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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022033648
(43)【公開日】2022-03-02
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/302 20060101AFI20220222BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20220222BHJP
   H01L 33/58 20100101ALI20220222BHJP
【FI】
G09F9/302 Z
G09F9/30 310
G09F9/30 338
G09F9/30 349C
H01L33/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020137651
(22)【出願日】2020-08-17
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 雅延
(72)【発明者】
【氏名】青木 義典
(72)【発明者】
【氏名】小川 耀博
【テーマコード(参考)】
5C094
5F142
【Fターム(参考)】
5C094AA01
5C094BA23
5C094CA20
5C094DB01
5C094ED15
5F142AA12
5F142BA32
5F142CA11
5F142CB14
5F142CD02
5F142CG14
5F142GA02
(57)【要約】
【課題】基板の穴部への光漏れを抑制することができる表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置は、穴部を有する基板と、基板に設けられた複数の画素と、複数の画素の各々に設けられた複数の発光素子と、を備える。複数の発光素子は、チップサイズが所定の大きさの第1発光素子と、チップサイズが第1発光素子よりも小さい第2発光素子と、を備える。第1発光素子と第2発光素子は、それぞれ共通の色を発光する。穴部の周辺に配置される複数の発光素子は、少なくとも1つ以上第2発光素子を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
穴部を有する基板と、
前記基板に設けられた複数の画素と、
複数の前記画素の各々に設けられた複数の発光素子と、
を備え、
複数の前記発光素子は、
チップサイズが所定の大きさの第1発光素子と、
前記チップサイズが前記第1発光素子よりも小さい第2発光素子と、
を備え、
前記第1発光素子と前記第2発光素子は、それぞれ共通の色を発光し、
前記穴部の周辺に配置される複数の前記発光素子は、少なくとも1つ以上前記第2発光素子を含む
表示装置。
【請求項2】
前記基板は、
前記画素が設けられる表示領域と、
前記表示領域を囲む周辺領域と、
を有し、
前記表示領域と前記周辺領域との境界線は、前記表示領域の方に窪む凹状線を有し、
前記表示領域は、前記凹状線を挟む第1領域と第2領域とを有し、
前記第1領域及び前記第2領域には、前記第2発光素子が配置される
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
穴部を有する基板と、
前記基板に設けられた複数の画素と、
複数の前記画素の各々に設けられた複数の発光素子と、
複数の前記発光素子を覆うカソード電極と、
を備え、
前記穴部の周辺に配置される複数の前記発光素子は、少なくとも1つの以上の第3発光素子を含み、
前記第3発光素子は、前記基板の上に、p型クラッド層、活性層、n型クラッド層、高抵抗層の順に積層され、
前記高抵抗層のシート抵抗値は、前記n型クラッド層のシート抵抗値よりも大きく、
前記高抵抗層の中央部には、開口が設けられ、
前記カソード電極は、前記高抵抗層を覆うとともに、前記高抵抗層の開口を介して前記n型クラッド層の中央部に直接接続される
表示装置。
【請求項4】
前記基板は、
前記画素が設けられる表示領域と、
前記表示領域を囲む周辺領域と、
を有し、
前記表示領域と前記周辺領域との境界線は、前記表示領域の方に窪む凹状線を有し、
前記表示領域は、前記凹状線を挟む第1領域と第2領域とを有し、
前記第1領域及び前記第2領域には、前記第3発光素子が配置される
請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
穴部を有する基板と、
前記基板に設けられた複数の画素と、
複数の前記画素の各々に設けられた複数の発光素子と、
前記発光素子を覆う透過性の被覆部材と、
を備え、
前記被覆部材は、前記穴部の側面を覆う遮光性の壁部を有する
表示装置。
【請求項6】
複数の画素が形成された表示領域を有する基板と、
前記表示領域において、第1ゲート線に接続される第1発光素子と、
前記表示領域において、第2ゲート線に接続される第2発光素子と、
前記表示領域における前記第2ゲート線の配線長は、前記表示領域における前記第1ゲート線の配線長より短く、
前記第1発光素子と前記第2発光素子は、それぞれ共通の色を発光し、
前記第2発光素子のチップサイズは、前記第1発光素子のチップサイズより小さい、
表示装置。
【請求項7】
前記基板は穴部を有し、前記穴部は基板側面に沿って凹状に形成されたノッチであり、
前記第2発光素子は、前記ノッチの近傍に配置され、
前記第1発光素子は、前記第2発光素子よりも前記ノッチから離れた位置に配置される、
請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記基板は穴部を有し、前記穴部は前記表示領域内に形成された前記基板を貫通するホールであり、
前記第2発光素子は、前記ホールの近傍に配置され、
前記第1発光素子は、前記第2発光素子よりも前記ホールから離れた位置に配置される、
請求項6に記載の表示装置。
【請求項9】
前記基板は穴部を有し、前記穴部は前記表示領域内において、前記複数の画素が形成されない透明領域であり、
前記第2発光素子は、前記透明領域の近傍に配置され、
前記第1発光素子は、前記第2発光素子よりも前記透明領域から離れた位置に配置される、
請求項6に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子として微小サイズの発光ダイオード(マイクロLED(micro LED))を用いた表示装置が注目されている(例えば特許文献1を参照)。また、表示装置において、特許文献2や特許文献3の基板は、基板の外周面の一部を窪ませて成るノッチや基板を貫通する貫通孔(パンチホール)などの穴部を有している。そして、基板の穴部にカメラ等を収容している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2017-529557号公報
【特許文献2】特開2019-215415号公報
【特許文献3】特開2020-13068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板に穴部を有する表示装置において、発光素子から照射された光が基板の内部を通過し、穴部に漏れてしまう可能性がある。
【0005】
本開示は、基板の穴部への光漏れを抑制することができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1態様の表示装置は、穴部を有する基板と、前記基板に設けられた複数の画素と、複数の前記画素の各々に設けられた複数の発光素子と、を備える。複数の前記発光素子は、チップサイズが所定の大きさの第1発光素子と、前記チップサイズが前記第1発光素子よりも小さい第2発光素子と、を備える。前記第1発光素子と前記第2発光素子は、それぞれ共通の色を発光し、前記穴部の周辺に配置される複数の前記発光素子は、少なくとも1つ以上前記第2発光素子を含む。
【0007】
本開示の第2態様の表示装置は、穴部を有する基板と、前記基板に設けられた複数の画素と、複数の前記画素の各々に設けられた複数の発光素子と、複数の前記発光素子を覆うカソード電極と、を備える。前記穴部の周辺に配置される複数の前記発光素子は、少なくとも1つの以上の第3発光素子を含む。前記第3発光素子は、前記基板の上に、p型クラッド層、活性層、n型クラッド層、高抵抗層の順に積層される。前記高抵抗層のシート抵抗値は、前記n型クラッド層のシート抵抗値よりも大きい。前記高抵抗層の中央部には、開口が設けられる。前記カソード電極は、前記高抵抗層を覆うとともに、前記高抵抗層の開口を介して前記n型クラッド層の中央部に直接接続される。
【0008】
本開示の第3態様の表示装置は、穴部を有する基板と、前記基板に設けられた複数の画素と、複数の前記画素の各々に設けられた複数の発光素子と、前記発光素子を覆う透過性の被覆部材と、を備える。前記被覆部材は、前記穴部の側面を覆う遮光性の壁部を有する。
【0009】
本開示の第4態様の表示装置は、複数の画素が形成された表示領域を有する基板と、前記表示領域において、第1ゲート線に接続される第1発光素子と、前記表示領域において、第2ゲート線に接続される第2発光素子と、前記表示領域における前記第2ゲート線の配線長は、前記表示領域における前記第1ゲート線の配線長より短い。前記第1発光素子と前記第2発光素子は、それぞれ共通の色を発光する。前記第2発光素子のチップサイズは、前記第1発光素子のチップサイズより小さい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態1に係る表示装置を模式的に示す平面図である。
図2図2は、複数の画素を示す平面図である。
図3図3は、実施形態1に係る表示装置の一部を拡大した平面図である。
図4図4は、各チップサイズの発光素子(無機発光ダイオード)における電流密度と単位時間当たりの光量子数との関係を示すグラフである。
図5図5は、画素回路を示す回路図である。
図6図6は、図3のV-V’断面図である。
図7図7は、実施形態2に係る表示装置の一部を拡大した平面図である。
図8図8は、実施形態2に係る発光素子の断面図であり、詳細には図9のVIII-VIII‘矢視断面図である。
図9図9は、第3発光素子を模式的に示す平面図である。
図10図10は、開口を有する高抵抗層を備えた第3発光素子の発光分布特性を示すグラフである。
図11図11は、n型クラッド層及び高抵抗層を拡大して示す断面図である。
図12図12は、実施形態2に係る表示装置の製造方法を説明するための説明図である。
図13図13は、実施形態3に係る表示装置の平面図である。
図14図14は、図13のXIV-XIV線矢視断面図である。
図15図15は、実施形態4に係る表示装置の平面図である。
図16図16は、実施形態4に係る表示装置の一部を拡大した平面図である。
図17図17は、画素回路により発光素子を発光させるまでの手順と、駆動トランジスタのゲート電極の電圧の変化と、を示すフロー図である。
図18図18は、実施形態5に係る表示装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しながら説明する。本開示は、以下の実施形態に記載した内容に限定されない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0012】
本明細書及び特許請求の範囲において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0013】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る表示装置を模式的に示す平面図である。図1に示すように、表示装置1は、アレイ基板(基板)2と、画素Pixと、駆動回路12と、駆動IC(Integrated Circuit)210と、カソード配線60と、を含む。
【0014】
アレイ基板2は、各画素Pixを駆動するための駆動回路基板である。アレイ基板2は、バックプレーン又はアクティブマトリクス基板とも呼ばれる。アレイ基板2は、基板21、複数のトランジスタ、複数の容量及び各種配線等を有する。アレイ基板2は、平面視で略四角形状を成している。アレイ基板2の外周面は、第1方向Dx方向に延びる第1側面201と、第1側面201の第1方向Dxの両端から第2方向Dy方向に延びる第2側面202及び第3側面203と、第2側面202及び第3側面203に接続する第4側面204と、を備える。
【0015】
なお、本実施形態において、第1方向Dxと第2方向Dyとが直角に交わっているが、本開示の表示装置は、第1方向Dxと第2方向Dyとの交わる角度が直角でなくてもよい。また、第1方向Dx及び第2方向Dyと直交する方向を第3方向Dzと呼ぶ。第3方向Dzは、例えば、基板21の法線方向に対応する。なお、平面視とは、第3方向Dzから見た場合の位置関係を示す。
【0016】
平面視した場合、アレイ基板2の第2側面202、第3側面203、及び第4側面204は、直線状となっている。一方で、第1側面201は、第1方向Dxの中央部の一部が窪んでいる。つまり、第1側面201は、凹部211を有している。このため、アレイ基板2は、第1側面201の一部を窪ませて成るノッチ(穴部)212を備える。なお、本実施形態では、アレイ基板(基板)2の穴部として、外周面を窪ませて成るノッチ212を例として挙げているが、本開示の表示装置は、これに限定されない。穴部は、例えば、図18に後述するように、アレイ基板(基板)2の表示領域AAを第3方向Dzに貫通して成るパンチホールであってもよい。
【0017】
アレイ基板2は、表示領域AAと、周辺領域GAと、を有する。表示領域AAは、画像を表示する領域であり、複数の画素Pixが配置される。周辺領域GAは、複数の画素Pixと重ならない領域であり、表示領域AAの外側に位置している。
【0018】
表示領域AA及び周辺領域GAは、ともにアレイ基板2の凹部211に対応して窪んでいる。つまり、表示領域AAと周辺領域GAとの境界線L10は、ノッチ212に対応して窪む凹状線L11を有している。また、表示領域AAの範囲内において、凹状線L11の周辺部分(凹状線L11と補助線L12との間の領域)を、ノッチ周辺領域AA1と呼ぶ。なお、ノッチ周辺領域AA1とは、ノッチ(穴部)212の周辺であり、この範囲に第1発光素子3R1、3G1、3B1を配置した場合、ノッチ212内に第1発光素子3R1、3G1、3B1の光が漏れる可能性がある範囲である。つまり、ノッチ周辺領域AA1は、第1発光素子3R1、3G1、3B1の輝度によって相対的に決定される。言い換えると、第1発光素子3R1、3G1、3B1の輝度が高い場合、ノッチ周辺領域AA1が大きくなり、第1発光素子3R1、3G1、3B1の輝度が小さい場合、ノッチ周辺領域AA1が小さくなる。
【0019】
複数の画素Pixは、表示領域AAにおいて、第1方向Dx及び第2方向Dyに等間隔で配列されている。よって、画素Pixが配置される割合(発光素子3の充填密度又は搭載密度)は、表示領域AAの全領域で均一となっている。
【0020】
駆動回路12は、駆動IC210からの各種制御信号に基づいて複数のゲート線(例えば、図5に示すリセット制御信号線L5、出力制御信号線L6、画素制御信号線L7、初期化制御信号線L8)を駆動する回路である。駆動回路12は、複数のゲート線を順次又は同時に選択し、選択されたゲート線にゲート駆動信号を供給する。これにより、駆動回路12は、ゲート線に接続された複数の画素Pixを選択する。
【0021】
駆動IC210は、表示装置1の表示を制御する回路である。駆動IC210は、アレイ基板2の周辺領域GAにCOG(Chip On Glass)として実装される。これに限定されず、駆動IC210は、アレイ基板2の周辺領域GAに接続されたフレキシブルプリント基板やリジット基板の上にCOF(Chip On Film)として実装されてもよい。
【0022】
カソード配線60は、アレイ基板2の周辺領域GAに設けられる。カソード配線60は、表示領域AAの複数の画素Pix及び周辺領域GAの駆動回路12を囲んで設けられる。複数の発光素子3のカソードは、共通のカソード配線60に接続され、固定電位(例えば、グランド電位)が供給される。より具体的には、発光素子3のカソード端子32(図6参照)は、カソード電極22を介して、カソード配線60に接続される。
【0023】
図2は、複数の画素を示す平面図である。図2に示すように、1つの画素Pixは、複数の画素49を含む。例えば、画素Pixは、画素49Rと、画素49Gと、画素49Bとを有する。画素49Rは、第1色としての原色の赤色を表示する。画素49Gは、第2色としての原色の緑色を表示する。画素49Bは、第3色としての原色の青色を表示する。本実施形態において、1つの画素Pixにおいて、画素49Rと画素49Gは第1方向Dxで並ぶ。また、画素49Gと画素49Bは第2方向Dyで並ぶ。なお、第1色、第2色、第3色は、それぞれ赤色、緑色、青色に限られず、補色などの任意の色を選択することができる。以下において、画素49Rと、画素49Gと、画素49Bとをそれぞれ区別する必要がない場合、単に画素49という。
【0024】
画素49は、それぞれ発光素子3と、第1実装電極24とを有する。表示装置1は、画素49R、画素49G及び画素49Bにおいて、発光素子3R、3G、3Bごとに異なる光を出射する。これにより画像を表示する。なお、本開示の表示装置は、複数の発光素子3が4色以上の異なる光を出射するようにしてもよい。また、複数の画素49の配置は、図2に示す構成に限定されない。例えば、画素49Rは画素49Bと第2方向Dyに隣り合っていてもよい。また、画素49R、画素49G及び画素49Bが、この順で第1方向Dxに繰り返し配列されてもよい。
【0025】
図3は、実施形態1に係る表示装置の一部を拡大した平面図である。発光素子3は、平面視で、3μm以上、300μm以下程度の大きさを有する無機発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)チップである。発光素子3は、マイクロLED(micro LED)と呼ばれる。発光素子3は、チップサイズ(平面視での大きさ)が所定の大きさの第1発光素子3R1、3G1、3B1(図3参照)と、第1発光素子3R1、3G1、3B1よりもチップサイズが小さい第2発光素子3R2、3G2、3B2と、を備える。第1発光素子3R1、3G1、3B1と第2発光素子3R2、3G2、3B2は、それぞれ共通の色を発光する。また、表示領域AAのうち、ノッチ周辺領域AA1以外の領域の画素49は、第1発光素子3R1、3G1、3B1を備える。一方で、ノッチ周辺領域AA1の画素49は、第2発光素子3R2、3G2、3B2を備える。
【0026】
図4は、各チップサイズの発光素子(無機発光ダイオード)における電流密度と単位時間当たりの光量子数との関係を示すグラフである。図4に示すように、無機発光ダイオードは、チップサイズが500μm、200μm、100μm、50μm、20μm、15μm、10μmと次第に小さくなるにつれて、外部に放出される単位時間当たりの光量子数のピーク値が減少する、という性質を有する。つまり、発光素子(無機発光ダイオード)3は、チップサイズが小さくなると、輝度が低くなるという性質を有している。よって、実施形態1の表示装置1において、第2発光素子3R2、3G2、3B2は、第1発光素子3R1、3G1、3B1よりも輝度が低い。
【0027】
図5は、画素回路を示す回路図である。図5は、1つの画素49に設けられた画素回路PICAを示しており、画素回路PICAは複数の画素49のそれぞれに設けられている。図5に示すように、画素回路PICAは、発光素子3と、5つのトランジスタと、2つの容量とを含む。具体的には、画素回路PICAは、駆動トランジスタDRT、出力トランジスタBCT、初期化トランジスタIST、画素選択トランジスタSST及びリセットトランジスタRSTを含む。駆動トランジスタDRT、出力トランジスタBCT、初期化トランジスタIST、画素選択トランジスタSST及びリセットトランジスタRSTは、それぞれn型TFT(Thin Film Transistor)で構成される。また、画素回路PICAは、第1容量Cs1及び第2容量Cs2を含む。
【0028】
発光素子3のカソード(カソード端子32)は、カソード電源線L9に接続される。また、発光素子3のアノード(アノード端子33)は、駆動トランジスタDRT及び出力トランジスタBCTを介してアノード電源線L1に接続される。アノード電源線L1には、アノード電源電位PVDDが供給される。カソード電源線L9には、カソード配線60及びカソード電極22を介してカソード電源電位PVSSが供給される。アノード電源電位PVDDは、カソード電源電位PVSSよりも高い電位である。
【0029】
アノード電源線L1は、画素49に、駆動電位であるアノード電源電位PVDDを供給する。具体的には、発光素子3は、理想的にはアノード電源電位PVDDとカソード電源電位PVSSとの電位差(PVDD-PVSS)により順方向電流(駆動電流)が供給され発光する。つまり、アノード電源電位PVDDは、カソード電源電位PVSSに対し、発光素子3を発光させる電位差を有している。発光素子3のアノード端子33は、アノード電極23に電気的に接続され、アノード電極23とアノード電源線L1との間に等価回路として、第2容量Cs2が接続される。
【0030】
駆動トランジスタDRTのソース電極は、アノード電極23を介して発光素子3のアノード端子33に接続され、ドレイン電極は、出力トランジスタBCTのソース電極に接続される。駆動トランジスタDRTのゲート電極は、第1容量Cs1、画素選択トランジスタSSTのドレイン電極及び初期化トランジスタISTのドレイン電極に接続される。
【0031】
出力トランジスタBCTのゲート電極は、出力制御信号線L6に接続される。出力制御信号線L6には、出力制御信号BGが供給される。出力トランジスタBCTのドレイン電極は、アノード電源線L1に接続される。
【0032】
初期化トランジスタISTのソース電極は、初期化電源線L4に接続される。初期化電源線L4には、初期化電位Viniが供給される。初期化トランジスタISTのゲート電極は、初期化制御信号線L8に接続される。初期化制御信号線L8には、初期化制御信号IGが供給される。すなわち、駆動トランジスタDRTのゲート電極には、初期化トランジスタISTを介して初期化電源線L4が接続される。
【0033】
画素選択トランジスタSSTのソース電極は、映像信号線L2に接続される。映像信号線L2には、映像信号Vsigが供給される。画素選択トランジスタSSTのゲート電極には、画素制御信号線L7が接続されている。画素制御信号線L7には、画素制御信号SGが供給される。
【0034】
リセットトランジスタRSTのソース電極は、リセット電源線L3に接続される。リセット電源線L3には、リセット電源電位Vrstが供給される。リセットトランジスタRSTのゲート電極は、リセット制御信号線L5に接続される。リセット制御信号線L5には、リセット制御信号RGが供給される。リセットトランジスタRSTのドレイン電極は、アノード電極23(発光素子3のアノード端子33)及び駆動トランジスタDRTのソース電極に接続される。リセットトランジスタRSTのリセット動作により、第1容量Cs1及び第2容量Cs2に保持された電圧がリセットされる。
【0035】
リセットトランジスタRSTのドレイン電極と、駆動トランジスタDRTのゲート電極との間に、等価回路として、第1容量Cs1が設けられる。画素回路PICAは、第1容量Cs1及び第2容量Cs2により、駆動トランジスタDRTの寄生容量とリーク電流とによるゲート電圧の変動を抑制することができる。
【0036】
なお、以下の説明において、アノード電源線L1及びカソード電源線L9を単に電源線と表す場合がある。映像信号線L2、リセット電源線L3及び初期化電源線L4を信号線と表す場合がある。リセット制御信号線L5、出力制御信号線L6、画素制御信号線L7及び初期化制御信号線L8をゲート線と表す場合がある。
【0037】
駆動トランジスタDRTのゲート電極には、映像信号Vsig(または、階調信号)に応じた電位が供給される。つまり、駆動トランジスタDRTは、出力トランジスタBCTを介して供給されたアノード電源電位PVDDに基づいて、映像信号Vsigに応じた電流を発光素子3に供給する。このように、アノード電源線L1に供給されたアノード電源電位PVDDは、駆動トランジスタDRT及び出力トランジスタBCTによって降下するため、発光素子3のアノード端子33には、アノード電源電位PVDDよりも低い電位が供給される。
【0038】
第2容量Cs2の一方の電極には、アノード電源線L1を介してアノード電源電位PVDDが供給され、第2容量Cs2の他方の電極には、アノード電源電位PVDDよりも低い電位が供給される。つまり、第2容量Cs2の一方の電極には、第2容量Cs2の他方の電極よりも高い電位が供給される。第2容量Cs2の一方の電極は、例えば、図6に示すアノード電源線L1に接続された対向電極26であり、第2容量Cs2の他方の電極は、図6に示す駆動トランジスタDRTのソースに接続されたアノード電極23である。
【0039】
表示装置1において、駆動回路12(図1参照)は、複数の画素行を、先頭行(例えば、図1中の表示領域AAにおいて、最上部に位置する画素行)から順番に選択する。駆動IC210は、選択された画素行の画素49に映像信号Vsig(映像書き込み電位)を書き込み、発光素子3を発光させる。駆動IC210は、1水平走査期間ごとに、映像信号線L2に映像信号Vsigを供給し、リセット電源線L3にリセット電源電位Vrstを供給し、初期化電源線L4に初期化電位Viniを供給する。表示装置1は、これらの動作が1フレームの画像ごとに繰り返される。
【0040】
次に、表示装置1の断面構成について説明する。図6は、図3のV-V’断面図である。図6に示すように、発光素子3は、アレイ基板2の上に設けられる。アレイ基板2は、基板21、各種トランジスタ、各種配線及び各種絶縁膜を有する。基板21は絶縁基板であり、例えば、ガラス基板、樹脂基板又は樹脂フィルム等が用いられる。
【0041】
本明細書において、基板21の表面に垂直な方向において、基板21から発光素子3に向かう方向を「上側」又は単に「上」とする。また、発光素子3から基板21に向かう方向を「下側」又は単に「下」とする。
【0042】
駆動トランジスタDRT、出力トランジスタBCTは、基板21の一方の面側に設けられる。半導体層61、65は、基板21の上に設けられる。なお、半導体層61、65と基板21との間にアンダーコート膜が設けられていてもよい。絶縁膜91は、半導体層61、65を覆って基板21の上に設けられる。絶縁膜91は、例えばシリコン酸化膜である。
【0043】
ゲート電極64、66は、絶縁膜91の上に設けられる。図6に示す例では、各トランジスタは、いわゆるトップゲート構造である。ただし、各トランジスタは、半導体層の下側にゲート電極が設けられたボトムゲート構造でもよく、半導体層の上側及び下側の両方にゲート電極が設けられたデュアルゲート構造でもよい。
【0044】
絶縁膜92は、ゲート電極64、66を覆って絶縁膜91の上に設けられる。絶縁膜92は、例えば、シリコン窒化膜とシリコン酸化膜との積層構造を有する。ソース電極62、ドレイン電極67及びアノード電源線L1は、絶縁膜92の上に設けられる。ソース電極62は絶縁膜91、92を貫通するコンタクトホールを介して半導体層61と電気的に接続される。また、ドレイン電極67は絶縁膜91、92に設けられたコンタクトホールを介して半導体層65と電気的に接続される。
【0045】
複数の絶縁膜(第1有機絶縁膜93、絶縁膜94、絶縁膜95及び第2有機絶縁膜96)は、各トランジスタを覆って設けられる。第1有機絶縁膜93及び第2有機絶縁膜96としては感光性アクリル等の有機材料が用いられる。感光性アクリル等の有機材料は、CVD等により形成される無機絶縁材料に比べ、配線段差のカバレッジ性や、表面の平坦性に優れる。絶縁膜94、絶縁膜95は、無機絶縁膜であり、上述した絶縁膜91、92と同様の材料、例えば、シリコン窒化膜を用いることができる。
【0046】
具体的には、第1有機絶縁膜93は、ソース電極62、ドレイン電極67及びアノード電源線L1を覆って、絶縁膜92の上に設けられる。第1有機絶縁膜93の上に、対向電極26、絶縁膜94、アノード電極23の順に積層される。対向電極26は、例えばITO(Indium Tin Oxide)等の透光性を有する導電性材料で構成される。対向電極26は、第1有機絶縁膜93に設けられたコンタクトホールCH1の底部でアノード電源線L1と接続される。
【0047】
絶縁膜94は、対向電極26を覆って設けられる。アノード電極23は、絶縁膜94を介して対向電極26と対向する。第1有機絶縁膜93及び絶縁膜94には、ソース電極62を底面とするコンタクトホールCH2、CH3が設けられる。アノード電極23は、コンタクトホールCH2、CH3を介してソース電極62と電気的に接続される。これにより、アノード電極23は、駆動トランジスタDRTと電気的に接続される。
【0048】
アノード電極23は、例えば、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)の積層構造としている。ただし、これに限定されず、アノード電極23は、モリブデン、チタンの金属のいずれか1つ以上を含む材料であってもよい。又は、アノード電極23は、モリブデン、チタンのいずれか1つ以上を含む合金、又は透光性導電材料であってもよい。また、絶縁膜94を介して対向するアノード電極23と対向電極26との間に第2容量Cs2が形成される。
【0049】
絶縁膜95は、アノード電極23を覆って絶縁膜94の上に設けられる。第2有機絶縁膜96は、絶縁膜95の上に設けられる。すなわち、第1有機絶縁膜93は、駆動トランジスタDRTの上に設けられ、第2有機絶縁膜96は、第1有機絶縁膜93の上側に積層される。絶縁膜95は、第1有機絶縁膜93と第2有機絶縁膜96との間に設けられる。第2有機絶縁膜96には、コンタクトホールCH4が設けられる。絶縁膜95には、コンタクトホールCH4と重なってコンタクトホールCH5が設けられる。コンタクトホールCH4、CH5の底部には、アノード電極23が設けられる。また、アノード電極23は、第1実装電極24の少なくとも一部と対向して設けられる。
【0050】
第1実装電極24は、第2有機絶縁膜96の上に設けられ、コンタクトホールCH4、CH5を介してアノード電極23と電気的に接続される。第1実装電極24は、アノード電極23と同様にチタン、アルミニウムの積層構造としている。ただし、第1実装電極24は、アノード電極23と異なる導電材料が用いられてもよい。また、第2有機絶縁膜96は、第1有機絶縁膜93と異なる有機材料が用いられてもよい。
【0051】
発光素子3R、3G、3Bは、それぞれに対応する第1実装電極24に実装される。各発光素子3は、アノード端子33が第1実装電極24に接するように実装される。各発光素子3のアノード端子33と第1実装電極24との間の接合部材25は、両者の間で良好な導通が確保でき、かつアレイ基板2上の形成物を破損しないものであれば特に限定しない。接合部材25は、例えば、はんだや導電ペーストである。アノード端子33と第1実装電極24との接合として、例えば低温溶融のはんだ材料を用いたリフロー工程や、導電ペーストを介して発光素子3をアレイ基板2上に載せた後に焼成結合する手法が挙げられる。
【0052】
半導体層31は、例えば、窒化ガリウム(GaN)、アルミニウムインジウム燐(AlInP)、窒化インジウムガリウム(InGaN)等の化合物半導体が用いられる。半導体層31は、発光素子3R、3G、3Bごとに異なる材料が用いられてもよい。また、活性層として、高効率化のために数原子層からなる井戸層と障壁層とを周期的に積層させた多重量子井戸構造(MQW構造)が採用されてもよい。また、発光素子3として、半導体基板上に半導体層31が形成された構成でもよい。
【0053】
なお、本開示の表示装置1は、アレイ基板2に第2有機絶縁膜96及び第1実装電極24を設けずに、アノード電極23上に発光素子3を直接実装することも可能である。ただし、第2有機絶縁膜96及び第1実装電極24を設けることにより、発光素子3の実装時に加えられる力によって絶縁膜94が破損することを抑制できる。つまり、第2容量Cs2を形成するアノード電極23と対向電極26との間の絶縁破壊が生ずることを抑制できる。
【0054】
発光素子3は、フェイスアップ型の発光素子であり、発光素子3の下部がアノード電極23に電気的に接続され、発光素子3の上部がカソード電極22に電気的に接続される。発光素子3は、半導体層31、カソード端子32及びアノード端子33を有する。
【0055】
複数の発光素子3の間に素子絶縁膜97が設けられる。素子絶縁膜97は樹脂材料で形成される。素子絶縁膜97は、発光素子3の側面を覆っており、発光素子3のカソード端子32は、素子絶縁膜97から露出する。素子絶縁膜97の上面と、カソード端子32の上面とが同一面を形成するように、素子絶縁膜97は平坦に形成される。ただし、素子絶縁膜97の上面の位置は、カソード端子32の上面の位置と異なっていてもよい。
【0056】
カソード電極22は、複数の発光素子3及び素子絶縁膜97を覆って、複数の発光素子3に電気的に接続される。カソード電極22は、例えばITO等の透光性を有する導電性材料が用いられる。これにより、発光素子3からの出射光を効率よく外部に取り出すことができる。カソード電極22は、表示領域AAに実装された複数の発光素子3のカソード端子32と電気的に接続される。カソード電極22は、表示領域AAの外側に設けられたコンタクト部で、アレイ基板2側に設けられたカソード配線60と接続される。
【0057】
カソード電極22と素子絶縁膜97は、保護用絶縁膜98により覆われる。保護用絶縁膜98は、透光性を有する無機絶縁膜であり、例えば、窒化シリコン(SiN)や酸化アルミニウム(Al2O3)等の絶縁性材料が用いられる。また、保護用絶縁膜98は、アレイ基板2及び素子絶縁膜97の側面を覆う外周部98aを有している。
【0058】
以上、実施形態1の表示装置1によれば、ノッチ周辺領域AA1の画素49の第2発光素子3R2、3G2、3B2は、第1発光素子3R1、3G1、3B1よりも相対的に輝度が低い。このため、凹部211を覆う外周部98aを通過してノッチ212内に入射する光(図6の矢印Fを参照)が低減する。よって、ノッチ(穴部)212内への光漏れが抑制される。一方で、ノッチ周辺領域AA1以外の画素49には、第1発光素子3R1、3G1、3B1が設けられている。よって、ノッチ周辺領域AA1以外の画素49は、輝度が低くならず、表示品位が維持される。
【0059】
以上、実施形態1の表示装置1000について説明したが、本開示の表示装置はこれに限定されない。フリップチップタイプでフェースダウン構造のマイクロLEDを用いても同様の効果が得られる。つぎに他の実施形態について説明する。なお、他の実施形態の説明において、上述した実施形態1で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0060】
(実施形態2)
図7は、実施形態2に係る表示装置の一部を拡大した平面図である。実施形態2の表示装置1Aは、第2発光素子3R2、3G2、3B2に代えて第3発光素子3R3、3G3、3B3を備える点において、実施形態1の表示装置1と異なる。言い換えると、実施形態2の表示装置1Aは、ノッチ周辺領域AA1の画素49の発光素子3として、第3発光素子3R3、3G3、3B3を備える点において実施形態1の表示装置1と異なる。なお、第3発光素子3R3、3G3、3B3のチップサイズは、第1発光素子3R1、3G1、3B1と同じである。よって、実施形態2の表示装置1Aは、表示領域AAに配置される各画素49の複数の発光素子3が全て同じ大きさとなっている。一方で、第3発光素子3R3、3G3、3B3は、カソード電極22との間に高抵抗層38を有する点で、第1発光素子3R1、3G1、3B1と相違する。以下、第3発光素子3R3、3G3、3B3をまとめて第3発光素子3Cと呼び、第3発光素子3Cの詳細を説明する。
【0061】
図8は、実施形態2に係る第3発光素子の断面図であり、詳細には図9のVIII-VIII‘矢視断面図である。図9は、発光素子を模式的に示す平面図である。図8に示すように、第3発光素子3Cは、第1実装電極24及び接合部材25の上に、p型電極34、p型クラッド層35、活性層36、n型クラッド層37の順に積層される。また、第3発光素子3Cは、n型クラッド層37の上に積層された高抵抗層38を有する。高抵抗層38は、例えば、不純物がドープされていない窒化ガリウム(GaN)で形成される。高抵抗層38のシート抵抗値は、n型クラッド層37のシート抵抗値よりも大きい。なお、n型クラッド層37、活性層36及びp型クラッド層35は実施形態1の半導体層31(図6参照)に対応する。p型電極34は、実施形態1のアノード端子33(図6参照)に対応する。
【0062】
図9に示すように、平面視した場合、n型クラッド層37及び高抵抗層38の外形形状は、共に正方形であり、かつ同一形状となっている。このため、n型クラッド層37の周縁部37p(図8参照)は、高抵抗層38に覆われている。なお、本開示の表示装置において、n型クラッド層37及び高抵抗層38の外形形状は、正方形に限定されず、長方形、多角形、円形など、他の形状であってもよい。
【0063】
高抵抗層38の中央部には、開口OPが設けられている。よって、高抵抗層38は、平面視で枠状となっている。図8に示すように、カソード電極22は、高抵抗層38及びn型クラッド層37を覆っている。カソード電極22は、高抵抗層38の開口OPを介してn型クラッド層37の中央部37cに直接接続している。よって、n型クラッド層37上面の中央部37cは、カソード端子32(図6参照)として機能している。
【0064】
以上の構成によれば、n型クラッド層37の中央部37cには、カソード電源電位PVSSが供給される。したがって、第3発光素子3Cは、中央部37cのみが電流経路となる。この結果、周縁部37pでは発光が中央部37cに比べ抑えられ、中央部37cは周縁部37pに比べ発光しやすい構造となる。
【0065】
図10は、開口を有する高抵抗層を備えた第3発光素子の発光分布特性を示すグラフである。図10のグラフは、縦軸が相対輝度を示し、横軸が視野角を示す。視野角は、第3方向Dzに対して傾斜する角度(極角)を示す。また、線Aは、視野角を基板21に投影した場合、その投影線が第1方向Dxを指す場合の測定結果である。線Cは、視野角を基板21に投影した場合、その投影線が第2方向Dyを指す場合の測定結果である。線Bは、視野角を基板21に投影した場合、その投影線が第1方向Dx及び第2方向Dyにそれぞれ45°を成す場合の測定結果である。線Dは、視野角を基板21に投影した場合、その投影線が線Bの投影線と90°成す場合の測定結果である。
【0066】
図10に示すように、第3発光素子3Cによれば、視野角が高い場合(第3方向Dz方向。図8の矢印D1で指す方向)、相対輝度がピークとなる。一方で、視野角が低くなるほどに近づくにつれて、相対輝度が小さくなる。そして、視野角が+90°及び-90°の場合(図8の矢印D2で指す方向)、相対輝度が最も小さくなる。
【0067】
また、保護用絶縁膜98の屈折率及びカソード電極22の屈折率は、n型クラッド層37の屈折率よりも小さい。例えば、n型クラッド層37の屈折率が2.4程度である。カソード電極22の屈折率は、例えば、1.5以上1.9以下程度である。保護用絶縁膜98の屈折率は、例えば、1.6以上2.0以下程度である。
【0068】
これにより、各層間の屈折率の差が、n型クラッド層37(GaN)と空気(屈折率は1)との屈折率との差よりも小さくなる。仮にGaNと空気とが接して設けられた場合に比べて、各層間の界面における、全反射が発生する臨界角を大きくすることができる。したがって、表示装置1Aは、第3発光素子3Cから出射された光が、各層間の界面で全反射することが抑制される。この結果、表示装置1Aは、第3発光素子3Cの光の取り出し効率が向上している。
【0069】
図8に示すように、n型クラッド層37の上面には、複数の凹部37aが形成されている。凹部37aは、n型クラッド層37の中央部37cに形成されている。また、高抵抗層38の上面には、複数の凹部38aが形成されている。凹部37a、38aは、PSS(Patterned Sapphire Substrate)構造のサファイア基板(支持アレイ基板200、図12参照)の表面形状が転写されたものである。凹部37a、38aは、六角錐形状に形成される。すなわち、凹部37a、38aは、平面視で、それぞれの開口形状が六角形であり、側壁が傾斜するテーパー形状である。凹部37a、38aを設けることにより、第3発光素子3Cは、外光の反射を抑制することができ、表示品位の低下を抑制することができる。
【0070】
なお、凹部37a、38aは、六角錐に限定されず、円錐や三角錐など、他の形状であってもよい。また、凹部37a、38aは、平面視でマトリクス状に配置されている。これに限定されず、凹部37a、38aは、三角格子状など他のパターンで配置されてもよい。
【0071】
図11は、n型クラッド層及び高抵抗層を拡大して示す断面図である。図11に示すように、n型クラッド層37の中央部37cでの、凹部37aの側壁の傾斜角度(角度θ1)は、高抵抗層38の上面での、凹部38aの側壁の傾斜角度(角度θ2)よりも小さい。言い換えると、n型クラッド層37の中央部37cでの、凹部37aの側壁と、基板21に平行な方向とのなす角度θ1は、高抵抗層38の上面での、凹部38aの側壁と、基板21に平行な方向とのなす角度θ2よりも小さい。n型クラッド層37の中央部37cでの、凹部37aの高さh1は、高抵抗層38の上面での、凹部38aの高さh2よりも低い。このような構成により、第3発光素子3Cは、n型クラッド層37の中央部37cからの光の取り出し効率が向上している。
【0072】
また、高抵抗層38の側壁であって、開口OPの周囲を囲む側壁と基板21に平行な方向とのなす角度θ3は、角度θ1及び角度θ2よりも小さい。高抵抗層38の側壁であって、n型クラッド層37の周縁部37pと隣接する側壁の角度も、角度θ1及び角度θ2よりも小さい。これにより、高抵抗層38を覆うカソード電極22及び保護用絶縁膜98の段切れを抑制することができる。
【0073】
次に、第3発光素子3Cを備える表示装置1Aの製造方法について説明する。図12は、実施形態2に係る表示装置の製造方法を説明するための説明図である。なお、図12では理解を容易にするために、1つの第3発光素子3Cを示しているが、実際には、多数の第3発光素子3C及び第1発光素子3R1、3G1、3B1が同時にアレイ基板2に実装される。
【0074】
図12に示すように、支持アレイ基板200の第1面200aに半導体層31を形成する(ステップST1)。具体的には、製造装置は、支持アレイ基板200の第1面200aに不純物がドープされていないGaNである高抵抗層38、n型クラッド層37、活性層36、p型クラッド層35の順に成膜する。支持アレイ基板200は、例えば、サファイア基板であり、第1面200aにPSS構造が形成されている。
【0075】
次に、製造装置は、支持アレイ基板200の第1面200aをアレイ基板2と対向させて配置する。アレイ基板2の表面には、第1実装電極24、接合部材25、p型電極34の順に積層されている。なお、図12では、接合部材25及びp型電極34の図示を省略している。製造装置は、半導体層31のp型クラッド層35を第1実装電極24に接触させる。そして、レーザ装置は、半導体層31にレーザ光LIを照射する(ステップST2)。
【0076】
レーザ光LIは、支持アレイ基板200の第2面200b側から照射され、半導体層31に到達する。半導体層31は、レーザ光LIが照射されることで、光を吸収し、支持アレイ基板200から分離(剥離)され、アレイ基板2の表面上に積層される(ステップST3)。すなわち、製造装置は、レーザリフトオフにより、半導体層31を支持アレイ基板200から剥離させる。この際、半導体層31の表面には、高抵抗層38はn型クラッド層37の表面の全体を覆って形成される。なお、図12では図示を省略しているが、高抵抗層38及びn型クラッド層37には、支持アレイ基板200のPSS構造が転写されて複数の凹部38a、37a(図8参照)が形成される。
【0077】
なお、レーザ光LIは、支持アレイ基板200を透過しつつ、高抵抗層38で光を吸収する波長帯に設定されることが好ましい。例えば、レーザ光LIは、サファイアを透過するが窒化ガリウムを透過しない波長帯に対応する、3.5eV(electron Volt)以上9.9eV以下のエネルギーを有することが好ましい。また、レーザ光LIは、波長が310nm以下に設定されていることが好ましい。
【0078】
次に、高抵抗層38のパターニングを行う(ステップST4)。高抵抗層38のパターニングは、一例として、フォトリソグラフィ法によりレジストを形成し、ドライエッチングにより高抵抗層38の中央部を除去する。これにより、高抵抗層38の開口OPが形成され、n型クラッド層37の中央部37cが露出する。ドライエッチングとして、反応性イオンエッチング(以下、RIE(Reactive Ion Etching)と表す)を採用することができる。
【0079】
次に、製造装置は、第3発光素子3Cの間に素子絶縁膜97を形成する(ステップST5)。素子絶縁膜97は、p型クラッド層35、活性層36及びn型クラッド層37の側面を覆い、n型クラッド層37の上面(中央部37c及び周縁部37p)及び高抵抗層38の上には非重畳となる。
【0080】
製造装置は、第3発光素子3C及び素子絶縁膜97を覆ってカソード電極22及び保護用絶縁膜98を成膜する(ステップST6)。これにより、カソード電極22は、高抵抗層38を覆うとともに、n型クラッド層37の中央部37c及び周縁部37pと直接、接して形成される。
【0081】
以上のような工程で、第3発光素子3Cがアレイ基板2上に転写、実装されて表示装置1Aが製造できる。なお、図12に示す製造方法は、あくまで一例であり、適宜変更することができる。
【0082】
以上、実施形態2の表示装置1Aは、ノッチ周辺領域AA1の画素49に、第3発光素子3C(3R3、3G3、3B3)が設けられる。第3発光素子3Cは、視野角が+90°及び-90°の場合(図8の矢印D2で指す方向)、相対輝度が最も小さい。よって、第3発光素子3Cからノッチ122の方に向かって照射する光量が低減している。このため、ノッチ122への光漏れが抑制される。
【0083】
一方で、第3発光素子3R3、3G3、3B3は、高抵抗層38によって発光する面積が制限される。よって、第3発光素子3R3、3G3、3B3において、視野角が高い方の輝度(第3方向Dz方向。図8の矢印D1で指す方向)は、そのほかの領域の第1発光素子3R1、3G1、3B1よりも低い可能性がある。しかしながら、実施形態2では、n型クラッド層37の中央部37cにおける凹部37aの側壁の傾斜角度(角度θ1)が、高抵抗層38の上面における凹部38aの側壁の傾斜角度(角度θ2)よりも小さい。このため、n型クラッド層37の中央部37cでの光の取り出し効率を向上し、第3発光素子3Cの輝度の低下が抑制される。フリップチップタイプでフェースダウン構造のマイクロLEDを用いても同様の効果が得られる。
【0084】
(実施形態3)
図13は、実施形態3に係る表示装置の断面図である。図14は、図13のXIV-XIV線矢視断面図である。実施形態3の表示装置1Bは、第2発光素子3R2、3G2、3B2に代えて第1発光素子3R1、3G1、3B1を備える点において、実施形態1の表示装置1と異なる。言い換えると、実施形態3の表示装置1Bは、表示領域AAの画素49の発光素子3が全て第1発光素子3R1、3G1、3B1となっている。また。実施形態3の表示装置1Bは、アレイ基板(基板)2を覆う被覆部材300を備える点で、実施形態1の表示装置と異なる。
【0085】
図13に示すように、被覆部材300は、例えばガラスなど、透過性を有する材料で製造された板状部品である。被覆部材300は、平面視で長方形状を成している。つまり、被覆部材300は、アレイ基板2の表示領域AA及び周辺領域GAと、ノッチ121と、を覆っている。また、被覆部材300は、アレイ基板2と対向する対向面301を有している。そして、対向面301には、平面視で凹状の遮光部材310が設けられている。
【0086】
図14に示すように、遮光部材310は、遮光性の高い材料で製造されている。遮光部材310は、被覆部材300の厚み方向で切った断面形状がL字状を成している。遮光部材310は、被覆部材300に対向する鍔部311と、アレイ基板2の凹部211を覆う壁部315と、を備える。鍔部311は、図示しない粘着シートにより被覆部材300に粘着している。
【0087】
鍔部311は、被覆部材300の対向面301に沿って延在している。鍔部311は、図示しない粘着シートにより被覆部材300に粘着している。これにより、被覆部材300と遮光部材310とが一体になっている。また、鍔部311は、平面視で周辺領域GAと重なっている。つまり、鍔部311の縁部312は、表示領域AAと周辺領域GA1の境界線L10と重なっている。このため、鍔部311は、周辺領域GAのカソード配線60等を被覆している。
【0088】
壁部315は、平面視した場合、アレイ基板2の凹部211と同形状となっている。つまり、壁部315は、アレイ基板2における凹部211の側面を覆っている。よって、発光素子3から照射されてノッチ212内に入射する光(図14の矢印Fを参照)が低減する。よって、ノッチ212内への光漏れが抑制される。
【0089】
以上、実施形態1から実施形態3まで説明したが、本開示の表示装置は、上記した例に限定されない。例えば、実施形態3で説明した被覆部材300を、実施形態1の表示装置1や実施形態2の表示装置1Aに組み合わせてもよい。また、実施形態1で説明したチップサイズが小さい第2発光素子3R2、3G2、3B2に対し、実施形態2で説明した開口OPを有する高抵抗層38を組み合わせる。そして、カソード電極22は、高抵抗層38を覆うとともに、高抵抗層38の開口OPを介してn型クラッド層の中央部に直接接続するようにしてもよい。このような発光素子3をノッチ周辺領域AA1に配置すれば、ノッチ212(穴部)内への光漏れをより抑制することができる。また、フリップチップタイプでフェースダウン構造のマイクロLEDを用いても同様の効果が得られる。
【0090】
また、本開示の表示装置には、ノッチ周辺領域AA1に配置される全ての発光素子3に対し、実施形態1で説明した第2発光素子3R2、3G2、3B2や実施形態2で説明した第3発光素子3R3、3G3、3B3を適用されていなくてもよい。つまり、本開示の表示装置は、ノッチ周辺領域AA1に配置される複数の発光素子3の一部に、第2発光素子3R2、3G2、3B2や第3発光素子3R3、3G3、3B3が適用され、残りが第1発光素子3R1、3G1、3B1が適用されていてもよい。このような表示装置であっても、ノッチ212に向かって出射される光が低減し、ノッチ212内への光漏れを低減できるからである。
【0091】
また、本開示の表示装置は、第2発光素子3R2、3G2、3B2や第3発光素子3R3、3G3、3B3が、ノッチ周辺領域AA1以外の領域に配置されていてもよい。次の実施形態4では、第2発光素子3R2、3G2、3B2がノッチ周辺領域AA1の一部と、そのほかの領域と、に配置された例を説明する。なお、第4実施形態では、第2発光素子3R2、3G2、3B2を用いた例として説明するが、本開示の表示装置は、第2発光素子3R2、3G2、3B2代わりに第3発光素子3R3、3G3、3B3を用いてもよい。
【0092】
(実施形態4)
図15は、実施形態4に係る表示装置の断面図である。図16は、実施形態4に係る表示装置の一部を拡大した平面図である。図15に示すように、アレイ基板2は、ノッチ(穴部)212を有する。表示領域AAと周辺領域GA1との境界線L10は、ノッチ(穴部)212に対応する凹状線L11を有する。凹状線L11は、周辺領域GA1から表示領域AAの方に向かって、言い換えると境界線L10の外周側から内周側に向かって窪んでいる。このため、表示領域AAは、凹状線L11に対して相対的に境界線L10の内周側から外周側に向かって突出する第1領域AA11と第2領域AA12とを有する。つまり、表示領域AAは、第1方向Dxから凹状線L11を挟む第1領域AA11と第2領域AA12とを有している。
【0093】
図16に示すように、第1領域AA11は、境界線L10と補助線L13とに囲まれる範囲である。第1領域AA11に配置される各画素49は、発光素子3として第2発光素子3R2、3G2、3B2を備えている。図示しないが、第2領域AA12に配置される各画素49は、発光素子3として第2発光素子3R2、3G2、3B2を備えている。一方で、表示領域AAのうち、第1領域AA11と第2領域AA12を除いた領域に配置される画素49は、発光素子3として、第1発光素子3R1、3G1、3B1を備えている。
【0094】
第1領域AA11と第2領域AA12に配置される各画素49の第2発光素子3R2、3G2、3B2は、一部がノッチ領域AA1に配置されている。よって、実施形態4の表示装置1Cであっても、ノッチ領域AA1の一部に配置された発光素子3(第2発光素子3R2、3G2、3B2)の輝度が低い。よって、ノッチ212への光漏れが抑制される。
【0095】
また、図15に示すように、表示領域AAには、駆動回路12A、12Bから第2方向Dyに延びる複数のゲート線(図15のG1、G2を参照)が配置されている。ゲート線は、図5に示すリセット制御信号線L5、出力制御信号線L6、画素制御信号線L7、及び初期化制御信号線L8の総称である。また、図15の第1ゲート線G1は、第1領域AA11及び第2領域AA12以外に配置されるゲート線である。第2ゲート線G2は、第1領域AA11及び第2領域AA12に配置されるゲート線である。第2ゲート線G2は、第1領域AA11と第2領域AA12との間にノッチ(穴部)212が設けられ、第1方向Dxに分割して短い。このため、短い第2ゲート線G2に接続する第1領域AA11及び第2領域AA12の発光素子3は、比較的高い輝度を発揮する可能性がある。以下、その詳細について説明する。
【0096】
図17は、画素回路により発光素子を発光させるまでの手順と、駆動トランジスタのゲート電極の電圧の変化と、を示すフロー図である。図17に示す「DRT-G」は、駆動トランジスタDRTのゲート電極の電圧値である。図17に示す「Anode」は、発光素子3のアノード端子33の電圧値である。
【0097】
図17に示すように、画素回路の駆動は、リセット(時刻T1から時刻T3の間)、初期化(時刻T2から時刻T4の間)、Signalの書き込み(時刻T6から時刻T7の間)の手順を経て、発光素子3が発光する(時刻T8以降)。発光素子3の発光開始時(時刻T8)、出力トランジスタBCTがONとなり、駆動トランジスタDRTのゲート電極の電圧は、Signalの書き込み量に応じて上昇する。ここで、出力トランジスタBCTのゲート電極に接続するゲート線が長い場合(図17のDRT-Gの実線の方を参照)、駆動トランジスタDRTのゲート電極の電圧値は、緩やかに立ち上がる。一方で、ゲート線が短い場合(図17のDRT-Gの破線の方を参照)、駆動トランジスタDRTのゲート電極の電圧値は、急な立ち上がりとなる。これは、ゲート線が短いため、時定数が改善される(小さくなる)からである。
【0098】
駆動トランジスタDRTのゲート電極の電圧値の立ち上がりが良くなると、発光素子3に対する印加の開示時間は(図17のAnodeの破線の方を参照)は、電圧値が緩やかに立ち上がる場合(図17のAnodeの実線の方を参照)に比べ、早くなる。この結果、発光素子3Rの印加時間が長くなる。この結果、発光素子3は、印加される時間が長いと輝度が高くなる。
【0099】
ここで、実施形態4の表示装置1Cは、複数の画素49が形成された表示領域AAを有する基板と、表示領域AAにおいて、第1ゲート線G1に接続される第1発光素子3R1、3G1、3B1と、表示領域AAにおいて、第2ゲート線G2に接続される第2発光素子3R2、3G2、3B2と、表示領域AAにおける第2ゲート線G2の配線長は、表示領域AAにおける第1ゲート線G1の配線長より短い。第1発光素子3R1、3G1、3B1と第2発光素子3R2、3G2、3B2は、それぞれ共通の色を発光する。第2発光素子3R2、3G2、3B2のチップサイズは、第1発光素子3R1、3G1、3B1のチップサイズより小さい。
【0100】
つまり、第1領域AA11及び第2領域AA12に配置される第2発光素子3R2、3G2、3B2は、チップサイズが第1発光素子3R1、3G1、3B1より小さく輝度が低い。よって、印加時間が長くなったとしても第1領域AA11及び第2領域AA12の発光素子3(第2発光素子3R2、3G2、3B2)の輝度は、第1発光素子3R1、3G1、3B1と同程度となる。
【0101】
以上、実施形態4の表示装置1Cによれば、ノッチ212への光漏れを抑制することができる。さらに、第1領域AA11及び第2領域AA12と、第1領域AA11及び第2領域AA12以外の領域と、の発光素子3の輝度の差を小さくすることができる。よって、表示品位が維持される。
【0102】
なお、実施形態4では、ノッチ周辺領域AA1の画素49のうち、第1領域AA11及び第2領域AA12と重なる領域でのみ、第2発光素子3R2、3G2、3B2が配置される例を挙げているが、本開示の表示装置は、ノッチ周辺領域AA1と第1領域AA11と第2領域AA12に配置される画素49の全てに、第2発光素子3R2、3G2、3B2、又は第3発光素子3R3、3G3、3B3を用いてもよい。また、フリップチップタイプでフェースダウン構造のマイクロLEDを用いても同様の効果が得られる。
【0103】
(実施形態5)
図18は、実施形態5に係る表示装置の平面図である。実施形態1から実施形態4の穴部はノッチ212であるが、実施形態5の表示装置1Dの穴部は、アレイ基板2を貫通する貫通孔212である。なお、貫通孔212には、貫通しない窪みとなっている穴を含む。そのほか、本開示の穴部には、貫通孔212のような空間になっていないもの、つまり、複数の画素及び複数の発光素子3が形成されない透明領域も含まれる。この透明領域は、具体的に、基板21上には、複数の画素を構成するトランジスタや、金属材料から成る各種配線や、発光素子3などが形成されていない。つまり、透明領域は、透明領域と重なる基板21上に各種絶縁膜のみが存在し、表示領域AAに比べ透明度の高い領域である。
【0104】
実施形態5の貫通孔212は、円形状である。貫通孔212の周囲には、穴部周辺領域AA2がある。なお、図18の補助線L20は、穴部周辺領域AA2と表示領域AAとの境界を示す境界線である。よって、補助線L20と貫通孔212との間が、穴部周辺領域AA2である。実施形態5の表示装置1Dは、複数の第1ゲート線G1と、複数の第2ゲート線G2と、を有する。第2ゲート線G2は、貫通孔212により第2方向Dyに分割して短い。つまり、第2ゲート線G2は、貫通孔212近傍で途切れている。また、第2ゲート線G2を延長した仮想線は貫通孔212に重なる。一方、第1ゲート線G1は、貫通孔212から離れた位置に設けられ、分割していないために長い。実施形態5の表示装置1Dにおいて、穴部周辺領域AA2には、チップサイズの小さい第2発光素子3R2、3G2、3B2を備えた画素が配置されている。また、穴部周辺領域AA2を除く表示領域AAには、チップサイズの大きい第1発光素子3R1、3G1、3B1を備えた画素が配置されている。なお、穴部周辺領域AA2に設けられる画素の発光素子3は、第2発光素子3R2、3G2、3B2に限らず第3発光素子3Cであってもよい。
【0105】
以上、実施形態5の表示装置によれば、貫通孔212である穴部への光漏れを抑制することができ、表示品位が維持される。なお、穴部が透明領域であっても同様な効果を得られる。
【符号の説明】
【0106】
1、1A、1B、1C、1D 表示装置
2 アレイ基板(基板)
3 発光素子
3R1、3G1、3B1 第1発光素子
3R2、3G2、3B2 第2発光素子
3C(3R3、3G3、3B3) 第3発光素子
34 p型電極
35 p型クラッド層
36 活性層
37 n型クラッド層
38 高抵抗層
201 第1側面
202 第2側面
203 第3側面
204 第4側面
211 凹部
212 ノッチ(穴部)
212 貫通孔(穴部)
300 被覆部材
310 遮光部材
315 壁部
AA 表示領域
AA1 ノッチ周辺領域
AA2 穴部周辺領域
AA11 第1領域
AA12 第2領域
G1 第1ゲート線
G2 第2ゲート線
GA 周辺領域
L10 境界線
L11 凹状線
OP 開口
Pix、49 画素
図1
図2
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図18