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特開2022-32993トーピードカーの監視方法及びトーピードカーの監視システム
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  • 特開-トーピードカーの監視方法及びトーピードカーの監視システム 図1
  • 特開-トーピードカーの監視方法及びトーピードカーの監視システム 図2
  • 特開-トーピードカーの監視方法及びトーピードカーの監視システム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022032993
(43)【公開日】2022-02-25
(54)【発明の名称】トーピードカーの監視方法及びトーピードカーの監視システム
(51)【国際特許分類】
   C21C 1/06 20060101AFI20220217BHJP
   F27D 19/00 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
C21C1/06
F27D19/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021127236
(22)【出願日】2021-08-03
(31)【優先権主張番号】10 2020 121 242.9
(32)【優先日】2020-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】510103130
【氏名又は名称】ティーエムティー タッピング-メジャリング-テクノロジー ゲゼルシャフトミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】TMT Tapping-Measuring-Technology GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ランガー フォルカー
(72)【発明者】
【氏名】グレンツ アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
4K014
4K056
【Fターム(参考)】
4K014AD12
4K014AD17
4K056AA06
4K056CA02
4K056FA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】トーピードカーの使用を中断することを必要としないトーピードカーの耐火煉瓦ライニングの状態の監視方法、および監視システムを提供する。
【解決手段】銑鉄を充填するための充填ステーションBSに配置されたトーピードカーTWの充填口Eの目標位置と実位置との位置ずれを、位置検出器PEにより検出し、位置ずれがあった場合には、充填口Eを目標位置に位置決めし、目標位置に配置されたトーピードカーTW内の充填レベルを充填レベル測定器FMにより測定し、充填口Eに充填された銑鉄の温度を温度測定器TMにより測定し、位置ずれ、充填レベル、及び温度を特徴づけるデータをデータ処理装置DVによりトーピードカーTWのオブジェクトデータセットに付加する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トーピードカー(TW)の監視方法であって、
銑鉄を充填するための充填ステーション(BS)に配置され、識別用のオブジェクトデータセットを収容したRFIDトランスポンダを備えたトーピードカー(TW)の充填口(E)の目標位置と実位置との位置ずれを、位置検出器(PE)により検出し、
位置ずれが発生した場合には、充填口(E)を目標位置に位置決めし、
目標位置に配置されたトーピードカー(TW)内の充填レベルを充填レベル測定器(FM)により測定し、
充填口に充填される銑鉄の温度を温度測定器(TM)により測定し、
データ処理装置(DV)によりトーピードカー(TW)のオブジェクトデータセットに位置ずれ、充填レベル、及び温度を特徴づけるデータを付加するトーピードカーの監視方法。
【請求項2】
前記データ処理装置(DV)は、前記目標位置と前記充填口(E)の実位置との間の差として前記位置ずれを計算して、前記位置ずれを、前記トーピードカーTWを前記目標位置に位置決めするためのコントローラSEに、補正変数として送信することを特徴とする請求項1に記載の監視方法。
【請求項3】
トーピードカーの監視システムであって、
トーピードカー(TW)を識別するための識別装置と、
前記トーピードカー(TW)に銑鉄を充填するための充填ステーション(BS)内における該トーピードカー(TW)の位置を検出する位置検出器(PE)と、
前記トーピードカー(TW)内の銑鉄の充填レベルを測定するための充填レベル測定器(FM)と、
銑鉄の温度を測定するための温度測定器(TM)と、
前記トーピードカー(TW)の目標位置に対する実位置の位置ずれを計算し、その位置ずれ、充填レベル、及び温度を特徴づけるデータをトーピードカー(TW)のオブジェクトデータセットに入力するためのデータ処理装置(DV)と、を備えるトーピードカーの監視システム。
【請求項4】
前記識別装置は、前記トーピードカーに設置されたRFIDトランスポンダと、前記トーピードカーTWに隣接して設置された少なくとも1つのリーダ/ライタLSと、を備えることを特徴とする請求項3に記載のトーピードカーの監視システム。
【請求項5】
前記位置検出器(PE)は、前記充填ステーション(BS)の充填装置の下側の前記トーピードカーの充填口の相対位置を検出するセンサ装置を備えることを特徴とする請求項3又は4に記載のトーピードカーの監視システム。
【請求項6】
前記センサ装置は、パルスモードで動作するレーザスキャナとして設計されるとともに、前記充填ステーション内における、前記トーピードカー(TW)の前記充填口(E)の上側の位置に配置されることを特徴とする請求項5に記載のトーピードカーの監視システム。
【請求項7】
前記充填レベル測定器(FM)は、レーダー装置として設計されていることを特徴とする請求項3~6のいずれか1つに記載のトーピードカーの監視システム。
【請求項8】
前記位置検出器(PE)、前記充填レベル測定器(FM)、及び前記温度測定器(TM)は、データ接続を介して前記データ処理装置(DV)に接続されていることを特徴とする請求項3~7のいずれか1つに記載のトーピードカー監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トーピードカーの監視方法に関し、さらに本発明は、トーピードカーの監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
トーピードカーは、銑鉄を輸送するために使用され、銑鉄は、製鋼所の充填ステーションのトーピードカーの充填口に、湯道形状の充填装置を介して充填される。トーピードカーには、耐火煉瓦ライニングが設けられており、これにより、充填された銑鉄をトーピードカーの環境から熱絶縁することができ、トーピードカーのスチールケーシング対して熱保護を提供する。したがって、耐火煉瓦ライニングの状態は、特に、トーピードカーの運転安全にとって非常に重要である。これは、耐火煉瓦ライニングの状態を繰り返し監視することが必須であるということ、また、必要に応じて、銑鉄の運搬中の望ましくない熱損失を防止するため、及び構成要素の故障による銑鉄の漏れの危険性を排除するために、修理が行われるということを意味する。
【0003】
したがって、トーピードカーの耐火煉瓦ライニングの状態を監視することは、必要に応じて、耐火煉瓦ライニングのメンテナンスを実施したり、耐火煉瓦ライニングを時々取り替えたりして、修理が必要なトーピードカーの代替品を提供することができるようにするために、実際には非常に重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トーピードカーを連続使用させるという観点からは、トーピードカーの耐火煉瓦ライニングの状態の監視は、トーピードカーの使用を中断することを必要としないことが望まれる。
【0005】
したがって、本発明の目的は、トーピードカーの動作を中断することなく実現できるトーピードカーの監視方法と監視装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明に係る方法は請求項1の特徴を有し、本発明に係る装置は請求項3の特徴を有する。
【0007】
本発明に係るトーピードカーの監視方法では、識別用のオブジェクトデータセットを収容したRFIDトランスポンダを備えかつ銑鉄を充填するための充填ステーションに配置されたトーピードカーの充填口の、目標位置と実位置との位置ずれを位置検出器を用いて検出し、位置ずれが発生した場合には、充填口を目標位置に位置決めし、充填レベル測定器により目標位置に配置されたトーピードカー内の充填レベルを測定し、充填口に充填された銑鉄の温度を温度測定器により測定し、位置ずれ、充填レベル、及び温度を特徴づけるデータをデータ処理装置によりオブジェクトデータセットに付加する。
【0008】
このように、本発明によれば、トーピードカーの耐火煉瓦ライニングの状態又は摩耗に本質的に関与するパラメータを、充填ステーションにトーピードカーが滞在している間、特に充填工程の間、すなわち工程中に検出することができる。このことは、耐火煉瓦ライニングの状態に関する結果を引き出せるようにするためにトーピードカーの動作を中断させる必要がないことを意味する。
【0009】
さらに、本発明に係る監視方法は、前述のパラメータをリンクさせることによって、一種のトーピードカーのログを保持することを可能にする。これによって、使用される耐火煉瓦ライニングの品質を特に評価することができるように、RFIDトランスポンダを介して個別に識別されるトーピードカーの使用履歴や動作履歴を追跡することが可能になる。
【0010】
本発明に係る方法に採用される位置検出器は、充填ステーションの充填装置(典型的には傾斜ランナーである)に対するトーピードカーの充填口の相対位置を監視することができる。更に、位置検出器は、充填口のエッジに接触することなくトーピードカー内に充填銑が入ることだけでなく、充填体積の表面に入射するビーム経路による正確な充填レベル測定の前提条件として、充填口が充填方向に対して位置させて、その結果、充填口のエッジ又はエッジに形成される銑鉄堆積物がビーム経路と干渉することの大部分排除することができることを確実にする再現可能な相対配置を可能にすることができる。
【0011】
データ処理装置DVが、目標位置と充填口Eの実位置との差として位置ずれを算出して、その位置ずれを補正変数として、目標位置にトーピードカーTWを位置決めするためのコントローラSEに送信する場合、特に有利である。
【0012】
パルス測定モードで動作するレーザスキャナ、すなわちトーピードカーの表面から反射された光パルスの放射と受信との間の時間を測定し、その結果、トーピードカーの表面の充填口の位置と大きさを移動時間の差に基づいて決定できるレーザスキャナとして、位置検出器が設計されるのに特に有利であることが証明されている。
【0013】
充填レベルは、好ましくはレーダープローブを使用して測定され、充填レベル測定器によって測定された充填レベル値は、上述のように、データ処理装置を介して個別化された、オブジェクトデータセットに追加される。
【0014】
有利には、温度測定のために、温度測定器と液状銑鉄との間に適切な距離を維持することを可能にする高温測定器を使用してもよい。好ましくは、温度は、充填装置が充填口に入る直前に、充填装置を離れる流出物で測定される。
【0015】
可能な限り簡単な方法の実施において、データ処理装置は、本質的に、位置検出器、充填レベル測定器、及び温度測定器によって測定された測定データを受信し、該測定データをトーピードカーのRFIDトランスポンダに送信するようにのみ機能する。特に有利な実施形態では、さらにデータ処理装置は、決定されたデータから耐火煉瓦ライニングの性能特性を定義するアルゴリズムを実行して、前記性能特性をトーピードカーの個別化されたデータセットに割り当てるように機能する。その結果、単に前記性能特性を知ることによって、当業者はトーピードカーの耐火煉瓦ライニングがメンテナンス又は修理を必要とするかどうかを決定することができる。
【0016】
さらに、本発明に係る方法は、耐火煉瓦ライニングの質量減少を決定できるように、トーピードカーの重量を決定すること、むしろ、充填されたトーピードカーの重量と空重量との重量差を決定することを含むことができる。これは、耐火煉瓦ライニングの欠陥が銑鉄の堆積物で埋められているため、耐火煉瓦ライニングの質量現象が空重量の増加につながるという仮定に基づいている。重量は特に、秤量することによって、または収容された内部の幾何学的形状に基づいて、及び銑鉄の充填レベルを測定することによって、直接決定することができる。
【0017】
本発明によるトーピードカーの監視情報システムは、請求項3によって定義される。トーピードカーを識別するためのRFIDトランスポンダとして設計された識別装置と、トーピードカーを銑鉄で充填するための充填ステーション内におけるトーピードカーの位置を検出するための位置検出器と、トーピードカー内における銑鉄の充填レベルを測定するための充填レベル測定器と、銑鉄の温度を測定するための温度測定器と、トーピードカーの目標位置に対する実際の位置の位置ずれを計算し、位置ずれ、充填レベル、及び温度を特徴付けるデータをトーピードカーのオブジェクトデータセットに入力するためのデータ処理装置と、を構成要素として備える。
【0018】
好ましくは、識別装置は、トーピードカーに設置されかつトーピードカーを個別化するデータセットを収容するRFIDトランスポンダと、トーピードカーに隣接して設置される少なくとも1つのリーダ/ライタと、を有する。
【0019】
好ましくは、位置検出器は、充填ステーションの充填装置の下側の、トーピードカーの充填口の相対位置を検出するためのセンサ装置を備える。
センサ装置が、パルスモードで作動するレーザスキャナとして設計されかつ充填ステーションにおいて、トーピードカーの充填口の上側の位置に配置される場合、特に有利である。
【0020】
充填レベル測定器が、レーダー測定装置として設計されている場合は特に好ましい。
【0021】
好ましくは、位置検出器、充填レベル測定器、及び温度計は、データ接続を介してデータ処理装置に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の一実施形態を示すブロック図である。
図2図2は、トーピードカーの監視システムを動作させるために使用される構成要素の可能な配置を含む、トーピードカーの上側に配置された充填ステーションの供給面を示す。
図3図3は、供給平面の下側に配置されたトーピードカーを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態をより詳細に説明する。
【0024】
図1は、銑鉄の充填時における充填ステーションBS内のトーピードカーTWの概略図である。銑鉄は、傾斜ランナーKRから充填口部Eを介してトーピードカーTWに充填され、その中に充填レベルFを形成している。図1は、本方法の可能な実施形態を例示するためのものである。トーピードカーTWは、充填ステーションに配置されたリーダ/ライタLSによって、トーピードカーTWを識別することができるRFIDトランスポンダを備えている。充填ステーションBSは、リーダ/ライタLSの他に、位置検出器PE、充填レベル測定器FM、温度測定器TM、アクチュエータSEを備えている。
位置検出器PEは、レーザスキャナとして設計され、光パルスはパルスモードで搬送波上に変調され、放出と受信との間の時間が測定される。搬送波は、トーピードカーTWの表面を走査し、トーピードカーの表面に実際に形成された有効な充填口を、正確に位置決めすることができる。
【0025】
トーピードカーの繰り返し使用によって、充填口部Eの開口縁に形成された銑鉄堆積物は、トーピードカー上に構成的に定義された開口縁と実際に形成された開口縁との間に著しいずれをもたらす可能性がある。このずれは、位置検出器によって検出され、その結果、データ処理装置DVは、位置検出器の信号出力の関数として、構成的に定義された充填口Eの中心軸と有効充填口Eの中心軸MEとの間の位置ずれを計算することができ、これらをアクチュエータSEに制御信号として送信することができる。これにより、その位置は、中心軸MEが傾斜ランナーKRからトーピードカーTWに流れる流出物GSと一致するように、再調整することができる。この位置において、充填レベル測定器FMの機能は、位置検出器PEによって可能にされ、好ましくはレーダー装置として設計される充填レベル計FMが、充填ステーションBSに配置されたホーンアンテナとトーピードカーTW内の液体表面との間の距離を測定して、そこから充填レベルFを計算することを可能にする。
【0026】
流出物GSの温度、すなわちトーピードカーTWに入るときの銑鉄の温度は、好ましくは高温計として設計されている温度測定器TMを用いて測定することができる。温度測定器TMの出力信号cは、充填レベル測定器FMの出力信号b及び位置検出器PEの出力信号bと同様に、データ処理装置DVに送信される。これにより、充填ステーションBSに配置されるか、または充填ステーションBSの外部の任意の場所に配置され、データ接続を介して接続されてもよいデータ処理装置DVが、RFIDトランスポンダに格納されたオブジェクトデータセットを修正するために、出力信号から計算された特性などの出力信号から生成されたデータを、リーダ/ライタLSに送信することを可能にし、または、データ処理装置DV内の適切なアルゴリズム及びRFIDトランスポンダに後に格納される前記性能特性を使用して、データまたは特性に基づいて性能特性を計算することを可能にする。
【0027】
図2に、充填ステーションBSにおけるトーピードカーの監視システムの、位置検出器PE、充填レベル測定器FM、及び温度測定器TMの設置可能性を示す。充填レベル測定器FMは、引抜平面に平行に変位可能なホーンアンテナHAを備え、温度測定器TMは、高温計のビーム経路が流出GSに向くようになっており、位置検出器PEは、傾斜ランナーKRを配置した充填ステーションBSの給電平面BEに配置されている。
【0028】
図3に示すように、流出物GSより下側に充填口Eが配置されたトーピードカーTWは、供給平面BEの下側に位置している。トーピードカーTWに設置されたRFIDトランスポンダと通信するリーダ/ライタLSも、給電平面BEの下側に配置されている。更に、トーピードカーTWに作用する駆動装置、又は充填口Eを正確に位置するために実行される作動経路を表示するためにディスプレイとしても設計することができるアクチュエータSEが、トーピードカーに隣接して設けられている。
図1
図2
図3
【外国語明細書】