(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022033023
(43)【公開日】2022-02-25
(54)【発明の名称】ラムエアタービンブレードプラットフォーム冷却
(51)【国際特許分類】
F01D 5/18 20060101AFI20220217BHJP
F01D 5/08 20060101ALI20220217BHJP
F01D 25/00 20060101ALI20220217BHJP
F01D 25/12 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
F01D5/18
F01D5/08
F01D25/00 X
F01D25/12 Z
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021131103
(22)【出願日】2021-08-11
(31)【優先権主張番号】16/993,808
(32)【優先日】2020-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521073006
【氏名又は名称】メカニカル・ダイナミクス・アンド・アナリシス・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ポス、ザ・サード、レイスナー・フェルディナンド
【テーマコード(参考)】
3G202
【Fターム(参考)】
3G202CA07
3G202CA08
3G202CA15
3G202JJ06
3G202JJ27
(57)【要約】 (修正有)
【課題】タービンブレード、タービンロータを冷却する方法、および、タービンブレード内にプラットフォーム冷却構成を形成する方法を提供する。
【解決手段】タービンブレード100は、第1の脚部、第2の脚部、および弓形部252,238,274,276を有する通路を規定している。弓形部252,276は、少なくとも部分的にプラットフォーム114内にあり、第1および第2の脚部を接続する。第1の脚部は、エアフォイル118の遠位端部126と弓形部238,274の入口との間に伸長する。第2の脚部は、弓形部252,276の出口からエアフォイル118の遠位端部126まで伸長する。プラットフォーム114は、第1の供給路および分岐通路を含む。第1の供給路は、弓形部252,276の外側面を通って開口し、分岐通路と流体連通している。各分岐通路の入口は、第1の供給路と連結され、出口は、プラットフォーム114の外側に開口する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアフォイルと、
根元と、
前記根元と、前記エアフォイルの近位端部との間の境界面に設けられたプラットフォームと、を備えるタービンロータブレードであって、
前記タービンロータブレードは、第1の脚部、第2の脚部、および弓形部を有する少なくとも1つの内部冷却通路を規定し、前記弓形部は、前記プラットフォーム内に少なくとも部分的に設けられ、前記第1および第2の脚部を接続し、前記第1の脚部は、前記エアフォイルの遠位端部と前記弓形部の入口との間に伸長し、前記第2の脚部は、前記弓形部の出口から前記エアフォイルの前記遠位端部まで伸長し、
前記プラットフォームは、第1の供給路および複数の分岐通路を含み、前記第1の供給路は、前記弓形部の外側面を通って開口する入口を含み、前記第1の供給路は、前記複数の分岐通路と流体連通しており、前記複数の分岐通路の各分岐通路は、入口および出口を有し、各分岐通路の前記入口は、流体連通のために前記第1の供給路に接続され、各分岐通路の前記出口は、前記プラットフォームの外側に開口する、タービンロータブレード。
【請求項2】
前記第1の供給路の前記入口は、前記弓形部の流路の高圧領域に開口する、請求項1に記載のタービンロータブレード。
【請求項3】
前記第1の供給路の前記入口は、前記複数の分岐通路の径方向内側に位置する、請求項1に記載のタービンロータブレード。
【請求項4】
前記第1の供給路は、前記第1の供給路の前記入口から、前記プラットフォームの先導壁の方向に伸長する、請求項1に記載のタービンロータブレード。
【請求項5】
前記第1の供給路の前記入口は、前記第1の脚部よりも前記第2の脚部の近くで前記弓形部の前記外側面に沿って位置する、請求項1に記載のタービンロータブレード。
【請求項6】
前記プラットフォームは、第2の供給路を含み、前記第2の供給路の入口は、前記第1の供給路に開口し、各分岐通路の前記入口は、前記第2の供給路に開口する、請求項1に記載のタービンロータブレード。
【請求項7】
前記第1の供給路の全体が、前記複数の分岐通路の径方向内側に設けられる、請求項6に記載のタービンロータブレード。
【請求項8】
前記第2の供給路は、前記プラットフォームの前記外側に開口する出口を含み、前記プラットフォームは、前記第2の供給路の前記出口に設けられ、前記第2の供給路の前記出口を介して前記プラットフォームから流れが流出することを防ぐプラグを含む、請求項6に記載のタービンロータブレード。
【請求項9】
前記第1の供給路は、前記プラットフォームの前記外側に開口する出口を含み、前記プラットフォームは、前記第1の供給路の前記出口に設けられ、前記第1の供給路の前記出口を介して前記プラットフォームから流れが流出することを防ぐプラグを含む、請求項1に記載のタービンロータブレード。
【請求項10】
前記第1の供給路の前記出口は、前記プラットフォームの先導壁に位置する、請求項9に記載のタービンロータブレード。
【請求項11】
各分岐通路の前記出口は、前記プラットフォームの吸引側壁に設けられる、請求項1に記載のタービンロータブレード。
【請求項12】
各分岐通路の前記出口は、前記複数の分岐通路の前記出口から流出する冷却ガスが、タービンロータへの取付け時に隣接するタービンロータブレードのプラットフォームの圧力側壁に衝突するように配置される、請求項11に記載のタービンロータブレード。
【請求項13】
各分岐通路の前記出口は、前記プラットフォームの先導壁に近接した前記プラットフォームの部分に沿って設けられる、請求項1に記載のタービンロータブレード。
【請求項14】
タービンロータを冷却する方法であって、
タービンロータブレードの根元に設けられた、前記タービンロータブレードの内部冷却通路の入口を通る冷却流体の流れを方向付けることと、
前記タービンロータブレードのエアフォイルの先端部から径方向内側に伸長する、前記内部冷却通路の第1の脚部に沿って、前記冷却流体の流れを方向付けることと、
前記第1の脚部から前記内部冷却通路の弓形部の入口へ、前記冷却流体の流れを方向付けることと、
前記弓形部から、前記弓形部の出口から径方向外側に伸長する前記内部冷却通路の第2の脚部へ、前記冷却流体の流れの第1の部分を方向付けることと、
前記弓形部から、前記弓形部の外側面に規定された開口部を介して第1の供給路へ、前記冷却流体の流れの第2の部分を方向付けることと、
前記タービンロータブレードのプラットフォームによって規定された、各々が前記プラットフォームの外側に開口する出口を有する複数の分岐通路を通る前記冷却流体の流れの前記第2の部分を方向付けることと、
を備える方法。
【請求項15】
前記第1の供給路から、前記第1の供給路および各分岐通路に直接開口する第2の供給路へ、前記冷却流体の流れの前記第2の部分を方向付けることを更に備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の供給路は、前記分岐通路の径方向内側に設けられる、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記冷却流体の流れの前記第2の部分の少なくとも一部を、前記分岐通路から流れ、隣接するタービンロータブレードのプラットフォームに衝突するように方向付けることを更に備える、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
タービンロータブレード内にプラットフォーム冷却構成を形成する方法であって、
エアフォイル、根元、および前記根元と前記エアフォイルの近位端部との間の境界面に設けられたプラットフォームを備えるタービンロータブレードであって、第1の脚部、第2の脚部、および湾曲部を有する内部冷却通路を規定し、前記湾曲部は、少なくとも部分的に前記プラットフォーム内に設けられ、前記第1および第2の脚部を接続し、前記第1の脚部は、前記エアフォイルの遠位端部と前記湾曲部の入口との間に伸長し、前記第2の脚部は、前記湾曲部の出口から前記エアフォイルの前記遠位端部まで伸長しているタービンロータブレードを提供し、
第1の供給路の入口が前記湾曲部の外側面を通って開口するように、前記プラットフォームに前記第1の供給路を形成し、
各分岐通路が、前記第1の供給路と流体連通している入口と、前記プラットフォームの吸引側壁の外側に開口する出口とを有するように、複数の分岐通路を形成する、
方法。
【請求項19】
前記第1の供給路は、前記第1の供給路の前記入口から、前記プラットフォームの先導壁の方向に伸長する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記プラットフォームに第2の供給路を形成することを更に備え、前記第2の供給路の入口は、前記第1の供給路に開口し、各分岐通路の前記入口は、前記第2の供給路に開口する、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ターボ機械における冷却に関し、具体的には、ブレードプラットフォームの冷却に関し、より具体的には、タービンロータブレード、タービンロータを冷却する方法、および、タービンロータブレード内にプラットフォーム冷却構成を形成する方法、に関する。
【背景技術】
【0002】
この箇所における記載は、単に本開示に関連する背景情報を提供するものであり、従来技術を構成するものではない。
【0003】
タービン部品(たとえばブレードまたはベーン)は、高温環境で動作する。タービン部品の十分な冷却を提供することは、部品寿命を長くするために重要であり得る。タービン部品の冷却は、タービン部品(たとえばタービンブレード)の内部および外部の様々な通路を通って流れる圧縮空気の使用によってもたらされ得る。燃焼以外の目的での(たとえば部品冷却のための)圧縮空気の使用は、空気を圧縮するために費やされる作業の損失により、エンジン効率の低下をもたらし得る。
【0004】
タービンの通常の始動および停止による熱誘起疲労の影響を受けやすいことが分かっている1つのエリアは、タービンブレードプラットフォームである。タービンブレードプラットフォームの冷却は、タービンブレードの動作耐久性を向上させ得ることが分かっている。しかし、タービンブレードプラットフォームを冷却するための既存の構成は、不十分な冷却、低効率、および不十分な供給圧による高温燃焼ガスの逆流に悩まされ得る。
【0005】
本開示は、これらの問題、およびタービン部品の冷却に関連する他の問題に対処するものである。
【発明の概要】
【0006】
この箇所は、本開示の一般的概要を提供するものであり、本開示の全範囲またはその特徴の全てを包括的に開示するものではない。
【0007】
本開示の1つの形態において、タービンロータブレードは、エアフォイル、根元、およびプラットフォームを含む。プラットフォームは、根元と、エアフォイルの近位端部との間の境界面に設けられる。タービンロータブレードは、第1の脚部、第2の脚部、および弓形部を有する少なくとも1つの内部冷却通路を規定している。弓形部は、少なくとも部分的にプラットフォーム内に設けられ、第1および第2の脚部を連結する。第1の脚部は、エアフォイルの遠位端部と弓形部の入口との間に伸長する。第2の脚部は、弓形部の出口からエアフォイルの遠位端部まで伸長する。プラットフォームは、第1の供給路および複数の分岐通路を含む。第1の供給路は、弓形部の外側面を通って開口する入口を含む。第1の供給路は、複数の分岐通路と流体連通している。複数の分岐通路の各分岐通路は、入口および出口を有する。各分岐通路の入口は、第1の供給路との流体連通のために連結される。各分岐通路の出口は、プラットフォームの外側に開口する。様々な代替構成によると、第1の供給路の入口は、弓形部の流路の高圧領域に開口し、第1の供給路の入口は、複数の分岐通路の径方向内側に位置し、第1の供給路は、第1の供給路の入口から、プラットフォームの先導壁の方向に伸長し、第1の供給路の入口は、第1の径方向通路よりも第2の径方向通路の近くで弓形部の外側面に沿って位置し、プラットフォームは、第2の供給路を含み、第2の供給路の入口は、第1の供給路に開口し、ここで、各分岐通路の入口は、第2の供給路に開口し、第1の供給路全体は、複数の分岐通路の径方向内側に設けられ、第2の供給路は、プラットフォームの外側に開口する出口を含み、ここで、プラットフォームは、第2の供給路の出口に設けられた、第2の供給路の出口を介してプラットフォームから流れが流出することを防ぐプラグを含み、第1の供給路は、プラットフォームの外側に開口する出口を含み、ここで、プラットフォームは、第1の供給路の出口に設けられた、第1の供給路の出口を介してプラットフォームから流れが流出することを防ぐプラグを含み、第1の供給路の出口は、プラットフォームの先導壁に位置し、各分岐通路の出口は、分岐通路の出口から流出する冷却ガスが、タービンロータへの取付け時に隣接するタービンロータブレードのプラットフォームの圧力側壁に衝突するように配置され、各分岐通路の出口は、プラットフォームの先導壁に近接したプラットフォーム部分に沿って設けられる。
【0008】
他の形態において、タービンロータを冷却する方法は、タービンロータブレードの内部冷却通路の入口を通る冷却流体の流れを方向付けることを含み、内部冷却通路の入口は、タービンロータブレードの根元に設けられる。この方法は、内部冷却通路の第1の脚部に沿って冷却流体の流れを方向付けることを含み、第1の脚部は、タービンロータブレードのエアフォイルの先端部から径方向内側に伸長する。この方法は更に、第1の脚部から内部冷却通路の弓形部の入口へ、冷却流体の流れを方向付けることを含む。またこの方法は、弓形部から内部冷却通路の第2の脚部へ、冷却流体の流れの第1の部分を方向付けることも含み、第2の脚部は、弓形部の出口から径方向外側に伸長する。加えて、この方法は、弓形部から、弓形部の外側面に規定された開口部を介して第1の供給路へ、冷却流体の流れの第2の部分を方向付けることを含む。この方法は更に、タービンロータブレードのプラットフォームによって規定された複数の分岐通路を通る冷却流体の流れの第2の部分を方向付けることを含み、各分岐通路は、プラットフォームの外側に開口する出口を有する。様々な代替構成によると、この方法は更に、第1の供給路から、第1の供給路および各分岐通路に直接開口する第2の供給路へ、冷却流体の流れの第2の部分を方向付けることを含み、第1の供給路は、分岐通路の径方向内側に設けられ、この方法は更に、冷却流体の流れの第2の部分の少なくとも一部を、分岐通路から流れ、隣接するタービンロータブレードのプラットフォームに衝突するように方向付けることを含む。
【0009】
また他の形態によると、タービンロータブレード内にプラットフォーム冷却構成を形成する方法は、エアフォイル、根元、および根元とエアフォイルの近位端部との間の境界面に設けられたプラットフォームを備えるタービンロータブレードであって、第1の脚部、第2の脚部、および湾曲部を有する内部冷却通路を規定し、湾曲部は、少なくとも部分的にプラットフォーム内に設けられ、第1および第2の脚部を連結し、第1の脚部は、エアフォイルの遠位端部と湾曲部との間に伸長し、第2の脚部は、湾曲部の出口からエアフォイルの遠位端部まで伸長するタービンロータブレードを提供する。この方法は更に、第1の供給路が湾曲部の外側面を通って開口するようにプラットフォームに第1の供給路を形成し、各分岐通路が、第1の供給路と流体連通している入口と、プラットフォームの吸引側壁の外側に開口する出口とを有するように、複数の分岐通路を形成することとを含む。様々な代替構成によると、第1の供給路は、第1の供給路の入口からプラットフォームの先導壁の方向に伸長し、この方法は更に、プラットフォームに第2の供給路を形成することを含み、第2の供給路の入口は、第1の供給路に開口し、ここで、各分岐通路の入口は、第2の供給路に開口する。
【0010】
更なる適応性の範囲は、本明細書において提供される説明から明らかになる。理解すべき点として、この説明および特定の例は、例示のみを目的とすることが意図され、本開示の範囲を限定することは意図されない。
【0011】
本開示が適切に理解され得るように、以下、例示として示され、添付図面が参照される、本開示の様々な形態が説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の教示に係るタービンブレードの斜視図である。
【
図2】本開示の教示に係る、タービンブレード内の複数のエアフォイル冷却通路を示す、
図1のタービンブレードの側面図である。
【
図3】
図1のタービンブレードの一部の斜視図である。
【
図4】本開示の教示に係る、複数のプラットフォーム冷却通路を示す、
図1のタービンブレードの一部の斜視図である。
【
図5】
図2および
図5のブレードおよびプラットフォーム冷却通路を形成する表面を示す、
図1のタービンブレードの斜視断面図である。
【
図6】
図2および
図5のブレードおよびプラットフォーム冷却通路を形成する表面を示す、
図1のタービンブレードの一部の側断面図である。
【
図7】弓形部を通る流圧の領域を示す、
図2のブレード冷却通路の弓形部の斜視図である。
【
図8】
図1のタービンブレードのプラットフォームの側面図である。
【
図9】本開示の教示に係る、第2のタービンブレードに対するタービンロータにおける取付け方向でタービンブレードを示す、
図1のタービンブレードの上断面図である。
【
図10】本開示の教示に係る、第2の構成のタービンブレードの上断面図である。
【
図11】本開示の教示に係る、第3の構成のタービンブレードの上断面図である。
【0013】
本明細書で説明される図面は、単に例示を目的としており、本開示の範囲を限定することは一切意図されない。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の説明は、本質的に単なる典型例であり、本開示、本出願、またはその使用を限定することは意図されない。理解すべき点として、図面全体を通して、対応する参照番号は、同様のまたは対応する部品および特徴を示す。
【0015】
図1を参照すると、タービン部品100の例が示される。図示の例によれば、タービン部品100はタービンロータブレードであり、本明細書において、タービンロータブレード100またはタービンブレード100とも称される。本明細書ではタービンロータのブレードを参照して説明されるが、タービン部品100は、代替としてステータベーンであってもよい。タービンブレード100は、タービンブレード100が回転軸14の周囲を回転方向18に回転し、タービン(不図示)を通る主空気流が、本明細書において後方向22とも称される方向22に概ね沿うように、タービン(不図示)のロータ10(
図9)に取り付けられるように構成される。
【0016】
タービンブレード100は、根元110、プラットフォーム114、およびエアフォイル118を含む。根元110は、タービンブレード100をロータ10(
図9)に結合するように構成される。提供された例において、根元110は、一般にダブテールまたはモミの木と称される形状であり、ロータ10(
図9)の嵌合チャネル(不図示)内に受容されるように構成されるが、他の構成が用いられてもよい。プラットフォーム114は、エアフォイル118がプラットフォーム114の近位端部122から(本明細書において先端部とも称される)遠位端部126まで径方向外側に(すなわち方向26に)伸長するように、根元110とエアフォイル118の近位端部122との間の境界面に配置される。根元110は、プラットフォーム114から径方向内側に(すなわち方向30に)伸長する。プラットフォーム114は、基部130および軸部134を含む。エアフォイル118は、基部130から伸長し、根元110は、軸部134から伸長する。プラットフォーム114は、たとえば軸部134の前壁142(すなわち先導壁)から前方向34に伸長する1または複数の前翼138および軸部134の後壁154から後方向22に伸長する1または複数の後翼146などの、軸部134から伸長する複数の翼も含んでよい。
【0017】
提供された例において、基部130の前壁154(すなわち先導壁)は、前壁142の上に、前方向34に張り出している。エアフォイル118は、略径方向外側を向いた基部130の上面158から伸長する。基部130は、方向42を向いた吸引側壁162および方向46を向いた圧力側壁166も有する。
【0018】
エアフォイル118は、前縁170、後縁174、圧力側面178、および吸引側面182を有する。前縁170は、概ね前方向34を向き、後縁174は、概ね後方向22を向く。吸引側面182は、概ね方向42を向いた凸面湾曲形状であり、圧力側面178は、概ね方向46を向いた凹面湾曲形状である。エアフォイル118は、複数のエアフォイル冷却開口部210を規定する。提供された例において、エアフォイル冷却開口部210は、冷却空気が、遠位端部126のブレード先端186(たとえば先端キャップ)から前縁170に沿って、遠位端部126における圧力側面178に沿って、および後縁174に沿ってエアフォイル118から流出することを可能にするように配置されるが、他の構成が用いられてもよい。
【0019】
図2を参照すると、タービンブレード100は、エアフォイル冷却開口部210(
図1)と流体連通している複数の内部冷却通路214、216を規定する。内部冷却通路214、216は、ロータ10(
図9)から加圧空気を受け取るように構成された根元110内に位置する入口218、220、222、224を有する。提供された例において、冷却通路214は、入口218および220から冷却空気を受け取る軸部134内のプレナムチャンバ226を含む。プレナムチャンバ226は、基部130を通ってエアフォイル118内へ径方向外側に伸長し、エアフォイル118の遠位端部126へ伸長する冷却通路214の脚部230に空気を提供する。エアフォイル118の遠位端部126において、脚部230は、冷却通路214の弓形部238(たとえば湾曲部)の入口234に連結される。弓形部238は、径方向内向きに後ろへ湾曲し、弓形部238の出口242は、プラットフォーム114に向かって径方向内向きに伸長する冷却通路214の他の脚部246に連結される。提供された例において、ブレード先端186におけるエアフォイル冷却開口部210(
図1)のいくつかは、弓形部238に開口してよい。
【0020】
脚部246は、遠位端部126から近位端部122まで伸長する。脚部246は、少なくとも部分的にプラットフォーム114内に位置する冷却通路214の他の弓形部252の入口250に連結される。提供された例において、弓形部252は全体的にプラットフォーム114内にあるが、たとえば部分的にエアフォイル118の近位端部122内にあるような他の構成が用いられてもよい。入口250は、径方向外側方向26(
図1)に開口する。弓形部252は、弓形部252の出口254もまた径方向外側方向26(
図1)に開口するように、折り返し上向きに湾曲する。出口254は、入口250よりも更に前方向34(
図1)にある。出口254は、冷却通路214の他の脚部258に連結される。脚部258は、遠位端部126に向かって径方向外側に伸長する。提供された例において、脚部258は、完全にブレード先端186まで伸長し、前縁170(
図1)に沿ってエアフォイル冷却開口部210(
図1)に開口しており、ブレード先端186においてエアフォイル冷却開口部210(
図1)のいくつかにも開口し得るが、他の構成が用いられてもよい。提供された例において、追加の通路262は、任意選択的に、プレナムチャンバ266から弓形部252までを直接連結し得る。
【0021】
提供された例において、冷却通路216は同様に、入口222、224から空気を受け取り、一連の脚部268、270、272に空気を供給する第2のプレナムチャンバ266と、エアフォイル118およびプラットフォーム114に風を通す弓形部274、276とを含む。冷却通路216は、冷却通路214の後側にあり、ブレード先端186においてエアフォイル冷却開口部210(
図1)のいくつかに連結され、後縁174においてエアフォイル冷却開口部210(たとえば、
図9に示すエアフォイル冷却開口部210’)に連結され得る。冷却通路216および/または214は、任意選択的に、圧力側壁166(
図1)と圧力側面178(
図1)との間に設けられた、たとえばプラットフォーム冷却開口部280(
図1)などの、プラットフォーム114の上面158(
図1)を通って開口する冷却開口部へも空気を供給し得るが、他の構成が用いられてもよい。
【0022】
図5を参照すると、プラットフォーム114は、複数の分岐通路310と、分岐通路310を弓形部252の外側面284に結合する少なくとも1つの供給路とを規定する。提供された例において、プラットフォーム114における2つの孔が、第1の供給路314および第2の供給路318を規定する。第1の供給路314は、弓形部252の外側面284を直接通って開口する入口322を有する。
【0023】
続けて
図5を参照し、追加として
図3および
図4を参照すると、第1の供給路314は、入口322から、プラットフォーム114の前向き(すなわち先導)壁(たとえば前壁142または154)を通る第1端開口部326へ伸長する。提供された例において、第1端開口部326は、プラットフォーム114の軸部134の前壁142にある。提供された例において、第1端開口部326は、軸部134の前壁142を基部130の張出し前壁154に移行させるフィレット288を通るが、たとえば全体的または部分的にフィレット288の径方向内側にあるような他の構成が用いられてもよい。図示されない代替構成において、第1端開口部326は、基部130の前壁154を通って部分的または全体的に開口してよい。
【0024】
提供された例において、第1の供給路314は、真っ直ぐな円筒形通路であるが、他の構成が用いられてもよい。代替構成において、第1の供給路314は、湾曲してよく、および/またはその長さに沿って径が変化してよい。第1端開口部326は、入口322から第1の供給路314内に受け取られた空気が第1端開口部326を通って流出することができないように塞がれ、または遮断される。提供された例において、プラグ330は、第1端開口部326内に挿入され、その内部でロウ付けまたは溶接されるが、第1端開口部326を塞ぐために他の構成が用いられてもよい。
【0025】
図5および
図6を参照すると、第2の供給路318は、第1の供給路314に開口する入口334を有し、そこから、吸引側壁162を通って第2端開口部338まで伸長する。入口334は、第2端開口部338の径方向内側にある。提供された例において、第2の供給路318は、真っ直ぐな円筒形通路であるが、他の構成が用いられてもよい。代替構成において、第2の供給路318は、湾曲してよく、および/またはその長さに沿って径が変化してよい。提供された例において、第2の供給路318は、第1の供給路314の径と等しい径を有するが、他の構成が用いられてもよい。
【0026】
提供された例において、第2端開口部338は、第1の供給路314から第2の供給路318内に受け取られた空気が第2端開口部338を通って流出することができないように塞がれ、または遮断される。提供された例において、プラグ342は、第2端開口部338内に挿入され、その内部でロウ付けまたは溶接されるが、第2端開口部338を塞ぐために他の構成が用いられてもよい。他の構成において、第2端開口部338は、空気が通り抜けることができるように開口したままであってよい。
【0027】
図5を参照すると、各分岐通路310は、第2の供給路318から空気を受け取るために第2の供給路318に開口する入口346を含む。各分岐通路310は、第2の供給路318の径よりも小さい径を有し得る。分岐通路310の径は、互いに等しく、または異なってよい。各分岐通路310は、第2の供給路318から、吸引側壁162を通って開口する、対応する分岐出口350まで伸長する。提供された例において、各分岐出口350は、それぞれの入口346および第2端開口部338の後側にあるが、たとえば分岐出口350の1または複数がそれらの前側にあるような他の構成が用いられてもよい。
【0028】
図5および
図6を参照すると、提供された例において、各分岐出口350は、対応する入口346の径方向外側にあるが、他の構成が用いられてもよい。提供された例において、各分岐通路310は、真っ直ぐな円筒形通路であるが、他の構成が用いられてもよい。代替構成において、分岐通路310の1または複数は、湾曲してよく、および/またはその長さに沿って径が変化してよい。提供された例は、5つの分岐通路310を有して示されるが、より多いまたは少ない数の通路が用いられてよい。提供された例において、第1の供給路314全体が分岐通路310の径方向内側に位置するが、他の構成が用いられてもよい。
【0029】
図7を参照すると、弓形部252が示され、圧力領域710a、710b、710c、710d、および710eの分布を示す(例示の容易性のために5つの圧力領域のみが具体的に示され、符号付けされるが、710a、710b、710c、710d、および710eを含む全ての圧力領域が、本明細書において圧力領域710と集合的に称される)。圧力領域710は、動作中に弓形部252を通って流れる空気の圧力を示す。空気流の圧力は一般に、弓形部252の外側面284の付近で高くなり、内側面292の付近で低くなる。たとえば、圧力領域710aにおける圧力は、圧力領域710bにおける圧力よりも高く、圧力領域710bにおける圧力は、圧力領域710cにおける圧力よりも高く、以下同様である。
【0030】
第1の供給路314の入口322(
図5および
図6)は、空気流の慣性が、第1の供給路314(
図5および
図6)内に空気を供給するためのラムエア効果をもたらすように、たとえば圧力領域710aおよび710bなどの比較的高い圧力のエリアにおける外側面284に沿った位置にある。提供された例において、入口322は、たとえば外側面284の下流半分に沿って、入口250よりも出口254の近くで外側面284に沿って位置するが、他の構成が用いられてもよい。入口322は、外側面284に沿った1つの特定の位置において示されるが、高い圧力エリア内の他の位置において外側面284に沿って位置してよい。また、入口322全体が外側面284を通って開口する必要はなく、たとえば、入口322の一部が、内側面292と外側面284との間にある弓形部252の側壁296を通って開口する。
【0031】
図8を参照すると、分岐出口350は、任意選択的に、分岐出口350が基部130の前壁154からより大きな距離だけ径方向外側になるように位置してよい。あるいは、分岐出口350は、たとえば回転軸14(
図1)に対し径方向に整列するように、または吸引側壁162に沿って互いに対し他の分布で配置されるように、他の方法で位置してよい。提供された例において、分岐出口350は、プラットフォーム114の基部130の後壁190よりも前壁154の近くでプラットフォーム114の一部に沿って設けられるが、他の構成が用いられてもよい。
【0032】
図9を参照すると、タービンブレード100は、ロータ10においてこれと隣接する他のタービンブレード100’に対する取り付け位置において示される。タービンブレード100’は、タービンブレード100と同様であり、同様の特徴は、同様かつプライム記号付きの参照番号で表される。上述したように、第1の供給路314、第2の供給路318、および分岐通路310は、冷却空気が弓形部252から分岐出口350へ流れるように、全て互いに流体連通している。タービンブレード100の吸引側壁162は、隣接するタービンブレード100’の圧力側壁166’と離間して向き合う(すなわち対向する)。分岐出口350は、プラットフォーム114の外側に開口し、隣接するタービンブレード100’のプラットフォーム114’を冷却するために、隣接するタービンブレード100’のプラットフォーム114’の圧力側壁166’に冷却空気を方向付けるように配置される。
【0033】
再び
図6を参照すると、弓形部252の外側面284の少なくとも一部は、プラットフォーム114内に配置され得る。上述したように、入口322は、分岐出口350(
図5)の径方向内側にあってよい。したがって、供給路314および318および分岐通路310は、分岐出口350(
図5)に到達するように概ね径方向上向きに伸長してよい。この構成は、分岐出口350(
図5)への通過時に冷却空気が上面158から離れた状態であるように維持する。したがって、冷却空気は、高温燃焼ガスから離れた状態に維持され、低温に保たれる。
【0034】
図10を参照すると、代替構成のタービンブレード100’’が示される。タービンブレード100’’は、本明細書で特に示され説明される点以外、タービンブレード100(
図1~9)と同様である。同様の特徴は、同様かつダブルプライム記号付きの参照番号で表され、相違点のみが本明細書で詳しく説明される。タービンブレード100’’は、単一の供給路1010を含む。単一の供給路1010は、入口322(
図5、
図7、および
図9)と同様であり、弓形部252’’の外側面284’’に沿って位置する入口322’’を含む。供給路1010は、入口322’’から、圧力側壁166’’内の端開口部338’’まで伸長する。分岐通路310’’の各々は、供給路1010内へ直接開口する入口346’’と、圧力側壁166’’を通って開口する分岐出口350’’とを有する。端開口部338’’は、端開口部338(
図3~6、
図8、および
図9)と同様であってよく、プラグ342’’で同様に塞がれ得る。分岐出口350’’は、分岐出口350(
図3~5、
図8、および
図9)と同様であってよい。
【0035】
図11を参照すると、また他の構成のタービンブレード100’’’が示される。タービンブレード100’’’は、本明細書で特に示され説明される点以外、タービンブレード100’’’と同様である。同様の特徴は、同様かつトリプルプライム記号付きの参照番号で表され、相違点のみが本明細書で詳しく説明される。提供された例において、端開口部338’’’は、基部130’’’の前壁154’’’に位置する。代替構成において、具体的に示されないが、端開口部338’’’は、(
図11では特に見えていないが、
図4に示される前壁142と同様である)プラットフォーム114’’’の軸部の前壁に位置してよい。
【0036】
1つの構成において、供給路(複数も可)314、318、1010、1010’’’、および分岐通路310、310 ’’、310’’’は、プラットフォーム114、114’’、114’’’内に穿設されるが、それらを形成する他の方法が用いられてもよい。いくつかの非限定的な例は、放電加工(EDM)を用いて形成されること、場所打ちされることを含み、または、タービンブレード100、100’’、100’’’は、供給路(複数も可)314、318、1010、1010’’’、および分岐通路310、310 ’’、310’’’を含むように3D印刷され得る。1つの構成において、既存のタービンブレード100、100’’、100’’’が、供給路(複数も可)314、318、1010、1010’’’、および分岐通路310、310 ’’、310’’’を含むように改造され得る。他の構成において、供給路(複数も可)314、318、1010、1010’’’、および分岐通路310、310 ’’、310’’’は、タービンブレード100、100’’、100’’’の初期製造中に形成され得る。
【0037】
したがって、本開示の教示に従ってタービンロータブレード内にプラットフォーム冷却構成を形成する方法は、エアフォイル、根元、および根元とエアフォイルの近位端部との間の境界面に設けられたプラットフォームを含むタービンロータブレードを提供することを含む。タービンロータブレードは、第1の脚部、第2の脚部、および湾曲(たとえば弓形)部を有する内部冷却通路を規定してよい。湾曲部は、少なくとも部分的にプラットフォーム内に配置され、第1および第2の脚部を連結してよい。第1の脚部は、エアフォイルの遠位端部と湾曲部の入口との間に伸長してよい。第2の脚部は、湾曲部の出口からエアフォイルの遠位端部まで伸長してよい。この方法は更に、第1の供給路の入口が湾曲部の外側面を通って開口するようにプラットフォーム内に第1の供給路を形成することと、各分岐通路が、第1の供給路と流体連通している入口と、プラットフォームの吸引側壁の外側に開口する出口とを有するように、複数の分岐通路を形成することとを含んでよい。またこの方法は、第1の供給路の入口からプラットフォームの先導壁の方向に伸長するように第1の供給路を形成することも含んでよい。またこの方法は、プラットフォーム内に第2の供給路を形成することも含んでよく、第2の供給路の入口は、第1の供給路に開口し、各分岐通路の入口は、第2の供給路に開口する。
【0038】
また、本開示の教示に従ってタービンのロータを冷却する方法は、タービンブレードの根元における入口を通る冷却流体(たとえば空気)の流れを方向付けることと、タービンブレード内の冷却通路の脚部に沿って径方向内側に流れを方向付けることと、脚部から弓形部の入口へ流れを方向付けることと、弓形部から、径方向外側に伸長する他の脚部へ、流れの第1の部分を方向付けることと、弓形部から、弓形部の外側面に規定された入口を介して第1の供給路へ、流れの第2の部分を方向付けることと、第1の供給路から、タービンブレードのプラットフォームの外側に開口する出口を有する複数の分岐通路へ、流れの第2の部分を方向付けることとを含む。提供された例において、この方法は、流れの第2の部分を、第1の供給路から分岐通路に方向付けられる前に第2の供給路へ方向付けることも含んでよい。したがって、この方法は、冷却流体の流れの第2の部分の少なくとも一部を、分岐通路から流れ、ロータへの取付け時に隣接するタービンブレードのプラットフォームに衝突するように方向付けることも含んでよい。
【0039】
本明細書で特に示されない限り、機械/熱特性、組成比率、寸法および/または公差、または他の特性を示す全ての数値は、本開示の範囲を説明する際に「約」または「おおよそ」という言葉で修飾されるものとして理解すべきである。この修飾は、工業的実施、材料、製造、および組立て公差、および試験能力を含む様々な理由から所望される。
【0040】
本明細書で用いられる場合、A、B、およびCの少なくとも1つという表現は、非排他的な論理的ORを用いる論理的な(AまたはBまたはC)を意味するように解釈すべきであり、「Aの少なくとも1つ、Bの少なくとも1つ、およびCの少なくとも1つ」を意味するように解釈してはならない。
【0041】
本開示の説明は、本質的に単なる典型例であり、したがって、本開示の要旨から逸脱することのない変形例は、本開示の範囲内であることが意図される。そのような変形例は、本開示の主旨および範囲からの逸脱と見なされるものではない。
【手続補正書】
【提出日】2021-09-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]米国特許第6,190,130号明細書
[特許文献2]米国特許第10,001,013号明細書
[特許文献3]米国公開第2007/0201979号明細書
[特許文献4]米国公開第2012/0082566号明細書
この箇所における記載は、単に本開示に関連する背景情報を提供するものであり、従来技術を構成するものではない。
【外国語明細書】