(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022033736
(43)【公開日】2022-03-02
(54)【発明の名称】癌ワクチンとしてのアレナウイルス粒子
(51)【国際特許分類】
A61K 39/12 20060101AFI20220222BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20220222BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20220222BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220222BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220222BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220222BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220222BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20220222BHJP
A61P 37/00 20060101ALI20220222BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220222BHJP
C12N 15/33 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
A61K39/12
A61K35/76 ZNA
A61K39/00 H
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K45/00
A61P35/00
A61P35/02
A61P35/04
A61P37/00
A61P43/00 121
C12N15/33
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021179213
(22)【出願日】2021-11-02
(62)【分割の表示】P 2018524447の分割
【原出願日】2016-11-04
(31)【優先権主張番号】62/254,654
(32)【優先日】2015-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/254,651
(32)【優先日】2015-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518408774
【氏名又は名称】ホオキパ バイオテック ジーエムビーエイチ
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】サラ シュミット
(72)【発明者】
【氏名】クラウス オルリンゲル
(72)【発明者】
【氏名】キャサリン コーエン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】腫瘍性疾患を治療する方法を提供する。
【解決手段】免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて遺伝子改変アレナウイルスを投与することにより腫瘍性疾患を治療する方法及び組成物であり、該アレナウイルスは、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含むように改変されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における腫瘍性疾患を治療する方法であって、それを必要とする対象にアレナウイ
ルス粒子及び免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含み、前記アレナウイルス粒
子が:
(i)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;及び
(ii)前記アレナウイルス粒子の糖タンパク質(「GP」)、核タンパク質(「NP」)、マト
リックスタンパク質Z(「Zタンパク質」)又はRNA依存性RNAポリメラーゼL(「Lタンパク
質」)をコードしているORFの野生型の位置以外の位置にある少なくとも1つのアレナウイ
ルスオープンリーディングフレーム(「ORF」);
を含むアレナウイルスゲノムセグメントを含有するように改変されている、前記方法。
【請求項2】
前記腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原が、発癌ウイルス抗原、癌精巣抗原、癌胎児性抗原、組
織分化抗原、変異型タンパク質抗原、ネオ抗原、アディポフィリン、AIM-2、ALDH1AI、BC
LX(L)、BING-4、CALCA、CD45、CPSF、サイクリンD1、DKKI、ENAH(hMcna)、Ga733(EpCAM)
、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250/MN/CAIX、HER-2/neu、IDO1、IGF2B3、IL13R
α2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、レ
ングシン、M-CSF、MCSP、mdm-2、モロエ、MMP-2、MMP-7、MUCl、MUC5AC、p53(非変異)
、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RU2AS、セセルニン1、S
OX1O、STEAP1 (前立腺6回膜貫通上皮抗原1)、サバイビン、テロメラーゼ、VEGF、WT1、EG
F-R、CEA、CD20、CD33、CD52、糖タンパク質100(GP100又はgp100タンパク質)、MELANA/MA
RT1、MART2、NY-ESO-1、p53、MAGE A1、MAGE A3、MAGE-4、MAGE-5、MAGE-6、CDK4、α-ア
クチニン-4、ARTC1、BCR-ABL、BCR-ABL融合タンパク質(b3a2)、B-RAF、CASP-5、CASP-8、
β-カテニン、Cdc27、CDK4、CDKN2A、CLPP、COA-1、dek-can融合タンパク質、EFTUD2、伸
長因子2、ETV6-AML、ETV6-AML1融合タンパク質、FLT3-ITD、FNl、GPNMB、LDLR-フコシル
トランスフェラーゼAS融合タンパク質、NFYC、OGT、OS-9、pml-RARα融合タンパク質、PR
DX5、PTPRK、H-ras、K-ras (V-Ki-ras2 カーステンラット肉腫ウイルス癌遺伝子)、N-ras
、RBAF600、SIRT2、SNRPDl、SSX、SSX2、SYT-SSXl又はSYT-SSX2融合タンパク質、TGF-βR
II、トリオースリン酸イソメラーゼ、ormdm-2、LMP2、HPV E6/E7、EGFRvIII(上皮増殖因
子変異体III)、イディオタイプ、GD2、ガングリオシドG2)、Ras-変異体、p53(変異体)、
プロテイナーゼ3(PR1)、チロシナーゼ、PSA、hTERT、肉腫転座切断点、EphA2、前立腺酸
性ホスファターゼPAP、neo-PAP、ML-IAP、AFP、ERG (TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PA
X3、ALK、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、ポリシアル酸、MYCN、TRP2、TRP2-Int2、
GD3、フコシルGM1、メソテリン、PSCA、sLe(a)、cyp1B1、PLAC1、GM3、BORIS、Tn、GLobo
H、NY-BR-1、SART3、STn、炭酸脱水酵素IX、OY-TES1、精子タンパク質17、LCK、高分子量
メラノーマ関連抗原(HMWMAA)、AKAP-4、SSX2、XAGE 1、B7H3、レグマイン、Tie 2、Page4
、VEGFR2、MAD-CT-1、FAP、PDGFR-β、MAD-CT-2、For-関連抗原1、TRP1、CA-125、CA19-9
、カルレチニン、上皮膜抗原(EMA)、上皮腫瘍抗原(ETA)、CD19、CD34、CD99、CD117、ク
ロモグラニン、サイトケラチン、デスミン、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、グロス
嚢胞性疾患流体タンパク質(GCDFP-15)、HMB-45抗原、Myo-D1、筋肉特異的アクチン(MSA)
、ニューロフィラメント、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)、胎盤アルカリホスファタ
ーゼ、シナプトフィシス、サイログロブリン、甲状腺転写因子1、ピルビン酸キナーゼア
イソザイム型M2の二量体形態(腫瘍M2-PK)、BAGE BAGE-1、CAGE、CTAGE、FATE、GAGE、G
AGE-1、GAGE-2、GAGE-3、GAGE-4、GAGE-5、GAGE-6、GAGE-7、HCA661、HOM-TES-85、MAGEA
、MAGEB、MAGEC、NA88、NY-SAR-35、SPANXB1、SPA17、SSX、SYCP1、TPTE、炭水化物/ガン
グリオシドGM2(癌胎児性抗原-免疫原性-1 OFA-I-1)、GM3、CA 15-3 (CA 27.29/BCAA)、C
A 195、CA 242、CA 50、CAM 43、CEA、EBNA、EF2、エプスタイン-バーウイルス抗原、HLA
-A2、HLA-A11、HSP70-2、KIAAO205、MUM-1、MUM-2、MUM-3、ミオシンクラスI、GnTV、Her
v-K-mel、LAGE-1、LAGE-2、(精子タンパク質)SP17、SCP-1、P15(58)、Hom/Mel-40、E2A-P
RL、H4-RET、IGH-IGK、MYL-RAR、TSP-180、P185erbB2、p180erbB-3、c-met、nm-23H1、TA
G-72、TAG-72-4、CA-72-4、CAM 17.1、NuMa、13-カテニン、P16、TAGE、CT7、43-9F、5T4
、791Tgp72、13HCG、BCA225、BTAA、CD68/KP1、CO-029、HTgp-175、M344、MG7-Ag、MOV18
、NB/70K、NY-CO-1、RCAS1、SDCCAG16、TA-90、TAAL6、TLP、TPS、CD22、CD27、CD30、CD
70、プロステイン、TARP(T細胞受容体γ選択的リーディングフレームタンパク質)、Trp-p
8、インテグリンαvβ3 (CD61)、ガラクチン、又はRal-B、CD123、CLL-1、CD38、CS-1、C
D138、及びROR1からなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ヌクレオチド配列が、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10又はそれ以上
の腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードする、請求項1又は請求項2記載
の方法。
【請求項4】
前記負のチェックポイント調節因子が、細胞傷害性T-リンパ球抗原-4(CTLA-4)、CD80
、CD86、プログラム細胞死1(PD-1)、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)、プログラ
ム細胞死リガンド2(PD-L2)、リンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3;CD223としても知られる
)、ガレクチン-3、B及びTリンパ球アテニュエータ(BTLA)、T細胞膜タンパク質3(TIM3
)、ガレクチン-9(GAL9)、B7-H1、B7-H3、B7-H4、Ig及びITIMドメインを有するT細胞免
疫受容体(TIGIT/Vstm3/WUCAM/VSIG9)、T細胞活性化VドメインIgサプレッサー(VISTA)
、グルココルチコイド誘導性腫瘍壊死因子受容体関連(GITR)タンパク質、ヘルペスウイ
ルス侵入メディエータ(HVEM)、OX40、CD27、CD28、CD137、CGEN-15001T、CGEN-15022、
CGEN-15027、CGEN-15049、CGEN-15052、及びCGEN-15092からなる群から選択される、請求
項1~3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
前記対象が、急性リンパ芽球性白血病;急性リンパ芽球性リンパ腫;急性リンパ性白血病
;急性骨髄性白血病;急性骨髄性白血病(成人/子供);副腎皮質癌;エイズ関連癌;エイズ関
連リンパ腫;肛門癌;虫垂癌;星状細胞腫;非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍;基底細胞癌;胆
管癌、肝外(胆管細胞癌);膀胱癌;骨肉腫/悪性線維性組織球腫;脳腫瘍(成人/子供);脳
腫瘍、小脳星状細胞腫(成人/子供);脳腫瘍、脳星状細胞腫/悪性神経膠腫脳腫瘍;脳腫瘍
、上衣腫;脳腫瘍、髄芽腫;脳腫瘍、テント上原始神経外胚葉性腫瘍;脳腫瘍、視経路及び
視床下部神経膠腫;脳幹神経膠腫;乳癌;気管支腺腫/カルチノイド;気管支腫瘍;バーキット
リンパ腫;小児癌;カルチノイド胃腸腫瘍;カルチノイド腫瘍;成人の癌、原発部位不明;原
発不明癌;中枢神経系胎児性腫瘍;中枢神経系リンパ腫、原発性;子宮頸癌;小児副腎皮質癌
;小児癌;小児大脳星状細胞腫;脊索腫、小児;慢性リンパ性白血病;慢性骨髄性白血病(chro
nic myelogenous leukemia);慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia);慢性骨髄増
殖性障害;大腸癌;結腸直腸癌;頭蓋咽頭腫;皮膚T細胞リンパ腫;線維形成性小円形細胞腫瘍
;肺気腫;子宮内膜癌;上衣芽腫;上衣腫;食道癌;ユーイングファミリー腫瘍におけるユーイ
ング肉腫;頭蓋外胚細胞腫瘍;性腺外胚細胞腫瘍;肝外胆管癌;胆嚢癌;胃(gastric)(胃(sto
mach))癌;胃カルチノイド;消化管カルチノイド腫瘍;消化管間質腫瘍;胚細胞腫瘍:頭蓋
外性腺外、又は卵巣妊娠性絨毛腫瘍;妊娠性絨毛腫瘍、原発部位不明;神経膠腫;脳幹の神
経膠腫;神経膠腫、小児期の視覚的経路及び視床下部;ヘアリーセル白血病;頭頸部癌;心臓
癌;肝細胞(肝臓)癌;ホジキンリンパ腫;下咽頭癌;視床下部及び視経路神経膠腫;眼内黒
色腫;膵島細胞癌(内分泌膵臓);カポジ肉腫;腎臓癌(腎細胞癌);ランゲルハンス細胞組
織球症;喉頭癌;口唇及び口腔の癌;脂肪肉腫;肝臓癌(原発性);肺癌、非小細胞;肺癌、小
細胞;リンパ腫、原発中枢神経系;マクログロブリン血症、ワルデンストレーム;男性の乳
癌;骨/骨肉腫の悪性線維性組織球腫;髄芽腫;髄上皮腫;黒色腫;黒色腫、眼内(眼);メル
ケル細胞癌;メルケル細胞皮膚癌;中皮腫;中皮腫、成人悪性;原発不明転移性扁平上皮頸部
癌;口腔癌;多発性内分泌腫瘍症候群;多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍;菌状息肉症、骨髄異形
成症候群;骨髄異形成/骨髄増殖性疾患;骨髄性白血病、慢性;骨髄性白血病、成人急性;骨
髄性白血病、小児急性;骨髄腫、多発性(骨髄の癌);骨髄増殖性障害、慢性;鼻腔及び副
鼻腔の癌;鼻咽頭癌;神経芽腫、非小細胞肺癌;非ホジキンリンパ腫;乏突起神経膠腫;口腔
癌(oral cancer);口腔癌(oral cavity cancer);中咽頭癌;骨肉腫/骨の悪性線維性組織球
腫;卵巣癌;上皮性卵巣癌(表面上皮-間質腫瘍);卵巣胚細胞腫瘍;卵巣低悪性度腫瘍;膵臓
癌;膵臓癌、膵島細胞;乳頭腫症;副鼻腔及び鼻腔の癌;副甲状腺癌;陰茎癌;咽頭癌;褐色細
胞腫;松果体星状細胞腫;松果体胚細胞腫;中間分化の松果体実質腫瘍;松果体芽腫及びテン
ト上原始神経外胚葉性腫瘍;下垂体腫瘍;下垂体腺腫;形質細胞腫瘍/多発性骨髄腫;胸膜肺
芽腫;原発性中枢神経系リンパ腫;前立腺癌;直腸癌;腎細胞癌(腎臓癌);腎盂及び尿管、
移行上皮癌;第15染色体上のNUT遺伝子が関与する気道癌;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫、小児
;唾液腺癌;肉腫、ユーイングファミリー腫瘍;セザリー症候群;皮膚癌(黒色腫);皮膚癌
(非黒色腫);小細胞肺癌;小腸癌軟部組織肉腫;軟部組織肉腫;脊髄腫瘍;扁平上皮癌;原発
不明転移性扁平上皮頸部癌;胃(stomach)(胃(gastric))癌;テント上原始神経外胚葉性腫
瘍;T細胞リンパ腫、皮膚(菌状息肉腫及びセザリー症候群);精巣癌;咽喉癌;胸腺腫;胸腺
腫及び胸腺癌;甲状腺癌;甲状腺癌、小児;腎盂及び尿管の移行上皮癌;尿道癌;子宮癌、子
宮内膜;子宮肉腫;膣癌;外陰癌;及びウィルムス腫瘍からなる群から選択される腫瘍性疾患
を患っているか、それを起こしやすいか、又はそのリスクに曝されている、請求項1~4の
いずれか一項記載の方法。
【請求項6】
前記アレナウイルス粒子及び前記免疫チェックポイント阻害剤が、同時に共投与される
、請求項1~5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
前記アレナウイルス粒子が、前記免疫チェックポイント阻害剤の投与前に投与される、
請求項1~5のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
前記アレナウイルス粒子が、前記免疫チェックポイント阻害剤の投与後に投与される、
請求項1~5のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
前記アレナウイルス粒子及び前記免疫チェックポイント阻害剤の投与間隔が、約1時間
、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時
間、約11時間、約12時間、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約1週間、約8日
、約9日、約10日、約11日、約12日、約13日、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6
週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、約1ヶ月、約2ヶ月
、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、又はそれ以上である、請求項7又は請求項8記載
の方法。
【請求項10】
前記アレナウイルス粒子及び前記免疫チェックポイント阻害剤が、治療有効量で投与さ
れる、請求項1~9のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
前記方法が、前記対象に第1のアレナウイルス粒子を投与することを含み、ある期間後
に、前記対象に第2のアレナウイルス粒子を投与することを含む、請求項1~10のいずれか
一項記載の方法。
【請求項12】
前記第1のアレナウイルス粒子及び前記第2の粒子が、異なるアレナウイルス種に由来し
、かつ/又は異なる腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチ
ド配列を含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記アレナウイルスゲノムセグメントが:
(i)NPをコードするORFが、アレナウイルスの5'非翻訳領域(「UTR」)の制御下にあるSセグ
メント;
(ii)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるSセグメント
;
(iii)Lタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるSセグメン
ト;
(iv)GPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるSセグメント;
(v)Lタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるSセグメント;
(vi)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるSセグメント
;
(vii)GPをコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(viii)NPをコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(ix)Lタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント
;
(x)GPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;
(xi)NPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;及び
(xii)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメン
ト;
からなる群から選択される、請求項1~12のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
前記アレナウイルスの3'UTRが、アレナウイルスSセグメント又はアレナウイルスLセグ
メントの3'UTRであり、前記アレナウイルスの5'UTRが、アレナウイルスSセグメント又は
アレナウイルスLセグメントの5'UTRである、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記アレナウイルス粒子がSセグメント及びLセグメントを含むように、前記アレナウイ
ルス粒子が第2のアレナウイルスゲノムセグメントを含む、請求項1~14のいずれか一項記
載の方法。
【請求項16】
前記アレナウイルス粒子が弱毒化される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記アレナウイルス粒子が、感染性であるが、非相補細胞においてさらなる感染性子孫
を生成することができない、請求項15記載の方法。
【請求項18】
前記アレナウイルス粒子が感染性で、複製可能である、請求項15記載の方法。
【請求項19】
前記アレナウイルスゲノムセグメントが、少なくとも部分的に除去されているか、又は
機能的に不活化されている少なくとも1つのアレナウイルスORFを含み、前記ORFが、前記
アレナウイルス粒子のGP、NP、Zタンパク質又はLタンパク質をコードする、請求項17記載
の方法。
【請求項20】
前記GP、NP、Zタンパク質、又はLタンパク質をコードする少なくとも1つのORFが、除去
されており、かつ腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードする前記ヌクレオ
チド配列と置換されている、請求項17記載の方法。
【請求項21】
GP、NP、Zタンパク質及びLタンパク質をコードする前記4つのORFのうちの1つのみが除
去されている、請求項20記載の方法。
【請求項22】
GPをコードするORFが除去されている、請求項21記載の方法。
【請求項23】
NPをコードするORFが除去されている、請求項21記載の方法。
【請求項24】
Zタンパク質をコードするORFが除去されている、請求項21記載の方法。
【請求項25】
Lタンパク質をコードするORFが除去されている、請求項21記載の方法。
【請求項26】
前記アレナウイルス粒子が、1つのLセグメント及び2つのSセグメント又は2つのLセグメ
ント及び1つのSセグメントのいずれかを含む三セグメントアレナウイルス粒子である、請
求項1~25のいずれか一項記載の方法。
【請求項27】
前記アレナウイルス粒子が1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む、請求項26記
載の方法。
【請求項28】
前記アレナウイルス粒子が、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む、請求項26
記載の方法。
【請求項29】
前記三セグメントアレナウイルス粒子の増殖が、複製可能二セグメントウイルス粒子を
もたらさない、請求項26~28のいずれか一項記載の方法。
【請求項30】
前記三セグメントアレナウイルス粒子の増殖が、I型インターフェロン受容体、II型イ
ンターフェロン受容体及び組換え活性化遺伝子1(RAG1)を欠き、104 PFUの前記三セグメン
トアレナウイルス粒子に感染させたマウスにおける持続感染の70日後に、複製可能二セグ
メントウイルス粒子をもたらさない、請求項26~28のいずれか一項記載の方法。
【請求項31】
2つの別々のセグメントの代わりに、一方のみに2つのアレナウイルスORFを結合させた2
つのSセグメント又は2つのLセグメントのセグメント間の組換えが、ウイルスプロモータ
ー活性を抑制する、請求項26~30のいずれか一項記載の方法。
【請求項32】
前記2つのSセグメントのうちの1つが:
(i)NPをコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるSセグメント;
(ii)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるSセグメント
;
(iii)Lタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるSセグメン
ト;
(iv)GPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるSセグメント;
(v)Lタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるSセグメント;
(vi)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるSセグメント
;
からなる群から選択される、請求項27記載の方法。
【請求項33】
前記2つのLセグメントのうちの1つが:
(i)GPをコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(ii)NPをコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(iii)Lタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメン
ト;
(iv)GPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;
(v)NPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;及び
(vi)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント
;
からなる群から選択される、請求項28記載の方法。
【請求項34】
前記2つのSセグメントが、(i)それぞれ腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を
コードする1つ若しくは2つのヌクレオチド配列;又は(ii)1つ若しくは2つの重複アレナウ
イルスORF;又は(iii)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片及び1つの重複アレナウ
イルスORFをコードする1つのヌクレオチド配列を含む、請求項27記載の方法。
【請求項35】
前記2つのLセグメントが、(i)それぞれ腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を
コードする1つ若しくは2つのヌクレオチド配列;又は(ii)1つ若しくは2つの重複アレナウ
イルスORF;又は(iii)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片及び1つの重複アレナウ
イルスORFをコードする1つのヌクレオチド配列を含む、請求項28記載の方法。
【請求項36】
前記アレナウイルス粒子が、さらに、免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク
質をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項1~35のいずれか一項記載の方法。
【請求項37】
前記免疫調節ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質が:
(i)カルレティキュリン(CRT)又はその断片;
(ii)ユビキチン又はその断片;
(iii)顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)又はその断片;
(iv)インバリアント鎖(CD74)又はその抗原性断片;
(v)結核菌熱ショックタンパク質70又はその抗原性断片;
(vi)単純ヘルペスウイルス1タンパク質VP22又はその抗原性断片;
(vii)CD40リガンド又はその抗原性断片;及び
(viii)Fms関連チロシンキナーゼ3(Flt3)リガンド又はその抗原性断片;
からなる群から選択される、請求項36記載の方法。
【請求項38】
前記アレナウイルス粒子が、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(「LCMV」)又はフニンウ
イルス(「JUNV」)由来である、請求項1~37のいずれか一項記載の方法。
【請求項39】
前記アレナウイルス粒子がLCMV由来である、請求項38記載の方法。
【請求項40】
前記LCMVが、MP株、WE株、アームストロング株、又はアームストロングクローン13株で
ある、請求項39記載の方法。
【請求項41】
前記アレナウイルス粒子がJUNV由来である、請求項38記載の方法。
【請求項42】
前記JUNVが、JUNVワクチンCandid #1株、又はJUNVワクチンXJクローン3株である、請求
項41記載の方法。
【請求項43】
前記アレナウイルス粒子の増殖又は感染性が、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性
断片をコードする前記ヌクレオチド配列によって影響されない、請求項1~42のいずれか
一項記載の方法。
【請求項44】
アレナウイルス粒子、免疫チェックポイント阻害剤及び医薬として許容し得る担体を含
む医薬組成物であって、前記アレナウイルス粒子が:
(i)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;及び
(ii)前記アレナウイルス粒子の糖タンパク質(「GP」)、核タンパク質(「NP」)、マト
リックスタンパク質Z(「Zタンパク質」)又はRNA依存性RNAポリメラーゼL(「Lタンパク
質」)をコードしているORFの野生型の位置以外の位置にある少なくとも1つのアレナウイ
ルスオープンリーディングフレーム(「ORF」);
を含むアレナウイルスゲノムセグメントを含有するように改変されており、
前記免疫チェックポイント阻害剤が、負のチェックポイント調節因子の活性を阻害するか
、低下させるか、又は干渉する、前記医薬組成物。
【請求項45】
前記腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原が、発癌ウイルス抗原、癌精巣抗原、癌胎児性抗原、組
織分化抗原、変異型タンパク質抗原、ネオ抗原、アディポフィリン、AIM-2、ALDH1AI、BC
LX(L)、BING-4、CALCA、CD45、CPSF、サイクリンD1、DKKI、ENAH(hMcna)、Ga733(EpCAM)
、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250/MN/CAIX、HER-2/neu、IDO1、IGF2B3、IL13R
α2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、レ
ングシン、M-CSF、MCSP、mdm-2、モロエ、MMP-2、MMP-7、MUCl、MUC5AC、p53(非変異)
、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RU2AS、セセルニン1、S
OX1O、STEAP1 (前立腺6回膜貫通上皮抗原1)、サバイビン、テロメラーゼ、VEGF、WT1、EG
F-R、CEA、CD20、CD33、CD52、糖タンパク質100(GP100又はgp100タンパク質)、MELANA/MA
RT1、MART2、NY-ESO-1、p53、MAGE A1、MAGE A3、MAGE-4、MAGE-5、MAGE-6、CDK4、α-ア
クチニン-4、ARTC1、BCR-ABL、BCR-ABL融合タンパク質(b3a2)、B-RAF、CASP-5、CASP-8、
β-カテニン、Cdc27、CDK4、CDKN2A、CLPP、COA-1、dek-can融合タンパク質、EFTUD2、伸
長因子2、ETV6-AML、ETV6-AML1融合タンパク質、FLT3-ITD、FNl、GPNMB、LDLR-フコシル
トランスフェラーゼAS融合タンパク質、NFYC、OGT、OS-9、pml-RARα融合タンパク質、PR
DX5、PTPRK、H-ras、K-ras (V-Ki-ras2 カーステンラット肉腫ウイルス癌遺伝子)、N-ras
、RBAF600、SIRT2、SNRPDl、SSX、SSX2、SYT-SSXl又はSYT-SSX2融合タンパク質、TGF-βR
II、トリオースリン酸イソメラーゼ、ormdm-2、LMP2、HPV E6/E7、EGFRvIII(上皮増殖因
子変異体III)、イディオタイプ、GD2、ガングリオシドG2)、Ras-変異体、p53(変異体)、
プロテイナーゼ3(PR1)、チロシナーゼ、PSA、hTERT、肉腫転座切断点、EphA2、前立腺酸
性ホスファターゼPAP、neo-PAP、ML-IAP、AFP、ERG (TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PA
X3、ALK、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、ポリシアル酸、MYCN、TRP2、TRP2-Int2、
GD3、フコシルGM1、メソテリン、PSCA、sLe(a)、cyp1B1、PLAC1、GM3、BORIS、Tn、GLobo
H、NY-BR-1、SART3、STn、炭酸脱水酵素IX、OY-TES1、精子タンパク質17、LCK、高分子量
メラノーマ関連抗原(HMWMAA)、AKAP-4、SSX2、XAGE 1、B7H3、レグマイン、Tie 2、Page4
、VEGFR2、MAD-CT-1、FAP、PDGFR-β、MAD-CT-2、For-関連抗原1、TRP1、CA-125、CA19-9
、カルレチニン、上皮膜抗原(EMA)、上皮腫瘍抗原(ETA)、CD19、CD34、CD99、CD117、ク
ロモグラニン、サイトケラチン、デスミン、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、グロス
嚢胞性疾患流体タンパク質(GCDFP-15)、HMB-45抗原、Myo-D1、筋肉特異的アクチン(MSA)
、ニューロフィラメント、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)、胎盤アルカリホスファタ
ーゼ、シナプトフィシス、サイログロブリン、甲状腺転写因子1、ピルビン酸キナーゼア
イソザイム型M2の二量体形態(腫瘍M2-PK)、BAGE BAGE-1、CAGE、CTAGE、FATE、GAGE、G
AGE-1、GAGE-2、GAGE-3、GAGE-4、GAGE-5、GAGE-6、GAGE-7、HCA661、HOM-TES-85、MAGEA
、MAGEB、MAGEC、NA88、NY-SAR-35、SPANXB1、SPA17、SSX、SYCP1、TPTE、炭水化物/ガン
グリオシドGM2(癌胎児性抗原-免疫原性-1 OFA-I-1)、GM3、CA 15-3 (CA 27.29/BCAA)、C
A 195、CA 242、CA 50、CAM 43、CEA、EBNA、EF2、エプスタイン-バーウイルス抗原、HLA
-A2、HLA-A11、HSP70-2、KIAAO205、MUM-1、MUM-2、MUM-3、ミオシンクラスI、GnTV、Her
v-K-mel、LAGE-1、LAGE-2、(精子タンパク質)SP17、SCP-1、P15(58)、Hom/Mel-40、E2A-P
RL、H4-RET、IGH-IGK、MYL-RAR、TSP-180、P185erbB2、p180erbB-3、c-met、nm-23H1、TA
G-72、TAG-72-4、CA-72-4、CAM 17.1、NuMa、13-カテニン、P16、TAGE、CT7、43-9F、5T4
、791Tgp72、13HCG、BCA225、BTAA、CD68/KP1、CO-029、HTgp-175、M344、MG7-Ag、MOV18
、NB/70K、NY-CO-1、RCAS1、SDCCAG16、TA-90、TAAL6、TLP、TPS、CD22、CD27、CD30、CD
70、プロステイン、TARP(T細胞受容体γ選択的リーディングフレームタンパク質)、Trp-p
8、インテグリンαvβ3 (CD61)、ガラクチン、又はRal-B、CD123、CLL-1、CD38、CS-1、C
D138、及びROR1からなる群から選択される、請求項44記載の医薬組成物。
【請求項46】
前記ヌクレオチド配列が、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10又はそれ以上
の腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードする、請求項44又は請求項45記
載の医薬組成物。
【請求項47】
前記負のチェックポイント調節因子が、細胞傷害性T-リンパ球抗原-4(CTLA-4)、CD80
、CD86、プログラム細胞死1(PD-1)、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)、プログラ
ム細胞死リガンド2(PD-L2)、リンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3;CD223としても知られる
)、ガレクチン-3、B及びTリンパ球アテニュエータ(BTLA)、T細胞膜タンパク質3(TIM3
)、ガレクチン-9(GAL9)、B7-H1、B7-H3、B7-H4、Ig及びITIMドメインを有するT細胞免
疫受容体(TIGIT/Vstm3/WUCAM/VSIG9)、T細胞活性化VドメインIgサプレッサー(VISTA)
、グルココルチコイド誘導性腫瘍壊死因子受容体関連(GITR)タンパク質、ヘルペスウイ
ルス侵入メディエータ(HVEM)、OX40、CD27、CD28、CD137、CGEN-15001T、CGEN-15022、
CGEN-15027、CGEN-15049、CGEN-15052、及びCGEN-15092からなる群から選択される、請求
項44~46のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項48】
急性リンパ芽球性白血病;急性リンパ芽球性リンパ腫;急性リンパ性白血病;急性骨髄性
白血病;急性骨髄性白血病(成人/子供);副腎皮質癌;エイズ関連癌;エイズ関連リンパ腫;
肛門癌;虫垂癌;星状細胞腫;非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍;基底細胞癌;胆管癌、肝外(
胆管細胞癌);膀胱癌;骨肉腫/悪性線維性組織球腫;脳腫瘍(成人/子供);脳腫瘍、小脳星
状細胞腫(成人/子供);脳腫瘍、脳星状細胞腫/悪性神経膠腫脳腫瘍;脳腫瘍、上衣腫;脳
腫瘍、髄芽腫;脳腫瘍、テント上原始神経外胚葉性腫瘍;脳腫瘍、視経路及び視床下部神経
膠腫;脳幹神経膠腫;乳癌;気管支腺腫/カルチノイド;気管支腫瘍;バーキットリンパ腫;小
児癌;カルチノイド胃腸腫瘍;カルチノイド腫瘍;成人の癌、原発部位不明;原発不明癌;中
枢神経系胎児性腫瘍;中枢神経系リンパ腫、原発性;子宮頸癌;小児副腎皮質癌;小児癌;小
児大脳星状細胞腫; 脊索腫、小児;慢性リンパ性白血病;慢性骨髄性白血病(chronic myelo
genous leukemia);慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia);慢性骨髄増殖性障害;
大腸癌;結腸直腸癌;頭蓋咽頭腫;皮膚T細胞リンパ腫;線維形成性小円形細胞腫瘍;肺気腫;
子宮内膜癌;上衣芽腫;上衣腫;食道癌;ユーイングファミリー腫瘍におけるユーイング肉腫
;頭蓋外胚細胞腫瘍;性腺外胚細胞腫瘍;肝外胆管癌;胆嚢癌;胃(gastric)(胃(stomach))
癌;胃カルチノイド;消化管カルチノイド腫瘍;消化管間質腫瘍;胚細胞腫瘍:頭蓋外性腺外
、又は卵巣妊娠性絨毛腫瘍;妊娠性絨毛腫瘍、原発部位不明;神経膠腫;脳幹の神経膠腫;神
経膠腫、小児期の視覚的経路及び視床下部;ヘアリーセル白血病;頭頸部癌;心臓癌;肝細胞
(肝臓)癌;ホジキンリンパ腫;下咽頭癌;視床下部及び視経路神経膠腫;眼内黒色腫;膵島
細胞癌(内分泌膵臓);カポジ肉腫;腎臓癌(腎細胞癌);ランゲルハンス細胞組織球症;喉
頭癌;口唇及び口腔の癌;脂肪肉腫;肝臓癌(原発性);肺癌、非小細胞;肺癌、小細胞;リン
パ腫、原発中枢神経系;マクログロブリン血症、ワルデンストレーム;男性の乳癌;骨/骨肉
腫の悪性線維性組織球腫;髄芽腫;髄上皮腫;黒色腫;黒色腫、眼内(眼);メルケル細胞癌;
メルケル細胞皮膚癌;中皮腫;中皮腫、成人悪性;原発不明転移性扁平上皮頸部癌;口腔癌;
多発性内分泌腫瘍症候群;多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍;菌状息肉症、骨髄異形成症候群;骨
髄異形成/骨髄増殖性疾患;骨髄性白血病、慢性;骨髄性白血病、成人急性;骨髄性白血病、
小児急性;骨髄腫、多発性(骨髄の癌);骨髄増殖性障害、慢性;鼻腔及び副鼻腔の癌;鼻咽
頭癌;神経芽腫、非小細胞肺癌;非ホジキンリンパ腫; 乏突起神経膠腫;口腔癌(oral cance
r);口腔癌(oral cavity cancer); 中咽頭癌;骨肉腫/骨の悪性線維性組織球腫;卵巣癌;上
皮性卵巣癌(表面上皮-間質腫瘍);卵巣胚細胞腫瘍;卵巣低悪性度腫瘍;膵臓癌;膵臓癌、
膵島細胞;乳頭腫症;副鼻腔及び鼻腔の癌;副甲状腺癌;陰茎癌;咽頭癌;褐色細胞腫;松果体
星状細胞腫;松果体胚細胞腫;中間分化の松果体実質腫瘍;松果体芽腫及びテント上原始神
経外胚葉性腫瘍;下垂体腫瘍;下垂体腺腫; 形質細胞腫瘍/多発性骨髄腫;胸膜肺芽腫;原発
性中枢神経系リンパ腫;前立腺癌;直腸癌;腎細胞癌(腎臓癌);腎盂及び尿管、移行上皮癌
;第15染色体上のNUT遺伝子が関与する気道癌;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫、小児;唾液腺癌;
肉腫、ユーイングファミリー腫瘍;セザリー症候群;皮膚癌(黒色腫);皮膚癌(非黒色腫
);小細胞肺癌;小腸癌軟部組織肉腫;軟部組織肉腫;脊髄腫瘍;扁平上皮癌;原発不明転移性
扁平上皮頸部癌;胃(stomach)(胃(gastric))癌;テント上原始神経外胚葉性腫瘍;T細胞リ
ンパ腫、皮膚(菌状息肉腫及びセザリー症候群);精巣癌;咽喉癌;胸腺腫;胸腺腫及び胸腺
癌;甲状腺癌;甲状腺癌、小児;腎盂及び尿管の移行上皮癌;尿道癌;子宮癌、子宮内膜;子宮
肉腫;膣癌;外陰癌;及びウィルムス腫瘍からなる群から選択される腫瘍性疾患の治療に使
用するための、請求項44~47のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項49】
前記アレナウイルスゲノムセグメントが:
(i)NPをコードするORFが、アレナウイルスの5'非翻訳領域(「UTR」)の制御下にあるSセグ
メント;
(ii)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるSセグメント
;
(iii)Lタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるSセグメン
ト;
(iv)GPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるSセグメント;
(v)Lタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるSセグメント;
(vi)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるSセグメント
;
(vii)GPをコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(viii)NPをコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(ix)Lタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント
;
(x)GPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;
(xi)NPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;及び
(xii)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメン
ト;
からなる群から選択される、請求項44~48のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項50】
前記アレナウイルスの3'UTRが、アレナウイルスSセグメント又はアレナウイルスLセグ
メントの3'UTRであり、前記アレナウイルスの5'UTRが、アレナウイルスSセグメント又は
アレナウイルスLセグメントの5'UTRである、請求項49記載の医薬組成物。
【請求項51】
前記アレナウイルス粒子がSセグメント及びLセグメントを含むように、前記アレナウイ
ルス粒子が第2のアレナウイルスゲノムセグメントを含む、請求項44~50のいずれか一項
記載の医薬組成物。
【請求項52】
前記アレナウイルス粒子が弱毒化される、請求項51記載の医薬組成物。
【請求項53】
前記アレナウイルス粒子が、感染性であるが、非相補細胞においてさらなる感染性子孫
を生成することができない、請求項51記載の医薬組成物。
【請求項54】
前記アレナウイルス粒子が感染性で、複製可能である、請求項51記載の医薬組成物。
【請求項55】
前記アレナウイルスゲノムセグメントが、少なくとも部分的に除去されているか、又は
機能的に不活化されている少なくとも1つのアレナウイルスORFを含み、前記ORFが、前記
アレナウイルス粒子のGP、NP、Zタンパク質又はLタンパク質をコードする、請求項53記載
の医薬組成物。
【請求項56】
前記GP、NP、Zタンパク質、又はLタンパク質をコードする少なくとも1つのORFが、除去
されており、かつ腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードする前記ヌクレオ
チド配列と置換されている、請求項53記載の医薬組成物。
【請求項57】
GP、NP、Zタンパク質及びLタンパク質をコードする前記4つのORFのうちの1つのみが除
去されている、請求項56記載の医薬組成物。
【請求項58】
GPをコードするORFが除去されている、請求項57記載の医薬組成物。
【請求項59】
NPをコードするORFが除去されている、請求項57記載の医薬組成物。
【請求項60】
Zタンパク質をコードするORFが除去されている、請求項57記載の医薬組成物。
【請求項61】
Lタンパク質をコードするORFが除去されている、請求項57記載の医薬組成物。
【請求項62】
前記アレナウイルス粒子が、1つのLセグメント及び2つのSセグメント又は2つのLセグメ
ント及び1つのSセグメントのいずれかを含む三セグメントアレナウイルス粒子である、請
求項44~61のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項63】
前記アレナウイルス粒子が1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む、請求項62記
載の医薬組成物。
【請求項64】
前記アレナウイルス粒子が、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む、請求項62
記載の医薬組成物。
【請求項65】
前記三セグメントアレナウイルス粒子の増殖が、複製可能二セグメントウイルス粒子を
もたらさない、請求項62~64のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項66】
前記三セグメントアレナウイルス粒子の増殖が、I型インターフェロン受容体、II型イ
ンターフェロン受容体及び組換え活性化遺伝子1(RAG1)を欠き、104 PFUの前記三セグメン
トアレナウイルス粒子に感染させたマウスにおける持続感染の70日後に、複製可能二セグ
メントウイルス粒子をもたらさない、請求項62~64のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項67】
2つの別々のセグメントの代わりに、一方のみに2つのアレナウイルスORFを結合させた2
つのSセグメント又は2つのLセグメントのセグメント間の組換えが、ウイルスプロモータ
ー活性を抑制する、請求項62~66のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項68】
前記2つのSセグメントのうちの1つが:
(i)NPをコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるSセグメント;
(ii)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるSセグメント
;
(iii)Lタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるSセグメン
ト;
(iv)GPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるSセグメント;
(v)Lタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるSセグメント;
(vi)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるSセグメント
;
からなる群から選択される、請求項63記載の医薬組成物。
【請求項69】
前記2つのLセグメントのうちの1つが:
(i)GPをコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(ii)NPをコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(iii)Lタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメン
ト;
(iv)GPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;
(v)NPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;及び
(vi)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント
;
からなる群から選択される、請求項64記載の医薬組成物。
【請求項70】
前記2つのSセグメントが、(i)それぞれ腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を
コードする1つ若しくは2つのヌクレオチド配列;又は(ii)1つ若しくは2つの重複アレナウ
イルスORF;又は(iii)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片及び1つの重複アレナウ
イルスORFをコードする1つのヌクレオチド配列を含む、請求項63記載の医薬組成物。
【請求項71】
前記2つのLセグメントが、(i)それぞれ腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を
コードする1つ若しくは2つのヌクレオチド配列;又は(ii)1つ若しくは2つの重複アレナウ
イルスORF;又は(iii)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片及び1つの重複アレナウ
イルスORFをコードする1つのヌクレオチド配列を含む、請求項64記載の医薬組成物。
【請求項72】
前記アレナウイルス粒子が、さらに、免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク
質をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項44~71のいずれか一項記載の医薬組成物
。
【請求項73】
前記免疫調節ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質が:
(i)カルレティキュリン(CRT)又はその断片;
(ii)ユビキチン又はその断片;
(iii)顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)又はその断片;
(iv)インバリアント鎖(CD74)又はその抗原性断片;
(v)結核菌熱ショックタンパク質70又はその抗原性断片;
(vi)単純ヘルペスウイルス1タンパク質VP22又はその抗原性断片;
(vii)CD40リガンド又はその抗原性断片;及び
(viii)Fms関連チロシンキナーゼ3(Flt3)リガンド又はその抗原性断片;
からなる群から選択される、請求項72記載の医薬組成物。
【請求項74】
前記アレナウイルス粒子が、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(「LCMV」)又はフニンウ
イルス(「JUNV」)由来である、請求項44~73のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項75】
前記アレナウイルス粒子がLCMV由来である、請求項74記載の医薬組成物。
【請求項76】
前記LCMVが、MP株、WE株、アームストロング株、又はアームストロングクローン13株で
ある、請求項75記載の医薬組成物。
【請求項77】
前記アレナウイルス粒子がJUNV由来である、請求項74記載の医薬組成物。
【請求項78】
前記JUNVが、JUNVワクチンCandid #1株、又はJUNVワクチンXJクローン3株である、請求
項77記載の医薬組成物。
【請求項79】
前記アレナウイルス粒子の増殖又は感染性が、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性
断片をコードする前記ヌクレオチド配列によって影響されない、請求項44~78のいずれか
一項記載の医薬組成物。
【請求項80】
1以上の容器及び使用説明書を含むキットであって、前記1以上の容器が、請求項44~79
のいずれか一項記載の前記医薬組成物を含む、前記キット。
【請求項81】
2以上の容器及び使用説明書を含むキットであって、前記容器の1つがアレナウイルス粒
子を含み、前記容器の別のものが免疫チェックポイント阻害剤を含み、前記アレナウイル
ス粒子が:
a.腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;及び
b.前記アレナウイルス粒子の糖タンパク質(「GP」)、核タンパク質(「NP」)、マトリ
ックスタンパク質Z(「Zタンパク質」)又はRNA依存性RNAポリメラーゼL(「Lタンパク質
」)をコードしているORFの野生型の位置以外の位置にある少なくとも1つのアレナウイル
スオープンリーディングフレーム(「ORF」);
を含むアレナウイルスゲノムセグメントを含有するように改変されており、
前記免疫チェックポイント阻害剤が、負のチェックポイント調節因子の活性を阻害するか
、低下させるか、又は干渉する、前記キット。
【請求項82】
前記腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原が、発癌ウイルス抗原、癌精巣抗原、癌胎児性抗原、組
織分化抗原、変異型タンパク質抗原、ネオ抗原、アディポフィリン、AIM-2、ALDH1AI、BC
LX(L)、BING-4、CALCA、CD45、CPSF、サイクリンD1、DKKI、ENAH(hMcna)、Ga733(EpCAM)
、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250/MN/CAIX、HER-2/neu、IDO1、IGF2B3、IL13R
α2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、レ
ングシン、M-CSF、MCSP、mdm-2、モロエ、MMP-2、MMP-7、MUCl、MUC5AC、p53(非変異)
、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RU2AS、セセルニン1、S
OX1O、STEAP1 (前立腺6回膜貫通上皮抗原1)、サバイビン、テロメラーゼ、VEGF、WT1、EG
F-R、CEA、CD20、CD33、CD52、糖タンパク質100(GP100又はgp100タンパク質)、MELANA/MA
RT1、MART2、NY-ESO-1、p53、MAGE A1、MAGE A3、MAGE-4、MAGE-5、MAGE-6、CDK4、α-ア
クチニン-4、ARTC1、BCR-ABL、BCR-ABL融合タンパク質(b3a2)、B-RAF、CASP-5、CASP-8、
β-カテニン、Cdc27、CDK4、CDKN2A、CLPP、COA-1、dek-can融合タンパク質、EFTUD2、伸
長因子2、ETV6-AML、ETV6-AML1融合タンパク質、FLT3-ITD、FNl、GPNMB、LDLR-フコシル
トランスフェラーゼAS融合タンパク質、NFYC、OGT、OS-9、pml-RARα融合タンパク質、PR
DX5、PTPRK、H-ras、K-ras (V-Ki-ras2 カーステンラット肉腫ウイルス癌遺伝子)、N-ras
、RBAF600、SIRT2、SNRPDl、SSX、SSX2、SYT-SSXl又はSYT-SSX2融合タンパク質、TGF-βR
II、トリオースリン酸イソメラーゼ、ormdm-2、LMP2、HPV E6/E7、EGFRvIII(上皮増殖因
子変異体III)、イディオタイプ、GD2、ガングリオシドG2)、Ras-変異体、p53(変異体)、
プロテイナーゼ3(PR1)、チロシナーゼ、PSA、hTERT、肉腫転座切断点、EphA2、前立腺酸
性ホスファターゼPAP、neo-PAP、ML-IAP、AFP、ERG (TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PA
X3、ALK、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、ポリシアル酸、MYCN、TRP2、TRP2-Int2、
GD3、フコシルGM1、メソテリン、PSCA、sLe(a)、cyp1B1、PLAC1、GM3、BORIS、Tn、GLobo
H、NY-BR-1、SART3、STn、炭酸脱水酵素IX、OY-TES1、精子タンパク質17、LCK、高分子量
メラノーマ関連抗原(HMWMAA)、AKAP-4、SSX2、XAGE 1、B7H3、レグマイン、Tie 2、Page4
、VEGFR2、MAD-CT-1、FAP、PDGFR-β、MAD-CT-2、For-関連抗原1、TRP1、CA-125、CA19-9
、カルレチニン、上皮膜抗原(EMA)、上皮腫瘍抗原(ETA)、CD19、CD34、CD99、CD117、ク
ロモグラニン、サイトケラチン、デスミン、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、グロス
嚢胞性疾患流体タンパク質(GCDFP-15)、HMB-45抗原、Myo-D1、筋肉特異的アクチン(MSA)
、ニューロフィラメント、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)、胎盤アルカリホスファタ
ーゼ、シナプトフィシス、サイログロブリン、甲状腺転写因子1、ピルビン酸キナーゼア
イソザイム型M2の二量体形態(腫瘍M2-PK)、BAGE BAGE-1、CAGE、CTAGE、FATE、GAGE、G
AGE-1、GAGE-2、GAGE-3、GAGE-4、GAGE-5、GAGE-6、GAGE-7、HCA661、HOM-TES-85、MAGEA
、MAGEB、MAGEC、NA88、NY-SAR-35、SPANXB1、SPA17、SSX、SYCP1、TPTE、炭水化物/ガン
グリオシドGM2(癌胎児性抗原-免疫原性-1 OFA-I-1)、GM3、CA 15-3 (CA 27.29/BCAA)、C
A 195、CA 242、CA 50、CAM 43、CEA、EBNA、EF2、エプスタイン-バーウイルス抗原、HLA
-A2、HLA-A11、HSP70-2、KIAAO205、MUM-1、MUM-2、MUM-3、ミオシンクラスI、GnTV、Her
v-K-mel、LAGE-1、LAGE-2、(精子タンパク質)SP17、SCP-1、P15(58)、Hom/Mel-40、E2A-P
RL、H4-RET、IGH-IGK、MYL-RAR、TSP-180、P185erbB2、p180erbB-3、c-met、nm-23H1、TA
G-72、TAG-72-4、CA-72-4、CAM 17.1、NuMa、13-カテニン、P16、TAGE、CT7、43-9F、5T4
、791Tgp72、13HCG、BCA225、BTAA、CD68/KP1、CO-029、HTgp-175、M344、MG7-Ag、MOV18
、NB/70K、NY-CO-1、RCAS1、SDCCAG16、TA-90、TAAL6、TLP、TPS、CD22、CD27、CD30、CD
70、プロステイン、TARP(T細胞受容体γ選択的リーディングフレームタンパク質)、Trp-p
8、インテグリンαvβ3 (CD61)、ガラクチン、又はRal-B、CD123、CLL-1、CD38、CS-1、C
D138、及びROR1からなる群から選択される、請求項81記載のキット。
【請求項83】
前記ヌクレオチド配列が、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10又はそれ以上
の腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードする、請求項81又は請求項82記
載のキット。
【請求項84】
前記負のチェックポイント調節因子が、細胞傷害性T-リンパ球抗原-4(CTLA-4)、CD80
、CD86、プログラム細胞死1(PD-1)、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)、プログラ
ム細胞死リガンド2(PD-L2)、リンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3;CD223としても知られる
)、ガレクチン-3、B及びTリンパ球アテニュエータ(BTLA)、T細胞膜タンパク質3(TIM3
)、ガレクチン-9(GAL9)、B7-H1、B7-H3、B7-H4、Ig及びITIMドメインを有するT細胞免
疫受容体(TIGIT/Vstm3/WUCAM/VSIG9)、T細胞活性化VドメインIgサプレッサー(VISTA)
、グルココルチコイド誘導性腫瘍壊死因子受容体関連(GITR)タンパク質、ヘルペスウイ
ルス侵入メディエータ(HVEM)、OX40、CD27、CD28、CD137、CGEN-15001T、CGEN-15022、
CGEN-15027、CGEN-15049、CGEN-15052、及びCGEN-15092からなる群から選択される、請求
項81~83のいずれか一項記載のキット。
【請求項85】
急性リンパ芽球性白血病;急性リンパ芽球性リンパ腫;急性リンパ性白血病;急性骨髄性
白血病;急性骨髄性白血病(成人/子供);副腎皮質癌;エイズ関連癌;エイズ関連リンパ腫;
肛門癌;虫垂癌;星状細胞腫;非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍;基底細胞癌;胆管癌、肝外(
胆管細胞癌);膀胱癌;骨肉腫/悪性線維性組織球腫;脳腫瘍(成人/子供);脳腫瘍、小脳星
状細胞腫(成人/子供);脳腫瘍、脳星状細胞腫/悪性神経膠腫脳腫瘍;脳腫瘍、上衣腫;脳
腫瘍、髄芽腫;脳腫瘍、テント上原始神経外胚葉性腫瘍;脳腫瘍、視経路及び視床下部神経
膠腫;脳幹神経膠腫;乳癌;気管支腺腫/カルチノイド;気管支腫瘍;バーキットリンパ腫;小
児癌;カルチノイド胃腸腫瘍;カルチノイド腫瘍;成人の癌、原発部位不明;原発不明癌;中
枢神経系胎児性腫瘍;中枢神経系リンパ腫、原発性;子宮頸癌;小児副腎皮質癌;小児癌;小
児大脳星状細胞腫; 脊索腫、小児;慢性リンパ性白血病;慢性骨髄性白血病(chronic myelo
genous leukemia);慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia);慢性骨髄増殖性障害;
大腸癌;結腸直腸癌;頭蓋咽頭腫;皮膚T細胞リンパ腫;線維形成性小円形細胞腫瘍;肺気腫;
子宮内膜癌;上衣芽腫;上衣腫;食道癌;ユーイングファミリー腫瘍におけるユーイング肉腫
;頭蓋外胚細胞腫瘍;性腺外胚細胞腫瘍;肝外胆管癌;胆嚢癌;胃(gastric)(胃(stomach))
癌;胃カルチノイド;消化管カルチノイド腫瘍;消化管間質腫瘍;胚細胞腫瘍:頭蓋外性腺外
、又は卵巣妊娠性絨毛腫瘍;妊娠性絨毛腫瘍、原発部位不明;神経膠腫;脳幹の神経膠腫;神
経膠腫、小児期の視覚的経路及び視床下部;ヘアリーセル白血病;頭頸部癌;心臓癌;肝細胞
(肝臓)癌;ホジキンリンパ腫;下咽頭癌;視床下部及び視経路神経膠腫;眼内黒色腫;膵島
細胞癌(内分泌膵臓);カポジ肉腫;腎臓癌(腎細胞癌);ランゲルハンス細胞組織球症;喉
頭癌;口唇及び口腔の癌;脂肪肉腫;肝臓癌(原発性);肺癌、非小細胞;肺癌、小細胞;リン
パ腫、原発中枢神経系;マクログロブリン血症、ワルデンストレーム;男性の乳癌;骨/骨肉
腫の悪性線維性組織球腫;髄芽腫;髄上皮腫;黒色腫;黒色腫、眼内(眼);メルケル細胞癌;
メルケル細胞皮膚癌;中皮腫;中皮腫、成人悪性;原発不明転移性扁平上皮頸部癌;口腔癌;
多発性内分泌腫瘍症候群;多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍;菌状息肉症、骨髄異形成症候群;骨
髄異形成/骨髄増殖性疾患;骨髄性白血病、慢性;骨髄性白血病、成人急性;骨髄性白血病、
小児急性;骨髄腫、多発性(骨髄の癌);骨髄増殖性障害、慢性;鼻腔及び副鼻腔の癌;鼻咽
頭癌;神経芽腫、非小細胞肺癌;非ホジキンリンパ腫; 乏突起神経膠腫;口腔癌(oral cance
r);口腔癌(oral cavity cancer); 中咽頭癌;骨肉腫/骨の悪性線維性組織球腫;卵巣癌;上
皮性卵巣癌(表面上皮-間質腫瘍);卵巣胚細胞腫瘍;卵巣低悪性度腫瘍;膵臓癌;膵臓癌、
膵島細胞;乳頭腫症;副鼻腔及び鼻腔の癌;副甲状腺癌;陰茎癌;咽頭癌;褐色細胞腫;松果体
星状細胞腫;松果体胚細胞腫;中間分化の松果体実質腫瘍;松果体芽腫及びテント上原始神
経外胚葉性腫瘍;下垂体腫瘍;下垂体腺腫; 形質細胞腫瘍/多発性骨髄腫;胸膜肺芽腫;原発
性中枢神経系リンパ腫;前立腺癌;直腸癌;腎細胞癌(腎臓癌);腎盂及び尿管、移行上皮癌
;第15染色体上のNUT遺伝子が関与する気道癌;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫、小児;唾液腺癌;
肉腫、ユーイングファミリー腫瘍;セザリー症候群;皮膚癌(黒色腫);皮膚癌(非黒色腫
);小細胞肺癌;小腸癌軟部組織肉腫;軟部組織肉腫;脊髄腫瘍;扁平上皮癌;原発不明転移性
扁平上皮頸部癌;胃(stomach)(胃(gastric))癌;テント上原始神経外胚葉性腫瘍;T細胞リ
ンパ腫、皮膚(菌状息肉腫及びセザリー症候群);精巣癌;咽喉癌;胸腺腫;胸腺腫及び胸腺
癌;甲状腺癌;甲状腺癌、小児;腎盂及び尿管の移行上皮癌;尿道癌;子宮癌、子宮内膜;子宮
肉腫;膣癌;外陰癌;及びウィルムス腫瘍からなる群から選択される腫瘍性疾患の治療に使
用するための、請求項81~84のいずれか一項記載のキット。
【請求項86】
前記アレナウイルスゲノムセグメントが:
(i)NPをコードするORFが、アレナウイルスの5'非翻訳領域(「UTR」)の制御下にあるSセグ
メント;
(ii)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるSセグメント
;
(iii)Lタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるSセグメン
ト;
(iv)GPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるSセグメント;
(v)Lタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるSセグメント;
(vi)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるSセグメント
;
(vii)GPをコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(viii)NPをコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(ix)Lタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント
;
(x)GPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;
(xi)NPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;及び
(xii)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメン
ト;
からなる群から選択される、請求項81~85のいずれか一項記載のキット。
【請求項87】
前記アレナウイルスの3'UTRが、アレナウイルスSセグメント又はアレナウイルスLセグ
メントの3'UTRであり、前記アレナウイルスの5'UTRが、アレナウイルスSセグメント又は
アレナウイルスLセグメントの5'UTRである、請求項86記載のキット。
【請求項88】
前記アレナウイルス粒子がSセグメント及びLセグメントを含むように、前記アレナウイ
ルス粒子が第2のアレナウイルスゲノムセグメントを含む、請求項81~87のいずれか一項
記載のキット。
【請求項89】
前記アレナウイルス粒子が弱毒化される、請求項88記載のキット。
【請求項90】
前記アレナウイルス粒子が、感染性であるが、非相補細胞においてさらなる感染性子孫
を生成することができない、請求項88記載のキット。
【請求項91】
前記アレナウイルス粒子が感染性で、複製可能である、請求項88記載のキット。
【請求項92】
前記アレナウイルスゲノムセグメントが、少なくとも部分的に除去されているか、又は
機能的に不活化されている少なくとも1つのアレナウイルスORFを含み、前記ORFが、前記
アレナウイルス粒子のGP、NP、Zタンパク質又はLタンパク質をコードする、請求項90記載
のキット。
【請求項93】
前記GP、NP、Zタンパク質、又はLタンパク質をコードする少なくとも1つのORFが、除去
されており、かつ腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードする前記ヌクレオ
チド配列と置換されている、請求項90記載のキット。
【請求項94】
GP、NP、Zタンパク質及びLタンパク質をコードする前記4つのORFのうちの1つのみが除
去されている、請求項93記載のキット。
【請求項95】
GPをコードするORFが除去されている、請求項94記載のキット。
【請求項96】
NPをコードするORFが除去されている、請求項94記載のキット。
【請求項97】
Zタンパク質をコードするORFが除去されている、請求項94記載のキット。
【請求項98】
Lタンパク質をコードするORFが除去されている、請求項94記載のキット。
【請求項99】
前記アレナウイルス粒子が、1つのLセグメント及び2つのSセグメント又は2つのLセグメ
ント及び1つのSセグメントのいずれかを含む三セグメントアレナウイルス粒子である、請
求項81~98のいずれか一項記載のキット。
【請求項100】
前記アレナウイルス粒子が1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む、請求項99記
載のキット。
【請求項101】
前記アレナウイルス粒子が、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む、請求項99
記載のキット。
【請求項102】
前記三セグメントアレナウイルス粒子の増殖が、複製可能二セグメントウイルス粒子を
もたらさない、請求項99~101のいずれか一項記載のキット。
【請求項103】
前記三セグメントアレナウイルス粒子の増殖が、I型インターフェロン受容体、II型イ
ンターフェロン受容体及び組換え活性化遺伝子1(RAG1)を欠き、104 PFUの前記三セグメン
トアレナウイルス粒子に感染させたマウスにおける持続感染の70日後に、複製可能二セグ
メントウイルス粒子をもたらさない、請求項99~101のいずれか一項記載のキット。
【請求項104】
2つの別々のセグメントの代わりに、一方のみに2つのアレナウイルスORFを結合させた2
つのSセグメント又は2つのLセグメントのセグメント間の組換えが、ウイルスプロモータ
ー活性を抑制する、請求項99~103のいずれか一項記載のキット。
【請求項105】
前記2つのSセグメントのうちの1つが:
(i)NPをコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるSセグメント;
(ii)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるSセグメント
;
(iii)Lタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるSセグメン
ト;
(iv)GPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるSセグメント;
(v)LをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるSセグメント;
(vi)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるSセグメント
;
からなる群から選択される、請求項100記載のキット。
【請求項106】
前記2つのLセグメントのうちの1つが:
(i)GPをコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(ii)NPをコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(iii)Lタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメン
ト;
(iv)GPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;
(v)NPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;及び
(vi)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント
;
からなる群から選択される、請求項101記載のキット。
【請求項107】
前記2つのSセグメントが、(i)それぞれ腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を
コードする1つ若しくは2つのヌクレオチド配列;又は(ii)1つ若しくは2つの重複アレナウ
イルスORF;又は(iii)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片及び1つの重複アレナウ
イルスORFをコードする1つのヌクレオチド配列を含む、請求項100記載のキット。
【請求項108】
前記2つのLセグメントが、(i)それぞれ腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を
コードする1つ若しくは2つのヌクレオチド配列;又は(ii)1つ若しくは2つの重複アレナウ
イルスORF;又は(iii)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片及び1つの重複アレナウ
イルスORFをコードする1つのヌクレオチド配列を含む、請求項101記載のキット。
【請求項109】
前記アレナウイルス粒子が、さらに、免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク
質をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項81~108のいずれか一項記載のキット。
【請求項110】
前記免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質が:
(i)カルレティキュリン(CRT)又はその断片;
(ii)ユビキチン又はその断片;
(iii)顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)又はその断片;
(iv)インバリアント鎖(CD74)又はその抗原性断片;
(v)結核菌熱ショックタンパク質70又はその抗原性断片;
(vi)単純ヘルペスウイルス1タンパク質VP22又はその抗原性断片;
(vii)CD40リガンド又はその抗原性断片;及び
(viii)Fms関連チロシンキナーゼ3(Flt3)リガンド又はその抗原性断片;
からなる群から選択される、請求項109記載のキット。
【請求項111】
前記アレナウイルス粒子が、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(「LCMV」)又はフニンウ
イルス(「JUNV」)由来である、請求項81~110のいずれか一項記載のキット。
【請求項112】
前記アレナウイルス粒子がLCMV由来である、請求項111記載のキット。
【請求項113】
前記LCMVが、MP株、WE株、アームストロング株、又はアームストロングクローン13株で
ある、請求項112記載のキット。
【請求項114】
前記アレナウイルス粒子がJUNV由来である、請求項111記載のキット。
【請求項115】
前記JUNVが、JUNVワクチンCandid #1株、又はJUNVワクチンXJクローン3株である、請求
項114記載のキット。
【請求項116】
前記アレナウイルス粒子の増殖又は感染性が、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性
断片をコードする前記ヌクレオチド配列によって影響されない、請求項81~115のいずれ
か一項記載のキット。
【請求項117】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、負のチェックポイント調節因子の活性を阻害する
か、低下させるか、又は干渉する、請求項1記載の方法。
【請求項118】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、プログラム細胞死1(PD1)に結合するか、又はそ
の活性を阻害する抗体である、請求項1記載の方法。
【請求項119】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)、細胞傷害
性T-リンパ球抗原-4(CTLA-4)、T細胞膜タンパク質3(TIM3)、リンパ球活性化遺伝子-3
(LAG-3)、又はIg及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)に結合するか、
又はその活性を阻害する抗体である、請求項1記載の方法。
【請求項120】
前記アレナウイルス粒子がネオ抗原をコードする、請求項1記載の方法。
【請求項121】
前記ネオ抗原が、R203M変異を有するADP依存性グルコキナーゼ(Adpgk)である、請求
項120記載の方法。
【請求項122】
前記アレナウイルス粒子が黒色腫抗原をコードする、請求項1記載の方法。
【請求項123】
前記黒色腫抗原が糖タンパク質100(GP100)である、請求項122記載の方法。
【請求項124】
前記黒色腫抗原がチロシナーゼ関連タンパク質1(TRP1)である、請求項122記載の方法
。
【請求項125】
前記黒色腫抗原がチロシナーゼ関連タンパク質2(TRP2)である、請求項122記載の方法
。
【請求項126】
前記対象が結腸癌を患っている、請求項120又は121記載の方法。
【請求項127】
前記対象が黒色腫を患っている、請求項122~125のいずれか一項記載の方法。
【請求項128】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、プログラム細胞死1(PD1)に結合するか、又はそ
の活性を阻害する抗体である、請求項120~127のいずれか一項記載の方法。
【請求項129】
対象における腫瘍性疾患を治療する方法におけるアレナウイルス粒子及び免疫チェック
ポイント阻害剤の使用であって、前記方法が、前記対象に前記アレナウイルス粒子及び前
記免疫チェックポイント阻害剤を投与することを含み、前記アレナウイルス粒子が:
(i)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;及び
(ii)前記アレナウイルス粒子の糖タンパク質(「GP」)、核タンパク質(「NP」)、マ
トリックスタンパク質Z(「Zタンパク質」)又はRNA依存性RNAポリメラーゼL(「Lタンパ
ク質」)をコードしているORFの野生型の位置以外の位置にある少なくとも1つのアレナウ
イルスオープンリーディングフレーム(「ORF」);
を含むアレナウイルスゲノムセグメントを含有するように改変されている、前記使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2015年11月12日に出願された米国仮出願第62/254,654号、及び2015年11月12日
に出願された米国仮出願第62/254,651号からの優先権の恩典を主張するものであり、それ
らの全体の内容は、それぞれ引用により本明細書中に組み込まれる。
【0002】
本願は、EFS-Web経由のASCII形式で提出された配列表を含有し、その全体が引用により
本明細書中に組み込まれる。2016年11月2日に作成された前記ASCIIコピーは、13194-017-
228_Sequence_Listing.txtと名付けられ、サイズは112,465バイトである。
【背景技術】
【0003】
(1. 序論)
本願は、一般的に、癌などの腫瘍性疾患に対する好適なワクチンである遺伝子改変アレ
ナウイルスに関する。本明細書に記載されるアレナウイルスは、ワクチン及び/又は腫瘍
性疾患の治療及び/又は免疫療法で使用するのに好適であり得る。特に、本明細書に提供
されるのは、免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて遺伝子改変アレナウイルスを投
与することにより腫瘍性疾患を治療する方法及び組成物であり、該アレナウイルスは、腫
瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含むように改
変されている。
【0004】
(2. 背景)
(2.1 リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルスの研究及びヒトの疾患)
アレナウイルス科のメンバーであるリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)は、ウイル
ス感染の研究における原型のマウスモデルウイルスである。1930年代のその単離(Rivers
及びMcNair Scottの文献, 1935, Science, 81(2105): 439-440)以来、このウイルスを用
いた研究は、ウイルスの免疫学及び病原性において多くの重要な概念を明らかにした(Zin
kernagelの文献, 2002, Curr Top Microbiol Immunol, 263:1-5; Oldstoneの文献, 2002,
Curr Top Microbiol Immunol, 263:83-117にまとめられている)。LCMVは、特に持続感染
との関連でウイルスの分子生物学及び免疫応答を調べるために広く使用されている。LCMV
の自然宿主はマウスであるが、LCMVはまだ調べられていないヒト病原体でもある可能性を
いくつかの報告が明らかにした(Bartonの文献, 1996, Clin. Infect. Dis, 22(1):197; W
rightらの文献 , 1997, Pediatrics 100(1): E9)。さらに、アレナウイルス科の多数の他
のメンバーは、世界中の齧歯類集団で発見されている。アフリカで見つけることができる
旧世界アレナウイルスのラッサウイルス(LASV)に加えて、フニン、グアナリト又はマチ
ュポのようないくつかの新世界アレナウイルスが、南米の多様な齧歯類集団に蔓延してい
る(Johnsonらの文献, 1966, Am J Trop Med Hyg, 15(1): 103-106; Teshらの文献, 1993,
Am J Trop Med Hyg 49(2):227-235; Millsらの文献, 1994, Trop Med Hyg 51(5): 554-5
62)。ヒトへの感染時に、これらのウイルスの多くは、高い死亡率と関連するウイルス性
出血熱を引き起こし得る(Geisbert及びJahrlingの文献, 2004, Nat Med 10(12 Suppl): S
110-121)。
【0005】
(2.2 リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルスのゲノム構成)
アレナウイルスはエンベロープウイルスである。そのゲノムは、ネガティブセンスの一
本鎖RNAの2つのセグメントからなる(L: 7.2kb, S: 3.4kb)。各セグメントは、反対方向に
2つのウイルス遺伝子をコードしている。短いセグメント(Sセグメント)は、ウイルス糖
タンパク質(GP)前駆体(GP-C; 75kDa)及び核タンパク質(NP; 63kDa)をコードしている(S
alvatoらの文献,1988, Virology 164(2): 517-522)。長いセグメント(Lセグメント)は
、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp; Lタンパク質; 約200kDa)及びマトリックスタンパク
質Z(タンパク質Z)、RINGフィンガータンパク質(11kDa)を発現する(
図1A)(Salvato
らの文献, 1988, Virology 164(2): 517-522)。GP前駆体GP-Cは、翻訳後にGP-1及びGP-2
に開裂し、非共有結合の状態にある(Buchmeier及びOldstoneの文献, 1979, Virology 99(
1): 111-120)。GP-1及びGP-2の三量体は、ビリオンの表面上でスパイクとしてアセンブル
し、細胞表面受容体との相互作用によって、宿主細胞への侵入を媒介するのに必須である
。ウイルスの結合及び宿主細胞への侵入は、LCMVの唯一の細胞受容体としての細胞受容体
α-ジストログリカンとLCMV GPの相互作用によって媒介されると長い間主張された(Caoら
の文献, 1998, Science, 282(5396):2079-2081)。ごく最近、3つの追加のヒト分子(TAM
ファミリーからのAxl及びTyro3並びに樹状細胞特異的細胞内接着分子3-結合ノンインテグ
リン)が、α-ジストログリカンと独立して細胞内へのLCMVの侵入を可能にする、LCMV及
びLCMVに密接に関連するLASVの追加の受容体と仮定された(Shimojima及びKawaokaの文献,
2012, J Vet Med, 74(10):1363-1366; Shimojimaらの文献, 2012, J Virol 86(4):2067-
2078)。NPは、ウイルスRNAに結合し、ヌクレオカプシドを形成し、ウイルスLタンパク質
の鋳型として機能する。ウイルスLタンパク質と結合したヌクレオカプシドは、いわゆる
リボ核タンパク質複合体を形成し、これは、複製と転写の両方で活性があり、ウイルス感
染の最小単位を表す。NP及びLタンパク質が、ウイルスRNAの転写及び複製に必要である最
小トランス作用因子であることが示されている(Leeらの文献, 2000, J Virol 74(8): 347
0-3477)。各セグメント上の2つの遺伝子は、非コード遺伝子間領域(IGR)によって隔て
られており、5'及び3'非翻訳領域(UTR)が隣接している。IGRは、安定なヘアピン構造を
形成し、ウイルスmRNA転写の構造依存的終結に関与することが示されている(Pinschewer
らの文献, 2005, J Virol 79(7): 4519-4526)。UTRの末端ヌクレオチドは、高度の相補性
を示し、二次構造の形成をもたらす。これらのパンハンドル構造は、転写及び複製のため
のウイルスプロモーターとして機能することが知られており、部位特異的突然変異誘発に
よるそれらの分析は、マイナーな配列変化でさえ許容されない配列依存性及び構造依存性
を明らかにした(Perez及びde la Torreの文献, 2003, Virol 77(2): 1184-1194)。
【0006】
(2.3 逆遺伝学的システム)
LCMV様マイナス鎖ウイルスの単離及び精製されたRNAは、mRNAとして直接機能すること
ができない、すなわち、細胞に導入された時に、翻訳され得ない。その結果、ウイルスRN
Aでの細胞のトランスフェクションは、感染性ウイルス粒子の生成をもたらさない。培養
された許容細胞においてcDNAからマイナス鎖RNAウイルスの感染性ウイルス粒子を作製す
るために、ウイルスRNAセグメント(複数可)は、転写及び複製に必要な最小限の因子で
トランス補完されなければならない。数年前に公開されたミニゲノムシステムの助けを借
りて、ウイルス粒子の転写、複製及び形成に関与するウイルスのシス作用エレメント及び
トランス作用因子は、最終的に分析することができた(Leeらの文献, 2000, J Virol 74(8
): 3470-3477; Leeらの文献, 2002, J Virol 76(12): 6393-6397; Perez及びde la Torre
の文献, 2003, J Virol 77(2): 1184-1194; Pinschewerらの文献, 2003, J Virol 77(6)
: 3882-3887; Pinschewerらの文献, 2005, J Virol 79(7): 4519-4526)。LASV及びタカリ
ベウイルスのような他のアレナウイルスについても逆遺伝学システムが確立された(Lopez
らの文献, 2001, J Virol 75(24): 12241-12251; Hassらの文献, 2004, J Virol 78(24):
13793-13803)。2つの刊行物が、それぞれpol-I/-II又はT7/pol-II駆動型プラスミドを使
用して、cDNAからの感染性LCMVの完全回収(「ウイルスレスキュー」と呼ばれる)を示し
た(Flatz らの文献, 2006, Proc Natl Acad Sci USA 103(12): 4663-4668; Sanchez及びd
e la Torreの文献, 2006, Virology 350(2): 370-380)。
【0007】
(2.4 対象となる組換えLCMV発現遺伝子)
対象となる外来遺伝子を発現する組換えマイナス鎖RNAウイルスの作製が、長い間追求
されてきた。他のウイルスについて様々な戦略が公表されている(Garcia-Sastreらの文献
, 1994, J Virol 68(10): 6254-6261; Percyらの文献, 1994, J Virol 68(7): 4486-4492
; Flick及びHobomの文献, 1999, Virology 262(1): 93-103; Machadoらの文献, 2003, Vi
rology 313(1): 235-249)。過去に、二セグメントLCMV粒子のゲノムに追加の外来遺伝子
を導入することが可能であることが示されている(Emonetらの文献, 2009, PNAS, 106(9):
3473-3478)。対象となる2つの外来遺伝子が、LCMVの二セグメントゲノムに挿入されると
、2つのSセグメント及び1つのLセグメントを有する三セグメントLCMV粒子(r3LCMV)が得ら
れた。Emonetらの文献,(2009)によって公表された三セグメントウイルスにおいて、NPとG
Pの両方は、Sセグメント内でそれぞれの天然位置に保持されるため、隣接UTRの中のそれ
らの天然のプロモーター下で発現した。
【0008】
(2.5 複製欠損アレナウイルス)
最近、感染性アレナウイルス粒子は、感染細胞中でその遺伝物質を増幅及び発現する能
力を有するゲノムを含有するが、遺伝子改変されていない正常細胞ではさらなる子孫を生
成することができないように改変することはできる(すなわち、感染性複製欠損アレナウ
イルス粒子)ことが示された(国際公開番号:WO 2009/083210及び国際公開番号:WO 2014
/140301)。
【0009】
(2.6 対象となる遺伝子を発現する複製欠損アレナウイルスベクター)
抗原の発現用のベクターとしての感染性複製欠損アレナウイルスの使用が報告されてい
る(Flatzらの文献, 2010, Nat. Med.,16(3):339-345; Flatzらの文献, 2012, J. Virol.,
86(15), 7760-7770参照)。これらの感染性複製欠損アレナウイルスは、宿主細胞に感染
する、すなわち、宿主細胞に付着し、宿主細胞にその遺伝物質を放出することができる。
しかしながら、それらは、複製能を欠損している、すなわち、該アレナウイルスは、GPタ
ンパク質などのウイルスタンパク質をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)の
欠失又は機能的不活化により、非相補細胞ではさらなる感染性子孫粒子を生成することが
できない。代わりに、該ORFは、対象となる抗原のヌクレオチド配列と置換されている。2
010年のFlatzらの文献において、著者らは、OVA(SIINFEKLエピトープ)を発現させるた
めに、ベクターとして感染性複製欠損アレナウイルスを使用した。2012年のFlatzらの文
献において、著者らは、HIV/SIV Envを発現させるために、ベクターとして複製欠損アレ
ナウイルスを使用した。
【発明の概要】
【0010】
(3. 発明の概要)
本明細書に提供されるのは、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードする
ヌクレオチド配列を含むアレナウイルス粒子を使用して腫瘍性疾患を治療する方法及び組
成物である。また、本明細書に提供されるのは、免疫チェックポイント阻害剤を使用して
腫瘍性疾患を治療する方法及び組成物である。そのような免疫チェックポイント阻害剤は
、負のチェックポイント調節因子の活性を阻害するか、低下させるか又は干渉することが
できる。したがって、ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、腫瘍抗原、腫
瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含むアレナウイルス粒子
、及び負のチェックポイント調節因子の活性を阻害するか、低下させるか又は干渉する免
疫チェックポイント阻害剤を使用して腫瘍性疾患を治療する方法である。また、ある実施
態様において、本明細書に提供されるのは、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片
をコードするヌクレオチド配列を含むアレナウイルス粒子、及び負のチェックポイント調
節因子の活性を阻害するか、低下させるか又は干渉する免疫チェックポイント阻害剤を含
む組成物である。
【0011】
ある実施態様において、本明細書に提供されるアレナウイルス粒子は、腫瘍抗原、腫瘍
関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を有するアレナウイルスゲノ
ムセグメント、及びORFの野生型の位置以外の位置に少なくとも1つのアレナウイルスオー
プンリーディングフレーム(「ORF」)を含有するように改変されている。ある実施態様
において、本明細書に提供されるアレナウイルス粒子は、感染性複製欠損アレナウイルス
粒子である。他の実施態様において、本明細書に提供されるアレナウイルス粒子は、複製
欠損であるか、又は複製可能であり得る三セグメントアレナウイルス粒子である。さらに
他の実施態様において、本明細書に提供される三セグメントアレナウイルス粒子は、増殖
した時に、複製可能二セグメントウイルス粒子を生じない。
【0012】
(3.1 非天然オープンリーディングフレームを有するアレナウイルス粒子)
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、そのゲノム中のORFが再配列され
、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレ
オチド配列を有するアレナウイルスである。特定の実施態様において、本明細書に提供さ
れるアレナウイルス粒子は、野生型の位置以外の位置にアレナウイルスORFを担持するよ
うに改変されたアレナウイルスゲノムセグメントを含む。したがって、ある特定の実施態
様において、本明細書に提供されるのは、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を
コードするヌクレオチド配列;及び少なくとも1つのアレナウイルスORFを前記ORFの野生型
の位置以外の位置に含み、該ORFが、アレナウイルス粒子の糖タンパク質(「GP」)、核
タンパク質(「NP」)、マトリックスタンパク質Z(「Zタンパク質」)又はRNA依存性RNA
ポリメラーゼL(「Lタンパク質」)をコードするアレナウイルスゲノムセグメントである
。また、本明細書に提供されるのは、そのようなアレナウイルスゲノムセグメントを含有
するように改変されたアレナウイルス粒子である。
【0013】
ある実施態様において、本明細書に提供されるアレナウイルス粒子は、感染性である、
すなわち、宿主細胞に侵入するか、又は宿主細胞にその遺伝物質を注入することができる
。あるより具体的な実施態様において、本明細書に提供されるアレナウイルス粒子は、感
染性である、すなわち、宿主細胞に侵入するか、又は宿主細胞にその遺伝物質を注入し、
その後、宿主細胞でその遺伝情報を増幅し、それを発現させることができる。ある実施態
様において、本明細書に提供されるアレナウイルス粒子は、感染性複製欠損アレナウイル
ス粒子であるように改変される、すなわち、感染した細胞でその遺伝情報を増幅し、それ
を発現させる能力を有するゲノムを含有するが、非相補細胞ではさらなる感染性子孫粒子
を生成することができない。
【0014】
本明細書に提供されるアレナウイルスゲノムセグメント又はアレナウイルス粒子内に含
まれるヌクレオチド配列によりコードされる腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原は、発癌ウイルス
抗原、癌精巣抗原、癌胎児性抗原、組織分化抗原、変異型タンパク質抗原、ネオ抗原、ア
ディポフィリン、AIM-2、ALDH1AI、BCLX(L)、BING-4、CALCA、CD45、CPSF、サイクリンD1
、DKKI、ENAH(hMcna)、Ga733(EpCAM)、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250/MN/CAIX
、HER-2/neu、IDO1、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテ
イン、カリクレイン4、KIF20A、レングシン(Lengsin)、M-CSF、MCSP、mdm-2、モロエ(Mel
oe)、MMP-2、MMP-7、MUCl、MUC5AC、p53(非変異)、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE、RA
GE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RU2AS、セセルニン(secernin)1、SOX1O、STEAP1(前立腺6回膜
貫通上皮抗原1)、サバイビン(survivinn)、テロメラーゼ、VEGF、WT1、EGF-R、CEA、CD20
、CD33、CD52、糖タンパク質100(GP100又はgp100タンパク質)、MELANA/MART1、MART2、NY
-ESO-1、p53、MAGE A1、MAGE A3、MAGE-4、MAGE-5、MAGE-6、CDK4、α-アクチニン-4、AR
TC1、BCR-ABL、BCR-ABL融合タンパク質(b3a2)、B-RAF、CASP-5、CASP-8、β-カテニン、C
dc27、CDK4、CDKN2A、CLPP、COA-1、dek-can融合タンパク質、EFTUD2、伸長因子2、ETV6-
AML、ETV6-AML1融合タンパク質、FLT3-ITD、FNl、GPNMB、LDLR-フコシルトランスフェラ
ーゼAS融合タンパク質、NFYC、OGT、OS-9、pml-RARα融合タンパク質、PRDX5、PTPRK、H-
ras、K-ras (V-Ki-ras2 カーステンラット肉腫ウイルス癌遺伝子)、N-ras、RBAF600、SIR
T2、SNRPDl、SSX、SSX2、SYT-SSXl又はSYT-SSX2融合タンパク質、TGF-βRII、トリオース
リン酸イソメラーゼ、ormdm-2、LMP2、HPV E6/E7、EGFRvIII(上皮増殖因子変異体III)、
イディオタイプ、GD2、ガングリオシドG2)、Ras-変異体、p53(変異体)、プロテイナーゼ3
(PR1)、チロシナーゼ、PSA、hTERT、肉腫転座切断点、EphA2、前立腺酸性ホスファターゼ
PAP、neo-PAP、ML-IAP、AFP、ERG (TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、ALK、アンド
ロゲン受容体、サイクリンB1、ポリシアル酸、MYCN、TRP2、TRP2-Int2、GD3、フコシルGM
1、メソテリン、PSCA、sLe(a)、cyp1B1、PLAC1、GM3、BORIS、Tn、GLoboH、NY-BR-1、SAR
T3、STn、炭酸脱水酵素IX、OY-TES1、精子タンパク質17、LCK、高分子量メラノーマ関連
抗原(HMWMAA)、AKAP-4、SSX2、XAGE 1、B7H3、レグマイン、Tie 2、Page4、VEGFR2、MAD-
CT-1、FAP、PDGFR-β、MAD-CT-2、For-関連抗原1、TRP1、CA-125、CA19-9、カルレチニン
、上皮膜抗原(EMA)、上皮腫瘍抗原(ETA)、CD19、CD34、CD99、CD117、クロモグラニン、
サイトケラチン、デスミン、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、グロス嚢胞性疾患流体
タンパク質(GCDFP-15)、HMB-45抗原、Myo-D1、筋肉特異的アクチン(MSA)、ニューロフィ
ラメント、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)、胎盤アルカリホスファターゼ、シナプト
フィシス(synaptophysis)、サイログロブリン、甲状腺転写因子1、ピルビン酸キナーゼア
イソザイム型M2の二量体形態(腫瘍M2-PK)、BAGE BAGE-1、CAGE、CTAGE、FATE、GAGE、G
AGE-1、GAGE-2、GAGE-3、GAGE-4、GAGE-5、GAGE-6、GAGE-7、HCA661、HOM-TES-85、MAGEA
、MAGEB、MAGEC、NA88、NY-SAR-35、SPANXB1、SPA17、SSX、SYCP1、TPTE、炭水化物/ガン
グリオシドGM2(癌胎児性抗原-免疫原性-1 OFA-I-1)、GM3、CA 15-3 (CA 27.29/BCAA)、C
A 195、CA 242、CA 50、CAM 43、CEA、EBNA、EF2、エプスタイン-バーウイルス抗原、HLA
-A2、HLA-A11、HSP70-2、KIAAO205、MUM-1、MUM-2、MUM-3、ミオシンクラスI、GnTV、Her
v-K-mel、LAGE-1、LAGE-2、(精子タンパク質)SP17、SCP-1、P15(58)、Hom/Mel-40、E2A-P
RL、H4-RET、IGH-IGK、MYL-RAR、TSP-180、P185erbB2、p180erbB-3、c-met、nm-23H1、TA
G-72、TAG-72-4、CA-72-4、CAM 17.1、NuMa、13-カテニン、P16、TAGE、CT7、43-9F、5T4
、791Tgp72、13HCG、BCA225、BTAA、CD68/KP1、CO-029、HTgp-175、M344、MG7-Ag、MOV18
、NB/70K、NY-CO-1、RCAS1、SDCCAG16、TA-90、TAAL6、TLP、TPS、CD22、CD27、CD30、CD
70、プロステイン、TARP(T細胞受容体γ選択的リーディングフレームタンパク質)、Trp-p
8、インテグリンαvβ3 (CD61)、ガラクチン、又はRal-B、CD123、CLL-1、CD38、CS-1、C
D138、及びROR1からなる群から選択される腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原のうちの1以上であ
り得る。ある実施態様において、該ヌクレオチド配列は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ
、8つ、9つ、10又はそれより多くの腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコード
する。ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原の抗原性
断片は、アレナウイルス内に含まれるヌクレオチド配列によってコードされる。
【0015】
したがって、ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供され
る腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含むアレ
ナウイルスゲノムセグメントである。ある実施態様において、該ゲノムセグメントは、OR
Fの野生型の位置以外の位置にアレナウイルスORFを担持するために改変される。いくつか
の実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントは、
(i)NPをコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるSセグメント;
(ii)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるSセグメント
;
(iii)Lタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるSセグメン
ト;
(iv)GPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるSセグメント;
(v)Lタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるSセグメント;
(vi)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるSセグメント
;
(vii)GPをコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(viii)NPをコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(ix)Lタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント
;
(x)GPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;
(xi)NPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;及び
(xii)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメン
ト;
からなる群から選択される。
【0016】
ある実施態様において、該アレナウイルスの3'UTRは、アレナウイルスSセグメント又は
アレナウイルスLセグメントの3'UTRである。ある実施態様において、該アレナウイルスの
5'UTRは、アレナウイルスSセグメント又はアレナウイルスLセグメントの5'UTRである。
【0017】
ある実施態様において、本明細書に提供されるアレナウイルス粒子は、該アレナウイル
ス粒子がSセグメント及びLセグメントを含むように第2のアレナウイルスのゲノムセグメ
ントを含む。
【0018】
ある実施態様において、本明細書に提供されるアレナウイルス粒子は、感染性である、
すなわち、宿主細胞に侵入するか、又は宿主細胞にその遺伝物質を注入することができる
。あるより具体的な実施態様において、本明細書に提供されるアレナウイルス粒子は、感
染性である、すなわち、宿主細胞に侵入するか、又は宿主細胞にその遺伝物質を注入し、
その後、宿主細胞でその遺伝情報を増幅し、それを発現させることができる。ある実施態
様において、該アレナウイルス粒子は、感染した細胞でその遺伝情報を増幅し、それを発
現させる能力を有するゲノムを含有するが、非相補細胞ではさらなる感染性子孫粒子を生
成することができないように改変された感染性複製欠損アレナウイルス粒子である。ある
実施態様において、該アレナウイルス粒子は、複製可能であり、遺伝子改変されていない
正常細胞でさらなる感染性子孫粒子を生成することができる。あるより具体的な実施態様
において、そのような複製可能粒子は、複製可能粒子が由来する野生型ウイルスに比べて
弱毒化される。
【0019】
ある実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルス粒子
を含む、本明細書に提供されるアレナウイルスゲノムセグメントは、少なくとも部分的に
除去されているか、又は機能的に不活化されている少なくとも1つのアレナウイルスORFを
含む。該ORFは、アレナウイルス粒子のGP、NP、Zタンパク質、又はLタンパク質をコード
することができる。さらに、ある実施態様において、GP、NP、Zタンパク質、又はLタンパ
ク質をコードする少なくとも1つのORFは、除去されており、かつ本明細書に提供される腫
瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と置換されてい
る。ある実施態様において、GP、NP、Zタンパク質、及びLタンパク質をコードする4つのO
RFのうちの1つのみが除去されている。したがって、ある実施態様において、GPをコード
するORFは除去されている。ある実施態様において、NPをコードするORFは除去されている
。ある実施態様において、Zタンパク質をコードするORFは除去されている。ある実施態様
において、Lタンパク質をコードするORFは除去されている。
【0020】
ある実施態様において、本明細書に提供される二セグメント感染性複製欠損アレナウイ
ルス粒子は、少なくとも部分的に除去されているか、又は機能的に不活化された少なくと
も1つのアレナウイルスORFを含む。該ORFは、GP、NP、Zタンパク質、又はLタンパク質を
コードすることができる。さらに、ある実施態様において、GP、NP、Zタンパク質、又はL
タンパク質をコードする少なくとも1つのORFは、除去されており、かつ本明細書に提供さ
れる腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列で置換さ
れている。ある実施態様において、GP、NP、Zタンパク質及びLタンパク質をコードする4
つのORFのうちの1つのみが除去されている。したがって、ある実施態様において、GPをコ
ードするORFは除去されている。ある実施態様において、NPをコードするORFは除去されて
いる。ある実施態様において、Zタンパク質をコードするORFは除去されている。ある実施
態様において、Lタンパク質をコードするORFは除去されている。
【0021】
ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性
断片をコードするヌクレオチド配列を含む二セグメント感染性複製欠損アレナウイルス粒
子は、さらに、少なくとも1つの免疫調節ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質をコー
ドする少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む。ある実施態様において、該免疫調節ペ
プチド、ポリペプチド又はタンパク質は、カルレティキュリン(CRT)又はその断片;ユビキ
チン又はその断片;顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)又はその断片;インバ
リアント鎖(CD74)又はその抗原性断片;結核菌(Mycobacterium tuberculosis)熱ショック
タンパク質70又はその抗原性断片;単純ヘルペスウイルス1タンパク質VP22又はその抗原性
断片;CD40リガンド又はその抗原性断片;Fms関連チロシンキナーゼ3(Flt3)リガンド又はそ
の抗原性断片である。
【0022】
ある実施態様において、本明細書に提供されるアレナウイルス粒子は、リンパ球性脈絡
髄膜炎ウイルス(「LCMV」)又はフニンウイルス(「JUNV」)などの特定のアレナウイル
ス種に由来する。言い換えれば、アレナウイルス粒子をコードするゲノム情報は、アレナ
ウイルスの特定の種に由来する。したがって、ある実施態様において、該アレナウイルス
粒子は、LCMVに由来する。他の実施態様において、該アレナウイルス粒子はJUNVに由来す
る。さらに、具体的な実施態様において、該LCMVは、MP株、WE株、アームストロング株、
又はアームストロングクローン13株である。他の具体的な実施態様において、該JUNVは、
JUNVワクチンCandid #1株、又はJUNVワクチンXJクローン3株である。
【0023】
(3.2 三セグメントアレナウイルス)
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される腫瘍抗原、
腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む三セグメントアレ
ナウイルス粒子である。したがって、ある実施態様において、本明細書に提供されるアレ
ナウイルス粒子は、1つのLセグメント及び2つのSセグメント又は2つのLセグメント及び1
つのSセグメントを含むことができる。ある実施態様において、本明細書に提供される三
セグメントアレナウイルス粒子は、複製可能二セグメントアレナウイルス粒子に組換えを
起こさない。したがって、ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルス粒子の
増殖は、I型インターフェロン受容体、II型インターフェロン受容体及び組換え活性化遺
伝子1(RAG1)を欠き、104 PFUの三セグメントアレナウイルス粒子を感染させたマウスにお
ける持続感染の70日後に、複製可能二セグメント粒子をもたらさない。本明細書に提供さ
れる三セグメントアレナウイルス粒子は、ある実施態様において、遺伝的安定性が改善さ
れ、持続的な導入遺伝子発現を確実にするように改変することができる。さらに、ある実
施態様において、2つの別々のセグメントの代わりに、一方のみに2つのアレナウイルスの
ORFを結合している2つのSセグメント又は2つのLセグメントのセグメント間の組換えは、
ウイルスプロモーター活性を抑制する。
【0024】
ある実施態様において、本明細書に提供される三セグメントアレナウイルス粒子は、感
染性である、すなわち、宿主細胞に侵入するか、又は宿主細胞にその遺伝物質を注入する
ことができる。あるより具体的な実施態様において、本明細書に提供される三セグメント
アレナウイルス粒子は、感染性である、すなわち、宿主細胞に侵入するか、又は宿主細胞
にその遺伝物質を注入し、その後、宿主細胞でその遺伝情報を増幅し、それを発現させる
ことができる。ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルス粒子は、感染した
細胞でその遺伝情報を増幅し、それを発現させる能力を有するゲノムを含有するが、非相
補細胞ではさらなる感染性子孫粒子を生成することができないように改変された感染性複
製欠損アレナウイルス粒子である。ある実施態様において、該三セグメントアレナウイル
ス粒子は、複製可能であり、遺伝子改変されていない正常細胞でさらなる感染性子孫粒子
を生成することができる。あるより具体的な実施態様において、そのような複製可能粒子
は、複製可能粒子が由来する野生型ウイルスに比べて弱毒化される。
【0025】
本明細書に提供される三セグメントアレナウイルス粒子内に含まれるヌクレオチド配列
によりコードされる腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原は、発癌ウイルス抗原、癌精巣抗原、癌胎
児性抗原、組織分化抗原、変異型タンパク質抗原、ネオ抗原、アディポフィリン、AIM-2
、ALDH1AI、BCLX(L)、BING-4、CALCA、CD45、CPSF、サイクリンD1、DKKI、ENAH(hMcna)、
Ga733(EpCAM)、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250/MN/CAIX、HER-2/neu、IDO1、IG
F2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、
KIF20A、レングシン、M-CSF、MCSP、mdm-2、モロエ、MMP-2、MMP-7、MUCl、MUC5AC、p53
(非変異)、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RU2AS、セセ
ルニン1、SOX1O、STEAP1 (前立腺6回膜貫通上皮抗原1)、サバイビン、テロメラーゼ、VEG
F、WT1、EGF-R、CEA、CD20、CD33、CD52、糖タンパク質100(GP100又はgp100タンパク質)
、MELANA/MART1、MART2、NY-ESO-1、p53、MAGE A1、MAGE A3、MAGE-4、MAGE-5、MAGE-6、
CDK4、α-アクチニン-4、ARTC1、BCR-ABL、BCR-ABL融合タンパク質(b3a2)、B-RAF、CASP-
5、CASP-8、β-カテニン、Cdc27、CDK4、CDKN2A、CLPP、COA-1、dek-can融合タンパク質
、EFTUD2、伸長因子2、ETV6-AML、ETV6-AML1融合タンパク質、FLT3-ITD、FNl、GPNMB、LD
LR-フコシルトランスフェラーゼAS融合タンパク質、NFYC、OGT、OS-9、pml-RARα融合タ
ンパク質、PRDX5、PTPRK、H-ras、K-ras (V-Ki-ras2 カーステンラット肉腫ウイルス癌遺
伝子)、N-ras、RBAF600、SIRT2、SNRPDl、SSX、SSX2、SYT-SSXl又はSYT-SSX2融合タンパ
ク質、TGF-βRII、トリオースリン酸イソメラーゼ、ormdm-2、LMP2、HPV E6/E7、EGFRvII
I(上皮増殖因子変異体III)、イディオタイプ、GD2、ガングリオシドG2)、Ras-変異体、p5
3(変異体)、プロテイナーゼ3(PR1)、チロシナーゼ、PSA、hTERT、肉腫転座切断点、EphA2
、前立腺酸性ホスファターゼPAP、neo-PAP、ML-IAP、AFP、ERG (TMPRSS2 ETS融合遺伝子)
、NA17、PAX3、ALK、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、ポリシアル酸、MYCN、TRP2、T
RP2-Int2、GD3、フコシルGM1、メソテリン、PSCA、sLe(a)、cyp1B1、PLAC1、GM3、BORIS
、Tn、GLoboH、NY-BR-1、SART3、STn、炭酸脱水酵素IX、OY-TES1、精子タンパク質17、LC
K、高分子量メラノーマ関連抗原(HMWMAA)、AKAP-4、SSX2、XAGE 1、B7H3、レグマイン、T
ie 2、Page4、VEGFR2、MAD-CT-1、FAP、PDGFR-β、MAD-CT-2、For-関連抗原1、TRP1、CA-
125、CA19-9、カルレチニン、上皮膜抗原(EMA)、上皮腫瘍抗原(ETA)、CD19、CD34、CD99
、CD117、クロモグラニン、サイトケラチン、デスミン、グリア線維性酸性タンパク質(GF
AP)、グロス嚢胞性疾患流体タンパク質(GCDFP-15)、HMB-45抗原、Myo-D1、筋肉特異的ア
クチン(MSA)、ニューロフィラメント、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)、胎盤アルカリ
ホスファターゼ、シナプトフィシス、サイログロブリン、甲状腺転写因子1、ピルビン酸
キナーゼアイソザイム型M2の二量体形態(腫瘍M2-PK)、BAGE BAGE-1、CAGE、CTAGE、FAT
E、GAGE、GAGE-1、GAGE-2、GAGE-3、GAGE-4、GAGE-5、GAGE-6、GAGE-7、HCA661、HOM-TES
-85、MAGEA、MAGEB、MAGEC、NA88、NY-SAR-35、SPANXB1、SPA17、SSX、SYCP1、TPTE、炭
水化物/ガングリオシドGM2(癌胎児性抗原-免疫原性-1 OFA-I-1)、GM3、CA 15-3 (CA 27.
29/BCAA)、CA 195、CA 242、CA 50、CAM 43、CEA、EBNA、EF2、エプスタイン-バーウイル
ス抗原、HLA-A2、HLA-A11、HSP70-2、KIAAO205、MUM-1、MUM-2、MUM-3、ミオシンクラスI
、GnTV、Herv-K-mel、LAGE-1、LAGE-2、(精子タンパク質)SP17、SCP-1、P15(58)、Hom/Me
l-40、E2A-PRL、H4-RET、IGH-IGK、MYL-RAR、TSP-180、P185erbB2、p180erbB-3、c-met、
nm-23H1、TAG-72、TAG-72-4、CA-72-4、CAM 17.1、NuMa、13-カテニン、P16、TAGE、CT7
、43-9F、5T4、791Tgp72、13HCG、BCA225、BTAA、CD68/KP1、CO-029、HTgp-175、M344、M
G7-Ag、MOV18、NB/70K、NY-CO-1、RCAS1、SDCCAG16、TA-90、TAAL6、TLP、TPS、CD22、CD
27、CD30、CD70、プロステイン、TARP(T細胞受容体γ選択的リーディングフレームタンパ
ク質)、Trp-p8、インテグリンαvβ3(CD61)、ガラクチン、又はRal-B、CD123、CLL-1、CD
38、CS-1、CD138、及びROR1からなる群から選択される腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原のうち
の1以上であり得る。ある実施態様において、該ヌクレオチド配列は、2つ、3つ、4つ、5
つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10又はそれより多くの腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性
断片をコードする。ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原又は腫瘍関連
抗原の抗原性断片は、三セグメントアレナウイルス内に含まれるヌクレオチド配列によっ
てコードされる。
【0026】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、それらのゲノム中のORFが再配列
され、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌ
クレオチド配列を有する三セグメントアレナウイルスである。特定の実施態様において、
本明細書に提供される三セグメントアレナウイルス粒子は、野生型の位置以外の位置にア
レナウイルスORFを担持するように改変されている。したがって、ある特定の実施態様に
おいて、本明細書に提供されるのは、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコー
ドするヌクレオチド配列;及び少なくとも1つアレナウイルスORFを前記ORFの野生型の位置
以外の位置に含み、該ORFは、アレナウイルス粒子のGP、NP、Zタンパク質又はLタンパク
質をコードする。
【0027】
ある実施態様において、本明細書に提供される三セグメントアレナウイルス粒子に含ま
れる2つのSセグメントのうちの1つは:
(i)NPをコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるSセグメント;
(ii)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるSセグメント
;
(iii)Lタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるSセグメン
ト;
(iv)GPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるSセグメント;
(v)Lタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるSセグメント;
及び
(vi)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるSセグメント
;
からなる群から選択される。
【0028】
ある実施態様において、本明細書に提供される三セグメントアレナウイルス粒子に含ま
れる2つのLセグメントのうちの1つは:
(i)GPをコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(ii)NPをコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(iii)Lタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメン
ト;
(iv)GPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;
(v)NPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;及び
(vi)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント
;
からなる群から選択される。
【0029】
ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルス粒子の3'UTRは、アレナウイル
スSセグメント又はアレナウイルスLセグメントの3'UTRである。他の実施態様において、
該三セグメントアレナウイルス粒子の5'UTRは、アレナウイルスSセグメント又はアレナウ
イルスLセグメントの5'UTRである。
【0030】
ある実施態様において、2つのSセグメントは、(i)それぞれ腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又
はその抗原性断片をコードする1つ若しくは2つのヌクレオチド配列;又は(ii)1つ若しくは
2つの重複アレナウイルスORF;又は(iii)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片及び
1つの重複アレナウイルスORFをコードする1つのヌクレオチド配列を含む。
【0031】
ある実施態様において、2つのLセグメントは、(i)それぞれ腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又
はその抗原性断片をコードする1つ若しくは2つのヌクレオチド配列;又は(ii)1つ若しくは
2つの重複アレナウイルスORF;又は(iii)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片及び
1つの重複アレナウイルスORFをコードする1つのヌクレオチド配列を含む。
【0032】
ある実施態様において、本明細書に提供される三セグメントアレナウイルス粒子は、少
なくとも部分的に除去されているか、又は機能的に不活化されている少なくとも1つのア
レナウイルスORFを含む。該ORFは、アレナウイルス粒子のGP、NP、Zタンパク質、又はLタ
ンパク質をコードすることができる。さらに、ある実施態様において、GP、NP、Zタンパ
ク質、又はLタンパク質をコードする少なくとも1つのORFは、除去されており、かつ本明
細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド
配列で置換されている。ある実施態様において、GP、NP、Zタンパク質、及びLタンパク質
をコードする4つのORFのうちの1つのみが除去されている。したがって、ある実施態様に
おいて、GPをコードするORFは除去されている。ある実施態様において、NPをコードするO
RFは除去されている。ある実施態様において、Zタンパク質をコードするORFは除去されて
いる。ある実施態様において、Lタンパク質をコードするORFは除去されている。
【0033】
ある実施態様において、本明細書に提供される三セグメントアレナウイルス粒子は、リ
ンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(「LCMV」)又はフニンウイルス(「JUNV」)などの特定ア
レナウイルス種に由来する。言い換えれば、三セグメントアレナウイルス粒子をコードす
るゲノム情報は、アレナウイルスの特定の種に由来する。したがって、ある実施態様にお
いて、該三セグメントアレナウイルス粒子は、LCMVに由来する。他の実施態様において、
該三セグメントアレナウイルス粒子はJUNVに由来する。さらに、具体的な実施態様におい
て、該LCMVは、MP株、WE株、アームストロング株、又はアームストロングクローン13株で
ある。他の具体的な実施態様において、該JUNVは、JUNVワクチンCandid #1株、又はJUNV
ワクチンXJクローン3株である。
【0034】
(3.3 腫瘍性疾患を治療する方法)
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における腫瘍性疾患を治療す
る方法である。このような方法は、本明細書に提供される三セグメントアレナウイルス粒
子を含むアレナウイルス粒子及び本明細書に提供される免疫チェックポイント阻害剤を、
それを必要とする対象に投与することを含むことができる。
【0035】
ある実施態様において、本方法で使用されるアレナウイルス粒子は、本明細書に提供さ
れる感染性複製欠損アレナウイルス粒子である。ある実施態様において、本方法で使用さ
れるアレナウイルス粒子は、感染性複製欠損三セグメントアレナウイルス粒子若しくは複
製可能三セグメントアレナウイルス粒子を含む、本明細書に提供される三セグメントアレ
ナウイルス粒子である。したがって、ある実施態様において、本方法で使用される、三セ
グメントアレナウイルス粒子を含むアレナウイルス粒子は、複製欠損であり、該アレナウ
イルス粒子は:(1)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチ
ド配列を含み、かつ(2)感染した細胞でその遺伝情報を増幅し、それを発現させる能力
を有するゲノムを含有するが、非相補細胞ではさらなる感染性子孫粒子を生成することが
できないように改変されている。また、ある実施態様において、本方法で使用される三セ
グメントアレナウイルス粒子は、複製可能であり、該三セグメントアレナウイルス粒子は
、(1)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;(2
)感染した細胞でその遺伝情報を増幅し、それを発現させる能力;及び(3)遺伝子改変さ
れていない正常細胞でさらなる感染性子孫粒子を生成する能力を含むゲノムを含有するよ
うに改変されている。ある実施態様において、該免疫チェックポイント阻害剤は、負のチ
ェックポイント調節因子の活性を阻害するか、低下させるか又は干渉する。ある実施態様
において、本方法で使用されるアレナウイルス粒子は、二セグメント感染性複製欠損アレ
ナウイルス粒子である。したがって、ある実施態様において、本方法で使用される感染性
複製欠損アレナウイルス粒子は:(1)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコー
ドするヌクレオチド配列;及び(2)感染した細胞でその遺伝情報を増幅し、それを発現さ
せる能力を含むゲノムを含有するが、非相補細胞ではさらなる感染性子孫粒子を生成する
ことができないように改変されている。ある実施態様において、該免疫チェックポイント
阻害剤は、負のチェックポイント調節因子の活性を阻害するか、低下させるか、又は干渉
する。
【0036】
ある実施態様において、本明細書に提供される三セグメントアレナウイルス粒子を含む
、アレナウイルス粒子内に含まれるヌクレオチド配列によりコードされる腫瘍抗原又は腫
瘍関連抗原は、発癌ウイルス抗原、癌精巣抗原、癌胎児性抗原、組織分化抗原、変異型タ
ンパク質抗原、ネオ抗原、アディポフィリン、AIM-2、ALDH1AI、BCLX(L)、BING-4、CALCA
、CD45、CPSF、サイクリンD1、DKKI、ENAH(hMcna)、Ga733(EpCAM)、EphA3、EZH2、FGF5、
グリピカン-3、G250/MN/CAIX、HER-2/neu、IDO1、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエ
ステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、レングシン、M-CSF、MCSP
、mdm-2、モロエ、MMP-2、MMP-7、MUCl、MUC5AC、p53(非変異)、PAX5、PBF、PRAME、PS
MA、RAGE、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RU2AS、セセルニン1、SOX1O、STEAP1 (前立腺6
回膜貫通上皮抗原1)、サバイビン、テロメラーゼ、VEGF、WT1、EGF-R、CEA、CD20、CD33
、CD52、糖タンパク質100(GP100又はgp100タンパク質)、MELANA/MART1、MART2、NY-ESO-1
、p53、MAGE A1、MAGE A3、MAGE-4、MAGE-5、MAGE-6、CDK4、α-アクチニン-4、ARTC1、B
CR-ABL、BCR-ABL融合タンパク質(b3a2)、B-RAF、CASP-5、CASP-8、β-カテニン、Cdc27、
CDK4、CDKN2A、CLPP、COA-1、dek-can融合タンパク質、EFTUD2、伸長因子2、ETV6-AML、E
TV6-AML1融合タンパク質、FLT3-ITD、FNl、GPNMB、LDLR-フコシルトランスフェラーゼAS
融合タンパク質、NFYC、OGT、OS-9、pml-RARα融合タンパク質、PRDX5、PTPRK、H-ras、K
-ras (V-Ki-ras2 カーステンラット肉腫ウイルス癌遺伝子)、N-ras、RBAF600、SIRT2、SN
RPDl、SSX、SSX2、SYT-SSXl又はSYT-SSX2融合タンパク質、TGF-βRII、トリオースリン酸
イソメラーゼ、ormdm-2、LMP2、HPV E6/E7、EGFRvIII(上皮増殖因子変異体III)、イディ
オタイプ、GD2、ガングリオシドG2)、Ras-変異体、p53(変異体)、プロテイナーゼ3(PR1)
、チロシナーゼ、PSA、hTERT、肉腫転座切断点、EphA2、前立腺酸性ホスファターゼPAP、
neo-PAP、ML-IAP、AFP、ERG (TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、ALK、アンドロゲン
受容体、サイクリンB1、ポリシアル酸、MYCN、TRP2、TRP2-Int2、GD3、フコシルGM1、メ
ソテリン、PSCA、sLe(a)、cyp1B1、PLAC1、GM3、BORIS、Tn、GLoboH、NY-BR-1、SART3、S
Tn、炭酸脱水酵素IX、OY-TES1、精子タンパク質17、LCK、高分子量メラノーマ関連抗原(H
MWMAA)、AKAP-4、SSX2、XAGE 1、B7H3、レグマイン、Tie 2、Page4、VEGFR2、MAD-CT-1、
FAP、PDGFR-β、MAD-CT-2、For-関連抗原1、TRP1、CA-125、CA19-9、カルレチニン、上皮
膜抗原(EMA)、上皮腫瘍抗原(ETA)、CD19、CD34、CD99、CD117、クロモグラニン、サイト
ケラチン、デスミン、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、グロス嚢胞性疾患流体タンパ
ク質(GCDFP-15)、HMB-45抗原、Myo-D1、筋肉特異的アクチン(MSA)、ニューロフィラメン
ト、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)、胎盤アルカリホスファターゼ、シナプトフィシ
ス、サイログロブリン、甲状腺転写因子1、ピルビン酸キナーゼアイソザイム型M2の二量
体形態(腫瘍M2-PK)、BAGE BAGE-1、CAGE、CTAGE、FATE、GAGE、GAGE-1、GAGE-2、GAGE-
3、GAGE-4、GAGE-5、GAGE-6、GAGE-7、HCA661、HOM-TES-85、MAGEA、MAGEB、MAGEC、NA88
、NY-SAR-35、SPANXB1、SPA17、SSX、SYCP1、TPTE、炭水化物/ガングリオシドGM2(癌胎
児性抗原-免疫原性-1 OFA-I-1)、GM3、CA 15-3 (CA 27.29/BCAA)、CA 195、CA 242、CA 5
0、CAM 43、CEA、EBNA、EF2、エプスタイン-バーウイルス抗原、HLA-A2、HLA-A11、HSP70
-2、KIAAO205、MUM-1、MUM-2、MUM-3、ミオシンクラスI、GnTV、Herv-K-mel、LAGE-1、LA
GE-2、(精子タンパク質)SP17、SCP-1、P15(58)、Hom/Mel-40、E2A-PRL、H4-RET、IGH-IGK
、MYL-RAR、TSP-180、P185erbB2、p180erbB-3、c-met、nm-23H1、TAG-72、TAG-72-4、CA-
72-4、CAM 17.1、NuMa、13-カテニン、P16、TAGE、CT7、43-9F、5T4、791Tgp72、13HCG、
BCA225、BTAA、CD68/KP1、CO-029、HTgp-175、M344、MG7-Ag、MOV18、NB/70K、NY-CO-1、
RCAS1、SDCCAG16、TA-90、TAAL6、TLP、TPS、CD22、CD27、CD30、CD70、プロステイン、T
ARP(T細胞受容体γ選択的リーディングフレームタンパク質)、Trp-p8、インテグリンαv
β3 (CD61)、ガラクチン、又はRal-B、CD123、CLL-1、CD38、CS-1、CD138、及びROR1から
なる群から選択される腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原のうちの1以上であり得る。ある実施態
様において、該ヌクレオチド配列は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10又は
それより多くの腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードする。ある実施態様
において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片は、三セグ
メントアレナウイルスを含むアレナウイルス内に含まれるヌクレオチド配列によってコー
ドされる。
【0037】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、負のチェックポイント調節因子の
活性を阻害するか、低下させるか、又は干渉する免疫チェックポイント阻害剤を投与する
ことにより、対象における腫瘍性疾患を治療する方法である。ある実施態様において、負
のチェックポイント調節因子は、細胞傷害性T-リンパ球抗原-4(CTLA-4)、CD80、CD86、
プログラム細胞死1(PD-1)、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)、プログラム細胞死
リガンド2(PD-L2)、リンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3;CD223としても知られる)、ガレ
クチン-3、B及びTリンパ球アテニュエータ(BTLA)、T細胞膜タンパク質3(TIM3)、ガレ
クチン-9(GAL9)、B7-H1、B7-H3、B7-H4、Ig及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体
(TIGIT/Vstm3/WUCAM/VSIG9)、T細胞活性化VドメインIgサプレッサー(VISTA)、グルコ
コルチコイド誘導性腫瘍壊死因子受容体関連(GITR)タンパク質、ヘルペスウイルス侵入
メディエータ(HVEM)、OX40、CD27、CD28、CD137、CGEN-15001T、CGEN-15022、CGEN-150
27、CGEN-15049、CGEN-15052、及びCGEN-15092からなる群から選択される。
【0038】
ある実施態様において、本明細書に提供される方法を使用して治療される対象は、腫瘍
性疾患を患っているか、それを起こしやすいか、又はそのリスクに曝されている。したが
って、いくつかの実施態様において、該対象は、腫瘍性疾患を患っている。いくつかの実
施態様において、該対象は、腫瘍性疾患を起こしやすい。いくつかの実施態様において、
該対象は、腫瘍性疾患のリスクに曝されている。ある実施態様において、対象が本明細書
に提供される方法により治療可能である腫瘍性疾患は、急性リンパ芽球性白血病;急性リ
ンパ芽球性リンパ腫;急性リンパ性白血病;急性骨髄性白血病;急性骨髄性白血病(成人/子
供);副腎皮質癌;エイズ関連癌;エイズ関連リンパ腫;肛門癌;虫垂癌;星状細胞腫;非定型
奇形腫様/ラブドイド腫瘍;基底細胞癌;胆管癌、肝外(胆管細胞癌);膀胱癌;骨肉腫/悪性
線維性組織球腫;脳腫瘍(成人/子供);脳腫瘍、小脳星状細胞腫(成人/子供);脳腫瘍、
脳星状細胞腫/悪性神経膠腫脳腫瘍;脳腫瘍、上衣腫;脳腫瘍、髄芽腫;脳腫瘍、テント上原
始神経外胚葉性腫瘍;脳腫瘍、視経路及び視床下部神経膠腫;脳幹神経膠腫;乳癌;気管支腺
腫/カルチノイド;気管支腫瘍;バーキットリンパ腫;小児癌;カルチノイド胃腸腫瘍;カルチ
ノイド腫瘍;成人の癌、原発部位不明;原発不明癌;中枢神経系胎児性腫瘍;中枢神経系リン
パ腫、原発性;子宮頸癌;小児副腎皮質癌;小児癌;小児大脳星状細胞腫;脊索腫、小児;慢性
リンパ性白血病;慢性骨髄性白血病(chronic myelogenous leukemia);慢性骨髄性白血病(c
hronic myeloid leukemia);慢性骨髄増殖性障害;大腸癌;結腸直腸癌;頭蓋咽頭腫;皮膚T細
胞リンパ腫;線維形成性小円形細胞腫瘍;肺気腫;子宮内膜癌;上衣芽腫;上衣腫;食道癌;ユ
ーイングファミリー腫瘍におけるユーイング肉腫;頭蓋外胚細胞腫瘍;性腺外胚細胞腫瘍;
肝外胆管癌;胆嚢癌;胃(gastric)(胃(stomach))癌;胃カルチノイド;消化管カルチノイド
腫瘍;消化管間質腫瘍;胚細胞腫瘍:頭蓋外性腺外、又は卵巣妊娠性絨毛腫瘍;妊娠性絨毛
腫瘍、原発部位不明;神経膠腫;脳幹の神経膠腫;神経膠腫、小児期の視覚的経路及び視床
下部;ヘアリーセル白血病;頭頸部癌;心臓癌;肝細胞(肝臓)癌;ホジキンリンパ腫;下咽頭
癌;視床下部及び視経路神経膠腫;眼内黒色腫;膵島細胞癌(内分泌膵臓);カポジ肉腫;腎
臓癌(腎細胞癌);ランゲルハンス細胞組織球症;喉頭癌;口唇及び口腔の癌;脂肪肉腫;肝
臓癌(原発性);肺癌、非小細胞;肺癌、小細胞;リンパ腫、原発中枢神経系;マクログロブ
リン血症、ワルデンストレーム;男性の乳癌;骨/骨肉腫の悪性線維性組織球腫;髄芽腫;髄
上皮腫;黒色腫;黒色腫、眼内(眼);メルケル細胞癌;メルケル細胞皮膚癌;中皮腫;中皮腫
、成人悪性;原発不明転移性扁平上皮頸部癌;口腔癌;多発性内分泌腫瘍症候群;多発性骨髄
腫/形質細胞腫瘍;菌状息肉症、骨髄異形成症候群;骨髄異形成/骨髄増殖性疾患;骨髄性白
血病、慢性;骨髄性白血病、成人急性;骨髄性白血病、小児急性;骨髄腫、多発性(骨髄の
癌);骨髄増殖性障害、慢性;鼻腔及び副鼻腔の癌;鼻咽頭癌;神経芽腫、非小細胞肺癌;非
ホジキンリンパ腫;乏突起神経膠腫;口腔癌(oral cancer);口腔癌(oral cavity cancer);
中咽頭癌;骨肉腫/骨の悪性線維性組織球腫;卵巣癌;上皮性卵巣癌(表面上皮-間質腫瘍);
卵巣胚細胞腫瘍;卵巣低悪性度腫瘍;膵臓癌;膵臓癌、膵島細胞;乳頭腫症;副鼻腔及び鼻腔
の癌;副甲状腺癌;陰茎癌;咽頭癌;褐色細胞腫;松果体星状細胞腫;松果体胚細胞腫;中間分
化の松果体実質腫瘍;松果体芽腫及びテント上原始神経外胚葉性腫瘍;下垂体腫瘍;下垂体
腺腫;形質細胞腫瘍/多発性骨髄腫;胸膜肺芽腫;原発性中枢神経系リンパ腫;前立腺癌;直腸
癌;腎細胞癌(腎臓癌);腎盂及び尿管、移行上皮癌;第15染色体上のNUT遺伝子が関与する
気道癌;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫、小児;唾液腺癌;肉腫、ユーイングファミリー腫瘍;セ
ザリー症候群;皮膚癌(黒色腫);皮膚癌(非黒色腫);小細胞肺癌;小腸癌軟部組織肉腫;
軟部組織肉腫;脊髄腫瘍;扁平上皮癌;原発不明転移性扁平上皮頸部癌;胃(stomach)(胃(ga
stric))癌;テント上原始神経外胚葉性腫瘍;T細胞リンパ腫、皮膚(菌状息肉腫及びセザ
リー症候群);精巣癌;咽喉癌;胸腺腫;胸腺腫及び胸腺癌;甲状腺癌;甲状腺癌、小児;腎盂
及び尿管の移行上皮癌;尿道癌;子宮癌、子宮内膜;子宮肉腫;膣癌;外陰癌;及びウィルムス
腫瘍からなる群から選択される。
【0039】
ある実施態様において、本明細書に提供される本方法で使用される、本明細書に提供さ
れる三セグメントアレナウイルスを含むアレナウイルス粒子、及び本明細書に提供される
免疫チェックポイント阻害剤は、異なる種々の組み合わせで投与することができる。した
がって、ある実施態様において、該アレナウイルス粒子及び免疫チェックポイント阻害剤
は、同時に共投与される。他の実施態様において、該アレナウイルス粒子は、免疫チェッ
クポイント阻害剤の投与前に投与される。さらに他の実施態様において、該アレナウイル
ス粒子は、免疫チェックポイント阻害剤の投与後に投与される。アレナウイルス粒子と免
疫チェックポイント阻害剤の投与間の間隔は、数時間、数日、数週間又は数ヶ月であり得
る。したがって、いくつかの実施態様において、該間隔は、約1時間、約2時間、約3時間
、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12
時間、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約1週間、約8日、約9日、約10日、
約11日、約12日、約13日、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約
8週間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月
、約5ヶ月、約6ヶ月、又はそれ以上である。
【0040】
ある実施態様において、本明細書に提供される方法は、治療有効量の本明細書に提供さ
れる三セグメントアレナウイルスを含むアレナウイルス粒子及び本明細書に提供される免
疫チェックポイント阻害剤を投与することを含む。したがって、ある実施態様において、
本明細書に提供されるのは、対象における腫瘍性疾患を治療する方法であって、治療有効
量のアレナウイルス粒子及び治療有効量の免疫チェックポイント阻害剤を、それを必要と
する対象に投与することを含み、該アレナウイルス粒子は、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又は
その抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;及びORFの野生型の位置以外の位置に少な
くとも1つのアレナウイルスORFを含むゲノムセグメント含有するように改変されており、
該ORFは、アレナウイルス粒子のGP、NP、Zタンパク質又はLタンパク質をコードし、該免
疫チェックポイント阻害剤は、負のチェックポイント調節因子の活性を阻害するか、低下
させるか、又は干渉する、前記方法である。
【0041】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における腫瘍性疾患を治療す
る方法であって、治療有効量の二セグメント感染性複製欠損アレナウイルス粒子及び治療
有効量の免疫チェックポイント阻害剤を、それを必要とする対象に投与することを含み、
該アレナウイルス粒子は、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌク
レオチド配列、及び感染した細胞でその遺伝情報を増幅し、それを発現させる能力を含む
ゲノムを含有するが、非相補細胞ではさらなる感染性子孫粒子を生成することができない
ように改変されており、該免疫チェックポイント阻害剤は、負のチェックポイント調節因
子の活性を阻害するか、低下させるか、又は干渉する、前記方法である。
【0042】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における腫瘍性疾患を治療す
る方法であって、本明細書に提供され、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発
現する三セグメントアレナウイルスを含む2以上のアレナウイルスを該対象に投与するこ
とを含む、前記方法である。より具体的な実施態様において、本明細書に提供される方法
は、第1のアレナウイルス粒子を該対象に投与し、ある期間後に、第2のアレナウイルス粒
子を該対象に投与することを含む。さらに別の実施態様において、第1のアレナウイルス
粒子及び第2のアレナウイルス粒子は、異なるアレナウイルス種に由来し、かつ/又は異な
る腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0043】
ある実施態様において、本明細書に記載される方法は、免疫チェックポイント阻害剤と
組み合わせて、ネオ抗原をコードするアレナウイルス粒子を、それを必要とする対象に投
与することを含む。いくつかの実施態様において、該ネオ抗原は、R203M変異を有するADP
依存性グルコキナーゼ(Adpgk)である。いくつかの実施態様において、該対象は結腸癌
を有する。いくつかの実施態様において、該免疫チェックポイント阻害剤は、プログラム
細胞死1(「PD1」)に結合するか、又はその活性を阻害する抗体である。したがって、一
実施態様において、本明細書に開示されるのは、対象における結腸癌を治療する方法であ
って、アレナウイルス粒子及び免疫チェックポイント阻害剤を、それを必要とする対象に
投与することを含み、該アレナウイルス粒子は、(i)ネオ抗原又はその抗原性断片をコ
ードするヌクレオチド配列;及び(ii)ORFの野生型の位置以外の位置に少なくとも1つの
アレナウイルスORFを含むアレナウイルスゲノムセグメントを含有するように改変されて
おり、該ORFは、アレナウイルス粒子のGP、NP、Zタンパク質又はLタンパク質をコードし
、該ネオ抗原は、R203M変異を有するAdpgkであり、該免疫チェックポイント阻害剤は、PD
1に結合するか、又はそれを阻害する抗体であり、該アレナウイルス粒子は、LCMVに由来
し、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルス粒子であ
り、2つのSセグメントのうちの1つにおいて、GPをコードするORFはアレナウイルス3' UTR
の制御下にあり、2つのSセグメントの各々は、ネオ抗原又はその抗原性断片をコードする
ヌクレオチド配列を含む、前記方法。
【0044】
ある実施態様において、本明細書に記載される方法は、免疫チェックポイント阻害剤と
組み合わせて、黒色腫抗原をコードするアレナウイルス粒子を、それを必要とする対象に
投与することを含む。いくつかの実施態様において、黒色腫抗原は、糖タンパク質100(
「GP100」)、チロシナーゼ関連タンパク質1(「TRP1」)又はチロシナーゼ関連タンパク
質2(「TRP2」)である。いくつかの実施態様において、該対象は黒色腫を有する。いく
つかの実施態様において、該免疫チェックポイント阻害剤は、PD1に結合するか、又はそ
の活性を阻害する抗体である。したがって、一実施態様において、本明細書に開示される
のは、対象における黒色腫を治療する方法であって、アレナウイルス粒子及び免疫チェッ
クポイント阻害剤を、それを必要とする対象に投与することを含み、該アレナウイルス粒
子は、(i)黒色腫抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;及び(ii)OR
Fの野生型の位置以外の位置に少なくとも1つのアレナウイルスORFを含むアレナウイルス
ゲノムセグメントを含有するように改変されており、該ORFは、アレナウイルス粒子のGP
、NP、Zタンパク質又はLタンパク質をコードし、該黒色腫抗原は、GP100、TRP1及びTRP2
からなる群から選択され、免疫チェックポイント阻害剤は、PD1に結合するか、又はそれ
を阻害する抗体であり、該アレナウイルス粒子は、LCMVに由来し、1つのLセグメント及び
2つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルス粒子であり、2つのSセグメントのう
ちの1つにおいて、GPをコードするORFはアレナウイルス3' UTRの制御下にあり、2つのSセ
グメントの各々は、黒色腫抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む
、前記方法である。
【0045】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される対象におけ
る腫瘍性疾患の治療方法における、本明細書に記載されるアレナウイルス粒子及び免疫チ
ェックポイント阻害剤の使用である。
【0046】
(3.4 医薬組成物及びキット)
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される三セグメン
トアレナウイルス粒子を含むアレナウイルス粒子、本明細書に提供される免疫チェックポ
イント阻害剤、及び医薬として許容し得る担体を含む組成物、例えば、医薬組成物、免疫
原性組成物又はワクチン組成物である。したがって、いくつかの実施態様において、本明
細書に提供されるのは、本明細書に提供されるアレナウイルス粒子、本明細書に提供され
る免疫チェックポイント阻害剤及び医薬として許容し得る担体を含む医薬組成物である。
【0047】
ある実施態様において、該組成物内に含有されるアレナウイルス粒子は、本明細書に提
供される感染性複製欠損アレナウイルス粒子である。ある実施態様において、該組成物内
に含有されるアレナウイルス粒子は、感染性複製欠損三セグメントアレナウイルス粒子又
は複製可能三セグメントアレナウイルス粒子を含む本明細書に提供される三セグメントア
レナウイルス粒子である。したがって、ある実施態様において、医薬組成物、免疫原性組
成物又はワクチン組成物を含む、本明細書に提供する組成物は、複製欠損である三セグメ
ントアレナウイルス粒子を含むアレナウイルス粒子を含み、該アレナウイルス粒子は、(
1)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列、及び(2
)感染した細胞でその遺伝情報を増幅し、それを発現させる能力を含むゲノムを含有する
が、非相補細胞ではさらなる感染性子孫粒子を生成することができないように改変されて
いる。また、ある実施態様において、医薬組成物、免疫原性組成物又はワクチン組成物を
含む、本明細書に提供する組成物は、複製可能である三セグメントアレナウイルス粒子を
含み、該三セグメントアレナウイルス粒子は、(1)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗
原性断片をコードするヌクレオチド配列、(2)感染した細胞でその遺伝情報を増幅し、
それを発現させる能力、及び(3)遺伝子改変されていない正常細胞でさらなる感染性子
孫粒子を生成する能力を含むゲノムを含有するように改変されている。ある実施態様にお
いて、該免疫チェックポイント阻害剤は、負のチェックポイント調節因子の活性を阻害す
るか、低下させるか、又は干渉する。
【0048】
したがって、いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提
供される二セグメント感染性複製欠損アレナウイルス粒子、本明細書に提供される免疫チ
ェックポイント阻害剤及び医薬として許容し得る担体を含む医薬組成物である。具体的な
ある実施態様において、該アレナウイルス粒子は、(1)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はそ
の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列、及び(2)感染した細胞でその遺伝情報を
増幅し、それを発現させる能力を含むゲノムを含有するが、非相補細胞ではさらなる感染
性子孫粒子を生成することができないように改変されている。さらなる実施態様において
、該免疫チェックポイント阻害剤は、負のチェックポイント調節因子の活性を阻害するか
、低下させるか、又は干渉する。
【0049】
ある実施態様において、本明細書に提供されるアレナウイルス粒子内に含まれるヌクレ
オチド配列によりコードされる腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原は、発癌ウイルス抗原、癌精巣
抗原、癌胎児性抗原、組織分化抗原、変異型タンパク質抗原、ネオ抗原、アディポフィリ
ン、AIM-2、ALDH1AI、BCLX(L)、BING-4、CALCA、CD45、CPSF、サイクリンD1、DKKI、ENAH
(hMcna)、Ga733(EpCAM)、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250/MN/CAIX、HER-2/neu
、IDO1、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリ
クレイン4、KIF20A、レングシン、M-CSF、MCSP、mdm-2、モロエ、MMP-2、MMP-7、MUCl、M
UC5AC、p53(非変異)、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、R
U2AS、セセルニン1、SOX1O、STEAP1 (前立腺6回膜貫通上皮抗原1)、サバイビン、テロメ
ラーゼ、VEGF、WT1、EGF-R、CEA、CD20、CD33、CD52、糖タンパク質100(GP100又はgp100
タンパク質)、MELANA/MART1、MART2、NY-ESO-1、p53、MAGE A1、MAGE A3、MAGE-4、MAGE-
5、MAGE-6、CDK4、α-アクチニン-4、ARTC1、BCR-ABL、BCR-ABL融合タンパク質(b3a2)、B
-RAF、CASP-5、CASP-8、β-カテニン、Cdc27、CDK4、CDKN2A、CLPP、COA-1、dek-can融合
タンパク質、EFTUD2、伸長因子2、ETV6-AML、ETV6-AML1融合タンパク質、FLT3-ITD、FNl
、GPNMB、LDLR-フコシルトランスフェラーゼAS融合タンパク質、NFYC、OGT、OS-9、pml-R
ARα融合タンパク質、PRDX5、PTPRK、H-ras、K-ras (V-Ki-ras2 カーステンラット肉腫ウ
イルス癌遺伝子)、N-ras、RBAF600、SIRT2、SNRPDl、SSX、SSX2、SYT-SSXl又はSYT-SSX2
融合タンパク質、TGF-βRII、トリオースリン酸イソメラーゼ、ormdm-2、LMP2、HPV E6/E
7、EGFRvIII(上皮増殖因子変異体III)、イディオタイプ、GD2、ガングリオシドG2)、Ras-
変異体、p53(変異体)、プロテイナーゼ3(PR1)、チロシナーゼ、PSA、hTERT、肉腫転座切
断点、EphA2、前立腺酸性ホスファターゼPAP、neo-PAP、ML-IAP、AFP、ERG (TMPRSS2 ETS
融合遺伝子)、NA17、PAX3、ALK、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、ポリシアル酸、MY
CN、TRP2、TRP2-Int2、GD3、フコシルGM1、メソテリン、PSCA、sLe(a)、cyp1B1、PLAC1、
GM3、BORIS、Tn、GLoboH、NY-BR-1、SART3、STn、炭酸脱水酵素IX、OY-TES1、精子タンパ
ク質17、LCK、高分子量メラノーマ関連抗原(HMWMAA)、AKAP-4、SSX2、XAGE 1、B7H3、レ
グマイン、Tie 2、Page4、VEGFR2、MAD-CT-1、FAP、PDGFR-β、MAD-CT-2、For-関連抗原1
、TRP1、CA-125、CA19-9、カルレチニン、上皮膜抗原(EMA)、上皮腫瘍抗原(ETA)、CD19、
CD34、CD99、CD117、クロモグラニン、サイトケラチン、デスミン、グリア線維性酸性タ
ンパク質(GFAP)、グロス嚢胞性疾患流体タンパク質(GCDFP-15)、HMB-45抗原、Myo-D1、筋
肉特異的アクチン(MSA)、ニューロフィラメント、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)、胎
盤アルカリホスファターゼ、シナプトフィシス、サイログロブリン、甲状腺転写因子1、
ピルビン酸キナーゼアイソザイム型M2の二量体形態(腫瘍M2-PK)、BAGE BAGE-1、CAGE、
CTAGE、FATE、GAGE、GAGE-1、GAGE-2、GAGE-3、GAGE-4、GAGE-5、GAGE-6、GAGE-7、HCA66
1、HOM-TES-85、MAGEA、MAGEB、MAGEC、NA88、NY-SAR-35、SPANXB1、SPA17、SSX、SYCP1
、TPTE、炭水化物/ガングリオシドGM2(癌胎児性抗原-免疫原性-1 OFA-I-1)、GM3、CA 15
-3 (CA 27.29/BCAA)、CA 195、CA 242、CA 50、CAM 43、CEA、EBNA、EF2、エプスタイン-
バーウイルス抗原、HLA-A2、HLA-A11、HSP70-2、KIAAO205、MUM-1、MUM-2、MUM-3、ミオ
シンクラスI、GnTV、Herv-K-mel、LAGE-1、LAGE-2、(精子タンパク質)SP17、SCP-1、P15(
58)、Hom/Mel-40、E2A-PRL、H4-RET、IGH-IGK、MYL-RAR、TSP-180、P185erbB2、p180erbB
-3、c-met、nm-23H1、TAG-72、TAG-72-4、CA-72-4、CAM 17.1、NuMa、13-カテニン、P16
、TAGE、CT7、43-9F、5T4、791Tgp72、13HCG、BCA225、BTAA、CD68/KP1、CO-029、HTgp-1
75、M344、MG7-Ag、MOV18、NB/70K、NY-CO-1、RCAS1、SDCCAG16、TA-90、TAAL6、TLP、TP
S、CD22、CD27、CD30、CD70、プロステイン、TARP(T細胞受容体γ選択的リーディングフ
レームタンパク質)、Trp-p8、インテグリンαvβ3 (CD61)、ガラクチン、又はRal-B、CD1
23、CLL-1、CD38、CS-1、CD138、及びROR1からなる群から選択される腫瘍抗原又は腫瘍関
連抗原のうちの1以上であり得る。ある実施態様において、該ヌクレオチド配列は、2つ、
3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10又はそれより多くの腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又
はその抗原性断片をコードする。ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原
又は腫瘍関連抗原の抗原性断片は、アレナウイルス内に含まれるヌクレオチド配列によっ
てコードされる。
【0050】
ある実施態様において、医薬組成物、免疫原性組成物又はワクチン組成物を含む、本明
細書に提供される組成物は、負のチェックポイント調節因子の活性を阻害するか、低下さ
せるか、又は干渉する免疫チェックポイント阻害剤を含む。ある実施態様において、負の
チェックポイント調節因子は、細胞傷害性T-リンパ球抗原-4(CTLA-4)、CD80、CD86、プ
ログラム細胞死1(PD-1)、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)、プログラム細胞死リ
ガンド2(PD-L2)、リンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3;CD223としても知られる)、ガレク
チン-3、B及びTリンパ球アテニュエータ(BTLA)、T細胞膜タンパク質3(TIM3)、ガレク
チン-9(GAL9)、B7-H1、B7-H3、B7-H4、Ig及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(
TIGIT/Vstm3/WUCAM/VSIG9)、T細胞活性化VドメインIgサプレッサー(VISTA)、グルココ
ルチコイド誘導性腫瘍壊死因子受容体関連(GITR)タンパク質、ヘルペスウイルス侵入メ
ディエータ(HVEM)、OX40、CD27、CD28、CD137、CGEN-15001T、CGEN-15022、CGEN-15027
、CGEN-15049、CGEN-15052、及びCGEN-15092からなる群から選択される。
【0051】
ある実施態様において、本明細書に提供される組成物、医薬組成物、免疫原性組成物又
はワクチン組成物は、本明細書に記載される方法において使用することができる。したが
って、ある実施態様において、該組成物は、腫瘍性疾患の治療のために使用することがで
きる。具体的なある実施態様において、本明細書に提供される組成物は、急性リンパ芽球
性白血病;急性リンパ芽球性リンパ腫;急性リンパ性白血病;急性骨髄性白血病;急性骨髄性
白血病(成人/子供);副腎皮質癌;エイズ関連癌;エイズ関連リンパ腫;肛門癌;虫垂癌;星
状細胞腫;非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍;基底細胞癌;胆管癌、肝外(胆管細胞癌);膀
胱癌;骨肉腫/悪性線維性組織球腫;脳腫瘍(成人/子供);脳腫瘍、小脳星状細胞腫(成人/
子供);脳腫瘍、脳星状細胞腫/悪性神経膠腫脳腫瘍;脳腫瘍、上衣腫;脳腫瘍、髄芽腫;脳
腫瘍、テント上原始神経外胚葉性腫瘍;脳腫瘍、視経路及び視床下部神経膠腫;脳幹神経膠
腫;乳癌;気管支腺腫/カルチノイド;気管支腫瘍;バーキットリンパ腫;小児癌;カルチノイ
ド胃腸腫瘍;カルチノイド腫瘍;成人の癌、原発部位不明;原発不明癌;中枢神経系胎児性腫
瘍;中枢神経系リンパ腫、原発性;子宮頸癌;小児副腎皮質癌;小児癌;小児大脳星状細胞腫;
脊索腫、小児;慢性リンパ性白血病;慢性骨髄性白血病(chronic myelogenous leukemia);
慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia);慢性骨髄増殖性障害;大腸癌;結腸直腸癌;
頭蓋咽頭腫;皮膚T細胞リンパ腫;線維形成性小円形細胞腫瘍;肺気腫;子宮内膜癌;上衣芽腫
;上衣腫;食道癌;ユーイングファミリー腫瘍におけるユーイング肉腫;頭蓋外胚細胞腫瘍;
性腺外胚細胞腫瘍;肝外胆管癌;胆嚢癌;胃(gastric)(胃(stomach))癌; 胃カルチノイド;
消化管カルチノイド腫瘍;消化管間質腫瘍;胚細胞腫瘍:頭蓋外性腺外、又は卵巣妊娠性絨
毛腫瘍;妊娠性絨毛腫瘍、原発部位不明;神経膠腫;脳幹の神経膠腫;神経膠腫、小児期の視
覚的経路及び視床下部;ヘアリーセル白血病;頭頸部癌;心臓癌;肝細胞(肝臓)癌;ホジキ
ンリンパ腫;下咽頭癌;視床下部及び視経路神経膠腫;眼内黒色腫;膵島細胞癌(内分泌膵臓
);カポジ肉腫;腎臓癌(腎細胞癌);ランゲルハンス細胞組織球症;喉頭癌;口唇及び口腔
の癌;脂肪肉腫;肝臓癌(原発性);肺癌、非小細胞;肺癌、小細胞;リンパ腫、原発中枢神
経系;マクログロブリン血症、ワルデンストレーム;男性の乳癌;骨/骨肉腫の悪性線維性組
織球腫; 髄芽腫; 髄上皮腫;黒色腫;黒色腫、眼内(眼);メルケル細胞癌;メルケル細胞皮
膚癌;中皮腫;中皮腫、成人悪性;原発不明転移性扁平上皮頸部癌;口腔癌;多発性内分泌腫
瘍症候群;多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍;菌状息肉症、骨髄異形成症候群;骨髄異形成/骨髄
増殖性疾患;骨髄性白血病、慢性;骨髄性白血病、成人急性;骨髄性白血病、小児急性;骨髄
腫、多発性(骨髄の癌);骨髄増殖性障害、慢性;鼻腔及び副鼻腔の癌;鼻咽頭癌;神経芽腫
、非小細胞肺癌;非ホジキンリンパ腫; 乏突起神経膠腫;口腔癌(oral cancer);口腔癌(ora
l cavity cancer); 中咽頭癌;骨肉腫/骨の悪性線維性組織球腫;卵巣癌;上皮性卵巣癌(表
面上皮-間質腫瘍);卵巣胚細胞腫瘍;卵巣低悪性度腫瘍;膵臓癌;膵臓癌、膵島細胞;乳頭腫
症;副鼻腔及び鼻腔の癌;副甲状腺癌;陰茎癌;咽頭癌;褐色細胞腫;松果体星状細胞腫;松果
体胚細胞腫;中間分化の松果体実質腫瘍;松果体芽腫及びテント上原始神経外胚葉性腫瘍;
下垂体腫瘍;下垂体腺腫; 形質細胞腫瘍/多発性骨髄腫;胸膜肺芽腫;原発性中枢神経系リン
パ腫;前立腺癌;直腸癌;腎細胞癌(腎臓癌);腎盂及び尿管、移行上皮癌;第15染色体上のN
UT遺伝子が関与する気道癌;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫、小児;唾液腺癌;肉腫、ユーイング
ファミリー腫瘍;セザリー症候群;皮膚癌(黒色腫);皮膚癌(非黒色腫);小細胞肺癌;小
腸癌軟部組織肉腫;軟部組織肉腫;脊髄腫瘍;扁平上皮癌;原発不明転移性扁平上皮頸部癌;
胃(gastric)(胃(stomach))癌;テント上原始神経外胚葉性腫瘍;T細胞リンパ腫、皮膚(
菌状息肉腫及びセザリー症候群);精巣癌;咽喉癌;胸腺腫;胸腺腫及び胸腺癌;甲状腺癌;甲
状腺癌、小児;腎盂及び尿管の移行上皮癌;尿道癌;子宮癌、子宮内膜;子宮肉腫;膣癌;外陰
癌;及びウィルムス腫瘍からなる群から選択される腫瘍性疾患の治療のために使用するこ
とができる。
【0052】
また、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される方法を実行するために使用す
ることができるキットである。したがって、ある実施態様において、本明細書に提供され
るキットは、1以上の容器及び使用説明書を含み、該1以上の容器は、本明細書に提供され
る組成物(例えば、医薬組成物、免疫原性組成物又はワクチン組成物)を含む。他のある
実施態様において、本明細書に提供されるキットは、それぞれが本明細書に記載される方
法を実行するための活性成分を含有する容器を含む。したがって、ある実施態様において
、本明細書に提供されるキットは、2以上の容器及び使用説明書を含み、容器の1つは、本
明細書に提供される三セグメントアレナウイルス粒子を含むアレナウイルス粒子を含み、
別の容器は、本明細書に提供される免疫チェックポイント阻害剤を含む。具体的な実施態
様において、本明細書に提供されるキットは、2以上の容器及び使用説明書を含み、容器
の1つは、本明細書に提供される三セグメントアレナウイルス粒子を含むアレナウイルス
粒子を含み、別の容器は、本明細書に提供される免疫チェックポイント阻害剤を含み、該
アレナウイルス粒子は、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレ
オチド配列、及び感染した細胞でその遺伝情報を増幅し、それを発現させる能力を含むゲ
ノムを含有するが、非相補細胞ではさらなる感染性子孫粒子を生成することができないよ
うに改変されている。さらに、ある実施態様において、容器の1つは、腫瘍抗原、腫瘍関
連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列、感染した細胞でその遺伝情報
を増幅し、それを発現させる能力、及び遺伝子改変されていない正常細胞でさらなる感染
性子孫粒子を生成する能力を含むゲノムを含有するように改変されている三セグメントア
レナウイルス粒子を含む。ある実施態様において、本明細書に提供されるキットは、2以
上の容器及び使用説明書を含み、容器の1つは、本明細書に提供される二セグメント感染
性複製欠損アレナウイルス粒子を含み、別の容器は、本明細書に提供される免疫チェック
ポイント阻害剤を含む。具体的な実施態様において、本明細書に提供されるキットは、2
以上の容器及び使用説明書を含み、容器の1つは、本明細書に提供される二セグメント感
染性複製欠損アレナウイルス粒子を含み、別の容器は、本明細書に提供される免疫チェッ
クポイント阻害剤を含み、該アレナウイルス粒子は、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗
原性断片をコードするヌクレオチド配列、及び感染した細胞でその遺伝情報を増幅し、そ
れを発現させる能力を含むゲノムを含有するが、非相補細胞ではさらなる感染性子孫粒子
を生成することができないように改変されている。ある実施態様において、該免疫チェッ
クポイント阻害剤は、負のチェックポイント調節因子の活性を阻害するか、低下させるか
又は干渉する。
(3.5 慣例及び略語)
【表1】
【図面の簡単な説明】
【0053】
(4. 図面の簡単な説明)
【
図1】二セグメント及び三セグメントLCMVのゲノム構成の概略図。野生型LCMVの二セグメントゲノムは、GP及びNPをコードする1つのSセグメント並びにZタンパク質及びLタンパク質をコードする1つのLセグメントからなる(i)。両方のセグメントには、それぞれ5'UTR及び3'UTRが隣接している。組換え三セグメントLCMV(r3LCMV)のゲノムは、Sセグメントの各1つに対象となる遺伝子(ここでは、代替的に本明細書に記載される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片であり得るGFP)を挿入するための1つの位置を有する1つのLセグメント及び2つのSセグメントからなる。r3LCMV-GFP
天然(nat)は、それらの天然位置に全てのウイルス遺伝子を有する(ii)が、r3LCMV-GFP
人工(art)中のGP ORFは、3'UTRに人為的に並置され、3'UTRの制御下で発現する(iii)。
【0054】
【
図2】野生型アレナウイルスのゲノムは、短い(1;約3.4kb)RNAセグメント及び大きい(2;約7.2kb)RNAセグメントからなる。短いセグメントは、核タンパク質(3)及び糖タンパク質(4)をコードするオープンリーディングフレームを担持する。大きいセグメントは、RNA依存性RNAポリメラーゼL(5)及びマトリックスタンパク質Z(6)をコードする。野生型アレナウイルスは、糖タンパク質遺伝子を欠失させ、該糖タンパク質遺伝子の代わりに、それに対する免疫応答が誘導されることになる本明細書に記載される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片(7)を挿入することにより、複製欠損ワクチンベクターにすることができる。
【0055】
【
図3】
図3A~3Bは、腫瘍成長(
図3A)及び生存率(
図3B)についての、OVA抗原(r3LCMV-OVA)をコードする三セグメント複製可能アレナウイルスベクター及び抗PD1抗体(aPD1)で処置したMC-38 OVAマウス癌モデル(MC-38 OVADim腫瘍細胞を移植したC57BL/6マウス)の例示的な結果を示す。シンボルは、グループあたり5匹(未処置)又は6匹(他のグループ)のマウスの平均値±SEMを表す。
【0056】
【
図4】
図4A~4Cは、AdpgK
変異抗原特異的CD8+細胞傷害性T細胞の誘導(
図4A)、腫瘍成長(
図4B)及び生存率(
図4C)についての、Adpgk
変異抗原(Adpgk
変異)をコードする三セグメント複製可能(r3LCMV)又は二セグメント複製欠損(r2LCMV)アレナウイルスベクター、及び抗-PD1抗体(α-PD-1又はPD1)で処置したMC-38マウス癌モデル(MC-38腫瘍細胞を移植したC57BL/6マウス)の例示的な結果を示す。
【0057】
【
図5】
図5Aは、黒色腫マウスモデルの例示的な治療計画を表す図である。
【0058】
図5B~5Dは、腫瘍成長(
図5B)、動物の生存率(
図5C)及び生存の日数(
図5D)につい
て、
図5Aの治療計画を用いて、黒色腫抗原をコードする三セグメント複製可能(r3LCMV)
又は二セグメント複製欠損(rLCMV)アレナウイルスベクター、及び抗PD1抗体(α-PD-1
)で処置した黒色腫マウスモデル(B16F10黒色腫細胞を注射したC57BL/6マウス)の例示
的な結果を示す。Gr.1は、r3LCMV及びα-PD-1で処置したグループを示す。Gr.2は、rLCMV
及びα-PD-1で処置したグループを示す。Gr.3は、緩衝液及びα-PD-1で処置したグループ
を示す。Gr.4は、r3LCMVのみで処置したグループを示す。Gr.5は、rLCMVのみで処置した
グループを示す。Gr.6は、緩衝液のみで処置したグループを示す。シンボルは、グループ
当たり5匹のマウスの平均値±SEMを表す。
【発明を実施するための形態】
【0059】
(5. 発明の詳細な説明)
本明細書に提供されるのは、癌などの腫瘍性疾患を治療するための免疫療法である。用
語「腫瘍性」又は「腫瘍」は、細胞又は組織の異常な新たな成長を指す。この異常な新た
な成長は、腫瘍(tumor)又は腫瘍(neoplasia)としても知られている塊を形成することがで
きる。腫瘍は、良性腫瘍、非浸潤性腫瘍、悪性腫瘍、及び不確か又は未知の挙動の腫瘍を
含む。ある実施態様において、本明細書に記載される方法及び組成物を用いて治療される
腫瘍性疾患は癌である。
【0060】
本明細書に提供される免疫療法は、種々の方法及び組成物を含む。より具体的には、本
明細書に提供されるのは、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌク
レオチド配列を含むアレナウイルス粒子又はウイルスベクターである。これらの遺伝子改
変ウイルスは、癌などの腫瘍性疾患の治療のために対象に投与することができる。腫瘍抗
原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む、本明細書に
提供されるアレナウイルスの詳細な説明は、第5.1節、第5.2節、第5.3節、及び第5.4節に
見出すことができる。さらに、本明細書に記載される方法及び組成物で使用するためのア
レナウイルス粒子又はウイルスベクターの作製方法は、第5.5節及び第5.6節により詳細に
記載されている。
【0061】
対象にアレナウイルス粒子又はウイルスベクターを投与することに加えて、本明細書に
提供される腫瘍性疾患を治療するための免疫療法は、免疫チェックポイント修飾因子を含
むことができる。用語「免疫チェックポイント修飾因子」(「チェックポイント修飾因子
」又は「チェックポイント調節因子」とも呼ばれる)は、1以上のチェックポイント分子
の機能を調節(例えば、完全に又は部分的に低減、阻害、干渉、活性化、刺激、増加、強
化若しくは支持)する分子又は化合物を指す。したがって、免疫チェックポイント修飾因
子は、免疫チェックポイント阻害剤又は免疫チェックポイント活性化因子であり得る。
【0062】
「免疫チェックポイント阻害剤」は、負のチェックポイント調節因子の活性を阻害する
か、低下させるか又は干渉する分子を指す。ある実施態様において、本明細書に開示され
る方法及び組成物と共に使用するための免疫チェックポイント阻害剤は、負のチェックポ
イント調節因子の活性を直接阻害するか、又は負のチェックポイント調節因子の発現を低
下させるか、又は負のチェックポイント調節因子と結合パートナー(例えば、リガンド)
の相互作用に干渉することができる。本明細書に開示される方法及び組成物と共に使用す
るための免疫チェックポイント阻害剤は、負のチェックポイント調節因子の発現を標的に
するタンパク質、ポリペプチド、ペプチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、抗体、抗
体断片、又は阻害性RNA分子を含む。
【0063】
「負のチェックポイント調節因子」は、リガンド又はカウンター受容体による結合後に
、T細胞へ負のシグナルを送達することによって、免疫応答(例えば、T細胞活性化)を下
方制御する分子を指す。負のチェックポイント調節因子の例示的な機能は、調和がとれて
いない免疫活性化を防止し、付随的な損傷を最小限にし、かつ/又は末梢自己寛容を維持
することである。ある実施態様において、負のチェックポイント調節因子は、抗原提示細
胞が発現するリガンド又は受容体である。ある実施態様において、負のチェックポイント
調節因子は、T細胞が発現するリガンド又は受容体である。ある実施態様において、負の
チェックポイント調節因子は、抗原提示細胞とT細胞の両方が発現するリガンド又は受容
体である。
【0064】
したがって、ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、腫瘍抗原、腫瘍関連
抗原若しくはその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含むアレナウイルス粒子又
はウイルスベクター及び免疫チェックポイント阻害剤を使用して、腫瘍性疾患を治療する
方法及び組成物である。そのような免疫チェックポイント阻害剤は、負のチェックポイン
ト調節因子の活性を阻害するか、低下させるか又は干渉することができる。したがって、
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原若しくはそ
の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含むアレナウイルス粒子又はウイルスベク
ター、及び負のチェックポイント調節因子の活性を阻害するか、低下させるか、又は干渉
する免疫チェックポイント阻害剤を使用して、腫瘍性疾患を治療する方法である。また、
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原若しくはそ
の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含むアレナウイルス粒子又はウイルスベク
ター、及び負のチェックポイント調節因子の活性を阻害するか、低下させるか又は干渉す
る免疫チェックポイント阻害剤を含む組成物である。ある実施態様において、本明細書に
提供されるアレナウイルス粒子又はウイルスベクターは、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はそ
の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と、ORFの野生型の位置以外の位置に少なく
とも1つのアレナウイルスオープンリーディングフレーム(「ORF」)とを有するアレナウ
イルスゲノムセグメントを含有するように改変されている。ある実施態様において、本明
細書に提供されるアレナウイルス粒子又はウイルスベクターは、感染性複製欠損アレナウ
イルス粒子又はウイルスベクターである。他の実施態様において、本明細書に提供される
アレナウイルス粒子は、複製欠損又は複製可能であり得る三セグメントアレナウイルス粒
子又はウイルスベクターである。さらに他の実施態様において、本明細書に提供される三
セグメントアレナウイルス粒子又はウイルスベクターは、増殖した場合に、複製可能二セ
グメントウイルス粒子を生じない。アレナウイルス粒子又はウイルスベクター及び本明細
書に提供される免疫チェックポイント阻害剤を使用するための方法及び組成物は、第5.8
節及び第5.9節に詳細に記載されている。
【0065】
(5.1 非天然位置にオープンリーディングフレームを有するアレナウイルス)
本明細書に提供されるのは、ORFを再配列させ、かつ本明細書に提供される腫瘍抗原、
腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を有するアレナウイルス
である。ある実施態様において、そのようなアレナウイルスは、複製可能であり、感染性
である。したがって、ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、アレナウイル
スゲノムセグメントであり、該アレナウイルスゲノムセグメントは、それぞれの遺伝子が
、ORFのLCMV-MP(「野生型位置」と本明細書で呼ぶ)などの野生から単離されたウイルス
で見出されている位置以外の位置(すなわち、非天然位置)にアレナウイルスORFと、本
明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチ
ド配列とを担持するように改変されている。
【0066】
野生型アレナウイルスゲノムセグメント及びORFは、当技術分野で公知である。特に、
該アレナウイルスゲノムは、Sセグメント及びLセグメントからなる。該Sセグメントは、G
P及びNPをコードするORFを担持する。該Lセグメントは、Lタンパク質及びZタンパク質を
コードする。両方のセグメントは、それぞれ5'UTR及び3'UTRに隣接する。
【0067】
ある実施態様において、アレナウイルスゲノムセグメントは、野生型の位置以外の位置
に2以上のアレナウイルスORFを担持するように改変することができる。他の実施態様にお
いて、該アレナウイルスゲノムセグメントは、野生型の位置以外の位置に2つのアレナウ
イルスORF、又は3つのアレナウイルスORF、又は4つのアレナウイルスORFを担持するよう
に改変することができる。
【0068】
ある実施態様において、本明細書に提供されるアレナウイルスゲノムセグメントは、
(i)NPをコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるアレナウイルスSセグメ
ント;
(ii)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるアレナウイ
ルスSセグメント;
(iii)Lタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるアレナウイ
ルスSセグメント;
(iv)GPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるアレナウイルスSセグ
メント;
(v)Lタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるアレナウイル
スSセグメント;
(vi)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるアレナウイ
ルスSセグメント;
(vii)GPをコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるアレナウイルスLセグ
メント;
(viii)NPをコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるアレナウイルスLセ
グメント;
(ix)Lタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるアレナウイ
ルスLセグメント;
(x)GPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるアレナウイルスLセグメ
ント;
(xi)NPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるアレナウイルスLセグ
メント;及び
(xii)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるアレナウイ
ルスLセグメント;
であり得る。
【0069】
ある実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルスゲノムセグメントの非天
然位置にあるORFは、アレナウイルスの3'UTR又はアレナウイルスの5'UTRの制御下に置く
ことができる。より具体的な実施態様において、該アレナウイルスの3'UTRは、アレナウ
イルスSセグメントの3'UTRである。別の具体的な実施態様において、該アレナウイルスの
3'UTRは、アレナウイルスLセグメントの3'UTRである。より具体的な実施態様において、
該アレナウイルスの5'UTRは、アレナウイルスSセグメントの5'UTRである。他の具体的な
実施態様において、5'UTRは、Lセグメントの5'UTRである。
【0070】
他の実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルスゲノムセグメントの非天
然位置にあるORFは、アレナウイルスの保存された末端配列エレメントの制御下に置くこ
とができる(5'-及び3'-末端19~20ヌクレオチド領域)(例えば、Perez&de la Torreの文
献, 2003, J Virol., 77(2): 1184-1194参照)。
【0071】
ある実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントの非天然位置にあるORFは
、5'UTRプロモーターエレメントの制御下に置くことができる(例えば、Albarinoらの文献
, 2011, J Virol., 85(8):4020-4参照)。別の実施態様において、該アレナウイルスゲノ
ムセグメントの非天然位置にあるORFは、3'UTRプロモーターエレメントの制御下に置くこ
とができる(例えば、Albarinoらの文献, 2011, J Virol., 85(8):4020-4参照)。より具体
的な実施態様において、5'UTRプロモーターエレメントは、Sセグメント又はLセグメント
の5'UTRプロモーターエレメントである。別の具体的な実施態様において、3'UTRプロモー
ターエレメントは、Sセグメント又はLセグメントの3'UTRプロモーターエレメントである
。
【0072】
ある実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントの非天然位置にあるORFは
、切断型アレナウイルスの3'UTR又は切断型アレナウイルスの5'UTRの制御下に置くことが
できる(例えば、Perez&de la Torreの文献, 2003, J Virol., 77(2):1184-1194;Albarin
oらの文献, 2011, J Virol., 85(8):4020-4参照)。より具体的な実施態様において、該切
断型3'UTRは、アレナウイルスSセグメント又はLセグメントの3'UTRである。より具体的な
実施態様において、該切断型5'UTRは、アレナウイルスSセグメント又はLセグメントの5'U
TRである。
【0073】
また本明細書に提供されるのは、アレナウイルス粒子がSセグメント及びLセグメントを
含むように、ORFの野生型の位置以外の位置にORFを担持するように改変された第1のゲノ
ムセグメント及び第2アレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルス粒子である
。具体的な実施態様において、ORFの野生型の位置以外の位置にあるORFは、アレナウイル
スORFのうちの1つである。
【0074】
ある具体的な実施態様において、該アレナウイルス粒子は、全4つのアレナウイルスORF
の完全な相補体を含むことができる。具体的な実施態様において、該第2のアレナウイル
スゲノムセグメントは、ORFの野生型の位置以外の位置にORFを担持するように改変されて
いる。別の具体的な実施態様において、該第2のアレナウイルスゲノムセグメントは、野
生型ゲノムセグメントであり得る(すなわち、セグメント上のORFを野生型の位置に含む)
。
【0075】
ある実施態様において、該第1のアレナウイルスゲノムセグメントはLセグメントであり
、該第2のアレナウイルスゲノムセグメントはSセグメントである。他の実施態様において
、該第1のアレナウイルスゲノムセグメントはSセグメントであり、該第2のアレナウイル
スゲノムセグメントはLセグメントである。
【0076】
ORFの野生型の位置以外の位置にORFを有するゲノムセグメント及び第2のゲノムセグメ
ントを含むアレナウイルス粒子の非限定的な例を表1に示す。
表1
アレナウイルス粒子
*位置1は、アレナウイルスSセグメントの5'UTRの制御下にある;位置2は、アレナウイルス
Sセグメントの3'UTRの制御下にある;位置3は、アレナウイルスLセグメントの5'UTRの制御
下にある;位置4は、アレナウイルスLセグメントの3'UTRの制御下にある。
【表2】
【0077】
また本明細書に提供されるのは、ORFの野生型の位置以外の位置にORFと、本明細書に提
供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列とを
担持するように改変されたアレナウイルスゲノムセグメントのcDNAである。より具体的な
実施態様において、本明細書に提供されるのは、表1に記載のアレナウイルスゲノムのcDN
A又はcDNAのセットである。
【0078】
ある実施態様において、ORFの野生型の位置以外の位置にORFを担持するように改変され
たアレナウイルスゲノムセグメントのcDNAは、DNA発現ベクターの一部であるか、又はDNA
発現ベクターに組み込まれている。具体的な実施態様において、ORFの野生型の位置以外
の位置にORFを担持するように改変されたアレナウイルスゲノムセグメントのcDNAは、本
明細書に記載されるアレナウイルスゲノムセグメントの生成を促進するDNA発現ベクター
の一部であるか、又はDNA発現ベクターに組み込まれている。別の実施態様において、本
明細書に記載されるcDNAは、プラスミドに組み込むことができる。cDNA又は核酸及び発現
系のより詳細な説明は、第5.7節に提供されている。cDNAの生成のための技術は、分子生
物学並びにDNAの操作及び生成の日常的な従来技術である。当業者に公知の任意のクロー
ニング技術を使用することができる。そのような技術は周知であり、当業者は、Sambrook
及びRussellの文献、「分子クローニング、実験室マニュアル(Molecular Cloning: A lab
oratory Manual)」、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory N.Y. (2001)などの実験室
マニュアルで利用可能である。
【0079】
ある実施態様において、ORFの野生型の位置以外の位置にORFと、本明細書に提供される
腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列とを担持する
ように改変されたアレナウイルスゲノムセグメントのcDNAは、宿主細胞に導入(例えば、
トランスフェクト)される。したがって、いくつかの実施態様において、本明細書に提供
されるのは、ORFの野生型の位置以外の位置にORFと、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫
瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列とを担持するように改変さ
れたアレナウイルスゲノムセグメントのcDNA(すなわち、該ゲノムセグメントのcDNA)を含
む宿主細胞である。他の実施態様において、本明細書に記載されるcDNAは、DNA発現ベク
ターの一部であるか、又はDNA発現ベクターに組み込み、宿主細胞に導入することができ
る。したがって、いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、ベクターに
組み込まれる、本明細書に記載されるcDNAを含む宿主細胞である。他の実施態様において
、本明細書に記載されるアレナウイルスゲノムセグメントは、宿主細胞に導入される。
【0080】
ある実施態様において、本明細書に記載されるのは、本明細書に提供される腫瘍抗原、
腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含むアレナウイルスゲ
ノムセグメントを生成する方法であって、アレナウイルスゲノムセグメントのcDNAを転写
することを含む、前記方法である。ある実施態様において、ウイルスポリメラーゼタンパ
ク質は、インビトロ又はインビボでアレナウイルスゲノムセグメントの転写中に存在する
ことができる。
【0081】
ある実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントの転写は、二方向性プロモ
ーターを使用して行われる。他の実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメント
の転写は、二方向性発現カセットを使用して行われる(例えば、Ortiz-Rianoらの文献, 20
13, J Gen Virol., 94(Pt 6):1175-1188参照)。より具体的な実施態様において、該二方
向性発現カセットは、それぞれ挿入されるアレナウイルスゲノムセグメントの両側から2
つの末端へ読むポリメラーゼI及びポリメラーゼIIプロモーターの両方を含む。さらによ
り具体的な実施態様において、pol-I及びpol-IIプロモーターを有する二方向性発現カセ
ットは、両側からLセグメント及びSセグメントへ読む。
【0082】
他の実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルスゲノムセグメントのcDNA
の転写はプロモーターを含む。プロモーターの具体例としては、RNAポリメラーゼIプロモ
ーター、RNAポリメラーゼIIプロモーター、RNAポリメラーゼIIIプロモーター、T7プロモ
ーター、SP6プロモーター又はT3プロモーターが挙げられる。
【0083】
ある実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントを生成する方法はさらに、
本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオ
チド配列を含むアレナウイルスゲノムセグメントのcDNAを宿主細胞に導入することを含む
ことができる。ある実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントを生成する方
法はさらに、アレナウイルスゲノムセグメントの生成のための全ての他の成分を発現する
宿主細胞に、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコード
するヌクレオチド配列を含むアレナウイルスゲノムセグメントのcDNAを導入すること、及
び該宿主細胞の上清から該アレナウイルスゲノムセグメントを精製すること、を含むこと
ができる。そのような方法は、当業者に周知である。
【0084】
本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される核酸、ベクター、及び組成物に感染
した細胞株、培養物及び細胞を培養する方法である。本明細書に記載される核酸、ベクタ
ー系及び細胞株のより詳細な説明は、第5.7節に提供されている。
【0085】
ある実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルス粒子は、感染性で複製可
能なアレナウイルス粒子をもたらす。具体的な実施態様において、本明細書に記載される
アレナウイルス粒子は弱毒化される。特定の実施態様において、該アレナウイルス粒子は
、ウイルスが、依然として少なくとも部分的に広がることができ、インビボで複製できる
が、不顕レベルの非病原性感染をもたらす低いウイルス負荷しか発生させることができな
いように弱毒化される。そのような弱毒化ウイルスは、免疫原性組成物として使用するこ
とができる。本明細書に提供されるのは、第5.9節に記載される、非天然位置にあるORFを
有するアレナウイルスを含む免疫原性組成物である。
【0086】
(5.1.1 非天然位置にオープンリーディングフレームを有する複製欠損アレナウイルス粒
子)
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)ORFが該ORFの野生型の位置以
外の位置にある;かつ(ii)得られるウイルスがさらなる感染性子孫ウイルス粒子を生成す
ることができないように、GP、NP、Zタンパク質、及びLタンパク質をコードするORFが除
去されているか又は機能的に不活化されたアレナウイルス粒子である。1以上のORFが欠失
した又は機能的に不活化された遺伝子改変ゲノムを含むアレナウイルス粒子は、相補細胞
(すなわち、欠失した又は機能的に不活化されたアレナウイルスORFを発現する細胞)で生
成することができる。得られるアレナウイルス粒子の遺伝物質は、宿主細胞の感染時に宿
主細胞に移され、その中で該遺伝物質は発現及び増幅することができる。さらに、本明細
書に記載される遺伝子改変アレナウイルス粒子のゲノムは、アレナウイルス粒子以外の生
物からの異種ORFをコードすることができる。
【0087】
ある実施態様において、アレナウイルスのORFは、欠失しているか、又は機能的に不活
化され、本明細書に記載される腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原をコードするヌクレオチド配列
で置換されている。具体的な実施態様において、該アレナウイルスの糖タンパク質GPをコ
ードするORFは、欠失しているか、又は機能的に不活化されている。ある実施態様におい
て、遺伝子の機能的不活化は、任意の翻訳産物を排除する。ある実施態様において、機能
的不活化は、ある程度の翻訳を可能にする遺伝的変化を指し、しかしながら、翻訳産物は
、もはや機能的ではなく、野生型タンパク質と置換することはできない。
【0088】
ある実施態様において、GP、NP、Zタンパク質、及びLタンパク質をコードする4つのORF
のうちの少なくとも1つは、除去され、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又
はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と置換されている。別の実施態様におい
て、GP、NP、Zタンパク質及びLタンパク質をコードする少なくとも1つのORF、少なくとも
2つのORF、少なくとも3つのORF、又少なくとも4つのORFは、除去され、本明細書に提供さ
れる腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と置換す
ることができる。具体的な実施態様において、GP、NP、Zタンパク質、及びLタンパク質を
コードする4つのORFのうちの1つのみが、除去され、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫
瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と置換される。より具体的
な実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントのGPをコードするORFは、除去
される。別の具体的な実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントのNPをコー
ドするORFは、除去される。より具体的な実施態様において、該アレナウイルスゲノムセ
グメントのZタンパク質をコードするORFは、除去される。さらに別の具体的な実施態様に
おいて、Lタンパク質をコードするORFは、除去される。
【0089】
したがって、ある実施態様において、本明細書に提供されるアレナウイルス粒子は、(i
)非天然位置にORFを担持するように改変され、(ii)GP、NP、Zタンパク質、又はLタンパク
質をコードするORFが除去され;(iii)除去されるORFが、本明細書に提供される腫瘍抗原、
腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と置換されているゲノム
セグメントを含む。
【0090】
ある実施態様において、腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原の断片は、(i)宿主(例えば、マ
ウス、ウサギ、ヤギ、ロバ又はヒト)における抗体の免疫応答を誘発することができ、生
じた抗体が腫瘍細胞(例えば、癌細胞)内又は腫瘍細胞上で発現する免疫原性タンパク質
に特異的に結合する場合、かつ/又は(ii)特異的なT細胞免疫応答を誘発することができ
る場合に抗原性である。
【0091】
ある実施態様において、本明細書に提供される抗原性断片をコードするヌクレオチド配
列は、8~100ヌクレオチド長、15~100ヌクレオチド長、25~100ヌクレオチド長、50~20
0ヌクレオチド長、50~400ヌクレオチド長、200~500ヌクレオチド長、又は400~600ヌク
レオチド長、500~800ヌクレオチド長である。他の実施態様において、本明細書に提供さ
れる抗原性断片をコードするヌクレオチド配列は、750~900ヌクレオチド長、800~100ヌ
クレオチド長、850~1000ヌクレオチド長、900~1200ヌクレオチド長、1000~1200ヌクレ
オチド長、1000~1500ヌクレオチド又は10~1500ヌクレオチド長、1500~2000ヌクレオチ
ド長、1700~2000ヌクレオチド長、2000~2300ヌクレオチド長、2200~2500ヌクレオチド
長、2500~3000ヌクレオチド長、3000~3200ヌクレオチド長、3000~3500ヌクレオチド長
、3200~3600ヌクレオチド長、3300~3800ヌクレオチド長、4000ヌクレオチド長~4400ヌ
クレオチド長、4200~4700ヌクレオチド長、4800~5000ヌクレオチド長、5000~5200ヌク
レオチド長、5200~5500ヌクレオチド長、5500~5800ヌクレオチド長、5800~6000ヌクレ
オチド長、6000~6400ヌクレオチド長、6200~6800ヌクレオチド長、6600~7000ヌクレオ
チド長、7000~7200ヌクレオチド長、7200~7500ヌクレオチド長、又は7500ヌクレオチド
長である。いくつかの実施態様において、該ヌクレオチド配列は、5~10アミノ酸長、10
~25アミノ酸長、25~50アミノ酸長、50~100アミノ酸長、100~150アミノ酸長、150~20
0アミノ酸長、200~250アミノ酸長、250~300アミノ酸長、300~400アミノ酸長、400~50
0アミノ酸長、500~750アミノ酸長、750~1000アミノ酸長、1000~1250アミノ酸長、1250
~1500アミノ酸長、1500~1750アミノ酸長、1750~2000アミノ酸長、2000~2500アミノ酸
長、又は2500以上のアミノ酸長であるペプチド又はポリペプチドをコードする。いくつか
の実施態様において、該ヌクレオチド配列は、2500アミノ酸長を超えないポリペプチドを
コードする。具体的な実施態様において、該ヌクレオチド配列は終止コドンを含まない。
ある実施態様において、該ヌクレオチド配列はコドン最適化されている。ある実施態様に
おいて、ヌクレオチド組成、ヌクレオチド対組成又はその両方を最適化することができる
。そのような最適化のための技術は、当技術分野で公知であり、本明細書に提供される腫
瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を最適化するた
めに適用することができる。
【0092】
ある実施態様において、該アレナウイルス粒子の増殖及び感染は、本明細書に提供され
る腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列に影響され
ない。
【0093】
当業者に公知の技術は、野生型の位置以外の位置にアレナウイルスORFと、本明細書に
提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と
を担持するように改変されたアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルス粒子
を生成するために使用されてよい。例えば、逆遺伝学技術を使用して、そのようなアレナ
ウイルス粒子を作製してよい。他の実施態様において、該複製欠損アレナウイルス粒子(
すなわち、野生型の位置以外の位置にアレナウイルスORFを担持するように改変されたア
レナウイルスゲノムセグメントであって、GP、NP、Zタンパク質、Lタンパク質をコードす
るORFが欠失している)は、相補細胞で生成することができる。
【0094】
ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性
断片をコードするヌクレオチド配列を含む、本明細書に提供されるアレナウイルス粒子又
はアレナウイルスゲノムセグメントは、さらに、少なくとも1つの免疫調節ペプチド、ポ
リペプチド又はタンパク質をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む。ある
実施態様において、免疫調節ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質は、カルレティキュ
リン(CRT)若しくはその断片、ユビキチン若しくはその断片、顆粒球マクロファージコロ
ニー刺激因子(GM-CSF)若しくはその断片、インバリアント鎖(CD74)若しくはその抗原性断
片、結核菌熱ショックタンパク質70若しくはその抗原性断片、単純ヘルペスウイルス1タ
ンパク質VP22若しくはその抗原性断片、CD40リガンド若しくはその抗原性断片、又はFms-
関連チロシンキナーゼ3(Flt3)リガンド若しくはその抗原性断片である。
【0095】
ある実施態様において、本願に従って使用されるアレナウイルスゲノムセグメント又は
アレナウイルス粒子は、旧世界ウイルス、例えば、ラッサウイルス、リンパ球性脈絡髄膜
炎ウイルス(LCMV)、モバラウイルス、モペイアウイルス、又はイッピウイルス、又は新
世界ウイルス、例えば、アマパリウイルス、フレキサル(Flexal)ウイルス、グアナリトウ
イルス、フニンウイルス、ラテンウイルス、マチュポウイルス、オリベロスウイルス、パ
ラナウイルス、ピチンデウイルス、ピリタルウイルス、サビアウイルス、タカリベウイル
ス、タミアミウイルス、ベアキャニオン(Bear Canyon)ウイルス、又はホワイトウォータ
ーアロヨウイルスであり得る。
【0096】
ある実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルス粒子は、ワクチンとして
使用するのに好適であり、腫瘍性疾患、例えば、癌のためのワクチン接種及び治療におけ
るそのようなアレナウイルス粒子を使用する方法が提供される。本明細書に記載されるア
レナウイルス粒子を使用する方法のより詳細な説明は、第5.8節に提供されている。
【0097】
ある実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルス粒子は、医薬組成物とし
て使用するのに好適であり、腫瘍性疾患、例えば、癌のためのワクチン接種及び治療にお
けるそのようなアレナウイルス粒子を使用する方法が提供される。本明細書に記載される
アレナウイルス粒子を使用する方法のより詳細な説明は、第5.9節に提供されている。
【0098】
(5.2 三セグメントアレナウイルス粒子)
本明細書に提供されるのは、そのORFを再配列させ、かつ本明細書に提供される腫瘍抗
原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を有する三セグメン
トアレナウイルス粒子である。一態様において、本明細書に提供されるのは、1つのLセグ
メント及び2つのSセグメント又は2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメ
ントアレナウイルス粒子である。ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルス
粒子は、複製可能な二セグメントアレナウイルス粒子に組み込まれない。より具体的には
、ある実施態様において、ゲノムセグメントの2つ(例えば、それぞれ、2つのSセグメン
ト又は2つのLセグメント)は、2つの親セグメントと置換することができる単一のウイル
スセグメントを生成するように組み込むことができない。具体的な実施態様において、該
三セグメントアレナウイルス粒子は、ORFの野生型の位置以外の位置にORFと、本明細書に
提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と
を含む。さらに別の具体的な実施態様において、該三セグメントアレナウイルス粒子は、
全4つのアレナウイルスORFを含む。したがって、ある実施態様において、該三セグメント
アレナウイルス粒子は、複製可能であり、感染性である。他の実施態様において、該三セ
グメントアレナウイルス粒子は、4つのアレナウイルスORFのうちの1つを欠いている。し
たがって、ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルス粒子は、感染性である
が、非相補細胞でさらなる感染性子孫を生成することができない。
【0099】
ある実施態様において、本明細書に記載される三セグメントアレナウイルス粒子のGP、
NP、Zタンパク質、又はLタンパク質をコードするORFは、アレナウイルスの3'UTR又はアレ
ナウイルスの5'UTRの制御下に置くことができる。より具体的な実施態様において、該三
セグメントアレナウイルスの3'UTRは、アレナウイルスSセグメント(複数可)の3'UTRであ
る。別の具体的な実施態様において、該三セグメントアレナウイルスの3'UTRは、三セグ
メントアレナウイルスLセグメント(複数可)の3'UTRである。より具体的な実施態様におい
て、該三セグメントアレナウイルスの5'UTRは、アレナウイルスSセグメント(複数可)の5'
UTRである。他の具体的な実施態様において、該5'UTRは、Lセグメント(複数可)の5'UTRで
ある。
【0100】
他の実施態様において、本明細書に記載される三セグメントアレナウイルス粒子のGP、
NP、Zタンパク質、又はLタンパク質をコードするORFは、アレナウイルスの保存された末
端配列エレメント(5'及び3'末端の19~20ヌクレオチド領域)の制御下に置くことができる
(例えば、Perez&de la Torreの文献, 2003, J Virol.77(2):1184-1194参照)。
【0101】
ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルス粒子のGP、NP、Zタンパク質又
はLタンパク質をコードするORFは、5'UTRプロモーターエレメントの制御下に置くことが
できる(例えば、Albarinoらの文献, 2011, J Virol., 85(8):4020-4参照)。別の実施態様
において、該三セグメントアレナウイルス粒子のGP、NP、Zタンパク質、Lタンパク質をコ
ードするORFは、3'UTRプロモーターエレメントの制御下に置くことができる(例えば、Alb
arinoらの文献, 2011, J Virol., 85(8):4020-4参照)。より具体的な実施態様において、
5'UTRプロモーターエレメントは、Sセグメント(複数可)又はLセグメント(複数可)の5'UTR
プロモーターエレメントである。別の具体的な実施態様において、3'UTRプロモーターエ
レメントは、Sセグメント(複数可)又はLセグメント(複数可)の3'UTRプロモーターエレメ
ントである。
【0102】
ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルス粒子のGP、NP、Zタンパク質又
はLタンパク質をコードするORFは、切断型アレナウイルスの3'UTR又は切断型アレナウイ
ルスの5'UTRの制御下に置くことができる(例えば、Perez&de la Torreの文献, 2003, J
Virol., 77(2): 1184-1194; Albarinoらの文献, 2011, J Virol., 85(8):4020-4参照)。
より具体的な実施態様において、該切断型3'UTRは、該アレナウイルスSセグメント又はL
セグメントの3'UTRである。より具体的な実施態様において、該切断型5'UTRは、該アレナ
ウイルスSセグメント(複数可)又はLセグメント(複数可)の5'UTRである。
【0103】
また本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はそ
の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む三セグメントアレナウイルス粒子のcD
NAである。より具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、表2又は表3に記
載の三セグメントアレナウイルス粒子をコードするDNAヌクレオチド配列又はDNAヌクレオ
チド配列のセットである。
【0104】
ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルスゲノムをコードする核酸は、1
以上のDNA発現ベクターの一部であるか又は1以上のDNA発現ベクターに組み込まれている
。具体的な実施態様において、該三セグメントアレナウイルス粒子のゲノムをコードする
核酸は、本明細書に記載される三セグメントアレナウイルス粒子の生成を促進する1以上
のDNA発現ベクターの一部であるか又は1以上のDNA発現ベクターに組み込まれている。別
の実施態様において、本明細書に記載されるcDNAは、プラスミドに組み込むことができる
。cDNA及び発現系のより詳細な説明は、第5.7節に提供されている。cDNA生成のための技
術は、分子生物学並びにDNAの操作及び生成の日常的な従来技術である。当業者に公知の
任意のクローニング技術を使用することができる。そのような技術は周知であり、当業者
は、Sambrook及びRussellの文献、「分子クローニング、実験室マニュアル」、第3版、Co
ld Spring Harbor Laboratory N.Y. (2001)などの実験室マニュアルで利用可能である。
【0105】
ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性
断片をコードするヌクレオチド配列を含む三セグメントアレナウイルスのcDNAは、宿主細
胞に導入(例えば、トランスフェクト)される。したがって、いくつかの実施態様において
、本明細書に提供されるのは、該三セグメントアレナウイルス粒子のcDNA(すなわち、該
三セグメントアレナウイルス粒子のゲノムセグメントのcDNA)及び本明細書に提供される
腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む宿主細
胞である。他の実施態様において、本明細書に記載されるcDNAは、DNA発現ベクターの一
部であるか、又はDNA発現ベクターに組み込み、宿主細胞に導入することができる。した
がって、いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、ベクターに組み込ま
れる、本明細書に記載されるcDNAを含む宿主細胞である。他の実施態様において、本明細
書に記載される三セグメントアレナウイルスゲノムセグメント(すなわち、Lセグメント及
び/又はSセグメント又は複数のそれらのセグメント)は、宿主細胞に導入される。
【0106】
ある実施態様において、本明細書に記載されるのは、該三セグメントアレナウイルス粒
子を生成する方法であって、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原
性断片をコードするヌクレオチド配列を含む三セグメントアレナウイルス粒子のcDNAを転
写することを含む、前記方法である。ある実施態様において、ウイルスポリメラーゼタン
パク質は、インビトロ又はインビボで該三セグメントアレナウイルス粒子の転写中に存在
することができる。ある実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントの転写は
、二方向性プロモーターを使用して行われる。
【0107】
他の実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントの転写は、二方向性発現カ
セットを使用して行われる(例えば、Ortiz-Rianoらの文献, 2013, J Gen Virol., 94(Pt
6): 1175-1188参照)。より具体的な実施態様において、該二方向性発現カセットは、それ
ぞれ挿入されるアレナウイルスゲノムセグメントの両側から2つの末端へ読むポリメラー
ゼIとポリメラーゼIIプロモーターの両方を含む。
【0108】
他の実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルスゲノムセグメントのcDNA
の転写は、プロモーターを含む。プロモーターの具体例としては、RNAポリメラーゼIプロ
モーター、RNAポリメラーゼIIプロモーター、RNAポリメラーゼIIIプロモーター、T7プロ
モーター、SP6プロモーター、又はT3プロモーターが挙げられる。
【0109】
ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルス粒子を生成する方法はさらに、
本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオ
チド配列を含む三セグメントアレナウイルス粒子のcDNAを宿主細胞に導入することを含む
ことができる。ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルス粒子を生成する方
法はさらに、該三セグメントアレナウイルス粒子の生成のための全ての他の成分を発現す
る宿主細胞に、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコー
ドするヌクレオチド配列を含む三セグメントアレナウイルス粒子のcDNAを導入すること、
及び該宿主細胞の上清から該三セグメントアレナウイルス粒子を精製することを含むこと
ができる。そのような方法は、当業者に周知である。
【0110】
本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される核酸、ベクター、及び組成物に感染
した細胞株、培養物及び細胞を培養する方法である。本明細書に記載される核酸、ベクタ
ー系及び細胞株のより詳細な説明は、第5.7節に提供されている。
【0111】
ある実施態様において、本明細書に記載される三セグメントアレナウイルス粒子は、感
染性複製可能アレナウイルス粒子をもたらす。具体的な実施態様において、本明細書に記
載されるアレナウイルス粒子は弱毒化される。特定の実施態様において、該三セグメント
アレナウイルス粒子は、ウイルスが、依然として少なくとも部分的に複製可能であり、イ
ンビボで複製できるが、不顕レベルの非病原性感染をもたらす低いウイルス負荷しか発生
させることができないように弱毒化される。そのような弱毒化ウイルスは、免疫原性組成
物として使用することができる。
【0112】
ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルス粒子は、該二セグメントアレナ
ウイルス粒子と同じ親和性を有する。
【0113】
また本明細書に提供されるのは、第5.8節及び第5.9節に記載される三セグメントアレナ
ウイルス粒子を含む組成物である。
【0114】
(5.2.1 1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルス粒子)
一態様において、本明細書に提供されるのは、1つのLセグメント及び2つのSセグメント
を含む三セグメントアレナウイルス粒子である。ある実施態様において、1つのLセグメン
ト及び2つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルス粒子の増殖は、複製可能二セ
グメントウイルス粒子をもたらさない。具体的な実施態様において、1つのLセグメント及
び2つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルス粒子の増殖は、I型インターフェ
ロン受容体、II型インターフェロン受容体及び組換え活性化遺伝子(RAG1)を欠き、104 PF
Uの三セグメントアレナウイルス粒子(第5.10.14節参照)に感染させたマウスにおける持続
感染の少なくとも10日、少なくとも20日、少なくとも30日、少なくとも40日、少なくとも
50日、少なくとも60日、少なくとも70日、少なくとも80日、少なくとも90日、又は少なく
とも100日後に、複製可能二セグメントウイルス粒子をもたらさない。他の実施態様にお
いて、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルス粒子の
増殖は、少なくとも10継代、少なくとも20継代、少なくとも30継代、少なくとも40継代、
又は少なくとも50継代後に複製可能二セグメントウイルス粒子をもたらさない。
【0115】
それぞれの野生型の位置に全てのウイルス遺伝子を有する三セグメントアレナウイルス
粒子は、当技術分野で公知である(例えば、Emonetらの文献, 2011, J. Virol., 85(4):14
73; Popkinらの文献, 2011, J. Virol, 85(15):7928)。特に、該三セグメントアレナウイ
ルスゲノムは、1つのLセグメント及び2つのSセグメントからなり、その中の本明細書に提
供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列は、
各Sセグメント上の1つの位置に挿入される。より具体的には、1つのSセグメントは、それ
ぞれ、GP及び腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードする。他のSセグメン
トは、それぞれ、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片及びNPをコードする。該L
セグメントは、Lタンパク質及びZタンパク質をコードする。全てのセグメントは、それぞ
れ5'UTR及び3'UTRに隣接している。
【0116】
ある実施態様において、2つの別々のセグメントの代わりに1つのセグメント上に2つの
アレナウイルスORFを結合している、本明細書に提供される三セグメントアレナウイルス
粒子の2つのSセグメントのセグメント間の組換えは、非機能的なプロモーター(すなわち
、構造:5'UTR----5'UTR又は3'UTR----3'UTRのゲノムセグメント)をもたらし、その中で、
ゲノムの一端を形成する各UTRは、同一ゲノムの他端の逆方向反復配列である。
【0117】
ある実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントア
レナウイルス粒子は、ORFの野生型の位置以外の位置にアレナウイルスORFと、本明細書に
提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と
を担持するように改変されている。他の実施態様において、1つのLセグメント及び2つのS
セグメントを含む三セグメントアレナウイルス粒子は、野生型の位置以外の位置に2つの
アレナウイルスORF、又は3つのアレナウイルスORF、又は4つのアレナウイルスORF、又は5
つのアレナウイルスORF、又は6つのアレナウイルスORFを担持するように改変されている
。具体的な実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメン
トアレナウイルス粒子は、全4つのアレナウイルスORFの完全相補体を含む。したがって、
いくつかの実施態様において、該三セグメントアレナウイルス粒子は、感染性複製可能三
セグメントアレナウイルス粒子である。具体的な実施態様において、該三セグメントアレ
ナウイルス粒子の2つのSセグメントは、野生型の位置以外の位置にそれらのORFのうちの1
つを担持するように改変されている。より具体的な実施態様において、2つのSセグメント
は、SセグメントのORFの完全相補体を含む。ある具体的な実施態様において、該Lセグメ
ントは、野生型の位置以外の位置にORFを担持するように改変されているか、又は該Lセグ
メントは、野生型ゲノムセグメントであり得る。
【0118】
ある実施態様において、2つのSセグメントのうちの1つは:
(i)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるアレナウイル
スSセグメント;
(ii)Lタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるアレナウイ
ルスSセグメント;
(iii)NPをコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるアレナウイルスSセグ
メント;
(iv)GPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるアレナウイルスSセグ
メント;
(v)Lタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるアレナウイル
スSセグメント;及び
(vi)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるアレナウイ
ルスSセグメント;
であり得る。
【0119】
ある実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントア
レナウイルス粒子は、重複ORF(すなわち、2つの野生型SセグメントのORF、例えば、GP又
はNP)を含むことができる。具体的な実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセ
グメントを含む三セグメントアレナウイルス粒子は、1つの重複ORF(例えば、(GP、GP))又
は2つの重複ORF(例えば、(GP、GP)及び(NP、NP))を含むことができる。
【0120】
以下の表2Aは、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイ
ルス粒子のゲノム構成を示し、該三セグメントアレナウイルスゲノム中の2つのSセグメン
トのセグメント間の組換えは、複製可能二セグメントウイルス粒子をもたらさず、アレナ
ウイルスプロモーター活性を抑制する(すなわち、得られる組換えSセグメントは、3'UTR
及び5'UTRの代わりに、2つの3'UTRから構成されている)。
表2A
1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルス粒子
位置1は、アレナウイルスSセグメントの5'UTRの制御下にある;位置2は、アレナウイルスS
セグメントの3'UTRの制御下にある;位置3は、アレナウイルスSセグメントの5'UTRの制御
下にある;位置4は、アレナウイルスSセグメントの3'UTRの制御下にある;位置5は、アレナ
ウイルスLセグメントの5'UTRの制御下にある;位置6は、アレナウイルスLセグメントの3'U
TRの制御下にある。
*ORFは、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードする
ヌクレオチド配列が挿入されていることを示す。
【表3】
【0121】
ある実施態様において、位置1と位置2と間のIGRは、アレナウイルスSセグメント又はL
セグメントのIGRであり得る。位置2と位置3の間のIGRは、アレナウイルスSセグメント又
はLセグメントのIGRであり得る。位置5及び位置6の間のIGRは、アレナウイルスLセグメン
トのIGRであり得る。具体的な実施態様において、位置1と位置2の間のIGRは、アレナウイ
ルスSセグメントのIGRであり得る。位置2と位置3の間のIGRは、アレナウイルスSセグメン
トのIGRであり得る。位置5及び位置6の間のIGRは、アレナウイルスLセグメントのIGRであ
り得る。ある実施態様において、他の組み合わせも可能である。例えば、三セグメントア
レナウイルス粒子は、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含み、該三セグメントア
レナウイルスゲノム中の2つのSセグメントのセグメント間の組換えは、複製可能二セグメ
ントウイルス粒子をもたらさず、アレナウイルスプロモーター活性を抑制する(すなわち
、得られる組換えSセグメントは、3'UTR及び5'UTRの代わりに、2つの5'UTRで構成されて
いる)。
【0122】
ある実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントア
レナウイルス粒子中のSセグメントとLセグメントのセグメント間の組換えは、2つの別々
のセグメントの代わりに、1つのみのセグメント上に2つのウイルス遺伝子を有する機能的
セグメントを復元する。他の実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメント
を含む三セグメントアレナウイルス粒子中のSセグメントとLセグメントのセグメント間の
組換えは、複製可能二セグメントウイルス粒子をもたらさない。
【0123】
以下の表2Bは、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイ
ルス粒子のゲノム構成を示し、該三セグメントアレナウイルスゲノム中の1つのSセグメン
トと1つのLセグメントのセグメント間の組換えは、複製可能二セグメントウイルス粒子を
もたらさず、アレナウイルスプロモーター活性を抑制する(すなわち、得られる組換えSセ
グメントは、3'UTR及び5'UTRの代わりに、2つの3'UTRから構成されている)。
表2B
1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルス粒子
位置1は、アレナウイルスSセグメントの5'UTRの制御下にある;位置2は、アレナウイルスS
セグメントの3'UTRの制御下にある;位置3は、アレナウイルスSセグメントの5'UTRの制御
下にある;位置4は、アレナウイルスSセグメントの3'UTRの制御下にある;位置5は、アレナ
ウイルスLセグメントの5'UTRの制御下にある;位置6は、アレナウイルスLセグメントの3'U
TRの制御下にある。
*ORFは、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードする
ヌクレオチド配列が挿入されていることを示す。
【表4】
【0124】
ある実施態様において、位置1と位置2と間のIGRは、アレナウイルスSセグメント又はL
セグメントのIGRであり得る。位置2と位置3の間のIGRは、アレナウイルスSセグメント又
はLセグメントのIGRであり得る。位置5及び位置6の間のIGRは、アレナウイルスLセグメン
トのIGRであり得る。具体的な実施態様において、位置1と位置2の間のIGRは、アレナウイ
ルスSセグメントのIGRであり得る。位置2と位置3の間のIGRは、アレナウイルスSセグメン
トのIGRであり得る。位置5及び位置6の間のIGRは、アレナウイルスLセグメントのIGRであ
り得る。ある実施態様において、他の組み合わせも可能である。例えば、三セグメントア
レナウイルス粒子は、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含み、該三セグメントア
レナウイルスゲノム中の2つのSセグメントのセグメント間の組換えは、複製可能二セグメ
ントウイルス粒子をもたらさず、アレナウイルスプロモーター活性を抑制する(すなわち
、得られる組換えSセグメントは、3'UTR及び5'UTRの代わりに、2つの5'UTRで構成されて
いる)。
【0125】
ある実施態様において、当業者は、表2A又は2Bに示され、かつ本明細書に記載される構
成でアレナウイルスゲノムを構築し、次いで、第5.10節に記載されるアッセイを使用して
、該三セグメントアレナウイルス粒子が遺伝的に安定であるかどうか、すなわち、本明細
書で論じられる複製可能二セグメントウイルス粒子をもたらさないかどうかを決定する。
【0126】
(5.2.2 2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルス粒子)
一態様において、本明細書に提供されるのは、2つのLセグメント及び1つのSセグメント
を含む三セグメントアレナウイルス粒子である。ある実施態様において、2つのLセグメン
ト及び1つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルス粒子の増殖は、複製可能二セ
グメントウイルス粒子をもたらさない。具体的な実施態様において、2つのLセグメント及
び1つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルス粒子の増殖は、I型インターフェ
ロン受容体、II型インターフェロン受容体及び組換え活性化遺伝子1(RAG1)を欠き、104 P
FUの三セグメントアレナウイルス粒子(第5.10.14節参照)に感染させたマウスにおける少
なくとも10日、少なくとも20日、少なくとも30日、少なくとも40日、又は少なくとも50日
、少なくとも60日、少なくとも70日、少なくとも80日、少なくとも90日、少なくとも100
日の持続後に、複製可能二セグメントウイルス粒子をもたらさない。他の実施態様におい
て、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルス粒子の増
殖は、少なくとも10継代、20継代、30継代、40継代、又は50継代後に複製可能二セグメン
トウイルス粒子をもたらさない。
【0127】
ある実施態様において、2つの別々のセグメントの代わりに、1つのセグメント上に2つ
のアレナウイルスORFを結合している、本明細書に提供される三セグメントアレナウイル
ス粒子の2つのLセグメントのセグメント間の組換えは、非機能的なプロモーター(すなわ
ち、構造:5'UTR----5'UTR又は3'UTR----3'UTRのゲノムセグメント)をもたらし、その中で
、ゲノムの一端を形成する各UTRは、同一ゲノムの他端の逆方向反復配列である。
【0128】
ある実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントア
レナウイルス粒子は、ORFの野生型の位置以外の位置にアレナウイルスORFと、本明細書に
提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と
を担持するように改変されている。他の実施態様において、2つのLセグメント及び1つのS
セグメントを含む三セグメントアレナウイルス粒子は、野生型の位置以外の位置に2つの
アレナウイルスORF、又は3つのアレナウイルスORF、又は4つのアレナウイルスORF、又は5
つのアレナウイルスORF、又は6つのアレナウイルスORFを担持するように改変されている
。具体的な実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメン
トアレナウイルス粒子は、全4つのアレナウイルスORFの完全相補体を含む。したがって、
いくつかの実施態様において、該三セグメントアレナウイルス粒子は、感染性複製可能三
セグメントアレナウイルス粒子である。具体的な実施態様において、該三セグメントアレ
ナウイルス粒子の2つのLセグメントは、野生型の位置以外の位置にそれらのORFのうちの1
つを担持するように改変されている。より具体的な実施態様において、2つのLセグメント
は、LセグメントのORFの完全相補体を含む。ある具体的な実施態様において、該Sセグメ
ントは、野生型の位置以外の位置にそれらのORFのうちの1つを担持するように改変されて
いるか、又は該Sセグメントは、野生型ゲノムセグメントであり得る。
【0129】
ある実施態様において、2つのLセグメントのうちの1つは:
(i)GPをコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(ii)NPをコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(iii)Lタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメン
ト;
(iv)GPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;
(v)NPをコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;及び
(vi)Zタンパク質をコードするORFが、アレナウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント
;
であり得る。
【0130】
ある実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントア
レナウイルス粒子は、重複ORF(すなわち、2つの野生型LセグメントのORF、例えば、Zタン
パク質又はLタンパク質)を含むことができる。具体的な実施態様において、2つのLセグメ
ント及び1つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルス粒子は、1つの重複ORF(例
えば、(Zタンパク質、Zタンパク質))又は2つの重複ORF(例えば、(Zタンパク質、Zタンパ
ク質)及び(Lタンパク質、Lタンパク質))を含むことができる。
【0131】
以下の表3は、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイ
ルス粒子のゲノム構成を示し、該三セグメントアレナウイルスゲノム中の2つのLセグメン
トのセグメント間の組換えは、複製可能二セグメントウイルス粒子をもたらさず、アレナ
ウイルスプロモーター活性を抑制する(すなわち、Sセグメントは、3'UTR及び5'UTRの代わ
りに、2つの3'UTRから構成されている)。表3に基づいて、3'UTR及び5'UTRの代わりに、2
つの5'UTRから構成されているアレナウイルス粒子を作製するために、同様の組み合わせ
を予測することができる。
表3
2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルス粒子
*位置1は、アレナウイルスLセグメントの5'UTRの制御下にある;位置2は、アレナウイルス
Lセグメントの3'UTRの制御下にある;位置3は、アレナウイルスLセグメントの5'UTRの制御
下にある;位置4は、アレナウイルスLセグメントの3'UTRの制御下にある;位置5は、アレナ
ウイルスSセグメントの5'UTRの制御下にある;位置6は、アレナウイルスSセグメントの3'U
TRの制御下にある。
*ORFは、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードする
ヌクレオチド配列が挿入されていることを示す。
【表5】
【0132】
ある実施態様において、位置1と位置2と間のIGRは、アレナウイルスSセグメント又はL
セグメントのIGRであり得る。位置2と位置3の間のIGRは、アレナウイルスSセグメント又
はLセグメントのIGRであり得る。位置5及び位置6の間のIGRは、アレナウイルスLセグメン
トのIGRであり得る。具体的な実施態様において、位置1と位置2の間のIGRは、アレナウイ
ルスLセグメントのIGRであり得る。位置2と位置3の間のIGRは、アレナウイルスLセグメン
トのIGRであり得る。位置5及び位置6の間のIGRは、アレナウイルスSセグメントのIGRであ
り得る。ある実施態様において、他の組み合わせも可能である。
【0133】
ある実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントア
レナウイルス粒子からのLセグメントとSセグメントのセグメント間の組換えは、2つの別
々のセグメントの代わりに、1つのみのセグメント上に2つのウイルス遺伝子を有する機能
的セグメントを復元する。他の実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメン
トを含む三セグメントアレナウイルス粒子中のLセグメントとSセグメントのセグメント間
の組換えは、複製可能二セグメントウイルス粒子をもたらさない。
【0134】
以下の表3Bは、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイ
ルス粒子のゲノム構成を示し、該三セグメントアレナウイルスゲノム中のLセグメントとS
セグメントのセグメント間の組換えは、複製可能二セグメントウイルス粒子をもたらさず
、アレナウイルスプロモーター活性を抑制する(すなわち、得られる組換えセグメントは
、3'UTR及び5'UTRの代わりに、2つの3'UTRから構成されている)。
表3B
2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルス粒子
*位置1は、アレナウイルスLセグメントの5'UTRの制御下にある;位置2は、アレナウイルス
Lセグメントの3'UTRの制御下にある;位置3は、アレナウイルスLセグメントの5'UTRの制御
下にある;位置4は、アレナウイルスLセグメントの3'UTRの制御下にある;位置5は、アレナ
ウイルスSセグメントの5'UTRの制御下にある;位置6は、アレナウイルスSセグメントの3'U
TRの制御下にある。
*ORFは、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードする
ヌクレオチド配列が挿入されていることを示す。
【表6】
【0135】
ある実施態様において、位置1と位置2と間のIGRは、アレナウイルスSセグメント又はL
セグメントのIGRであり得る。位置2と位置3の間のIGRは、アレナウイルスSセグメント又
はLセグメントのIGRであり得る。位置5及び位置6の間のIGRは、アレナウイルスLセグメン
トのIGRであり得る。具体的な実施態様において、位置1と位置2の間のIGRは、アレナウイ
ルスLセグメントのIGRであり得る。位置2と位置3の間のIGRは、アレナウイルスLセグメン
トのIGRであり得る。位置5及び位置6の間のIGRは、アレナウイルスSセグメントのIGRであ
り得る。ある実施態様において、他の組み合わせも可能である。
【0136】
ある実施態様において、当業者は、表3A又は3Bに示され、本明細書に記載される構成で
アレナウイルスゲノムを構築し、次いで、第5.10節に記載されるアッセイを使用して、三
セグメントアレナウイルス粒子が遺伝的に安定であるかどうか、すなわち、本明細書で論
じられる複製可能二セグメントウイルス粒子をもたらさないかどうかを決定する。
【0137】
(5.2.3 複製欠損三セグメントアレナウイルス粒子)
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)ORFが該ORFの野生型の位置以
外の位置にある;かつ(ii)得られるウイルスがさらなる感染性子孫ウイルス粒子を生成す
ることができない(すなわち、複製欠損である)ように、GP、NP、Zタンパク質、又はLタン
パク質をコードするORFが除去されているか、又は機能的に不活化されている三セグメン
トアレナウイルス粒子である。ある実施態様において、該第3のアレナウイルスセグメン
トはSセグメントであり得る。他の実施態様において、該第3のアレナウイルスセグメント
はLセグメントであり得る。より具体的な実施態様において、該第3のアレナウイルスセグ
メントは、ORFの野生型の位置以外の位置にORFを担持するように改変することができるか
、又は該第3のアレナウイルスセグメントは、野生型アレナウイルスゲノムセグメントで
あり得る。さらにより具体的な実施態様において、該第3のアレナウイルスセグメントは
、GP、NP、Zタンパク質、又はLタンパク質をコードするアレナウイルスORFを欠く。
【0138】
ある実施態様において、三セグメントゲノムセグメントは、S又はLセグメントハイブリ
ッド(すなわち、SセグメントとLセグメントの組み合わせであり得るゲノムセグメント)で
あり得る。他の実施態様において、該ハイブリッドセグメントは、LセグメントのIGRを含
むSセグメントである。別の実施態様において、該ハイブリッドセグメントは、Sセグメン
トのIGRを含むLセグメントである。他の実施態様において、該ハイブリッドセグメントは
、LセグメントのIGRを有するSセグメントのUTRである。別の実施態様において、該ハイブ
リッドセグメントは、SセグメントのIGRを有するLセグメントのUTRである。具体的な実施
態様において、該ハイブリッドセグメントは、LセグメントのIGRを有するSセグメントの5
'UTRであるか、又はLセグメントのIGRを有するSセグメントの3'UTRである。他の具体的な
実施態様において、該ハイブリッドセグメントは、SセグメントのIGRを有するLセグメン
トの5'UTR又はSセグメントのIGRを有するLセグメントの3'UTRである。
【0139】
1以上のORFが欠失しているか、又は機能的に不活化されている遺伝子改変ゲノムを含む
三セグメントアレナウイルス粒子は、相補細胞(すなわち、欠失しているか、又は機能的
に不活化されているアレナウイルスORFを発現する細胞)で生成することができる。得られ
るアレナウイルス粒子の遺伝物質は、宿主細胞の感染時に宿主細胞に移ることができ、そ
の中で該遺伝物質は発現及び増幅することができる。さらに、本明細書に記載される遺伝
子改変アレナウイルス粒子のゲノムは、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又
はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含むことができる。
【0140】
ある実施態様において、GP、NP、Zタンパク質、及びLタンパク質をコードする4つのORF
のうちの少なくとも1つは、除去され、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又
はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と置換されている。別の実施態様におい
て、GP、NP、Zタンパク質及びLタンパク質をコードする少なくとも1つのORF、少なくとも
2つのORF、少なくとも3つのORF、又は少なくとも4つのORFは、除去され、本明細書に提供
される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と置換
することができる。具体的な実施態様において、GP、NP、Zタンパク質及びLタンパク質を
コードする4つのORFのうちの1つのみが、除去され、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫
瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と置換されている。より具
体的な実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントのGPをコードするORFは除
去される。別の具体的な実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントのNPをコ
ードするORFは除去される。より具体的な実施態様において、該アレナウイルスゲノムセ
グメントのZタンパク質をコードするORFは除去される。さらに別の具体的な実施態様にお
いて、Lタンパク質をコードするORFは除去される。
【0141】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、1つのLセグメント及び2つのSセグ
メントを含み、その中で、(i)ORFが該ORFの野生型の位置以外の位置にある;かつ(ii)得ら
れるウイルスが複製欠損で、感染性ではないように、GP又はNPをコードするORFが除去さ
れているか、又は機能的に不活化されている三セグメントアレナウイルス粒子である。具
体的な実施態様において、1つのORFは、除去され、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍
関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と置換されている。別の具体
的な実施態様において、2つのORFは、除去され、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関
連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と置換されている。他の具体的
な実施態様において、3つのORFは、除去され、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連
抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と置換されている。具体的な実施
態様において、GPをコードするORFは、除去され、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍
関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と置換されている。他の具体
的な実施態様において、NPをコードするORFは、除去され、本明細書に提供される腫瘍抗
原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と置換されている。
さらにより具体的な実施態様において、NPをコードするORF及びGPをコードするORFは、除
去され、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードする
1つ又は2つのヌクレオチド配列と置換されている。したがって、ある実施態様において、
該三セグメントアレナウイルス粒子は、(i)1つのLセグメント及び2つのSセグメント;(ii)
ORFの野生型の位置以外の位置にあるORF;(iii)本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連
抗原又はその抗原性断片をコードする1以上のヌクレオチド配列を含む。
【0142】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、2つのLセグメント及び1つのSセグ
メントを含み、その中で、(i)ORFが該ORFの野生型の位置以外の位置にある;かつ(ii)得ら
れるウイルスが複製欠損で、感染性ではないように、Zタンパク質及び/又はLタンパク質
をコードするORFが除去されているか、又は機能的に不活化されている三セグメントアレ
ナウイルス粒子である。具体的な実施態様において、1つのORFは、除去され、本明細書に
提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と
置換されている。別の具体的な実施態様において、2つのORFは、除去され、本明細書に提
供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と置
換されている。具体的な実施態様において、Zタンパク質をコードするORFは、除去され、
本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオ
チド配列と置換されている。他の具体的な実施態様において、Lタンパク質をコードするO
RFは、除去され、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコ
ードするヌクレオチド配列と置換されている。さらにより具体的な実施態様において、Z
タンパク質をコードするORF及びLタンパク質をコードするORFは、除去され、本明細書に
提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と
置換されている。したがって、ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルス粒
子は、(i)2つのLセグメント及び1つのSセグメント;(ii)ORFの野生型の位置以外の位置に
あるORF;(iii)本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコー
ドするヌクレオチド配列を含む。
【0143】
したがって、ある実施態様において、本明細書に提供される三セグメントアレナウイル
ス粒子は、i)非天然位置にORFを担持するように改変され、ii)GP、NP、Zタンパク質、又
はLタンパク質をコードするORFが除去され;iii)除去されるORFが本明細書に提供される腫
瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードする1以上のヌクレオチド配列と置換
されている三セグメントアレナウイルス粒子(すなわち、1つのLセグメント及び2つのSセ
グメント又は2つのLセグメント及び1つのSセグメント)を含む。
【0144】
ある実施態様において、本明細書に提供される抗原性断片をコードするヌクレオチド配
列は、8~100ヌクレオチド長、15~100ヌクレオチド長、25~100ヌクレオチド長、50~20
0ヌクレオチド長、50~400ヌクレオチド長、200~500ヌクレオチド長、又は400~600ヌク
レオチド長、500~800ヌクレオチド長である。他の実施態様において、本明細書に提供さ
れる抗原性断片をコードするヌクレオチド配列は、750~900ヌクレオチド長、800~100ヌ
クレオチド長、850~1000ヌクレオチド長、900~1200ヌクレオチド長、1000~1200ヌクレ
オチド長、1000~1500ヌクレオチド又は10~1500ヌクレオチド長、1500~2000ヌクレオチ
ド長、1700~2000ヌクレオチド長、2000~2300ヌクレオチド長、2200~2500ヌクレオチド
長、2500~3000ヌクレオチド長、3000~3200ヌクレオチド長、3000~3500ヌクレオチド長
、3200~3600ヌクレオチド長、3300~3800ヌクレオチド長、4000ヌクレオチド長~4400ヌ
クレオチド長、4200~4700ヌクレオチド長、4800~5000ヌクレオチド長、5000~5200ヌク
レオチド長、5200~5500ヌクレオチド長、5500~5800ヌクレオチド長、5800~6000ヌクレ
オチド長、6000~6400ヌクレオチド長、6200~6800ヌクレオチド長、6600~7000ヌクレオ
チド長、7000~7200ヌクレオチド長、7200~7500ヌクレオチド長、又は7500ヌクレオチド
長である。いくつかの実施態様において、該ヌクレオチド配列は、5~10アミノ酸長、10
~25アミノ酸長、25~50アミノ酸長、50~100アミノ酸長、100~150アミノ酸長、150~20
0アミノ酸長、200~250アミノ酸長、250~300アミノ酸長、300~400アミノ酸長、400~50
0アミノ酸長、500~750アミノ酸長、750~1000アミノ酸長、1000~1250アミノ酸長、1250
~1500アミノ酸長、1500~1750アミノ酸長、1750~2000アミノ酸長、2000~2500アミノ酸
長、又は2500以上のアミノ酸長であるペプチド又はポリペプチドをコードする。いくつか
の実施態様において、該ヌクレオチド配列は、2500アミノ酸長を超えないポリペプチドを
コードする。具体的な実施態様において、該ヌクレオチド配列は終止コドンを含有しない
。ある実施態様において、該ヌクレオチド配列はコドン最適化されている。ある実施態様
において、ヌクレオチド組成、ヌクレオチド対組成又はその両方を最適化することができ
る。そのような最適化のための技術は、当技術分野で公知であり、本明細書に提供される
腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を最適化する
ために適用することができる。
【0145】
本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードする任意の
ヌクレオチド配列が、三セグメントアレナウイルス粒子に含まれてよい。一実施態様にお
いて、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌ
クレオチド配列は、免疫応答を誘発することができる。
【0146】
ある実施態様において、該アレナウイルス粒子の増殖及び感染は、本明細書に提供され
る腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列に影響され
ない。
【0147】
当業者に公知の技術を使用して、野生型の位置以外の位置にアレナウイルスORFと、本
明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチ
ド配列とを担持するように改変されたアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイ
ルス粒子を生成することができる。例えば、逆遺伝学技術を使用して、そのようなアレナ
ウイルス粒子を生成することができる。他の実施態様において、該複製欠損アレナウイル
ス粒子(すなわち、GP、NP、Zタンパク質、Lタンパク質をコードするORFが欠失しているア
レナウイルスORFを野生型の位置以外の位置に担持するように改変されたアレナウイルス
ゲノムセグメント)は、相補細胞で生成することができる。
【0148】
ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性
断片をコードするヌクレオチド配列を含む、本明細書に提供される三セグメントアレナウ
イルス粒子は、さらに、少なくとも1つの免疫調節ペプチド、ポリペプチド、又はタンパ
ク質をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む。ある実施態様において、該
免疫調節ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質は、カルレティキュリン(CRT)若しくは
その断片、ユビキチン若しくはその断片、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CS
F)若しくはその断片、インバリアント鎖(CD74)若しくはその抗原性断片、結核菌熱ショッ
クタンパク質70若しくはその抗原性断片、単純ヘルペスウイルス1タンパク質VP22若しく
はその抗原性断片、CD40リガンド若しくはその抗原性断片、又はFms-関連チロシンキナー
ゼ3(Flt3)リガンド若しくはその抗原性断片である。
【0149】
本明細書に提供される方法及び組成物と共に使用するためのアレナウイルスは、旧世界
ウイルス、例えば、ラッサウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、モバラウ
イルス、モペイアウイルス、又はイッピウイルス、又は新世界ウイルス、例えば、アマパ
リウイルス、フレキサル(Flexal)ウイルス、グアナリトウイルス、フニンウイルス、ラテ
ンウイルス、マチュポウイルス、オリベロスウイルス、パラナウイルス、ピチンデウイル
ス、ピリタルウイルス、サビアウイルス、タカリベウイルス、タミアミウイルス、ベアキ
ャニオンウイルス、又はホワイトウォーターアロヨウイルスであり得る。
【0150】
ある実施態様において、本明細書に記載される三セグメントアレナウイルス粒子は、ワ
クチンとして使用するのに好適であり、腫瘍性疾患、例えば、癌のためのワクチン接種及
び治療におけるそのようなアレナウイルス粒子を使用する方法が提供される。本明細書に
記載されるアレナウイルス粒子を使用する方法のより詳細な説明は、第5.8節に提供され
ている。
【0151】
ある実施態様において、本明細書に記載される三セグメントアレナウイルス粒子は、医
薬組成物として使用するのに好適であり、腫瘍性疾患、例えば、癌のためのワクチン接種
及び治療におけるそのようなアレナウイルス粒子を使用する方法が提供される。本明細書
に記載されるアレナウイルス粒子を使用する方法のより詳細な説明は、第5.9節に提供さ
れている。
【0152】
(5.3 感染性複製欠損アレナウイルス粒子)
本明細書に提供される遺伝子改変アレナウイルスは、
・感染性である;
・非相補細胞(すなわち、複製欠損アレナウイルスから欠落している機能性を発現せず、
それを複製欠損にさせる細胞)で感染性子孫ウイルスを形成することができない;
・そのゲノムを複製し、その遺伝情報を発現することができる;かつ
・腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードする;
アレナウイルスを含む。
【0153】
本明細書に記載される遺伝子改変アレナウイルスは、感染性である、すなわち、宿主細
胞に付着し、その遺伝物質を宿主細胞内に放出することができる。本明細書に記載される
遺伝子改変アレナウイルスは、複製欠損である、すなわち、該アレナウイルスは、非相補
細胞でさらなる感染性子孫ウイルスを形成することができない。特に、該アレナウイルス
のゲノムは、改変されたゲノムを担持するウイルスが、感染性子孫ウイルスをもはや生成
することができないように(例えば、ORFの除去又は機能的不活化により)改変されてい
る。非相補細胞は、ウイルスゲノムの改変によって複製欠損アレナウイルスから除去され
た機能性を提供しない細胞である(例えば、GPタンパク質をコードするORFは、除去されて
いるか、又は機能的に不活化されている場合、非相補細胞はGPタンパク質を提供しない)
。しかしながら、本明細書に提供される遺伝子改変アレナウイルスは、相補細胞で感染性
子孫ウイルスを生成することができる。相補細胞は、ウイルスゲノムの改変によって複製
欠損アレナウイルスから除去された機能性を(トランスに)提供する細胞である(例えば、
GPタンパク質をコードするORFが、除去されているか、又は機能的に不活化されている場
合、相補細胞はGPタンパク質を提供する)。相補機能性(例えば、GPタンパク質)の発現は
、当業者に公知の任意の方法(例えば、一過性の又は安定的な発現)によって達成すること
ができる。本明細書に記載される遺伝子改変アレナウイルスは、ウイルスが感染した細胞
内で増幅し、その遺伝情報を発現することができる。本明細書に提供される遺伝子改変ア
レナウイルスは、限定されないが、第5.4節に記載される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はそ
の抗原性断片などの腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチ
ド配列を含むことができる。
【0154】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、得られるウイルスが非相補細胞で
さらなる感染性子孫ウイルス粒子を生成することができないように、該アレナウイルスゲ
ノムのORFが除去されているか、又は機能的に不活化されている遺伝子改変アレナウイル
スである。ORFが除去されているか、又は機能的に不活化されている遺伝子改変ゲノムを
含むアレナウイルス粒子は、相補細胞で(すなわち、除去されているか、又は機能的に不
活化されているアレナウイルスORFを発現する細胞で)生成することができる。得られるア
レナウイルス粒子の遺伝物質は、宿主細胞の感染時に宿主細胞に移動し、その中で遺伝物
質を発現及び増幅することができる。さらに、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断
片をコードする、本明細書に提供される遺伝子改変アレナウイルス粒子のゲノムは、宿主
細胞内で発現することができる。
【0155】
ある実施態様において、該アレナウイルスのORFは、欠失しているか又は機能的に不活
化されており、本明細書に記載される腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原をコードするヌクレオチ
ドで置換されている。具体的な実施態様において、アレナウイルスの糖タンパク質GPをコ
ードするORFは、欠失しているか又は機能的に不活化されている。ある実施態様において
、遺伝子の機能的不活化は、任意の翻訳産物を除去する。ある実施態様において、機能的
不活化は、ある程度の翻訳を可能にする遺伝的変化を指すが、翻訳産物は、もはや機能せ
ず、野生型タンパク質と置換することはできない。
【0156】
ある実施態様において、該アレナウイルスの糖タンパク質(GP)をコードするORFは、
本明細書に提供される方法及び組成物で使用するための複製欠損アレナウイルスを作製す
るために欠失している。具体的な実施態様において、該複製欠損アレナウイルスは、腫瘍
抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含むゲノムセグ
メントを含む。したがって、ある実施態様において、本明細書に提供される遺伝子改変ア
レナウイルス粒子は、a)ゲノムセグメントの野生型形態で存在するORFの欠失又は機能的
不活化を有し、かつb)(センス又はアンチセンスのいずれかで)腫瘍抗原、腫瘍関連抗
原又はその抗原性断片をコードするゲノムセグメントを含む。
【0157】
ある実施態様において、複製欠損アレナウイルスのゲノムに挿入されるヌクレオチドが
コードする抗原は、例えば限定されないが、発癌ウイルス抗原、癌精巣抗原、癌胎児性抗
原、組織分化抗原、変異型タンパク質抗原、ネオ抗原、アディポフィリン、AIM-2、ALDH1
AI、BCLX(L)、BING-4、CALCA、CD45、CPSF、サイクリンD1、DKKI、ENAH(hMcna)、Ga733(E
pCAM)、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250/MN/CAIX、HER-2/neu、IDO1、IGF2B3、I
L13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A
、レングシン、M-CSF、MCSP、mdm-2、モロエ、MMP-2、MMP-7、MUCl、MUC5AC、p53(非変
異)、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RU2AS、セセルニン
1、SOX1O、STEAP1 (前立腺6回膜貫通上皮抗原1)、サバイビン、テロメラーゼ、VEGF、WT1
、EGF-R、CEA、CD20、CD33、CD52、糖タンパク質100(GP100又はgp100タンパク質)、MELAN
A/MART1、MART2、NY-ESO-1、p53、MAGE A1、MAGE A3、MAGE-4、MAGE-5、MAGE-6、CDK4、
α-アクチニン-4、ARTC1、BCR-ABL、BCR-ABL融合タンパク質(b3a2)、B-RAF、CASP-5、CAS
P-8、β-カテニン、Cdc27、CDK4、CDKN2A、CLPP、COA-1、dek-can融合タンパク質、EFTUD
2、伸長因子2、ETV6-AML、ETV6-AML1融合タンパク質、FLT3-ITD、FNl、GPNMB、LDLR-フコ
シルトランスフェラーゼAS融合タンパク質、NFYC、OGT、OS-9、pml-RARα融合タンパク質
、PRDX5、PTPRK、H-ras、K-ras (V-Ki-ras2 カーステンラット肉腫ウイルス癌遺伝子)、N
-ras、RBAF600、SIRT2、SNRPDl、SSX、SSX2、SYT-SSXl又はSYT-SSX2融合タンパク質、TGF
-βRII、トリオースリン酸イソメラーゼ、ormdm-2、LMP2、HPV E6/E7、EGFRvIII(上皮増
殖因子変異体III)、イディオタイプ、GD2、ガングリオシドG2)、Ras-変異体、p53(変異体
)、プロテイナーゼ3(PR1)、チロシナーゼ、PSA、hTERT、肉腫転座切断点、EphA2、前立腺
酸性ホスファターゼPAP、neo-PAP、ML-IAP、AFP、ERG (TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、
PAX3、ALK、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、ポリシアル酸、MYCN、TRP2、TRP2-Int2
、GD3、フコシルGM1、メソテリン、PSCA、sLe(a)、cyp1B1、PLAC1、GM3、BORIS、Tn、GLo
boH、NY-BR-1、SART3、STn、炭酸脱水酵素IX、OY-TES1、精子タンパク質17、LCK、高分子
量メラノーマ関連抗原(HMWMAA)、AKAP-4、SSX2、XAGE 1、B7H3、レグマイン、Tie 2、Pag
e4、VEGFR2、MAD-CT-1、FAP、PDGFR-β、MAD-CT-2、For-関連抗原1、TRP1、CA-125、CA19
-9、カルレチニン、上皮膜抗原(EMA)、上皮腫瘍抗原(ETA)、CD19、CD34、CD99、CD117、
クロモグラニン、サイトケラチン、デスミン、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、グロ
ス嚢胞性疾患流体タンパク質(GCDFP-15)、HMB-45抗原、Myo-D1、筋肉特異的アクチン(MSA
)、ニューロフィラメント、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)、胎盤アルカリホスファタ
ーゼ、シナプトフィシス、サイログロブリン、甲状腺転写因子1、ピルビン酸キナーゼア
イソザイム型M2の二量体形態(腫瘍M2-PK)、BAGE BAGE-1、CAGE、CTAGE、FATE、GAGE、G
AGE-1、GAGE-2、GAGE-3、GAGE-4、GAGE-5、GAGE-6、GAGE-7、HCA661、HOM-TES-85、MAGEA
、MAGEB、MAGEC、NA88、NY-SAR-35、SPANXB1、SPA17、SSX、SYCP1、TPTE、炭水化物/ガン
グリオシドGM2(癌胎児性抗原-免疫原性-1 OFA-I-1)、GM3、CA 15-3 (CA 27.29/BCAA)、C
A 195、CA 242、CA 50、CAM 43、CEA、EBNA、EF2、エプスタイン-バーウイルス抗原、HLA
-A2、HLA-A11、HSP70-2、KIAAO205、MUM-1、MUM-2、MUM-3、ミオシンクラスI、GnTV、Her
v-K-mel、LAGE-1、LAGE-2、(精子タンパク質)SP17、SCP-1、P15(58)、Hom/Mel-40、E2A-P
RL、H4-RET、IGH-IGK、MYL-RAR、TSP-180、P185erbB2、p180erbB-3、c-met、nm-23H1、TA
G-72、TAG-72-4、CA-72-4、CAM 17.1、NuMa、13-カテニン、P16、TAGE、CT7、43-9F、5T4
、791Tgp72、13HCG、BCA225、BTAA、CD68/KP1、CO-029、HTgp-175、M344、MG7-Ag、MOV18
、NB/70K、NY-CO-1、RCAS1、SDCCAG16、TA-90、TAAL6、TLP、TPS、CD22、CD27、CD30、CD
70、プロステイン、TARP(T細胞受容体γ選択的リーディングフレームタンパク質)、Trp-p
8、インテグリンαvβ3 (CD61)、ガラクチン、又はRal-B、CD123、CLL-1、CD38、CS-1、C
D138、及びROR1を含む腫瘍抗原、腫瘍関連抗原若しくはその抗原性断片、又は腫瘍抗原、
腫瘍関連抗原若しくはその抗原性断片の組み合わせをコードすることができる。本明細書
に記載される抗原の詳細な説明は、第5.4節に提供されている。
【0158】
本明細書に提供される方法及び組成物と共に使用するためのアレナウイルスは、旧世界
ウイルス、例えば、ラッサウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、モバラウ
イルス、モペイアウイルス、又はイッピウイルス、又は新世界ウイルス、例えば、アマパ
リウイルス、フレキサル(Flexal)ウイルス、グアナリトウイルス、フニンウイルス、ラテ
ンウイルス、マチュポウイルス、オリベロスウイルス、パラナウイルス、ピチンデウイル
ス、ピリタルウイルス、サビアウイルス、タカリベウイルス、タミアミウイルス、ベアキ
ャニオン(Bear Canyon)ウイルス、又はホワイトウォーターアロヨウイルスであり得る。
【0159】
野生型アレナウイルスゲノムは、短い(約3.4kb)RNAセグメント及び大きい(約7.2kb
)RNAセグメントからなる。短いセグメントは、核タンパク質NP及び糖タンパク質GP遺伝
子をコードするORFを担持する。大きいセグメントは、RNA依存性RNAポリメラーゼL及びマ
トリックスタンパク質Z遺伝子を含む。野生型アレナウイルスを複製欠損にさせて、それ
に対する免疫応答が誘導されることになる1以上の腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原
性断片と糖タンパク質遺伝子を置換することによってワクチンベクターを作製することが
できる。
【0160】
本明細書に記載される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、若しくはその抗原性断片、又は腫瘍抗
原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片の組み合わせを発現する感染性複製欠損アレナウイ
ルス粒子を用いて、本明細書に記載される腫瘍性疾患を有する対象を(免疫治療方法で)
治療することができる。
【0161】
野生型アレナウイルス感染におけるアレナウイルス疾患及び免疫抑制は、チェックを免
れたウイルスの複製から生じることが知られている。それらのゲノムから、例えば、粒子
放出に必要であるZ遺伝子又は標的細胞の感染に必要であるGP遺伝子を欠失することによ
って、アレナウイルス粒子の複製、すなわち、感染性子孫ウイルス粒子を生成する能力を
無くすことにより、感染細胞の総数は、例えば、ワクチンの受け手に投与されるか、又は
医療若しくはバイオテクノロジーの適用に関わる担当者、若しくは動物に偶発的に感染さ
れる接種物によって制限することができる。したがって、アレナウイルス粒子の複製を無
くすと、ベクター粒子の意図的又は偶発的な感染の結果としての病原性を防止する。本発
明においては、1つの重要な態様は、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現
する目的に有利な方法で、上記の複製廃止の必要性を活用することからなる。ある実施態
様において、アレナウイルス粒子を、そのゲノムの遺伝的改変により複製欠損にさせる。
ゲノムへのそのような改変には:
・ORFの欠失(例えば、GP、NP、L、又はZタンパク質をコードするORF);
・ORF(例えば、GP、NP、L、又はZタンパク質をコードするORF)の機能的不活化
が含まれ得る。
例えば、これは、ミスセンス又はナンセンス変異の導入;
・ORFの配列の変更(例えば、別のプロテアーゼの切断部位とS1P切断部位の交換);
・ゲノムセグメントのうちの1つの5' 又は3' 末端の1つの変異誘発;
・遺伝子間領域の(すなわち、L又はSゲノムセグメントの)変異誘発
によって達成することができる。
【0162】
ある実施態様において、本明細書に記載される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性
断片を発現する二セグメント感染性複製欠損アレナウイルスは、リンパ球性脈絡髄膜炎ウ
イルス(LCMV)であり、そのウイルスのSセグメントは、GPタンパク質をコードするORFと
、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするORFを置換することによって
改変されている。
【0163】
ある実施態様において、野生型アレナウイルスベクターゲノムは、両方のセグメントの
5'及び3'非翻訳領域(UTR)上の少なくとも基本的な調節要素、及び/又はさらに遺伝子間
領域(IGR)を保持するように設計することができる。理論に束縛されるものではないが
、感染した細胞での遺伝子発現のための最小トランス作用因子は、発現させることができ
るORFとしてベクターゲノム中に保持され、なおそれらはゲノム中に別々に配置すること
ができ、天然プロモーターとは異なるプロモーターの制御下に置くことができるか、又は
内部リボソーム進入部位から発現させることができる。ある実施態様において、腫瘍抗原
、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードする核酸は、内因性アレナウイルスプロモー
ター(すなわち、Sセグメントの5' UTR、3' UTR、Lセグメントの5' UTR、3' UTR)のうち
の1つから転写される。他の実施態様において、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性
断片をコードする核酸は、それぞれウイルスUTRに天然で見出されるウイルスプロモータ
ー配列の重複、28SリボソームRNAプロモーター、β-アクチンプロモーター又は5Sリボソ
ームRNAプロモーターなどのウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼ、細胞のRNAポリメラー
ゼI、RNAポリメラーゼII又はRNAポリメラーゼIIIによって読み取られ得る異種導入プロモ
ーター配列から発現される。ある実施態様において、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗
原性断片をコードするリボ核酸は、単独で又はアレナウイルスタンパク質ORFへの融合に
よるリードスルーとして転写及び翻訳され、宿主細胞内でのタンパク質の発現は、ウイル
ス転写産物配列中の好適な場所(複数可)に1以上、例えば、2つ、3つ又は4つの内部リボ
ソーム進入部位を導入することによって増強することができる。
【0164】
ある実施態様において、1以上の腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコード
するように作製されるベクターは、LCMVの特異的な株に基づくことができる。LCMVの株と
しては、クローン13、MP株、Arm CA 1371、Arm E-250、WE、UBC、Traub、Pasteur、81088
5、CH-5692、Marseille #12、HP65-2009、200501927、810362、811316、810316、810366
、20112714、Douglas、GR01、SN05、CABN及びこれらの派生物が挙げられる。ある実施態
様において、1以上の腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするように作
製されるベクターは、LCMVクローン13に基づくことができる。他の実施態様において、1
以上の腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするように作製されるベクタ
ーは、LCMV MP株に基づくことができる。
【0165】
ある実施態様において、1以上の腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコード
するように作製されるベクターは、フニンウイルスの特定株に基づくことができる。フニ
ンウイルスの株としては、ワクチン株XJ13、XJ#44、及びCandid#1並びにIV4454、ヒト分
離株が挙げられる。ある実施態様において、1以上の腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗
原性断片をコードするように作製されるベクターは、フニンウイルスCandid#1株に基づく
。
【0166】
(5.4 腫瘍抗原、腫瘍関連抗原及び抗原性断片)
ある実施態様において、本明細書に記載される方法及び組成物で使用するための腫瘍抗
原又は腫瘍関連抗原は、癌細胞若しくは悪性腫瘍などの腫瘍性の細胞若しくは腫瘍の中又
はその上で発現する免疫原性タンパク質である。ある実施態様において、本明細書に記載
される方法及び組成物で使用するための腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原は、非特異的な変異体
、過剰発現又は異常発現したタンパク質であり、それらは腫瘍細胞又は腫瘍組織と正常細
胞又は正常組織の両方に存在することができる。ある実施態様において、本明細書に記載
される方法及び組成物で使用するための腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原は、腫瘍細胞に限定さ
れる腫瘍特異的抗原である。ある実施態様において、本明細書に記載される方法及び組成
物で使用するための腫瘍抗原は、癌細胞に限定される癌特異的抗原である。
【0167】
ある実施態様において、腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原は、以下の特徴:過剰発現/蓄積(す
なわち、正常組織と腫瘍組織の両方で発現するが、腫瘍内で高度に発現している)、癌胎
児性(すなわち、通常は胎児組織及び癌性体細胞でのみ発現している)、オンコウイルス
又は発癌ウイルス(すなわち、腫瘍形成性形質転換ウイルスによってコードされている)
、精巣癌(すなわち、癌細胞及び成人の生殖組織、例えば、精巣でのみ発現している)、
系統制限(すなわち、単一癌組織型で主に発現している)、変異(すなわち、遺伝子変異
又は転写における変更の結果として腫瘍組織でのみ発現している)、翻訳後改変(例えば
、グリコシル化における腫瘍関連変更)、又はイディオタイプ(すなわち、B又はTリンパ
球の悪性クローン増殖から発展した)の1つ、2つ、3つ、又はそれ以上(全ても含む)を
示すことができる。
【0168】
ある実施態様において、本明細書に記される方法及び組成物と共に使用するための腫瘍
抗原又は腫瘍関連抗原は、急性リンパ芽球性白血病;急性リンパ芽球性リンパ腫;急性リン
パ性白血病;急性骨髄性白血病;急性骨髄性白血病(成人/子供);副腎皮質癌;エイズ関連
癌;エイズ関連リンパ腫;肛門癌;虫垂癌;星状細胞腫;非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍;基
底細胞癌;胆管癌、肝外(胆管細胞癌);膀胱癌;骨肉腫/悪性線維性組織球腫;脳腫瘍(成
人/子供);脳腫瘍、小脳星状細胞腫(成人/子供);脳腫瘍、脳星状細胞腫/悪性神経膠腫
脳腫瘍;脳腫瘍、上衣腫;脳腫瘍、髄芽腫;脳腫瘍、テント上原始神経外胚葉性腫瘍;脳腫瘍
、視経路及び視床下部神経膠腫;脳幹神経膠腫;乳癌;気管支腺腫/カルチノイド;気管支腫
瘍;バーキットリンパ腫;小児癌;カルチノイド胃腸腫瘍;カルチノイド腫瘍;成人の癌、原
発部位不明;原発不明癌;中枢神経系胎児性腫瘍;中枢神経系リンパ腫、原発性;子宮頸癌;
小児副腎皮質癌;小児癌;小児大脳星状細胞腫;脊索腫、小児;慢性リンパ性白血病;慢性骨
髄性白血病(chronic myelogenous leukemia);慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukem
ia);慢性骨髄増殖性障害;大腸癌;結腸直腸癌;頭蓋咽頭腫;皮膚T細胞リンパ腫;線維形成性
小円形細胞腫瘍;肺気腫;子宮内膜癌;上衣芽腫;上衣腫;食道癌;ユーイングファミリー腫瘍
におけるユーイング肉腫;頭蓋外胚細胞腫瘍;性腺外胚細胞腫瘍;肝外胆管癌;胆嚢癌;胃(ga
stric)(胃(stomach))癌;胃カルチノイド;消化管カルチノイド腫瘍;消化管間質腫瘍;胚
細胞腫瘍:頭蓋外性腺外、又は卵巣妊娠性絨毛腫瘍;妊娠性絨毛腫瘍、原発部位不明;神経
膠腫;脳幹の神経膠腫;神経膠腫、小児期の視覚的経路及び視床下部;ヘアリーセル白血病;
頭頸部癌;心臓癌;肝細胞(肝臓)癌;ホジキンリンパ腫;下咽頭癌;視床下部及び視経路神
経膠腫;眼内黒色腫;膵島細胞癌(内分泌膵臓);カポジ肉腫;腎臓癌(腎細胞癌);ランゲ
ルハンス細胞組織球症;喉頭癌;口唇及び口腔の癌;脂肪肉腫;肝臓癌(原発性);肺癌、非
小細胞;肺癌、小細胞;リンパ腫、原発中枢神経系;マクログロブリン血症、ワルデンスト
レーム;男性の乳癌;骨/骨肉腫の悪性線維性組織球腫;髄芽腫;髄上皮腫;黒色腫;黒色腫、
眼内(眼);メルケル細胞癌;メルケル細胞皮膚癌;中皮腫;中皮腫、成人悪性;原発不明転
移性扁平上皮頸部癌;口腔癌;多発性内分泌腫瘍症候群;多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍;菌状
息肉症、骨髄異形成症候群;骨髄異形成/骨髄増殖性疾患;骨髄性白血病、慢性;骨髄性白血
病、成人急性;骨髄性白血病、小児急性;骨髄腫、多発性(骨髄の癌);骨髄増殖性障害、
慢性;鼻腔及び副鼻腔の癌;鼻咽頭癌;神経芽腫、非小細胞肺癌;非ホジキンリンパ腫;乏突
起神経膠腫;口腔癌(oral cancer);口腔癌(oral cavity cancer);中咽頭癌;骨肉腫/骨の悪
性線維性組織球腫;卵巣癌;上皮性卵巣癌(表面上皮-間質腫瘍);卵巣胚細胞腫瘍;卵巣低
悪性度腫瘍;膵臓癌;膵臓癌、膵島細胞;乳頭腫症;副鼻腔及び鼻腔の癌;副甲状腺癌;陰茎癌
;咽頭癌;褐色細胞腫;松果体星状細胞腫;松果体胚細胞腫;中間分化の松果体実質腫瘍;松果
体芽腫及びテント上原始神経外胚葉性腫瘍;下垂体腫瘍;下垂体腺腫;形質細胞腫瘍/多発性
骨髄腫;胸膜肺芽腫;原発性中枢神経系リンパ腫;前立腺癌;直腸癌;腎細胞癌(腎臓癌);腎
盂及び尿管、移行上皮癌;第15染色体上のNUT遺伝子が関与する気道癌;網膜芽細胞腫;横紋
筋肉腫、小児;唾液腺癌;肉腫、ユーイングファミリー腫瘍;セザリー症候群;皮膚癌(黒色
腫);皮膚癌(非黒色腫);小細胞肺癌;小腸癌軟部組織肉腫;軟部組織肉腫;脊髄腫瘍;扁平
上皮癌;原発不明転移性扁平上皮頸部癌;胃(stomach)(胃(gastric))癌;テント上原始神
経外胚葉性腫瘍;T細胞リンパ腫、皮膚(菌状息肉腫及びセザリー症候群);精巣癌;咽喉癌
;胸腺腫;胸腺腫及び胸腺癌;甲状腺癌;甲状腺癌、小児;腎盂及び尿管の移行上皮癌;尿道癌
;子宮癌、子宮内膜;子宮肉腫;膣癌;外陰癌;及びウィルムス腫瘍を含む腫瘍性疾患に由来
する抗原を含む。
【0169】
ある実施態様において、本明細書に記載される方法及び組成物で使用するための腫瘍抗
原又は腫瘍関連抗原は、発癌ウイルス抗原、癌精巣抗原、癌胎児性抗原、組織分化抗原、
変異型タンパク質抗原、ネオ抗原、アディポフィリン、AIM-2、ALDH1AI、BCLX(L)、BING-
4、CALCA、CD45、CPSF、サイクリンD1、DKKI、ENAH(hMcna)、Ga733(EpCAM)、EphA3、EZH2
、FGF5、グリピカン-3、G250/MN/CAIX、HER-2/neu、IDO1、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボ
キシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、レングシン、M-CS
F、MCSP、mdm-2、モロエ、MMP-2、MMP-7、MUCl、MUC5AC、p53(非変異)、PAX5、PBF、PR
AME、PSMA、RAGE、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RU2AS、セセルニン1、SOX1O、STEAP1 (
前立腺6回膜貫通上皮抗原1)、サバイビン、テロメラーゼ、VEGF、WT1、EGF-R、CEA、CD20
、CD33、CD52、糖タンパク質100(GP100又はgp100タンパク質)、MELANA/MART1、MART2、NY
-ESO-1、p53、MAGE A1、MAGE A3、MAGE-4、MAGE-5、MAGE-6、CDK4、α-アクチニン-4、AR
TC1、BCR-ABL、BCR-ABL融合タンパク質(b3a2)、B-RAF、CASP-5、CASP-8、β-カテニン、C
dc27、CDK4、CDKN2A、CLPP、COA-1、dek-can融合タンパク質、EFTUD2、伸長因子2、ETV6-
AML、ETV6-AML1融合タンパク質、FLT3-ITD、FNl、GPNMB、LDLR-フコシルトランスフェラ
ーゼAS融合タンパク質、NFYC、OGT、OS-9、pml-RARα融合タンパク質、PRDX5、PTPRK、H-
ras、K-ras (V-Ki-ras2 カーステンラット肉腫ウイルス癌遺伝子)、N-ras、RBAF600、SIR
T2、SNRPDl、SSX、SSX2、SYT-SSXl又はSYT-SSX2融合タンパク質、TGF-βRII、トリオース
リン酸イソメラーゼ、ormdm-2、LMP2、HPV E6/E7、EGFRvIII(上皮増殖因子変異体III)、
イディオタイプ、GD2、ガングリオシドG2)、Ras-変異体、p53(変異体)、プロテイナーゼ3
(PR1)、チロシナーゼ、PSA、hTERT、肉腫転座切断点、EphA2、前立腺酸性ホスファターゼ
PAP、neo-PAP、ML-IAP、AFP、ERG (TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、ALK、アンド
ロゲン受容体、サイクリンB1、ポリシアル酸、MYCN、TRP2、TRP2-Int2、GD3、フコシルGM
1、メソテリン、PSCA、sLe(a)、cyp1B1、PLAC1、GM3、BORIS、Tn、GLoboH、NY-BR-1、SAR
T3、STn、炭酸脱水酵素IX、OY-TES1、精子タンパク質17、LCK、高分子量メラノーマ関連
抗原(HMWMAA)、AKAP-4、SSX2、XAGE 1、B7H3、レグマイン、Tie 2、Page4、VEGFR2、MAD-
CT-1、FAP、PDGFR-β、MAD-CT-2、For-関連抗原1、TRP1、CA-125、CA19-9、カルレチニン
、上皮膜抗原(EMA)、上皮腫瘍抗原(ETA)、CD19、CD34、CD99、CD117、クロモグラニン、
サイトケラチン、デスミン、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、グロス嚢胞性疾患流体
タンパク質(GCDFP-15)、HMB-45抗原、Myo-D1、筋肉特異的アクチン(MSA)、ニューロフィ
ラメント、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)、胎盤アルカリホスファターゼ、シナプト
フィシス、サイログロブリン、甲状腺転写因子1、ピルビン酸キナーゼアイソザイム型M2
の二量体形態(腫瘍M2-PK)、BAGE BAGE-1、CAGE、CTAGE、FATE、GAGE、GAGE-1、GAGE-2
、GAGE-3、GAGE-4、GAGE-5、GAGE-6、GAGE-7、HCA661、HOM-TES-85、MAGEA、MAGEB、MAGE
C、NA88、NY-SAR-35、SPANXB1、SPA17、SSX、SYCP1、TPTE、炭水化物/ガングリオシドGM2
(癌胎児性抗原-免疫原性-1 OFA-I-1)、GM3、CA 15-3 (CA 27.29/BCAA)、CA 195、CA 242
、CA 50、CAM 43、CEA、EBNA、EF2、エプスタイン-バーウイルス抗原、HLA-A2、HLA-A11
、HSP70-2、KIAAO205、MUM-1、MUM-2、MUM-3、ミオシンクラスI、GnTV、Herv-K-mel、LAG
E-1、LAGE-2、(精子タンパク質)SP17、SCP-1、P15(58)、Hom/Mel-40、E2A-PRL、H4-RET、
IGH-IGK、MYL-RAR、TSP-180、P185erbB2、p180erbB-3、c-met、nm-23H1、TAG-72、TAG-72
-4、CA-72-4、CAM 17.1、NuMa、13-カテニン、P16、TAGE、CT7、43-9F、5T4、791Tgp72、
13HCG、BCA225、BTAA、CD68/KP1、CO-029、HTgp-175、M344、MG7-Ag、MOV18、NB/70K、NY
-CO-1、RCAS1、SDCCAG16、TA-90、TAAL6、TLP、TPS、CD22、CD27、CD30、CD70、プロステ
イン、TARP(T細胞受容体γ選択的リーディングフレームタンパク質)、Trp-p8、インテグ
リンαvβ3 (CD61)、ガラクチン、又はRal-B、CD123、CLL-1、CD38、CS-1、CD138、及びR
OR1を含む。
【0170】
ある実施態様において、本明細書に記載される方法及び組成物で使用するための腫瘍抗
原又は腫瘍関連抗原は、発癌ウイルス抗原を含み、該発癌ウイルス抗原は、ヒトパピロー
マウイルス(HPV)抗原、潜伏期関連核抗原などのカポジ肉腫関連ヘルペスウイルスの抗
原、EBV-EA、EBV-MA、又はEBV-VCAなどのエプスタイン-バーウイルスの抗原、MCV T抗原
などのメルケル細胞ポリオーマウイルスの抗原、又はHTLV-1 Tax抗原などのヒトTリンパ
好性ウイルスの抗原である。
【0171】
ある実施態様において、該腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原は、ネオ抗原である。本明細書で
使用される「ネオ抗原」は、腫瘍細胞中の変異によって生じる抗原を意味し、そのような
抗原は、一般に、正常な細胞又は組織において発現していない。理論に束縛されるもので
はないが、健康な組織は、一般的にこれらの抗原を保有していないため、ネオ抗原は好ま
しい標的を表す。さらに、理論に束縛されるものではないが、ネオ抗原を認識するT細胞
は負の胸腺選択を受けていない可能性があるので、本発明の文脈において、そのような細
胞は、抗原に対する高い親和性を有し、腫瘍に対する強力な免疫応答を開始することがで
きるが、正常組織の破壊及び自己免疫損傷を誘発する危険性を欠いている。ある実施態様
において、該ネオ抗原は、MHCクラスI拘束ネオ抗原である。ある実施態様において、該ネ
オ抗原は、MHCクラスII拘束ネオ抗原である。ある実施態様において、患者の腫瘍細胞の
変異により、ネオ抗原を生成する新規タンパク質が生じる。
【0172】
ある実施態様において、該腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原は、ヒト腫瘍抗原又は腫瘍関連抗
原に対する抗原オルソログ、例えば、哺乳動物(すなわち、非ヒト霊長類、ブタ、イヌ、
ネコ、又は馬)であり得る。
【0173】
ある実施態様において、本明細書に記載される腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原の抗原性断片
は、アレナウイルス内に含まれるヌクレオチド配列によってコードされている。ある実施
態様において、断片は、(i)宿主(例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、ロバ又はヒト)に
おいて抗体免疫応答を誘発することができ、生じた抗体が腫瘍細胞(例えば、癌細胞)内又
は腫瘍細胞上で発現する免疫原性タンパク質に特異的に結合する場合、かつ/又は(ii)
特異的なT細胞免疫応答を誘発することができる場合に抗原性である。
【0174】
ある実施態様において、腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原の抗原性断片をコードするヌクレオ
チド配列は、8~100ヌクレオチド長、15~100ヌクレオチド長、25~100ヌクレオチド長、
50~200ヌクレオチド長、50~400ヌクレオチド長、200~500ヌクレオチド長、又は400~6
00ヌクレオチド長、500~800ヌクレオチド長である。他の実施態様において、該ヌクレオ
チド配列は、750~900ヌクレオチド長、800~100ヌクレオチド長、850~1000ヌクレオチ
ド長、900~1200ヌクレオチド長、1000~1200ヌクレオチド長、1000~1500ヌクレオチド
又は10~1500ヌクレオチド長、1500~2000ヌクレオチド長、1700~2000ヌクレオチド長、
2000~2300ヌクレオチド長、2200~2500ヌクレオチド長、2500~3000ヌクレオチド長、30
00~3200ヌクレオチド長、3000~3500ヌクレオチド長、3200~3600ヌクレオチド長、3300
~3800ヌクレオチド長、4000ヌクレオチド長~4400ヌクレオチド長、4200~4700ヌクレオ
チド長、4800~5000ヌクレオチド長、5000~5200ヌクレオチド長、5200~5500ヌクレオチ
ド長、5500~5800ヌクレオチド長、5800~6000ヌクレオチド長、6000~6400ヌクレオチド
長、6200~6800ヌクレオチド長、6600~7000ヌクレオチド長、7000~7200ヌクレオチド長
、7200~7500ヌクレオチド長、又は7500ヌクレオチド長である。いくつかの実施態様にお
いて、該ヌクレオチド配列は、5~10アミノ酸長、10~25アミノ酸長、25~50アミノ酸長
、50~100アミノ酸長、100~150アミノ酸長、150~200アミノ酸長、200~250アミノ酸長
、250~300アミノ酸長、300~400アミノ酸長、400~500アミノ酸長、500~750アミノ酸長
、750~1000アミノ酸長、1000~1250アミノ酸長、1250~1500アミノ酸長、1500~1750ア
ミノ酸長、1750~2000アミノ酸長、2000~2500アミノ酸長、又は2500以上のアミノ酸長で
あるペプチド又はポリペプチドをコードする。いくつかの実施態様において、該ヌクレオ
チド配列は、2500アミノ酸長を超えないポリペプチドをコードする。具体的な実施態様に
おいて、該ヌクレオチド配列は終止コドンを含まない。ある実施態様において、該ヌクレ
オチド配列はコドン最適化されている。ある実施態様において、ヌクレオチド組成、ヌク
レオチド対組成又はその両方を最適化することができる。そのような最適化のための技術
は、当技術分野で公知であり、腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原のヌクレオチド配列を最適化す
るために適用することができる。
【0175】
ある実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメント、該アレナウイルス粒子又
は該三セグメントアレナウイルス粒子は、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片
をコードする1以上のヌクレオチド配列を含むことができる。他の実施態様において、該
アレナウイルスゲノムセグメント、該アレナウイルス粒子又は該三セグメントアレナウイ
ルス粒子は、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードする少なくとも1つ
のヌクレオチド配列、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードする少なく
とも2つのヌクレオチド配列、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードす
る少なくとも3つのヌクレオチド配列、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片を
コードするより多くのヌクレオチド配列を含むことができる。
【0176】
腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードする核酸配列は、糖タンパク質
GP、マトリックスタンパク質Z、核タンパク質NP、又はポリメラーゼタンパク質LのORFの
核酸配列の置換によって、二セグメント感染性複製欠損アレナウイルスのゲノムに導入す
ることができる。他の実施態様において、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片
をコードする核酸配列は、糖タンパク質GP、マトリックスタンパク質Z、核タンパク質NP
、又はポリメラーゼタンパク質LのORFに融合される。腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその
抗原性断片をコードするヌクレオチド配列は、二セグメント感染性複製欠損アレナウイル
スのゲノムに挿入されると、4つのアレナウイルスプロモーター(Sセグメントの5' UTR及
び3' UTR、及びLセグメントの5' UTR及び3' UTR)、並びにそれぞれウイルスUTRに天然で
見出されるウイルスプロモーター配列の重複、28SリボソームRNAプロモーター、β-アク
チンプロモーター又は5SリボソームRNAプロモーターなどのウイルスのRNA依存性RNAポリ
メラーゼ、細胞のRNAポリメラーゼI、RNAポリメラーゼII又はRNAポリメラーゼIIIによっ
て読み取られ得る調節要素と共に挿入することができるリボ核酸の制御下で転写および/
又は発現させることができる。腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードす
る核酸は、単独で若しくはそれぞれアレナウイルスORF及び遺伝子への融合によるリード
スルーとして、及び/若しくは1以上、例えば、2つ、3つ又は4つの内部リボソーム進入部
位と組み合わせて転写並びに/又は発現させることができる。
【0177】
ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性
断片をコードするヌクレオチド配列を含むアレナウイルス粒子は、さらに、少なくとも1
つの免疫調節ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質をコードする少なくとも1つのヌク
レオチド配列を含む。ある実施態様において、該免疫調節ペプチド、ポリペプチド又はタ
ンパク質は、カルレティキュリン(CRT)若しくはその断片、ユビキチン若しくはその断片
、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)若しくはその断片、インバリアント鎖
(CD74)若しくはその抗原性断片、結核菌熱ショックタンパク質70若しくはその抗原性断片
、単純ヘルペスウイルス1タンパク質VP22若しくはその抗原性断片、CD40リガンド若しく
はその抗原性断片、又はFms-関連チロシンキナーゼ3(Flt3)リガンド若しくはその抗原性
断片である。
【0178】
ある実施態様において、本明細書に提供されるアレナウイルス粒子は、a)ゲノムセグ
メントの野生型形態で存在するORFの除去又は機能的不活化を有し、b)(i)本明細書に
提供される1以上の腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片、及び(ii)本明細書に
提供される1以上の免疫調節ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質を(センス又はアン
チセンスで)コードするゲノムセグメントを含む。
【0179】
ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性
断片をコードするヌクレオチド配列、及び本明細書に提供される免疫調節ペプチド、ポリ
ペプチド又はタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、ウイルスゲノムの同じ位置に
ある。ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗
原性断片をコードするヌクレオチド配列、及び本明細書に提供される免疫調節ペプチド、
ポリペプチド又はタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、ウイルスゲノムの異なる
位置にある。
【0180】
ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性
断片をコードするヌクレオチド配列、及び本明細書に提供される免疫調節ペプチド、ポリ
ペプチド又はタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、スペーサー配列によって隔て
られている。ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又は
その抗原性断片をコードする配列、及び本明細書に提供される免疫調節ペプチド、ポリペ
プチド又はタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、内部リボソーム進入部位、又は
プロテアーゼ切断部位をコードする配列によって隔てられている。ある実施態様において
、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレ
オチド配列、及び本明細書に提供される免疫調節ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質
をコードするヌクレオチド配列は、リンカー又は自己切断ペプチドをコードするヌクレオ
チド配列によって隔てられている。当業者に公知の任意のリンカーペプチド又は自己切断
ペプチドは、本明細書に提供される組成物及び方法で使用することができる。ペプチドリ
ンカーの非限定的な例としては、GSGが挙げられる。自己切断ペプチドの非限定的な例と
しては、豚テシオウイルス-1 2Aペプチド、トセアアシグナウイルス2Aペプチド、又は口
蹄疫ウイルス2Aペプチドが挙げられる。
【0181】
ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性
断片、及び本明細書に提供される免疫調節ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質は、直
接互いに融合されている。ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍
関連抗原又はその抗原性断片、及び本明細書に提供される免疫調節ペプチド、ポリペプチ
ド又はタンパク質は、ペプチドリンカーを介して共に融合されている。ある実施態様にお
いて、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片、及び本明細書
に提供される免疫調節ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質は、自己切断ペプチドによ
って互いに隔てられている。ペプチドリンカーの非限定的な例としては、GSGが挙げられ
る。自己切断ペプチドの非限定的な例としては、豚テシオウイルス-1 2Aペプチド、トセ
アアシグナウイルス2Aペプチド、又は口蹄疫ウイルス2Aペプチドが挙げられる。
【0182】
ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性
断片、及び本明細書に提供される免疫調節ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質は、同
一のアレナウイルス粒子上で発現する。ある実施態様において、本明細書に提供される腫
瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片、及び本明細書に提供される免疫調節ペプチド
、ポリペプチド又はタンパク質は、異なるアレナウイルス粒子上で発現する。ある実施態
様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片、及び本
明細書に提供される免疫調節ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質は、同じ系統の異な
るウイルス上で発現する。ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍
関連抗原又はその抗原性断片、及び本明細書に提供される免疫調節ペプチド、ポリペプチ
ド又はタンパク質は、異なる株の異なるウイルス上で発現する。
【0183】
ある実施態様において、1以上の腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコード
するように作製されるアレナウイルス粒子は、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連
抗原又はその抗原性断片をコードする1以上のヌクレオチド配列を含む。具体的な実施態
様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片は、本明
細書に記載される様々な1以上のリンカー、スペーサー、又は切断部位によって隔てられ
ている。
【0184】
(5.5 アレナウイルス粒子及び三セグメントアレナウイルス粒子の作製)
通常、アレナウイルス粒子は、標準的な逆遺伝学技術により、LCMVについて記載されて
いる通りに、組換えによって生成することができる(引用により本明細書中に組み込まれ
るFlatzらの文献, 2006, Proc Natl Acad Sci USA 103:4663-4668; Sanchezらの文献, 20
06, Virology 350:370; Ortiz-Rianoらの文献, 2013 J Gen Virol.94:1175-88参照)。本
明細書に提供されるアレナウイルス粒子を作製するために、これらの技術は、以下に記載
する通りに適用することができる。本明細書に記載される通りに、ウイルスのゲノムを改
変することができる。
【0185】
(5.5.1 非天然位置のオープンリーディングフレーム)
ORFの野生型の位置以外の位置にウイルスORFと、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原
性断片をコードするヌクレオチド配列とを担持するように改変されたゲノムセグメントを
含むアレナウイルス粒子の作製は、当業者に公知の任意の逆遺伝学的技術により組換えに
よって生成することができる。
【0186】
((i)感染性複製可能アレナウイルス粒子)
ある実施態様において、アレナウイルス粒子を作製する方法は、(i)第1のアレナウイル
スゲノムセグメントのcDNAを宿主細胞にトランスフェクトすること;(ii)第2のアレナウイ
ルスゲノムセグメントのcDNAを宿主細胞にトランスフェクトすること;(iii)アレナウイル
スの最小限のトランス作用因子NP及びLを発現するプラスミドを宿主細胞にトランスフェ
クトすること;(iv)ウイルス形成に好適な条件下で該宿主細胞を維持すること;及び(v)ア
レナウイルス粒子を収集することを含む。特定のより具体的な実施態様において、該cDNA
はプラスミド中に含まれる。
【0187】
cDNAから作製すると、アレナウイルス粒子(例えば、感染性で、複製可能)は増やすこと
ができる。ある実施態様において、該アレナウイルス粒子は、本明細書に記載されるウイ
ルスの使用を可能にする力価まで、ウイルスが成長するのを可能にする任意の宿主細胞で
増やすことができる。一実施態様において、該宿主細胞は、対応する野生型について決定
される力価に匹敵する力価まで、アレナウイルス粒子が成長するのを可能にする。
【0188】
ある実施態様において、該アレナウイルス粒子は、宿主細胞で増やしてよい。使用する
ことができる宿主細胞の具体例としては、BHK-21、HEK 293、VERO又はその他を含む。具
体的な実施態様において、該アレナウイルス粒子は、細胞株で増やしてよい。
【0189】
ある実施態様において、該宿主細胞は、培養で維持され、1以上のプラスミド(複数可)
をトランスフェクトされる。該プラスミド(複数可)は、哺乳動物細胞における発現に好適
な、例えば、ポリメラーゼIのプロモーター及びターミネーターからなる1以上の発現カセ
ットの制御下で作製されるアレナウイルスゲノムセグメント(複数可)を発現する。
【0190】
アレナウイルス粒子の作製に使用することができるプラスミドは、i)Sゲノムセグメン
ト、例えば、pol-I Sをコードするプラスミド、ii)Lゲノムセグメント、例えば、pol-I L
をコードするプラスミドを含むことができる。ある実施態様において、ウイルスのL及びS
セグメントの細胞内合成を導くアレナウイルスポリメラーゼをコードするプラスミドは、
トランスフェクション混合物に組み込むことができる。例えば、Lタンパク質をコードす
るプラスミド及び/又はNPをコードするプラスミド(それぞれpC-L及びpC-NP)は存在するこ
とができる。Lタンパク質及びNPは、ウイルスRNAの転写及び複製に必要な最小限のトラン
ス作用因子である。或いは、NP及びLタンパク質と一緒の、ウイルスのL及びSセグメント
の細胞内合成は、それぞれ、両側から2つの別々のプラスミドのL及びSセグメントのcDNA
へ読むpol-I及びpol-IIプロモーターを有する発現カセットを使用して行うことができる
。
【0191】
ある実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントは、プロモーターの制御下
にある。通常、RNAポリメラーゼI駆動性発現カセット、RNAポリメラーゼII駆動性カセッ
ト又はT7バクテリオファージRNAポリメラーゼ駆動性カセットを使用することができる。
ある実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントをコードするプラスミド(複
数可)は同じであり得、すなわち、ゲノム配列及びトランス作用因子は、1個のプラスミド
からプロモーターによって転写することができる。プロモーターの具体例としては、RNA
ポリメラーゼIプロモーター、RNAポリメラーゼIIプロモーター、RNAポリメラーゼIIIプロ
モーター、T7プロモーター、SP6プロモーター又はT3プロモーターが挙げられる。
【0192】
さらに、該プラスミド(複数可)は、哺乳動物細胞での遺伝子発現に好適な発現カセット
、例えば、上記のようなポリメラーゼII発現カセットの制御下にある哺乳動物選択マーカ
ー、例えば、ピューロマイシン耐性を特徴とすることができるか、又はウイルス遺伝子転
写物(複数可)の後ろに、脳心筋炎ウイルスの内部リボソーム進入部位などの内部リボソー
ム進入部位があり、その後ろに、哺乳動物耐性マーカーがある。大腸菌内での生成のため
に、該プラスミドはさらに、アンピシリン耐性カセットなどの細菌選択マーカーを特徴と
する。
【0193】
プラスミド(複数可)での宿主細胞のトランスフェクションは、リン酸カルシウム、リポ
ソームベースのプロトコル又はエレクトロポレーションなどの一般的に使用される戦略の
いずれかを使用して行うことができる。数日後、適切な選択薬剤、例えば、ピューロマイ
シンを漸増濃度で添加する。生存クローンを単離し、標準的な手順に従ってサブクローニ
ングし、対象となるウイルスタンパク質(複数可)に対する抗体とともにウェスタンブロッ
ト法又はフローサイトメトリー法を使用して高発現クローンを同定する。
【0194】
本明細書に記載されるアレナウイルス粒子の回収のために、以下の手順が想定される。
第1日目:上記のように、通常、M6ウェルプレート中で80%コンフルエントの細胞に、プラ
スミドの混合物をトランスフェクトする。このために、リン酸カルシウム、リポソームベ
ースのプロトコル又はエレクトロポレーションなどの任意の一般的に使用される戦略を利
用することができる。
【0195】
3~5日後:培養上清(アレナウイルスベクター調製物)を収集し、分注し、使用前にアレ
ナウイルスベクターが保存されるべき長さに応じて、4℃、-20℃、又は-80℃で保存する
。該アレナウイルスベクター調製物の感染力価を、イムノフォーカスアッセイにより評価
する。或いは、トランスフェクトした細胞及び上清を、トランスフェクション後3~5日目
に大きな容器(例えば、T75組織培養フラスコ)で継代することができ、培養上清を継代後5
日までに収集する。
【0196】
本願はさらに、ゲノムセグメントをコードするプラスミドが、異種ORFを組み込むよう
に改変される異種ORFの発現に関する。該異種ORFは、制限酵素を使用してプラスミドに組
み込むことができる。
【0197】
((ii)感染性複製欠損アレナウイルス粒子)
感染性複製欠損アレナウイルス粒子は、上記のようにレスキューすることができる。し
かしながら、cDNAから作製されると、本明細書に提供される感染性複製欠損アレナウイル
スは、相補細胞で増殖することができる。相補細胞は、そのゲノムの改変により、複製欠
損アレナウイルスから除去された機能性を提供する細胞である(例えば、GPタンパク質を
コードするORFが欠失しているか又は機能的に不活化されている場合、相補細胞がGPタン
パク質を提供する)。
【0198】
アレナウイルスベクター中のORFのうちの1以上が除去されているか又は機能的に不活化
されている(ここでは、糖タンパク質GPの欠失を例に取る)ため、アレナウイルスベクター
を、欠失したウイルス遺伝子(複数可)、例えば、本例では、GPをトランスに提供する細胞
で作製し、増やすことができる。以後、C細胞と呼ぶそのような相補細胞株は、BHK-21、H
EK 293、VERO、又はその他などの細胞株に、対象となるウイルス遺伝子(複数可)の発現の
ための1以上のプラスミド遺伝子(複数可)(C-プラスミドと呼ばれる相補性プラスミド)を
トランスフェクトすることにより作製される。C-プラスミド(複数可)は、哺乳動物細胞で
の発現に好適な1以上の発現カセット、例えば、ポリアデニル化シグナルを有するEF1αプ
ロモーターなどの哺乳動物ポリメラーゼIIプロモーターの制御下で、作製されるアレナウ
イルスベクターで欠失しているウイルス遺伝子(複数可)を発現する。さらに、相補性プラ
スミドは、哺乳動物細胞での遺伝子発現に好適な発現カセット、例えば、上記のようなポ
リメラーゼII発現カセットの制御下にある、哺乳動物選択マーカー、例えば、ピューロマ
イシン耐性を特徴とするか、又はウイルス遺伝子転写物(複数可)の後ろに、脳心筋炎ウイ
ルスの内部リボソーム進入部位などの内部リボソーム進入部位があり、その後ろに、哺乳
動物耐性マーカーがある。大腸菌内での生成のために、該プラスミドはさらに、アンピシ
リン耐性カセットなどの細菌選択マーカーを特徴とする。
【0199】
使用することができる細胞、例えば、BHK-21、HEK 293、MC57G又はその他を、培養下で
保持し、リン酸カルシウム、リポソームベースのプロトコル又はエレクトロポレーション
などの一般に使用される戦略のいずれかを使用して、相補性プラスミド(複数可)をトラン
スフェクトする。数日後、好適な選択薬剤、例えば、ピューロマイシンを漸増濃度で添加
する。生存しているクローンを単離し、標準的な手順に従ってサブクローニングし、対象
となるウイルスタンパク質(複数可)に対する抗体とともにウェスタンブロット法又はフロ
ーサイトメトリー法を使用して高発現C細胞クローンを同定する。安定にトランスフェク
トされたC細胞の使用の代替法として、正常細胞の一過性トランスフェクションは、C細胞
を使用する以下の工程の各々において、失われたウイルス遺伝子(複数可)を補足すること
ができる。さらに、ヘルパーウイルスを使用して、失われた機能性をトランスに提供する
ことができる。
【0200】
プラスミドは、2つのタイプのもの:i)本例では、例えば、LCMVのNP及びLタンパク質に
由来する、アレナウイルスの最小限のトランス作用因子をC細胞で細胞内発現させるため
のTF-プラスミドと呼ばれる2つのプラスミド;及びii)アレナウイルスベクターゲノムセグ
メント、例えば、設計された改変を有するセグメントをC細胞で細胞内発現させるためのG
S-プラスミドと呼ばれるプラスミドであり得る。TF-プラスミドは、それぞれのアレナウ
イルスベクターのNP及びLタンパク質を、哺乳動物細胞でのタンパク質発現に好適な発現
カセット、通常、例えば、CMV又はEF1αプロモーターなどの哺乳動物ポリメラーゼIIプロ
モーターの制御下で、これらのうちのどちらか一方をポリアデニル化シグナルと優先的に
組み合わせて発現する。GS-プラスミドは、該ベクターの小さい(S)ゲノムセグメント及び
大きい(L)ゲノムセグメントを発現する。通常、ポリメラーゼI駆動性発現カセット又はT7
バクテリオファージRNAポリメラーゼ(T7-)駆動性発現カセットを使用することができ、後
者は、3'末端リボザイムを一次転写物のプロセシングに優先的に使用して、正確な末端を
生じさせる。T7系システムを使用する場合、C細胞でのT7の発現が、TF-プラスミドと類似
した形で構築され、T7を提供するさらなる発現プラスミドをリカバリープロセスに含める
ことによってもたらされなければならないか、又はC細胞が、安定な様式でT7をさらに発
現するように構築される。ある実施態様において、TFプラスミドとGSプラスミドは同じで
あり得、すなわち、ゲノム配列及びトランス作用因子は、T7、polI、及びpolIIプロモー
ターによって1つのプラスミドから転写され得る。
【0201】
該アレナウイルスベクターの回収のために、以下の手順を使用することができる。第1
日目:M6ウェルプレートで通常80%コンフルエントのC細胞に、2つのTF-プラスミドと2つ
のGS-プラスミドの混合物をトランスフェクトする。ある実施態様において、TF及びGSプ
ラスミドは同じであり得、すなわち、ゲノム配列及びトランス作用因子は、T7、polI、及
びpolIIプロモーターによって1つのプラスミドから転写され得る。このために、リン酸カ
ルシウム、リポソームベースのプロトコル又はエレクトロポレーションなどの一般に使用
される戦略のいずれかを利用することができる。
【0202】
3~5日後:培養上清(アレナウイルスベクター調製物)を収集し、分注し、使用前にアレ
ナウイルスベクターが保存されるべき長さに応じて、4℃、-20℃、又は-80℃で保存する
。その後、該アレナウイルスベクター調製物の感染力価をC細胞に対するイムノフォーカ
スアッセイにより評価する。或いは、トランスフェクトした細胞及び上清を、トランスフ
ェクション後3~5日目に大きな容器(例えば、T75組織培養フラスコ)で継代することがで
き、培養上清を継代後5日までに収集する。
【0203】
本発明は、さらに、抗原を発現する感染性複製欠損アレナウイルスが感染した細胞培養
物における抗原の発現に関する。培養細胞における抗原の発現に使用する場合、以下の2
つの手順を使用することができる:
i)対象となる細胞型に、本明細書に記載されるアレナウイルスベクター調製物を、1以上
、例えば、2、3、又は4の感染多重度(MOI)で感染させると、感染直後に既に全ての細胞で
抗原が生成される。
ii)或いは、より低いMOIを使用することができ、個々の細胞クローンをそのウイルス駆動
性抗原発現レベルについて選択することができる。その後、アレナウイルスベクターの細
胞非溶解性のために、個々のクローンを無限に増殖させることができる。その手法に関係
なく、その後、抗原を、生成される抗原の特性に応じて、培養上清又は細胞自体のどちら
かから回収(及び精製)することができる。しかしながら、本発明は、これら2つの戦略に
限定されるものではなく、感染性複製欠損アレナウイルスをベクターとして使用して抗原
の発現を駆動する他の方法を考慮してよい。
【0204】
(5.5.2 三セグメントアレナウイルス粒子の作製)
引用により本明細書中に組み込まれる、例えば、Emonetらの文献, 2008, PNAS, 106(9)
:3473-3478; Popkinらの文献, 2011, J. Virol., 85 (15):7928-7932により記載されるよ
うに、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む
三セグメントアレナウイルス粒子は、当技術分野で公知の逆遺伝学的技術により組換えに
よって生成することができる。本明細書に提供される三セグメントアレナウイルス粒子の
作製は、第5.2節に記載されている通りに改変することができる。
【0205】
((i)感染性複製可能三セグメントアレナウイルス粒子)
ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルス粒子を作製する方法は、(i)1つ
のLセグメント及び2つのSセグメント又は2つのLセグメント及び1つのSセグメントのcDNA
を宿主細胞にトランスフェクトすること;(ii)該アレナウイルスの最小限のトランス作用
因子のNP及びLを発現するプラスミドを宿主細胞にトランスフェクトすること;(iii)ウイ
ルス形成に好適な条件下で該宿主細胞を維持すること;並びに(iv)アレナウイルス粒子を
収集することを含む。
【0206】
cDNAから作製すると、該三セグメントアレナウイルス粒子(すなわち、感染性で、複製
可能)は増やすことができる。ある実施態様において、三セグメントアレナウイルス粒子
は、本明細書に記載される通りに、ウイルスの使用を可能にする力価まで、ウイルスが成
長するのを可能にする任意の宿主細胞で増やすことができる。一実施態様において、該宿
主細胞は、対応する野生型について決定される力価に匹敵する力価まで、三セグメントア
レナウイルス粒子が成長するのを可能にする。
【0207】
ある実施態様において、該三セグメントアレナウイルス粒子は、宿主細胞で増やしてよ
い。使用することができる宿主細胞の具体例としては、BHK-21、HEK 293、VERO又はその
他を含む。具体的な実施態様において、該三セグメントアレナウイルス粒子は、細胞株で
増やしてよい。
【0208】
ある実施態様において、該宿主細胞は、培養で維持され、1以上のプラスミド(複数可)
をトランスフェクトされる。該プラスミド(複数可)は、哺乳動物細胞における発現に好適
な、例えば、ポリメラーゼIのプロモーター及びターミネーターからなる1以上の発現カセ
ットの制御下で、作製されるアレナウイルスゲノムセグメント(複数可)を発現する。
【0209】
具体的な実施態様において、該宿主細胞は、培養で維持され、1以上のプラスミド(複数
可)をトランスフェクトされる。該プラスミド(複数可)は、哺乳動物細胞における発現に
好適な、例えば、ポリメラーゼIのプロモーター及びターミネーターからなる1以上の発現
カセットの制御下で、作製されるウイルス遺伝子(複数可)を発現する。
【0210】
1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む三セグメントアレナウイルスの作製に使
用することができるプラスミドは、i)Sゲノムセグメント、例えば、pol-I Sをそれぞれコ
ードする2つのプラスミド、ii)Lゲノムセグメント、例えば、pol-I Lをコードするプラス
ミドを含むことができる。2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む三セグメントア
レナウイルスに必要なプラスミドは、i)Lゲノムセグメント、例えば、pol-Lをそれぞれコ
ードする2つのプラスミド、ii)Sゲノムセグメント、例えば、pol-I Sをコードするプラス
ミドである。
【0211】
ある実施態様において、ウイルスL及びSセグメントの細胞内合成を導くアレナウイルス
ポリメラーゼをコードするプラスミドを、トランスフェクション混合物に組み込むことが
できる。例えば、Lタンパク質をコードするプラスミド及びNPをコードするプラスミド(そ
れぞれpC-L及びpC-NP)。Lタンパク質及びNPは、ウイルスRNAの転写及び複製に必要な最小
限のトランス作用因子である。或いは、NP及びLタンパク質と一緒の、ウイルスのL及びS
セグメントの細胞内合成は、それぞれ、両側から2つの別々のプラスミドのL及びSセグメ
ントのcDNAへ読むpol-I及びpol-IIプロモーターを有する発現カセットを使用して行うこ
とができる。
【0212】
さらに、該プラスミド(複数可)は、哺乳動物細胞における遺伝子発現に好適な発現カセ
ット、例えば、上記のポリメラーゼII発現カセットの制御下で、哺乳動物選択マーカー、
例えば、ピューロマイシン耐性を特徴とするか、又はウイルス遺伝子転写物(複数可)の後
ろに、脳心筋炎ウイルスの内部リボソーム進入部位などの内部リボソーム進入部位があり
、その後ろに、哺乳動物耐性マーカーがある。大腸菌内での生成のために、該プラスミド
はさらに、アンピシリン耐性カセットなどの細菌選択マーカーを特徴とする。
【0213】
プラスミド(複数可)でのBHK-21細胞のトランスフェクションは、リン酸カルシウム、リ
ポソームベースのプロトコル又はエレクトロポレーションなどの一般に使用される戦略の
いずれかを使用して行うことができる。数日後、好適な選択薬剤、例えば、ピューロマイ
シンを漸増濃度で添加する。生存しているクローンを単離し、標準的な手順に従ってサブ
クローニングし、対象となるウイルスタンパク質(複数可)に対する抗体とともにウェスタ
ンブロット法又はフローサイトメトリー法を使用して高発現クローンを同定する。
【0214】
通常、RNAポリメラーゼI駆動性発現カセット、RNAポリメラーゼII駆動性カセット又はT
7バクテリオファージRNAポリメラーゼ駆動性カセットを使用することができ、後者は、3'
末端リボザイムを一次転写物のプロセシングに優先的に使用して、正確な末端を生じさせ
る。ある実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントをコードするプラスミド
は同じであり得、すなわち、ゲノム配列及びトランス作用因子は、T7、polI、及びpolII
プロモーターによって1つのプラスミドから転写され得る。
【0215】
該三セグメントアレナウイルスベクターの回収のために、以下の手順が想定される。第
1日目:上記のように、M6ウェルプレートで通常80%コンフルエントの細胞に、プラスミド
の混合物をトランスフェクトする。このために、リン酸カルシウム、リポソームベースの
プロトコル又はエレクトロポレーションなどの一般に使用される戦略のいずれかを利用す
ることができる。
【0216】
3~5日後:培養上清(アレナウイルスベクター調製物)を収集し、分注し、使用前にアレ
ナウイルスベクターが保存されるべき長さに応じて、4℃、-20℃、又は-80℃で保存する
。該アレナウイルスベクター調製物の感染力価をイムノフォーカスアッセイにより評価す
る。或いは、トランスフェクション後3~5日目に、トランスフェクトした細胞及び上清を
より大きな容器(例えば、T75組織培養フラスコ)で継代し、継代後5日までに培養上清を収
集する。
【0217】
ある実施態様において、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌク
レオチド配列の発現が提供され、ゲノムセグメントをコードするプラスミドは、腫瘍抗原
、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を組み込むように改変
される。腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列は、
制限酵素を使用してプラスミドに組み込むことができる。
【0218】
((ii)感染性複製欠損三セグメントアレナウイルス粒子)
感染性複製欠損三セグメントアレナウイルス粒子を、上記のようにレスキューすること
ができる。しかしながら、cDNAから作製されると、本明細書に提供される感染性複製欠損
アレナウイルスは、相補細胞で増殖することができる。相補細胞は、そのゲノムの改変に
より、複製欠損アレナウイルスから除去された機能性を提供する細胞である(例えば、GP
タンパク質をコードするORFが欠失しているか又は機能的に不活化されている場合、相補
細胞がGPタンパク質を提供する)。
【0219】
アレナウイルスベクター中のORFのうちの1以上が除去されているか又は機能的に不活化
されている(ここでは、糖タンパク質GPの欠失を例に取る)ため、アレナウイルスベクター
を、欠失したウイルス遺伝子(複数可)、例えば、本例では、GPをトランスに提供する細胞
で作製し、増やすことができる。以後、C細胞と呼ぶそのような相補細胞株は、BHK-21、H
EK 293、VERO又はその他(ここでは、BHK-21を例に取る)などの哺乳動物細胞株に、対象と
なるウイルス遺伝子(複数可)の発現のための1以上のプラスミド遺伝子(複数可)(C-プラス
ミドと呼ばれる相補性プラスミド)をトランスフェクトすることにより作製される。C-プ
ラスミド(複数可)は、哺乳動物細胞での発現に好適な1以上の発現カセット、例えば、ポ
リアデニル化シグナルを有するCMV又はEF1αプロモーターなどの哺乳動物ポリメラーゼII
プロモーターの制御下で、作製されるアレナウイルスベクターで欠失しているウイルス遺
伝子(複数可)を発現する。さらに、該相補性プラスミドは、哺乳動物細胞での遺伝子発現
に好適な発現カセット、例えば、上記のようなポリメラーゼII発現カセットの制御下にあ
る、哺乳動物選択マーカー、例えば、ピューロマイシン耐性を特徴とするか、又はウイル
ス遺伝子転写物(複数可)の後ろに、脳心筋炎ウイルスの内部リボソーム進入部位などの内
部リボソーム進入部位があり、その後ろに、哺乳動物耐性マーカーがある。大腸菌内での
生成のために、該プラスミドはさらに、アンピシリン耐性カセットなどの細菌選択マーカ
ーを特徴とする。
【0220】
使用することができる細胞、例えば、BHK-21、HEK 293、MC57G又はその他を、培養下で
保持し、リン酸カルシウム、リポソームベースのプロトコル又はエレクトロポレーション
などの一般に使用される戦略のいずれかを使用して、相補性プラスミド(複数可)をトラン
スフェクトする。数日後、好適な選択薬剤、例えば、ピューロマイシンを漸増濃度で添加
する。生存しているクローンを単離し、標準的な手順に従ってサブクローニングし、対象
となるウイルスタンパク質(複数可)に対する抗体とともにウェスタンブロット法又はフロ
ーサイトメトリー法を使用して高発現C細胞クローンを同定する。安定にトランスフェク
トされたC細胞の使用の代替法として、正常細胞の一過性トランスフェクションは、C細胞
を使用する以下の工程の各々において、失われたウイルス遺伝子(複数可)を補足すること
ができる。さらに、ヘルパーウイルスを使用して、失われた機能性をトランスに提供する
ことができる。
【0221】
2つのタイプのプラスミド:i)本例では、例えば、LCMVのNP及びLタンパク質に由来する
、アレナウイルスの最小限のトランス作用因子をC細胞で細胞内発現させるためのTF-プラ
スミドと呼ばれる2つのプラスミド;並びにii)アレナウイルスベクターゲノムセグメント
、例えば、設計された改変を有するセグメントをC細胞で細胞内発現させるためのGS-プラ
スミドと呼ばれるプラスミドを使用することができる。TF-プラスミドは、それぞれのア
レナウイルスベクターのNP及びLタンパク質を、哺乳動物細胞でのタンパク質発現に好適
な発現カセット、通常、例えば、CMV又はEF1αプロモーターなどの哺乳動物ポリメラーゼ
IIプロモーターの制御下で、これらのうちのどちらか一方をポリアデニル化シグナルと優
先的に組み合わせて発現する。GS-プラスミドは、該ベクターの小さい(S)ゲノムセグメン
ト及び大きい(L)ゲノムセグメントを発現する。通常、ポリメラーゼI駆動性発現カセット
又はT7バクテリオファージRNAポリメラーゼ(T7-)駆動性発現カセットを使用することがで
き、後者は、3'末端リボザイムを一次転写物のプロセシングに優先的に使用して、正確な
末端を生じさせる。T7系システムを使用する場合、C細胞でのT7の発現が、TF-プラスミド
と類似した形で構築され、T7を提供するさらなる発現プラスミドをリカバリープロセスに
含めることによってもたらされなければならないか、又はC細胞が、安定な様式でT7をさ
らに発現するように構築される。ある実施態様において、TFプラスミドとGSプラスミドは
同じであり得、すなわち、ゲノム配列及びトランス作用因子は、T7、polI、及びpolIIプ
ロモーターによって1つのプラスミドから転写され得る。
【0222】
該アレナウイルスベクターの回収のために、以下の手順を使用することができる。第1
日目:M6ウェルプレートで通常80%コンフルエントのC細胞に、2つのTF-プラスミドと2つ
のGS-プラスミドの混合物をトランスフェクトする。ある実施態様において、TF及びGSプ
ラスミドは同じであり得、すなわち、ゲノム配列及びトランス作用因子は、T7、polI、及
びpolIIプロモーターによって1つのプラスミドから転写され得る。このために、リン酸カ
ルシウム、リポソームベースのプロトコル又はエレクトロポレーションなどの一般に使用
される戦略のいずれかを利用することができる。
【0223】
3~5日後:培養上清(アレナウイルスベクター調製物)を収集し、分注し、使用前にアレ
ナウイルスベクターが保存されるべき長さに応じて、4℃、-20℃、又は-80℃で保存する
。その後、該アレナウイルスベクター調製物の感染力価をC細胞に対するイムノフォーカ
スアッセイにより評価する。或いは、トランスフェクトした細胞及び上清を、トランスフ
ェクション後3~5日目に大きな容器(例えば、T75組織培養フラスコ)で継代することがで
き、培養上清を継代後5日までに収集する。
【0224】
本発明はさらに、抗原を発現する感染性複製欠損三セグメントアレナウイルスが感染し
た細胞培養物における抗原の発現に関する。培養細胞中のCMV抗原の発現に使用される場
合、以下の2つの手順を使用することができる:
i)対象となる細胞型に、本明細書に記載されるアレナウイルスベクター調製物を、1以上
、例えば、2、3、又は4の感染多重度(MOI)で感染させると、感染直後に既に全ての細胞で
、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片が生成される。
ii)或いは、より低いMOIを使用することができ、個々の細胞クローンを、腫瘍抗原、腫瘍
関連抗原又はその抗原性断片のウイルス駆動性発現レベルについて選択することができる
。その後、アレナウイルスベクターの細胞非溶解性のために、個々のクローンを無限に増
殖させることができる。その手法に関係なく、その後、該腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はそ
の抗原性断片を、生成される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又は抗原性断片の特性に応じて、培
養上清又は細胞自体のどちらかから回収(及び精製)することができる。しかしながら、本
発明は、これら2つの戦略に限定されるものではなく、感染性複製欠損アレナウイルスを
ベクターとして使用して腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片の発現を駆動する他
の方法を考慮してよい。
【0225】
(5.6 腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する感染性複製欠損アレナウ
イルスの作製)
一般に、アレナウイルス粒子は、LCMVについて記載したように、標準的な逆遺伝学的技
術によって組換え生成することができる(L. Flatz, A. Bergthaler, J. C. de la Torre,
及びD. D. Pinschewerの文献, Proc Natl Acad Sci USA 103:4663-4668, 2006; A. B. Sa
nchez及びJ. C. de la Torreの文献, Virology 350:370, 2006; E. Ortiz-Riano, B.Y. C
heng, J. C. de la Torre, L. Martinez-Sobridoの文献, J Gen Virol. 94:1175-88, 201
3)。本発明で使用するための感染性複製欠損アレナウイルスを作製するために、これらの
技術を使用することができるが、レスキューされるウイルスのゲノムは、本明細書に記載
されるように改変されている。これらの改変は、i)アレナウイルスベクターに感染した
宿主細胞において、依然として遺伝子発現は可能であるが、正常細胞において感染性粒子
の形成を防止するために、4つのアレナウイルスのORF(糖タンパク質(GP);核タンパク
質(NP);マトリックスタンパク質Z;RNA依存性RNAポリメラーゼL)のうちの1以上、例え
ば、2つ、3つ又は4つは、除去されているか、又は機能的に不活化されており、かつii)
腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチドを導入すること
ができるというものであり得る。本明細書に記載される感染性複製欠損ウイルスは、国際
特許出願公開WO 2009/083210(出願番号PCT/EP2008/010994)及び国際特許出願公開WO 2014
/140301(出願番号PCT/EP2014/055144)に記載されているように生成することができ、これ
らの各々は、その全体が引用により本明細書中に組み込まれる。
【0226】
cDNAから作製されると、本明細書に提供される感染性複製欠損アレナウイルスは、相補
細胞中で増殖することができる。相補細胞は、そのゲノムの改変によって複製欠損アレナ
ウイルスから除去された機能性を提供する細胞である(例えば、GPタンパク質をコードす
るORFが、欠失しているか、又は機能的に不活化されている場合、相補細胞がGPタンパク
質を提供する)。
【0227】
アレナウイルスベクター中のウイルス遺伝子のうちの1以上が除去されているか又は機
能的に不活化されている(ここでは、糖タンパク質GPの欠失を例に取る)ため、アレナウイ
ルスベクターを、欠失したウイルス遺伝子(複数可)、例えば、本例では、GPをトランスに
提供する細胞で作製し、増やすことができる。以後、C細胞と呼ぶそのような相補細胞株
は、BHK-21、HEK 293、VERO、又はその他(ここでは、BHK-21を例に取る)などの哺乳動
物細胞株に、対象となるウイルス遺伝子(複数可)の発現のための1以上のプラスミド(複数
可)(C-プラスミドと呼ばれる相補性プラスミド)をトランスフェクトすることにより作製
される。C-プラスミド(複数可)は、哺乳動物細胞での発現に好適な1以上の発現カセット
、例えば、ポリアデニル化シグナルを有するCMV又はEF1αプロモーターなどの哺乳動物ポ
リメラーゼIIプロモーターの制御下で、作製されるアレナウイルスベクターで欠失してい
るウイルス遺伝子(複数可)を発現する。さらに、相補性プラスミドは、哺乳動物細胞での
遺伝子発現に好適な発現カセット、例えば、上記のようなポリメラーゼII発現カセットの
制御下にある、哺乳動物選択マーカー、例えば、ピューロマイシン耐性を特徴とするか、
又はウイルス遺伝子転写物(複数可)の後ろに、脳心筋炎ウイルスの内部リボソーム進入部
位などの内部リボソーム進入部位があり、その後ろに、哺乳動物耐性マーカーがある。大
腸菌内での生成のために、該プラスミドはさらに、アンピシリン耐性カセットなどの細菌
選択マーカーを特徴とする。
【0228】
使用することができる細胞、例えば、BHK-21、HEK 293、MC57G又はその他を、培養下で
保持し、リン酸カルシウム、リポソームベースのプロトコル又はエレクトロポレーション
などの一般に使用される戦略のいずれかを使用して、相補性プラスミド(複数可)をトラン
スフェクトする。数日後、好適な選択薬剤、例えば、ピューロマイシンを漸増濃度で添加
する。生存しているクローンを単離し、標準的な手順に従ってサブクローニングし、対象
となるウイルスタンパク質(複数可)に対する抗体とともにウェスタンブロット法又はフロ
ーサイトメトリー法を使用して高発現C細胞クローンを同定する。安定にトランスフェク
トされたC細胞の使用の代替法として、正常細胞の一過性トランスフェクションは、C細胞
を使用する以下の工程の各々において、失われたウイルス遺伝子(複数可)を補足すること
ができる。さらに、ヘルパーウイルスを使用して、失われた機能性をトランスに提供する
ことができる。
【0229】
使用され得るプラスミドは、2つのタイプのもの:i)本例では、例えば、LCMVのNP及びL
タンパク質に由来する、アレナウイルスの最小限のトランス作用因子をC細胞で細胞内発
現させるためのTF-プラスミドと呼ばれる2つのプラスミド;及びii)アレナウイルスベクタ
ーゲノムセグメント、例えば、設計された改変を有するセグメントをC細胞で細胞内発現
させるためのGS-プラスミドと呼ばれるプラスミドであり得る。TF-プラスミドは、それぞ
れのアレナウイルスベクターのNP及びLタンパク質を、哺乳動物細胞でのタンパク質発現
に好適な発現カセット、通常、例えば、CMV又はEF1αプロモーターなどの哺乳動物ポリメ
ラーゼIIプロモーターの制御下で、これらのうちのどちらか一方をポリアデニル化シグナ
ルと優先的に組み合わせて発現する。GS-プラスミドは、該ベクターの小さい(S)ゲノムセ
グメント及び大きい(L)ゲノムセグメントを発現する。通常、ポリメラーゼI駆動性発現カ
セット又はT7バクテリオファージRNAポリメラーゼ(T7-)駆動性発現カセットを使用するこ
とができ、後者は、3'末端リボザイムを一次転写物のプロセシングに優先的に使用して、
正確な末端を生じさせる。T7系システムを使用する場合、C細胞でのT7の発現が、TF-プラ
スミドと類似した形で構築され、T7を提供するさらなる発現プラスミドをリカバリープロ
セスに含めることによってもたらされなければならないか、又はC細胞が、安定な様式でT
7をさらに発現するように構築される。ある実施態様において、TFプラスミドとGSプラス
ミドは同じであり得、すなわち、ゲノム配列及びトランス作用因子は、T7、polI、及びpo
lIIプロモーターによって1つのプラスミドから転写され得る。
【0230】
該アレナウイルスベクターの回収のために、以下の手順を使用することができる。第1
日目:M6ウェルプレートで通常80%コンフルエントのC細胞に、2つのTF-プラスミドと2つ
のGS-プラスミドの混合物をトランスフェクトする。ある実施態様において、TF及びGSプ
ラスミドは同じであり得、すなわち、ゲノム配列及びトランス作用因子は、T7、polI、及
びpolIIプロモーターによって1つのプラスミドから転写され得る。このために、リン酸カ
ルシウム、リポソームベースのプロトコル又はエレクトロポレーションなどの一般に使用
される戦略のいずれかを利用することができる。
【0231】
3~5日後:培養上清(アレナウイルスベクター調製物)を収集し、分注し、使用前にアレ
ナウイルスベクターが保存されるべき長さに応じて、4℃、-20℃、又は-80℃で保存する
。その後、該アレナウイルスベクター調製物の感染力価をC細胞に対するイムノフォーカ
スアッセイにより評価する。
【0232】
本発明は、さらに、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片を発現する二セグメ
ント感染性複製欠損アレナウイルスが感染した細胞培養物における腫瘍抗原、腫瘍関連抗
原、又はその抗原性断片の発現に関する。培養細胞における腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又
はその抗原性断片の発現に使用する場合、以下の2つの手順を使用することができる:
i)対象となる細胞型に、本明細書に記載されるアレナウイルスベクター調製物を、1以上
、例えば、2、3、又は4の感染多重度(MOI)で感染させると、感染直後に既に全ての細胞で
腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片が生成される。
ii)或いは、より低いMOIを使用することができ、個々の細胞クローンを、腫瘍抗原、腫瘍
関連抗原、又はその抗原性断片のウイルス駆動性発現レベルについて選択することができ
る。その後、アレナウイルスベクターの細胞非溶解性のために、個々のクローンを無限に
増殖させることができる。その手法に関係なく、その後、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又は
その抗原性断片を、生成される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片の特性に応
じて、培養上清又は細胞自体のどちらかから回収(及び精製)することができる。しかしな
がら、本発明は、これら2つの戦略に限定されるものではなく、感染性複製欠損アレナウ
イルスをベクターとして使用して腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片の発現を
駆動する他の方法を考慮してよい。
【0233】
或いは、3つのプラスミドからなるレスキューシステムを使用することができる:(1)第1
のプラスミドが、トランスフェクト細胞においてポリメラーゼIIを介した転写、その後の
翻訳によってタンパク質NPを発現する;(2)第2のプラスミドが、ポリメラーゼIを介した転
写によりLCMVゲノムの(マイナス鎖の)L-セグメントと、ポリメラーゼIIを介した、ポリメ
ラーゼIプロモーターの反対方向での同じテンプレートからの転写によりLタンパク質とを
生じさせる;(3)第3のプラスミドが、ポリメラーゼIによる転写を介して、(LCMV糖タンパ
ク質の代わりに、抗原コード配列をコードする)LCMVゲノムのS-セグメントを生じさせる
。各プラスミド3μgを、C-細胞のエレクトロポレーションに使用し、その後、6ウェルプ
レートに細胞を播種し、37℃でインキュベートする。インキュベーション後、トランスフ
ェクションからの細胞及び上清を、新たに播種したC細胞と組み合わせ、感染後の定義し
た時点でベクターを収集し、細胞及び残骸を取り除く。ベクターが作製されると、腫瘍抗
原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードする核酸は、感染性複製欠損ベクターの
ゲノムセグメントが当業者に公知の任意の技術によって転写されるプラスミドに挿入する
ことができる。
【0234】
アレナウイルスベクター中のウイルス遺伝子のうちの1以上が除去されているか又は機
能的に不活化されている(ここでは、糖タンパク質GPの欠失を例に取る)ため、アレナウイ
ルスベクターを、欠失した又は機能的に不活化されたウイルス遺伝子(複数可)(例えば、G
P)をトランスに提供する細胞で作製し、増やすことができる。得られるウイルス自体は感
染性であるが、欠失した又は機能的に不活化されたウイルス遺伝子(複数可)(例えば、GP)
を欠いているため、非相補細胞でさらなる感染性子孫粒子を生成することができない。相
補細胞は、安定なトランスフェクション、一過性のトランスフェクションによるか、又は
失われた機能性を発現するヘルパーウイルスの感染によって、失われた機能性を提供する
ことができる。
【0235】
ある実施態様において、該相補細胞は、アレナウイルスベクターゲノムから欠失してい
るか又は機能的に不活化されているウイルス遺伝子を提供する。具体的な実施態様におい
て、該相補細胞は、アレナウイルスベクターのゲノムを作製するために使用されたウイル
ス株と同じウイルス株からのウイルス遺伝子を提供する。別の実施態様において、該相補
細胞は、アレナウイルスベクターのゲノムを作製するために使用されたウイルス株とは異
なるウイルス株からのウイルス遺伝子を提供する。例えば、相補細胞に提供されるウイル
ス遺伝子は、LCMVのMP株から得られる。別の例において、相補細胞に提供されるウイルス
遺伝子は、LCMVのクローン13株から得られる。別の例において、相補細胞に提供されるウ
イルス遺伝子は、LCMVのWE株から得られる。
【0236】
具体的な実施態様において、該相補細胞は、LCMVのMP株のGPを提供し、該アレナウイル
スベクターは、GPタンパク質をコードするORFの代わりに、本明細書に記載される腫瘍抗
原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片のORFを含む。さらにより具体的な実施態様にお
いて、該相補細胞は、LCMVのMP株のGPを提供し、該アレナウイルスベクターは、LCMVクロ
ーン13から得られ、GPタンパク質をコードするORFの代わりに、本明細書に記載される腫
瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片のORFを含む。
【0237】
具体的な実施態様において、該相補細胞は、LCMVのクローン13株のGPを提供し、該アレ
ナウイルスベクターは、GPタンパク質をコードするORFの代わりに、本明細書に記載され
る腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片のORFを含む。さらにより具体的な実施
態様において、該相補細胞は、LCMVのクローン13株のGPを提供し、該アレナウイルスベク
ターは、LCMV MP株から得られ、GPタンパク質をコードするORFの代わりに、本明細書に記
載される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片のORFを含む。
【0238】
具体的な実施態様において、該相補細胞は、LCMVのWE株のGPを提供し、該アレナウイル
スベクターは、GPタンパク質をコードするORFの代わりに、本明細書に記載される腫瘍抗
原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片のORFを含む。さらにより具体的な実施態様にお
いて、該相補細胞は、LCMVのWE株のGPを提供し、該アレナウイルスベクターは、LCMV ク
ローン13株から得られ、GPタンパク質をコードするORFの代わりに、本明細書に記載され
る腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片のORFを含む。
【0239】
具体的な実施態様において、該相補細胞は、LCMVのWE株のGPを提供し、該アレナウイル
スベクターは、GPタンパク質をコードするORFの代わりに、本明細書に記載される腫瘍抗
原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片のORFを含む。さらにより具体的な実施態様にお
いて、該相補細胞は、LCMVのWE株のGPを提供し、該アレナウイルスベクターは、LCMV MP
株から得られ、GPタンパク質をコードするORFの代わりに、本明細書に記載される腫瘍抗
原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片のORFを含む。
【0240】
(5.7 核酸、ベクター系及び細胞株)
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるアレナウイ
ルスゲノムセグメント又は三セグメントアレナウイルス粒子を含むか、又はそれからなる
cDNAである。
【0241】
(5.7.1 非天然位置のオープンリーディングフレーム)
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、第5.1節に記載されるアレナウイル
スゲノムセグメントをコードする核酸である。より具体的な実施態様において、本明細書
に提供されるのは、表1に記載されるDNAヌクレオチド配列又はDNAヌクレオチド配列のセ
ットである。そのような核酸を含む宿主細胞はまた、第5.1節に提供されている。
【0242】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、ORFの野生型の位置以外の位
置にORFと、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列
とを担持するように改変されたアレナウイルスゲノムセグメントのcDNAであり、該アレナ
ウイルスゲノムセグメントは、第5.1節に記載される異種ORFをコードする。
【0243】
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、ORFの野生型の位置以外の位置にORF
と、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列とを担持
するように改変されたアレナウイルスゲノムセグメントをコードするDNA発現ベクター系
である。具体的には、本明細書に提供されるのは、1以上のベクターが、本明細書に記載
されるアレナウイルス粒子の2つのアレナウイルスゲノムセグメント、すなわち、Lセグメ
ント及びSセグメントをコードするDNA発現ベクター系である。そのようなベクター系は、
腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をコードする
ことができる。
【0244】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、野生型の位置以外の位置にORFと
、DNA発現系の一部であるか、又はDNA発現系に組み込まれている腫瘍抗原、腫瘍関連抗原
又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列とを担持するように改変されたアレナ
ウイルスSセグメントのcDNAである。他の実施態様において、本明細書に提供されるのは
、野生型の位置以外の位置にORFと、DNA発現系の一部であるか、又はDNA発現系に組み込
まれている腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と
を担持するように改変されたアレナウイルスLセグメントのcDNAである。ある実施態様に
おいて、(i)ORFの野生型の位置以外の位置にORFと、(ii)除去され、腫瘍抗原、腫瘍
関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と置換されているGP、NP、Z
タンパク質、又はLタンパク質をコードするORFとを担持するように改変されたアレナウイ
ルスゲノムセグメントのcDNAである。
【0245】
ある実施態様において、本明細書に提供されるcDNAは、LCMVの特定の株に由来すること
ができる。LCMVの株としては、クローン13、MP株、Arm CA 1371、Arm E-250、WE、UBC、T
raub、Pasteur、810885、CH-5692、Marseille #12、HP65-2009、200501927、810362、811
316、810316、810366、20112714、Douglas、GR01、SN05、CABN及びこれらの派生物が挙げ
られる。具体的な実施態様において、該cDNAは、LCMVクローン13に由来する。他の具体的
な実施態様において、該cDNAは、LCMV MP株に由来する。
【0246】
ある実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルス粒子又は三セグメントア
レナウイルス粒子をコードするように作製されたベクターは、LCMVの特定株に基づくこと
ができる。LCMVの株としては、クローン13、MP株、Arm CA 1371、Arm E-250、WE、UBC、T
raub、Pasteur、810885、CH-5692、Marseille #12、HP65-2009、200501927、810362、811
316、810316、810366、20112714、Douglas、GR01、SN05、CABN及びこれらの派生物が挙げ
られる。ある実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルス粒子又は三セグメ
ントアレナウイルス粒子は、LCMVクローン13に基づくことができる。他の実施態様におい
て、本明細書に記載されるアレナウイルス粒子又は三セグメントアレナウイルス粒子をコ
ードするように作製されたベクターは、LCMV MP株に基づくことができる。
【0247】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、この節の上記のcDNA又はベクター
系を含む細胞である。そのような細胞由来の細胞株、そのような細胞を含む培養物、感染
したそのような細胞を培養する方法も、本明細書に提供される。ある実施態様において、
本明細書に提供されるのは、ORFの野生型の位置以外の位置にORFと、腫瘍抗原、腫瘍関連
抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列とを担持するように改変されたア
レナウイルスゲノムセグメントのcDNAを含む細胞である。いくつかの実施態様において、
該細胞は、Sセグメント及び/又はLセグメントを含む。
【0248】
(5.7.2 三セグメントアレナウイルス粒子)
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、第5.2節に記載される三セグメント
アレナウイルス粒子をコードする核酸である。より具体的な実施態様において、本明細書
に提供されるのは、例えば、表2又は表3に記載されるDNAヌクレオチド配列又はDNAヌクレ
オチド配列のセットである。そのような核酸を含む宿主細胞も、第5.2節に提供されてい
る。
【0249】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、ORFの野生型の位置以外の位
置にORFを担持するように改変された三セグメントアレナウイルス粒子のcDNAからなるcDN
Aである。他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)ORFの野生型の位置
以外の位置にアレナウイルスORFを担持するように改変された三セグメントアレナウイル
ス粒子のcDNAであり、(ii)該三セグメントアレナウイルス粒子は、第5.2に記載される
異種ORFをコードする。
【0250】
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される腫瘍抗原、腫
瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む三セグメントアレナ
ウイルス粒子をまとめてコードするDNA発現ベクター系である。具体的には、本明細書に
提供されるのは、1以上のベクターが、本明細書に記載される三セグメントアレナウイル
ス粒子の3つのアレナウイルスゲノムセグメント、すなわち、1つのLセグメント及び2つの
Sセグメント又は2つのLセグメント及び1つのSセグメントをコードするDNA発現ベクター系
である。そのようなベクター系は、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコード
することができる。
【0251】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、野生型の位置以外の位置にORFと
、DNA発現系の一部であるか、又はDNA発現系に組み込まれている腫瘍抗原、腫瘍関連抗原
又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列とを担持するように改変されたアレナ
ウイルスSセグメント(複数可)のcDNAである。他の実施態様において、本明細書に提供
されるのは、野生型の位置以外の位置にORFと、DNA発現系の一部であるか、又はDNA発現
系に組み込まれている腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオ
チド配列とを担持するように改変されたアレナウイルスLセグメント(複数可)のcDNAで
ある。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)ORFの野生型の位置以外
の位置にORFを担持するように改変され、かつ(ii)GP、NP、Zタンパク質、又はLタンパ
ク質をコードするORFが除去され、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコード
するヌクレオチド配列で置換されている三セグメントアレナウイルス粒子のcDNAである。
【0252】
ある実施態様において、本明細書に提供されるcDNAは、LCMVの特定の株に由来すること
ができる。LCMVの株としては、クローン13、MP株、Arm CA 1371、Arm E-250、WE、UBC、T
raub、Pasteur、810885、CH-5692、Marseille #12、HP65-2009、200501927、810362、811
316、810316、810366、20112714、Douglas、GR01、SN05、CABN及びこれらの派生物が挙げ
られる。具体的な実施態様において、該cDNAは、LCMVクローン13に由来する。他の具体的
な実施態様において、該cDNAは、LCMV MP株に由来する。
【0253】
ある実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルス粒子又は三セグメントア
レナウイルス粒子をコードするように作製されたベクターは、LCMVの特定株に基づくこと
ができる。LCMVの株としては、クローン13、MP株、Arm CA 1371、Arm E-250、WE、UBC、T
raub、Pasteur、810885、CH-5692、Marseille #12、HP65-2009、200501927、810362、811
316、810316、810366、20112714、Douglas、GR01、SN05、CABN及びこれらの派生物が挙げ
られる。ある実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルス粒子又は三セグメ
ントアレナウイルス粒子は、LCMVクローン13に基づくことができる。他の実施態様におい
て、本明細書に記載されるアレナウイルス粒子又は三セグメントアレナウイルス粒子をコ
ードするように作製されたベクターは、LCMV MP株に基づくことができる。
【0254】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、この節の上記のcDNA又はベクター
系を含む細胞である。そのような細胞に由来する細胞株、そのような細胞を含む培養物、
及び感染したそのような細胞を培養する方法も本明細書に提供される。ある実施態様にお
いて、本明細書に提供されるのは、三セグメントアレナウイルス粒子のcDNAを含む細胞で
ある。いくつかの実施態様において、該細胞は、Sセグメント及び/又はLセグメントを含
む。
【0255】
(5.7.3 複製欠損アレナウイルス)
一実施態様において、本明細書に記載されるのは、本明細書に記載される二セグメント
感染性複製欠損アレナウイルスの大きなゲノムセグメント(Lセグメント)のcDNAである
核酸配列であり、該ゲノムセグメントの1つのORFは、欠失しているか、又は機能的に不活
化されており、該ゲノムセグメントは、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコ
ードするヌクレオチド配列を含む。
【0256】
一実施態様において、本明細書に記載されるのは、本明細書に記載される二セグメント
感染性複製欠損アレナウイルスの短いゲノムセグメント(Sセグメント)をコードする核
酸配列であり、該ゲノムセグメントの1つのORFは、欠失しているか、又は機能的に不活化
されており、該短いゲノムセグメントは、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片
をコードするヌクレオチド配列を含む。別の実施態様において、本明細書に記載されるの
は、本明細書に記載される二セグメント感染性複製欠損アレナウイルスの短いゲノムセグ
メント(Sセグメント)をコードする核酸配列であり、糖タンパク質遺伝子のORFは、欠失
しているか、又は機能的に不活化されており、該短いゲノムセグメントは、腫瘍抗原、腫
瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む。あるより具体的
な実施態様において、該腫瘍抗原は、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片は、第5.4節に
記載される抗原である。
【0257】
ある実施態様において、本明細書に提供される核酸配列は、LCMVの特定の株に由来する
ことができる。LCMVの株としては、クローン13、MP株、Arm CA 1371、Arm E-250、WE、UB
C、Traub、Pasteur、810885、CH-5692、Marseille #12、HP65-2009、200501927、810362
、811316、810316、810366、20112714、Douglas、GR01、SN05、CABN及びこれらの派生物
が挙げられる。具体的な実施態様において、該核酸は、LCMVクローン13に由来する。他の
具体的な実施態様において、該核酸は、LCMV MP株に由来する。
【0258】
より具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、アレナウイルスゲノムセ
グメントを含む核酸、及び(ii)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコード
するヌクレオチド配列である。
【0259】
一実施態様において、本明細書に記載されるのは、本明細書に記載される二セグメント
感染性複製欠損アレナウイルス粒子のゲノムをまとめて含む1以上のベクターを含むベク
ター系である。具体的には、本明細書に提供されるのは、1以上のベクターが本明細書に
記載される二セグメント感染性複製欠損アレナウイルスの2つのアレナウイルスゲノムセ
グメント、すなわち、Lセグメント及びSセグメントを含むベクター系である。そのような
ベクター系は、
・この改変されたSゲノムセグメントを担持するアレナウイルス粒子が感染性子孫ウイル
ス粒子を生成することができないように改変されているアレナウイルスSゲノムセグメン
ト、及び腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片を(センス又はアンチセンスで)コ
ードするヌクレオチド配列を含むアレナウイルスLゲノムセグメント;
・この改変されたLゲノムセグメントを担持するアレナウイルス粒子が感染性子孫ウイル
ス粒子を生成することができないように改変されているアレナウイルスLゲノムセグメン
ト、及び腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片を(センス又はアンチセンスで)コ
ードするヌクレオチド配列を含むアレナウイルスSゲノムセグメント;
・この改変されたSゲノムセグメントを担持するアレナウイルス粒子が感染性子孫ウイル
ス粒子を生成することができないように改変されており、かつ腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、
又はその抗原性断片を(センス又はアンチセンスで)コードするヌクレオチド配列を含み、
かつ野生型アレナウイルスLゲノムセグメントを含むアレナウイルスSゲノムセグメント;
又は
・この改変されたLゲノムセグメントを担持するアレナウイルス粒子が感染性子孫ウイル
ス粒子を生成することができないように改変されており、かつ腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、
又はその抗原性断片を(センス又はアンチセンスで)コードするヌクレオチド配列を含み、
かつ野生型アレナウイルスSゲノムセグメントを含むアレナウイルスLゲノムセグメント
を(1以上の別々のDNA分子上に)を含むことができる。
【0260】
ある実施態様において、本明細書に記載されるのは、SゲノムセグメントのGPをコード
するORFが、発癌ウイルス抗原、癌精巣抗原、癌胎児性抗原、組織分化抗原、変異型タン
パク質抗原、ネオ抗原、アディポフィリン、AIM-2、ALDH1AI、BCLX(L)、BING-4、CALCA、
CD45、CPSF、サイクリンD1、DKKI、ENAH(hMcna)、Ga733(EpCAM)、EphA3、EZH2、FGF5、グ
リピカン-3、G250/MN/CAIX、HER-2/neu、IDO1、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエス
テラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、レングシン、M-CSF、MCSP、m
dm-2、モロエ、MMP-2、MMP-7、MUCl、MUC5AC、p53(非変異)、PAX5、PBF、PRAME、PSMA
、RAGE、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RU2AS、セセルニン1、SOX1O、STEAP1 (前立腺6回
膜貫通上皮抗原1)、サバイビン、テロメラーゼ、VEGF、WT1、EGF-R、CEA、CD20、CD33、C
D52、糖タンパク質100(GP100又はgp100タンパク質)、MELANA/MART1、MART2、NY-ESO-1、p
53、MAGE A1、MAGE A3、MAGE-4、MAGE-5、MAGE-6、CDK4、α-アクチニン-4、ARTC1、BCR-
ABL、BCR-ABL融合タンパク質(b3a2)、B-RAF、CASP-5、CASP-8、β-カテニン、Cdc27、CDK
4、CDKN2A、CLPP、COA-1、dek-can融合タンパク質、EFTUD2、伸長因子2、ETV6-AML、ETV6
-AML1融合タンパク質、FLT3-ITD、FNl、GPNMB、LDLR-フコシルトランスフェラーゼAS融合
タンパク質、NFYC、OGT、OS-9、pml-RARα融合タンパク質、PRDX5、PTPRK、H-ras、K-ras
(V-Ki-ras2 カーステンラット肉腫ウイルス癌遺伝子)、N-ras、RBAF600、SIRT2、SNRPDl
、SSX、SSX2、SYT-SSXl又はSYT-SSX2融合タンパク質、TGF-βRII、トリオースリン酸イソ
メラーゼ、ormdm-2、LMP2、HPV E6/E7、EGFRvIII(上皮増殖因子変異体III)、イディオタ
イプ、GD2、ガングリオシドG2)、Ras-変異体、p53(変異体)、プロテイナーゼ3(PR1)、チ
ロシナーゼ、PSA、hTERT、肉腫転座切断点、EphA2、前立腺酸性ホスファターゼPAP、neo-
PAP、ML-IAP、AFP、ERG (TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、ALK、アンドロゲン受容
体、サイクリンB1、ポリシアル酸、MYCN、TRP2、TRP2-Int2、GD3、フコシルGM1、メソテ
リン、PSCA、sLe(a)、cyp1B1、PLAC1、GM3、BORIS、Tn、GLoboH、NY-BR-1、SART3、STn、
炭酸脱水酵素IX、OY-TES1、精子タンパク質17、LCK、高分子量メラノーマ関連抗原(HMWMA
A)、AKAP-4、SSX2、XAGE 1、B7H3、レグマイン、Tie 2、Page4、VEGFR2、MAD-CT-1、FAP
、PDGFR-β、MAD-CT-2、For-関連抗原1、TRP1、CA-125、CA19-9、カルレチニン、上皮膜
抗原(EMA)、上皮腫瘍抗原(ETA)、CD19、CD34、CD99、CD117、クロモグラニン、サイトケ
ラチン、デスミン、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、グロス嚢胞性疾患流体タンパク
質(GCDFP-15)、HMB-45抗原、Myo-D1、筋肉特異的アクチン(MSA)、ニューロフィラメント
、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)、胎盤アルカリホスファターゼ、シナプトフィシス
、サイログロブリン、甲状腺転写因子1、ピルビン酸キナーゼアイソザイム型M2の二量体
形態(腫瘍M2-PK)、BAGE BAGE-1、CAGE、CTAGE、FATE、GAGE、GAGE-1、GAGE-2、GAGE-3
、GAGE-4、GAGE-5、GAGE-6、GAGE-7、HCA661、HOM-TES-85、MAGEA、MAGEB、MAGEC、NA88
、NY-SAR-35、SPANXB1、SPA17、SSX、SYCP1、TPTE、炭水化物/ガングリオシドGM2(癌胎
児性抗原-免疫原性-1 OFA-I-1)、GM3、CA 15-3 (CA 27.29/BCAA)、CA 195、CA 242、CA 5
0、CAM 43、CEA、EBNA、EF2、エプスタイン-バーウイルス抗原、HLA-A2、HLA-A11、HSP70
-2、KIAAO205、MUM-1、MUM-2、MUM-3、ミオシンクラスI、GnTV、Herv-K-mel、LAGE-1、LA
GE-2、(精子タンパク質)SP17、SCP-1、P15(58)、Hom/Mel-40、E2A-PRL、H4-RET、IGH-IGK
、MYL-RAR、TSP-180、P185erbB2、p180erbB-3、c-met、nm-23H1、TAG-72、TAG-72-4、CA-
72-4、CAM 17.1、NuMa、13-カテニン、P16、TAGE、CT7、43-9F、5T4、791Tgp72、13HCG、
BCA225、BTAA、CD68/KP1、CO-029、HTgp-175、M344、MG7-Ag、MOV18、NB/70K、NY-CO-1、
RCAS1、SDCCAG16、TA-90、TAAL6、TLP、TPS、CD22、CD27、CD30、CD70、プロステイン、T
ARP(T細胞受容体γ選択的リーディングフレームタンパク質)、Trp-p8、インテグリンαv
β3 (CD61)、ガラクチン、又はRal-B、CD123、CLL-1、CD38、CS-1、CD138、及びROR1から
なる群から選択される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレ
オチド配列と置換されているアレナウイルス(例えば、LCMV)ゲノムセグメントを含む核
酸配列である。
【0261】
ある実施態様において、本明細書に記載されるのは、SゲノムセグメントのGPをコード
するORFが、1以上の腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片(例えば、上の段落に
記載されたもののうちの1以上)をコードするヌクレオチド配列で置換されているアレナ
ウイルス(例えば、LCMV)ゲノムセグメントを含む核酸配列である。
【0262】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、この節の上記の核酸又はベクター
系を含む細胞である。そのような細胞に由来する細胞株、そのような細胞を含む培養物、
及び核酸又はベクター系を感染させたそのような細胞を培養する方法も本明細書に提供さ
れる。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、二セグメント感染性複製欠損
アレナウイルスの大きなゲノムセグメント(Lセグメント)を含む核酸を含む細胞であり
、該ゲノムセグメントの1つのORFは、欠失しているか、又は機能的に不活化されており、
該ゲノムセグメントは、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌク
レオチド配列を含む。
【0263】
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される二セグメン
ト感染性複製欠損アレナウイルスの短いゲノムセグメント(Sセグメント)を含む核酸配
列を含む細胞であり、該ゲノムセグメントの1つのORFは、欠失しているか、又は機能的に
不活化されており、該短いゲノムセグメントは、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原
性断片をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0264】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される2つの核酸
又はベクター系を含む細胞である。そのような細胞に由来する細胞株、そのような細胞を
含む培養物、及び核酸又はベクター系を感染させたそのような細胞を培養する方法も本明
細書に提供される。
【0265】
(5.8 使用方法)
ワクチンは、ポリオウイルス及び麻疹のものなどの感染症を予防及び/又は治療するの
に成功してきた。しかしながら、癌を含む確立された慢性疾患の状況での治療免疫は、あ
まり成功していない。免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて使用されるアレナウイ
ルス粒子を作製する能力は、新たな新規のワクチン戦略を表す。
【0266】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における腫瘍性疾患を治療す
る方法である。そのような方法は、本明細書に提供されるアレナウイルス粒子及び本明細
書に提供される免疫チェックポイント阻害剤を、それを必要とする対象に投与することを
含むことができる。ある実施態様において、本方法で使用されるアレナウイルス粒子は、
本明細書に提供される感染性複製欠損アレナウイルス粒子である。ある実施態様において
、本方法で使用されるアレナウイルス粒子は、感染性複製欠損三セグメントアレナウイル
ス粒子又は複製可能三セグメントアレナウイルス粒子を含む、本明細書に提供される三セ
グメントアレナウイルス粒子である。したがって、ある実施態様において、本方法で使用
される三セグメントアレナウイルス粒子を含むアレナウイルス粒子は、複製欠損であり、
該アレナウイルス粒子は:(1)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードする
ヌクレオチド配列、及び(2)感染した細胞でその遺伝情報を増幅し、それを発現させる
能力を含むゲノムを含有するが、非相補細胞ではさらなる感染性子孫粒子を生成すること
ができないように改変されている。また、ある実施態様において、本方法で使用される三
セグメントアレナウイルス粒子は、複製可能であり、該三セグメントアレナウイルス粒子
は、(1)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;(
2)感染した細胞でその遺伝情報を増幅し、それを発現させる能力;及び(3)遺伝子改変
されていない正常細胞でさらなる感染性子孫粒子を生成する能力を含むゲノムを含有する
ように改変されている。ある実施態様において、本方法で使用されるアレナウイルス粒子
は、二セグメント感染性複製欠損アレナウイルス粒子である。したがって、ある実施態様
において、本方法で使用される感染性複製欠損アレナウイルス粒子は:(1)腫瘍抗原、腫
瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;及び(2)感染した細胞で
その遺伝情報を増幅し、それを発現させる能力を含むゲノムを含有するが、非相補細胞で
はさらなる感染性子孫粒子を生成することができないように改変されている。ある実施態
様において、該免疫チェックポイント阻害剤は、負のチェックポイント調節因子の活性を
阻害するか、低下させるか、又は干渉する。
【0267】
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における腫瘍性疾患を治療する
方法であって、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原若しくはその抗原性断片を
発現する1以上のアレナウイルス粒子又はその組成物、及び本明細書に提供される免疫チ
ェックポイント阻害剤を該対象に投与することを含む、前記方法である。具体的な実施態
様において、本明細書に記載される腫瘍性疾患を治療する方法は、本明細書に提供される
腫瘍抗原、腫瘍関連抗原若しくはその抗原性断片を発現する治療有効量の1以上のアレナ
ウイルス粒子又はその組成物、及び本明細書に提供される免疫チェックポイント阻害剤を
、それを必要とする対象に投与することを含む。該対象は、限定されないが、ヒト、マウ
ス、ラット、モルモット、限定されないが、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ネコ、イ
ヌ、ハムスター、ロバなどの家畜動物などの哺乳動物であり得る。具体的な実施態様にお
いて、該対象はヒトである。
【0268】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における癌細胞又は腫瘍など
の腫瘍性細胞又は組織に対する免疫応答を誘導する方法であって、本明細書に提供される
腫瘍抗原、腫瘍関連抗原若しくはその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子、又はそ
の組成物、及び本明細書に提供される免疫チェックポイント阻害剤を該対象に投与するこ
とを含む、前記方法である。
【0269】
別の実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原若しくはその抗
原性断片を発現するアレナウイルス粒子、又はその組成物、及び本明細書に提供される免
疫チェックポイント阻害剤が投与される対象は、腫瘍性疾患を有するか、起こしやすいか
、又はそのリスクに曝されている。
【0270】
別の実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原若しくはその抗
原性断片を発現するアレナウイルス粒子、又はその組成物、及び本明細書に提供される免
疫チェックポイント阻害剤が投与される対象は、癌などの腫瘍性疾患を有するか、起こし
やすいか、若しくはその発症のリスクに曝されているか、又は前癌組織病変を呈する。別
の具体的な実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原若しくはそ
の抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子、又はその組成物、及び本明細書に提供され
る免疫チェックポイント阻害剤が投与される対象は、癌などの腫瘍性疾患と診断されるか
、又は前癌組織病変を呈する。
【0271】
別の実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原若しくはその抗
原性断片を発現するアレナウイルス粒子、又はその組成物、及び本明細書に提供される免
疫チェックポイント阻害剤が投与される対象は、限定されないが、急性リンパ芽球性白血
病;急性リンパ芽球性リンパ腫;急性リンパ性白血病;急性骨髄性白血病;急性骨髄性白血病
(成人/子供);副腎皮質癌;エイズ関連癌;エイズ関連リンパ腫;肛門癌;虫垂癌;星状細胞
腫;非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍;基底細胞癌;胆管癌、肝外(胆管細胞癌);膀胱癌;骨
肉腫/悪性線維性組織球腫;脳腫瘍(成人/子供);脳腫瘍、小脳星状細胞腫(成人/子供);
脳腫瘍、脳星状細胞腫/悪性神経膠腫脳腫瘍;脳腫瘍、上衣腫;脳腫瘍、髄芽腫;脳腫瘍、テ
ント上原始神経外胚葉性腫瘍;脳腫瘍、視経路及び視床下部神経膠腫;脳幹神経膠腫;乳癌;
気管支腺腫/カルチノイド;気管支腫瘍;バーキットリンパ腫;小児癌;カルチノイド胃腸腫
瘍;カルチノイド腫瘍;成人の癌、原発部位不明;原発不明癌;中枢神経系胎児性腫瘍;中枢
神経系リンパ腫、原発性;子宮頸癌;小児副腎皮質癌;小児癌;小児大脳星状細胞腫; 脊索腫
、小児;慢性リンパ性白血病;慢性骨髄性白血病(chronic myelogenous leukemia);慢性骨
髄性白血病(chronic myeloid leukemia);慢性骨髄増殖性障害;大腸癌;結腸直腸癌;頭蓋咽
頭腫;皮膚T細胞リンパ腫;線維形成性小円形細胞腫瘍;肺気腫;子宮内膜癌;上衣芽腫;上衣
腫;食道癌;ユーイングファミリー腫瘍におけるユーイング肉腫;頭蓋外胚細胞腫瘍;性腺外
胚細胞腫瘍;肝外胆管癌;胆嚢癌;胃(gastric)(胃(stomach))癌; 胃カルチノイド;消化管
カルチノイド腫瘍;消化管間質腫瘍;胚細胞腫瘍:頭蓋外性腺外、又は卵巣妊娠性絨毛腫瘍
;妊娠性絨毛腫瘍、原発部位不明;神経膠腫;脳幹の神経膠腫;神経膠腫、小児期の視覚的経
路及び視床下部;ヘアリーセル白血病;頭頸部癌;心臓癌;肝細胞(肝臓)癌;ホジキンリン
パ腫;下咽頭癌;視床下部及び視経路神経膠腫;眼内黒色腫;膵島細胞癌(内分泌膵臓);カ
ポジ肉腫;腎臓癌(腎細胞癌);ランゲルハンス細胞組織球症;喉頭癌;口唇及び口腔の癌;
脂肪肉腫;肝臓癌(原発性);肺癌、非小細胞;肺癌、小細胞;リンパ腫、原発中枢神経系;
マクログロブリン血症、ワルデンストレーム;男性の乳癌;骨/骨肉腫の悪性線維性組織球
腫; 髄芽腫; 髄上皮腫;黒色腫;黒色腫、眼内(眼);メルケル細胞癌;メルケル細胞皮膚癌
;中皮腫;中皮腫、成人悪性;原発不明転移性扁平上皮頸部癌;口腔癌;多発性内分泌腫瘍症
候群;多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍;菌状息肉症、骨髄異形成症候群;骨髄異形成/骨髄増殖
性疾患;骨髄性白血病、慢性;骨髄性白血病、成人急性;骨髄性白血病、小児急性;骨髄腫、
多発性(骨髄の癌);骨髄増殖性障害、慢性;鼻腔及び副鼻腔の癌;鼻咽頭癌;神経芽腫、非
小細胞肺癌;非ホジキンリンパ腫; 乏突起神経膠腫;口腔癌(oral cancer);口腔癌(oral ca
vity cancer); 中咽頭癌;骨肉腫/骨の悪性線維性組織球腫;卵巣癌;上皮性卵巣癌(表面上
皮-間質腫瘍);卵巣胚細胞腫瘍;卵巣低悪性度腫瘍;膵臓癌;膵臓癌、膵島細胞;乳頭腫症;
副鼻腔及び鼻腔の癌;副甲状腺癌;陰茎癌;咽頭癌;褐色細胞腫;松果体星状細胞腫;松果体胚
細胞腫;中間分化の松果体実質腫瘍;松果体芽腫及びテント上原始神経外胚葉性腫瘍;下垂
体腫瘍;下垂体腺腫; 形質細胞腫瘍/多発性骨髄腫;胸膜肺芽腫;原発性中枢神経系リンパ腫
;前立腺癌;直腸癌;腎細胞癌(腎臓癌);腎盂及び尿管、移行上皮癌;第15染色体上のNUT遺
伝子が関与する気道癌;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫、小児;唾液腺癌;肉腫、ユーイングファ
ミリー腫瘍;セザリー症候群;皮膚癌(黒色腫);皮膚癌(非黒色腫);小細胞肺癌;小腸癌
軟部組織肉腫;軟部組織肉腫;脊髄腫瘍;扁平上皮癌;原発不明転移性扁平上皮頸部癌;胃(st
omach)(胃(gastric))癌;テント上原始神経外胚葉性腫瘍;T細胞リンパ腫、皮膚(菌状息
肉腫及びセザリー症候群);精巣癌;咽喉癌;胸腺腫;胸腺腫及び胸腺癌;甲状腺癌;甲状腺癌
、小児;腎盂及び尿管の移行上皮癌;尿道癌;子宮癌、子宮内膜;子宮肉腫;膣癌;外陰癌;及
びウィルムス腫瘍からなる群から選択される腫瘍性疾患を患っているか、それを起こしや
すいか、又はそのリスクに曝されている。
【0272】
別の実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原若しくはその抗
原性断片を発現するアレナウイルス粒子、又はその組成物、及び本明細書に提供される免
疫チェックポイント阻害剤は、腫瘍性疾患を患っているか、起こしやすいか、又はその発
症のリスクに曝されている任意の年齢群の対象に投与される。具体的な実施態様において
、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原若しくはその抗原性断片を発現するアレ
ナウイルス粒子、又はその組成物、及び本明細書に提供される免疫チェックポイント阻害
剤は、免疫不全の対象、妊娠している対象、臓器若しくは骨髄移植を受けた対象、免疫抑
制薬を服用している対象、血液透析を受けている対象、癌を有する対象、又は腫瘍性疾患
を患っているか、起こしやすいか、又はそのリスクに曝されている対象に投与される。よ
り具体的な実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原若しくはそ
の抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子、又はその組成物、及び本明細書に提供され
る免疫チェックポイント阻害剤は、腫瘍性疾患を患っているか、起こしやすいか、又はそ
のリスクに曝されている0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、
又は17歳の子供である対象に投与される。さらに別の具体的な実施態様において、本明細
書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原若しくはその抗原性断片を発現するアレナウイル
ス粒子、又はその組成物、及び本明細書に提供される免疫チェックポイント阻害剤は、腫
瘍性疾患を患っているか、起こしやすいか、又はそのリスクに曝されている乳児である対
象に投与される。さらに別の具体的な実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原
、腫瘍関連抗原若しくはその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子、又はその組成物
、及び本明細書に提供される免疫チェックポイント阻害剤は、腫瘍性疾患を患っているか
、起こしやすいか、又はそのリスクに曝されている0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、
11、又は12ヶ月の幼児である対象に投与される。さらに別の具体的な実施態様において、
本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原若しくはその抗原性断片を発現するアレナ
ウイルス粒子、又はその組成物、及び本明細書に提供される免疫チェックポイント阻害剤
は、腫瘍性疾患を患っているか、起こしやすいか、又はそのリスクに曝されている高齢対
象に投与される。より具体的な実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍
関連抗原若しくはその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子、又はその組成物、及び
本明細書に提供される免疫チェックポイント阻害剤は、65、66、67、68、69、70、71、72
、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、又は90歳の
シニア対象である対象に投与される。
【0273】
別の実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原若しくはその抗
原性断片を発現するアレナウイルス粒子、又はその組成物、及び本明細書に提供される免
疫チェックポイント阻害剤は、癌転移のリスクが高い対象に投与される。具体的な実施態
様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原若しくはその抗原性断片を発
現するアレナウイルス粒子、又はその組成物、及び本明細書に提供される免疫チェックポ
イント阻害剤は、新生児の、従って未熟な免疫系を有する新生児期の対象に投与される。
【0274】
別の実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原若しくはその抗
原性断片を発現するアレナウイルス粒子、又はその組成物、及び本明細書に提供される免
疫チェックポイント阻害剤は、グレード0(すなわち、非浸潤性腫瘍)、グレード1、グレ
ード2、グレード3若しくはグレード4の癌又はグレード3A、3B、又3Cなどのサブカテゴリ
、又はその等価物を有する対象に投与される。
【0275】
別の実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原若しくはその抗
原性断片を発現するアレナウイルス粒子、又はその組成物、及び本明細書に提供される免
疫チェックポイント阻害剤は、腫瘍T1、T2、T3、及びT4、及びノードN0、N1、N2、又はN3
、及び転移M0及びM1から選択される任意の組合せの腫瘍、リンパ節、転移(TNM)ステー
ジの癌を有する対象に投与される。
【0276】
癌患者の治療の成功は、予想される生存期間の延長、抗腫瘍免疫応答の誘導、又は癌の
特定の特性の改善として評価することができる。改善される可能性のある癌の特徴の例と
しては、腫瘍の大きさ(例えば、T0、Tは、又はT1-4である)、転移の状態(例えば、M0
、M1)、観察可能な腫瘍の数、リンパ節病変(例えば、NO、N1-4、Nx)、グレード(すな
わち、グレード1、2、3、又は4)、ステージ(例えば、0、I、II、III、又はIV)、細胞
上若しくは体液中のあるマーカー(例えば、AFP、B2M、β-HCG、BTA、CA 15-3、CA 27.29
、CA 125、CA 72.4、CA 19-9、カルシトニン、CEA、クロモグラニンA、EGFR、ホルモン受
容体、HER2、HCG、免疫グロブリン、NSE、NMP22、PSA、PAP、PSMA、S-100、TA-90、及び
サイログロブリン)の存在又は濃度、及び/又は関連する病状(例えば、腹水若しくは浮
腫)又は症状(例えば、悪液質、発熱、食欲不振、又は疼痛)が挙げられる。改善は、パ
ーセントによって測定可能な場合に、少なくとも5、10、15、20、25、30、40、50、60、7
0、80、又は90%(例えば、腫瘍の生存、又は体積又は直線寸法)であり得る。
【0277】
別の実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原若しくはその抗
原性断片を発現するアレナウイルス粒子、又はその組成物及び本明細書に提供される免疫
チェックポイント阻害剤は、休眠癌を有する対象(例えば、寛解中である対象)に投与さ
れる。したがって、本明細書に提供されるのは、癌の再活性化を防止する方法である。
【0278】
別の実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原若しくはその抗
原性断片を発現するアレナウイルス粒子、又はその組成物、及び本明細書に提供される免
疫チェックポイント阻害剤は、再発癌を有する対象に投与される。
【0279】
別の実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原若しくはその抗
原性断片を発現するアレナウイルス粒子、又はその組成物、及び本明細書に提供される免
疫チェックポイント阻害剤は、癌の遺伝的素因を有する対象に投与される。別の実施態様
において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原若しくはその抗原性断片を発現
するアレナウイルス粒子、又はその組成物、及び本明細書に提供される免疫チェックポイ
ント阻害剤は、リスク要因を有する対象に投与される。例示的なリスク要因としては、高
齢、タバコ、太陽への露出、放射線被曝、化学物質曝露、家族の病歴、アルコール、貧し
い食生活、運動不足、又は太り過ぎが挙げられる。
【0280】
別の実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原若しくはその抗
原性断片を発現するアレナウイルス粒子、又はその組成物、及び本明細書に提供される免
疫チェックポイント阻害剤は、1種以上の癌を患う対象に投与される。他の実施態様にお
いて、本明細書に記載される組成物での治療に感受性である癌などの任意の種類の腫瘍性
疾患が、標的となり得る。
【0281】
別の実施態様において、提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現
するアレナウイルス粒子又はその組成物の対象への投与は、癌の細胞又は腫瘍などの腫瘍
性細胞又は腫瘍に対する細胞媒介性免疫(CMI)を与える。理論に束縛されるものではな
いが、別の実施態様において、提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を
発現するアレナウイルス粒子又はその組成物は、宿主(例えば、マクロファージ)に感染
し、主要組織適合性抗原(MHC)クラスI及びII上での抗原の直接提示のために、宿主の抗
原提示細胞(APC)において対象となる抗原を発現する。別の実施態様において、本明細
書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒
子、又はその組成物の対象への投与は、腫瘍性疾患を治療するために、多機能(plurifunc
tional)IFN-γ及びTNF-αを共生成する癌特異的CD4+及びCD8+T細胞応答を高度に誘導する
(IFN-γは、CD4+及びCD8+T細胞によって生成され、TNF-αは、CD4+T細胞によって生成さ
れる)。
【0282】
別の実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原若しくはその抗
原性断片を発現するアレナウイルス粒子、又はその組成物、及び本明細書に提供される免
疫チェックポイント阻害剤の投与は、癌治療のための1以上の臨床転帰を増加又は改善す
る。そのような転帰の非限定的な例としては、全生存期間、無増悪生存期間、無憎悪期間
、治療の失敗までの時間、無再発生存期間、次の治療までの時間、全体的な応答率及び応
答の持続時間が挙げられる。臨床転帰の1以上の増加又は改善は、そのような治療の非存
在下での同じ腫瘍性疾患を有する患者又は患者群と比較して、少なくとも約10%、少なく
とも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40
%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少な
くとも約90%、又はそれ以上であり得る。
【0283】
提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原若しくはその抗原性断片を発現するアレナウイルス
粒子、又はその組成物を投与することによって対象において誘導される、癌細胞又は腫瘍
を含む腫瘍細胞又は腫瘍に対する細胞媒介性免疫(CMI)応答機能の変化を、フローサイ
トメトリー(例えば、Perfetto S.P.らの文献, Nat Rev Immun. 2004; 4(8):648-55参照)
、リンパ球増殖アッセイ(例えば、Bonilla F.A.らの文献, Ann Allergy Asthma Immunol.
2008; 101:101-4;及びHicks M.J.らの文献, Am J Clin Pathol. 1983; 80:159-63参照)
、Tリンパ球のサイトカイン測定の活性化後の表面マーカー発現変化の決定を含むリンパ
球活性化を測定するためのアッセイ(例えば、Caruso A.らの文献, Cytometry. 1997;27:7
1-6参照)、ELISPOTアッセイ(例えば、Czerkinsky C.C.らの文献, J Immunol Methods. 19
83; 65:109-121;及びHutchings P.R.らの文献, J Immunol Methods. 1989; 120:1-8参照)
、又はナチュラルキラー細胞の細胞傷害性アッセイ(例えば、Bonilla F.A.らの文献, Ann
Allergy Asthma Immunol. 2005 May; 94(5 Suppl 1):S1-63参照)を含むが、これらに限
定されない当業者に公知の任意のアッセイによって測定することができる。
【0284】
本明細書に記載される方法及び組成物で使用することができる免疫チェックポイント阻
害剤は、任意の負のチェックポイント調節因子を標的とすることができる。ある実施態様
において、そのような負のチェックポイント調節因子は、T細胞活性化に関与するタンパ
ク質である。あるより具体的な実施態様において、そのような負のチェックポイント調節
因子は、細胞傷害性T-リンパ球抗原-4(CTLA-4)、CD80、CD86、プログラム細胞死1(PD-
1)、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)、プログラム細胞死リガンド2(PD-L2)、リ
ンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3;CD223としても知られる)、ガレクチン-3、B及びTリンパ
球アテニュエータ(BTLA)、T細胞膜タンパク質3(TIM3)、ガレクチン-9(GAL9)、B7-H
1、B7-H3、B7-H4、Ig及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT/Vstm3/WUCAM/VS
IG9)、T細胞活性化VドメインIgサプレッサー(VISTA)、グルココルチコイド誘導性腫瘍
壊死因子受容体関連(GITR)タンパク質、ヘルペスウイルス侵入メディエータ(HVEM)、
OX40、CD27、CD28、CD137、CGEN-15001T、CGEN-15022、CGEN-15027、CGEN-15049、CGEN-1
5052、及びCGEN-15092である。それらを標的にするそのようなチェックポイント調節因子
及び薬物の概要は、表4に記載されている。
表4
【表7】
【0285】
ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原若しくはその抗
原性断片を発現するアレナウイルス粒子、又はその組成物、及び本明細書に提供される免
疫チェックポイント阻害剤は、好ましくは、複数回の注射で(例えば、少なくとも2、3、
4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、25、30、40、45、又は50回の注射)又は連
続注入によって(例えば、ポンプを使用して)、複数の部位(例えば、少なくとも2、3、
4、5、6、7、8、9、10、12、又は14の部位)に投与される。ある実施態様において、本明
細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現するアレナウイルス
粒子、又はその組成物は、6ヶ月の期間、12ヶ月の期間、24ヶ月の期間、又は48ヶ月の期
間にわたって、2回以上の別々の注射で投与される。ある実施態様において、本明細書に
提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子、
又はその組成物は、選択された日に最初の用量を、最初の投与後の少なくとも2ヶ月の時
点で第2の用量を、及び最初の投与後6ヶ月の時点で第3の用量で投与される。
【0286】
一例において、皮膚の注射は、局所皮膚反応の程度を低減するために、複数の身体部位
に行われる。所与のワクチン接種日に、患者に割り当てられた総用量の投与を、1つのシ
リンジから3~5回の別々の用量(例えば、少なくとも0.4 ml、0.2 ml、又は0.1 ml)の皮
下注射に分けて行う。それぞれの皮下注射は、肢において最も近くに隣接した注射部位か
ら少なくとも5 cm(例えば、少なくとも4.5、5、6、7、8、又は9 cm)間隔をとった針刺
入部位で行う。その後のワクチン接種日に、該注射部位は、時計回り又は反時計回りで異
なる四肢に回転される。
【0287】
ある実施態様において、本方法はさらに、本明細書に提供されるアレナウイルス粒子と
免疫チェックポイント阻害剤の共投与を含む。ある実施態様において、共投与は同時であ
る。別の実施態様において、該アレナウイルス粒子は、免疫チェックポイント阻害剤の投
与前に投与される。他の実施態様において、該アレナウイルス粒子は、免疫チェックポイ
ント阻害剤の投与後に投与される。ある実施態様において、該アレナウイルス粒子と免疫
チェックポイント阻害剤の投与の間の間隔は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約
5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、又は約12時間であ
る。ある実施態様において、該アレナウイルス粒子と免疫チェックポイント阻害剤の投与
の間の間隔は、約1日、約2日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約1週間、約8日、
約9日、約10日、約11日、約12日、約13日、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週
間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間である。ある実施態様
において、該アレナウイルス粒子の投与と免疫チェックポイント阻害剤との間の間隔は、
約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、又は約6ヶ月である。いくつかの実施態
様において、本方法はさらに、少なくとも1種類の追加の治療法を施すことを含む。
【0288】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象における腫瘍性疾患を治療す
る方法であって、本明細書に提供される1以上のアレナウイルス粒子及びインドールアミ
ン-2,3-ジオキシゲナーゼ(「IDO」)阻害剤を対象に投与することを含む、前記方法であ
る。対象における腫瘍性疾患を治療する方法は、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関
連抗原若しくはその抗原性断片を発現する1以上のアレナウイルス粒子、又はその組成物
、及びIDO阻害剤を該対象に投与することを含むことができる。ある実施態様において、
本明細書に提供されるのは、対象における癌細胞又は腫瘍などの腫瘍性細胞又は組織に対
する免疫応答を誘導する方法であって、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原若
しくはその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子、又はその組成物、及びIDO阻害剤
を該対象に投与することを含む、前記方法である。ある実施態様において、本方法は、本
明細書に提供されるアレナウイルス粒子とIDO阻害剤の共投与を含む。ある実施態様にお
いて、本方法は、本明細書に提供されるアレナウイルス粒子、本明細書に提供される免疫
チェックポイント阻害剤とIDO阻害剤の共投与を含む。
【0289】
別の実施態様において、2種類のアレナウイルス粒子は、特に、1:1の比、1:2の比、
1:5の比、1:10の比、1:20の比、1:50の比、1:100の比、1:200の比、1:300の比、1
:400の比、1:500の比、1:600の比、1:700の比、1:800の比、1:900の比、1:1000の
比を含む約1:1~1:1000の範囲のモル比の治療計画で投与される。
【0290】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、腫瘍性疾患を治療する方法であっ
て、第1のアレナウイルス粒子は、「初回刺激」として最初に投与され、第2のアレナウイ
ルス粒子は、「追加免疫」として投与される。第1及び第2のアレナウイルス粒子は、同じ
又は異なる腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現することができる。或いは
、又は追加的に、いくつかのある実施態様において、「初回刺激」及び「追加免疫」投与
は、異なる種由来のアレナウイルス粒子で行われる。ある具体的な実施態様において、「
初回刺激」投与は、LCMV由来のアレナウイルス粒子で行われ、「追加免疫」は、フニンウ
イルス由来のアレナウイルス粒子で行われる。ある具体的な実施態様において、「初回刺
激」投与は、フニンウイルス由来のアレナウイルス粒子で行われ、「追加免疫」は、LCMV
由来のアレナウイルス粒子で行われる。
【0291】
ある実施態様において、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する第1の
アレナウイルス粒子の投与に続く、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現す
る第2のアレナウイルス粒子の投与は、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発
現する単一アレナウイルス粒子の投与よりも高い抗原特異的CD8+T細胞応答をもたらす。
ある実施態様において、抗原特異的CD8+T細胞数は、第1の投与と比較して、第2の投与後
に50%、100%、150%又は200%増加する。ある実施態様において、腫瘍抗原、腫瘍関連
抗原又はその抗原性断片を発現する第3のアレナウイルス粒子の投与は、腫瘍抗原、腫瘍
関連抗原又はその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子の2回の連続投与よりも高い
抗原特異的CD8+T細胞応答をもたらす。ある実施態様において、抗原特異的CD8+T細胞数は
、第1の投与と比較して、第3の投与後に約50%、約100%、約150%、約200%又は約250%
増加する。
【0292】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、腫瘍性疾患を治療する方法であっ
て、2種以上のアレナウイルス粒子を投与することを含み、該2種以上のアレナウイルス粒
子が相同であり、各投与間隔が、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週
間、約7週間、約8週間、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9
ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約12ヶ月、約18ヶ月、又は約24ヶ月である、前記方法である
。
【0293】
ある実施態様において、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する第1の
アレナウイルス粒子及び腫瘍抗原及び腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する第2の
異種のアレナウイルス粒子の投与は、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現
する第1のアレナウイルス粒子及び腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現す
る第2の同種のアレナウイルス粒子の投与よりも高いCD8+T細胞応答を誘発する。
【0294】
(5.9 組成物、投与、及び投与量)
また、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供されるアレナウイルス粒子を含むワ
クチン、免疫原性組成物(例えば、ワクチン製剤)、及び医薬組成物、及びある実施態様
において、本明細書に提供される免疫チェックポイント阻害剤である。そのようなワクチ
ン、免疫原性組成物及び医薬組成物は、当技術分野の標準的な手順に従って製剤化するこ
とができる。
【0295】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される感染性複製
欠損アレナウイルス粒子を含む組成物、及びある実施態様において、本明細書に提供され
る免疫チェックポイント阻害剤である。そのような組成物は、腫瘍性疾患を治療する方法
において使用することができる。別の具体的な実施態様において、本明細書に提供される
免疫原性組成物を使用して、該組成物が投与される宿主に免疫応答を誘導することができ
る。本明細書に記載される免疫原性組成物は、ワクチンとして使用することができ、それ
に応じて、医薬組成物として製剤化することができる。具体的な実施態様において、本明
細書に記載される免疫原性組成物は、腫瘍性疾患対象(例えば、ヒト対象)の治療に使用
される。他の実施態様において、該ワクチン、免疫原性組成物又は医薬組成物は、動物及
び/又はヒトへの投与に適している。
【0296】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるアレナウイ
ルス粒子(又は異なるアレナウイルス粒子の組み合わせ)を含む免疫原性組成物である。
ある実施態様において、そのような免疫原性組成物はさらに、医薬として許容し得る賦形
剤を含む。ある実施態様において、そのような免疫原性組成物はさらに、アジュバントを
含む。本明細書に記載される組成物と組み合わせて投与するためのアジュバントは、前記
組成物の投与前、投与と同時、又は投与後に投与することができる。いくつかの実施態様
において、「アジュバント」という用語は、本明細書に記載される組成物と組み合わせて
又は本明細書に記載される組成物の一部として投与した時に、感染性複製欠損アレナウイ
ルス粒子に対する免疫応答を高める、増強する、及び/又はブーストするが、該化合物が
単独で投与された場合には、感染性複製欠損アレナウイルス粒子に対する免疫応答をもた
らさない化合物を指す。いくつかの実施態様において、該アジュバントは、感染性複製欠
損アレナウイルス粒子に対する免疫応答をもたらし、アレルギー又は他の有害反応を生じ
させない。アジュバントは、例えば、リンパ球動員、B及び/又はT細胞の刺激、並びにマ
クロファージの刺激を含むいくつかのメカニズムによって免疫応答を増強することができ
る。本発明のワクチン組成物又は免疫原性組成物が、アジュバントを含むか又は1種以上
のアジュバントと一緒に投与される場合、使用することができるアジュバントとしては、
無機塩アジュバント又は無機塩ゲルアジュバント、粒子状アジュバント、微粒子状アジュ
バント、粘膜アジュバント、及び免疫刺激アジュバントを挙げることができるが、これら
に限定されない。アジュバントの例としては、アルミニウム塩(ミョウバン)(例えば、水
酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、及び硫酸アルミニウム)、3De-O-アシル化モノ
ホスホリルリピドA(MPL)(GB 2220211参照)、MF59(Novartis)、AS03(GlaxoSmithKline)、A
S04(GlaxoSmithKline)、ポリソルベート80(Tween 80; ICL Americas社)、イミダゾピリジ
ン化合物(国際公開番号WO2007/109812として公開された国際出願PCT/US2007/064857参照)
、イミダゾキノキサリン化合物(国際公開番号WO2007/109813として公開された国際出願PC
T/US2007/064858参照)、及びQS21などのサポニン(Kensilらの文献、ワクチンデザイン:サ
ブユニット及びアジュバントアプローチ(Vaccine Design:The Subunit and Adjuvant App
roach (Powell&Newman編集、Plenum Press、NY、1995);米国特許第5,057,540号参照)が
挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、該アジュバントは
、フロイントアジュバント(完全又は不完全)である。他のアジュバントは、必要に応じて
、モノホスホリルリピドAなどの免疫刺激剤と組み合わせた水中油型エマルジョン(スクア
レン又はピーナッツ油など)である(Stouteらの文献, N.Engl.J.Med.336、86-91(1997)参
照)。
【0297】
該組成物は、単独で、又は医薬として許容し得る担体と共に、本明細書に記載される感
染性複製欠損アレナウイルス粒子及び/又は免疫チェックポイント阻害剤を含む。遺伝子
改変アレナウイルス粒子、とりわけ等張水性懸濁液若しくは分散液の懸濁液又は分散液を
使用することができる。該医薬組成物は、滅菌することができ、かつ/又は賦形剤、例え
ば、防腐剤、安定化剤、湿潤剤並びに/又は乳化剤、可溶化剤、浸透圧及び/若しくは緩衝
液を調節するための塩を含んでよく、それ自体既知の方法で、例えば、従来の分散剤及び
懸濁プロセスによって調製される。ある実施態様において、そのような分散液又は懸濁液
は、粘度調節剤を含んでよい。該懸濁液又は分散液は、約2~8℃の温度に保たれるか、又
は好ましくは、長期保存については、凍結した後、使用直前に解凍してよい。注射につい
ては、ワクチン又は免疫原性製剤は、水溶液中で、好ましくは、ハンクス溶液、リンゲル
溶液、又は生理食塩緩衝液などの生理学的に適合性のある緩衝液で製剤化してよい。該溶
液は、懸濁剤、安定化剤及び/又は分散剤などの処方剤を含有してよい。
【0298】
ある実施態様において、本明細書に記載される組成物はさらに、防腐剤、例えば、水銀
誘導体のチメロサールを含む。具体的な実施態様において、本明細書に記載される医薬組
成物は、0.001%~0.01%のチメロサールを含む。他の実施態様において、本明細書に記
載される医薬組成物は、防腐剤を含まない。
【0299】
該医薬組成物は、約103~約1011フォーカス形成単位の遺伝子改変アレナウイルスを含
む。非経口投与のための単位用量形態は、例えば、アンプル又はバイアル、例えば、約10
3~1010フォーカス形成単位又は105~1015個の物理的粒子の遺伝子改変アレナウイルス粒
子を含有するバイアルである。
【0300】
別の実施態様において、本明細書に提供されるワクチン組成物又は免疫原性組成物は、
限定されないが、経口、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、局所、皮下、経皮、鼻腔内及び
吸入経路を含む経路により、並びにスカリフィケーション(例えば、二股針を使用して、
皮膚の最上層から傷を付けること)により、対象に投与される。具体的には、皮下、筋肉
内又は静脈内経路を使用することができる。
【0301】
鼻腔内への又は吸入による投与のために、本発明による使用のための調製物は、好適な
噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテト
ラフルオロエタン、二酸化炭素、又は他の好適なガスを使用して、加圧パック又はネブラ
イザーからエアロゾルスプレー提示の形態で好都合に送達され得る。加圧エアロゾルの場
合には、投薬量単位は、定量を送達するためのバルブを提供することにより決定してよい
。吸入器又は注入器で使用するための、例えば、ゼラチンのカプセル及びカートリッジは
、化合物とラクトース又はデンプンなどの好適な粉末基剤の粉末混合物を含めて製剤化し
てよい。
【0302】
活性成分の投薬量は、ワクチン接種の種類によって、並びに対象及びその年齢、体重、
個々の状態、個々の薬物動態データ、及び投与様式によって決まる。
【0303】
ある実施態様において、該組成物は、治療有効量のアレナウイルス粒子及び/又は治療
有効量免疫チェックポイント阻害剤を含む単回投与量で患者に投与することができる。い
くつかの実施態様において、該アレナウイルス粒子は、それぞれ治療有効量でアレナウイ
ルス粒子及び免疫チェックポイント阻害剤を含む単回用量で患者に投与することができる
。
【0304】
ある実施態様において、該組成物は、単回用量として患者に投与され、続いて、3~6週
間後に第2の用量で投与される。これらの実施態様によれば、ブースター接種は、第2の接
種後6~12ヶ月の間隔で対象に投与することができる。ある実施態様において、ブースタ
ー接種は、異なるアレナウイルス粒子又はその組成物を利用することができる。いくつか
の実施態様において、本明細書に記載される同じ組成物の投与が、繰り返され、少なくと
も1日、2日、3日、4日、5日、10日、15日、30日、45日、2ヶ月、75日、3ヶ月、又は少な
くとも6ヶ月間隔をあけることができる。
【0305】
ある実施態様において、アレナウイルス粒子を含むワクチン、免疫原性組成物、又は医
薬組成物は、生ワクチンとして使用することができる。生アレナウイルス粒子の例示的な
用量は、用量あたり10~100 PFU、又はそれ以上の生ウイルスで変化し得る。いくつかの
実施態様において、アレナウイルス粒子又は三セグメントアレナウイルス粒子の好適な投
与量は、102、5×102、103、5×103、104、5×104、105、5×105、106、5×106、107、5
×107、108、5×108、1×109、5×109、1×1010、5×1010、1×1011、5×1011又は1012 p
fuであり、必要な頻度で間隔をあけて1回、2回、3回又はそれ以上対象に投与することが
できる。別の実施態様において、生アレナウイルスは、0.2mLの用量が106.5-107.5蛍光フ
ォーカス単位の生アレナウイルス粒子を含有するように製剤化される。別の実施態様にお
いて、不活化ワクチンは、それが約15μg~約100μg、約15μg~約75μg、約15μg~約50
μg、又は約15μg~約30μgのアレナウイルスを含有するように製剤化される。
【0306】
また提供されるのは、活性成分としてアレナウイルス粒子及び免疫チェックポイント阻
害剤を含む医薬製剤の形態のワクチンの製造のためのプロセス並びにアレナウイルス粒子
及び免疫チェックポイント阻害剤の使用である。さらに提供されるのは、本明細書に記載
される腫瘍性疾患の治療に使用するための、本明細書に提供されるアレナウイルス粒子と
本明細書に提供される免疫チェックポイント阻害剤の組み合わせである。ある実施態様に
おいて、該組み合わせは、同一の医組成物中にある。ある実施態様において、該組み合わ
せは、アレナウイルス粒子及び免疫チェックポイント阻害剤が別々に投与される場合など
に、同じ医薬組成物中に存在しない。本願の医薬組成物は、それ自体既知の方法で、例え
ば、従来の混合及び/又は分散のプロセスによって調製される。
【0307】
ある実施態様において、本明細書に提供される方法及び組成物は、個別化医療と組み合
わせて使用される。個別化医療は、異なる治療に対する患者の反応を予測し、どの治療が
効果的である可能性が高いかを特定するため、患者の特有の遺伝的及び/又はエピジェネ
ティックなプロファイルからの情報を使用することによって患者に恩恵をもたらそうとす
るものである。患者の特有の遺伝的及び/又はエピジェネティックなプロファイルを得る
ために、本明細書に提供される方法及び組成物と組み合わせて使用することができる技術
としては、ゲノム配列決定、RNA配列決定、遺伝子発現解析及び腫瘍抗原(例えば、ネオ
抗原)、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片の特定を含むが、これらに限定されない。ある
実施態様において、本明細書に提供される方法及び組成物で使用するためのアレナウイル
スの腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原の選択は、患者の遺伝子プロファイルに基づいて行われる
。ある実施態様において、本明細書に提供される方法及び組成物で使用するためのアレナ
ウイルスの腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原の選択は、腫瘍又は腫瘍細胞の遺伝子プロファイル
に基づいて行われる。
【0308】
また本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される方法を実行するために使用する
ことができるキットである。ある実施態様において、本明細書に提供されるキットは、1
以上の容器を含むことができる。これらの容器は、本明細書に提供される組成物(例えば
、医薬組成物、免疫原性組成物又はワクチン組成物)の貯蔵用に保持することができる。
使用のための指示書もキットに含まれる。これらの説明書は、その中に含有される組成物
を使用するための治療プロトコルについて十分詳細に記載している。例えば、該説明書は
、腫瘍性疾患を治療する方法のための、本明細書に提供される投薬及び投与の説明書を含
むことができる。
【0309】
ある実施態様において、本明細書に提供されるキットは、それぞれが本明細書に記載さ
れる方法を実行するための活性成分を含有する容器を含む。したがって、ある実施態様に
おいて、本明細書に提供されるキットは、2以上の容器及び使用説明書を含み、容器の1つ
が本明細書に提供される感染性複製欠損アレナウイルス粒子を含み、別の容器は本明細書
に提供される免疫チェックポイント阻害剤を含む。
【0310】
(5.10 アッセイ)
(5.10.1 アレナウイルス検出アッセイ)
当業者は、当技術分野で公知の技術を使用して、本明細書に記載されるアレナウイルス
ゲノムセグメント又は三セグメントアレナウイルス粒子を検出することができる。例えば
、RT-PCRをアレナウイルスに特異的なプライマーと共に使用して、ORFの野生型の位置以
外の位置にORFを、又は三セグメントアレナウイルス粒子を担持するように改変されたア
レナウイルスゲノムセグメントを検出及び定量化することができる。ウェスタンブロット
、ELISA、ラジオイムノアッセイ、免疫沈降、免疫細胞化学、又はFACSと組み合わせた免
疫細胞化学を用いて、アレナウイルスゲノムセグメント又は三セグメントアレナウイルス
粒子の遺伝子産物を定量化することができる。
【0311】
(5.10.2 感染力を測定するためのアッセイ)
当業者に公知の任意のアッセイをアレナウイルスベクター調製物の感染力を測定するた
めに使用することができる。例えば、ウイルス/ベクター力価の決定は、「フォーカス形
成単位アッセイ」(FFUアッセイ)により行うことができる。簡潔に述べると、相補細胞、
例えば、必要に応じて、LCMV GPタンパク質を発現するMC57又はHEK293細胞をプレーティ
ングし、ウイルス/ベクター試料の異なる希釈物を接種する。インキュベーション期間の
後、細胞に単層を形成させ、ウイルスを細胞に付着させるために、単層をメチルセルロー
スで覆う。プレートをさらにインキュベートすると、もとの感染した細胞はウイルス子孫
を放出する。メチルセルロースが重層されるため、新しいウイルスの拡散は、隣接する細
胞に制限される。結果として、各々の感染性粒子は、フォーカスと呼ばれる感染した細胞
の円形のゾーンをもたらす。そのようなフォーカスを、LCMV-NP又はアレナウイルス粒子
又は三セグメントアレナウイルス粒子が発現する別のタンパク質に対する抗体及びHRPベ
ースの呈色反応を使用して見えるようにし、それにより、数えられるようにすることがで
きる。ウイルス/ベクターの力価は、1ミリリットル当たりのフォーカス形成単位(FFU/mL)
で計算することができる。
【0312】
(5.10.3 アレナウイルス粒子の増殖)
本明細書に記載されるアレナウイルス粒子の増殖は、当技術分野で公知の又は本明細書
に記載される任意の方法により評価することができる(例えば、細胞培養)。ウイルス増
殖は、細胞培養物(例えば、Vero細胞又はBHK-21細胞)に、本明細書に記載されるアレナ
ウイルス粒子の連続希釈物を接種することによって決定することができる。指定された時
間ウイルスをインキュベーションした後、ウイルスを標準的な方法を使用して単離する
【0313】
(5.10.4 血清ELISA)
動物(例えば、マウス、モルモット)のワクチン接種時の液性免疫応答の決定は、抗原特
異的血清ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)により行うことができる。簡潔に述べると、
プレートを抗原(例えば、組換えタンパク質)でコーティングし、抗体の非特異的結合を避
けるためにブロッキングし、血清の連続希釈物とともにインキュベートする。インキュベ
ーション後、結合した血清-抗体を、例えば、酵素が結合した(全IgG又はIgGサブクラスを
検出する)抗種(例えば、マウス、モルモット)特異的抗体及びその後の呈色反応を使用し
て検出することができる。抗体力価を、例えば、終点幾何平均力価として決定することが
できる。
【0314】
免疫捕捉ELISA(IC-ELISA)も行うことができ(Shanmughamらの文献, 2010, Clin. Vacc
ine Immunol. 17(8):1252-1260参照)、その中の捕捉剤はビーズに架橋されている。
【0315】
(5.10.5 誘導された抗体の中和活性を測定するアッセイ)
血清中の中和抗体の決定は、ATCCからのARPE-19細胞とGFPタグ化ウイルスとを使用する
以下の細胞アッセイを使用して行う。さらに、外因性補体の源としての補足血清(例えば
、モルモット血清)を使用する。このアッセイは、中和に使用する1日又は2日前に、384ウ
ェルプレートに6.5×103細胞/ウェル(50μl/ウェル)を播種することにより開始する。中
和は、細胞を含まない96ウェル滅菌組織培養プレートで、37℃で1時間行う。中和インキ
ュベーション工程の後、混合物を細胞に添加し、プレートリーダーによるGFP検出のため
に、さらに4日間インキュベートする。陽性の中和ヒト血清を各々のプレートでアッセイ
陽性対照として使用して、全ての結果の信頼性を確認する。4パラメータロジスティック
曲線フィッティングを使用して、力価(EC50)を決定する。追加の検査として、ウェルを蛍
光顕微鏡で確認する。
【0316】
(5.10.6 プラーク減少アッセイ)
簡潔に述べると、LCMVについてのプラーク減少(中和)アッセイを、緑色蛍光タンパク質
がタグ付けされている複製可能又は複製欠損LCMVを使用して行い、5%ウサギ血清を外因
性補体の源として使用することができ、プラークを蛍光顕微鏡観察により数えることがで
きる。中和力価を、対照(免疫前)血清試料における希釈と比較して、プラークの50%、75
%、90%又は95%減少をもたらす血清の最大希釈と定義することができる。
【0317】
qPCR LCMV RNAゲノムを、製造元によって提供されるプロトコルに従って、QIAamp Vira
l RNAミニキット(QIAGEN)を使用して単離する。LCMV RNAゲノム相当物を、SuperScript(
登録商標) III Platinum(登録商標) One-Step qRT-PCRキット(Invitrogen)並びにLCMV NP
コード領域又はアレナウイルス粒子若しくは三セグメントアレナウイルス粒子の別のゲノ
ムストレッチの一部に特異的なプライマー及びプローブ(FAMレポーター及びNFQ-MGBクエ
ンチャー)を使用するStepOnePlusリアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems)で実施
される定量的PCRにより検出する。反応の温度プロファイルは: 60℃で30分、95℃で2分の
後、95℃で15秒、56℃で30秒を45サイクルであり得る。RNAを、試料の結果と、プライマ
ー及びプローブ結合部位を含むLCMV NPコード配列の断片又はアレナウイルス粒子若しく
は三セグメントアレナウイルス粒子の別のゲノムストレッチに対応する、分光光学的に定
量されたインビトロ転写RNA断片のlog10希釈系列から作成された標準曲線との比較により
定量することができる。
【0318】
(5.10.7 モルモット肺線維芽細胞(GPL)細胞における中和アッセイ)
簡潔に述べると、試験血清及び対照(ワクチン接種前)血清の連続希釈物を、補足のウサ
ギ血清(1%)を外因性補体の源として含むGPL完全培地中で調製した。希釈系列は、1:40か
ら1:5120に及んだ。血清希釈物をeGFPタグ化ウイルス(1ウェル当たり100~200pfu)と共に
37℃で30分間インキュベートし、その後、コンフルエントなGPL細胞を含む12ウェルプレ
ートに移した。試料を3連で処理した。37℃で2時間のインキュベーションの後、細胞をPB
Sで洗浄し、GPL完全培地を再供給し、37℃/5%CO2で5日間インキュベートした。プラーク
を蛍光顕微鏡観察により可視化し、計数し、対照ウェルと比較した。対照と比較したプラ
ーク数の50%減少をもたらすその血清希釈を中和力価と表す。
【0319】
(5.10.8 ウェスタンブロッティング)
組織培養フラスコ中又は懸濁下で成長させた感染細胞を、示された感染後の時点でRIPA
緩衝液(Thermo Scientific)を使用して溶解させるか、又は細胞溶解なしでそのまま使用
する。試料を還元剤及びNuPage LDS試料緩衝液(NOVEX)と共に99℃に10分間加熱し、室温
に冷却した後、電気泳動のために4-12%SDS-ゲルに充填する。タンパク質を、Invitrogen
s iBlot Gel転写装置を使用して膜上にブロッティングし、ポンソー染色により可視化す
る。最後に、調製物を対象となるタンパク質に対する一次抗体及びアルカリホスファター
ゼコンジュゲート二次抗体でプロービングし、その後、1-Step NBT/BCIP溶液(INVITROGEN
)で染色する。
【0320】
(5.10.9 抗原特異的CD8+T細胞増殖の検出のためのMHC-ペプチド多量体染色アッセイ)
当業者に公知の任意のアッセイを使用して、抗原特異的CD8+T細胞応答を試験すること
ができる。例えば、MHC-ペプチド四量体染色アッセイを使用することができる(例えば、A
ltman J.D.らの文献, Science 1996; 274:94-96;及びMurali-Krishna K.らの文献, Immun
ity 1998;8:177-187参照)。簡潔に述べると、このアッセイは、以下の工程を含み、四量
体アッセイを使用して、抗原特異的T細胞の存在を検出する。T細胞がそれに対して特異的
なペプチドを検出するために、T細胞は、ペプチドと(通常、蛍光標識されている)定義し
た抗原特異性及びMHCハプロタイプのT細胞用の特別仕様のMHC分子の四量体の両方を認識
しなければならない。その後、四量体を、蛍光標識を介してフローサイトメトリーにより
検出する。
【0321】
(5.10.10 抗原特異的CD4+T細胞増殖の検出のためのELISPOTアッセイ)
当業者に公知の任意のアッセイを使用して、抗原特異的CD4+T細胞応答を試験すること
ができる。例えば、ELISPOTアッセイを使用することができる(例えば、Czerkinsky C.C.
らの文献, J Immunol Methods. 1983; 65:109-121;及びHutchings P.R.らの文献, J Immu
nol Methods. 1989; 120:1-8参照)。簡潔に述べると、このアッセイは、以下の工程を含
む:免疫スポットプレートを抗サイトカイン抗体でコーティングする。細胞を免疫スポッ
トプレート中でインキュベートする。細胞はサイトカインを分泌し、その後、洗い落とさ
れる。その後、プレートを第2のビオチン化抗サイトカイン抗体でコーティングし、アビ
ジン-HRPシステムで可視化する。
【0322】
(5.10.11 CD8+及びCD4+T細胞応答の機能性の検出のための細胞内サイトカインアッセイ)
当業者に公知の任意のアッセイを使用して、CD8+及びCD4+T細胞応答の機能性を試験す
ることができる。例えば、フローサイトメトリーと組み合わせた細胞内サイトカインアッ
セイを使用することができる(例えば、Suni M.A.らの文献, J Immunol Methods. 1998; 2
12:89-98; Nomura L.E.らの文献, Cytometry 2000; 40:60-68;及びGhanekar S.A.らの文
献, Clinical and Diagnostic Laboratory Immunology. 2001; 8:628-63参照)。簡潔に述
べると、このアッセイは、以下の工程を含む:特異的ペプチド又はタンパク質による細胞
の活性化、タンパク質輸送の阻害(例えば、ブレフェルジンA)を加えて、サイトカインを
細胞内に保持する。インキュベーションの定義した期間、典型的には5時間後に、洗浄工
程が続き、他の細胞マーカーに対する抗体を細胞に添加することができる。その後、細胞
を固定し、透過処理する。蛍光色素結合抗サイトカイン抗体を添加し、細胞をフローサイ
トメトリーにより解析することができる。
【0323】
(5.10.12 ウイルスベクターの複製欠損を確認するためのアッセイ)
感染性でかつ複製可能なウイルス粒子の濃度を決定する当業者に公知の任意のアッセイ
も使用して、試料中の複製欠損ウイルス粒子を測定することができる。例えば、非相補細
胞を使用するFFUアッセイをこの目的で使用することができる。
【0324】
さらに、プラークベースのアッセイは、ウイルス試料中のプラーク形成単位(PFU)に関
してウイルス濃度を決定するために使用される標準的な方法である。具体的には、非相補
宿主細胞のコンフルエントな単層に様々な希釈のウイルスを感染させ、寒天などの半固形
培地で覆って、ウイルス感染が無制限に拡大するのを防ぐ。ウイルスが感染し、固定され
た細胞単層内の細胞でそれ自体を複製し、周囲の細胞に広がるのに成功すると、ウイルス
プラークが形成される(例えば、Kaufmann、S.H.; Kabelitz、D.の文献(2002)、微生物学
の方法(Methods in Microbiology) 第32巻:感染の免疫学(Immunology of Infection)、Ac
ademic Press. ISBN 0-12-521532-0参照)。プラーク形成は、解析されているウイルスに
よって、2~14日間かかることがある。プラークを全体的に手作業で計数し、その結果を
、プレートを調製するために使用した希釈係数と組み合わせて使用して、試料単位容量当
たりのプラーク形成単位の数(PFU/mL)を計算する。PFU/mLの結果は、試料中の感染性複製
可能粒子の数を表す。C細胞を使用する場合、同一のアッセイを用いて、複製欠損アレナ
ウイルス粒子又は三セグメントアレナウイルス粒子を滴定することができる。
【0325】
(5.10.13 ウイルス抗原の発現についてのアッセイ)
当業者に公知の任意のアッセイを、ウイルス抗原の発現を測定するために使用すること
ができる。例えば、FFUアッセイを実施することができる。検出のために、それぞれのウ
イルス抗原に対するモノクローナル又はポリクローナル抗体調製物(複数可)を使用する(
導入遺伝子特異的FFU)。
【0326】
(5.10.14 動物モデル)
本明細書に記載されるアレナウイルス粒子の組換え及び感染力を調べるために、インビ
ボ動物モデルを使用することができる。ある実施態様において、三セグメントアレナウイ
ルス粒子の組換え及び感染力を調べるために使用することができる動物モデルは、マウス
、モルモット、ウサギ、及びサルを含む。好ましい実施態様において、アレナウイルスの
組換え及び感染力を調べるために使用することができる動物モデルは、マウスを含む。よ
り具体的な実施態様において、アレナウイルス粒子の組換え及び感染力を調べるために使
用することができるマウスは、I型インターフェロン受容体、II型インターフェロン受容
体及び組換え活性化遺伝子1(RAG1)の3つを欠損している。
【0327】
ある実施態様において、動物モデルを用いて、アレナウイルスの感染力及び導入遺伝子
の安定性を決定することができる。いくつかの実施態様において、ウイルスRNAは、動物
モデルの血清から単離することができる。技術は、容易に当業者によって知られている。
ウイルスRNAを逆転写することができ、アレナウイルスORFを担持するcDNAを、遺伝子特異
的プライマーを用いてPCR増幅することができる。フローサイトメトリーも用いて、アレ
ナウイルスの感染力及び導入遺伝子の安定性を調べることができる。
【0328】
本明細書に記載される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する二セグメ
ント感染性複製欠損アレナウイルスを含むワクチン又はその組成物の安全性、忍容性及び
免疫原性効果を動物モデルで試験することができる。ある実施態様において、本明細書で
使用されるワクチン及びその組成物の安全性、忍容性及び免疫原性効果を試験するために
使用することができる動物モデルとしては、マウス、モルモット、ラット、サル、及びチ
ンパンジーが挙げられる。好ましい実施態様において、本明細書で使用されるワクチン及
びその組成物の安全性、忍容性及び免疫原性効果を試験するために使用することができる
動物モデルとしては、マウスが挙げられる。
【0329】
(5.10.15 免疫チェックポイント阻害剤アッセイ)
いくつかのアッセイが、例えば、Lechnerらの文献, J. Immunother. 36(9), 477-89 (2
013)に記載されているように、提案されたチェックポイント阻害剤の特性を評価するため
に考案されている。本明細書に記載される方法及び組成物を試験するために使用すること
ができる腫瘍モデルは、Colon26(CT26)、MC38(マウス結腸腺癌)、B16F10(B16)、ル
イス肺癌(LLC)、Madisonl09(MAD 109)、EMT-6(マウス乳癌)、4T1(4T1)(マウス
乳癌)、及び(RENCA)(マウス腎臓癌)を含む。
【0330】
ある実施態様において、これらのモデル系において、「移植腫瘍」は、齧歯類、例えば
、メスの成体マウスにおいて、腫瘍細胞株の皮下接種(例えば、CT26、4T1、MAD109、REN
CA、LLC、又はB16)又は脳内接種(例えば、GL261、ONC26M4)によって作製することがで
きる。腫瘍は、例えば、数日間、所定の時間間隔をかけて発症し得る。これらの腫瘍は、
同系、免疫適格性齧歯類、例えば、マウスの系統で成長する。例えば、CT26、4T1、MAD10
9、及びRENCAは、BALB/cマウスで成長させることができ、LLC、B16、及びGL261は、C57BL
/6マウスで成長させることができ、ONC26M4は、FVBNマウスで成長させることができる。
「自然発生腫瘍」は、内因性脳細胞を形質転換するために、いくつか(例えば、1、2、3
又はそれ以上)の癌遺伝子をコードし、かつ1以上のレポーター、例えば、ホタルルシフ
ェラーゼレポーターをコードするDNAプラスミドを新生児C57BL/6又はFVBNマウスへ脳内注
射することによって作製することができる。神経膠腫の成長は、当技術分野で公知の技術
、例えば、生物発光イメージングによって監視することができる。皮下腫瘍の成長は、当
技術分野で公知の技術、例えば、指定した時間間隔での三次元キャリパー測定によって監
視することができる。
【0331】
(6. 同等物)
ウイルス、核酸、方法、宿主細胞、及び本明細書に開示される組成物は、本明細書に記
載される特定の実施態様によって範囲を限定されるべきではない。実際、記載されるもの
に加えて、ウイルス、核酸、方法、宿主細胞、及び組成物の様々な改変は、前述の説明及
び添付の図面から当業者に明らかになるであろう。そのような改変は、添付の特許請求の
範囲内に入ることが意図される。
【0332】
様々な刊行物、特許及び特許出願が本明細書に引用されており、これらの開示は、その
全体が引用により組み込まれる。
【0333】
様々な刊行物、特許及び特許出願が本明細書に引用されており、これらの開示は、その
全体が引用により組み込まれる。
【実施例0334】
(7. 実施例)
この節の実施例は、例示のために提供され、制限されるものではない。
【0335】
(7.1 結腸腺癌腫瘍モデルにおける三セグメントアレナウイルスベクター及び免疫チェッ
クポイント阻害剤での処置)
この実施例は、例示的な腫瘍特異的抗原(オボアルブミン(OVA))及び免疫チェック
ポイント阻害剤(抗PD1抗体)をコードするアレナウイルスベクターでの処置が、腫瘍成
長及び生存率に対して相乗効果をもたらしたことを実証する。
【0336】
オボアルブミン(OVA)(r3LCMV-OVA)をコードする三セグメント複製可能LCMVベクタ
ー及び抗PD1チェックポイント阻害剤(抗PD1抗体)での処置の効果を決定するために、皮
下MC38-OVAマウスモデルを用いた。0日目に、MC38-OVAdim結腸癌腫瘍細胞(5×105)を、
C57BL/6マウスの脇腹に皮下移植した。腫瘍が(7日目に)触診可能になったとき、マウス
を、処置しない(グループ1)か、13、17、20及び24日目に12.5mg/kgの抗PD1抗体(クロ
ーンRMP1-14、BioXCell)(腹腔内投与)で処置する(グループ2)か、7日目に105 PFU r
3LCMV-OVAを静脈内注射する(グループ3)か、又は同じ処置レジメンを用いてr3LCMV-OVA
と抗PD1抗体の組み合わせで処置した(グループ4)。5匹のマウスを処置せず、他の全て
のグループは、グループごとに6匹のマウスを含んでいた。時間をかけて腫瘍の成長だけ
でなく、動物の生存を監視した。
【0337】
上記の実験から、OVAを発現するMC38結腸腺癌細胞から確立された腫瘍が、抗PD1抗体又
はr3LCMV-OVAのいずれかの単独処置に対して限定された応答を示したが、抗PD1抗体とr3L
CMV-OVAの組み合わせの免疫療法では、腫瘍成長の有意な低下(
図3A)及び生存率の増加
(
図3B)につながる相乗効果をもたらしたことが示された。
【0338】
(7.2. 結腸腺癌腫瘍モデルにおける腫瘍ネオ抗原をコードする三セグメント又は二セグメ
ントアレナウイルスベクター及び免疫チェックポイント阻害剤での処置)
本実施例は、ネオ抗原(MC-38 Adpgkmut)をコードするアレナウイルスベクター及び免
疫チェックポイント阻害剤(抗PD1抗体)での処置が、抗原特異的CD8+T細胞の誘導、腫瘍
成長及び生存率に対して相乗効果をもたらしたことを実証する。
【0339】
腫瘍ネオ抗原をコードする複製可能及び複製欠損アレナウイルスベースのベクター(例
えば、MC-38 Adpgkmut(ADP依存性グルコキナーゼ(Adpgk)におけるR204M変異)); Yadav
らの文献, 2014, Nature 515:572-576)の免疫原性及びその処置の効果を決定するために
、MC-38腫瘍細胞を移植したマウスを、Adpgkmutをコードする三セグメント複製可能(r3L
CMV-Adpgkmut)又は複製欠損二セグメント(r2LCMV-Adpgkmut)アレナウイルスベクター
及びPD1チェックポイント阻害(抗PD1抗体)での処置後に評価した。
【0340】
実験の-7日目に、MC-38腫瘍細胞(1×106)をC57BL/6マウスの脇腹に皮下移植した。7
日後、実験の0日目に、マウスを、合計5.5×l05のウイルス粒子(グループ3及び4)に対
応する5.5×l05 PFUのr2LCMV-Adpgkmut(グループ1及び2)若しくは5.5×l04 PFUのr3LCM
V-Adpgkmut又は緩衝液(グループ5及び6)の静脈内注射により一回免疫した。グループ1
、3及び5の動物をさらに、0、3、6及び9日目に、6.8mg/kgの抗PD1抗体クローンRMP1-14の
腹腔内注射によって処置した。その後、Adpgkmut特異的CD8+T細胞の誘導を、ワクチン接
種後7及び14日目に、末梢血試料中のMC-38 Adpgkmut特異的ペンタマー(F4B-E-H-2Db-ASM
TNMELM、ProImmune)を用いて分析した。
【0341】
上記の実験により、Adpgk
mut発現LCMVベクターで処置したいくつかの動物(グループ1
~4)において、かなりの大きさのネオ抗原特異的CD8+T細胞応答が誘導されたことが示さ
れた(
図4A)。しかしながら、二セグメント複製欠損ベクター(グループ1及び2)と比較
して、有意により高いCD8+T細胞頻度が三セグメント複製ベクターで処置した動物(グル
ープ3及び4)において観察された(
図4A)。最高のネオ抗原特異的CD8+T細胞応答が、Adp
gk
mut発現複製可能LCMVベクター及び抗PD1抗体で処置したマウス(グループ3)において
誘導され、ネオ抗原の免疫原性に対する併用処置の相乗効果が示された(
図4A)。最高レ
ベルの腫瘍制御及び最良の生存率が、r3LCMV-Adpgk
mutと抗PD1抗体の組み合わせで処置し
た動物において観察された(
図4B及び4C)
【0342】
(7.3. 黒色腫モデルにおける三セグメント又は二セグメントアレナウイルスベクター及び
免疫チェックポイント阻害剤での処置)
この実施例は、免疫チェックポイント阻害剤(抗PD1抗体)を含める場合又は含めない
場合での、黒色腫抗原(糖タンパク質100(「GP100」)、チロシナーゼ関連タンパク質1
(「TRP1」)及びチロシナーゼ関連タンパク質2(「TRP2」)をコードする三セグメント
アレナウイルスベクターの混合物での処置が、腫瘍サイズの減少及び動物生存(生存率及
び生存した全体の日数)の増加をもたらしたことを実証する。
【0343】
黒色腫抗原をコードする複製可能及び複製欠損アレナウイルスベースのベクター並びに
PD1チェックポイント阻害での処置の効果を決定するために、マウスB16F10黒色腫モデル
を用いた。
【0344】
実験の0日目に、B16F10黒色腫細胞(1×10
5)を、C57BL/6マウスの脇腹に皮下移植した
(
図5A)。実験の7日目に、マウスに1.2×10
5 RCV PFU(合計)の複製可能三セグメント
アレナウイルスベクターの混合物(それぞれ4×10
4 PFUのr3LCMV-GP100、r3LCMV-Trp1及び
r3LCMV-Trp2)(グループ1及び4)、1.2×10
6 PFU(合計)の複製欠損二セグメントアレナ
ウイルスベクターの混合物(それぞれ4×10
5 PFUのrLCMV-GP100、rLCMV-Trp1及びrLCMV-Tr
p2)(グループ2及び5)、又は緩衝液のみ(グループ3及び6)を7日目に静脈内注射した。
実験の10、13、16、19及び22日目に、グループ1、2及び3のマウスに、さらに200μgの抗P
D1抗体(クローン29F.1A12、BioXCell)で腹腔内投与により処置した。時間をかけて腫瘍
の成長だけでなく、動物の生存率及び生存日数を監視した。グループあたり5匹のマウス
であった。
【0345】
上記の実験により、対照動物と比較した腫瘍体積の減少(
図5B)及び生存率の増加(グ
ループ6)(
図5C及び5D)によって示されるように、確立された黒色腫腫瘍は黒色腫抗原G
P100、Trp1及びTrp2を発現する三セグメント複製可能LCMVベクターの混合物での単一処置
に応答することが示された(グループ4)。対照的に、チェックポイント阻害の有無に依
存せず、同一の黒色腫抗原を発現する二セグメント複製欠損LCMVベクターの混合物での処
置に対する応答はなかった(グループ2及び5)(
図5B~5D)。抗PD1遮断単独でも、動物
の腫瘍成長又は生存に対する効果はなかった(グループ3)(
図5B~5D)。しかしながら
、三セグメント複製可能LCMVベクターの混合物単独で処置した動物と比較して、抗PD1抗
体と組み合わせた黒色腫抗原発現三セグメント複製可能LCMVベクターで処置したマウス(
グループ1)において、腫瘍体積の減少と相関する生存率の増加が観察され、これらの治
療法の相乗効果が示された(
図5B~5D)
【0346】
(8. 配列)
表5の配列は、本明細書に記載される方法及び組成物と共に使用することができる例示
的なアミノ酸配列並びにヌクレオチド配列である。場合によっては、DNA配列を使用して
、ウイルスゲノムセグメントのRNA配列を説明する。RNA配列は、DNA配列から容易に推測
することができる。
表5
【表8】