(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022032957
(43)【公開日】2022-02-25
(54)【発明の名称】削り取り方式による強磁性不純物分離装置
(51)【国際特許分類】
B03C 1/28 20060101AFI20220217BHJP
B03C 1/00 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
B03C1/28 105
B03C1/28 103
B03C1/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091251
(22)【出願日】2021-05-31
(31)【優先権主張番号】109127303
(32)【優先日】2020-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】520448773
【氏名又は名称】泰▲車▼實業有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners 特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】魏 仕誼
(72)【発明者】
【氏名】張 文成
(72)【発明者】
【氏名】謝 坤庭
(72)【発明者】
【氏名】林 肯▲徳▼
(72)【発明者】
【氏名】李 保定
(72)【発明者】
【氏名】王 榮輝
(72)【発明者】
【氏名】洪 甲穎
(72)【発明者】
【氏名】王 甫丞
(72)【発明者】
【氏名】康 何齊
(57)【要約】
【課題】削り取り方式による強磁性不純物分離装置を提供する。
【解決手段】強磁性不純物分離装置はメインハウジング、サブハウジングおよび複数の磁気柵部材を備える。メインハウジングは材料流動通路および移動経路を明確に区別する。サブハウジングはメインハウジングに連結される。複数の磁気柵部材はメインハウジングおよびサブハウジング内に重なって配置され、架台、複数の磁性ユニットおよび削り取り機構を有する。架台はメインハウジングおよびサブハウジング内に移動経路に沿って移動できるように配置される。複数の磁性ユニットは架台に固定され、それぞれ磁性ゾーンおよび非磁性ゾーンを有する。削り取り機構は移動可能な空間がサブハウジングによって制限されたうえで架台および複数の磁性ユニットに接続され、流動中の材料の含有した強磁性不純物を二段階で削り取る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインハウジング、サブハウジングおよび複数の磁気柵部材を備え、
前記メインハウジングは材料流入口、材料流出口、第一収容空間、移動経路および前記移動経路の方向に位置する第一長さを有し、前記第一収容空間は前記材料流入口と前記材料流出口との間に位置付けられて材料流動通路を形成し、
前記サブハウジングは前記メインハウジングに連結され、第二収容空間および第二長さを有し、前記第二収容空間は前記第一収容空間に隣接し、前記第二長さは前記移動経路の方向に位置し、前記第一長さより小さく、
複数の前記磁気柵部材は前記メインハウジングおよび前記サブハウジング内に重なって配置され、架台、複数の磁性ユニットおよび削り取り機構を有し、
前記架台は前記メインハウジングおよび前記サブハウジングによって支えられ、前記移動経路に沿って内蔵位置、中間位置および伸長位置の間を移動でき、
複数の前記磁性ユニットはそれぞれ前記架台に固定され、磁性ゾーン、非磁性ゾーンおよび前記移動経路の方向に位置する第三長さを有し、前記第三長さは前記第一長さより小さく、前記第二長さより大きく、
前記架台を前記内蔵位置に維持すれば、それぞれの前記磁性ユニットは前記メインハウジングの前記第一収容空間内に収容されて流動中の材料に接触し、
前記架台を前記内蔵位置から前記中間位置まで移動させれば、それぞれの前記磁性ユニットは前記架台とともに同調作動し、前記第二長さに相当する第一距離まで移動し、一部分が前記メインハウジングの前記第一収容空間内に位置し、別の一部分が前記サブハウジングの前記第二収容空間内に位置し、
前記架台を前記中間位置から前記伸長位置まで移動させれば、それぞれの前記磁性ユニットは前記架台とともに同調作動し、前記第三長さに相当する第二距離まで移動し、一部分が前記サブハウジングの外側に位置し、前記非磁性ゾーンを含む別の一部分が前記サブハウジングの前記第二収容空間内に位置し、
前記削り取り機構は複数の前記磁性ユニットの長軸に沿って滑動できるように前記サブハウジングの前記第二収容空間内に配置され、かつ滑動距離が前記第二長さ以内に制限されたうえで前記架台および複数の前記磁性ユニットに接続され、
前記架台を前記内蔵位置に維持すれば、前記削り取り機構は前記サブハウジングの前記第二収容空間の一側に位置し、
前記架台を前記内蔵位置から前記中間位置まで移動させれば、前記削り取り機構は前記架台とともに同調移動し、前記サブハウジングの前記第二収容空間の別の一側に位置し、続いて前記架台が前記移動経路に沿って持続的に移動すれば、複数の前記磁性ユニットの一部分に吸着した強磁性不純物を複数の前記磁性ユニットの別の部位に移転して積み上げることができ、
前記架台を前記中間位置から前記伸長位置まで移動させれば、前記削り取り機構は本来の位置に維持され、続いて前記削り取り機構が前記移動経路と反対の方向に移動すれば複数の前記磁性ユニットの別の部位に堆積した強磁性不純物を複数の前記磁性ユニットの前記非磁性ゾーンに移転して落下させることができることを特徴とする強磁性不純物分離装置。
【請求項2】
前記架台は前側支持板、後側支持板、前記前側支持板に相対する面板、二つのガイドロッドおよび一つ以上の連結棒を有し、二つの前記ガイドロッドはそれぞれ前記面板と前記後側支持板との間に接続され、第四長さを有し、前記第四長さは前記移動経路の方向に位置し、前記第三長さより大きく、一つ以上の前記連結棒は前記前側支持板と前記面板との間に連結されることを特徴とする請求項1に記載の強磁性不純物分離装置。
【請求項3】
一つ以上の前記連結棒は前記第二長さに相当する第五長さを有することを特徴とする請求項2に記載の強磁性不純物分離装置。
【請求項4】
複数の前記磁性ユニットは二つの前記ガイドロッドの間に相互に平行するように前記架台に固定され、非磁性ロッド、磁石セットおよび非磁性物体を有し、前記非磁性ロッドは前記前側支持板に連結される近端部と、前記後側支持板に連結される遠端部とを有し、前記磁石セットは前記非磁性ロッドの前記近端部の中に格納され、かつ少なくとも前記非磁性ロッドの中間部位まで伸びて前記磁性ゾーンを生成し、前記非磁性物体は前記非磁性ロッドの前記遠端部の中に格納され、前記磁石セットまで伸びて前記非磁性ゾーンを生成することを特徴とする請求項2に記載の強磁性不純物分離装置。
【請求項5】
前記非磁性ロッドは断面がしずくの形であることを特徴とする請求項4に記載の強磁性不純物分離装置。
【請求項6】
前記削り取り機構はさらに基板、第一スクレーパーおよび第二スクレーパーを有し、前記基板は二つの前記ガイドロッドに接続され、窓口を有し、前記第一スクレーパーは前記基板の一側に固定され、所定の硬さの第一材料から製作され、かつ若干の前記基板の前記窓口に対応する第一穿孔を有し、
複数の前記磁性ユニットの前記非磁性ロッドは前記第一スクレーパーを貫通し、外周面が前記第一穿孔の内側表面に密接することを特徴とする請求項4に記載の強磁性不純物分離装置。
【請求項7】
前記削り取り機構はさらに前記第二スクレーパーを有し、前記第二スクレーパーは前記基板の別の一側に固定され、前記第一材料より硬さが小さい第二材料から製作され、かつ若干の前記第一穿孔に対応する第二穿孔を有し、前記第二穿孔は内径が複数の前記磁性ユニットの外径より小さく、
複数の前記磁性ユニットの前記非磁性ロッドは相互に干渉したうえで前記第二穿孔から前記第二スクレーパーを貫通することを特徴とする請求項6に記載の強磁性不純物分離装置。
【請求項8】
前記削り取り機構はさらに位置決めプレートを有し、前記位置決めプレートは複数の前記第二穿孔に相対する第三穿孔を有し、前記位置決めプレートは前記基板の一側に固定され、前記第二スクレーパーは前記位置決めプレートと前記基板との間に安定するように固定されることを特徴とする請求項7に記載の強磁性不純物分離装置。
【請求項9】
前記メインハウジングは第一開口部および前記第一開口部の両側に位置する二つの第一支持板を有し、
複数の前記磁気柵部材は前記第一開口部によって前記第一収容空間に差し込まれるか、前記第一収容空間から引き出され、それぞれの前記架台の前記ガイドロッドは前記第一支持板を貫通することによって前記メインハウジング内に安定し、かつ前記移動経路に沿って移動することができることを特徴とする請求項2に記載の強磁性不純物分離装置。
【請求項10】
前記メインハウジングはさらに板状ストッパーを有し、前記板状ストッパーは前記第一開口部に配置され、複数のガイド孔を有し、
複数の前記磁性ユニットはそれぞれ前記ガイド孔を貫通し、
前記架台を前記内蔵位置に維持すれば、前記前側支持板は前記板状ストッパーによって遮断され、前記第二収容空間内に維持され、
前記架台を前記伸長位置に維持すれば、前記後側支持板は前記板状ストッパーによって遮断され、前記第一収容空間内に維持されることを特徴とする請求項9に記載の強磁性不純物分離装置。
【請求項11】
前記サブハウジングは二つの側板および二つの第二支持板を有し、二つの前記側板は第二開口部を有する前記第二収容空間を構成し、二つの前記第二支持板は前記第二開口部の両側に配置され、
複数の前記磁気柵部材は前記第二開口部によって前記第一開口部に差し込まれるか、前記第一開口部から引き出され、それぞれの前記架台の前記ガイドロッドは前記第二支持板を貫通することによって前記サブハウジング内に安定し、かつ前記移動経路に沿って移動することができることを特徴とする請求項9に記載の強磁性不純物分離装置。
【請求項12】
前記サブハウジングは二つの前記側板にさらに複数のガイド溝を有し、複数の前記ガイド溝は相互に間隔を保って前記移動経路に沿って伸びていくように配置され、複数の前記ガイド溝は前記移動経路に沿って伸びる長さによって前記第一距離を定義し、
前記削り取り機構はさらに二つのハンドルグリップを有し、二つの前記ハンドルグリップは基板の両側に固定され、それぞれ対応する前記ガイド溝を貫通して外部に露出し、作業を行う際、二つの前記ハンドルグリップを握って使えば前記削り取り機構を前記ガイド溝に沿って移動させることができることを特徴とする請求項11に記載の強磁性不純物分離装置。
【請求項13】
さらに一つ以上のロック装置を備え、
一つ以上の前記ロック装置は前記サブハウジングに配置され、複数の前記磁気柵部材を所定の位置にロックすることができることを特徴とする請求項1に記載の強磁性不純物分離装置。
【請求項14】
さらに複数の第一リニアモーターおよび複数の第二リニアモーターを備え、
複数の前記第一リニアモーターは前記メインハウジングに配置され、それぞれ前記架台に接続されて前記架台の往復移動を制御し、
複数の前記第二リニアモーターは前記メインハウジングに配置され、それぞれ前記削り取り機構に接続されて前記削り取り機構の移動を制御することを特徴とする請求項1に記載の強磁性不純物分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動中の材料から強磁性不純物を分離させる設備に関し、詳しくは二段階で強磁性不純物を削り取る方式を採用する強磁性不純物分離装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1により掲示された引き出し式強磁性不純物分離設備において、複数の非磁性スリーブは相互に平行するように架台に固定される。複数の分離可能な磁気ロッドはそれぞれ非磁性スリーブ内に格納される。複数の磁気ロッドをそれぞれ非磁性スリーブ内に位置させれば、流動中の材料の含有した強磁性不純物は複数の非磁性スリーブの表面に吸着する。複数の磁気ロッドと複数の非磁性スリーブとが分離すると、複数の非磁性スリーブの表面に付着した強磁性不純物が自動的に落下する。言い換えれば、流動中の材料の含有した強磁性不純物は複数の磁気ロッドに間接的に吸引されるため、複数の磁気ロッドの吸引力は完全に発揮されることができない。また、特許文献1は複数の非磁性スリーブの表面に付着した強磁性不純物を自動的に落下させて除去する方式を採用するため、強磁性不純物を完全に除去することができない。
【0003】
特許文献2により掲示された別の引き出し式強磁性不純物分離設備において、一組の磁気ロッドはハウジングの内外を往復移動可能にハウジングに配置され、削り取り部材を有する。一組の磁気ロッドをハウジング内に位置させれば、ハウジングを流れる材料中の強磁性不純物は一組の磁気ロッドに吸引されて付着する。一組の磁気ロッドをハウジングの外部に位置させれば、一組の磁気ロッドに付着した強磁性不純物は一組の磁気ロッドの削り取り部材によって除去される。特許文献2は流動中の材料の含有した強磁性不純物を磁気ロッドに直接に付着させる方式を採用するため、特許文献1の問題点を解決できる。しかし、特許文献2において、設備のハウジングは磁気ロッドに直接に連結される。磁気ロッドが移動すれば磁力が磁気ロッドに干渉する。言い換えれば、磁気ロッドを外部に引き出す際、設備の稼働を停止しなければならない。従って、特許文献1および特許文献2の問題点を同時に改善できる強磁性不純物分離装置は期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4,867,869号明細書
【特許文献2】米国特許第6,902,066号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記特許文献の問題点を改善できる強磁性不純物分離装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、強磁性不純物分離装置はメインハウジング、サブハウジングおよび複数の磁気柵部材を備える。メインハウジングは材料流入口、材料流出口、第一収容空間、移動経路および移動経路の方向に位置する第一長さを有する。第一収容空間は材料流入口と材料流出口との間に位置付けられて材料流動通路を形成する。サブハウジングはメインハウジングに連結され、第二収容空間および第二長さを有する。第二収容空間は第一収容空間に隣接する。第二長さは移動経路の方向に位置し、第一長さより小さい。複数の磁気柵部材はメインハウジングおよびサブハウジング内に重なって配置され、架台、複数の磁性ユニットおよび削り取り機構を有する。
【0007】
架台はメインハウジングおよびサブハウジングによって支えられ、移動経路に沿って内蔵位置、中間位置および伸長位置の間を移動することができる。
【0008】
複数の磁性ユニットはそれぞれ磁性ゾーン、非磁性ゾーンおよび移動経路の方向に位置する第三長さを有する。第三長さは第一長さより小さく、第二長さより大きい。複数の磁性ユニットは架台に固定される。架台を内蔵位置に維持すれば、それぞれの磁性ユニットはメインハウジングの第一収容空間内に収容されて流動中の材料に接触する。架台を内蔵位置から中間位置まで移動させれば、それぞれの磁性ユニットは架台とともに第二長さに相当する第一距離を同調移動し、一部分がメインハウジングの第一収容空間内に位置し、別の一部分がサブハウジングの第二収容空間内に位置する。架台を中間位置から伸長位置まで移動させれば、それぞれの磁性ユニットは架台とともに第三長さに相当する第二距離を同調移動し、一部分がサブハウジングの外側に位置し、非磁性ゾーンを含む別の一部分がサブハウジングの第二収容空間内に位置する。
【0009】
削り取り機構は複数の磁性ユニットの長軸に沿って滑動できるようにサブハウジングの第二収容空間内に配置され、かつ滑動距離が第二長さ以内に制限されたうえで架台および複数の磁性ユニットに接続される。架台を内蔵位置に維持すれば、削り取り機構はサブハウジングの第二収容空間の一側に位置する。架台を内蔵位置から中間位置まで移動させれば、削り取り機構は架台とともに同調移動し、サブハウジングの第二収容空間の別の一側に位置する。このとき架台が移動経路に沿って持続的に移動すれば、複数の磁性ユニットの一部分に吸着した強磁性不純物を削り取ってそれらを複数の磁性ユニットの別の部位に積み上げることができる。架台を中間位置から伸長位置まで移動させれば、削り取り機構は本来の位置に復元する。このとき削り取り機構が移動経路と反対の方向に移動すれば複数の磁性ユニットの別の部位に累積した強磁性不純物を削り取って複数の磁性ユニットの非磁性ゾーンに落下させることができる。
【0010】
強磁性不純物分離装置の一つの特徴は次のとおりである。架台は前側支持板、後側支持板、前側支持板に相対する面板、二つのガイドロッドおよび一つ以上の連結棒を有する。二つのガイドロッドはそれぞれ面板と後側支持板との間に接続され、第四長さを有する。第四長さは移動経路の方向に位置し、第三長さより大きい。一つ以上の連結棒は前側支持板と面板との間に連結される。
【0011】
強磁性不純物分離装置の別の一つの特徴は次のとおりである。複数の磁性ユニットは二つのガイドロッドの間に相互に平行するように架台に固定される。複数の磁性ユニットは非磁性ロッド、磁石セットおよび非磁性物体を有する。非磁性ロッドは前側支持板に連結される近端部と、後側支持板に連結される遠端部とを有する。磁石セットは非磁性ロッドの近端部の中に格納され、かつ少なくとも非磁性ロッドの中間部位まで伸びて磁性ゾーンを生成する。非磁性物体は非磁性ロッドの遠端部の中に格納され、磁石セットまで伸びて非磁性ゾーンを生成する。
【0012】
強磁性不純物分離装置の別の一つの特徴は次のとおりである。削り取り機構はさらに基板、第一スクレーパーおよび第二スクレーパーを有する。基板は二つのガイドロッドに接続され、窓口を有する。第一スクレーパーは基板の一側に固定され、所定の硬さの第一材料から製作され、かつ若干の基板の窓口に対応する第一穿孔を有する。複数の磁性ユニットの非磁性ロッドは第一スクレーパーに差し込まれ、外周面が第一穿孔の内側表面に密接する。第二スクレーパーは基板の別の一側に固定され、第一材料より硬さが小さい第二材料から製作され、かつ若干の第一穿孔に対応する第二穿孔を有する。第二穿孔は内径が複数の磁性ユニットの外径より小さい。複数の磁性ユニットの非磁性ロッドは相互に干渉したうえで第二スクレーパーの第二穿孔を通って第二スクレーパーに差し込まれる。
【0013】
強磁性不純物分離装置の別の一つの特徴は次のとおりである。メインハウジングは第一開口部および二つの第一支持板を有する。架台は第一開口部によって第一収容空間に差し込まれるか、第一収容空間から引き出される。二つの第一支持板は第一開口部の両側に配置される。それぞれの架台のガイドロッドは第一支持板を貫通することによってメインハウジングに支えられ、かつ移動経路に沿って移動することができる。メインハウジングはさらに板状ストッパーを有する。板状ストッパーは第一開口部に配置され、複数のガイド孔を有する。複数の磁性ユニットはそれぞれガイド孔を貫通する。架台を内蔵位置に維持すれば、それぞれの前側支持板は板状ストッパーによって遮断され、第二収容空間内に維持される。架台を伸長位置に維持すれば、それぞれの後側支持板は板状ストッパーによって遮断され、第一収容空間内に維持される。
【0014】
強磁性不純物分離装置の別の一つの特徴は次のとおりである。サブハウジングは二つの側板および二つの第二支持板を有する。二つの側板は第二収容空間を構成する。第二収容空間は第二開口部を有する。それぞれの架台は第二開口部によって第一開口部に差し込まれるか、第一開口部から引き出される。二つの第二支持板は第二開口部の両側に配置される。それぞれの架台のガイドロッドは第二支持板を貫通することによってサブハウジングに支えられ、かつ移動経路に沿って移動することができる。サブハウジングはさらに複数のガイド溝を有する。複数のガイド溝は相互に間隔を保って移動経路に沿って伸びていくように二つの側板に配置される。複数のガイド溝は移動経路に沿って伸びる長さによって第一距離を定義する。削り取り機構はさらに二つのハンドルグリップを有する。二つのハンドルグリップは基板の両側に固定され、それぞれ対応するガイド溝を貫通して外部に露出する。作業を行う際、作業員がハンドルグリップを握って削り取り機構をガイド溝に沿って移動させることができる。
【0015】
強磁性不純物分離装置はさらに一つ以上のロック装置を備える。一つ以上のロック装置はサブハウジングに配置され、磁気柵部材を所定の位置にロックすることができる。
【0016】
強磁性不純物分離装置はさらに複数の第一リニアモーターおよび第二リニアモーターを備える。複数の第一リニアモーターはメインハウジングに配置され、それぞれ架台に接続されて架台の往復移動を制御する。複数の第二リニアモーターはメインハウジングに配置され、それぞれ削り取り機構に接続されて削り取り機構の移動を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態による強磁性不純物分離装置を示す分解斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態による強磁性不純物分離装置の一つの磁気柵部材を示す斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態による強磁性不純物分離装置の一つの磁気柵部材の磁性ユニットを示す斜視図である。
【
図6】本発明の第1実施形態による強磁性不純物分離装置の一つの磁気柵部材の削り取り機構を示す分解斜視図である。
【
図7】本発明の第1実施形態による強磁性不純物分離装置においてそれぞれの磁気柵部材が内蔵位置に据えられた状態を示す斜視図である。
【
図8】本発明の第1実施形態による強磁性不純物分離装置において一番上の磁気柵部材が伸長位置に据えられた状態を示す斜視図である。
【
図9】本発明の第1実施形態による強磁性不純物分離装置において一番上の磁気柵部材が中間位置に据えられた状態を示す平面図である。
【
図10】本発明の第1実施形態による強磁性不純物分離装置において一番上の磁気柵部材が伸長位置に据えられた状態を示す平面図である。
【
図11】本発明の第1実施形態による強磁性不純物分離装置において一番上の磁気柵部材の削り取り機構が移動経路Pと反対の方向に移動する過程を示す平面図である。
【
図12】本発明の第1実施形態による強磁性不純物分離装置において一番上の磁気柵部材の削り取り機構が移動経路Pと反対の方向に移動する過程を示す平面図である。
【
図13】本発明の第2実施形態による強磁性不純物分離装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明による強磁性不純物分離装置を図面に基づいて説明する。
【0019】
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明の第1実施形態による強磁性不純物分離装置100はメインハウジング10、メインハウジング10に隣接するサブハウジング30、サブハウジング30の下方に配置された収集器50および三つの磁気柵部材60を備える。
【0020】
メインハウジング10は二つの第一側板102、104、二つの第一支持板106、108および板状ストッパー110を有する。二つの第一側板102、104は第一収容空間12と、第一収容空間12に別々に繋がる材料流入口14および材料流出口16と、材料流入口14と材料流出口16との間に位置する第一開口部18を明確に区別する。
【0021】
第一収容空間12は材料流動通路と、材料流動通路に垂直の移動経路Pと、移動経路Pに沿って伸びていく第一長さL1とを明確に区別する。板状ストッパー110は第一開口部18に配置される。二つの第一支持板106、108は板状ストッパー110の両側に固定される。
【0022】
サブハウジング30は二つの第二側板302、304、二つの第二支持板306、308、天板307および二つの横棒38を有する。二つの第二側板302、304および天板307は第二収容空間32、収集口34および第二開口部36を明確に区別する。天板307は上方孔313を有する。収集器50は収集口34の下方に位置する。第二収容空間32は移動経路Pに沿って伸びていく第二長さL2を有する。第二収容空間32と第一収容空間12は移動経路Pの方向において相互に隣接する。第二長さL2は第一長さL1より小さい。二つの横棒38は二つの第二側板302、304に固定され、第二開口部36を三つの出口361、362、363に分割する。上述した構造特徴により、第二開口部36から三つの磁気柵部材60を別々に差し込んだり引き出したりすることができ、天板307の上方孔313から第二収容空間32を観察することができる。
【0023】
三つの磁気柵部材60は構造が同じであるが、磁性ユニットの数が同じであるとは限らない。以下、そのうちの一つの磁気柵部材60を挙げて説明を進める。
図2に示すように、磁気柵部材60は架台61、六つの磁性ユニット70および削り取り機構90を有する。架台61はメインハウジング10およびサブハウジング30によって支えられ、移動経路Pに沿って内蔵位置、中間位置および伸長位置の間を移動することができる。
【0024】
架台61は相互に所定の距離を置く前側支持板62および後側支持板64、前側支持板に相対する面板66、二つのガイドロッド80および二つの連結棒82を有する。前側支持板62は第一幅W1によって第一エリアを明確に設定する。後側支持板64は第一幅W1より大きい第二幅W2によって第一エリアに相対する第二エリアと、ガイドロッド80の一端を固定するための両側辺部とを明確に設定する。磁性ユニット70は一端が第一エリアに固定され、別の一端が第二エリアに固定される。
【0025】
六つの磁性ユニット70は相互に平行するように配置され、一端が前側支持板62に固定され、別の一端が後側支持板64に固定される。
図2から
図5に示すように、六つの磁性ユニット70はそれぞれ非磁性ロッド701、磁石セット720および非磁性物体742を有する。非磁性ロッド701は移動経路Pに位置する第三長さL3、前側支持板62に連結される近端部702と、後側支持板64に連結される遠端部704とを有する。連結方式はボルトなどの締結部材を採用してもよい。本実施形態において、非磁性ロッド71は断面がしずくの形であるため、非磁性ロッド71の先端部に材料が堆積することを抑制することができる。磁石セット720は断面が円形の複数の磁石722と、二つずつ隣り合う磁石22の間に配置された複数のスペーサー724とを有する。磁石セット720は非磁性ロッド701中に格納され、かつ少なくとも近端部702から非磁性ロッド701の中間部位に伸びて磁性ゾーン72を生成する。非磁性物体742は非磁性ロッド701内に格納され、遠端部704から磁石セット720に接触するまで伸びて非磁性ゾーン74を生成する。詳しく言えば、非磁性ロッド701の第三長さL3は第一長さL1より小さく、第二長さL2より大きい。
【0026】
図2に示すように、二つのガイドロッド80はそれぞれ面板66と後側支持板64との間に接続され、第三長さL3より大きい第四長さL4を有する。第四長さは移動経路の方向に位置し、第三長さより大きい。一つのガイドロッド80は第一端802が面板66の一側に連結され、第二端804が後側支持板64の一側に連結される。別の一つのガイドロッド80は第一端802が面板66の別の一側に連結され、第二端804が後側支持板64の別の一側に連結される。二つの連結棒82はそれぞれ面板66と前側支持板62との間に配置され、第三長さL3と同じ第五長さL5を有する。それぞれの連結棒82は前端部822が面板66に連結され、後端部824が前側支持板62に連結される。
【0027】
図6に示すように、削り取り機構90はサブハウジング30の第二収容空間32内に配置され、かつ六つの磁性ユニット70の表面に接触したうえで磁性ユニット70の長軸に沿って滑動することができる。削り取り機構90は基板92、第一スクレーパー94、第二スクレーパー96および位置決めプレート98を有する。
【0028】
基板92は中央に位置する窓口920と、両端に位置する穿孔922とを有する。二つのガイドロッド80はそれぞれ穿孔922を貫通する。
【0029】
第一スクレーパー94は所定の硬さの第一材料(例えばMono Cast Nylon)から製作され、基板92の一側に固定され、かつ基板92の窓口920に対応する部位に複数の第一穿孔942を有する。六つの磁性ユニット70は第一穿孔942を貫通する。それぞれの第一穿孔942の内周面は対応する磁性ユニット70の外周面に密接する。
【0030】
第二スクレーパー96は第一材料より硬さが小さい第二材料(例えばシリコーン)から製作され、基板92の別の一側に固定され、かつ基板92の窓口920に対応する部位に複数の第二穿孔962を有する。六つの磁性ユニット70は第二穿孔962を貫通する。本実施形態において、第二穿孔962の内径が非磁性ロッド701の外径より小さいため、相互に干渉する方式によって非磁性ロッド701に付着した強磁性不純物を効果的に削り取ることができる。
【0031】
位置決めプレート98は複数の第二穿孔962に相対する第三穿孔982を有する。第二スクレーパー96は位置決めプレート98と基板92との間に安定するように基板92に固定されるため、六つの磁性ユニット70は安定状態を保って第二穿孔962を貫通することができる。
【0032】
図1、
図7および
図8に示すように、三つの磁気柵部材60はメインハウジング10およびサブハウジング30内に重なり、かつ滑動可能に配置される。三つの磁気柵部材60は配置方式が同じである。以下、一番上の磁気柵部材60を挙げて説明を進める。本実施形態において、磁気柵部材60の架台61は二つのガイドロッド80が第一支持板106、108の第一ガイド孔113、115および第二支持板306、308の第二ガイド孔309、311を貫通することによってメインハウジング10内に安定し、移動経路Pに沿って移動することができる。また第一ガイド孔および第二ガイド孔に自己潤滑ベアリングを増設すれば、それぞれのガイドロッド80は第一ガイド孔および第二ガイド孔をスムーズに滑動することができる。サブハウジング30はさらに三つのガイド溝310を有する。三つのガイド溝310は二つの第二側板302、304に間隔を保って配置され、移動経路Pに位置する第六長さL6を有する。第六長さL6は第二長さL2と同じである。削り取り機構90はさらに二つのハンドルグリップ924を有する。二つのハンドルグリップ924は基板92の両側に固定され、それぞれ対応するガイド溝310を貫通して外部に露出する。作業を行う際、作業員はハンドルグリップ924を握って削り取り機構90をガイド溝310に沿って移動させる。削り取り機構90はハンドルグリップ924の作動によって第六長さL6に相当する第一距離を往復移動する。また面板66は一対のグリップ660を有する。作業員はグリップ660を握って架台61を動かすことができる。
【0033】
架台61とメインハウジング10が結合した後、後側支持板64は第一収容空間12内に維持される。板状ストッパー110は複数のガイド孔112を有する。上述した構造特徴により、架台61が伸長位置まで引き出される際、後側支持板64は板状ストッパー110によって遮断され、板状ストッパー110の内側に維持される。それぞれの磁性ユニット70はガイド孔112を貫通して第二収容空間に差し込まれる。また削り取り機構90はそれとともに同調移動し、ハンドルグリップ924によってガイド溝310の前端に当接する。このときそれぞれの磁性ユニット70の第三長さL3はサブハウジング30の第二長さL2より大きいため、磁性ユニット70は前段部707がサブハウジング30の外側に位置し、非磁性ゾーン74を含む後段部708がサブハウジング30の第二収容空間32内に位置する。比較的好ましい場合、磁性ユニット70の前段部707は後段部708より長い。
【0034】
図7に示すように、第一収容空間12の第一長さL1は磁性ユニット70の第三長さL3より大きい。前側支持板62は第一収容空間12の外側に位置する。架台61を奥へ押し込んで前側支持板62を板状ストッパー110に当接させれば、架台61は内蔵位置に維持される。すべての磁性ユニット70は第一収容空間12に収容されて流動中の材料に接触する。このとき面板66は二つの第二支持板306、308の外側に当接する。強磁性不純物分離装置100はさらに二つのロック装置39を備える。二つのロック装置39はサブハウジング30の第二側板302、304に配置され、サブハウジング30において磁気柵部材60を所定の位置にロックすることができる。
【0035】
続いて、強磁性不純物分離装置100の操作方法について説明を進める。
【0036】
図7に示すように、すべての架台61を内蔵位置に位置させ、それぞれの磁性ユニット70を第一収容空間12に収容すれば、材料流入口14から第一収容空間12に流れ込んだ材料は磁性ユニット70に接触する。流動中の材料の含有した強磁性不純物は磁性ユニット70の磁性ゾーン72の表面に吸着する。すべての架台61はロック装置39によって現在の位置にロックされる。一番上の磁気柵部材60の磁性ユニット70の磁性ゾーン72の表面に付着した強磁性不純物の量が所定の量まで積もれば、一番上の磁気柵部材60に強磁性不純物を削り取り、ほかの磁気柵部材60を内蔵位置に維持して流動中の材料から強磁性不純物を持続的に吸引する。
【0037】
続いて削り取り作業を行う際、ロック装置39を解錠し、グリップ660によって架台61を移動経路Pに沿って第二長さL2に相当する第一距離まで引っ張る。このとき削り取り機構90はそれとともに第一距離を同調移動し、
図9に示すようにハンドルグリップ924をガイド溝310の前端に当接させる。架台61および削り取り機構90は中間位置に位置される。続いて、架台61を移動経路Pに沿って外側かつ第二距離まで引っ張って架台61を伸長位置に維持すれば、
図10に示すように、削り取り機構90は磁性ユニット70の前段部707の表面に付着した強磁性不純物を磁性ユニット70の後段部708に移転し、第一段階の削り取り作業を行う。続いて、
図10および
図11に示すように、再びロック装置39を施錠し、ハンドルグリップ924によって削り取り機構90を動かし、移動経路Pと反対の方向に移動させれば、削り取り機構90は磁性ユニット70の後段部708の表面に付着した強磁性不純物を非磁性ゾーン74に移転して自動的に落下させ、第二段階の削り取り作業を行う。第二段階の削り取り作業が完了した後、再びロック装置39を解錠し、架台61を内蔵位置に戻せばよい。
【0038】
上述した構造特徴により、架台61を内蔵位置から中間位置まで移動させ、第一段階の削り取り作業を行えば第二段階の削り作業において削り取り機構90の行程を短縮することができる。つまり、先行技術に対し、本発明は作業の簡単化および時間の短縮を実現させることができる。
【0039】
(第2実施形態)
図13に示すように、本発明による強磁性不純物分離装置はオートメーションに適用できる。本発明の第2実施形態による強磁性不純物分離装置200は二層の磁気柵部材202、204、二つの第一リニアモーター206、208および二つの第二リニアモーター214、216を備える。二つの第一リニアモーター206、208は空気圧シリンダーなどであり、二層の磁気柵部材202、204の面板210、212に連結される。二つの第二リニアモーター214、216は空気圧シリンダーなどであり、二層の磁気柵部材202、204の削り取り機構218、220に連結される。削り取り作業を行う際、一つの第一リニアモーター206および一つの第二リニアモーター214は同調作動し、磁気柵部材202を内蔵位置から移動経路Pに沿って伸長位置まで移動させ、第一段階の削り取り作業を行う。続いて、第二リニアモーター214は削り取り機構218を移動経路Pと反対の方向に移動させ、第二段階の削り取り作業を行う。
【符号の説明】
【0040】
100:強磁性不純物分離装置
10:メインハウジング
102、104第一側板
106、108第一支持板
110:板状ストッパー
112:ガイド孔
113、115:第一ガイド孔
12:第一収容空間
14:材料流入口
16:材料流出口
18:第一開口部
30:サブハウジング
302、304:第二側板
306、308:第二支持板
307:天板
309、311:第二ガイド孔
310:ガイド溝
313:上方孔
32:第二収容空間
34:収集口
36:第二開口部
361、362、363:出口
38:横棒
39:ロック装置
50:収集器
60:磁気柵部材
61:架台
62:前側支持板
64:後側支持板
66:面板
660:グリップ
70:磁性ユニット
701:非磁性ロッド
702:近端部
704:遠端部
707:前段部
708:後段部
720:磁石セット
72:磁性ゾーン
722:磁石
724:スペーサー
74:非磁性ゾーン
742:非磁性部材
80:ガイドロッド
802:第一端
804:第二端
82:連結棒
822:前端部
824:後端部
90:刮除件總成(削り取り機構)
92:基板
920:中央窓口
922:貫通孔
924:ハンドルグリップ
94:第一スクレーパー
942:第一穿孔
96:第二スクレーパー
962:第二穿孔
98:位置決めプレート
982:第三穿孔
200:強磁性不純物分離装置
202、204:磁気柵部材
206、208:第一リニアモーター(空気圧シリンダー)
210、212:面板
214、216:第二リニアモーター(空気圧シリンダー)
218、220:削り取り機構
L1:第一長さ
L2:第二長さ
L3:第三長さ
L4:第四長さ
L5:第五長さ
L6:第六長さ
P:移動経路
W1:第一幅
W2:第二幅