(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022033057
(43)【公開日】2022-02-25
(54)【発明の名称】新規のブロックコポリマー及びそれらの使用
(51)【国際特許分類】
C08F 297/04 20060101AFI20220217BHJP
C08L 53/02 20060101ALI20220217BHJP
【FI】
C08F297/04
C08L53/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021132050
(22)【出願日】2021-08-13
(31)【優先権主張番号】63/065,893
(32)【優先日】2020-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519261770
【氏名又は名称】クレイトン・ポリマーズ・リサーチ・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グザビエ・デー・デー・イェー・ミュイルデルマン
(72)【発明者】
【氏名】アパラジータ・バッタチャルヤ
(72)【発明者】
【氏名】ホイシエン・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】クーン・ファン・ダイン
【テーマコード(参考)】
4J002
4J026
【Fターム(参考)】
4J002BP011
4J002GM01
4J002GN00
4J026HA06
4J026HA26
4J026HA32
4J026HA39
4J026HB15
4J026HB26
4J026HB32
4J026HB39
4J026HB48
4J026HC06
4J026HC26
4J026HC32
4J026HC39
4J026HC50
4J026HE02
(57)【要約】
【課題】ポリマーブロックA及びポリマーブロックBを含む水素化ブロックコポリマーを提供すること。
【解決手段】水素化の前に、ポリマーブロックAは、第1のビニル芳香族化合物を有し、ポリマーブロックBは、a)ラジカル反応性基を有するスチレン化合物、及びb)少なくとも1つの共役ジエン、及び任意選択的に(c)第1のビニル芳香族化合物と同じ又は異なる第2のビニル芳香族化合物のモノマーを含む。モノマーa)の繰り返し単位は、全ブロック共重合体の10~70重量%及びブロックBの総重量の10~80重量%を形成する。水素化後、モノマーb)に由来する重合単位は、水素化ブロックコポリマー1グラムあたり0~1.5meqのRUを有する。水素化ブロックコポリマーは、硬化前、反応性及びより高い流動特性を示し、硬化後、優れた機械的特性、改善された耐燃性及び優れた耐溶剤性を示す。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのポリマーブロックA及び少なくとも1つのポリマーブロックBを含む水素化ブロックコポリマーであって、
水素化の前に、
各ブロックAが、第1のビニル芳香族化合物のポリマーであり、
各ブロックBが、
(a)ラジカル反応性基を有するスチレン化合物と、
(b)少なくとも1つの共役ジエンと、任意選択的に
(c)第1のビニル芳香族化合物と同じ又は異なる第2のビニル芳香族化合物と
のモノマー単位のコポリマーブロックであり、
各ブロックAが3~60kg/molのピーク分子量(Mp)を有し、各ブロックBが20~200kg/molのピーク分子量(Mp)を有し、
モノマー単位(a)に由来する重合単位が、水素化ブロックコポリマーの総重量の10~70重量%を構成し、かつ、ブロックBの総重量の10~80重量%を構成し、
水素化後、
モノマー単位(b)に由来する重合単位が、水素化ブロックコポリマー1グラムあたり0~1.5meqの残留オレフィン不飽和を有し、
水素化ブロックコポリマーが、
i)DMA10rad/sで-30~80℃のタンジェントデルタピーク最高温度、
ii)硬化後、過酸化物硬化ゲル試験(PCGT)で測定した、水素化ブロックコポリマーの総重量の>40重量%のゲル含有量、及び
iii)20~80%の芳香族ブロック性指数を有する、
水素化ブロックコポリマー。
【請求項2】
モノマー単位(a)がパラメチルスチレンであり、モノマー単位(b)が、イソプレン、ブタジエン及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、
ブロックBが、10~55%の補正1,4-ジエン単位含有量を有し、
水素化ブロックコポリマーが、
i)1GHzで<2.6の誘電率(Dk)、
ii)10GHzで<2.6の誘電率(Dk)、
iii)1GHzで<0.002の損失正接(Df)、
iv)10GHzで<0.002の損失正接(Df)及び
v)トルエン中25重量%で25℃にて<2000cPの溶液粘度
の1つ以上を有する、
請求項1に記載の水素化ブロックコポリマー。
【請求項3】
ブロックAが重合したパラメチルスチレン単位を含み、Bブロックのモノマー単位(a)がパラメチルスチレンであり、Bブロックの(a)パラメチルスチレンの重量パーセントが、水素化ブロックコポリマーの総重量に対して10~50重量%である、請求項1又は2に記載の水素化ブロックコポリマー。
【請求項4】
ブロックBが、最大50%の補正1,4-ジエン単位含有量を有し、
モノマー単位(b)に由来する重合単位が、水素化ブロックコポリマー1グラムあたり0~0.3meqの残留オレフィン不飽和を有し、
水素化ブロックコポリマーが、40%~75%の芳香族ブロック性指数を有し、トルエン中25重量%で25℃にて<1000cPの溶液粘度を有する、
請求項1又は2に記載の水素化ブロックコポリマー。
【請求項5】
水素化ブロックコポリマーが、100~300℃のDMAクロスオーバー温度を有する、請求項1又は2に記載の水素化ブロックコポリマー。
【請求項6】
水素化ブロックコポリマーが、A-B、A-B-A、(A-B-)nX、A-B-A-B、(B-A-B-)nX、(B-A-)nX及び(A-B-A-)nX(ただし、Xはカップリング剤残基であり、nは1~30である)の1つ以上の構造を含む、請求項1又は2に記載の水素化ブロックコポリマー。
【請求項7】
モノマー単位(a)のスチレン化合物のラジカル反応性基に結合した官能基をさらに含む、請求項1又は2に記載の水素化ブロックコポリマー。
【請求項8】
硬化性組成物であって、
(a)1~99重量%の、請求項1又は2に記載の水素化ブロックコポリマー、及び
(b)組成物の総重量に対して0.1~5重量%の、熱開始剤及び光線開始剤から選択される開始剤
を含む硬化性組成物。
【請求項9】
1,2-ビス(ビニルフェニル)エチレン、ブタジエン系液体ゴム、ジビニル芳香族化合物、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ビニル官能化ポリフェニレンオキシド、ビスマレイミド芳香族樹脂、単官能性若しくは多官能性のアクリレートモノマー又はメタクリレートモノマー、可塑剤、粘着付与樹脂、1つ以上のポリジエンブロックを含むスチレンブロックコポリマー、及びそれらの組み合わせから選択される1つ以上の共硬化剤、
難燃剤、及び
脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される溶媒
をさらに含む、請求項8に記載の硬化性組成物。
【請求項10】
ポリオレフィンをさらに含み、硬化性組成物が溶融相で硬化される、請求項8又は9に記載の硬化性組成物。
【請求項11】
99~1重量%の請求項1又は2に記載の水素化ブロックコポリマー、
1~99重量%の結晶性ポリオレフィン、及び、任意選択的に20~50重量%の難燃剤
を含むブレンド。
【請求項12】
10~50重量%の水素化ブロックコポリマー、1~20重量%の結晶性ポリオレフィン、及び20~50重量%の難燃剤を含み、ブレンドが、UL94垂直燃焼試験方法に従ってV0等級を有する、請求項11に記載のブレンド。
【請求項13】
請求項11又は12に記載のブレンドを硬化することによって得られる硬化組成物。
【請求項14】
請求項1又は2に記載の水素化ブロックコポリマー100部、及び過酸化物開始剤0.5部を含む硬化性組成物であって、180℃で2時間硬化し、圧縮成形した後、1GHzで<3.5のDkを有し、1GHzで<0.003のDfを有する硬化性組成物。
【請求項15】
請求項1又は2に記載の水素化ブロックコポリマー100部、及び過酸化物開始剤0.5部を含む硬化性組成物であって、180℃で2時間硬化し、圧縮成形した後、10GHzで<2.6のDkを有し、10GHzで<0.003のDfを有する硬化性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、新規の反応性ブロックコポリマー及びそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
接着剤、シーラント、コーティング、タイヤ、自動車産業、建設産業、電気産業、電子産業及び医療機器などの、処理中の低粘度及び反応性に優れた機械的性能を備えたエラストマー材料が必要とされる多くの用途がある。さらに、これらの材料は、優れた耐溶剤性及び耐高温性を有することが望ましい。特定の操作条件下で、一部の用途では、最終用途での耐燃性に加えて、製造時に高流量及び強度の高い材料が必要になる。強度及び衝撃抵抗並びに耐候性又は耐オゾン性の点での優れた機械的性能も望ましい。既存の熱可塑性材料は、このような要件を満たすことができない場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
硬化に曝された後の優れた機械的性能及び改善された耐燃性、優れた耐溶剤性及び高温での機械的性能に加えて、反応性及びより高い流動特性を示すポリマー組成物に対する継続的な必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様では、本開示は、少なくとも1つのポリマーブロックA及び少なくとも1つのポリマーブロックBを含む、それらから本質的になる又はそれらからなる水素化ブロックコポリマーに関する。水素化の前に、各ブロックAは、第1のビニル芳香族化合物のポリマーであり、各ブロックBは、(a)ラジカル反応性基を有するスチレン化合物と、(b)少なくとも1つの共役ジエンと任意選択的に(c)第1のビニル芳香族化合物と同じ又は異なる第2のビニル芳香族化合物とのコポリマーブロックである。ブロックAは、3~60kg/molのピーク分子量(Mp)を有し、ブロックBは、20~200kg/molのピーク分子量(Mp)を有する。(a)に由来する重合単位は、水素化ブロックコポリマーの総重量の10~80重量%を構成し、ブロックBの総重量の10~70重量%を構成する。モノマー(b)に由来する重合単位は、水素化ブロックコポリマー1グラムあたり0~1.5meqの残留オレフィン不飽和度を有する。水素化ブロックコポリマーは、i)DMA10rad/sでタンジェントデルタピーク最大温度-30~80℃、ii)硬化後、過酸化物硬化ゲル試験(PCGT)で測定した、水素化ブロックコポリマーの総重量の>40重量%のゲル含有量及びiii)20~80%の芳香族ブロック性指数を有する。
【0005】
第2の態様では、モノマー(a)はパラメチルスチレンであり、モノマー(b)は、イソプレン、ブタジエン及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。ブロックBは10~55%の補正1,4-ジエン単位含有量を有し、水素化ブロックコポリマーは、i)1GHzで<2.6の誘電率(Dk)、ii)10GHzで<2.6の誘電率(Dk)、iii)1GHzで<0.002の損失正接(Df)、iv)10GHzで<0.002の損失正接(Df)及びv)トルエン中25重量%で25℃にて<2000cPの溶液粘度の1つ以上を有する。
【0006】
第3の態様では、Bブロック中の(a)パラメチルスチレンの重量パーセントは、10~50重量%である。
【0007】
第4の態様では、ブロックAは、重合したパラメチルスチレン単位を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】弾性率(G’)及びタンジェントデルタ(タンデルタ)を含む動的機械分析(DMA)性能を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
明細書で使用される以下の用語は、以下の意味を有する。
【0010】
「芳香族ブロック性(aromatic blockiness)」又は「芳香族ブロック性指数(aromatic blockiness index)」は、ブロックコポリマー中に2つの隣接する芳香族単位を有する芳香族基の百分率を指す。芳香族ブロック性指数は、ブロックコポリマーの1DH-1NMRスペクトルに基づいて計算され、式:芳香族ブロック性指数=100×積分2/積分1によって与えられ、積分1は、7.5ppm~6.0ppmのH-1NMRスペクトルを積分し、得られた値を「N」で割ることによって求められ、「N」は、芳香環に直接結合されているプロトンの平均数であり、例えば、非置換芳香族基(フェニル環)の場合は5、パラメチルスチリル基などの一置換芳香族基の場合は4及びジメチルスチリル基などの二置換芳香族基の場合は3である。積分2は、H-1NMRスペクトルを、シグナルの最小値である6.9ppm~6.6ppmから6.0ppmまで積分し、2で割ることによって求められる。実際には、積分2は、6.9~6.6ppmの低磁場化学シフトと6.0ppmの高磁場化学シフトとの間の最も急な谷の領域をカバーするシグナルの最小値からのスペクトルの面積を積分することによって求められる。積分1及び積分2のピーク面積を計算する場合、溶媒プロトンから生じるピーク面積は含まれない。
【0011】
「分子量」は、ポリマー又はブロックコポリマーのkg/molでのスチレン当量分子量を指す。分子量は、例えばASTM5296に従って行われる、ポリスチレン較正標準を使用したゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定できる。クロマトグラフは、市販のポリスチレン分子量標準を使用して較正される。このように較正されたGPCを使用して測定されたポリマーの分子量は、スチレン当量分子量である。検出器は、紫外線検出器及び屈折率検出器の組み合わせであり得る。本明細書で表される分子量は、GPCトレースのピークで測定され、一般に「ピーク分子量」と呼ばれ、Mpとして示される。
【0012】
「pMeS」はパラメチルスチレンを指し、「St」はスチレンを指す。
【0013】
「ラジカル反応性基」は、フリーラジカル種を形成することができる又は形成するように誘導され得る化学基を指す。フリーラジカル種は、熱的手段、光線的手段又は化学試薬を含む任意の既知の手段によって形成され得る。例えば、少なくとも1つの水素置換基を有するベンジル炭素は、ラジカル反応性基であり得る。ベンジル炭素基は、1つのベンジル水素原子を有する限り、置換することもできる。ラジカル反応性基の別の例はシクロブタン環であり、シクロブタン環は、例えば、光線的に活性化されてフリーラジカル種を形成することができる。ラジカル反応性基の他の例としてはアリル基が挙げられ、アリル基は、アリルフリーラジカルを形成することができる。
【0014】
「補正1,4-ジエン単位含有量」又は「C14DUC」は、ブタジエン(Bd)、イソプレン(Ip)又はそれらの組み合わせに由来する繰り返し単位を有するポリマーブロックを指し、ポリマーブロックにおける総ジエン中のBd含有量の重量%(Bw)、ポリマーブロックにおけるBd単位中のBdの1,4-付加単位の重量%(B14)、ポリマーブロックにおける総ジエン中のIp含有量の重量%(Iw)及びポリマーブロックにおけるIp単位中のIpの1,4-付加単位の重量%(I14)のパラメータで、式(1):
C14DUC=(Bw×B14/100)+Iw×(I14-40)/100 (1)
によって数学的に与えられる。共役ジエンの重合は、二重結合(1,4-付加単位を生じさせる)と1つの二重結合(側位ビニル基を生じさせる)の両方にわたる付加に基づく重合単位を生じさせる。
【0015】
「残留オレフィン不飽和」又はRUは、ブロックコポリマーがHSBCに水素化された後に還元されていない、重合ジエン単位中のオレフィンC=C基の1グラムあたりのミリ当量(meq/g)での量を指す。RUは、オゾン滴定又はHSBCの1HNMRスペクトルから測定される。
【0016】
「過酸化物硬化ゲル試験」又は「PCGT」は、水素化ブロックコポリマー(HSBC)に基づいて硬化組成物のゲル含有量を測定し、重量パーセントで表される試験を指す。PCGTは、HSBCを0.5重量%のBIPB(ビス-(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン)開始剤と混合し、可動ダイレオメーター(MDR)を使用して180℃で30分間硬化することによって測定される。ゲルの計算は、試料をトルエンに1日間浸漬する前に、硬化試料の初期重量(Wi)を最初に測定することによって計算される。次に、試料を含む溶液をろ過し、ろ過した膨潤ゲルの重量(Ws)を記録する。次に、膨潤ゲルを、一定の重量に達するまで又は乾燥重量(Wd)に達するまで、60℃で真空下で乾燥させる。ゲル含有量(ゲル%)は、式:ゲル%=100×Wd/Wiを使用して計算される。膨潤率は、式:膨潤率=Ws/Wdを使用して計算される。
【0017】
「カップリング効率」又はCEは、1より多くのアーム(すなわち、n>1)を有するカップリング種の積分されたピーク面積の合計と、カップリング及び非カップリングアーム(n=1及びn>1)の積分されたピーク面積の合計との比率(%で表される)を指す。CEは、ピーク面の積分からGPCによって求められる。
【0018】
「分岐度」又はDOBは、カップリング種のアームの平均数を指す。DOBは、2アーム、3アーム、4アーム、..、iアームを持つ個々のカップリング種のGPCピーク面積から計算される。DOB値は、数式:DOB=[2×2アーム種のGPC面積+3×3アーム種のGPC面積+4×4アーム種のGPC面積+...i×iアーム種のGPC面積]/[すべてのカップリング種のGPC面積]を使用して計算される。
【0019】
実施形態における本開示は、本明細書では、中間ブロックにpMeSを含む水素化スチレンブロックコポリマー(HSBC)としての水素化ブロックコポリマー及びHSBCを含むその組成物を対象とする。HSBC系組成物は、硬化前は高流量であり、硬化後、硬化組成物は、未硬化組成物と比較して優れた耐候性を有する。
【0020】
水素化スチレンブロックコポリマー(HSBC):
HSBCは、スチレンブロックコポリマー(SBC)の水素化形態であり、SBCは、水素化前に、少なくとも1つのポリマーブロックA及び少なくとも1つのポリマーブロックBを有する。SBCにおいて、すなわち、水素化前に、各Aブロックは、第1のビニル芳香族化合物の剛性ブロックであり、各Bブロックは、(a)ラジカル反応性基を有するスチレン化合物と、(b)少なくとも1つの共役ジエンと任意選択的に(c)第1のビニル芳香族化合物と同じ又は異なる第2のビニル芳香族化合物を含むモノマーのコポリマーブロックである。
【0021】
実施形態において、ポリマーブロックAを構築するために使用される第1のビニル芳香族化合物は、それに結合した少なくとも1つのビニル基を有する任意の芳香族化合物であり得る。使用に好適な非限定的なクラスの化合物としては、スチレン及び置換スチレン、ビニルナフタレン及び置換ビニルナフタレン、ビニルインデン、ビニルアントラセン、1,1-ジフェニルエチレン並びにそれらの混合物が挙げられる。いくつかの具体例としては、8~20個の炭素原子を有するビニル芳香族化合物、例えばo-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、アルファ-メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルトルエン及びビニルキシレン又はそれらの混合物が挙げられる。
【0022】
実施形態において、ラジカル反応性基を有するスチレン化合物、すなわち、モノマー(a)は、式(I)の置換スチレン、式(II)のビニルベンゾシクロブテン、式(III)のビニルジヒドロインデン、式(IV)のビニルテトラヒドロナフタレン又はそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0023】
【0024】
実施形態において、式(I)のモノマー(a)は、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン、o-エチルスチレン、p-エチルスチレン、o-イソプロピルスチレン、パラ-イソプロピルスチレン、o-メチル-α-メチルスチレン、p-メチル-α-メチルスチレン、o-エチル-α-メチルスチレン、p-エチル-α-メチルスチレン、o-イソプロピル-α-メチルスチレン、パラ-イソプロピル-α-メチルスチレン及びそれらの混合物から選択される。
【0025】
実施形態において、第1のビニル芳香族モノマーは、pMeS、p-メチル-α-メチルスチレン又はそれらの混合物を含む。
【0026】
実施形態において、(b)共役ジエンモノマーを含むブロック(B)中のモノマーのコポリマーブロックは、ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1-フェニル-1、3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、3-ブチル-1,3-オクタジエン、ファルネセン、ミルセン、ピペリレン、シクロヘキサジエン及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0027】
実施形態において、任意選択的に(c)第2のビニル芳香族化合物を含むブロック(B)中のモノマーのコポリマーブロックは、存在する場合、第2のビニル芳香族化合物は、それに結合した少なくとも1つのビニル基を有する任意の芳香族化合物であり得る。使用に好適な非限定的なクラスの化合物としては、スチレン及び置換スチレン、ビニルナフタレン及び置換ビニルナフタレン、ビニルインデン、ビニルアントラセン、1,1-ジフェニルエチレン並びにそれらの混合物が挙げられる。他の例としては、8~20個の炭素原子を有するビニル芳香族化合物、例えばo-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、α-メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン及びそれらの混合物が挙げられる。
【0028】
実施形態において、ブロックAは、3~60kg/mol又は5~50kg/mol又は10~45kg/mol又は15~40kg/mol又は20~35kg/mol又は>10kg/mol又は<50kg/molのピーク分子量(Mp)を有する。
【0029】
実施形態において、ブロックBは、20~200kg/mol又は30~180kg/mol又は40~160kg/mol又は50~140kg/mol又は60~120kg/mol又は>20kg/mol又は<160kg/molのMpを有する。
【0030】
実施形態において、モノマー(a)に由来する重合単位は、HSBCのポリマーブロックBの総重量に対して、10~80重量%又は15~75重量%又は20~70重量%又は25~60重量%又は30~65重量%又は>15重量%又は<75重量%を構成する。
【0031】
実施形態において、モノマー(a)に由来する重合単位は、HSBCの総重量に対して、10~70重量%又は15~65重量%又は20~60重量%又は25~55重量%又は30~50重量%又は>15重量%又は<65重量%を構成する。
【0032】
実施形態において、SBCの水素化後、得られたHSBCは、HSBC1グラムあたり0~1.5meq又は0.01~1.4meq又は0.02~1.3meq、0.05~1.2meq又は0.1~1.1meq又は0.2~1.0meq又は、0.025~0.8meq又は>0meq又は<1.0meqのRUを有する。
【0033】
実施形態において、ブロックBを含むHSBCは、HSBCの総重量に対して、10~50重量%又は15~45重量%又は20~40重量%又は>15重量%又は<60重量%の(a)pMeSに由来する重合単位を有する。
【0034】
実施形態において、ブロックBを含むHSBCは、HSBCの総重量に対して、10~70重量%又は15~65重量%又は20~60重量%又は25~55重量%又は>15重量%又は<65重量%の補正1,4-ジエン単位含有量を有する。実施形態において、ブロックBは、Bブロックの総重量に対して、10~60重量%又は15~55重量%又は20~50重量%又は25~45重量%又は>15重量%又は<55重量%の補正1,4-ジエン単位含有量を有する。
【0035】
実施形態において、HSBCは、モノマー(a)がパラメチルスチレンであり、モノマー(b)がイソプレン、ブタジエン及びそれらの組み合わせからなる群から選択される構造を有する。
【0036】
実施形態において、少なくとも1つのブロックA及び少なくとも1つのブロックBを有するHSBCは、A-B、A-B-A、(A-B)nX、A-B-A-B、(B-A-B)nX、(B-A)nX及び(A-B-A)nXから選択される、(ただし、Xはカップリング剤(CA)残基であり、nは1~30である)1つ以上の構造を含む。
【0037】
実施形態において、HSBCは、ブロックA、ブロックB及びブロックCを含み、ブロックCは、ブタジエン、イソプレン及びそれらの混合物から選択される共役ジエンモノマーを含む。実施形態において、ブロックCは水素化されている。
【0038】
調製プロセス
SBC前駆体は、当該技術分野で公知のプロセスを使用するアニオン重合によって調製することができる。重合開始剤は、一般に有機金属化合物、例えば、エチル-リチウム、プロピル-リチウム、イソプロピル-リチウム、n-ブチル-リチウム、sec-ブチル-リチウム、tert-ブチル-リチウム、フェニル-リチウム、ヘキシルビフェニル-リチウム、ヘキサメチレンジ-リチウム、ブタジエン-リチウム、イソプレニル-リチウム、1,1-ジフェニルヘキシルリチウム又はポリスチリルリチウムなどの有機リチウム化合物である。
【0039】
実施形態において、開始剤は、重合されるモノマーの総mol%に対して、0.002~5mol%又は0.005~4.5mol%又は0.01~4mol%又は0.015~3.8mol%又は0.02~3.5mol%の量で使用される。
【0040】
実施形態において、アニオン重合のための溶媒は、4~12個の炭素原子を有する脂肪族、脂環式又は芳香族炭化水素、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン、イソオクタン、ベンゼン、アルキルベンゼン、例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼン及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0041】
実施形態において、アニオン重合で、ポリマー鎖の停止は、カップリング剤、例えば二官能性又は多官能性化合物、例えば、ジビニルベンゼン、脂肪族又は芳香脂肪族炭化水素のハロゲン化物、例えば、1,2-ジブロモエタン、ビス(クロロメチル)ベンゼン又は四塩化ケイ素、ジアルキル又はジアリールケイ素二塩化物、アルキル又はアリールケイ素三塩化物、四塩化スズ、アルキルケイ素メトキシド、アルキルケイ素エトキシド、多官能性アルデヒド、例えばテレフタル酸ジアルデヒド、ケトン、エステル、無水物又はエポキシドを使用して実施される。実施形態において、カップリング剤は、メチルトリメトキシシラン(MTMS)、テトラメトキシシラン(TMOS)、ジビニルベンゼン(DVB)、アジピン酸ジメチル及びそれらの混合物から選択される。
【0042】
HSBCは、既知の水素化触媒、例えば、ニッケル、コバルト、チタン又はそれらの混合物に基づく触媒を使用してSBC前駆体を水素化することによって得られる。
【0043】
実施形態において、水素化後、>80mol%又は>85mol%又は>88mol%又は>90mol%又は>92mol%又は>95mol%又は>98mol%又は>99mol%の(b)共役ジエンモノマーに由来する重合単位に存在する鎖内二重結合及び側鎖ビニル基が還元される。
【0044】
実施形態において、水素化後、<50重量%又は<40重量%又は<30重量%又は<20重量%又は<10重量%又は<5重量%のアレーン二重結合が還元される。
【0045】
HSBCの官能化
実施形態において、HSBCは、官能基、例えばハロゲンを有するモノマー(a)への置換を有することによって官能化されて、ハロゲン官能化HSBCをもたらす。これは、光(例えば、500ワットのタングステン電球)の存在下でのハロゲン又は化学フリーラジカル開始剤、例えば、参照により本明細書に組み込む米国特許第5,654,379号などの、当該技術分野で既知であるような、例えばアゾビス(イソブチロニトリル)との反応によって達成することができる。ハロゲン化は、スチレン化合物、すなわちモノマー(a)に存在するラジカル反応性部分のベンジル炭素原子で選択的に起こる。例えば、モノマー(a)がpMeSであるHSBCの場合、臭素化によりブロモメチル官能化HSBCが得られる。ハロゲン官能性HSBCは、求核試薬との反応によって多様な官能化HSBCを生成するための貴重な出発物質であり得る。非常に活性で用途の広い求電子試薬であるベンジル臭素の他の官能基の置換は、求核置換反応によって達成し、所望の官能性を導入することができる。
【0046】
HSBCに基づく硬化性組成物
実施形態において、硬化性組成物は、硬化性組成物の総重量に対して、1~99.9重量%のHSBC及び0.1~5重量%の硬化開始剤を含む混合物から調製される。
【0047】
硬化開始剤は、熱開始剤又は光線開始剤のいずれかであり得る。熱開始剤の非限定的な例としては、ジイソブチルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、t-ブチルクミルペルオキシド、α,α-ビス(tert-ブチルペルオキシフィ)ジイソプロピルベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン(DBPH)、1,1-ジ(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4-4-ビス(tert-ブチルペルオキシ)バレレート、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化ジラウロイル、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、過酸化ジアリール、過酸化ケトン、ペルオキシジカーボネート、ペルオキシエステル、ジアルキルペルオキシド、ヒドロペルオキシド、ペルオキシケタールなどの過酸化物及びそれらの混合物が挙げられる。実施形態において、過酸化物は、>100℃及び<200℃の1時間の半減期温度を有する。
【0048】
実施形態において、光線開始剤は、単分子(タイプI)及び二分子(タイプII)の光開始剤から選択することができる。タイプI開始剤の例としては、第三級アミンと組み合わせたベンゾフェノン、アルキルベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、アントロン、ハロゲン化ベンゾフェノン及びそれらの混合物が挙げられる。タイプII開始剤の非限定的な例としては、ベンゾイン、ベンゾイン誘導体、特にベンゾインエーテル、ベンジルケタール、アシルホスフィンオキシド、特に2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、フェニル-グリオキシルエステル、カンファーキノン、アルファ-アミノアルキルフェノン、アルファ,アルファ-ジアルコキシアセトフェノン、アルファ-ヒドロキシアルキルフェノン及びそれらの混合物が挙げられる。
【0049】
実施形態において、硬化性組成物は、1つ以上の共硬化剤、難燃剤及び成分の混合を援助する溶媒をさらに含む。溶媒を後に蒸発させて、硬化用の硬化性組成物を得る。
【0050】
有用な共硬化剤の例としては、1,2-ビス(ビニルフェニル)エチレン、ブタジエン系液体ゴム、ジビニル芳香族化合物、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、NORYL(登録商標)SA-9000などのビニル官能化ポリフェニレンオキシド、ビスマレイミド芳香族樹脂、単官能性若しくは多官能性のアクリレートモノマー又はメタクリレートモノマー、可塑剤、粘着付与樹脂、1つ以上のポリジエンブロックを含むスチレンブロックコポリマーから選択される1つ以上のメンバー及びそれらの組み合わせが挙げられる。共硬化剤の好適な例としては、ジビニルベンゼン、1,2-ビス(ビニルフェニル)エタン、エチレングリコールメタクリレート(EGDMA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオフェニレングリコールジアクリレート及びそれらの混合物が挙げられる。
【0051】
実施形態において、溶媒は、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素又はそれらの組み合わせの群から選択される。脂肪族炭化水素の好適な例としては、C6~C12飽和炭化水素、例えばシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n-ヘキサン、ヘプタン、オクタン及びドデカンが挙げられる。芳香族炭化水素は、トルエン、キシレン、メシチレンなどの、7~10個の炭素原子を有することができる。
【0052】
実施形態において、硬化性組成物は、硬化性組成物の総重量に対して0.5~50重量%又は1~45重量%又は2~40重量%又は5~30重量%又は8~25重量%又は>1重量%又は<45重量%の量で、添加剤、例えば、他の樹脂、可塑剤、酸化還元対、充填剤、繊維、酸化防止剤、難燃剤、発泡剤、界面活性剤、粘度調整剤、湿潤剤、脱気剤、強化剤、接着促進剤、染料、顔料、着色剤、熱安定剤、光安定剤、潤滑剤、流動性改良剤、滴下抑制剤(drip retardant)、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、流動促進剤、加工助剤、基材接着剤、離型剤、低収縮剤、応力除去添加剤、ワックス、滴下防止剤をさらに含む。
【0053】
例示的な充填剤としては、紅柱石、珪線石、藍晶石、ムライト、葉ろう石又はアロファン及び鉱物ケイ酸カルシウム、シリカ、表面処理シリカ、石英粉末などの1つ以上の無機ケイ酸塩;硫酸バリウムなどの金属硫酸塩;酸化亜鉛、二酸化チタン、ゼオライト、白榴石、カリ長石、黒雲母、石膏、硬石膏又は重晶石などの金属酸化物;並びに滑石又はチョーク(CaCO3)などのカルシウム鉱物、金属水酸化物が含まれる。実施形態において、充填剤は、炭酸カルシウム、雲母、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム及びそれらの混合物から選択される。
【0054】
実施形態において、難燃剤は、ハロゲン化化合物、非ハロゲン化化合物、非ハロゲン化膨張性化合物、リン含有化合物、窒素含有化合物、臭素含有化合物及びそれらの混合物から選択される。
【0055】
実施形態において、可塑剤は、パラフィン系油、ナフテン系油、天然油、水素化処理されたナフテン系油、低分子量ポリオレフィン、低分子量スチレン-ブタジエンブロック又はそれらの組み合わせのいずれかである。実施形態において、ゴムは、天然ゴム、合成ゴム及びそれらの混合物から選択することができる。非限定的な例としては、天然ゴム、エチレン-プロピレン-ジエンモノマーゴム(EPDM)、エチレン/アルファ-オレフィンゴム(EPR)、スチレン/ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル/ブタジエンゴム(NBR)、ポリクロロプレンゴム、ポリブタジエンゴム(BR)、合成ポリイソプレンゴム(IR)、イソブチレン-イソプレンゴム(IIR)などが挙げられる。
【0056】
実施形態において、硬化性組成物は他のポリマーを含む。非限定的な例としては、ポリブタジエン、1,2-ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリブタジエン-ポリイソプレンコポリマー、ポリブタジエン-ポリスチレン-ポリジビニルベンゼンターポリマー、ポリ(フェニレンエーテル)(PPE)、硬化性環状オレフィン又はそれらのコポリマー、ポリアクリレート、ポリジシクロペンタジエン、スチレン-イソプレン-スチレンコポリマー、ブタジエン-アクリロニトリルコポリマー、アクリロニトリル-スチレン樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂、ポリエステル、スチレンブロックコポリマー、水素化スチレンブロックコポリマー、ポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルイミド(PEI)、マレイミド樹脂、シアネートエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、硫化ポリフェニレン、ポリアセタール、ポリスルホン、ポリエステルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、フッ素樹脂、他のゴムポリマー及びそれらの混合物が挙げられる。
【0057】
実施形態において、硬化性組成物は、1つ以上の天然又は修飾ロジン、ポリオールを使用して製造されたものを含むロジンエステル、ポリテルペン樹脂、フェノール修飾テルペン樹脂、芳香族樹脂、石油の分解/精製から得られるC5又はC9炭化水素流を使用して製造されたものなどの脂肪族石油樹脂若しくは任意の水素化された形態又は前述の組み合わせから選択される粘着付与樹脂を含む。
【0058】
実施形態において、HSBC、過酸化物開始剤及び1つ以上の共硬化剤を含む硬化性組成物は、溶融相で動的に硬化させることができる。この態様は、熱可塑性加硫物の調製にとって貴重であり得る。動的硬化モードでは、硬化性組成物は溶融状態に維持される。動的硬化は、硬化中に組成物に著しい変形及び応力を課す。高い変形及び応力により、硬化中に形成されたゲルが破壊されるため、分散したマイクロゲルが熱可塑性相にもたらされ、通常は熱可塑性加硫物と呼ばれるものが形成される。
【0059】
実施形態において、硬化性組成物は、硬化性組成物の総重量に対して、(a)5~99重量%のHSBC、(b)0.1~5重量%の少なくとも1つの硬化剤、(c)5~94重量%の1つ以上の共硬化剤及び任意選択的に(d)0.1~20重量%の添加剤を含む。
【0060】
実施形態において、硬化性組成物は、i)5~95phrの少なくとも1つのゴム、ii)5~50phrのHSBC又はHSBCの官能化された形態、iii)50~200phrの充填剤、iv)0.1~20phrの、例えば過酸化物などの硬化剤、v)最大70phrの可塑剤又は樹脂及びvi)最大15phrの劣化防止剤を含み、成分(ii)から(vi)の量は、成分(i)の100部に基づく。
【0061】
実施形態において、HSBCはまた、例えば結晶性ポリプロピレンなどの結晶性ポリオレフィンと1:99~99:1のHSBC対結晶性ポリオレフィンの比率で混合して、さまざまな最終用途のためのブレンドを提供することができる。実施形態において、ブレンドは難燃剤をさらに含む。例としては、10~50重量%のHSBC、1~20重量%の結晶性ポリオレフィン、及び、20~50重量%難燃剤のブレンドである。
【0062】
HSBCに基づく硬化性組成物の調製プロセス
実施形態において、HSBC及び他の成分は、最初に溶媒と混合することができる。混合物を所望の形状に処理し、続いて溶媒を蒸発させる。実施形態において、HSBCを含む硬化性組成物は、ヘンシェルミキサー、Vブレンダー、リボンブレンダーなどの好適な装置を使用して組成物を事前にブレンドすることによって調製される。事前にブレンドされた組成物は、次いで押し出してペレットとすることができる。
【0063】
HSBCに基づく硬化組成物のプロセス
熱可塑性加硫物(TPV)組成物は、例えば、HSBC及びフリーラジカル源を含む溶融熱可塑性加硫物を導入するステップを含むプロセスによって作製することができ、熱可塑性加硫物は、HSBCを有する熱可塑性マトリックス内に分散された硬化ゴムを含む。このプロセスは、例えば、(i)プロセスの第1段階でゴムを動的に加硫して溶融状態の熱可塑性加硫物を形成すること、(ii)第2段階まで、熱可塑性加硫物を溶融状態に維持すること及び(iii)プロセスの第2段階に溶融熱可塑性加硫物及びフリーラジカル源を導入して、変性熱可塑性加硫物を形成することによって、連続生産に適合させることができる。
【0064】
実施形態において、硬化及び/又は架橋は、電子ビーム、例えば、高濃度の電子を生成する一連のカソードを使用して又はハロゲン元素を使用して照射することによって達成することができる。電子ビーム処理は、電子加速器、例えば、静電直流(DC)、電気力学的DC、無線周波数(RF)線形加速器(LINACS)、磁気誘導LINAC及び連続波(CW)機器のいずれかを使用して実行できる。架橋は、好適な温度、例えば、室温で又は周囲温度~60℃で実施することができる。硬化組成物を溶融状態で処理して、成形コンパウンド、溶融フィルム及びホットメルト接着剤を形成することができる。
【0065】
HSBCの特性
実施形態において、HSBCは、トルエン中25重量%の濃度で25℃にて50~2000cP又は70~1800cP又は100~1600cP又は150~1500cP又は200~1200又は300~1100cP又は400~1000cP又は>100cP又は<1000cP又は<2000cP、の溶液粘度を有する。
【0066】
実施形態において、HSBCは、1GHzで1~2.6又は1.2~2.5又は1.4~2.4又は1.6~2.2又は<2.6のDkを有する。
【0067】
実施形態において、HSBCは、10GHzで1~2.6又は1.2~2.5又は1.4~2.4又は1.6~2.2又は<2.6のDkを有する。
【0068】
実施形態において、HSBCは、1GHzで0~0.002又は0.0001~0.0022又は0.0005~0.0024又は0.0008~0.0026又は0.001~0.0028又は<0.002のDfを有する。
【0069】
実施形態において、HSBCは、10GHzで0~0.002又は0.0001~0.0022又は0.0005~0.0024又は0.0008~0.0026又は0.001~0.0028又は<0.002のDfを有する。
【0070】
Dk及びDfの値が低いほど、電子機器などの用途での性能がより良くなることに留意されたい。さらに、1GHz対10GHzでのDk及びDfの測定値にはわずかな相違があるが、用途によってはわずかな相違が非常に重要になる場合がある。
【0071】
実施形態において、HSBCは、-30~80℃又は-20~75℃又は-10~60℃又は0~50℃の動的機械分析計(DMA)10rad/sでのタンジェントデルタピーク最大温度を有する。
【0072】
実施形態において、HSBCは、1D1H-NMR分光法によって測定された、20~80%又は25~75%又は30~70%又は35~65%又は40~60%又は40~75%又は>40%又は<70%の芳香族ブロック性指数を有する。
【0073】
実施形態において、HSBCは、100~300℃又は120~280℃又は140~250℃又は160~220℃又は180~200℃又は>110℃又は<220℃のDMAクロスオーバー温度(T-crossover)を有する。
【0074】
HSBCに基づく組成物の特性
硬化前、HSBCを含む組成物は良好な流動特性を有する。硬化後、硬化組成物は優れた機械的性能を有する。硬化組成物は、改善された耐燃性、優れた耐溶剤性及び高温での機械的性能を有する。このような物理的性質により、硬化組成物はさまざまな用途で高性能であるため、貴重なものとなっている。
【0075】
実施形態において、組成物は、硬化前に、トルエン中25重量%で25℃にて、10~1000cP又は50~1900cP又は100~1800cP又は150~1600cP又は200~1400cP又は250~1200cP又は>100cP又は<1000cP又は<2000cPの溶液粘度を有する。
【0076】
本明細書で、硬化組成物の特性は、180℃で2時間硬化し、次いで圧縮成形した後、100部のHSBC、0.5部の過酸化物(BIPB又はDCP)を有する「ベース」組成物を指す。
【0077】
実施形態において、ベース組成物は、1GHzで0.2~4、若しくは0.4~3.8、若しくは0.6~3.6、若しくは0.8~3.4、若しくは1~3.2、1.2~3、若しくは1.4~2.8、若しくは1.6~2.6、若しくは<3.5、若しくは<2.6のDkを有し、又は10GHzで0.2~4、若しくは0.4~3.8、若しくは0.6~3.6、若しくは0.8~3.4、若しくは1~3.2、1.2~3、若しくは1.4~2.8、若しくは1.6~2.6、<3.5、若しくは<2.6のDkを有する。
【0078】
実施形態において、ベース組成物は、1GHzで<0.002、若しくは<0.0025、若しくは<0.003、若しくは<0.0035、若しくは<0.004、若しくは<0.0045、若しくは<0.005のDfを有し又は10GHzで<0.002、若しくは<0.0025、若しくは<0.003、若しくは<0.0035、若しくは<0.004、若しくは<0.0045、若しくは<0.005のDfを有する。
【0079】
実施形態において、ベース組成物は、200~500℃又は220~450℃又は240~430℃又は250~400℃又は>300℃又は<400℃のDMAクロスオーバー温度(Tcrossover)を有する。
【0080】
実施形態において、ベース組成物は、UL94垂直燃焼試験方法に従って測定されるV0等級の少なくとも1つの難燃剤をさらに含む。
【0081】
実施形態において、硬化組成物(0.5重量%のBIPBを有するHSBC)は、PCGTに基づいて、溶媒を除去した後の、硬化組成物の総重量に対して、>40重量%又は>45重量%又は>50重量%又は>55重量%、>60重量%、>65重量%又は>70重量%又は>80重量%又は>90重量%のゲル含有量を有する。
【0082】
用途
実施形態において、HSBCを含む組成物は、硬化剤を伴う又は伴わずに、従来のプラスチック加工機器を使用して、射出成形又は押し出し成形することができる。実施形態において、HSBCは、接着剤、例えば、溶剤型接着剤及び溶融接着剤、難燃性物品、ホットメルト接着剤、メルトブローフィルム、熱可塑性加硫物、タイヤ、フレキソ版を製造するために使用される。他の用途としては、自動車又は輸送、タイヤ、シーラント、フィルムの減衰層、建物、建設、靴、産業機器、ヘルスケア、医療機器、スポーツ機器、グリップ、人工関節部品及び防弾機器が挙げられる。
【0083】
実施形態において、HSBCを含む組成物は、必要な成分、例えば、HSBC、ジエン系ポリマー、硬化開始剤、難燃剤及び任意の添加剤を組み合わせることによって銅張積層板を作製するために使用される。
【0084】
実施形態において、HSBCを含む硬化組成物は、シーラント物品、例えば、回転シャフト用のシール、ダイアフラムポンプ用の積層ダイアフラムシーラント物品、動的シール、静的シール、Oリング、共押出ホース、化学物質又は燃料を取り扱うためのホース及び発泡物品を作製するために使用される。
【0085】
実施形態において、HSBCに基づく熱可塑性加硫物(TPV)は、望ましい表面外観を有する押出物品、例えば、ウェザーシール、ホース、ベルト、ガスケット、成形物、ブーツ、弾性繊維、ウェザーシールなどの車両部品、カップ、カップリングディスク及びダイアフラムカップなどのブレーキ部品、定速ジョイント及びラック及びピニオンジョイント用のブーツ、管類、シーリングガスケット、油圧式又は空気圧式装置の部品、Oリング、ピストン、弁、弁座、バルブガイド、Vベルト、切頂リブ(truncated ribs)を備えた歯付きベルトを含む伝動ベルト、及び他のエラストマーポリマー系部品又は金属/プラスチックの組み合わせ材料などの他の材料と組み合わされたエラストマーポリマーを製造するのに使用することができる。
【0086】
HSBCに基づく組成物から物品を製造するために、発泡(発泡物品の製造用)、コーティング、射出成形、押出、共押出、ブロー成形、ホットメルトスプレー、他の材料との積層、圧縮成形及び溶液噴霧など、さまざまな技術を使用することができる。
【実施例0087】
以下の試験方法が使用される。
【0088】
ポリマーの分子量は、ASTM5296に従ってポリスチレン較正標準を使用したゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって求められる。
【0089】
プロトンNMR法を使用して、総芳香族含有量ArC、例えば、重量パーセントで表されるpMeS含有量及びHSBC1グラムあたりの残留オレフィン不飽和のmeqで表されるRUを求める。
【0090】
ブルックフィールド粘度は、25℃でASTMD-2196試験方法を使用して測定され、センチポアズ(cP)又はミリパスカル秒(mPa.s)で表される。
【0091】
ポリマー試料の粘弾性挙動は、ASTM4065に従って動的機械分析(DMA)によって、平行プレート配置及び角周波数として10rad/sを使用し、毎分+2℃の温度掃引を課して測定される。ゴムのタンジェントデルタピーク温度(tanDmaxT)は、ガラスからゴムへの転移に対応するタンジェントデルタピークがその最大値になる温度である。最終的なクロスオーバー温度(Tcrossover)は、ゴム状のプラトーゾーンで観察されるより弾性的な挙動から、高温で観察されるより粘性的な挙動への転移に対応する温度である。Tcrossoverは、弾性率及び粘性率が等しい、すなわちタンジェントデルタが1である温度である。
【0092】
温度掃引実験は、-40~300℃で+2℃/分の加熱ランプ及び10rad/sで実施され、貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G”)及び損失係数(tanδ)が温度の関数として得られる。ゴムのタンジェントデルタピーク温度は、本明細書ではゴム相のTgであると見なされる。
【0093】
組成物の硬化は、MDRを使用して達成される。試料は、110℃(又はそれより高い場合はコポリマーの最高Tg)にプリセットされた機械鋳型に導入され、厚さ0.7mmのプレートを形成する。型を真空下で閉じ、その温度で2分間保持する。次に、型温度を上げて180℃に到達させる。試料を真空下、180℃で30分間保持し、硬化を達成させる。MDRの最大トルク値(dN.mで表される)は、180℃での硬化ステップ中に記録され、その硬化期間中に記録された最大トルクに対応する。最大トルク値の90%に達するまでに必要な時間は、「tc90」として記録され、分と秒で表される。
【0094】
硬化試料は、PCGTごとのゲル含有量及び膨潤率について分析される。
【0095】
UL94試験には、厚さ2mmの試料が使用される。
【0096】
HSBCの誘電性能及び硬化組成物は、高周波でIPC-TM-6502.5.5.9法に従って1GHzでの及び/又はIEC61189-2-721-2015法に従って10GHzでの誘電率及び損失正接、平行平板で、23℃及び湿度50%の試料について測定される。
【0097】
引張応力-ひずみ特性は、ASTMD412に従って、ダンベル「C」及び500mm/minのクロスヘッド変位速度を使用して測定される。
【0098】
滞留時間が10秒のショアA硬さは、ASTMD2240に従って3×2mmプレートで測定される。
【0099】
特に指定のない限り、報告されているすべてのメルトフローレート(MFR)は、ASTMD1238に従って、2.16kgの荷重及び230℃で測定されている。
【0100】
実施例で使用されている成分は次のとおりである。
【0101】
DCP:ジクミルペルオキシド、
BIPB:ジ(2-Tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、
TAC:トリアリルシアヌレート、
TAIC:トリアリルイソシアヌレート、
NORYL SA9000樹脂は、SABICから入手可能なビニル末端基を持つ低分子量変性ポリフェニレンエーテルオリゴマーである。
【0102】
NISSO-PB(B-3000):日本曹達から入手可能な1,2-ポリブタジエンホモポリマー、
ダイキン工業から入手可能な、ポリフロン MPA FA-5601(難燃性添加剤)、
アデカから入手可能なFP-2500S(窒素-リン系難燃剤)。
【0103】
試料は、2つの方法で調製された。i)第1の方法では、HSBC又はHSBCから製造された熱可塑性エラストマー組成物を180℃で高圧下、2mmプレートに圧縮する。ii)第2の方法では、硬化性組成物の層は、硬化性組成物を溶媒中で調製し、トレーに注ぎ、続いて60℃で4時間真空乾燥することによって得られた。試料は、HSBCTgを超える高温でさらに乾燥させることができるが、早期硬化に至る条件に達することはない。
【0104】
実施例1-ポリマー1の調製
ステンレス鋼反応器に、精製及び乾燥シクロヘキサン6リットル、sec-BuLi0.45M62ml及び乾燥pMeS241.5gを65℃で加えた。反応を21分間進行させ、試料を採取した(1番目)。次に、1,3-ブタジエン68.7g及び1,2-ジエトキシプロパン5.8mlを加え、反応を15分間進行させた。少量の試料を採取し(2番目)、1,3ブタジエン488.5g及びpMeS197.4gをそれぞれ88分及び11分で添加し、反応を11分間進行させた。少量の試料を採取し(3番目)、1,3-ブタジエン6.7gを加えた。メチルトリメトキシシラン(MTMS)1.6mlを2~12分間隔で加え、温度を70℃に上げた。反応を40分間進行させた後、0.8mlの2-エチルヘキサノールで反応を停止させた(4番目)。
【0105】
1番目、2番目、3番目及び4番目の試料のピーク分子量(Mp)は、それぞれ8.9、14.6、57.5、118.4kg/molであり、それぞれ完全な重合段階に対応している。
【0106】
試料を採取し、ポリマー溶液を水素化反応器に移し、ポリ1,3-ブタジエンブロックを、均一系コバルト触媒を用いて40barg及び75℃で5時間、99mol%の変換レベルまで水素化した。溶液を洗浄して触媒を除去し、酸化防止剤で安定化させた。ポリマーは、蒸気凝固によって溶液から回収され、その後、生成物を粉砕し、50~80℃で乾燥させた。
【0107】
実施例2~5(ポリマー2、ポリマー3、ポリマー4及びポリマー5)は、実施例1の手順に基づくが、異なる量の成分を使用して生成した。精製及び乾燥したシクロヘキサン600~900kgを、sec-BuLiの10~15重量%溶液2~3kgとともに反応器に投入した。乾燥pMeS30~50kgを40~50℃の温度範囲で反応器に加えた。反応を50~60分間進行させ、試料を採取した。次に、1,3-ブタジエン10~30kg及び1,2-ジエトキシプロパン900~1100mlを加え、反応を5~9分間進行させた。これに続いて、60~120分で1,3-ブタジエン75~125kgを加え、12~18分でpMeS25~45kgを加えた。反応を12~18分間進行させた。少量の試料を採取し、1,3-ブタジエン1.2~3kgを加えた。ポリマー2、ポリマー3及びポリマー4の場合、これに続いて、60~70℃の温度でMTMS80~270kgを加えた。ポリマー5の場合、テトラメトキシシラン(TMOS)200~250kgを60~70℃の温度で加えた。いずれの場合も、反応を30~90分間進行させ、その後、メタノール8~11mlを加えることにより反応を停止させた。これらのポリマーは、実施例1と同じ手順を使用して水素化された。水素化ステップで得られた生成物のRUレベルを表2に報告する。
【0108】
分子量データを表2及び表3に示す。ポリマー1、ポリマー3及びポリマー4は、重合ジエン単位で高レベルの水素化を示し、0.3meq/g未満のRUレベルをもたらす。この高レベルの水素化は、特に熱酸化及びUV耐候性に関して、屋外条件下での用途で良好な耐性をもたらす。
【0109】
実施例6は、23kg/molのMpを有する直鎖ポリ(パラメチルスチレン)である。実施例7は、末端にポリ(パラメチルスチレン)剛性ブロック及び水素化ポリブタジエン中央ゴム状ブロックを有する水素化ブロックコポリマーである。実施例8は、末端にポリスチレン剛性ブロック及び水素化ポリ(ブタジエン-co-スチレン)ゴム状中央ブロックを有する水素化ブロックコポリマーである。実施例6、7及び8は、すべて「ブロックB」を持たない。
【0110】
表4において実施例2~5は、HSBCが溶融物と溶液の両方で低粘度であることを示す。実施例5は、非常に低い溶液粘度を示す。実施例7は、比較的低いMpを有するにもかかわらず、溶融物及び溶液の両方において著しく高い粘度を有し、このポリマーをさまざまな用途に対して満足度の低いものにする。
【0111】
調製したポリマーの機械的特性を表5にまとめる。実施例3及び4は、20MPa以上の高い引張強さ及び-30℃を超えるDMAゴム転移温度を示す。実施例7は、-30℃未満の低いDMATgを示しており、銅張積層板などの用途ではあまり望ましくない。
【0112】
表6において、使用されているホモポリプロピレン(PP)は、ASTMD1238に従って、2.16kgの荷重及び230℃で12g/10minのメルトフローレート(MFR)を有する。実施例9は、UL-94V-0等級の望ましい耐燃性を示す。ブロックBを有しないポリマー8に基づく実施例10は、より長い燃焼時間t1及びt2で、UL-94V-2等級のみの耐燃性を示す。
【0113】
表7は、使用した硬化剤、硬化中に測定されたMDR特性及び硬化後のHSBCの耐溶剤性を示しており、ゲル%及び膨潤率はPCGTによって計算される。すべてのポリマーは、空気の非存在下で、MDR機器内において180℃で30分間過酸化物の存在下で硬化された。実施例13~15は、0.5重量%又は1重量%などの非常に低い過酸化物含有量においてさえ、高ゲル含有量を伴う高硬化効率を示す。実施例16は、より高い過酸化物含有量で硬化した後、低膨潤に到達できることをさらに示す。実施例17、19及び20は、適切に硬化せず、非常に低いゲル含有量をもたらし、硬化後の望ましくない弱耐溶剤性を示す。実施例14は、10GHzで測定された2.31のDk及び0.0006のDfを示す。
【0114】
表8において、硬化組成物の実施例12及び15は、100℃より高く250℃までの優れた弾性率保持を示す。ただし、実施例20は、150℃超で弾性率の著しい低下を示す。200℃で到達した弾性率は、未硬化の対応するHSBCポリマー8で得られた弾性率に近い。すべての実施例は、400℃に近いTGA10%損失温度で良好な熱劣化挙動を示す。
【0115】
表9は、MDR硬化中に発生する著しい最大トルクによって示されるように、効率的に硬化できる組成物の例を示す。共硬化剤の使用は、共硬化剤を含む硬化試料の膨潤率における著しい変化によって示されるように、トルエン中の硬化試料の膨潤を低減することを可能にする。硬化組成物の実施例23、27、29及び30は、溶液中で非常に低い膨潤を示した。データはまた、共硬化剤を使用することにより、より高いゲル含有量を増大させることができることを示す。実施例22、23、28及び29の硬化組成物は、10GHzで測定して、それぞれ2.39、2.38、2.32及び2.4のDk及びそれぞれ0.0007、0.0013、0.0008及び0.0019のDfを示す。
【0116】
図1は、ポリマー4及び1%DCPで硬化してポリマー4から作製した実施例15の組成物のDMAを表す。どちらの実施例も、100℃未満の温度で近い性能を示す。両方の試料の挙動は、100℃超では非常に異なる。100℃を超えると、ポリマー4の弾性率G’は、100℃~200℃の温度で20超大幅に減少する。これは、温度の上昇に伴って凝集力が急速に失われることを示す。100℃を超えると、ポリマー4のタンジェントデルタは急速に増加し、130℃より高い温度で1を超える値に達する。これは、ポリマー4の試料が130℃を超えると弾性よりも粘性になり、粘性のある溶融ポリマーに変わることを示す。他方、ポリマー4を含む硬化組成物(実施例15)は、250℃まで約50~100kPaで安定化している弾性率G’を示す。100℃を超えると、硬化組成物は1未満のタンジェントデルタを維持し、優勢な弾性挙動を示す。
【0117】
表10は、HSBC(ポリマー4及び5)の特性及び0.5%BIPBを使用してそこから得られたHSBCの硬化組成物(実施例14)を示す。誘電測定は、試料について23℃及び湿度50%で、1GHzと10GHzで行われた。
【0118】
ポリマー4に基づく硬化組成物の誘電特性を表11に示す。誘電特性は10GHzで測定された。より低いDk及びDf値がポリマー4の量がより多い硬化組成物を含む実施例34で観察された。
【0119】
【0120】
本明細書では、「含む」という用語は、この用語の後に識別される要素又はステップを含むことを意味するが、このような要素又はステップは網羅的ではなく、実施形態は他の要素又はステップを含むことができる。本明細書では、「含む(comprising)」及び「含む(including)」という用語を使用してさまざまな態様を説明しているが、「含む(comprising)」及び「含む(including)」の代わりに「本質的に~からなる」及び「からなる」という用語を使用して、開示のより具体的な態様を提供することができ、またそれらが開示される。
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