルエンザウイルスの他にも多く存在する。
特に、コロナウイルスは風邪から致命的な肺炎迄様々な重症度の呼吸器疾患を引き起こす一群のウイルスで、重症急性呼吸器症候群(SARSコロナウイルス)は世界で大流行した。また、中東呼吸器症候群(MERSコロナウイルス)も大流行をした。
近年、SARSコロナウイルスの新しいタイプのSARSコロナウイルス2が世界中で大流行している。 主に、感染者の咳やくしゃみで飛散した空気中の飛沫を介して人から人へと広がる。さらに、ウイルスの付着した物に触れた手で自分の口、目、顔を触れることで感染することもある。
感染者における重篤化及び死亡のリスクは、高齢者及び内蔵疾患者や、糖尿病や肥満等の病気を持っている人は高くなる。 また、空気中を数時間漂う微粒子のエアロゾルを介しても感染する可能性も示されている。
実際には、呼吸器疾患の患者に対応している医療従事者の多くは、全身を使い捨ての不織布製防護服を着用し、マスクと眼鏡を着用しているのが一般的である。
医療現場では、一般的に、防護服、手袋、マスク、眼鏡等を着用して治療するが、高性能マスクは気密性が高く、息苦しいので、長時間の着用は非常に難しい。
高レベルでの治療が必要な場合は、ヘルメットを着用し、呼吸用に外部から送気して、エアロゾル、飛沫核感染の危険性を回避できるが、保有して励行している病院は非常に少ない。 ウイルスの潜伏期間は1日から14日間程度あり、感染から数日で無症状でも他の人に感染させる例が多々報告されており、患者と向き合う医療従事者は防護服やマスク着用をしているが、自覚症状が無いままに常に感染の危機に曝されている。
【0004】
従来、インフルエンザウイルスは飛沫感染の危険は有るが、予防方法としては日常的にマスク着用、手洗いを行い、予防接種を受けて予防でき、仮に感染しても治療薬が有る。
SARSコロナウイルス2が大流行しているが、更に強力な感染力が有り、死亡率も高いが、予防ワクチンは開発中であり、確立した治療薬も無いのが現状である。
透明板のフェイスシールドも用いられているが、感染者の咳やくしゃみ及び発声により飛散した空気中の飛沫や微粒子エアロゾルは回避し難く、顔や眼鏡に付着して感染する危険が多々有る。
そこで、本発明は多くの医療従事者等が長時間安全で快適な呼吸が出来る器具を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
顔を覆う立体形状のフェイスシールド本体(1)は透明な合成樹脂で形成され、目、鼻、口、及び周辺を含む顔前面を覆い、視界はほぼ保持して、上辺(2)に取着した支持フレーム(3)で頭部(4)に固定する。
シールド本体のやや下部には開口部(5)を設け、フィルター(6)を装着し、給気ファン(7)で外気を取り込む給気装置(8)を立設した。 該装置は必要に応じて1または数個立設し、バッテリー(9)により駆動する。
さらに、フェイスシールド本体周側には軟質パッキング(10)を布設して陽圧フェイスシールドとした。
【0006】
また、フェイスシールド本体下辺の一部にはバッテリーで駆動する半導体冷却装置(11)を取着し、該装置の先端(12)は位置可変で平滑な接触面とし、装着者の頸部(13)に当接するよう取着した。
【0007】
さらに、フェイスシールド本体上部にはカメラ器具(14)や照明器具を装着した。
【発明の効果】
【0008】
本発明陽圧フェイスシールド本体(1)を上辺(2)に取着した支持フレーム(3)で頭部(4)に固定すると、フェイスシールド本体周側の軟質パッキング(10)が顔(15)と密着する。
フェイスシールド本体に設置された給気装置(8)のスイッチ(16)を通電すると、給気ファン(7)が作動し、フィルター(6)を介してフェイスシールド本体内側と顔(15)面の間に給気され、軟質パッキング(10)で密着された内側は陽圧となる。
陽圧フェイスシールド本体内側は陽圧ではあるが、顔が動くと軟質パッキングとの間に僅かな隙間が生じ、空気は流出するが、給気装置で常に給気されるので、フェイスシールド本体内側は常に陽圧を保つことが出来、隙間から余分な空気は排出されるので外気が侵入し難い。
フィルター(6)は、給気装置部で着脱式交換可能とし、材質の高性能なフィルターを装着すると細菌やウイルスを除去できので、目、鼻、口も安全を確保でき、マスクの着用は不要となり、使用する毎に新しいフィルターと交換すれば、常に安全を確保できる。
長時間装着しても楽に呼吸が出来、顔の表情が見えるので患者に笑顔を見せる事もできる。
【0009】
また、高温状況下で本発明陽圧フェイスシールドを使用するには本体下辺の一部にバッテリーで駆動する半導体冷却装置(11)を取着したものを使用すれば、半導体冷却装置を駆動させ、先端の接触面(12)を装着者の頸部(13)に当接させ、冷却した接触面が頸部を冷却できるので、頸動脈を冷却して脳や全身の血液を冷し体温を下げられる。
【0010】
さらに、フェイスシールド本体上部にはカメラ器具(14)や照明、携帯電話と通信できる端末機器を装着したものは、フェイスシールドを着用した状態でも夜間に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【発明を実施する為の形態】
【0012】
本発明陽圧フェイスシールド本体を上辺(2)に取着した支持フレーム(3)で頭部(4)に固定すると、フェイスシールド本体周側の軟質パッキング(10)が顔(15)と密着する。 この時、顔との密着度が低く多少の隙間が生じる箇所もある。
フェイスシールド本体に設置された給気装置(8)のスイッチ(16)を通電すると、給気ファン(7)が作動し、フィルター(6)を介してフェイスシールド本体内側と顔(15)面の間に給気され、軟質パッキング(10)で密着された内側は陽圧となる。
陽圧フェイスシールド本体内側は陽圧ではあるが、顔が動くと軟質パッキングとの間に僅かな隙間が生じ、空気は流出するが、給気装置から常に給気されるので、フェイスシールド本体内側は常に陽圧を保つことが出来、隙間から余分な空気は排出されるので外気が侵入し難い。
フィルター(6)は一体枠付きで、給気装置部に着脱式交換を可能とした。 材質の高性能なフィルターを装着すると細菌やウイルスを除去できので、目、鼻、口も安全を確保でき、マスクの着用は不要となり、使用する毎に新しいフィルターと交換すれば、常に安全を確保できる。
【0013】
また、高温状況下で本発明陽圧フェイスシールドを使用するには本体下辺の一部にバッテリーで駆動する半導体冷却装置(11)を取着したものを使用すれば、半導体冷却装置を駆動させ、先端の接触面(12)を装着者の頸部(13)に当接させ、冷却した先端部が頸部を冷却できるので頸動脈を冷却して脳や全身を効率よく冷却できる。 半導体冷却装置は例えばペルチェ素子を用いると、小型軽量な冷却装置を設置でき、配置や配線を組み替えれば暖房装置としても使用できる。
さらに、フェイスシールド本体上部にはカメラ器具(14)や照明、携帯電話と通信できる端末機器を装着したものは、フェイスシールドを着用した状態でも夜間に使用できる。
【実施例0014】
顔を覆う立体形状のフェイスシールド本体(1)は顔の大きさよりやや大きなポリカーボネイト等の透明で丈夫な合成樹脂で形成され、目、鼻、口、及び周辺を含む顔前面を覆い、視界はほぼ保持して、上辺(2)に取着した支持フレーム(3)で頭部(4)に固定する。 支持フレームは、フェイスシールド本体内側を陽圧とした時に、陽圧を保ちやすい形状であれば頭上面を覆う形や枠体のみの形でも固持しない。
シールド本体のやや下部には開口部(5)を設け、フィルター(6)を装着した。 フィルターは一体枠付成型品で、枠部を手で持てばフィルター面には触れず給気装置(8)に着脱式交換を可能とした。 材質の高性能なフィルターを装着すると細菌やウイルスを除去できる。 給気装置のスイッチ(16)を通電すると、給気ファン(7)が作動し、フィルターを介してフェイスシールド本体内側と顔(15)面の間に給気されるが給気装置は必要給気容量や給気ファンの大小等の設定に応じて1または数個立設し、バッテリー(9)により駆動する。
さらに、フェイスシールド本体周側には、顔と接しても痛くなく軽くやわらかな軟質パッキング(10)を布設して陽圧フェイスシールドとした。
【0015】
また、フェイスシールド本体下辺の一部にはバッテリーで駆動する半導体冷却装置(11)を取着し、該装置の先端は位置可変で平滑な接触面(12)とし、装着者の頸部(13)に当接するよう取着した。
ただし、半導体冷却装置を使用する場合は電力使用量が大きいのでケーブルを介して携帯用のバッテリーボックスを用いると効率的で何回も使える充電式の形態が使い易い。
さらに、フェイスシールド本体上部にはカメラ器具(14)や照明、携帯電話と通信できる端末機器を装着したものは、フェイスシールドを着用した状態でも夜間に使用できる。急な要件の電話対応や内蔵カメラで患者の状況も記録できるので、再診察時にも役立てる。なお、フェイスシールド本体内面に映像画面の表示を可能にすれば、通話状態でも録画映像を再生して見ることも出来るので、診療や手術時にも役立てる。