(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022033018
(43)【公開日】2022-02-25
(54)【発明の名称】電気車両の充電制御装置及びその方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20220217BHJP
B60L 53/30 20190101ALI20220217BHJP
B60L 53/66 20190101ALI20220217BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/00 L
B60L53/30
B60L53/66
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021130883
(22)【出願日】2021-08-10
(31)【優先権主張番号】10-2020-0101355
(32)【優先日】2020-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0139532
(32)【優先日】2020-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100210790
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大策
(72)【発明者】
【氏名】キム、ドフン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヨンシク
(72)【発明者】
【氏名】チェ、チョンヒョ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、テヒ
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA11
5G503DA04
5G503FA06
5G503GB03
5G503GB06
5G503GD03
5G503GD04
5G503GD06
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC23
5H125BE02
5H125CC06
5H125DD02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電気車両のバッテリーを充電する過程で、充電器とのPLC通信(Power Line Communication)が中断されることを防止できる電気車両の充電制御装置及びその方法を提供する。
【解決手段】充電制御装置130は、充電器とPLC通信を行う通信部20及び充電器に充電要求電流を要請し、要請に相応する応答の受信までに所要される往復時間(round trip time)を検出し、検出した往復時間に基づいて充電要求電流を調節する制御部40を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電器とPLC(Power Line Communication)を行う通信部;
前記充電器からの充電電圧を昇圧するマルチインバータ;及び
前記充電器に充電要求電流を要請し、前記要請に相応する応答の受信までに所要される往復時間を検出し、前記検出した往復時間に基づいて前記マルチインバータのスイッチング周期を調節する制御部;
を含む、電気車両の充電制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記検出した往復時間が基準往復時間を超過しないように前記マルチインバータのスイッチング周期を調節することを特徴とする、請求項1に記載の電気車両の充電制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記検出した往復時間が前記基準往復時間を超過しなければ前記マルチインバータのスイッチング周期を上げ、前記検出した往復時間が前記基準往復時間を超過すればマルチインバータのスイッチング周期を下げることを特徴とする、請求項2に記載の電気車両の充電制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、
初期往復時間を基準回数測定し、前記基準回数測定された初期往復時間の平均値に基づいて前記基準往復時間を設定することを特徴とする、請求項2に記載の電気車両の充電制御装置。
【請求項5】
高電圧バッテリーをさらに含み、
前記電気車両は、
前記充電器から供給を受けた第1充電電圧に相応する充電電力で前記高電圧バッテリーを充電するか、
前記充電器から前記第1充電電圧より低い第2充電電圧の供給を受けた場合、前記第2充電電圧を前記第1充電電圧に昇圧し、前記第1充電電圧に相応する充電電力で前記高電圧バッテリーを充電することを特徴とする、請求項1に記載の電気車両の充電制御装置。
【請求項6】
充電器とPLC(Power Line Communication)を行う通信部;及び
前記充電器に充電要求電流を要請し、前記要請に相応する応答の受信までに所要される往復時間を検出し、前記検出した往復時間に基づいて前記充電要求電流を調節する制御部;
を含む、電気車両の充電制御装置。
【請求項7】
通信部が充電器とPLC(Power Line Communication)を連結する段階;
マルチインバータが前記充電器からの充電電圧を昇圧する段階;
制御部が前記充電器に充電要求電流を要請し、前記要請に相応する応答の受信までに所要される往復時間を検出する段階;及び
前記制御部が前記検出した往復時間に基づいて前記マルチインバータのスイッチング周期を調節する段階;
を含む、電気車両の充電制御方法。
【請求項8】
前記マルチインバータのスイッチング周期を調節する段階は、
前記検出した往復時間が基準往復時間を超過するか判断する段階;
前記判断の結果、前記検出した往復時間が基準往復時間を超過しなければ前記マルチインバータのスイッチング周期を上げる段階;及び
前記判断の結果、前記検出した往復時間が基準往復時間を超過すれば前記マルチインバータのスイッチング周期を下げる段階;
を含む、請求項7に記載の電気車両の充電制御方法。
【請求項9】
前記マルチインバータのスイッチング周期を調節する段階は、
初期往復時間を基準回数測定する段階;及び
前記基準回数測定した初期往復時間の平均値に基づいて前記基準往復時間を設定する段階;
をさらに含む、請求項8に記載の電気車両の充電制御方法。
【請求項10】
前記電気車両が前記充電器から供給を受けた第1充電電圧に相応する充電電力で高電圧バッテリーを充電する段階;
前記電気車両が充電器から前記第1充電電圧より低い第2充電電圧の供給を受けた場合、前記第2充電電圧を前記第1充電電圧に昇圧する段階;及び
前記電気車両が前記昇圧された第1充電電圧に相応する充電電力で前記高電圧バッテリーを充電する段階;
をさらに含む、請求項7に記載の電気車両の充電制御方法。
【請求項11】
通信部が充電器とPLC(Power Line Communication)を連結する段階;
制御部が前記充電器に充電要求電流を要請し、前記要請に相応する応答の受信までに所要される往復時間を検出する段階;及び
前記制御部が前記検出した往復時間に基づいて前記充電要求電流を調節する段階;
を含む、電気車両の充電制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電器を用いて電気車両のバッテリーを充電する過程において、前記充電器とのPLC(Power Line Communication)が中断(Time-out)されることを防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、電気車両は、バッテリー(一例として、高電圧バッテリー)から電気モーターの駆動エネルギーを得る。したがって、バッテリーのSOC(State Of Charge)が基準値より低くなると必ず充電がなされなければならないが、このとき、充電の方式には、充電器の電圧(400V)を昇圧してバッテリーを充電する昇圧方式と、充電器の電圧(一例として、800V)をそのまま用いてバッテリーを充電する非昇圧方式とがある。
【0003】
非昇圧方式は充電過程において充電器によりノイズが発生するため、昇圧方式が主に用いられるところ、このような昇圧方式には、コンバータを用いた昇圧方式とマルチインバータを用いた昇圧方式とがある。
【0004】
コンバータを用いた昇圧方式は、一般的に広く用いられる方式であって、電気車両に別途のコンバータを追加で備えなければならないため、コストの上昇をもたらすという短所がある。
【0005】
マルチインバータを用いた昇圧方式は、バッテリーの充電電圧を昇圧するために別途のコンバータを備えなくともよいという長所があるが、充電電圧の昇圧のためのスイッチング過程においてノイズが発生するという短所がある。
【0006】
このようなノイズは、電気車両のバッテリーを充電する過程において必ず維持されなければならない充電器とのPCL通信に歪みを起こして充電器とのPCL通信を中断(Time-out)させる要因として作用する。
【0007】
このように充電器とのPCL通信が中断されるとバッテリーの充電もともに中断されるので、電気車両のバッテリーを充電する過程において充電器とのPCL通信が中断されることを防止することができる方案が要求される。
【0008】
本背景技術の部分に記載された事項は、発明の背景に対する理解を増進するために作成されたものであって、この技術の属する分野で通常の知識を有する者に既知の従来の技術ではない事項を含み得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、充電器とのPLC(Power Line Communication)が連結された状態において、前記充電器に充電要求電流を要請し、それに相応する応答の受信までにかかる往復時間(round trip time)を検出し、前記往復時間に基づいてマルチインバータのスイッチング周期を調節することにより、電気車両のバッテリーを充電する過程で前記充電器とのPCL通信が中断されることを防止することができる電気車両の充電制御装置及びその方法の提供を図る。
【0010】
また、本発明は、充電器とのPLC(Power Line Communication)が連結された状態において、前記充電器に充電要求電流を要請し、それに相応する応答の受信までにかかる往復時間(round trip time)を検出し、前記往復時間に基づいて前記充電要求電流を調節することにより、電気車両のバッテリーを充電する過程で前記充電器とのPCL通信が中断されることを防止することができる電気車両の充電制御装置及びその方法の提供を図る。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態に係る電気車両の充電制御装置は、充電器とPLC(Power Line Communication)を行う通信部;前記充電器からの充電電圧を昇圧するマルチインバータ;及び前記充電器に充電要求電流を要請し、前記要請に相応する応答の受信までに所要される往復時間を検出し、前記検出した往復時間に基づいて前記マルチインバータのスイッチング周期を調節する制御部を含むことができる。
【0012】
本発明の一実施形態において、前記制御部は、前記検出した往復時間が基準往復時間を超過しないように前記マルチインバータのスイッチング周期を調節することができる。
【0013】
本発明の一実施形態において、前記制御部は、前記検出した往復時間が前記基準往復時間を超過しなければ前記マルチインバータのスイッチング周期を上げ、前記検出した往復時間が前記基準往復時間を超過すればマルチインバータのスイッチング周期を下げることができる。
【0014】
本発明の一実施形態において、前記制御部は、初期往復時間を基準回数測定し、前記基準回数測定された初期往復時間の平均値に基づいて前記基準往復時間を設定することができる。
【0015】
本発明の一実施形態において、前記電気車両は、前記充電器から供給を受けた第1充電電圧に相応する充電電力で前記高電圧バッテリーを充電することができる。
【0016】
本発明の一実施形態において、前記電気車両は、前記充電器から前記第1充電電圧より低い第2充電電圧の供給を受けた場合、前記第2充電電圧を前記第1充電電圧に昇圧し、前記第1充電電圧に相応する充電電力で前記高電圧バッテリーを充電することができる。
【0017】
本発明の他の実施形態に係る電気車両の充電制御装置は、充電器とPLC(Power Line Communication)を行う通信部;及び前記充電器に充電要求電流を要請し、前記要請に相応する応答の受信までに所要される往復時間を検出し、前記検出した往復時間に基づいて前記充電要求電流を調節する制御部を含むことができる。
【0018】
本発明の一実施形態に係る電気車両の充電制御方法は、通信部が充電器とPLC(Power Line Communication)を連結する段階;マルチインバータが前記充電器からの充電電圧を昇圧する段階;制御部が前記充電器に充電要求電流を要請し、前記要請に相応する応答の受信までに所要される往復時間を検出する段階;及び前記制御部が前記検出した往復時間に基づいて前記マルチインバータのスイッチング周期を調節する段階を含むことができる。
【0019】
本発明の一実施形態は、前記検出した往復時間が基準往復時間を超過するか判断する段階;前記判断の結果、前記検出した往復時間が基準往復時間を超過しなければ前記マルチインバータのスイッチング周期を上げる段階;及び前記判断の結果、前記検出した往復時間が基準往復時間を超過すれば前記マルチインバータのスイッチング周期を下げる段階を含むことができる。
【0020】
本発明の一実施形態は、初期往復時間を基準回数測定する段階;及び前記基準回数測定した初期往復時間の平均値に基づいて前記基準往復時間を設定する段階をさらに含むことができる。
【0021】
本発明の一実施形態は、前記電気車両が前記充電器から供給を受けた第1充電電圧に相応する充電電力で高電圧バッテリーを充電する段階;前記電気車両が充電器から前記第1充電電圧より低い第2充電電圧の供給を受けた場合、前記第2充電電圧を前記第1充電電圧に昇圧する段階;及び前記電気車両が前記昇圧された第1充電電圧に相応する充電電力で前記高電圧バッテリーを充電する段階をさらに含むことができる。
【0022】
本発明の他の実施形態に係る電気車両の充電制御方法は、通信部が充電器とPLC(Power Line Communication)を連結する段階;制御部が前記充電器に充電要求電流を要請し、前記要請に相応する応答の受信までに所要される往復時間を検出する段階;及び前記制御部が前記検出した往復時間に基づいて前記充電要求電流を調節する段階を含むことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一実施形態に係る電気車両の充電制御装置及びその方法は、充電器とのPLC(Power Line Communication)が連結された状態において、前記充電器に充電要求電流を要請し、それに相応する応答の受信までにかかる往復時間(round trip time)を検出し、前記往復時間に基づいてマルチインバータのスイッチング周期を調節することにより、電気車両のバッテリーを充電する過程において、前記充電器とのPCL通信が中断されることを防止することができる。
【0024】
本発明の一実施形態に係る電気車両の充電制御装置及びその方法は、充電器とのPLC(Power Line Communication)が連結された状態において、前記充電器に充電要求電流を要請し、それに相応する応答の受信までにかかる往復時間(round trip time)を検出し、前記往復時間に基づいて前記充電要求電流を調節することにより、電気車両のバッテリーを充電する過程において、前記充電器とのPCL通信が中断されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の各実施形態が適用される電気車両の充電システムを示す一例示図である。
【
図2a】本発明の一実施形態が適用される電気車両の充電システムで測定された最初の往復時間を示す一例示図である。
【
図2b】本発明の一実施形態が適用される電気車両の充電システムで測定された往復時間を示す一例示図である。
【
図2c】本発明の一実施形態が適用される電気車両の充電システムで測定された往復時間を示す他の例示図である。
【
図2d】本発明の一実施形態が適用される電気車両の充電システムで測定された往復時間を示すまた他の例示図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る電気車両の充電制御装置に対する構成を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る電気車両の充電制御方法に対するフローチャートである。
【
図5】本発明の他の実施形態に係る電気車両の充電制御方法に対するフローチャートである。
【
図6】本発明の各実施形態に係る電気車両の充電制御方法を行うためのコンピュータシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一部の実施形態について例示的な図により詳細に説明する。各図の構成要素に参照符号を付けるに際し、同じ構成要素については、たとえ別の図上に表示されるとしてもできるだけ同じ符号を付けるようにしていることに留意すべきである。また、本発明の実施形態の説明に際し、関連する公知の構成又は機能に対する具体的な説明が、本発明の実施形態に関する理解を妨げると判断される場合は、その詳細な説明は省略する。
【0027】
本発明の実施形態の構成要素の説明に際し、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することがある。かかる用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語により当該構成要素の本質や手順又は順番などが限定されない。また、別に定義されない限り、技術的又は科学的な用語をはじめ、ここで使用されるすべての用語は、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有するものと解釈すべきであり、本出願において明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味に解釈されない。
【0028】
図1は、本発明の各実施形態が適用される電気車両の充電システムを示す一例示図である。
【0029】
図1に示されたとおり、本発明の各実施形態が適用される電気車両の充電システム100は、充電器110と電気車両120に備えられた充電制御装置130を含むことができる。
【0030】
前記電気車両120は、充電器110により充電される高電圧バッテリー(図示せず)を備え、純粋な電気自動車の他にもPHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)を含むことができる。
【0031】
前記電気車両120には、マルチインバータ122を用いた昇圧方式とコンバータを用いた昇圧方式のうち少なくとも一つが適用され得る。一例として、電気車両120は、充電器110から供給を受けた800Vに相応する充電電力で高電圧バッテリーを充電するか、充電器110から供給を受けた400Vを800Vに昇圧して800Vに相応する充電電力で高電圧バッテリーを充電することができる。このとき、電気車両120は、昇圧機能を備えたマルチインバータ122に基づいて、充電器110から供給を受けた400Vを800Vに昇圧することができる。
【0032】
参考として、マルチインバータ122を用いた昇圧方式は、周知慣用の技術として、スイッチング動作を介して直流電流(a direct current)を3相交流電流(an alternating current)に変換するインバータと、前記インバータから入力を受けた3相交流電流を用いて回転力を発生させるモーターに基づいた方式であって、充電器110からの充電電流が前記モーターの中性点(N)に印加されると、前記インバータ内のスイッチング素子のデューティーにより前記モーターの中性点(N)電圧を昇圧することができる。
【0033】
充電所に備えられた充電器110は、高出力充電器であって、DCコンボ(Combo)タイプのアウトレット(outlet)111を備えることができ、これに相応するように、電気車両120は、DCコンボタイプのインレット(inlet)121を備えることができる。
【0034】
併せて、充電器110のアウトレット111が電気車両120のインレット121に締結されるとPLCが可能となるところ、このようなPLCを介して充電器110と電気車両120の間に充電シーケンスが進行され得る。ここで、充電シーケンスは、いずれの方式を用いても構わない。
【0035】
充電器110は、充電要求電流の要請に相応する応答を充電制御装置130に返信し、前記充電要求電流を電気車両120に供給することができる。
【0036】
充電制御装置130は、本発明の核心構成であって、充電器110とのPLCが連結された状態において、前記充電器110に充電要求電流を要請し、それに相応する応答の受信までにかかる往復時間(round trip time)を検出し、前記往復時間に基づいてマルチインバータ122のスイッチング周期を調節することにより、電気車両120のバッテリーを充電する過程において、充電制御装置130と充電器110の間のPCL通信が中断されることを防止することができる。
【0037】
また、充電制御装置130は、充電器110とのPLCが連結された状態において、前記充電器110に充電要求電流を要請し、それに相応する応答の受信までにかかる往復時間(round trip time)を検出し、前記往復時間に基づいて前記充電要求電流を調節することにより、電気車両120のバッテリーを充電する過程において、充電制御装置130と充電器110の間のPCL通信が中断されることを防止することができる。
【0038】
以下、
図2aから
図2dを参照しつつ、往復時間について検討してみる。
【0039】
図2aは、本発明の一実施形態が適用される電気車両の充電システムで測定された最初の往復時間を示す一例示図である。
【0040】
図2aに示されたとおり、充電制御装置130が充電器110に最初充電要求電流(一例として、1A)を要請した時点が37.247秒であり(211)、充電制御装置130が充電器110から前記要請に相応する応答を受信した時点が37.297秒なので(212)、最初の往復時間は0.05秒となる。
【0041】
このような最初の往復時間はPCL通信が円滑であることを意味するので、電気車両120のバッテリーを充電する過程においてノイズによるPCL通信の中断は発生しない。
【0042】
図2bは、本発明の一実施形態が適用される電気車両の充電システムで測定された往復時間を示す一例示図であって、最初の往復時間以後に発生した往復時間を示す。
【0043】
図2bに示されたとおり、充電制御装置130が充電器110に充電要求電流(一例として、31.7A)を要請した時点が40.448秒であり(221)、充電制御装置130が充電器110から前記要請に相応する応答を受信した時点が40.547秒なので(222)、往復時間は0.099秒となる。
【0044】
これを介して、充電要求電流が上昇すると、400V充電器からの充電電圧を昇圧する過程で発生するノイズ、又は800V充電器により発生したノイズにより往復時間が増加することが分かる。しかし、この時まではノイズによりPCL通信の中断は発生しない。
【0045】
図2cは、本発明の一実施形態が適用される電気車両の充電システムで測定された往復時間を示す他の例示図であって、
図2bの往復時間以後に発生した往復時間を示す。
【0046】
図2cに示されたとおり、充電制御装置130が充電器110に充電要求電流(一例として、36.7A)を要請した時点が40.987秒であり(231)、充電制御装置130が充電器110から前記要請に相応する応答を受信した時点が41.157秒なので(232)、往復時間は0.17秒となる。
【0047】
これを介して、充電要求電流が上昇すると、400V充電器からの充電電圧を昇圧する過程で発生するノイズ、又は800V充電器により発生したノイズにより往復時間が増加することが分かる。しかし、この時まではノイズによりPCL通信の中断は発生しない。
【0048】
図2dは、本発明の一実施形態が適用される電気車両の充電システムで測定された往復時間を示すまた他の例示図であって、
図2cの往復時間以後に発生した往復時間を示す。
【0049】
図2dに示されたとおり、充電制御装置130が充電器110に充電要求電流(一例として、45.7A)を要請した時点が41.888秒である(241)。しかし、充電制御装置130は、充電器110から基準往復時間(一例として、250ms)以内に前記要請に相応する応答を受信することができなかった。
【0050】
したがって、充電制御装置130は、42.140秒に充電器110に充電要求電流(一例として、45.7A)を再び要請する(242)。
【0051】
それにもかかわらず、充電制御装置130は、基準往復時間(一例として、250ms)以内に前記再要請に相応する応答を受信できずに充電終了シーケンスを行う(243)。
【0052】
これを介して、1次要請に対する応答が基準往復時間内になければ再び要請し、前記再要請に対する応答が基準往復時間内になければ充電終了シーケンスを行うことが分かる。
【0053】
また、充電要求電流が過度に上昇すると、400V充電器からの充電電圧を昇圧する過程で発生するノイズ、又は800V充電器により発生したノイズにより、往復時間が基準往復時間を超過して充電器110とのPCLが中断されることが分かる。
【0054】
結局、充電要求電流が上昇するほど、ノイズがPLCに及ぶ影響が大きくなることが分かる。
【0055】
このような充電要求電流による往復時間の特性を考慮し、充電制御装置130は充電要求電流を調節することができる。
【0056】
一方、400V充電器からの充電電圧を昇圧する過程で発生するノイズを制御するため、前述した間接方式によって充電要求電流を調節することができるが、直接方式によって充電電圧の昇圧機能を行うマルチインバータ122のスイッチング周期を調節することもできる。
【0057】
図3は、本発明の一実施形態に係る電気車両の充電制御装置に対する構成を示す図である。
【0058】
図3に示されたとおり、本発明の一実施形態に係る電気車両の充電制御装置130は、格納部10、通信部20、表示部30、及び制御部40を含むことができる。このとき、本発明の一実施形態に係る電気車両の充電制御装置130を実施する方式に従って各構成要素は互いに結合されて1つに具現されてもよく、一部の構成要素が省略されてもよい。
【0059】
前記各構成要素について検討してみる。先ず、格納部10は、充電器110とのPLCが連結された状態において、前記充電器110に充電要求電流を要請し、それに相応する応答の受信までにかかる往復時間を検出し、前記往復時間に基づいて前記充電要求電流を調節する過程で要求される各種のロジックとアルゴリズム及びプログラムを格納することができる。
【0060】
格納部10は、充電器110に要請する充電要求電流の調節に用いられる基準往復時間(一例として、250ms)を格納することができる。このような基準往復時間は、設計者の意図により任意に変更されてよい。
【0061】
格納部10は、フラッシュメモリータイプ(flash memory type)、ハードディスクタイプ(hard disk type)、マイクロタイプ(micro type)及びカードタイプ(例えば、SDカード(Secure Digital Card)又はXDカード(eXtream Digital Card))などのメモリーと、ラム(RAM、Random Access Memory)、SRAM(Static RAM)、ロム(ROM、Read-Only Memory)、PROM(Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable PROM)、磁気メモリー(MRAM、Magnetic RAM)、磁気ディスク(magnetic disk)及び光ディスク(optical disk)タイプのメモリーのうち少なくとも1つのタイプの記録媒体(storage medium)を含むことができる。
【0062】
通信部20は、PLC方式で充電器110と通信するモジュールであって、制御部40の制御下で充電器110との充電シーケンスを行うことができる。特に、通信部20は、充電器110に充電要求電流を要請するメッセージ(Current Demand Request)を伝送することができ、充電器110から前記要請メッセージに相応する応答メッセージ(Current Demand Response)を受信することができる。
【0063】
表示部30は、充電シーケンスの進行手続きを表示することができ、特に、現在バッテリーに供給されている充電電流を表示することができる。
【0064】
制御部40は、前記各構成要素が本来の機能を正常に行うことができるように全般的な制御を行うことができる。このような制御部40は、ハードウェアの形態に具現されるか、又はソフトウェアの形態に具現されるか、又はハードウェア及びソフトウェアが結合された形態に具現されてよい。好ましくは、制御部40は、マイクロプロセッサーに具現されてよいが、これに限定されるものではない。
【0065】
特に、制御部40は、充電器110とのPLCが連結された状態において、前記充電器110に充電要求電流を要請し、それに相応する応答の受信までにかかる往復時間を検出し、前記往復時間に基づいて前記充電要求電流を調節するか、マルチインバータ122のスイッチング周期を調節する過程で各種の制御を行うことができる。
【0066】
制御部40は、充電器110に充電要求電流を要請するメッセージ(Current Demand Request)を伝送し、充電器110から前記要請メッセージに相応する応答メッセージ(Current Demand Response)を受信するように通信部20を制御することができる。
【0067】
制御部40は、充電器110に充電要求電流を要請するメッセージ(Current Demand Request)を伝送し、充電器110から前記要請メッセージに相応する応答メッセージ(Current Demand Response)を受信するまでに所要される往復時間を測定することができる。
【0068】
制御部40は、前記測定された往復時間に基づいて基準往復時間を設定することができる。一例として、制御部40は、前記測定された往復時間の2倍又は3倍を基準往復時間として設定することができる。
【0069】
制御部40は、初期n回(一例として、5回)測定された往復時間の平均値を算出し、前記算出された平均値に基づいて基準往復時間を設定することもできる。一例として、制御部40は、前記算出された平均値の2倍又は3倍を基準往復時間として設定することができる。
【0070】
制御部40は、PLCが中断なく正常になされる限りで充電要求電流を上げることができる。このとき、制御部40は、バッテリーの状態(一例として、性能、劣化度、SOH(Battery State hesalth)など)を考慮して充電要求電流を上げることができる。
【0071】
制御部40は、充電器110に要請した充電要求電流を維持しながらマルチインバータ122のスイッチング周期を調節することにより、前記充電要求電流を供給する過程で発生するノイズによってPLC通信が中断されることを防止することができる。
【0072】
以下、
図4及び
図5を参照しっつ、制御部40の詳細動作について検討してみる。
【0073】
図4は、本発明の一実施形態に係る電気車両の充電制御方法に対するフローチャートである。
【0074】
先ず、制御部40は、充電器110のアウトレット111と電気車両120のインレット121が締結されると、充電シーケンスを進めることができ、特に、PLC(電力線通信)を介して充電器110に充電要求電流を要請することができる(401)。このとき、初期充電要求電流は1Aであり、その後、充電要求電流は徐々に増加し得る。
【0075】
その後、制御部40は、充電器110から前記充電要求電流の要請に相応する応答を受信することができる(402)。そうすると、制御部40は、充電器110に充電要求電流を要請し、それに相応する応答の受信までにかかる往復時間を検出することができる(403)。
【0076】
その後、制御部40は、基準往復時間が設定されているか確認することができる(404)。
【0077】
前記確認の結果(404)、制御部40は、基準往復時間が設定されていなければ、前記測定した往復時間がn回目に測定された往復時間であるか確認することができる(405)。
【0078】
前記確認の結果(405)、制御部40は、前記測定した往復時間がn回目に測定された往復時間でなければ「401」の過程に進む。
【0079】
前記確認の結果(405)、制御部40は、前記測定した往復時間がn回目に測定された往復時間であれば、n個の往復時間の平均値を計算することができる(406)。
【0080】
その後、制御部40は、前記計算した平均値に基づいて基準往復時間を設定することができる(407)。このとき、初期n回測定された往復時間は、PLCが正常に動作する状態で測定された値なので、初期n回測定された往復時間に基づいて基準往復時間を設定しても構わない。
【0081】
前記確認の結果(404)、制御部40は、基準往復時間が設定されていれば、前記測定された往復時間が基準往復時間を超過するか確認することができる(408)。
【0082】
前記確認の結果(408)、制御部40は、前記測定された往復時間が基準往復時間を超過しなければマルチインバータ122のスイッチング周期を上げることができる(409)。このとき、制御部40は、マルチインバータ122のスイッチング周期を維持することもできる。ここで、マルチインバータ122のスイッチング周期が上がることはスイッチング周期が短くなることを意味する。
【0083】
前記確認の結果(408)、制御部40は、前記測定された往復時間が基準往復時間を超過すると、マルチインバータ122のスイッチング周期を下げることができる(410)。すなわち、マルチインバータ122のスイッチング周期をさらに長く設定して基準時間当りのスイッチング回数を減少させることができる。
【0084】
結局、制御部40は、前記測定した往復時間が基準往復時間を超過しないときまでマルチインバータ122のスイッチング周期を上げることができる。
【0085】
図5は、本発明の他の実施形態に係る電気車両の充電制御方法に対するフローチャートである。
【0086】
先ず、制御部40は、充電器110のアウトレット111と電気車両120のインレット121が締結されると、充電シーケンスを進めることができ、特に、PLC(電力線通信)を介して充電器110に充電要求電流を要請することができる(501)。このとき、初期充電要求電流は1Aであり、その後、充電要求電流は徐々に増加し得る。
【0087】
その後、制御部40は、充電器110から前記充電要求電流の要請に相応する応答を受信することができる(502)。そうすると、制御部40は、充電器110に充電要求電流を要請し、それに相応する応答の受信までにかかる往復時間を検出することができる(503)。
【0088】
その後、制御部40は、基準往復時間が設定されているか確認することができる(504)。
【0089】
前記確認の結果(504)、制御部40は、基準往復時間が設定されていなければ、前記測定した往復時間がn回目に測定された往復時間であるか確認することができる(505)。
【0090】
前記確認の結果(505)、制御部40は、前記測定した往復時間がn回目に測定された往復時間でなければ「501」の過程に進む。
【0091】
前記確認の結果(505)、制御部40は、前記測定した往復時間がn回目に測定された往復時間であれば、n個の往復時間の平均値を計算することができる(506)。
【0092】
その後、制御部40は、前記計算した平均値に基づいて基準往復時間を設定することができる(507)。このとき、初期n回測定された往復時間はPLCが正常に動作する状態で測定された値なので、初期n回が測定された往復時間に基づいて基準往復時間を設定しても構わない。
【0093】
前記確認の結果(504)、制御部40は、基準往復時間が設定されていれば、前記測定された往復時間が基準往復時間を超過するか確認することができる(508)。
【0094】
前記確認の結果(508)、制御部40は、前記測定された往復時間が基準往復時間を超過しなければ充電要求電流を上げることができる(509)。
【0095】
前記確認の結果(508)、制御部40は、前記測定された往復時間が基準往復時間を超過すると、以前の充電要求電流を充電器110に要請することができる(510)。すなわち、以前の充電要求電流を維持することができる。
【0096】
結局、制御部40は、前記測定した往復時間が基準往復時間を超過しないときまで充電要求電流を上げることができる。
【0097】
図6は、本発明の各実施形態に係る電気車両の充電制御方法を行うためのコンピュータシステムを示すブロック図である。
【0098】
図6を参照すると、前述した本発明の各実施形態に係る電気車両の充電制御方法は、コンピュータシステムを介しても具現され得る。コンピュータシステム1000は、システムバス1200を介して連結される少なくとも1つのプロセッサ1100、メモリー1300、使用者インターフェース入力装置1400、使用者インターフェース出力装置1500、ストレージ1600、及びネットワークインターフェース1700を含むことができる。
【0099】
プロセッサ1100は、中央処理装置(CPU)又はメモリー1300及び/又はストレージ1600に格納された命令語に対する処理を行う半導体装置であってよい。メモリー1300及びストレージ1600は、多様な種類の揮発性又は不揮発性格納媒体を含むことができる。例えば、メモリー1300は、ROM(Read Only Memory)1310及びRAM(Random Access Memory)1320を含むことができる。
【0100】
したがって、本明細書に開示されている実施形態と関連して説明された方法又はアルゴリズムの段階は、プロセッサ1100により実行されるハードウェア、ソフトウェアモジュール、又はその2個の結合に直接具現され得る。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリー、フラッシュメモリー、ROMメモリー、EPROMメモリー、EEPROMメモリー、レジスター、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、脱着型ディスク、CD-ROMのような格納媒体(すなわち、メモリー1300及び/又はストレージ1600)に常駐してもよい。例示的な格納媒体はプロセッサ1100にカップリングされ、そのプロセッサ1100は、格納媒体から情報を読み取ることができ、格納媒体に情報を書き込むことができる。他の方法として、格納媒体は、プロセッサ1100と一体型であってもよい。プロセッサ及び格納媒体は、注文型集積回路(ASIC)内に常駐してもよい。ASICは、使用者端末機内に常駐してもよい。他の方法として、プロセッサ及び格納媒体は、使用者端末機内に個別コンポーネントとして常駐してもよい。
【0101】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したことに過ぎないものであって、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から外れない範囲で様々な修正及び変形が可能であろう。
【0102】
したがって、本発明に開示されている実施形態は、本発明の技術思想を限定するためではなく、説明するためのものであり、このような実施形態により本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護の範囲は、特許請求の範囲により解釈されるべきであり、それと同等な範囲内にある全ての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0103】
10 格納部
20 通信部
30 表示部
40 制御部