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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022033719
(43)【公開日】2022-03-02
(54)【発明の名称】車両用レドーム
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/03 20060101AFI20220222BHJP
   B32B 15/04 20060101ALI20220222BHJP
   B60R 13/00 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
G01S7/03 246
B32B15/04 Z
B60R13/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021132786
(22)【出願日】2021-08-17
(31)【優先権主張番号】20382755.5
(32)【優先日】2020-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】515015698
【氏名又は名称】ザニーニ オート グループ、エス.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】110002103
【氏名又は名称】特許業務法人にじいろ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メイヤー プジャダス、アウグスト
(72)【発明者】
【氏名】ペラルタ モラレス、ジャーソン ジェア
【テーマコード(参考)】
3D024
4F100
5J070
【Fターム(参考)】
3D024BA03
3D024BA07
4F100AA20C
4F100AA20D
4F100AB01B
4F100AB09C
4F100AB09D
4F100AR00A
4F100AR00C
4F100AR00E
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100GB32
4F100HB00B
4F100JD08A
4F100JN01A
4F100JN02E
4F100JN24C
4F100YY00B
4F100YY00C
4F100YY00D
5J070AB24
5J070AF03
5J070AK40
(57)【要約】
【課題】自動車製造業者が規定する外観仕様(光輝性および色調)に関して、より幅広い範囲の仕様に適合できる車両用レドームを提供することにある。
【解決手段】 車両用レドームは、電波透過性透明層(9)と装飾要素(6)とを備え、装飾要素(6)は、金属層(621)と1つまたは複数の半金属層(622)とを備える光輝性およびトーン要素(62)を備える。光輝性およびトーン要素(62)は、好ましくは、2つの半金属層(622、623)を備え、各半金属層は、異なる半金属から作られる。
【選択図】 図4


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波透過性透明層(9)と装飾要素(6)とを備える車両用レドームであって、前記装飾要素(6)は、金属層(621)と1つまたは複数の半金属層(622)とを備える光輝性およびトーン要素(62)を備えることを特徴とする、車両用レドーム。
【請求項2】
前記光輝性およびトーン要素(62)は、2つの半金属層(622、623)を備え、各半金属層は、異なる半金属から作られる、請求項1に記載の車両用レドーム。
【請求項3】
前記装飾要素(6)は、1つまたは複数の半金属層(6311、6312、63n1、63n2)を備える不透明性要素(63)をさらに備える、請求項1に記載の車両用レドーム。
【請求項4】
前記不透明性要素(63)は、1から12個の半金属層(6311、6312、63n1、63n2)を備える、請求項3に記載の車両用レドーム。
【請求項5】
前記不透明性要素(63)は、2つ以上の半金属層(6311、6312、63n1、63n2)を備え、1つの半金属層の半金属が、隣接する半金属層の半金属とは異なる、請求項3または4に記載の車両用レドーム。
【請求項6】
前記金属層(621)はインジウムから作られる、請求項1に記載の車両用レドーム。
【請求項7】
前記半金属は、ゲルマニウムおよびシリコンから選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の車両用レドーム。
【請求項8】
前記金属層(621)は、5~50nmの間の厚さを有する、請求項1に記載の車両用レドーム。
【請求項9】
前記光輝性およびトーン要素(62)の前記半金属層(622、623)は、4~100nmの間の厚さを有する、請求項1または2に記載の車両用レドーム。
【請求項10】
前記不透明性要素(63)の前記半金属層(631、632、6n1、6n2)は、4~250nmの間の厚さを有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の車両用レドーム。
【請求項11】
前記装飾要素(6)は、前記装飾要素(6)の近位端に配置された透明プライマ層(61)を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の車両用レドーム。
【請求項12】
前記装飾要素(6)は、前記装飾要素(6)の遠位端に配置された保護層(64)を備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の車両用レドーム。
【請求項13】
前記レドームは、不透明および/または半透明区域(51、52)を備える電波透過性着色層(5)をさらに備え、前記電波透過性着色層(5)は、前記電波透過性透明層(9)と前記装飾要素(6)との間に配置される、請求項1から12のいずれか一項に記載の車両用レドーム。
【請求項14】
前記装飾要素(6)は、光の通過のための複数の間隙(15)を備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の車両用レドーム。
【請求項15】
少なくとも1つの光源(11)と、光ガイド(12)とをさらに備える、請求項1から14のいずれか一項に記載の車両用レドーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用レドームに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車技術の継続的な進化は、今後、自動車技術会(SAE)により定義された運転者支援のレベルを上げていくことによって、自動運転システム(ADS)を提供することを目標にしている。レドームは、自動車の経路上の障害物を検出するために使用されるレーダを保護するので、これらのシステムの関連部分である。同時に、レドームは、たいてい自動車製造業者のエンブレムを表している。
【0003】
レドームは通常、外部の観察者から見て、着色領域と金属のように見える領域とを含み、それらが組み合わされて製造業者のエンブレムを表している。保護されたレーダにより放出および受信される信号の高い透過レベルに適合した金属のように見える外観は、プラスチック部品によって保持されたある種の光輝装飾要素によって提供される。自動者製造業者は、自動車の他の部品の美観に適合させるために、金属のように見える領域の外観仕様(光輝性および色調)を厳しくしている。これはまた、金属のように見える適切な材料の選択に影響するので、それらの材料のいくつかの厳密な組み合わせを必要とする傾向がある。
【0004】
さらに、レドームは、(可能な意図されたバックライト付きシステムに由来しない)後方の光がエンブレムの外観を劣化させるのを回避するために、可視範囲内の電磁信号に対し不透明性を提供しなければならない。
【0005】
様々な機能の進化が、レドームに対する要求の増加につながっている。それらは、例えば、新しい世代のレーダのためのより優れた信号伝送性能、美的または機能的理由のためのバックライト付きシステムを含む能力、金属外観領域のより良い適合、および低コストの自動車セグメントにレーダを含める結果としてのコスト削減オプションに関連する。
【0006】
したがって、上記の要求の増大する方向に対応するように、プラスチック部品に関して、これらの光輝装飾要素の材料組成および位置決めを改善する必要がある。
【0007】
従来技術で公知のいくつかのレドームは以下の通りである。
【0008】
米国特許第6,328,358(B1)号は、インジウムを含む薄い金属層を有するレドームを開示している。インジウムは、単一成分として、異なる自動車製造業者に必要とされ得るすべての金属調に適合することはできない。それは、かなりの電気伝導性を有する金属であるので、レーダからまたはレーダへの信号伝送の劣化を回避するために、非常に薄い層でのみ使用され得る。この厚さでは、可視光に対して必要な不透明性を保証することができず、後方の不透明プラスチック部品を必要とする。さらに、インジウムは機械的および化学的ストレスに対して示す抵抗性が低い。
【0009】
米国特許第6,184,842(B1)号は、金属層をSiO2でカバーすることによって金属層の機械的および化学的抵抗を改善する距離警告レーダ用のレドームを製造するための方法を開示している。その透明性は金属層の前面外観に影響しない。同様の理由により、背面の不透明性を提供することができず、後方の不透明プラスチック部品の存在を必要とする。
【0010】
米国特許第9,114,760(B2)号は、後方プラスチック部品の前面に堆積された少なくとも1つの半金属を含む半金属または非金属合金を使用するレドームを開示している。半金属を使用すると、その伝導率が低いため、より厚い厚さが可能となる。しかしながら、例えば、ゲルマニウムの比較的厚い層は、外部から見える亀裂を示すおそれがあり、美的観点から許容できないことが観察されている。後方プラスチック部品に堆積されるということは、この後方部品の必要性、および照明されるレドームのための光ガイドを含むことの困難さを意味している。
【0011】
米国特許出願公開第2019/356046(A1)号は、照明されるレドームを開示している。半金属または半金属合金により構成されるその装飾要素は、レドーム内に光を分散させる拡散基板の前面に堆積される。これらの光ガイドに接触する不透明層を有すると、それらの効率が低下することが観察されている。独立したプラスチック部品上にそれらを有することが好ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の1つの目的は、自動車製造業者が規定する外観仕様(光輝性および色調)に関して、より幅広い範囲の仕様に適合できる車両用レドームを提供することである。
【0013】
本発明による車両用レドームによって、上記の欠点を解決し、以下に説明する他の利点を提供することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明による車両用レドームは、電波透過性透明層と装飾要素とを備え、装飾要素は、金属層と1つまたは複数の半金属層とを備える光輝性およびトーン要素を備える。
【0015】
好ましくは、金属層は、光輝性およびトーン要素において1つまたは複数の半金属層に対して近位である。近位は、外部観察者により近いことを意味する。
【0016】
好ましい実施形態によれば、光輝性およびトーン要素は、2つの半金属層を備え、各半金属層は、異なる半金属から作られる。
【0017】
好ましくは、装飾要素は、1つまたは複数の半金属層を備える不透明性要素をさらに備え、好ましい実施形態によれば、不透明性要素は、1から12個の半金属層を備える。
【0018】
有利には、不透明性要素は、2つ以上の半金属層を備え、1つの半金属層の半金属が、隣接する半金属層の半金属とは異なる。
【0019】
好ましい実施形態によれば、金属層はインジウムから作られ半金属はゲルマニウムおよびシリコンから選択される。
【0020】
さらに好ましい実施形態によれば、金属層は、5~50nmの間の厚さを有し、光輝性およびトーン要素の半金属層は、4~100nmの間の厚さを有し、不透明性要素の半金属層は、4~250nmの間の厚さを有する。
【0021】
さらに、装飾要素はまた、装飾要素の近位端に配置された透明プライマ層を備え、装飾要素の遠位端に配置された保護層を備える。
【0022】
レドームは、好ましくは、不透明および/または半透明区域を備える電波透過性着色層をさらに備え、電波透過性着色層は、電波透過性透明層と装飾要素との間に配置される。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、レドームは、少なくとも1つの光源と、光ガイドとをさらに備え、装飾要素は、光の通過のための複数の間隙を備える。
【0024】
有利には、電波透過性着色層のいくつかの不透明区域に固定具を組み込むことができる。
【0025】
さらに、後部不透明カバーが、視野の周囲に視野に侵入することなく配置されることが可能であり、光輝装飾要素が、レドームに含まれずに、いくつかの外部光源の前に配置されることが可能である。
【0026】
本発明による車両用レドームは、少なくとも以下の利点を提供する。
【0027】
装飾要素の外部から見える側における半金属の層と金属の薄層の組み合わせは、自動車製造業者が規定する外観仕様(光輝性および色調)に関して、より幅広い範囲の仕様への適合を可能にする。
【0028】
反対の内部応力を有する2つの異なる半金属のいくつかの層の使用により、装飾要素の亀裂を生じさせることなく、(レドームの構成に応じて)必要なレベルの不透明性を提供する層厚を実現することを可能にする。
【0029】
半金属を有する不透明性要素の使用により、不透明な顔料が使用するとレーダ信号伝送に不適切な特性をもたらす不透明なワニスを使用する必要性が回避される。
【0030】
前方プラスチック部品の遠位面に装飾要素を配置することにより、バックライトのオプションを容易にする。
【0031】
提案された装飾要素の不透明性と組み合わされた、より高レベルの機械的および化学的抵抗が、後方プラスチック部品を使用しないこと、または視野外の輪郭に削減することを可能にし、コストを低減させ、レーダアンテナ信号伝送を改善する。
【0032】
上記の説明をより良く理解するために、および例を提供する唯一の目的のために、実用的な実施形態を概略的に示すいくつかの非限定的な図面が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】グリルアセンブリ内に配置された本発明によるレドームと、レドームの背後に配置されたレーダアンテナとを有する、車両の部分等角図である。
図2】本発明によるレドームの正面図であり、製造業者のエンブレムが着色領域および光輝領域のコントラストによって識別され得る図である。
図3】本発明によるレドームの概略背面図である。
図4】本発明によるレドームの光輝装飾要素の構造および組成を示す図である。
図5】不透明性要素を形成する半金属層によって生じる応力を示すグラフである。
図6】層上に堆積されたゲルマニウムの過剰な厚さによって生じた亀裂の写真である。
図7】本発明によるレドームの不透明半金属層が亀裂を示していない写真である。
図8】光輝装飾要素の異なる構成で提供される異なるレベルの可視光透過率を示すグラフである。
図9】本発明による車両用レドームの第1の実施形態を示す図である。
図10】本発明による車両用レドームの第2の実施形態を示す図である。
図11】本発明による車両用レドームの第3の実施形態を示す図である。
図12】本発明による車両用レドームの第4の実施形態を示す図である。
図13】本発明による車両用レドームの第5の実施形態を示す図である。
図14】本発明による車両用レドームの第6の実施形態を示す図である。
図15】本発明による車両用レドームの第7の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
次に図面を詳細に参照する。図面では、全体を通して同様の構成要素を示すために同様の数字が使用される。図1に示されるように、参照番号1は、概して、自動車両3のグリルアセンブリ2内に取り付けるように構成された本発明によるレドームを示す。
【0035】
車両3内で、レーダアンテナ4が、装飾レドーム1の背後にこれと位置合わせされて配置されている。
【0036】
図2は、レドーム1の正面図を示しており、保護されたレーダアンテナ4によって放出および受信される信号について高い透過性能を維持しながら、金属のように見える外観を提供する、電波透過性着色層5および光輝装飾要素6が見られる。
【0037】
図3には、不連続線内の区域によって画定される視野領域7が見られる。レーダアンテナ4によって要求される伝送性能は、レドーム1のこの領域内に提供されなければならない。この区域外では、レドーム1は、これらの厳密な伝送要件を有しておらず、グリルアセンブリ2(もしくは車両の他の部品)に対する固定具8、または照明もしくは加熱のためのコネクタのような図示されていない他の装置を含んでもよい
図4は、光輝装飾要素6の断面図をその詳細な構成と共に示す。それを(この図の左側で、外部観察者に近い)近位面から(この図の右側で、レーダアンテナに近い)遠位面まで説明すると、これは、第1の透明プライマ層61と、光輝性およびトーン要素62と、任意選択で、必要とされる不透明性に応じて1個(6311)から数個(63n2、nは最大6まで)の半金属層を含む1つの不透明性要素(63)と、化学的および機械的攻撃に対する保護層64とを有する。
【0038】
プライマ層61は、前部電波透過性透明層9および後述する電波透過性不透明層5に対する装飾要素6の接着性を改善する機能を有する。SiO2の薄層は、その接着性、可視光に対する透明性、および不活性特性が理由で使用される。その厚さは100nm未満であり、実証された指標厚さは4nmである。
【0039】
光輝性およびトーン要素62は、自動車製造業者により指定された光輝性および色調でエンブレムの金属のように見える態様を提供する機能を有する。
【0040】
この光輝性およびトーン要素62は、好ましい実施形態によれば、連続した層、すなわち、インジウム層621、シリコン層622、およびゲルマニウム層623によって形成される。
【0041】
インジウム621は、入射可視光の一部を反射する高レベルの光輝性を提供する。従来技術で説明されているようにインジウムなどの導電性金属のより厚い層がレーダアンテナ信号の透過能力を劣化させることを回避するために、インジウム621は薄い層である。また、それが薄いのは、入射光の一部がゲルマニウム層623に到達し反射されることを可能にするためでもある。
【0042】
インジウム層621およびゲルマニウム層623における反射光の組み合わせが、自動車製造者により指定された光輝性および色調を提供する。そのため、インジウム層621とゲルマニウム層623の厚さの異なる組み合わせが、異なる光輝性および色調を提供する。
【0043】
インジウム層621の厚さは5nmと50nmの間であり、実証された指標値は30nmである。ゲルマニウム層623の厚さは10nmと100nmの間であり、実証された指標値は75nmである。インジウム層621とゲルマニウム層623との間に配置されたシリコン層622は、それが介在する材料の層を隔離し、それらの間の移動を回避する。それは、薄層に堆積されると、光がゲルマニウム層に当たって反射することを可能にする。シリコン層622の厚さは4nmと100nmの間であり、実証された指標値は10nmである。
【0044】
不透明性要素63は、あるレベルの不透明性を提供する機能を有する。ゲルマニウムは半金属であるため、従来技術で説明されているように、レーダアンテナ信号伝送を大幅に劣化させない。それは、厚い層で使用されて、不透明性を提供するために使用されてもよい。しかしながら、堆積されたゲルマニウム層は、いくらかの内部圧縮応力を生じる。
【0045】
ある亀裂閾値応力に到達すると、外部観察者に見えるゲルマニウム層に亀裂が現れ、顧客のエンブレムに対する高い美的要件を満たすためには許容できないことが観察されている。この亀裂閾値応力は、要求されるレベルの不透明性の一部を提供するであろうゲルマニウム厚さの250nmから750nmの領域で到達される。
【0046】
堆積されたシリコンは、いくらかの内部引張応力を生じることを特徴とする。ゲルマニウムと交互のシリコンの層を使用すると、図5に示すように、応力を補償する効果があることが観察されている。
【0047】
本発明は、必要とされる不透明性に応じて、1個(6311)から数個(63n2、nは最大6まで)の半金属層を含む1つの不透明性要素(63)を任意に使用することを提案する。
【0048】
不透明性要素63の半金属層は、代替的に、シリコンおよびゲルマニウムから構成される。
【0049】
シリコン層6311の厚さは4nmと150nmの間であり、実証された指標値は10nmである。ゲルマニウム層6312の厚さは10nmと250nmの間であり、実証された指標値は125nmである。同じ範囲および実証された指標値が、同じ組成の他の半金属層に適用される。
【0050】
図6は、厚さ500nmのゲルマニウムの1つの層を有するレドームの写真であり、肉眼で見える亀裂の存在を観察することができる。図7は、ゲルマニウムとシリコンの層を交互にするという提案された解決法を用いたレドームの写真を示す。このサンプルは、総厚が750nmで6層のゲルマニウムを有し、亀裂が見られない。
【0051】
最後の保護層64は、SiまたはSiO2であり、Geの最後の層を保護するために使用される。その機能は、機械的および化学的保護を提供することである。その厚さは10nmと100nmの間であり、実証された指標値は30nmである。
【0052】
薄くかつ制御された厚さの層は、その層の組成に応じて、物理的蒸着(PVD)マグネトロンスパッタ法、またはプラズマ化学気相成長(PECVD)法によって堆積され得る。
【0053】
図8は、光輝装飾要素の異なる構成で提供される異なるレベルの可視光透過率を示す。シリコンは、高いレベルの透過率を示すので、それ自体で不透明性を達成するには適切でないことが見て取れる。また、ゲルマニウムの500nmの厚さは、700nmの波長においてわずか約4%の透過率という良好な不透明性レベルを提供することが見られる。しかしながら、この選択肢は、図6に見られるような亀裂を引き起こす。また、このグラフは、ゲルマニウムとシリコンの交互の層を組み合わせる提案された解決法を示している。750nmの厚さでは、完全な不透明性(全可視範囲で透過率がゼロに非常に近い)が与えられるが、図7に示されるように、亀裂は見えない。
【0054】
外観と不透明性(調整可能な不透明性のレベルを有する)の分離された機能を備え、プラスチックフロントカバーの遠位面に配置された、光輝装飾要素6の提案された解決法は、以下に説明されるいくつかの実施形態において採用することができる。
【0055】
ここで、本発明によるレドームのいくつかの実施形態を説明する。
実施形態1
以下では、層状の金属および半金属を有するレドームの第1の実施形態を、図9を参照して説明する。レドーム1は、前部電波透過性透明層9を有し、前部電波透過性透明層9は、レドームの外側に配置され、外部観察者のより近くにある。それは、ポリカーボネート(PC)などのプラスチック樹脂で作られ、レドームの前面を全体的にカバーする。
【0056】
前部電波透過性透明層9の(レーダにより近い)遠位面は、図4にも示されるように、電波透過性着色層5によって部分的にカバーされており、電波透過性着色層5は、可視光線に対する不透明区域51と可視光線に対する半透明区域52とによって形成され得る。電波透過性着色層は、ポリカーボネート(PC)のような同様の着色プラスチック樹脂で作ることができ、透明層9のものに非常に近い、保護されたレーダにより放出および受信される信号の高い透過度を維持する。代替的に、それは、前部電波透過性透明層9の遠位面の部分を覆う装飾インクから構成されてもよい。
【0057】
図4に説明されたような光輝装飾要素6は、図9に示されるように、前部電波透過性透明層9と電波透過性着色層5とからなるセットの遠位面に配置され、遠位面を全体的または部分的にカバーする。
【0058】
機械的要件または腐食要件が厳しい場合、ワニスからなるハードコーティングを、先行技術で既に周知なように、これまでに説明された層のセットの近位面および/または遠位面に塗布することができる。
【0059】
後部不透明カバー10は、レドームのレーダに面する側に配置される。それは、視野領域7の外側に位置する固定具8を含む。
【0060】
この後部不透明カバー10は、可視光に対して十分な不透明性を提供し、不透明性要素63の必要性を任意のものとする。それは、レーダアンテナ信号の伝送に適合するプラスチック材料で作られ、このプラスチック材料は、固定目的でより優れた耐化学性と良好な機械的性質を示す、ポリカーボネートとアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(PC/ABS)の混合のような、前方の層とは異なるものであり得る。
【0061】
各プラスチック層の厚さは、視野領域7内で変化し得るが、プラスチック層のグループの全厚は、ミルメートル波半波長に適合され、その結果、レーダ波の減衰がより小さくなる。
【0062】
本実施形態は、自動車製造業者のエンブレムの美的要件に適合するように、光輝性およびトーン要素62の金属と半金属の組み合わせを利用する。
実施形態2
以下では、図10を参照して第2の実施形態を説明する。第2の実施形態では、第1の実施形態の対応する構成要素と充分に類似する構成要素に同一の参照番号を与えて、そこでは冗長な説明を省略する。
【0063】
この第2の実施形態では、図4で説明されたように、光輝装飾要素6も、前部電波透過性透明層9と電波透過性着色層5からなるセットの遠位面上に配置される。この場合、光輝装飾要素6は、上記のセットの遠位面を部分的にのみカバーすることができる。これにより、電波透過性不透明層5のいくつかの部分が、視野領域7の外に組み込まれた固定具8を直接含むことができる。この場合、後部不透明カバー10の必要性が、関連するコストと共に回避される。
【0064】
機械的要件または腐食要件が厳しい場合、ワニスからなるハードコーティングを、先行技術で既に周知なように、これまでに説明された層のセットの近位面および/または遠位面に塗布することができる。
【0065】
本実施形態は、レドームの背後に存在する通常の(レドーム外観のために追加されていない)環境光が外部観察者に見られたときにエンブレムの外観に影響を及ぼすことを回避するために十分な少数の半金属層(6311から63n2、nは最大6まで)を有する不透明性要素63を備える光輝装飾要素6を使用する。
【0066】
この設計は、視野領域7における樹脂層の数を最小限に抑えて、保護されたレーダアンテナ4により放出および受信される信号の優れた透過性能を得ることを可能にする。
実施形態3
以下では、図11を参照して第3の実施形態を説明する。第3の実施形態では、第1の実施形態の対応する構成要素と充分に類似する構成要素に同一の参照番号を与えて、そこでは冗長な説明を省略する。第1の実施形態の構成要素の参照番号に300を加えることで得られる参照番号3**は、第1の実施形態の構成要素に対応する構成要素に与えられている。
【0067】
この第3の実施形態では、図4で説明されたように、光輝装飾要素6も、前部電波透過性透明層9と電波透過性着色層5からなるセットの遠位面上に配置される。この場合、光輝装飾要素6は、上記のセットの遠位面を全体的または部分的にカバーすることができる。
【0068】
本実施形態は、レドームの背後に存在する通常の(レドーム外観のために追加されていない)環境光が外部観察者に見られたときにエンブレムの外観に影響を及ぼすことを回避するために十分な少数の半金属層(6311から63n2、nは最大6まで)を有する不透明性要素63を備える光輝装飾要素6を使用する。
【0069】
機械的要件または腐食要件が厳しい場合、ワニスからなるハードコーティングを、先行技術で既に周知なように、これまでに説明された層のセットの近位面および/または遠位面に塗布することができる。
【0070】
後部不透明カバー310は、レドームのレーダに面する側に配置され、視野7に侵入することなく視野7の周囲に連続的または不連続的な環状の設計を有することができる。それは、固定具8を含む。この設計は、視野領域7における最小限の数の樹脂層を維持して、保護されたレーダアンテナ4により放出および受信される信号の優れた透過性能を得ることを可能にする。同時に、それにより、無線伝送要件によって制限されない固定具8の材料選択の自由度が大きくなる。
実施形態4
以下では、図12を参照して第4の実施形態を説明する。第4の実施形態では、第1の実施形態の対応する構成要素と充分に類似する構成要素に同一の参照番号を与えて、そこでは冗長な説明を省略する。第1の実施形態の構成要素の参照番号に400を加えることで得られる参照番号4**は、第1の実施形態の構成要素に対応する構成要素に与えられるか、または第4の実施形態に対応する何らかの特定の特徴を有する構成要素に割り当てられる。
【0071】
この第4の実施形態では、図4で説明されたように、光輝装飾要素6も、前部電波透過性透明層9と電波透過性着色層5からなるセットの遠位面上に配置される。この場合、光輝装飾要素6は、上記のセットの遠位面を全体的または部分的にカバーすることができる。
【0072】
機械的要件または腐食要件が厳しい場合、ワニスからなるハードコーティングを、先行技術で既に周知なように、これまでに説明された層のセットの近位面および/または遠位面に塗布することができる。
【0073】
第4の実施形態で説明されるレドームは、LEDの形態または輝度および色に関して任意の他の適切な光源の形態を取れるいくつかの内部光源11を備える。内部光源11によって放出された光は、内部光ガイド12に導入され、それによってガイドされる。投射された光414は、光輝装飾要素6、電波透過性着色層5の半透明区域52、および電波透過性透明層9を横切る。これは、本実施形態が、半透明の挙動を有する不透明性要素63のない光輝装飾要素6を使用するため可能である。
【0074】
後部不透明カバー410は、レドームのレーダに面する側に配置される。それは、視野領域7の外側に位置する固定具8を含む。
【0075】
各プラスチック層の厚さは、視野領域7内で変化し得るが、プラスチック層のグループの全厚は、ミルメートル波半波長に適合され、その結果、レーダ波の減衰がより小さくなる。
実施形態5
以下では、図13を参照して第5の実施形態を説明する。第5の実施形態では、第1の実施形態の対応する構成要素と充分に類似する構成要素に同一の参照番号を与えて、そこでは冗長な説明を省略する。第1の実施形態の構成要素の参照番号に500を加えることで得られる参照番号5**は、第1の実施形態の構成要素に対応する構成要素に与えられるか、または第5の実施形態に対応する何らかの特定の特徴を有する構成要素に割り当てられる。
【0076】
この第5の実施形態では、図4で説明されたように、光輝装飾要素6も、前部電波透過性透明層9と電波透過性着色層5からなるセットの遠位面上に配置される。この場合、光輝装飾要素6は、上記のセットの遠位面を全体的または部分的にカバーすることができる。
【0077】
機械的要件または腐食要件が厳しい場合、ワニスからなるハードコーティングを、先行技術で既に周知なように、これまでに説明された層のセットの近位面および/または遠位面に塗布することができる。
【0078】
第5の実施形態で説明されるレドームは、LEDの形態または輝度および色に関して任意の他の適切な光源の形態を取れるいくつかの内部光源11を備える。内部光源11によって放出された光は、内部光ガイド12に導入され、それによってガイドされる。投射された光514は、光輝装飾要素6に存在するいくつかの間隙15を通って光輝装飾要素6を横切り、電波透過性着色層5の半透明区域52を横切り、そして電波透過性透明層9を横切る。本実施形態は、内部光源11の高輝度が外部観察者によって見られ得ないことを回避するために十分な数の半金属層(6311から63n2、nは最大6まで)を有する不透明性要素63を備える光輝装飾要素6を使用する。
【0079】
後部不透明カバー510は、レドームのレーダに面する側に配置される。それは、視野領域7の外側に位置する固定具8を含む。
【0080】
各プラスチック層の厚さは、視野領域7内で変化し得るが、プラスチック層のグループの全厚は、ミルメートル波半波長に適合され、その結果、レーダ波の減衰がより小さくなる。
実施形態6
以下では、図14を参照して第6の実施形態を説明する。第6の実施形態では、第1の実施形態の対応する構成要素と充分に類似する構成要素に同一の参照番号を与えて、そこでは冗長な説明を省略する。第1の実施形態の構成要素の参照番号に600を加えることで得られる参照番号6**は、第1の実施形態の構成要素に対応する構成要素に与えられるか、または第6の実施形態に対応する何らかの特定の特徴を有する構成要素に割り当てられる。
【0081】
この第6の実施形態では、図4で説明されたように、光輝装飾要素6も、前部電波透過性透明層9と電波透過性着色層5からなるセットの遠位面上に配置される。この場合、光輝装飾要素6は、上記のセットの遠位面を全体的または部分的にカバーすることができる。
【0082】
機械的要件または腐食要件が厳しい場合、ワニスからなるハードコーティングを、先行技術で既に周知なように、これまでに説明された層のセットの近位面および/または遠位面に塗布することができる。
【0083】
第6の実施形態で説明されるレドームは、いくつかの外部光源16の前に光輝装飾要素6を有し、外部光源16は、LEDの形態または輝度および色に関して任意の他の適切な光源の形態を取ることができ、レドームに含まれない。それらは、レドームの遠位面に向けて光を投射する。投射された光614は、光輝装飾要素6、電波透過性着色層5の半透明区域52、および電波透過性透明層9を横切る。これは、本実施形態が、半透明の挙動を有する不透明性要素63のない光輝装飾要素6を使用するため可能である。
【0084】
後部カバー610は、レドームのレーダに面する側に配置される。それは、視野領域7の外側に位置する固定具8を含む。
【0085】
各プラスチック層の厚さは、視野領域7内で変化し得るが、プラスチック層のグループの全厚は、ミルメートル波半波長に適合され、その結果、レーダ波の減衰がより小さくなる。
実施形態7
以下では、図15を参照して第7の実施形態を説明する。第7の実施形態では、第1の実施形態の対応する構成要素と充分に類似する構成要素に同一の参照番号を与えて、そこでは冗長な説明を省略する。第1の実施形態の構成要素の参照番号に700を加えることで得られる参照番号7**は、第1の実施形態の構成要素に対応する構成要素に与えられるか、または第7の実施形態に対応する何らかの特定の特徴を有する構成要素に割り当てられる。
【0086】
この第7の実施形態では、図4で説明されたように、光輝装飾要素6も、前部電波透過性透明層9と電波透過性着色層5からなるセットの遠位面上に配置される。この場合、光輝装飾要素6は、上記のセットの遠位面を全体的または部分的にカバーすることができる。
【0087】
機械的要件または腐食要件が厳しい場合、ワニスからなるハードコーティングを、先行技術で既に周知なように、これまでに説明された層のセットの近位面および/または遠位面に塗布することができる。
【0088】
第7の実施形態で説明されるレドームは、いくつかの外部光源16の前に光輝装飾要素6を有し、外部光源16は、LEDの形態または輝度および色に関して任意の他の適切な光源の形態を取ることができ、レドームに含まれない。それらは、レドームの遠位面に向けて光を投射する。投射された光714は、光輝装飾要素6に存在するいくつかの間隙15を通って光輝装飾要素6を横切り、電波透過性着色層5の半透明区域52を横切り、そして電波透過性透明層9を横切る。本実施形態は、内部光源11の高輝度が外部観察者によって見られ得ないことを回避するために十分な数の半金属層(6311から63n2、nは最大6まで)を有する不透明性要素63を備える光輝装飾要素6を使用する。
【0089】
後部カバー10は、レドームのレーダに面する側に配置される。それは、視野領域7の外側に位置する固定具8を含む。
【0090】
各プラスチック層の厚さは、視野領域7内で変化し得るが、プラスチック層のグループの全厚は、ミルメートル波半波長に適合され、その結果、レーダ波の減衰がより小さくなる。
【0091】
本発明の特定の実施形態が参照されているが、本明細書に記載された車両用レドームは、多くの変形および修正を受ける余地があり、上述の詳細のすべては、添付の特許請求の範囲により規定された保護の範囲から逸脱することなく他の技術的に同等なものに置換され得ることは、当業者には明らかである。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【外国語明細書】