(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022032917
(43)【公開日】2022-02-25
(54)【発明の名称】ハンドヘルド外科手術器具
(51)【国際特許分類】
A61B 17/072 20060101AFI20220217BHJP
【FI】
A61B17/072
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020200799
(22)【出願日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】63/064,977
(32)【優先日】2020-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/090,093
(32)【優先日】2020-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド エー. ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル ブイ. プリバニック
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC23
4C160CC35
4C160NN02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ハンドヘルド外科手術器具の提供。
【解決手段】複数の個別の外科用エンドエフェクタに動力を供給するための外科手術器具モジュールは、モータ、遊星歯車ボックス、モータに作動可能に連結された高トルク/低速出力部、およびモータに作動可能に連結された高速/低トルク出力部を含む。高トルク/低速部は、第1のタイプの外科用エンドエフェクタの駆動部材に作動可能に連結されるように構成され、高速/低速出力部は、第2のタイプの外科用エンドエフェクタの動作を駆動するように構成される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用エンドエフェクタに動力を供給するための外科手術器具モジュールであって、前記外科手術器具モジュールが、
縦軸を画定する回転可能なモータシャフトを有するモータと、
前記モータシャフトに固定され、前記モータシャフトとともに回転するように構成された主太陽歯車と、
第1の遊星歯車アセンブリであって、前記第1の遊星歯車アセンブリが前記主太陽歯車の回転に応答して前記縦軸の周りを回転するように、前記主太陽歯車に作動可能に連結された第1の遊星歯車アセンブリと、
第2の遊星歯車アセンブリであって、前記第2の遊星歯車アセンブリが前記第1の遊星歯車アセンブリの関節ノブであって、回転に応答して回転するように、前記第1の遊星歯車アセンブリに作動可能に連結された第2の遊星歯車アセンブリと、
駆動シャフトであって、前記駆動シャフトが前記第2の遊星歯車アセンブリとともに回転するように、前記第2の遊星歯車アセンブリに回転不能に連結された駆動シャフトと、
第3の遊星歯車アセンブリであって、前記第3の遊星歯車アセンブリが前記第2の遊星歯車アセンブリの前記回転に応答して回転するように、前記第2の遊星歯車アセンブリに作動可能に連結された第3の遊星歯車アセンブリと、
第4の遊星歯車アセンブリであって、前記第4の遊星歯車アセンブリが前記第3の遊星歯車アセンブリの前記回転に応答して回転するように、前記第3の遊星歯車アセンブリに作動可能に連結された第4の遊星歯車アセンブリと、
第1の外科用エンドエフェクタの被駆動部材に作動可能に連結されるように構成された高トルク出力部であって、前記高トルク出力歯車は、前記高トルク出力部が前記第4の遊星歯車アセンブリとともに回転するように、第4の遊星歯車アセンブリに回転不能に連結された高トルク出力部と、
第2の外科用エンドエフェクタの被駆動部材に作動可能に連結されるように構成された高速出力部であって、前記高速出力部が前記駆動シャフトとともに回転するように、前記駆動シャフトに回転不能に連結された高速出力部と、を備える、外科手術器具モジュール。
【請求項2】
前記高速出力部が、前記高トルク出力部内に同心円状に配置されている、請求項1に記載の外科手術器具モジュール。
【請求項3】
前記高速出力部および高トルク出力部が、前記モータの起動に応答して同時に回転するように構成されている、請求項2に記載の外科手術器具モジュール。
【請求項4】
前記高トルク出力部が、ピニオン歯車を含み、前記高速出力部が、ソケットを含む、請求項1に記載の外科手術器具モジュール。
【請求項5】
前記駆動シャフトが、前記第3および第4の遊星歯車アセンブリを通って縦に延在する、請求項1に記載の外科手術器具モジュール。
【請求項6】
前記駆動シャフトが、前記第2の遊星歯車アセンブリに固定された近位端部分と、前記高トルク出力部内に配置され、前記高トルク出力部に対して回転可能な遠位端部分とを有する、請求項5に記載の外科手術器具モジュール。
【請求項7】
前記高トルク出力部が、内部に空洞を画定し、前記高速出力部が、前記空洞内に受容される、請求項1に記載の外科手術器具モジュール。
【請求項8】
前記高速出力部が、前記駆動シャフトに対して、かつ前記駆動シャフトに沿って縦に移動するように構成されている、請求項7に記載の外科手術器具モジュール。
【請求項9】
前記高速出力部と前記高トルク出力部の内面との間に捕捉された付勢部材をさらに備え、前記付勢部材が、前記高速出力部を遠位に付勢するように構成されている、請求項8に記載の外科手術器具モジュール。
【請求項10】
前記遊星歯車アセンブリの各々と噛み合って係合する細長い輪歯車をさらに備える、請求項1に記載の外科手術器具モジュール。
【請求項11】
前記遊星歯車アセンブリの各々が前記細長い輪歯車内に配置されている、請求項10に記載の外科手術器具モジュール。
【請求項12】
前記細長い輪歯車が、前記モータに対して回転固定されている、請求項10に記載の外科手術器具モジュール。
【請求項13】
前記第1の遊星歯車アセンブリが、
第1のキャリアと、
前記第1のキャリアに回転可能に連結され、前記主太陽歯車と作動可能に係合する複数の遊星歯車と、
前記第1のキャリアに回転固定された第1の太陽歯車と、を含む、請求項1に記載の外科手術器具モジュール。
【請求項14】
前記第2の遊星歯車アセンブリが、
第2のキャリアと、
前記第2のキャリアに回転可能に連結され、前記第1の太陽歯車と作動可能に係合する複数の遊星歯車と、
前記第2のキャリアに回転固定された第2の太陽歯車と、を含む、請求項13に記載の外科手術器具モジュール。
【請求項15】
前記駆動シャフトが、前記第2の太陽歯車内に配置され、前記第2の太陽歯車に回転固定された近位端部分を有する、請求項14に記載の外科手術器具モジュール。
【請求項16】
前記第3の遊星歯車アセンブリが、
第3のキャリアと、
前記第3のキャリアに回転可能に連結され、前記第2の太陽歯車と作動可能に係合する複数の遊星歯車と、
前記第3のキャリアに回転固定された第3の太陽歯車と、を含む、請求項14に記載の外科手術器具モジュール。
【請求項17】
前記第4の遊星歯車アセンブリが、
前記高トルク出力部に回転不能に固定された第4のキャリアと、
前記第4のキャリアに回転可能に連結され、前記第3の太陽歯車と作動可能に係合する複数の遊星歯車と、を含む、請求項16に記載の外科手術器具モジュール。
【請求項18】
前記遊星歯車アセンブリの各々の前記複数の遊星歯車と噛み合って係合する細長い輪歯車をさらに備える、請求項17に記載の外科手術器具モジュール。
【請求項19】
前記細長い輪歯車が受容される外側シェルをさらに備え、前記細長い輪歯車が、前記外側シェルに対して回転不能である、請求項18に記載の外科手術器具モジュール。
【請求項20】
前記外側シェル内に受容され、前記モータに動力を供給するように構成されたバッテリと、
前記外側シェル内に受容され、前記バッテリおよび前記モータと連絡するプリント回路基板と、をさらに備える、請求項19に記載の外科手術器具モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年8月13日出願の米国特許仮出願第63/064,977号の利益および優先権を主張し、その開示全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、2020年11月5日に出願された米国特許出願第17/089,870号明細書の利益および優先権を主張する一部継続出願であり、これは、2018年9月21日に出願された米国特許仮出願第62/734,290号明細書の利益および優先権を主張する2019年8月6日に出願された米国特許出願第16/532,534号明細書の利益および優先権を主張する一部継続出願であり、その開示全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
米国特許出願第17/089,870号も、2020年10月5日に出願された米国特許仮出願第63/087,501号の利益および優先権を主張し、その開示全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
本出願は、2020年11月5日に出願された米国特許出願第17/089,827号の利益および優先権を主張する一部継続出願であり、2020年9月29日に出願された米国特許仮出願第63/084,656号の利益および優先権を主張するものであり、その開示全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0005】
本出願は、2020年11月5日に出願された米国特許出願第17/089,813号の利益および優先権を主張する一部継続出願であり、2019年12月6日に出願された米国特許仮出願第62/944,548号の利益および優先権を主張するものであり、その開示全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0006】
本出願は、2020年11月5日に出願された米国特許出願第17/089,789号の利益および優先権を主張する一部継続出願であり、2019年12月6日に出願された米国特許仮出願第62/944,400号の利益および優先権を主張するものであり、その開示全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0007】
多数のハンドルアセンブリ製造業者が、電気機械外科手術器具を動作および/または操作するための専有の駆動システムを有する製品ラインを開発してきた。多くの場合、電気機械外科手術器具は、再使用可能なハンドルアセンブリ、および使い捨てローディングユニットおよび/または、例えば、使用前にハンドルアセンブリに選択的に接続され、その後、廃棄したり、場合によっては再使用のために滅菌したりするために使用後にハンドルアセンブリから切り離される外科手術エンドエフェクタなどの1回使用のローディングユニットを含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様では、外科用エンドエフェクタに動力を供給するための外科手術器具モジュールが提供される。外科手術器具モジュールは、縦軸を画定する回転可能なモータシャフト、モータシャフトに固定され、モータシャフトとともに回転するように構成された主太陽歯車と、第1、第2、第3、および第4の遊星歯車アセンブリと、駆動シャフトと、高トルク出力部と、高速出力部と、を含む。第1の遊星歯車アセンブリは、第1の遊星歯車アセンブリが主太陽歯車の回転に応答して縦軸の周りを回転するように、主太陽歯車に作動可能に連結されている。第2の遊星歯車アセンブリは、第2の遊星歯車アセンブリが第1の遊星歯車アセンブリの回転に応答して回転するように、第1の遊星歯車アセンブリに作動可能に連結されている。駆動シャフトは、駆動シャフトが第2の遊星歯車アセンブリとともに回転するように、第2の遊星歯車アセンブリに回転不能に連結されている。第3の遊星歯車アセンブリは、第3の遊星歯車アセンブリが第2の遊星歯車アセンブリの回転に応答して回転するように、第2の遊星歯車アセンブリに作動可能に連結されている。第4の遊星歯車アセンブリは、第4の遊星歯車アセンブリが第3の遊星歯車アセンブリの回転に応答して回転するように、第3の遊星歯車アセンブリに作動可能に連結されている。高トルク出力部は、第1の外科用エンドエフェクタの被駆動部材に作動可能に連結されるように構成されている。高トルク出力歯車は、高トルク出力部が第4の遊星歯車アセンブリとともに回転するように、第4の遊星歯車アセンブリに回転不能に連結されている。高速出力部は、第2の外科用エンドエフェクタの被駆動部材に作動可能に連結されるように構成されている。高速出力部は、高速出力部が駆動シャフトとともに回転するように、駆動シャフトに回転不能に連結されている。
【0009】
一態様では、高速出力部は、高トルク出力部内に同心円状に配置することができる。
【0010】
一態様では、高速および高トルク出力部は、モータの起動に応答して同時に回転するように構成することができる。
【0011】
一態様では、高トルク出力部はピニオン歯車を含んでもよく、高速出力部はソケットを含んでもよい。
【0012】
一態様では、駆動シャフトは、第3および第4の遊星歯車アセンブリを通って縦に延在することができる。
【0013】
一態様では、駆動シャフトは、第2の遊星歯車アセンブリに固定された近位端部分と、高トルク出力部内に配置され、高トルク出力部に対して回転可能な遠位端部分とを有することができる。
【0014】
一態様では、高トルク出力部は、内部に空洞を画定することができ、高速出力部は、空洞内で受容することができる。
【0015】
一態様では、高速出力部は、駆動シャフトに対して、かつ駆動シャフトに沿って縦に移動するように構成することができる。
【0016】
一態様では、外科手術器具モジュールは、高速出力部と高トルク出力部の内面との間に捕捉された付勢部材をさらに含むことができる。付勢部材は、高速出力部を遠位に付勢するように構成することができる。
【0017】
一態様では、外科手術器具モジュールは、遊星歯車アセンブリの各々と噛み合って係合する細長い輪歯車をさらに含むことができる。
【0018】
一態様では、遊星歯車アセンブリの各々は、細長い輪歯車内に配置することができる。
【0019】
一態様では、細長い輪歯車は、モータに対して回転固定することができる。
【0020】
一態様では、第1の遊星歯車アセンブリは、第1のキャリアと、第1のキャリアに回転可能に連結され、主太陽歯車と作動可能に係合する複数の遊星歯車と、第1のキャリアに回転固定された第1の太陽歯車と、を含むことができる。
【0021】
一態様では、第2の遊星歯車アセンブリは、第2のキャリアと、第2のキャリアに回転可能に連結され、第1の太陽歯車と作動可能に係合する複数の遊星歯車と、第2のキャリアに回転固定された第2の太陽歯車と、を含むことができる。
【0022】
一態様では、駆動シャフトは、第2の太陽歯車内に配置され、回転固定された近位端部分を有することができる。
【0023】
一態様では、第3の遊星歯車アセンブリは、第3のキャリアと、第3のキャリアに回転可能に連結され、第2の太陽歯車と作動可能に係合する複数の遊星歯車と、第3のキャリアに回転固定された第3の太陽歯車と、を含むことができる。
【0024】
一態様では、第4の遊星歯車アセンブリは、高トルク出力部に回転不能に固定された第4のキャリアと第4のキャリアに回転可能に連結され、第3の太陽歯車と作動可能に係合する複数の遊星歯車と、を含むことができる。
【0025】
一態様では、外科手術器具モジュールは、各遊星歯車アセンブリの各々の複数の遊星歯車と噛み合って係合する細長い輪歯車をさらに含むことができる。
【0026】
一態様では、外科手術器具モジュールは、細長い輪歯車が受容される外側シェルをさらに含むことができる。細長い輪歯車は、外側シェルに対して回転不能である場合がある。
【0027】
一態様では、外科手術器具モジュールは、外側シェル内に受容され、モータに動力を供給するように構成されたバッテリと、外側シェル内に受容され、バッテリおよびモータと連絡するプリント回路基板をさらに含むことができる。
【0028】
本開示の別の態様によれば、複数の個別の外科用エンドエフェクタに動力を供給するための外科手術器具モジュールが提供される。外科手術器具モジュールは、縦軸を画定する回転可能なモータシャフトを有するモータと、モータシャフトに固定され、モータシャフトとともに回転するように構成された主太陽歯車と、第1の遊星歯車アセンブリであって、第1の遊星歯車アセンブリが主太陽歯車の回転に応答して縦軸の周りを回転するように、主太陽歯車に作動可能に連結された第1の遊星歯車アセンブリと、第2の遊星歯車アセンブリであって、第2の遊星歯車アセンブリが第1の遊星歯車アセンブリの回転に応答して回転するように、第1の遊星歯車アセンブリに作動可能に連結された第2の遊星歯車アセンブリと、第2の遊星歯車アセンブリに回転不能に連結された近位端部分を有する駆動シャフトと、高トルク出力部と、高速出力部と、を含む。駆動シャフトは、第2の遊星歯車アセンブリとともに回転するように構成されている。高トルク出力部歯車は、モータに作動可能に連結され、第1のタイプの外科用エンドエフェクタの被駆動部材に作動可能に連結されるように構成されている。高速出力部は、第2のタイプの外科用エンドエフェクタの動作を駆動するように構成されている。高速出力部は、高速出力部が駆動シャフトとともに回転するように、駆動シャフトの遠位端部分に回転不能に連結されている。
【0029】
一態様では、駆動シャフトの遠位端部分は、高トルク出力部内に配置され、高トルク出力部に対して回転可能であり得る。
【0030】
一態様では、外科手術器具モジュールは、第3および第4の遊星歯車アセンブリをさらに含むことができる。第3の遊星歯車アセンブリは、第3の遊星歯車アセンブリが第2の遊星歯車アセンブリの回転に応答して回転するように、第2の遊星歯車アセンブリに作動可能に連結され得る。第4の遊星歯車アセンブリは、第4の遊星歯車アセンブリが第3の遊星歯車アセンブリの回転に応答して回転するように、第3の遊星歯車アセンブリに作動可能に連結され得る。高トルク出力歯車は、高トルク出力部が第4の遊星歯車アセンブリとともに回転するように、第4の遊星歯車アセンブリに回転不能に連結され得る。
【0031】
一態様では、駆動シャフトは、第3および第4の遊星歯車アセンブリを通って縦に延在することができる。
【0032】
一態様では、駆動シャフトは、第3および第4の遊星歯車アセンブリの各々に対して回転可能であり得る。
【0033】
本開示の別の態様によれば、ハンドヘルド外科手術器具のハンドルアセンブリが提供される。ハンドルアセンブリは、内部に空洞を画定するハンドルハウジングと、ハンドルハウジングの空洞内で取り外し可能な受容のために構成された器具モジュールとを含む。器具モジュールは、外側シェルと、縦軸を画定する回転可能なモータシャフトを有するモータと、外側シェル内に受容され、モータに動力を供給するように構成されたバッテリと、外側シェル内に受容され、バッテリおよびモータと連絡するプリント回路基板と、モータシャフトに固定され、モータシャフトとともに回転するように構成された主太陽歯車と、第1および第2の遊星歯車アセンブリと、第2の遊星歯車アセンブリとともに回転するように構成された駆動シャフトと、モータに作動可能に連結された高トルク出力部と、高速出力部と、を含む。第1の遊星歯車アセンブリは、第1の遊星歯車アセンブリが主太陽歯車の回転に応答して縦軸の周りを回転するように、主太陽歯車に作動可能に連結されている。第2の遊星歯車アセンブリは、第2の遊星歯車アセンブリが第1の遊星歯車アセンブリの回転に応答して回転するように、第1の遊星歯車アセンブリに作動可能に連結されている。駆動シャフトは、第2の遊星歯車アセンブリに回転不能に連結された近位端部分を有する。高速出力部は、高速出力部が駆動シャフトとともに回転するように、駆動シャフトの遠位端部分に回転不能に連結されている。
【0034】
一態様では、ハンドルアセンブリは、遊星歯車アセンブリの各々と噛み合って係合する細長い輪歯車をさらに含むことができる。
【0035】
一態様では、遊星歯車アセンブリの各々は、細長い輪歯車内に配置することができる。
【0036】
一態様では、細長い輪歯車は、外側シェルに対して回転固定することができる。
【0037】
一態様では、ハンドルアセンブリは、第3および第4の遊星歯車アセンブリをさらに含むことができる。第3の遊星歯車アセンブリは、第3の遊星歯車アセンブリが第2の遊星歯車アセンブリの回転に応答して回転するように、第2の遊星歯車アセンブリに作動可能に連結され得る。第4の遊星歯車アセンブリは、第4の遊星歯車アセンブリが第3の遊星歯車アセンブリの回転に応答して回転するように、第3の遊星歯車アセンブリに作動可能に連結され得る。高トルク出力歯車は、高トルク出力部が第4の遊星歯車アセンブリとともに回転するように、第4の遊星歯車アセンブリに回転不能に連結され得る。
【0038】
一態様では、駆動シャフトは、第3および第4の遊星歯車アセンブリを通って縦に延在することができる。
【0039】
一態様では、駆動シャフトは、第3および第4の遊星歯車アセンブリの各々に対して回転可能であり得る。
【0040】
本明細書で使用される場合、平行したおよび垂直なという用語は、真の平行および真の垂直から最大で約+または-10度まで、略平行および略垂直である相対的な構成を含むものと理解される。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
外科用エンドエフェクタに動力を供給するための外科手術器具モジュールであって、上記外科手術器具モジュールが、
縦軸を画定する回転可能なモータシャフトを有するモータと、
上記モータシャフトに固定され、上記モータシャフトとともに回転するように構成された主太陽歯車と、
第1の遊星歯車アセンブリであって、上記第1の遊星歯車アセンブリが上記主太陽歯車の回転に応答して上記縦軸の周りを回転するように、上記主太陽歯車に作動可能に連結された第1の遊星歯車アセンブリと、
第2の遊星歯車アセンブリであって、上記第2の遊星歯車アセンブリが上記第1の遊星歯車アセンブリの関節ノブであって、回転に応答して回転するように、上記第1の遊星歯車アセンブリに作動可能に連結された第2の遊星歯車アセンブリと、
駆動シャフトであって、上記駆動シャフトが上記第2の遊星歯車アセンブリとともに回転するように、上記第2の遊星歯車アセンブリに回転不能に連結された駆動シャフトと、
第3の遊星歯車アセンブリであって、上記第3の遊星歯車アセンブリが上記第2の遊星歯車アセンブリの上記回転に応答して回転するように、上記第2の遊星歯車アセンブリに作動可能に連結された第3の遊星歯車アセンブリと、
第4の遊星歯車アセンブリであって、上記第4の遊星歯車アセンブリが上記第3の遊星歯車アセンブリの上記回転に応答して回転するように、上記第3の遊星歯車アセンブリに作動可能に連結された第4の遊星歯車アセンブリと、
第1の外科用エンドエフェクタの被駆動部材に作動可能に連結されるように構成された高トルク出力部であって、上記高トルク出力歯車は、上記高トルク出力部が上記第4の遊星歯車アセンブリとともに回転するように、第4の遊星歯車アセンブリに回転不能に連結された高トルク出力部と、
第2の外科用エンドエフェクタの被駆動部材に作動可能に連結されるように構成された高速出力部であって、上記高速出力部が上記駆動シャフトとともに回転するように、上記駆動シャフトに回転不能に連結された高速出力部と、を備える、外科手術器具モジュール。
(項目2)
上記高速出力部が、上記高トルク出力部内に同心円状に配置されている、上記項目に記載の外科手術器具モジュール。
(項目3)
上記高速出力部および高トルク出力部が、上記モータの起動に応答して同時に回転するように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載の外科手術器具モジュール。
(項目4)
上記高トルク出力部が、ピニオン歯車を含み、上記高速出力部が、ソケットを含む、上記項目のいずれか一項に記載の外科手術器具モジュール。
(項目5)
上記駆動シャフトが、上記第3および第4の遊星歯車アセンブリを通って縦に延在する、上記項目のいずれか一項に記載の外科手術器具モジュール。
(項目6)
上記駆動シャフトが、上記第2の遊星歯車アセンブリに固定された近位端部分と、上記高トルク出力部内に配置され、上記高トルク出力部に対して回転可能な遠位端部分とを有する、上記項目のいずれか一項に記載の外科手術器具モジュール。
(項目7)
上記高トルク出力部が、内部に空洞を画定し、上記高速出力部が、上記空洞内に受容される、上記項目のいずれか一項に記載の外科手術器具モジュール。
(項目8)
上記高速出力部が、上記駆動シャフトに対して、かつ上記駆動シャフトに沿って縦に移動するように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載の外科手術器具モジュール。
(項目9)
上記高速出力部と上記高トルク出力部の内面との間に捕捉された付勢部材をさらに備え、上記付勢部材が、上記高速出力部を遠位に付勢するように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載の外科手術器具モジュール。
(項目10)
上記遊星歯車アセンブリの各々と噛み合って係合する細長い輪歯車をさらに備える、上記項目のいずれか一項に記載の外科手術器具モジュール。
(項目11)
上記遊星歯車アセンブリの各々が上記細長い輪歯車内に配置されている、上記項目のいずれか一項に記載の外科手術器具モジュール。
(項目12)
上記細長い輪歯車が、上記モータに対して回転固定されている、上記項目のいずれか一項に記載の外科手術器具モジュール。
(項目13)
上記第1の遊星歯車アセンブリが、
第1のキャリアと、
上記第1のキャリアに回転可能に連結され、上記主太陽歯車と作動可能に係合する複数の遊星歯車と、
上記第1のキャリアに回転固定された第1の太陽歯車と、を含む、上記項目のいずれか一項に記載の外科手術器具モジュール。
(項目14)
上記第2の遊星歯車アセンブリが、
第2のキャリアと、
上記第2のキャリアに回転可能に連結され、上記第1の太陽歯車と作動可能に係合する複数の遊星歯車と、
上記第2のキャリアに回転固定された第2の太陽歯車と、を含む、上記項目のいずれか一項に記載の外科手術器具モジュール。
(項目15)
上記駆動シャフトが、上記第2の太陽歯車内に配置され、上記第2の太陽歯車に回転固定された近位端部分を有する、上記項目のいずれか一項に記載の外科手術器具モジュール。
(項目16)
上記第3の遊星歯車アセンブリが、
第3のキャリアと、
上記第3のキャリアに回転可能に連結され、上記第2の太陽歯車と作動可能に係合する複数の遊星歯車と、
上記第3のキャリアに回転固定された第3の太陽歯車と、を含む、上記項目のいずれか一項に記載の外科手術器具モジュール。
(項目17)
上記第4の遊星歯車アセンブリが、
上記高トルク出力部に回転不能に固定された第4のキャリアと、
上記第4のキャリアに回転可能に連結され、上記第3の太陽歯車と作動可能に係合する複数の遊星歯車と、を含む、上記項目のいずれか一項に記載の外科手術器具モジュール。
(項目18)
上記遊星歯車アセンブリの各々の上記複数の遊星歯車と噛み合って係合する細長い輪歯車をさらに備える、上記項目のいずれか一項に記載の外科手術器具モジュール。
(項目19)
上記細長い輪歯車が受容される外側シェルをさらに備え、上記細長い輪歯車が、上記外側シェルに対して回転不能である、上記項目のいずれか一項に記載の外科手術器具モジュール。
(項目20)
上記外側シェル内に受容され、上記モータに動力を供給するように構成されたバッテリと、
上記外側シェル内に受容され、上記バッテリおよび上記モータと連絡するプリント回路基板と、をさらに備える、上記項目のいずれか一項に記載の外科手術器具モジュール。
(摘要)
複数の個別の外科用エンドエフェクタに動力を供給するための外科手術器具モジュールは、モータ、遊星歯車ボックス、モータに作動可能に連結された高トルク/低速出力部、およびモータに作動可能に連結された高速/低トルク出力部を含む。高トルク/低速部は、第1のタイプの外科用エンドエフェクタの駆動部材に作動可能に連結されるように構成され、高速/低速出力部は、第2のタイプの外科用エンドエフェクタの動作を駆動するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本開示の実施形態は、添付の図面を参照して本明細書に記載される。
【0042】
【
図1】ハンドルアセンブリを含むハンドヘルドの電気機械外科手術器具を示す側面図であり、外科手術器具モジュールが分離して示され、シャフト部分がハンドルアセンブリに連結され、外科用エンドエフェクタがシャフト部分に連結されている。
【
図2】
図1のハンドルアセンブリのハンドルハウジングを示す部分斜視図である。
【
図3A】部品を分離した斜視図であり、動力アセンブリと外側シェルを含む
図2の外科手術器具モジュールを示している。
【
図3B】
図3Aの器具モジュールの動力アセンブリを示す組立正面図である。
【
図4】ハンドルハウジングの半分のハウジングが取り外された側面図であり、ハンドルアセンブリの内部構成要素を示している。
【
図5】
図3Aの器具モジュールのモータ、細長い輪歯車、および出力部を示す斜視図である。
【
図6】細長い輪歯車が疑似的に示されている斜視図であり、
図3Aの器具モジュールの複数の遊星歯車アセンブリを示している。
【
図7】
図5に示す構成要素の部品を分離した斜視図である。
【
図10】
図3A~3Bの器具モジュールで全て作動可能な4つの個別の外科手術器具を示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
そのハンドルアセンブリを含む本開示の外科手術器具の実施形態が、図面を参照して詳細に説明されており、図面において、同様の参照番号は、いくつかの図の各々において同一または対応する要素を指定する。本明細書で使用されるとき、用語「遠位」は、ユーザからより遠い、外科手術器具のその部分またはその構成要素を指し、一方、用語「近位」は、ユーザにより近い、外科手術器具のその部分またはその構成要素を指す。
【0044】
以下で詳細に説明するように、複数の個別のハンドヘルド外科手術器具のハンドルアセンブリで受容するように構成された外科手術器具モジュールが提供される。器具モジュールは、再利用可能であってもよく、例えば、線形ステープラー、円形ステープラー、ヘルニアタッカー、および小径血管ステープラーなどの複数の異なるタイプの外科用エンドエフェクタの様々な機能を動作させるように構成される。外科手術器具モジュールは2つの出力部を有しており、それぞれが外科手術器具モジュールの同じモータに作動可能に連結されている。高速/低トルク出力部は、高トルク/低速出力部内に同心円状に配置することができる。出力部はモータによって同時に回転するが、それぞれが互いに異なる速度とトルクで回転する。器具モジュールが受容され、作動可能に係合される外科手術器具に応じて、器具モジュールの高速/低トルク出力部または高トルク/低速出力部のいずれかが、選択された外科手術器具の対応する被駆動構成要素(例えば、ロッド、ネジ、ラック、歯車など)に係合する。このように、同じ器具モジュールは、個別の動力および速度要件を有する各々の外科手術器具にもかかわらず、様々な外科手術器具で使用することができる。開示された外科手術器具の他の特徴および利点は、以下にさらに詳述される。
【0045】
図1および2を参照すると、本開示の実施形態による外科手術器具は、概して10として指定されており、外科用エンドエフェクタ20のそれに選択的に連結するために構成された電動ハンドヘルド電気機械線形ステープラーの形態をしている。エンドエフェクタ20は、線形ステープラー10による作動および操作のために構成される。ハンドヘルド電気機械外科手術器具10は、ハンドルアセンブリ100、ハンドルアセンブリ100に連結されたノブハウジング102、およびノブハウジング102から遠位に延在し、例えば、エンドエフェクタ20などの外科用アタッチメントとの選択的接続のために構成されたシャフト部分104を含む。
【0046】
ハンドルアセンブリ100は、例えば、バレル部分118、バレル部分118から垂直に下向きに、またはバレル部分118から横方向および近位方向に延在するハンドル部分108などの本体を有する使い捨ての滅菌ハンドルハウジング110、およびハンドル部分108に枢動可能に連結されたヒンジ付きドア120を含む。ドア120は、非滅菌または滅菌外科手術器具モジュール122の挿入または取り外しを可能にするために、選択的に開閉される。ハンドル部分108およびドア120はそれぞれ、ドア120を閉鎖するときに外科手術器具モジュール122のための滅菌バリアを集合的に画定する内周を有する。一態様では、近位端部分またはバレル部分118の任意の適切な位置には、ディスプレイ(例えば液晶、図示せず)の表示を可能にするための透明な窓(図示せず)を有していてもよい。
【0047】
ハンドルアセンブリ100は、エンドエフェクタ20の様々な機能を作動させるように構成および適合された発射スイッチ106を有する。発射スイッチ106は、ハンドルハウジング110のハンドル部分108に枢動可能に連結されたトグルバーとして構成され得る。発射スイッチ106の起動により、モータ112(
図3Aおよび3B)が起動され、発射スイッチ106の上部ボタンまたは下部ボタンのどちらが作動されるかに応じて、外科手術器具10の発射ロッド(明示的に図示せず)が前進または後退する。発射ロッドは、(ナイフロッドおよび作動スレッドを含む)エンドエフェクタ20の駆動アセンブリ(明示的に図示せず)に連結され、発射ロッドの前進により、エンドエフェクタ20の駆動アセンブリが前進する。これにより、安全スイッチ116が作動状態にあるときに、エンドエフェクタ20のジョー部材26、28が閉鎖され、エンドエフェクタ20を発射する。
【0048】
ハンドルアセンブリ100は、ハンドル部分108を通って横方向に延在し、ハンドル部分108の左側および右側から外向きに突出する関節スイッチ114を有する。関節スイッチ114は、エンドエフェクタ20の関節を作動させるように構成される(例えば、エンドエフェクタ20を、水平面に沿って、シャフト部分104と同軸の位置と、シャフト部分104と整列していない複数の位置との間で移動させる)。ノブハウジング102は、ハンドルハウジング110に回転可能に連結され、シャフト部分104は、それに回転不能に連結されている。したがって、ノブハウジング102の手動回転により、エンドエフェクタ20の対応する回転がもたらされる(例えば、エンドエフェクタ20は、シャフト部分104によって画定される中心縦軸「X」の周りを回転する)。
【0049】
図1、3A、3B、および4を参照すると、ハンドルアセンブリ100の外科手術器具モジュール122は、滅菌外側シェル128と、外側シェル128に取り外し可能に受容するように構成された再利用可能な動力アセンブリ130とを含む。外側シェル128は、外側シェル128の開放下端に受容されたカバー132と、カバー132の取り外しを容易にするためのバネ式プルタブ134とを有する。
【0050】
器具モジュール122の動力アセンブリ130は、例えば、プリント回路基板136およびバッテリ138に電気的に接続または無線で接続された電気駆動モータなどのモータ112を含む。一態様では、バッテリ138は、昇圧回路を含んでもよく、(例えば、無線で)再充電可能であってもよい。バッテリ138は、ハンドルアセンブリ100のカードエッジヘッダ142の取り外し可能な受容のために構成されたカードエッジコネクタ140を有し、これにより、発射スイッチ106、安全スイッチ116、関節スイッチ114、および関節エンコーダからバッテリ138への連絡を可能にする。プリント回路基板136は、バッテリ138がUSB充電器でまたは無線で(例えば、誘導を介して)再充電されることを可能にするために、USB充電コネクタ144を含むことができる。一態様では、プリント回路基板136は、モータコントローラまたはプロセッサを有することができる。
【0051】
器具モジュール122はさらに、例えば、駆動モータ112に作動可能に連結された遊星歯車ボックスなどの歯車ボックス146と、歯車ボックス146に駆動連結され、歯車ボックス146によって画定される縦軸の周りを回転するように構成された第1および第2の出力部148、150(
図5)とを含む。歯車ボックス146は、モータ112からの動力を、高トルクおよび低速での第1の出力部148の回転、および高速および低速での第2の出力部150の回転に伝達するように構成される。モータ112による出力部148、150の回転は、エンドエフェクタ20の様々な動作を実行するために、ハンドルアセンブリ100のシャフトおよび/または歯車構成要素を駆動するように機能する。例えば、モータ112は、エンドエフェクタ20のジョー部材26、28を互いに対して移動させ、エンドエフェクタ20からステープルを発射するように構成される。
【0052】
出力部148、150の回転をエンドエフェクタ20の構成要素の移動に伝達することに関与する様々な構成要素のより詳細な説明については、2019年12月6日に出願された米国仮出願第62/944,400号を参照することができ、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0053】
図5~9を参照して、器具モジュール122の様々な構成要素のさらなる詳細がここで説明される。モータ112は、主太陽歯車154がモータシャフト152によって画定される縦軸の周りでモータシャフト152とともに回転するように、主太陽歯車154が回転不能に固定される、回転可能なモータシャフト152(
図7)を有する。歯車ボックス146は、複数の遊星歯車アセンブリ156、158、160、162と、複数の遊星歯車アセンブリ156、158、160、162の周りに配置され、作動可能に連結された細長い輪歯車164とを含む。
【0054】
第1の遊星歯車アセンブリ156は、第1の遊星歯車アセンブリ156が主太陽歯車154の回転に応答してモータシャフト152の縦軸の周りを回転するように、主太陽歯車154に作動可能に連結されている。第1の遊星歯車アセンブリ156は、出力回転速度を低下させながら、モータ112のトルク出力を増加させる。第1の遊星歯車アセンブリ156は、第1のキャリア168、第1の太陽歯車166、および複数の遊星歯車156a、156b、156cを含む。第1のキャリア168は、それに固定され、その近位側から近位方向に延在する複数(例えば、3つ)のピン156d、156e、156fを有する。第1の太陽歯車166は、第1のキャリア168の遠位側に回転固定され、モータシャフト152の縦軸と中央に整列される。遊星歯車156a、156b、156cは、第1のキャリア168の各々のピン156d、156e、156fに回転可能に連結されている。遊星歯車156a、156b、156cは、主太陽歯車154の回転に応答して回転するように、主太陽歯車154と噛み合って係合している。説明するように、細長い輪歯車164は、第1の遊星歯車アセンブリ156が主太陽歯車の154の回転に応答してモータシャフト152の縦軸の周りでユニットとして回転するように、外側シェル128(
図3A)に対して回転固定される。
【0055】
第2の遊星歯車アセンブリ158は、第2のキャリア170、第2の太陽歯車172、および複数の遊星歯車158a、158b、158cを含む。第2の遊星歯車アセンブリ158は、第1の遊星歯車アセンブリ156と比較して、トルク出力が増加し、回転速度出力が減少している。第2のキャリア170は、それに固定され、その近位側から近位方向に延在する複数(例えば、3つ)のピン158d、158e、158fを有する。第2の太陽歯車172は、第2のキャリア170の遠位側に回転固定され、モータシャフト152の縦軸と中央に整列される。第2の遊星歯車アセンブリ158の遊星歯車158a、158b、158cは、第2のキャリア170の各々のピン158d、158e、158fに回転可能に連結されている。遊星歯車158a、158b、158cは、第2の遊星歯車アセンブリ158が第1の遊星歯車アセンブリ156の回転に応答して回転するように、第1の遊星歯車アセンブリ156の第1の太陽歯車166および固定された細長い輪歯車164と噛み合って係合する。
【0056】
第3の遊星歯車アセンブリ160は、第3のキャリア174、第3の太陽歯車176、および複数の遊星歯車160a、160b、160cを含む。第3の遊星歯車アセンブリ160は、第2の遊星歯車アセンブリ158と比較して、トルク出力が増加し、回転速度出力が減少している。第3のキャリア174は、それに固定され、その近位側から近位方向に延在する複数(例えば、3つ)のピン160d、160e、160fを有する。第3の太陽歯車176は、第3のキャリア174の遠位側に回転固定され、モータシャフト152の縦軸と中央に整列される。第3の遊星歯車アセンブリ160の遊星歯車160a、160b、160cは、第3のキャリア174の各々のピン160d、160e、160fに回転可能に連結されている。第3の遊星歯車アセンブリ160の遊星歯車160a、160b、160cは、第3の遊星歯車アセンブリ160が第2の遊星歯車アセンブリ158の回転に応答してユニットとして回転するように、第2の遊星歯車アセンブリ158の第2の太陽歯車172および細長い輪歯車164と噛み合って係合する。
【0057】
第4の遊星歯車アセンブリ162は、第4のキャリア178および複数の遊星歯車162a、162b、162cを含む。第4の遊星歯車アセンブリ162は、第3の遊星歯車アセンブリ160と比較して、トルク出力が増加し、回転速度出力が減少している。第4のキャリア178は、第1の出力部148の近位端に接続されるか、一体的に形成されるか、または他の場合には回転不能に連結されており、第4のキャリア178は、それに固定され、かつその近位側から近位に延在する複数(例えば、3つ)のピン162d、162e、162fを有する。第4の遊星歯車アセンブリ162の遊星歯車162a、162b、162cは、第4のキャリア178の各々のピン162d、162e、162fに回転可能に連結されている。第4の遊星歯車アセンブリ162の遊星歯車162a、162b、162cは、第4の遊星歯車アセンブリ162および第1の出力部148が第3の遊星歯車アセンブリ160の回転に応答して共に回転するように、第3の遊星歯車アセンブリ160の第3の太陽歯車176および細長い輪歯車164と噛み合っている。歯車ボックス146は、4つより多いか、または少ない遊星歯車アセンブリおよび/または他のタイプの歯車を含み得ることが企図されている。
【0058】
図5~9を引き続き参照すると、第1の出力部148は、比較的高いトルク(例えば、約625オンスイン)および比較的低速(例えば、24rpm)を生成するように構成され、細長い輪歯車164の遠位端部分に受容された円筒形本体148aと、例えば、円筒形本体148aの遠位端部分とともに形成されたピニオン歯車などの歯車148bとを含む。第1の出力部148のピニオン歯車148bは、例えば、線形ステープラー10の外科用エンドエフェクタ20(
図1および10)または円形ステープラー310(
図10)の外科用エンドエフェクタ300(
図10)などの、第1のタイプの外科用エンドエフェクタの被駆動部材(明示的に図示せず)に選択的に作動可能に連結されるように構成される。ハンドルアセンブリ100、302または外科手術器具10、310の他の構成要素は、それぞれのハンドルアセンブリ100、302内の外科手術器具モジュール122の受容時に、ピニオン歯車148bと選択的に係合するように構成された対応する被駆動構成要素(例えば、歯車、ラックなど)を有することが企図されている。
【0059】
外科手術器具モジュール122は、駆動シャフト180が第2の遊星歯車アセンブリ158とともに回転するように構成されるように、第2の遊星歯車アセンブリ158に回転不能に連結された近位端部分180aを有する駆動シャフト180をさらに含む。特に、駆動シャフト180の近位端部分180aは、第2の遊星歯車アセンブリ158の第2の太陽歯車172内に受容され、回転固定される。駆動シャフト180は、その中で自由に回転可能でありながら、第3および第4の遊星歯車アセンブリ160、162を通って縦に延在する遠位端部分180bを有する。駆動シャフト180の遠位端部分180bは、例えば、トライローブ形状などの非円形断面形状を有してもよい。
【0060】
第2の出力部150は、駆動シャフト180の遠位端部分180bに取り付けられ、駆動シャフト180の縦軸の周りで駆動シャフト180とともに回転するように構成される。第2の出力150は、比較的低いトルク(例えば、25オンスイン)および比較的高速(例えば、600rpm)を生成するように構成され、第1の出力部148とは異なるタイプの外科用エンドエフェクタの対応する被駆動要素(明示的に図示せず)に作動可能に連結するように構成されたソケット151を含む。例えば、外科手術器具モジュール122の第2の出力部150は、ヘルニアタッカー410の外科用エンドエフェクタ400(
図10)または小径血管ステープラー500(
図10)の外科用エンドエフェクタ510(
図10)の機能を実行するように構成することができる。外科手術器具410、510のハンドルアセンブリまたは他の構成要素は、それぞれのハンドルハウジング内の外科手術器具モジュール122の受容時に、ソケット151に選択的に係合するように構成された対応する駆動構成要素(例えば、ロッド)を有することが企図されている。
【0061】
第2の出力部150は、第1の出力部148内に同心円状に配置され、同じモータ、すなわちモータ112の起動に応答して第1の出力部148と同時に回転するように構成される。しかしながら、上記のように、第1および第2の出力部148、150は、互いに異なる速度および異なるトルクで回転する。第2の出力部150は、第1の出力部148の円筒形本体148aで画定された細長い空洞182で受容される。付勢部材184は、空洞182内に配置され、第2の出力部150と第1の出力部148の円筒形本体148aの内面との間に捕捉される。付勢部材184は、第2の出力部150を第1の出力部148内で同心円状になる位置に第2の出力部150を遠位に付勢するように構成される。付勢部材184は、第2の出力150のソケット151がエンドエフェクタアセンブリの被駆動要素と半径方向に整列していない場合でも、第2の出力部150がソケット151を被駆動要素と半径方向に整列するように回転させると、ソケット151が被駆動要素と係合することを確実にする。
【0062】
図5~9を引き続き参照すると、歯車ボックス146の細長い輪歯車164は、遊星歯車アセンブリ156、158、160、162のそれぞれを封入し、外側シェル128(
図3A)およびモータ112に対して回転固定される。細長い輪歯車164は、遊星歯車アセンブリ156、158、160、162の各々の遊星歯車と噛み合って係合している複数の縦に延在する歯186を画定する環状の内面を有する。第1のブッシング188は、細長い輪歯車164の第1の出力部148を捕捉するために提供されてもよく、第2のブッシング190は、第1の出力部148の第2の出力部150を捕捉するために提供されてもよい。
【0063】
動作時には、実行する動作に適した外科手術器具が選択される。例えば、線形ステープラー10(
図10)を選択することができる。線形ステープラー10は、通常、高トルクおよび低速で展開されるステープルを受容するのにより適したタイプの組織をステープル留めするために使用される。外科手術器具モジュール122は、線形ステープラー10のハンドルハウジング110に挿入され、それによって、第1の出力部148のピニオン歯車148bは、ラック161(
図4)または線形ステープラー10のハンドルアセンブリ100の対応するピニオン歯車などの被駆動要素と作動可能に係合する。一態様では、外科手術器具モジュール122をハンドルハウジング110に通すのを支援するために、滅菌の漏斗形状の挿入ガイドを実装することができる。挿入ガイドが取り外されると、ハンドルハウジング110は、この滅菌移送処置を通して滅菌のままである。
【0064】
器具モジュール122がハンドルハウジング110内に配置された状態で、ドア120が閉鎖され、それにより、器具モジュール122を滅菌ハンドル部分108に密封する。さらに、ハンドルアセンブリ100のプリント回路基板126のカードエッジヘッダ142は、器具モジュール130のカードエッジコネクタ140に接続されている。
【0065】
線形ステープラー10の外科用エンドエフェクタ20を動作させるために、発射スイッチ106(
図1)を切り替えることができ、それにより、器具モジュール122のバッテリ138がモータ112に動力を供給し、モータ112が第1、第2、第3、および第4の遊星歯車アセンブリ156、158、160、162の回転を順番に駆動する。遊星歯車アセンブリ156、158、160、162は、モータ112から発生するトルクおよび速度と比較して、トルクを連続的に増強し、第1の出力部148のピニオン歯車148bによって出力される速度を低減する。第1の出力部148による高トルク低速出力部は、結果として、エンドエフェクタ20からステープルの組織への前進を強い力および低速で行う。
【0066】
別の外科的処置、例えばヘルニア修復処置を実施する場合は、線形ステープラー10ではなく、ヘルニアタッカー410(
図10)を使用するために選択することができる。組織を適切に治療するために、ヘルニアタッカー410は、線形ステープラー10よりも少ないトルクを必要とするが、より高い作動速度を必要とする。器具モジュール122は、ヘルニアタッカー410のハンドル部分412に挿入され、それによって、第2の出力部150のソケット151は、ヘルニアタッカー410の被駆動要素(例えば、ロッド)と係合する。
【0067】
ヘルニアタッカー410の外科用エンドエフェクタ400を動作させるために、ヘルニアタッカー410の発射スイッチ414を切り替えることができ、それにより、器具モジュール122のバッテリ138がモータ112に動力を供給し、モータが第1および第2の遊星歯車アセンブリ156、158の回転を順番に駆動する。駆動シャフト180は、第2の遊星歯車アセンブリ158の第2の太陽歯車172に固定されているので、駆動シャフト180は、第2の遊星歯車アセンブリ158の回転とともに回転する。駆動シャフト180の遠位端部分180bに回転不能に取り付けられている第2の出力部150は、駆動シャフト180とともに回転して、低トルクおよび高速での組織への外科用鋲の展開など、ヘルニアタッカー410の機能を実行する。
【0068】
第1および第2の駆動出力部148、150の各々は、特定の外科手術器具の2つの別個の駆動要素に同時に連結されて、外科手術器具の個別の機能を実行することができると企図されている。
【0069】
本明細書に記載の構成要素のいずれも、強度、耐久性、耐摩耗性、重量、耐腐食性、製造の容易さ、製造コストなどを考慮して、金属、プラスチック、樹脂、複合材料などのいずれかから製造され得る。本明細書に開示される歯車のいずれも、ベベル歯車、平歯車、スパイラル歯車、ウォーム歯車などの任意の適切な歯車として構成することができる。
【0070】
本開示の外科手術器具および外科手術器具モジュールの実施形態に対して種々の改変がなされ得ることが理解されるであろう。したがって、上の説明は、限定するものではなく、単に実施形態の例証として解釈されるべきである。当業者であれば、本開示の範囲および趣旨内での他の改変を想定するであろう。