(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022033758
(43)【公開日】2022-03-02
(54)【発明の名称】生理活性の強い、URAT1のインヒビターを含む医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4418 20060101AFI20220222BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20220222BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20220222BHJP
A61P 19/06 20060101ALI20220222BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20220222BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20220222BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20220222BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20220222BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20220222BHJP
A61P 13/04 20060101ALI20220222BHJP
A61P 5/18 20060101ALI20220222BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20220222BHJP
A61P 39/00 20060101ALI20220222BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220222BHJP
A61K 31/426 20060101ALI20220222BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
A61K31/4418
A61K9/14
A61P7/00
A61P19/06
A61P19/02
A61P9/12
A61P9/00
A61P9/10
A61P13/12
A61P13/04
A61P5/18
A61P17/06
A61P39/00
A61P43/00 111
A61K31/426
A61P29/00
A61P43/00 121
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021182955
(22)【出願日】2021-11-10
(62)【分割の表示】P 2018529601の分割
【原出願日】2016-12-07
(31)【優先権主張番号】62/264,792
(32)【優先日】2015-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507062026
【氏名又は名称】アーディア・バイオサイエンシーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ARDEA BIOSCIENCES, INC.
(71)【出願人】
【識別番号】391008951
【氏名又は名称】アストラゼネカ・アクチエボラーグ
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョアン・ライランド・ウェイクマン
(72)【発明者】
【氏名】コリン・ローリングス
(72)【発明者】
【氏名】シャ・リウ
(72)【発明者】
【氏名】ジェリー・バーク
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・ヴォン・コルスヴァント
(72)【発明者】
【氏名】クリステル・タンネルグレン
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン・ヤルトスタム
(57)【要約】 (修正有)
【課題】2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸または薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物、より詳しくは該薬剤を含む経口投与可能な組成物;前記組成物の医薬品としての使用;および前記組成物を調製するためのプロセスを提供する。
【解決手段】2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸を含む放出制御性医薬組成物であって、前記組成物が、その処置を必要としている被験者に対して絶食状態で経口投与した後で、a.前記被験者において、1ng/ml~50ng/mlの間の、該薬剤の幾何平均最大血漿中濃度(Cmax)が生じる;およびb.0.04~0.4の間のCmax/AUC0~24の比率が生じる、の少なくとも一つを示す、放出制御性医薬組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
該薬剤を含む放出制御性医薬組成物であって、前記組成物が、その処置を必要としている被験者に対して絶食状態で経口投与した後で、以下の事象:
a.前記被験者において、1ng/ml~50ng/mlの間の、該薬剤の幾何平均最大血漿中濃度(Cmax)が生じる;および
b.0.04~0.4の間のCmax/AUC0~24の比率が生じる、
の少なくとも一つを示す、放出制御性医薬組成物。
【請求項2】
前記組成物が、その処置を必要としている被験者に対して絶食状態で経口投与した後で、前記被験者において、0.04~0.4の間のCmax/AUC0~24の比率を生じさせる、請求項1に記載の、放出制御性医薬組成物。
【請求項3】
前記組成物が、その処置を必要としている被験者に対して絶食状態で経口投与した後で、以下の事象:
a.前記被験者において、1ng/ml~40ng/mlの間の、該薬剤の幾何平均最大血漿中濃度(Cmax)が生じる;および
b.0.04~0.4の間のCmax/AUC0~24の比率が生じる、
の両方を示す、請求項1に記載の、放出制御性医薬組成物。
【請求項4】
前記Cmax/AUC0~24の比率が、0.04~0.3の間である、請求項2または3に記載の、放出制御性医薬組成物。
【請求項5】
前記Cmax/AUC0~24の比率が、0.04~0.2の間である、請求項2または3に記載の、放出制御性医薬組成物。
【請求項6】
前記Cmax/AUC0~24の比率が、0.04~0.16の間である、請求項2または3に記載の、放出制御性医薬組成物。
【請求項7】
該薬剤が、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸である、請求項1~6のいずれか1項に記載の放出制御性医薬組成物。
【請求項8】
前記経口組成物が、前記被験者に対して、0.5~20mgの範囲から選択される、たとえば0.5、0.67、0.75、0.83、1、1.25、1.5、2、2.5、3、3.3、4.5、5、6、7.5、9、10、12、15、および20mgから選択される該薬剤の用量を与えるように投与される、請求項1~7のいずれか1項に記載の放出制御性医薬組成物。
【請求項9】
前記経口組成物が、前記被験者に対して、4.5、6、9、および12mgから選択される該薬剤の用量を与えるように投与され、そして、前記Cmax/AUC0~24の比率が、0.04~0.16の間である、請求項1~8のいずれか1項に記載の放出制御性医薬組成物。
【請求項10】
その処置を必要としている被験者に対して絶食状態で10mgの用量で経口投与した後で、約100ng・hr/mL以上のAUC0~24が生じる、請求項1~9のいずれか1項に記載の放出制御性医薬組成物。
【請求項11】
前記医薬組成物が、マトリックス型剤形であるか、または多顆粒系である、請求項1~10のいずれか1項に記載の放出制御性医薬組成物。
【請求項12】
前記医薬組成物が、水崩壊性マトリックスを含む錠剤の形態にあるマトリックス型剤形である、請求項11に記載の放出制御性医薬組成物。
【請求項13】
前記医薬組成物が、多数のペレットまたはビーズを含む多顆粒組成物であって、それぞれのペレットまたはビーズが、該薬剤を用いて積層され、該薬剤の放出制御性を与えるのに有用なタイプのポリマー材料を用いてコーティングされた、シードコアを含む、請求項11に記載の放出制御性医薬組成物。
【請求項14】
該薬剤によって処置することが可能な罹患状態にある、温血動物、好ましくはヒトを処置するための方法であって、温血動物、好ましくはヒトに対して、請求項1~13のいずれか1項に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項15】
温血動物、好ましくはヒトにおける、赤血球増加症、骨髄様化生、痛風、再発性痛風発作、痛風性関節炎、高尿酸血症、高血圧症、心血管疾患、冠動脈心疾患、心不全、レッシュ-ナイハン症候群、ケリー-シーグミラー症候群、急性もしくは慢性の腎疾患、腎結石、腎不全、関節の炎症、関節炎、尿石症、鉛中毒、副甲状腺機能亢進症、乾癬、およびサルコイドーシスから選択される、尿酸代謝の障害を処置するための方法であって、温血動物、好ましくはヒトに対して、請求項1~13のいずれか1項に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項16】
前記尿酸代謝の障害が、痛風である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
該薬剤を用いて処置することが可能な状態の処置における医薬品として使用するための、請求項1~13のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
痛風の処置における医薬品として使用するための、請求項1~13のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
キサンチンオキシダーゼインヒビターをさらに含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記キサンチンオキシダーゼインヒビターが、フェブキソスタットである、請求項19に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸または薬学的に許容可能なその塩(以後、該薬剤と呼ぶ)を含む医薬組成物、より詳しくは該薬剤を含む経口投与可能な組成物;前記組成物の医薬品としての使用;および前記組成物を調製するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
該薬剤は、(特許文献1)に開示されており、そして生理活性の強い、URAT1のインヒビターである。該薬剤は、式Iの構造を有する化合物である:
【化1】
【0003】
該薬剤は、選択的な尿酸再吸収インヒビターであり、尿酸代謝単独または尿酸代謝によって部分的に媒介される疾病または病状の処置において有効であろうと期待されている。尿酸代謝の障害としては以下のものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:赤血球増加症、骨髄様化生、痛風、再発性痛風発作、痛風性関節炎、高尿酸血症、高血圧症、心血管疾患、冠動脈心疾患、レッシュ-ナイハン症候群、ケリー-シーグミラー症候群、腎疾患、腎結石、腎不全、関節の炎症、関節炎、尿石症、鉛中毒、副甲状腺機能亢進症、乾癬、およびサルコイドーシス。該薬剤は、前臨床モデルおよび初期臨床試験においては活性を示し、現在のところ、第IIb相試験において検討中であり、そこで、有効性および安全性が、より一層評価されるであろう。
【0004】
速放性の錠剤の形態で経口的に投与した場合、該薬剤は、その錠剤の剤形から放出され、胃腸管を経由して吸収され、短時間の間に、血漿中濃度が急速に高くなる。たとえば、実施例1に記述された速放性配合物を、絶食状態にあるヒト被験者に対して、5mgの投与量で経口投与した後では、達成される幾何平均最大血漿中濃度(Cmax)は、およそ73ng/mLであり、そしてピーク血漿中濃度(Tmax)が観察される時間は、およそ0.25~1.5時間の範囲(平均0.6時間)である。Cmaxの後では、該薬剤の血漿中濃度は低下し、2時間以内に、Cmaxのおよそ6未満%となる。投与後0時間から24時間までの血漿中濃度-時間曲線より下の面積(AUC0~24)は、およそ0.102μg・hr/mLであり、そしてCmax/AUC0~24の比率はおよそ0.72である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2011/159839号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
驚くべきことには、Cmaxを抑制し、長時間にわたって該薬剤の濃度レベルを維持した放出制御性配合物が、臨床的に特に有益であるということを本願出願人らは見出した。その放出制御性配合物は、より長時間にわたって、調節した速度での間欠的な尿酸排泄を可能とする。本発明の特定の配合物は、高いバイオアベイラビリティに関連した好ましい特性、および/または有効性および/または安全性に関するその他の薬物動態学的な挙動を与える。そのような配合物の特徴からは、尿酸代謝単独または尿酸代謝によって部分的に媒介される疾病または病状、たとえば高尿酸血症、痛風、およびその他多くの疾病状態の管理に、改良された処置の選択肢が得られると期待される。
【0007】
該薬剤を含む改良された医薬組成物、特に投与の後に該薬剤によって達成されるCmaxが、経口的な速放性の錠剤によって達成されるよりは低く、そしてより長時間にわたってその濃度レベルが維持されて、その結果、投与によって、定常的で調節された速度で間欠的な尿酸排泄が達成されるような、好適な組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様においては、該薬剤を含む放出制御性医薬組成物が提供されるが、前記組成物が、その処置を必要としている被験者に対して絶食状態で経口投与した後で、以下の項目の少なくとも一つを示す:
(a)その被験者において、1ng/mL~50ng/mLの間の、該薬剤の幾何平均最大血漿中濃度(Cmax)が生じる;および
(b)0.04~0.4の間のCmax/AUC0~24の比率が生じる。
【0009】
本発明のさらなる態様においては、該薬剤を含む放出制御性医薬組成物が提供されるが、前記組成物が、その処置を必要としている被験者に対して絶食状態で経口投与した後で、以下の項目の両方を示す:
(a)その被験者において、1ng/mL~40ng/mL(都合よくは5ng/mL~20ng/mL)の間の、該薬剤のCmaxが生じる;および
(b)0.04~0.4の間のCmax/AUC0~24の比率が生じる。
【0010】
本発明のさらなる態様においては、該薬剤を含む放出制御性医薬組成物が提供されるが、ここで前記組成物を、その処置を必要としている被験者に対して絶食状態で経口投与した後で、その被験者において、1ng/mL~40ng/mLの間の該薬剤のCmaxが生じる。その該薬剤のCmaxが、5ng/mL~20ng/mLの間であれば、都合がよい。
【0011】
本発明のさらなる態様においては、該薬剤を含む放出制御性医薬組成物が提供されるが、前記組成物が、その処置を必要としている被験者に対して絶食状態で経口投与した後で、0.04~0.4の間のCmax/AUC0~24の比率を示す。
【0012】
本発明のさらなる態様においては、該薬剤を含む放出制御性医薬組成物が提供されるが、前記組成物が、その処置を必要としている被験者に対して絶食状態で経口投与した後で、0.04~0.3の間のCmax/AUC0~24の比率を示す。
【0013】
本発明のさらなる態様においては、該薬剤を含む放出制御性医薬組成物が提供されるが、前記組成物が、その処置を必要としている被験者に対して絶食状態で経口投与した後で、0.04~0.2の間のCmax/AUC0~24の比率を示す。
【0014】
本発明のさらなる態様においては、該薬剤を含む放出制御性医薬組成物が提供されるが、前記組成物が、その処置を必要としている被験者に対して絶食状態で経口投与した後で、0.04~0.18の間のCmax/AUC0~24の比率を示す。
【0015】
本発明のさらなる態様においては、該薬剤を含む放出制御性医薬組成物が提供されるが、前記組成物が、その処置を必要としている被験者に対して絶食状態で経口投与した後で、0.04~0.16の間のCmax/AUC0~24の比率を示す。
【0016】
本発明のさらなる態様においては、該薬剤を含む放出制御性医薬組成物が提供されるが、前記組成物が、その処置を必要としている被験者に対して絶食状態で経口投与した後で、0.04~0.13の間のCmax/AUC0~24の比率を示す。
【0017】
本発明のさらなる態様においては、該薬剤を含む放出制御性医薬組成物が提供されるが、ここで前記組成物が、その処置を必要としている被験者に対して絶食状態で経口投与した後で、0.04~0.4の間、0.04~0.3の間、0.04~0.2の間、0.04~0.18の間、0.04~0.16の間、および0.04~0.13の間から選択されるCmax/AUC0~24の比率を示す。
【0018】
本発明のさらなる態様においては、該薬剤を含む放出制御性医薬組成物が提供されるが、前記組成物が、その処置を必要としている被験者に対して絶食状態で、0.5~20mgの範囲内、たとえば0.5、0.67、0.75、0.83、1、1.25、1.5、2、2.5、3、3.3、4.5、5、6、7.5、9、10、12、15、および20mgから選択される投与量で経口投与した後で、0.04~0.4の間、0.04~0.3の間、0.04~0.2の間、0.04~0.18の間、0.04~0.16の間、および0.04~0.13の間から選択される、Cmax/AUC0~24の比率を示す。都合よくは、この実施態様においては、その投与量が、4.5、6、9、および12mgから選択され、そしてCmax/AUC0~24の比率が、0.04~0.2の間、より都合よくは0.04~0.16の間から選択される。その配合物がペレット状の配合物であれば、好都合である。
【0019】
本発明の特定の配合物は、食物の摂取の存在下であってさえも、たとえばバイオアベイラビリティおよびその他の薬物動態学的な挙動に関して、好ましい特性を与えることができる。
【0020】
したがって、本発明の特定の実施態様においては、該薬剤を含む放出制御性医薬組成物が提供されるが、前記組成物が、摂食後に経口投与したときに、絶食状態で投与したときと比較して、以下の項目を示す:
(a)その被験者において、絶食状態で達成される平均AUCおよび/またはCmaxの30%以内である、平均AUCおよび/またはCmaxが生じる;そして
(b)0.04~0.4の間のCmax/AUC0~24の比率が生じる。
【0021】
本発明のさらなる実施態様においては、該薬剤を含む放出制御性医薬組成物が提供されるが、前記組成物が、摂食後に経口投与したときに、絶食状態で投与したときと比較して、以下の項目を示す:
(a)その被験者において、絶食状態で達成される平均AUCおよび/またはCmaxの20%以内である、平均AUCおよび/またはCmaxが生じる;そして
(b)0.04~0.4の間(都合よくは0.04~0.2の間)のCmax/AUC0~24の比率が生じる。
【0022】
本発明のまたさらなる実施態様においては、該薬剤を含む放出制御性医薬組成物が提供されるが、前記組成物が、摂食後に経口投与したときに、絶食状態で投与したときと比較して、以下の項目を示す:
(c)その被験者において、絶食状態で達成される平均AUCおよび/またはCmaxの10%以内である、平均AUCおよび/またはCmaxが生じる;そして
(d)0.04~0.3の間(都合よくは0.04~0.2の間)のCmax/AUC0~24の比率が生じる。
【0023】
したがって、本発明の特定の実施態様においては、該薬剤を含む放出制御性医薬組成物が提供されるが、前記組成物は、摂食してから投与しても、該薬剤の放出および薬物動態学に関しては、少ない悪影響(都合よくは、実質的に少ない悪影響)しか及ぼさない。この実施態様の一つの態様においては、該薬剤を含む放出制御性医薬組成物が提供されるが、前記組成物は、摂食してから投与しても、該薬剤の放出および薬物動態学に関しては、最小限の影響しか及ぼさない。
【0024】
一つの実施態様においては、本発明の特定の配合物は、薬物動態学的な挙動に関しては好ましい特性を与え、関連する有害効果が少ない。
【0025】
本発明の一つの実施態様においては、該薬剤を含む放出制御性医薬組成物が提供されるが、前記組成物は、その処置を必要としている被験者に対して絶食状態で経口投与したときに、Cmaxの少なくとも15%である、Tmaxより2時間後の血漿中濃度を保持している。都合よくは、Tmaxより2時間後での血漿中濃度が、Cmaxの少なくとも30%(より都合よくは40%、さらにより都合よくは50%)である。
【0026】
本発明の一つの実施態様においては、該薬剤を含む放出制御性医薬組成物が提供されるが、その処置を必要としている被験者に対して絶食状態で、0.5~5mgの範囲(都合よくは4.5mg)の投与量で経口投与した後で、約35ng・hr/mL以上、都合よくは45ng・hr/mL以上、さらにより都合よくは70ng・hr/mL以上のAUC0~24が生じる。
【0027】
本発明の一つの実施態様においては、該薬剤を含む放出制御性医薬組成物が提供されるが、その処置を必要としている被験者に対して絶食状態で、5mgの投与量で経口投与した後で、約35ng・hr/mL以上、都合よくは45ng・hr/mL以上、さらにより都合よくは70ng・hr/mL以上のAUC0~24が生じる。
【0028】
本発明の一つの実施態様においては、該薬剤を含む放出制御性医薬組成物が提供されるが、その処置を必要としている被験者に対して絶食状態で、5~30mgの範囲(都合よくは6または12mg)の投与量で経口投与した後で、約100ng・hr/mL以上、都合よくは120ng・hr/mL以上、さらにより都合よくは140ng・hr/mL以上のAUC0~24が生じる。
【0029】
本発明の一つの実施態様においては、該薬剤を含む放出制御性医薬組成物が提供されるが、その処置を必要としている被験者に対して絶食状態で、10mgの投与量で経口投与した後で、約100ng・hr/mL以上、都合よくは120ng・hr/mL以上、さらにより都合よくは140ng・hr/mL以上のAUC0~24が生じる。
【0030】
本明細書で使用し、特に断らない場合には、「約(about)」という用語は、「およそ(approximately)」という用語と同義的に使用されていると理解されたい。説明的で、特に断らない場合には、「約(about)」という用語は、記載された判定基準の値からわずかに外れている、すなわち±10%(都合よくは±2%)であることを示している。したがって、そのような値もまた、「約(about)」または「およそ(approximately)」という用語を引用している特許請求項の範囲に包含される。
【0031】
本明細書で使用するとき、「速放性(immediate release)」または「IR]という用語は、その慣用される感覚の範囲内で使用されていて、投与した直後に該薬剤が放出されるような剤形を指している。たとえば、「速放性配合物」という用語は、その配合物からの薬物の溶出速度が、溶出の開始から30分後に85%以上であるような配合物を意味しており、その溶出は、米国薬局方に記載の溶出試験(パドル法)に従い、900mLの適切な試験流体(たとえば、米国薬局方緩衝剤、pH6.8)を使用し、パドルの回転速度が100rpmであるような条件下で実施する。別な方法として、その用語は、その配合物からの薬物の溶出速度が、溶出の開始から30分後に85%以上であるような配合物を意味しており、その溶出は、日本薬局方に記載の溶出試験、方法2(パドル法)に従い、900mLの米国薬局方のリン酸塩緩衝剤(pH6.8)を使用し、パドルの回転速度が200rpmであるような条件下で実施する。
【0032】
本明細書で使用するとき、「放出制御性(modified release)」または「MR」という用語は、その剤形(錠剤、カプセル剤、ペレットなど)からの薬物たとえば該薬剤の逸脱または放出が制御されて、その放出速度が、非制御または速放性の剤形からの放出速度よりも遅いということを意味している。薬物の放出に数時間または数日かかって、その薬物の治療的に有効な血漿中濃度が維持されるようにするのがよい。放出制御性には、遅延放出性(投与直後以外の時間に放出される)、放出延長性(長期間にわたって放出される)、徐放性(ある期間の間、薬物放出速度が維持される)、および放出制御性(体内で特定の薬物濃度プロファイルになるように、薬物放出速度が調節される)が包含される。本明細書で使用するとき、より遅い溶出プロファイルとは、その剤形からの薬物の逸脱または放出が、より遅い、すなわち、より早い溶出プロファイルよりは、より遅い溶出プロファイルの方が、その薬物が放出されるための時間がかかる、というものである。その放出制御性が、放出延長性、徐放性、または放出制御性であるのが、好都合である。
【0033】
該薬剤
2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸の水性媒体中への溶解度は、pHに大きく依存する。次の表に、37℃で測定した、その化合物の水性溶液での平衡溶解度を示す。
【0034】
【0035】
該薬剤は、遊離の形態で使用してもよいし、あるいは、薬学的に許容可能な塩、たとえば薬学的に許容可能な金属カチオンの適切な塩基、たとえば水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、硫酸塩との反応、アンモニアとの反応、または薬学的に許容可能な有機の一級、二級もしくは三級アミンとの反応によって形成された薬学的に許容可能な塩基性付加塩として使用してもよい。代表的なアルカリ塩またはアルカリ土類塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、およびアルミニウム塩などが挙げられる。塩基の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化コリン、炭酸ナトリウム、N+(C1~4アルキル)4などが挙げられる。塩基付加塩を形成させるのに有用な代表的な有機アミンとしては、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジンなどが挙げられる。
【0036】
該薬剤は、薬学的に許容可能な塩、たとえば、以下に示すような適切な無機酸または有機酸(これらに限定される訳ではない)との反応で形成される薬学的に許容可能な酸付加塩として使用することもできる:無機酸たとえば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタリン酸など;ならびに有機酸たとえば、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、Q-トルエンスルホン酸、酒石酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、アリールスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタンジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-メチルビシクロ-[2.2.2]オクテ-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトン酸、4,4’-メチレンビス-(3-ヒドロキシ-2-エン-1-カルボン酸)、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、およびムコン酸。
【0037】
該薬剤が遊離の形態で使用されるのが好都合である。
【0038】
該薬剤は、各種の固体状態の形態で使用することも可能であるが、それらもすべて、本発明の範囲に含まれる。それらには、非晶質または結晶質の形態、および無水物の形態、さらには溶媒和化合物または水和物も含まれる。配合物の特定の群においては、該薬剤が結晶質であり、そして無水物の形態にある。
【0039】
さらに、該薬剤を、適切な薬学的に許容可能なプロドラッグの形態で使用することも可能であることは、理解されたい。したがって、該薬剤を、ヒトまたは動物の体内で分解されて該薬剤を放出する化合物である、プロドラッグの形態で投与してもよい。「プロドラッグ」という用語は、本明細書で使用するとき、薬物の前駆体を指していて、それは、個体に投与され次いで吸収された後に、なんらかのプロセス、たとえば代謝経路による変換によって、活性な、あるいはより活性な化学種に変換される。したがって、その用語には、該薬剤の各種の誘導体が包含され、それらは、レシピエントに投与されると、直接的、間接的のいずれかで、該薬剤、またはそれの薬剤的に活性な代謝産物または残基を与えることができる。いくつかのプロドラッグには、そのプロドラッグの上に存在する、それの活性を低下させるか、および/またはその薬物に溶解度またはその他のいくつかの性質を付与する化学基を有している。そのプロドラッグからその化学基が解離するか、および/または変性されると、有効成分の薬物が発生する。いくつかの状況においては、そのプロドラッグが、親薬物よりも容易に投与することが可能であったり、あるいは、他の利点たとえば、薬物を体の特定の部位に送達させることが必要であったりするので、プロドラッグは有用となり得る。
【0040】
特定の疾病または病状の治療的または予防的な処置のために、本発明の組成物に必要とされる薬剤の用量は、たとえば処置を受ける受容者および処置される病気の重症度に応じて、必然的に変化されるであろう。投与される有効成分化合物の量は、処置を受ける被験者、障害または病状の重症度、投与速度、その化合物の素性、および処方する医師の自由裁量に依存するであろう。しかしながら、有効量は、1回量または分割量で体重1kgあたり、1日あたり約0.003~約10mg、好ましくは約0.003~約1mg/kg/日の範囲である。70kgのヒトの場合なら、これは、合計して約0.21~700mg/日、好ましくは約0.21~約70mg/日となるであろう。場合によっては、上記の範囲の下限よりも低い用量レベルでも十分以上となるかもしれないし、その一方で、他の症例においては、いかなる有害な副作用をもたらすことなく、もっと大量の投与量を採用してもよいが、ただし、そのような大量の投与は、最初は、1日全体の投与量を数回の小投与量に小分けするべきである。その組成物の単位投与量には、通常、たとえば0.1~100mgの有効成分、好ましくは0.2~10mgの有効成分を含むであろう。以下のいずれかから選択した一日量を想定するのが好ましい:0.5mg、1mg、1.5mg、2mg、2.5mg、3mg、3.5mg、4.0mg、4.5mg、5mg、10mg、12.5mg、15mg、および20mg。曝露(exposure)における違い、さらには配合物が異なることからの曝露における違いを示す可能性がある、臨床母集団の多様な必要性に対応するためには、広い範囲の投与量を考慮すべきであるということは、理解されるであろう。
【0041】
本発明の組成物の中に該薬剤を、典型的には、重量で、組成物の0.5~50%、好ましくは約0.5~35、特には約0.5~30%の範囲内の量で存在させることになるであろう。組成物の中に存在する薬剤の割合に関する場合には、「約(about)」という用語は、全組成の±2重量%を指していると理解されたい。
【0042】
放出制御性剤形
本発明の有益性は、特定の薬物放出機構を有する特定のタイプの剤形に限定されるものではない。都合よくは、本発明の放出制御性組成物は、投薬後、3時間以上、都合よくは4時間以上、より都合よくは5時間以上、さらにより都合よくは8時間以上、さらにより都合よくは12時間以上、さらにより都合よくは15時間以上にわたって、該薬剤を放出する。該薬剤の放出は、当業者公知の方法によって測定することができる。たとえば、放出速度は、インビトロの溶出試験を使用して測定することができるが、これについては本明細書の実施例のところで説明する。
【0043】
該薬剤の放出制御性は、製薬業界公知の各種の手段、非限定的に挙げれば、たとえば浸透圧利用型剤形、マトリックス型剤形、多顆粒型剤形、胃内滞留型剤形、およびパルス放出型剤形によって達成することができる。これらの内の二つ、すなわちマトリックス型剤形および多顆粒型剤形については、以下においてさらに詳しく説明する。
【0044】
マトリックス系(一単位剤形)
一つの実施態様においては、該薬剤を、崩壊性または非崩壊性のマトリックス放出制御性剤形の中に組み入れる。典型的には、マトリックス型剤形の中では、その薬物が、マトリックス物質の中に均質に分散される。「崩壊性マトリックス」という用語は、純水の中で崩壊性もしくは膨潤性もしくは可溶性のいずれかであるか、または、崩壊もしくは溶出を起こさせるに十分なほどにポリマー性マトリックスをイオン化させるための酸または塩基の存在を必要とする意味合いでの、水崩壊性または水膨潤性または水溶性を意味している。水性環境と接触させたときに、その崩壊性マトリックスが水を吸い込んで、水で膨潤したゲルまたは「マトリックス」を形成し、該薬剤が、その物理化学的性質に応じて、その中を通過または拡散する。その水で膨潤したマトリックスが徐々に、崩壊、膨潤、壊変、または溶解して、それによって該薬剤の放出が調節される。該薬剤をその中に組み入れる崩壊性マトリックスは、一般的に該薬剤と混合した一組の医薬品添加物と記述することが可能で、それは、水性環境と接触させると、水を吸い込んで、該薬剤を包み込む、水で膨潤したゲルまたは「マトリックス」を形成する。薬物放出は、各種の機構で起こさせることが可能であって:該薬剤の粒子または顆粒のまわりからマトリックスを壊変または溶解させてもよいし;あるいは、その薬物を、吸い込まれた水溶液の中に溶解させて、そのマトリックス型剤形から、またはそれを通して拡散させてもよい。
【0045】
この水で膨潤させたマトリックスの中のキーとなる成分は、水膨潤性、崩壊性、または可溶性のポリマーであって、典型的には、ヒドロゲルまたは水膨潤性ポリマーとして記述することができる。そのようなポリマーは、直鎖状であっても、分岐状であっても、または架橋されていてもよい。それらは、ホモポリマーであっても、コポリマーであってもよい。それらは、ビニル、アクリレート、メタクリレート、ウレタン、エステル、およびオキシドモノマーから誘導される合成ポリマーであってもよいが、それらが、天然由来のポリマー、たとえば多糖類またはタンパク質の誘導体であれば、最も好都合である。そのような物質としては、以下のものが挙げられる:天然由来の多糖類たとえば、キチン、キトサン、デキストラン、およびプルラン;寒天ゴム(gum agar)、アラビアゴム、カラヤゴム、イナゴマメゴム、トラガカントゴム、カラゲナン、ガッチガム、グアーゴム、キサンタンゴム、およびスクレログルカン;デンプたとえば、デキストリン、およびマルトデキストリン;親水性コロイドたとえば、ペクチン;ホスファチドたとえば、レシチン;アルギネートたとえば、アンモニウムアルギネート、ナトリウム、カリウムもしくはカルシウムのアルギネート、プロピレングリコールのアルギネート;ゼラチン;コラーゲン;ならびにセルロース系材料。「セルロース系材料」という用語は、そのサッカライド繰り返し単位の上のヒドロキシル基の少なくとも一部を、エステル-結合されるかまたはエーテル-結合された置換基を形成させるための化合物と反応させることによって変性された、セルロースポリマーを意味している。
【0046】
崩壊性マトリックスとして好ましいクラスのセルロース系材料としては、以下のものが挙げられる:セルロース系材料たとえば、エチルセルロース(EC)、メチルエチルセルロース(MEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、セルロースアセテート(CA)、セルロースプロピオネート(CP)、セルロースブチレート(CB)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、CAP、CAT、ヒドロキシプロピルメチルセルロースすなわちヒプロメロース(HPMC)、HPMCP、HPMCAS、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートトリメリテート(HPMCAT)、およびエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)。そのようなセルロース系材料の中でも特に好都合なクラスとしては、低粘度(MWが50,000ダルトン以下)から高粘度(MWが50,000ダルトンを超える)までのHPMCの各種のグレードが上げられる。
【0047】
そのHPMCには、2種以上のグレードのポリマーが含まれていてもよく、いくつかの商標、たとえばDow Chemical Company(USA)からの、METHOCEL(登録商標)E、F、JおよびKとして、市販されている。市販されている低粘度のHPMCポリマーとしては、Dow METHOCELシリーズのE5、E15LV、E50LVおよびK100LYが挙げられるが、それに対して高粘度HPMCポリマーとしては、E4MCR、E10MCR、K4M、K15M、およびK100Mが挙げられるが、この群の中でも特に好ましいのは、METHOCEL(商標)Kシリーズである。そのHPMCが、METHOCEL K100 Premium LVCR、またはMETHOCEL K100M Premium DCであれば、好都合である。その他の市販されているタイプのHPMCとしては、Shin EtsuのMETOLOSE 90SHシリーズ、およびAshlandのBenecal(商標)シリーズが挙げられる。
【0048】
崩壊性マトリックス物質ために有用なその他の物質としては以下のものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:ポリエチレンオキシド、プルラン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、グリセリル脂肪酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、エタクリル酸またはメタクリル酸のコポリマー(EUDRAGIT(登録商標)、Rohm America,Inc.,Piscataway,New Jersey)、ならびにその他のアクリル酸誘導体たとえば、ブチルメタクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、(2-ジメチルアミノエチル)メタクリレート、および(トリメチルアミノエチル)メタクリレートクロリドのホモポリマーおよびコポリマー。
【0049】
一つの実施態様においては、その崩壊性マトリックス物質がポリエチレンオキシドである。例としては、以下の製品名が挙げられる:Polyox WSR-308[平均分子量:8,000,000、粘度:10,000~15,000mPa・s(1%水溶液、25℃)]、Polyox WSR-303[平均分子量:7,000,000、粘度:7,500~10,000mPa・s(1%水溶液、25℃)]、Polyox WSR Coagulant[平均分子量:5,000,000、粘度:5,500~7,500mPa・s(1%水溶液、25℃)]、5Polyox WSR-301[平均分子量:4,000,000、粘度:1,650~5,500mPa・s(1%水溶液、25℃)]、Polyox WSR-N-60K[平均分子量:2,000,000、粘度:2,000~4,000mPa・s(2%水溶液、25℃)]、Polyox WSR-N-12K[平均分子量:1,000,000、粘度:400~800mPa・s(2%水溶液、25℃)]、Polyox WSR-1105(平均分子量:900,000、粘度:8,800~17,600mPa・s(5%水溶液、25℃)]、Polyox WSR-205[平均分子量:600,000、粘度:4,500~8,800mPa・s(5%水溶液、25℃)]、Polyox WSR-N-750[平均分子量:300,000、粘度:600~1200mPa・s(5%水溶液、25℃)]、Polyox WSR-N-80[平均分子量:200,000、粘度:55~90mPa・s(5%水溶液、25℃)]、ならびにPolyox WSR-N-10[平均分子量:100,000、粘度:12~50mPa・s(5%水溶液、25℃)](Dow Chemical Company(USA)製)。そのポリエチレンオキシドがPolyox WSR-N-750であれば、好都合である。
【0050】
これらの崩壊性マトリックスポリマーは、単独で使用してもよいし、あるいはそれらを2種以上適切に組み合わせて使用してもよい。その崩壊性マトリックスポリマー(単一または複数)は、組成物の、一般的には約5~50重量%、都合よくは約5~40重量%、より都合よくは約5~35重量%、さらにより都合よくは約5~30重量%の量で存在するであろう。一つの実施態様においては、その崩壊性マトリックスポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースであって、その組成物の約10~35重量%、都合よくは約17.5~30重量%、より都合よくは約18~22重量%(都合よくは19重量%)または約25~32重量%(都合よくは29重量%)、さらにより都合よくは19.42重量%または29.13重量%の量で存在している。そのヒドロキシプロピルメチルセルロースが、低粘度(MW、50,000ダルトン以下)または高粘度(MW、50,000ダルトンより大)のHPMCであれば、好都合である。そのHPMCが、METHOCEL K100 Premium LVCRまたはMETHOCEL K100Mから選択されれば、好都合である。そのHPMCが、METHOCEL K100M Premium DCであれば、好都合である。さらなる実施態様においては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとポリエチレンオキシドとの両方が、崩壊性マトリックスポリマーとして存在し、そのヒドロキシプロピルメチルセルロースが、組成物の約10~20重量%(都合よくは約15重量%)の量で存在し、そしてそのポリエチレンオキシドが、組成物の約5~10重量%(都合よくは約9~10重量%)の量で存在する。そのポリエチレンオキシドがPolyox WSR-N-750であれば、好都合である。
【0051】
その崩壊性マトリックスポリマー組成物にはさらに、広く各種の、製薬業界公知の薬学的に許容可能な医薬品添加物が含まれていてもよく、それには、生産プロセスを容易としたり、および/またはその剤形の性能を改良したりする医薬品添加物も含まれる。一般的な医薬品添加物としては、希釈剤またはバルキング剤、滑沢剤、結合剤などが挙げられる。そのような追加の医薬品添加物は、当業者には周知であり、たとえば以下の文献に記載されている:Handbook of Pharmaceutical Excipients,7th Edition,American Pharmaceutical Association;The Theory and Practice of Industrial Pharmacy,4rd Edition,Khar.,et al,2013;Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets Volume 1,3rd Edition,Ausurger.,et al.,2008;Modern Pharmaceutics,Banker,Gilbert and Rhodes,Christpher T.,4th edition、2002;およびRemington:The Science and Practice of Pharmacy,22nd Edition,2012。
【0052】
剤形において使用される医薬品添加物の量は、マトリックス系において典型的に使用される量に相当する。その医薬品添加物(単一または複数)は、組成物の、一般的には約10~90重量%、都合よくは約20~90重量%、より都合よくは約40~90重量%、最も都合よくは約60~80重量%、さらに最も都合よくは約63~80重量%、特には約66~79重量%の量で存在させるであろう。
【0053】
希釈剤または充填剤を、個々の用量を含む錠剤を圧縮成形するのに適したサイズに、質量を増加させる目的で使用することができる。好適な希釈剤としては、以下のもの挙げられる:粉砂糖、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、ミクロクリスタリンセルロース、ラクトース、マンニトール、カオリン、塩化ナトリウム、デンプン、およびソルビトール。希釈剤または充填剤は、組成物の、約20~85重量%都合よくは約45~80重量%、より都合よくは約60~75重量%の量で存在させることができる。その希釈剤がミクロクリスタリンセルロースまたはラクトースであれば、好都合である。一つの実施態様においては、その希釈剤がミクロクリスタリンセルロースであって、組成物の61~65重量%の量で存在している。さらなる実施態様においては、ミクロクリスタリンセルロースとラクトースとの両方が存在していて、ミクロクリスタリンセルロースが組成物の45~50重量%の量で存在し、そしてラクトースが組成物の22~25重量%の量で存在している。
【0054】
各種の理由から、剤形の中に滑沢剤を組み入れることも可能である。滑沢剤は、圧縮成形および取り出しの際に、造粒物とダイの壁面との間の摩擦を軽減させる。これによって、粒状物が打錠パンチに付着することが防止され、打錠パンチからのそれの取り出しが容易となる。使用することが可能な好適な滑沢剤としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:タルク、ステアリン酸、パルミチン酸、植物油、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、およびステアリン酸マグネシウム。滑沢剤は、組成物の、約0.1~4重量%、都合よくは約0.2~1重量%、より都合よくは約0.2~0.75重量%の量で存在させることができる。その滑沢剤がステアリン酸マグネシウムであれば、好都合である。
【0055】
剤形の中に、潤滑剤をさらに組み入れることも可能である。潤滑剤は、造粒物の流動特性を改良する。好適な潤滑剤の例としては、タルク、二酸化ケイ素、およびデンプンが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。潤滑剤は、組成物の約0.1~0.75重量%、都合よくは約0.2~0.5重量%の量で存在させることができる。その潤滑剤が、コロイド状二酸化ケイ素であれば、好都合である。
【0056】
剤形の中に、結合剤を組み入れることも可能である。その剤形の生産に造粒工程が含まれているのなら、典型的には、結合剤が使用される。好適な結合剤の例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:ポビドン、ポリビニルピロリドン、キサンタンゴム、セルロースゴムたとえば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、ヒドロキシセルロース、ゼラチン、デンプン、およびアルファ化デンプン。
【0057】
剤形の中に組み入れることが可能なその他の医薬品添加物としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:pH調節剤(たとえば適切な有機酸またはそれらのアルカリ金属(たとえば、リチウム、ナトリウム、またはカリウム)の塩、たとえば安息香酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、アジピン酸など、またはそのようなものの相当するアルカリ金属塩、たとえばそのような酸のアルカリ金属塩、たとえば、クエン酸のナトリウム塩(すなわち、クエン酸ナトリウム))。存在させることが可能なその他の医薬品添加物としては、保存剤、抗酸化剤、または医薬品産業において一般的に使用されている各種その他の医薬品添加物などが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。
【0058】
一つの実施態様においては、該薬剤を、典型的には、本発明のマトリックス組成物の中に重量で、組成物の0.5~50%、好ましくは約0.5~20%、特には約1~10%の範囲内の量で存在させることになるであろう。組成物の特定の群においては、最終組成物の約2~3重量%の量で該薬剤を存在させるであろう。組成物のさらなる特定の群においては、最終組成物の約5~6重量%の量で該薬剤を存在させるであろう。組成物のまたさらなる特定の群においては、最終組成物の約2または3重量%の量で該薬剤を存在させるであろう。組成物のまたさらなる特定の群においては、最終組成物の約5または6重量%の量で該薬剤を存在させるであろう。組成物のまたさらなる特定の群においては、最終組成物の、重量で2~3%、たとえば2.31または2.43%の量で該薬剤を存在させるであろう。組成物のまたさらなる特定の群においては、最終組成物の、重量で5~6%、たとえば5.39%の量で該薬剤を存在させるであろう。
【0059】
別な方法として、本発明の組成物を、非崩壊性のマトリックス型剤形によって投与するか、またはその中に組み入れてもよい。そのような剤形においては、該薬剤が、不活性なマトリックスの中に分散される。その薬物は主として、不活性なマトリックスを通過する拡散によって放出される。不活性なマトリックスとして好適な物質の例としては以下のものが挙げられる:不溶性のプラスチックスたとえば、アクリル酸メチル-メタクリル酸メチルコポリマー、ポリ塩化ビニル、およびポリエチレン;ポリマーたとえば、エチルセルロース、セルロースアセテート、および架橋させたポリビニルピロリドン(ポリビニルポリピロリドンまたはクロスポビドンとしても知られている);ならびに脂肪族化合物たとえば、カルナウバワックス、ミクロクリスタリンワックス、およびトリグリセリド。そのような剤形については、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,22nd edition(2012)の中に、さらに詳しく記載されている。
【0060】
マトリックス放出制御性剤形は、該薬剤と他の医薬品添加物とを共にブレンドし、次いで、そのブレンド物を、たとえば圧縮力によって、成形して錠剤(たとえば、カプレット剤)、ピル、またはその他の剤形とすることにより、調製することができる。本発明の配合物は、たとえば湿式造粒法、直接圧縮成形法、乾式圧密化法(たとえば、ローラー圧密化法)などのような技術によって調製することができる。たとえば、それらは、マトリックスポリマーを、該薬剤および場合によっては他の医薬品添加物とブレンドし、それに続けてその混合物を造粒した後で、その混合物を圧縮して、最終的な剤形とすることにより、調製することができる。そのような圧縮製剤の剤形は、医薬品の剤形の製作において使用される、広く各種のプレスのいずれかを使用して成形することができる。例としては、シングルパンチプレス、ロータリー錠剤成形機、および多層ロータリー錠剤成形機が挙げられる。たとえば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Edition,22nd Edition,2012を参照されたい。圧縮製剤した剤形は、球状、卵球状、長円球状、円筒状、または三角形状など、いかなる形状であってもよい。圧縮製剤の用具の上側および下側表面は、平坦、円形状、凹状、または凸状であってもよい。圧縮成形法によって成形した場合、その剤形が、少なくとも5キロポンド(kp)/cm2、より好ましくは少なくとも7kp/cm2の「強度」を有しているのが好都合である。ここにおいては、「強度(strength)」とは、破砕力をその力に垂直な錠剤の最大断面積で割ったものであって、その物質から成形させた錠剤を破砕するのに必要な錠剤の「硬度(hardness)」とも呼ばれる。この強度を達成するために必要な圧縮力は、たとえば錠剤のサイズなどの各種の因子に依存するであろうが、一般的には、その強度は、約5kp/cm2より大となるであろう。砕け易さは、錠剤の耐表面摩耗性のよく知られた尺度であり、錠剤を標準化されたかきまぜ手順にかけた後での重量損失のパーセントである。砕け易さの値が0.8~1.0%であることが、許容限度の上限を構成するとみなされている。(サイズに依存するが)5kp/cm2よりも高い強度を有するデバイスは、一般的には極めて頑強であり、0.5%未満の砕け易さを有している。
【0061】
本発明のマトリックス制御した用量配合物を調製するための湿式造粒プロセスには、以下の工程を含んでいるのが好都合である:
(a)該薬剤、マトリックス物質、および場合によってはその他の医薬品添加物を混合する工程;
(b)その混合された成分を湿式造粒する工程;
(c)その混合物を乾燥させる工程;
(d)たとえばステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤とブレンドし、場合によってはその他の医薬品添加物を添加する工程;および
(e)そのブレンドした混合物を圧縮して錠剤とする工程。
【0062】
マトリックス徐放性配合物を形成させるための他の方法も、製薬業界では周知である。たとえば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy Edition,2000,22nd Edition,2012を参照されたい。
【0063】
マトリックス型剤形は、場合によっては、1種またはそれ以上の好適なコーティング、たとえばフィルムコーティングを用いてコーティングしてもよい。コーティングは、以下のような目的で使用することができる:嚥下を容易にするため、取り扱いを容易にするため、外観をよくするため、たとえば湿分の侵入もしくは光による分解から保護するため、配合物を着色するため、または、その配合物からの該薬剤の放出を変性もしくは調節するため、たとえば、酸からの腸溶性薬剤の保護またはその他の放出調節を与えるため。
【0064】
本発明による組成物に適用することが可能な、適切なコーティング、たとえばフィルムコーティングには、成膜剤、たとえば糖、より特には皮膜形成性ポリマーが含まれる。適切な糖コーティングは周知で有り、たとえばスクロースまたはラクトースが挙げられる。好適な成膜剤としては、たとえば以下のような皮膜形成性ポリマーが挙げられる:たとえばセルロースのエーテル、エステル、および混合エーテルおよびエステル、非限定的にたとえば、水溶性セルロースエーテルのエステル、たとえばヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、またはヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート;皮膜形成性アクリル系ポリマー、たとえばメタクリレート-メチルメタクリレートコポリマー;ならびに、皮膜形成性ビニルポリマー、たとえばポリビニルアルコール、またはポリビニルアセテートフタレート。その皮膜形成性ポリマーは、好適には、水溶性の皮膜形成性ポリマー、特には水溶性のセルロースエーテルたとえば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース-ヒプロメロース(特にはヒドロキシプロピルメチルセルロース、2~18cP(2%w/v溶液中、20℃で測定)の動粘度を有し、先に定義された、たとえばグレード1828、2208、2906、そして好ましくは2910から選択されたもの)である。使用される成膜剤の量は、フィルムコーティングで所望される性質に依存するであろう。一般的に、成膜剤は、フィルムコーティングの40~90重量%、たとえばフィルムコーティングの50~80%の量で存在させるであろう。成膜剤は、本発明による組成物の、典型的には0.5~5%、好ましくは1~3重量%の量で存在させる。場合によっては、そのフィルムコーティングには、追加の成分たとえば、可塑剤、着色剤、分散助剤、および乳白剤が含まれる。可塑剤を、フィルムの可撓性および耐久性、ならびにフィルムコーティングの接着性を改良するために使用してもよい。好適な可塑剤としては、たとえば以下のものが挙げられる:グリセリン、アセチル化モノグリセリド、クエン酸エステル(たとえばクエン酸トリエチル)、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(たとえば200~500、特には300の分子量を有するポリエチレングリコール)、トリアセチン(グリセロールトリアセテート)、トリグリセリド(たとえばヒマシ油)、またはフタレートエステル(たとえばジエチルフタレート)。一般的に、可塑剤を使用する場合には、フィルムコーティングの重量を規準にして、それを1~20%、たとえば5~15重量%の量で存在させる。
【0065】
好適な乳白剤および着色剤も周知で有り、たとえば二酸化チタン、酸化第二鉄(たとえば酸化鉄)が挙げられる。好適な分散助剤としては、たとえばタルクが挙げられる。
【0066】
本発明の実施態様においては、そのフィルムコーティングには、以下のものが含まれる:
(i)50~100(好ましくは50~80)部の水溶性セルロースエーテル(好適には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、特には2~18cP(2%w/v溶液、20℃で測定)の動粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロース、たとえば先に定義された、5~7cPの動粘度を有する、グレード2910、1828、2208、または2906);
(ii)0~25(特には5~20)部の可塑剤(好適には、ポリエチレングリコール、特には200~500の分子量を有するポリエチレングリコール);ならびに
(iii)合計して0~50(特には0~30)部の乳白剤(好ましくは二酸化チタン)、着色剤(好ましくは酸化鉄)、および分散助剤;ここで、すべての「部」は重量基準であり、そして部数の合計(i)+(ii)+(iii)=100である。
【0067】
そのコーティングには、たとえば0.5~10重量%、特には1~6%、好ましくは2~3%の組成物が含まれていてよい。好適なフィルムコーティングは、濃縮物として市販されており、それを、水、場合によってはセルロースエーテルたとえばHPMCおよび可塑剤たとえばポリエチレングリコールを用いて希釈してから、組成物に塗布するのがよい。そのような濃縮物としては、Opadry(登録商標)コーティング(Colorcon製)、たとえばOpadry Blue 03K105000およびOpadry White 03K18416が挙げられる。
【0068】
一つの実施態様においては、そのマトリックス型剤形が、1種または複数の適切なコーティングを用いてコーティングされて、その配合物からの該薬剤の放出をさらに制御もしくは調節し、たとえば酸からの腸溶性薬剤の保護またはその他の放出調節を与える。マトリックス型剤形の上にコーティングを調製するのに有用な好適な物質としては、医薬品を遅延放出させるための腸溶コーティングとして当業者に公知のポリマーが挙げられる。それらの内で最も一般的なのは、pHの影響を受けやすい物質、たとえば以下のものである:セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルメチル、セルロースフタレート、ポリ(ビニルアセテートフタレート)、およびアクリル系コポリマーたとえば、Eudragit L-100(Evonik)、Eudragit L30 D-55、Eudragit S100、Eudragit FS300、および関連の物質。そのコーティング物質が、Eudragit L30 D-55であれば、好都合である。コーティング物質は、本発明による組成物の、典型的には0.5~7%、好ましくは1~5重量%の量で存在させる。遅延放出コーティングの厚みとタイプを調節して、所望の遅延性を得る。一般的には、コーティングが厚いほど、崩壊に対する抵抗性が高くなり、その結果、遅延がより長引くが、pH7より上で溶解するように設計されたコーティングがその例である。好ましいコーティングは、典型的には約10ミクロン~約3mm、より好ましくは10um~500umの厚みの範囲である。マトリックス型剤形を摂取すると、それは、胃の中を通過するが、そこではそのコーティングが、そこの酸性条件環境下での、該薬剤の放出を防止する。そのマトリックス型剤形が胃を通過して小腸の中に入ると、そこではpHが高いので、コーティングが、選択された物質の物理化学的性質に従って、崩壊または溶解する。コーティングが崩壊または溶解すると、該薬剤がその中に組み入れられている崩壊性もしくは非崩壊性のマトリックスが、該薬剤の即時または急速な放出を防止し、その放出を調節して、高濃度が生じるのを防止する。
【0069】
特定の実施態様においては、以下のものを含むマトリックス放出制御性医薬組成物が提供される:
(i)1~10(特には1~8)部の該薬剤;
(ii)10~40(特には15~35)部の崩壊性マトリックスポリマー;
(iii)40~85(特には40~75)部の希釈剤または希釈剤の組合せ;
(iv)0~3(特には0.2~0.7)部の潤滑剤;
(v)0~2(特には0.2~1)部の滑沢剤;および
(vi)0~8(特には0.5~3.5)部のフィルムコーティング;
ここで、ここで、すべての「部」は重量基準であり、そして部数の合計(i)+(ii)+(iii)+(iv)+(v)+(vi)=100であり、その崩壊性マトリックスポリマーは、先に定義された各種の意味合いを有している。
【0070】
多顆粒型系
多顆粒型系には、たとえばミニタブレット、ビーズ、ペレット、および顆粒のようなサブユニットが含まれる。多顆粒型には、一般的には、直径が約10μm~約2mm、より典型的には約100μm~1mmのサイズの範囲にある、複数のミニタブレット、ビーズ、ペレット、または顆粒が含まれる。そのような多顆粒は、たとえばカプセル、たとえばゼラチンカプセルまたはたとえばHPMCAS、HPMC、またはデンプンのようなポリマーから形成されたカプセルの中に詰め込まれるか;液体状態にある懸濁液もしくはスラリーとして投与されるか;サッシェの中で投与されるか;または、それらが、圧縮成形法または当業者公知の他のプロセスによって、錠剤(たとえば、カプレット剤)またはピルに成形されてもよい。
【0071】
そのような多顆粒は、各種公知のプロセス、たとえば湿式もしくは乾式造粒プロセス、押出し/球状化法、ローラー-圧密化法、溶融-凝結法、またはスプレー-コーティングシードコア法によって、作製することができる。それらの多顆粒を、スプレー-コーティングシードコア法で作製するのが好都合である。
【0072】
たとえば、湿式もしくは乾式造粒プロセスにおいては、該薬剤および任意成分の医薬品添加物を含む組成物を粒状化して、所望のサイズの多顆粒を形成させてもよい。医薬品添加物、たとえば結合剤を組成物とブレンドして、加工および多顆粒の形成に役立たせてもよい。多顆粒の製作において有用な結合剤としては、以下のものが挙げられる:ミクロクリスタリンセルロース(たとえば、Avicel RTM.、FMC Corp.)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、および関連の物質またはそれらの組合せ。一般的には、造粒および打錠において有用な結合剤、たとえばデンプン、アルファ化デンプン、およびポリ(N-ビニル-2-ピロリジノン)(PVP)を使用して、多顆粒を形成させてもよい。湿式造粒法の場合においては、結合剤たとえばミクロクリスタリンセルロースを造粒流体の中に含ませて、適切な多顆粒を形成させるのを助けてもよい。たとえば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,22nd Edition,2012を参照されたい。
【0073】
いずれの場合においても、そのようにして得られる粒子が、それ自体で多顆粒を形成してもよいし、または、それらが、各種の皮膜形成性物質たとえば、放出制御性ポリマー、腸溶性ポリマー、または水膨潤性もしくは水溶性ポリマーによってコーティングされていてもよいし、および/または、それらが、その他の医薬品添加物もしくは賦形剤と組み合わされて、患者への投与に役立つようになっていてもよい。都合よくは、そのようにして得られる粒子が、放出制御性ポリマーによってコーティングされているか、および/またはそれらが、その他の医薬品添加物もしくは賦形剤と組み合わされて、患者への投与に役立つようになっていてよい。
【0074】
一つの実施態様においては、該薬剤が、速度を律する膜によって取り囲まれたコアの内部に存在している。該薬剤は、物質移動メカニズムによって膜を横切るが、非限定的に挙げれば、たとえば膜の中に溶出しそれに続けて膜を横切るか、または膜の中の液体が充満された細孔を通って拡散する。多顆粒のそれぞれのサブユニットが、個別に、膜を用いてコーティングされていてもよい。そのコーティングが、非多孔質ではあるが、それでも該薬剤を通過させることができるか(たとえば該薬剤が、膜を通して直接拡散してもよい)、あるいは、そのコーティングが多孔質であってもよい。当業者公知の放出制御性コーティング、特にポリマーコーティング、たとえばセルロースエステルもしくはエーテル、アクリル系ポリマー、またはポリマーの混合物を採用して、膜を構成させてもよい。好ましい物質としては、エチルセルロース、セルロースアセテート、およびセルロースアセテートブチレートが挙げられる。ポリマーは、有機溶媒中の溶液として、または水性分散体もしくはラテックスとして、塗布することができる。そのコーティング操作は、流動床コーター、Wursterコーター、またはロータリーベッドコーターのような、標準的な機器の中で実施すればよい。所望により、2種以上の物質をブレンドすることによって、そのコーティングの膜透過性を調節してもよい。コーティングの多孔度を目的に合わせるために有用なプロセスには、使用する膜形成性のポリマーの溶液または分散体(たとえば、水性ラテックス)に対して、予め決められた量の、微粉砕した水溶性物質、たとえば糖または水溶性ポリマー(たとえば、HPC)の塩を添加することが含まれる。その剤形が、消化管の水性媒体の中に摂取されると、それらの水溶性の膜添加剤が、その膜から浸出し、後に細孔が残るが、その細孔が、薬物の放出を促進する。膜のコーティングは、当業者公知のように、可塑剤を添加することによって調節することも可能である。
【0075】
一つの好ましい実施態様においては、その多顆粒には、該薬剤を用いて積層されたシードコア(seed core)が含まれ、該薬剤に放出制御性を与えるのに有用なタイプのポリマー材料を用いてコーティングされている。この実施態様においては、ビーズまたはペレットの形態にある多顆粒は、薬物層状化テクニックたとえば粉体コーティングによってシードコアの上に該薬剤組成物(薬物プラス場合によっては各種の医薬品添加物)を構築させるか、または流動床たとえば、Wursterコーターまたはロータリープロセスの中で、シードコアの上に、適切な溶液/分散媒(dispersion vehicle)の中の該薬剤の溶液または分散体(たとえば、結合剤の分散体、たとえばHPMC、たとえば6cps)をスプレーすることにより該薬剤組成物を塗布することによって、調製することができる。そのシードコアは、糖(たとえばノンパレイユシード(non-pareil seed))、デンプン、またはミクロクリスタリンセルロース、好都合にはミクロクリスタリンセルロースで構成することができる。好適な組成物および方法の一例は、シードコアの上に、該薬剤/結合剤(たとえば、HPMC)組成物の水中分散体をスプレーすることである。当業者公知で、先に記述したような放出制御性コーティング、特にポリマーコーティングを採用して、膜を構成させ、それを、該薬剤で積層させたシードコアの上に塗布してもよい。コーティングされた多顆粒からの薬剤の放出速度は、たとえば以下の因子により調節することができる:その該薬剤でコーティングされたコアの組成および結合剤含量、その放出制御性コーティングの厚みおよび膜透過性、ならびにその多顆粒の表面積対容積の比率およびサイズ。コーティングの厚みを増やすと、放出速度が低下するであろうし、それに対して、コーティングの膜透過性または多顆粒のサイズもしくは表面積対容積の比率を増やすと、放出速度が上昇するであろうということは、当業者の認めるところであろう。所望により、2種以上の物質をブレンドすることによって、そのコーティングの膜透過性を調節してもよい。放出制御性コーティングの有用なシリーズでは、水不溶性および水溶性のポリマー、たとえばそれぞれ、エチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースの混合物が含まれる。コーティングの有用な変性法は、微粉砕した水溶性物質、たとえば糖または塩を添加することである。水性媒体の中に入れると、これらの水溶性の膜添加剤がその膜から浸出されて、細孔が残り、それが、薬物の送達を容易にする。膜コーティングは、可塑剤を添加することによっても変性することができるが、このことは当業者には公知である。
【0076】
一つの実施態様においては、その放出制御性ペレットには、以下のものが含まれる:
a)その放出制御性ペレットの重量の約10%~約90%(w/w)の範囲の量の不活性なコア;
b)その不活性なコアを包み込む、該薬剤と場合によっては結合剤(たとえばヒドロキシプロピルメチルセルロース)との混合物を、その放出制御性ペレットの全重量の約5%~約80%(w/w)の量で含み、該薬剤対結合剤(存在している場合)の重量比が、約(4:1)から(19:1)までの範囲である、薬物層;
c)その薬物で積層させたコアを包み込む放出制御性ポリマーを含み、前記放出制御性ポリマーが、エチルセルロースまたはエチルセルロースおよび/またはヒドロキシプロピルセルロースの混合物を、放出制御性ペレットの全重量の約5%~約50%(w/w)の範囲の量で含み、エチルセルロース対ヒドロキシプロピルセルロース(存在している場合)の重量比が約(1:1)から(4:1)までの範囲である、放出制御層;ならびに
d)場合によっては、放出制御性ペレットの全重量の約0.1%~約5%(w/w)の、追加の医薬品添加物、たとえば、滑沢剤たとえばステアリン酸マグネシウム、および/または可塑剤たとえば、トリエチルサイトレート(TEC)またはアセテートトリエチルサイトレート(ATEC)。
【0077】
この実施態様の一つの態様においては、薬物層と放出制御層との間を、分離させることが必要ならば、サブコート(sub-coat)を適用することも可能である。この実施態様の一つの態様においては、そのコーティングが、HPMCまたはステアリン酸マグネシウムからなっていてもよい。
【0078】
さらなる実施態様においては、その放出制御性ペレットには、以下のものが含まれる:
a)その放出制御性ペレットの重量の約40%~約60%(w/w)(都合よくは50~60%の間、たとえば51.3%または58.98%)の範囲の量の、不活性なコア;
b)その不活性なコアを包み込む、該薬剤と場合によっては結合剤(たとえばヒドロキシプロピルメチルセルロース)との混合物を、その放出制御性ビーズの全重量の約5%~約25%(w/w)(都合よくは10~20%の間)の量で含み、該薬剤対結合剤(存在している場合)の重量比が、約(4:1)から(19:1)まで(都合よくは(8:1)から(11:1)まで)の範囲である、薬物層;
c)その薬物で積層させたコアビーズを包み込む、放出制御性ポリマーを含み、前記放出制御性ポリマーが、エチルセルロースまたはエチルセルロースおよび/またはヒドロキシプロピルセルロースの混合物を、放出制御性ビーズの全重量の約5%~約50%(w/w)(都合よくは20~40%の間、たとえば21.91%または35.79%)の範囲の量で含み、エチルセルロース対ヒドロキシプロピルセルロース(存在している場合)の重量比が約(1:1)から(4:1)まで(都合よくは(1.3:1)から(3:1)まで)の範囲である、放出制御層;ならびに
d)場合によっては、放出制御性ビーズの全重量の約0.2%の、滑沢剤たとえばステアリン酸マグネシウム。
【0079】
この実施態様の一つの態様においては、該薬剤がその遊離の形態にある、すなわち、それが、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸として存在している。
【0080】
一つの実施態様においては、典型的には、該薬剤(都合よくはその遊離の形態で、すなわち、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸として)が、本発明のペレット組成物の中に、そのペレット組成物の5~50%、好適には約10~25%、特には約10~20重量%の範囲内の量で存在するであろう。組成物の特定の群においては、該薬剤が、そのペレット組成物の約10~18重量%、たとえばそのペレット組成物の11.5%または17.2重量%の量で存在するであろう。
【0081】
都合よくは、その放出制御性ペレットのサイズが、約150μm~約400μmの範囲、より都合よくは約350μmである。先に記載したように、そのペレット組成物には、多数のペレットが含まれていて、それらはたとえば、カプセル、たとえばゼラチンカプセルまたはたとえばHPMCAS、HPMC、もしくはデンプンのようなポリマーから形成されたカプセルの中に詰め込まれるか;液体の中の懸濁物またはスラリーとして投与されるか;サッシェの中で投与されるか;または、それらが、圧縮成形法または当業者公知の他のプロセスによって、錠剤(たとえば、カプレット剤)またはピルに成形されてもよい。多数のペレットを含むペレット組成物を、カプセル、たとえばゼラチンカプセル、またはたとえばHPMCAS、HPMC、もしくはデンプンのようなポリマーから形成されたカプセルに詰め込むのが、好都合である。
【0082】
一つの実施態様においては、本発明の放出制御性ペレットを、速放性ペレットと組み合わせて、たとえば、カプセルの中に共に詰め込んで、単一の医薬組成物を形成させることも可能である。そのような組成物は、放出制御性成分と速放性成分との両方を含む、特異な放出プロファイルを与えるように設計することも可能であろう。そのような実施態様における速放性ペレットは、該薬剤を用いてコーティングされた不活性なコアと、場合によってはそのようなペレットを成形するのに必要な追加のポリマーとを含むことができる。都合よくは、この実施態様の一つの態様においては、速放性ペレットの量は、その組成物の中のペレットの全重量の5~25%の範囲である。速放性ペレットの量が、その組成物の中のペレットの全重量の7~15%の範囲であれば、より好都合である。
【0083】
一つの実施態様においては、その多顆粒に、該薬剤の徐放が開始されるまでの遅延が組み込まれている。一つの実施態様を、該薬剤を用いて積層され、そしてその剤形を摂取したときに、該薬剤の放出制御性に有用なタイプのポリマー材料の第一のコーティング、および薬物の放出を遅延させるのに有用なタイプの第二のコーティングを用いてコーティングされた、シードコアを含む多顆粒によって説明することができる。その第一のコーティングを、該薬剤で積層させたシードコアの上およびまわりに塗布する。その第二のコーティングを、その第一のコーティングの上およびまわりに塗布する。そのような多顆粒は、当業者周知の技術によって調製することができる。その第一のコーティングは、先に説明したような、膜を構成させるための、当業者公知の放出制御性コーティング、特にはポリマーコーティングであってよい。好適なポリマーコーティング物質、機器、およびコーティング方法は、先に説明したものの中に含まれている。
【0084】
多顆粒の上に第二のコーティングを調製するのに有用な好適な物質としては、医薬品を遅延放出させるための腸溶コーティングとして当業者に公知のポリマーが挙げられる。それらの内で最も一般的なのは、pHの影響を受けやすい物質、たとえば以下のものである:セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルメチル、セルロースフタレート、ポリ(ビニルアセテートフタレート)、およびアクリル系コポリマーたとえば、Eudragit L-100(Evonik)、Eudragit L30 D-55、Eudragit S100、Eudragit FS300、および関連の物質。遅延放出コーティングの厚みとタイプを調節して、所望の遅延性を得る。一般的には、コーティングが厚いほど、崩壊に対する抵抗性が高くなり、その結果、遅延がより長引くが、pH7より上で溶解するように設計されたコーティングがその例である。好ましいコーティングは、典型的には約10ミクロン~約3mm、より好ましくは10um~500umの厚みの範囲である。その2回コーティングされた多顆粒を摂取すると、それは、胃の中を通過するが、そこではその第二のコーティングが、そこの酸性条件環境下での、該薬剤の放出を防止する。その多顆粒が胃を通過して小腸の中に入ると、そこではpHが高いので、その第二のコーティングが、選択された物質の物理化学的性質に従って、崩壊または溶解する。その第二のコーティングが崩壊または溶出した後で、その第一のコーティングが、該薬剤の即時または急速な放出を防止して、放出を調節し、それによって、高濃度が生じるのを防止する。
【0085】
一つの実施態様においては、その放出制御性医薬組成物が、多数のペレットを含むカプセル組成物であって、その組成物には以下のものが含まれる:約5mgの2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸、約22mgのミクロクリスタリンのシードコア球体、約0.6mgのHPMC 6cps、約5~8mgの間(都合よくは約5.6mgまたは6.2mg)のHPC LF、約8~10mgの間(都合よくは約9.3mgまたは9.9mg)のエチルセルロース、および場合によっては、約0.06mgのステアリン酸マグネシウム。
【0086】
さらなる実施態様においては、その放出制御性医薬組成物が、多数のペレットを含むカプセル組成物であって、その組成物には以下のものが含まれる:10mgの2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸、約43~45mg(都合よくは44.5mg)のミクロクリスタリンのシードコア球体、0.5~1.5mgの間(都合よくは1.1mg)のHPMC 6cps、8~12mgの間(都合よくは9mgまたは10.1mg)のHPC LF、約15~25mgの間(都合よくは20.9mgまたは22mg)のエチルセルロース、および場合によっては、0.1~0.2mgの間(都合よくは0.125mg)のステアリン酸マグネシウム。
【0087】
さらなる実施態様においては、その放出制御性医薬組成物が、多数のペレットを含むカプセル組成物であって、その組成物には以下のものが含まれる:4.5mgの2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸、14~17mg(都合よくは15.4mg)のミクロクリスタリンのシードコア球体、0.5~1.5mgの間(都合よくは0.44mg)のHPMC 6cps、1~2mgの間(都合よくは1.82mg)のHPC LF、約1~4.5mgの間(都合よくは3.9mg)のエチルセルロース、および0.01~0.2mgの間(都合よくは0.05mg)のステアリン酸マグネシウム。
【0088】
さらなる実施態様においては、その放出制御性医薬組成物が、多数のペレットを含むカプセル組成物であって、その組成物には以下のものが含まれる:6mgの2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸、18~22mg(都合よくは20.8mg)のミクロクリスタリンのシードコア球体、0.5~1.5mgの間(都合よくは0.6mg)のHPMC 6cps、1~3mgの間(都合よくは2.45mg)のHPC LF、約1~6mgの間(都合よくは5.25mg)のエチルセルロース、および0.01~0.2mgの間(都合よくは0.07mg)のステアリン酸マグネシウム。
【0089】
さらなる実施態様においては、その放出制御性医薬組成物が、多数のペレットを含むカプセル組成物であって、その組成物には以下のものが含まれる:12mgの2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸、40~44mg(都合よくは41.9mg)のミクロクリスタリンのシードコア球体、0.5~1.5mgの間(都合よくは1.2mg)のHPMC 6cps、1~6mgの間(都合よくは4.94mg)のHPC LF、約1~12mgの間(都合よくは10.6mg)のエチルセルロース、および0.01~0.2mgの間(都合よくは0.15mg)のステアリン酸マグネシウム。
【0090】
本明細書で使用し、特に断らない場合には、多顆粒配合物に関連して「ビーズ(beadまたはbeads)」という用語を使用する場合は、その用語は、「ペレット(pelletまたはpellets)」の同義語として使用されると理解されたい。
【0091】
医療的使用
該薬剤は、生理活性の強い、URAT1のインヒビターであり、したがって本発明による組成物は、国際公開第2011/159839号パンフレット(該薬剤が開示されている)および国際公開第2013/067425号パンフレット(該薬剤の特定の使用方法が開示されている)に記載されているような状態を処置するのに有用である。たとえば、本発明の組成物は、尿酸代謝の障害を処置するのに有用であり、そのような障害としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:赤血球増加症、骨髄様化生、痛風、再発性痛風発作、痛風性関節炎、高尿酸血症、高血圧症、心血管疾患、冠動脈心疾患、レッシュ-ナイハン症候群、ケリー-シーグミラー症候群、腎疾患、腎結石、腎不全、関節の炎症、関節炎、尿石症、鉛中毒、副甲状腺機能亢進症、乾癬、またはサルコイドーシス。特定の実施態様においては、本発明の組成物は、以下のような尿酸代謝の障害を処置するのに有用である:赤血球増加症、骨髄様化生、痛風、再発性痛風発作、痛風性関節炎、高尿酸血症、高血圧症、心血管疾患、冠動脈心疾患、心不全、レッシュ-ナイハン症候群、ケリー-シーグミラー症候群、急性もしくは慢性の腎疾患、腎結石、腎不全、関節の炎症、関節炎、尿石症、鉛中毒、副甲状腺機能亢進症、乾癬、またはサルコイドーシス。
【0092】
さらなる特定の実施態様においては、本発明の組成物は、血清尿酸レベルが高い患者における心不全の処置に有用である。またさらなる特定の実施態様においては、本発明の組成物は、6mg/dLよりも高い血清尿酸(sUA)レベルを有する心不全患者(NYHA分類II~III)における、心血管による入院および死亡のリスクを軽減させるのに有用である。
【0093】
さらなる実施態様においては、本発明の組成物は、血清尿酸レベルが高い患者における慢性腎疾患(CKD)の処置に有用である。特定の実施態様においては、本発明の組成物は、心血管に伴う諸事象(MACE)のリスクを軽減し、そして腎不全の病状悪化を遅らせ(好適にはeGFRまたはESRDの50%低下と定義される[透析、腎移植、またはSCr>6mg/dL])、そして6mg/dLよりも高いsUAレベルを有するCKD患者(eGFR、25~75mL/分/1.73m2)における心血管または腎疾患による死亡を防止するのに有用である。
【0094】
本発明のさらなる態様は、先に定義された本発明による医薬組成物の、医薬品としての使用を提供する。
【0095】
本発明の組成物の中に存在している該薬剤は、血清尿酸低下作用を有しているが、これは、それのURAT1インヒビター活性に由来していると考えられる。したがって、本発明の組成物は、URAT1単独またはURAT1によって部分的に媒介される疾病または病状の処置に有用であると期待される、すなわち、本発明の組成物は、そのような処置を必要とする温血動物においてURAT1抑制効果をもたらすことに使用することができる。したがって、本発明の組成物は、URAT1の阻害を特徴とする、尿酸関連の障害を処置するための方法を提供する、すなわち、本発明の組成物を、URAT1の阻害単独またはURAT1阻害によって部分的に媒介される、血清尿酸低下効果をもたらすのに使用することができる。したがって、本発明の組成物は、血清尿酸低下効果をもたらすことによる尿酸代謝の障害の処置、特には、URAT1感受性の障害、たとえば先に記述されたような障害の処置に有用であると期待される。特定の実施態様においては、本発明の組成物は、ヒトにおける血清尿酸レベルを低下させるための方法を提供する。またさらなる特定の実施態様においては、本発明の組成物は、痛風を処置するための方法を提供する。またさらなる特定の実施態様においては、本発明の組成物は、高尿酸血症を処置するための方法を提供する。またさらなる特定の実施態様においては、本発明の組成物は、痛風を伴う高尿酸血症を処置するための方法を提供する。またさらなる特定の実施態様においては、本発明の組成物は、キサンチンオキシダーゼインヒビター(都合よくはアロプリノールまたはフェブキソスタット、より都合よくはフェブキソスタット)と組み合わせて、痛風を伴う高尿酸血症を処置するための方法を提供する。またさらなる特定の実施態様においては、本発明の組成物は、さらなる療法に値する患者(patients who warrant additional therapy)において、キサンチンオキシダーゼインヒビター(都合よくはアロプリノールまたはフェブキソスタット、より都合よくはフェブキソスタット)と組み合わせて、痛風を伴う高尿酸血症を処置するための方法を提供する。またさらなる特定の実施態様においては、本発明の組成物は、さらなる療法が値するような場合に(when additional therapy is warranted)、アロプリノールまたはフェブキソスタットと組み合わせて、高尿酸血症を長期間にわたって処置する(chronic treatment)ための方法を提供する。またさらなる特定の実施態様においては、本発明の組成物は、高い血清尿酸レベルを有する患者における、心不全を処置するための方法を提供する。またさらなる特定の実施態様においては、本発明の組成物は、6mg/dLよりも高い血清尿酸(sUA)レベルを有する心不全患者(NYHA分類II~III)における、心血管による入院および死亡のリスクを軽減させるための方法を提供する。またさらなる特定の実施態様においては、本発明の組成物は、高い血清尿酸レベルを有する患者における、慢性腎疾患(CKD)を処置するための方法を提供する。またさらなる特定の実施態様においては、本発明の組成物は、心血管に伴う諸事象(MACE)のリスクを軽減し、そして腎不全の病状悪化を遅らせ(好適にはeGFRまたはESRDの50%低下と定義される[透析、腎移植、またはSCr>6mg/dL])、そして6mg/dLよりも高いsUAレベルを有するCKD患者(eGFR、25~75mL/分/1.73m2)における心血管または腎疾患による死亡を防止するための方法を提供する。
【0096】
本発明の実施態様においては、温血動物(好ましくはヒト)における血清尿酸レベルを低下させることに使用するための、先に定義されたような本発明による医薬組成物が提供される。また別の実施態様においては、赤血球増加症、骨髄様化生、痛風、再発性痛風発作、痛風性関節炎、高尿酸血症、高血圧症、心血管疾患、冠動脈心疾患、レッシュ-ナイハン症候群、ケリー-シーグミラー症候群、腎疾患、腎結石、腎不全、関節の炎症、関節炎、尿石症、鉛中毒、副甲状腺機能亢進症、乾癬、またはサルコイドーシスの処置において使用するための、先に定義されたような本発明による医薬組成物が提供される。また別の実施態様においては、赤血球増加症、骨髄様化生、痛風、再発性痛風発作、痛風性関節炎、高尿酸血症、高血圧症、心血管疾患、冠動脈心疾患、心不全、レッシュ-ナイハン症候群、ケリー-シーグミラー症候群、急性もしくは慢性の腎疾患、腎結石、腎不全、関節の炎症、関節炎、尿石症、鉛中毒、副甲状腺機能亢進症、乾癬、またはサルコイドーシスの処置において使用するための、先に定義されたような本発明による医薬組成物が提供される。特定の実施態様においては、痛風の処置において使用するための、先に定義されたような本発明による医薬組成物が提供される。またさらなる実施態様においては、RAT1阻害の影響を受けやすい尿酸代謝障害の予防または処置に使用するための、本発明による医薬組成物が提供される。特定の実施態様においては、痛風の処置において使用するための、先に定義されたような本発明による医薬組成物が提供される。特定の実施態様においては、高い血清尿酸レベルを有する患者における心不全の処置において使用するための、先に定義されたような本発明による医薬組成物が提供される。特定の実施態様においては、6mg/dLより高い血清尿酸(sUA)レベルを有する心不全患者(NYHA分類II~III)における、心血管による入院および死亡のリスクを軽減させることに使用するための、先に定義されたような本発明による医薬組成物が提供される。またさらなる特定の実施態様においては、高い血清尿酸レベルを有する患者における慢性腎疾患(CKD)の処置において使用するための、先に定義されたような本発明による医薬組成物が提供される。またさらなる特定の実施態様においては、本発明の組成物は、心血管に伴う諸事象(MACE)のリスクを軽減し、そして腎不全の病状悪化を遅らせ(好適にはeGFRまたはESRDの50%低下と定義される[透析、腎移植、またはSCr>6mg/dL])、そして6mg/dLよりも高いsUAレベルを有するCKD患者(eGFR、25~75mL/分/1.73m2)における心血管または腎疾患による死亡を防止することに使用するための、先に定義されたような本発明による医薬組成物が提供される。またさらなる特定の実施態様においては、高尿酸血症の処置において使用するための、先に定義されたような本発明による医薬組成物が提供される。またさらなる特定の実施態様においては、痛風を伴う高尿酸血症の処置において使用するための、先に定義されたような本発明による医薬組成物が提供される。またさらなる特定の実施態様においては、痛風を伴う高尿酸血症の処置において使用するための、キサンチンオキシダーゼインヒビター(都合よくはアロプリノールまたはフェブキソスタット、より都合よくはフェブキソスタット)と組み合わせた、先に定義されたような本発明による医薬組成物が提供される。またさらなる特定の実施態様においては、さらなる療法に値する患者において、痛風を伴う高尿酸血症の処置において使用するための、キサンチンオキシダーゼインヒビター(都合よくはアロプリノールまたはフェブキソスタット、より都合よくはフェブキソスタット)と組み合わせた、先に定義されたような本発明による医薬組成物が提供される。またさらなる特定の実施態様においては、さらなる療法が値するような場合に、高尿酸血症の長期間の処置のための、アロプリノールまたはフェブキソスタットと組み合わせた、先に定義されたような本発明による医薬組成物が提供される。
【0097】
本発明のさらなる態様は、温血動物(好ましくはヒト)における血清尿酸の低下効果をもたらすのに使用するための医薬品の生産における、先に定義されたような本発明による組成物の使用を提供する。また別の実施態様においては、赤血球増加症、骨髄様化生、痛風、再発性痛風発作、痛風性関節炎、高尿酸血症、高血圧症、心血管疾患、冠動脈心疾患、レッシュ-ナイハン症候群、ケリー-シーグミラー症候群、腎疾患、腎結石、腎不全、関節の炎症、関節炎、尿石症、鉛中毒、副甲状腺機能亢進症、乾癬、またはサルコイドーシスの処置において使用するための医薬品の生産における、先に定義されたような本発明による組成物の使用が提供される。また別の実施態様においては、赤血球増加症、骨髄様化生、痛風、再発性痛風発作、痛風性関節炎、高尿酸血症、高血圧症、心血管疾患、冠動脈心疾患、心不全、レッシュ-ナイハン症候群、ケリー-シーグミラー症候群、急性もしくは慢性の腎疾患、腎結石、腎不全、関節の炎症、関節炎、尿石症、鉛中毒、副甲状腺機能亢進症、乾癬、またはサルコイドーシスの処置において使用するための、医薬品の生産における、先に定義されたような本発明による組成物の使用が提供される。特定の実施態様においては、痛風の処置において使用するための医薬品の生産における、先に定義されたような本発明による組成物の使用が提供される。またさらなる実施態様においては、URAT1阻害の影響を受けやすい尿酸代謝障害の予防または処置において使用するための、医薬品の生産における、先に定義されたような本発明による組成物の使用が提供される。特定の実施態様においては、高い血清尿酸レベルを有する患者における心不全の処置において使用するための医薬品の生産における、先に定義されたような本発明による組成物の使用が提供される。特定の実施態様においては、6mg/dLより高い血清尿酸(sUA)レベルを有する心不全の患者(NYHA分類II~III)における、心血管による入院および死亡のリスクを軽減させるのに使用するための、医薬品の生産における、先に定義されたような本発明による組成物の使用が提供される。特定の実施態様においては、高い血清尿酸レベルを有する患者における慢性腎疾患(CKD)の処置において使用するための医薬品の生産における、先に定義されたような本発明による組成物の使用が提供される。特定の実施態様においては、心血管に伴う諸事象(MACE)のリスクを軽減し、そして腎不全の病状悪化を遅らせ(好適にはeGFRまたはESRDの50%低下と定義される[透析、腎移植、またはSCr>6mg/dL])、そして6mg/dLよりも高いsUAレベルを有するCKD患者(eGFR、25~75mL/分/1.73m2)における心血管または腎疾患による死亡を防止することに使用するための医薬品の生産における、先に定義されたような本発明による組成物の使用が提供される。またさらなる特定の実施態様においては、高尿酸血症の処置において使用するための医薬品の生産における、先に定義されたような本発明による組成物の使用が提供される。またさらなる特定の実施態様においては、痛風を伴う高尿酸血症の処置において使用するための、医薬品の生産における、先に定義されたような本発明による組成物の使用が提供される。またさらなる特定の実施態様においては、キサンチンオキシダーゼインヒビター(都合よくはアロプリノールまたはフェブキソスタット、より都合よくはフェブキソスタット)と組み合わせて、痛風を伴う高尿酸血症の処置において使用するための医薬品の生産における、先に定義されたような本発明による組成物の使用が提供される。またさらなる特定の実施態様においては、さらなる療法に値する患者において、キサンチンオキシダーゼインヒビター(都合よくはアロプリノールまたはフェブキソスタット、より都合よくはフェブキソスタット)と組み合わせて、痛風を伴う高尿酸血症の処置において使用するための医薬品の生産における、先に定義されたような本発明による組成物の使用が提供される。またさらなる特定の実施態様においては、さらなる療法が値するような場合、アロプリノールまたはフェブキソスタットと組み合わせた、高尿酸血症の長期間の処置のための医薬品の生産における、先に定義されたような本発明による組成物の使用が提供される。
【0098】
併用療法
本発明の医薬組成物は、単独療法(sole therapy)として単独で投与してもよいし、あるいは、1種または複数の他の物質および/または処置法と組み合わせて、投与することもできる。そのような同席処置(conjoint treatment)は、その処置の個々の成分を、同時、順次、または別途に投与する方法で達成することができる。
【0099】
たとえば、治療の有効性は、アジュバントの投与によって高めることができる(すなわち、アジュバント単独では、最小限の治療上の有益性しか有していないが、他の治療剤と組み合わせると、個体に対する総合的な治療上の有益性が向上する)。あるいは、一例として挙げるに過ぎないが、該薬剤を、これまた治療上の有益性を有する他の治療剤(これには、治療法(therapeutic regimen)も含まれる)と共に投与することによって、個体に表れる有益性が向上する可能性がある。例を挙げるに過ぎないが、痛風の処置においては、個体に対して痛風のための他の治療剤を与えることによって、治療上の有益性の向上が起きることがあり得る。あるいは、その追加の(単一または複数の)療法としては、理学療法、心理療法、放射線療法、患部の圧迫、休息、食事の変更(altered diet)などが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。
【0100】
他の治療剤と組み合わせて該薬剤を投与するような場合には、該薬剤を、他の治療剤と同じ経路で投与する必要はなく、物理的および化学的特性が異なっているのだから、別の経路で投与してもよい。たとえば、該薬剤を経口的に投与して、良好な血液レベルを発生および維持させるのに対して、他の治療剤を静脈内投与してもよい。熟練臨床医ならば、当業者公知の確立されたプロトコルに従って最初の投与を実施し、次いで、観察された効果に基づいて、用量、投与モード、投与時間を修正することができる。
【0101】
他の治療剤の具体的な選択は、主治医の診断、およびその個体の状況の主治医による判断、および適切な処置プロトコルに依存するであろう。いくつかの実施態様においては、その追加の薬剤が、痛風の発赤の処置または予防のためである。いくつかの実施態様においては、その追加の薬剤が、急性痛風発作のための短期処置である。いくつかの実施態様においては、その追加の薬剤が、尿酸低下療法の開始時に発赤が起きるのを遮断するためである。いくつかの実施態様においては、その追加の薬剤が、UCDモノナトリウムに対する炎症反応に起因する疼痛および炎症を迅速に抑制するためである。いくつかの実施態様においては、その追加の薬剤が、シクロオキシゲナーゼ-1および-2酵素のインヒビターである。いくつかの実施態様においては、その追加の薬剤が、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)である。NSAIDの例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定される訳ではない:アリールアルカン酸たとえば、アセトアミノフェン、2-アリールプロピオン酸たとえば、イブプロフェン、ケトロラック、およびナプロキセン;n-アリールアントラニル酸たとえば、メフェナム酸、メクロフェナミン酸、オキシカムたとえば、ピロキシカム、メロキシカム、アリールアルカン酸たとえば、ジクロフェナク、エトドラク、インドメタシン、スリンダク、およびCOX-2インヒビターたとえば、セレコキシブ。いくつかの実施態様においては、その追加の薬剤が、コルヒチンである。いくつかの実施態様においては、その追加の薬剤が、グルココルチコイド受容体(GR)作動薬である。いくつかの実施態様においては、その追加の薬剤が、コルチコステロイドたとえば、プレドニゾン、プレドニゾロン、トリアムシノロンなどである。いくつかの実施態様においては、その追加の薬剤が、IL-1βインヒビター、IL-1R拮抗薬、IL-1βマブ、IL-1Rデコイ、または抗-IL-1β抗体である。いくつかの実施態様においては、その追加の薬剤が、IL-1インヒビターである。IL-1インヒビターとしては、アナキンラ、カナキヌマブ、リロナセプトなどが挙げられるがこれらに限定される訳ではない。いくつかの実施態様においては、その追加の薬剤が、ジアセリン(4,5-ビス(アセチルオキシ)-9、10-ジオキソ-2-アントラセンカルボン酸である。いくつかの実施態様においては、その追加の薬剤が、ホスホジエステラーゼ-4インヒビター、たとえばアプレミラストである。いくつかの実施態様においては、その追加の薬剤が、抗-C5a抗体である。いくつかの実施態様においては、その追加の薬剤が、CXCR2インヒビター、たとえばラダリキシン(ladarixin)(DF-2162)である。いくつかの実施態様においては、その追加の薬剤が、ヒポキサンチンおよびキサンチンの酸化に与る酵素を遮断する。いくつかの実施態様においては、その追加の薬剤が、キサンチンオキシダーゼインヒビターである。キサンチンオキシダーゼインヒビターの例としては、アロプリノール(Zyloprim)、フェブキソスタット(Uloric,adenuric)、トピロキソスタット(FYX-051、Topiloric、Uiadec)、ニラキソスタット(Y-700)、およびLC-350189が挙げられるが、これらに限定される訳ではない。いくつかの実施態様においては、その追加の薬剤が、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP)のインヒビター、たとえばウロデシン(BCX4208)である。いくつかの実施態様においては、その追加の薬剤が、プリン吸収の遮断薬、たとえば濃縮型ヌクレオシドトランスポータータイプ2(CNT2)である。CNT2インヒビターの例としては、KGO-2142およびKGO-2173が挙げられるが、これらに限定される訳ではない。いくつかの実施態様においては、その追加の薬剤が、ウリカーゼ、たとえばラスブリカーゼまたはペグロチカーゼである。いくつかの実施態様においては、その追加の薬剤が、尿酸排泄剤、尿アルカリ化剤、またはフェノフィブレートである。
【0102】
いくつかの特定の実施態様においては、その追加の薬剤が、URAT1インヒビター、キサンチンオキシダーゼインヒビター、キサンチンデヒロドゲナーゼ、キサンチンオキシドレダクターゼインヒビター、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP)インヒビター、尿酸輸送体インヒビター、グルコース輸送体(GLUT)インヒビター、GLUT-9インヒビター、溶質キャリアファミリー2(促進性グルコース輸送体)、メンバー9(SLC2A9)インヒビター、有機アニオン輸送体(OAT)インヒビター、OAT-4インヒビター、またはそれらの組合せである。
【0103】
いくつかの実施態様においては、その追加の薬剤が、以下のものから選択される:2-((5-ブロモ-4-(4-シクロプロピル-1-ナフタレニル)-4H-1,2,4-トリアゾル-3-イル)チオ)酢酸、アロプリノール、フェブキソスタット(2-(3-シアノ-4-イソブトキシフェニル)-4-メチル-1,3-チアゾール-5-カルボン酸)、FYX-051(4-(5-ピリジン-4-イル-1H-[1,2,4]トリアゾル-3-イル)ピリジン-2-カルボニトリル)、ニラキソスタット(Y-700)、LC-350189、プロベネシッド、スルフィンピラゾン、ベンズブロマロン、アセトアミノフェン、ステロイド、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、コルヒチン、グルコルチコイド、アドロゲン、cox-2インヒビター、PPAR作動薬、ナプロキセン、セベラマー、シブタミン、トログリタゾン、プログリタゾン、その他の尿酸低下剤、ロサルタン、フィブリン酸、ベンズヨーダロン、サリシレート、アンロジピン、ビタミンC,またはそれらの組合せ。その追加の薬剤が、フェブキソスタットであれば、好都合である。
【0104】
本発明の特定の実施態様においては、単回投与形態で、本発明の組成物に少なくとも1種の追加の併用薬(co-agent)を含ませて、合剤(fixed-combinationo)を得ることができる。この実施態様においては、その剤形には、該薬剤を含む本発明の多顆粒または一単位の剤形(たとえば、錠剤)と共に、粉末、多顆粒、または一単位の剤形(たとえば錠剤)として配合された追加の併用薬が含まれていてよい。この実施態様においては、その追加の併用薬がフェブキソスタットであれば、好都合である。都合よくは、この実施態様の一つの態様においては、その合剤には、本発明に従って配合した該薬剤を含む第一の多数のペレットと、速放性もしくは放出制御性の形態にある追加の併用薬を含む第二の多数のペレットまたは顆粒(都合よくは顆粒)とを含む、カプセルが含まれる。都合よくは、この特定の実施態様における追加の併用薬が、キサンチンオキシダーゼインヒビターたとえば、アロプリノールおよびフェブキソスタット、都合よくはフェブキソスタットである。特定の実施態様においては、その合剤には、本発明に従って配合した該薬剤を含む第一の多数のペレットと、速放性の形態にあるフェブキソスタットを含む第二の多数のペレットまたは顆粒(都合よくは顆粒)とを含む、カプセルが含まれる。都合よくは、この実施態様の一つの態様においては、そのカプセルには、速放性の形態にあるフェブキソスタット含有のペレットまたは顆粒を十分な量で含んでいて、40mgまたは80mg、都合よくは80mgの用量を与える。
【化2】
【0105】
いくつかのさらなる実施態様においては、その追加の薬剤が、心血管または代謝性の疾病の処置または予防のためのものである。特定の実施態様においては、その追加の薬剤が、抗糖尿病剤、たとえばナトリウム-グルコース共輸送体2インヒビター(SLGT2)である。特定の実施態様においては、その追加の薬剤が、ダパグリフロジン、エンパグリフロジン、カナグリフロジン、およびイプラグリフロジンから選択される。特定の実施態様においては、その追加の薬剤がダパグリフロジンである。特定の実施態様においては、その本発明の医薬組成物を、キサンチンオキシダーゼインヒビターおよびSLGT2インヒビターと組み合わせて投与してもよい。さらなる特定の実施態様においては、その本発明の医薬組成物が、フェブキソスタットおよびSLGT2インヒビター(都合よくはダパグリフロジン)と組み合わせて投与される。この実施態様の一つの態様においては、本発明の組成物には、少なくとも1種の追加の併用薬、たとえばフェブキソスタットを単回投与の形態で含んで、合剤を与えている。この特定の実施態様においては、その剤形には、該薬剤を含む本発明の多顆粒または一単位の剤形(たとえば、錠剤)と共に、粉末、多顆粒、または一単位の剤形(たとえば錠剤)として配合された追加の併用薬が、含まれていてよい。都合よくは、該薬剤および追加の併用薬たとえばフェブキソスタットを含む合薬にはさらに、SLGT2インヒビターたとえば、ダパグリフロジンを含むことができる。別な方法として、該薬剤および追加の併用薬たとえば、フェブキソスタットを含む合薬は、SLGT2インヒビターたとえばダパグリフロジンと別途ではあるが、組み合わせて投与することができる。
【0106】
キット
一つの実施態様においては、本明細書に記載された組成物および方法が、障害、たとえば本明細書に記載されたような障害を処置するためのキットを提供する。それらのキットには、容器の中に、本明細書に記載された組成物、および場合によっては、本明細書に記載された各種の方法およびアプローチ方法に従った、そのキットの使用法を教示する説明書が含まれる。そのようなキットにはさらに、たとえば学術文献資料、添付文書、臨床試験の結果、および/またはそれらを要約したものなどの情報が含まれていてもよく、それらは、その組成物の活性および/または利点を示唆または立証するか、および/または用量、投与法、副作用、薬物相互作用、またはその他の医療従事者にとって有用な情報が記載されている。そのような情報は、たとえば実験動物を使用したインビボモデルを含む研究や、ヒト臨床試験に基づく研究など各種の研究の結果に基づくものである。本明細書に記載されたキットは、医師、看護師、薬剤師、処方管理当局者などを含めた医療従事者に対して、提供、販売、および/または宣伝することができる。キットはさらに、いくつかの実施態様においては、消費者に直接販売されてもよい。
【0107】
本発明の組成物は、診断のため、および研究の手段として使用することができる。たとえば、該薬剤を含む組成物を、単独で、または他の化合物を組み合わせて、差分解析(differential analyses)および/または組合せ解析(combinatorial analyses)における手段として使用して、細胞内および組織内に発現される遺伝子発現のパターンを解明することができる。
【0108】
ヒトの処置にも有用ではあることに加えて、本発明の組成物は、たとえば哺乳類、げっ歯類なども含めた、ペット動物、外来動物、家畜の、獣医学的処置のためにも、有用となりうる。そのような動物に、馬、犬、および猫を含めるのが好都合である。
【0109】
以下の非限定な実施例により、本発明を以下で説明するが、ここで、特に断らない限り、該薬剤とは、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸または薬学的に許容可能な塩である。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【
図1】実施例1に記述されたようにして調製した、5mgの速放性の錠剤配合物についての、平均溶出プロファイルを示すグラフである。その溶出実験は、ペプシン抜きのSGF(模擬胃液)900mLの中で、37℃、パドル速度50rpmで実施した(n=6)。
【
図2】実施例2~6に記述されたようにして調製した、MR配合物についての平均溶出プロファイルを示すグラフである。MR1、MR2およびMR4についての溶出実験は、pH6.8の50mMリン酸塩緩衝剤溶液900mLの中で、37℃、パドル速度50rpmで実施した(それぞれn=6)。MR3およびMR5についての溶出実験は、2ステージ溶出法で実施し、その酸ステージは、750mLの0.1N HClであり、その緩衝剤ステージは、1000mLのpH6.8の緩衝剤であった(いずれのステージも、37℃で、パドル速度50rpm、n=6であった)。
【
図3】
図3aは絶食および摂食の条件下に投与された5mgの速放性配合物についての、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸の平均血漿中濃度対時間のプロファイルを示すグラフである。
図3bは絶食条件下に各種のレベルで投与された速放性配合物についての、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸の平均血漿中濃度対時間のプロファイルを示すグラフである。
【
図4】実施例2~実施例6に記述された放出制御性錠剤配合物についての、絶食条件における5mg投与での、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸の平均血漿中濃度対時間のプロファイルを示すグラフである。
【
図5】実施例2~実施例6に記述された放出制御性錠剤配合物についての、摂食条件における5mg投与での、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸の平均血漿中濃度対時間のプロファイルを示すグラフである。
【
図6】実施例5および実施例5aに記述されたMR4配合放出制御性錠剤について、絶食条件における4×2.5mg錠剤または1×10mg錠剤投与、ならびに低脂肪および高脂肪摂食での1×10mg錠剤投与の場合の、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸の平均血漿中濃度対時間のプロファイルを示すグラフである。
【
図7】実施例12に記述されたようにして調製した、3-時間用のペレット状の配合物についての、溶出プロファイルを示すグラフである。その溶出実験は、異なったpH値を有する各種の媒体の中で、37℃、パドル速度100rpmで実施した。
【
図8】実施例13に記述されたようにして調製した、5-時間用のペレット状の配合物についての、溶出プロファイルを示すグラフである。その溶出実験は、異なったpH値を有する各種の媒体の中で、37℃、パドル速度100rpmで実施した。
【
図9】実施例14に記述されたようにして調製した、8-時間用のペレット状の配合物についての、溶出プロファイルを示すグラフである。その溶出実験は、異なったpH値を有する各種の媒体の中で、37℃、パドル速度100rpmで実施した。
【
図10】実施例15に記述されたようにして調製した、15-時間用のペレット状の配合物についての、溶出プロファイルを示すグラフである。その溶出実験は、pH値が6.8または6.5の媒体の中、37℃、パドル速度100rpmで実施した。
【
図11】実施例16に記述された、モノエタノールアミンのペレット状の配合物についての、溶出プロファイルを示すグラフである。その溶出実験は、異なったpH値を有する各種の媒体の中で、37℃、パドル速度100rpmで実施した。
【
図12】実施例16に記述された、プロセスに従って調製した、モノエタノールアミンのペレット状の配合物についての、溶出プロファイルを示す図であるが、唯一の例外が、PVPとECの重量を、24%PVP K30(76%EC)から23%PVP K30(77%EC)へと変化させたことである。その溶出実験は、異なったpH値およびイオン強度を有する各種の媒体の中で、37℃、パドル速度100rpmで実施した。
【
図13】MR4放出制御性錠剤(実施例5に記載)および4種のペレット状の配合物(実施例12~17に記載)の経口溶液を、絶食状態にあり、酸性の胃のpHを有するラブラドル犬に投与した後の、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸の平均血漿中濃度対時間のプロファイルを示すグラフである。
【
図14】絶食条件において、実施例12~15に記述されたペレット状の配合物の5mgの5時間用ペレット、10mgの8時間用ペレット、および10mgの15時間用ペレットを投与した場合の、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸の平均血漿中濃度対時間のプロファイルを示すグラフである。
【
図15】摂食条件において、実施例12~15に記述されたペレット状の配合物の5mgの5時間用ペレット、10mgの8時間用ペレット、および10mgの15時間用ペレットを投与した場合の、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸の平均血漿中濃度対時間のプロファイルを示すグラフである。
【
図16】絶食および摂食の両方の条件で、10mgを投与した、実施例14に記述された8時間用のペレット状の配合物についての、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸の平均血漿中濃度対時間のプロファイルを示すグラフである。
【
図17】実施例22に記述されたようにして調製したペレット状の配合物についての、溶出プロファイルを示すグラフである。その溶出実験は、pH6.8の緩衝液(イオン強度0.1、50.0mMのKH2PO4+23.6mMmのNaOH)の中で、37℃、パドル速度100rpmで実施した。
【
図18】実施例24に記述されたようにして調製したペレット状の配合物についての、溶出プロファイルを示すグラフである。その溶出実験は、pH6.8の緩衝液(イオン強度0.1、50.0mMのKH2PO4+23.6mMmのNaOH)の中で、37℃、パドル速度100rpmで実施した。
【発明を実施するための形態】
【0111】
実施例1:該薬剤を含む速放性の錠剤組成物の調製
2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸は、国際公開第2013/067425号パンフレット(実施例1)に開示された方法に従って調製した。
【0112】
この実施例の配合物は、慣用される直接圧縮成形法およびフィルムコーティングプロセスにより調製した。エアジェットミル(Fluid Energy Mills)を使用して、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸を超微粉砕(micronize)した。そのようにして得られた粒径D10は1μm未満、D50は5μm未満、そしてD90は20μm未満であった。ミクロクリスタリンセルロース(Avicel PH-102、FMC International(Philadelphia,Pennsylvania,USA))、クロスカルメロースナトリウム(AcDiSol(登録商標)、FMC International(Philadelphia,Pennsylvania,USA))、およびコロイド状二酸化ケイ素(CabOSil M5P、Cabot Corporation(Alpharetta,GA,USA))はすべて、使用前に篩にかけた。
【0113】
超微粉砕した2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸(23.0g)と、ミクロクリスタリンセルロースの一部とを、5分間かけてブレンドした。ミクロクリスタリンセルロースの残りを添加し、さらに5分間ブレンドした(ミクロクリスタリンセルロースの全量は、416.3gである)。クロスカルメロースナトリウム(13.8g)およびコロイド状二酸化ケイ素(4.6g)の粗原料を、その超微粉砕した2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸/ミクロクリスタリンセルロースの混合物に添加し、5分間かけてブレンドし、次いでComil(Screening Mills)に通し、さらに15分間かけてさらなるブレンドをした。0.5%(w/w)のステアリン酸マグネシウム(Hyqual(商標)2257、Mallinckrodt Pharmaceuticals(St.Louis,MO,USA))を篩にかけてから使用して、そのブレンド物に添加して、5分間かけて混合した。その最終的なブレンド物を、ロータリー錠剤成形機(Globe Pharma Mini-Press)で圧縮製剤して、直径6.1mm、厚みおよそ3.5mmの100mg錠剤とした。錠剤を、多孔式パンコーティングシステム(perforated pan coating system)の中で、ヒプロメロースベースの化粧フィルムコーティング(aesthetic film coating)(精製水中15%(w/v)のOpadry Blue 03K105000の分散体)を用いてフィルムコーティングして、3%(w/w)の目標増量値を得た。5mgおよび20mgの力価(strength)の2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸の速放性の錠剤の組成を、表1に示す。
【0114】
【0115】
実施例2:放出制御性のHPMC親水性マトリックス錠剤組成物(MR1)の調製
この実施例の配合物は、慣用される直接圧縮成形法およびフィルムコーティングプロセスにより調製した。エアジェットミルを使用して、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸を超微粉砕した。そのようにして得られた粒径D10は1μm未満、D50は5μm未満、そしてD90は20μm未満であった。
【0116】
2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸を除いて、すべての粗原料は、篩にかけてから使用した。
【0117】
超微粉砕した2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸(12.50g)と、ミクロクリスタリンセルロースの一部とを、5分間かけてブレンドした。ミクロクリスタリンセルロースの残りを添加し、さらに5分間ブレンドした(ミクロクリスタリンセルロースの全量は、381.75gである)。ヒプロメロース(100.0g、Methocel K100 Premium LV CR、Dow Chemical Company(Midland,MI,USA))およびコロイド状二酸化ケイ素(2.0g)を、その超微粉砕した2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸/ミクロクリスタリンセルロースブレンド物に添加し、5分間かけて混合し、Comil(Screening Mills)の中に通し、さらに15分間かけてさらなるブレンドをした。0.75%(w/w)のステアリン酸マグネシウムをそのブレンド物に添加し、5分間かけて混合した。その最終的なブレンド物を、ロータリー錠剤成形機(Manesty Beta Press)で圧縮製剤して、直径6.1mm、厚みおよそ3.5mmの100mg錠剤とした。そのようにして得られた錠剤のコアを、多孔式パンコーティングシステムの中で、ヒプロメロースベースの化粧フィルムコーティング(精製水中15%(w/v)のOpadry Blue 03K105000の分散体)を用いてフィルムコーティングして、3%(w/w)の目標増量値を得た。MR1配合物の組成を表2に示す。
【0118】
【0119】
実施例3:放出制御性HPMC/ポリエチレンオキシド親水性マトリックス錠剤組成物(MR2)の調製
この実施例の配合物は、慣用される直接圧縮成形法およびフィルムコーティングプロセスにより調製した。エアジェットミルを使用して、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸を超微粉砕した。そのようにして得られた粒径D10は1μm未満、D50は5μm未満、そしてD90は20μm未満であった。
【0120】
2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸を除いて、すべての粗原料は、篩にかけてから使用した。
【0121】
超微粉砕した2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸(12.50g)と、ミクロクリスタリンセルロースの一部とを、5分間かけてブレンドした。ミクロクリスタリンセルロースの残りを添加し、さらに5分間ブレンドした(使用したミクロクリスタリンセルロースの全量は、381.75gであった)。ラクトース一水和物(40.0g、Foremost Farms(Rothschild,WI,USA))、ヒプロメロース(75.0g、Methocel K100 Premium LV CR、Dow Chemicals)、ポリエチレンオキシド(50.0g、PolyOx WSR N750、Dow Chemicals)、およびコロイド状二酸化ケイ素(1.5g)を、超微粉砕した2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸/ミクロクリスタリンセルロースのブレンド物に添加し、5分間かけてブレンドし、Comil(Screening Mills)の中に通し、さらに15分間かけてさらなるブレンドをした。0.5%(w/w)のステアリン酸マグネシウムをそのブレンド物に添加し、混合した。その最終的なブレンド物を、ロータリー錠剤成形機(Manesty Beta Press)で圧縮製剤して、直径6.1mm、厚みおよそ3.5mmの100mg錠剤とした。そのようにして得られた錠剤のコアを、多孔式パンコーティングシステムの中で、ヒプロメロースベースの化粧フィルムコーティング(精製水中15%(w/v)のOpadry Blue 03K105000の分散体)を用いてフィルムコーティングして、3%(w/w)の目標増量値を得た。MR2配合物の組成を表3に示す。
【0122】
【0123】
実施例4:遅延放出性錠剤組成物(MR3)の調製
この実施例の配合物は、慣用される直接圧縮成形法およびフィルムコーティングプロセスにより調製した。エアジェットミルを使用して、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸を超微粉砕した。そのようにして得られた粒径D10は1μm未満、D50は5μm未満、そしてD90は20μm未満であった。
【0124】
2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸を除いて、すべての粗原料は、篩にかけてから使用した。
【0125】
超微粉砕した2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸(50.0g)と、ミクロクリスタリンセルロースの一部とを、5分間かけてブレンドした。ミクロクリスタリンセルロースの残りを添加し、さらに5分間ブレンドした(使用したミクロクリスタリンセルロースの全量は、1860.0gであった)。クロスカルメロースナトリウム(60.0g)およびコロイド状二酸化ケイ素(20.0g)の粗原料を、その超微粉砕した2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸/ミクロクリスタリンセルロースの混合物に添加し、5分間かけてブレンドし、Comil(Screening Mills)に通し、さらに15分間かけてさらなるブレンドをした。0.5%(w/w)のステアリン酸マグネシウムを使用する前に篩にかけ、そしてそのブレンド物に添加し、5分間かけて混合した。その最終的なブレンド物を、ロータリー錠剤成形機(Manesty Beta Press)で圧縮製剤して、直径6.1mm、厚みおよそ3.5mmの100mg錠剤とした。
【0126】
腸溶性ポリマーコーティングを用いて、上述の錠剤をフィルムコーティングした。その腸溶性ポリマーコーティングは、以下のものからなっていた:ヒプロメロースアセテートスクシネート(Aquoat AS-HF、信越化学工業(株)(日本国、東京))の29.8g、トリエチルサイトレート(Vertellus Performance Materials,Inc.(Indianapolis,IN,USA))の10.4g、タルク(Brenntag Specialities,Inc.(Luzenac,Val Chisone,Italy))の9.0g、およびラウリル硫酸ナトリウム(Spectrum Chemical Manufacturing Company(Gardena,CA))の0.9g。そのコーティングを、多孔式パンコーターを使用して錠剤に、およそ10%の増量になるまでコーティングした。次いで、錠剤を、多孔式パンコーティングシステムの中で、ヒプロメロースベースの化粧フィルムコーティング(精製水中15%(w/v)のOpadry Blue 03K105000の分散体)を用いてフィルムコーティングして、3%(w/w)の目標増量値を得た。2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸MR3配合物のための組成を、表4に示す。
【0127】
【0128】
実施例5:放出制御性のHPMC親水性マトリックス錠剤組成物(MR4)の調製
この実施例の配合物は、慣用される直接圧縮成形法およびフィルムコーティングプロセスにより調製した。エアジェットミルを使用して、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸を超微粉砕した。そのようにして得られた粒径D10は1μm未満、D50は5μm未満、そしてD90は20μm未満であった。
【0129】
2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸を除いて、すべての粗原料は、篩にかけてから使用した。
【0130】
超微粉砕した2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸(625.0g)と、ミクロクリスタリンセルロースの一部とを、8分間かけてブレンドした。ミクロクリスタリンセルロースの第二の部分を添加し、8分間かけてブレンドした。ヒプロメロース(7500.0g、Methocel K100M Premium DC)、コロイド状二酸化ケイ素(125g)、およびミクロクリスタリンセルロースの第三の部分(使用したミクロクリスタリンセルロースの全量は16687.5gであった)を、超微粉砕した2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸/ミクロクリスタリンセルロースの混合物に添加し、5分間かけてブレンドし、次いでComil(Screening Mills)に通し、さらに24.4分間かけてさらなるブレンドをした。0.25%(w/w)のステアリン酸マグネシウムを使用する前に篩にかけ、そしてそのブレンド物に添加し、8分間かけて混合した。その最終的なブレンド物を、ロータリー錠剤成形機(Manesty Beta Press)で圧縮製剤して、直径6.1mm、厚みおよそ3.5mmの100mg錠剤とした。そのようにして得られた錠剤のコアを、多孔式パンコーティングシステムの中で、ヒプロメロースベースの化粧フィルムコーティング(精製水中15%(w/v)のOpadry Blue 03K105000の分散体)を用いてフィルムコーティングして、3%(w/w)の目標増量値を得た。MR4配合物の組成を表5に示す。
【0131】
【0132】
実施例5a:放出制御性HPMC親水性マトリックス錠剤組成物、10mg用量(MR4)の調製
この実施例の配合物は、慣用される直接圧縮成形法およびフィルムコーティングプロセスにより調製した。エアジェットミルを使用して、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸を超微粉砕した。そのようにして得られた粒径D10は1μm未満、D50は5μm未満、そしてD90は20μm未満であった。
【0133】
2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸を除いて、すべての粗原料は、篩にかけてから使用した。
【0134】
超微粉砕した2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸(25.0g)と、ミクロクリスタリンセルロース(958.1g)とを、5分間かけてブレンドした。ラクトース一水和物(506.0g)ヒプロメロース(396.0g、Benecel K100M PHARM、Ashland)およびコロイド状二酸化ケイ素(5.0g)を、その超微粉砕した2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸/ミクロクリスタリンセルロースの混合物に添加し、5分間かけてブレンドし、次いでComil(Screening Mills)の中に通し、さらに15分間かけてさらなるブレンドをした。0.25%(w/w)のステアリン酸マグネシウムを使用する前に篩にかけ、そしてそのブレンド物に添加し、5分間かけて混合した。その最終的なブレンド物を、ロータリータブレット成形機(Manesty Beta Press)で圧縮製剤して、5×9.5mmでおよそ4.1mmの厚みの、180mg錠剤とした。そのようにして得られた錠剤のコアを、多孔式パンコーティングシステムの中で、ヒプロメロースベースの化粧フィルムコーティング(精製水中15%(w/v)のOpadry White 03K18416の分散体)を用いてフィルムコーティングして、3%(w/w)の目標増量値を得た。10mgMR4の10mg錠剤配合物の組成を、表6に示す。
【0135】
【0136】
実施例6:遅延放出性HPMC親水性マトリックス錠剤組成物(MR5)の調製
この実施例の配合物は、慣用される直接圧縮成形法およびフィルムコーティングプロセスにより調製した。エアジェットミルを使用して、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸を超微粉砕した。そのようにして得られた粒径D10は1μm未満、D50は5μm未満、そしてD90は20μm未満であった。
【0137】
2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸を除いて、すべての粗原料は、篩にかけてから使用した。
【0138】
超微粉砕した2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸(25.0g)と、ミクロクリスタリンセルロースの一部とを、5分間かけてブレンドした。残りの部分のミクロクリスタリンセルロース(全使用量、672.5g)を添加し、5分間かけてブレンドした。その超微粉砕した2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸/ミクロクリスタリンセルロースの混合物に、ヒプロメロース(300.0g、Methocel K100M Premium DC)を添加し、5分間かけてブレンドし、次いでComil(Screening Mills)の中に通し、さらに15分間かけてさらなるブレンドをした。0.25%(w/w)のステアリン酸マグネシウムを使用する前に篩にかけ、そしてそのブレンド物に添加し、8分間かけて混合した。その最終的なブレンド物を、ロータリー錠剤成形機(Globe Pharma Mini Press)で圧縮製剤して、直径6.1mm、厚みおよそ3.5mmの100mg錠剤とした。
【0139】
腸溶性ポリマーコーティングを用いて、上述の錠剤をフィルムコーティングした。その腸溶性ポリマーコーティングは、メタクリル酸コポリマー分散体(Eudragit L30D-55、Evonik Industries AG(独国))の43.1g、トリエチルサイトレートの1.3g、およびタルクの2.5gで構成されていた。そのコーティングを、多孔式パンコーターを使用して錠剤に、およそ5%の増量になるまでコーティングした。そのようにして得られた錠剤を、次いで、多孔式パンコーティングシステムの中で、ヒプロメロースベースの化粧フィルムコーティング(精製水中15%(w/v)のOpadry Blue 03K105000の分散体)を用いてフィルムコーティングして、3%(w/w)の目標増量値を得た。MR5配合物の組成を表7に示す。
【0140】
【0141】
実施例7:速放性および放出制御性錠剤配合物の溶出試験
方法
速放性の錠剤の溶出試験は、速放性剤形についての、米国薬局方試験装置II(パドル)の一般的手順に従って実施した。規定された時間間隔で一定分量の溶出試験媒体を採取し、濾過して、定組成溶出法(isocratic elution)および226nmでのUV検出を使用した逆相HPLCによって分析した。HPLC法の条件は以下の通りであった:分析カラム:逆相HPLC C18カラム、YMC ODS-AQ、4.6×150mm、120Å、3μm(Part# AQ12S031546WT);溶出液:60%の10mM KH2PO4、pH2.4/40%のアセトニトリル;20または50μLの注入容積(用量力価に依存)、1.0mL/分の流速、35℃のカラム温度;試料温度は室温;ランタイム8分。2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸の放出量は、試料のクロマトグラムのピークレスポンスを標準のクロマトグラムのピークレスポンスと比較することによって求めた。900mLのペプシン抜きのSGF(模擬胃液)、37℃、およびパドル速度50rpmを使用している。SGFは、12.0gの塩化ナトリウムを42.0mLの濃塩酸に加え、脱イオン水で6Lとすることにより、調製した。その溶液は、約1.2のpHを有していた。
【0142】
MR1、MR2およびMR4の錠剤の溶出試験は、放出延長性剤形についての、米国薬局方試験装置II(パドル)の一般的手順に従って、実施した。規定された時間間隔で一定分量の溶出試験媒体を採取し、濾過して、定組成溶出法および226nmでのUV検出を使用した逆相HPLCによって分析する。HPLC法の条件は以下の通りであった:分析カラム:YMC ODS-AQ、4.6×150mm、120Å、3μm(Part# AQ12S031546WT);溶出液:60%の10mM KH2PO4、pH2.4/40%のアセトニトリル;20または50μLの注入容積(用量力価に依存)、1.0mL/分の流速、35℃のカラム温度;試料温度は室温;ランタイム8分。2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸の放出量は、試料のクロマトグラムのピークレスポンスを並行して得た標準のクロマトグラムのピークレスポンスと比較することによって求める。その方法では、錠剤またはカプセルを収納するのに、らせん状ステンレス製カプセル用おもしを使用する。900mLのpH6.8のリン酸塩緩衝剤溶液50mMを37℃で使用し、50rpmのパドル速度を使用する。その緩衝液は、122.4gのKH2PO4をおよそ16Lの脱イオン水の中に溶解させ、1N水酸化ナトリウムを用いてpHを6.8±0.1に調節し、脱イオン水を用いて全量18Lとすることにより調製した。
【0143】
MR3錠剤の溶出実験は、2段溶出法を使用し、遅延放出性剤形のための米国薬局方試験装置II(パドル)の一般的手順に従って実施した。規定された時間間隔で一定分量の溶出試験媒体を採取し、濾過して、定組成溶出法および226nmでのUV検出を使用した逆相HPLCによって分析した。HPLC法の条件は以下の通りであった:分析カラム:YMC ODS-AQ、4.6×150mm、120Å、3μm(Part# AQ12S031546WT);溶出液:60%の10mM KH2PO4、pH2.4/40%のアセトニトリル;20または50μLの注入容積(用量力価に依存)、1.0mL/分の流速、35℃のカラム温度;試料温度は室温;ランタイム8分。2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸の放出量は、試料のクロマトグラムのピークレスポンスを並行して得た標準のクロマトグラムのピークレスポンスと比較することによって求めた。酸ステージでは、750mLの0.1NのHClを使用し、緩衝剤ステージでは、1000mLのpH6.8緩衝液を使用する。いずれのステージも、37℃で、50rpmのパドル速度を使用する。酸ステージは、最初の0~2時間である。2時間のところで、その媒体に250mLの0.20MのNa3PO4緩衝剤溶液を添加することによって、pHを6.8にまで上げる。その緩衝剤媒体は、以下のようにして調製した:152gのNa3PO4・12H2Oを2Lの脱イオン水の中に加えて溶解させ、必要に応じて2NのNaOHまたは2NのHClを用いてpHを調節して、最終的な(750mLの酸ステージの媒体に添加した後の)緩衝剤溶液が、pH6.8±0.1になるようにする。
【0144】
MR5錠剤の溶出実験は、2段溶出法を使用し、遅延放出性剤形のための米国薬局方試験装置II(パドル)の一般的手順に従って実施した。規定された時間間隔で一定分量の溶出試験溶液を採取し、濾過して、定組成溶出法および226nmでのUV検出を使用した逆相HPLCによって分析した。HPLC法の条件は以下の通りであった:分析カラム:YMC ODS-AQ、4.6×150mm、120Å、3μm(Part# AQ12S031546WT);溶出液:60%の10mM KH2PO4、pH2.4/40%のアセトニトリル;20または50μLの注入容積(用量力価に依存)、1.0mL/分の流速、35℃のカラム温度;試料温度は室温;ランタイム8分。2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸の放出量は、試料のクロマトグラムのピークレスポンスを標準のクロマトグラムのピークレスポンスと比較することによって求めた。その酸ステージは、500mLまたは900mL(用量力価に依存する)の0.1NのHClであり、その緩衝剤ステージは、500mLまたは900mL(用量力価に依存する)のpH6.8の50mMのリン酸塩緩衝剤溶液であった(そのリン酸塩緩衝剤溶液は、122.4gのKH2PO4をおよそ16Lの脱イオン水に溶解させ、1Nの水酸化ナトリウムを用いて、pHを6.8±0.1に調節し、次いで、脱イオン水を用いて全量18Lとする)。いずれのステージも、37℃で、50rpmのパドル速度を使用する。その酸ステージは、最初の0~2時間であり、次いでそれに続けて、同一の計量ユニットを、緩衝剤ステージ媒体の中に移行させる。このことは、その試験装置から、酸を含む容器を取り外し、それを、緩衝剤を含む別の容器に置きかえ、その緩衝剤を含む容器に計量ユニットを移行させることにより、実施できる。その試験装置での操作を続ける。別な方法として、先に規定した条件に従って調製した別の溶出装置を緩衝剤ステージのために使用することもまた可能であろう。
【0145】
溶出試験の結果
図1に、5mgの実施例1に記述された速放性配合物についての溶出プロファイルを示す(n=6)。
図2に、実施例2~6に記載したMR配合物についての溶出プロファイルを示す(n=6)。
【0146】
速放性の錠剤での溶出データは、溶出が迅速であって、80%を超える2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸が15分以内に放出されることを示している。放出制御性マトリックス錠剤配合物のMR1およびMR2は、80%の2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸が、それぞれ3時間および4時間以内で放出されることを示している。MR3配合物は、pH1.1では2時間かけても放出を示さず、次いで、媒体をpH6.8に変化させると速放性となる。MR4配合では、12時間以内に80%の2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸が放出されることを示した。MR5配合物は、pH1.1では、2時間かかっても2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸の放出を示さない。MR5配合物からの2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸の溶出プロファイルは、MR4で、溶出媒体のpHをpH6.8に変化させた後に観察されたのと、似ている。
【0147】
実施例8:単一用量第I相臨床試験-速放性配合物
第1相の、健康な成人男性治験参加志願者におけるランダム化二重盲検プラセボ対照試験で、6用量群、各群あたり8名の被験者で、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸についての単回用量漸増および予備的な摂食の影響を評価した。摂食条件下では、被験者には、投与の前少なくとも10時間は、一夜絶食し、次いで標準的な中脂肪の朝食(高フルクトースのコーンシロップは含まない)を取り、その30分後に試験投薬を受けることが要求された。それぞれの用量群の中の被験者は、無作為に分類されて、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸(6被験者)またはプラセボ(2被験者)のいずれかの単一用量を服用した。2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸が、(用量レベルに合わせて)1mg経口溶液、2mg経口溶液、5mg錠剤、または20mg錠剤として与えられた。
【0148】
セグメントAにおいては、 2mg、5mg、20mgおよび40mgの単回用量漸増、ならびに、5mgおよび20mgの用量での2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸の予備的な摂食の影響が評価され、セグメントBにおいては、それに続けて、1日あたり1mg、5mgおよび10mgの多数回の漸増投与が評価された。
【0149】
【0150】
経口溶液は、投与の24時間以内に、臨床薬剤師によって調合された。2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸の経口溶液(濃度0.033mg/mL)は、適切な量の2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸の粉末、無水の二塩基性リン酸ナトリウム、およびイリゲーションのための滅菌水の混合物として調剤された。プラセボの経口溶液は、無水二塩基性リン酸ナトリウムおよびイリゲーションのための滅菌水を使用したビヒクルとして調製した。速放性の錠剤は、実施例1に記述したようにして調製した。血漿試料を、第1日の投与に対して次の時点で採取した:投与前(投与前30分以内)、ならびに、投与から0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、2.5、3、4、5、6、8、10、12、24、30、36、48、54、60、および72時間後。そして、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸含量について分析した。2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸を各種の用量で速放性組成物として投与した後の、平均の血漿の薬物動態学的パラメーターをまとめて、表8に示す。
【0151】
【0152】
摂食条件下または絶食条件下でのIR配合物における平均血漿中濃度対時間のプロファイルを
図3aおよび3bに示す。絶食条件下での単回経口投与の後の2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸の吸収は、早かった。たとえば、5mg用量の場合、達成された幾何平均最大血漿中濃度(C
max)は、およそ73ng/mLであり、ピーク血漿中濃度が観察された時間(T
max)は、およそ0.25~1.5時間の範囲(中央値0.6時間)である。摂食した後に2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸を投与した場合には、吸収がわずかに遅く、より低い曝露が観察された。2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸の血漿曝露は、用量に比例し、1mg用量から40mg用量で増えている。血清尿酸の低下効果に関連する重要な薬力学的パラメーターを、以下の二つの表に示す。
【0153】
【0154】
【0155】
実施例9:第I/II相臨床試験-放出制御性配合物(MR1~5)
2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸MR配合物のPK、PD、ならびに安全性および認容性を評価するための、第1相の、無作為に分類された試験は、絶食状態および摂食状態にある健康な成人男性の被験者(n=12)で実施した。この試験では、全部で5種のMR配合物を、5mgの用量で評価した。試験したMR配合物は、実施例2~6に記載したものである。PK解析のための血漿試料を、以下のタイムポイントで採取した:投与前(投与前30分以内)、ならびに投与後、0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、2.5、3、4、5、6、8、10、12、24、30、36、48、54、60、および72時間。2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸をMR組成物として投与した後の、平均の血漿の薬物動態学的パラメーターをまとめて、表9に示す。
【0156】
【0157】
絶食条件下でのそれぞれの配合物についての平均血漿中濃度対時間のプロファイルを
図4に示し、摂食条件下でのそれぞれの配合物についてのプロファイルを
図5に示す。
【0158】
この試験では、先に記したように、全部で5種の放出制御された配合物(MR1、MR2、MR3、MR4およびMR5)を評価した。絶食条件下でのこれらの配合物における2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸の単回の経口5mg投与の後では、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸が、MR1およびMR2配合物からは容易に吸収されたが(中央値のT
max、1.50~1.75時間)、MR4およびMR5配合物からの吸収は、比較的により遅い(中央値のT
max、2.25~3.00時間)(参照、表9および
図4)。MR3およびMR5配合物はいずれも、摂食の有無では、一目瞭然の遅れ時間を示した。2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸の血漿中濃度は、およそ10~28時間の平均終端半減期(terminal half-life)の値で低下した(表9)。
【0159】
MR1配合物を基準にとると、絶食条件下では、MR2およびMR3配合物は一般的に、より高い(51~166%高い)Cmax値を示すが、それに対してMR4およびMR5配合物は、より低い(およそ64~65%低い)Cmax値を示す(表9)。MR2およびMR3配合物についてのAUC曝露はいずれも、MR1と同等であるが、それに対して、MR4およびMR5配合物は、MR1のAUC曝露のわずか半分(およそ48~54%)を示した。これら5種の配合物全体でのランクの順は、Cmaxについては、MR3>MR2>MR1>MR4=MR5であり、AUCについては、MR3=MR2=MR1>MR4=MR5である。相対的なバイオアベイラビリティのランク付けでは、摂食の大きな影響は無い(表9)。血清尿酸の低下効果に関連する重要な薬力学的パラメーターを、以下の二つの表に示す。
【0160】
【0161】
【0162】
血清尿酸を低下させることに関する、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸の有効性は、AUCとは比例関係にある。達成されるAUCは、配合に依存する。
【0163】
実施例10:第I相臨床試験-4×2.5mg錠剤として、および単回10mg錠剤として投与した場合の、放出制御性配合物MR4のバイオアベイラビリティ
健康な成人男性被験者における第1相の、無作為に分類された、非盲検の、4wayクロスオーバーPKおよびPD試験をデザインして、10mg用量(4×2.5mg錠剤)として投与された2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸2.5mgMR錠剤と、単回の2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸10mgMR錠剤との相対的バイオアベイラビリティを評価した。その10mgMR錠剤は、実施例5aに記述されたようにして調製した。この試験ではさらに、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸10mgMR錠剤のPKおよびPDにおよぼす、低脂肪食と高脂肪食の影響についても評価した。16名の被験者を、四通りの試験処置の順の一つに、無作為に割り当てた。無作為化スケジュールに従って第1日または第5日に投与される試験処置は、以下のとおりであった:
・試験処置A:10mg用量の2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸を、絶食状態で、4×2.5mgER錠剤として投与。
・試験処置B:10mg用量の2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸を、絶食状態で、単一の10mgER錠剤として投与。
【0164】
無作為化スケジュールに従って第9日または第13日に投与される試験処置は、以下のとおりであった:
・試験処置C:10mg用量の2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸を、摂食状態(低脂肪、高カロリー食)で、単一の10mgER錠剤として投与。
・試験処置D:10mg用量の2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸を、摂食状態(高脂肪、高カロリー食)で、単一の10mgER錠剤として投与。
【0165】
試験処置AおよびBの際には、被験者は、PDの試料採取開始より前少なくとも10時間は、一夜絶食状態とした。被験者はさらに、試験投薬の投与より前少なくとも10時間は、一夜絶食状態とした。
【0166】
試験処置Cの際には、被験者には、同一の標準化された低脂肪、高カロリーの朝食(800~1000カロリーおよびおよそ15%~20%の脂肪含量、30分以内に摂食)を、投与前30分以内に与えた。試験処置Dの際には、被験者には、同一の標準化された高脂肪、高カロリーの朝食(800~1000カロリーおよびおよそ50%の脂肪含量、30分以内に摂食)を、投与前30分以内に与えた。被験者には、100%摂食するように指導した。試験のための朝食が終わったら、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸の投与後4時間は、食物を摂ることは許されなかった。
【0167】
MR4組成物の投与の後での、平均の血漿の薬物動態学的パラメーターをまとめて表10に示す。
【0168】
【0169】
摂食条件下または絶食条件下における、配合物についての平均血漿中濃度対時間のプロファイルを
図6に示す。
【0170】
AUC∞に基づけば、絶食状態においては、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸10mgMR錠剤の相対的バイオアベイラビリティは、合計して10mgの用量となるように投与した2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸2.5mgMR錠剤と比較して、100%であった。CmaxおよびAUC∞における幾何平均の比率および相当する90%CIは、生物学的同等性限界(80%~125%)の範囲内であった。絶食状態での、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸10mgMR錠剤投与後のsUAの低下は、合計して10mgの用量となるように投与した2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸2.5mgMR錠剤の場合と同等であった。
【0171】
絶食状態の場合に比較して、低脂肪の摂食では、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸のCmaxおよびAUC∞の曝露が、それぞれ、およそ21%および17%低下した。低脂肪の摂食の場合に投与後でsUAが低下することは、絶食状態の場合のsUAの低下と同等であった。
【0172】
高脂肪の摂食をすると、絶食の状態に比較して、10mgMR錠剤の場合で、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸のCmaxおよびAUC∞の曝露が、それぞれ、82%および34%高くなった。高脂肪の摂食をすると、sUAの低下効果が、絶食の状態の場合(投与前の値よりも最大で約32%低下)に比較して、高くなった(投与前の値よりも最大で約44%低下)。高脂肪の条件下でsUAの低下が高くなるのは、血漿での薬物の曝露がより高くなることと矛盾しない。
【0173】
それらの配合物を投与することによって達成されるsUAの低下を、次の表に示す。
【0174】
【0175】
血清尿酸を低下させることにおける、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸の有効性は、AUCとは比例関係にある。
【0176】
実施例11:ペレット状の配合物を調製するためのプロセス
ペレット状の配合物を、薬物積層プロセスによって調製した。薬物積層プロセスにおいて、平均サイズ100~700μmの固形物質の不活性なコアを、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸でコーティングした。前記化合物を含む溶液または懸濁液を、その固形物質の上にスプレーし、溶媒を蒸発させた。使用可能な不活性なコアの例としては、以下のものが上げられる:ミクロクリスタリンセルロースたとえば、Celphere CP-203(200~300μm)、Celphere CP-305(300~500μm)もしくはCelphere 507(500~700μm)、二酸化ケイ素(砂)、またはスクロース。
【0177】
不活性なコアの上で、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸を積層させた後、フィルム層を形成させて、放出速度調節膜を与える。そのフィルム層には、ポリマーたとえば、エチルセルロース(EC)および/またはヒドロキシプロピルセルロース(HPC)が含まれる。HPC対ECの量は、全ポリマー重量の、1~99%、たとえば10~60%、または25~45%である。
【0178】
工程1:不活性なコアのペレットコーティング
該薬剤の溶液は、1~30%(w/w)、たとえば5~15%(w/w)の濃度で調製する。該薬剤を、結合剤、たとえばHPC、HPMCまたはその他のポリマーと混合して、溶媒の中に分散させる。使用することが可能な溶媒の例は、水、またはアルコールたとえばエタノール、またはそれらの混合物である。その溶液または懸濁液を、15℃~40℃の温度に保持する。前記化合物の溶液または懸濁液を、流動床機器たとえば、Aeromatic MP1、LabCC(Graniten LabCC)またはGlatt GPCGの中で、50~100℃、たとえば35~80℃、または50~75℃の温度で、たとえば30~500分の時間をかけてコア物質の上にスプレーする。有用なバッチサイズは、典型的には、10g~400kgである。バッチサイズが1kgの場合には、5~40g/分のスプレー速度を使用する。
【0179】
結晶化プロセスを使用して、結合剤を不要とすることもまた可能である。この場合においては、その結晶質の化合物を溶媒の中に溶解させ、次いで、流動床の中のコア/シードの上で再結晶させる。このことは、前記化合物の結晶を用いたシーディングの存在下または非存在下に開始または実施してもよく、そして、一つの工程で実施することも、あるいはいくつかのサブバッチに分けて実施することも可能である。
【0180】
工程2:工程1からのペレットのポリマーコーティング
工程1で形成されたペレット顆粒を、ポリマーたとえば、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、またはそれらの混合物を用いてコーティングする。一つの実施態様においては、その混合物には、コーティングポリマーの全量の0~100%、たとえば10~60%、または20~50%の量のHPCが含まれている。ポリマーおよび/またはそれらの混合物は、溶媒たとえば、水、ケトン、またはアルコールたとえばエタノール、および/またはそれらの混合物の中に溶解させる。その溶液を、流動床機器たとえばAeromatic MP1、LabCCまたはGlatt GPCGの中、60~120℃、たとえば75~100℃の温度で、顆粒の上にスプレーする。その溶液は顆粒の上に、十分な時間たとえば10分~400分かけて、スプレーする。必要となる時間は、バッチサイズ、および所望の薬剤放出プロファイルを達成させるための、ポリマーフィルムの所望の厚みに依存する。そのバッチサイズは、10gから最大で400kgまでとすることができる。
【0181】
工程3:カプセル充填または錠剤化
工程2に従って調製された、化合物の2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸を含むペレットは、カプセルの中に充填してもよい。本発明において使用することが可能なカプセル物質の例は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはゼラチンである。別な方法として、そのペレットを成形して錠剤とすることもできる。
【0182】
実施例12:ペレット状の配合物(3-時間プロファイル)の調製
以下の組成を用いてペレット状の配合物を調製した。
【0183】
【0184】
この実施例配合物は、薬物積層、およびポリマーコーティングの流動床プロセス、およびカプセル化によって調製した。エアジェットミルを使用して、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸を超微粉砕した。そのようにして得られた粒径D10は1μm未満、D50は5μm未満、そしてD90は20μm未満であった。
【0185】
1350.0gの精製水中、15.0gのHPMC 6cpsのポリマー溶液を調製した。透明な溶液が得られた後、135.0gの超微粉砕した2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸を添加した。そのようにして得られた懸濁液を、遮光して、一夜撹拌した。その懸濁液を、室温で保った。スプレーする前に、その懸濁液を200μmの金網を通して篩分けした。スプレー速度は、最初の5分間は8~12g懸濁液/分、その後105分間は、10~20g懸濁液/分であった。入口温度は72℃であった。流動床機器(LabCC3)の中で、1250gの2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸/HPMC懸濁液を、500gのミクロクリスタリンセルロース(MCC)球形粉末(Celphere CP-203(150~300μm))の上にスプレーした。出口空気の温度がおよそ30℃、流動化空気の流速が約35Nm3/時間、およびアトマイザー空気圧がおよそ2.5barであった。その製品は、バッチサイズに応じて、1工程または数工程で作製することができる。
【0186】
57.6gのエチルセルロース 10cP(EC)および38.4gのヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を1504gの95%エタノールの中に溶解させて、ポリマー溶液を調製した。そのポリマー溶液を用い、流動床機器の中、出口空気温度およそ42℃、スプレー速度およそ10~18g/分で、薬物を積層させたペレット(150g)をコーティングした。1395gのポリマー溶液をスプレーしてから、そのポリマーコーティングされたペレットを、流動床機器中で10分間かけて乾燥させた。以下のプロセスパラメーターを参照されたい。
プロセスパラメーター 範囲:
入口温度 72~74℃
出口温度 42~60℃
流動化空気流速 35Nm3/時間
スプレー速度 10~18g/分
アトマイザー空気圧 2.5bar
アトマイザー空気流量 2.6~2.7Nm3/時間
【0187】
そのポリマーコーティングされたペレットを、710μmの篩を通して篩別し、検定し、次いでヒプロメロースカプセルの中に充填したが、充填重量は、5mgの2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸が投与されるような用量に調節した。
【0188】
実施例13:ペレット状の配合物(5-時間プロファイル)の調製
以下の組成を用いてペレット状の配合物を調製した。
【0189】
【0190】
この実施例配合物は、薬物積層、およびポリマーコーティングの流動床プロセス、およびカプセル化によって調製した。エアジェットミルを使用して、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸を超微粉砕した。そのようにして得られた粒径D10は1μm未満、D50は5μm未満、そしてD90は20μm未満であった。
【0191】
1350.0gの精製水中、15.0gのHPMC 6cpsのポリマー溶液を調製した。透明な溶液が得られた後、135.0gの超微粉砕した2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸を添加した。スプレー速度は、最初の5分間は5~12g懸濁液/分、その後105分間は、10~20g懸濁液/分であった。入口温度は72℃であった。流動床機器の中で、1250gの2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸/HPMC懸濁液を、500gのミクロクリスタリンセルロース(MCC)球形粉末(Celphere CP-305(300~500μm))の上にスプレーした。出口空気の温度が、およそ30℃、流動化空気の流速がおよそ35Nm3/時間、およびアトマイザー空気圧がおよそ2.5barであった。その製品は、バッチサイズに応じて、1工程または数工程で作製することができる。
【0192】
61.4gのエチルセルロース 10cP(EC)および34.6gのヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を1504gの95%エタノールの中に溶解させて、ポリマー溶液を調製した。そのポリマー溶液を用い、流動床機器の中、出口空気温度およそ42℃、スプレー速度およそ10~18g/分で、薬物を積層させたペレット(150g)をコーティングした。1302.9gのポリマー溶液をスプレーしてから、そのポリマーコーティングされたペレットを、流動床器中で10分間かけて乾燥させた。以下のプロセスパラメーターを参照されたい。
プロセスパラメーター: 範囲
入口温度 72~74℃
出口温度 42~60℃
流動化空気流速 35Nm3/時間
スプレー速度 10~18g/分
アトマイザー空気圧 2.5bar
アトマイザー空気流量 2.6~2.7Nm3/時間
【0193】
そのポリマーコーティングされたペレットを、710μmの篩を通して篩別し、検定し、次いでヒプロメロースカプセルの中に充填したが、充填重量は、5mgの2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸が投与されるような用量に調節した。
【0194】
実施例14:ペレット状の配合物(8-時間プロファイル)の調製
以下の組成を用いてペレット状の配合物を調製した。
【0195】
【0196】
この実施例配合物は、薬物積層、およびポリマーコーティングの流動床プロセス、およびカプセル化によって調製した。エアジェットミルを使用して、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸を超微粉砕した。そのようにして得られた粒径D10は1μm未満、D50は5μm未満、そしてD90は20μm未満であった。
【0197】
1350.0gの精製水中、15.0gのHPMC 6cpsのポリマー溶液を調製した。透明な溶液が得られた後、135.0gの超微粉砕した2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸を添加した。スプレー速度は、最初の5分間は5~12g懸濁液/分、その後105分間は、10~20g懸濁液/分であった。入口温度は72℃であった。流動床機器の中で、1250gの2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸/HPMC懸濁液を、500gのミクロクリスタリンセルロース(MCC)球形粉末(Celphere CP-305(300~500μm))の上にスプレーした。出口空気の温度が、およそ30℃、流動化空気の流速がおよそ35Nm3/時間、およびアトマイザー空気圧がおよそ2.5barであった。その製品は、バッチサイズに応じて、1工程または数工程で作製することができる。
【0198】
64.8gのエチルセルロース 10cP(EC)および31.3gのヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を1504gの95%エタノールの中に溶解させた、ポリマー溶液を調製した。そのポリマー溶液を用い、流動床機器の中、出口空気温度およそ42℃、スプレー速度およそ10~18g/分で、薬物を積層させたペレット(150g)をコーティングした。1395gのポリマー溶液をスプレーしてから、そのポリマーコーティングされたペレットを、流動床機器中で10分間かけて乾燥させた。以下のプロセスパラメーターを参照されたい。
プロセスパラメーター 範囲
入口温度 72~74℃
出口温度 42~60℃
流動化空気流速 35Nm3/時間
スプレー速度 10~18g/分
アトマイザー空気圧 2.5bar
アトマイザー空気流量 2.6~2.7Nm3/時間
【0199】
そのポリマーコーティングされたペレットを、710μmの篩を通して篩別し、検定し、次いでヒプロメロースカプセルの中に充填したが、充填重量は、10mgの2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸が投与されるような用量に調節した。
【0200】
実施例15:ペレット状の配合物(15-時間プロファイル)の調製
以下の組成を用いてペレット状の配合物を調製した。
【0201】
【0202】
この実施例配合物は、薬物積層、およびポリマーコーティングの流動床プロセス、およびカプセル化によって調製した。エアジェットミルを使用して、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸を超微粉砕した。そのようにして得られた粒径D10は1μm未満、D50は5μm未満、そしてD90は20μm未満であった。
【0203】
1350.0gの精製水中、15.0gのHPMC 6cpsのポリマー溶液を調製した。透明な溶液が得られた後、135.0gの超微粉砕した2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸を添加した。スプレー速度は、最初の5分間は5~12g懸濁液/分、その後105分間は、10~20g懸濁液/分であった。入口温度は72℃であった。流動床機器の中で、1250gの2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸/HPMC懸濁液を、500gのミクロクリスタリンセルロース(MCC)球形粉末(Celphere CP-305(300~500μm))の上にスプレーした。出口空気の温度が、およそ30℃、流動化空気の流速がおよそ35Nm3/時間、およびアトマイザー空気圧がおよそ2.5barであった。その製品は、バッチサイズに応じて、1工程または数工程で作製することができる。
【0204】
68.2gのエチルセルロース 10cP(EC)および27.8gのヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を1504gの95%エタノールの中に溶解させた、ポリマー溶液を調製した。そのポリマー溶液を用い、流動床機器の中、出口空気温度およそ42℃、スプレー速度およそ10~18g/分で、薬物を積層させたペレット(150g)をコーティングした。1395gのポリマー溶液をスプレーしてから、そのポリマーコーティングされたペレットを、流動床機器中で10分間かけて乾燥させた。以下のプロセスパラメーターを参照されたい。
プロセスパラメーター:
入口温度 72~74℃
出口温度 42~60℃
流動化空気流速 35Nm3/時間
スプレー速度 10~20g/分
アトマイザー空気圧 2.5bar
アトマイザー空気流量 2.6~2.7Nm3/時間
【0205】
そのポリマーコーティングされたペレットを、425~710μmの篩を通して篩別し、検定し、次いでヒプロメロースカプセルの中に充填したが、充填重量は、10mgの2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸が投与されるような用量に調節した。
【0206】
実施例16:モノエタノールアミン塩を使用したペレット状の配合物の調製
以下の組成を用いてペレット状の配合物を調製した。
【0207】
【0208】
Celphere CP305(旭化成、0.3~0.5mm)からのコアを、出発物質として使用した。そのコアをコーティングするために使用したAPI懸濁液は、MilliQ水、超微粉砕2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸モノエタノールアミン塩(MEA塩、以下で説明するようにした調製したもの)およびHPMC 6cpsからなっていた。
【0209】
MEA塩で積層させたコアペレットは、MEA塩濃度が165~176mg/gの間になるように作製した。その懸濁液の乾燥含量は、22%、20%のMEA塩および2%のHPMC 6cpsであった。
【0210】
MEA塩の積層コーティングのための懸濁液は、最初に精製水の中にHPMCを、マグネチックスターラーを使用して一夜かけて溶解させた。その後で、そのMEA塩を添加し、その懸濁液を撹拌してから使用した。その懸濁液は、コーティングプロセスの間、撹拌を続けた。
【0211】
MEA塩で積層させたコアペレットは、底面スプレー式(bottom sprayed)の流動床機器(MiniGlatt)の中で生産した。生産の典型的なスケールは、25gのコアと118gのコーティング懸濁液であった。
【0212】
MR-フィルムのためのエタノールベースの溶液は、95%エタノールにEC/PVPを撹拌しながら添加することによって調製した。その物質は、一夜放置して溶解させた。そのコーティングは、流動床機器(MiniGlatt)の中で実施した。プロセスパラメーターを以下に示す。
【0213】
シード/コアペレットをMEA塩で積層させるためのプロセスパラメーター
Tin 70~75℃
Tout 40~60℃
FF 13Nm3/時間
コーティング速度 2~4.0g/分
アトマイザー空気圧 1.0bar
アトマイザー空気流量 1.1~1.3Nm3/時間
【0214】
プロセスパラメーター、ペレットのMRコーティング
Tin 70~75℃
Tout 45~60℃
FF 11Nm3/時間
コーティング速度 4~6.0g/分
アトマイザー空気圧 1.0bar
アトマイザー空気流量 0.4~0.5Nm3/時間
【0215】
モノエタノールアミン塩の調製
2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸n-ブタノレートから2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸モノエタノールアミン塩を、以下の手順に従って単離した。2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸n-ブタノレート((34.80g、92.53mmol)に対して、メチルエチルケトン(167mL)およびジメチルスルホキシド(42mL)を添加した。そのようにして得られた混合物を加熱して47~50℃として、溶液を形成させた。次いで濾過によりその溶液を透明にし、そのようにして得られる濾液を再加熱して47~50℃とした。次いで、2-アミノエタノール(6.1mL、100mmol)を、少なくとも10分の時間をかけて添加すると、溶液から反応生成物の沈殿が始まった。およそ2時間かけて、温度を0~10℃にまで下げ、この温度範囲で、反応生成物のスラリーを1時間撹拌した。その反応生成物を濾過により単離し、そのフィルターケーキを、メチルエチルケトンを用いて2回(2×70mL)洗浄し、真空下、60~65℃で恒量に達するまで乾燥させると、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸モノエタノールアミン塩が、結晶質の白色固形物として得られた(35.91g、86.37mmol、93.3%)。
【0216】
2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸から2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸モノエタノールアミン塩を、以下の手順に従って、単離することもまた可能である。2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸(64.81g、181mmol)に対して、メチルエチルケトン(311mL)およびジメチルスルホキシド(78mL)を添加した。そのようにして得られた混合物を加熱して47~50℃として、溶液を形成させた。次いで濾過によりその溶液を透明にし、そのようにして得られる濾液を再加熱して47~50℃とした。次いで、2-アミノエタノール(11.5mL、191mmol)を、少なくとも10分の時間をかけて添加すると、溶液から反応生成物の沈殿が始まった。およそ2時間かけて、温度を0~10℃にまで下げ、この温度範囲で、反応生成物のスラリーを少なくとも30分間撹拌した。その反応生成物を濾過により単離し、そのフィルターケーキを、メチルエチルケトンを用いて2回(2×65mL)洗浄し、真空下、60℃で恒量に達するまで乾燥させると、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸モノエタノールアミン塩が、結晶質の白色固形物として得られた(71.73g、172.3mmol、95.1%)。
1H NMR(400MHz、DMSO-d6、90℃):1.40(d,J=9.6Hz,6H)、2.79(t,J=5.5Hz,2H)、3.55(t,J=5.5Hz,2H)、7.51(d,J=8.5Hz,1H)、7.55(d,J=7.4Hz,1H)、7.65(td,J=1.1,6.9,7.6Hz,1H)、7.77~7.84(m,2H)、8.17(d,J=7.4Hz,1H)、8.23(d,J=8.4Hz,1H)、8.29(s、1H)、8.52(d,J=5.4Hz,1H)。
1H NMRによる遊離酸対2-アミノエタノールの比率=1:1.01。
【0217】
実施例17:水ベースのコーティングを使用したペレット状の配合物の調製
以下の組成を用いてペレット状の配合物を調製した。
【0218】
【0219】
2.47gのKollicoat IR(ポリビニルアルコール/ポリエチレングリコールグラフト化コポリマー、BASF製)および3.75gのタルク粉末を、64.52gの水の中に懸濁させた。一夜撹拌した後で、29.25gのEudragit NM30D分散体を添加した。その懸濁液中の乾燥含量は、15%(w/w)であった。その分散液を、室温で保った。スプレーする前に、その分散液を200μmの金網を通して篩分けした。そのポンプの速度は、1~2g分散体/分であった。入口温度は41℃であった。流動床ドライヤー(MiniGlatt)の中で、35gの分散体を、10gの2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸の薬物で積層させたコアシード(実施例14に記載のもの)の上に、スプレーした。出口空気の温度は約25℃、流動化空気の流速約14Nm3/時間、そしてアトマイザーの空気圧約1.6barとすると、8.5%(w/w)活性薬物/MR顆粒が得られた。
【0220】
プロセスパラメーター
Tin 38~43℃
Tout 25~35℃
FF 14Nm3/時間
コーティング速度 1~2g/分
アトマイザー空気圧 1.6bar
アトマイザー空気流量 1.6~1.8Nm3/時間
【0221】
実施例18:ペレット状の配合物の溶出
方法
10mgの用量を有する遊離のペレット(カプセルに入ったペレットではない)として加えた放出延長性ペレットの溶出試験を、米国薬局方の試験装置II(パドル)の一般的手順に従って、一連の異なったpH媒体の中で実施した。クローズドループの中で、それぞれ個別の容器に一定分量の溶出媒体をポンプ輸送し、そして規定された時間間隔で濾過して、10mmのフローセル、UV検出(303nm)を備えた分光光度計を用いて分析するが、ベースライン補正は、380~420nmのところでの3点ドロップラインにより行った。2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸の放出量は、試料のクロマトグラムのUVレスポンスを標準の補正曲線のUVレスポンスと比較することによって求めた。37℃で、500mL溶出媒体、および100rpmのパドル速度を使用する。
【0222】
イオン強度(I)を有する使用溶出媒体が適用可能であった:
pH6.8、I=0.1: 50.0mM KH2PO4+23.6mM NaOH
pH6.8、I=0.025: 14.2mM KH2PO4+5.4mM NaOH
pH6.5: 10.4mM Na2PO4、3.3mM NaOH、106mM NaCl
pH6.0: 80.6mM KH2PO4+9.7mM NaOH
pH5.5: 7.02mM クエン酸+19.91mM クエン酸ナトリウム二水和物
pH4: 42.1mM クエン酸+27.3mM クエン酸ナトリウム二水和物
pH1: 0.1M HCl
【0223】
溶出試験の結果
図7は、実施例12に記載の3-時間用のペレット状の配合物についての、溶出プロファイルを示している。放出速度は、その媒体のpHの影響を受ける。注:pH6.8の媒体のイオン強度は0.1であった。
【0224】
図8は、実施例13に記載の5-時間用のペレット状の配合物についての、溶出プロファイルを示している。放出速度は、その媒体のpHの影響を受ける。注:pH6.8の媒体のイオン強度は0.1であった。
【0225】
図9は、実施例14に記載の8-時間用のペレット状の配合物についての、溶出プロファイルを示している。放出速度は、その媒体のpHの影響を受ける。注:pH6.8の媒体のイオン強度は0.1であった。
【0226】
図10は、実施例15に記載の15-時間用のペレット状の配合物についての、溶出プロファイルを示している。放出速度は、その媒体のpHの影響を受ける。注:pH6.8の媒体のイオン強度は0.1であった。
【0227】
図11は、実施例16に記載のモノエタノールアミン塩のペレット状の配合物についての、溶出プロファイルを示している。放出は、媒体のpHの影響をあまり受けていない。注:pH6.8の媒体のイオン強度は0.1であった。
【0228】
図12は、実施例16に従って調製したモノエタノールアミン塩のペレット状の配合物についての溶出プロファイルを示しているが、ただし唯一の変更点として、PVPとECの重量比を、24%PVP K30(76%EC)から23%PVP K30(77%EC)に変化させた。放出は、媒体のpHまたは試験したイオン強度の影響をあまり受けていない。
【0229】
実施例19:イヌのモデルにおけるPK試験-ペレット状の配合物およびMR4
ラブラドル犬における薬物動態学的試験を絶食条件下で実施し、用量2.5mgおよび5mg(これは、ヒトの用量では、それぞれ5mgおよび10mgに相当する)での、MR4錠剤を用いた4種の異なったペレット状の配合物および経口溶液の相対的バイオアベイラビリティを比較した。この検討において試験したMR4錠剤は、実施例5に記載したものである。この検討において試験したペレット状の配合物は、実施例12~17に記載したものである。
【0230】
すべての配合物において、参照溶液に比較して、相対的バイオアベイラビリティが低いことが観察された(表11および
図13参照)。5時間用および8時間用ペレットの相対的バイオアベイラビリティは、MR4錠剤のそれと同等であったが、それに対して、モノエタノールアミン塩および水系コーティングされたペレットは、他の5時間用および8時間用ペレット配合物に比較して、相対的バイオアベイラビリティが顕著に低かった。
【0231】
【0232】
実施例20:第I相臨床試験-ペレット状の配合物およびMR4
健康な成人男性被験者における、第1相の、無作為に分類された、非盲検の、5wayクロスオーバー薬物動態学的(PK)および薬力学的(PD)試験をデザインして、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸の5mgおよび10mgカプセル、ならびに10mgの用量(2.5mg×4)で投与した、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸の2.5mgMR4錠剤の相対的バイオアベイラビリティを評価した。この試験では、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸の、PKおよびPDに及ぼす高脂肪摂食の影響を評価した。2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸の投与に関連して、以下のタイムポイントで血漿のPK試料を採取した:投与前30分以内、投与後30分、1時間、1.5時間、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、24時間、36時間、48時間、および72時間。2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸をペレット組成物として投与した後の、平均の血漿の薬物動態学的パラメーターをまとめて、表12に示す。
【0233】
【0234】
絶食条件下でのそれぞれの配合物についての平均血漿中濃度対時間のプロファイルを
図14に示し、摂食条件下でのそれぞれの配合物についてのプロファイルを
図15に示す。
図16に、絶食条件および摂食条件の両方において、実施例14に記述された8-時間用ペレット状の配合物を10mg投与した場合の、平均血漿中濃度対時間のプロファイルを示す。
【0235】
5mg用量での5時間用ペレット状の配合物の曝露は、10mg用量のMR4の場合に観察されるのと同様であった。8時間用および15時間用のペレット状の配合物は、同じ用量のMR4配合物よりは高いバイオアベイラビリティを示したが、このことは、その化合物の結腸吸収レベルが、その物理化学的性質から考えると、予想外に高いということを示唆している。ペレット状の配合物はすべて、顕著な食事の影響を示さず、変動性は、MR4配合の場合と同様であった(%CVとして測定)。Cmax/AUC比の順位序列は次の通りである:IRcap>>5時間用>8時間用≒MR4>15時間放出形。5時間用ペレット状の配合物は、MR4よりも高いCmax/AUC比を有していた(この試験においては、0.19対0.17(MR4))。8時間用および15時間用いずれのペレット状の配合物も、この試験においては、Cmax/AUC比がMR4よりも低かった(それぞれ、0.15および0.12)。
【0236】
それらの配合物を投与することによって達成されるsUAの低下を、次の表に示す。
【0237】
【0238】
実施例21:薬物積層プロセスによる各種のペレット状の配合物の調製
実施例11に記載したプロセスに従って、いくつかのペレット状の配合物を調製した。表13に、組成およびプロセスパラメーターの詳細と共に、実施例18に記述された溶出法に従って試験した、pH6.8の媒体中への80%放出までの溶出時間(イオン強度0.1、媒体900mL、100rpm)を示す。
【0239】
【0240】
実施例22:用量4.5、6、おおび12mgのペレット状の配合物(8-時間プロファイル)の調製
以下の組成を有するペレット状の配合物を調製した。
【0241】
【0242】
1710.3gの水中、19.0gのHPMC 6cpsのポリマー溶液を調製した。透明な溶液が得られた後、171.0gの超微粉砕した2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸を添加した。その懸濁液を、遮光して、一夜撹拌した。その懸濁液を、室温で保った。スプレーする前に、その懸濁液を200μmの金網を通して篩分けした。スプレー速度は、最初の5分間は8~11g懸濁液/分、その後111分間は、15~20g懸濁液/分であった。入口温度は73℃であった。流動床機器(LabCC3)の中で、1587.5gの2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸/HPMC懸濁液を、500gのミクロクリスタリンセルロース(MCC)球形粉末(Celphere CP-305(300~500μm))の上にスプレーした。出口空気の温度が、およそ30℃、流動化空気の流速がおよそ35Nm3/時間、およびアトマイザー空気圧がおよそ2.5barであった。その製品は、バッチサイズに応じて、1工程または数工程で作製することができる。
【0243】
100gのこれらの顆粒を、460gの95%エタノールの中に20.0gのエチルセルロース 10cP(EC)および9.4gのヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を溶解させた溶液を用いて、流動床機器(LabCC3)中、出口空気の温度42℃、スプレー速度平均20g溶液/分でコーティングした。プロセスパラメーターは以下のとおりであった:
プロセスパラメーター
Tin 70~75℃
Tout 40~60℃
FF 35Nm3/時間
コーティング速度 18~22g/分
アトマイザー空気圧 2.5bar
アトマイザー空気流量 2.6~2.7Nm3/時間
【0244】
そのペレット状の配合物の溶出試験は、実施例8に開示された方法に従って実施したが、pH6.8の緩衝液(イオン強度0.1、50.0mM KH2PO4+23.6mM NaOH)、37℃、100rpmのパドル速度を使用した。
図17に、この実施例22において先に記したようにして製造したペレットについての溶出プロファイルを示す。
【0245】
実施例23:第I相臨床試験-ペレット状の配合物(8-時間プロファイル、4.5、6および12mg用量)
健康な成人男性被験者における、第1相の、無作為に分類された、非盲検の、3wayクロスオーバー薬物動態学的(PK)試験をデザインして、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸の4.5、6、および12mgカプセルの相対的バイオアベイラビリティを評価したが、実施例22に記載の8-時間用プロファイル配合物を使用して、実施した。高脂肪摂食が、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸のPKにおよぼす影響を評価するための試験もまた、実施した。2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸の投与に関連して、以下のタイムポイントで血漿のPK試料を採取した:投与前30分以内、投与後30分、1時間、1.5時間、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、24時間、36時間、48時間、および72時間。
【0246】
2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸をペレット組成物として投与した後の、平均の血漿の薬物動態学的パラメーターをまとめて、次の表に示す。
【0247】
【0248】
摂食の影響の試験における、2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸をペレット組成物として投与した後の、平均の血漿の薬物動態学的パラメーターをまとめて、次の表に示す。
【0249】
【0250】
ペレット状の配合物の場合では、CmaxまたはAUCに関しては、食事の影響は顕著には観察されなかった。さらに、Cmax/AUCの比は、摂食により低下した。
【0251】
実施例24:用量4.5、6、おおび12mgのペレット状の配合物(8-時間プロファイル)の調製
以下の組成を有するペレット状の配合物を調製した。
【0252】
【0253】
13950gの水中、155gのHPMC 6cpsのポリマー溶液を、余分に調製した。透明な溶液が得られた後、1395gの超微粉砕した2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸を添加した。その懸濁液を、遮光して、撹拌した。その懸濁液を、室温で保った。スプレーする前に、その懸濁液を200μmの金網を通して篩分けした。そのスプレー速度は、最初の18分間は90.0~95.0g懸濁液/分の間、その後144分間は96.0~97.0g懸濁液/分であった。入口温度は74℃であった。流動床機器(FBC01)の中で、15530.0gの2-((3-(4-シアノナフタレン-1-イル)ピリジン-4-イル)チオ)-2-メチルプロパン酸/HPMCの懸濁液を、9000.0gのミクロクリスタリンセルロース(MCC)球形粉末(Vivapur 500~700μm(JRS Pharma))の上にスプレーした。その出口空気の温度はおよそ26.4℃(24.4~39.2℃)、流動化空気の流速はおよそ183Nm3/時間、そしてアトマイザーの空気圧はおよそ2.6barであった。その製品は、バッチサイズに応じて、1工程または数工程で作製することができる。
【0254】
流動床機器(FBC01)中、出口空気の温度23~45℃、スプレー速度、平均241.0g溶液/分で、9000gのこれらの顆粒を、36190gの95%エタノールの中に1640gのエチルセルロース 10cP(EC)および670gのヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を溶解させた溶液を用いてコーティングした。プロセスパラメーターは以下のとおりであった:
プロセスパラメーター
Tin 100℃
Tout 23~45℃
FF 183Nm3/時間
コーティング速度 235.0~245.0g/分(目標、241.0g/分)
アトマイザー空気圧 4.5~4.9bar
アトマイザー空気流量(測定値) 21.5~23.0Nm3/時間
【0255】
ステアリン酸マグネシウムを用いて、得られた放出制御性ペレットを潤滑化し、HPMCカプセルの中に充填した。
【0256】
そのペレット状の配合物の溶出試験は、実施例8に開示された方法に従って実施したが、pH6.8の緩衝液(イオン強度0.1、50.0mM KH2PO4+23.6mM NaOH)、37℃、100rpmのパドル速度を使用した。
図18に、この実施例24において先に記したようにして製造したペレットについての溶出プロファイルを示す。
【外国語明細書】