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  • 特開-卓球用ラケット 図1
  • 特開-卓球用ラケット 図2
  • 特開-卓球用ラケット 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022033393
(43)【公開日】2022-03-02
(54)【発明の名称】卓球用ラケット
(51)【国際特許分類】
   A63B 59/42 20150101AFI20220222BHJP
【FI】
A63B59/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020137238
(22)【出願日】2020-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】520310414
【氏名又は名称】熊谷 義勝
(74)【代理人】
【識別番号】100176256
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 隆敬
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 義勝
(57)【要約】
【課題】 ペンホルダーとシェークハンドの双方の優位性を併せ持ち、高度なプレーを行うことが可能な卓球用ラケットを提供する。
【解決手段】 卓球用ラケット1は、ブレード2と、グリップ3と、を備えている。グリップ3は、プレイヤーの手のひらで包むようにして使用されるものであり、ブレード2の一の面21の縁部側21aに設けられており、少なくとも手のひらとフィットする部分が略球体形状を有している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレードと、
グリップと、
を備えた卓球用ラケットであって、
前記グリップは、プレイヤーの手のひらで包むようにして使用されるものであり、前記ブレードの一の面の縁部側に設けられており、少なくとも前記手のひらとフィットする部分が略球体形状を有していることを特徴とする卓球用ラケット。
【請求項2】
前記ブレードの外縁からは他のグリップが延出していないことを特徴とする請求項1に記載の卓球用ラケット。
【請求項3】
前記ブレードの面に対して略垂直な第1の方向から見た場合に、前記グリップのうち、前記略球体形状を有する部分の少なくとも一部が、前記ブレードの外縁よりも外側に位置していることを特徴とする請求項1又は2に記載の卓球用ラケット。
【請求項4】
前記略球体形状を有するグリップは、前記ブレードを挟むように設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の卓球用ラケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卓球用ラケットに関する。
【背景技術】
【0002】
卓球は、“競技者の好みや、戦型、また身体的な特徴に合わせて競技用具(卓球用ラケットの種類等)を選択できる”という高い自由度を有する稀有な競技であり、その競技用具の多様性も卓球の魅力の一つであると言える。
【0003】
卓球用ラケットにおいて、ブレードに対するグリップ(指)の位置や、グリップの形状は、ラケット操作に大きく影響を及ぼすものである。卓球用ラケットとしては、ペンホルダーとシェークハンドの2種類に大きく分けられるが、ペンホルダーとシェークハンドの相対的な優位性は、概ね以下の通りとなる。
【0004】
(1)ペンホルダー
【0005】
グリップは、ブレードに近い位置にあり、ペンを持つ手の形と同様に親指、人差し指でグリップの付け根を支え、ブレードの裏面を中指で主に支え、薬指、小指に関しては中指に添えるという形になる。このようなグリップの位置及び形状により、指先や手首の力加減によりラケットの角度等を微調整しやすくなるので、サービスやネット際の打球操作性において優位性を有することとなる。
【0006】
(2)シェークハンド
【0007】
グリップは、ペンホルダーの場合よりもブレードから離れた位置にあり、握手をする手の形と同様に親指、人差し指でグリップを挟み、中指でグリップを支え、薬指、小指に関しては中指に添えるという形になる。このようなグリップの位置及び形状により、バックハンドの安定感と攻撃力、及び、フォアハンドとバックハンドの切り替えの操作性において優位性を有することとなる。
【0008】
その他、使用者は多数ではないもののハンドソウ呼ばれる、ブレードに設けられた穴に指を挿入して使用する卓球用ラケットも用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実開昭50-89455号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記したように、ペンホルダーとシェークハンドは、それぞれの優位性(長所)を有している一方で、ペンホルダー(シェークハンド)の優位性がシェークハンド(ペンホルダー)の課題(短所)ともなっている。上記特許文献1に記載のハンドソウも、シェークハンドとペンホルダーの長所を併せ持ったり、短所を補ったりする性質のものではない。
【0011】
そこで、本発明は、ペンホルダーとシェークハンドの双方の優位性を併せ持ち、高度なプレーを行うことが可能な卓球用ラケットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、ブレードと、グリップと、を備えた卓球用ラケットであって、前記グリップは、プレイヤーの手のひらで包むようにして使用されるものであり、前記ブレードの一の面の縁部側に設けられており、少なくとも前記手のひらとフィットする部分が略球体形状を有していることを特徴とする卓球用ラケットを提供している。
【0013】
このような構成によれば、プレイヤーは打球面に近い位置で卓球用ラケット1を握る(包む)ことになるので、サービスやネット際の打球操作性に優れた特性を有する。また、打球面に近い位置で卓球用ラケットを握る(包む)ことで、フォアハンド、バックハンドの切り替えがスムーズになり、特に、体の中央を狙われた際の球の処理がしやすくなるという特性も有する。また、従来の卓球用ラケット(シェイクハンド、ペンホルダー)の場合、主に親指、人差し指、中指の三つの指に負担がかかっていたが、本発明による卓球用ラケットでは、グリップを人差し指、中指、薬指、小指で自然かつバランスよく握る(包む)ことができるため、握力の弱いプレイヤーによる使用に適している上に、故障のリスクも低減させることが可能となる。更に、グリップがプレイヤーの手のひらで包まれていることにより、プレイヤーがサービス等を打つ際に対戦相手からは卓球用ラケットの握りが見えないため、対戦相手に球の回転等が予測されにくくなる。
【0014】
また、前記ブレードの外縁からは他のグリップが延出していないことが好ましい。
【0015】
このような構成によれば、卓球用ラケットがコンパクトになり、卓球用ラケットを振り抜きやすくなるため、威力のある球を打つことが可能となる。
【0016】
また、前記ブレードの面に対して略垂直な第1の方向から見た場合に、前記グリップのうち、前記略球体形状を有する部分の少なくとも一部が、前記ブレードの外縁よりも外側に位置していることが好ましい。
【0017】
このような構成によれば、外縁よりも外側に位置するグリップの一部が手のひらにフィットしやすくなるので、より自然な形でグリップを握る(包む)ことが可能となる。
【0018】
また、前記略球体形状を有するグリップは、前記ブレードを挟むように設けられていることが好ましい。
【0019】
このような構成によれば、通常の卓球用ラケットと同様にブレードと同軸上でグリップを握る(包む)ことができるため、違和感なく使用することが可能となる。また、略球体のグリップの一部がブレードを挟んでさえいれば、好みに合わせてブレードから離れた位置にグリップを配置することも可能である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の卓球用ラケットによれば、ペンホルダーとシェークハンドの双方の優位性を併せ持ち、高度なプレーを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施の形態による卓球用ラケット側面図
図2】本発明の実施の形態による卓球用ラケットの上面図
図3】本発明の変形例による卓球用ラケットの側面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態による卓球用ラケット1について、図1及び図2を参照して説明する。
【0023】
卓球用ラケット1は、図1及び図2に示すように、ブレード2と、グリップ3と、を備えている。
【0024】
ブレード2は、打球面であり、本実施の形態では、略楕円形状を有する平板をブレード2として採用している。なお、図示していないが、ブレード2の一の面21及び他の面22には、互いに異なる色のラバーがそれぞれ貼られる。
【0025】
グリップ3は、プレイヤーの手のひらで包むようにして使用されるものであり、ブレード2の一の面21の縁部側21aに設けられており、少なくとも手のひらとフィットする部分が略球体形状を有している。グリップ3としては、手のひらに概ね収まる程度のサイズのものが好ましい。
【0026】
本実施の形態では、球体の表面に近い部分が平面で切断された略球体をグリップ3として採用し、切断面が一の面21の縁部側21a(例えば、外縁23から数mmから数cm程度内側に入った位置)上に接合されている。これにより、ブレード2の一の面21と略球体とのなす角度が鋭角となるので、グリップ3を包んだ際に指先の力が入りやすくなる。なお、本実施の形態では、縁部側21aには、ラバーは貼られていない。
【0027】
また、本実施の形態では、図2に示すように、ブレード2の面(一の面21又は他の面22)に対して略垂直な第1の方向Xから見た場合に、グリップ3のうち、略球体形状を有する部分の少なくとも一部が、ブレード2の面の外縁23よりも外側に位置している。
【0028】
なお、本実施の形態による卓球用ラケット1は、上述したように、略球体形状を有するグリップ3を手のひらで包むようにして使用するものであるため、ブレード2の外縁23等からは他のグリップ(通常のグリップ)は延出していない。
【0029】
グリップ3の包み方としては、例えば、図1に示すように、第1の方向Xと略直交する第2の方向Yを軸として包む方法や、図2に示すように、第1の方向Xを軸として包む方法などが考えられる。いずれの場合も、人差し指F2-小指F5がグリップ3を包み、親指F1が、ブレード2の他の面22上に配置される。このように、本実施の形態による卓球用ラケット1は、ブレード2の一の面21の縁部側21aに設けられた略球体形状を有するグリップ3を人差し指F2-小指F5で握る(包む)ことができ、親指F1がブレード2の他の面22側を支えることなどで、体の力を自然にブレード2に伝えられるグリップ3の形状を有している。
【0030】
上記したような包み方の場合、グリップ3の握りはシェークハンドに類似するため、フォアバックの切り替えの円滑性、及び、バックハンドの安定感や攻撃力において、シェークハンドと同様の特性を有することとなる。また、ブレード2上の打球面が指の位置と極めて近いことにより、指や手首の力加減により卓球用ラケット1の角度等を微調整しやすくなるので、サービスやネット際の操作性に優れるペンホルダーの特性も併せ持つこととなる。その他、体の中央へ攻撃された時の高い守備力と、対戦相手からは視覚上、認識しにくいグリップ3によりサービス等が分かりにくいこと、また、卓球用ラケット1自体がグリップ3を含めてコンパクトなため、小さなスイングで威力のある球が出しやすいことがシェークハンド、ペンホルダーには持ち合わさない特性であると言える。
【0031】
以上説明したように、本実施の形態による卓球用ラケット1では、グリップ3が、ブレード2の一の面21の縁部側21a上に設けられており、少なくとも手のひらとフィットする部分が略球体形状を有している。
【0032】
このような構成によれば、プレイヤーは打球面に近い位置で卓球用ラケット1を握る(包む)ことになるので、サービスやネット際の打球操作性に優れた特性を有する。また、打球面に近い位置で卓球用ラケット1を握る(包む)ことで、フォアハンド、バックハンドの切り替えがスムーズになり、特に、体の中央を狙われた際の球の処理がしやすくなるという特性も有する。また、従来の卓球用ラケット(ペンホルダー、シェイクハンド)の場合、主に親指、人差し指、中指の三つの指に負担がかかっていたが、本実施の形態による卓球用ラケット1では、グリップ3を人差し指、中指、薬指、小指で自然かつバランスよく握る(包む)ことができるため、握力の弱いプレイヤーによる使用に適している上に、故障のリスクも低減させることが可能となる。更に、グリップ3がプレイヤーの手のひらで包まれていることにより、プレイヤーがサービス等を打つ際に対戦相手からは卓球用ラケット1の握りが見えないため、対戦相手に球の回転等が予測されにくくなる。
【0033】
また、本実施の形態による卓球用ラケット1では、ブレード2の外縁23からは他のグリップが延出していない。
【0034】
このような構成によれば、卓球用ラケット1がコンパクトになり、卓球用ラケット1を振り抜きやすくなるため、威力のある球を打つことが可能となる。
【0035】
また、本実施の形態による卓球用ラケット1では、ブレード2の面に対して略垂直な第1の方向Xから見た場合に、グリップ3のうち、略球体形状を有する部分の少なくとも一部が、ブレード2の外縁23よりも外側に位置している。
【0036】
このような構成によれば、外縁23よりも外側に位置するグリップ3の一部が手のひらにフィットしやすくなるので、より自然な形でグリップ3を握る(包む)ことが可能となる。
【0037】
尚、本発明の卓球用ラケットは、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
【0038】
例えば、上記実施の形態では、一部が切断された略球体のグリップ3がブレード2の一の面21の縁部側21a上に設けられていたが、図3(a)及び(b)に示すように、略球体形状を有するグリップ3は、ブレード2を挟むように設けられても良い(上面から見ると図2と同様に見える)。この場合には、図2と同様に第1の方向Xを軸としてグリップ3を包む方法が考えられ、通常の卓球用ラケットと同様にブレード2と同軸上でグリップ3を握る(包む)ことができるため、違和感なく使用することが可能となる。また、この変形例の場合、図3(b)に示すように、略球体のグリップ3の一部がブレード2を挟んでさえいれば、好みに合わせてブレード2から離れた位置にグリップ3を配置することも可能である。
【0039】
なお、上記実施の形態の場合には、グリップ3を包んだ際に指先の力が入りやすくなるようにするため、ブレード2の一の面21と略球体とのなす角度が鋭角であることが好ましいが、上記変形例の場合、ブレード2と同軸上でグリップ3を握る(包む)ことができる、すなわち、親指側と、人差し指-小指側と、でバランスよくグリップ3を保持することができるので、一の面21と他の面22から球体の略半分ずつが突出している(ブレード2の面と略球体とのなす角度が略直角な)構造でも良い。
【0040】
また、上記実施の形態では、球体の表面に近い部分が平面で切断された略球体をグリップ3として採用したが、少なくとも手のひらがフィットする部分が球体であれば、他の部分は球体でなくても良い。例えば、人差し指-小指の指先が当たる部分には、指先の力がより入りやすいように加工が行われても良い。
【0041】
また、上記実施の形態では、ブレード2の面(一の面21又は他の面22)に対して略垂直な第1の方向Xから見た場合に、グリップ3のうち、略球体形状を有する部分の少なくとも一部が、ブレード2の面の外縁23よりも外側に位置していたが、手のひらへのフィット感が多少悪くなる可能性はあるが、グリップ3の全てがブレード2の面の外縁23よりも内側に位置していても良い。
【0042】
また、上記実施の形態では、グリップ3の包み方として、図1及び図2に示す方法を例示したが、その他の方法でグリップ3を包んでも良い。
【符号の説明】
【0043】
1 卓球用ラケット
2 ブレード
3 グリップ
21 一の面
21a 縁部側
22 他の面
23 外縁
X 第1の方向
Y 第2の方向
図1
図2
図3