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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022033522
(43)【公開日】2022-03-02
(54)【発明の名称】無線通信システム及び中継端末
(51)【国際特許分類】
   H04W 8/24 20090101AFI20220222BHJP
   H04W 28/14 20090101ALI20220222BHJP
   H04W 88/04 20090101ALI20220222BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
H04W8/24
H04W28/14
H04W88/04
H04M1/00 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020137468
(22)【出願日】2020-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】門馬 康太郎
【テーマコード(参考)】
5K067
5K127
【Fターム(参考)】
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE16
5K067EE25
5K067HH22
5K067HH23
5K067LL00
5K127BA03
5K127BB22
5K127BB33
5K127CA35
5K127DA12
5K127DA15
5K127DA19
5K127GA14
5K127GA25
5K127JA14
5K127KA02
5K127NA14
(57)【要約】
【課題】端末における無線通信による制御ソフトウェアの更新動作を高確率で正常終了させる。
【解決手段】この無線通信システムは、無線通信を行う複数の端末10と、端末10とネットワーク(第1のネットワーク)N1を介して接続されたサーバ20と、を具備する。端末10は実際には無線通信以外の各種の機能を有する機器であり、ネットワークN1は例えばインターネットである。この無線通信システムにおいては、端末10の一つである中継端末10Aが、制御プログラムの更新動作に際しては上記のサーバ20の代わりに機能する。端末10には、ネットワークN2と接続するための第2通信部が設けられる。このため、他の端末10は、ネットワークN2を介して、前記のサーバ20に対して行われるような制御ソフトウェアの更新の要求及び更新の動作を、この中継端末10Aに対して同様に行うことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
逐次更新される制御ソフトウェアにより動作する機能と無線通信機能をもつ複数の端末と、最新バージョンの前記制御ソフトウェアを前記端末に前記無線通信機能によって提供するサーバと、を具備する無線通信システムであって、
前記サーバと無線通信によって第1のネットワークを介して接続される中継端末が設けられ、
前記中継端末と前記端末とは、無線通信によって前記第1のネットワークとは異なるローカルネットワークである第2のネットワークを介して接続され、
前記最新バージョンの前記制御ソフトウェアは、前記サーバから前記中継端末に前記第1のネットワークを介して提供され、前記中継端末に対して前記制御ソフトウェアの更新要求を発した前記端末に対して、前記中継端末から前記第2のネットワークを介して提供されることを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記中継端末は、前記更新要求を発した前記端末が前記第1のネットワークと接続できない場合に、前記最新バージョンの前記制御ソフトウェアを、当該端末に対して前記第2のネットワークを介して提供することを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記中継端末は、自身の位置情報に応じて前記最新バージョンの前記制御ソフトウェアの提供の要求を前記サーバに対して発することを特徴とする請求項1又は2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
複数の前記端末のうちの一つが前記中継端末とされ、当該中継端末は、他の前記端末に対して前記最新バージョンの前記制御ソフトウェアを提供することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項5】
逐次更新される制御ソフトウェアにより動作する機能と無線通信機能をもつ複数の端末と、最新バージョンの前記制御ソフトウェアを前記端末に前記無線通信機能によって提供するサーバと、を具備する無線通信システムにおいて設けられ、
第1のネットワークを介して前記サーバと無線通信を行う第1通信部と、
前記第1のネットワークとは異なるローカルネットワークである第2のネットワークを介して前記端末と無線通信を行う第2通信部と、
前記最新バージョンの前記制御ソフトウェアを、前記第1のネットワークを介して前記サーバから入手し、前記第2のネットワークを介して前記制御ソフトウェアの更新要求を発した前記端末に対して前記第2のネットワークを介して提供する動作を行わせる制御部と、
を具備することを特徴とする中継端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバと複数の端末を具備する無線通信システム、及びこの無線通信システムにおいてサーバと端末との間の中継に用いられる中継端末に関する。
【背景技術】
【0002】
IoT技術においては、サーバと複数の機器とがネットワークで接続され、特にこうした機器としてはセンサ等の各種のものが用いられる一方で、この機器自身が端末として機能する、あるいは機器毎に端末が接続される。この場合には、サーバと端末間や端末同士の間が無線通信によって接続されることによってネットワークが形成される。
【0003】
各端末において制御のために用いられる制御ソフトウェア(ファームウェア)は、不揮発性メモリ等に保存されて使用されるが、このソフトウェアは適宜更新され、最新のソフトウェアはサーバから各端末側に前記の無線通信によって提供される(FOTA:Firmwear Over The Air)。この更新動作が行われている間は、その端末の使用はできない。このような端末の一種として例えば携帯電話があるが、携帯電話の場合には、この更新動作が行われている間は、ソフトウェアの更新中であるとの表示が行われる。使用者は、これによって現在の状況を認識することができ、現在は携帯電話を使用できない状態であることを認識することができると共に、この間に更新動作の障害となるような動作(例えば電源を切断する動作)を行わないように注意することができる。
【0004】
しかしながら、携帯電話以外のIoT機器が上記の端末となる場合には、このような更新動作がその本来の動作の大きな障害となる、あるいは本来の動作を適正に行うためにこの更新動作を行うことができない場合がある。特許文献1には、この端末(データ通信用無線端末)と接続されたデータ端末装置(DTE)側がこのような更新動作の有無を適正に認識し、更新動作を確実に行わせると共に、本来の動作も可能な範囲で行わせる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-193136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような更新動作が端末において行われている間、例えば屋外等の通信状況の不安定な環境下において端末が移動中であるような場合には、通信状況が時間経過に際して大きく変化する場合がある。こうした場合においては、更新動作を正常終了させることができない場合が発生し、この更新動作を再度初めから行う、あるいは更新動作が可能である状況であると使用者が判断した上で使用者の操作によりこの更新動作を開始させることが必要であった。
【0007】
このため、端末における無線通信による制御ソフトウェアの更新動作を高確率で正常終了させることができる技術が望まれた。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みなされたもので、上記課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の無線通信システムは、逐次更新される制御ソフトウェアにより動作する機能と無線通信機能をもつ複数の端末と、最新バージョンの前記制御ソフトウェアを前記端末に前記無線通信機能によって提供するサーバと、を具備する無線通信システムであって、前記サーバと無線通信によって第1のネットワークを介して接続される中継端末が設けられ、前記中継端末と前記端末とは、無線通信によって前記第1のネットワークとは異なるローカルネットワークである第2のネットワークを介して接続され、前記最新バージョンの前記制御ソフトウェアは、前記サーバから前記中継端末に前記第1のネットワークを介して提供され、前記中継端末に対して前記制御ソフトウェアの更新要求を発した前記端末に対して、前記中継端末から前記第2のネットワークを介して提供されることを特徴とする。
本発明の無線通信システムにおいて、前記中継端末は、前記更新要求を発した前記端末が前記第1のネットワークと接続できない場合に、前記最新バージョンの前記制御ソフトウェアを、当該端末に対して前記第2のネットワークを介して提供することを特徴とする。
本発明の無線通信システムにおいて、前記中継端末は、自身の位置情報に応じて前記最新バージョンの前記制御ソフトウェアの提供の要求を前記サーバに対して発することを特徴とする。
本発明の無線通信システムは、複数の前記端末のうちの一つが前記中継端末とされ、当該中継端末は、他の前記端末に対して前記最新バージョンの前記制御ソフトウェアを提供することを特徴とする。
本発明の中継端末は、逐次更新される制御ソフトウェアにより動作する機能と無線通信機能をもつ複数の端末と、最新バージョンの前記制御ソフトウェアを前記端末に前記無線通信機能によって提供するサーバと、を具備する無線通信システムにおいて設けられ、第1のネットワークを介して前記サーバと無線通信を行う第1通信部と、前記第1のネットワークとは異なるローカルネットワークである第2のネットワークを介して前記端末と無線通信を行う第2通信部と、前記最新バージョンの前記制御ソフトウェアを、前記第1のネットワークを介して前記サーバから入手し、前記第2のネットワークを介して前記制御ソフトウェアの更新要求を発した前記端末に対して前記第2のネットワークを介して提供する動作を行わせる制御部と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、端末における無線通信による制御ソフトウェアの更新動作を高確率で正常終了させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。
図2】本発明の実施の形態に係る中継端末(端末)の構成を示す図である。
図3】本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおけるサーバと中継端末との間の動作(その1)を示すシーケンス図である。
図4】本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおけるサーバと中継端末との間の動作(その2)を示すシーケンス図である。
図5】本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおける中継端末と他の端末との間の動作(その1)を示すシーケンス図である。
図6】本発明の実施の形態に係る無線通信システムにおける中継端末と他の端末との間の動作(その2)を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態となる無線通信システムを具体的に説明する。この無線通信システムは、無線通信を行う複数の端末(IoT端末:IoT機器)10と、端末10とネットワーク(第1のネットワーク)N1を介して接続されたサーバ20と、を具備する。端末10は実際には無線通信以外の各種の機能を有する機器(例えば各種のセンサ)であり、ネットワークN1は例えばインターネットである。ここでは、3つの端末10が用いられている。
【0013】
図2は、この端末10の構成を示すブロック図である。この端末10は、ネットワークN1を介してサーバ20、及び他の端末10と通信をするための第1通信部11を具備する。第1通信部11は、例えば携帯電話回線を用いた無線通信を行う。また、端末10は、前記のような各種の機能(センサ機能等)を実行する機能実行部12を具備し、例えばこの機能がセンサ機能である場合には機能実行部12の検知結果が第1通信部11を介してサーバ20や他の端末10に送信される。あるいは、この機能が例えば他の機器を制御するような能動的な機能である場合には、第1通信部11を介してサーバ20や他の端末10から受信した情報に基づいて機能実行部12が動作する。制御部13は、このような動作が行われるように第1通信部11、機能実行部12を制御する。制御部13による様々な動作は、キーボードやタッチパネル等の使用者による操作に応じて行わせることができる。図1においては3つの端末10が用いられているが、機能実行部12は、それぞれにおいて異なる場合もある。
【0014】
実際には制御部13が機能実行部12を制御する動作は、制御ソフトウェア(プログラム)によって実行される。制御ソフトウェアはフラッシュメモリ等の不揮発性メモリで構成される不揮発性記憶部14に保存されている。この制御ソフトウェアは適宜更新され、不揮発性記憶部14には最新の制御ソフトウェアが保存されていることが好ましい。このため、不揮発性記憶部14には、制御ソフトウェアと共に、そのバージョンを示すバージョン情報も記憶されている。このような最新の制御ソフトウェアは、そのバージョン情報と共に、第1通信部11(ネットワークN1)を介してサーバ20から入手することができる。
【0015】
このため、サーバ20には、このような制御ソフトウェア及びそのバージョン情報が記憶されている。ただし、ここでは複数の端末10が設けられ、この中においては同様の機能(機能実行部12)を有し、同じ制御ソフトウェアで動作するものが存在する。このような端末10間では、共通の制御ソフトウェアが用いられる。一方、これらと異なる機能を有する端末10はこれらとは異なる制御ソフトウェアで動作する。このため、サーバ20は、このような複数種類の制御ソフトウェアとそのバージョン情報を管理して記憶する。上記のような端末10は、このような機能(使用する制御ソフトウェアの種類)毎にグループ分けされる。上記の制御ソフトウェアの更新動作は、このグループ内の端末10に対しては同様に行われ、同様の最新の制御ソフトウェアが端末10内に記憶される。
【0016】
端末10側におけるこのような制御部13の動作に際しては、不揮発性記憶部14とは別に設けられたメモリである記憶部15を用いることができる。記憶部15としては、不揮発性記憶部14とは異なり、不揮発性ではないが動作速度が速いRAM等が用いられる。
【0017】
この無線通信システムにおいては、制御ソフトウェアの更新の要求を、端末10側から発することができる。この場合、まず、制御部13は、自身の不揮発性記憶部14に保存された制御ソフトウェアのバージョン情報を読み出し、これをネットワークN1を介してサーバ20側に送信する。サーバ20側では、自身の記憶している最新のバージョン情報を端末10側に送信することができる。これらが一致した場合には、この端末10の不揮発性記憶部14に記憶されている制御ソフトウェアは現時点で最新のものであると認識することができるため、制御ソフトウェアの更新は不要となる。
【0018】
これらのバージョン情報が一致せず端末10側のバージョン情報が最新のものでないと認識された場合には、この端末10の不揮発性記憶部14に保存されている制御ソフトウェアは最新のものでないと判断されるため、その更新を行うことが好ましい。このため、この場合には、端末10は、最新の制御ソフトウェアのダウンロード要求をネットワークN1を介してサーバ20に発し、その後にネットワークN1を介して最新の制御ソフトウェアをダウンロードし、これをそのバージョン情報と共に不揮発性記憶部14に上書きさせることができる。制御部13は、これ以降に機能実行部12を動作させる際には、このように更新された制御ソフトウェアを用いることができる。
【0019】
上記の動作については、IoT端末が用いられる従来のシステムと同様である。この場合においては、少なくとも、上記のようなバージョン情報の交換時と最新の制御ソフトウェアのダウンロード時においては、端末10とサーバ20とが無線通信によってネットワークN1と接続されていることが必要である。しかしながら、特に端末10が上記のようなIoT端末(IoT機器)である場合には、その用途や使用の態様によっては、こうした状況が常時実現されているとは限らない。
【0020】
図1に示されるように、この無線通信システムにおいては、端末10の一つである中継端末10Aが、制御プログラムの更新動作に際しては上記のサーバ20の代わりに機能する。また、中継端末10Aは前記の端末10の一つであり、かつ前記のように機能(使用される制御ソフトウェアの種類)毎に端末10がグループ分けされた場合には、制御ソフトウェアの更新を要求する端末10と中継端末10Aは同じグループに属する。制御ソフトウェアの更新を要求する端末10と中継端末10Aは前記のとおりネットワークN1(インターネット)に接続されるが、これらはネットワークN1とは別の、ローカルネットワークであるネットワークN2でも接続される。
【0021】
このため、図2において、端末10には、ネットワークN2と接続するための第2通信部16が設けられる。第2通信部16においては近距離無線通信が双方向で行われ、具体的には、このためにWi-Fi、Bluetooth(登録商標)等を用いることができる。また、中継端末10Aは、予めサーバ20から入手した最新の制御プログラムを不揮発性記憶部14に保存している。このため、他の端末10は、ネットワークN2を介して、前記のサーバ20に対して行われるような制御ソフトウェアの更新の要求及び更新の動作を、この中継端末10Aに対して同様に行うことができる。この場合には、この端末10と中継端末10AとがネットワークN1に接続されていることは不要であり、ローカルネットワークであるネットワークN2で接続されていればよいため、更新動作をより確実に行うことができる。
【0022】
また、端末10には、GPS信号を用いて自身の位置を認識する位置認識部17も設けられる。サーバ20は地上に固定されているため、これにより、制御部13は、この端末10の現在の位置でサーバ20との間の通信が良好に行えるか否かを判定することができる。
【0023】
また、図1においては中継端末10Aと他の端末10とは区別して示されているが、実際には、最新の制御ソフトウェアを記憶している端末10を中継端末10Aとして用いることができる。すなわち、ある一つの端末10の制御部13は、上記のような更新の要求を他の端末10から受け、上記のように制御ソフトウェアのバージョン情報や制御ソフトウェアをこの端末10側にネットワークN2(第2通信部16)を介して送信させる動作を行う。
【0024】
ただし、様々な機能をもつ複数の端末10のうちの一つではなく、このような制御ソフトウェアの更新のためのみに用いられる専用の端末10を中継端末10Aとして設けてもよい。この場合には、この中継端末10においては、図2における機能実行部12は設けられない。また、この場合には、前記のように端末10が機能毎にグループ分けされた場合においても、複数のグループに対応した複数の制御ソフトウェアを中継端末10Aの不揮発性記憶部14に記憶させ、この複数のグループに属する端末10の全てに対して、制御ソフトウェアの更新のためにこの中継端末10Aを共通に用いることができる。この場合、全てのグループ(あるいは全ての端末10)に対して共通の中継端末10Aを用いることもできる。
【0025】
図1の無線通信システムにおいては、最新の制御プログラムは、サーバ20から中継端末10AにネットワークN1を介して送信されて記憶され、その後で中継端末10Aから端末10にネットワークN2を介して送信されて記憶される。
【0026】
中継端末10Aが端末10のうちの一つである場合、複数の端末10のうちネットワークN1との接続が最も安定して行われるものを中継端末10Aとすることができる。すなわち、複数の端末10の中で中継端末10Aを予め設定することができる。
【0027】
図3~6は、この無線通信システムにおけるサーバ20と中継端末10Aとの間の動作(図3、4)、中継端末10Aと端末10との間の動作(図5、6)を示すシーケンス図である。
【0028】
図3においては、中継端末10Aに保存されている制御ソフトウェアのバージョン情報とサーバ20に保存されている最新の制御ソフトウェアのバージョン情報を互いに交換する動作が示されており、この動作は中継端末10Aの起動の度に行われるものとする。ここで、サーバ20には、予め最新の制御ソフトウェアが保存されているものとする(S101)。その後、中継端末10Aが起動されると(S102)、第1通信部11を介して中継端末10AがネットワークN1に接続されることによって、中継端末10Aとサーバ20の接続が確立される(S103)。
【0029】
その後、中継端末10Aの制御部13は、不揮発性記憶部14に記憶された自身のバージョン情報をネットワークN1を介してサーバ20に送信する(S104)。サーバ20においては、自身とネットワークN1を介して接続される中継端末10Aにおける制御ソフトウェアのバージョン情報(中継端末バージョン情報)が保存されており、これをここで送信(S104)されたバージョン情報に更新する(S105)。
【0030】
その後、サーバ20は、自身の保存する最新の制御ソフトウェアのバージョン情報を中継端末10A側に送信する(S106)。これを受信した中継端末10Aの制御部13は、自身における制御ソフトウェアの更新の必要性の有無を判定することができる(S107)。なお、この判定をサーバ20が行い、最新のバージョン情報と共に、あるいはその代わりにこの判定結果をサーバ20が中継端末10Aに送信してもよい。
【0031】
更新が必要であると判定された場合(S107)において、実際の更新動作は上記の動作の後に適宜行わせることができ、直後に行わせることもできる。ただし、例えば中継端末10AがIoT機器としての動作をしている場合には、この更新動作を行わせることが適切でない場合がある。このため、例えば、この更新動作は中継端末10A側の使用者の操作によって開始させることができる。図4は、この場合における動作が示されている。
【0032】
前記のようなバージョン情報を交換する動作(S104、S106)と比べて、この更新動作はより長時間を要し、この間における中継端末10Aとサーバ20との間の通信状況が安定していることが要求される。このため、中継端末10Aの制御部13は、位置認識部17によって認識した自身の位置情報より、自身がサーバ20と安定して通信が行える状況であるか否かを判定する。
【0033】
この通信が安定して行える状況であると認識された場合には、前記のように、この更新要求は中継端末10A側から発せられる(S108)。これを受信したサーバ20は、自身が保存する最新の制御ソフトウェアをネットワークN1を介して中継端末10Aに送信する(S109)。実際には、ここでは制御ソフトウェアはダウンロード用のファイルとして圧縮された形態で送信される。中継端末10Aの制御部13は、このファイルを解凍して制御ソフトウェアを読出し、不揮発性記憶部14に保存させる(S110)ことによって、アップデート処理が終了する。制御部13は、この旨をサーバ20に対して通知し(S111)、サーバ20がこれを受信した後に、サーバ20側が記憶している前記の中継端末バージョン情報が、この最新のバージョンのものに更新される(S112)。
【0034】
サーバ20はネットワークN2とは接続されずネットワークN1とのみ接続されるため、上記のようなサーバ20と中継端末10Aとの間の通信はネットワークN1を介して行われる。なお、複数の中継端末10Aが設けられる場合には、各中継端末10Aが上記の動作をそれぞれ行う。また、前記のように端末10が機能(使用される制御ソフトウェアの種類)毎にグループ分けされる場合には、上記の最新の制御ソフトウェアやその中継端末バージョン情報は、この機能(種類)毎に管理される。あるいは、この機能(種類)毎に中継端末10Aを設けてもよい。
【0035】
上記のように中継端末10Aに最新の制御ソフトウェアが保存された後に、中継端末10Aとは異なる端末10における制御ソフトウェアの更新が可能となる。図5、6はこの動作を示す。図5、6の動作は、図3、4におけるサーバ20と中継端末10Aとの間の動作に対応し、図3、4におけるサーバ20が中継端末10A、中継端末10Aが端末10に置換された動作となっている。ただし、図3、4ではサーバ20と中継端末10Aとの間の通信はネットワークN1を介して行われたのに対し、図5、6における中継端末10Aと端末10との間の通信はネットワークN2を介して行われる点が異なる。
【0036】
すなわち、図5において、端末10が起動されると(S121)、第2通信部16を介して端末10がネットワークN2に接続されることによって、端末10と中継端末10Aの接続が確立される(S122)。
【0037】
その後、端末10の制御部13は、不揮発性記憶部14に記憶された自身のバージョン情報をネットワークN2を介して中継端末10Aに送信する(S123)。中継端末10Aにおいては、自身とネットワークN2を介して接続される端末10における制御ソフトウェアのバージョン情報(端末バージョン情報)が保存されており、これをここで送信(S123)されたバージョン情報に更新する(S124)。
【0038】
その後、中継端末10Aは、自身の保存する最新の制御ソフトウェアのバージョン情報を端末10側に送信する(S125)。これを受信した端末10の制御部13は、自身における制御ソフトウェアの更新の必要性の有無を判定することができる(S126)。なお、この判定を中継端末10Aの制御部13が行い、最新のバージョン情報と共に、あるいはその代わりにこの判定結果を中継端末10Aが端末10に送信してもよい。
【0039】
その後、図6に示されるように、この更新要求は端末10側から発せられる(S127)。これを受信した中継端末10Aは、自身が保存する最新の制御ソフトウェアをネットワークN2を介して図4の場合と同様の形態で端末10に送信する(S128)。端末10の制御部13は、このファイルを解凍して制御ソフトウェアを読出し、不揮発性記憶部14に保存させる(S129)ことによって、アップデート処理が終了する。端末10の制御部13は、この旨を中継端末10Aに対して通知し(S130)、中継端末10Aがこれを受信した後に、中継端末10Aの不揮発性記憶部14に記憶された端末バージョン情報が、この最新のバージョンのものに更新される(S131)。
【0040】
なお、上記のように中継端末10Aが端末10の機能(制御ソフトウェアの種類)毎に設けられる場合には、端末10が接続される中継端末10Aは、この端末10に対応した中継端末10Aとされる。
【0041】
図5、6の動作はネットワーク(ローカルネットワーク)N2を介してのみ行われ、端末10がネットワーク(インターネット)N1と接続されない状態でも行われる。このように、中継端末10AとネットワークN2とを用いることによって、端末10がネットワークN1と接続されない状態においても、制御ソフトウェアの更新動作を行わせることができる。更に、このような更新動作は端末10が更新の要求を発する(S127)ことによって開始されるため、端末10がIoT機器としてもつ本来の機能(機能実行部12の動作)の障害にならない状態でこの更新動作を行わせることができる。
【0042】
また、図3~6の動作によれば、端末10における制御ソフトウェアの現在のバージョン情報は端末バージョン情報とし中継端末10Aに保存され、中継端末10Aにおける制御ソフトウェアの現在のバージョン情報は中継端末バージョン情報としてサーバ20に記憶される。このため、中継端末10A側では対応する端末10の更新状況を適切に把握し、サーバ20側では中継端末10Aの更新状況を適切に把握することができる。
【0043】
図3、4の動作においては、中継端末10Aが予め複数の端末10の中から設定されるものとした。この動作においては、位置認識部17は中継端末10Aにおいてのみ用いられ、他の端末10においては用いられないため、中継端末10A以外の端末10においては位置認識部17は不要である。
【0044】
一方、上記の構成においては、前記のように端末10がサーバ20からネットワークN1を介して直接制御ソフトウェアを入手することも可能であるため、例えば複数の端末10のうちサーバ20からネットワークN1を介して最新の制御ソフトウェアを最初に入手した端末10を中継端末10Aとすることができる。この場合、サーバ20が初めに最新の制御ソフトウェアを送付した端末10を中継端末10Aとして認識し、その旨をこの端末10に送信すればよい。その後、この中継端末10Aは他の端末10にその旨を送信することによって、図5、6の動作を行わせることができる。すなわち、中継端末10Aを予め設定せずに、端末20の更新状況に応じて中継端末10Aを設定することもできる。
【0045】
こうした状況も考慮して、図3における中継端末10A側からサーバ20側への自身のバージョン情報の送信時(S104)に、中継端末10Aがこの時点で保存している端末バージョン情報をサーバ20に送信してもよい。これによって、サーバ20は、接続された全ての端末10における更新状況を認識することができ、以降における更新作業をより適切に行わせることができる。
【0046】
また、図5における中継端末10A側から端末10側への最新の制御ソフトウェアのバージョン情報の送信時(S125)に、中継端末10Aがこの時点で保存している端末バージョン情報を端末10側に送信してもよい。これによって、端末10側でも、同じ制御ソフトウェアが用いられる他の全ての端末10における更新状況を認識することができる。このように全ての端末10が端末バージョン情報を共通して認識することによって、例えば他の端末がその後で中継端末10Aとなった場合でも、更新作業をより適切に行わせることができる。
【0047】
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0048】
10 端末
10A 中継端末
11 第1通信部
12 機能実行部
13 制御部
14 不揮発性記憶部
15 記憶部
16 第2通信部
17 位置認識部
20 サーバ
N1 ネットワーク(第1のネットワーク)
N2 ネットワーク(第2のネットワーク)
図1
図2
図3
図4
図5
図6