(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022033602
(43)【公開日】2022-03-02
(54)【発明の名称】粘度測定装置
(51)【国際特許分類】
G01N 11/14 20060101AFI20220222BHJP
G01N 5/04 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
G01N11/14
G01N5/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020137588
(22)【出願日】2020-08-17
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「環境調和型製鉄プロセス技術の開発/水素還元活用製鉄プロセス技術開発(フェーズII-STEP1)」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 耕治
(72)【発明者】
【氏名】堺 康爾
(57)【要約】
【課題】本発明は、溶剤を含むスラリーの溶剤含有率と粘度との関係を容易に把握することができる粘度測定装置を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明の一態様は、溶剤を含むスラリーの粘度測定装置であって、前記スラリーの粘度を測定する粘度測定部と、前記粘度測定部で測定される前記スラリーを加温する加温部と、前記加温により蒸発した前記溶剤を回収する溶剤回収部と、前記溶剤の蒸発量から前記スラリーにおける溶剤含有率を算出する算出部とを備える。前記溶剤回収部が、前記蒸発した溶剤を液化する凝縮機構を有するのが好ましい。前記溶剤回収部が、前記凝集機構で液化された溶剤の重量を測定する重量測定機構をさらに有するのが好ましい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶剤を含むスラリーの粘度測定装置であって、
前記スラリーの粘度を測定する粘度測定部と、
前記粘度測定部で測定される前記スラリーを加温する加温部と、
前記加温により蒸発した前記溶剤を回収する溶剤回収部と、
前記溶剤の蒸発量から前記スラリーにおける溶剤含有率を算出する算出部と
を備える粘度測定装置。
【請求項2】
前記溶剤回収部が、前記蒸発した溶剤を液化する凝縮機構を有する請求項1に記載の粘度測定装置。
【請求項3】
前記溶剤回収部が、前記凝集機構で液化された溶剤の重量を測定する重量測定機構をさらに有する請求項2に記載の粘度測定装置。
【請求項4】
前記溶剤含有率が所定の閾値以下でスラリーを前記粘度測定部に追加するスラリー供給部をさらに備える請求項1、請求項2又は請求項3に記載の粘度測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無灰炭の製造方法として、石炭と溶剤とを混合したペースト状混合物を加熱することにより石炭中の可溶成分を溶剤中に溶出させる工程と、固液分離により可溶成分が溶け込んだ溶液を取り出す工程と、この溶液から溶剤を蒸発させることで石炭の可溶成分のみを取り出す工程とを含む製造方法が知られている。
【0003】
前記可溶成分を取り出す工程では、複数の分離器を用いて前記溶剤を蒸発させることがある。一の分離器を用いて前記溶液から前記溶剤を蒸発させて無灰炭及び前記溶剤を含むペースト状混合物とし、このペースト状混合物を他の分離器に移送する際のハンドリングは、前記ペースト状混合物の粘度によっては困難になることがある。また、前記分離器等のペースト状混合物を用いる機器の開発においても前記ペースト状混合物の粘度を考慮する必要がある。前記ペースト状混合物の粘度は、前記ペースト状混合物の溶剤含有率の影響を受けるため、ペースト状混合物の溶剤含有率と粘度との関係を容易に把握できる方法が望まれている。
【0004】
タール誘導品、タール、又はピッチ等の流体物の粘度を自動的に測定する粘度測定システムが発案されている(特開平6-109614号公報)。この粘度測定システムは、温度管理されたサンプルを設定された回転速度でロータが粘性抵抗に基づいて粘度の測定を行うため、測定作業の効率化及び迅速化を図ることができ、測定コストを低減することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記公報所載の粘度測定システムでは、所定の温度にしたサンプルの粘度を測定するため、前記サンプルの温度と粘度との関係を把握することはできるが、前記サンプル中の液体の含有量が測定できるものではないため、前記サンプルの液体含有率と粘度との関係を把握することは容易にできないおそれがある。
【0007】
上述のような事情に鑑みて、本発明は、溶剤を含むスラリーの溶剤含有率と粘度との関係を容易に把握することができる粘度測定装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するためになされた本発明の一態様は、溶剤を含むスラリーの粘度測定装置であって、前記スラリーの粘度を測定する粘度測定部と、前記粘度測定部で測定される前記スラリーを加温する加温部と、前記加温により蒸発した前記溶剤を回収する溶剤回収部と、前記溶剤の蒸発量から前記スラリーにおける溶剤含有率を算出する算出部とを備える粘度測定装置である。
【0009】
当該粘度測定装置は、加温部で前記スラリーを加温しつつ、粘度測定部でスラリーの粘度を測定するため、溶剤の蒸発量が変化したスラリーにおける粘度を測定することができる。また、溶剤回収部で蒸発した前記溶剤を回収し、算出部で前記回収した溶剤の蒸発量から前記スラリーにおける溶剤含有率を算出することができる。このように、溶剤が蒸発した前記スラリーにおける前記溶剤含有率と前記粘度とを測定することができるため、前記スラリーにおける前記溶剤含有率と前記粘度との関係を把握することが容易にできる。
【0010】
前記溶剤回収部が、前記蒸発した溶剤を液化する凝縮機構を有することが好ましい。液体を測定することは比較的容易であるため、前記蒸発した溶剤を液化し、この液化された溶剤を測定して算出することで前記スラリーから蒸発した溶剤の蒸発量を容易に知得することができる。
【0011】
前記溶剤回収部が、前記凝集機構で液化された溶剤の重量を測定する重量測定機構をさらに有することが好ましい。液化した前記溶剤の体積を測定してもよいが、比較的容易に測定できる前記溶剤の重量から前記蒸発量を算出するとよい。重量測定機構を有することで前記液化した溶剤の重量を容易に測定することができ、前記蒸発量をより容易に知得することができる。
【0012】
前記溶剤含有率が所定の閾値以下でスラリーを前記粘度測定部に追加するスラリー供給部をさらに備えることが好ましい。前記溶剤の蒸発量が増大すると前記スラリーの体積が減少して前記粘度測定部における粘度測定が困難になるおそれがある。前記スラリー供給部を備えることで常に所定量以上のスラリーが前記粘度測定部に存在するため、安定して粘度測定をすることができる。
【発明の効果】
【0013】
上述のように、本発明の粘度測定装置は、溶剤を含むスラリーの溶剤含有率と粘度との関係を容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る粘度測定装置の構成を示す模式的平面図である。
【
図2】
図2は、無灰炭と溶剤とを含むスラリーの溶剤含有率及び粘度の経時変化を示すグラフである。
【
図3】
図3は、
図2のスラリーの溶剤含有率と粘度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。
【0016】
図1に、本発明の一実施形態である粘度測定装置1の構成を示す。
【0017】
[粘度測定装置]
当該粘度測定装置1は、スラリーの粘度を測定する粘度測定部2と、粘度測定部2で測定される前記スラリーを加温する加温部3と、加温により蒸発した溶剤を回収する溶剤回収部4と、前記溶剤の蒸発量から前記スラリーにおける溶剤含有率を算出する算出部(不図示)とを備える。
【0018】
〔粘度測定部〕
粘度測定部2は、スラリーの粘度を測定する。粘度測定部2は、前記スラリーを貯留するスラリー貯留容器21と、このスラリー貯留容器21に供給された前記スラリーを撹拌する撹拌機22とを含む。
【0019】
スラリー貯留容器21は、その内部において、撹拌機22の一部が配置され、底部でスラリーを貯留する。スラリー貯留容器21は、その内部が気密になるように形成されている。スラリー貯留容器21は、有底筒状のスラリー貯留容器本体21aと、天部となるスラリー貯留容器蓋21bとを含む。スラリー貯留容器本体21aの外面は、少なくとも一部が後述する加温部3に接している。スラリー貯留容器蓋21bは、スラリーを供給するスラリー供給管P1、及びスラリーから蒸発した溶剤を排出する溶剤排出管P2と接続されている。また、スラリー貯留容器蓋21bは、撹拌機22の一部を内部に導入するための開口部分が形成されている。
【0020】
撹拌機22は、スラリー貯留容器21内のスラリーを撹拌し、その粘性抵抗によるトルクを測定する。撹拌機22は、少なくとも一部が前記スラリーに浸漬され、このスラリーを撹拌する回転ロータと、この回転ロータを先端に有する回転軸と、この回転軸を回転する回転機構と、前記回転軸にかかるトルクを検出するトルク検出器とを有する。この検出されたトルクの値から前記スラリーの粘度を算出することができる。
【0021】
〔加温部〕
加温部3は、スラリーを加温する。具体的には、加温部3は、少なくとも一部の外面が接しているスラリー貯留容器本体21aを加温することでスラリー貯留容器21内の前記スラリーを加温する。スラリー貯留容器本体21aの外面の少なくとも一部が加温部3に接するとは、例えば、スラリー貯留容器本体21aの一部が加温部3に埋設されている状態である。加温部3としては、特に限定されるものでなく、例えば、電気炉を用いることができる。
【0022】
〔溶剤回収部〕
溶剤回収部4は、加温により蒸発した溶剤(以下、「蒸発溶剤」ともいう)を回収する。溶剤回収部4は、回収した溶剤を貯留する溶剤貯留容器41を含む。具体的には、加温部3で加温された前記スラリーから蒸発した溶剤は、スラリー貯留容器21と溶剤貯留容器41とを連通する蒸発溶剤排出管P2を介して回収される。
【0023】
溶剤貯留容器41は、その内部が気密になるように形成されている。溶剤貯留容器41は、有底筒状の溶剤貯留容器本体41aと、天部となる溶剤貯留容器蓋41bとを含む。溶剤貯留容器蓋41bは、前記蒸発溶剤を導入するための蒸発溶剤排出管P2、及び前記蒸発溶剤を排出する溶剤排出管P3と接続している。
【0024】
溶剤回収部4が、前記蒸発溶剤を液化する凝縮機構42を有するのが好ましい。具体的には、蒸発溶剤排出管P2の一部が溶剤貯留容器41と凝縮機構42とを連通し、蒸発溶剤排出管P2の残部が凝縮機構42と溶剤貯留容器41とを連通するように凝縮機構42を配設し、この凝縮機構42が前記蒸発溶剤を冷却して液化し、前記液化された溶剤(以下、「液化溶剤」ともいう)が溶剤貯留容器41に供給されるのが好ましい。このようにすることで、前記液化溶剤の体積や重量を測定することで前記溶剤の蒸発量を知得することができる。
【0025】
凝縮機構42としては、特に限定されるものでなく、例えば、冷媒等により蒸気を冷却して凝縮するコンデンサを用いることができる。
【0026】
溶剤回収部4が、前記液化溶剤の重量を測定する重量測定機構43をさらに有するのが好ましい。このようにすることで、前記液化溶剤の重量を測定し、この測定値から前記蒸発量を算出して前記溶剤の蒸発量を容易に知得することができる。
【0027】
溶剤貯留容器41が重量測定機構43に載置されることが好ましい。このようにすることで、前記液化溶剤の重量を経時的に測定することができ、前記蒸発量の経時的変化を測定することができる。
【0028】
〔算出部〕
算出部は、前記溶剤の蒸発量から前記スラリーにおける溶剤含有率を算出する。具体的には、前記溶剤の蒸発量を算出部に入力して前記スラリーの溶剤含有率を算出する。この算出された溶剤含有率の値と、この溶剤含有率における前記粘性抵抗の値とから前記溶剤含有率と前記スラリーの粘度との関係を把握することができる。
【0029】
溶剤回収部4が、凝縮機構42を有する場合、前記液化溶剤の体積又は重量、あるいは、体積及び重量を測定し、このような測定値を前記算出部に入力して前記溶剤の蒸発量を算出し、前記スラリーの溶剤含有率をさらに算出すればよい。
【0030】
溶剤回収部4が、重量測定機構43を有する場合、重量測定機構43の測定値が前記算出部に電気信号で送信されるように構成し、前記液化溶剤の重量の測定値が前記算出部に自動で入力されるのが好ましい。また、撹拌機22のトルク検出器の測定値も前記算出部に電気信号で送信されるように構成し、前記スラリーの粘性抵抗によるトルクの測定値が前記算出部に自動で入力されるとよい。前記算出部が、入力された前記液化溶剤の重量と前記スラリーのトルク値とを記憶し、その経時的変化を表、グラフ等にして印刷、表示等できるとよい。このようにすることで、前記スラリーの粘度と前記溶剤含有率との関係を把握することがより容易にできる。
【0031】
〔スラリー供給部〕
当該粘度測定装置1が、溶剤含有率が所定の閾値以下でスラリーを粘度測定部2に追加するスラリー供給部5をさらに備えるのが好ましい。スラリー貯留容器21内のスラリーを加温して溶剤を蒸発させ続けると前記スラリーの体積が減少し、撹拌機22の前記回転ロータが少なくとも一部を前記スラリーに浸漬することができなくなるおそれがある。そこで、溶剤含有率が所定の閾値以下になると、すなわち、前記溶剤の蒸発量が所定量以上になるとスラリー供給部5がスラリー貯留容器21にスラリーを供給し、前記回転ロータが少なくとも一部を前記スラリーに常に浸漬できるようにすることが好ましい。このようにすることで、撹拌機22が前記スラリーの粘性抵抗からのトルクを安定して検出することができる。
【0032】
スラリー供給部5が、上記算出部から前記溶剤の蒸発量を電気信号で送信されるように構成し、上記蒸発量があらかじめ設定された閾値以上になるとスラリーを自動で供給するとよい。
【0033】
[粘度測定方法]
当該粘度測定装置1による粘度測定方法は、スラリー貯留容器21内のスラリーを加温部3で加温しつつ撹拌機22で撹拌し、前記スラリーの粘性抵抗を検出する工程と、前記スラリーから蒸発する溶剤を溶剤回収部4で回収して前記溶剤の蒸発量を測定する工程と、前記蒸発量から前記スラリーにおける溶剤含有率を算出部で算出する工程とを主に備える。
【0034】
〔検出工程〕
粘性抵抗の検出工程では、スラリー貯留容器21内のスラリーを加温部3で加温しつつ撹拌機22で撹拌し、前記スラリーの粘性抵抗によるトルクを検出する。前記スラリーは、作業者がスラリー貯留容器21内に予め投入してもよいし、当該粘度測定装置1がスラリー供給部5備え、このスラリー供給部5がスラリー貯留容器21内に供給してもよい。前記スラリーは、加温部3で前記スラリーが含有する溶剤が蒸発する温度に加温される。スラリー貯留容器21内の前記スラリーは、粘度測定の開始時に撹拌機22の回転ロータの少なくとも一部が前記スラリーに浸漬される量が投入又は供給される。撹拌機22はトルク検出器を有し、前記スラリーを撹拌するトルクを検出する。この検出されたトルクの値から前記スラリーの粘度を算出する。
【0035】
〔測定工程〕
蒸発溶剤の重量を測定する工程では、前記スラリーから蒸発する溶剤を溶剤回収部4で回収して前記溶剤の蒸発量を測定する。具体的には、スラリー貯留容器21から排出される蒸発溶剤を、蒸発溶剤排出管P2を介して溶剤貯留容器41に回収し、前記蒸発量を測定する。蒸発溶剤排出管P2の一部に凝縮機構42が配設され、この凝縮機構42によって液化された溶剤を測定するとよい。溶剤回収部4が、前記液化溶剤の重量を測定する重量測定機構43を有し、溶剤貯留容器41を重量測定機構43に載置して前記液化溶剤の重量を経時的に測定するとよい。
【0036】
〔算出工程〕
算出工程では、前記溶剤の蒸発量から前記スラリーにおける溶剤含有率を算出部で算出する。重量測定機構43と撹拌機22のトルク検出器とが前記算出部に測定値を送信可能に接続され、前記算出部が、入力された前記液化溶剤の重量と前記スラリーの粘性抵抗のトルク値とを記憶し、その経時的変化を表、グラフ等にして印刷、表示等できるとよい。
【0037】
[利点]
当該粘度測定装置1は、スラリーの粘度を測定する粘度測定部2と、粘度測定部2で測定される前記スラリーを加温する加温部3と、加温により蒸発する前記溶剤を回収する溶剤回収部4とを備えるため、前記スラリーの溶剤含有量及び粘度を同時に測定することができる。このため、前記スラリーの溶剤含有量と粘度との関係を容易に把握することができる。
【実施例0038】
当該粘度測定装置1を用いてスラリーの溶剤含有量と粘度との関係を調査した。前記スラリーは、石炭と溶剤とを混合したペースト状混合物を加熱することにより石炭中の可溶成分を溶剤中に溶出させ、固液分離により可溶成分が溶け込んだ溶液を取り出したものであり、無灰炭と溶剤とを含む。前記溶剤の蒸発温度は250℃である。
【0039】
スラリー貯留容器21に前記スラリー投入し、加温して前記溶剤を蒸発させると共に、撹拌機22で撹拌し、その回転トルクを検出した。前記スラリーは、250℃で加温し、前記スラリーの溶剤含有量が1wt%になったところで加温を停止した。加温を停止して暫くすると前記スラリーが固化したことが確認できた。試験開始時の前記スラリーは、粘度が約10[mPa・s]、溶剤含有率が約90wt%であった。
【0040】
蒸発した溶剤は、凝縮機構42で液化して溶剤貯留容器41に回収し、この液化溶剤の重量を重量測定機構43で測定して算出部で前記スラリーの溶剤含有率を算出した。溶剤の蒸発により前記スラリーの体積が減少した分はスラリー供給部5からスラリー貯留容器21に継ぎ足し、常に撹拌機22の回転ロータの全部が前記スラリーに浸っている状態を維持した。溶剤蒸発量から所定溶剤含有率に対し前記回転ロータを200rpm(せん断速度450s-1)で回転させた際のトルクを測定して前記スラリーの粘度を算出した。
【0041】
試験の結果を
図2,3に示す。この結果から、前記スラリーの溶剤含有量と粘度との関係は、下記式1の関係にあることが分かった。
η=9.4×10
2・exp(-7.9・S) ・・・(1)
なお、ηは、粘度[mPa・s]であり、Sは、前記スラリーの溶剤含有率[wt%]である。
【0042】
[その他の実施形態]
前記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。従って、前記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて前記実施形態各部の構成要素の省略、置換又は追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
【0043】
粘度測定部2は、スラリー貯留容器21内の圧力を変化できるように構成されてもよい。このようにすることで、例えば、通常では揮発してしまう溶剤を液体状態に保持しながら粘度測定をすることができる。
本発明に係る粘度測定装置は、溶剤を含むスラリーの溶剤含有率と粘度との関係を容易に把握することができるため、スラリーを取り扱う現場やスラリーを取り扱う機器の開発において特に好適に利用することができる。