(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022033000
(43)【公開日】2022-02-25
(54)【発明の名称】伸縮ブーム用の高速組立ヘッド及びそれを組み立てる方法
(51)【国際特許分類】
B66C 23/66 20060101AFI20220217BHJP
B66C 23/42 20060101ALI20220217BHJP
B66C 23/26 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
B66C23/66 A
B66C23/42
B66C23/26 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021128639
(22)【出願日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】10 2020 121 348.4
(32)【優先日】2020-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】597120075
【氏名又は名称】リープヘル-ヴェルク エーインゲン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Liebherr-Werk EhingenGmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボース ベルント
【テーマコード(参考)】
3F205
【Fターム(参考)】
3F205AA06
3F205CA03
3F205JA10
(57)【要約】
【課題】伸縮ブームから内側ブームセットを取り外すことによって解体される展開作業にもクレーンを使用することができる、分離可能な伸縮ブームを有するカテゴリの移動式クレーンを提供する。
【解決手段】本発明は、内側ブームセットと外側ブームセットとに分離することができ、外側ブームセットの内側入れ子条に可逆的に取り付けることができる伸縮ブーム用組立ヘッドに関する。組立ヘッドは、偏向プーリを有するプーリヘッドと、プーリヘッドが配置され、その端部から内側伸縮部に押し込むことができ、内側伸縮部よりも実質的に小さな長さを有する伸縮管部とを備える。本発明は、更に、本発明による組立ヘッドを有する分離可能な伸縮ブーム、本発明による伸縮ブームを有する移動式クレーン、及び伸縮ブームの外側ブームセットにおける本発明による組立長の自己組立方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側と外側のブームセット(20)に分離することができ、前記外側のブームセット(20)の内側伸縮部(26)に可逆的に取り付けることができ、
偏向プーリを有するプーリヘッド(12)と、
前記プーリヘッド(12)に配置され、端部から内側伸縮部(26)に押し込むことができ、前記内側伸縮部(26)よりも実質的に短い長さを有する伸縮管部(14)とを備える
ことを特徴とする、伸縮ブーム用の組立ヘッド(10)。
【請求項2】
前記伸縮管部(14)は、前記伸縮ブームの伸縮部ではない
ことを特徴とする、請求項1に記載の組立ヘッド(10)。
【請求項3】
前記プーリヘッド(12)は、前記内側伸縮部(26)の接続手段(28)に接続可能、特にピン接続可能な接続手段(16)を有し、
前記内側伸縮部(26)の接続手段(28)は、好ましくは、前記内側伸縮部(26)のカラー(27)に配置される
ことを特徴とする、請求項1又2に記載の組立ヘッド(10)。
【請求項4】
前記プーリヘッド(12)は、組立ロープ(40)を固定して前記組立ヘッド(10)を持ち上げることができる固定点(13)を有し、
前記固定点(13)は、好ましくは、上昇状態で前記組立ヘッド(10)の重心よりも上方に配置される
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の組立ヘッド(10)。
【請求項5】
好ましくは前記伸縮管部(14)に配置され、かつ、前記伸縮管部(14)の導入を容易にするために前記組立ヘッド(10)の組立上の内側伸縮部(26)の案内要素と協働する案内要素(18)が提供される
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか1つに記載の組立ヘッド(10)。
【請求項6】
連結部(22)及び前記連結部(22)に変位可能に支持された少なくとも1つの伸縮部(24,26)を有する外側ブームセット(20)と、
前記外側ブームセット(20)の内側伸縮部(26)に変位可能に支持された少なくとも1つの追加伸縮部を有する内側ブームセットと、
前記内側伸縮部(26)に可逆的に装着可能な、請求項1から5のいずれか1つに記載の組立ヘッド(10)とを備える
ことを特徴とする、クレーン用の伸縮ブーム、特に、2つのブームセットに分離することができる移動式クレーン用の伸縮ブーム。
【請求項7】
前記外側ブームセット(20)に、好ましくは前記連結部(22)に、特に好ましくは前記伸縮ブームを倒れないように引っ張るための固定装置(38)に取り付けられるか、又は取付可能であり、搬送位置から組立位置に、及びその逆に移動可能である、組立アーム(30)を有する
ことを特徴とする、請求項6に記載の伸縮ブーム。
【請求項8】
前記組立アーム(30)は、組立ロープ(40)を前記組立ヘッド(10)の持ち上げのためにガイド可能であり、
前記組立ロープ(40)は、前記組立ヘッド(10)の固定点(13)に固定可能である、偏向プーリ(32)を有する
ことを特徴とする、請求項7に記載の伸縮ブーム。
【請求項9】
前記偏向プーリ(32)の回転軸が、前記外側ブームセット(20)の長手方向軸及び/又は前記組立アーム(30)の長手方向軸に対して垂直又は平行に向けられていない
ことを特徴とする請求項8に記載の伸縮ブーム。
【請求項10】
前記組立アーム(30)は、前記外側ブームセット(20)の軸(34)の周りに揺動可能に支持され、
前記軸は、好ましくは、前記外側ブームセット(20)の長手方向軸に垂直に、又は平行に配向されていない
ことを特徴とする、請求項7から9のいずれか1項に記載の伸縮ブーム。
【請求項11】
前記組立アーム(30)は、前記搬送位置において前記外側ブームセット(20)の外側輪郭を越えて突出していない
ことを特徴とする、請求項7から10のいずれか1項に記載の伸縮ブーム。
【請求項12】
請求項6から11のいずれか1項に記載の伸縮ブームを有する、移動クレーン。
【請求項13】
a)組立アーム(30)の組立位置へ移動する工程と、
b)前記組立アーム(30)の偏向プーリ(32)上に組立ロープ(40)を案内し、前記組立ロープ(40)を前記組立ヘッド(10)に接続する工程と、
c)前記組立ヘッド(10)を内側伸縮部(26)の高さまで上昇させる工程と、
e)前記組立ヘッド(10)を前記内側伸縮部(26)に接続する、特にピン接続する工程と、
f)前記組立ロープ(40)を前記組立ヘッド(10)から解放し、前記組立ロープ(40)を前記組立アーム(30)から取り外す工程と、
g) 前記組立アーム(30)を搬送位置に移動させる工程とを含む、
ことを特徴とする、請求項8から11のいずれか1項に記載の伸縮式ブームの外側ブームセット(20)に組立ヘッド(10)を組み立てる方法。
【請求項14】
前記組立ヘッド(10)は、前記プーリヘッド(12)と前記内側伸縮部(26)との間にピン接続を確立することによって、前記外側ブームセット(20)に取り付けられる
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
d)前記組立ヘッド(10)の伸縮管部(14)を受け入れるための前記内側伸縮部(26)の部分的延長の工程が上記e)の工程の前に実行される
ことを特徴とする、請求項13又は14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つのブームセットに分離することができる伸縮ブームのための組立ヘッド、その分離可能な伸縮ブーム、その伸縮ブームを有する移動式クレーン、及びその組立ヘッドを伸縮ブームに組み立てる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動可能な大型クレーン又は移動式クレーンでは、複数の伸縮部が互いに変位可能に支持される、伸縮ブームが通常使用される。道路搬送のための重量を減少させ、それによって法的な道路交通規則に従って総許容重量を満たすために、複数の伸縮部を分解し、それらを展開現場で再び取り付けることが慣例である。ここでの着脱可能な伸縮部は、ブームの内側伸縮部(内側伸縮ブームセット又はブームセットとも呼ばれる)を表し、したがって、ホイストロープを偏向し、再び戻すためのプーリヘッドを支持する最も内側の伸縮部をも含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
分解された移動式クレーンと分解された内側ブームセットは、別々に展開場所に搬送される。内側ブームセットが展開場所に到着し、取り外された伸縮部がブーム(外側ブームセット)に再び取り付けられるまで、移動式クレーンは、プーリヘッドがないと、吊り荷との接続及び吊上げ手段がないので、独立して使用することはできない。移動式クレーンの独立した又は別個の組立(すなわち、クレーンの搬送状態からの作業状態の確立、例えば、道路搬送のために分解されるバラストマウント、バラストプレート、支持装置、ベースプレートなどの更なる構成要素の取付)も、これも不可能である。
したがって、本発明の基礎となる目的は、伸縮ブームから内側ブームセットを取り外すことによって解体される展開作業にもクレーンを使用することができる、分離可能な伸縮ブームを有するカテゴリの移動式クレーンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、本発明によれば、請求項1の特徴を有する装置によって達成される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項から及び以下の説明から把握できる。
【0005】
一方、伸縮ブームのための組立ヘッドは、内側ブームセットと外側ブームセットとに分離することができ、外側ブームセットの内側伸縮部で可逆的に取り付けることができるのが望ましい。本発明による組立ヘッドは、偏向プーリを有するプーリヘッドと、このプーリヘッドに配置され、その端部から(つまり前方から)内側伸縮部に押し込むことができ、内側伸縮部よりも実質的に小さな長さを有する伸縮管部とを備える。
【0006】
したがって、完全なプーリヘッドを備え、分解された伸縮ブームの内側伸縮部又は外側ブームセット上に高速かつ単純に配置することができるアタッチメントヘッドとして形成される高速組立ヘッドが、本発明に基づいて提供される。これにより、道路搬送のための重量低減を目的に分解されると共に、分解された内側ブームセットを有する移動クレーンは、取り外された伸縮部を取り付ける前に、展開作業又は持ち上げ作業のために使用することができる状態にある。これらの展開は、例えば、移動式クレーンの独立した組立のための準備作業であってもよく、完全な自己組立であってもよい。
【0007】
外側ブームセットの最も内側の伸縮部は、特に、内側伸縮部と呼ばれる。しかしながら、原理的には、組立ヘッドの複数の伸縮部への固定も考えられる。例えば、伸縮管部の最も内側の伸縮部への押し込み、及び/又は最も内側の伸縮部への接続又はピン接続、及び/又はそれを取り囲む更なる伸縮部への接続又はピン接続である。しかしながら、それにより、組立ヘッドが設置された部分的なブームは、縮小した伸縮長のみとなる。
【0008】
本発明による組立ヘッドの伸縮管部は、伸縮ブームの伸縮部よりも、かなり短い長さを有する。伸縮管部の長さは、ここでは、好ましくは、内側伸縮部の長さの半分よりも短く、特に好ましくは、4分の1よりも短い。また、伸縮管部は、プーリヘッドと同様の又は実質的に同じ長さを有することができる(ブーム長手方向軸の方向から見て固定された組立ヘッドを有する)。同様に、内側伸縮部のカラーの寸法を介して、伸縮管部の長さを規定することが可能である。このようにして、伸縮管部の長さは、組立ヘッドの組み立てられた状態において、完全に引っ込められた外側ブームセットと共に、外側ブームセットの伸縮部の相互に隣接するカラーの領域においてのみ延びるか、又は少なくともそれを越えて実質的に延びないような寸法にすることができる。
【0009】
それに応じて、固定された組立ヘッドは、比較的小さな領域において、内側伸縮部又はその先端に設定された外側ブームにのみ接触する。それにより、組立ヘッドは、小さな重量を有し、例えば、移動式クレーンが建設現場に到着した後に直ちに使用可能な状態になるように、搬送前に予め取り付けることができる。組立ヘッドは、独立して搬送される内側ブームセットの取付前に再び取り外される。
【0010】
伸縮管部は、その外側輪郭が内側伸縮部の内側輪郭に実質的に追従/対応するように構成することができる。これにより、伸縮管部は、内側伸縮部の内側に接触し、及び/又は1つ以上の支持点上に位置する。
【0011】
組立ヘッドの伸縮管部は、特に伸縮ブームの伸縮部ではない。伸縮管部は、内側伸縮ブームにおいて組立ヘッドのガイド及び支持体又は固定のみに役立ち、外側ブームセットに対して又は組立後に内側伸縮部に対して移動又は伸縮させることはできない。
【0012】
更なる実施形態において、プーリヘッドは、内側伸縮部の接続手段に特にピン接続可能な接続手段を有する、という規定がなされる。内側伸縮部の接続手段は、好ましくは、そのカラーに配置される。接続手段は、好ましくは、解放可能なピン接続を確立するためのピン接続点である。組立ヘッドと伸縮部との接続手段は、特に、組立ヘッドを押し込むことによって、又は内側伸縮部を延ばすことによって、重なり合うようにされる。したがって、組立ヘッドと周囲の伸縮部との間の力伝達は、特に、伸縮管部を介してではなく、接続手段の確立された接続を介して、又は特に確立されたピン接続を介して、相当程度まで行われるか、又は行われない。
【0013】
組立ヘッドと内側伸縮部の接続手段は、独国特許出願公開102015001619号明細書に記載されている接続手段に対応する、プーリヘッドを備えた最も内側の伸縮部とそれを取り囲む伸縮部との間の接続手段に従って構成することができる。
【0014】
更なる実施形態では、プーリヘッドは、組立ヘッドを持ち上げるために組立ロープを固定することができる固定点又はロープ接続点を有し、固定点は、持ち上げられた状態で組立ヘッドの重心よりも上方に配置されることが望ましい。それにより、組立ヘッドは、持ち上げられる間、自ずと組立位置となる。
【0015】
組立ヘッドの組立中に、伸縮管部の内側伸縮部への導入を容易にするために、組立ヘッド組立中に、内側伸縮部の対応する案内要素と協働する案内要素が、更なる実施形態において提供され、組立ヘッドの案内要素は、伸縮管部に配置されることが好ましい。伸縮管部の導入又はねじ込みは、それによって、内側伸縮部への導入又はねじ込みが容易になり、それによって、組立ヘッドの上昇後、内側伸縮部の端部前の領域の対応する高さまで、組立ヘッドの上昇後、プーリヘッドが伸縮部のカラーに当接するまで延長されなければならないのが理想的である。特に、伸縮管部の導入時又は案内要素の接合時に、組立ヘッドの正確な微調整を与える1つ又は複数の内側面取り部を有するように、案内要素を実現できる。これにより、組立ヘッドの単純で迅速な自己組立が可能となる。
【0016】
本発明による組立ヘッドは、好ましくは、完全に本格的な重負荷組立ヘッドとして構成されておらず、したがって、そのような組立ヘッドよりも重量が小さい。これにより、許容最大重量を超えることなく、組立ヘッドを外側ブームセットと一緒に搬送することができる。しかしながら、原則として、本発明による組立ヘッドが、完全に本格的な重負荷組立ヘッドとして構成され、任意選択で、展開現場に別々に搬送される実施形態も考えられる。
【0017】
本発明は更に、2つのブームセットに分離又は分解することができる、クレーン、特に移動式クレーン用の伸縮ブームに関する。本発明による伸縮ブームは、連結部と、連結部内で変位可能にかつ/又は伸縮自在に支持される少なくとも1つの伸縮部とを有する外側ブームセットと、外側ブームセットの内側伸縮部内で変位自在に支持され得る、少なくとも1つの追加伸縮部を有する内側ブームセットと、内側伸縮部に可逆的に取り付けることができる、本発明による組立ヘッドとを備える。したがって、本発明による組立ヘッドに関して説明した特性及び利点は、組立ヘッドを有する伸縮ブームに適用される。
【0018】
内側ブームセット(又は内側ブームセットの最外側伸縮部)は、外側ブームセットの内側伸縮部で受け入れることができる。外側及び内側ブームセットの両方は、それぞれ、互いに変位可能又は伸縮可能に支持された2つ以上の伸縮部を備えることができる。
【0019】
更なる実施形態において、組立アームが提供され、この組立アームは、外側ブームセットに取り付けられ又は取付可能であり、好ましくは、連結部分において外側に向かって取り付けられ、かつ、搬送位置から組立位置へ、またその逆に移動可能である。組立アームは、代替的に、最も内側の伸縮部ではない、外側ブームセットの更なる伸縮部のうちの1つに取り付けられ又は取付可能である。組立位置において、組立アームは、本発明による組立ヘッドの外側ブームセットの内側伸縮部での自己組立の役目を果たす。搬送のために、また、オプションとして、作業動作の間、組立アームは、対照的に、伸縮ブーム又は外側ブームセットに好ましくは接触する搬送位置にある。内側伸縮部は、好ましくは、組立アームに対して可動又は変位可能である。組立アームは、搬送及び/又は組立位置で外れ止め可能であり得る。
【0020】
組立アームは、伸縮ブームを倒れないように引っ張る(ガイイングする)ための固定装置に取り付けられるか、又は取付可能であることが好ましい。ここでは、例えば、連結部に固定的に接続された伸縮ブームのYガイのための固定装置とすることができる。ブームにもともとガイの取付のために設けられた接続点は、組立アームの固定に使用することができる。それらは、十分に大きな寸法を有し、組立ヘッドの持ち上げ及び組立のための組立アームの使用中に占有されない。
【0021】
クレーン展開に(Y)ガイが使用されていない場合、組立アームは伸縮ブームに取り付けられたままであることさえある。組立アームは、(Y)ガイが取り付けられているときにのみ取り外されればよい。しかしながら、(Y)ガイのためのマウントを再構成することも考えられる。その結果、組立アームが倒れないように引っ張られた伸縮ブームで取り付けられたままであってもよいように、それらが(Y)ガイと組立アームとを同時に巻き取ることができる。(Y)ガイを使用する場合、組立アームの取付/取り外しに使用される補助クレーンと同じものを使用することができる。
【0022】
更なる実施形態において、組立アームが、組立ヘッドの持ち上げのために組立ロープを案内可能な偏向プーリを有し、組立ロープが組立ヘッドの固定点に固定可能であるようにしてもよい。
【0023】
更なる実施形態では、偏向プーリの回転軸が、外側ブームセット又は内側伸縮部の長手方向軸に向かって(少なくとも搬送位置で)傾斜している、すなわち、垂直又は平行に配向されていないこと、及び/又は偏向プーリの回転軸が、組立アームの長手方向軸に向かって傾斜している、すなわち、垂直又は平行に配向されていないようにしてもよい。偏向プーリは、特に、組立アームの長手方向軸に対してオフセット又は角度付けされて配置することができる。それにより、組立アームの実施形態が可能であり、それによって、偏向プーリは、搬送位置に設定された外側ブームの輪郭を超えて突出することがない。偏向プーリの回転軸は、組立位置に設定された外側ブームの長手方向軸に対して垂直又はほぼ垂直に向けられるように設けることができる。
【0024】
更なる実施形態において、組立アームは、外側ブームセットにおいて軸を中心に回動可能に支持され、この軸は、好ましくは、外側ブームセットの長手方向軸に向かって含まれる、すなわち、垂直又は平行に配向されないようにすることができる。軸は、特に、外側ブームセットの水平方向の整列上で水平方向に整列される。
【0025】
あるいは、個々の軸を中心とするピボット機構の代わりに、異なる機構を使用して、組立アームを搬送位置と組立位置との間で移動させることができる。ここでは、例えば、関節接合が考えられる。更に、搬送位置と組立位置との間の組立アームの移動は、アクチュエータ(例えば、油圧シリンダ)によって行われることが考えられる。
【0026】
更なる実施形態において、組立アームは、搬送位置における車両の外側輪郭又は外形を超えて突出しないという規定がなされる。それにより、組立アームは、追加のスペースを取らずに、分解された移動式クレーンと一緒に搬送することができる。更に、特定の又は全ての展開状況において、移動クレーンの展開作業中に、組立アームを伸縮ブームに残すことも考えられる。これにより、組立ヘッドの組立及び分解手順が更に加速され、簡素化される。
【0027】
本発明は、更に、本発明による伸縮ブームを有する移動クレーンに関する。この点に関して、本発明による伸縮ブーム及び組立ヘッドと同じ利点及び特性が明らかに得られるので、ここでは反復の説明を省略する。
【0028】
本発明は、更に、本発明による伸縮ブームの外側ブームセットに、本発明による組立ヘッドを組み立てる方法に関し、この方法は、
組立アームの搬送位置から組立位置への移動工程と、
組立アームの偏向プーリ上に組立ロープを案内又はロープ掛け(リービング)し、組立ロープを組立ヘッドに接続する工程と、
組立ロープを引っ込めることによって組立ヘッドを内側伸縮部の高さまで上昇させる工程と、
組立ヘッドを内側伸縮部に接続する、特にピン接続する工程と、
組立ヘッドから組立ロープを外し、組立アームから組立ロープを取り外す工程と、
組立アームの組立位置から搬送位置への移動工程とを含む。
【0029】
プーリヘッドの偏向プーリ及び荷重懸架手段、特にフックブロックを介した巻上ロープのロープ掛けは、更なる工程として行われることが好ましい。
【0030】
本発明による組立ヘッドの外側ブームセットへの独立した取付は、補助クレーンのような外部補助に頼る必要なく、本発明による方法によって可能である。外側ブームセット及び組み立てられた組立ヘッドを有する移動式クレーンの総重量が、道路搬送のための許容重量制限を下回ったままである場合、組立ヘッドの自己組立は、搬送前に本発明に従った方法に従って行うことができる状態にある。
【0031】
上述した組立ヘッドに関する、本発明による自己組立方法が、現在組み立てられた組立ヘッドの扶助を借りて、更なるクレーン構成要素を上昇させ、組立後の工程を含むように拡大されている場合、伸縮ブーム全体の及び任意で移動式クレーンの自己組立のための方法、を示す。この目的のために、組立ヘッドは、それに対応して安定した方法(例えば、重負荷組立ヘッドとして)で形成され、取り付けられる、更なるクレーン構成要素の大きな荷重を持ち上げることができるようにしなければならない。
【0032】
組立ヘッドは、プーリヘッドと内側伸縮部との間のピン接続を確立することによって設定された外側ブームに取り付けられる、という実施形態も可能である。しかしながら、これに代えて又はこれに加えて、外側ブームセットの別の伸縮部へのピン接続を設けることもできる。
【0033】
更なる実施形態において、組立ヘッドを内側伸縮部に接続して組立ヘッドの伸縮管部に取り付け又はねじ込むステップの前に、内側伸縮部を部分的に伸長させるのが望ましい。組立ロープは、特に、吊り下げられた状態で組立ヘッドの全重心の上方に位置するロープ接続点に固定される。それにより、組立ヘッドは、組立ヘッドが内側伸縮部の高さまで上昇されるとすぐに、伸縮管部が内側伸縮部の開口部の方向に横方向を向くように上昇後、自動的に整列される。したがって、内側伸縮部は、プーリヘッドがそのカラーに当接するまで延長されなければならない。次いで、組立ヘッドと伸縮部との間のピン接続を確立することができる。
【0034】
本発明の更なる特徴、詳細及び利点は、図面を参照して以下で説明される実施形態から、得られる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】伸縮ブームの外側ブームセットに組み付けられた、好ましい実施形態による組立ヘッドを示す斜視図である。
【
図3】本発明による組立方法のそれぞれ異なる工程を示す外側ブームセットの側面図である。
【
図4】本発明による組立方法のそれぞれ異なる工程を示す外側ブームセットの側面図である。
【
図5】本発明による組立方法のそれぞれ異なる工程を示す外側ブームセットの側面図である。
【
図6】本発明による組立方法のそれぞれ異なる工程を示す外側ブームセットの側面図である。
【
図7】本発明による組立方法のそれぞれ異なる工程を示す外側ブームセットの側面図である。
【
図8】
図7の搬送位置に組立アームが取り付けられている、外側ブームを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明による組立ヘッド10の好ましい実施形態は、
図1の斜視図で示されており、組立ヘッド10は、移動式クレーンの伸縮ブームの外側ブームセット20で組み立てられ、移動用に分解され、すなわち、外側ブームセットと内側ブームセットとに分離される。
図2は、外側ブームセットに固定された組立ヘッド10の正面図を示す。外側ブームセット20は、移動式クレーンに連結された連結部22を含み、これは、詳細には示されていないが、移動式クレーンに連結され、変位可能又は伸縮可能に支持された2つの伸縮部24,26が、完全に後退している。2つの伸縮部24,26の最も内側は、以下では、「内側伸縮部」26と呼ばれる。
【0037】
高速組立ヘッドとも言える組立ヘッド10は、上部偏向プーリと、ホイストロープ(図示せず)を案内又はリービングするための下部プーリセットとを有する完全なプーリヘッド12と、内側伸縮部26内に完全に覆われるために
図1及び
図2では見ることができない、短い伸縮管部14とを備える(この伸縮管部14は
図3及び
図4で認識することができる)。
【0038】
組立ヘッド10は、伸縮管部14を内側伸縮部26に押し込み、その後、外側ブームセット20においてプーリヘッド12と内側伸縮部26との間のピン接続を確立することによって組み立てられるアタッチメントヘッドである。このために、前面における内側伸縮部26の開口の周囲に延在するプーリヘッド12及びカラー27は、各ピン接続点として形成された接続手段16,28を有する。これは、組立ヘッド10とそれを取り囲む内側伸縮部26との間の力の伝達は、伸縮管部14を介して、むしろ確立されたピン接続部16,28を介して、行われないか、又は、それほど重要でない程度まで行われることを意味する。
【0039】
伸縮管部14は、外側ブームセット20の伸縮部24,26よりも実質的に短く、伸縮部ではない。伸縮管部14は、むしろ、内側伸縮部26において、組立ヘッド10の安定した固定/支持の役目を果たす。本実施形態では、伸縮管部14は、したがって、プーリヘッド12の長さに実質的に対応する長さを有し、したがって、組み立てられた状態において、内側伸縮部26の最外端領域にのみ延びる。それにより、組立ヘッド10は、比較的低い重量しか有しておらず、原則として、分解された伸縮ブームと一緒に、すなわち、外側ブームセット20に取り付けられた状態で搬送することができる。伸縮管部14の外側輪郭は、特に、内側伸縮部26の内側輪郭に実質的に対応している。伸縮管部14は、内側伸縮部26の支持点に接触することができ、その支持点には、内側ブームセットの外側伸縮部が組み立てられた状態で支持される。
【0040】
ここでは更に詳細には示されていないが、「内側ブームセット」と呼ばれ、外側ブームセット20の内側伸縮部26に伸縮自在に支持され、ブームヘッドを有する最内側伸縮部を構成する追加伸縮部は、道路搬送のための軽量化を目的として解体され、別個に展開場所に搬送される。本発明によれば、解体された移動式クレーンを、例えば、内側ブームセットの実際のブームヘッドが取り付けられていないにもかかわらず、例えば移動式クレーンの自己組立のための準備作業のために、解体された伸縮式ブームを独立して吊上げ作業に使用することが、本発明によれば、組立ヘッド10によって可能となっている。組立ヘッド10は、取り外された追加の伸縮部を取り付ける前に取り外される。
【0041】
図3~
図7は、本発明による組立ヘッド10の自己組立のための、本発明による方法の異なる工程を、ブームの側面図において、各ケースにおける外側ブームセット20で示す。自己組立方法は、展開現場への搬送の前又は後に実施することができる。
【0042】
組立ロープ40が案内され得る水平軸を中心に回転可能な偏向プーリ32を水平軸の端部に有する組立アーム30が、外側ブームセット20の連結部22に固定されている。組立アーム30は、連結部22の固定装置38にコンソール36を介して取り付けられ、そこに伸縮ブームのYガイを取り付けることができる。それによって、組立アーム30のための追加のマウントは、連結部22に設けなければならない。また、Yガイは、組立ヘッド10の組立及び使用中には使用されないので、固定装置38は容易に使用可能である。ガイが必要でない場合には、組立アーム30は、連結部22に取り付けたままであることさえ可能である。しかしながら、組立アーム30の分解も、組立ヘッド10の使用後に同様に可能である。
【0043】
図8で認識できるように、組立アーム30は、連結部22に接触する搬送位置(
図7及び
図8参照)と、組立ヘッド10を上昇させるのに使用可能な組立位置(
図3~
図6参照)との間で、連結部22の長手方向軸に向かって傾斜した枢軸34を中心に枢動可能である。偏向プーリ32は、コンソール36に対して横方向にオフセットして配置され、偏向プーリ32の回転軸は、組立アーム30の長手方向軸に向かって傾斜している。偏向プーリ32は、このオフセットのために、搬送位置において連結部22の側にあり、その結果、組立アーム30全体が外側ブームセット20(
図7参照)の輪郭を越えて突出しないか、又は実質的に突出せず、移動式クレーンの公道走行における許容寸法が遵守される。組立位置において、偏向プーリ32の回転軸は、偏向プーリ32が収縮された外側ブームセット20の先端を越えて前方に突出する状態で、連結部22及び組立アーム30の長手方向軸に対して実質的に垂直又はほぼ垂直であるのと対照的である。
【0044】
組立ヘッド10は、その上昇及び/又は吊り下げ状態において組立ヘッド10の重心の上方にあるように配置されたロープ接続点13を有する。これにより、吊り下げられた組立ヘッド10は、伸縮管部14が内側伸縮部26の方向を向くように、空中で自動的に正しい位置に吊り下げられる(
図4参照)。
【0045】
自己組立方法(
図3)の第1ステップでは、組立アーム30は、組立位置に揺動され(かつ任意に外れ止めされ)、組立ロープ40は、偏向プーリ32の周囲に案内され、組立ヘッド10のロープ接続点13に固定される。組立ヘッド10は、搬送車両50上に配置され(例えば、現場で組立ヘッドを取り付けるために展開現場に持ち込まれ、代替的に、道路搬送の前に取り付けられ、移動式クレーンと一緒に移動され得る)、組立ロープ40を巻き取ることによって、上昇させることができる。補助クレーン又は他の外部ツールは、この動作に必要ではなく、昇降機構は、ブームセット20自体に配置される。
【0046】
図4は、吊り下げられた組立ヘッド10が内側伸縮部26の高さまで上昇された後の状態を示す。自己整合により、伸縮管部14は、内側伸縮部26の開口部に対向する。伸縮管部14の内側伸縮部26への導入を容易にするために、案内要素18が伸縮管部14に配置され、内側伸縮部26の案内要素(例えばレール等)と協働する。
【0047】
次のステップでは、組立ヘッド10のプーリヘッド12が内側伸縮部26のカラー27に当接するまで、内側伸縮部26を長く延ばす(
図5)。これにより、結合された接続手段16,28のピン接続を確立できる。
【0048】
伸縮部26のカラー内の支持点は、内側伸縮部のための既存の支持体内の伸縮管部14を受け入れる。しかし、このマウントは、リング状で直線状であり、伸縮部と垂直に交差する平面内でのみ力を支持することができる。
【0049】
他方向の全ての力は、十分に大きな寸法を有する必要がある、
図4に示すピン接続部16,28を介して支持することができる。伸縮ブームの長手方向の力を、組立ヘッド10から伸縮部26のカラー内に直接導入する接合点を追加的に設けることができる。
【0050】
図6は、組立ロープ40が取り出されて組立アーム30から取り外されたか、又は取り出されず、かつ、内側伸縮部26が再び完全に後退した後の、組み立てられた組立ヘッド10を示す。組立ヘッド10は、組立アーム30の搬送位置(
図7)への折り込み(及び任意で抜け止め)の後、及びプーリヘッド12での偏向プーリ及びフックブロックのローラの上での巻き上げロープのロープ掛けの後に、使用可能な状態になる。組立ヘッド10の分解は、前述のステップとは逆の順序で行われる。
【符号の説明】
【0051】
10 組立ヘッド
12 プーリヘッド
13 固定点
14 伸縮管部
16 接続手段
18 案内要素
20 外側ブームセット
22 連結部
24 伸縮部
26 内側伸縮部
27 カラー
28 接続手段
30 組立アーム
32 偏向プーリ
34 ピボット軸
36 コンソール
38 固定装置
40 組立ロープ
50 搬送車両
【外国語明細書】