(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022033462
(43)【公開日】2022-03-02
(54)【発明の名称】細幅床材
(51)【国際特許分類】
E04F 15/16 20060101AFI20220222BHJP
E04F 15/10 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
E04F15/16 J
E04F15/10 103B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020137358
(22)【出願日】2020-08-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2020-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】520309382
【氏名又は名称】前川 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100143111
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 秀夫
(74)【代理人】
【識別番号】100189876
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 将晴
(72)【発明者】
【氏名】前川 雄一
【テーマコード(参考)】
2E220
【Fターム(参考)】
2E220AA29
2E220AA31
2E220AA33
2E220AA51
2E220AC01
2E220BA01
2E220BA19
2E220BA28
2E220BB02
2E220BB16
2E220BC06
2E220DA02
2E220DB10
2E220EA04
2E220FA11
2E220GA06X
2E220GA22X
2E220GA32X
2E220GB33X
2E220GB34X
(57)【要約】
【課題】タイルカーペットの厚さが薄い場合でも適用することができ、床を単調な外観とさせない「美観機能」と、レイアウト変更の際の「位置表示機能」とを付与させる細幅床材を提供する。
【解決手段】
ビニル床材からなる本体と、一方の長手方向側方縁部のみに突出片を有する薄板体とからなり、細長体とされた細幅床材において、薄板体を、細長体の底面に固着させ、突出片を、断続的に複数突出させ、細長体を、隣り合うタイルカーペットの間に配設させ、細長体の夫々の側面を、夫々の隣のタイルカーペットの側面に接しさせ、複数の突出片を、床面と一方の隣のタイルカーペットに挟持させるようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイルカーペットが敷設される床面に貼着される細幅床材であって、
細幅床材が、細幅床材本体と薄板体とからなる細長体とされ、
前記細幅床材本体が、細幅に切断されたビニル床材からなり、
前記薄板体が、前記細幅床材本体の底面に固着され、前記細長体の一方の長手方向側方縁部のみに、断続的に突出された複数の突出片を有し、
前記細長体が、隣り合うタイルカーペットの間に配設され、
前記細幅床材本体の夫々の側面が、夫々の隣のタイルカーペットの側面に接し、
前記複数の突出片のみが、前記床面と一方の隣のタイルカーペットに挟持される、
ことを特徴とする細幅床材。
【請求項2】
前記突出片の突出寸法が、前記細幅床材本体の幅よりも小さい、
ことを特徴とする請求項1に記載の細幅床材。
【請求項3】
前記隣のタイルカーペットに接する前記長手方向側方縁部を3等分した範囲の夫々に、前記突出片が備えられている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の細幅床材。
【請求項4】
前記突出片が、外方に鋭角をなす三角形形状とされている、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の細幅床材。
【請求項5】
前記ビニル床材が、ビニル床タイルからなり、厚さが3mm以上とされている、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の細幅床材。
【請求項6】
前記ビニル床材が、複数のビニル床材を重ねてなる、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の細幅床材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイルカーペットの側面に添着され、タイルカーペットが敷設される床面に貼り付けられる細幅床材に関する。より詳細には、タイルカーペットの厚さが薄い場合でも適用することができ、床を単調な外観とさせない「美観機能」と、レイアウト変更の際の「位置表示機能」とを付与させる細幅床材に関する。更に、新設工事又は取替工事のいずれにおいても床施工が容易で、剥がれにくく、管理が容易な細幅床材に関する。
【背景技術】
【0002】
整列された繊維束が基材で一体化されたタイルカーペットは、柔らかい触感、吸音性を有すると共に部分的な張替に適しており、事務室や住宅の居室等の内装床材として使用されている。タイルカーペットには、ループ状の繊維束とされた毛足が向きを揃えて基材に植立させたままとしたループパイルのタイルカーペットと、毛足を揃えてカットしたカットパイルのタイルカーペットとがある。
【0003】
カットパイルは、肌触りが柔らかく、毛足が長く、多彩な色遣いがされ、カーペット自体でも美観を有する物が多い。一方、ループパイルは、毛足が短く、毛足の先端がカットされていないため耐久性が高く、人が頻繁に通行する事務室等に適している。
【0004】
ループパイルのタイルカーペットは、ループの向きを同一方向に揃えて並べれば床が無地模様をなし、ループの向きを交互として並べれば床が市松模様をなすように敷設される。しかし、ループタイルは、主として面積が大きな部屋に敷設されるため、いずれの模様としても床のデザインが単調になり易く、床の美観を向上させることが求められていた。
【0005】
また、床下に電気通信配線が敷設される大きな事務室の床には、フリーアクセスフロアの床下地材とともにタイルカーペットが採用され、事務室のレイアウトの変更に応じて、間仕切り壁の位置が変更されるとともに、床からの電気通信配線の引出し位置も変更され、部分的にタイルカーペットが張り替えられている。
【0006】
従来、床の材料がビニル床タイルやビニル床シートである場合には、机の位置を変更する前には、簡単に消せる鉛筆などの筆記具を使って床に変更後の机の位置を表示し、その表示された位置を手掛かりに机が移動されていた。しかし、床の材料がタイルカーペットの場合には変更後の机の位置を表示することは容易でなく、床に位置表示機能を付与させることが求められていた。
【0007】
特許文献1には、歩行を誘導するためのガイド的な機能を有し、床の区画を明確にさせ、意匠的にも優れた床を提供することを課題とした技術が開示されている。この文献によれば、発光部材を収容させる収容凹部をなすガイド部材を、少なくとも一辺に沿って取り付けたシート体が、規格のタイルカーペットと同じ平面的な大きさの床材とされている。
【0008】
ガイド部材は、シート体の底面側に延びた保持部を有し、その保持部がガイド部材をシート体から容易に外れないようにし、ガイド部材を持ってシート材を剥離できるようにし、タイルカーペットの交換作業を容易にするとしている。
【0009】
しかし、この技術によればシート材を規格のタイルカーペットと同じ平面的な大きさにするため、規格のタイルカーペットからガイド部材の幅を切断することが必要であるため、製造に手間がかかると共に、ガイド部材の高さが発光部材を収容する高さとされるため、毛足の長いタイルカーペットにしか適用できないという課題があった。
【0010】
特許文献2には、表示部材が破損せず、歩行等の邪魔にならず、優れた装飾性と表示性が得られるとする装飾表示カーペットの技術が開示されている。この技術によれば、表示部材が、ベースプレート部と、カーペットの基布の開口部を貫通する支持部と、支持部の上に装着される表示プレート部とからなり、表示プレート部がカーペットの基布の上面とパイルの先端との間に位置されている。
【0011】
しかし、この技術によれば支持部がカーペットの基布を貫通させているため、表示プレートの取替えや、表示プレート近くのカーペットを交換する場合には、手間がかかると共に広い範囲のカーペットの交換が必要になるという課題があった。
【0012】
特許文献3には、下地に凹凸や段差がある箇所等でも適用できる軟質塩化ビニル樹脂製の目地板の技術が開示されている。この技術によれば目地板の幅が20~30mmの広幅とされ、下地に凹凸があっても馴染みやすくされている。しかし、この広幅の目地板の底面のみが床下地に接着されているだけなので、目地板に歩行による繰返し摩擦力が作用した場合には、目地板が浮き上がり剥がれやすくなるという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2009―121164号公報
【特許文献2】特開2012-17547号公報
【特許文献3】実開平04-94027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そこで、本発明は、タイルカーペットの厚さが薄い場合でも適用することができ、床を単調な外観とさせない「美観機能」と、レイアウト変更の際の「位置表示機能」とを付与させる細幅床材を提供することを課題とした。更に、新設工事又は取替工事のいずれにおいても床施工が容易で、剥がれにくく、管理が容易な細幅床材を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の発明は、タイルカーペットが敷設される床面に貼着される細幅床材であって、細幅床材が、細幅床材本体と薄板体とからなる細長体とされ、前記細幅床材本体が、細幅に切断されたビニル床材からなり、前記薄板体が、前記細幅床材本体の底面に固着され、前記細長体の一方の長手方向側方縁部のみに、断続的に突出された複数の突出片を有し、前記細長体が、隣り合うタイルカーペットの間に配設され、前記細幅床材本体の夫々の側面が、夫々の隣のタイルカーペットの側面に接し、前記複数の突出片のみが、前記床面と一方の隣のタイルカーペットに挟持されることを特徴としている。
【0016】
細幅床材本体は、ビニル床タイル又はビニル床シートから細幅で切り出されればよい。ビニル床材としては、厚さが2.5mmから5.0mmのビニル床タイルと、厚さが1.8mmから2.5mmのビニル床シートが、市場に流通しており、いずれも木質調、石質調などの多様なデザインが付与されている。多様なデザインのビニル床材から細幅床材本体の基材を選択することにより、床を単調に見せない「美観機能」と、レイアウト変更の際の「位置表示機能」とを付与させることができるという従来にない有利な効果を奏する。
【0017】
ビニル床タイルは、単層又は複層のいずれであってもよいが、耐久性を優先させる場合には、摩耗に強い単層を選択すればよく、デザイン性を優先するのであれば、写真層を有する複層を選択すればよい。ビニル床シートはビニル床タイルに比較して薄く、巻いて保管されているため、広げた状態で湾曲しやすいが、複層に重ねて巻き癖を除去させ、高さを調整すればよい。
【0018】
一辺50cmの正方形形状のタイルカーペットが市場に多く流通しているため、細幅床材本体の幅は約1cmの幅が好適であるが限定されず、2cm以下であれば歩行に伴う摩擦力があっても剥がれにくい。細幅床材の長さは限定されず、一辺50cmの正方形形状のビニル床タイルから50cmの長さを切断させてもよく、タイルカーペットの一辺よりも長いい長尺のビニル床タイル又は長尺シートから50cmよりも長く切断させてもよい。
【0019】
薄板体が有する突出片は、断続的に複数突出されている。薄板体を固着させる態様は、接着であっても、熱溶着であってもよく、タッカー針による機械的な固着であってもよく限定されない。薄板体は、約0.5mmの樹脂製板体であると好適であるが、厚さは限定されない。
【0020】
突出片の部分には上からタイルカーペットが重ねられ、細幅床材が浮き上がることが抑制され、細幅床材が剥がれにくい。薄板体に突出片が形成されていない部分では、タイルカーペットが直接に床面に貼着される。細幅床材の縁部の位置まで、タイルカーペットが床面に貼着されるため、タイルカーペットも剥がれにくい。
【0021】
突出片は、細幅床材の一方の側面縁部から突出させているだけなので、先に一列に貼ったタイルカーペットの側面には、突出片のない細幅床材の側面を添え並べるようにすればよい。突出片が突出されている側には、隣の列のタイルカーペットを敷き並べて床面に貼り付け、タイルカーペットと床面とに突出片を挟持させるようにすればよく、新設工事の床施工が容易である。
【0022】
また、細幅床材の側面に沿わせて床面まで垂直に、ヘラ工具を挿し込むことが容易であり、タイルカーペット又は細幅床材の縁部を浮かせることが容易である。タイルカーペットと共に細幅床材を貼り足すには、まず突出片を有していない細幅床材の側面を、剥がしていないタイルカーペットに添着させるようにすればよい。その後、敷き足すタイルカーペットを敷設させて、突出片をタイルカーペットと床面とに挟持させるようにすればよく、取替工事においても床施工が容易である。
【0023】
本発明の第2の発明は、第1の発明の細幅床材において、前記突出片の突出寸法が、前記細幅床材本体の幅よりも小さいことを特徴としている。第2の発明によれば、天地を逆にして2枚の細幅床材を重ねて保管した状態で、突出片のみが突出された状態とならないため、突出片が損傷されにくいという効果を奏する。
【0024】
本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明の細幅床材において、前記隣のタイルカーペットに接する前記側方縁部を3等分した範囲の夫々に、前記突出片が備えられていることを特徴としている。第3の発明によれば、細幅床材を分断して半端材にしても、2分の1以上の長さの長い半端材は少なくとも2か所の突出片を有する。これにより、半端材であっても少なくとも2か所の突出片をタイルカーペットと床面との間に挟持させることができ、細幅床材が剥がれにくいという効果を奏する。
【0025】
本発明の第4の発明は、第1から第3の発明の細幅床材において、前記突出片が、外方に鋭角をなす三角形形状とされていることを特徴としている。第4の発明によれば、床工事前において、細幅床材を床に仮置きしている状態でも、突出片を損傷させにくいという効果を奏する。
【0026】
本発明の第5の発明は、第1から第4の発明の細幅床材において、前記ビニル床材が、ビニル床タイルからなり、厚さが3mm以上とされていることを特徴としている。第5の発明によれば、細幅床材が反りにくく、細幅床材の天部の位置が、厚さが5mmの薄いタイルカーペットの基材の天部と繊維束の天部との間に位置されるため、細幅床材が歩行に障害になりにくく、剥がれにくいという効果を奏する。
【0027】
本発明の第6の発明は、第1から第4の発明の細幅床材において、前記ビニル床材が、複数のビニル床材を重ねてなることを特徴としている。第6の発明によれば、タイルカーペットの厚さに限定されることなく、タイルカーペットに適用できる多様な外観の細幅床材を提供できるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0028】
・本発明の第1の発明によれば、床を単調に見せない「美観機能」と、レイアウト変更の際の「位置表示機能」とを付与させることができると共に、細幅床材もタイルカーペットも剥がれにくく、且つ新設工事又は取替工事のいずれにおいても床施工が容易となるという従来にない効果を奏する。
・本発明の第2の発明によれば、天地を逆にして2枚の細幅床材を重ねて保管した状態で、突出片のみが突出された状態とならないため、突出片が損傷されにくいという効果を奏する。
【0029】
・本発明の第3の発明によれば、細幅床材を分断させた半端材であっても少なくとも2か所の突出片をタイルカーペットと床面との間に挟持させることができ、細幅床材が剥がれにくいという効果を奏する。
・本発明の第4の発明によれば、床工事前において、細幅床材を床に仮置きしている状態でも、突出片を損傷させにくいという効果を奏する。
・本発明の第5の発明によれば、細幅床材が反りにくく、細幅床材が歩行に障害になりにくく、剥がれにくいという効果を奏する。
・本発明の第6の発明によれば、タイルカーペットの厚さに限定されることなく、タイルカーペットに適用できる多様な外観の細幅床材を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【発明を実施するための形態】
【0031】
単調な外観となりやすいタイルカーペットに多様なデザインの中から選択された細幅床材を配置させることにより床に「美観機能」を付与させると共に、レイアウト変更の際の「位置表示機能」とを付与させた。
【実施例0032】
実施例1の細幅床材1は、塩化ビニル素材からなる床タイルを細幅に切断して、その底面に樹脂製の薄板を貼着させて
細長体をなす細幅床材とさせた。実施例1の細幅床材1を、
図1から
図3を参照して説明する。
図1は、先に敷設させたタイルカーペット100の側面に添着させた状態において、細幅床材1の構成を示す斜視図である。
図2は、取付方法を示す断面図である。
図3は、定尺部材の全体を示す説明図である。
【0033】
実施例1に示す細幅床材1は、ビニル床材のうち、表面からクリア層11、印刷層12、基材層13からなる複層ビニル床タイルを細幅床材本体10としている。印刷層12は、石材、木材等の表面を写真に撮影して、その質感を表現した層であり、クリア層11は印刷層の劣化を防止するための透明な被覆層である。基材層13は、単層であってもよく、複層であってもよく、平坦性と耐久性を有するように構成されればよい。細幅床材本体10は木質模様を表した印刷層12を有するビニル床タイルとしている。
【0034】
細幅床材1は、一辺50cmの正方形形状のビニル床タイルを端縁に沿って1cmの幅で切断させ、タイルカーペット100の各辺の基準寸法50cmと同じ長さとした定尺部材と、短辺17cm長辺100cmの長方形形状のビニル床タイルを長辺に沿って1cmの幅で切断させ、タイルカーペット100の基準寸法よりも長い長尺部材の2種類としている。
【0035】
薄板体20は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂材が好適であるが限定されず、厚さが約0.5mmとされた状態で平板状をなせばよい。薄板体20は、細幅床材本体10の底面に両面接着テープで接着される細長部21(斜線模様範囲)と、長手方向の一方の側方縁部のみに形成された突出片とからなっている。細長部21は、細幅床材1を直交する2方向に配設させる際に、直交する細幅床材の突出片22が重ならないように、長辺の両端部から突出片22の突出高さに相当する部分23は細長部21を形成させていない(
図3参照)。
【0036】
突出片は、断続的に突出された複数の突出片22とされている。細幅床材1においては、突出片22は、一辺の長さが2cmの正三角形形状とさせているが、突出片22の形状、大きさは限定されない。タイルカーペット100の全厚は約6mmとしている、細幅床材1の高さは5mmとさせているが、細幅床材1の高さは、タイルカーペットの基材101の厚みの寸法より大きく、タイルカーペットの全厚より低くさせるとよい。
【0037】
図2を参照して、細幅床材1と共にタイルカーペット100を列状に施工する方法を簡単に説明する。タイルカーペット100は、床面の凹部に下地処理材102を塗布し、床面を水平に均した状態とし、その床面全体に弱接着性の接着剤を薄く敷き延ばし弱接着層103とし、予め設定させた割付基準線に沿って、基準列のタイルカーペットを弱接着層103の上に敷設させる。基準列のタイルカーペットの側縁に、細幅床材の突出片を有さない縁部14を押し付けるようにして、突出片を含めた薄板体20の底面全体を弱接着層103に接着させる。
【0038】
次に隣の列をなすタイルカーペット104を、その側縁を細幅床材の突出片22が形成された側の側縁に沿わせて、弱接着剤層103の上に敷設させる。そうすると後から敷設された隣の列をなすタイルカーペット104の側縁は、細幅床材の突出片が形成されている部分については突出片22を押さえ、突出片22が形成されていない部分については、床の弱接着層103に直接接着された状態とされる。後から敷設されたタイルカーペット104が、弱接着層103に側縁の際まで接着され、隣の列をなすタイルカーペット104の縁部が浮き上がらない状態で、細幅床材10を押さえているため、隣の列をなすタイルカーペット104と共に細幅床材10も浮き上がりにくく剥がれにくい。
【0039】
ここで、突出片22の数と配置位置について
図3を参照して説明する。
図3(A)図は、平面図を示し、
図3(B)図は断面図を示している。定尺部材の細幅床材1においては、直交する方向に細幅床材1が配設されたときに、薄板体20が重なることがないように、長辺の両端部から突出片22の突出高さに相当する部分23を除いた位置に、両面接着テープにより薄板体20を貼着させている。突出片22は三角形形状とし、その底辺側の上面に両面接着テープ24(交差模様範囲)を延出させ、重ね合わせて保管する際の仮保持層としている(
図5(A)図参照)。薄板体20には、長辺方向を3等分(
図3一転鎖線参照)した範囲に均等な間隔で、夫々3か所の突出片22を形成させている。
【0040】
タイルカーペット100は、仕上がりの美観向上と剥がれ防止のため、敷設されるタイルカーペットの幅が2分の1以上となるように切断されて、2分の1以上の部材が使われている。仮に細幅床材1の定尺部材を図の上方から2分の1の長さ(破線位置)に切断したとしても、この定尺部材については、少なくとも5か所の突出片が隣のタイルカーペットと床面に挟持されるため浮き上がりにくくされる。
【0041】
両面接着テープ24が延出されている突出片22の天面に順に細幅床材1を載せて(
図5(A)図参照)、複数の細幅床材1,1・・を並べた状態で管理すれば、複数の細幅床材が一体に管理され、散逸されにくく好適である。また並んだ細幅床材1,1・・の天面の模様が広く視認されるため、細幅床材自体が識別しやすく保管管理しやすい。
タイルカーペット100の間に、直交する方向に細幅床材を敷設させる場合には、予め建物の床平面図面にタイルカーペットと細長床材を配置させた図を描き、部屋の端部に2分の1よりも狭いタイルカーペットを敷設させないように、タイルカーペットと細幅床材の割付を決定させておく。
部屋の横方向端部には、先に敷設された細幅床材の突出片22に載せるように、先にした割付の幅に切断された2分の1以上の幅のタイルカーペット106が敷設されると共に、タイルカーペットの幅に切断させた定尺部材15をタイルカーペットの上縁に添着させる。
部屋の縦方向端部は、縦方向端部の列のタイルカーペットと定尺部材を予め割付で決定させた所定の長さに切断させておき、先に敷設された列の長尺部材の突出片22に載せるようにして、所定の長さに切断させたタイルカーペット107と、所定の長さに切断させた細幅床材17を敷設させていく。