(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022033629
(43)【公開日】2022-03-02
(54)【発明の名称】スツール
(51)【国際特許分類】
A47C 9/00 20060101AFI20220222BHJP
【FI】
A47C9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020137627
(22)【出願日】2020-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】000113779
【氏名又は名称】マツ六株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松浦 聡
(72)【発明者】
【氏名】森 勇信
【テーマコード(参考)】
3B095
【Fターム(参考)】
3B095CA00
(57)【要約】
【課題】高齢者にとって立ち座りがし易く、しかも座って履物の脱ぎ履きをする際に安心感の得られるスツールを提供する。
【解決手段】使用者Aの臀部B及び大腿部Cの一部を受ける座面5を有する座部2と、この座部2に使用者Aが着座したときに膝Gが鼠径部JのレベルHを上回らず当該使用者Aの両足Eの足裏Fが床面Zに接地する高さに座部2を支持する脚部3と、を備え、座面5は、座部2の後縁7から前縁6に向かって1.5°~3.0°の下り勾配とするとともに、座面5において、座部2の幅方向中央で且つ座部2の前後方向中央8よりも後縁7寄りに偏位した位置に、使用者Aの座骨結節Dを受容する座骨結節受容部9を設けた。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の臀部及び大腿部の一部を受ける座面を有する座部と、
この座部に前記使用者が着座したときに膝が鼠径部のレベルを上回らず当該使用者の両足の足裏が床面に接地する高さに前記座部を支持する脚部と、を備えたスツールであって、
前記座面は、前記座部の後縁から前縁に向かって、水平面に対する傾斜角度が1.5°~3.0°の下り勾配とされるとともに、前記座面において、前記座部の幅方向中央で且つ前記座部の前後方向中央よりも前記後縁寄りに偏位した位置に、前記使用者の座骨結節を受容する座骨結節受容部が設けられたことを特徴とするスツール。
【請求項2】
請求項1に記載のスツールであって、
前記座部の前縁は、前記後縁側に凹む緩やかな曲線とされたことを特徴とするスツール。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のスツールであって、
前記脚部の下部に、使用者の履物の踵部と係合する脱靴補助部が設けられたことを特徴とするスツール。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一つに記載のスツールであって、
前記座骨結節受容部は、前記座部を貫通する貫通孔からなることを特徴とするスツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立ち座りのし易いスツールに関する。
【背景技術】
【0002】
日本におけるほとんどの住居には、玄関出入口に土間が設けられており、人はそこで履物を脱いでから中に入るのが慣習となっている。また、地域の集会所や自治会館、或いは公民館といった全国各地の市町村に設置された集会施設でも、一般の住居と同様に土足厳禁の所が多くある。ところが、履物の脱ぎ履きは、高齢者にとってはなかなか厄介な動作となっていることから、高齢者がいる一般家庭や、高齢者の利用が多い施設では、玄関出入口の土間に、履物の脱ぎ履きの一助にと椅子が設置されることが多い。
【0003】
ところで、従来、日本人の体型や骨格等に最適な着座姿勢を無理なくとることができ、健康増進に資する背もたれのない健康スツールが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このスツールは、従来のものでは日本人にとってその体型や骨格等に最適な着座姿勢をとることができない、といった難点があったことに鑑み創案されたものである。具体的には、使用者の臀部及び大腿部の全体を支える平坦な座面を有する座部と、この座部を所定の高さに支える脚部とからなり、座面が前方に向かって下方へ傾斜し、座面の前部が、使用者が座面に臀部及び大腿部の全体を載せて着座して下腿部を略鉛直下方へ下したときに足が床面に接地する高さに設定されているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記住居や施設に入る際の履物の脱ぎ履きが、高齢者にとって厄介となっている理由を探るべく、本願の発明者等は、実際に前記施設の玄関出入口の土間における特に高齢者の履物の脱ぎ履きの動作を観察し、その原因について考察した。
【0006】
まず、履物の脱ぎ履きの一助にと設置された椅子の利用状況についてみると、そもそも椅子に座る高齢者が少ない。なかには座る高齢者もいるが、そのほとんどは、円背か又は歩行に杖を要するような障害を持った高齢者であった。
【0007】
次に、椅子に座る高齢者についてみると、椅子の座面に手を突いて体重を支えながら座る者が多い。また、杖を使用している高齢者の場合、ドスンと臀部を落として座る者が多い。また、椅子から立ち上がるときは、多くの高齢者はすっと立ち上がることができない。
【0008】
一方、履物の脱ぎ履きの際に椅子に座らない高齢者についてみると、そのほとんどが、片足立ちになって左右の履物を順に片手で足から脱がせるようなことはせず、かといってしゃがんで履物を脱ぐようなこともせず、立ったまま左右の踵部同士を擦り合わせてもぞもぞと履物を脱ぐか、或いは、土間に簀の子が敷いてある場合は、簀の子の縁に履物の踵部を引っ掛けてもぞもぞと履物を脱ぐ、といった行動をとる。
【0009】
以上のような高齢者の行動の原因について考察すると、まず、椅子に座る高齢者に円背の者や障害を持った者が多い理由は、そのような者は履物の脱ぎ履きの際に立ったままでは体のバランスが取りにくく転倒の不安を覚えるからである。そして、椅子に座る高齢者にあっては、足腰の筋力が劣っているため、座るときに自分の体重を支えることができず、臀部をゆっくりと着座させることができない。このため、椅子の座面に手を突いて体重を支えてしまうのである。また、杖の使用者にあっては、座るときに障害により自分の体重を支えきれないうえ着座するまで杖を手から放すことができないことから、座面に手を突いて体重を支えることができないため、ドスンと臀部を落とさざるを得ないのである。
【0010】
また、せっかく椅子が設置されていてもこれに座ろうとしない高齢者が多いのは、加齢で膝が曲がりにくくなっており、履物の脱ぎ履きのためだけに座ったり立ったりするのが億劫になることがその理由である。特に、椅子が低い場合は、筋力の低下も相俟って、その傾向が顕著である。
【0011】
次に、椅子を利用しない高齢者がしゃがまずに立ったまま履物の脱ぎ履きをする理由は、足腰の筋力が劣っているため、しゃがんだり立ったりするのが困難で、しゃがむ動作をなんとか避けたいからである。また、立ったまま手を使わずもぞもぞと履物を脱ぐ理由は、片足立ちができれば交互に浮かせた足から順次履物を手で脱がせることができるところ、老化のため膝が曲がり片足立ちできないからである。
【0012】
以上のことから、本願の発明者等は、いずれの高齢者も履物の脱ぎ履きの際には転倒の恐れのない安定した姿勢をとることを優先する傾向が強い、といった知見を得、そのような傾向に応えるには、やはり、高齢者にとって立ち座りがし易く、しかも座って履物の脱ぎ履きをする際に安心感の得られるスツールを提供することが第一であるとの結論に達した。
【0013】
そこで、そのようなスツールの条件としては、まず座面の高さが、立ち座り時に足腰膝に負担をかけるほど低すぎず、また着座したときに不安定感を感じるほど高すぎない、頃合いの高さであることが基本条件となる。
【0014】
この点に関して、前記特許文献1に所載のスツールは、座面の前部が、使用者が座面に臀部及び大腿部の全体を載せて着座して下腿部を略鉛直下方へ下したときに足が床面に接地する高さに設定されているため、上記の基本条件を満たすものと考えられる。
【0015】
しかしながら、上記従来のスツールは、骨盤を立てて背すじを真直ぐ伸ばした着座姿勢を容易に身に付けることができ、ひいては、座面の水平な一般的な椅子にも骨盤を立てて腰掛ける習慣を容易に得ることを目的とするものであり、そもそもそのような着座姿勢をとることすら困難な高齢者には不向きなものであると云える。
【0016】
本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたものであって、高齢者にとって立ち座りがし易く、しかも座って履物の脱ぎ履きをする際に安心感の得られるスツールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するため、本発明のスツールは、使用者の臀部及び大腿部の一部を受ける座面を有する座部と、この座部に前記使用者が着座したときに膝が鼠径部のレベルを上回らず当該使用者の両足の足裏が床面に接地する高さに前記座部を支持する脚部と、を備え、前記座面は、前記座部の後縁から前縁に向かって、水平面に対する傾斜角度が1.5°~3.0°の下り勾配とされるとともに、前記座面において、前記座部の幅方向中央で且つ前記座部の前後方向中央よりも前記後縁寄りに偏位した位置に、前記使用者の座骨結節を受容する座骨結節受容部が設けられたことを特徴とするものである。
【0018】
この特定事項により、まず、座部の高さが高齢者にとって極めて座りやすい高さとなっている。さらに、着座した際、大腿部が腰部から膝に向かって僅かに下がった状態で両足の足裏が床面に接地するとともに、使用者の座骨結節が座部の座骨結節受容部に受容されるため、両足の足裏と臀部とで体がしっかりと支えられる。これにより、高齢者は着座した際に体の安定感をしっかりと感じ取ることができ、この状態での履物の脱ぎ履きに安心感を得ることができる。また、座面が上記したような下り勾配とされていることにより、脚力の弱い高齢者であってもすっと立ち上がることができる。
【0019】
また、上記スツールにあっては、座部の前縁は、後縁側に凹む緩やかな曲線とされていてもよい。
【0020】
この特定事項により、着座時に、座部の前縁が大腿部の裏側に強く当たるのが緩和され、座り心地がよいものとなる。
【0021】
また、上記スツールにあっては、脚部の下部に、使用者の履物の踵部と係合する脱靴補助部が設けられていてもよい。
【0022】
この特定事項により、着座姿勢のまま履物の踵部を脱靴補助部に引っ掛けるだけで屈まずに履物を脱ぐことができる。
【0023】
また、上記スツールにあっては、座骨結節受容部は、座部を貫通する貫通孔からなるものであってもよい。
【0024】
この特定事項により、座骨結節受容部に手指を入れることで持ち運びがし易く、しかも座骨結節受容部は、座部の幅方向中央で且つ座部の前後方向中央よりも後縁寄りに偏位した位置に設けられているので、持ち上げた際にスツール全体が斜めにならず、体にぶつけることなく持ち運びすることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、高齢者にとって立ち座りがし易く、しかも座って履物の脱ぎ履きをする際に安心感の得られるスツールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態に係るスツールを示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は背面図、(e)は底面図である。
【
図3】
図1に示すスツールの座部の中央縦断面図である。
【
図4】
図1に示すスツールと使用者の骨格との関係を示す説明図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るスツールにおいて、脚部の変形例を示す、下方から視た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施の形態について図を参照して説明する。
【0028】
図1は、本発明の一実施の形態に係るスツールを示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は背面図、(e)は底面図である。
図2は、スツールの斜視図、
図3は、スツールの座部の中央縦断面図、
図4は、スツールと使用者の骨格との関係を示す説明図である。
【0029】
<スツールの全体構成>
本発明に係るスツール1は、
図1乃至
図4に示すように、座部2と、脚部3と、脱靴補助部4とを備えたものである。
【0030】
<各部の構成>
以下、上記の各部について詳述する。
【0031】
―座部―
座部2は、略矩形の板状体であって、例えば、合板や集成材或いは無垢材といった木材、若しくは、合成樹脂製の板材からなるものである。なお、それら以外に、例えば、金属製の板材の表面に薄いクッション材を設けたものであってもよく、要するに座部2の材質は任意である。
【0032】
この座部2は、使用者Aの臀部B及び大腿部Cの一部を受ける座面5を有している。この座面5は、座部2の後縁7から前縁6に向かって、水平面に対する該座面の傾斜角度θが1.5°~3.0°の下り勾配とされている。この座面5の水平面に対する傾斜角度θが1.5°未満であると、立ち上がり易さが損なわれることとなり、3°を超えると、座り心地や着座時の安定感が損なわれる虞がある。実際に40人の被験者で好ましい座面5の傾斜角度θを探ったところ、2°が立ち上がり易さと座り心地及び着座時の安定感をすべて満足するうえで最も好ましいとの結論を得た。なお、座面5は、幅方向中央部が僅かに窪むような緩やかな曲面とすれば、臀部Bの座りが良くなり、座り心地に優れたものとなる。具体的には、座面5が描く曲線R1は、R値が2000~2040mmの曲線であるのが好ましい。
【0033】
また、上記座部2には、座面5において、座部2の幅方向中央で且つ座部2の前後方向中央8よりも後縁7寄りに偏位した位置に、使用者Aの座骨結節D(
図4参照)を受容する座骨結節受容部9が設けられている。この座骨結節受容部9に使用者Aの座骨結節Dが受容されることにより、着座時に使用者Aの両足Eの足裏Fと臀部Bとで体がしっかりと支えられ、特に高齢者にとっては着座した際に体の安定感をしっかりと感じ取ることができる。
【0034】
この座骨結節受容部9は、本実施形態では、長軸が座部2の幅方向に沿う長孔の貫通孔で構成されている。このように、座骨結節受容部9が貫通孔で構成された場合、座骨結節受容部9に手指を入れることで持ち運びがし易く、しかも座骨結節受容部9は、座部2の幅方向中央で且つ座部2の前後方向中央よりも後縁7寄りに偏位した位置に設けられているので、持ち上げた際にスツール1全体が斜めにならず、体にぶつけることなく持ち運びすることができる。
【0035】
なお、座骨結節受容部9は上記したような貫通孔である必要はなく、単なる凹部で構成されたものであってもよい。
【0036】
いずれの構成であっても、座骨結節受容部9が設けられる位置は、上記したように、座部2の幅方向中央で且つ座部2の前後方向中央8よりも後縁7寄りに偏位した位置とされるが、具体的には、例えば、座部2の幅寸法Wが360mm、座部2の前後方向の長さLが220mm、座骨結節受容部9の前後方向の長さPが25mmである場合、座骨結節受容部9の前縁19は、座部2の前後方向中央8より25mm後縁7寄りとされている。
【0037】
なお、座部2の全体の大きさは、上記の例に限定されないとともに、座骨結節受容部9を設ける位置も、着座時に使用者Aの座骨結節Dを着座と略同時に受容できる位置であればよく、上記の例に限定されるものではない。また、本実施形態では、座骨結節受容部9の前後方向の長さPが25mmで幅寸法Qが135mmとされているが、使用者Aの座骨結節Dを受容できる寸法であれば、このような大きさに限定されるものではない。
【0038】
さらに、座部2の前縁6は、後縁7側に凹む緩やかな曲線とされている。これにより、着座時に、座部2の前縁6が使用者Aの大腿部Cの裏側に強く当たるのが緩和され、座り心地がよいものとなる。具体的には、座部2の大きさが上記したような寸法のものである場合、前縁6が描く曲線R2は、R値が1260~1270mmの曲線であるのが好ましい。この場合、前縁6の中央は、座骨結節受容部9側に10mm凹むことになる。なお、座部2の前縁6は、上記のような曲線でなく、後縁7と平行な直線であってもよい。ここで、後縁7は、前縁6とは異なり、直線であるのが好ましい。後縁7が直線であると、壁際にスツール1を置く際、壁面にぴったりとスツール1を付けることができる。また、後縁7が直線で前縁6が曲線であると、使用者Aに座る向きを知らせてスツール1を正しく使用させることができる。
【0039】
―脚部―
脚部3は、座部2を所定の高さに支持するものである。具体的には、
図4に示すように、座部2に使用者Aが着座したときに膝Gが鼠径部JのレベルHを上回らず使用者Aの両足Eの足裏Fが床面Zに接地する高さに座部2を支持するものである。この脚部3は、短冊状のベース部材10と、このベース部材10の両端部にそれぞれ上端部が固着された一対の支柱部材11,11とからなる2個一組の脚部材12,12で構成されている。このようなる脚部3は、ベース部材10,10をそれぞれ、座部2の裏面13において座部2の左右側縁寄りにビス等の固定具14で取着することにより、座部2の裏面13に固着されている。4本の支柱部材11…は、下方に向かってやや拡げられるとともに、前後方向に隣り合う支柱部材11,11同士が、下部において連結杆15,15により連結されており、スツール1全体が床面Z上で安定するように図られている。また、各支柱部材11…の下端部には、クッション材17…が設けられている。脚部3の材質としては、クッション材17を除き、そのすべての部材が金属製であるのが耐久性の面から好ましいが、木材であってもよい。
【0040】
なお、脚部3は、本実施形態では4本の支柱部材11…を含むものであるが、これに限らず、座部2の裏面13の略中央から垂設される1本の支柱部材で構成されていてもよい。その場合、支柱部材の下端には、スツール1がぐらつかない程度の大きさの接地盤を設けるとよい。
【0041】
―脱靴補助部―
脱靴補助部4は、使用者Aがスツール1に着座して履物を脱ぐ際に、図示しない履物の踵部と係合させて履物を脱ぎ易くするためのものである。この脱靴補助部4は、スツール1の前側において、脚部3の左右の連結杆15,15に架け渡された棒材18で構成されている。この棒材18は、履物の踵部や使用者の踵を傷付けないよう、角が丸められた金属製又は木製の棒状部材が採用される。この脱靴補助部4は、上記したように脚部3の連結杆15,15に架け渡されているので、脚部3の補強材としても機能する。なお、図中の符号16は、スツール1の後側において、脚部3の連結杆15,15に架け渡された補強材である。この補強材16は、デザイン上、上記脱靴補助部4を構成する棒材18と同じものとされている。このように、脱靴補助部4が設けられていることにより、着座姿勢のまま履物の踵部を脱靴補助部4に引っ掛けるだけで屈まずに履物を脱ぐことができる。なお、脱靴補助部4は、履物の踵部と係合可能であれば、上記したような形態のものに限られない。また、前記したように、脚部3が1本の支柱部材で構成される場合は、支柱部材或いは接地盤から延設されていればよい。
【0042】
なお、本発明は、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲の記載によって示すものであって、明細書本文及び図面の記載にはなんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、すべて本発明の範囲内のものである。
【0043】
例えば、上記実施形態では、座骨結節受容部9は、孔で構成されているが、座部2を前後2つの部材に分割して、これら2つの部材を僅かに離して列設し、これによってできた両部材間の隙間を座骨結節受容部9としてもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、脚部3は、短冊状のベース部材10と、このベース部材10の両端部にそれぞれ上端部が固着された一対の支柱部材11,11とからなる2個一組の脚部材12,12で構成されているが、これに限らず、例えば、
図5に示すように、座骨結節受容部9よりも大きな開口部20を有する一つのロ字状のベース部材10Aと、このベース部材10Aの四隅にそれぞれ上端部が固着された4本の支柱部材11とからなる1つの脚部材12Aで構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 スツール
2 座部
3 脚部
4 脱靴補助部
5 座面
6 前縁
7 後縁
8 座部の前後方向中央
9 座骨結節受容部
10 ベース部材
11 支柱部材
12 脚部材
13 座部の裏面
14 固定具
15 連結杆
16 補強材
17 クッション材
18 棒材
19 座骨結節受容部の前縁
A 使用者
B 臀部
C 大腿部
D 座骨結節
E 両足
F 足裏
G 膝
J 鼠径部
H 鼠径部のレベル
L 座部の前後方向の長さ
P 座骨結節受容部の前後方向の長さ
Q 座骨結節受容部の幅寸法
R1 座面の曲線
R2 座部の前縁の曲線
W 座部の幅寸法
Z 床面