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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022033025
(43)【公開日】2022-02-25
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20120101AFI20220217BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021131145
(22)【出願日】2021-08-11
(31)【優先権主張番号】P 2020135812
(32)【優先日】2020-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】520113066
【氏名又は名称】株式会社ITSUDATSU
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 伶
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】その企業等に属する従業者等の「未来」を重視した評価を行うことで、「逸脱性」を秘めた従業者等を抽出する手法を提供すること。
【解決手段】質問管理部101は、企業の従業者Wを対象とする、企業における複数の要素のうち少なくとも1つの要素を判断するための質問Qを提示する。抽出部103は、質問Qに対する回答の内容に基づいて、企業における人又は環境について所定の条件を満たすものを抽出する。これにより、上記の課題を解決する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の集団に属する複数の人材を対象とする、前記所定の集団における複数の要素のうち少なくとも1つの要素を判断するための質問を提示する提示手段と、
前記の質問に対する回答の内容に基づいて、前記所定の集団における人又は環境について所定の条件を満たすものを抽出する抽出手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記提示手段は、
前記複数の人材を対象とする、前記所定の集団における第1要素としての調和性と、第2要素としての逸脱性とのうち少なくとも一方を判断するための複数の質問を提示し、
前記抽出手段は、
前記複数の質問に対する回答の内容に基づいて、前記所定の集団のオーナーの感覚と同一又は近似する感覚を持ち合わせる第1人材を、前記複数の人材から抽出する第1抽出手段を有する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記調和性を第1軸とし、前記逸脱性を第2軸として構築される空間に、前記複数の人材の夫々を、前記質問に対する回答の内容に基づいて配置するマッピング手段をさらに備え、
前記第1抽出手段は、前記空間に配置された前記複数の人材から第1人材を抽出する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記抽出手段は、
前記複数の質問に対する回答の内容と、タイミングとに基づいて、前記所定の集団における短期的な要となる第2人材と、長期的な要となる第3人材とを抽出する第2抽出手段をさらに有する、
請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記質問には、前記所定の集団における、第3要素としての成長性、第4要素としての一貫性、第5要素としての社会性、第6要素としての人間性、及び第7要素としての共鳴性に関する質問が含まれる、
請求項2乃至4のうちいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記抽出手段は、
前記第1要素としての前記調和性と、前記第2要素としての前記逸脱性と、前記第3要素としての前記成長性と、前記第4要素としての前記一貫性と、前記第5要素としての前記社会性と、前記第6要素としての前記人間性と、及び前記第7要素としての前記共鳴性とのうち少なくとも一部に関する質問に対する回答の内容に基づいて、前記所定の集団の環境についての所定の要件を満たすものを抽出する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
1つの前記質問には、前記第1要素乃至前記第7要素のうちいずれか1以上の要素に関するものが含まれる、
請求項5又は6に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、企業等に属する従業者等の評価を支援することを目的としたシステムは存在する(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】再表WO2016/016973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1を含め、従来の技術は、企業等に属する従業者等の経歴や業務実績などに基づいた評価、言わば「過去」を重視する評価が行われていた。これは、現実社会で重んじられる学歴主義や実績主義に基づくものあるといえる。
しかしながら、現実社会における経営者(特に実力のある経営者)は、従業者等の学歴や実績といった「過去」よりも、その従業者等の潜在的な価値として見出される「未来」を見据えた評価を行うことがある。実際に名を残す経営者は、学歴主義や実績主義といった一般的な尺度では計りきれない、凡人からかけ離れた「逸脱性」を本来的に秘めていることが多い。このため、従来の技術では、その企業等に属する従業者等の「過去」よりも、「未来」を重視した評価を行うことはできなかった。
また、企業の中には、良い理念があり、良いサービスが有り、良い社員がいるものの、企業全体としては伸び悩んでいる企業も多い。このような企業に属する社員は、「自分が何のためにここ(企業)にいるのか」、「本当は何をしようとしているのか」、といったことに目を向けることができない者が多い。
【0005】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、その企業等に属する従業者等の「未来」を重視した評価を行うことで、「逸脱性」を秘めた従業者等を抽出する手法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の情報処理装置は、
所定の集団に属する複数の人材を対象とする、前記所定の集団における複数の要素のうち少なくとも1つの要素を判断するための質問を提示する提示手段と、
前記の質問に対する回答の内容に基づいて、前記所定の集団における人又は環境について所定の条件を満たすものを抽出する抽出手段と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、その企業等に属する従業者等の「未来」を重視した評価を行うことで、「逸脱性」を秘めた従業者等を抽出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の情報処理装置の一実施形態に係るサーバが適用される情報処理システムにより実現可能となる本サービスにより報知される逸脱人材発掘レポートの一例を示す図である。
図2】企業に属する複数の従業者に提示された質問と、その質問に対する回答の例を示す図である。
図3図2の回答に基づいて生成された人材分布グラフの概要を示す図である。
図4】本発明の情報処理装置の一実施形態に係るサーバを含む、情報処理システムの構成の一例を示す図である。
図5図4に示す情報処理システムのうちサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図6図3のサーバの機能的構成のうち、逸脱人材抽出処理、及び要人材抽出処理を実行するための機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
図7】部署別、役職別、同業者別、及び業界別で夫々生成された人材分布グラフの具体例を示す図である。
図8】人材分布マトリクスの具体例の概要を示す図である。
図9】逸脱人材個別レポートの具体例を示す図である。
図10】組織環境サマリの具体例を示す図である。
図11】本サービスにより出力されるレポートの一例を示す図である。
図12】本サービスにより出力されるレポートの一例であって、図11と異なる例を示す図である。
図13】本サービスにより出力されるレポートの一例であって、図11及び図12と異なる例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0010】
まず、本発明の情報処理装置の一実施形態に係るサーバが適用される情報処理システム(後述する図2参照)により実現可能となるサービス(以下、「本サービス」と呼ぶ)の概要について説明する。
【0011】
図1は、本発明の情報処理装置の一実施形態に係るサーバが適用される情報処理システムにより実現可能となる本サービスにより報知される逸脱人材発掘レポートの一例を示す図である。
【0012】
本サービスは、組織における重要なトピックスである人材及び環境の観点から調査分析を行うことで組織の課題を明らかにし、組織の将来を牽引する可能性を秘める人材を起点とする組織活性化戦略を組織に提案するものである。
具体的には、本サービスでは、ある企業Cに属する複数の従業者Wの中から、企業Cの将来を牽引する可能性を秘める従業者W(図示せず)が抽出されて、経営者等に報知される。なお、「従業者W」には、その企業Cに所属する者すべてを含めることができる。このため、一般的には社長以外の取締役以下すべての従業員やアルバイト従業員等を「従業者W」として捉えるが、社長等の経営者が含まれていてもよい。
【0013】
本サービスでは、企業Cに属する複数の従業者Wの夫々に対して複数の質問が提示される。従業者Wの夫々に提示される質問には、その企業における、複数の要素に関する質問が含まれる。どのような要素に関する質問であるかは特に限定されない。なお、本実施形態では、2つの要素として、「逸脱性」(第1要素)、及び「調和性」(第2要素)に関する質問が従業者Wの夫々に提示される。
「逸脱性」とは、これまでの枠を壊し、別次元の何かを創造する、非線形成長を引き起こす性質をいう。自ら考え、自ら行動し、自ら結果を出す主体的な能力を持ち合わせている人材は、「逸脱性が高い」人材であるといえる。
「調和性」とは、誰とでも根元的な信頼関係を結ぶことができ、協調性と相乗効果を生み出す性質のことをいう。このような性質を持ち合わせている人材は、「調和性が高い」人材であるといえる。
なお、従業者Wに対して提示される質問の具体例については、図2を参照して後述する。
【0014】
従業者Wが複数の質問に回答すると、その回答に対する解析が行われる。そして、その解析の結果に基づいて、逸脱人材Pa(図示せず)が抽出される。
「逸脱人材Pa」とは、企業Cの将来を牽引する可能性を秘める従業者Wのことをいい、企業Cのオーナー(例えば社長)の感覚と同一又は近似する感覚(以下、「オーナーシップ」と呼ぶ)を持ち合わせた人材のことをいう。本サービスでは、高い「逸脱性」と、高い「調和性」とを持ち合わせた人材が逸脱人材Paとして取り扱われる。
なお、オーナーシップは、当事者意識を持ちながら取り組む姿勢のことをいう。このため、実際に集団をまとめ上げる能力を意味する「リーダーシップ」とは異なる。ただし、当然ながら、オーナーシップとリーダーシップとを持ち合わせた人材は存在する。
【0015】
ここで、このような逸脱人材Paは、その企業Cにとって要(かなめ)となる人材(即ち、要人材)であるともいえる。即ち、組織を動かす要人材を見つけることが、企業C(の活性化)にとっては重要である。組織を動かす、即ち、影響力を持つ起点となる人材の要因として、「その人の成長度合い」が重要である。本サービスは、組織内で、今、成長著しい要人材を可視化する、新たな人材抜擢サービスであると言える。
【0016】
逸脱人材Paの抽出結果は、例えば図1に示すようなレポート(以下、「逸脱人材発掘レポート」と呼ぶ)の態様で、企業Cの経営者の端末や、企業Cの人事管理部門の端末(例えば後述する図4の管理者端末2)等に表示される。
【0017】
即ち、「逸脱人材発掘レポート」には、例えば図1に示すような情報が含まれる。即ち、「貴社の調査結果・・・」、「4名が“逸脱人材”の可能性あり」、「貴社の未来を牽引する可能性のある「逸脱人材」の人数です。」といった文章による説明や、抽出結果を示す各種のグラフ(円グラフや棒グラフ)等が含まれる。
【0018】
図2は、企業に属する複数の従業者に提示された質問と、その質問に対する回答の例を示す図である。
【0019】
図2には、質問項目と、質問項目に対する回答結果とが示されている。なお、質問項目に対する回答は、要素を示すカテゴリ毎に1乃至4の点数を付すことによって行われる。1点及び2点は「ネガティブ」な回答、3点及び4点は「ポジティブ」な回答として取り扱われる。
従業者Wに提示される複数の質問Qは、図2に示すように28種類の質問項目で構成されている。そして、個々の質問項目は、その企業Cにおける「調和性」と「逸脱性」とのいずれか一方の要素(カテゴリ)に関する内容となっている。
【0020】
具体的には例えば、質問IDが「1」の質問Qは、要素(カテゴリ)が「逸脱性」になっている。そして、この質問項目に対する回答は「3(点)」となっている。また例えば、質問IDが「3」の質問Qは、要素(カテゴリ)が「調和性」になっている。そして、この質問項目に対する回答は「2(点)」となっている。また例えば、質問IDが「25」の質問Qは、要素(カテゴリ)が「逸脱性」及び「調和性」になっている。そして、この質問項目に対する回答は、「逸脱性」が「4」、「調和性」が「3」となっている。
【0021】
図2に示す28個の質問Qは、従業者Wの素直な答えを得られやすい質問として、サービス提供者により設定される。サービス提供者は、設定した質問Qの内容を任意に変更することもできる。例えば、サービス提供者による様々な企業に対するコーチングの現場において用いられる質問のうち、コーチングを受けた企業が素直な答えを出し安かったと認められる質問を、新たに質問Qとして採用することもできる。即ち、質問Qは、そのときの社会的状況や、業界毎に異なる時代背景を考慮しながら、柔軟に更新していくことができる。
【0022】
図2に示すように、要素(カテゴリ)が「逸脱性」の質問は15個ある。また、要素(カテゴリ)が「調和性」の質問は14個ある。このため、要素(カテゴリ)が「逸脱性」の点数の合計は15乃至60点となる。また、要素(カテゴリ)が「調和性」の点数の合計は14乃至56点となる。ここで、図2の例は、要素(カテゴリ)が「逸脱性」の質問Qに対する回答(点数)の合計値が45点であるのに対して、要素(カテゴリ)が「調和性」の質問Qに対する回答(点数)の合計値が44点となる。つまり、「逸脱性」:「調和性」=「45」:「44」として捉えることができる。また、点数の合計値ではなく、質問Q毎の回答結果(点数)の平均値で捉えることもできる。この場合、「逸脱性」:「調和性」=「3.0」:「3.1」として捉えることができる。
【0023】
図3は、図2の回答に基づいて生成された人材分布グラフの概要を示す図である。
【0024】
本サービスでは、質問に対する回答結果(点数)から得られる「逸脱性」と「調和性」との比率に基づいた二次元グラフが生成される。具体的には例えば、図3に示すように、「逸脱性」に関する質問Qに対する回答(点数)の合計値(又は平均値)を横軸とし、「調和性」に関する質問Qに対する回答(点数)の合計値(又は平均値)を縦軸とするグラフが生成される。
図3に示すグラフ上の複数の点Pは、図2の28個の質問Qに対する回答(点数)の合計値(又は平均値)を座標としてプロットされたものであり、企業Cに属する個々の従業者Wを示している。以下、図3に示すグラフのことを「人材分布グラフ」と呼ぶ。
【0025】
また、図3に示す人材分布グラフには、横軸方向と縦軸方向との夫々に伸びた2本の破線(L1及びL2)が表示されている。このうち、破線L1は、横軸「逸脱性」の企業C全体の平均値を示している。つまり、破線L1より左側に点Pがプロットされた従業者Wは、「逸脱性」が企業C全体の平均よりも低いことになる。これに対して、破線L1より右側に点Pがプロットされた従業者Wは、「逸脱性」が企業C全体の平均よりも高いことになる。
また、破線L2は、縦軸「調和性」の企業C全体の平均値を示している。つまり、破線L2より下側に点Pがプロットされた従業者Wは、「調和性」が企業C全体の平均よりも低いことになる。これに対して、破線L2より上側に点Pがプロットされた従業者Wは、「調和性」が企業C全体の平均よりも高いことになる。
【0026】
人材分布グラフにおいて、破線L1と破線L2とが直交する点よりも右上の方向に広がるゾーンZ1に点Pがプロットされた従業者Wは、「逸脱性」と「調和性」とが高い者になる。本サービスでは、このような人材を「逸脱人材Paの候補者」として取り扱う。
これに対して、破線L1と破線L2とが直交する点よりも左下の方向に広がるゾーンZ2に点Pがプロットされた従業者Wは、「逸脱性」と「調和性」とが企業C全体の平均値に近い又は少し低い者になる。本サービスでは、このような人材を「通常従業者」として取り扱う。
また、ゾーンZ2よりもさらに左下の方向に広がるゾーンZ3に点Pがプロットされた従業者Wは、「逸脱性」と「調和性」とが低い者になる。本サービスでは、このような人材を「ボトルネック従業者」として取り扱う。
【0027】
逸脱人材Paの候補者に対しては、必要に応じてコンサルティングが実施される。これにより、逸脱人材Paの候補者の状態が明確化されるので、逸脱人材Paとして相応しい人材であるかどうかを、専門的知見を有するサービス提供者が面談によって判断することもできる。
【0028】
逸脱人材Paの抽出結果は、企業Cの経営者や人事担当部門に報知される。報知の手法は特に限定されず、上述したように、図1に示す画面を、企業Cの経営者の端末や、人事担当部門の端末(例えば後述する図4の管理者端末2)に表示させてもよい。また、図1に示す画面とともに、図3に示す人材分布グラフを表示させてもよい。この場合、人材分布グラフに、図3に示すような補足コメントを付してもよい。具体的には例えば、「意識のバラつきはあるものの、全体として点数は高い傾向にあります。自分なりの考えやポリシーを持った人が多く、今の会社や仕事が好きな人」といったコメントが付されてもよい。
【0029】
また、本サービスでは、企業Cに属する従業者Wの中から逸脱人材Paが抽出される他、「要人材」が抽出される。
「要」とは、組織における「ツボ」のことをいう。どのような組織にも必ず「ツボ」が存在する。組織における「ツボ」が何であり、何処に「ツボ」があるのかが明らかになると、その組織の何処に、あるいは何に(誰に)経営資源を投下すると最も効率良く組織を活発化させることができるのかが明らかになる。つまり、「要人材」とは、組織における「ツボ」となる人材を指す。
【0030】
ただし、「ツボ」は、固定的なものもあるが、時期やタイミングによって異なる流動的なものであることが多い。このため、「要人材」も、時期やタイミングによって流動的に変わるものであるといえる。
そこで、本サービスでは、短期的な視点に基づく要人材(以下、「短期的要人材Pb」と呼ぶ)と、長期的な視点に基づく要人材(以下、「長期的要人材Pc」と呼ぶ)とが夫々抽出される。
「短期的要人材Pb」は、企業Cに属する従業者Wのうち、企業Cにおける短期的な要となる人材として抽出された者である。具体的には例えば、少しの刺激で弾ける可能性がある者や、急成長の真最中である者が、短期的要人材Pbとして抽出される。
「長期的要人材Pc」は、企業Cに属する従業者Wのうち、企業Cにおける長期的な要となる人材として抽出された者である。具体的には例えば、企業Cの幹部になることを望んでいる者や、自分の人生における目的や願いと企業C側の目的や願いとが一致していることを認識している者が、長期的要人材Pcとして抽出される。
【0031】
具体的には、本サービスでは、図2の質問Qに対する回答の内容と、タイミングとに基づいて、従業者Wの中から短期的要人材Pbと長期的要人材Pcとが夫々抽出される。
短期的要人材Pb、及び長期的要人材Pcの抽出結果は、企業Cの経営者や人事担当部門に報知される。報知の手法は特に限定されず、図示はしないが、例えば企業Cの経営者の端末や、人事担当部門の端末(例えば後述する図4の管理者端末2)に抽出結果を表示させることができる。
このように、本サービスによれば、時期やタイミングに応じて適切となる要人材を抽出して、抽出結果を報知することができる。その結果、企業Cは、経営資源の投下をベストなタイミングで効率良く行うことができる。
【0032】
人材分布グラフにおいて、ゾーンZ1と、ゾーンZ2との夫々には、点Pの代わりに星印Sがプロットされている従業者Wがいる。このような人材が「要人材」に該当する。
【0033】
図1に示す「逸脱人材発掘レポート」や、図3に示す「人材分布グラフ」の報知を受けた企業Cの経営者や人事担当部署は、自社(企業C)に所属する従業者Wの中から、逸脱人材Pa、及び逸脱人材Paの候補者を容易に把握することができる。つまり、現時点で自社内に埋没している、磨けば光る宝石を容易に発見することができる。
【0034】
このように、本サービスでは、企業別、部署別、及び役職別の人材分布グラフを生成することができる。また、本サービスでは、本サービスを利用する他の企業のデータを含めた比較を行うことができる。即ち、企業の枠を超えた、同業者比較、業界別等の人材分布グラフを生成することもできる。
なお、部署別、役職別、同業者別、及び業界別で夫々生成される人材分布グラフの具体例については、図7を参照して後述する。
【0035】
また、本サービスでは、上述した2つの要素(カテゴリ)として、「逸脱性」(第1要素)及び「調和性」(第2要素)による逸脱人材Paの抽出を起点とした調査分析のみに限定されない。これらの2つの要素(カテゴリ)に、5つの要素(指標)をさらに加えた7つの要素に基づく調査分析を行うことができる。
5つの要素(指標)としては、成長性、一貫性、社会性、人間性、及び共鳴性が挙げられる。なお、これら7つの要素(2つのカテゴリ、及び5つの指標)に基づく調査分析の具体例については、図8を参照して後述する。
【0036】
また、本サービスでは、企業Cの逸脱人材Pa及び要人材(短期的要人材Pb、長期的要人材Pc)の特徴と、「組織環境」との2軸に基づく組織変革を進めるためのテーマが報知される。
【0037】
具体的には例えば、企業Cの逸脱人材Paや要人材(短期的要人材Pb、長期的要人材Pc)に関するテーマとして、以下のような内容のレポート(図示せず)が報知される。即ち、「現時点で、逸脱人材としての個性を発揮している従業者(〇〇さん、◎◎さん)と、今後、逸脱人材になれそうな従業者(□□さん、△△さん)がいます。4人いずれについても、個性の面でも能力の面でもポテンシャルは高く、それは「他者との関わり方」の変革によって顕在化するでしょう。」といった内容のレポートが報知される。
【0038】
また、企業Cの組織環境」に関するテーマとして、以下のような内容のレポート(図示せず)が報知される。即ち、「逸脱人材のポテンシャルの高さが、そのまま組織のポテンシャルの高さに直結しているのが貴社の魅力の1つです。貴社にまだまだ潜在している「探求力」と「開拓力」をいかに掘り起こすか?がポイントです。そのためには、そのきっかけとなる「場創り」が必要です。」といった内容のレポートが報知される。
【0039】
また、本サービスでは、企業Cの「組織環境」に関するサマリ情報が報知される。なお、企業Cの「組織環境」に関するサマリ情報の具体例については、図10を参照して後述する。
【0040】
また、本サービスでは、従業者Wによる回答(点数)の本音度や真実味といったものが重要になる。このため、本サービスでは、所定のロジックによって、従業者Wによる回答(点数)の本音度や真実味を数値化した「真本音度」が算出される。「真本音度」は、従業者Wの「揺るがぬ想いの強さ」と、「それを形にする本気度」を計るための指標となる。「真本音度」を算出するためのロジックとしては、複数の質問Qを構成する個々の質問項目の内容を様々な組み合わせによって比較する手法や、回答数を考慮する手法等が採用される。「真本音度」は、上述の「要人材」を抽出するための根拠情報として活用することもできる。
【0041】
次に、図4を参照して、上述した本サービスの提供を実現化させる情報処理システム、即ち本発明の情報処理装置の一実施形態に係るサーバ1を含む、情報処理システムの構成について説明する。
図4は、本発明の情報処理装置の一実施形態に係るサーバを含む、情報処理システムの構成の一例を示す図である。
【0042】
図4に示す情報処理システムは、サーバ1と、管理者端末2と、従業者端末3とを含むように構成されている。
サーバ1、管理者端末2、及び従業者端末3-1乃至3-n(nは1以上の整数値)は、インターネットや社内LAN(Local Area Network)等の所定のネットワークNWを介して相互に接続されている。以下、従業者端末3-1乃至3-nの夫々を区別する必要がない場合には、これらをまとめて「従業者端末3」と呼ぶ。
【0043】
サーバ1は、サービス提供者(図示せず)により管理される情報処理装置である。サーバ1は、管理者端末2、及び従業者端末3と適宜通信をしながら、本サービスを実現するための各種処理を実行する。
【0044】
管理者端末2は、企業Cの経営者や人事管理部門の担当者により操作される情報処理装置である。管理者端末2は、例えばその企業に配備されたパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等で構成される。
【0045】
従業者端末3は、従業者Wにより操作される情報処理装置である。従業者端末3は、例えばその企業に配備されたパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等で構成される。
【0046】
図5は、図4に示す情報処理システムのうちサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0047】
サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、入力部16と、出力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20とを備えている。
【0048】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0049】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、入力部16、出力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。
【0050】
入力部16は、例えばキーボード等により構成され、各種情報を入力する。
出力部17は、液晶等のディスプレイやスピーカ等により構成され、各種情報を画像や音声として出力する。
記憶部18は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部19は、インターネットを含むネットワークNを介して他の装置(例えば図4の管理者端末2や従業者端末3)との間で通信を行う。
【0051】
ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア40が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア40から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。
また、リムーバブルメディア40は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0052】
なお、図示はしないが、図4の管理者端末2、及び従業者端末3も、図5に示すハードウェア構成と基本的に同様の構成を有することができる。したがって、管理者端末2、及び従業者端末3のハードウェア構成についての説明は省略する。
【0053】
このような図5のサーバ1を含む図4の情報処理システムを構成する各種ハードウェアと各種ソフトウェアとの協働により、サーバ1における逸脱人材抽出処理、及び要人材抽出処理を含む各種処理の実行が可能になる。その結果、サービス提供者は、ユーザに対して上述の本サービスを提供することができる。
「逸脱人材抽出処理」とは、その企業に属する従業者Wの中から、逸脱人材Paを抽出する処理のことをいう。
「要人材抽出処理」とは、その企業に属する従業者Wの中から、短期的要人材Pbと、長期的要人材Pcとを抽出する処理のことをいう。
以下、情報処理システムにおいて実行される、逸脱人材抽出処理、及び要人材抽出処理を実行するための機能的構成について説明する。
【0054】
図6は、図3のサーバの機能的構成のうち、逸脱人材抽出処理、及び要人材抽出処理を実行するための機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0055】
図6に示すように、図4のサーバ1が逸脱人材抽出処理を実行する場合、CPU11においては、質問管理部101と、マッピング部102と、抽出部103の逸脱人材抽出部131とが機能する。また、サーバ1が要人材抽出処理を実行する場合、CPU11においては、質問管理部101と、マッピング部102と、抽出部103の短期的要人材抽出部132と、長期的要人材抽出部133とが機能する。
【0056】
また、サーバ1の記憶部18の一領域には、質問DB181と、従業者DB182とが設けられている。
【0057】
質問DB181には、従業者Wに提示される対象となる複数の質問Qが記憶されて管理されている。具体的には、個々の質問Qを一意に特定可能な情報(例えば図2の質問ID)に、その質問Qの内容が対応付けられて管理されている。
【0058】
従業者DB182には、従業者Wの従業者情報が記憶されている。具体的には、個々の従業者Wを一意に特定可能な情報に、その従業者Wの従業者情報が対応付けられて管理されている。従業者情報には、その従業者Wに提示された質問Qの内容と、質問Qに対する回答の内容とが含まれており、両者は互いに紐付けられて管理される。
【0059】
質問管理部101は、企業Cに属する複数の従業者Wを対象とする、企業Cにおける複数の要素のうち少なくとも1つの要素を判断するための質問Qを提示する。なお、従業者Wに提示される質問Qは、質問DB181に予め記憶されて管理されている。
また、質問管理部101は、従業者Wに提示した質問Qに対する回答を取得する。取得された回答、及びその回答に対応する質問Qは、従業者DB182において、その回答を行った従業者Wを一意に特定可能な情報に対応付けられて管理される。
【0060】
マッピング部102は、企業に属する従業者を対象とする、その企業における第1要素としての「調和性」を第1軸とし、第2要素としての「逸脱性」を第2軸として構築される空間を生成する。
次に、マッピング部102は、生成した空間に、企業に属する従業者Wの夫々を示す点Pを、質問Qに対する回答の内容に基づいて配置する。また、必要に応じて要人材を示す星印Sを配置する。これにより、「人材分布グラフ」が生成される。
【0061】
抽出部103では、逸脱人材抽出部131と、短期的要人材抽出部132と、長期的要人材抽出部133とが機能する。
【0062】
逸脱人材抽出部131は、質問Qに対する従業者Wからの回答の内容に基づいて、従業者Wの中から逸脱人材Paを抽出する。
【0063】
また、逸脱人材抽出部131は、「人材分布グラフ」に点Pとして配置された、その企業に属する複数の従業者Wの中から逸脱人材Paを抽出する。
これにより、逸脱性と調和性との2軸により構築される「人材分布グラフ」に配置された、その企業に属する従業者Wの中から、その企業の未来を牽引する可能性のある人材を見出すことが可能になる。
【0064】
また、逸脱人材抽出部131は、企業Cにおける複数の要素のうち少なくとも一部に関する質問Qに対する回答の内容に基づいて、企業Cの環境についての所定の要件を満たすものを抽出する。「企業Cの環境についての所定の要件を満たすもの」には、例えば後述する「組織環境サマリ」等が含まれる。
「複数の要素」としては、例えば「逸脱性」(第1要素)、「調和性」(第2要素)、「成長性」(第3要素)、「一貫性」(第4要素)、「社会性」(第5要素)、「人間性」(第6要素)、及び「共鳴性」(第7要素)が挙げられる。
【0065】
「成長性」(第3要素)は、「本当の成長ができているか?」という観点に基づく要素である。「一貫性」(第4要素)は、「組織としてのエネルギーが発揮され易い状態か?」といった観点に基づく要素である。「社会性」(第5要素)は、「自己満足ではなく、本当に社会と向き合っているか?」といった観点に基づく要素である。「人間性」(第6要素)は、「従業者Wを人として大事にできているか?」といった観点に基づく要素である。「共鳴性」(第7要素)は、「従業者Wがどれだけ企業Cのことを好きか?」あるいは「従業者Wがどれだけ企業Cを自分のこととして捉えているか?」といった観点に基づく要素である。
本サービスでは、逸脱性、調和性、成長性、一貫性、社会性、人間性、及び共鳴性とのうち少なくとも一部に関する質問Qに対する回答の内容に基づいて、その企業の環境についての所定の要件を満たすものが抽出される。
その結果、多面的な見地に基づいて、「企業Cの環境についての所定の要件を満たすもの」の抽出が可能となるので、抽出結果に対する信ぴょう性を高めることができる。
【0066】
短期的要人材抽出部132は、質問Qに対する従業者Wからの回答の内容と、タイミングとに基づいて、その企業における短期的な要となる人材を、短期的要人材Pbとして抽出する。
【0067】
長期的要人材抽出部133は、質問Qに対する従業者Wからの回答の内容と、タイミングとに基づいて、その企業における長期的な要となる人材を、長期的要人材Pcとして抽出する。
これにより、その企業を活発化させるためには経営資源をどこに投入すべきかを明確化させることができる。
【0068】
図7は、部署別、役職別、同業者別、及び業界別で夫々生成された人材分布グラフの具体例を示す図である。
【0069】
図7の(A)には、部署別の人材分布グラフの具体例が示されている。具体的には、企業Cを構成する複数の部署のうち、開発部、第1事業部、又は第2事業部に属する従業者Wの夫々を示す点Pの分布が示されている。
このうち、ゾーンZ11は、開発部に属する従業者Wを示す点Pが多く分布していることを示している。また、ゾーンZ12は、第1事業部に属する従業者Wを示す点Pが多く分布していることを示している。また、ゾーンZ13は、第2事業部に属する従業者Wを示す点Pが多く分布していることを示している。即ち、図7の(A)の部署別の人材分布グラフから、第2事業部に属する従業者Wの中に、逸脱人材Paが多く含まれることがわかる。
図7の(A)の部署別の人材分布グラフは、図2の企業別の人材分布グラフと同様に、図1の逸脱人材発掘レポートとともに企業Cの経営者や人事管理部門に報知される。このため、例えば「部署ごとの個性というよりも、一人ひとりの個性の強さがあります。現在はその個性を比較的活かし合えていると考えられます。」といったコメントを付すことで、企業Cの経営者や人事管理部門における理解を助けることもできる。
【0070】
図7の(B)には、役職別の人材分布グラフの具体例が示されている。具体的には、企業Cにおける役職や立場が、取締役・役員、部長・マネージャ、課長・リーダー、一般社員、アルバイトである従業者Wの夫々を示す点Pの分布が示されている。
このうち、ゾーンZ21は、役職が取締役・役員である従業者Wを示す点Pが多く分布していることを示している。また、ゾーンZ22は、役職が部長・マネージャである従業者Wを示す点Pが多く分布していることを示している。また、ゾーンZ23は、役職が課長・リーダーである従業者Wを示す点Pが多く分布していることを示している。また、ゾーンZ24は、立場が一般社員である従業者Wを示す点Pが多く分布していることを示している。また、ゾーンZ25は、立場がアルバイトである従業者Wを示す点Pが多く分布していることを示している。即ち、図7の(B)の役職別の人材分布グラフから、役職が取締役・役員である従業者W、及び役職が部長・マネージャである従業者Wの中に、逸脱人材Paが多く含まれることがわかる。
図7の(B)の役職別の人材分布グラフも、図1の逸脱人材発掘レポートとともに企業Cの経営者や人事管理部門に報知される。このため、例えば「一般的に見られる傾向ではありますが、幹部クラスほど意識が高い傾向にあります。貴社も例にもれず、役職でいいますと、ポジションが高くなれば高くなるほど点数が高くなっています。」といったコメントを付すことで、企業Cの経営者や人事管理部門における理解を助けることもできる。
【0071】
図7の(C)には、企業Cとその同業者とを含む人材分布グラフの具体例が示されている。具体的には、企業Cに属する従業者Wの夫々を示す点Pの他、同業他社に属する従業者の夫々を示す三角印Tの夫々の分布が示されている。また、図7の(C)には、同業他社の平均値を示す破線L11及びL12が表示されている。これにより、企業Cの従業者W全体の平均値を示す破線L1及びL2と、同業他社の平均値を示す破線L11及びL12との比較ができる。
図7の(C)の、企業Cとその同業者とを含む人材分布グラフも、図1の逸脱人材発掘レポートとともに企業Cの経営者や人事管理部門に報知される。このため、例えば企業Cの逸脱性と調和性との夫々の平均値と、同業他社の逸脱性と調和性との夫々の平均値とを比較できるように表示させることもできる。また、「同業他社と比べると、貴社が意識の高い人達の集団であることがわかります。自分の意思で「この会社で成長しよう」と考える人が多い傾向にあります。さらに貴社には、従業者の意識を高める「場」としての力があると考えられます。意識の高い人が集まり、意識の高い場ができ、場がさらに人の意識を高めるという循環が存在していると考えられます。」といったコメントを付すことで、企業Cの経営者や人事管理部門における理解を助けることもできる。
【0072】
図7の(D)には、業界別の人材分布グラフの具体例が示されている。具体的には例えば、コンサルティング・仕業、人材・教育、不動産・建設といった複数の業界の夫々を示す複数のゾーンZが示されている。
図7の(D)の業界別の人材分布グラフも、図1の逸脱人材発掘レポートとともに企業Cの経営者や人事管理部門に報知される。また、コメントを付すことで、企業Cの経営者や人事管理部門における理解を助けることもできる。
【0073】
図8は、人材分布マトリクスの具体例の概要を示す図である。
【0074】
企業Cにおける複数の要素には、上述した「逸脱性」(第1要素)及び「調和性」(第2要素)の他、「成長性」(第3要素)、「一貫性」(第4要素)、「社会性」(第5要素)、「人間性」(第6要素)、及び「共鳴性」(第7要素)がある。
上述したように、図2の28個の質問Qは、「逸脱性」(第1要素)と、「調和性」(第2要素)との2つのカテゴリに分類することができる。本サービスでは、2つのカテゴリに分類された28個の質問Qを、さらに5つの指標に分類することができる。5つの指標には、「成長性」(第3要素)、「一貫性」(第4要素)、「社会性」(第5要素)、「人間性」(第6要素)、及び「共鳴性」(第7要素)が含まれる。これを一覧化させたものが図8に示す「人材分布マトリクス」である。
【0075】
人材分布マトリクスでは、図2の28個の質問Qの夫々が、5つの指標(要素)のいずれかに分類される。その結果、図8に示すように、1つの指標(要素)に対して5個又は6個の質問Qが存在することになる。
即ち、人材分布マトリクスにおいて、個々の質問Qは、5つの指標(要素)のうちいずれかに分類されるとともに、2つのカテゴリ(要素)に分類される。つまり、1つの質問Qは、7つの要素のうちいずれか1つに関するものである必要はなく、1つの質問Qは、7つの要素のうちいずれか2以上の要素に関するものであってもよい。これにより、7つの要素のうちいずれか2以上の要素に関する質問に含めることができるので、多面的な見地に基づく質の高い質問を用いた処理が実現される。
【0076】
また、図8に示すように、人材分布マトリクスには、個々の質問Q毎に、企業C全体の平均値、開発部全体の平均値、第1事業部全体の平均値、及び第2事業部全体の平均値が表示される。
【0077】
図9は、逸脱人材個別レポートの具体例を示す図である。
【0078】
本サービスでは、逸脱人材Paが抽出されると、個々の逸脱人材Paを対象とするレポート(以下、「逸脱人材個別レポート」と呼ぶ)が生成される。生成された逸脱人材個別レポートは、企業Cの経営者の端末や、企業Cの人事管理部門の端末(例えば図4の管理者端末2)等に表示される。
図9に示すように、逸脱人材個別レポートには、逸脱人材Pa(従業者W)の顔写真、名前(図9の例では「〇〇」)、所属する部署、役職、人材分布グラフ、及び上述した5つの要素(指標)の夫々の点数の平均値が記載される。また、逸脱人材Pa(従業者W)についてのコメントが付される。具体的には例えば、「自社にしかできないことを見出し、推進するリーダーシップがあります」、「人の成長は比例直線的に進むのではなく、階段状に進んで行きます。大きく段差を越えて次のステージに入ることを「脱皮」と表現するならば、この〇〇さんは「脱皮前」にいます。〇〇さんは、物事の本質を捉える力に優れており、脱皮によってそれが大きく開花する可能性があります。その結果として、社会において「自社にしか起こせない渦」とは何か?を見出し、それを推進するリーダーシップを発揮するでしょう。「今ここ」でしかできないことは何だろうか?という視点を持ち続けることが、脱皮のきっかけとなるでしょう。」といったコメントが付される。
これにより、逸脱人材個別レポートの提供を受けた企業Cの経営者や人事管理担当部門は、逸脱人材Paとして抽出された人材に関する情報を容易に取得することができる。
【0079】
図10は、組織環境サマリの具体例を示す図である。
【0080】
「組織環境サマリ」は、企業Cの経営者や人事管理部門に提供される、「組織環境」に関するレポートの一例である。
組織環境サマリには、企業Cを構成する複数の部署の夫々における、要素毎の点数が含まれる。要素毎の点数は、その部署に属する従業者Wの回答(点数)の平均値であり、図10のグラフによって視覚化される。例えば、左端の「成長性」(第3要素)の点数は、開発部が「3.3(点)」、第1事業部が「3.8(点)」、第2事業部が「3.3(点)」、3つの部署の平均が「3.4(点)」とされている。なお、「一貫性」(第4要素)、「社会性」(第5要素)、「人間性」(第6要素)、及び「共鳴性」(第7要素)の夫々の点数は、図10に示す通りである。
また、図10の右側に示すように、組織環境サマリには、要素毎の点数の最高値及び最低値と、その点数に対応する部署名とが含まれる。例えば、「成長性」(第3要素)の点数は、第1事業部の「3.8(点)」が最高値となっているのに対して、開発部の「3.3(点)」が最低値となる。なお、「一貫性」(第4要素)、「社会性」(第5要素)、「人間性」(第6要素)、及び「共鳴性」(第7要素)の夫々の点数の最高値及び最低値については、図10に示す通りである。
また、図10の上側に示すように、組織環境サマリには、企業Cの「組織環境」についてのコメントが付される。例えば、「組織を一人の人間と見立てた場合、貴社には脱皮直前の独特の空気感があります。貴社にしか果たせない社会的役割と、これまでに例のない新たな商品・サービスの構築など、前例や業界のやり方に捕らわれない独自の道(未開の道)を進むことで、貴社の潜在力が発揮されます。」といったコメントが付される。
これにより、組織環境サマリの提供を受けた企業Cの経営者や人事管理担当部門は、企業Cの「組織環境」に関する課題を把握できるとともに、今後進むべき道を見定めるための参考資料として活用することができる。
【0081】
図11は、本サービスにより出力されるレポートの一例を示す図である。
【0082】
本サービスでは、企業Cの経営者や人事管理部門に対して、上述したレポートの他、様々な観点に基づく各種各様なレポートを生成することができる。
例えば、図11に示すように、従業者Wの「自律」という観点に基づいたレポートを生成することもできる。
「自律」とは、物事を自分事として捉え、自ら考え、自ら決断し、自ら人と関わり、自ら行動し、自ら成果を上げることをいう。従業者Wにおける「自律」の度合いが高まるほど、外部環境(例えば同僚、顧客、組織全体など)との調和が高まる。その結果、争いや確執を生じさせることなく、物事を楽しくスムーズに進めることができる。
【0083】
図11に示すレポートは、企業Cにおける重要指標(要素)としての、理念一致度、競争優位度、ボトムアップ推進力、及び自律調和度(組織健康度)の夫々を、企業C全体、部署別、及び役職別に示したレポートである。自律調和度(組織健康度)は、「自律」の度合いを、危険分子、依存、自律手前、自律、及び調和自律に区分する。
ここで、理念一致度、競争優位度、及びボトムアップ推進力の夫々の数値について、模様分けがなされているが、これらは、上述の5つの指標(要素)の夫々を示している。即ち、図11に示すレポートでは、企業Cにおける重要指標(要素)と、上述の5つの指標(要素)との2段階の評価が行われている。
生成されたレポートは、企業Cの経営者の端末や、企業Cの人事管理部門の端末(例えば図4の管理者端末2)等に表示される。
【0084】
図12は、本サービスにより出力されるレポートの一例であって、図11と異なる例を示す図である。
図12の例のレポートには、企業Cの部署毎又は役職毎の5つの指標(要素)の値を比較容易に配置したグラフが含まれている。即ち、図12のレポートに示すグラフは、部署別、及び役職別の人材分布グラフである。
図12のレポートの左側には、5つの指標(要素)毎に、部署毎の棒グラフを一群としたグラフが配置されている。これにより、例えば、成長性が高い部署が一目で比較可能にとなる。
また例えば、グラフには、5つの指標(要素)毎に全部署の平均値が折れ線グラフで示されている。これにより、各部署の指標の値が全部署の平均値との比較が容易となっている。
また、図12のレポートの右側には、5つの指標(要素)毎に、役職毎の棒グラフを一群としたグラフが配置されている。これにより、上述の部署毎と同様に、役職毎の比較が容易となっている。
【0085】
このように、部署毎又は役職毎の5つの指標(要素)を比較することで、組織環境が可視化される。
即ち例えば、企業Cという組織において、部署の間での相違点が可視化されることにより、企業Cという組織での風通しのよさなど、所謂縦割りの結果としての環境が可視化されるのである。
また例えば、企業Cという組織において、役職の間での相違点が可視化されることにより、企業C内の各部署での裁量毎(役職毎)の5つの指標(要素)により、所謂部署での決済の通りやすさや改革が進みやすいか等の環境が可視化されるのである。
【0086】
従来、例えば、ITリテラシ単体の評価ツールとして、「企業Cの役職者がITリテラシが高くない」といった解析を行う者は存在した。しかしながら、本サービスでは、上述の5つの指標(要素)を企業Cの部署毎又は役職毎に比較することで、組織環境が可視化され、人材が適切に活躍する場を確保するといったことが可能となるのである。
【0087】
図13は、本サービスにより出力されるレポートの一例であって、図11及び図12と異なる例を示す図である。
図13のレポートには、質問Q毎の、ある従業者Wの回答と、その従業者Wの所属する部署の回答の平均値を比較したグラフが配置されている。
これにより、従業者Wが逸脱人材であるか否かや、従業者Wの回答がその従業者Wの所属する部署とマッチしているのか否か等が用意に把握可能となる。
具体的には例えば、図13の例の従業者Wは、各回答について、メリハリのある回答をしている。即ち、グラフに示すように、従業者Wは、各回答について、メリハリ(最大値や最小値を取る)のある回答を行っている。この場合、従業者Wは、各質問Qについて、明確な答えを持って回答をしている。逸脱人材Paは、このような質問Qに対して明確な意見を持っていることが多いため、この従業者Wは、逸脱人材である可能性が高い、ということがわかる。
また例えば、図13のグラフを比較することにより、従業者Wがその従業者Wの所属する部署とマッチしているかを把握することが可能となる。
具体的には例えば、図示はしないが、ある従業者Wは、一貫性と共鳴性の質問Qについて、全体的に高い回答をしたとする。また、その従業者Wの所属する部署において、一貫性と共鳴性の平均点が高かったものとする。この場合、その従業者Wは、逸脱人材ではないかもしれないが、その部署の属性に合致しており、違和感なく働くことが可能な環境におかれていると言えるのである。
【0088】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものとみなす。
【0089】
上述したように、本サービスは、逸脱人材Paを抽出することができるが、逸脱人材Paを含む人材戦略のニーズは、昨今さらに高まっている。以下、逸脱人材Paの重要性について補足説明する。
即ち、経済産業省は、企業に対し、人材戦略を重視するよう働きかける「経営戦略と人材戦略」を示している。また、『株主総会白書』2020年版〈商事法務研究会編〉によれば、株主総会における人事労務に関する質問、議論が増加している。また、ISO30414(人事・組織に関する情報開示のガイドライン)による人材マネジメントの国際標準化の動きが進んでいる。また、米国証券取引委員会(SEC)による、上場企業に対しての「人的資本の情報開示」の義務づけがなされている。
また、上述の中で、従来の日本型経営(年功序列・終身雇用)は、昔の時代は機能したが、組織依存型人材を生む結果にもなってしまっているという指摘もある。さらに、組織依存状態でも、スキルや能力が高くかつ、社内人脈や社内折衝ができる人材が昇進や抜擢が多い傾向にあった。また、安定的な雇用コミュニティの中、新卒一括採用・階層別研修・ジョブローテーションなどを通じて、「均質的」かつ「全体教育により」同質的な組織を形成してきたとも言える。
このように、日本型OJT(On-the-Job Training)により一人当たりのマネジメントコスト(人材育成費用も含む)が膨大になってしまうのが現状であるといえる。また、個人の自律的なキャリア形成意識の醸成 が行われにくく、特定の職能・領域において高度な専門能力を持った社員が生まれにくい、キャリア後半で昇格・昇進の機会を失うと自律的にその状態を変化させることが難しく、結果として「フリーライダー」になり易い、という副作用もあるといえる。
また、コロナによるリモートマネジメントにより、人材の育成の難易度が遥かに高まったといえる。
【0090】
このような背景の中、上述したような問題点が挙げられるのである。以下、問題点について詳述する。
即ち、問題点として、本来評価されるべき人材に評価が当たっていない。また、従来の評価項目と本来の(今の)評価項目の評価のずれが起きている。また、従来の評価項目でのみ、昇進や人材抜擢が行われ、その人の基準により育成が遅れる。
つまり、本来育成しても効果が薄い人材にも等しく教育リソースが割かれている(人材育成コストが高い)。また、すべての人を均等に全体教育する施策をしても、組織の成長が遅れる。その結果、マネージャや経営メンバが疲弊している。
更に言えば、若いZ世代が流入し働く価値観が多様化し、コロナ禍により、リモートマネジメントが発生し、人材育成が高度化し、それに対応できていないことも問題点である。
【0091】
上述の背景と問題点が存在する中、本サービスは以下のようなソリューションを提供するのである。
即ち、企業C等のユーザは、本サービスを活用することで、本来評価すべき人材を可視化できる。
具体的には、企業C(あるいはそのマネージャや経営メンバ)は、本サービスにより、組織への依存度・キャリア自律の度合いが特定でき、本来評価の高い人を発掘することができる。
また、企業C(あるいはそのマネージャや経営メンバ)は、本サービスを活用することで、教育や経営リソースを投下すべき人材の優先順位を分析することができる。また、After コロナ時代のマネジメントの教育プランを提示できる。また、逸脱人材Paではない要候補人材の教育計画と、優先順位を可視化することができる。
【0092】
この結果、昇進会議等の際に、1対1では深掘りできない、要人材の定性的情報が取得できるようになる。また、キャリア自律が高いものの、パフォーマンスが今は低い人材が活躍し始めるので、組織全体が活性化する。また、評価すべき人材が昇進するので、次なる要人材が生まれやすくなり、企業Cは要人材を採用しやすくなる。また、教育計画の優先順位が明確になり、かつ、人材育成指針がシンプル化されることで、人材育成コスト(マネジメントコストや人材研修予算)の大幅削減が期待される。
【0093】
本サービスは、個人別アンケート回答の「真実性」が特定でき、その上で分析を行うことができる。また、真実性の割合に応じて、各回答を傾斜することができる。
即ち、従来の方法では、アンケート回答が億劫で多くの従業員は真剣に答えられないこともあった。その結果、ノイズな情報が多分に入り、それに引きずられた人材戦略や組織活性の施策を展開してしまうことがあった。しかしながら、本サービスでは、真実性の割合に応じて、各回答を傾斜することができるため、ノイズな情報の影響を軽減することができる。
【0094】
例えば、図1乃至図3等に示す画面の構成は一例に過ぎない。管理者や従業者Wが視認して内容を理解させることができるあらゆる態様の画面を採用することができる。
【0095】
また例えば、上述の質問Qは例示に過ぎない。あらゆる態様の質問Qを設定することができる。
【0096】
また例えば、上述の各種のレポートは例示に過ぎない。企業Cにおける組織活性化戦略に資するあらゆる態様のレポートを生成することができる。
【0097】
また、図4に示すシステム構成、及び図5に示すサーバ1のハードウェア構成は、本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されない。
【0098】
また、図6に示す機能ブロック図は、例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した逸脱人材抽出処理、及び要人材抽出処理を全体として実行できる機能が図4の情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは、特に図6の例に限定されない。
【0099】
また、機能ブロックの存在場所も、図6に限定されず、任意でよい。
図6の例において、逸脱人材抽出処理、及び要人材抽出処理は、上述の情報処理システムを構成するサーバ1のCPU11の制御により行われる構成となっているが、これに限定されない。例えばサーバ1側に配置された機能ブロックの少なくとも一部を、管理者端末2側、従業者端末3側、又は図示せぬ他の情報処理装置が備える構成としてもよい。
【0100】
また、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0101】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。
また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0102】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。
【0103】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0104】
以上をまとめると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を有していれば足り、各種各様な実施の形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理装置は、
所定の集団(例えば上述の企業C)に属する複数の人材(例えば上述の従業者W)を対象とする、前記所定の集団における複数の要素のうち少なくとも1つの要素(例えば上述の「逸脱性」、「調和性」)を判断するための質問を提示する提示手段(例えば図6の質問管理部101)と、
前記の質問に対する回答の内容に基づいて、前記所定の集団における人又は環境について所定の条件を満たすものを抽出する抽出手段(例えば図6の抽出部103)と、
を備える。
【0105】
これにより、ある集団に属する複数の人材を対象とする、その集団における複数の要素のうち少なくとも1つの要素を判断するための質問が提示される。そして、提示された質問に対する回答の内容に基づいて、その集団における人又は環境について所定の条件を満たすものが抽出される。
その結果、その集団に属する複数の人材の中から、その集団の未来を牽引する可能性のある人材を見出すことが可能になる。
【0106】
また、前記提示手段は、
前記複数の人材を対象とする、前記所定の集団における第1要素としての調和性と、第2要素としての逸脱性とのうち少なくとも一方を判断するための複数の質問を提示し、
前記抽出手段は、
前記複数の質問に対する回答の内容に基づいて、前記所定の集団のオーナーの感覚と同一又は近似する感覚を持ち合わせる第1人材(例えば上述の逸脱人材Pa)を、前記複数の人材から抽出する第1抽出手段(例えば図6の逸脱人材抽出部131)を有することができる。
【0107】
これにより、その集団に属する複数の人材を対象とする、その集団における逸脱性と調和性とのうち少なくとも一方を判断するための複数の質問が提示される。そして、その複数の質問に対する回答の内容に基づいて、その集団のオーナーの感覚と同一又は近似する感覚を持ち合わせる第1人材が、その集団に属する複数の人材の中から抽出される。
その結果、その集団における調和性や逸脱性の見地に基づいて、その集団の未来を牽引する可能性のある人材を見出すことが可能になる。
【0108】
また、前記調和性を第1軸とし、前記逸脱性を第2軸として構築される空間に、前記複数の人材の夫々を、前記質問に対する回答の内容に基づいて配置するマッピング手段(例えば図6のマッピング部102)をさらに備え、
前記第1抽出手段は、前記空間に配置された前記複数の人材から第1人材を抽出することができる。
【0109】
これにより、調和性を第1軸とし、逸脱性を第2軸として構築される空間に、複数の人材の夫々が、質問に対する回答の内容に基づいて配置される。そして、その空間に配置された複数の人材から第1人材が抽出される。
その結果、逸脱性と調和性との2軸により構築される空間に配置された、その集団に属する複数の人材の中から、その集団の未来を牽引する可能性のある人材を見出すことが可能になる。
【0110】
また、前記抽出手段は、
前記複数の質問に対する回答の内容と、タイミングとに基づいて、前記所定の集団における短期的な要となる第2人材(例えば上述の短期的要人材Pb)と、長期的な要となる第3人材(例えば上述の長期的要人材Pc)とを抽出する第2抽出手段(例えば図6の要人材抽出部132)と、
を有することができる。
【0111】
これにより、複数の質問に対する回答の内容と、タイミングとに基づいて、その集団における短期的な要となる人材と、長期的な要となる人材とが抽出される。
その結果、その企業を活発化させるためには経営資源をどこに投入すべきかを明確化させることができる。
【0112】
また、前記質問には、前記所定の集団における、第3要素としての成長性、第4要素としての一貫性、第5要素としての社会性、第6要素としての人間性、及び第7要素としての共鳴性に関する質問を含めることができる。
【0113】
これにより、その集団に属する複数の人材に対して提示される質問に、成長性、一貫性、社会性、人間性、及び共鳴性に関する質問が含まれる。
その結果、多面的な見地に基づいた抽出が可能となるので、抽出結果に対する信ぴょう性を高めることができる。
【0114】
また、前記抽出手段は、
前記第1要素としての前記調和性と、前記第2要素としての前記逸脱性と、前記第3要素としての前記成長性と、前記第4要素としての前記一貫性と、前記第5要素としての前記社会性と、前記第6要素としての前記人間性と、及び前記第7要素としての前記共鳴性とのうち少なくとも一部に関する質問に対する回答の内容に基づいて、前記所定の集団の環境についての所定の要件を満たすものを抽出することができる。
【0115】
これにより、調和性、逸脱性、成長性、一貫性、社会性、人間性、及び共鳴性とのうち少なくとも一部に関する質問に対する回答の内容に基づいて、その集団の環境についての所定の要件を満たすものが抽出される。
その結果、その集団の環境について、多面的な見地に基づいた抽出が可能となるので、抽出結果に対する信ぴょう性を高めることができる。
【0116】
また、1つの前記質問には、前記第1要素乃至前記第7要素のうちいずれか2以上の要素に関するものを含めることができる。
【0117】
これにより、1つの質問は、調和性、逸脱性、成長性、一貫性、社会性、人間性、及び共鳴性とのうちいずれか2以上の要素に関するものとすることができる。その結果、多面的な見地に基づく質の高い質問を用いた処理が実現される。
【符号の説明】
【0118】
1・・・サーバ、2・・・管理者端末、3・・・従業者端末、11・・・CPU、12・・・ROM、13・・・RAM、14・・・バス、15・・・入出力インターフェース、16・・・入力部、17・・・出力部、18・・・記憶部、19・・・通信部、20・・・ドライブ、40・・・リムーバルメディア、101・・・質問管理部、102・・・マッピング部、103・・・抽出部、131・・・逸脱人材抽出部、132・・・短期的要人材抽出部、133・・・長期的要人材抽出部、181・・・質問DB、182・・・従業者DB、NW・・・ネットワーク、W・・・従業者、Q・・・質問、Pa・・・逸脱人材、Pb・・・短期的要人材、Pc・・・長期的要人材
図1
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