(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022033377
(43)【公開日】2022-03-01
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
F21S 8/04 20060101AFI20220221BHJP
F21V 21/30 20060101ALI20220221BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20220221BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20220221BHJP
F21V 29/76 20150101ALI20220221BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220221BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20220221BHJP
【FI】
F21S8/04 110
F21V21/30 310
F21V23/00 120
F21V29/503
F21V29/76
F21Y115:10 500
F21Y115:15
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021211853
(22)【出願日】2021-12-27
(62)【分割の表示】P 2017236619の分割
【原出願日】2017-12-11
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 展示会名 全国特約代理店社長会 開催日 平成29年11月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100200159
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 仁志
(72)【発明者】
【氏名】古田 浩晃
【テーマコード(参考)】
3K014
【Fターム(参考)】
3K014AA01
(57)【要約】
【課題】簡素化および軽量化でき、組立性もよい照明器具を提供する。
【解決手段】照明器具10は、発光モジュール、放熱器12、電源部16およびアーム15を備える。放熱器12は、発光モジュールを配設する。電源部16は、発光モジュールに電源を供給する。アーム15は、放熱器12の両側に配設される一対のアーム部60ならびにこれら一対のアーム部60間に対向して設けられる位置決め部66、および発光モジュールの照射角度を調整可能な角度調整部70aを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光モジュールと;
前記発光モジュールを一面側に配設する放熱器と;
前記放熱器の下面側に取り付けられる透光カバー本体と;
前記放熱器の両側から前記一面側にむけて折り曲げ形成されたカバー体落下防止部が設けられ、このカバー体落下防止部が前記カバー体の下面側に重なるように前記放熱器に取り付けられる一対のアーム部と;
を備えることを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記発光モジュールを電源に供給する電源部を有し、電源部は、前記アーム部間に対向しアーム部に取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、発光モジュールを用いる照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば施設等の天井が高い空間の照明に用いられる高天井用の照明器具がある。
この照明器具では、発光素子を有する発光モジュールが用いられ、この発光モジュールが放熱器の下面側に取り付けられている。放熱器の上面側には発光素子が発生する熱を放熱するための複数の放熱フィンが突設されている。放熱器はこの放熱器の上方に配設される本体シャーシに支持され、この本体シャーシ上に電源部が配設されている。本体シャーシには天井等に設置するためのアームが連結されている。
【0003】
このような照明器具では、構造が簡単で、軽く、組立性もよいことが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、簡素化および軽量化でき、組立性もよい照明器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態である照明器具は、発光モジュールと、前記発光モジュールを一面側に配設する放熱器と、前記放熱器の下面側に取り付けられる透光カバー本体と、前記放熱器の両側から前記一面側にむけて折り曲げ形成されたカバー体落下防止部が設けられ、このカバー体落下防止部が前記カバー体の下面側に重なるように前記放熱器に取り付けられる一対のアーム部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡素化および軽量化でき、組立性もよい照明器具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】同上照明器具の電源部を組み立てる際の斜視図である。
【
図5】同上照明器具の電源部を外した斜視図である。
【
図7】同上照明器具の放熱器の1つのフィンの斜視図である。
【
図8】同上照明器具の反射体および透光カバーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0010】
図1に示すように、照明器具10は、例えば施設等の天井が高い空間の照明に用いられる高天井用照明器具である。
【0011】
図3および
図4に示すように、照明器具10は、発光モジュール11、この発光モジュール11を配設する放熱器12、発光モジュール11に対向配置されて配光を制御する反射体13、発光モジュール11および反射体13を覆う透光カバー(下面カバー)14、放熱器12を支持するアーム15、および発光モジュール11に電源を供給する電源部16等を備えている。
【0012】
そして、発光モジュール11は、基板20、およびこの基板20の一面に実装された複数の発光素子21を備えている。
【0013】
基板20は、
図3に示すように四隅や各辺の中心付近または全体の中央付近が切り取られたような略四角形(例えば略正方形でもよい)に形成されている。基板20の一面に、発光素子21を実装するパターンが設けられている。基板20は、基板20の他面が放熱器12の下面に絶縁性を有する放熱シート22を介して密着するように取り付けられている。基板20の取り付けには、基板20を押える絶縁性を有する複数の基板押え23、およびこれら基板押え23を介して放熱器12に基板20を締め付け固定する図示しない複数のねじが用いられている。
基板20の中央には配線孔20aが形成されている。基板20の四隅および配線孔22aの周囲に基板押え23が嵌合する嵌合部20b,20cが形成されている。基板20の四隅の嵌合部20bは溝状に形成され、配線孔22aの周囲の嵌合部20cは孔状に形成されている。基板20の各辺の中央には、放熱器12への反射体13の取り付けを可能とするための半円状の溝部20dが形成されている。また、放熱シート22の中央にも配線孔22aが形成されている。なお、基板20の一面のパターン上には図示しない光源側コネクタが実装されている。
【0014】
樹脂等の絶縁部材からなる基板押え23は、反射体13とは別体として設けられる。これにより、長期使用においても発光素子21からの熱影響による寸法変化等が抑制される。
【0015】
また、嵌合部20b,20cおよび溝部20dの形状は任意であり、基板20を切り欠くように形成される嵌合部20b,20cおよび溝部20dの面積を増やすことで基板20の軽量化を図ってもよいし、嵌合部20b,20cおよび溝部20dの面積を小さくすることで基板20の形状を簡略化し、製造および組立が容易な構成にしてもよい。
【0016】
発光素子21は、例えば表面実装形LEDが用いられている。発光素子21は、基板20の一面のパターン上に所定の配列で実装されている。発光素子21は基板20の複数箇所の実装領域に分かれて実装され、複数の発光部24が構成されている。本実施形態では、基板20の四隅に対応した4箇所の実装領域に分かれて実装され、4つの発光部24が構成されている。
発光部24は、例えば複数の発光素子21が略円形に配列されて設けられた領域である。なお、発光素子21は、LEDに限らず、有機ELなどの他の発光素子を用いてもよい。
【0017】
また、
図1ないし
図6に示すように、放熱器12は、例えばアルミニウムなどの金属材料によって形成されている。放熱器12は、ベース26、このベース26の上面側から突出する複数のフィン27を備えている。なお、本実施形態ではベース26と各放熱フィン27とは別体としているが、ベース26およびフィン27を例えば押出成形や3Dプリンタによって一体に形成してもよい。
【0018】
ベース26は、四角形状(例えば正方形)でかつ平板状のベース板部28、ベース板部28の一方の対向する両側縁から上方に折曲された一方の側板部29、およびベース板部28の他方の対向する両側縁から上方に折曲された他方の側板部30を備えている。なお、一方の側板部29および他方の側板部30がベース板部28から上方に折曲される曲面部分の曲率半径は異なっていてもよい。例えば、一方の側板部29がベース板部28から上方に折曲される曲面部分の曲率半径は、他方の側板部30がベース板部28から上方に折曲される曲面部分の曲率半径よりも大きく形成されてもよい。そして、ベース板部28の下面に、発光モジュール11の基板20が放熱シート22を介して取り付けられている。
【0019】
ベース板部28の中央には配線孔26aが形成されている。一方の側板部29には、設置時の振れ防止用のワイヤや落下防止用のワイヤ等を連結するための連結孔29aが形成されている。
【0020】
ベース26の上面には、各フィン27の固定位置に対応してかしめ用の複数の突起31が突設されている。各フィン27の固定位置は、両側の一方の側板部29の間で、ベース26の中央の配線孔26aを挟んだ両側域となっている。
【0021】
フィン27は、ベース26の上面で、両側の一方の側板部29間に平行に並んで設けられている。フィン27は、
図6および
図7に示すように、ベース26の上面に固定される固定部32、およびこの固定部32から互いに対向するように折曲された一対のフィン部33を有する断面略U字形に形成されている。
【0022】
固定部32には、ベース26の上面から突出する複数の突起31が貫通する複数の貫通孔32aが設けられている。そして、貫通孔32aを貫通した突起31を上方から固定部32の上面に押し付けるようにしてかしめることにより、フィン27がベース26に固定されている。
【0023】
固定部32から両フィン部33のベース26と接触する下縁に亘って、ベース26の上面側に突出する図示しない突出物との干渉を避けるための開口部34が形成されている。開口部34は、例えば長方形や半円形および多角形等の形状に形成される。突出物としては、ベース26の下面側に発光モジュール11、反射体13および透光カバー14をそれぞれ固定するためのねじ等がある。また、突出物は、放熱器12に他の構成部品を取り付ける取付位置となる図示しない構成部材や、フィン部33とは異なる図示しない別の放熱部材等であってもよい。さらに、各フィン部33の下側には、複数の開口部35が形成されている。開口部35は、例えばフィン部33の下縁に沿った方向に長い長方形や長円形等の形状に形成されている。そして、開口部34と開口部35とはフィン部33の下縁に沿った方向に位置をずらして配設されている。すなわち、フィン27の幅方向全体域に点在して開口部34および開口部35が配設されている。そして、これら開口部34,35は、空気が流通する通気開口としての機能を有する。
【0024】
例えば開口部34は、熱の発生する発光素子21が配置されたベース26と接触する部位に設けられるため、ベース26からの熱を直接外気に発散させることができ、高い放熱効果が期待できる。また、開口部35は、フィン部33に囲まれるように形成されるため、ベース26から熱を伝導したフィン部33が外気と触れる表面積を増やすことができ、効率のよい放熱が期待できる。また、他の実施例として、開口部34および35は、フィン部33の下縁に沿った方向である幅方向に一部以上重なるよう並べて配設されてもよい。また、開口部34は、例えばフィン部33の立ち上がり方向に長い長方形や長円形に形成されてもよい。開口部35は、フィン部33の下側だけでなく中心側や上側にあってもよいし、フィン部33の立ち上がり方向に向かって二列以上に並べて配設されてもよい。
【0025】
フィン部33の上縁中央には、凹部38が形成されている。この凹部38は、例えば発光モジュール11と電源部16とを電気的に接続する配線36の中間部を保持部材37によって保持可能なように設けられている。例えば、凹部38は、中央付近から上方に突出する凸部39、およびこの凸部39の両側に設けられた切欠き部40を備えている。このとき、凸部39の先端側には幅広となる抜止め部が設けられている。保持部材37としては結束バンドが用いられている。そして、保持部材37は、両側の切欠き部40を通じて凸部39に引っ掛けられるとともに、配線36を凸部39に対して締め付けて保持する。保持部材37は、凸部39の先端側の抜止め部によって凸部39の先端側から脱落することなく配線36を保持する。
【0026】
また、凹部38は、例えばフィン部33の上縁からの切欠きではなく、フィン部33の上側に口形状の孔を切欠き部40としてフィン部33の上縁方向に二箇所並べて設け、その2つの切欠き部40間に形成される部分を凸部39として、保持部材37によって配線36を保持可能な構成としてもよい。
【0027】
また、凹部38は、フィン部33の上方に設けられるためフィン部33の上方の表面積を広げる役割を果たし、フィン部33に沿って上方へ伝導されるベース26からの熱を効率よく発散できるという効果が期待できる。また、凹部38は、フィン部33の上方中心付近に外気を効率よく通気できるという効果も望める。
【0028】
複数のフィン27は、共通の部品が用いられている。すなわち、全てのフィン27は、固定部32および一対のフィン部33を備えるとともに、開口部34,35および凹部38を備えている。
【0029】
そのため、複数のフィン27は、フィン部33の平面側から見て最奥のフィン部33まで貫通するように形成される複数の開口部34、複数の開口部35および複数の凹部38を有する。これら複数の開口部34、複数の開口部35および複数の凹部38を有することにより、複数のフィン27は、フィン27中を通り抜けるように外気の流れを取り入れられるため、高い放熱効果が期待できる。
【0030】
そして、フィン27は、ベース26の両側の一方の側板部29間で、ベース26の配線孔26aが設けられた中央域を除いた両側域に配設されている。すなわち、ベース26の中央域には、フィン27は設けられず、ベース26の配線孔26aが開口されている。
【0031】
なお、フィン27は、断面略U字形に限らず、固定部32と一方のフィン部33を有する断面略L字形でもよく、あるいは、フィン部33のみを有する平板状でもよい。平板状の場合には、ベース26の上面に複数のスリットを設け、各スリットに各フィン27を差し込んで固定するようにしてもよい。
【0032】
また、
図3、
図4および
図8に示すように、反射体13は、発光モジュール11の各発光部24に対向配置される複数の反射筒部43、およびベース26に取り付けられる複数の取付部44を備えている。本実施形態では、複数の反射筒部43および複数の取付部44が一体に形成されているが、複数の反射筒部43を別体とし、各反射筒部43毎に取付部44を設けてもよい。
【0033】
反射筒部43は、上下方向に開口するとともに、下方へ向けて拡開する円筒状に形成されている。反射筒部43の内面には、例えば鏡面等の高反射率の反射面43aが形成されている。各反射筒部43は発光モジュール11の各発光部24に対応する位置に配置されるとともに隣り合う反射筒部43の下部側が一体に設けられている。反射筒部43の外側に位置する下端周辺部から上方に向けて縁部43bが突設されているとともに、縁部43bが反射体13の外周を一周するように一体に設けられている。さらに、各反射筒部43の外面と縁部43bの内側との間に複数のリブ43cが設けられている。このような構造により、反射体13の強度が確保されている。そして、反射筒部43は、上面開口から発光モジュール11の発光部24の光を入射し、下面開口から出射する光の配光を制御する。
【0034】
また、例えば反射筒部43は配設されなくともよく、その場合はより簡易な構成となるため、軽量化や製造コストの低減、組立の簡易化が望めるという効果を奏する。
【0035】
また、反射筒部43の代わりに発光素子21を覆うように設けられる不図示のレンズ部材が設けられてもよい。その場合は、軽量化や小型化、配光性の向上等の効果が期待できる。
【0036】
取付部44は、隣り合う反射筒部43間から立ち上げられたボス部45の上端に設けられており、基板20の溝部20dを通じて放熱器12(放熱シート22)の下面側に配置され、図示しないねじによってベース26の下面に固定されている。
【0037】
取付部44は、隣り合う反射筒部43間から立ち上げられたボス部45の上端に設けられている。取付部44は、反射筒部43よりも基板20の厚み分だけ上方に突出されており、基板20の溝部20dを通じて放熱器12のベース26の下面側に放熱シート22を介して配置され、図示しないねじによってベース26の下面側に固定されている。
【0038】
また、透光カバー14は、発光モジュール11および反射体13を覆って放熱器12の下面側に取り付けられる透光カバー本体48、および放熱器12の側部に係合して透光カバー本体48を位置決めする係合部49a,49bを備えている。この透光カバー14は、一体に形成されている。
【0039】
透光カバー本体48は、発光モジュール11および反射体13の下面側を覆う下面部50、発光モジュール11および反射体13の側面側を覆う側面部51、および側面部51の上縁に設けられベース26の下面側に取り付けられる枠状の取付縁部52を備えている。下面部50は平面状に形成され、側面部51は反射体13の側面の形状に沿った形状に形成されている。側面部51の形状は、反射体13の各反射筒部43の側面に沿った複数の曲面部51aと、隣り合う反射筒部43間の側面(ボス部45)に沿った平面部(窪み部)51bとを含んでいる。曲面部51aは側面部51の四隅位置に配置され、平面部51bは隣り合う曲面部51aの間で窪んだ位置に配置されている。また、取付縁部52は、放熱器12のベース26の下面形状に対応した四角形枠状に形成されている。取付縁部52は、この取付縁部52の四隅部分が側面部51の各曲面部51aよりも側方に突出されているとともに、取付縁部52の各辺の中央部分が側面部51の平面部51bよりも側方に突出されている。取付縁部52の突出部分が図示しないねじで放熱器12のベース26の下面に固定されている。
【0040】
係合部49a,49bは、透光カバー本体48の取付縁部52の4辺から上方に突設されている。
係合部49aは、放熱器12の一対の一方の側板部29の位置に対応して配設され、また、係合部49bは、放熱器12の一対の他方の側板部30の位置に対応して配設されている。係合部49a,49bは、放熱器12の一対の一方の側板部29と一対の他方の側板部30の外側に弾性的に係合し、放熱器12に対して透光カバー本体48を位置決め保持する。係合部49a,49bは、透光カバー本体48の取付縁部52の各辺で各曲面部51aの位置に対応した2箇所に離間して設けられている。
【0041】
取付縁部52から上方に突設される係合部49a,49bの曲面部分は、放熱器12のベース26から上方に突設される一対の一方の側板部29および一対の他方の側板部30の曲面部分に係合してもよい。この場合、一対の一方の側板部29の曲面部分と一対の他方の側板部30の曲面部分との曲率半径が異なるのに対応して、一対の一方の側板部29の曲面部分に係合する係合部49aと一対の他方の側板部30の曲面部分に係合する係合部49bの曲面部分との曲率半径が異なるよう形成されてもよい。例えば、一対の一方の側板部29に係合する係合部49aの曲率半径は、一対の他方の側板部30に係合する係合部49bの曲率半径よりも大きくなるように形成されてもよい。この構成によれば、同一の曲率半径の係合部49a,49bのみで放熱器12に係合させるよりも、透光カバー本体48の係合強度が強くなるという効果が期待できる。また、透光カバー本体48を放熱器12に対して取り付ける場合、透光カバー本体48を90°回転させると、放熱器12の一方の側板部29および他方の側板部30に対して曲率半径が異なる係合部49a,49bが係合位置にくるため、正しい透光カバー本体48の取り付け方向を容易に認識できる。
【0042】
なお、係合部49a,49bは、例えばアーム15が取り付けられる放熱器12の取付側の両側部(一方の側板部29)とこれら取付側の両側部に直交する非取付側の両側部(他方の側板部30)とのうち、取付側の両側部(一方の側板部29)のみに設けられてもよいし、非取付側の両側部(他方の側板部30)のみに設けられてもよい。
【0043】
また、係合部49a,49bは、透光カバー14の重力方向への落下を防止できる構成であれば、取付側の両側部(一方の側板部29)および(または)非取付側の両側部(側板部30)に係合しなくともよいし、曲面に弾性的に係合するものでなくともよい。
【0044】
例えば、一対の係合部49a(または49b)は、透光カバー本体48の取付縁部52から上方に突出した後、照明器具10の内部に向かって延びる爪部(不図示)を有するように形成され、ベース26の縁に爪部をスライドさせるようにして透光カバー14を放熱器12に係合させてもよい。または、一対の係合部49a(または49b)は、透光カバー本体48の取付縁部52から上方に突出するとともに、その突出した先端に下方に向けた返しを有するように形成され、ベース26に形成された不図示の孔等に貫通することにより、返しによって落下防止可能な構成であってもよい。
【0045】
透光カバー14は、光透過性の良いクリアカバーでもよいし、光を拡散する拡散カバーでもよい。透光カバー14は、本実施形態では全体が透光性を有しているが、少なくとも下面部50が透光性を有していればよく、側面部51、取付縁部52および係合部49等は非透過性であってもよい。また、透光カバー14は発光素子21から照射される光を光学制御可能なレンズ等と一体に形成されてもよい。
【0046】
透光カバー14の下面部50の外周縁には、脚部53が突設されている。脚部53が突設されていることにより、照明器具10を床面等に置いた際、脚部53が床面等に接触し、下面部50の面が床面等に接触して傷付くのを防止する。
【0047】
そして、透光カバー14は、発光モジュール11および反射体13が取り付けられた放熱器12の下面側を閉塞し、虫や埃等が侵入するのを防止する。
【0048】
なお、ベース26には配線36を通す配線孔26aが開口されているため、透光カバー14内への虫や埃等が侵入するのを防止するには、配線孔26aも閉塞する必要がある。配線孔26aを閉塞するために、配線36が貫通するパッキン56、およびこのパッキン56をベース26に取り付けるパッキン押え57が用いられている。パッキン56およびパッキン押え57はベース26の下面側から取り付けられている。パッキン押え57は、図示しないねじにより、パッキン56を介してベース26に固定されている。
【0049】
また、
図1ないし
図5に示すように、アーム15は、放熱器12の両側部に取り付けられる一対のアーム部60、およびこれらアーム部60の上端間に角度調整可能に連結されたアーム設置部61を備えている。なお、アーム15は、上方に立ち上がる両側部ではなく、直接ベース26に取り付けられてもよい。
【0050】
アーム部60は、例えばアルミニウム等の金属板によって形成されている。アーム部60の下端側には、複数の挿通孔62が設けられている。そして、アーム部60の下端側は、放熱器12の両側部つまり一方の側板部29の外側部に配置され、挿通孔62を挿通する図示しない複数のねじやボルト等を含む締結手段によって放熱器12の両側部つまり一方の側板部29に固定されている。
【0051】
アーム部60の上端側には、アーム設置部61と連結するための支点孔63および調整孔64が上下に離間して設けられている。アーム部60の下端側には、透光カバー14(取付縁部52)の下面側に配置される落下防止部65が折曲形成されている。落下防止部65は、透光カバー14の隣り合う曲面部51a間の窪み部分に進入して平面部51bに対向され、平面部51bの上端から外側に突出する取付縁部52の下面側に配置されている。
【0052】
一対のアーム部60の上下方向中間位置には、一対のアーム部60間の所定の取付位置Aに電源部16を位置決めする一対の位置決め部66が対向して設けられているとともに、所定の取付位置Aに電源部16を複数のねじボルト等の締結部材S(
図1参照)で水平方向から支持して取り付けるための複数の挿通孔67が設けられている。
【0053】
位置決め部66は、アーム部60の両側縁から切り起こされた切起片68を有している。そして、一対のアーム部60の4箇所の切起片68上に電源部16を載せることにより、電源部16を所定の取付位置Aの高さに位置決めするとともに支えることができる。
【0054】
位置決め部66が設けられることにより、挿通孔67に締結部材Sを用いて電源部16を固定する水平方向の固定と、電源部16が切起片68に載せられることによる重力方向の固定がなされる。このように電源部16が複数方向から固定されることにより、従来のような本体シャーシを必要とせず、照明器具10の大幅な軽量化および簡素化を実現できる。
【0055】
なお、位置決め部66は、切起片68に限らず、アーム部60の内面側から突出する複数の山形の突起部や、アーム部60を屈曲させた段差部等でもよい。また、位置決め部66は、突出する部位でなく切欠きとしてアーム部60に設けられてもよい。その場合、電源部16は、位置決め部66の切欠きに係合するような突起を有していてもよい。あるいは、一対のアーム部60の内、一方のアーム部60に設けられる位置決め部66と他方のアーム部60に設けられる位置決め部60が異なる形状の構成であってもよい。また、位置決め部66は、アーム部60の長手方向に複数並べて設けられるものでもよい。この場合、複数の方向から電源部16の位置が定められるため、電源部16を配設しやすくなるとともに、電源部16の固定がより安定した強固なものとなる。
【0056】
例えば、一対のアーム部60の内、一方のアーム部60に設けられる位置決め部66は、アーム部60の長手方向において上下段に分かれて設けられ、上段の位置決め部66は電源部16に設けられた突起と係合するような切欠きとして形成され、下段の位置決め部66は上面が電源部16の底面と接触するような切起片68として形成される。他方のアーム部60に設けられるとともに一方のアーム部60の位置決め部66と対応する上段の位置決め部66は、下面が電源部16の上面に接触するような切起片68として形成され、他方のアーム部60に設けられるとともに一方のアーム部60の位置決め部66と対応する下段の位置決め部66は、電源部16に設けられた突起と係合するような切欠きとして形成されてもよい。
【0057】
また、位置決め部66は、電源部16以外の部材の位置を定めるために形成されてもよい。
例えば、無線通信などを行うセンサや、他の部材を積載するような天板などが同様に位置決め部66によって位置決めされる構成であってもよい。
【0058】
アーム設置部61は、金属板によって形成されている。アーム設置部61は、設置部69、およびこの設置部69の両端から下方へ折曲された支持部70を有している。設置部69には、電源部16に電源供給する電源線が挿通される配線孔71a、および天井等の被設置部に設置するための複数の設置孔71bが設けられている。支持部70には、アーム部60と連結するための支点孔72および調整溝73が設けられている。調整溝73は、支点孔72を中心とした円弧状に設けられている。
【0059】
そして、アーム設置部61の両側の支持部70は、アーム部60の外側に配置され、アーム設置部61の支点孔72およびアーム部60の支点孔63を挿通する図示しない支軸手段(例えばボルトおよびナット)によって回動可能に連結されているとともに、アーム設置部61の調整溝73およびアーム部60の調整孔64を挿通する図示しない締結手段(例えばボルトおよびナット)によって締め付け固定されている。そして、締結手段が緩められた状態で、天井等の被設置部に設置されるアーム設置部61に対してアーム部60を角度調整可能とするものであって、照明器具10の光照射方向を例えば直下方向等の任意の方向となるように角度調整可能とする。すなわち、アーム15は、照射角度の角度調整を行う角度調整部70aを有している。
【0060】
支持部70は、例えばアーム部60の長手方向よりも短く形成される。すなわち、アーム部60、照明器具10および発光モジュール11の照射角度の角度調整を行う角度調整部70aである支点孔72および調整溝73は、電源部16よりも上方に設けられる。この場合、位置決め部66が設けられていることにより、角度調整を行っても電源部16をアーム設置部61および支持部70と干渉しない位置に手早く配設できるという効果を有する。
【0061】
また、例えば他の実施形態として、支持部70がアーム部60の長手方向よりも長く形成され、角度調整を行う支点孔72および調整溝73が電源部16よりも下方に設けられてもよい。
この場合、挿通孔67および位置決め部66は、支持部70におけるアーム設置部61と支点孔72の間に設けられる。その時、アーム設置部61および支持部70を照明器具10に対して角度調整すると、支持部70に固定され電源部16も共に動いてしまう。この様な場合であっても、適切な位置に位置決め部66が設けられていることにより、電源部16がフィン27と干渉することを防ぐことができるという効果を有する。
【0062】
また、電源部16は、アーム15の一対のアーム部60間の所定の取付位置Aに取り付けられている。電源部16は、放熱器12とアーム15のアーム設置部61(設置部69)との間で、放熱器12およびアーム設置部61(設置部69)に対してそれぞれ空間をあけて配設されている。
電源部16は、放熱器12と電源部16との間の距離が、アーム15のアーム設置部61(設置部69)と電源部16との間の距離よりも狭くなる位置関係に配設されている。
【0063】
電源部16は、電源ボックス76、この電源ボックス76に配置される複数の端子台77、および電源ボックス76内に収容される電源回路78を備えている。
【0064】
電源ボックス76は、上下方向の高さ(厚み)が薄い扁平状のボックス形状に形成されている。電源ボックス76は、上面を開口した電源ケース79、およびこの電源ケース79の上面側を覆う電源カバー80を備えている。
【0065】
電源ボックス76の一方の対向する側面は、一対のアーム部60の内面側に取り付けられる取付面81として構成されている。取付面81には、アーム部60の各挿通孔62を挿通した締結部材S(
図1参照)が螺着される複数の取付孔82が設けられている。また、電源ボックス76の取付面81と直交する一方の側面の一部が開口され、この開口に臨む電源ボックス76の内側に端子台77が配置されている。また、電源ボックス76の下面中央に配線孔76aが設けられている。
【0066】
電源回路78は、電源基板83、およびこの電源基板83に実装された複数の電子部品84を備えている。そして、電源回路78は、一方の端子台77を通じて交流電源を入力し、この交流電源を所定の直流電源に変換して発光モジュール11に供給し、発光素子21を点灯させる。
また、電源回路78は、他方の端子台77を通じて外部の制御部や調光器から調光信号を入力し、この調光信号に応じて発光素子21を調光制御する。
【0067】
電源部16と発光モジュール11とは、配線36によって電気的に接続されている。配線36の一端は発光モジュール11に実装された光源側コネクタに電気的に接続され、他端は電源回路78が有する電源側コネクタ85に接続されている。配線36の一端と他端との間は、基板20の配線孔20a、放熱シート22の配線孔22a、パッキン56、放熱器12の配線孔26a、中央側の隣り合うフィン27間、電源ボックス76の配線孔76aを挿通されている。そして、配線36は、放熱器12と電源部16との間において、結束バンド等の保持部材37により1つのフィン27の凹部38に保持されている。
【0068】
なお、電源ボックス76に、所定の取付位置Aでアーム部60の位置決め部66によって位置決めされる被位置決め部を設けてもよく、この場合には、アーム部60の挿通孔62と電源ボックス76の取付孔82とを位置決めすることができる。被位置決め部は、アーム部60の切起片68に嵌り込む溝部や凹部あるいは一対の突起部等がある。
【0069】
そして、照明器具10を組み立てるには、放熱器12の下面側に、パッキン56を介してパッキン押え57をねじ止めするとともに、放熱シート22および発光モジュール11を複数の基板押え23を介してねじ止めする。
【0070】
放熱器12の下面側に、反射体13を配置してねじ止めするとともに、この反射体13を覆うように透光カバー14を配置してねじ止めする。透光カバー14は、取付縁部52から突出する四方の係合部49a,49bを放熱器12の周囲側面に係合することにより、放熱器12に位置決めされ、取付縁部52を放熱器12の下面側に容易にねじ止めすることができる。
【0071】
アーム15の一対のアーム部60を放熱器12の両側部に配置して締結手段で固定する。なお、アーム15の一対のアーム部60とアーム設置部61とは予め組み立てられていてもよし、分離状態の一対のアーム部60を放熱器12の両側部に配置して締結手段で固定した後にその一対のアーム部60にアーム設置部61を取り付けるようにしてもよい。
【0072】
電源部16を一対のアーム部60間に挿入するとともにアーム部60の内面側に突出する複数の切起片68上に載せる。これにより、一対のアーム部60間の所定の取付位置A(少なくとも取付位置Aの高さ位置)に電源部16を位置決めして支えることができる。このとき、電源部16の取付孔82の位置がアーム部60の挿通孔67からずれていても、電源部16を複数の切起片68上でスライドさせることによって容易に一致させることができる。締結部材S(
図1参照)をアーム部60の挿通孔67を通じて電源部16の取付孔82に螺着し、一対のアーム部60間に電源部16を取り付ける。
【0073】
また、配線36は、組立途中において、パッキン56に通し、一端側を発光モジュール11に接続し、他端側を電源回路78に接続する。なお、放熱器12の配線孔26aから上方に引き出された配線36と電源部16の配線孔76aから下方に引き出された配線36とをコネクタ接続するようにしてもよい。そして、放熱器12と電源部16との間の配線36の中間部は、保持部材37によって1つのフィン27に設けられている凹部38に保持する。
【0074】
そして、照明器具10を設置するには、アーム15のアーム設置部61を天井等の被設置部に取り付ける。例えば被設置部が傾斜しているような場合には、アーム15のアーム設置部61も傾斜するが、アーム設置部61に対してアーム部60の角度を調整することにより、照明器具10からの光照射方向を例えば直下方向に設定することができる。
【0075】
必要に応じて、一方の側板部29の連結孔29aに、被設置部からの振れ防止用のワイヤや落下防止用のワイヤ等を連結する。
【0076】
また、照明器具10の点灯時には、電源部16によって交流電源を所定の直流電源に変換して発光モジュール11に供給し、発光モジュール11の発光素子21が点灯する。点灯する発光素子21からの光は、反射体13および透光カバー14を通過して照明空間に照射される。透光カバー14は、下面部50が明るく光るが、透光カバー14に入射した光の一部が側面部51に導光されたり反射体13と下面部50の内面との隙間から漏れる光が側面部51に入射して側面部51も光る。
【0077】
点灯時に発光素子21が発生する熱は、主として、基板20から放熱器12に伝わり、放熱器12の複数のフィン27から空気中に放熱される。フィン27には、開口部34,35が設けられているため、複数のフィン27が並列に配列されている状態でも、外側の相対的に温度の低い空気が外側のフィン27から内側のフィン27まで流通しやすくなり、複数のフィン27によって効率よく放熱される。
【0078】
また、透光カバー14が発光モジュール11および反射体13が取り付けられた放熱器12の下面側を閉塞し、かつ、配線36が挿通する放熱器12の配線孔26aをパッキン56で閉塞し、透光カバー14の内側に虫や埃等が侵入するのを防止する。
【0079】
そして、本実施形態の照明器具10では、放熱器12にアーム15の一対のアーム部60を取り付け、これら一対のアーム部60間に電源部16を取り付ける構成であるため、本体シャーシ等が不要となり、簡素化および軽量化することができる。
【0080】
このように簡素化および軽量化された照明器具10は、設置時の施工を行いやすく、施工にかかる時間を短縮でき、さらに、照明器具10を設置する天井側等の被設置部に加わる負荷を軽減できる。
【0081】
また、電源部16は、アーム15に取り付けられるため、放熱器12からの熱影響を軽減できる。
【0082】
しかも、アーム15は、アーム部60間の所定の取付位置Aに電源部16を位置決めする位置決め部66を有しているため、アーム部60間の所定の取付位置Aに電源部16を容易に取り付けることができ、組立性を向上できる。
【0083】
位置決め部66として、アーム部60から切り起こした切起片68を用いることにより、簡単に構成できる。さらに、各アーム部60の幅方向の両側縁に切起片68を設けることにより、これら切起片68上に載る電源部16の状態が安定し、作業しやすくできる。
【0084】
また、一対のアーム部60は、透光カバー14の下面側に配置される落下防止部65を有するため、仮に、透光カバー14に加わる発光モジュール11等からの熱の影響や振動の影響等で、透光カバー14が放熱器12から外れても、落下防止部65に透光カバー14の下面側が支えられるため、透光カバー14の落下を防止できる。しかも、アーム部60に落下防止部65を一体に設けることにより、簡単な構成で落下防止できる。
【0085】
さらに、透光カバー14には放熱器12の側面部に係合する係合部49a,49bが設けられているため、透光カバー14が放熱器12から外れて落下防止部65で支えられた状態で、この落下防止部65から透光カバー14がずれて外れるのを防止することができる。
【0086】
また、放熱器12に取り付けられるとともに電源部16が取り付けられる一対のアーム部60に対して、アーム設置部61を角度調整可能に連結しているため、天井等の被設置部が傾斜していても、照明器具10からの光照射方向を適切に調整することができる。
【0087】
さらに、電源部16は、放熱器12に固定されるアーム部60に取り付けられることにより、角度調整可能でありながら、放熱器12と電源部16との位置関係を一定に保つことができるため、角度調整しても放熱器12と電源部16とが当たることがなく、しかも、電源部16で放熱器12の上方域を覆い、埃等が放熱器12に付着するのを低減できる。
【0088】
また、放熱器12のベース26の周辺部から一方の側板部29および側面部30を折曲して設けているため、ベース26のベース板部28に複数のフィン27をかしめる構造であっても、ベース26の強度を向上し、ベース部26の変形を防止することができる。
【0089】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0090】
10 照明器具
11 発光モジュール
12 放熱器
14 透光カバー
15 アーム
16 電源部
48 透光カバー本体
49a,49b 係合部
60 アーム部
61 アーム設置部
66 位置決め部
70a 角度調整部