(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022033637
(43)【公開日】2022-03-02
(54)【発明の名称】発泡樹脂製ベッド
(51)【国際特許分類】
A47C 19/00 20060101AFI20220222BHJP
【FI】
A47C19/00 A
A47C19/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020137636
(22)【出願日】2020-08-17
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年5月8日に以下アドレスのウェブサイトに掲載(添付資料1参照) https://www.toyocork.co.jp/news/259 令和2年5月15日に以下アドレスのウェブサイトに掲載(添付資料2参照) https://www.facebook.com/pages/category/Local-Business/%E6%9D%B1%E6%B4%8B%E3%82%B3%E3%83%AB%E3%82%AF%E6%A0%AA%E5%BC%8F%E4%BC%9A%E7%A4%BE-606066199440225/ 令和2年5月28日に以下アドレスのウェブサイトに掲載(添付資料3参照) https://www.toyocork.co.jp/news/279 別紙記載のとおり、種々チラシを配布(添付資料4参照) 別紙記載のとおり、新聞紙面にて公開(添付資料5参照) 令和2年7月23日に以下アドレスのウェブサイトに掲載(添付資料6参照) https://www.carp.co.jp/spotlight/004.html 令和2年7月28日に放送されたテレビ番組にて公開 令和2年8月4日に放送されたテレビ番組にて公開 令和2年7月24日別紙記載のとおり、チラシにて公開(添付資料7,8参照) 令和2年7月24日に「令和2年度岡山市コンベンション見本市 新たな岡山のコンベンション ハイブリッド・ショーケース」にて展示及びインターネット配信(添付資料9,10参照)
(71)【出願人】
【識別番号】594209463
【氏名又は名称】東洋コルク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】濱本 明
(57)【要約】
【課題】複雑な構造にすることなく、十分な強度を有し且つ板体同士が分離しない快適なベッドを提供する。
【解決手段】組み立て式の発泡樹脂製ベッド1であって、複数の板体4の端面4a,4a同士を突き合わせて構成される床板部2と、前記床板部を下方側から支持する複数の脚部3とを備え、前記複数の脚部は、少なくとも第1脚板5と第2脚板6とで構成され、前記第1脚板は前記板体同士を突き合わせた端面に跨って配置され、前記第2脚板6は前記床板部の幅方向に沿って配置される第2脚板6とを有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組み立て式の発泡樹脂製ベッドであって、
複数の板体の端面同士を突き合わせて構成される床板部と、
前記床板部を下方側から支持する複数の脚部とを備え、
前記複数の脚部は、少なくとも第1脚板と第2脚板とで構成され、
前記第1脚板は前記板体同士を突き合わせた端面に跨って配置され、
前記第2脚板は前記床板部の幅方向に沿って配置されることを特徴とする発泡樹脂製ベッド。
【請求項2】
請求項1において、
前記脚部は、平面視において長方形状の脚本体と、該脚本体から突出して設けられ前記板体に形成された凹部に嵌合される凸部とを有し、
前記凹部と前記凸部とによる凹凸嵌合のみで組み立てられることを特徴とする発泡樹脂製ベッド。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
複数の前記板体は、それぞれが同寸同形に形成され、
前記第1脚板及び前記第2脚板のいずれも同寸同形に形成されていることを特徴とする発泡樹脂製ベッド。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項において、
前記板体は、平面視において略正方形状とされ、前記脚部の長さ方向の寸法と前記板体の一辺の寸法が同寸とされることを特徴とする発泡樹脂製ベッド。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか1項において、
前記床板部及び前記脚部は、打ち抜き加工品であることを特徴とする発泡樹脂製ベッド。
【請求項6】
請求項1~請求項4のいずれか1項において、
前記床板部及び前記脚部は、金型成形品であることを特徴とする発泡樹脂製ベッド。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか1項において、
前記発泡樹脂は、発泡ポリプロプレンであることを特徴とする発泡樹脂製ベッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組み立て式の発泡樹脂製ベッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、組み立て式のベッドとして、段ボールや発泡樹脂からなるベッドが種々提案されている。このようなベッドは、日常的に使用することもできるが、平時は解体された状態で倉庫等に保管され、災害時には組み立てて、避難場所での避難者のベッドとして使用したり、来客時にのみ使用する簡易ベッドとして使用することもできる。
例えば段ボール製のベッドとしては下記特許文献1,2が、発泡樹脂製のベッドとしては下記特許文献3,4が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3226650号公報
【特許文献2】特開2020-81857号公報
【特許文献3】実開平6-29527号公報
【特許文献4】実開平6-57338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような組み立て式ベッドは、特許文献1,2に開示されているような段ボール製の場合、組み立てと解体とを繰り返すと嵌合部位が破損等するため、繰り返して使用するには不向きである。また特許文献1,2に開示されているように脚部に強度を持たせるため、脚部の構造が複雑になると、組み立て作業及び解体作業に工数と時間がかかる上、構成部材が多くなり、保管する際に部品管理が必要となる。さらに段ボール製の場合は、耐水性に乏しいため、水洗いして使用できず、また浸水すると使えなくなってしまう。
【0005】
特許文献3,4に開示されているような発泡樹脂製の場合、段ボール製に比べて軽量化を図ることは容易であるが、床板部を強固に支持するために脚部の厚みを厚くすると、重量が大きくなり、嵩張るため、持ち運び・組み立て・保管しにくい点が問題となる。また複数の板体で床板部を構成する場合、多少の力が加わっても、板体同士が容易に分離しない構造にすることが課題となる。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、複雑な構造にすることなく、十分な強度を有し且つ板体同士が分離しない快適な発泡樹脂製ベッドを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る発泡樹脂製ベッドは、複数の板体の端面同士を突き合わせて構成される床板部と、前記床板部を下方側から支持する複数の脚部とを備え、前記複数の脚部は、少なくとも第1脚板と第2脚板とで構成され、前記第1脚板は前記板体同士を突き合わせた端面に跨って配置され、前記第2脚板は前記床板部の幅方向に沿って配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るベッドは上記構成とされているため、複雑な構造にすることなく、十分な強度を有し且つ板体同士が分離しないベッドとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】(a)本発明の第1実施形態に係る発泡樹脂製ベッド(打ち抜き加工品)を模式的に示す全体斜視図、(b)は
図1(a)のX-X’線断面図であり、(c)は脚部と板体の嵌合構造を説明するための図である。
【
図2】(a)及び(b)は同実施形態に係るベッドの構成部材を説明するための図であり、(a)は床板部を構成する板体を模式的に示す平面図、(b)は脚部を模式的に示す平面図である。
【
図3】(a)及び(b)は同実施形態に係るベッドの組み立て手順を説明するための図であり、(a)は床板部の板体同士を突き合わせる手順を模式的に示した斜視図、(b)は脚部を板体に嵌合させる手順を模式的に示した斜視図である。
【
図4】(a)本発明の第2実施形態に係る発泡樹脂製ベッド(金型成形品)を模式的に示す全体斜視図、(b)は
図4(a)のY-Y’線断面図であり、(c)は脚部と板体の嵌合構造を説明するための図である。
【
図5】(a)及び(b)は同実施形態に係るベッドの構成部材を説明するための図であり、(a)は床板部を構成する板体を模式的に示す平面図、(b)は脚部を模式的に示す平面図である。
【
図6】(a)及び(b)は同実施形態に係るベッドの組み立て手順を説明するための図であり、(a)は床板部の板体同士を突き合わせる手順を模式的に示した斜視図、(b)は脚部を板体に嵌合させる手順を模式的に示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。なお、一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
本実施形態に係る組み立て式の発泡樹脂製ベッド1(1A)は、複数の板体4,4の端面4a,4a同士を突き合わせて構成される床板部2と、床板部2を下方側から支持する複数の脚部3とを備えている。脚部3は少なくとも第1脚板5と第2脚板6とを備え、第1脚板5は板体4,4同士を突き合わせた端面4a,4aに跨って配置され、第2脚板6は床板部2の幅方向に沿って配置される。以下、詳述する。
【0011】
<第1実施形態>
図1~
図3を参照しながら、第1実施形態について説明する。
第1実施形態では、打ち抜き加工品からなるベッド1の例を説明する。第1実施形態に係るベッド1は、
図1(a)に示すとおり、床板部2と複数の脚部3の2種類のパーツ、具体的には床板部2を構成する複数の板体4と、複数の脚部3で構成されており、板体4も脚部3も発泡樹脂ビーズを使用して成形したボードを型抜きすることで形成されている。このベッド1に用いられる発泡樹脂材としては、特に限定されないが、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン、発泡ポリスチレン、発泡ポリウレタン等が挙げられる。またベッド1は、発泡樹脂材からなるので、段ボールの場合と比べて非常に軽量化できる上、床板部2,脚部3のそれぞれを丸ごと水洗いすることも可能であるため清潔に保つことができ、組み立てと解体を繰り返して使用することもできる。さらに、発泡樹脂材として、発泡ポリプロピレンを用いた場合は、耐薬品性、耐油性に優れているので、抗ウィルス対策として消毒剤を塗布して使用することもできる。
【0012】
上述の発泡樹脂体を形成する際の発泡ビーズの発泡倍率は、特に限定されないが、例えば20~60倍とすることができ、発泡倍率を30~45倍とした場合、耐荷重性、クッション性、熱伝導性においてベッド1に適したものとでき、クッション性としては畳の感触に近いものにできる。発泡倍率が20倍を下回ると強度を確保できるが、クッション性に乏しい硬い傾向となる。発泡倍率が60倍を上回ると強度が足りない傾向となる。
【0013】
床板部2は、ベッド1として使用する際に使用者が横臥する部材であり、複数の板体4,4同士を突き合わせ、板体4の表面40が面一(略同一平面)になるように並べた状態で構成される。使用者は床板部2の上に直接寝たり、座るなどして使用することができる。また、床板部2の上にふとん、マットレスなどを敷いて使用してもよい。複数の板体4,4は、いずれも同寸同形の平板状に形成され、図例の床板部2は、2枚の板体4,4で構成されている。
図2(a)に示すように板体4は、平面視において略正方形状とされ、
図3(a)に示すように一方の端面4aは板体4,4同士を突き合わせる端面となり、他方の端面4bは、ベッド1に使用者が横臥した際の頭部側、もしくは足元側になる。一方の端面4aの形状は、図例のようにストレートに突き合わされる形状に限定されず、複数の板体4を突き合わせて並べて配した際に、床板部2として、一枚の面一な平板体に構成できれば、端面4aの一方の一部に凹形状の箇所があり、他方の端面4aの一部にこの凹形状に嵌め合わされる凸形状が形成されたものであってもよい。他方の端面4bの両端の角部4cは、円弧状に面取りされ、2枚の板体4,4を突き合わせて配し床板部2とした際の角部に相当する(
図1(a)参照)。板体4は上述のとおり発泡樹脂材からなるため、角部4cが角張っていても安全性に問題はないが、
図1(a)等に示すように面取りされていれば、組み立てる際に突き合わせ端面4aがどこになるか目印にすることができる。
【0014】
板体4には、同寸同形の凹部7が複数個形成されており、凹部7には、後述する凸部9が嵌合される。凹部7は、凸部9の形状・寸法に合わせて、平面視において長方形状の貫通孔が形成され、
図1(c)に示すように板体4の裏面41側から凸部9が差し込まれる構造となっている。
図1(b)は、凹部7と凸部9とが嵌合された状態を示しており、凹部7の側壁部7aに凸部9の側面9cが当接した状態で凹凸嵌合されている。板体4,4同士が突き合わされる端面4a側には、脚部3のうち、第1脚板5の凸部9が嵌合される凹部7が、間隔を空けて複数個設けられている。具体的には、第1脚板5の凸部9が嵌合される凹部7は、その長辺が端面4aと直交する方向に計4個並んで形成されている。また板体4の他方の端面4b側には、脚部3のうち、第2脚板6の凸部9が嵌合される凹部7が、間隔を空けて複数個設けられている。具体的には、第2脚板6の凸部9が嵌合される凹部7は、その長辺が端面4bと略平行な方向に2列に並んで2個ずつ計4個設けられている。
【0015】
凹部7の形状・構成は図例に限定されず、凹部7に凸部9を差し込んだ際に凸部9の基部9b(
図1(b)参照)まで嵌合され、脚本体8の上方端面8bで板体4が支持される状態になればよい。よって、側壁部7aに凸部9の側面9cが当接していない若干の隙間を持たせて嵌合させる構造(いわゆる遊嵌される構造)としてもよい。
【0016】
板体4の長さ寸法・幅寸法は、特に限定されないが、複数枚を突き合わせて配置し床板部2とした際に公知のベッドのサイズ(シングル、ダブル、セミダブル、クィーン、キング等)と同様の所望するサイズを採用することができる。また子供用、乳幼児用とする場合は、適宜所望するサイズを採用することができる。さらに板体4の厚み寸法も特に限定されず、強度、重量、取り扱い性を考慮すれば、30mm~80mm程度に設定されることが望ましい。
【0017】
脚部3は、床の上に載置されるベッド1の土台となる部材であり、床板部2を下方側から支持する。脚部3は少なくとも第1脚板5と、第2脚板6とで構成され、第1脚板5は、板体4,4同士を突き合わせた端面4a,4aに跨って配置され、第2脚板6は床板部2の幅方向に沿って配置される。言い換えると図例の第1脚板5は、床板部2の略中央領域を支持するように設けられ、第2脚板6は、床板部2の長手方向両端部を支持するように設けられている。第1脚板5及び第2脚板6は、いずれも同寸同形の平板状に形成され、図例のものは、第1脚板5及び第2脚板6がそれぞれ4枚ずつ使用される。また図例のものは、第1脚板5及び第2脚板6の長さ方向の寸法と板体4の一辺の寸法が同寸とされる。
図2(b)等に示すように第1脚板5及び第2脚板6は、平面視において長方形状の脚本体8と、脚本体8から突出して設けられ板体4に形成された凹部7と嵌合する凸部9とを有している。脚本体8の下方端面8aは床上に設置される面となり、脚本体8の上方端面8bは板体4の裏面41に接し板体4を支持する面となる。凸部9の形成位置、形成個数及び形状は、図例に限定されず、上述したとおり凹部7に嵌合した際に、凸部9の基部9bまで凹部7内に挿入され嵌合される構成であればよい。図例の凸部9は脚本体8の長手方向左右に2個設けられ、略長方形状に形成されている。凸部9の突出量、すなわち凸部9の高さ寸法は、凹部7の深さ寸法と略同寸とし、凹凸嵌合された状態で
図1(a)に示すように凸部9の端面9aが凹部7の縁部と略一致するように形成されることが望ましい。凸部9の端面9aが板体4の表面40から出っ張りがあっても、また窪んでも、床板部2とした際に寝心地、座り心地の悪いものになってしまう。第1脚板5及び第2脚板6の長さ寸法は、特に限定されないが、床板部2を下方側から支持し、設置した際に邪魔にならない寸法が望ましい。第1脚板5及び第2脚板6の厚み寸法も特に限定されないが、脚本体8の幅寸法と板体4の厚み寸法との合計がベッド1の高さ寸法になるため、220mm以上とすることが望ましく、衛生面・感染症対策等を考慮すれば、床板部2の厚み寸法を含むベッド1自体の高さ寸法は300mm以上がより望ましい。またベッド1をソファ代わりに使用することを考慮すれば、ベッド1の高さ寸法を400mm以上としてもよい。
【0018】
上記構成によれば、第1脚板5には一方の板体4に嵌合する凸部9と、他方の板体4に嵌合する凸部9とが設けられ、第1脚板5が、板体4,4同士の突き合わせた端面4a,4aに跨って配置される。よって、板体4,4が撓ることなく、またベッド1に対してあらゆる角度から力が加わっても、板体4,4同士が分離することがない寝心地のよい床板部2を構成することができる。図例の場合は、4枚の第1脚板5で板体4,4同士の突き合わせ部分や床板部2の中央領域を支持しているので、例えば中央の端部分に腰を掛けたりする等しても傾くことなく、安定して設置できる。また第2脚板6が、床板部2の幅方向に沿って配置されており、図例の場合は、床板部2の長手方向両端部をしっかりと支持しているので、使用者が床板部2の上に横臥した際に、頭部側と足元部側をしっかりと支持することができる。
【0019】
<製造・組み立て手順>
次にベッド1の製造・組み立て手順の一例を説明する。以下では下記実施例における重量、熱伝導率、組み立て作業時間等もあわせて説明する。
まずは、厚み62mmの発泡樹脂ボードを発泡ポリプロピレンビーズを発泡倍率45倍に発泡させて成形し、所定寸法、所定形状に打ち抜き加工して製した下記床板部2及び脚部3を用意する。
原料:発泡ポリプロピレン
総重量:4752g
床板部2:板体4(
図2(a)参照)を2枚
幅寸法980mm×長さ寸法1000mm×厚み寸法62mm:重量1枚1120g
脚部3:第1脚板5(
図2(b)参照)を4枚,第2脚板6(
図2(b)参照)を4枚
幅寸法301mm×長さ寸法980mm×厚み寸法62mm:重量1枚314g
【0020】
次に
図3(a)に示すように2枚の板体4,4を用意し、端面4a,4a同士を突き合わせる。このとき、面取りされた角部4c,4cのない側の板体4,4同士を突き合わせすればよい。
次に第1脚板5及び第2脚板6を用意し、凸部9を凹部7へ嵌合させていく。第1脚板5も第2脚板6も同寸同形であるので、どれを選んでもよく、どの順番で嵌合させてもよいが、板体4,4同士の突き合わせ端面4a,4aに跨って配置される第1脚板5から嵌合させていくと、板体4,4同士が接合され、組み立て作業がしやすい。凸部9を凹部7へ嵌合する際には、
図3(b)に示すように床に配置させた板体4の上方から凹部7へ向けて凸部9を差し込めば、簡単に凹凸嵌合させることができる。
そしてすべての第1脚板5及び第2脚板6を板体4,4に嵌合させた後、裏返して
図1(a)に示すように床板部2が上、脚部3が下になるようにセットすれば、ベッド1を完成させることができる。
【0021】
以上によれば、1.板体4,4を突き合わせて床板部2をつくり、2.板体4に第1脚板5及び第2脚板6を嵌合させて脚部3を設け、3.裏返す。という大きく3つの組み立て手順でベッド1を組み立てることができる。よって例えばベッド1の完成図等をみれば、組立て説明書がなくても1分前後で容易に組み立てることができる。実際に成人男性一人による組み立て時間を計測したところ、1分弱あれば組み立て可能であった。また上記構成であるので、2枚の板体4と8枚の脚部3があれば、工具や接続部材を要することなく組み立てできる。さらに各部材が軽量であるので、持ち運びしやすく、老若男女問わず、容易に組み立てることができる。また凹部7が貫通孔となっているので、板体4に表裏がなく、脚部3は同寸同形であるので、どれを第1脚板5とするか、第2脚板6とするか迷わず、組み立てできる。凹部7から凸部9を抜けば、解体も容易できるので、使用しない場合は、床板部2と脚部3とを分解して重ねて保管しておけばよい。特に図例の構成によれば、板体4、脚部3のそれぞれは同寸同形で、且つ第1脚板5及び第2脚板6の長さ方向の寸法と板体4の一辺の寸法が略同寸とされているので、2種類のパーツを重ねてコンパクトな状態で保管することができる。また上記実施例は打ち抜き加工で形成されているので、シンプルな形状のベッド1を容易に加工形成できる。さらにベッド1は空気の層でできた発泡樹脂材からなるので、断熱性に優れ(上記実施例では熱伝導率が0.040W/m・Kであった。)、快適な温度を保つことができる。さらに上記実施例のように発泡樹脂材の中でも発泡ポリプロピレンを使用した場合は、押圧力を加えてつぶしても約90%復元し、強度・耐久性に優れているので、組み立て・解体を繰り返しても破損し難い。上記構成によれば、耐荷重200キロを実現でき、約100℃程度の耐熱性があるため、熱湯消毒も可能である。
【0022】
<第2実施形態>
次に
図4~
図6を参照しながら、第2実施形態に係るベッド1Aについて説明する。第1実施形態と共通する点には共通の符号を付し、第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。
第2実施形態では、金型成形品からなるベッド1Aの例を説明する。第2実施形態に係るベッド1Aも、
図4(a)に示すとおり、床板部2と脚部3の2種類のパーツで構成されており、床板部2も脚部3も発泡樹脂ビーズを成形型に充填し型成形されている。第2実施形態においても、床板部2は同寸同形の2枚の板体4、4で構成され、脚部3は同寸同形の第1脚板5及び第2脚板6で構成されている点は第1実施形態と共通するが、金型成形品であるので、第1実施形態とは部材の形状が異なる。
【0023】
第2実施形態の板体4の表面40には、
図5(a)に示すように格子状に形成された溝部40aを備えている点で、板体4の表面40になんら加工が施されていない第1実施形態とは異なる。溝部40aは
図4(b)に示すように凹部7の形成位置に影響がないように形成されており、このように溝部40aが表面40に複数設けられたものとすれば、溝部40aが空気の通り道になり、通気性のよいものにすることができる。なお、溝部40aの深さ寸法や形成位置、本数等の構成は、図例に限定されない。
【0024】
また具体的に図示していないが、
図4(a)において、板体4の表面40の細線で囲ったエリア40bを凹凸が形成されたシボ加工を施してもよい。シボ加工により、エリア40bに施される模様は、特に限定されないが、例えば梨地状、うろこ状、木目状、布目状等としてもよい。また、成形金型に打ち込まれたベント(スリット)によって形成される跡形の周囲を囲むように放射状に形成された模様としてもよく、この場合は、ベントによって表面40に形成される跡形を活かした模様にできる。このように表面40のエリア40bにシボ加工を施したものとすれば、床板部2の布団等を敷設した際の滑り止めになり、表面40に傷が入っても目立たなくすることができる。
【0025】
板体4には同寸同形の凹部7が複数個形成されており、その形成位置は第1実施形態と同様であるが、第2実施形態では、凹部7が貫通孔でなく、凹状とされ、表面40側からは凹部7が視認できない点で第1実施形態と異なる。凹部7は、
図4(c)に示すように側壁部7aと、天面部7bと、窪み部7cとを備えている。窪み部7cは、長手方向の側壁部7aに筋状に形成され、凸部9の長手方向に筋状に形成された凸条部9d(
図4(c)及び
図5(b)参照)を受け入れるように形成されている。よってこの窪み部7cと凸条部9dとの嵌合により、より嵌合力を向上させることができ、容易に外れにくい構造にできる。
【0026】
第2実施形態に係る脚本体8は、
図5(b)等に示すように複数個の凹所8cが設けられている点、脚本体8の厚み寸法は、上方端面8bよりも下方端面8aが薄く形成されている点でも第1実施形態と異なる。凹所8cは、平板状の脚本体8の両面に形成され、図例のものは一方の面に3か所の凹所8cが形成されている。脚本体8の上方端面8bの厚くすることにより、板体4を下方からしっかりと支持できる構造としつつ、凹所8cによって部分的厚みを薄くすることで脚本体8の重量が増えないよう軽量化を図ることができる。またこの凹所8cが形成されているので、凹所8cによって形成される段差部位を手掛け部位にでき、脚部3の持ち運びがしやすいというメリットがある。
【0027】
<製造・組み立て手順>
次にベッド1Aの製造・組み立て手順の一例を説明する。基本的に、上述のベッド1の組み立て手順と同様であるので、異なる点を中心に説明する。
まずは、発泡ポリプロピレンビーズを成形型に充填し発泡倍率45倍に発泡させ、所定寸法、所定形状に金型成形により製した下記床板部2及び脚部3を用意する。
原料:発泡ポリプロピレン
総重量:5312g
床板部2:板体4(
図5(a)参照)を2枚
幅寸法980mm×長さ寸法1000mm×厚み寸法60mm:重量1枚1088g
脚部3:第1脚板5(
図5(b)参照)を4枚,第2脚板6(
図5(b)参照)を4枚
幅寸法330mm×長さ寸法980mm×厚み寸法100mm(最も厚みのある部分の寸法である):重量1枚392g
【0028】
まずは
図6(a)に示すように2枚の板体4,4を用意し、端面4a,4a同士を突き合わせる。次に第1脚板5及び第2脚板6を用意し、凸部9を凹部7へ嵌合させていく。第1脚板5も第2脚板6も同寸同形であるので、どれを選んでもよく、どの順番で嵌合させてもよい。
そしてすべての第1脚板5及び第2脚板6を板体4,4に嵌合させた後、裏返して
図4(a)に示すように床板部2が上、脚部3が下にくるようにセットすれば、ベッド1Aを完成させることができる。
【0029】
以上によれば、ベッド1Aも上述のベッド1と同様、組立て説明書がなくても1分前後で容易に組み立てることができる。また上記実施例は金型成形品で形成されているので、材料に無駄がなく、意匠性を重視した製品とすることもでき、表面加工も容易である。
【0030】
なお、本実施形態に係るベッド1,1Aは、上述の例に限定されず、例えば、頭部側にヘッドボードを備えたものとしてもよい。床板部2,脚部3の構成、形状も限定されず、例えば床板部2は使用者が横臥する部位が面一になっていれば、床板部2の端部に突出した落下防止の縁部を備えたものとしてもよいし、脚部3として、第1脚板5及び第2脚板6以外にさらなる異なる構成(例えば円柱状の脚部など)の支持部材を備えてもよい。また第1実施形態に係るベッド1の床板部2に溝部40aを形成してもよく、より通気性を確保するために通気孔を適宜設けてもよい。さらに第1実施形態に係る板体4に形成される凹部7は貫通孔でなく、第2実施形態で示すような凹状であってもよく、第2実施形態に係る板体4に形成される凹部7が貫通孔であってもよいことは言うまでもない。また凹部7に嵌合する凸部9も図例に限定されず一枚の脚部3に対して凸部9を1個もしくは3個以上設けたものとしてもよい。またベッド1,1Aに用いられる発泡樹脂材としては、自己消火性、耐熱性等を備えた機能性発泡樹脂材を用いてもよく、発泡樹脂ビーズを着色すれば、カラフルなベッド1を構成することもできる。
【符号の説明】
【0031】
1,1A ベッド
2 床板部
3 脚部
4 板体
4a 端面
5 第1脚板
6 第2脚板
7 凹部
8 脚本体
9 凸部