(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022033370
(43)【公開日】2022-03-01
(54)【発明の名称】通信装置及び通信制御方法
(51)【国際特許分類】
H04W 24/02 20090101AFI20220221BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20220221BHJP
H04W 84/22 20090101ALI20220221BHJP
H04W 84/20 20090101ALI20220221BHJP
H04W 28/08 20090101ALI20220221BHJP
【FI】
H04W24/02
H04W84/12
H04W84/22
H04W84/20
H04W28/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2018244222
(22)【出願日】2018-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082131
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 茂
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA13
5K067AA28
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE10
(57)【要約】
【課題】通信ネットワークの柔軟性を向上させる。
【解決手段】通信装置は、階層構造を有する通信ネットワークの状況をモニタするモニタ部と、前記通信ネットワークの状況に基づいて、前記階層構造における役割を設定する役割設定部と、変更された前記役割の動作の実行を制御する動作制御部とを備える。本技術は、例えば、通信ネットワークにおいて無線通信を行う通信装置に適用できる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
階層構造を有する通信ネットワークの状況をモニタするモニタ部と、
前記通信ネットワークの状況に基づいて、前記階層構造における役割を設定する役割設定部と、
変更された前記役割の動作の実行を制御する動作制御部と
を備える通信装置。
【請求項2】
前記役割設定部は、通信端末、前記通信ネットワークの外部の通信ネットワークである外部ネットワークに接続されるコントローラ、及び、コントローラと通信端末との間の中継を行うアクセスポイントの中から前記役割を設定する
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記役割設定部は、前記役割が通信端末である場合、前記通信装置の上位のアクセスポイントの負荷に基づいて、前記役割をアクセスポイントに変更する
請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記役割設定部は、前記役割が通信端末又はアクセスポイントである場合、前記通信装置の上位のコントローラの負荷に基づいて、前記役割をコントローラに変更する
請求項2に記載の通信装置。
【請求項5】
前記動作制御部は、前記通信端末が前記外部ネットワークに接続可能である場合、前記役割をコントローラに変更する
請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記動作制御部は、前記役割がコントローラに変更された場合、前記上位のコントローラの下位のアクセスポイントのうちの少なくとも一部を前記通信装置に接続させる
請求項4に記載の通信装置。
【請求項7】
前記役割設定部は、前記役割がアクセスポイントである場合、前記通信装置の負荷に基づいて、前記役割を通信端末に変更する
請求項2に記載の通信装置。
【請求項8】
前記役割設定部は、所定の時間以上データの伝送がない場合、
前記役割を通信端末に変更する
請求項7に記載の通信装置。
【請求項9】
前記役割設定部は、前記通信装置の周囲に負荷の低いアクセスポイントがある場合、前記役割を通信端末に変更し、
前記動作制御部は、前記通信装置を前記負荷の低いアクセスポイントに接続させる
請求項7に記載の通信装置。
【請求項10】
前記役割設定部は、前記役割がコントローラである場合、前記外部ネットワークとのアクセス状況に基づいて、前記役割をアクセスポイント又は通信端末に変更する
請求項2に記載の通信装置。
【請求項11】
前記役割設定部は、所定の時間以上前記外部ネットワークへのアクセスがない場合、前記役割を通信端末に変更する
請求項10に記載の通信装置。
【請求項12】
前記役割設定部は、前記通信装置の周囲に負荷の低いコントローラがある場合、前記役割をアクセスポイントに変更し、
前記動作制御部は、前記通信装置を前記負荷の低いコントローラに接続させる
請求項10に記載の通信装置。
【請求項13】
前記役割設定部は、前記通信装置の周囲に負荷の低いコントローラ及び負荷の低いアクセスポイントがある場合、前記役割を通信端末に変更し、
前記動作制御部は、前記通信装置を前記負荷の低いアクセスポイントに接続させる
請求項10に記載の通信装置。
【請求項14】
前記役割設定部は、前記役割が通信端末又はアクセスポイントである場合、前記外部ネットワークへのアクセス不良が発生したとき、前記役割をコントローラに変更する
請求項2に記載の通信装置。
【請求項15】
前記役割設定部は、前記通信ネットワークの負荷の増加に伴い、前記役割を現在より上の階層の役割に変更する
請求項1に記載の通信装置。
【請求項16】
前記役割設定部は、前記通信ネットワークの負荷の減少に伴い、前記役割を現在より下の階層の役割に変更する
請求項1に記載の通信装置。
【請求項17】
前記役割設定部は、さらにユーザ操作により、前記役割を変更する
請求項1に記載の通信装置。
【請求項18】
前記モニタ部は、前記通信ネットワークを構成する各装置の負荷、及び、前記装置間の通信状況のうち少なくとも1つをモニタする
請求項1に記載の通信装置。
【請求項19】
前記モニタ部は、前記通信ネットワークから外部の通信ネットワークへのアクセス状況をモニタする
請求項1に記載の通信装置。
【請求項20】
通信装置が、
階層構造を有する通信ネットワークの状況をモニタし、
前記通信ネットワークの状況に基づいて、前記階層構造における役割を設定し、
変更された前記役割の動作の実行を制御する
通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、通信装置及び通信制御方法に関し、特に、通信ネットワークの柔軟性を向上させるようにした通信装置及び通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、メッシュネットワークにおいて、ゲートウエイが、各アクセスポイント及びステーションからリンクレート及びチャネル状態等の情報を収集し、最適なステーション-アクセスポイントのアソシエーション、バックホール・ルーティング、及び、帯域割当てを決定することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、従来、アクセスポイント資格情報を参照することにより、アクセスポイントの役割とステーションの役割を切替えることが可能なネットワークデバイスが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2011-514117号公報
【特許文献2】特表2016-506132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、アクセスポイントとステーションの役割を切替えることは検討されていない。また、特許文献2に記載の発明では、ネットワークの運用中に、アクセスポイントとステーションの役割を切替えることはできない。
【0006】
本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、通信ネットワークの柔軟性を向上させるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術の一側面の通信装置は、階層構造を有する通信ネットワークの状況をモニタするモニタ部と、前記通信ネットワークの状況に基づいて、前記階層構造における役割を設定する役割設定部と、変更された前記役割の動作の実行を制御する動作制御部とを備える。
【0008】
本技術の一側面の通信制御方法は、通信装置が、階層構造を有する通信ネットワークの状況をモニタし、前記通信ネットワークの状況に基づいて、前記階層構造における役割を設定し、変更された前記役割の動作の実行を制御する。
【0009】
本技術の一側面においては、階層構造を有する通信ネットワークの状況がモニタされ、前記通信ネットワークの状況に基づいて、前記階層構造における役割が設定され、変更された前記役割の動作の実行が制御される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本技術を適用した通信ネットワークの構成例を示す図である。
【
図2】本技術を適用した通信装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】無線通信モジュールの構成例を示すブロック図である。
【
図4】通信制御処理を説明するためのフローチャートである。
【
図5】Network Structure Announcement Frameの構成例を示す図である。
【
図6】通信端末役割制御処理を説明するためのフローチャートである。
【
図7】Network Structure Independent Request Frameの構成例を示す図である。
【
図8】Network Structure Connection Request Frameの構成例を示す図である。
【
図9】アクセスポイント役割制御処理を説明するためのフローチャートである。
【
図10】Network Structure Connection Release Frameの構成例を示す図である。
【
図11】コントローラ役割制御処理を説明するためのフローチャートである。
【
図12】Network Structure Independent Release Frameの構成例を示す図である。
【
図13】ユーザ設定役割制御処理を説明するためのフローチャートである。
【
図18】通信ネットワークの動作シーケンスを示す図である。
【
図19】通信ネットワークの構成例を示す図である。
【
図20】通信ネットワークの構成例を示す図である。
【
図21】通信ネットワークの動作シーケンスを示す図である。
【
図22】通信ネットワークの構成例を示す図である。
【
図23】通信ネットワークの動作シーケンスを示す図である。
【
図24】通信ネットワークの構成例を示す図である。
【
図25】通信ネットワークの動作シーケンスを示す図である。
【
図26】通信ネットワークの構成例を示す図である。
【
図27】通信ネットワークの動作シーケンスを示す図である。
【
図28】通信ネットワークの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本技術を実施するための形態について説明する。説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.変形例
3.その他
【0012】
<<1.実施の形態>>
<通信ネットワーク1の構成例>
図1は、本技術を適用した通信ネットワーク1の構成例を示している。
【0013】
通信ネットワーク1は、階層構造を有する通信ネットワークである。通信ネットワーク1は、コントローラCNTL1、アクセスポイントAP1及びアクセスポイントAP2、並びに、通信端末STA1乃至通信端末STA3を備える。通信ネットワーク1は、コントローラCNTL1を含む層、アクセスポイントAP1及びアクセスポイントAP2を含む層、並びに、通信端末STA1乃至通信端末STA3を含む層の3層に分かれる。
【0014】
コントローラCNTL1は、例えば、アクセスコントローラやインターネットゲートウエイとして機能する。コントローラCNTL1は、バックホール等を介して、例えばインターネット等により構成される外部の通信ネットワークである外部ネットワーク2に接続され、外部ネットワーク2と通信を行う。なお、コントローラCNTL1と外部ネットワーク2との間の通信は、有線又は無線のいずれであってもよい。
【0015】
アクセスポイントAP1及びアクセスポイントAP2は、コントローラCNTL1と通信端末STA1乃至通信端末STA3との間の中継を行う。アクセスポイントAP1又はアクセスポイントAP2とコントローラCNTL1との間の通信は、有線又は無線のいずれであってもよい。ただし、後述するように、本技術を適用したアクセスポイントは、無線通信を行う。
【0016】
従って、通信端末STA1乃至通信端末STA3は、それぞれ、アクセスポイントAP1又はアクセスポイントAP2、及び、コントローラCNTL1を介して、外部ネットワーク2に接続される。なお、この例では、通信端末STA1及び通信端末STA3が、アクセスポイントAP1及びコントローラCNTL1を介して外部ネットワーク2に接続され、通信端末STA3が、アクセスポイントAP2及びコントローラCNTL1を介して外部ネットワーク2に接続されている例が示されている。
【0017】
なお、
図1のコントローラ、アクセスポイント、及び、通信端末の数は、その一例であり、自由に変更することが可能である。
【0018】
また、以下、コントローラ、アクセスポイント、及び、通信端末により構成される通信ネットワーク(例えば、通信ネットワーク1)と、コントローラが接続される外部の通信ネットワーク(例えば、外部ネットワーク2)とを区別する場合、前者を内部ネットワークと称し、後者を外部ネットワークと称する。
<通信装置11の構成例>
図2は、本技術を適用した通信装置(無線通信装置)11の構成例を示している。
【0019】
通信装置11は、例えば、
図1の通信ネットワーク1において、コントローラ、アクセスポイント、及び、通信端末のいずれの役割も行うことも可能であり、途中で役割を変えることもできる。
【0020】
通信装置11は、外部ネットワーク接続モジュール21、情報入力モジュール22、動作制御部23、情報出力モジュール24、及び、無線通信モジュール25を備える。
【0021】
外部ネットワーク接続モジュール21は、例えば、光ファイバ網やその他の通信回線から、サービスプロバイダを介して外部ネットワークに接続するための機能を有する回路、その周辺回路、マイクロコントローラ、半導体メモリ等を備える。外部ネットワーク接続モジュール21は、動作制御部23の制御の下に、外部ネットワークへの接続に関する処理を行う。例えば、外部ネットワーク接続モジュール21は、通信装置11がコントローラとして動作する場合に、外部ネットワークに接続するための通信モデム等の機能を実現する。
【0022】
情報入力モジュール22は、例えば、押しボタン、キーボード、タッチパネル等の入力デバイスを備える。情報入力モジュール22は、ユーザの指示等に対応する入力データを、動作制御部23に供給する。
【0023】
動作制御部23は、例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ等を備える。動作制御部23は、通信装置11を、コントローラ、アクセスポイント、又は、通信端末として動作させるために、各部(モジュール)の制御を行う。また、動作制御部23は、外部ネットワーク接続モジュール21、情報入力モジュール22、又は、無線通信モジュール25から供給されるデータに対する処理を行う。さらに、動作制御部23は、供給されたデータや処理の結果得られたデータを、外部ネットワーク接続モジュール21、情報出力モジュール24、又は、無線通信モジュール25に供給する。
【0024】
情報出力モジュール24は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(OLED:Organic Light Emitting Diode)、LED(Light Emitting Diode)等の表示素子を含む出力デバイスを備える。情報出力モジュール24は、動作制御部23から供給される情報に基づき、ユーザに対して必要な情報を表示する機能を備える。ここで、情報出力モジュール24で処理される情報には、例えば、通信装置11の動作状態や外部ネットワークから得られる情報などが含まれる。
【0025】
無線通信モジュール25は、例えば、無線チップ、周辺回路、マイクロコントローラ、半導体メモリ等を備える。無線通信モジュール25は、動作制御部23の制御の下に、無線通信に関する処理を行う。無線通信モジュール25の構成の詳細は、
図3を参照して後述する。
【0026】
なお、ここでは、無線通信チップや周辺回路等が搭載された無線通信モジュールを一例に説明するが、本技術は、無線通信モジュールに限らず、例えば、無線通信チップや無線通信LSI等にも適用することができる。さらに、無線通信モジュールにおいて、アンテナを含めるかどうかは任意である。
【0027】
<無線通信モジュール25の構成例)
図3は、
図2の無線通信モジュール25の構成例を示している。
【0028】
無線通信モジュール25は、インタフェース部101、送信バッファ102、送信フレーム構築部103、ネットワーク管理部104、モニタ部105、役割設定部106、動作制御部107、制御情報生成部108、送信電力制御部109、無線送信処理部110、アンテナ制御部111、アンテナ素子112a、アンテナ素子112b、検出閾値制御部113、無線受信処理部114、制御情報処理部115、受信データ構築部116、及び、受信バッファ117を備える。
【0029】
インタフェース部101は、例えば入出力インタフェース回路等を備える。インタフェース部101は、動作制御部23(
図2)との間でデータの授受を行うインタフェースであって、入力されるデータや出力するデータを所定の信号形式で交換する機能を備える。例えば、インタフェース部101は、動作制御部23から供給される送信データを送信バッファ102に記憶させる。また、インタフェース部101は、動作制御部23から供給されるデータを、必要に応じて、ネットワーク管理部104、モニタ部105、及び、役割設定部106に供給する。さらに、インタフェース部101は、ネットワーク管理部104及び役割設定部106から供給されるデータ、並びに、受信バッファ117に格納されているデータを、必要に応じて動作制御部23に供給する。
【0030】
送信バッファ102は、例えばバッファメモリ等の半導体メモリ装置から構成される。送信バッファ102は、インタフェース部101から供給される送信データを一時的に記憶する。
【0031】
送信フレーム構築部103は、送信バッファ102に格納された送信データを読み出して、無線通信により伝送するためのデータフレームを構築し、制御情報生成部108に供給する。
【0032】
ネットワーク管理部104は、インタフェース部101を介して動作制御部23から供給されるデータ、制御情報処理部115から供給される制御情報、及び、受信バッファ117に記憶されている受信データに基づいて、ネットワーク情報の管理を行う。ネットワーク情報は、例えば、通信装置11が属する内部ネットワーク(以下、自己ネットワークと称する)、通信装置11の周辺の他の内部ネットワーク(以下、周辺ネットワークと称する)、並びに、内部ネットワークが接続される外部ネットワークに関する情報を含む。ネットワーク管理部104は、モニタ部105、役割設定部106、動作制御部107、制御情報生成部108、及び、制御情報処理部115にネットワーク情報を供給する。また、ネットワーク管理部104は、インタフェース部101を介して動作制御部23にネットワーク情報を供給する。
【0033】
モニタ部105は、インタフェース部101を介して動作制御部23から供給されるデータ、ネットワーク管理部104から供給されるネットワーク情報、制御情報処理部115から供給される制御情報、及び、受信バッファ117に記憶されている受信データに基づいて、ネットワーク(内部ネットワーク(自己ネットワーク及び周辺ネットワーク)、並びに、外部ネットワーク)の状況をモニタする(監視する)。モニタ部105は、ネットワークの状況に関する情報を役割設定部106に供給する。
【0034】
役割設定部106は、ネットワークの状況、並びに、動作制御部23及びインタフェース部101を介して情報入力モジュール22から供給されるユーザの指示に対応する入力データに基づいて、通信装置11の内部ネットワークの階層構造における役割を設定する。すなわち、役割設定部106は、コントローラ、アクセスポイント、及び、通信端末のうちいずれの動作を行うかを選択する。役割設定部106は、設定した役割の実行を動作制御部107、及び、(インタフェース部101を介して)動作制御部23に指示したり、設定した役割をネットワーク管理部104に通知したりする。
【0035】
動作制御部107は、役割設定部106により設定された役割を通信装置11が行うように無線通信モジュール25の制御を行う。例えば、動作制御部107は、各種の制御情報の生成及び送信を制御情報生成部108に指示する。また、動作制御部107は、送信信号の電力の変更を送信電力制御部109に指示したり、受信信号の検出閾値の変更を検出閾値制御部113に指示したりする。さらに、動作制御部107は、役割設定部106により設定された役割への変更の可否を役割設定部106に通知する。
【0036】
制御情報生成部108は、動作制御部107の指示、及び、ネットワーク情報等に基づいて、ヘッダ情報や各種のパラメータ等をデータフレームに付加し、無線送信処理部110に供給する。また、制御情報生成部108は、動作制御部107の指示、及び、ネットワーク情報等に基づいて、制御フレームを生成し、無線送信処理部110に供給する。制御フレームは、他の通信装置との間の通信制御に用いられるフレームである。例えば、制御フレームには、アソシエーション処理に係るフレーム、CTSフレーム、ACKフレーム、RTSフレーム、BARフレーム等がある。また、制御フレームには、後述する
図5、
図7、
図8、
図10、及び、
図12等のフレームがある。
【0037】
送信電力制御部109は、動作制御部107の指示の下に無線送信処理部110を制御し、送信信号の送信電力を制御する。例えば、送信電力制御部109は、各フレームの送信時に不要な電波到達範囲にまで信号が届かないように、送信電力を制御する。また、送信電力制御部109は、設定した送信電力を検出閾値制御部113に通知する。
【0038】
無線送信処理部110は、無線通信による送信信号の送信処理を行う。例えば、無線送信処理部110は、無線通信により送信するフレームをベースバンド信号に変換してアナログ信号として処理し、その結果得られる送信信号を、アンテナ制御部111に供給する。
【0039】
アンテナ制御部111には、アンテナ素子112a及びアンテナ素子112bが接続されている。アンテナ制御部111は、例えば、無線送信処理部110から供給される送信信号を、空間多重ストリームとしてアンテナ素子112a及びアンテナ素子112bを介して送信する制御を行う。また、アンテナ制御部111は、無線通信により空間多重ストリームとして送信されてくる受信信号を、アンテナ素子112a及びアンテナ素子112bを介して受信し、無線受信処理部114に供給する。
【0040】
検出閾値制御部113は、動作制御部107の指示の下に、受信信号を検出するための検出閾値を設定する。例えば、検出閾値制御部113は、送信電力制御部109による送信電力制御に対応して、送信信号の送信範囲内にあるコントローラ、アクセスポイント、及び、通知端末からの受信信号の検出が可能な検出閾値を無線受信処理部114に対して設定する。
【0041】
無線受信処理部114は、無線通信による受信信号の受信処理を行う。例えば、無線受信処理部114は、検出閾値制御部113の制御の下に、アンテナ制御部111から供給される受信信号から、所定のプリアンブル信号を検出した場合に、それ以降のデータフレームや制御フレームを受信する処理を行う。無線受信処理部114は、受信したデータフレーム及び制御フレームを制御情報処理部115に供給する。
【0042】
制御情報処理部115は、受信したフレーム(データフレーム及び制御フレーム)のヘッダ情報等を解析することにより、自分(通信装置11)宛のフレームであるか否かを判定する。制御情報処理部115は、自分宛のフレームである場合、通信制御に必要な制御情報をフレームから抽出し、ネットワーク管理部104、モニタ部105、及び、動作制御部107に供給する。また、制御情報処理部115は、自分宛のデータフレームを受信データ構築部116に供給する。
【0043】
受信データ構築部116は、受信したデータフレームのデータ部分を抽出し、受信バッファ117に記憶させる。また、受信データ構築部116は、複数のデータフレームに分かれて送信されてきた受信データを連結することにより、受信データを復元し、受信バッファ117に記憶させる。
【0044】
受信バッファ117は、例えばバッファメモリ等の半導体メモリ装置から構成される。受信バッファ117は、受信データ構築部116により供給される受信データを一時的に記憶する。
【0045】
なお、
図3において、無線通信モジュール25を構成する各部は、例えば、点線の枠で示すように、入出力部151と、制御部152、及び、フロントエンド部153の3つに分けることができる。
【0046】
入出力部151は、入力される送信データや出力される受信データに関する処理や制御を行う。入出力部151は、インタフェース部101、送信バッファ102、送信フレーム構築部103、受信データ構築部116、及び、受信バッファ117を含む。
【0047】
制御部152は、無線通信モジュール25の制御や、制御フレーム及びデータフレームに関する処理や制御を行う。制御部152は、ネットワーク管理部104、モニタ部105、役割設定部106、動作制御部107、制御情報生成部108、及び、制御情報処理部115を含む。
【0048】
フロントエンド部153は、送信信号や受信信号等の信号に関する処理や制御を行う。フロントエンド部153は、送信電力制御部109、無線送信処理部110、アンテナ制御部111、検出閾値制御部113、及び、無線受信処理部114を含む。
【0049】
<通信制御処理>
次に、
図4のフローチャートを参照して、通信装置11により実行される通信制御処理について説明する。
【0050】
この処理は、例えば、通信装置11の電源がオンされたとき開始され、通信装置11の電源がオフされたとき終了する。
【0051】
ステップS1において、通信装置11は、通信端末の動作を開始する。具体的には、役割設定部106は、通信装置11の役割を通信端末に設定する。役割設定部106は、通信端末の動作の実行を動作制御部107に指示したり、インタフェース部101を介して動作制御部23に指示したりする。また、役割設定部106は、通信端末に設定したことをネットワーク管理部104に通知する。
【0052】
その後、詳細な説明は省略するが、通信装置11は、動作制御部107等の制御の下に、通信可能なアクセスポイントを探索し、所定の通信プロトコルに従って、検出したアクセスポイントに接続する。
【0053】
ステップS2において、通信装置11は、通信状況のモニタを開始する。具体的には、ネットワーク管理部104は、周囲のコントローラ、アクセスポイント、及び、通信端末から送信される各種の情報、並びに、動作制御部23及びインタフェース部101を介して外部ネットワーク接続モジュール21から供給される各種の情報に基づいて、ネットワーク情報の管理を開始し、モニタ部105、役割設定部106、制御情報生成部108、及び、制御情報処理部115にネットワーク情報を適宜供給する。また、ネットワーク管理部104は、インタフェース部101を介して動作制御部23にネットワーク情報を適宜供給する。
【0054】
なお、ネットワーク情報は、例えば、内部ネットワークの情報、並びに、外部ネットワークの情報を含む。内部ネットワークの情報は、例えば、自己ネットワーク及び周辺ネットワークの構成、並びに、自己ネットワーク及び内部ネットワークを構成する装置(コントローラ、アクセスポイント、及び、通信端末)のアドレス情報等を含む。
【0055】
また、モニタ部105は、周囲のコントローラ、アクセスポイント、及び、通信端末から送信される各種の情報、並びに、動作制御部23及びインタフェース部101を介して外部ネットワーク接続モジュール21から供給される各種の情報に基づいて、ネットワークの状況のモニタを開始する。
【0056】
例えば、モニタ部105は、内部ネットワーク(自己ネットワーク及び周辺ネットワーク)の状況のモニタを開始する。例えば、モニタ部105は、内部ネットワークを構成する各装置の負荷、及び、各装置間の通信状況のモニタを開始する。各装置の負荷としては、例えば、各装置の伝送量、スループット、内部ネットワークにおける占有時間、及び、待ち時間等が想定される。また、例えば、モニタ部105は、内部ネットワークの各装置間の通信状況のモニタを開始する。各装置間の通信状況としては、例えば、各装置間の接続の有無及び接続不良の有無、帯域幅、伝送速度、伝送量、並びに、スループット等が想定される。
【0057】
また、モニタ部105は、内部ネットワークから外部ネットワークへのアクセス状況のモニタを開始する。例えば、モニタ部105は、内部ネットワークと外部ネットワークとの間の接続の有無、アクセス不良の有無、帯域幅、伝送速度、伝送量、及び、遅延時間等のモニタを開始する。
【0058】
モニタ部105は、ネットワークの状況に関する情報を役割設定部106に適宜供給する。
【0059】
図5は、ネットワークの状況のモニタに用いられるNetwork Structure Announcement Frameの構成例を示している。Network Structure Announcement Frameは、コントローラが属する自己ネットワークの構成を通知するための制御フレームであり、コントローラから定期的にブロードキャストされる。従って、通信装置11が、コントローラとして動作する場合、通信装置11から定期的にブロードキャストされる。
【0060】
Network Structure Announcement Frameは、Header、Controller Parameter Info Element、AP Counts、Network Map、及び、FCSを含む。
【0061】
Headerは、Frame Control、Duration、Transmit Address、及び、Receive Addressを含む。
【0062】
Frame Controlは、フレームの形式を示す。
【0063】
Durationは、フレームの持続時間を示す。
【0064】
Transmit Addressは、フレームの送信側(送信元)のアドレス(例えば、MACアドレス)を示す。このフレームでは、フレームの送信元のコントローラのアドレスが設定される。
【0065】
Receive Addressは、フレームの受信側(送信先)のアドレス(例えば、MACアドレス)を示す。このフレームでは、ブロードキャストアドレスが設定される。
【0066】
Controller Parameter Info Elementは、フレームの送信元のコントローラに関する情報を示す。Controller Parameter Info Elementは、Controller Address、Controller Identifier、Controller Capability、Transfer Capacity、ISP Info、Access Cost、Ready Bytes、及び、Maximum Latencyを含む。
【0067】
Controller Addressは、コントローラのアドレス(例えば、MACアドレス)を示す。
【0068】
Controller Identifierは、コントローラの識別情報(例えば、Service Set Identifier(SSID)等)を示す。
【0069】
Controller Capabilityは、コントローラの能力に関する情報を示す。例えば、Controller Capabilityは、対応可能な無線LANシステムの規格、最大伝送レート、対応可能な多重通信のパラメータ等を示す。
【0070】
Transfer Capacityは、外部ネットワークの伝送容量に関する情報を示す。例えば、Transfer Capacityは、外部ネットワークの月毎の最大使用可能容量、及び、最大伝送レート等を示す。
【0071】
ISP Infoは、コントローラが外部ネットワークへの接続に使用可能なインターネットサービスプロバイダに接続するための情報を示す。
【0072】
Access Costは、コントローラが使用可能なインターネットサービスプロバイダの接続料金に関する情報を示す。例えば、Access Costは、従量制の場合、単位時間又は単位データ量当たりの接続料金を示し、定額制の場合、月毎の定額料金を示す。
【0073】
Ready Bytesは、コントローラが現時点で使用可能な外部ネットワークの伝送容量に関する情報を示す。例えば、Ready Bytesは、今月あと何ギガバイトまでデータの伝送が可能であるか等のパラメータを示す。
【0074】
Maximum Latencyは、コントローラを介して外部ネットワークに接続した場合の最大遅延許容量を示す。
【0075】
AP Countsは、コントローラに接続しているアクセスポイントの数を示す。
【0076】
Network Mapは、コントローラが属する自己ネットワークのトポロジマップに関する情報を示す。Network Mapは、AP Address、STA Counts、及び、STA Addressを含む。
【0077】
AP Addressは、コントローラに接続しているアクセスポイントのアドレス(例えば、MACアドレス)を示す。
【0078】
STA Countsは、AP Addressにより示されるアクセスポイントに接続している通信端末の数を示す。
【0079】
STA Addressは、AP Addressにより示されるアクセスポイントに接続している通信端末のアドレス(例えば、MACアドレス)を示す。
【0080】
なお、AP Address、STA Counts、及び、STA Addressのデータセットは、コントローラに接続しているアクセスポイント毎にNetwork Mapに格納される。従って、コントローラに接続しているアクセスポイントの数のデータセットがNetwork Mapに格納される。
【0081】
フレームの末尾には、誤り検出のためのFCS(Frame Check Sequence)が付加される。
【0082】
ステップS3において、役割設定部106は、通信端末に設定しているか否かを判定する。通信端末に設定していると判定された場合、処理はステップS4に進む。
【0083】
ステップS4において、通信装置11は、通信端末役割制御処理を実行する。この処理により、必要に応じて、通信装置11の役割が通信端末から他の役割に変更される。この処理の詳細は、
図6を参照して後述する。
【0084】
その後、処理はステップS8に進む。
【0085】
一方、ステップS3において、通信端末に設定していないと判定された場合、処理はステップS5に進む。
【0086】
ステップS5において、役割設定部106は、アクセスポイントに設定しているか否かを判定する。アクセスポイントに設定していると判定された場合、処理はステップS6に進む。
【0087】
ステップS6において、通信装置11は、AP役割制御処理を実行する。この処理により、必要に応じて、通信装置11の役割がアクセスポイントから他の役割に変更される。この処理の詳細は、
図9を参照して後述する。
【0088】
その後、処理はステップS8に進む。
【0089】
一方、ステップS5において、APに設定されていないと判定された場合、すなわち、コントローラに設定されている場合、処理はステップS7に進む。
【0090】
ステップS7において、通信装置11は、コントローラ役割制御処理を実行する。この処理により、必要に応じて、通信装置11の役割がコントローラから他の役割に変更される。この処理の詳細は、
図11を参照して後述する。
【0091】
その後、処理はステップS8に進む。
【0092】
ステップS8において、通信装置11は、ユーザ設定役割制御処理を実行する。この処理により、ユーザ設定に応じて、通信装置11の役割が変更される。この処理の詳細は、
図13を参照して後述する。
【0093】
その後、処理はステップS3に戻り、ステップS3乃至ステップS8の処理が、繰り返し実行される。
【0094】
<通信端末役割制御処理>
次に、
図6のフローチャートを参照して、
図4のステップS4の通信端末役割制御処理の詳細について説明する。
【0095】
ステップS51において、役割設定部106は、モニタ部105からの情報に基づいて、外部ネットワークへのアクセス不良が発生しているか否かを判定する。外部ネットワークへのアクセス不良が発生していないと判定された場合、処理はステップS52に進む。
【0096】
ステップS52において、役割設定部106は、モニタ部105からの情報に基づいて、上位のコントローラの負荷が高いか否かを判定する。例えば、役割設定部106は、通信装置11がアクセスポイントを介して接続しているコントローラ、すなわち、上位のコントローラの直近の所定の時間内の負荷が所定の上限値を超えている場合、上位のコントローラの負荷が高いと判定し、処理はステップS53に進む。なお、判定基準となる負荷の内容と上限値は、任意に設定することができる。
【0097】
一方、ステップS51において、外部ネットワークへのアクセス不良が発生していると判定された場合、ステップS52の処理はスキップされ、処理はステップS53に進む。
【0098】
ステップS53において、役割設定部106は、コントローラに変更可能であるか否かを判定する。
【0099】
具体的には、役割設定部106は、モニタ部105からの情報に基づいて、外部ネットワークに直接接続可能か否かを判定する。役割設定部106は、外部ネットワークに直接接続可能であると判定した場合、コントローラへの変更を動作制御部107に指示する。
【0100】
動作制御部107は、通信装置11がコントローラとして独立することを上位のコントローラに要求するように制御情報生成部108に指示する。制御情報生成部108は、Network Structure Independent Request Frameを生成し、無線送信処理部110に供給する。無線送信処理部110は、アンテナ制御部111、並びに、アンテナ素子112a及びアンテナ素子112bを介して、上位のコントローラにNetwork Structure Independent Request Frameを含む送信信号を送信する。
【0101】
図7は、Network Structure Independent Request Frameの構成例を示している。Network Structure Connection Request Frameは、通信端末又はアクセスポイントが、コントローラとして独立することを要求するために、上位のコントローラに送信する制御フレームである。
【0102】
Network Structure Independent Request Frameには、
図5のNetwork Structure Connection Request Frameと同様のHeaderが先頭に配置され、末尾にFCSが配置されている。なお、HeaderのTransmit Addressには、送信元の通信端末又はアクセスポイントのアドレスが設定され、Receive Addressには、送信先のコントローラのアドレスが設定される。
【0103】
HeaderとFCSの間には、Controller Identifier、Controller Capability、Transfer Capacity、ISP Info、Access Cost、及び、Ready Bytesが配置されている。
【0104】
Controller Identifierは、上位のコントローラの識別情報を示す。
【0105】
Controller Capabilityは、通信端末又はアクセスポイントのコントローラとしての能力に関する情報を示す。情報の内容は、
図5のNetwork Structure Announcement FrameのController Capabilityと同様である。
【0106】
Transfer Capacityは、通信端末又はアクセスポイントがコントローラとして動作する場合の外部ネットワークの伝送容量に関する情報を示す。情報の内容は、
図5のNetwork Structure Announcement FrameのTransfer Capacityと同様である。
【0107】
ISP Infoは、通信端末又はアクセスポイントがコントローラとして動作する場合に外部ネットワークへの接続に使用可能なインターネットサービスプロバイダに接続するための情報を示す。
【0108】
Access Costは、通信端末又はアクセスポイントがコントローラとして動作する場合に使用可能なインターネットサービスプロバイダの接続料金に関する情報を示す。情報の内容は、
図5のNetwork Structure Announcement FrameのAccess Costと同様である。
【0109】
Ready Bytesは、通信端末又はアクセスポイントがコントローラとして動作する場合に現時点で使用可能な外部ネットワークの伝送容量に関する情報を示す。情報の内容は、
図5のNetwork Structure Announcement FrameのReady Bytesと同様である。
【0110】
これに対して、コントローラは、通信装置11がコントローラとして独立することを承認するか否かを判定し、承認の可否を示す制御情報を含む制御フレームを含む応答信号を送信する。
【0111】
無線受信処理部114は、アンテナ素子112a及びアンテナ素子112b、並びに、アンテナ制御部111を介して、応答信号を受信し、応答信号から制御フレームを抽出し、制御情報処理部115に供給する。制御情報処理部115は、制御フレームに含まれる制御情報を動作制御部107に供給する。動作制御部107は、制御情報に基づいて、上位のコントローラからコントローラとして独立することが承認されたか否かを役割設定部106に通知する。
【0112】
役割設定部106は、上位のコントローラからコントローラとして独立することが承認された場合、コントローラに変更可能であると判定し、処理はステップS54に進む。
【0113】
ステップS54において、通信装置11は、コントローラの動作を開始する。具体的には、役割設定部106は、コントローラに変更したことをネットワーク管理部104に通知するとともに、インタフェース部101を介して動作制御部23に通知する。動作制御部23及び動作制御部107は、コントローラとしての動作制御を開始する。
【0114】
その後、詳細な説明は省略するが、通信装置11は、動作制御部107等の制御の下に、所定の通信プロトコルに従って、アクセスポイントとの接続を解除し、コントローラとして外部ネットワークに直接接続する。
【0115】
その後、通信端末役割制御処理は終了する。
【0116】
一方、ステップS53において、役割設定部106は、外部ネットワークに直接接続可能でない場合、又は、上位のコントローラからコントローラとして独立することが承認されなかった場合、コントローラに変更できないと判定し、処理はステップS55に進む。
【0117】
また、ステップS52において、役割設定部106は、例えば、上位のコントローラの直近の所定の時間内の負荷が所定の上限値以下の場合、上位のコントローラの負荷が高くないと判定し、処理はステップS55に進む。
【0118】
ステップS55において、役割設定部106は、モニタ部105からの情報に基づいて、上位のアクセスポイントの負荷が高いか否かを判定する。例えば、役割設定部106は、通信装置11が接続しているアクセスポイント、すなわち、上位のアクセスポイントの直近の所定の時間内の負荷が所定の上限値を超えている場合、上位のアクセスポイントの負荷が高いと判定し、処理はステップS56に進む。なお、判定基準となる負荷の内容と上限値は、任意に設定することができる。
【0119】
ステップS56において、役割設定部106は、モニタ部105からの情報に基づいて、周囲に負荷の低いアクセスポイントがあるか否かを判定する。例えば、役割設定部106は、通信装置11の通信可能範囲内に、直近の所定の時間内の負荷が所定の下限値未満のアクセスポイントがない場合、周囲に負荷の低いアクセスポイントがないと判定し、処理はステップS57に進む。なお、判定基準となる負荷の内容と下限値は、任意に設定することができる。
【0120】
ステップS57において、役割設定部106は、アクセスポイントに変更可能であるか否かを判定する。
【0121】
具体的には、役割設定部106は、モニタ部105からの情報に基づいて、間接的に接続している上位のコントローラが通信装置11の通信可能範囲内であるか否かを判定する。役割設定部106は、上位のコントローラが通信装置11の通信可能範囲内であると判定した場合、アクセスポイントへの変更を動作制御部107に指示する。
【0122】
動作制御部107は、通信装置11がアクセスポイントとして接続することを上位のコントローラに要求するように制御情報生成部108に指示する。制御情報生成部108は、Network Structure Connection Request Frameを生成し、無線送信処理部110に供給する。無線送信処理部110は、アンテナ制御部111、並びに、アンテナ素子112a及びアンテナ素子112bを介して、上位のコントローラにNetwork Structure Connection Request Frameを含む送信信号を送信する。
【0123】
図8は、Network Structure Connection Request Frameの構成例を示している。Network Structure Connection Request Frameは、通信端末が、アクセスポイントとして接続することを要求するために、上位のコントローラに送信する制御フレームである。
【0124】
Network Structure Connection Request Frameは、
図5のNetwork Structure Connection Request Frameと同様のHeaderが先頭に配置され、末尾にFCSが配置されている。なお、HeaderのTransmit Addressには、送信元の通信端末のアドレスが設定され、Receive Addressには、送信先のコントローラのアドレスが設定される。
【0125】
HeaderとFCSの間には、Controller Identifier、Access Point Capability、Transfer Capacity、及び、Maximum Latencyが配置されている。
【0126】
Controller Identifierは、上位のコントローラの識別情報を示す。
【0127】
Access Point Capabilityは、通信端末のアクセスポイントとしての能力に関する情報を示す。例えば、Access Point Capabilityは、対応可能な無線LANの規格、最大伝送レート、対応可能な多重通信のパラメータ等を示す。
【0128】
Transfer Capacityは、通信端末がアクセスポイントとして動作する場合の外部ネットワークの伝送容量に関する情報を示す。情報の内容は、
図5のNetwork Structure Announcement FrameのTransfer Capacityと同様である。
【0129】
Maximum Latencyは、通信端末がアクセスポイントとして動作する場合の最大遅延許容量を示す。
【0130】
これに対して、コントローラは、通信装置11がアクセスポイントとして接続することを承認するか否かを判定し、承認の可否を示す制御情報を含む制御フレームを含む応答信号を送信する。
【0131】
無線受信処理部114は、アンテナ素子112a及びアンテナ素子112b、並びに、アンテナ制御部111を介して、応答信号を受信し、応答信号から制御フレームを抽出し、制御情報処理部115に供給する。制御情報処理部115は、制御フレームに含まれる制御情報を動作制御部107に供給する。動作制御部107は、制御情報に基づいて、上位のコントローラからアクセスポイントとして接続することが承認されたか否かを役割設定部106に通知する。
【0132】
役割設定部106は、上位のコントローラからアクセスポイントとして接続することが承認された場合、アクセスポイントに変更可能であると判定し、処理はステップS58に進む。
【0133】
ステップS58において、通信装置11は、アクセスポイントの動作を開始する。具体的には、役割設定部106は、アクセスポイントに変更したことをネットワーク管理部104に通知するとともに、インタフェース部101を介して動作制御部23に通知する。動作制御部23及び動作制御部107は、アクセスポイントとしての動作制御を開始する。
【0134】
その後、詳細な説明は省略するが、通信装置11は、動作制御部107等の制御の下に、所定の通信プロトコルに従って、アクセスポイントとの接続を解除し、アクセスポイントとして直接上位のコントローラに接続する。
【0135】
その後、通信端末役割制御処理は終了する。
【0136】
一方、ステップS57において、役割設定部106は、上位のコントローラが通信装置11の通信可能範囲内にない場合、又は、上位のコントローラからアクセスポイントとして接続することが承認されなかった場合、アクセスポイントに変更できないと判定し、通信端末役割制御処理は終了する。
【0137】
また、ステップS56において、例えば、役割設定部106は、通信装置11の通信可能範囲内に、直近の所定の時間内の負荷が所定の下限値未満のアクセスポイントがある場合、周囲に負荷の低いアクセスポイントがあると判定し、処理はステップS59に進む。
【0138】
ステップS59において、通信装置11は、接続するアクセスポイントを変更する。詳細な説明は省略するが、通信装置11は、動作制御部107等の制御の下に、所定の通信プロトコルに従って、上位のアクセスポイントとの接続を解除し、ステップS56の処理で検出された負荷の低いアクセスポイントに接続する。
【0139】
その後、通信端末役割制御処理は終了する。
【0140】
一方、ステップS55において、例えば、役割設定部106は、上位のアクセスポイントの直近の所定の時間内の負荷が所定の上限値以下である場合、上位のアクセスポイントの負荷が高くないと判定し、通信端末役割制御処理は終了する。
【0141】
<AP役割制御処理>
次に、
図9のフローチャートを参照して、
図4のステップS6のAP役割制御処理の詳細について説明する。
【0142】
ステップS101において、
図6のステップS51の処理と同様に、外部ネットワークへのアクセス不良が発生しているか否かが判定される。外部ネットワークへのアクセス不良が発生していないと判定された場合、処理はステップS102に進む。
【0143】
ステップS102において、
図6のステップS52の処理と同様に、上位のコントローラの負荷が高いか否かが判定される。上位のコントローラの負荷が高いと判定された場合、処理はステップS103に進む。
【0144】
一方、ステップS101において、外部ネットワークへのアクセス不良が発生していると判定された場合、ステップS102の処理はスキップされ、処理はステップS103に進む。
【0145】
ステップS103において、
図6のステップS53の処理と同様に、コントローラに変更可能であるか否かが判定される。コントローラに変更可能であると判定された場合、処理はステップS104に進む。
【0146】
ステップS104において、
図6のステップS54の処理と同様に、コントローラの動作が開始される。すなわち、通信装置11は、コントローラの動作を開始し、コントローラとの接続を解除し、外部ネットワークに直接接続する。
【0147】
その後、AP役割制御処理は終了する。
【0148】
一方、ステップS103において、コントローラに変更できないと判定された場合、ステップS104の処理はスキップされ、AP役割制御処理は終了する。
【0149】
また、ステップS102において、上位のコントローラの負荷が高くないと判定された場合、処理はステップS105に進む。
【0150】
ステップS105において、役割設定部106は、モニタ部105からの情報に基づいて、長時間データの伝送がないか否かを判定する。例えば、役割設定部106は、アクセスポイントである通信装置11に接続されている下位の通信端末からのデータフレームを含む信号の送受信が所定の時間以上ない場合、長時間データの伝送がないと判定し、処理はステップS106に進む。すなわち、アクセスポイントである通信装置11の負荷が低い場合、処理はステップS106に進む。
【0151】
ステップS106において、
図6のステップS56の処理と同様に、周囲に負荷の低いアクセスポイントがあるか否かが判定される。周囲に負荷の低いアクセスポイントがあるか否かが判定された場合、処理はステップS107に進む。
【0152】
ステップS107において、役割設定部106は、通信端末に変更可能であるか否かを判定する。具体的には、役割設定部106は、通信端末への変更を動作制御部107に指示する。
【0153】
動作制御部107は、通信装置11がアクセスポイントの役割を解除することを上位のコントローラに要求するように制御情報生成部108に指示する。制御情報生成部108は、Network Structure Connection Release Frameを生成し、無線送信処理部110に供給する。無線送信処理部110は、アンテナ制御部111、並びに、アンテナ素子112a及びアンテナ素子112bを介して、上位のコントローラにNetwork Structure Connection Release Frameを含む送信信号を送信する。
【0154】
図10は、Network Structure Connection Release Frameの構成例を示している。Network Structure Connection Release Frameは、アクセスポイントが、アクセスポイントの役割を解除し、通信端末として動作することを要求するために、上位のコントローラに送信する制御フレームである。
【0155】
Network Structure Connection Release Frameは、
図5のNetwork Structure Connection Request Frameと同様のHeaderが先頭に配置され、末尾にFCSが配置されている。なお、HeaderのTransmit Addressには、送信元のアクセスポイントのアドレスが設定され、Receive Addressには、送信先のコントローラのアドレスが設定される。
【0156】
HeaderとFCSの間には、Controller Identifier、New Access Point Identifier、Transfer Capacity、及び、Connection Parameterが配置されている。
【0157】
Controller Identifierは、上位のコントローラの識別情報を示す。
【0158】
New Access Point Identifierは、下位の通信端末が接続可能なアクセスポイントの識別情報を示す。例えば、ステップS106の処理で検出された負荷の低いアクセスポイントの識別情報が設定される。
【0159】
Transfer Capacityは、New Access Point Identifierにより示されるアクセスポイントの外部ネットワークの伝送容量に関する情報を示す。情報の内容は、
図5のNetwork Structure Announcement FrameのTransfer Capacityと同様である。
【0160】
Connection Parameterは、New Access Point Identifierにより示されるアクセスポイントに接続するためのパラメータを示す。
【0161】
これに対して、コントローラは、通信装置11がアクセスポイントの役割を解除することを承認するか否かを判定する。例えば、コントローラは、通信装置11の下位の全ての通信端末が他のアクセスポイントに接続可能である場合、承認する。一方、例えば、コントローラは、通信装置11の下位の通信端末のうちの少なくとも1つが他のアクセスポイントに接続可能でない場合、承認しない。コントローラは、承認の可否を示す制御情報を含む制御フレームを含む応答信号を送信する。
【0162】
無線受信処理部114は、アンテナ素子112a及びアンテナ素子112b、並びに、アンテナ制御部111を介して、応答信号を受信し、応答信号から制御フレームを抽出し、制御情報処理部115に供給する。制御情報処理部115は、制御フレームに含まれる制御情報を動作制御部107に供給する。動作制御部107は、制御情報に基づいて、上位のコントローラからアクセスポイントの役割を解除することが承認されたか否かを役割設定部106に通知する。
【0163】
役割設定部106は、コントローラからアクセスポイントの役割の解除が承認された場合、ネットワーク管理部104からの情報に基づいて、下位の通信端末の存在を確認する。例えば、役割設定部106は、下位の通信端末が他のアクセスポイントに接続先を変更する等により、下位の通信端末が存在していない場合、通信端末に変更可能であると判定し、処理はステップS108に進む。
【0164】
ステップS108において、通信装置11は、通信端末の動作を開始する。具体的には、役割設定部106は、通信端末に変更したことをネットワーク管理部104に通知するとともに、インタフェース部101を介して動作制御部23に通知する。動作制御部23及び動作制御部107は、通信端末としての動作制御を開始する。
【0165】
その後、詳細な説明は省略するが、通信装置11は、動作制御部107等の制御の下に、所定の通信プロトコルに従って、コントローラとの接続を解除し、ステップS56の処理で検出された負荷の低いアクセスポイントに通信端末として接続する。
【0166】
その後、AP役割制御処理は終了する。
【0167】
一方、ステップS107において、役割設定部106は、コントローラからアクセスポイントの解除が承認されなかった場合、又は、下位の通信端末が存在する場合、通信端末に変更できないと判定し、ステップS108の処理はスキップされ、AP役割制御処理は終了する。
【0168】
また、ステップS106において、周囲に負荷の低いアクセスポイントがないと判定された場合、ステップS107及びステップS108の処理はスキップされ、AP役割制御処理は終了する。
【0169】
さらに、ステップS105において、例えば、役割設定部106は、下位の通信端末からのデータフレームを含む信号の送受信が直近の所定の時間以内にあった場合、データの伝送があったと判定し、ステップS106乃至ステップS108の処理はスキップされ、AP役割制御処理は終了する。
【0170】
<コントローラ役割制御処理>
次に、
図11のフローチャートを参照して、
図4のステップS7のコントローラ役割制御処理の詳細について説明する。
【0171】
ステップS151において、役割設定部106は、モニタ部105からの情報に基づいて、外部ネットワークへのアクセスがないか否かを判定する。例えば、役割設定部106は、コントローラである通信装置11に接続されている下位のアクセスポイントからの外部ネットワークへのアクセスが所定の時間以上なかった場合、外部ネットワークへのアクセスがないと判定し、処理はステップS152に進む。
【0172】
ステップS152において、役割設定部106は、モニタ部105からの情報に基づいて、周囲に負荷の低いコントローラがあるか否かを判定する。例えば、役割設定部106は、通信装置11の通信可能範囲内に、直近の所定の時間内の負荷が所定の下限値未満のコントローラが存在する場合、周囲に負荷の低いコントローラがあると判定し、処理はステップS153に進む。なお、判定基準となる負荷の内容と下限値は、任意に設定することができる。
【0173】
ステップS153において、
図6のステップS56の処理と同様に、周囲に負荷の低いアクセスポイントがあるか否かが判定される。周囲に負荷の低いアクセスポイントがあると判定された場合、処理はステップS154に進む。例えば、内部ネットワーク全体の負荷が下がっており、周囲に負荷の低いコントローラ及びアクセスポイントがある場合、処理はステップS154に進む。
【0174】
ステップS154において、役割設定部106は、通信端末に変更可能であるか否かを判定する。具体的には、役割設定部106は、通信端末への変更を動作制御部107に指示する。
【0175】
動作制御部107は、通信装置11がコントローラの役割を解除することを、ステップS152の処理で検出された負荷の低いコントローラ(以下、代替コントローラと称する)に要求するように制御情報生成部108に指示する。制御情報生成部108は、Network Structure Independent Release Frameを生成し、無線送信処理部110に供給する。無線送信処理部110は、アンテナ制御部111、並びに、アンテナ素子112a及びアンテナ素子112bを介して、代替コントローラにNetwork Structure Independent Release Frameを含む送信信号を送信する。
【0176】
図12は、Network Structure Independent Release Frameの構成例を示している。Network Structure Independent Release Frameは、コントローラが、コントローラの役割を解除し、アクセスポイント又は通信端末として動作することを要求するために、周囲の代替コントローラに送信する制御フレームである。
【0177】
Network Structure Independent Release Frameは、
図5のNetwork Structure Connection Request Frameと同様のHeaderが先頭に配置され、末尾にFCSが配置されている。なお、HeaderのTransmit Addressには、送信元のコントローラのアドレスが設定され、Receive Addressには、送信先の代替コントローラのアドレスが設定される。
【0178】
HeaderとFCSの間には、Controller Identifier、New Controller Identifier、Transfer Capacity、及び、Connection Parameterが配置されている。
【0179】
Controller Identifierは、自己(コントローラ)の識別情報を示す。
【0180】
New Controller Identifierは、代替コントローラの識別情報を示す。
【0181】
Transfer Capacityは、代替コントローラの外部ネットワークの伝送容量に関する情報を示す。情報の内容は、
図5のNetwork Structure Announcement FrameのTransfer Capacityと同様である。
【0182】
Connection Parameterは、代替コントローラに接続するためのパラメータを示す。
【0183】
これに対して、代替コントローラは、通信装置11のコントローラの解除を承認するか否かを判定する。例えば、代替コントローラは、通信装置11の下位のアクセスポイントが代替コントローラに接続可能である場合、通信装置11のコントローラの解除を承認する。一方、代替コントローラは、通信装置11の下位のアクセスポイントが代替コントローラに接続できない場合、通信装置11のコントローラの解除を承認しない。代替コントローラは、承認の可否を示す制御情報を含む制御フレームを含む応答信号を送信する。
【0184】
無線受信処理部114は、アンテナ素子112a及びアンテナ素子112b、並びに、アンテナ制御部111を介して、応答信号を受信し、応答信号から制御フレームを抽出し、制御情報処理部115に供給する。制御情報処理部115は、制御フレームに含まれる制御情報を動作制御部107に供給する。動作制御部107は、制御情報に基づいて、代替コントローラからコントローラの役割を解除することが承認されたか否かを役割設定部106に通知する。
【0185】
役割設定部106は、代替コントローラからコントローラの役割の解除が承認された場合、ネットワーク管理部104からの情報に基づいて、下位のアクセスポイントの存在を確認する。例えば、役割設定部106は、下位のアクセスポイントが代替コントローラに接続先を変更する等により、下位のアクセスポイントが存在していない場合、通信端末に変更可能であると判定し、処理はステップS155に進む。
【0186】
ステップS155において、通信装置11は、通信端末の動作を開始する。具体的には、役割設定部106は、通信端末に変更したことをネットワーク管理部104に通知するとともに、インタフェース部101を介して動作制御部23に通知する。動作制御部23及び動作制御部107は、通信端末としての動作制御を開始する。
【0187】
そして、詳細な説明は省略するが、通信装置11は、動作制御部107等の制御の下に、所定の通信プロトコルに従って、外部ネットワークとの接続を解除し、ステップS153の処理で検出された負荷の低いアクセスポイントに通信端末として接続する。
【0188】
その後、コントローラ役割制御処理は終了する。
【0189】
一方、ステップS154において、役割設定部106は、代替コントローラがコントローラの解除を承認しなかった場合、又は、下位のアクセスポイントが存在する場合、通信端末に変更できないと判定し、処理はステップS158に進む。
【0190】
また、ステップS153において、周囲に負荷の低いアクセスポイントがないと判定された場合、処理はステップS158に進む。
【0191】
さらに、ステップS152において、周囲に負荷の低いコントローラがないと判定された場合、ステップS152乃至ステップS155の処理はスキップされ、コントローラ役割制御処理は終了する。
【0192】
また、ステップS151において、例えば、役割設定部106は、直近の所定の時間内に下位のアクセスポイントからの外部ネットワークへのアクセスがあった場合、外部ネットワークへのアクセスがあると判定し、処理はステップS156に進む。
【0193】
ステップS156において、役割設定部106は、モニタ部105からの情報に基づいて、外部ネットワークへのアクセスが少ないか否かを判定する。例えば、役割設定部106は、直近の所定の時間内の下位のアクセスポイントからの外部ネットワークへのアクセス量が所定の下限値未満である場合、外部ネットワークへのアクセスが少ないと判定し、処理はステップS157に進む。なお、判定基準となる負荷の内容と下限値は、任意に設定することができる。
【0194】
ステップS157において、ステップS152の処理と同様に、周囲に負荷の低いコントローラがあるか否かが判定される。周囲に負荷の低いコントローラ(代替コントローラ)があると判定された場合、処理はステップS158に進む。
【0195】
ステップS158において、役割設定部106は、アクセスポイントに変更可能であるか否かを判定する。具体的には、ステップS152の処理と同様に、Network Structure Independent Request Frameを含む送信信号が、通信装置11から代替コントローラに送信される。
【0196】
これに対して、代替コントローラは、通信装置11のコントローラの解除を承認するか否かを判定する。例えば、代替コントローラは、通信装置11及び通信装置11の下位のアクセスポイントが代替コントローラに接続可能である場合、通信装置11のコントローラの解除を承認する。一方、代替コントローラは、通信装置11及び通信装置11の下位のアクセスポイントのうちの少なくとも1つが代替コントローラに接続できない場合、通信装置11のコントローラの解除を承認しない。代替コントローラは、承認の可否を示す制御情報を含む制御フレームを含む応答信号を送信する。
【0197】
無線受信処理部114は、アンテナ素子112a及びアンテナ素子112b、並びに、アンテナ制御部111を介して、応答信号を受信し、応答信号から制御フレームを抽出し、制御情報処理部115に供給する。制御情報処理部115は、制御フレームに含まれる制御情報を動作制御部107に供給する。動作制御部107は、制御情報に基づいて、代替コントローラからコントローラの役割を解除することが承認されたか否かを役割設定部106に通知する。
【0198】
役割設定部106は、代替コントローラからコントローラの役割の解除が承認された場合、ネットワーク管理部104からの情報に基づいて、下位のアクセスポイントの存在を確認する。例えば、役割設定部106は、下位のアクセスポイントが代替コントローラに接続先を変更する等により、下位のアクセスポイントが存在していない場合、アクセスポイントに変更可能であると判定し、処理はステップS159に進む。
【0199】
ステップS159において、通信装置11は、アクセスポイントの動作を開始する。具体的には、役割設定部106は、アクセスポイントに変更したことをネットワーク管理部104に通知するとともに、インタフェース部101を介して動作制御部23に通知する。動作制御部23及び動作制御部107は、アクセスポイントとしての動作制御を開始する。
【0200】
そして、詳細な説明は省略するが、通信装置11は、動作制御部107等の制御の下に、所定の通信プロトコルに従って、外部ネットワークとの接続を解除し、アクセスポイントとして代替コントローラに接続する。
【0201】
その後、コントローラ役割制御処理は終了する。
【0202】
一方、ステップS158において、役割設定部106は、代替コントローラからコントローラの役割の解除が承認されなかった場合、又は、下位のアクセスポイントが存在する場合、アクセスポイントに変更可能でないと判定し、ステップS159の処理はスキップされ、コントローラ役割制御処理は終了する。
【0203】
また、ステップS157において、周囲に負荷の低いコントローラがないと判定された場合、ステップS158及びステップS159の処理はスキップされ、コントローラ役割制御処理は終了する。
【0204】
さらに、ステップS156において、例えば、役割設定部106は、直近の所定の時間内の下位のアクセスポイントからの外部ネットワークへのアクセス量が所定の下限値以上である場合、外部ネットワークへのアクセスが少なくないと判定し、ステップS157乃至ステップS159の処理はスキップされ、コントローラ役割制御処理は終了する。
【0205】
<ユーザ設定役割制御処理>
次に、
図13のフローチャートを参照して、
図4のステップS8のユーザ設定役割制御処理について説明する。
【0206】
ステップS201において、役割設定部106は、通信端末への変更が指示されたか否かを判定する。
【0207】
図14乃至
図16は、通信装置11がスマートフォン301により構成される場合に、情報入力モジュール22及び情報出力モジュール24を構成するタッチパネルディスプレイ311に表示される操作画面の例を示している。
図14は、スマートフォン301が通信端末として動作している場合の例を示している。
図15は、スマートフォン301がアクセスポイントとして動作している場合の例を示している。
図16は、スマートフォン301がコントローラとして動作している場合の例を示している。
【0208】
図14のタッチパネルディスプレイ311には、ネットワーク情報321、及び、ボタン322乃至ボタン324が表示されている。
【0209】
ネットワーク情報321には、スマートフォン301が通信端末として動作している場合のスマートフォン301が属する自己ネットワークの構成が示されている。具体的には、自己ネットワークの階層構造が、コントローラ、アクセスポイント、及び、通信端末のトポロジ情報として模式的に示されている。自己ネットワーク内のスマートフォン301の位置が、グレーの丸により示されている。
【0210】
ボタン322は、スマートフォン301をコントローラとして動作させることが可能であることを示している。そして、スマートフォン301をコントローラとして動作させる場合、ボタン322が押下される。
【0211】
ボタン323は、スマートフォン301をアクセスポイントとして動作させることが可能であることを示している。そして、スマートフォン301をアクセスポイントとして動作させる場合、ボタン323が押下される。
【0212】
ボタン324は、スマートフォン301が通信端末として動作していることを示している。
【0213】
図15のタッチパネルディスプレイ311には、ネットワーク情報331、及び、ボタン332乃至ボタン334が表示されている。
【0214】
ネットワーク情報331には、スマートフォン301がアクセスポイントとして動作している場合のスマートフォン301が属する自己ネットワークの構成が示されている。具体的には、自己ネットワークの階層構造が、コントローラ、アクセスポイント、及び、通信端末のトポロジ情報として模式的に示されている。自己ネットワーク内のスマートフォン301の位置が、グレーの丸により示されている。
【0215】
ボタン332は、スマートフォン301をコントローラとして動作させることが可能であることを示している。そして、スマートフォン301をコントローラとして動作させる場合、ボタン332が押下される。
【0216】
ボタン333は、スマートフォン301がアクセスポイントとして動作していることを示している。
【0217】
ボタン334は、スマートフォン301を通信端末として動作させることが可能であることを示している。そして、スマートフォン301を通信端末として動作させる場合、ボタン334が押下される。
【0218】
図16のタッチパネルディスプレイ311には、ネットワーク情報341、及び、ボタン342乃至ボタン344が表示されている。
【0219】
ネットワーク情報341には、スマートフォン301がコントローラとして動作している場合のスマートフォン301が属する自己ネットワーク及び周辺ネットワークの構成が示されている。具体的には、自己ネットワーク及び周辺ネットワークの階層構造が、コントローラ、アクセスポイント、及び、通信端末のトポロジ情報として模式的に示されている。自己ネットワーク内のスマートフォン301の位置が、グレーの三角により示されている。
【0220】
ボタン332は、スマートフォン301がコントローラとして動作していることを示している。
【0221】
ボタン343は、スマートフォン301をアクセスポイントとして動作させることが可能であることを示している。そして、スマートフォン301をアクセスポイントとして動作させる場合、ボタン343が押下される。
【0222】
ボタン344は、スマートフォン301を通信端末として動作させることが可能であることを示している。そして、スマートフォン301を通信端末として動作させる場合、ボタン344が押下される。
【0223】
なお、例えば、外部ネットワークの接続にかかるコストや、外部ネットワークの接続に使用可能な残り容量等を、ユーザの判断材料として表示するようにしてもよい。
【0224】
例えば、ユーザは、通信装置11を通信端末に変更したい場合、
図15の操作画面のボタン334、又は、
図16の操作画面のボタン344を押下する。
【0225】
これに対して、情報入力モジュール22は、ユーザの指示に対応する入力データを、動作制御部23及びインタフェース部101を介して、役割設定部106に供給する。そして、役割設定部106は、通信端末への変更が指示されたと判定し、処理はステップS202に進む。
【0226】
ステップS202において、
図9のステップS107又は
図11のステップS154の処理と同様に、通信端末に変更可能であるか否かが判定される。通信端末に変更可能であると判定された場合、処理はステップS203に進む。
【0227】
ステップS203において、
図9のステップS108又は
図11のステップS155の処理と同様に、通信端末の動作が開始される。
【0228】
その後、ユーザ設定役割制御処理は終了する。
【0229】
一方、ステップS202において、通信端末に変更できないと判定された場合、ステップS203の処理はスキップされ、ユーザ設定役割制御処理は終了する。
【0230】
また、ステップS201において、通信端末への変更が指示されていないと判定された場合、処理はステップS204に進む。
【0231】
ステップS204において、役割設定部106は、アクセスポイントへの変更が指示されたか否かを判定する。
【0232】
例えば、ユーザは、通信装置11をアクセスポイントに変更したい場合、
図14の操作画面のボタン323、又は、
図16の操作画面のボタン343を押下する。
【0233】
これに対して、情報入力モジュール22は、ユーザの指示に対応する入力データを、動作制御部23及びインタフェース部101を介して、役割設定部106に供給する。そして、役割設定部106は、アクセスポイントへの変更が指示されたと判定し、処理はステップS205に進む。
【0234】
ステップS205において、
図6のステップS57又は
図11のステップS158の処理と同様に、アクセスポイントに変更可能であるか否かが判定される。アクセスポイントに変更可能であると判定された場合、処理はステップS206に進む。
【0235】
ステップS206において、
図6のステップS58又は
図11のステップS159の処理と同様に、アクセスポイントの動作が開始される。
【0236】
その後、ユーザ設定役割制御処理は終了する。
【0237】
一方、ステップS205において、アクセスポイントに変更できないと判定された場合、ステップS206の処理はスキップされ、ユーザ設定役割制御処理は終了する。
【0238】
また、ステップS204において、アクセスポイントへの変更が指示されていないと判定された場合、処理はステップS207に進む。
【0239】
ステップS207において、役割設定部106は、コントローラへの変更が指示されたか否かを判定する。
【0240】
例えば、ユーザは、通信装置11をコントローラに変更したい場合、
図14の操作画面のボタン322、又は、
図15の操作画面のボタン332を押下する。
【0241】
これに対して、情報入力モジュール22は、ユーザの指示に対応する入力データを、動作制御部23及びインタフェース部101を介して、役割設定部106に供給する。そして、役割設定部106は、コントローラへの変更が指示されたと判定し、処理はステップS208に進む。
【0242】
ステップS208において、
図6のステップS53又は
図9のステップS103の処理と同様に、コントローラに変更可能であるか否かが判定される。コントローラに変更可能であると判定された場合、処理はステップS209に進む。
【0243】
ステップS209において、
図6のステップS54又は
図9のステップS104の処理と同様に、コントローラの動作が開始される。
【0244】
その後、ユーザ設定役割制御処理は終了する。
【0245】
一方、ステップS208において、コントローラに変更できないと判定された場合、ステップS209の処理はスキップされ、ユーザ設定役割制御処理は終了する。
【0246】
また、ステップS207において、コントローラへの変更が指示されなかったと判定された場合、ステップS208及びステップS209の処理はスキップされ、ユーザ設定役割制御処理は終了する。
【0247】
以上のようにして、内部ネットワークの状況、及び、内部ネットワークと外部ネットワークとの間のアクセス状況に基づいて、通信装置11を適切な階層において適切な役割で動作させることができる。その結果、内部ネットワークの柔軟性が向上する。例えば、状況に応じて、内部ネットワークの構成を柔軟に変更することができ、内部ネットワークを効率的に運用できる。また、例えば、外部ネットワークへのアクセスを良好にしたり、通信速度を改善したり、通信費用を軽減したりすることができる。
【0248】
図17は、上述した通信制御処理に対応する状態遷移図を示している。
【0249】
例えば、通信装置11は、通信端末として動作している場合に、上位のアクセスポイントの負荷が増大したとき、アクセスポイントに役割を変更する。これにより、アクセスポイントの負荷が分散されるため、例えば、内部ネットワーク内の通信速度や、内部ネットワークから外部ネットワークへのアクセスが良好になる。また、通信装置11はアクセスポイントを介さずに外部ネットワークにアクセスするため、通信装置11の外部ネットワークへのアクセスも良好になる。
【0250】
また、通信装置11は、通信端末又はアクセスポイントとして動作している場合に、上位のコントローラの負荷が増大したとき、コントローラに役割を変更する。これにより、コントローラの負荷が分散されるため、例えば、内部ネットワーク内の通信速度や、内部ネットワークから外部ネットワークへのアクセスが良好になる。また、通信装置11はコントローラ及びアクセスポイントを介さずに外部ネットワークにアクセスするため、通信装置11の外部ネットワークへのアクセスも良好になる。
【0251】
さらに、通信装置11は、通信端末又はアクセスポイントとして動作している場合に、外部ネットワークへのアクセス不良が発生したとき、コントローラに役割を変更する。これにより、例えば、内部ネットワークから外部ネットワークへのアクセス不良が解消する。
【0252】
このように、通信ネットワークの負荷の増加に伴い、通信装置11の役割が現在より上の階層の役割に設定される。すなわち、通信装置11の階層が上がる。
【0253】
また、例えば、通信装置11は、コントローラとして動作している場合に、外部ネットワークへのアクセスが減少し(すなわち、負荷が減少し)、周囲のコントローラの負荷が減少したとき、下位のアクセスポイントがなければ(アクセスポイントが接続されていなければ)、アクセスポイントに役割を変更する。さらに、通信装置11は、コントローラとして動作している場合に、外部ネットワークへのアクセスがなく、ネットワーク全体の負荷が減少したとき、下位のアクセスポイントがなければ(アクセスポイントが接続されていなければ)、通信端末に役割を変更する。また、通信装置11は、アクセスポイントとして動作している場合に、長時間データ伝送がなく、周囲のアクセスポイントの負荷が減少したとき、下位の通信端末がなければ(通信端末が接続されていなければ)、通信端末に役割を変更する。
【0254】
このように、通信ネットワークの負荷の減少に伴い、通信装置11の役割が現在より下の階層の役割に設定される。すなわち、通信装置11の階層が下がる。
【0255】
ここで、上位の階層になるほど、下位の通信端末やアクセスポイントの数が増え、通信装置11の伝送量、ルーティング等に係る演算量、及び、消費電力が増大する。これに対して、通信装置11は、外部ネットワークへのアクセスや内部ネットワークの負荷の減少等に伴い、動作する階層を下げることにより、伝送量、演算量、及び、消費電力を低減することができる。これにより、例えば、通信装置11の通信コストや通信容量を抑制することができる。また、例えば、バッテリ駆動のスマートフォンのような通信機器を、必要に応じて、公衆通信回線等を利用して、コントローラとして動作させることが可能になるとともに、バッテリの持ち時間を長くすることができる。
【0256】
<通信装置11の動作シーケンスの例>
ここで、
図18乃至
図28を参照して、通信装置11の動作シーケンスの例について説明する。
【0257】
例えば、
図18に示されるように、コントローラCNTL1とアクセスポイントAP1とが情報交換処理を行う。情報交換処理では、例えば、ネットワークの接続構成を示す情報の交換等が行われる。また、アクセスポイントAP1と通信端末STA1、コントローラCNTL1とアクセスポイントAP2、及び、アクセスポイントAP2と通信端末STA2とが、それぞれ情報交換処理を行う。
【0258】
ここで、通信装置11の電源がオンされると、通信装置11は、例えば、通信端末STA3としてアクセスポイントAP1と情報交換処理を行う。
【0259】
これにより、
図19の通信ネットワーク1が構築される。この通信ネットワーク1は、
図1の通信ネットワーク1と同じものである。
【0260】
その後、アクセスポイントAP1と通信端末STA1との間の伝送量が増大することにより、アクセスポイントAP1の負荷が増大し、通信端末STA1及び通信端末STA3の通信資源を十分に確保できなくなったとする。
【0261】
これに対して、通信端末STA3は、例えば、コントローラCNTL1、アクセスポイントAP1、及び、アクセスポイントAP2の伝送量をモニタした結果に基づいて、接続先の変更の判定処理を行う。その結果、通信端末STA3は、例えば、負荷の小さいアクセスポイントAP2に接続先を変更することを決定する。
【0262】
その後、通信端末STA3は、アクセスポイントAP2にアソシエーション要求を送信する。アクセスポイントAP2は、通信端末STA3のアソシエーションを受け入れる場合、通信端末STA3のアソシエーション先の切替えをコントローラCNTL1に通知する。
【0263】
そして、コントローラCNTL1とアクセスポイントAP2が、情報交換処理を行い、アクセスポイントAP2と通信端末STA3とが情報交換処理を行う。
【0264】
これにより、
図20に示されるように、通信端末STA3の接続先がアクセスポイントAP1からアクセスポイントAP2に変更される。その結果、通信端末STA1及び通信端末STA3の通信資源が十分に確保され、例えば、外部ネットワーク2へのアクセスが良好になる。
【0265】
その後、例えば、
図21に示されるように、アクセスポイントAP2と通信端末STA2との間の伝送量が増大することにより、アクセスポイントAP2の負荷が増大し、通信端末STA2及び通信端末STA3が利用可能な通信資源を十分に確保できなくなったとする。
【0266】
これに対して、通信端末STA3は、例えば、コントローラCNTL1、アクセスポイントAP1、及び、アクセスポイントAP2の伝送量をモニタした結果に基づいて、役割の変更の判定処理を行う。その結果、通信端末STA3は、例えば、アクセスポイントAP1及びアクセスポイントAP2の負荷がともに高いため、アクセスポイントに役割を変更することを決定する。
【0267】
そして、通信端末STA3は、コントローラCNTL1に接続要求通信を送信する。すなわち、通信端末STA3は、
図8のNetwork Structure Connection Request Frameを含む送信信号をコントローラCNTL1に送信する。
【0268】
コントローラCNTL1は、通信端末STA3の接続要求を承認する場合、接続要求を承認することを示す応答信号を通信端末STA3に送信する。そして、コントローラCNTL1と通信端末STA3は、情報交換処理を行う。
【0269】
その後、コントローラCNTL1とアクセスポイントAP1、アクセスポイントAP1と通信端末STA1、コントローラCNTL1とアクセスポイントAP2、及び、アクセスポイントAP2と通信端末STA2が、それぞれ情報交換処理を行う。
【0270】
これにより、
図22に示されるように、通信装置11は、アクセスポイントAP3としてコントローラCNTL1に直接接続し、コントローラCNTL1との間のデータ伝送を開始する。その結果、通信端末STA2及びアクセスポイントAP3(元通信端末STA3)の通信資源が十分に確保され、例えば、外部ネットワーク2へのアクセスが良好になる。
【0271】
なお、アクセスポイントAP3である通信装置11は、例えば、動作制御部107等の制御の下に、アクセスポイントAP1又はアクセスポイントAP2の負荷に応じて、通信端末STA1又は通信端末STA2に指示を与え、接続先をアクセスポイントAP1又はアクセスポイントAP2から通信装置11(コントローラCNTL2)に変更させるようにしてもよい。
【0272】
その後、例えば、
図23に示されるように、アクセスポイントAP2と通信端末STA2との間の伝送量がさらに増大することにより、コントローラCNTL1の負荷が増大し、通信端末STA1、通信端末STA2、及び、アクセスポイントAP3の通信資源が十分に確保できなくなったとする。
【0273】
これに対して、アクセスポイントAP3は、例えば、コントローラCNTL1、アクセスポイントAP1、及び、アクセスポイントAP2の伝送量をモニタした結果に基づいて、役割の変更の判定処理を行う。その結果、アクセスポイントAP3は、例えば、コントローラCNTL1の負荷が非常に高いため、コントローラに役割を変更することを決定する。
【0274】
そして、アクセスポイントAP3は、コントローラCNTL1に独立要求通知を送信する。すなわち、アクセスポイントAP3は、
図7のNetwork Structure Independent Request Frameを含む送信信号をコントローラCNTL1に送信する。
【0275】
コントローラCNTL1は、アクセスポイントAP3の独立要求を承認する場合、独立要求を承認することを示す応答信号をアクセスポイントAP3に送信する。そして、コントローラCNTL1とアクセスポイントAP3は、情報交換処理を行う。
【0276】
その後、コントローラCNTL1とアクセスポイントAP1、アクセスポイントAP1と通信端末STA1、アクセスポイントAP3とアクセスポイントAP2、及び、アクセスポイントAP2と通信端末STA2が、それぞれ情報交換処理を行う。
【0277】
これにより、
図24に示されるように、通信装置11は、コントローラCNTL2として外部ネットワーク2に直接接続する。また、アクセスポイントAP2が、コントローラCNTL2に接続され、通信端末STA2が、アクセスポイントAP2を介して、コントローラCNTL2に接続される。
【0278】
なお、コントローラCNTL2である通信装置11は、例えば、動作制御部107等の制御の下に、アクセスポイントAP2に指示を与え、接続先をコントローラCNTL1から通信装置11(コントローラCNTL2)に変更させるようにしてもよい。
【0279】
これにより、内部ネットワークが、通信ネットワーク1Aと通信ネットワーク1Bに分かれる。通信ネットワーク1Aは、コントローラCNTL1、アクセスポイントAP1、及び、通信端末STA1により構成される。通信ネットワーク1Bは、コントローラCNTL2、アクセスポイントAP2、及び、通信端末STA2により構成される。その結果、コントローラCNTL1の負荷がコントローラCNTL2に分散され、通信端末STA1、通信端末STA2、及び、コントローラCNTL2(元アクセスポイントAP3)の通信資源が十分に確保され、例えば、外部ネットワークへのアクセスが良好になる。
【0280】
その後、例えば、
図25に示されるように、アクセスポイントAP2と通信端末STA2との間の伝送量が減少することにより、コントローラCNTL2の負荷が減少したとする。
【0281】
これに対して、コントローラCNTL2は、例えば、コントローラCNTL1、アクセスポイントAP1、及び、アクセスポイントAP2の伝送量をモニタした結果に基づいて、役割の変更の判定処理を行う。その結果、コントローラCNTL2は、例えば、コントローラCNTL1の負荷がそれほど高くないため、アクセスポイントに役割を変更することを決定する。
【0282】
そして、コントローラCNTL2は、コントローラCNTL1に独立解除要求を送信する。すなわち、コントローラCNTL2は、
図12のNetwork Structure Independent Release Frameを含む送信信号をコントローラCNTL1に送信する。
【0283】
コントローラCNTL1は、コントローラCNTL2の独立解除を承認する場合、独立解除を承認することを示す応答信号をコントローラCNTL2に送信する。そして、コントローラCNTL1とコントローラCNTL2は、情報交換処理を行う。
【0284】
その後、コントローラCNTL1とアクセスポイントAP1、アクセスポイントAP1と通信端末STA1、コントローラCNTL1とアクセスポイントAP2、及び、アクセスポイントAP2と通信端末STA2が、それぞれ情報交換処理を行う。
【0285】
これにより、
図26に示されるように、通信装置11は、アクセスポイントAP3としてコントローラCNTL1に接続する。その結果、アクセスポイントAP3(元コントローラCNTL2)の負荷や消費電力が軽減される。
【0286】
その後、例えば、
図27に示されるように、アクセスポイントAP2と通信端末STA2との間の伝送量がさらに減少することにより、アクセスポイントAP2の負荷が減少したとする。また、アクセスポイントAP3の負荷も減少したとする。
【0287】
これに対して、アクセスポイントAP3は、例えば、コントローラCNTL1、アクセスポイントAP1、及び、アクセスポイントAP2の伝送量をモニタした結果に基づいて、役割の変更の判定処理を行う。その結果、アクセスポイントAP3は、例えば、コントローラCNTL1及びアクセスポイントAP2の負荷がそれほど高くないため、アクセスポイントに変更することを決定する。
【0288】
そして、アクセスポイントAP3は、コントローラCNTL1に動作解除要求を送信する。すなわち、コントローラCNTL2は、
図10のNetwork Structure Connection Release Frameを含む送信信号をコントローラCNTL1に送信する。
【0289】
コントローラCNTL1は、アクセスポイントAP3の動作解除を承認する場合、動作解除を承認することを示す応答信号をアクセスポイントAP3に送信する。
【0290】
その後、コントローラCNTL1とアクセスポイントAP1、アクセスポイントAP1と通信端末STA1、コントローラCNTL1とアクセスポイントAP2、アクセスポイントAP3とアクセスポイントAP2、及び、アクセスポイントAP2と通信端末STA2が、それぞれ情報交換処理を行う。
【0291】
これにより、
図28に示されるように、通信装置11は、通信端末STA3としてアクセスポイントAP2に接続する。その結果、通信端末STA3(元アクセスポイントAP3)の負荷や消費電力が軽減される。
【0292】
<<2.変形例>>
以下、上述した本技術の実施の形態の変形例について説明する。
【0293】
以上の説明では、通信装置11が、通信状況をモニタした結果に基づいて自分の役割を変更する例を示したが、例えば、通信装置11の周囲のコントローラ又はアクセスポイントが、通信状況をモニタした結果に基づいて、通信装置11の役割を変更するようにしてもよい。
【0294】
例えば、通信装置11の上位のコントローラが、コントローラの負荷が高い場合に、下位のアクセスポイント又は通信端末である通信装置11にコントローラに役割を変更するように指示してもよい。例えば、通信装置11の上位のコントローラが、下位のアクセスポイントの負荷が高い場合に、下位の通信端末である通信装置11にアクセスポイントに役割を変更するように指示してもよい。例えば、通信装置11の上位のアクセスポイントが、アクセスポイントの負荷が高い場合に、下位の通信端末である通信装置11にアクセスポイントに役割を変更するように指示してもよい。
【0295】
また、上述した通信装置11の役割を変更する条件は、その一例であり、変更することが可能である。
【0296】
さらに、通信装置11の構成例は、その一例であり、変更することが可能である。例えば、動作制御部23及び無線通信モジュール25の機能の分担を変更することが可能である。例えば、無線通信モジュール25の機能の一部(例えば、モニタ部105、役割設定部106、若しくは、動作制御部107)を動作制御部23に設けるようにしてもよい。また、例えば、動作制御部23の機能の一部を無線通信モジュール25に設けるようにしてもよい。
【0297】
さらに、無線通信モジュール25の無線通信の方式は、特に限定されない。例えば、IEEE 802.11の規格に準拠した無線通信等を適用することが可能である。
【0298】
また、例えば、通信端末が、複数のアクセスポイントを介してコントローラに接続するようにしてもよい。
【0299】
<<3.その他>>
<コンピュータの構成例>
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウェアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行する場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここで、コンピュータには、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどが含まれる。
【0300】
図29は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【0301】
コンピュータ1000において、CPU(Central Processing Unit)1001,ROM(Read Only Memory)1002,RAM(Random Access Memory)1003は、バス1004により相互に接続されている。
【0302】
バス1004には、さらに、入出力インタフェース1005が接続されている。入出力インタフェース1005には、入力部1006、出力部1007、記録部1008、通信部1009、及びドライブ1010が接続されている。
【0303】
入力部1006は、入力スイッチ、ボタン、マイクロフォン、撮像素子などよりなる。出力部1007は、ディスプレイ、スピーカなどよりなる。記録部1008は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる。通信部1009は、ネットワークインタフェースなどよりなる。ドライブ1010は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリなどのリムーバブルメディア1011を駆動する。
【0304】
以上のように構成されるコンピュータ1000では、CPU1001が、例えば、記録部1008に記録されているプログラムを、入出力インタフェース1005及びバス1004を介して、RAM1003にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0305】
コンピュータ1000(CPU1001)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア1011に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することができる。
【0306】
コンピュータ1000では、プログラムは、リムーバブルメディア1011をドライブ1010に装着することにより、入出力インタフェース1005を介して、記録部1008にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部1009で受信し、記録部1008にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM1002や記録部1008に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0307】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0308】
また、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0309】
さらに、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0310】
例えば、本技術は、1つの機能をネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
【0311】
また、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0312】
さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0313】
<構成の組み合わせ例>
本技術は、以下のような構成をとることもできる。
【0314】
(1)
階層構造を有する通信ネットワークの状況をモニタするモニタ部と、
前記通信ネットワークの状況に基づいて、前記階層構造における役割を設定する役割設定部と、
変更された前記役割の動作の実行を制御する動作制御部と
を備える通信装置。
(2)
前記役割設定部は、通信端末、前記通信ネットワークの外部の通信ネットワークである外部ネットワークに接続されるコントローラ、及び、コントローラと通信端末との間の中継を行うアクセスポイントの中から前記役割を設定する
前記(1)に記載の通信装置。
(3)
前記役割設定部は、前記役割が通信端末である場合、前記通信装置の上位のアクセスポイントの負荷に基づいて、前記役割をアクセスポイントに変更する
前記(2)に記載の通信装置。
(4)
前記役割設定部は、前記役割が通信端末又はアクセスポイントである場合、前記通信装置の上位のコントローラの負荷に基づいて、前記役割をコントローラに変更する
前記(2)又は(3)に記載の通信装置。
(5)
前記動作制御部は、前記通信端末が前記外部ネットワークに接続可能である場合、前記役割をコントローラに変更する
前記(4)に記載の通信装置。
(6)
前記動作制御部は、前記役割がコントローラに変更された場合、前記上位のコントローラの下位のアクセスポイントのうちの少なくとも一部を前記通信装置に接続させる
前記(4)又は(5)に記載の通信装置。
(7)
前記役割設定部は、前記役割がアクセスポイントである場合、前記通信装置の負荷に基づいて、前記役割を通信端末に変更する
前記(2)乃至(6)のいずれかに記載の通信装置。
(8)
前記役割設定部は、所定の時間以上データの伝送がない場合、
前記役割を通信端末に変更する
前記(7)に記載の通信装置。
(9)
前記役割設定部は、前記通信装置の周囲に負荷の低いアクセスポイントがある場合、前記役割を通信端末に変更し、
前記動作制御部は、前記通信装置を前記負荷の低いアクセスポイントに接続させる
前記(7)又は(8)に記載の通信装置。
(10)
前記役割設定部は、前記役割がコントローラである場合、前記外部ネットワークとのアクセス状況に基づいて、前記役割をアクセスポイント又は通信端末に変更する
前記(2)乃至(9)のいずれかに記載の通信装置。
(11)
前記役割設定部は、所定の時間以上前記外部ネットワークへのアクセスがない場合、前記役割を通信端末に変更する
前記(10)に記載の通信装置。
(12)
前記役割設定部は、前記通信装置の周囲に負荷の低いコントローラがある場合、前記役割をアクセスポイントに変更し、
前記動作制御部は、前記通信装置を前記負荷の低いコントローラに接続させる
前記(10)又は(11)に記載の通信装置。
(13)
前記役割設定部は、前記通信装置の周囲に負荷の低いコントローラ及び負荷の低いアクセスポイントがある場合、前記役割を通信端末に変更し、
前記動作制御部は、前記通信装置を前記負荷の低いアクセスポイントに接続させる
前記(10)乃至(12)のいずれかに記載の通信装置。
(14)
前記役割設定部は、前記役割が通信端末又はアクセスポイントである場合、前記外部ネットワークへのアクセス不良が発生したとき、前記役割をコントローラに変更する
前記(2)乃至(13)のいずれかに記載の通信装置。
(15)
前記役割設定部は、前記通信ネットワークの負荷の増加に伴い、前記役割を現在より上の階層の役割に変更する
前記(1)乃至(14)のいずれかに記載の通信装置。
(16)
前記役割設定部は、前記通信ネットワークの負荷の減少に伴い、前記役割を現在より下の階層の役割に変更する
前記(1)乃至(15)のいずれかに記載の通信装置。
(17)
前記役割設定部は、さらにユーザ操作により、前記役割を変更する
前記(1)乃至(16)のいずれかに記載の通信装置。
(18)
前記モニタ部は、前記通信ネットワークを構成する各装置の負荷、及び、前記装置間の通信状況のうち少なくとも1つをモニタする
前記(1)乃至(17)のいずれかに記載の通信装置。
(19)
前記モニタ部は、前記通信ネットワークから外部の通信ネットワークへのアクセス状況をモニタする
前記(1)乃至(18)のいずれかに記載の通信装置。
(20)
通信装置が、
階層構造を有する通信ネットワークの状況をモニタし、
前記通信ネットワークの状況に基づいて、前記階層構造における役割を設定し、
変更された前記役割の動作の実行を制御する
通信制御方法。
【0315】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、他の効果があってもよい。
【符号の説明】
【0316】
1 通信ネットワーク, 2 外部ネットワーク, 11 通信装置, 21 外部ネットワーク接続モジュール, 23 動作制御部, 25 無線通信モジュール, 104 ネットワーク管理部, 105 モニタ部, 106 役割設定部, 107 動作制御部, 152 制御部