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  • 特開-落下防止カバー 図1
  • 特開-落下防止カバー 図2
  • 特開-落下防止カバー 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022033412
(43)【公開日】2022-03-02
(54)【発明の名称】落下防止カバー
(51)【国際特許分類】
   G10C 3/00 20190101AFI20220222BHJP
   G10G 7/00 20060101ALI20220222BHJP
   G10C 1/04 20060101ALI20220222BHJP
   G10C 3/02 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
G10C3/00 250
G10G7/00 100
G10C1/04
G10C3/02 100
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020137278
(22)【出願日】2020-08-17
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和元年8月19日にウェブサイトhttps://youtu.be/Ui2RNSiVcmUにて公開 令和元年10月4日に一般社団法人全日本ピアノ指導者協会(ピティナ)会報347号(コンペ結果特集号)封入パンフレットにて公開 令和元年11月18日に一般社団法人全日本ピアノ指導者協会(ピティナ)ムジカノーヴァ12月号封入パンフレットにて公開 令和2年7月31日に一般社団法人全日本ピアノ指導者協会(ピティナ)会報352号(夏号)封入パンフレットにて公開 令和元年11月6日、令和元年11月21日、令和元年11月26日、令和元年11月27日、令和元年12月6日、令和元年12月13日、令和元年12月18日、令和2年1月30日、令和2年2月18日、令和2年3月12日、令和2年3月24日、令和2年4月22日に長崎県南島原市口之津町甲1617にて販売
(71)【出願人】
【識別番号】518295244
【氏名又は名称】中村 美穂
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(72)【発明者】
【氏名】中村 美穂
【テーマコード(参考)】
5D182
【Fターム(参考)】
5D182CC01
(57)【要約】
【課題】取り付けが容易であるとともに、取り付けたままの状態で鍵盤蓋を開閉可能であり、鍵盤蓋を開いた際に生じる鍵盤蓋と前框との間隙に楽譜や筆記用具等がピアノ本体内部へ落下するのを防止することが可能な落下防止カバーの提供。
【解決手段】グランドピアノ10の鍵盤蓋11の前端部11Aが差し込まれる袋状の前方支持部2と、グランドピアノ10の前框12の上面12Aおよび背面12Bに当接する断面L字形の後方支持部3であり、少なくとも前框12の上面12Aおよび背面12Bに接触する面が滑り止め素材により形成された断面L形状の後方支持部3と、柔軟性シート状素材から構成され、鍵盤蓋11が閉じられた状態において前框12の前面12Cおよび鍵盤蓋11の上面11Bに沿って前方支持部2と後方支持部3とを接続するカバー本体部4とを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グランドピアノの鍵盤蓋の前端部が差し込まれる袋状の前方支持部と、
前記グランドピアノの前框の上面および背面に当接する断面L字形の後方支持部であり、少なくとも前記前框の上面および背面に接触する面が滑り止め素材により形成された断面L形状の後方支持部と、
柔軟性シート状素材から構成され、前記鍵盤蓋が閉じられた状態において前記前框の前面および前記鍵盤蓋の上面に沿って前記前方支持部と前記後方支持部とを接続するカバー本体部と
を有する落下防止カバー。
【請求項2】
前記後方支持部は断面L字形のゴムである請求項1記載の落下防止カバー。
【請求項3】
前記柔軟性シート状素材は布である請求項1または2に記載の落下防止カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グランドピアノの鍵盤蓋を開いた際に生じる鍵盤蓋と前框との間隙を覆うことにより、この間隙から楽譜や筆記用具等がピアノ本体内部へ落下するのを防止する落下防止カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
グランドピアノの鍵盤蓋を開いた際、鍵盤蓋と前框との間に隙間が存在する。そのため、譜面台に置かれた楽譜や筆記用具等がわずかな振動によって、この間隙に落下することがある。そこで、例えば特許文献1に記載のように、この鍵盤蓋とピアノ本体との隙間に楽譜や筆記用具等が落下するのを防止する鍵盤蓋用カバーが考案されている。
【0003】
特許文献1の鍵盤蓋用カバーは、帯状の布地からなる本体部と、本体部の前方縁部に構成され、内部にゴム紐が収容された袋状部と、本体部の後方縁部に構成され、内部に磁石が固定された袋状部と、本体部の両端の延長部と前方の縁部と袋状部の両端部との間に形成され、鍵盤蓋の先端角部に取り付けるための鍵盤蓋用係止部と、本体部の両端部の後方側に一端が縫い込まれ、ピアノ本体に固定するための取り付け用紐とから構成される。
【0004】
この鍵盤蓋用カバーは、鍵盤蓋用係止部を鍵盤蓋の両端の先端角部に嵌め込むようにして係止し、その後、本体部の延長部に取り付けた取付用紐をピアノ本体の反響板の支柱に結び付けるとともに、磁石を内部の金属板の表面に固定することで、ゴム紐、磁石および取付用紐により鍵盤蓋の上端全面に固定され、ピアノ本体に確実に取り付けられるため、鍵盤蓋が開かれている際に外れるおそれはないとされ、この状態でピアノが演奏される。
【0005】
そして、ピアノの演奏やその指導に際して、譜面台に楽譜や筆記用具を置くことになるが、この鍵盤蓋用カバーによれば、ピアノ本体と鍵盤蓋とピアノ本体との間隙の上面が全面的に覆われているため、演奏による振動や不注意により楽譜や筆記用具が間隙に落下し、鍵盤蓋の表面に沿って落下して、ピアノの内部に転落することが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】登録実用新案第3176633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記鍵盤蓋用カバーでは、鍵盤蓋が開かれた状態において、その上部前面をゴム紐が通された本体部の前方部分で覆い、その後、本体部の延長部に取り付けた取付用紐をピアノ本体の反響板の支柱に結びつけるとともに、磁石を内部の金属板表面に固定して取り付けを行う必要がある。また、鍵盤蓋を閉じる際には再び取り外す必要があり、面倒である。
【0008】
そこで、本発明においては、取り付けが容易であるとともに、取り付けたままの状態で鍵盤蓋を開閉可能であり、鍵盤蓋を開いた際に生じる鍵盤蓋と前框との間隙に楽譜や筆記用具等がピアノ本体内部へ落下するのを防止することが可能な落下防止カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の落下防止カバーは、グランドピアノの鍵盤蓋の前端部が差し込まれる袋状の前方支持部と、グランドピアノの前框の上面および背面に当接する断面L字形の後方支持部であり、少なくとも前框の上面および背面に接触する面が滑り止め素材により形成された断面L形状の後方支持部と、柔軟性シート状素材から構成され、鍵盤蓋が閉じられた状態において前框の前面および鍵盤蓋の上面に沿って前方支持部と後方支持部とを接続するカバー本体部とを有する。
【0010】
本発明の落下防止カバーは、袋状の前方支持部にグランドピアノの鍵盤蓋の前端部を差し込むとともに、断面L字形の後方支持部をグランドピアノの前框の上面および背面に当接するように載置すると、鍵盤蓋が閉じられた状態において前框の前面および鍵盤蓋の上面に沿ってカバー本体部が配置され、このカバー本体部により鍵盤蓋と前框との間隙が塞がれる。
【0011】
一方、鍵盤蓋を開いた状態においては、カバー本体部が鍵盤蓋と前框との間隙に凹状に垂れ下がることで袋状となり、鍵盤蓋と前框との間隙に楽譜や筆記用具等が落ちたとしても、この袋状に配置されたカバー本体部内に保持され、ピアノ本体内部へ落下することがない。そして、鍵盤蓋を閉じることで、カバー本体部が再び前框の前面および鍵盤蓋の上面に沿って配置されるため、カバー本体部内に保持された楽譜や筆記用具等を容易に取り出すことができる。
【0012】
また、この落下防止カバーは、断面L字形の後方支持部の少なくとも前框の上面および背面に接触する面が滑り止め素材により形成されているため、鍵盤蓋の開閉時に、袋状の前方支持部に前端部が差し込まれた鍵盤蓋によりカバー本体部を通じて後方支持部が引っ張られても、後方支持部が前框の上面および背面によって保持される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の落下防止カバーによれば、袋状の前方支持部にグランドピアノの鍵盤蓋の前端部を差し込むとともに、断面L字形の後方支持部をグランドピアノの前框の上面および背面に当接するように載置するだけで簡単に取り付けることが可能であり、取り付けたままの状態で鍵盤蓋を開閉することが可能である。
【0014】
また、本発明の落下防止カバーでは、鍵盤蓋を開いた際に生じる鍵盤蓋と前框との間隙に袋状のカバー本体部が形成されるため、鍵盤蓋と前框との間隙に楽譜や筆記用具等が落ちてピアノ本体内部へ落下するのを防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態における落下防止カバーの斜視図である。
図2】本発明の実施の形態における落下防止カバーの使用状態を示す部分断面図であって、鍵盤蓋を閉じた状態を示す図である。
図3】本発明の実施の形態における落下防止カバーの使用状態を示す部分断面図であって、鍵盤蓋を開いた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は本発明の実施の形態における落下防止カバーの斜視図、図2は本発明の実施の形態における落下防止カバーの使用状態を示す部分断面図であって、鍵盤蓋を閉じた状態を示す図、図3は鍵盤蓋を開いた状態を示す図である。
【0017】
図1図3に示すように、本発明の実施の形態における落下防止カバー1は、グランドピアノ10の鍵盤蓋11の前端部11Aが差し込まれる袋状の前方支持部2と、グランドピアノ10の前框12の上面12Aおよび背面12Bに当接する断面L字形の後方支持部3と、前方支持部2と後方支持部3とを接続するカバー本体部4とを有する。後方支持部3は断面L字形のゴムにより形成されている。前方支持部2およびカバー本体部4は1枚の布から形成されており、カバー本体部4の前方支持部2と反対側の端部は後方支持部3の上面に接着されている。
【0018】
前方支持部2は、鍵盤蓋11の前端部11Aが左端から右端まで収容されるようにカバー本体部4の一端部を袋状に形成したものである。この前方支持部2が鍵盤蓋11の前端部11Aに差し込まれた落下防止カバー1は、図2に示すように、鍵盤蓋11が閉じられた状態において、カバー本体部4が鍵盤蓋11の上面および前框12の前面12Cに沿って配設され、上端部の後方支持部3が前框12の上面12Aおよび背面12Bに引っ掛けられるように配設される。
【0019】
後方支持部3は、前框12の上面12Aおよび背面12Bに沿って左右に延びる断面L字形のゴムである。この後方支持部3がゴム製であることにより、前框12の上面12Aおよび背面12Bに接触して摩擦力を発揮することで滑りが防止され、後方支持部3は前框12上に留め置かれる。なお、後方支持部3は、ゴム以外でも滑り止め機能を発揮できる素材であれば良い。また、後方支持部3は、少なくとも前框12の上面12Aおよび背面12Bに接触する面が滑り止め素材により形成されていれば良い。
【0020】
上記構成の落下防止カバー1は、袋状の前方支持部2にグランドピアノ10の鍵盤蓋11の前端部11Aを差し込むとともに、断面L字形の後方支持部3をグランドピアノ10の前框12の上面12Aおよび背面12Bに当接するように載置して使用する。このとき、図2に示すように、鍵盤蓋11が閉じられた状態においては、前框12の前面12Cおよび鍵盤蓋11の上面11Bに沿ってカバー本体部4が配置され、このカバー本体部4により鍵盤蓋11と前框12との間隙13Aが塞がれる。
【0021】
一方、図3に示すように、鍵盤蓋11を開いた状態においては、カバー本体部4が鍵盤蓋11と前框12との間隙13Bに凹状に垂れ下がることで袋状となる。したがって、この鍵盤蓋11と前框12との間隙13Bに誤って楽譜や筆記用具等が落ちたとしても、この袋状に配置されたカバー本体部4内に保持され、ピアノ本体内部14へ落下することがない。そして、このカバー本体部4内に保持された楽譜や筆記用具等は、図2に示すように鍵盤蓋11を閉じると、カバー本体部4が再び前框12の前面12Cおよび鍵盤蓋11の上面11Bに沿って配置されるため、容易に取り出すことができる。
【0022】
また、この落下防止カバー1は、後方支持部3の少なくとも前框12の上面12Aおよび背面12Bに接触する面が滑り止め素材により形成されているため、鍵盤蓋11の開閉時に、袋状の前方支持部2に前端部11Aが差し込まれた鍵盤蓋11によりカバー本体部4を通じて後方支持部3が引っ張られても、後方支持部3は滑り止め素材と前框12との摩擦力により前框12の上面12Aおよび背面12Bによって保持される。
【0023】
以上のように、本実施形態における落下防止カバー1によれば、袋状の前方支持部2にグランドピアノ10の鍵盤蓋11の前端部11Aを差し込むとともに、断面L字形の後方支持部3をグランドピアノ10の前框12の上面12Aおよび背面12Bに当接するように載置するだけで簡単に取り付けることが可能であり、取り付けたままの状態で鍵盤蓋11を開閉することが可能である。また、取り外しも容易である。
【0024】
なお、本実施形態においては、前方支持部2およびカバー本体部4は1枚の布から形成されているが、必ずしも1枚の布から形成されていることを要しない。これらは、布以外の柔軟性シート状素材により形成することも可能である。要するに、前方支持部2に鍵盤蓋11の前端部11Aを差し込む際に支障がなく、鍵盤蓋11の開閉の際にも支障がなく、カバー本体部4が前框12の前面12Cおよび鍵盤蓋11の上面11Bに沿って配置されれば良い。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、グランドピアノの鍵盤蓋を開いた際に生じる鍵盤蓋と前框との間隙を覆い、この間隙に楽譜や筆記用具等がピアノ本体内部へ落下するのを防止する落下防止カバーとして有用である。
【符号の説明】
【0026】
1 落下防止カバー
2 前方支持部
3 後方支持部
4 カバー本体部
10 グランドピアノ
11 鍵盤蓋
12 前框
図1
図2
図3