(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022033408
(43)【公開日】2022-03-02
(54)【発明の名称】車両管理装置及び車両管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20220222BHJP
G06Q 30/06 20120101ALI20220222BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q30/06 350
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020137272
(22)【出願日】2020-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】599115217
【氏名又は名称】株式会社 ディー・エヌ・エー
(71)【出願人】
【識別番号】519207882
【氏名又は名称】株式会社DeNA SOMPO Mobility
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】二見 徹
(72)【発明者】
【氏名】左向 貴代
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 千絵
(72)【発明者】
【氏名】田村 百奈美
(72)【発明者】
【氏名】直井 和美
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB68
5L049CC12
(57)【要約】
【課題】会社等の組織が管理している車両を個人間のカーシェアリングサービスでシェアリングする手間を削減する。
【解決手段】車両管理装置1は、車両管理装置とは異なる外部車両管理システムによって候補車両の使用管理が行われる管理対象期間を含む車両情報を取得する情報取得部121と、管理対象期間外に、候補車両に対して期間限定の管理権限を有する第1ユーザを設定する設定部122と、第2ユーザが利用する情報端末から、車両を使用するための契約条件を受け付ける条件受付部123と、契約条件を満たす候補車両の車両情報の少なくとも一部を、第1ユーザを示す第1ユーザ情報とともに、情報端末に出力する出力部125と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人間のカーシェアリングサービスにおける車両管理装置であって、
前記車両管理装置とは異なる外部車両管理システムによって候補車両の使用管理が行われる管理対象期間を含む車両情報を取得する情報取得部と、
前記管理対象期間外に、前記候補車両に対して期間限定の管理権限を有する第1ユーザを設定する設定部と、
第2ユーザが利用する情報端末から、車両を使用するための契約条件を受け付ける条件受付部と、
前記契約条件を満たす前記候補車両の前記車両情報の少なくとも一部を、前記第1ユーザを示す第1ユーザ情報とともに、前記情報端末に出力する出力部と、
を有する、車両管理装置。
【請求項2】
前記契約条件を満たす前記候補車両を前記第2ユーザが使用可能な前記候補車両として選択し、選択した前記候補車両の前記車両情報の少なくとも一部を前記情報端末に表示する情報として選択する選択部をさらに有する、
請求項1に記載の車両管理装置。
【請求項3】
前記選択部は、前記管理対象期間が示す、前記候補車両が業務において使用するための予約がされている業務予約期間に基づいて、前記第2ユーザが使用可能な前記候補車両を選択する、
請求項2に記載の車両管理装置。
【請求項4】
前記条件受付部は、前記第2ユーザの属性を受け付け、
前記選択部は、前記第2ユーザの属性に基づいて、前記第2ユーザが使用可能な前記候補車両を選択する、
請求項2又は3に記載の車両管理装置。
【請求項5】
前記出力部は、前記管理対象期間と、前記第2ユーザが前記候補車両を予約した予約期間とに基づいて、前記候補車両のメンテナンスが可能なメンテナンス可能期間を出力する、
請求項2から4のいずれか一項に記載の車両管理装置。
【請求項6】
前記出力部は、前記メンテナンス可能期間の少なくとも一部において、前記候補車両のメンテナンスを行うメンテナンス者を前記第2ユーザとして予約する予約情報を出力する、
請求項5に記載の車両管理装置。
【請求項7】
前記選択部は、前記カーシェアリングサービスに登録された登録車両と、前記外部車両管理システムによって管理される前記候補車両との両方の中から、前記契約条件を満たす前記登録車両又は前記候補車両を選択する、
請求項2から6のいずれか一項に記載の車両管理装置。
【請求項8】
前記設定部は、前記候補車両のグループごとに、前記第1ユーザを設定する、
請求項1から7のいずれか一項に記載の車両管理装置。
【請求項9】
前記第2ユーザが前記候補車両の使用を開始する前又は開始した後の少なくとも一方において、前記第2ユーザが使用する前記候補車両に関する情報を監視し、監視結果を前記外部車両管理システムに通知する車両管理部をさらに有する、
請求項1から8のいずれか一項に記載の車両管理装置。
【請求項10】
個人間のカーシェアリングサービスを管理する車両管理装置が実行する、
前記車両管理装置とは異なる外部車両管理システムによって候補車両の使用管理が行われる管理対象期間を含む車両情報を取得するステップと、
前記管理対象期間外に、前記候補車両に対して期間限定の管理権限を有する第1ユーザを設定するステップと、
第2ユーザが利用する情報端末から、車両を使用するための契約条件を受け付けるステップと、
前記契約条件を満たす前記候補車両の前記車両情報の少なくとも一部を、前記第1ユーザを示す第1ユーザ情報とともに、前記情報端末に出力するステップと、
を有する、車両管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個人間のカーシェアリングサービスで使用される車両を管理する車両管理装置及び車両管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両を個人間で共同使用するためのシェアリングサービスが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の個人間カーシェアリングサービスにおいてシェアリングできる車両は、個人が所有する車両のみに限られていた。したがって、会社等の組織は、自社の車両管理システムによって管理している営業車をシェアリングするためには、個人として営業車を個人間カーシェアリングサービスに登録し、シェアリング可能なスケジュールを設定する必要があり、大きな手間が掛かっていた。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、一例として、会社等の組織が管理している車両を個人間のカーシェアリングサービスでシェアリングする手間を削減できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の車両管理装置は、個人間のカーシェアリングサービスにおける車両管理装置であって、前記車両管理装置とは異なる外部車両管理システムによって候補車両の使用管理が行われる管理対象期間を含む車両情報を取得する情報取得部と、前記管理対象期間外に、前記候補車両に対して期間限定の管理権限を有する第1ユーザを設定する設定部と、第2ユーザが利用する情報端末から、車両を使用するための契約条件を受け付ける条件受付部と、前記契約条件を満たす前記候補車両の前記車両情報の少なくとも一部を、前記第1ユーザを示す第1ユーザ情報とともに、前記情報端末に出力する出力部と、を有する。
【0007】
前記車両管理装置は、前記契約条件を満たす前記候補車両を前記第2ユーザが使用可能な前記候補車両として選択し、選択した前記候補車両の前記車両情報の少なくとも一部を前記情報端末に表示する情報として選択する選択部をさらに有してもよい。
【0008】
前記選択部は、前記管理対象期間が示す、前記候補車両が業務において使用するための予約がされている業務予約期間に基づいて、前記第2ユーザが使用可能な前記候補車両を選択してもよい。
【0009】
前記条件受付部は、前記第2ユーザの属性を受け付け、前記選択部は、前記第2ユーザの属性に基づいて、前記第2ユーザが使用可能な前記候補車両を選択してもよい。
【0010】
前記出力部は、前記管理対象期間と、前記第2ユーザが前記候補車両を予約した予約期間とに基づいて、前記候補車両のメンテナンスが可能なメンテナンス可能期間を出力してもよい。
【0011】
前記出力部は、前記メンテナンス可能期間の少なくとも一部において、前記候補車両のメンテナンスを行うメンテナンス者を前記第2ユーザとして予約する予約情報を出力してもよい。
【0012】
前記選択部は、前記カーシェアリングサービスに登録された登録車両と、前記外部車両管理システムによって管理される前記候補車両との両方の中から、前記契約条件を満たす前記登録車両又は前記候補車両を選択してもよい。
【0013】
前記設定部は、前記候補車両のグループごとに、前記第1ユーザを設定してもよい。
【0014】
前記車両管理装置は、前記第2ユーザが前記候補車両の使用を開始する前又は開始した後の少なくとも一方において、前記第2ユーザが使用する前記候補車両に関する情報を監視し、監視結果を前記外部車両管理システムに通知する車両管理部をさらに有してもよい。
【0015】
本発明の第2の態様の車両管理方法は、個人間のカーシェアリングサービスを管理する車両管理装置が実行する、前記車両管理装置とは異なる外部車両管理システムによって候補車両の使用管理が行われる管理対象期間を含む車両情報を取得するステップと、前記管理対象期間外に、前記候補車両に対して期間限定の管理権限を有する第1ユーザを設定するステップと、第2ユーザが利用する情報端末から、車両を使用するための契約条件を受け付けるステップと、前記契約条件を満たす前記候補車両の前記車両情報の少なくとも一部を、前記第1ユーザを示す第1ユーザ情報とともに、前記情報端末に出力するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、一例として、会社等の組織が管理している車両を個人間のカーシェアリングサービスでシェアリングする手間を削減できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図3】条件指定画面及び車両情報画面を表示している情報端末の正面図である。
【
図4】メンテナンス予約画面を表示している情報端末の正面図である。
【
図5】車両管理部が候補車両に関する情報を監視する方法を説明するための模式図である。
【
図6】車両管理システムにおける車両管理方法のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[車両管理システムの概要]
図1は、本実施形態に係る車両管理システムの概要を示す図である。車両管理システムは、車両を個人間で共同使用するためのカーシェアリングサービスで使用する車両を管理するシステムである。車両管理システムは、車両管理装置1と、情報端末2とを備える。車両管理システムは、その他のサーバ、端末等の機器を含んでもよい。
【0019】
車両管理装置1は、カーシェアリングとして使用可能な車両を管理し、当該車両に関する情報を情報端末2に出力するコンピュータである。車両管理装置1は、例えば、カーシェアリングサービスを提供する事業者によって管理される。車両管理装置1は、第1ユーザから登録車両C1の登録を予め受け付け、登録された登録車両C1をカーシェアリングにおいて使用可能にする。第1ユーザは、例えば、登録車両の所有者(オーナー)である。また、登録車両の所有者が法人である場合、第1ユーザは、法人格を有する組織において登録車両の管理を担当する者であってもよい。
【0020】
車両管理装置1は、インターネット等の通信ネットワークを介して、車両管理装置1とは異なる外部車両管理システム3と接続されている。外部車両管理システム3は、候補車両C2の利用管理をするシステムである。外部車両管理システム3は、例えば、会社等の組織において自社で使用する営業車を候補車両C2として管理する。
【0021】
情報端末2は、車両管理システムによって管理されている車両を使用する第2ユーザが使用する端末である。すなわち、第2ユーザは、車両管理システムによって管理されている車両を借り受け、又は一時的に使用する人間である。情報端末2は、インターネット等の通信ネットワークを介して車両管理装置1にアクセスすることにより、車両に関する情報を表示するとともに、車両の予約をする。第2ユーザは、例えば、予約した車両を運転する運転者、又は予約した車両のメンテナンスを行うメンテナンス者である。情報端末2は、例えばスマートフォン、タブレット又はパーソナルコンピュータである。
図1においては、1台の情報端末2が示されているが、車両管理装置1は、複数の情報端末2とデータを送受信することができる。
【0022】
図1を参照しながら、車両管理システムにより提供されるカーシェアリングサービスの概要を説明する。車両管理装置1は、外部車両管理システム3から候補車両C2に関する車両情報を取得する(1)。車両情報は、例えば、外部車両管理システム3によって候補車両C2の利用管理が行われる管理対象期間を含む。
【0023】
車両管理装置1は、取得した車両情報が含む管理対象期間外に、候補車両C2に対して期間限定の管理権限を有する第1ユーザを設定する(2)。すなわち、車両管理装置1は、外部車両管理システム3が候補車両C2の使用管理をしていない期間に候補車両C2に対して第1ユーザを設定することによって、候補車両C2を個人間のカーシェアリングサービスにおいて使用可能にする。
【0024】
車両管理装置1は、第2ユーザが利用する情報端末2から、車両を使用するための契約条件を受け付ける(3)。契約条件は、例えば、車両を使用する時間、車両を使用するために掛かる料金等を含む。
【0025】
車両管理装置1は、登録車両C1及び候補車両C2の中から、契約条件を満たす登録車両C1又は候補車両C2を選択する。また、車両管理装置1は、候補車両C2のみの中から、契約条件を満たす候補車両C2を選択してもよい。車両管理装置1は、契約条件を満たす登録車両C1又は候補車両C2の車両情報の少なくとも一部を、第1ユーザを示す第1ユーザ情報とともに、情報端末2に出力する(4)。
【0026】
以上のように、車両管理装置1は、会社等の組織が管理している候補車両C2に対して期間限定の管理権限を有する第1ユーザを設定することによって、個人間カーシェリングサービスで使用可能にする。したがって、組織は、個人として候補車両C2をカーシェアリングサービスに登録してシェアリング可能な期間等を設定する必要がない。その結果、車両管理装置1は、組織が管理している候補車両C2を個人間のカーシェアリングサービスでシェアリングする手間を削減できる。
【0027】
[車両管理装置1の構成]
図2は、本実施形態に係る車両管理装置1のブロック図である。
図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、
図2に示したもの以外のデータの流れがあってもよい。
図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、
図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてもよい。
【0028】
車両管理装置1は、記憶部11と、制御部12とを有する。車両管理装置1は、
図2に示す具体的な構成に限定されない。車両管理装置1は、1つの装置に限られず、2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。
【0029】
記憶部11は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部11は、制御部12が実行するプログラムを予め記憶している。記憶部11は、車両管理装置1の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部12との間でデータの授受を行ってもよい。
【0030】
制御部12は、情報取得部121と、設定部122と、条件受付部123と、選択部124と、出力部125と、車両管理部126とを有する。制御部12は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部11に記憶されたプログラムを実行することにより、情報取得部121、設定部122、条件受付部123、選択部124、出力部125及び車両管理部126として機能する。制御部12の機能の少なくとも一部は、電気回路によって実行されてもよい。また、制御部12の機能の少なくとも一部は、ネットワーク経由で実行されるプログラムによって実行されてもよい。
【0031】
情報取得部121は、車両管理装置1とは異なる外部車両管理システム3によって候補車両C2の使用管理が行われる管理対象期間を含む車両情報を取得する。情報取得部121は、例えば、外部車両管理システム3から車両情報を受信し、又は予め記憶部11に記憶されている車両情報を読み出す。管理対象期間は、例えば、候補車両C2に対して業務において使用するための予約がされている業務使用期間、又は候補車両C2が業務において使用される可能性のある営業期間である。業務使用期間は候補車両C2を業務上で使用する時刻単位の業務スケジュールであり、営業期間は平日等の組織が通常稼働している期間である。すなわち、候補車両C2は、管理対象期間中には組織によって使用されるため、カーシェアリングサービスにおいて使用することができない。車両情報は、管理対象期間に加えて、候補車両C2の撮像画像、メーカ、車種、年式、累計走行距離等、候補車両C2に関するその他の情報を含んでもよい。
【0032】
設定部122は、情報取得部121が取得した車両情報に含まれている管理対象期間外に、候補車両C2に対して期間限定の管理権限を有する第1ユーザを設定する。すなわち、車両管理装置1は、外部車両管理システム3が候補車両C2の使用管理をしていない期間、すなわち業務スケジュール外又は営業期間外に、候補車両C2に対して第1ユーザを設定することによって、候補車両C2を個人間のカーシェアリングサービスにおいて使用可能にする。
【0033】
第1ユーザは、例えば候補車両C2の所有者である組織から依頼を受けたユーザであり、候補車両C2の使用を希望する第2ユーザとのやり取りや、候補車両C2の清掃作業を行う。また、第1ユーザは、候補車両C2の所有者である組織の従業員であってもよい。記憶部11は、第1ユーザに関する第1ユーザ情報を予め記憶している。第1ユーザ情報は、例えば、第1ユーザの識別情報、第1ユーザの名前、第1ユーザの撮像画像、第1ユーザが車両を貸し出した履歴、第1ユーザに対して過去にされた評価等を含む。設定部122は、候補車両C2の識別情報及び車両情報を、候補車両C2に対して設定した第1ユーザの識別情報と関連付けて記憶部11に記憶させる。
【0034】
これにより、車両管理装置1は、予めカーシェアリングサービスに登録された登録車両C1に加えて、管理対象期間外の候補車両C2を、第1ユーザが提供する車両としてカーシェアリングサービスにおいて使用可能にすることができる。また、車両管理装置1は、カーシェアリングサービスへの登録車両C1の登録を受け付けず、管理対象期間外の候補車両C2のみをカーシェアリングサービスにおいて使用可能にしてもよい。
【0035】
また、設定部122は、候補車両C2のグループごとに、第1ユーザを設定してもよい。この場合に、設定部122は、例えば同じ事業所で使用されている複数の候補車両C2のグループに対して、1人の第1ユーザを設定する。これにより、車両管理装置1は、1人の第1ユーザを同じ事業所で使用されている複数の候補車両C2のグループを管理するように割り当てることができるため、第1ユーザによる複数の候補車両C2の予約状況の管理等を効率化できる。
【0036】
条件受付部123は、第2ユーザが利用する情報端末2から、車両を使用するための契約条件を受け付ける。条件受付部123は、例えば、契約条件を指定するための条件指定画面を情報端末2に表示させ、第2ユーザによる契約条件の指定を受け付ける。
【0037】
図3(a)は、条件指定画面を表示している情報端末2の正面図である。条件指定画面は、例えば、車両を受け渡す場所、車両を使用する使用期間、車両のメーカ、車両の車種、及び車両を使用するために掛かる料金を入力するための入力領域を含む。条件指定画面は、
図3(a)に示した具体的な情報に限られず、契約条件に関するその他の情報の入力を受け付けてもよい。条件受付部123は、条件指定画面において入力された各情報を、車両を使用するための契約条件として受け付ける。
【0038】
また、条件受付部123は、契約条件に加えて、第2ユーザの属性を受け付けてもよい。条件受付部123は、例えば、予めカーシェアリングサービスに登録された第2ユーザの登録情報から、第2ユーザの属性を抽出する。第2ユーザの属性は、例えば、第2ユーザの住所、性別、年齢等を含む。
【0039】
選択部124は、カーシェアリングサービスにおいて使用可能な候補車両C2、すなわち設定部122が管理対象期間外に第1ユーザを設定した候補車両C2の中から、条件受付部123が受け付けた契約条件を満たす候補車両C2を、第2ユーザが使用可能な候補車両C2として選択する。
【0040】
選択部124は、例えば、契約条件が示す使用期間に、候補車両C2が業務において使用するための予約がされている業務予約期間が含まれていない場合に、当該候補車両C2を選択する。また、選択部124は、例えば、契約条件が示す使用期間に、候補車両C2が業務において使用される可能性のある営業期間が含まれていない場合に、当該候補車両C2を選択する。これにより、車両管理装置1は、候補車両C2の業務スケジュール外や営業期間外に限定して、候補車両C2を第2ユーザに使用可能にできる。
【0041】
また、選択部124は、第2ユーザの属性に基づいて、第2ユーザが使用可能な候補車両C2を選択してもよい。この場合に、選択部124は、第2ユーザの属性が示す住所が所定の条件を満たす場合や、第2ユーザの属性が示す年齢が所定の条件を満たす場合に、当該条件に関連付けられた候補車両C2を選択する。住所の条件は、例えば、第2ユーザの住所が所定の地域内であることである。年齢の条件は、例えば、第2ユーザの年齢が所定年齢以上であることである。これにより、車両管理装置1は、第2ユーザの属性に基づいて、候補車両C2の所有者である組織の近隣住民に限定して候補車両C2を使用可能にしたり、高齢者に限定して候補車両C2を使用可能にしたりする制御を行うことができる。
【0042】
また、選択部124は、カーシェアリングサービスに登録された登録車両C1と、外部車両管理システム3によって管理される候補車両C2との両方の中から、条件受付部123が受け付けた契約条件を満たす登録車両C1又は候補車両C2を、第2ユーザが使用可能な車両として選択してもよい。これにより、車両管理装置1は、自身で管理している登録車両C1と、外部車両管理システム3で管理されている候補車両C2との中から、より多くの車両を第2ユーザに使用可能にできる。
【0043】
選択部124は、情報取得部121が取得した車両情報の中から、選択した候補車両C2の車両情報の少なくとも一部を、情報端末2に表示するための情報として選択する。例えば外部車両管理システム3によって提供される車両情報が候補車両C2に関する機密情報(行先、走行エリア、時間帯等)を含む場合に、車両情報をそのまま表示するのは好ましくない場合がある。そこで、車両管理装置1は、車両情報の一部(撮像画像、メーカ、車種等)を選択することによって、機密情報を公開することなく候補車両C2を第2ユーザに使用可能にできる。また、選択部124は、情報取得部121が取得した車両情報の全部を選択してもよい。
【0044】
出力部125は、選択部124が選択した、契約条件を満たす候補車両C2の車両情報の少なくとも一部を、第1ユーザを示す第1ユーザ情報とともに、情報端末2に出力する。第1ユーザ情報は、記憶部11に予め記憶されており、第1ユーザの識別情報、第1ユーザの名前、第1ユーザの撮像画像、第1ユーザが過去に車両を貸し出した履歴、第1ユーザに対して過去にされた評価等を含む。出力部125は、例えば、車両情報を表示するための車両情報画面を情報端末2に表示させる。
【0045】
図3(b)は、車両情報画面を表示している情報端末2の正面図である。車両情報画面は、契約条件を満たす候補車両C2の車両情報の少なくとも一部と、当該候補車両C2に設定された第1ユーザの第1ユーザ情報とを含む。車両情報画面に表示される車両情報の少なくとも一部は、例えば、候補車両C2の撮像画像、メーカ、車種、年式等である。車両情報画面に表示される第1ユーザ情報は、例えば、第1ユーザの名前、第1ユーザの撮像画像、及び第1ユーザに対して過去にされた評価等である。
【0046】
これにより、車両管理装置1は、会社等の組織が管理している候補車両C2をあたかも個人の第1ユーザが提供しているように表示し、個人間のカーシェアリングサービスを介して候補車両C2を第2ユーザに使用可能にできる。
【0047】
選択部124が複数の候補車両C2を選択した場合に、車両情報画面は、複数の候補車両C2の一覧を表示し、当該一覧の中から第2ユーザによって選択された候補車両C2の車両情報及び第1ユーザ情報を表示してもよい。車両情報画面は、
図3(b)に示した具体的な情報に限られず、候補車両C2に関するその他の情報を含んでもよい。
【0048】
本実施形態において、出力部125が候補車両C2の車両情報を情報端末2に出力する前に条件受付部123が契約条件を受け付けているが、出力部125が候補車両C2の車両情報を情報端末2に出力した後に条件受付部123が再び契約条件を受け付けてもよい。これにより、車両管理装置1は、候補車両C2の車両情報を第2ユーザに提供した後に、第2ユーザから改めて契約条件の変更等を受け付けてから候補車両C2の予約を確定できる。
【0049】
車両情報画面を表示している情報端末2において予約をするための操作(例えば、予約ボタンの選択)が行われた場合に、車両管理部126は、第2ユーザが車両情報画面に表示されている候補車両C2を予約したことを確定し、第2ユーザが候補車両C2を予約した予約期間、すなわち契約条件が示す使用期間を示す予約情報を記憶部11に記憶させる。また、車両管理部126は、第2ユーザが利用する情報端末2に加えて、第1ユーザが利用する情報端末において予約を確定するための操作(例えば、確認ボタンの選択)が行われたことを条件として、予約を確定してもよい。
【0050】
車両管理部126は、記憶部11に記憶された予約情報に従って、第2ユーザによる候補車両C2の使用及び返却の状況を管理する。また、車両管理部126は、第2ユーザによる候補車両C2の予約情報を、外部車両管理システム3に通知してもよい。これにより、外部車両管理システム3は、例えば、組織の業務において候補車両C2を使用するユーザに対して、カーシェアリングにおいて候補車両C2の予約がある旨を通知し、忘れ物防止等の注意喚起をすることができる。
【0051】
また、出力部125は、候補車両C2について、情報取得部121が取得した車両情報に含まれている管理対象期間と、第2ユーザが候補車両C2を予約した予約期間とに基づいて、候補車両C2のメンテナンスが可能なメンテナンス可能期間を情報端末2に出力してもよい。この場合に、出力部125は、例えば、情報取得部121が取得した車両情報に含まれている管理対象期間と、第2ユーザが候補車両C2を予約した予約期間とのどちらにも属さない期間を、メンテナンス可能期間として特定する。
【0052】
出力部125は、情報端末2を利用する第2ユーザがメンテナンス者である場合に、車両情報画面に代えて、メンテナンス可能期間を表示するためのメンテナンス予約画面を情報端末2に表示させる。
【0053】
図4は、メンテナンス予約画面を表示している情報端末2の正面図である。メンテナンス予約画面は、一又は複数の候補車両C2それぞれのメンテナンス可能期間を表示する。メンテナンス予約画面は、例えば、
図4のように一日の時間を表す棒状領域の中で、管理対象期間及び予約期間の表示態様と、メンテナンス可能期間の表示態様とを異ならせる。
【0054】
これにより、車両管理装置1は、候補車両C2が業務上の使用もカーシェアリングサービス上の使用もされないメンテナンス期間をメンテナンス者に通知し、メンテナンス者が候補車両C2の稼働率を低下させずにメンテナンスを行うことを可能にできる。
【0055】
メンテナンス予約画面を表示している情報端末2において、いずれかの候補車両C2のメンテナンス可能期間の少なくとも一部を指定する操作が行われた場合に、車両管理部126は、指定された候補車両C2をメンテナンス者である第2ユーザが予約したことを確定し、当該第2ユーザが候補車両C2を予約した予約期間、すなわち指定されたメンテナンス可能期間の少なくとも一部を示す予約情報を記憶部11に記憶させる。また、出力部125は、情報端末2における操作によらず、メンテナンス可能期間の少なくとも一部において、メンテナンス者である第2ユーザが候補車両C2を予約する予約情報を自動的に出力し、記憶部11に記憶させてもよい。
【0056】
また、出力部125は、候補車両C2に対して行われるメンテナンスのメンテナンス事項及び必要時間に基づいて、候補車両C2に対するメンテナンス者である第2ユーザを選択してもよい。この場合に、記憶部11は、一又は複数の候補車両C2それぞれのメンテナンス事項及び必要時間と、第2ユーザの資格及びスケジュールとを予め記憶している。第2ユーザの資格は、第2ユーザが実行可能なメンテナンス事項を示す。第2ユーザのスケジュールは、第2ユーザがメンテナンスを実行可能な空き時間を示す。出力部125は、候補車両C2について特定されたメンテナンス可能期間に、当該候補車両C2のメンテナンス事項を実行可能な第2ユーザ、すなわち当該メンテナンス事項を実行するための資格を有する第2ユーザを選択する。
【0057】
そして出力部125は、候補車両C2と、メンテナンス事項と、メンテナンスを実行する期間と、選択した第2ユーザとを関連付けて情報端末2に出力する。これにより、車両管理装置1は、候補車両C2のメンテナンスに適した第2ユーザを提案できる。
【0058】
さらに車両管理部126は、候補車両C2を予約した第2ユーザが当該候補車両C2の使用を開始する前又は使用を開始した後の少なくとも一方において、候補車両C2に関する情報を監視し、監視結果を外部車両管理システム3に通知する。
【0059】
図5は、車両管理部126が候補車両C2に関する情報を監視する方法を説明するための模式図である。車両管理部126は、候補車両C2から、候補車両C2の内部をカメラにより撮像した撮像画像と、候補車両C2における音、速度、加速度等を測定するセンサが出力したセンサ値とを含む測定情報を定期的に受信する。
【0060】
車両管理部126は、例えば、第2ユーザが候補車両C2の使用を開始する前に、測定情報が含む撮像画像に対して既知の画像認識処理を行うことによって、候補車両C2内の忘れ物、すなわち残留物を検出する。車両管理部126は、検出した忘れ物を示す監視結果を外部車両管理システム3に通知する。これにより、車両管理装置1は、候補車両C2がカーシェアリングにおいて使用される前に、機密資料等が候補車両C2に残っていることを候補車両C2の所有者である組織に通知し、安全性を向上できる。
【0061】
車両管理部126は、例えば、第2ユーザが候補車両C2の使用を開始した後に、測定情報が含む撮像画像に対して既知の画像認識処理を行うことによって、候補車両C2又は候補車両C2内の設備の破損を検出する。車両管理部126は、検出した破損を示す監視結果を外部車両管理システム3に通知する。また、車両管理部126は、例えば、第2ユーザが候補車両C2の使用を開始した前に、測定情報が含むセンサ値が所定の条件を満たす場合、例えばセンサ値が大きな音や衝撃の発生を示す場合に、候補車両C2における事故の発生を検出する。
【0062】
また、車両管理部126は、例えば、第2ユーザが候補車両C2の使用を開始した後に、測定情報が含むセンサ値に基づいて第2ユーザの運転評価を行う。運転評価は、例えば、候補車両C2の速度又は加速度に応じて、安全な運転又は危険な運転であることを示す。
【0063】
車両管理部126は、事故の発生、破損及び運転評価を示す監視結果を、外部車両管理システム3に通知する。これにより、車両管理装置1は、候補車両C2がカーシェアリングにおいて使用が開始された後に、候補車両C2の運転に関する情報を候補車両C2の所有者である組織に通知し、トラブルの発生を抑制したり、事故発生時の証跡を残したりすることができる。また、車両管理部126は、外部車両管理システム3から検索情報を取得し、当該検索情報に対応する監視結果を外部車両管理システム3に通知してもよい。検索情報は、例えば、候補車両C2の使用日時、候補車両C2で発生したトラブルの箇所等である。
【0064】
[車両管理方法のシーケンス]
図6は、本実施形態に係る車両管理システムにおける車両管理方法のシーケンス図である。外部車両管理システム3は、外部車両管理システム3が候補車両C2の使用管理を行う管理対象期間を含む車両情報を車両管理装置1に送信する(S11)。
【0065】
車両管理装置1において、情報取得部121は、外部車両管理システム3が送信した車両情報を取得する。設定部122は、情報取得部121が取得した車両情報に含まれている管理対象期間外に、候補車両C2に対して期間限定の管理権限を有する第1ユーザを設定する(S12)。
【0066】
第2ユーザが利用する情報端末2は、カーシェアリングサービスにおいて車両を使用するための契約条件の入力を受け付け、車両管理装置1に送信する(S13)。車両管理装置1において、条件受付部123は、情報端末2が送信した契約条件を受け付ける。
【0067】
選択部124は、カーシェアリングサービスにおいて使用可能な候補車両C2(すなわち、設定部122が管理対象期間外に第1ユーザを設定した候補車両C2)の中から、条件受付部123が受け付けた契約条件を満たす候補車両C2を、第2ユーザが使用可能な候補車両C2として選択する(S14)。また、選択部124は、情報取得部121が取得した車両情報の中から、選択した候補車両C2の車両情報の少なくとも一部を、情報端末2に表示するための情報として選択する。
【0068】
出力部125は、選択部124が選択した、契約条件を満たす候補車両C2の車両情報の少なくとも一部を、第1ユーザを示す第1ユーザ情報とともに、情報端末2に出力する(S15)。情報端末2において候補車両C2を予約するための操作が行われた場合に、車両管理部126は、情報端末2は、候補車両C2を予約することを示す予約情報を車両管理装置1に送信する(S16)。
【0069】
車両管理装置1において、車両管理部126は、情報端末2から予約情報を受信した場合に、第2ユーザが候補車両C2を予約したことを確定し、第2ユーザが候補車両C2を予約した予約期間を示す予約情報を記憶部11に記憶させる(S17)。車両管理部126は、記憶部11に記憶された予約情報に従って、第2ユーザによる候補車両C2の使用開始及び返却の状況を管理する。
【0070】
さらに車両管理部126は、候補車両C2を予約した第2ユーザが当該候補車両C2の使用を開始する前又は使用を開始した後の少なくとも一方において、候補車両C2に関する情報を監視し、監視結果を外部車両管理システム3に通知する(S18)。
【0071】
[実施形態の効果]
本実施形態に係る車両管理システムにおいて、車両管理装置1は、外部車両管理システム3から取得した車両情報に基づいて、会社等の組織が管理している候補車両C2に対して期間限定の管理権限を有する第1ユーザを設定することによって、個人間カーシェリングサービスで使用可能にする。したがって、組織は、個人として候補車両C2をカーシェアリングサービスに登録してシェアリング可能な期間等を設定する必要がない。その結果、車両管理装置1は、組織が管理している候補車両C2を個人間のカーシェアリングサービスでシェアリングする手間を削減できるという効果を奏する。
【0072】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【0073】
車両管理装置1、情報端末2及び外部車両管理システム3のプロセッサは、
図6に示す車両管理方法に含まれる各ステップ(工程)の主体となる。すなわち、車両管理装置1、情報端末2及び外部車両管理システム3のプロセッサは、
図6に示す車両管理方法を実行するためのプログラムを記憶部から読み出し、該プログラムを実行して車両管理システムの各部を制御することによって、
図6に示す車両管理方法を実行する。
図6に示す車両管理方法に含まれるステップは一部省略されてもよく、ステップ間の順番が変更されてもよく、複数のステップが並行して行われてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 車両管理装置
12 制御部
121 情報取得部
122 設定部
123 条件受付部
124 選択部
125 出力部
126 車両管理部
2 情報端末
3 外部車両管理システム