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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022033760
(43)【公開日】2022-03-02
(54)【発明の名称】繊維強化による積層造形用装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/118 20170101AFI20220222BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20220222BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20220222BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20220222BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20220222BHJP
【FI】
B29C64/118
B29C64/393
B33Y30/00
B33Y10/00
B33Y50/02
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021183140
(22)【出願日】2021-11-10
(62)【分割の表示】P 2019023533の分割
【原出願日】2014-07-17
(31)【優先権主張番号】61/847,113
(32)【優先日】2013-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/878,029
(32)【優先日】2013-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/880,129
(32)【優先日】2013-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/881,946
(32)【優先日】2013-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/883,440
(32)【優先日】2013-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/902,256
(32)【優先日】2013-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/907,431
(32)【優先日】2013-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】14/222,318
(32)【優先日】2014-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】14/297,437
(32)【優先日】2014-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】516017927
【氏名又は名称】マークフォージド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100167623
【弁理士】
【氏名又は名称】塚中 哲雄
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー トーマス マーク
(72)【発明者】
【氏名】アントニ エス ゴゼッツ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】従来3D印刷に関係するものではない複合積層又は複合フィラメントワインディングの技術を3Dプリントに提供すること。
【解決手段】3Dプリンタ、強化フィラメント及びそれらの使用方法に関する種々の実施形態を提供する。一実施形態において、ボイドレス強化フィラメントを導管ノズルに送る。強化フィラメントは連続又は半連続のコアと、このコアを取り囲むマトリックス材とを含む。強化フィラメントは、フィラメントを導管ノズルから適用する前に、マトリックス材の溶融温度よりも高くコアの溶融温度よりも低い温度に加熱される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品の積層造形用の3Dプリンタであって、
マトリックス材内に延在する軸方向繊維ストランドを含む繊維強化複合フィラメントの
複合フィラメント供給部と、
前記複合フィラメントをある供給速度で前進させるリニア供給機構と、
造形面を有する造形プラテン体と、
前記可動プラテン体に対向するプリントヘッドと、
前記プリントヘッド及び前記造形プラテン体を、印刷層内におけるある速度での移動が
含まれる3自由度で相対移動させ複数のアクチュエータと、
前記複合フィラメントをある直線送り速度で前記プリントヘッド内に入れることにより
、前記複合フィラメントを、前記プラテン体、及び前記プラテン体上に堆積済みの複合フ
ィラメントの一方の上に堆積させるフィラメントドライブと、
複合フィラメントしごき先端と、
前記複合フィラメントしごき先端を加熱するヒータと、
前記ヒータ、前記フィラメントドライブ及び前記複数のアクチュエータに動作可能に接
続されたコントローラとを備え、
前記コントローラは、前記ヒータに、前記複合フィラメントしごき先端を加熱させるこ
とにより、前記マトリックスを前記複合フィラメント内における軸方向繊維スタランド内
に流す命令を実行すると共に、前記複数のアクチュエータに、前記複合フィラメントしご
き先端を前記複合フィラメントに対して押圧させることにより、前記複合フィラメントを
前記プラテン体、及び前記プラテン体上に堆積済みの複合フィラメントの一方に対して再
成形する命令を実行する、3Dプリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載の3Dプリンタにおいて、前記コントローラは、前記フィラメントドラ
イブに、前記複合フィラメントの未接着の終端を、前記プリントヘッドを通して前記加熱
された複合フィラメントしごき先端まで、停止せずに前進させることにより、前記未接着
の終端が前記フィラメントのマトリックス材料を溶融させるに十分な温度を有する個所を
通過する際に、前記未接着の終端を少なくとも現在の供給速度で前進させる命令を更に実
行する、3Dプリンタ。
【請求項3】
請求項2に記載の3Dプリンタにおいて、前記コントローラは、前記フィラメントドラ
イブに、前記複合フィラメントの未接着の終端を、前記プリントヘッドを通して前記加熱
された複合フィラメントしごき先端まで、前記未接着の終端が前記フィラメントしごき先
端に隣接する前記プリントヘッドの内壁に接着する熱伝達を防止するに十分な速度で前進
させる命令を更に実行する、3Dプリンタ。
【請求項4】
請求項3に記載の3Dプリンタにおいて、前記コントローラは、前記フィラメントドラ
イブに、前記複合フィラメントの未接着の終端を、前記プリントヘッドを通して前記加熱
された複合フィラメントしごき先端まで、100mm/sの速度で前進させる命令を更に
実行する、3Dプリンタ。
【請求項5】
請求項1に記載の3Dプリンタにおいて、前記コントローラは、前記フィラメントドラ
イブに、前記複合フィラメントの未接着の終端を、前記プリントヘッドを通して前記加熱
された複合フィラメントしごき先端まで、そして前記加熱された複合フィラメントしごき
先端を超えて前進させる命令を更に実行する、3Dプリンタ。
【請求項6】
請求項5に記載の3Dプリンタにおいて、前記コントローラは、前記フィラメントドラ
イブが前記複合フィラメントの未接着の終端を前記加熱された複合フィラメントしごき先
端まで前進させる時点で、前記複数のアクチュエータに、前記プリントヘッド及び前記造
形プラテン体を少なくとも1自由度で相対移動させる命令を更に実行する、3Dプリンタ
【請求項7】
請求項1に記載の3Dプリンタにおいて、前記コントローラは、前記フィラメントドラ
イブに、前記終端及び前記1つ又は複数の非弾性軸方向繊維ストランドの少なくとも一部
分が前記プラテン体の部品内に固定されるまで前進させる命令を更に実行する、3Dプリ
ンタ。
【請求項8】
請求項1に記載の3Dプリンタにおいて、前記フィラメントドライブと前記しごき先端
の間に位置するカッターを更に備え、前記コントローラは、前記カッターに、前記繊維強
化複合フィラメントをせん断させる命令を更に実行する、3Dプリンタ。
【請求項9】
請求項8に記載の3Dプリンタにおいて、前記コントローラは、前記繊維強化複合フィ
ラメントのせん断後、前記複数のアクチュエータに、残りの繊維強化複合フィラメントを
、前記プリントヘッドから前記複合フィラメントしごき先端を通してドラグさせる命令を
更に実行する、3Dプリンタ。
【請求項10】
請求項8に記載の3Dプリンタにおいて、前記コントローラは、前記繊維強化複合フィ
ラメントのせん断後、前記フィラメントドライブに、前記カッターに隣接する前記繊維強
化複合フィラメントの未接着の終端を保持させる命令を更に実行する、3Dプリンタ。
【請求項11】
請求項1に記載の3Dプリンタにおいて、前記フィラメントドライブと前記しごき先端
との間に位置するカッターを更に備え、前記コントローラは、前記カッターに、前記フィ
ラメントドライブと前記しごき先端との間における前記繊維強化複合フィラメントの未接
着の終端を保持する前に、前記繊維強化複合フィラメントをせん断させる命令を更に実行
する、3Dプリンタ。
【請求項12】
請求項1に記載の3Dプリンタにおいて、前記フィラメントドライブと前記しごき先端
との間に位置するカッターを更に備え、前記カッターは、
前記繊維強化複合フィラメントの径未満の厚さを有する刃を駆動するアクチュエータと

前記繊維強化複合フィラメントを前記カッターに誘導する導入管と、
前記繊維強化複合フィラメントを前記カッターから誘導する導出管とを備え、
前記刃は前記導入管と前記導出管との間で前記未溶融の繊維強化複合フィラメントをせ
ん断し、前記導入管と前記導出管との間の距離及び前記刃の厚さのどちらも前記未溶融の
繊維強化複合フィラメントの径以下である、3Dプリンタ。
【請求項13】
請求項12に記載の3Dプリンタにおいて、前記カッターと前記導入管及び前記導出管
の各々との間の隙間は前記カッターの厚さの1/4~1/2未満であり、前記導出管の内
径は前記導入管の内径よりも大きい、3Dプリンタ。
【請求項14】
請求項1に記載の3Dプリンタにおいて、前記コントローラは、前記複数のアクチュエ
ータに、前記部品から前記プリントヘッドを通って前記フィラメントドライブに延在する
複合フィラメントを固定する部品を、前記フィラメントドライブが未溶融の前記繊維強化
複合フィラメント及び前記繊維強化複合フィラメントの中に埋め込まれた軸方向繊維を前
進させる送り速度と実質的に同じ又はそれよりも速い印刷速度で移動させる命令を更に実
行する、3Dプリンタ。
【請求項15】
請求項1に記載の3Dプリンタにおいて、クラッチを更に備え、該クラッチは前記フィ
ラメントドライブをスリップさせ、前記印刷速度と前記送り速度の差に適応する、3Dプ
リンタ。
【請求項16】
請求項1に記載の3Dプリンタにおいて、前記冷却送りゾーン内に、前記未溶融の繊維
強化複合フィラメントの径の1.5~2.5倍の内径を有するすきまばめチャネルを更に
備え、前記チャネルは、前記フィラメントを経路又は軌道に沿って誘導する、及び/又は
前記フィラメントの座屈を防ぐ、3Dプリンタ。
【請求項17】
請求項16に記載の3Dプリンタにおいて、前記すきまばめチャネルと前記複合フィラ
メントしごき先端との間の前記プリントヘッドの内径は、前記繊維強化複合フィラメント
の径の2~6倍であり、前記内径は前記複合フィラメントの終端が、前記複合フィラメン
トしごき先端に隣接する前記プリントヘッドの内壁に接着するのに十分な伝熱を受けるの
を防ぐのに十分である、3Dプリンタ。
【請求項18】
請求項1に記載の3Dプリンタにおいて、 前記複合フィラメントを経路又は軌道に沿
って導き、及び/又は前記フィラメントの座屈を防ぐすきまばめチャネルを更に備え、
前記すきまばめチャネルと前記複合フィラメントしごき先端との間の前記プリントヘッド
の内径は、前記すきまばめチャネルの内径よりも大きい、3Dプリンタ。
【請求項19】
請求項1に記載の3Dプリンタにおいて、前記コントローラは、前記複数のアクチュエ
ータ及び前記フィラメントドライブに、協働して、繊維強化複合フィラメントを押圧及び
溶融する横方向圧力ゾーンを維持させ、前記プラテン体及びプリントヘッドが相対移動す
る際に前記プラテン体上に前記部品を形成する命令を更に実行する、3Dプリンタ。
【請求項20】
請求項19に記載の3Dプリンタにおいて、前記コントローラは、前記複数のアクチュ
エータ及び前記フィラメントドライブに、協働して、前記複合フィラメントの前記軸方向
ストランドに沿って圧縮力をかけさせる命令を更に実行する、3Dプリンタ。
【請求項21】
請求項1に記載の3Dプリンタにおいて、前記コントローラは、前記複数のアクチュエ
ータ及び前記フィラメントドライブに、前記加熱された複合フィラメントしごき先端の表
面を使用して、前記溶融されたマトリックスフィラメントの側面にしごき力をかけて前記
プラテン体上に前記部品を形成させる命令を更に実行する、3Dプリンタ。
【請求項22】
請求項1に記載の3Dプリンタにおいて、前記コントローラは、前記複数のアクチュエ
ータに、軸方向繊維に沿って、そして軸方向繊維を固定する部品と前記加熱された複合フ
ィラメントしごき先端との間に、中立から正の張力をかけさせる命令を更に実行する、3
Dプリンタ。
【請求項23】
請求項22に記載の3Dプリンタにおいて、前記中立から正の張力は、接着横列を前記
部品から分離するのに必要なものよりも小さい、3Dプリンタ。
【請求項24】
請求項1に記載の3Dプリンタにおいて、前記コントローラは、接着横列を形成するた
めに、前記フィラメントドライブを繊維強化複合フィラメントの堆積の前後に前記フィラ
メントを後退させないように制御する、3Dプリンタ。
【請求項25】
請求項8に記載の3Dプリンタにおいて、前記カッターと前記複合フィラメントしごき
先端との間の振れ距離を表す値を含むデータベースを更に備え、前記コントローラは、前
記複数のアクチュエータ及び前記フィラメントドライブに、ほぼ同期して休止させ、該休
止中、前記カッターに前記繊維強化複合フィラメントをせん断させ、前記複数のアクチュ
エータに、前記プリントヘッド及び前記プラテン体の相対移動を、少なくとも前記振れ距
離で、少なくとも1つの自由度に沿って再開させ、前記繊維強化複合フィラメントの残り
の接着を完了させる命令を更に実行する、3Dプリンタ。
【請求項26】
請求項8に記載の3Dプリンタにおいて、前記カッターと前記複合フィラメントしごき
先端との間の振れ距離を表す値を含むデータベースを更に備え、前記コントローラは、前
記複合フィラメントが前記部品に固定され、前記フィラメントドライブを通って送られる
際に、前記繊維強化複合材内で前進させる速度とほぼ共通の速度で、ほぼ同時に駆動させ
る前に、前記複数のアクチュエータ及び前記フィラメントドライブに、少なくとも1つの
共通の自由度に沿って、前記非弾性軸方向繊維ストランドを、前記フィラメントドライブ
に、前記未溶融の繊維強化複合フィラメントを前記振れ距離分前進させる命令を更に実行
する、3Dプリンタ。
【請求項27】
請求項1に記載の3Dプリンタにおいて、前記コントローラは、前記複数のアクチュエ
ータ及び前記フィラメントドライブに、前記加熱された複合フィラメントしごき先端を前
記部品の上に保持させ、前記繊維強化複合フィラメントを、前記繊維強化複合フィラメン
トが堆積される際にしごき、前記繊維強化複合フィラメント内の軸方向繊維ストランドの
ほぼ楕円断面の束を、前記部品の接着横列内の軸方向繊維ストランドのほぼ平坦なブロッ
クに再成形させる命令を更に実行する、3Dプリンタ。
【請求項28】
請求項1に記載の3Dプリンタにおいて、前記複合フィラメントしごき先端に隣接して
位置するカッターを更に備え、前記コントローラは、前記カッターに、前記複合フィラメ
ントしごき先端に隣接する前記複合フィラメントをせん断させる命令を更に実行する、3
Dプリンタ。
【請求項29】
請求項1に記載の3Dプリンタにおいて、前記コントローラは、前記複数のアクチュエ
ータに、前記プリントヘッド及び前記プラテン体を相対移動させ、及び前記マトリックス
材料が少なくとも部分的に溶融して張力を伝達できない間に、前記フィラメントドライブ
に、前記複合フィラメントしごき先端を通して前記フィラメントを引き出させ、かつ、少
なくとも1つの軸方向繊維ストランドに沿って張力を維持させる命令を更に実行する、3
Dコントローラ。
【請求項30】
請求項1に記載の3Dプリンタにおいて、前記コントローラは、前記複数のアクチュエ
ータに、前記プリントヘッド及び前記プラテン体を相対移動させ、前記フィラメントドラ
イブに、前記複合フィラメントしごき先端と前記部品とを相互に平行移動させ、前記マト
リックス材が溶融されて前記複合フィラメントしごき先端を通って引き出される際、前記
繊維強化複合フィラメントを、少なくとも1つの軸方向ストランドを含む前記マトリック
ス材を前記複合フィラメントしごき先端で平坦化することによってしごかせる命令を更に
実行する、3Dプリンタ。
【請求項31】
請求項1に記載の3Dプリンタにおいて、前記マトリックス材は、約10~100MP
aの極限引張強さ、及び10MPa未満の溶融極限引張強さを有する熱可塑性樹脂を含み
、前記少なくとも1つの軸方向ストランドは約200~100000MPaの極限引張強
さを有するストランド材を含む、3Dプリンタ。
【請求項32】
請求項1に記載の3Dプリンタにおいて、前記フィラメントは1×10E-5平方イン
チよりも大きく、2×10E-3平方インチよりも小さい断面積を有する、3Dプリンタ
【請求項33】
請求項1に記載の3Dプリンタにおいて、前記少なくとも1つの軸方向ストランドは、
任意の断面の領域に、100~6000の平行する連続軸方向ストランドを含む、3Dプ
リンタ。
【請求項34】
請求項1に記載の3Dプリンタにおいて、前記コントローラは、前記複数のアクチュエ
ータに、前記プリントヘッド及び前記プラテン体を相対移動させ、及び前記フィラメント
ドライブに、前記部品の最上部からの前記複合フィラメントしごき先端の高さを、前記フ
ィラメントの径より小さくなるように制御させる命令を更に実行する、3Dコントローラ
【請求項35】
請求項1に記載の3Dプリンタにおいて、前記マトリックス材は、約0.1~5GPa
の弾性係数及び0.1GPa未満の溶融弾性係数を有する熱可塑性樹脂を有し、前記少な
くとも1つの軸方向繊維ストランドは約5~1000GPaの弾性係数を有する、ストラ
ンド材を有する3Dプリンタ。
【請求項36】
請求項1に記載の3Dプリンタにおいて、前記コントローラは、前記複数のアクチュエ
ータに、前記プリントヘッド及び前記プラテン体を相対移動させ、並びに前記フィラメン
トドライブに、前記送り速度及び前記印刷速度の内の少なくとも一方を制御させて前記繊
維強化複合フィラメントを圧縮させ、前記部品に当接する前記フィラメントの端部を前記
複合フィラメントしごき先端の下で横方向に平行移動させ、熱及び圧力をかけてしごかせ
る命令を更に実行する、3Dプリンタ。
【請求項37】
請求項1に記載の3Dプリンタにおいて、前記コントローラは、前記複数のアクチュエ
ータに、前記プリントヘッド及び前記プラテン体を相対移動させ、並びに前記フィラメン
トドライブに、前記溶融マトリックス材及び前記少なくとも1つの軸方向繊維ストランド
を前記部品に圧入させて横方向及び垂直方向に接着横列を形成し、前記溶融マトリックス
材及び前記少なくとも1つの軸方向繊維ストランドに前記複合フィラメントしごき先端で
しごき力をかけるとともに、前記溶融マトリックス材及び前記少なくとも1つの軸方向繊
維ストランドに対向する再成形力を、前記部品自身からの垂直の反力としてかけることに
よって、少なくとも2つの側面上で前記接着横列を平坦化させる命令を更に実行する、3
Dプリンタ。
【請求項38】
請求項1に記載の3Dプリンタにおいて、前記フィラメントの前記マトリックス材は、
半芳香ポリアミド、及び半芳香ポリアミドと線状ポリアミドとの混合物の内の一つから形
成される、3Dプリンタ。
【請求項39】
請求項1に記載の3Dプリンタにおいて、前記フィラメントは0.006インチ以上、
0.030インチ以下の外径を有し、断面の領域のストランド数は約300~1000で
ある、3Dプリンタ。
【請求項40】
部品の積層造形方法であって:
マトリックス材料中に延在する複数のストランドを含む未溶融の繊維強化複合フィラメ
ントを供給するステップと;
前記繊維強化複合フィラメントを、横方向圧力ゾーンにおいて、前記マトリックス材料
の融点よりも高い温度まで加熱することにより、該マトリックス材料を前記繊維強化複合
フィラメント内で中間的に溶融させるステップと;
前記繊維強化複合フィラメントを前記部品に接着横列として堆積させる際に、前記繊維
強化複合フィラメントに平坦化力を作用させるステップと;
前記平坦化力と前記部品との間における前記繊維強化複合フィラメント内で、前記接着
横列を前記部品から分離するのに必要な力よりも小さい中立から正の張力を維持するステ
ップと;
を備える方法。
【請求項41】
請求項40に記載の方法において、未溶融の繊維強化複合フィラメントを供給する前記
ステップが、未溶融の繊維強化複合フィラメントを、該繊維強化複合フィラメントの座屈
を防止するすきまばめゾーンに沿って供給することを含む、方法。
【請求項42】
請求項40に記載の方法において、前記マトリックス材は、約10~100MPaの未
溶融の極限引張強さ、及び10MPa未満の溶融極限引張強さを有する熱可塑性樹脂を含
み、前記少なくとも1つの軸方向ストランドは約200~100000MPaの極限引張
強さを有するストランド材を含む、方法。
【請求項43】
請求項40に記載の方法において、前記繊維強化複合フィラメントを非接触ゾーンにお
いて加熱するステップと、前記中立から正の張力を複数のストランド内における張力を介
して維持するステップと、を備える、方法。
【請求項44】
請求項40に記載の方法において、前記複合フィラメントを前記横方向圧力ゾーンにお
いて接着横列として前記部品に取付ける際に、該複合フィラメントの帆ヴぉ一定の断面積
を維持するステップを更に備える、方法。
【請求項45】
請求項44に記載の方法において、前記繊維強化複合フィラメントは1×10E-5平
方インチよりも大きく、2×10E-3平方インチよりも小さい断面積を有する、
【請求項46】
請求項44に記載の方法において、少なくとも1つの前記軸方向ストランドは、任意の
断面の領域に、100~6000の平行する連続軸方向ストランドを含む、
【請求項47】
請求項40に記載の方法において、前記繊維強化複合フィラメントを前記平坦化力にお
いて、又はこれに近接する個所で切断するステップを更に備える、方法。
【請求項48】
請求項40に記載の方法において、前記繊維強化複合フィラメントを横方向圧力ゾーン
において前記部品における第1部分に対する取付け部から引き出すステップと、前記横方
向圧力ゾーンを、フリースペースを通して平行移動させるステップと、前記繊維強化複合
フィラメントを平坦化し、該繊維強化複合フィラメントを前記部品における第2部分に再
結合するステップと、を更に備える、方法。
【請求項49】
請求項40に記載の方法において、
前記繊維強化複合フィラメントを、横方向圧力ゾーンにおいて、前記マトリックス材料の
融点よりも高い温度まで加熱することにより、該マトリックス材料を前記繊維強化複合フ
ィラメント内で中間的に溶融させる前記ステップが、前記繊維強化複合フィラメントを、
横方向圧力ゾーンにおいて、前記マトリックス材料のガラス転移点よりも高い温度まで加
熱することにより、該マトリックス材料を前記繊維強化複合フィラメント内で中間的に流
動させることを含む、方法。
【請求項50】
請求項49に記載の方法において、前記繊維強化複合フィラメントを、横方向圧力ゾー
ンにおいて、前記マトリックス材料の融点よりも高い温度まで加熱することにより、該マ
トリックス材料を前記繊維強化複合フィラメント内で中間的に溶融させる前記ステップが
、前記繊維強化複合フィラメントを、横方向圧力ゾーンにおいて、前記マトリックス材料
の融点よりも高い温度まで加熱することにより、該マトリックス材料を前記繊維強化複合
フィラメント内で中間的に流動させることを含む、方法。
【請求項51】
部品の積層造形方法であって:
複数のストランドがマトリックス材料中に延在する未溶融の繊維強化複合フィラメント
を供給するステップと;
前記繊維強化複合フィラメントを前進させて、横方向圧力ゾーンにおいて前記部品に接
触させるステップと;
前記横方向圧力ゾーンを前記部品に対して該部品に隣接して平行移動させて、前記繊維
強化複合フィラメントの端部を溶融位置まで移動させるステップと;
前記マトリックス材料を前記溶融位置において前記繊維強化複合フィラメント内で中間
的に溶融させるステップと;
を備える、方法。
【請求項52】
請求項51に記載の方法において:
前記繊維強化複合フィラメントを前記部品に接着横列として加圧する際に、前記繊維強
化複合フィラメントを平坦化力により平坦化するステップと;
前記平坦化力と前記接着横列との間における前記繊維強化複合フィラメント内で、前記
接着横列を前記部品から分離するのに必要な力よりも小さい中立から正の張力を維持する
ステップと;
を更に備える、方法。
【請求項53】
請求項52に記載の方法において、前記平坦化の間に、前記部品の頂部からの平坦化力
の高さを、前記繊維強化複合フィラメントの直径よりも小さい値に制御するステップを更
に備える、方法。
【請求項54】
請求項51に記載の方法において、前記マトリックス材は、約0.1~5GPaの未溶
融の極限引張強さ、及び0.1GPa未満の溶融極限引張強さを有する熱可塑性樹脂を含
み、前記少なくとも1つの軸方向ストランドは約5~100000GPaの極限引張強さ
を有するストランド材を含む、方法。
【請求項55】
請求項51に記載の方法において、
前記繊維強化複合フィラメントを前記平坦化の直接上流側で加熱するステップと;
前記繊維強化複合フィラメントを軸方向圧縮力により、前記繊維強化複合フィラメント
に沿って延在する複数のストランド内において圧縮するステップと;
を備える、方法。
【請求項56】
請求項55に記載の方法において、前記部品に当接する前記繊維強化複合フィラメント
の端部を前記横方向加圧ゾーンの下で横方向に平行移動させ、熱及び圧力をかけてしごく
ステップを更に備える、方法。
【請求項57】
請求項56に記載の方法において、前記繊維強化複合フィラメントを、少なくとも1つ
のチャネルを通じて、前記マトリックス材料のガラス転移温度以下の温度に維持するステ
ップを更に備える、方法。
【請求項58】
請求項51に記載の方法において、前記繊維強化複合フィラメントを非溶融状態で切断
するステップを更に備える、方法。
【請求項59】
請求項51に記載の方法において、前記繊維強化複合フィラメントを、前記横方向加圧
ゾーンに隣接するキャビティにおける少なくとも1つの加熱された壁との接触から防止す
る、方法。
【請求項60】
請求項51に記載の方法において、前記繊維強化複合フィラメントを、前記横方向加圧
ゾーンにおいて加圧された部材と接触させて、前記繊維強化複合フィラメントのマトリッ
クス材料を溶融させるステップを更に備える、方法。
【請求項61】
請求項51に記載の方法において、前記しごかれた繊維強化複合フィラメントから、前
記部品に接着された横方向接着列を形成し、前記横方向接着列を、平坦化力と、先に形成
されている横方向接着列からの反力とで横方向及び垂直方向に再成形するステップを更に
備える、方法。
【請求項62】
請求項51に記載の方法において、前記横方向圧力ゾーンを前記部品に対して該部品に
隣接して平行移動させて、前記繊維強化複合フィラメントの端部を溶融位置まで移動させ
る前記ステップが、前記横方向圧力ゾーンを前記部品に対して該部品に隣接して平行移動
させて、前記繊維強化複合フィラメントの端部をガラス転移位置まで移動させることを含
み、前記マトリックス材料を前記溶融位置において前記繊維強化複合フィラメント内で中
間的に溶融させる前記ステップが、前記マトリックス材料を前記ガラス転移位置において
前記繊維強化複合フィラメント内で中間的に溶融させることを含む、方法。
【請求項63】
請求項51に記載の方法において、前記横方向圧力ゾーンを前記部品に対して該部品に
隣接して平行移動させて、前記繊維強化複合フィラメントの端部を溶融位置まで移動させ
る前記ステップが、前記横方向圧力ゾーンを前記部品に対して該部品に隣接して平行移動
させて、前記繊維強化複合フィラメントの端部を融点位置まで移動させることを含み、前
記マトリックス材料を前記溶融位置において前記繊維強化複合フィラメント内で中間的に
溶融させる前記ステップが、前記マトリックス材料を前記融点位置において前記繊維強化
複合フィラメント内で中間的に流動させることを含む、方法。
【請求項64】
部品の積層造形用の3Dプリンタであって:
マトリックス材料中に延在する1つ又は複数のストランドを含む繊維強化複合フィラメ
ントの繊維複合フィラメント供給源と;
造形プレートと;
再成形リップを含むプリントヘッドと;
横方向加圧及び接着機構と;を備え、該機構が、
前記再成形リップ及び造形プレートを相対移動させて前記軸方向繊維ストランドの側
部を前記部品に接触させると共に前記軸方向繊維ストランドの側部を前記部品内まで圧縮
するための複数のアクチュエータ、並びに
前記再成形リップにおいて前記マトリックス材料を流動化させ、前記マトリックス材
料を前記部品に接着させるための再成形リップヒータを含む、3Dプリンタ。
【請求項65】
請求項64に記載の3Dプリンタにおいて、
前記繊維強化複合フィラメントを前記再成形リップに沿って誘導すると共に、前記繊維
強化複合フィラメントの座屈を防止するすきまばめチャネルと;
該すきまばめチャネル及び前記再成形リップの間に配置され、前記再成形リップよりも
冷たい供給ゾーンと;
を更に備える、3Dプリンタ。
【請求項66】
請求項64に記載の3Dプリンタにおいて、前記複数のアクチュエータは、前記再成形
リップ及び造形プレートを更に相対移動させ、印刷されている部分からの反力を作用させ
て前記繊維強化複合フィラメントを加圧することにより、実質的に平坦な表面に下側で接
着されたほぼ矩形の接着列を形成する、3Dプリンタ。
【請求項67】
請求項64に記載の3Dプリンタにおいて、前記複数のアクチュエータは、前記再成形
リップ及び造形プレートを更に相対移動させ、前記繊維強化複合フィラメントの側部にし
ごき力を作用させて前記繊維強化複合フィラメントをしごくことにより接着横列を形成す
る、3Dプリンタ。
【請求項68】
請求項64に記載の3Dプリンタにおいて、前記繊維強化複合フィラメントを前進させ
るための供給機構を更に備え、該供給機構及び前記複数のアクチュエータは、前記繊維強
化複合フィラメント、再成形リップ及び造形プレートを更に相対移動させ、前記軸方向繊
維ストランドを通じて、堆積済み接着横列と前記プリントヘッドとの間で、接着横列を前
記部品から分離させるために必要とされる力よりも小さい張力を作用させる、3Dプリン
タ。
【請求項69】
請求項64に記載の3Dプリンタにおいて、前記供給機構及び複数のアクチュエータは
、前記繊維強化複合フィラメント、再成形リップ及び造形プレートを更に相対移動させ、
繊維強化複合フィラメント印刷フェーズで横方向加圧及び軸方向張力を介して接着横列を
適用し、かつ、繊維強化複合フィラメント前進フェーズで横方向加圧及び軸方向圧縮を介
して接着横列を適用する、3Dプリンタ。
【請求項70】
3D印刷システムであって:
入口及び該入口に流体接続する出口を有するノズルと;
繊維強化複合フィラメントを前記ノズルに供給するように構成された供給機構と;
前記繊維強化複合フィラメントを、前記ノズルの入口から出口に至る経路に沿って誘導
するすきまばめチャネルと;
印刷された構造を受けるように構成された造形プレートと;
前記造形プレートに対する前記ノズルの相対位置又は速度を制御するように構成された
コントローラと;
を備える、3D印刷システム。
【請求項71】
請求項70に記載の3D印刷システムにおいて、前記出口の断面積が前記入口の断面積
よりも大きい、3D印刷システム。
【請求項72】
請求項70に記載の3D印刷システムにおいて、前記ノズルは、ヒータ及び/又はホッ
トゾーン及び/又はホットキャビティのエレメントを含む、3D印刷システム。
【請求項73】
請求項70に記載の3D印刷システムにおいて、前記出口は、外向きに延在するリップ
、面取り部、フィレット、アーク又は、前記出口からの円滑な移行部を形成する他の適宜
形状により構成される、3D印刷システム。
【請求項74】
請求項70に記載の3D印刷システムにおいて、前記繊維強化複合フィラメントを切断
するように構成されたカッターを更に備える、3D印刷システム。
【請求項75】
請求項74に記載の3D印刷システムにおいて、前記カッターは、前記出口及び前駆供
給機構の間に配置される、3D印刷システム。
【請求項76】
請求項74に記載の3D印刷システムにおいて、前記カッターは、前記出口に配置され
る、3D印刷システム。
【請求項77】
請求項74に記載の3D印刷システムにおいて、前記カッターは、前記すきまばめチャ
ネルに配置される、3D印刷システム。
【請求項78】
請求項74に記載の3D印刷システムにおいて、前記カッターは、切断ブレードである
、3D印刷システム。
【請求項79】
請求項74に記載の3D印刷システムにおいて、前記カッターは、レーザ、高圧空気、
流体又はシアーを適用する、3D印刷システム。
【請求項80】
請求項70に記載の3D印刷システムにおいて、前記供給機構は、被動摩擦ローラ、コ
ンベヤ又は供給トラックを含む、3D印刷システム。
【請求項81】
請求項70に記載の3D印刷システムにおいて、前記すきまばめチャネルは、チューブ
、導管、ガイドチャネル、コンベヤローラ又はボールを含む、3D印刷システム。
【請求項82】
請求項70に記載の3D印刷システムにおいて、前記造形プレートは、1つ又は複数の
リニアアクチュエータを含む、3D印刷システム。
【請求項83】
請求項70に記載の3D印刷システムにおいて、前記コントローラは、力、変位及び又
は速度センサを含む、3D印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、米国特許法第119条(e)の定めにより、2013年7月17日に出願され
た米国仮特許出願第61/847,113号、2013年9月15日に出願された同第61/878,029号
、2013年9月19日に出願された同第61/880,129号、2013年9月24日に出願さ
れた同第61/881,946号、2013年9月27日に出願された同第61/883,440号、2013
年11月10日に出願された同第61/902,256号及び2013年11月22日に出願された
同第61/907,431号の利益を主張するものであり、その全体の開示を参考として本明細書に
援用し、また本願は、2014年3月21日に出願された米国特許出願第14/222,318号及
び2014年6月5日に出願された同第14/297,437号の一部継続出願であり、その全体の
開示を参考として本明細書に援用する。本願は、2013年3月22日に出願された米国
仮特許出願第61/804,235号、2013年4月24日に出願された同第61/815,531号、20
13年6月5日に出願された同第61/831,600号にも関連し、その全体の開示を参考として
本明細書に援用する。
【技術分野】
【0002】
本態様は3D印刷に関するものである。
【背景技術】
【0003】
当技術分野としての「3D印刷」は、ステレオリソグラフィ(SLA:Stereolithogra
phy)や融解フィラメント製法(FFF: Fused Filament Fabrication)などの種々の方
法を含む。SLAにおいては、典型的に、耐久性又は紫外線安定性のない概念実証作業に
使用され高分解能部品が作製され、一方FFFにおいては、ノズルからABSの連続した
フィラメントビーズ又は同様のポリマーが押し出される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
「複合積層」は従来3D印刷に関係するものではない。当技術分野において、予備含浸
(「プリプレグ」)された複合繊維シートは樹脂結合剤によって2Dパターンに含浸され
る。その後1つ又は複数の個々のシートを型に層状に重ね、結合樹脂を加熱して液化させ
、硬化させて最終品となる。
【0005】
「複合フィラメントワインディング」も従来3D印刷に関係するものではない。当技術
分野において、何千もの個々の炭素ストランドを含む粘着性のある「トウ(tow)」をカ
スタムマンドレルに巻き付けて回転対称品を形成する。任意の凹形状を「架橋する」ピン
と張ったフィラメントのため、フィラメントワインディングは典型的には凸形状に制限さ
れる。
【0006】
複合積層又は複合フィラメントワインディングの利益を提供する、商業的又は実験的
3D「プリント」の技術はない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の実施形態及び/又は態様によれば、部品(a part)の積層造形のための
ステップの1つの組み合わせ及び/又はそのようなステップのサブセット又はスーパーセ
ットを用いる3Dプリンタは、フィラメントの、大きな空隙を有さないマトリックス材内
に延在する1つ又は複数の軸方向繊維ストランドを含む、未溶融でボイドレスの繊維強化
複合フィラメントの供給部を含む。未溶融の複合フィラメントは、フィラメントが導管ノ
ズルの曲がりセクション(すなわち、任意選択で導管ノズル端と部品の間にフィラメント
径以下の導管隙間を有する、部品に対向する導管ノズル端)に到着するまで、送り速度で
、フィラメントの曲がりを防止するすきまばめゾーンに沿って送られる。フィラメントは
マトリックス材の溶融温度よりも高い温度に加熱され、フィラメント内、特に横方向圧力
ゾーン内でマトリックス材は格子間で(interstitially)溶融される。繊維強化複合フィ
ラメントを部品の接着横列(bonded rank)に堆積(deposit)する際に、溶融マトリック
ス材と、しごきリップを有する繊維強化複合フィラメントの1つ又は複数の軸方向繊維ス
トランドとに、しごき力がかけられる。この場合、しごきリップは、しごきリップと部品
の間の繊維強化複合フィラメントにおいて中立から正の張力が維持される印刷速度で、部
品に隣接して平行移動される。この中立から正(すなわち、張力ゼロから僅かな張力)の
張力は、部品から接着横列を分離させるために必要な張力よりも小さい。
【0008】
本発明の第2の実施形態及び/又は態様によれば、部品の積層造形のためのステップの
更なる若しくは代替の組み合わせ、及び/又はそのようなステップのサブセット若しくは
スーパーセットを用いる3Dプリンタは、上述の供給ステップと、送り速度で繊維強化複
合フィラメントを送るステップとを含む。フィラメントは、特に横方向圧力ゾーンで同様
に加熱される。複合フィラメントの溶融マトリックス材及び少なくとも1つの軸方向繊維
ストランドを、(例えば加熱されたプリントヘッドに、未溶融の状態で)通し、横方向圧
力ゾーンで部品と接触させる。この横方向圧力ゾーンを部品に対して又は部品に隣接させ
て印刷速度で平行移動させ、フィラメント(繊維及びマトリックスを含む)の端部を溶融
位置に持ってくる。この位置に到達させるため、フィラメントの端部を任意選択で曲げて
もよい。溶融位置において、マトリックス材はフィラメント内で格子間で溶融される。
【0009】
本発明の第3の実施形態及び/又は態様によれば、部品の積層造形のための3Dプリン
タ及び/又はかかるプリンタによって実行される方法のステップのサブセット若しくはス
ーパーセットは、フィラメントの、大きな空隙を有さないマトリックス材内に延在する1
つ又は複数の軸方向繊維ストランドを含む、未溶融でボイドレスの繊維強化複合フィラメ
ントの繊維複合フィラメント(例えば、フィラメントひと巻き、又は個別のフィラメント
セグメントのマガジン)の供給を含む。1つ又は複数の直線送り機構(例えば、材料送り
速度と印刷速度の間に差動を可能にする滑りクラッチ又は一方向ベアリングを任意選択で
含む、摩擦駆動ローラ若しくはコンベヤ、送りトラック、重力、油圧又はその他の圧力な
ど)は、任意選択で、経路若しくは軌道に沿ってフィラメントを誘導する、及び/又はフ
ィラメントの曲がりを防止する、すきまばめチャネル(例えば、チューブ、導管、固体内
でチャネルを誘導するもの、コンベヤローラー又はボール)に沿って、送り速度で、未溶
融の複合フィラメントを前進させる。プリントヘッドは、ヒータ並びに/又はホットゾー
ン並びに/又はホットキャビティ、1つ又は複数のフィラメントガイド、冷却送りゾーン
並びに/又は冷却器、並びに/又は再成形リップ、圧入先端、しごき先端並びに/又はし
ごきプレート、並びに/又は、プリントヘッドをX,Y,Zの任意の方向及び/若しくは
更に1~3つの回転自由度に移動させるリニア及び/若しくは回転アクチュエータの素子
を、(全て任意選択及び/又は代替的に)含み得る。
【0010】
本発明のこの第3の実施形態/態様及び任意選択でその他の実施形態/態様において、
プラテン体(build platen)は、表面体(build surface)を含むことができるとともに
、プラテン体をX,Y,Zの任意の方向及び/又は更に1~3の回転自由度に移動させる
、1つ又は複数のリニアアクチュエータを含み得る。ヒータ(例えば、放射ヒータ、誘導
ヒータ、熱風噴霧又は流体噴霧、抵抗ヒータ、電磁放射ビームを適用したもの、任意選択
でしごき先端の加熱)は、(単一の繊維の周囲のマトリックス材、又は複数のストランド
の場合、フィラメント内のストランド間を格子間で溶融するために)フィラメント、特に
マトリックス材をマトリックス材の溶融温度よりも高い温度に加熱する。プリントヘッド
及び/又はプラテン体のリニアアクチュエータ及び/又は回転アクチュエータは、各々単
独で及び/又は協働して、印刷速度、すなわち接着横列が形成される速度を定める。コン
トローラは、ヒータ及びフィラメントの温度、並びに/又はヒータによって消耗されたエ
ネルギーを、任意選択でセンサを介して監視する。
【0011】
本発明の第3の実施形態/態様、及び任意選択でその他の実施形態/態様において、送
り機構、すきまばめチャネル、プラテン体のリニア若しくは回転アクチュエータ及び/若
しくはプリントヘッドのリニア若しくは回転アクチュエータ、ガイド、ホットキャビティ
、並びに/又は再成形若しくはしごきリップ若しくは先端は、プラテン体上又は印刷され
る部分にフィラメントを圧入及び/又は溶融する横方向圧力ゾーンとして、(任意の組み
合わせ若しくはその並べ替え、又は両方で)任意選択に協働させ得る。任意選択で、プリ
ントヘッド及び/若しくはプラテン体のリニア及び回転アクチュエータ、並びに/又は1
つ又は複数のリニア送り機構を、コントローラ監視力、変位及び/又は速度センサによっ
て制御し、フィラメントの軸方向ストランド(例えば、送りローラ径に対して接線方向)
に沿って圧縮力を加え、及び/又はプラテン体若しくは印刷される部分から反力をかけ、
溶融されたマトリックスフィラメントをプラテン体又は部品の前の層に圧入し、接着横列
(すなわち、ほぼ平らな面の下及びその片側に接着されたほぼ長方形の横列)を形成する
ことができる。
【0012】
本発明の第3の実施形態/態様及び任意選択でその他の実施形態/態様において、全く
任意選択でそれに加えて、又はそれに代えて、プリントヘッド及び/若しくはプラテン体
のリニア及び回転アクチュエータ、並びに/又は1つ又は複数のリニア送り機構を、コン
トローラ監視力、変位及び/又は速度センサによって制御し、横、斜め、下向きのしごき
及び/又はしごき力を(任意選択で、再成形及び/又はしごきリップ、先端又はプレート
であってもよい、プリントヘッドの表面又はその隣接部分を使用して)溶融マトリックス
フィラメントの側面にかけ、溶融マトリックスフィラメントをプラテン体に対して又は部
品の前の層内に圧入し、接着横列を形成する。全く任意選択でそれに加えて又はそれに代
えて、プリントヘッド及び/若しくはプラテン体のリニア及び回転アクチュエータ並びに
/又は1つ又は複数のリニア送り機構を、コントローラ監視力、変位及び/又は速度セン
サによって制御し、中立から正の張力を、フィラメントのストランド及び未溶融マトリッ
クスを通して、並びに/又はプラテン体、先に堆積された接着横列及びプリントヘッド又
は送り機構の間を(任意選択で、再成形及び/若しくはしごきリップ、先端、又はプレー
トである、プリントヘッドの表面又はその隣接部を使って、及び更に任意選択で、プリン
トヘッド若しくはガイドの内面、及び/若しくは送り機構クラッチ、スリップ、モータド
ライブ、アイドリング、モータ内部抵抗、並びに/又は小さな抵抗電流を使って)、部品
に隣接して、再成形リップと部品の間の繊維強化複合フィラメントに中立から正の張力が
維持される印刷速度でかけてもよい。この張力は、任意選択で、接着横列の形成を持続さ
せるための、接着横列を部品から分離するために必要な張力よりも小さい、中立から正の
張力であり、更に任意選択で及び/又は代替的に、溶融マトリックスによってプリントヘ
ッドに接着された不連続な内部繊維からフィラメントを分離又はせん断するのに十分なも
のであってもよい。
【0013】
本発明の第3の実施形態/態様及び任意選択で第1及び第2の実施形態/態様を含むそ
の他の実施形態/態様において、プリントヘッド及び/若しくはプラテン体のリニア及び
回転アクチュエータ、並びに/又は1つ又は複数のリニア送り機構を、コントローラ監視
力、変位及び/又は速度センサによって制御し、横、斜め、下方向、再成形及び/又はし
ごき力を(任意選択で再成形及び/又はしごきリップ、先端、又はプレートであり得るプ
リントヘッドの表面又は隣接部を使用して)加え、プリンタ、フィラメント及び部品内の
異なる印刷段階(例えば、スレッディング段階及び印刷段階)において異なる力のバラン
スを生成することができる。例えば、本発明の一実施形態又は態様において、プリントヘ
ッド及び/又はプラテン体のリニア及び回転アクチュエータ、並びに/又は1つ又は複数
のリニア送り機構を、コントローラ監視力、変位及び/又は速度センサによって制御し、
横、斜め、下向きの再成形及び/又はしごき力(任意選択で再成形及び/又はしごきリッ
プ、先端又はプレートである、プリントヘッドの表面又は隣接部を使用して)を、連続印
刷段階では主に側圧及び軸方向の張力を介して、そしてスレッディング又は初期化段階に
おいては主に側圧及び軸圧縮を介して接着横列へかけてもよい。
【0014】
本発明の第4の実施形態及び/又は態様において、部品の積層造形用の3Dプリンタ及
び/又はこのようなプリンタによって実行される方法のステップのサブセット又はスーパ
ーセットは、フィラメントのマトリックス材に延在する1つ又は複数の非弾性軸方向繊維
ストランドを含む未溶融の繊維強化複合フィラメントの繊維複合フィラメントの供給を含
む。部品を支持する可動プラテン体が存在する。プリントヘッドはプラテン体に対向し、
複合フィラメントしごき先端と、複合フィラメントしごき先端をマトリックス材の溶融温
度以上に加熱するヒータとを含む。複数のプリントアクチュエータは、プリントヘッド及
びプラテン体を3自由度で相対移動させ、フィラメントドライブは未溶融の繊維強化複合
フィラメントとその中に埋め込まれた非弾性繊維ストランドとをリニア送り速度で移動さ
せる。フィラメントドライブとしごき先端の間に位置する冷却送りゾーンをマトリックス
材の溶融温度以下に維持する。ヒータ、フィラメントドライブ及びプリントアクチュエー
タに動作可能に接続されるコントローラは命令を実行し、そうすることによってフィラメ
ントドライブは複合フィラメントの接着されていない終端をフィラメントドライブとしご
き先端の間の冷却送りゾーンに保持する。コントローラは任意選択で接着された作動素子
が下記に述べる機能を実行するよう、更なる命令を実行することができる。
【0015】
本発明の第4の実施形態/態様及び任意選択でその他の実施形態/態様において(「そ
の他の実施形態/態様」には、第1、第2、第3及び第4の実施形態/態様が含まれるが
、それらに限定されない)、フィラメントドライブは複合フィラメントの未接着の終端を
、プリントヘッドを通して加熱された複合フィラメントしごき先端まで、未接着の終端が
フィラメントのマトリックス材を溶融するのに十分な温度を有する場所を通過する際、少
なくとも電流送り速度で進むよう、停止することなく前進させる。全く任意選択で、フィ
ラメントドライブは、複合フィラメントの未接着の終端を、プリントヘッドを通して加熱
された複合フィラメントしごき先端まで、この未接着の終端が複合フィラメントしごき先
端に隣接するプリントヘッドの内壁に接着する十分な熱伝導を受けないようにする十分な
速度で前進させることができる。
【0016】
これに加えて及び/又は任意選択で、本発明の第4の実施形態/態様及び任意選択でそ
の他の実施形態/態様において、アクチュエータは、フィラメントドライブが複合フィラ
メントの未接着の終端を加熱された複合フィラメントしごき先端に前進させるほぼその瞬
間に、プリントヘッド及びプラテン体を少なくとも1つの自由度で相対移動させ始める。
それに代えて、又はそれに加え、フィラメントドライブは1つ又は複数の非弾性軸方向繊
維ストランドの終端及び少なくとも一部がプラテン体の部品内に固定されるまで前進する
【0017】
それに加えて及び/又は任意選択で、本発明の第4の実施形態/態様及び任意選択でそ
の他の実施形態/態様において、カッターをフィラメントドライブとしごき先端の間に設
置し、これで冷却送りゾーン内の未溶融の繊維強化複合フィラメントを切断する。未溶融
の繊維強化複合フィラメントの切断後、アクチュエータは残りの未溶融の繊維強化複合フ
ィラメントをプリントヘッドから冷却送りゾーン及び複合フィラメントしごき先端を通し
てドラグし得る。それに代えて又はそれに加えて、未溶融の繊維強化複合フィラメントの
切断後、フィラメントドライブは、カッターに隣接する冷却送りゾーンに、未溶融の繊維
強化複合フィラメントの未接着の終端を保持し得る。それに代えて又はそれに加えて、カ
ッターをフィラメントドライブとしごき先端の間に設置し、未溶融の繊維強化複合フィラ
メントの未接着の終端をフィラメントドライブとしごき先端の間の冷却送りゾーンに保持
する前に、未溶融の繊維強化複合フィラメントを切断し得る。それに代えて又はそれに加
えて、カッターは、導入管と導出管の間の未溶融の繊維強化複合フィラメントの径よりも
小さい厚さを有する刃を有し、導入管と導出管の間の距離及び刃の厚さを未溶融の繊維強
化複合フィラメントの径以下とすることができる。
【0018】
それに加えて及び/又は任意選択で、本発明の第4の実施形態/態様及び任意選択でそ
の他の実施形態/態様において、クラッチによってフィラメントドライブを滑らせ、印刷
速度と送り速度の差を調整できるようにすることができる。全く任意選択でそれに代えて
又はそれに加えて、冷却送りゾーン内のすきまばめチャネルは未溶融の繊維強化複合フィ
ラメントの径の1.5~2.5倍の内径を有し、経路又は軌道に沿ってフィラメントを誘
導し、及び/又はフィラメントの曲がりを防止する。全く任意選択でそれに代えて又はそ
れに加えて、すきまばめチャネルと複合フィラメントしごき先端との間のプリントヘッド
の内径は、未溶融の繊維強化複合フィラメントの径の2~6倍であり、これは未接着の終
端が複合フィラメントしごき先端に隣接するプリントヘッドの内壁に接着するのに十分な
熱伝達を受け取らないようにするのに十分である。
【0019】
それに加えて及び/又は任意選択で、本発明の第4の実施形態/態様及び任意選択でそ
の他の実施形態/態様において、プリントアクチュエータ及びフィラメントドライブを協
働させて繊維強化複合フィラメントを圧入、溶融し、プラテン体とプリントヘッドが相対
移動する際にプラテン体上に部品を形成する横方向圧力ゾーンを維持し、並びに/又は協
働させてフィラメントの非弾性軸方向ストランドに沿って圧縮力を加え、並びに/又は加
熱された複合フィラメントしごき先端の表面を使って溶融されたマトリックスフィラメン
トの側面にしごき力を加え、プラテン体に部品を形成し、並びに/又は埋め込まれた非弾
性繊維沿い、及び埋め込まれた非弾性繊維を固定する部品と加熱された複合フィラメント
しごき先端の間に、中立から正の張力を加える。
【0020】
それに加えて及び/又は任意選択で、本発明の第4の実施形態/態様及び任意選択でそ
の他の実施形態/態様において、プリントアクチュエータ及びフィラメントドライブをほ
ぼ同期して休止させ、この休止中にカッターが未溶融の繊維強化複合フィラメントを切断
し、その後プリントヘッドとプラテン体を、少なくとも振れ距離(カッターとしごき先端
との間の測定)の少なくとも1つの自由度に沿って相対移動させ、繊維強化複合フィラメ
ントの残りの接着を完了させる。
【0021】
それに加えて及び/又は任意選択で、本発明の第4の実施形態/態様及び任意選択でそ
の他の実施形態/態様において、フィラメントドライブは、プリントアクチュエータ及び
フィラメントドライブに、非弾性軸方向繊維ストランドを繊維強化複合フィラメント内で
前進させるのとほぼ同じ速度で、それが部品に固定されてフィラメントドライブを通り過
ぎる際、少なくとも1つの共通の自由度に沿ってほぼ同期して駆動させる前に、未溶融の
繊維強化複合フィラメントを、振れ距離の分だけ前進させる。
【0022】
それに加えて及び/又は任意選択で、本発明の第4の実施形態/態様及び任意選択でそ
の他の実施形態/態様において、プリントアクチュエータ及びフィラメントドライブは、
加熱された複合フィラメントしごき先端を、繊維強化複合フィラメントを繊維強化複合フ
ィラメント内の非弾性軸方向繊維ストランドのほぼ楕円形の束を部品の接着横列内で非弾
性繊維ストランドのほぼ平坦なブロックに再成形するために堆積させる際に、繊維強化複
合フィラメントをしごくため、部品よりも高い位置に保持する。任意選択で又はそれに加
えて、プリントヘッド及びプラテン体は相対移動して、マトリックス材が溶融されて複合
フィラメントしごき先端から引き出される際に、複合フィラメントしごき先端で少なくと
も1つの軸方向ストランドを含むマトリックス材を平らにすることによって繊維強化複合
フィラメントをしごく。
【0023】
上述の第1~第4実施形態のステップ又は構造はどれも本発明にとって欠かせないもの
ではなく、本発明はこれらのものの異なる組み合わせとして表すことができる。具体的に
は、繊維強化フィラメントの部品への圧入は、スレッディング又は初期化中、繊維複合体
(一部は溶融され、一部はガラスマトリックスの、未溶融の繊維ストランド)に沿った軸
圧縮、並びに/又は横方向圧力ゾーン(例えばプリントヘッド先端)における「しごき」
及び/又は再成形、並びに/又はリップの再成形及び/若しくはプリントヘッドに付属さ
れた「しごき」プレートによって、任意選択で一時的に行なうことができる。各手法及び
構造はそれ自体で有効であるが、本発明ではその並び替え及び組み合わせで用いられる。
更に圧入は未溶融の繊維ストランドを介してフィラメントに維持されている圧縮又は張力
と組み合わせて行なうことができる。圧入又はしごきは、横方向圧力ゾーン(例えばプリ
ントヘッド先端)及び/若しくはしごきリップ並びに/又は付属の「しごき」プレートの
上流及び下流に張力が存在する中で、あるいは圧入の下流及び横方向圧力ゾーン(例えば
プリントヘッド先端)並びに/又はしごきリップ並びに/又は付属の「しごき」プレート
の上流に張力が存在する中で、行なうことができる。
【0024】
本発明のこれらの第1~第4の実施形態又は態様の各々において、及び本発明のその他
の実施形態又は態様において、任意選択で、マトリックス材は、約0.1~5GPaの未
溶融弾性係数、及び/又は約10~100MPaの未溶融極限引張強さ、0.1GPa未
満の溶融弾性係数及び10MPa未満の溶融極限引張強さを有する熱可塑性樹脂を含み、
1つ又は複数の軸方向繊維ストランドは、約5~1000GPaの弾性係数と約200~
100000MPaの極限引張強さとを有する。これらの実施形態又は態様は、任意選択
で、すきまばめゾーン、非接触ゾーン、横方向圧力ゾーンにおいて、接着横列をワークピ
ースに接着する際、繊維強化複合フィラメントのほぼ一定した断面積を維持する。本発明
のこれらの第1~第3の実施形態又は態様の各々において、任意選択でフィラメントは1
×10E-5インチよりも大きく、2×10E‐3インチよりも小さい断面積を有する。
更に任意選択で、少なくとも1つの軸方向ストランドは、任意の断面積において、100
~6000の重なり合う軸方向ストランド又は平行して連続する軸方向ストランドを含む
。このようなマトリックス材には、アクリロニトリルブタジエンスチレン、エポキシ、ビ
ニル、ナイロン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ乳酸又は結晶
高分子があり、このような軸方向ストランド材には炭素繊維、アラミド繊維又は繊維ガラ
スがある。
【0025】
任意選択で、本発明の第1~第4の実施形態又は態様、及び本発明のその他の実施形態
又は態様の何れかにおいて、送り速度と印刷速度の内の少なくとも1つを任意選択で制御
して、すきまばめゾーン内の繊維強化複合フィラメントの圧縮を維持する。これらの若し
くはその他の実施形態若しくは態様に加えて、又はそれに代えて、任意選択で、スレッデ
ィング又は初期化段階で、フィラメントをしごきのすぐ上流の非接触ゾーンで加熱し、送
り速度及び印刷速度を制御して、フィラメントに沿って延在する1つ又は複数の軸方向繊
維ストランド内の軸方向圧縮力を介して、非接触ゾーン内のフィラメントに沿った軸方向
圧縮を誘導する。本発明のこれらの及びその他の実施形態及び態様に加えて、又はそれに
代えて、任意選択で、スレッディング又は初期化段階において、送り速度及び印刷速度の
内の少なくとも1つを制御して繊維強化複合フィラメントを圧縮し、部品に当接するフィ
ラメントの端部をしごきリップの下で横方向に平行移動させ、熱及び圧力を加えてしごく
。本発明のこれらの及びその他の実施形態及び態様に加えて、又はそれに代えて、フィラ
メントをしごきリップによって加熱及び/又は溶融し、送り速度及び印刷速度の内の何れ
か又は両方を制御して、主にフィラメントに沿って延在する少なくとも1つの軸方向繊維
ストランド内の張力を介して、しごきリップと部品の間の繊維強化複合フィラメントに中
立から正の張力を維持する。
【0026】
任意選択で、本発明の第1~第4の実施形態又は態様、及び本発明のその他の実施形態
又は態様の何れかにおいて、供給ステップを任意選択でカートリッジを介して行い、強化
繊維材の製造又は形成速度(例えば繊維とマトリックスの混合)を印刷速度から分離する
【0027】
任意選択で、本発明の第1~第4の実施形態又は態様、及び本発明のその他の実施形態
又は態様の何れかにおいて、本方法はフィラメントで固体シェルを形成するステップを含
み、及び/又はしごきリップに丸みをもたせることができる。本発明のこれらの及びその
他の実施形態若しくは態様に加えて、又はそれに代えて、しごきリップを、導管ノズルの
先端、又は導管ノズル若しくは印刷誘導入口の断面積よりも大きな導管ノズル小穴若しく
は出口の断面積を有する印刷ガイドの先端に設置することができる。本発明のこれらの及
びその他の実施形態若しくは態様に加えて、又はそれに代えて、加熱キャビティ又は非接
触ゾーンの壁内の断面積は、すきまばめゾーンの断面積よりも大きい。
【0028】
任意選択で、本発明の第1~第4の実施形態又は態様、及び本発明のその他の実施形態
又は態様の何れかにおいて、1つ又は複数の繊維コアを、フィラメントの軸方向に沿って
延在する別個の一連のセグメント(a train of separate segments)として構成してもよ
い。この場合、セグメントは、フィラメントの軸方向に沿った、予めインデックスされた
場所に設置してもよく、及び/又は、セグメントの内の少なくともいくつかをフィラメン
トの軸方向に沿って重なり合うように設置してもよい。本発明のこれらの及びその他の実
施形態若しくは態様に加えて、又はそれに代えて、セグメントの平均長さは加熱又は非接
触ゾーンの長さ以下とすることができる。
【0029】
任意選択で、本発明の第1~第4の実施形態又は態様、及び本発明のその他の実施形態
又は態様の何れかにおいて、第1フィラメントの第1の所望パターンのマトリックス材の
層への押出し/引抜き(push-pultrusion)プロセスは、マトリックス層の硬化(例えば
、ステレオリソグラフィ又は選択的レーザ焼結)の前に、又はこれと平行して行ない、堆
積第1フィラメントを含む部品の層を形成することができる。本発明のこれらの及びその
他の実施形態若しくは態様に加えて、又はそれに代えて、この代替実施形態/態様は任意
選択で、第1フィラメントを切断するステップ、及び第2フィラメントをマトリックス材
の層の第2の所望パターンに堆積させるステップを含むことができる。
【0030】
任意選択で、本発明の第1~第4の実施形態又は態様、及び本発明のその他の実施形態
又は態様の何れかにおいて、3Dプリンタは、印刷プロセスに亘ってボイドレスの、ほぼ
ボイドレスの予め含浸された(プリプレグ)材料を使って構造体を印刷する。この材料の
一形態は、すでにストランドに「吸い上げられた(wicked)」熱可塑性樹脂に予め含浸さ
れた複数の連続するストランドを有するコアを含む強化フィラメントであり、これに本発
明の押出し/引抜き手法の内の1つを適用して3D構造体を形成する。湿潤した又は吸い
上げたストランドを有する熱可塑性樹脂(又は未硬化の熱硬化性樹脂)で形成された複合
材は「グリーン」ではなく、堅く、低摩擦で、ほぼボイドレスである。別の形態は単一の
連続するソリッドコアを用いたものであってもよい。更に別の形態では区分された連続す
るコアを使用することができ、すなわち長手方向に沿った複数の部分に区分された連続す
るコアも考えられる。また別の形態では、相互に均等に離間した、又は重なりを含むの何
れかの、ソリッドコア又は複数の個々のストランドを用いてもよい。本明細書において、
印刷材料に関する「ボイドレス」は、上限のボイドの割合が1%~5%で、下限は0%で
あり、印刷部品においては、上限のボイドの割合が1~13%、下限は0%である。任意
選択で、押出し/引抜きプロセスを真空下で行ない、ボイドを更に低減させ又はなくすこ
とができる。
【0031】
繊維又はコア「強化」材を本明細書で説明する。繊維又はコアはフィラメントの内部に
あってもよいし、コア材をフィラメントの外面に延在させてもよいし、マルチストランド
を導入してもよい。「強化」を含む用語は、任意選択で、光ファイバー又は流体伝導材及
び導電性材料などの複合材に過大な強化構造強度を提供しないストランド、繊維又はコア
に拡大してもよい。加えて、コア強化材は、光ファイバー、流体伝導チャネル若しくはチ
ューブ、導電ワイヤ又はストランドなどの材料によって提供される機能的な強化も含むと
理解されたい。
【0032】
本発明は任意選択で、押出し/引抜きの全プロセスを意図するものであり、これには本
明細書に記載する種々の適合性材料の使用が含まれ、それらの多くは、積層造形のその他
の方法の前プロセス(precursor)又は並行プロセスであり、特にステレオリソグラフィ
(SLA)、選択的レーザ焼結(SLS)又は液状若しくは粒末状のマトリックスを使用
したものである。押出し/引抜きプロセスでは、これらの方法によって作製された部品内
又は部品の周囲にほぼボイドレスの部品を埋め込み、そうすることによって部品全体が増
強された強度を呈することができるようになる。
【0033】
押出し/引抜きプロセスを優勢方向に接着横列を載置するために使用する場合、これら
の方向は任意選択で局所的及び全体的な異方性の強さを呈する。構造内の強化の方向性又
は異方性は、任意選択で所望の場所及び方向における部品強度の向上を提供し、特定の設
計要求事項を満たし、又はより軽量及び/若しくは強い部品の提供を可能にすることがで
きる。
【0034】
任意選択で、任意の上述の発明において、マトリックス材はアクリロニトリルブタジエ
ンスチレン(ABS)、エポキシ、ビニル、ナイロン、ポリエーテルイミド(PEI)、
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリ乳酸(PLA)又は結晶高分子としても
よい。コア又はコアのストランドは、構造的、伝導的(電気的及び/又は熱的)、絶縁的
(電気的及び/又は熱的)、光学及び/又は流体移送を提供する方法で強化させることが
できる。コア又はコアのストランドは、特に構造強化のために、炭素繊維、アラミド又は
高強度のナイロン繊維、繊維ガラスを含んでもよい。更に、複数の種類の連続コア又はス
トランドと単一の連続コア強化フィラメントとを組み合わせて、電気的、光学的特性など
の複数の機能性を提供することができる。
【0035】
任意選択で、任意の上述の発明又は発明の実施形態若しくは態様において、樹脂対繊維
比の異なる繊維強化複合フィラメントは、例えば、異なるプリントヘッドを使用して異な
る段階で印刷するなど、部品の種々のセクションにおいて種々の特性を提供することがで
きる。同様に、任意選択で、「低樹脂」繊維強化複合フィラメント骨格充填剤(skeletal
filler)を内部構造に使用して強度対重量比を最大限にする(例えば断面積で30%樹
脂/70%繊維)ことができる。「低樹脂」とは、断面積における樹脂の割合が30%~
50%のことである。同様に任意選択で「高樹脂」繊維強化複合フィラメントシェルコー
ティング(例えば、断面積で90%樹脂/10%繊維)を、下部のコア又はコアの個々の
繊維ストランドによる印刷の可能性を防止するために使用することができる。これに加え
、本発明のいくつかの実施形態又は態様において、消耗材の繊維含有量はゼロであっても
よく、消耗材は、樹脂のみ、 及び/又は従来のFFFでの印刷であってもよい。
【0036】
記載したオプションは全て個々に、及び任意に動作可能に並べ替え、又は組み合わせて
、本発明の第1、第2、第3及びその他の実施形態又は態様に適用し、それに含まれる行
為又はステップを当業者が理解するような、本明細書に開示された装置の構造で実行し、
装置の構造によって本明細書に開示される行為又はステップは当業者が理解するように実
行される。本開示全体において、「may」という用語は、本発明に対する任意選択による
追加、若しくは代替の材料、構造、又は発明を意味する。なお、「複数のアクチュエータ
」にプラテン体及び/又はプリントヘッドを移動させるコントローラの記載に関しては、
任意の1つ、2つ、3つ又はそれ以上のアクチュエータを個別に命令することを含んでい
る。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】連続するコア強化フィラメントを使用する3D印刷システムの略図であり、図1A及び図1Bは連続コア強化フィラメントプリントヘッドの略図であり、図1Cは複合材押出し及び繊維プリントヘッドのアセンブリの断面略図であり、図1Dは繊維プリントヘッドアセンブリの断面拡大図である。
図2図2は、3D印刷プロセスの代表フローチャートである。
図3図3A~3Eは、連続コア強化フィラメント2のコア構成の種々の実施形態を示す略図である。
図4図4は、図1の複合材の押出し及び繊維プリントヘッドアセンブリを使って印刷を行なうことのできる、3Dプリンタのブロック図及び略図である。
図5図5は、押出しと繊維印刷制御とを対比した複合タイミングチャートである。
図6図6A~6Cは、印刷システムのいくつかの実施形態で使用される導管ノズルの略図である。
図7図7は、繊維フィラメント送り機構、誘導管及びカッターアセンブリの平面側面図である。
図8図8は、空間に架かるカッター及び印刷プロセスを含む3D印刷システムの略図である。
図9図9は、囲まれた空間を含む、3D印刷システム及び/又はプロセスによって形成された部品の略図である。
図10図10は、導管を含む3D印刷システムの略図である。
図11図11は、図5に示す押出し及び繊維モードで印刷を行なうための、図1C及び図5に示すプリンタの制御及びコマンドの実行を説明するフローチャートである。
図12図12は、図5に示す繊維モードで印刷を行なうための、図1C及び図5に示すプリンタの制御及びコマンドの実行を説明するフローチャートである。
図13図13は、図5に示す押出しモードで印刷を行なうための、図1C及び図5に示すプリンタの制御及びコマンドの実行を説明するフローチャートである。
図14図14A~14Cは、ノズル及び丸みを帯びた吹出ノズルをそれぞれ示す略図である。
図15図15Aは、導管ノズル先端と一体化させたカッターの略断面図である。図15Bは、図14Aに示す導管ノズル先端と一体化させて90°回転させたカッターの略断面図である。図15C,Dは、導管ノズル先端と一体化させたカッターの底面図である。
図16図16は、導管ノズル先端と一体化させたカッターの略断面図である。
図17図17Aは、部品形成中に圧縮圧を加える3D印刷システムの略図である。図17Bは、堆積前に印刷システムに利用される連続コア強化フィラメントの略図である。図17Cは、圧縮圧を使って堆積した後の連続コア強化フィラメント及び周囲のビーズの略図である。
図18図18Aは、従来技術の押出しノズルの略図である。図18Bは、末広ノズルの略図である。図18Cは、前進送りクリーニングサイクルにおける図18Bの末広ノズルの略図である。
図19図19Aは、直ノズルで印刷される連続コアフィラメントの略図である。図19Bは、直ノズルで印刷されるグリーントウプレグの略図である。図19C~19Eは、末広ノズルを通って印刷される連続コアフィラメントの略図である。
図20図20Aは、低摩擦冷却送りゾーンを有する多材導管ノズルの略図である。図20Bは、低摩擦冷却送りゾーンを含む僅かに先細状の導管ノズルの略図である。
図21】プリントアームと選択可能なプリンタヘッドを含む3D印刷システムの略図である。
図22】連続コア強化フィラメントを使用する3D印刷システムの略図である。
図23図23Aは、堆積ヘッド内に設置された半連続コアフィラメントの略図である。図23Bは、ノズル内に設置された重なり合うストランドを有する半連続コアフィラメントの略図である。図23Cは、整列したストランドを有する、ノズル内に設置された半連続コアフィラメントの略図である。
図24図24Aは、マルチフィラメント連続コアの略図である。図24Bは、オフセットストランドを有する半連続コアフィラメントの略図である。図24Cは、複数の整列したストランドを有する半連続コアフィラメントの略図である。図24Dは、複数の整列したストランド及び1つ又は複数の連続ストランドを有する半連続コアフィラメントの略図である。
図25図25は、半連続コアフィラメントを使用したパターン充填の略図である。
図26図26は、堆積強化繊維を含むステレオリソグラフィ3D印刷プロセスの略図である。
図27図27は、堆積強化繊維を含むステレオリソグラフィ3D印刷プロセスの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
積層造形及び複合材積層の比較的最近の技術においては造語が一般的となっている。例
えば、「プリプレグ(prepreg)」とは、樹脂マトリックス及び繊維アセンブリが複合材
原料として事前に調合された、予め含浸された複合材である。「トウプレグ(Towpreg)
)」とは、「トウ」(例えば95%という非常に高い繊維の割合の、数百から数千の繊維
ストランドの束)と(室温において)粘着性のある樹脂との組み合わせで形成された「プ
リプレグ」であり、従来、含浸トウの繊維によって占められ(例えば繊維ストランドが7
5%)、粘着性樹脂がフィラメント巻きプロセスにおいて、ほぼ隣接する繊維ストランド
間でせん断を伝える手段として含浸され、トウプレグを回転部材に粘着させる。「引抜き
成形」はトウプレグを生成するプロセスの1つであり、トウを繊維から引き抜き、-完全
に張力をかけて行うプロセスにおいて-、樹脂に埋め込まれたトウを含む、細長く、典型
的に硬い複合材を形成するものである。
【0039】
本明細書で使用する「押出し」はその従来の意味を持ち、例えば、材料をダイに圧入し
、その材料よりも小さな断面積を有する特定の形状となるようにするプロセスである。融
解フィラメント製法(FFF:Fused Filamaent Fabrication)は押出しプロセスである
。同様に、「押出しノズル」は従来の意味を持ち、例えば、流体が閉鎖チャンバから流出
(又は流入)する際、特に速度及び/又は制限断面積を増大させるために、押出し流量の
方向又は特徴を制御するデバイスである。
【0040】
一方で、本開示では造語である「押出し/引抜き(push-pultrusion)」を使用して、
本発明に係る全ての新規プロセスを説明する。押出し/引抜きでは、押出しとは異なり、
繊維強化複合材印刷材料の前進動作には、圧縮の開始、スレッディング、又は初期化段階
、次に印刷材料がテーブル体、続いて部品内に接着横列を形成する際の、埋め込まれた繊
維ストランド、並びに溶融/硬化及び未溶融/未硬化状態のマトリックスのプリントヘッ
ドの至る所での引っ張り(tension)が含まれる。本開示ではまた「導管ノズル」又は「
ノズレット」という造語を用いて本発明に係る終端プリントヘッドを説明するが、その中
で、FFFノズルとは異なり、印刷材料内では大きな背圧又は追加速度は生成されず、(
部品の接着横列に堆積されても)マトリックス及び埋め込まれた繊維を含む印刷材料の断
面積はプロセス中ほぼ変わらない。
【0041】
本明細書で使用する「堆積ヘッド」には押出しノズル、導管ノズル及び/又はハイブリ
ッドノズルが含まれる。
【0042】
本開示ではまた「プッシュ-プルプレグ(push-pulpreg)」という造語を使って押出し
/引抜きで利用できる材料を説明し、これは、従来のトウプレグとは対照的に、樹脂は、
好適には熱可塑性物質であり、(i)十分な摩擦を提供し、露出された樹脂材料をローラ
ー又はその他の摩擦送りによって送り、(ii)未溶融で、「ガラス」状の曲がりがなく
、すきまばめチューブ又はチャネルを通して圧入されるくらいに十分に堅く(すなわち通
常の未溶融の弾性係数)、剛性は埋め込まれた繊維ストランド、及びより少ない程度で未
溶融のマトリックス樹脂によって提供され、(iii)及び/又は周囲環境において感知
され得る「粘着(tack)」/分子拡散がない、すなわち周囲環境又は暖かい環境であって
も「ガラス」状であるため、上述のようにチューブに粘着せずに容易に圧入させることが
できる。
【0043】
圧密は、繊維を樹脂含浸するために使用されてきたプロセス中、繊維束、トウ、又は粗
糸(rovering)から樹脂が空気を十分に置換できないことによって生じるボイドの除去に
、典型的に有利である。個々に含浸されたプリプレグの撚り糸、トウ、パイル又は層は、
オートクレーブで圧縮(compact)することにより、熱及び圧力によって圧密される。圧
密のステップでは一般に、比較的長時間にわたって真空下で高圧及び高温をかけることが
必要である。更に、オートクレーブ又はオーブンを使用する圧密プロセスのステップは、
空気を除去するために真空をかけ、オートクレーブ内で圧密を行なうために必要な差圧を
提供することを可能にするために、ツールに密閉された膜を積層する「袋詰め(bagging
)」作業が必要である。このプロセスステップによって複合材部品の全体的な生産性がさ
らに減少する。従って、熱可塑性物質複合材にとって、ATL/AFPマシンで基板にテ
ープを積層しつつ低ボイド複合材にその場で圧密することは有利である。このプロセスは
典型的にはその場ATL/AFPと称され、このプロセスで使用される材料はその場グレ
ードテープ(in-situ grade tape)と称される。
【0044】
最後に、3D印刷技術において、「フィラメント」は典型的にはスプールされる材料体
の全断面積のことを指し、一方で複合材技術において、「フィラメント」は、例えば、炭
素繊維(例えば、「1Kトウ」は1000の個々のストランドを有する)の個々の繊維の
ことを指す。本開示の目的では、「フィラメント」は3D印刷による意味で用いられ、「
ストランド」は、例えば、マトリックスに埋め込まれ、共に複合材「フィラメント」全体
を形成する個々の繊維のことを指す。
【0045】
積層造形法では従来の鋳造法と比較して強度や耐久性が低下する。例えば、融解フィラ
メント製法では、堆積された材料(並びにエアポケット及びボイド)の隣接片(例えば、
「接着横列」)間の結合が弱いため、相当する射出成形部品よりも弱い強度を呈すること
となる。
【0046】
プリプレグシート複合材の構成法は時間がかかって困難であり、高価である。更に、曲
線の周りでプリプレグシートを曲げると繊維が重なり合い、曲がり、及び/又は変形して
望ましくない柔軟なスポットが生じることがある。
【0047】
市販の繊維「トウプレグ」をプラスチック槽を通して送り、マトリックス樹脂に加え、
そして更にカスタムプリントヘッドを通して送ることは、非常に柔軟で高摩擦(粘着性の
ある)構造のため、実行可能な積層プロセスではない。更にこのプロセスでは、この複合
材を造形する速度がそれを印刷する速度と結合される(依然として印刷実行可能である)
。トウプレグは、典型的に、適切な「タック(tack)」(トウをツール上に堆積又は積層
した後、その位置を維持するために十分な室温接着レベル)を必要とし、タックと共に販
売される。更に、トウプレグの「グリーン」材は空気を取り込んでエアボイドを含む傾向
にあり、これは高張力並びに/又はその後の真空及び/若しくは加熱ステップによっての
み除去される。これらのステップによっても印刷プロセスが遅くなる。
【0048】
よって、積層又は巻き取りよりも速く、接着横列内への空気の取り込みを低減若しくは
防止し、真空若しくは加熱の後工程を回避し、凹上に複合材を堆積させる能力を提供し、
及び/又は表面又は複合材シェルに個別の形状(discrete features)を構成する複合材
積層造形が必要である。
【0049】
ここで図面に戻り、開示された材料及び3D印刷プロセスの特定の実施形態を説明する
【0050】
図1Aは構造体を構成するために繊維強化複合フィラメント2を適用する前の3Dプリ
ンタ3000の実施形態を示す。繊維強化複合フィラメント2(本明細書では連続コア強
化フィラメントとも称する)は、ほぼボイドレスで、内部の連続する単一コア又はマルチ
ストランドコア6を被覆又は含浸するポリマー又は樹脂4を含むプッシュ-プルプレグで
あってもよい。
【0051】
繊維強化複合フィラメント2を、マトリックス材が所定の粘度、及び/又は接着横列の
所定の接着力、及び/又は表面処理を維持するために選択され、制御された押し込み/引
抜き温度に(例えばバンドヒータ又はコイルヒータによって)加熱された導管ノズル10
を通して送る。いくつかの実施形態において、フィラメント2を、本明細書に記載するよ
うに、導管ノズル10からドラグする、又は引き抜く。押し込み/引抜き温度はポリマー
4の溶融温度よりも高くてもよく、ポリマー4の分解温度より低くてもよく、また、コア
6の溶融温度又は分解温度の何れかより低くてもよい。
【0052】
導管ノズル10内を加熱してマトリックス材又はポリマー4をほぼ溶融した後、連続コ
ア強化フィラメント2をプラテン体16に適用して連続層14を生成し、3D構造体を形
成する。(i)プラテン体16の位置及び向き又は(ii)導管ノズル10の位置及び向
き、の内の1つ又は両方をコントローラ20によって制御し、連続コア強化フィラメント
2を所望の位置及び方向に堆積させる。位置及び向きの制御機構にはガントリーシステム
、ロボットアーム及び/又はHフレームが含まれ、これらには構成部品のプラテン体16
及び/又は層14に対する導管ノズル10の相対位置又は速度を監視するために、コント
ローラ20に対する位置及び/又は変位センサが装備されている。コントローラ20は感
知されたX,Y及び/若しくははZ位置並びに/又は変位若しくは速度ベクトルを使って
導管ノズル10又はプラテン16の次の動作を制御する。例えば、3Dプリンタ1000
はプラテン体16までの距離を測定する距離計15、3つの平行移動及び/又は3つの回
転軸の何れかにおける変位変換器、距離インテグレータ及び/又は導管ノズル10のプラ
テン体16に対する位置若しくは移動を検出する加速器を含み得る。図1Aに示す様に、
(例えばレーザ)距離センサ15は導管ノズル10の前方のセクションを走査して、導管
ノズル10のZ高さ又は必要とされる充填容積を修正して、所望の堆積プロファイルと一
致させることができる。この測定は部品に検出されたボイドを充填するためにも使用する
ことができる。距離計15はフィラメントを適用した後に部品を測定して、堆積された接
着横列の深さと位置を確認することができる。
【0053】
3Dプリンタ1000は、堆積プロセス中、(例えば尾部(tail)を形成せずに)連続
コア強化フィラメントを切断する、コントローラ20によって制御されるカッター8を含
み、(i)構造上に個々の形状及びコンポーネントを形成し、(ii)複数のセクション
及び層において、堆積材料及び/又は接着横列の方向性又は異方性を制御することができ
る。図に示す様に、カッター8は導管ノズル小穴又は出口に位置する、曲げプレート12
と関連する切断刃である。その他のカッターにはレーザ、高圧空気、流体又はせん断機が
ある。
【0054】
図1Aは、例えば、100%樹脂FFF押出し、耐UVコーティング、又は傷をつきに
くくするコーティングを含む保護コーティングを印刷するため、3Dプリンタ1000に
任意選択で用いられる少なくとも1つの第2のプリントヘッド18を示している。連結さ
れた、又は複合FFFプリントヘッド1800を図に示すが、これは一般の保護コーティ
ングに適用されるものである。
【0055】
図1Bは構造体を構成するために繊維強化複合フィラメント2を適用する3Dプリンタ
3001の実施形態を示す。同じ番号の特徴は図1Aに示すものと同様である。
【0056】
図1Bに示す様に、駆動ローラ42とアイドルローラー40の上流において、スプール
(図示せず)は緩やかな張力で未溶融のボイドレス繊維強化複合フィラメントを供給する
。フィラメントは、フィラメントの大きな空隙を有さないマトリックス材に延在する少な
くとも1つの軸方向繊維ストランドを含む。本例において、繊維強化複合フィラメント2
は、数百~数千の連続する炭素繊維ストランド6Aを含浸するナイロンマトリックス4A
を含む、プッシュ-プルプレグである。
【0057】
本明細書に記載する「ゾーン」は、スプール(図示せず)から部品までのフィラメント
の軌道の一部分である。駆動ローラ42及びアイドルローラー40はフィラメントの曲が
りを防ぐすきまばめゾーン3010,3020に沿って、送り速度(任意選択で図示しな
いコントローラによって変更可能、及び任意選択で印刷速度未満、印刷速度と送り速度の
差はスリップクラッチ又は一方向ベアリングにより、フィラメントに沿って吸収される)
で未溶融のフィラメントを送る、又は押す。非接触キャビティ又は非接触ゾーン714内
において、複合フィラメントのマトリックス材を加熱してもよい。繊維6Aは、スレッデ
ィング段階又は印刷プロセスの初めにおいて、ローラ42,40の送る力又は押す力が未
溶融のマトリックスを通り、すきまばめゾーン3010,3020に沿って繊維に伝達さ
れる際に、軸圧縮を受け得る。
【0058】
「スレッディング」はプッシュプレグ又はプッシュ-プルプレグを、出口を通して押し
出す方法であり、プッシュプレグ又はプッシュプルプレグの剛性は、ステッチング動作の
時間スケールにわたって、(プッシュプレグ又はプッシュプルプレグの曲がり又は広がり
/ジャミングを防ぐために)粘着/ドラグ力よりも大きい。先ず、スレッディング段階に
おいて、フィラメント2の溶融マトリックス材6A及び軸方向繊維ストランド4Aは軸圧
縮によって部品に圧入され、プラテン体及びプリントヘッドが相対的に平行移動する際、
フィラメントの端部がしごきリップ726と接触し、続いて横方向圧力ゾーン3040に
おいて連続的にしごかれ、部品14に接着横列が形成される。横方向圧力とはフィラメン
トの側面にかかる圧力であり、本明細書では「しごき」とも称する。矢印で示す様に、こ
の(プリントヘッドの接着部品に沿った)横方向圧力ゾーン3040は印刷速度(印刷速
度はプラテン16及びプリントヘッドの両方又は何れか1つの平行移動によってもたらさ
れるものであってもよい)で部品14に隣接させ、平行移動させてもよい。
【0059】
マトリックス材は、本例において、引っ張り及び圧縮弾性係数に関して、約0.1~5
GPaの未溶融弾性係数と0.1GPa未満の溶融弾性係数とを有する熱可塑性樹脂であ
り、繊維ストランドは約5~1000GPaの弾性係数を有するストランド材である。こ
の様に、繊維のストランドは変形に十分強く、フィラメント全体を小さな隙間チャネルの
制限された摩擦を通して「押圧」したり、マトリックスが溶融されている場合には自由空
間を通して「押圧」すことも可能である。引っ張り極限強さに関しては、好適には、マト
リックス材は約10~100MPaの未溶融極限引張強さと、10MPa未満の溶融極限
引張強さとを有する熱可塑性樹脂であり、少なくとも1つの軸方向ストランドは約200
~100000MPaの極限引張強さを有するストランド材である。このように、繊維の
内部ストランドは伸縮又は弾きに対して十分に耐性があり、場合によってはマトリックス
が十分固まる前に、フィラメント全体が接着横列から自由空間を通って延在する大きな距
離にわたって中立から正の張力(すなわちゼロ以上の張力)に維持できるようにする。ほ
とんどのフィラメントは1×10-5(1×10E-5)インチよりも大きく、2×10
-3(1×10E-3)インチよりも小さい断面積を有する。マルチストランド繊維の場
合、フィラメントは任意の断面積において、100~6000の重なり合う軸方向ストラ
ンド又は平行に連続する軸方向ストランド(特に炭素繊維ストランドの場合)を含む。
【0060】
プリントヘッド若しくは導管ノズル708又はプラットフォーム体16の何れか又は両
方を平行移動させてもよい、例えば、送り速度及び/又は印刷速度を制御してスレッディ
ング段階においてフィラメントの圧縮を維持し、印刷動作において中立から正の張力を維
持する。フィラメント2のマトリックス材4Aを非接触ゾーン3030において(特に導
管ノズル708の壁に粘着する機会が少なくなるように)加熱して溶融し、しごきリップ
又は先端726で溶融又は液化させることができる。非接触ゾーンのより大きい径、又は
分岐径は、任意選択で、フィラメントの、非接触ゾーンを画定するキャビティの加熱され
た壁への接触を防ぐ。送り速度及び印刷速度を監視又は制御して、圧縮、中立又は正の張
力を、支持されていないゾーン内において、並びに主にフィラメントに沿って延在する繊
維ストランド内の軸圧縮又は引っ張り力を介して、維持することができる。
【0061】
図1B及び図1Cに示す様に、横方向圧力ゾーン3040はフィラメント2を再成形す
るしごきリップ726を含んでいる。このしごきリップ726はフィラメント2を部品に
圧縮又は圧入して接着横列を形成する部材であり得る。しごきリップ726はまた、横方
向圧力ゾーン3040でフィラメント2のマトリックス材4Aを溶融又は液化するために
、加熱された壁714又はその他の熱源から伝導される熱を受け取る部材であり得る。任
意選択で、横方向圧力ゾーン3040のしごきリップ726は、上面で溶融フィラメント
2を平たくし、フィラメント2が接着横列に堆積される際にしごき力を溶融マトリックス
材及び軸方向繊維ストランドにかける。これはしごきリップ726の底から下の層の上面
までの高さを確実にフィラメントの直径未満とすることによって容易にすることができる
。別の再成形力を、しごきリップ726に対して間隔を空けて、部品自身からの通常の反
力として溶融マトリックス材及び軸方向繊維ストランドにかける。これにより、溶融マト
リックス材4A及び軸方向繊維ストランド6Aが横方向圧力ゾーン3040で部品14に
圧入され、横方向及び垂直方向の接着横列(すなわち、しごきによって接着横列が隣接す
るランクに押し込まれる)が形成される際、少なくとも2つの側面上で接着横列が平坦化
される。
【0062】
従って、しごきリップ726及び部品自身からの垂直の反力は相互に対向し、溶融され
た複合フィラメントをその間に挟んで部品14に接着横列を形成する。しごきによって加
えられた圧力及び熱によって、隣接する横列への拡散及び繊維含浸が向上される。
【0063】
図1Bに示す様に、本例において、未溶融の繊維強化フィラメントをすきまばめゾーン
3010,3020で、又はこれに隣接して切断する。フィラメントは図1Aに示す様に
誘導管72(すきまばめを有する)と導管ノズル708の間の溝62で切断してもよく、
又は例えば非接触ゾーン3030の上流の導管ノズル708内で切断してもよい。それに
代えて、又はそれに加えて、コア強化フィラメントを、すきまばめゾーン3010,30
20の何れか片方、又は何れか片方に隣接して設置されるカッター8、又はしごきリップ
726によって切断することができる。すきまばめゾーン3010,3020は繊維強化
複合フィラメント2の周りにすきまばめを形成する、任意選択で遮断されるチャネルを含
み、これは好適には動きばめ又は隙間ロケーションフィットの内の1つであり、何れにお
いてもフィラメントを軸圧縮であっても粘着や曲がりなく押すことができるくらいに十分
な隙間である。
【0064】
軸方向に沿った圧入/送り及び横方向圧力ゾーン3040内のしごきは必ずしも接着列
を形成する唯一の力ではない。それに代えて、又はそれに加えて、横方向圧力ゾーン30
40及び/又はしごきリップ726は、しごきリップ726と部品14の接着横列との間
の繊維強化複合フィラメント2で、中立から正の張力を維持する印刷速度で部品14に対
して平行移動する。この張力は接着横列を部品14から離すのに必要な張力よりも小さい
【0065】
例えば、マトリックス材6Aがしごきリップ又は先端726によって溶融された後、送
り速度及び/又は印刷速度をコントローラ20によって制御し、フィラメント2に沿って
延在する繊維ストランド4A内の張力を主に介して、しごきリップ726と部品14の間
の複合フィラメント2において中立から正の張力を維持することができる。これは、しご
きリップから部品14に圧力が解放される際、接着横列の端部、及び反対方向に新しい隣
接する横列を始めるために向きを変える場合には特にそうである。これは例えば繊維強化
複合フィラメント2を横方向圧力ゾーン3040で接続部(connection)から部品14の
第1部に引き抜き、そして横方向圧力ゾーン3040を自由空間で平行移動させ、その後
繊維強化複合フィラメント2をしごいて部品14の第2部に再度接着させることによって
、空間に架橋を形成するために使用することができる。
【0066】
本当の押出しプロセスとは異なり、フィラメント2の断面積はその間ほぼ維持され、ス
トランド、マトリックス、フィラメント2の何れも、知覚できるほど伸縮しない。巻き取
られたプッシュ-プルプレグの送り速度及び接着横列の形成速度(印刷速度)はほぼ同じ
である(運び又は送りの部分に関しては、スリップクラッチ又は一方向ベアリングによっ
て緩み、蓄積又は差(slack, cuild-up or differential)が発生するが)。時折送り速
度及び圧縮速度を一時的及び差動的に制御して、しごきリップ726の下流で十分な中立
から正の軸方向張力のバランスを保ってもよいし、スリップクラッチを使用して送り速度
及び印刷速度の内の1つをスリップさせてもよい。しかしながら、接着横列がワークピー
ス又は部品14に取り付けられる際にも、繊維強化複合フィラメントのほぼ一定した断面
積は、すきまばめゾーン、支持されていないゾーン、横方向圧力ゾーンで維持される。
【0067】
図1CはFFF用の押出しプリントヘッド1800及び押出しノズル1802と、連続
繊維強化熱可塑性物質を堆積させるための繊維堆積プリントヘッド199及び導管ノズル
708とを有する複合(デュアル)プリントヘッドの断面図である。同じ番号の特徴は図
1A及び図1Bに示されたものと同様である。これら2つの対照的な材料のタイプは必ず
しも同時に印刷する必要はないため、これらを同じX-Y機構(又はX-Y-Z)上に載
置することは効率的であり得る。これによって2つのプリントヘッド1800,199は
製造においてオプショナルコンポーネント(例えば共通して構成されるヒートシンク、ヒ
ータブロック又は絶縁ブロック)を共有し、動作において能動的なコンポーネント(例え
ば、部品ノズルインターフェース及び/又はヒートシンク用の共通の冷却ファン)を共有
することができる。
【0068】
各プリントヘッド1800,199は独立して、それ自身の移動機構に設置することが
できるが、図1Cの様に隣接して並べて置くことにより、下記の様な対比が可能となる。
【0069】
本明細書に示す様に、FFFプロセスでは上流の溶融材料内の圧力を使って下流の溶融
材料を押出しノズルから押し出す。つまり印刷中、熱可塑性物質FFF押出しのスライス
、又はスライス内の経路セグメントは、部品材料をプリントヘッド1800の加熱ゾーン
内の容器1804,1808内に装填し続け、その中で材料が溶融され、前のセグメント
が完成した後、可及的速やかに印刷の準備ができるようになる。フィラメントを未溶融の
温度状態において上流で駆動させる間、鋭い熱勾配1808が熱遮断器又は熱抵抗器18
09によって生成され、空冷によって維持された後、溶融材料の容器1804は駆動と加
圧を待つ状態になる。
【0070】
本明細書に示す様に、一方で、繊維強化熱可塑性物質フィラメントを非溶融位置(例え
ばテフロンチューブ713内)に保持し、これがスレッディングされて各々のセグメント
となって堆積されるようにする。「繊維力伝達」のプロセスは(例えば、712,64,
72で比較的冷たい熱可塑性物質マトリックス及び/又は小さなクリアランスチューブを
介して閉じ込められた)密閉繊維2の剛性を利用して、プリントヘッド199の繊維強化
フィラメント堆積側を通して繊維及び樹脂束を押したり引いたりする。ここでは堆積ノズ
ル708の先端726まで進む非溶融ストランド内及びそれに沿って延在する軸方向の力
を使って、プラスチック樹脂コーティングを繊維と共に引き抜く。
【0071】
繊維強化フィラメントを、それがしごき先端726から1/2~3cm以内になるまで
周囲温度及び/又はガラス遷移温度以下に維持する、すなわち、それを任意の加熱ゾーン
3040,3030,3035の上流に維持する、及びそれらのゾーンから絶縁する/隔
離することは、重大でないが有利である。
【0072】
また、導管ノズル708の最後の1/4~1cmへの潜在的なフィラメントと壁の接触
表面積又は接触の滞留時間を、本明細書に記載する技術によって低減させ、例えば、フィ
ラメント径の1/2~5倍の導管ノズルの最後のステージ714の内径を用いて、また例
えば、13サウ(thou)のフィラメントに40サウの内径のノズルを用いることにより、
ほぼ放射伝熱のみを可能とすることは、重大ではないが有利であり、上述の大きい方の内
径714は小さい方の内径(例えばチャネル712で32サウ)の下流にあり、キャビテ
ィ714の壁から離して、フィラメント2が通る際に内部レッジがそれを捕らえないよう
にする。本明細書に記載する様に、これは自己浄化技術でもあり、この場合、プリプレグ
繊維の埋め込まれたフィラメント材2を熱い導管ノズル708の壁714と最小限に接触
するように誘導し、フィラメント2を詰まりや束内の繊維ストランドの剥離なく通すこと
ができる。
【0073】
また、スレッディング中に、例えば100mm/s以上の十分なスレッディング速度を
用いるなどの本明細書に記載する技術によって、導管ノズルの最後の1/4~1cmにお
けるフィラメント2と壁714との潜在的な接触の滞留時間を低減させ、内径壁714な
どの隣接する表面からの伝熱量を低減させることは、重大でないが有利である。
【0074】
これらの重大でない技術は組み合わせてもよい。導管ノズル温度がガラス遷移温度を上
回ると、フィラメント2を非加熱ゾーンの上流に維持するとともに、フィラメント2を導
管ノズル708にマトリックスの溶融を防ぐ程度に十分速く通すことにより、複合ストラ
ンドフィラメント2の導管ノズル708内での滞留時間を低減させることは有利であり得
る。
【0075】
非印刷時にプリプレグ連続繊維フィラメント2を熱い導管ノズル708の上流に配置す
る、及び/又は大きな径のノズル先端714~726を使用することによって、ノズル7
08に繊維コアフィラメント2を押し入れる(スレッディング)能力を高め、ジャミング
や詰まりが起こらないようにする、というのも繊維コアフィラメント2は接着及び摩擦に
よってノズル壁714に接着せず、押された時に広がらない傾向にあるからである。導管
ノズル708の最後の部分714におけるマトリックス材の溶融の中には許容できるもの
もある、というのは、小さい内径7262,712及び繊維2は部品に通るのに十分な剛
性を保持しているからである。しかしながら、これによって詰まる可能性が増大する。
【0076】
スレッディングのために冷却導管ノズル708を使用するのは重大でなく、有利な代替
とも言えない。この場合、導管ノズル708の温度をマトリックス材の溶融点(例えば4
0℃)以下に下げ、冷却フィラメント2をそれに通す。この場合、スレッディングに短い
滞留時間やフィラメント速度は要求されない。不利には、導管ノズル708は各々の印刷
セグメントに対して冷却ステップと加熱ステップとを周期的に行なわなければならず、こ
のため短いセグメントの印刷に対して印刷時間が大幅に増える可能性がある。
【0077】
引き続き図1Cを参照すると、プリントヘッド1800及び199は各々同じリニアガ
イドに取り付けられており、プリンタのX,Yモータ式機構はこれらを一緒に動かすよう
になっている。図に示す様に、FFFプリントヘッド1800は溶融ゾーンを有する押出
しノズル1802又は溶融容器1804と、ヒータブロック及びノズルを加熱するヒータ
1806とを含んでいる。溶融容器1804は、加熱ブロックの外に取り付けられた熱抵
抗器1809によって実質的に形成された高熱傾斜ゾーンへと続いている。ヒートシンク
は熱抵抗器1809を囲み、熱傾斜を更に高める。熱傾斜は、熱抵抗器1809及び/又
はテフロンチューブ1811内にある未溶融のゾーン1810から溶融容器1804を分
離する。例えばボーデン管を通して駆動される1.75~1.8mm又は3mmの熱可塑
性物質フィラメントは、溶融容器1804内に押出し背圧を提供する。
【0078】
プラテン体16と平行に、これと隣接して、及びこれとほぼ同じ高さで、連続する繊維
プリントヘッド199を、押出しプリントヘッド1800に対して垂直の方向のみに動く
ように制限しながら、たわみ及び位置決めねじ構造を介して調節し、押出しプリントヘッ
ド1800に対して垂直方向に動かすことができる。図に示す様に、片方の連続繊維埋め
込みフィラメントプリントヘッド199は導管ノズル708、複合しごき先端728及び
制限された接触キャビティ714を含み、本例において、各々はヒータ715によって加
熱される加熱ブロック内にある。冷却送りゾーン712は受入管64内に形成され、これ
は剛体材の毛細血管状の受入管及び径の小さい(例えば内径32サウ)、ノズル708内
に延在するテフロン/PTFEチューブを含む。冷却送りゾーンは、この場合、PEEK
絶縁ブロック66a及びヒートシンク66bによって囲まれているが、これは全く任意選
択である。動作中、繊維埋め込みフィラメントの未接着の終端を冷却送りゾーンで、例え
ばP1の高さに保持してもよい。距離P1及びカッターから先端までの距離R1をデータ
ベースに保持し、本明細書に示すように、コントローラによって繊維埋め込みフィラメン
トを通して前進させることができる。任意選択でFFFプリントヘッド1800の熱抵抗
器1809よりも熱抵抗の小さな熱抵抗器をテフロン/PTFEチューブ、テフロン/P
EEKブロック66a及びヒートシンク66bと協働させ、冷却送りゾーン712からの
遷移をマーキングする熱勾配を提供する。更に図に示す様に、コントローラ20をカッタ
ー8、8A及びアイドリングローラー40に対向する供給ローラー42に動作可能に接続
する。
【0079】
図1Dは導管ノズル708の略断面拡大図である。図1Dに示す様に、そして本質的に
比例して(essentially proportionately)示す様に、受入管64の内径(この場合、テ
フロン/PTFEチューブが内径を形成する場所)はフィラメント2(例えば13サウ)
の内径の1.5~2.5倍である(例えば32サウ)。末端キャビティ714(例えば4
0サウ)の内径又は内幅は、その中に示すフィラメント2の径の2~6倍である。受入管
の径はフィラメント径の11/10~3倍、そして末端キャビティの内径はフィラメント
径の2~12倍が好適な範囲と考えられる。末端キャビティは好適には受入管の径よりも
大きい。
【0080】
更に、図1Dに本質的に比例させて示す様に、加熱された複合フィラメントしごき先端
726は、部品に対して部品の上のフィラメント径よりも小さい高さで移動し、繊維強化
複合フィラメントが繊維強化複合フィラメントにおける非弾性軸方向繊維ストランド(2
a)のほぼ楕円形又は円形の束から、部品の接着横列(2C)における非弾性繊維ストラ
ンドのほぼ平坦なブロックに再成形されるように堆積される際に、その繊維強化複合フィ
ラメントをしごく。
【0081】
複合プリントヘッドの特徴は本明細書に記載する発明内のものである。例えば、本発明
のオプションとして、(2つ以上の)複合プリントヘッドの設けられた3Dプリンタ及び
印刷プロセスの提供が考えられる。片方のプリントヘッド199は、本明細書に記載する
様に熱及び圧力で堆積繊維をしごく複合フィラメントしごき先端708と、堆積繊維と適
合する熱可塑性物質を押出すが、熱可塑性物質をしごかない押出し先端1802とを含み
(流動化熱可塑性物質の「しごき」は不可能ではないにしても可能性は低い)、及び/又
は片方のプリントヘッド199はフィラメント及び熱可塑性物質をノズル先端726から
実質的に離れた印刷セグメントの間に保持し、もう片方のプリントヘッド1800は溶融
熱可塑性物質容器1804をノズル1802先端と直接隣接する印刷セグメント間に維持
し、及び/又は片方のプリントヘッド199はカッター8を用いて1つの印刷セグメント
を次の印刷セグメントから分離するために、冷却送りゾーン712内において先端708
から周知の距離R1でフィラメント2をせん断し、もう片方のプリントヘッド1800は
カッターを用いず、熱勾配1809の近くのフィラメントを溶かして1つのセグメントを
次のセグメントから分離する。
【0082】
それに加えて、又はそれに代えて、本発明のオプションとして、(2つ以上の)複合プ
リントヘッドの設けられた3Dプリンタ及び印刷プロセスの提供が考えられる。片方のプ
リントヘッド199は末端キャビティ714を含み、このキャビティに設置された、又は
このキャビティを通る、一部溶融、又は溶融熱可塑性物質含有フィラメント2の少なくと
も4倍の容量を有し、これによってフィラメントはそのキャビティ714の壁に実質的に
接触せず、壁を湿潤せず、又は壁に接着しない。もう片方のプリントヘッド1800は一
部溶融、又は溶融熱可塑性物質含有フィラメント2と同じ容量を有する末端キャビティ7
14を含み、これによって溶融熱可塑性物質は容器1804の壁に完全に接触し、壁を湿
潤し、及び/又は壁に接着する。
【0083】
それに加えて、又はそれに代えて、本発明のオプションとして、(2つ以上の)複合プ
リントヘッドの設けられた3Dプリンタ及び印刷プロセスの提供が考えられる。プリント
ヘッド199に誘導するフィラメント送り機構は、連続長フィラメント2をほぼ一定した
断面積及び直線送り速度(linear feed rate)でプリントヘッド199のほぼ全体を通っ
て前進させ、プラテン体16の部品14に堆積させ、もう片方のプリントヘッド1800
は、熱勾配1809でノズル1802に隣接させて、及びノズルの上流において溶解、遷
移する。断面積及び直線送り速度は、例えば1.75mmの供給フィラメントに関しては
、直線送り速度のおよそ10~20倍(例えばフィラメントの1/15の断面で印刷)、
3.0mmの供給フィラメントに関しては、直線送り速度のおよそ40~60倍(例えば
フィラメントの1/50の断面で印刷)である。
【0084】
(2つ以上の)複合プリントヘッドの設けられた3Dプリンタ及び印刷プロセスを提供
する本発明の上述の何れか又は全ての変形として、下記が考えられる。この場合、各プリ
ントヘッド199,1800はテフロン/PTFE又は他の低摩擦チャネルを含み、及び
/又は各プリントヘッド199、1800は個々のノズル708、1802と未溶融ゾー
ンとの間に1/2~2/3の温度降下を提供する熱抵抗器を含み、この熱抵抗器は、ステ
ンレススチール、ハステロイ(Hastelloy:登録商標)、インコネル(Inconel:登録商標
)、インコロイ(Incoloy:登録商標)、セラミック又はセラミック複合材の内の1つで
ある。
【0085】
図2図1A,1B及び1C又は図4に示すシステム及びコントローラを使用する3D
印刷プロセスの略フローチャートである。図2には、個々に又は任意の組み合わせで図2
に開示する発明の実施形態又は態様にいくらの修正を施した、更なるオプションステップ
を点線又は「A」を末尾に付けて示すが、ここに示すステップのどれも、本質的に必要な
場合を除き、個々に重大なものではなく、又図示する順序に限られない。先ず、ステップ
S103において(例えばスプールからプッシュ-プルプレグとして)連続コア又はマル
チストランド繊維強化フィラメント2を供給する。ステップS103Aに示す様に、カー
トリッジの形態での供給が重要である、というのもこれによってプッシュ-プルプレグの
製造と印刷のプロセスを完全に独立させるからである。つまり、プッシュ-プルプレグの
製造又は印刷の何れかは速度を制限する要因であり、準備したカートリッジ又は交換式フ
ィラメントロールを使用することによって、各々を独立して製造することができる。ステ
ップS105において、フィラメント2を供給又はスプールから(例えばローラーによっ
て)引抜き、未溶融の比較的堅い状態で、フィラメントが押されて供給される際にその曲
がりを防止するすきまばめ、又は一連のすきまばめを通して送る。任意選択で、ステップ
S105Aに示す様に、スレッディング又はステッチングプロセス中、フィラメントは、
送り(feed)の下流でフィラメント2内の軸圧縮(なお、これは横方向圧入ステップS1
11後のオプションステップS113Aで軸方向の中立又は正の張力へと変わり得る)を
維持し、加熱された導管ノズル708に送られる。
【0086】
ステップS107において、フィラメント(及びマトリックス材)を、繊維の溶融温度
よりも高く、そして連続コア又はストランドの溶融温度よりも低い所望の温度に加熱する
。このステップの完了は図2に示すものと順序が異なる、すなわち、しごき先端726又
はその他の加熱ゾーンの加熱はステップS107で開始させることができるが、実際の溶
融はステップS11Aのみで生じる。更に、加熱ゾーンはオプションステップS107A
に示す様な、経路に沿った最終ゾーン、すなわちしごき先端又は非接触ゾーンであり得る
。このステップによってマトリックス材を完全に溶融し、フィラメントの形状を円形又は
楕円形の断面から四角形又は長方形の断面へと、部品に梱包/圧入される際、断面積をほ
ぼ同じに保ちながら変化させることができる。オプションステップS107Aに示す様に
、この加熱は導管ノズルの先端のしごき先端726で行なうことができる。更に、非接触
ゾーン714又は3030内で、導管ノズル708の壁はフィラメント2から十分に離れ
ており、プラスチックを加熱しても、ガラス遷移又は粘着形態によってフィラメントは壁
に接着しない。ステップS108において、3Dプリンタ1000,199のコントロー
ラ20は(任意選択でステップS108Aにおいて本明細書に記載するセンサを使用して
)、プラテン体16又は部品に対して導管ノズル708の位置、速度又は加速度を制御し
、その間、距離及び各ゾーン又は各ゾーン内の温度特性を監視することができる。
【0087】
ステップS110において、コントローラ20は、加熱導管ノズル708の位置及び動
きを制御しながら、送り速度、印刷速度、カッター8及び/若しくは温度を制御し、スレ
ッディング段階又は印刷段階においてぴったりした(close fitting)ゾーン3010又
は3020(カッター8の上流及び下流)並びに加熱及び/若しくは非接触ゾーン714
,3030において軸圧縮を維持する、並びに/又はゾーン3040内の圧入、圧縮又は
平坦化圧力を制御する、並びに/又は印刷段階において、部品14内の接着横列と横方向
圧力ゾーン3040及び/若しくはしごきリップ208,508及び/若しくは726と
の間のフィラメント内で軸方向の中立から正の張力に制御する。
【0088】
ステップS111において、コントローラ120の制御下でフィラメント(マトリック
ス及び繊維)2を部品14に圧入する。任意選択で、ステップS111Aに示す様に、こ
れをしごきリップ又は先端208,508及び/若しくは726で行ない、これは滑らか
であるが(アラミドなどの耐摩耗繊維用の)ドクターブレードにより近い。同時にステッ
プS113で、圧入ゾーン3040及び/又はプラテン体若しくはプラットフォーム16
を、相対的に平行移動させる(任意選択で3軸、更に任意選択で3つの回転軸に回転させ
る)。任意選択で、オプションステップS113Aに示す様に、このS113ステップで
は先端208,508及び/又は726と部品14との間のフィラメントにおいて中立又
は正の張力を維持及び/又は増加させる。
【0089】
ステップS115において、しごき(圧入及び加熱)及び相対平行移動(又は多軸のた
めの相対的な印刷動作)により、溶融マトリックスの底面及び側面をフィラメント2内に
接着して部品14に接着横列が形成される。本明細書に記載する様に、そしてステップS
115Aに示す様に、これらの横列は任意選択でタイトな牛耕式(boustrophedon)横列
とすることができ、また円形、楕円形、又は扁平ループ(例えば長い部分がレーストラッ
ク状)としてもよく、「ザンボニ(製氷車)」パターンの小さな回転で進ませてもよく、
これらのパターン又は他のパターンの何れかにおいて、1つの層を下の層に平行に、又は
重なり合うように、又は下の層に直角に(垂直)連続して積層することができる。
【0090】
ステップS117において、所望する終端点に到達した後に、連続コア強化フィラメン
トを切断してもよい。ステップS117及びS117Aで述べた様に、「切断」には、圧
縮ゾーン3010,3020内の位置、具体的には導管ノズル8の上流での、マトリック
ス材の未溶融、ガラス状のフィラメントの切断が含まれる。「切断」には導管ノズル70
8の下流又はそれに隣接する場所での切断も含まれる。更に「切断」には、連続するスト
ランドがフィラメント内の個々の分離されたセグメントに形成される実施形態に関して、
導管ノズル708及びプラテン体16を相互に離して引抜き、連続する繊維の1つのセグ
メントが次のセグメントと隣接する場所でマトリックス材を分離させるステップを含むこ
とができる。そしてコントローラ20は3D部品が完成したかどうかを決定することがで
きる。印刷プロセスが完了していない場合、コントローラはステップS108に戻り、そ
こで次の連続コア強化フィラメント片を堆積させる前に、導管ノズルの現在の位置及び動
きを感知する。部品が完成している場合、最終品をプラテン体から取り除くことができる
。あるいはS121で第2のプリントヘッドを使ってオプションのコーティングを部品上
に堆積して保護被覆を提供する、及び/又はその最終品に図又は画像を適用することがで
きる。
【0091】
図3A図3Dは本発明において役に立つ、可能性ある種々のフィラメントの略図であ
るが、これらは必ずしも原寸に比例しているわけではない。図3A及び図3Bはソリッド
の連続コア6a(例えばガラス繊維)を有し、熱可塑性物質ポリマー4又は樹脂で囲まれ
た断面を表しており、図3Aでは断面積における樹脂の比率が70%を上回り、図3B
は30%未満である。図3C及び図3Dは熱可塑性樹脂によって包囲され、吸い上げ/湿
潤されたマルチストランド繊維を有する断面積を示し、図3Cにおいて樹脂の比率は60
%を上回り、繊維は全て外周の径の1/4以上であり、図3Dにおいては30%未満で、
繊維がフィラメント中に分布し、外周から突出している。図3E図3Dと同様の断面積
を示しているが、1つ又は複数の個々の第2の機能的ストランド6c及び6dを含んでい
る(電力、信号、熱及び/又は流体を伝導する電気、光、熱又は流体伝導特性並びに構造
の健全性の監視及びその他の所望する機能を有する)。炭素繊維に関して、プッシュ-プ
ルプレグ法で印刷するための樹脂量は30~90%(すなわち断面積で10~70%の繊
維)である。
【0092】
本発明の一実施形態又は態様によれば、ポリマー材料をプッシュ-プルプレグとして予
め含浸し、材料の最初の製造中、強化繊維、任意選択でマルチフィラメントの全断面に、
溶融ポリマー又は樹脂が吸い上げられるようにする。任意選択で、本発明のこの態様によ
れば、繊維ストランドにコーティング又は可塑剤などの媒介、放射によるエネルギーの適
用、温度、圧力又は超音波を適用することによって前処理を行い、ポリマー又は樹脂がボ
イドなくマルチフィラメントコアの断面に吸い上げられるように補助することができる。
印刷プロセスにおけるゾーン3030の加熱温度は、ボイドを充填するための湿潤、吸い
上げ、タッキング又は格子間での浸透を達成させるために必要な温度又はエネルギーより
も低く、溶融材の粘度は高い。ボイドレスプリプレグとしてプッシュ-プルプレグを調合
することにより、フィラメント幅及びその他の特性(例えば、剛性、滑らかさ)を予め決
定することができ、複雑な測定や(同じ又は異なる)種々のフィラメントの制御の必要性
を低減させることができる。
【0093】
本発明の一実施形態又は態様によれば、導管ノズル708の加熱部714内を真空とし
、マトリックス材の溶融中に空気(ボイドを含む)を除去することができる。これは、真
空下の固体又はマルチフィラメントコアを含む、空気ボイドを有する(例えば「グリーン
材料」)フィラメントにも使用することができる。本発明におけるボイドの真空による除
去に代えて、又はこれに加えて、フィラメントを、オフセットローラー又はその他の構成
によって設けられた遠回り経路を通し、機械的に封入空気を解消することができる。
【0094】
図4はメカニズム、センサ及びその中のアクチュエータを制御し、命令を実行して図5
に示す制御プロファイル、並びに図2及び図11図13に示すプロセスを行う3Dプリ
ンタのブロック図及び制御システムを示している。プリンタは概略的に示され、3つのコ
マンドモータ116,118及び120の潜在的な構成を示している。尚、このプリンタ
図1Cに示すプリントヘッド199,1800の複合アセンブリを含み得る。
【0095】
図4に示す様に、3Dプリンタ3001は繊維ヘッドヒータ715に動作可能に接続さ
れたコントローラ20、繊維フィラメントドライブ42及び複数のアクチュエータ116
,118,120を含み、コントローラ20は命令を実行し、この命令によってフィラメ
ントドライブは繊維フィラメントドライブ42としごき先端726の間の冷却送りゾーン
712に、複合フィラメント2の未接着の終端2を保持する。命令はフラッシュメモリに
保持し、RAM(図示せず、コントローラ20に埋め込むことができる)で実行される。
本明細書に記載する様に、噴霧コートを塗布するアクチュエータ114もコントローラ2
0に接続させる。繊維ドライブ42に加え、フィラメント送り1830をコントローラで
制御し、押出しプリントヘッド1800に供給する。プリントヘッド基板110を任意選
択で複合プリントヘッド199,1800に取り付け、それと一緒に移動させ、リボンケ
ーブルを介して主要コントローラ20に接続させ、特定の入力及び出力を行なう。しごき
先端726の温度をサーミスタ又は熱電対102によってコントローラ20で監視し、任
意の片方の押出しプリントヘッド1800においてヒータブロック保持ノズル1802の
温度を、サーミスタ又は熱電対1832で測定する。しごき先端726を加熱するヒータ
715と押出しノズル1802を加熱するヒータ1806とをコントローラ20で制御す
る。冷却用のヒートシンクファン106及び部品ファン108をプリントヘッド199,
1800で共有し、コントローラ20によって制御する。距離計15もコントローラ20
によって監視する。サーボモータ、ソレノイド又はその同等物であるカッター8のアクチ
ュエータも動作可能に接続させる。プリントヘッド199、1800の何れかを(例えば
ドリップ制御のために)部品から離すリフティング用のリフタモータも制御することがで
きる。アクチュエータ116,118,120がそれらの移動範囲の端部に到達したこと
を検出するリミットスイッチ112もコントローラ20によって監視する。
【0096】
図4に示す様に、別個のマイクロコントローラを含み得る更なるブレークアウトボード
(breakout board)122によって、コントローラ20にユーザインターフェース及び接
続性が提供される。802.11Wi-Fiトランシーバによってコントローラはローカ
ル無線ネットワーク及びインターネットに接続され、遠隔入力、コマンド及び制御パラメ
ータを送受信する。タッチスクリーン表示パネル128はユーザフィードバックを提供し
、ユーザからの入力、コマンド、制御パラメータを受信する。フラッシュメモリ126及
びRAM130はユーザインターフェースマイクロコントローラ及びコントローラ20用
プログラム及びアクティブ命令を保存する。
【0097】
図5は、例えば図12のルーチンを表す命令に従って実行される、繊維プリントヘッド
199のスレッディング及びセグメント印刷動作を表すタイミングチャートと、図13
ルーチン(又は別の押出しプリントヘッド)を表す命令に従って実行される押出しプリン
トヘッド1800の比較又はもう片方の押出し動作を表すタイミングチャートとを含む。
比較の便宜上、各タイミングチャートは、時間T4(繊維)及びT34(押出し)におい
て並んでセグメントの印刷を開始するが、実際に複数のプリントヘッドが同じ駆動アセン
ブリに設置されている場合はそうではない。
【0098】
図5の上部の、時間T0で繊維堆積プロセスが開始され、コントローラ20は繊維ドラ
イブ42に繊維フィラメント2をそれが置かれている場所(例えば冷却送りゾーン712
、又はカッター8に隣接する場所、又は両方)から前進させるように命令する。スレッデ
ィング速度「T」はフラッシュ及び/又はRAMのデータベースに保持する。これによっ
てスレッディングプロセスが開始される。なお、スレッディングプロセスの開始には前の
横列(T6’に示す)からの切断は含まれない。スレッディングプロセスは、繊維フィラ
メント2がしごき先端726まで、時間T2、スレッディング速度Tで振れ距離R1(フ
ラッシュ又及び/又はRAMのデータベースに保存されている)の分だけ駆動される間継
続される。この点で、繊維フィラメント2の未接着の終端は、これが第1セグメントであ
る場合、部品14又はプラテン体16自体に到着している。T2で繊維フィラメント2の
堆積が開始される。図5はT2における速度の遷移を示す、すなわち、スレッディング速
度Tは送り速度Fよりも速いが、送り速度Fはスレッディング速度と同等、それよりも速
い、又は遅い。
【0099】
より重要なことは、T2とほぼ同期して、T4において、アクチュエータ116,11
8の内の少なくとも1つが駆動され、プラテン体16をプリントヘッド199に対してそ
の送り速度Fと同じ速度で移動させ始めることである。アクチュエータ116,118は
どちらも同じ方向又は反対方向に駆動される、又は必要に応じてアイドル状態とさせるこ
とによって、任意の2次方向に真直ぐ、斜め、又は湾曲した経路セグメントが形成される
。本明細書に詳細を示す様に、滑り機構によって、繊維ドライブ42が滑る間、繊維フィ
ラメント2をリップ726によってしごき、プリントヘッド199から引き抜くことがで
き、又、アクチュエータ116,118及びドライブ42をより能動的に制御若しくはフ
ィードバック制御し、繊維フィラメント2内に中立から正の張力を維持することができる
。T4は好適にはT2とほぼ同期しているが、T2よりも僅かに(例えば1、2mm)前
後させてもよい。繊維ドライブ42とアクチュエータ116,118の各々とは、印刷さ
れるセグメントに沿って繊維の予定された経路を駆動し続ける。タイミングチャートの中
断箇所(break)は可変長セグメントに適応する。
【0100】
セグメントの端部が近づくと、繊維フィラメント2をせん断しなければならない。好適
には、繊維ドライブ42及びアクティブアクチュエータ116及び/又は118の中の1
つ又は両方を、せん断前に、例えば繊維ドライブ42に関してはT6、そして例示的アク
ティブアクチュエータ116及び118に関してはT8で休止させる。繊維フィラメント
2を部品14と繊維ドライブ42の間に保持し、何れかによって駆動させてもよい。カッ
ター8を駆動して繊維フィラメントをA7において迅速にせん断する。次に繊維フィラメ
ント2の振れ距離R1がカッター8に向かって延在するプリントヘッド199に残ってい
るが、まだ印刷しなければならない。従って、繊維ドライブ42は休止の後に再スタート
しない(その必要性はない)が、アクチュエータ116,118はT10で繊維フィラメ
ント2の尾部が部品14に結合されるまで、再度振れ距離R1分、セグメントのコントロ
ーラ有向経路に追従し続ける。本発明のオプション部分として、接着横列又はセグメント
の部品14への印刷及び/又はしごきの少なくとも一部を、フィラメントドライブ42を
印刷するフィラメント2に接触させずに行う。図5に示す様に、早い時間T6’,T7’
,T8’及びT10’までは、前のセグメントは同じステップに従い得る。同様に、次の
セグメントも同じステップに従う、及び/又はプラテン体16には(T12で)別のスラ
イスで別のセグメントを始めるため、一段下にインデックスして(indexed down)もよい
【0101】
なお、図5の上部を参照すると、T0とT2の間のスレッディングプロセスは、セグメ
ント経路が始まる直前に行うことが好ましく、セグメント経路を開始する前に行わなけれ
ばならないが、アイドル期間中の振れ距離を利用してもよい。例えば、T6の直後、又は
T8’~T4のスパン中の任意の時点で、繊維ドライブ42は繊維を少なくとも冷却送り
ゾーン712の端部の、繊維フィラメント2の未接着の終端が未溶融の状態である位置の
、しごきリップにもっと近い場所に前進させてもよい。アクチュエータ116,118が
せん断された繊維フィラメント2の逃げを印刷及び/又はしごいて印刷セグメントを完了
させる間、繊維送り42から冷却送りゾーン712内の位置へ、経路に沿って繊維フィラ
メント2を前進させるのは、本発明のオプションの部分である。
【0102】
図5の下部を参照すると、押出し印刷が異なっている。セグメントが例えばT32で開
始されると、呼び圧P(より高い送り速度)を非常に短期間で、セグメントの端部がセグ
メントの残りの部分と確実に水平となるようにする。アクチュエータ116,118はプ
リントヘッド1800を、最初はT34での押出し送りとほぼ本質的に同期して移動させ
る。押出しドライブ1830によって前進された熱可塑性物質フィラメントの線形前進速
度Eは、印刷速度と大幅に(例えば10~100倍)異なる、というのも、純粋な熱可塑
性物質フィラメントが全て溶融されて容器1804に蓄積され、続いて小径ノズル180
2から押出されるからである。押出しドライブはT36で、プリントヘッド1800を駆
動させるアクチュエータ116,118はT40におけるセグメントの終わりで、押出し
速度を僅かに下げ得る。しかしながら、容器1804の圧力は、主に押出しドライブ18
30によるフィラメントの高速後退により、T38で解放される。次のセグメントも同じ
ステップに従うことができ、及び/又はプラテン体16には別のスライスの別のセグメン
トを始めるため、一段下に(T42で)インデックスさせてもよい。
【0103】
本明細書ではコア強化フィラメントを一致した速度で通す堆積ヘッドを「導管ノズル」
と称し、供給フィラメントよりも速い速度で、背圧下において溶融非強化ポリマーを狭め
て(neck down)押出す堆積ヘッドを(「押出し」の従来の意味により)「押出しノズル
」と称する。
【0104】
導管ノズル全体において繊維材6bとポリマーマトリックス4のストランドとの速度を
一致させ続ける直ノズル及び分岐導管ノズルの一群(a family)を図6A図6Cに示す
図6Aはマトリックス材の熱膨張に適合して増大する導管ノズルの絞り径を有する分岐
導管ノズル200を示し、導管ノズル200は径D1の入口202、増大する径204
を有する断面、及びD1よりも大きな径D2を有する出口206を含む。或いは、マトリ
ックス材及び繊維ストランドの両方が(炭素繊維及び液晶ポリマーのような)比較的低い
熱膨張係数を有する場合、導管ノズル200は図6Bに示す様な、ほぼ同じ径D3を有す
る入口202及び出口206を含み得る。導管ノズル200又は708はまた、図6C
示す様な丸みを帯びた出口208又は726を含み得る。例えば、丸みを帯びた出口20
8は外向きに延在するリップ、面取りされた面、フィレット面、又はアークもしくは出口
からの円滑な遷移を提供する適切な形状によって具現化することができ、これによって印
刷の際にフィラメントの破砕、フィラメントへの応力の付与、及び/又はフィラメントの
剥離を防ぐことができる。
【0105】
図8は3Dプリンタで使用するカッターの2つの実施形態を示している。例えば図1A
又は図1Bを参照して説明した同様の要素と実質的に類似している。フィラメント2又は
2aはスプール38から供給され、フィラメント2aに下方向の力をかける駆動ローラー
40及びアイドルホイール42によって引き抜かれて送られる。非加熱、又は周囲温度又
は室温で、何れの場合においてもガラス遷移温度以下であるこのゾーン(3010又は3
020)において、この力がかかる際、フィラメント2aのマトリックスは固体又は「ガ
ラス」状である。かけられるこの下向の力はガラス状マトリックス4Aを介して繊維スト
ランド6Aに送られ、これは加熱された導管ノズル10からフィラメント全体を押し、そ
の後マトリックスは溶融されるにも係らず、3D部品が形成される。カッター8,8a,
8bの位置は最終部品の末端のオーバーラン(tag-end over-runs)の存在を低減又は削
除する、又は有利であればそれらが柔軟に生成されるようにする。
【0106】
カッター8a(例えば刃)を導管ノズル10の出口に設置し、カッター8aの駆動によ
って内部繊維ストランドをせん断することによって、堆積片又は接着横列の完全な切断が
可能となり、並びに/又は導管ノズルの小穴又は出口を物理的に遮断することによって、
更なる前進及び/若しくは滴下を防止することが可能となる。カッター8a又は8bによ
り、コントローラ20によって制御されるように、精密に制御された長さでフィラメント
(繊維強化又は非強化)の堆積が可能となる。あるいは、カッター8bを導管ノズル10
の上流の導管ノズル10出口と送り機構40の間に設置することにより、導管ノズル10
出口と部品の間の溝が小さくなる。これに代えて、又はこれに加えて、カッター8bは、
マトリックス温度が溶融、軟化又はガラス遷移温度以下でフィラメントを切断し、樹脂が
刃に粘着しにくいようにし、これによって機械的ジャミングを低減することができ、及び
/又は堆積材料のより精密な計測が可能となる。
【0107】
図10に示す様に、フィラメント2と導管の間に比較的密接した(しかしいかなる場合
においても結合しない)適合(すきまばめ3010又はより大きな導管とすることができ
る)が維持されるのであれば、切断ストランドの下流部2bは、駆動ローラー40によっ
て駆動される、当接する上流部2aによって押される。予め(冷却)接着横列を接着し、
導管ノズル10とプラテン体16が相対移動する際、張力下でフィラメント2bを導管ノ
ズル10から「ドラグ」する。送り機構の上流の力と、フィラメント及びフィラメントの
ストランドの未溶融、又はガラス部を介して伝達された下流の力との組み合わせを接着横
列の堆積に使用する。
【0108】
上述の様に、カッター8,8a,8bはオプションであるが、材料の曲がりを防止し、
均一な堆積を保証し、機械的ジャミングを防止する。更に、小径(例えば30サウ未満)
の連続繊維フィラメントは曲がりやすい。この場合、締まりばめチューブ(a close fitt
ing guide tube)10、又は送り機構42,40に隣接し及び/又は導管ノズル708に
近い64,712(ゾーン3010,3020内)の締まりばめ導管は、材料の曲がり防
止を助けるだろう。従って、一実施形態において、送り機構42,40を導管又はノズル
の入口から約3~8径未満のところに設置してもよい。一つの特定の実施形態において、
導管は丸みを帯びた細長い管である。しかしながらフィラメントの形状が円形以外(例え
ば、楕円、四角、又はテープ)の場合、導管をそれに適合した大きさ又は形状にする。任
意選択で、フィラメント2は、繊維をフィラメント2の外周から突出させない円滑な外部
コーティング及び/又は表面を含んでもよい(導管内の摩擦又は抵抗を低減させる)。
【0109】
いくつかの実施形態において、3D印刷システムは導管を含まない。代わりに、送り機
構を受入管64のようなノズルの入口に十分近づけて設置し、送り機構から導管ノズルの
入口までの連続コアフィラメント2の長さを曲がりが回避されるほど十分に短くしてもよ
い。このような実施形態において、送り機構によってかけられる力を、連続コアフィラメ
ント又はノズルに送られるその他の材料の、予想される曲げ力又は圧力以下の閾値に制限
することが望ましい。
【0110】
いくつかの実施形態において、堆積された強化繊維にかかる最大張力又はドラグ力を制
限して、印刷部品が対応する形成面(build plane)から引き上げられるのを防止し、又
は連続コアの中立から正の所望する引っ張り量を提供する。例えば、一方向ロックベアリ
ングをドラグ力を制限するために使用することができる(例えば、送りローラーの速度を
印刷速度よりも遅く設定しても、一方向ベアリングを使うと、フィラメントをローラーか
ら、これらのローラーが駆動されるよりも速く引き抜くことができる)。このような実施
形態において、駆動モータ42は駆動ホイールを一方向ロッキングベアリングにより、モ
ータの回転によってホイールが駆動され、材料を前進させるようにすることができる。材
料のドラグが駆動ホイールの駆動速度を上回る場合、一方向ベアリングは滑り、送り機構
及びノズルを通して更に材料が引き抜かれるようにし、駆動力を予め選択した制限未満と
なるように制限しながら、印刷速度又はヘッド移動速度と一致するように送り速度を効率
的に上げることができる。ドラグ力(中立からの正の張力)も適切な内蔵スリップ(comm
ensurate built-in slip)を有するクラッチを使用することによって制限することができ
る。あるいは、別の実施形態において、駆動及びアイドルホイールの垂直の力及び摩擦係
数は、連続材料が特定のドラグ力以上で送り機構から引き抜かれるように選択することが
できる。それに代えて、又はそれに加えて、「OFF」位置に切り換えるAC誘導モータ
又はDCモータ(例えば、小さな抵抗がモータ端子又は開放モータ端子に与えられる)を
、フィラメントがモータ抵抗に逆らってプリンタから引き抜かれるように使用することが
できる。このような実施形態において、所望する力の閾値以上のドラグ力を与えてフィラ
メントがプリンタから引き出されるようにする場合、モータをフリーホイールとすること
ができる。これらを考慮に入れ、いくつかの形態または方法で、送り機構を、フィラメン
トにかけられるドラグ力が所望の力閾値よりも大きい場合、フィラメントがプリンタの導
管ノズルから引き抜かれるように構成することができる。更に、いくつかの実施形態にお
いて、送り機構にセンサ及びコントローラループを一体化させて、堆積速度、プリンタヘ
ッド速度及び/又はフィラメントの張力に基づくその他の適切な制御パラメータの何れか
の、フィードバック制御を提供することができる。
【0111】
本明細書に記載する本発明の実施形態又は態様によれば、印刷プロセスは全段階で同じ
であってもよいし、又はプリンタ、フィラメント及び部品で異なる印刷段階(例えば、ス
レッディング段階と印刷段階、及び/又は直線段階と曲線段階)において異なる力のバラ
ンスを生み出してもよい。例えば、本発明の一実施形態又は態様において、プリンタは、
主要な連続印刷段階では、接着横列を主に横方向の圧入及び軸方向張力を介して適用し、
フィラメントの端部を最初にプラテン又は部品に当接させ、次にしごき先端の溶解下で平
行移動させるスレッディング段階では、主に横方向圧入及び軸方向圧縮を介して適用させ
てもよい。
【0112】
本明細書に記載する本発明の実施形態又は態様によれば、印刷システムは、軸方向の中
立から正の張力下において、フィラメント2をプリンタ導管ノズル708から真直ぐな印
刷セクションに沿ってドラグし得る(そしてこの張力は導管ノズル708を通り越し、送
り速度で制御される送り機構42,40へと延びるが、スリップ又はクラッチ機構を有す
ることができる)。このような動作中、プリンタヘッドをコントローラ20によって所望
の速度でずらし、又は平行移動させてもよく、前の層又は印刷面に接着させた堆積材及び
/又は接着横列は、印刷ノズル内でフィラメントにドラグ力をかける。フィラメントを印
刷システムから引き抜いて部品14に堆積させる。一方で、それに加えて、又はそれに代
えて、本明細書に記載する本発明の実施形態又は態様によれば、曲線及び/又は角に沿っ
て印刷する場合、印刷システムの送り機構42,40、送り速度及び印刷速度をコントロ
ーラ20によって制御し、堆積フィラメントを部品又は表面体16に押圧する。しかしな
がら、直線動作中にフィラメントを印刷システムから押し出す、並びに/又は曲線及び/
若しくは角を印刷する際にフィラメントをプリンタヘッドからドラグする、実施形態又は
態様も考えられ、フィラメントをほぼ常にドラグする、又はほぼ常に押し出す、実施形態
又は態様も考えられる。
【0113】
非溶融ストランドを含む、張力のかかった内部ストランド強化フィラメントの堆積によ
り、堆積材料をプリントヘッドによって押し出し、(遠)端部で印刷部品に接着させるこ
とができる。プリントヘッドは張力下で材料をたるませることなく開放溝にフィラメント
を吊るし、(可溶性支持材料を使用、又は使用せずに)中空コアコンポーネントを構成す
ることができる。
【0114】
図8は連続コア強化フィラメントによって可能となる自由空間印刷を示す。連続コア強
化フィラメント2bはポイント44において部品に接着させ、ポイント46においてプリ
ントヘッドで保持されると、溝48に架橋する。張力のかかった内部繊維ストランドがな
い場合、溶融マトリックス材はたるんで溝48に落下することが考えられる。一例では、
図9に示す閉セクションボックスを、溝48が架橋され、対向するセクション52及び5
4に固定されたセクション50によって形成する。このような自由空間印刷を、典型的な
支持されていない材料では印刷することのできない、片持ち梁の作製にも使用することが
できる。このような場合、任意選択で、冷却空気の噴霧などによる冷却機構により、溝に
架かる間、形成された領域全体又はほぼ全体を連続的に冷却し、又は溝に架かる間、材料
の一部を固めてコアを取り囲むポリマー材を固めることにより、たわみを防止することが
できる。溝に架かる間のみ材料を選択的に冷却すると、残りの部分により良い接着がもた
らされる、というのも隣接する層の間に強化された拡散結合が維持されるからである。
【0115】
上述の実施形態において、導管ノズルの上流に切断刃を設置し、プリンタが要求した時
に連続コアを選択的にせん断する。この方法は効果的であるが、強化フィラメントがカッ
ターとノズルの間の「溝を適切に飛び越えられない」場合がある。従って、少なくともい
くつかの実施形態において、切断ステップの後にコア材を再スレッディングする確実性を
増大させることが望ましい。カッターは、切断作業後に支持されていない溝を減らす又は
無くすように設計され得る。例えば、フィラメントを導く2つの当接した同軸チューブを
一時的に相互にずらしてフィラメントをせん断する、チューブ状のせん断カッターがある
【0116】
図10図1A及び図1Bと同様に、プリンタ機構を示したものである。図7図10
に示すカッター及び駆動システムのシステム実装詳細図であり、駆動ローラー及びアイド
ルローラー40、並びにぴったりしたチューブ(close fitting tube)72及びフィラメ
ント2(各々の径は非常に小さく、10サウと50サウとの間)を含んでいる。同じ符合
の部品は同じ特徴を示す。図10に示す様に、フィラメント2は張力下で送りローラー4
0,42に引き込まれ、フィラメント2とローラー40,42の整列の誘導、維持を促進
するために、フィラメント2をローラー40,42の上流の導管74に通す。ローラー4
0,42を通した後、連続コアフィラメント2は(少なくとも任意の導管又は素子内の摩
擦に打ち勝つくらい十分な)軸方向に圧縮される。圧縮された材料の長さ及びかけられる
力の強さによって、連続コアフィラメント2は曲がることがある。よって、連続コアフィ
ラメント2はローラー40,42の下流で導管ノズル68の上流に位置するぴったりした
導管72(例えばすきまばめ)を通り抜ける。導管72はフィラメント2を誘導し、連続
コアフィラメント2の曲がりを防止する。溝62はプリンタヘッド70とカッター8の間
に存在する。
【0117】
フィラメント2は、切断されると、溝62の片側を通って受入管64へと「再スレッデ
ィング」される。受入管64自身は任意選択で材料のガラス遷移温度以下とすることがで
きる。任意選択で、受入管64と導管ノズル68における加熱部品との間の熱スペーサ又
は熱抵抗器66により、熱い導管ノズル68から受入管64への伝熱を低減させる。
【0118】
図10において、再スレッディングの難しさ(例えば、システム全体、一方で印刷を開
始するプリントヘッドの終端を通すスレッディング又はステッチングプロセスの間)に直
面する、というのも、フィラメントは柔軟で、端部が支持されていないと曲がる、又は座
屈する傾向にあり、それがスレッディングされると両端が完全に支持され、第1オーダー
曲げモードに制約されるからである。フィラメントがスレッディングされた後、下流部は
後に続くフィラメントを全て誘導する。特に鈍く厚い刃でフィラメントが切断されるとフ
ィラメントの端部が変形し、フィラメント2と受入管64との不整合が大きくなる。
【0119】
カッター8,8a又は8bにフィラメントを通すスレッディングの信頼性を高めるため
に、不使用時、カッター8を溝62から取り除き、再スレッディング中に導管72を(下
に)ずらす及び/又は受入管64にはめ込んで(telescope)もよい。導管72と受入管
64の間の隙間(溝)は低減させることができ、又はチューブ64,72を本質的にカッ
ター8の刃に当接させてもよい。あるいは空気などの加圧流体を導管72へと軸方向下方
に向け、軸方向の流体の流れによって材料を中央に配置して(center)、材料を受入端1
6と整合させることができる(そして高速印刷及び/又は高温印刷のために導管72を冷
却して、導管内で材料の摩擦を低減させることができる)。
【0120】
図7(平面図)の上方に示す様に、導管74は、フィラメント径の1.5~2.5倍の
内径を有する毛細管を含み、フィラメント径の変化と共に容易に変えることができ、ボー
デンチューブに容易に接続できる。ぴったりしたチューブ72(任意選択でテフロン/P
TFEから作製されたフレキシブルチューブとの組み合わせ)はフィラメント2の径の1
.5~2.5倍の内径を有する、同様の毛細管を更に含むことができ、一方で受入管64
はこの代わりに、又はこれに加えて、フィラメント2の径の1.5~3倍の内径を有する
毛細管を含むことができる(そして同様の径のテフロン/PTFEボーデン管に接続する
ことができる)。好適に、及び任意選択で、受入管74の毛細管はぴったりしたチューブ
72の毛細管よりも大きな径、特に内径を有する。図7に示す様に、駆動ローラ(及びモ
ータ)を、アイドルローラー40の反対側でカッター8に近接させて、滑り機構43と共
に取り付けてもよい。
【0121】
図7(側面図)の下方に示す様に、カッター刃8fは非常に薄く尖ったものであっても
よいし、鈍い刃でもよく、例えば図7に示す様に、その支持アーム9で、それがフィラメ
ント2に対して垂直の方向でカッター刃8fに押し付けられず、フィラメントを迅速に引
き抜く、又はフィラメントを横断し、回転してフィラメント2をスライスするように回転
するよう、フィラメントに対して高角度で配置されている。カッター8のアセンブリは、
未溶融の繊維強化複合フィラメント2の径よりも小さな厚さを有する刃8fを駆動するア
クチュエータ8dと、未溶融の繊維強化複合フィラメント2をカッター刃8fに誘導する
導入管(ぴったりしたチューブ72の例示的毛細管)及び未溶融の繊維強化複合フィラメ
ント2をカッター刃8から誘導する導出管(受入管64の例示的毛細管)とを含み、刃8
fは導入管72と導出管64の間の未溶融の繊維強化複合フィラメント2をせん断し、導
入管と導出管の間の距離(例えば7サウ)と刃の厚さ(例えば5サウ)のどちらも未溶融
の繊維強化複合フィラメントの径(例えば13サウ、最低でも5~8サウ)以下である。
好適には、カッター刃8fと導入管72及び導出管64の各々との間の隙間(例えば1サ
ウ)は、カッター刃8fの厚さの1/4~1/2未満であり、導出管64の内径は導入管
72の内径よりも大きい。図7及び図1Cに示す様に、リンク機構8eは支持アーム9に
取り付けられたカッター8のサーボ、モータ、ソレノイド又はその他のアクチュエータに
、迅速な動作及び/又は迅速な戻りを提供することができる。
【0122】
図11図13図2のフローチャートの1つの特別な実行を示すフローチャートであ
る。具体的には、図12は繊維複合体印刷プロセスを詳しく説明するものであり、図5
タイミングチャート及び図1C及び図1Dの詳細図と同様に、ステップ番号を含む同じ符
号は同じ機能を反映している。同じ機能を反映している同じステップ番号であっても、フ
ローチャートでは順序の異なる場合がある。図13は、機能を対照及び連結する目的で、
図1Cに示すFFFプリントヘッド1800に適用することのできるFFF制御プロセス
を示している。図11は、連結機能として、図1Cにおいて共同取り付けされたFFF押
出しヘッド1800及び繊維強化フィラメントプリントヘッド199の代替的使用及び共
同使用を行なうために実行することのできる、連結機能としての制御ルーチンを示してい
る。
【0123】
図11において、コントローラ20は、印刷開始時に、ステップS10において次に印
刷するセグメントが繊維セグメントか否かを決定し、繊維フィラメントセグメントの場合
にはS12に進み、例えば、ベース、充填又はコーティングを含むその他のセグメントの
場合にはステップS14(例えば図13)に進む。図2及び図12を参照してステップS
12を詳しく説明する。ルーチンS12及びS14の各々又は何れかにおいてセグメント
が完了すると、図11のルーチンはステップS16でスライスが完了したか否かを確認し
、セグメントがスライス内に残っている場合、次の計画されたセグメントに進み、ステッ
プS18において繊維セグメント及び/又は非繊維セグメントの決定及び印刷を続ける。
同様に、ステップS16でスライスが完了した後、スライスがステップS20で残ってい
る場合、ルーチンはステップS22で次に計画されているスライスに進み、繊維セグメン
ト及び/又は非繊維セグメントの決定及び印刷を続ける。本明細書で使用する「セグメン
ト」は、先端と終端を持つ直線の列、路又は横列を指し、開放又は閉鎖、線、ループ、曲
線、直線などとすることができる。セグメントはプリントヘッドが材料の連続堆積を開始
すると始まり、プリントヘッドが堆積を止めると終わる。「スライス」は3Dプリンタに
印刷される単一の層又は積層であり、スライスには1つのセグメント、複数のセグメント
、セルの格子充填(lattice fill of cells)、種々の材料、及び/又は繊維の埋め込ま
れたフィラメントセグメントと純粋なポリマーセグメントとの組み合わせがある。「部品
」は、部品を形成するための複数のスライスを含む。図12の制御ルーチンにより、図1
Cの複合プリントヘッド199,1800を含む2つの異なるプリントヘッドと、図5
両方のタイミングチャートとを使用したデュアルモード印刷が可能になる。
【0124】
図12は任意選択で繊維セグメントを図11のマスターフローチャートで印刷する決定
から始まる。先ず、本明細書の例えば図5に示すスレッディングプロセスを実行する。ス
レッディングプロセス(任意選択でステップS103,S103Aと、S105、S10
5Sとの間)の一部の前、又はそれと同時に、プリントヘッド199をステップS104
Aにおいて印刷開始場所にインデックス(index)し、繊維ドライブ42によって繊維フ
ィラメント2を冷却送りゾーン712の保持位置(これは任意選択で本明細書に記載する
様に、そしてステップS104Bに示す様に、カッターに隣接した、マトリックス材の温
度が溶融温度以下に保たれる任意の準備位置(any ready position)であってもよい)に
前進させる。図2のステップS111での準備において、同時に、プラテンをステップS
111Bで繊維フィラメント2の径より小さいプリントヘッド199の下の位置にインデ
ックスする。例えば、0.008~0.1mmの断面積を有する13サウの繊維の埋め
込まれたフィラメント2を、厚さ0.1mm、幅0.9mmの平坦な列に圧縮し、しごき
リップ726を前の列より0.1mm上に配置してもよい。本明細書に開示する本発明の
オプションとして、ほぼ円形又は楕円形の繊維の埋め込まれたフィラメントを熱及び/又
は圧力で圧縮し、しごき、及び/又は平らに変形させ(場合によっては長方形の横列にす
る)、平らにした接着横列の高さをその径の1/2未満、好適には1/3未満とし、厚さ
をその径の2倍以上とすることが考えられる。これらのステップS104A,S111B
及びS104Bは同時に発生するように示されている、というのもこれらは相互に依存せ
ず、任意の順序で又は一部若しくは全体を同時に行なうことができるのである。
【0125】
ステップS110Aにおいて、図2のステップS110のサブセット又はスーパーセッ
トとして、繊維強化フィラメント2を繊維ドライブ42によってスレッディング速度で送
り、これは図5を参照して説明するように、フィラメント2がこのような壁に接着するの
に、そして振れ距離R1(又は「切断から先端までの(cut-to-tip)」距離、すなわちカ
ッター8から先端726までの距離)にステップS110B内で到着するまで、大量の伝
熱を防ぐのに十分な速度である。スレッディングはこの時に完了する。ドライブ42によ
る繊維の前進を停止せず、次に、プリントヘッド199をアクチュエータ116,118
によって、ステップS113Bにおいてプログラムされた繊維セグメント経路に沿って移
動させる(更に任意選択で図2のステップS113Aの特定の張力を維持する)。これは
図5に示される様にしごき又は印刷速度で行い、本開示は繊維ドライブ42のスレッディ
ング速度とは異なる。同時に、ステップS113において、繊維送りドライバ42は、任
意選択で図12に示す様にそして本明細書に示す様に、例えばプリントヘッド199のし
ごき速度の0.95倍以上の、印刷速度又はしごき速度未満の(制御する非弾性の埋め込
まれた繊維が直進する)速度で繊維フィラメント2を前進させ続ける。S113Cの繊維
送り速度は任意選択で、スレッディング速度と異なる、又は同じである。
【0126】
図5を参照して示す様に、振れ距離R1が印刷されないままである場合、システム内の
繊維をしごき先端726からR1の距離でせん断する必要がある。従ってルーチンは、ス
テップS117BでR1の距離分進み、セグメントの終了がセグメントに沿って発生する
か否かを確認する。なお、カッター駆動コマンドは、経路、スライス又は事前のSLT分
析による振れ距離R1に従って、セグメント経路に沿って正しい時間又は距離でマークを
行い、ステップ117Bにおいて事前に遷移セグメントの終了を予測するのではなく、ス
テップS117C及びS117Dにおける経路に沿った確認を行なうのと同等になるよう
にすることができる。図12のステップS117B~S117Dは図2のステップS11
7,S117Aのサブセット又はスーパーセットである。
【0127】
振れ距離R1が印刷されないままである場合、プリントヘッドアクチュエータ116,
118及び繊維フィラメント送りドライブ42をステップS117Cで休止させ、続いて
繊維フィラメント2をステップS117Dで、カッター8のアクチュエータへのコントロ
ーラ20のコマンドによってせん断する。図5に示す様に、繊維の余り又は不足はプログ
ラムされたセグメント経路に沿って引き続き積層しなければならない。従って、計画され
た繊維セグメントS113Dが印刷プロセスにおいてステップS113Dで完了しない場
合、プリントヘッド199(必ずしも休止したままの繊維フィラメントドライブ42では
ない)の必要なアクチュエータ116,118を、ステップ113Eで再スタート及び/
又は継続させる。ステップD113D及びS113Eは図2のステップS113及びS1
13Aのサブセット又はスーパーセットである。繊維セグメントが完了すると、プロセス
は主要な印刷ルーチンに戻り、スライス内の次のセグメントが繊維フィラメントセグメン
トか否かを決定する。なお、図12のルーチンは図11又は図13から独立して行なうこ
とができる、すなわち、FFF型の複合プリントヘッド1800のないプリンタでは、例
えば図26のSLA型プリンタと共に行なうことができる。
【0128】
上述の様に、図12の制御ルーチンによってデュアルモード印刷が可能となる。図13
は非繊維コマンドの実行を示す。図13において、FFFプリントヘッド1800及びプ
ラテン16はステップS121で最初の印刷位置にインデックスされ、押出しドライブ1
830は、システムにすでにロードされている段階に加えてフィラメント押出しの準備を
迅速に行い、圧力を増大させ (図5のT32に対応するステップS123)、押出しの
ために送り続ける。ステップS125において、図5の時間T34に対応して、プリント
ヘッド1800は移動して押出しを受け取る。ステップS127で、押出しドライブ18
30はプリントヘッドが移動する速度の何分の一かの速度でFFFフィラメントを溶融容
器1804に前進させ続け、背圧を生成して液化した熱可塑性樹脂で充填された加圧容器
1804内に材料を押出す。セグメントが終了すると、押出しドライブ1830及びプリ
ントヘッド1800はステップS131で迅速に休止し、ステップS133で戻り動作(
例えば15mmの戻り)を行なって溶融容器に圧力を放出し、好適にはノズル1802の
先端で負圧を生成し、例えば、液だれ(dripping)又は尾引き(tailing)を防止する。
図11から呼び出された場合(if called from Fig. 11)、プロセスは図11の制御に戻
る。
【0129】
図14A図14Cは出口の異なる導管ノズルの一群を示す。図14Aは入口502及
び出口504を含む導管ノズル500を示し、この出口はアラミドなどのいくつかのフィ
ラメント2に適しているが、耐摩擦のない、繊維ガラス、炭素、金属コアのめっき、光フ
ァイバーケーブルへの処理などの、繊維に損傷をもたらす可能性のある、鋭い出口角を含
んでいる。図14Bは円滑な遷移の、複数の面取り(例えば2ヶ所、又は45度の面取り
)がなされた導管ノズルの小穴又は出口506を示し、これは繊維のせん断を低減させる
図14Cは円滑な丸みを帯びた導管ノズル出口又はしごき先端508を示し、これは非
溶融ストランドのせん断及び切断を低減させる。
【0130】
代替例において、矢印510で示す様に、鋭いエッジの導管ノズルを垂直方向のZ方向
に押し下げてフィラメント2をせん断することが望ましい。図14Cに示す様に、導管ノ
ズル508の角は鋭く、Z方向を向き、フィラメント2に対して力がかけられると連続フ
ィラメントをせん断する(任意選択で張力下、任意選択で送り機構の駆動及び/又はプリ
ントヘッドの移動又はテーブル体の移動によって提供される)。図15A図15Dに示
す様に、導管ノズルの一部を任意選択で尖らせ、導管ノズルの小穴の内部又は出口の方に
向け、切断材料が導管ノズルから出るのを助ける。図に示す様に、滑らかに面取りされた
導管ノズル600はフィラメント2を含み、これは面取りされた導管ノズル600及び導
管ノズルの遠端出口に位置するリング602から出る。リング602の第1の部分は非切
断部であり、フィラメント2を妨害しないような形状及び配置となっており、リング60
2の第2の部分は切断部又は刃602aを含み(任意選択でスチール、カーバイト又はセ
ラミック)、これは図15B図15Dに示す様に鋭く、導管ノズル600内に含まれる
フィラメント2に向かって内側に配向され、導管ノズル小穴又は出口面積の1/10未満
を占有している。切断部602aは、以下、すなわち、永久に取り付ける、印刷中選択的
に後退させ、切断する時に前進させる、導管ノズルの小穴又は出口の外周に凹状に形成す
る、図15Bに示す様に導管ノズル出口の外周の一部を形成する、導管ノズルの小穴又は
出口と一体形成する、及び/又は導管ノズルの小穴又は出口に取り付ける、の何れかとす
ることができる。
【0131】
図15A図15Dに示す作動において、導管ノズル600を表面に構成された部品に
対してDの方向に平行移動させ、一方でフィラメント2を所定の位置に静止及び/又は保
持し、結果としてコア材6が引っ張られる。連続コアフィラメント2にかけられる張力が
増大すると、コア6は切断部602aによって切断される。あるいは、表面及び/又は部
品を、導管ノズル又は張力のかかったフィラメントに対し、送り機構を使って平行移動さ
せてせん断動作を行なう。図16は導管ノズル先端のカッターの別の実施形態を示し、そ
の実施形態において、切断リング604はすでに堆積されたフィラメント2に配向された
鋭利な末端縁を有し、導管ノズル600及び鋭利な縁に曝される部品に対して駆動され、
フィラメントを切断素子604と接触させてコア材6を切断する。
【0132】
光ファイバーケーブルなどの脆弱な材料の場合、切断部602a又は604は小さな刻
み目(score)を形成し、導管ノズル及び部品を更に相対的に平行移動させることによっ
て切断を完了させることができる。複合材繊維などのその他の材料に関しては、導管ノズ
ルの丸みを帯びた形状により、コア6は張力下で切断部602a又は604の方を向き、
その結果として生じる切断部に向かう統合(例えば圧縮)により、大きな繊維を比較的小
さな断面の刃で切断することが可能となる。金属繊維又は延性材の場合、切断部602a
又は604は、コアの十分な張力でコアストランドを導管ノズル出口で切断できる程に十
分に弱いポイントを材料内に生成することができる。
【0133】
切断部602a又は604はホットナイフと称される高温加熱素子であり、これは直接
的又は間接的に繊維を溶融温度、炭化温度、又はコアの引張り強さが、コアが十分な張力
で切断される程に十分に弱くなる温度に加熱する。加熱素子は印刷部品に危害を与えずに
迅速に加熱及び冷却を行なう高帯域ヒータ、又は、繊維への加熱を隔離する誘導加熱素子
であってもよい。
【0134】
本明細書に記載する本発明の実施形態又は態様によれば、溶融されたマトリックスフィ
ラメント2の接着横列への軸圧縮及び/又は横方向の圧入により、最終的な部品の特性が
高まる。例えば、図17Aは圧縮力、軸圧縮又は側圧62のかかった複合材繊維強化フィ
ラメント2を示す。軸圧縮からの圧縮圧力及びゾーン3040でのしごきリップ508,
726,208による平坦化によって、図17Bに示すほぼ円形の断面のフィラメント2
aは、図17Cに示す様な下の層及び第2のほぼ長方形の断面の圧縮形状に圧縮又は再成
形される。フィラメント全体は成形される際に接着横列(すなわち、下の層及び同じ層の
前の横列に接着される)を形成する。フィラメント2bは分散し、内部ストランドは同じ
層上の隣接する接着横列2cに押し入り、下層の成形フィラメント又は材料2dの接着横
列に圧縮される。成形フィラメント又は接着横列のこの圧入、圧縮又は拡散によって強化
繊維間の距離が短くなり、結果として生じる部品の強度が増大する(そして圧力板又は真
空包装による後処理を使用した複合材の積層で達成される従来の技術にとってかわるもの
となる)。従って、本明細書に記載する本発明の実施形態又は態様によれば、フィラメン
ト2の軸圧縮及び/又は特にゾーン3040におけるプリンタヘッド70、導管ノズル又
はしごきリップ508,726,208による物理的な圧入を、圧縮圧力を堆積材又は接
着横列に直接かけ、それらを横及び/又は下の横列に拡散、圧縮又は平坦化させるために
使用することができる。断面積はほぼ同じに、又は全く同じに維持される。それに代えて
、又はそれに加えて、本発明のいくつかの実施形態又は態様において、圧力を、プリント
ヘッドの背後にある尾圧力板(tailing pressure plate)にかけてもよく、圧縮圧力が層
全体に一度にかかる、部品全体に亘る全幅圧力板にかけてもよく、及び/又は熱、圧力、
若しくは真空を印刷中若しくは各層の後に、部品にかけ、全体として層内で樹脂をリフロ
ーし、最終部品において所望の圧縮量(壁を一緒に押してボイドを低減又は削減する)を
達成させてもよい。
【0135】
上述の様に、そして図18Aを参照すると、融解フィラメント製法(FFF)3Dプリ
ンタに使用されるノズル700には、典型的に、ノズル700の先端に構造体が用いられ
るため、最終的にプリントヘッド(ノズル)の詰まりやジャミングがもたらされる。ほと
んどのFFF3Dプリンタに取り付けられるノズルは消耗品と考えられ、定期的に交換す
る。
【0136】
本発明のいくつかの実施形態又は態様による分岐導管ノズルにおいて、材料は送りゾー
ンから加熱溶融ゾーンに遷移するにつれて膨張し、送りゾーンに入った粒子状物質は、よ
り大きな加熱ゾーンから排出させることができる。分岐導管ノズルの洗浄は容易に行うこ
とができ、材料をフィードフォワード的(feed forward manner)に除去することができ
る。
【0137】
以下において、「流体接続」は流れが可能になる連続接続という意味で使用され、別段
の指定のない限り、任意の特定の段階でフィラメント2が流体であるかないかを示唆する
ものではない。図18Bは冷却送りゾーン712へ接続され、それから加熱ゾーン714
に流体接続される材料入口710を含む導管ノズル708を示している。加熱ゾーン71
4のキャビティ又は経路及び/若しくは出口716の(流れ方向に垂直な)断面積は、冷
却送りゾーン712に位置するキャビティ又は経路及び/又は入口710の(流れ方向に
垂直な)断面積よりも大きい。冷却送りゾーン712は加熱ゾーン714よりも熱伝導の
小さな材料によって構成することができ、そうすることによってフィラメント2は冷却送
りゾーン712を通り、軟化せずに加熱ゾーン714に流れることができる。
【0138】
一つの特別な実施形態において、分岐導管ノズル708をポリテトラフルオロエチレン
などの低摩擦送り管を使って形成し、これは加熱ゾーンの一部がチューブの下流で露出さ
れるように、導管ノズル内にある大きな径の加熱ゾーンに供給される。それに加えて、又
はそれに代えて、加熱ゾーンをポリテトラフルオロエチレンなどの低摩擦材料で構成又は
被覆し、冷却送りゾーン712から加熱ゾーン714への遷移に、段差を設け、面取りを
し、曲線をつけ又は滑らかにすることができる。
【0139】
図18Cは、加熱ゾーン714内で使用中に形成されそして取り外されたプラグ718
によって分岐導管ノズル708が塞がれる場合を示す。分岐導管ノズル708は前送り洗
浄サイクル、例えば、プラスチック部分を印刷ベッド又はこれに隣接する洗浄領域に適用
して接着させることから始め、その後に接着したプラスチックを溶融温度以下に冷却する
(冷却したままにしておく)ことによって洗浄することができ、この際、印刷ベッド及び
導管ノズルは相対移動して、プラグ718は導管ノズル708(任意選択で送り機構の上
流のフィラメントからの未溶融の圧縮力の補助を受ける)から抽出される。任意の適切な
材料を分岐ノズルに使用することができるが、ナイロン及びナイロン類(nylon relative
s)は特に有利である、というのも、ナイロンの熱膨張係数によってナイロンは冷却中導
管ノズルから僅かに引きだされ、ナイロンは低摩擦係数を呈するからである。冷却送り及
び加熱ゾーンの何れか又は両方におけるポリテトラフルオロエチレンの壁は、プラグの除
去を助ける。洗浄サイクルは、プラスチックのセクションが自由空気に押出され、手又は
自動ツールを使って取り除かれるので、接着ステップなしで行なうこともできる。
【0140】
直導管ノズルの場合、特に約0.001”~0.2”のオーダーの小径フィラメントの
場合、図19Aに示す様に、導管ノズル720は導管ノズル小穴又は出口722とほぼ同
じサイズの入口724を含むことができる。ストランド強化複合フィラメント2などの材
料は冷却送りゾーン712を通って加熱ゾーン714(例えば、これらのゾーンの何れか
又は両方は、低摩擦の、及び/又はポリテトラフルオロエチレンの壁を有する)へと流れ
る。加熱ゾーン714は熱伝導性があり、例えば、銅、ステンレススチール、真鍮などか
ら作られている。フィラメント2をプラテン体16又は洗浄領域に接着させ、図18B
図18Cに関して記載されたプロセスを実行する。これには小さな径のフィラメントが
適している、というのも、熱質量が低いとそれらを迅速に加熱し、プリントヘッドに送ら
れたサイズとほぼ同じサイズで押出す(FFFの場合)ことができるからである。図19
Bは仮定上の状態を示し、従来のグリーントウプレグは直導管ノズル内で分裂している。
【0141】
図19C図19Eは本発明の実施形態又は態様によるスレッディング法を示し、この
場合、分岐導管ノズル708を通して送られる固いプッシュ-プルプレグストランドフィ
ラメントを使用して詰まりを低減、又はなくす。「スレッディング」とは、この文脈にお
いて、接着横列の連続堆積(真直ぐなセクション及び列)の印刷における第1のステップ
であり、フィラメント2の切断、流出、分離後のみに再度行い、そうでない場合には再度
始めなければならない。図19Cは冷却送りゾーン712内に設置された連続コアフィラ
メント2を示しており、冷却送りゾーン712は加熱ゾーン714から5インチ以上離し
て始めることができる。フィラメント2が大きな熱容量及び/又は剛性を有する場合、冷
却送りゾーンは加熱ゾーン714の近くから始まり、ステッチング前に材料の予備加熱を
提供する。冷却送りゾーン712(マトリックスの溶融温度以下)内では、フィラメント
2は実質的に固いままであり、印刷直前までこの場所に維持される。
【0142】
印刷が開始されると、図19Dに示す様にフィラメント2を迅速に送って導管ノズルに
通す。冷却送りゾーン712はフィラメントをより大きなキャビティ加熱ゾーン714へ
と供給し、フィラメント2は、図19Dに示す様に、冷却送りゾーン712内に残ってい
る上流フィラメントの剛性により、加熱ゾーン714の壁への接触が制限される。剛性を
維持し、材料が出口を通るまで溶融及び壁との接触を防ぐことにより、繊維の剥離、巻き
上がり及び/又は導管ノズル内への詰まりを防止し、フィラメント2をより簡単に熱い溶
融ゾーン714に押し込み、そこに通すことができる。いくつかの実施形態において、圧
縮空気をスレッディング前及び/又はその最中に導管ノズルを通して噴出させて導管ノズ
ルを冷却することにより、ノズルの側面へ付着する機会を低減させることができる。更に
、ステッチングプロセス中、導管ノズルの加熱ゾーン714における加熱を低減又はなく
すことにより、ノズルの側面に付着する機会を低減させることができる。
【0143】
連続コアフィラメント2の供給が続くと、連続コアフィラメント2はプラテン体16又
は前の層と接触する。それからフィラメント2は導管ノズルのプラテン体16に対する動
きによって表面に沿って載置され又は押される。短い距離内において、フィラメント2は
加熱ゾーン714に隣接する丸みを帯びた若しくは面取りされたリップ726の壁に接触
し、又は図19E又は図20Aに示す様に、リップ726又はその近くにおいて、加熱ゾ
ーン714の壁にほとんど接触する。あるいは、プリンタヘッドを平行移動させる代わり
に、フィラメント2を導管ノズルの長さよりも長く駆動させ、出口が前の層又は印刷ベッ
ドで遮断されると、フィラメントは同じ様に曲がる(buckles to the same effect)。丸
みを帯びた又は面取りされたしごきリップ726及び加熱ゾーン714の壁に接触させた
後、連続コアフィラメント2を堆積温度(例えばマトリックスの溶融温度)に加熱し、堆
積材料をプラテン体及び/又は前の層に融合させる。スレッディング速度は約2500m
m/分~5000mm/分である。
【0144】
導管ノズル小穴又は出口716の遠心端に位置する丸みを帯びた又は面取りされたリッ
プ726は、導管ノズルの小穴又は出口に緩やかな遷移を提供し、連続コアが破砕されな
いように助け、連続コアフィラメント2に、それが堆積される際、下向きの圧縮、圧入又
はしごき力を加える。つまり、「しごき」とは、(i)フィラメントの側面に対するほぼ
側面の若しくは横向きの力(例えば、フィラメントが水平に設置されている場合には下向
きの力)が、(ii)滑らかな面(一部がプラテン体に平行、又はプラテン体に平行し、
その接線によって丸みがつけられている)によってかけられ、(iii)それが溶融フィ
ラメントに圧入されて接着横列となる際に印刷方向に平行移動される行為を指す。丸みを
帯びた、又は面取りされたリップは下向きの力を提供し、プラテン体に平行な、その下方
の円滑な面を平行移動させ、連続コアフィラメントを前の層にしごく。しごきはリップ7
26を連続コアフィラメント2の径未満である堆積面から離して設置することによって行
なわれ、及び/又は接着横列の高さをフィラメント2の径未満に設定することによって行
なわれるが、適切な圧縮力はこの行為がなくとも達成させることができる(例えば、十分
に固い材料で、軸圧縮力のみを使って、リップをフィラメント2の径よりも遠く離して設
置する)。リップ726から前の層若しくはプラテン体までのこの距離、又は接着横列の
高さは、適切なセンサを使って確認することができる。
【0145】
本明細書に記載するしごき及び/又は軸圧縮は分岐導管ノズルを必要としない。例えば
、しごき又はしごきリップ又は先端726は、図20Aに示す様に、ほぼ真直ぐな導管ノ
ズル720又は僅かに先細導管ノズルと一体化させてもよい。それに代えて、又はそれに
加えて、先細導管ノズルは、例えば図20Bに示す様に、別個の冷却送りゾーン及び加熱
ゾーンを使用することができる、図20Bは加熱ゾーン714、そして先細導管ノズル小
穴又は出口732と流体接続する冷却送りゾーン712に送る導管ノズル入口730を含
む先細導管ノズル728を示す。
【0146】
本明細書に記載する、「半連続」ストランド複合材は、その長さに沿って複数の個別の
ストランドにセグメント化されたコアを有する。これらの個別のストランドは単一のセグ
メント化されたストランド、又は束ねられた、しかもそれらの長さに沿ってセグメント化
された、複数の個別のフィラメントストランドであり得る。個別のセグメントは重なり合
わないように配置させることができる。本明細書において、材料は、切断する代わりに、
ほとんどの場合、マトリックスを溶融又は軟化させる間、そして最も有益なのは印刷サイ
クルの終わりに、張力をかけてせん断することができる。張力は、プリンタの送り機構を
バックドライビングする、及び/又は材料をノズルから押出さずにプリンタヘッドを印刷
部品に対して平行移動させる、の内の何れかによってかけることができる。
【0147】
図21は選択可能なプリンタヘッドを有する3Dプリンタのオプションの実施形態を示
す。この実施形態において、プリントアーム1400はユニバーサル継手1404でプリ
ンタヘッド1402に取り付けることができる。連続コア強化フィラメントのような適切
な消耗材料1406は先にプリンタヘッド1402に供給することができる、又はプリン
タ1400に接着させた後にプリンタに供給することができる。別の印刷材料が所望され
る場合、プリントアーム1400はプリンタヘッド1402を関連するホルダに戻す。続
いてプリンタ1400は、サイズが異なる、及び/又は異なる材料を含む消耗材料を印刷
することのできるプリンタヘッド1408又は1410をピックアップすることができる
【0148】
図22は3D印刷シェルを含む部品を形成するために使用する3Dプリンタヘッド13
10を示す。プリンタヘッド1310は先ず一連の層1320(繊維強化樹脂又は純粋な
樹脂、若しくは任意の組み合わせとすることができる)を堆積させて部品を形成する。プ
リンタヘッド1310は従来のXYZ方向をつなぐとともに、XT,YT及びZT方向に
旋回させることができる。
【0149】
図23A図24Dは、図24Aに示す連続ストランドコアフィラメント2とは対照的
に、ノズルから堆積される半連続ストランドコアフィラメントの種々の実施形態を示して
いる。
【0150】
対応するマトリックス材に埋め込まれた半連続ストランドも個別のインデックスされた
ストランド長を有することができ、この場合、半連続コアの終結(termination)は、フ
ィラメントの長さに沿って予め定められた間隔で発生する(そしてストランド長さは関連
する導管ノズルの溶融ゾーンの長さよりも長くすることができる)。半連続ストランドコ
アは、1つの束の繊維が次の束に当接するが、次の束に延在しないようにきれいに分離さ
れ、3インチ(例えば2~5インチ)の長さに配置された個々の分離ストランド又はスト
ランド束を含み得る。コントローラ20によって制御される経路計画アルゴリズムは、ス
トランドの切れ目(breaks)を印刷の端部、角、縁およびのその他の停止ポイントと整合
させることができる。カッターを有さず、インデックスされたストランドを使うプリンタ
が、半連続ストランド内のインデックスされた切れ目がノズルの小穴又は出口と整合する
まで印刷プロセスを終了させることができない場合、コントローラ20は任意選択で最小
の長さよりも下の領域を樹脂で充填する。例えば、多くの形状において、断面の外側部は
コアよりも強度がある。このような場合、外側のセクションは半連続ストランドから最後
の完全なストランド(integer strand)が印刷パターンに合わなくなるまで(その時点で
残りは空のままにしておく、又は純粋な樹脂で充填する)印刷することができる。
【0151】
図23Aに示す様に、第1ストランド1002及び第2ストランド1004を含む半連
続コアフィラメント1000は、マトリックス1006内に位置している。フィラメント
1000をマトリックスのガラス遷移温度以下の、導管ノズルの冷却送りゾーン712に
入れる。続いてフィラメント1000を加熱又は溶融ゾーン714に流す。フィラメント
1000内のマトリックス1006を堆積前に加熱ゾーン714内で溶融させる。ノズル
から出ると、フィラメント1000は固定点1005で部品又はプラテン体16に接着す
る。せん断は半連続コアフィラメント1000を前進させることなくプリントヘッドを固
定点1005へと前方に動かすことによって発生し、あるいはプリントヘッドを静止させ
たままで上流の半連続コアフィラメント1000を後退させて所望の張力をかける。固定
点1005によって提供された張力により、導管ノズル内に位置する第2ストランド 1
004の残りの部分は、残りの埋め込まれたストランドを加熱されたノズルから引き出す
ことができる。
【0152】
図23C及び図24Cはインデックスされた半連続コアフィラメント1012を示して
おり、コア材の切断は各セクションでほぼ完了しているため、整数距離での滑らかななせ
ん断が可能となる。コア材の個々のセクションは予めインデックスされた場所1016で
、コア材と隣接するセクションから分離される。材料はこれらの図に示される予めインデ
ックスされた場所1016に対応する境界において、(例えば埋め込まれた繊維を含む接
着横列と比較して)強度の減少を呈する。図25はこのような半連続コアフィラメントの
使用を示している。図に示す様に、複数のストランド1100が部品又はプラテン体に堆
積されている。ストランド1100はプリントヘッドがストランドを最後に通し、上述の
様に1104で材料がせん断されるまで、折返しやその他の形状が形成されるように堆積
される。個々のストランドは部品上の残りの距離よりも長いので、残りの距離1106は
ボイドとして残すか、又はポリマーのような別個の材料で充填することができる。
【0153】
図23Aは2つの個々のストランドを示すが、図23B及び図24Bはマトリックス1
006に埋め込まれた同様の大きさのストランド1010の分布を含む半連続コアフィラ
メント1008を示している。3つのストランドは互いにずらした線で示されているが、
これはランダムな、又は交互にずれたストランドの分布を簡単に示したものである。例え
ば、材料は約1000のストランドの炭素繊維を含む(繊維束は「1kトウ(tow)」と
称されるが、本実施形態においてこのトウは、本明細書に記載する様にボイドがなく、熱
可塑性物質マトリックスに適切に埋め込まれなくてはならない)。ストランド214は、
ほぼ同じ長さの重なり合うストランドが大量にあるような大きさであり、分布させること
ができる。従って、半連続ストランドフィラメントは、個々のストランドが導管ノズルの
出口から引き出されるように、プリンタ導管ノズルの溶融ゾーンに対応する大きさのセグ
メントを含む。溶融ゾーンは、プリプレグ繊維束における個々の繊維ストランドの長さと
少なくとも同じ長さとすることができ、又はプリプレグ繊維束の個々の繊維のストランド
の長さの半分とすることができる。材料を引っ張ってフィラメントを分離させる間、部品
に埋め込まれた又は印刷面に接着されたストランドは、ノズル内に残っているストランド
の一部を引き出す固定力を提供する。長いストランドの場合、ストランドの一部はノズル
内に保持され、これは垂直に配向されるストランドとなり、任意選択でプリントヘッドで
押すことができ、又は任意選択で、次に材料層内に垂直に配向されるストランドとして戦
略的に配置された層に堆積させることができる。
【0154】
材料をインデックスされたストランドと重なり合うストランドとを組み合わせたものと
することができる。例えば、インデックスされた連続ストランドを、長いストランドと長
いストランドの間の遷移点に位置する、より短い長さの束と平行して使用し、導管ノズル
の溶融ゾーンが溶融ゾーンにある重なり合うストランドを引き出す程に十分な距離を含む
ようにすることができる。この手法の利点は長い完全な連続ストランド間における境界の
弱い点(weak point)を低減させることである。所定のコア及びマトリックス材のせん断
中、せん断力は、部品の歪み、押し上げ、上流における繊維の破断又はその他の有害な影
響を防ぐよう、十分に小さいことが望ましい。場合によってストランドは抽出中に破断す
る可能性があり、これは切断点においては許容される。ストランドの長さは用途によって
変えてもよいが、典型的なストランドの長さは大きなスケールの印刷の場合には約0.2
”~36”とすることができる。
【0155】
図24Dは半連続コアフィラメントと連続コアフィラメントの混合手法の例を示す。本
実施形態において、材料1018は、上述の、図24C及び図25Cに関する実施形態と
同様に、予めインデックスされた場所に位置するマトリックス1006内に埋め込まれた
1つ又は複数のコアセグメントを含む。この材料も材料の長さに沿って延在するマトリッ
クス1006内に埋め込まれた連続コア1020を含む。連続コアは、予めインデックス
された場所で十分な引っ張り力をかけるだけで、材料のせん断を可能にするのに十分な引
っ張り力によってせん断することのできる大きさにすることができる。あるいは、上述の
切断方法の何れかを使用することができる。
【0156】
複合材の連続層は、従来の積層と同様に、0°,45°,90°及びその他の所望の角
度に載置して複数の方向の部品強度を提供し、強度対重量率を増大させることができる。
コントローラ20を制御して強化繊維を軸方向に整列させ、1つ又は複数の特定の方向及
び場所に機能的に堆積させることができる。強化繊維の軸方向の整列は層内の1つ又は複
数の個々のセクションに対して選択することができ、個々の層に対して選択することもで
きる。例えば、図26に示す様に、第1層1200は第1の強化繊維の配向を有し、第2
層1202は第2の強化繊維の配向を有し得る。更に、第1層1200又はその他の任意
の層内の第1セクション1204は、第2セクション1206又は同じ層内の任意の数の
その他のセクションと異なる繊維の配向を有し得る。
【0157】
本発明の一実施形態又は態様は熱可塑性物質マトリックスを使用するが、ハイブリッド
システムが可能である。強化フィラメントには、例えば、熱、光、レーザ及び/又は放射
などの硬化サイクルによって処理されるマトリックスを用いることができる。例えば、連
続炭素繊維を一部が硬化されたエポキシに埋め込み、押し出されたコンポーネントを相互
に接着させることができるが、完全に固めるための後硬化が必要である。同様に、本発明
の一実施形態又は態様は、予め形成された連続コア強化フィラメントを使用し、いくつか
の実施形態において、連続コア強化フィラメントは、樹脂マトリックスと固い連続コアと
を加熱された押出しノズル内で混合することによって形成することができる。樹脂マトリ
ックス及び固い連続コアは、マルチストランドコア内の複数のインターフェースと比較す
ると、樹脂がソリッドコアの連続する外周を簡単に湿潤させるので、インターフェースに
沿ってボイドを形成することなく混合することができる。従って、このような実施形態は
、堆積材料の特性を変えることが望ましい場合に、特に使用することができる。
【0158】
図26はステレオリソグラフィ(及び/又は選択的レーザ焼結)を用いて埋め込まれた
繊維の周りにマトリックスを提供するハイブリッドシステム、すなわち、液状又は粉末状
の連続樹脂を、集中放射硬化光線(レーザ、UV)をスイープすることによって所望の層
構造に層毎に凝固させるプロセスを示す。強度の増大、並びに固体及びマルチストランド
材料を含む異なるタイプの連続コアフィラメントに関連する機能性を提供するために、各
層の堆積に関連するステレオリソグラフィプロセスを2ステップのプロセスに修正するこ
とができ、このプロセスによって、所望する場所及び方向に連続コアフィラメントを含む
複合材コンポーネントを構成することが可能となる。連続コア又は繊維は、全体又は一部
を樹脂に沈め、印刷する層内の所望する場所及び方向に堆積させることができる。連続繊
維を所望する場所及び方向に堆積した後、隣接する樹脂を硬化して繊維の周りを固める。
これは連続繊維を堆積させる際、又は連続繊維を堆積した後に行なうことができる。一実
施形態において、層全体を、連続繊維を切断する必要なく、単一の連続繊維で印刷する。
その他の実施形態において、強化繊維を印刷層の異なるセクションに異なる配向で設ける
ことができる。連続繊維の複数の場所及び方向への堆積を容易にするために、連続繊維を
本明細書に記載する様にカッターを使って、又は樹脂を固めるために使用するレーザによ
って切断することができる。
【0159】
図26はステレオリソグラフィを使ってプラテン1602に構成した部品1600を示
す。部品1600はトレイ1606に含まれる液体樹脂(感光性ポリマー)材1604に
含浸されている。部品1600の形成中、プラテン1602は、層厚によって各層が形成
されるにつれて徐々に下に移動され、部品1600を沈んだままの状態にする。各層の形
成中、連続コアフィラメント1608を導管ノズル1610を通して送り、部品1600
に堆積させる。導管ノズル1610を制御して、連続コアフィラメント1608を、形成
される層の所望の場所及び所望の方向に堆積させる。連続コアフィラメント1608の送
り速度を導管ノズル1610の速度と等しくし、既に堆積させた連続コアフィラメントを
妨害しないようにしてもよい。連続コアフィラメント1608を堆積させる際、適切な電
磁放射(例えばレーザ1612)を使い、導管ノズル1610の移動経路の背後の場所1
614で、連続コアフィラメント1608を囲む樹脂を硬化する。場所1614と導管ノ
ズル1610との間の距離は、連続コアフィラメントが硬化前に完全に液体に沈むように
選択することができる。レーザは光源1616によって生成され、制御可能なミラー16
18によって方向が定められる。3Dプリンタもカッター1620を含み、上述の様な連
続コアフィラメントの切断が可能になる。
【0160】
任意選択で、堆積フィラメントを1つ又は複数の「タック(tack)」で適所に保持する
、タックはコア材を更に堆積させる間、連続コアフィラメントを適所に保持するために十
分な量の硬化樹脂材料である。連続コアフィラメントを図示しないノズルによって堆積さ
せる際、図27に示す様に、連続コアフィラメント1608はレーザ1612によって複
数の個別の点1622において適所に留められる。連続コアフィラメント1608の一部
又は全体を堆積した後、レーザ1612を所定のパターンに沿って向け、液体樹脂材料1
604を硬化し、電流層を形成する。上述のシステムと同様に、適切な電磁放射(例えば
レーザ1612)を光源1616によって生成し、制御可能なミラー1618によって方
向を定める。材料の残り(balance)は、隣接するストランド間の架橋を最大限にするよ
うに硬化してもよく、例えば、十分な数のストランドを層上に堆積し、適所に留めた場合
、樹脂を連続コアフィラメントの堆積ストランドの方向に垂直なビーズ内で硬化させても
よい。堆積ストランドに垂直な方向の樹脂の硬化は隣接するストランド間の結合を増大さ
せ、連続コアフィラメントの堆積ストランドの方向に垂直な方向の部品強度を向上させる
。層の別個の部分が異なる方向を向いた連続コアフィラメントのストランドを含んでいる
場合、硬化パターンは層の各部分における連続繊維コア材のストランドの方向に垂直又は
平行なラインを含み得る。
【0161】
ステレオリソグラフィプロセス中、連続コアフィラメントと樹脂マトリックスの間のイ
ンターフェースに沿ったボイドの形成を回避するために、湿潤又は吸い上げを促進させる
ことが望ましい。連続繊維の湿潤及び樹脂の連続マルチストランドコアの断面への吸い上
げは、湿潤剤を連続繊維上に使用し、システムに真空を適用し、又はその他の適切な方法
によって液体樹脂材を高温に一定時間維持することによって促進させることができる。
【0162】
繊維の配向を利用した、所望する方向の特性を有する種々の複合材構造体を形成する連
続コア強化フィラメントの使用に加え、いくつかの実施形態において、繊維方向以外の方
向に更なる強度を提供することが望ましい。例えば、連続コア強化フィラメントは、材料
の全体的な強度、又は繊維コア方向以外の方向の材料の強度を高めるため、更なる複合材
材料を含み得る。例えば、炭素繊維コア材はほぼ垂直に搭載された炭素ナノチューブを含
み得る。小さな繊維部材をコアにほぼ垂直に搭載することによって複合材のせん断強度が
増大し、有利には、結果として生じる部品の繊維方向にほぼ垂直方向の強度を増大させる
。このような実施形態は所定の層に沿った部品の剥離しやすさを低減させるのに役立つ。
【0163】
複合フィラメントの内部及び外部のコーティングに使用される2つのポリマーマトリッ
クス結合剤の組成物は、以下の要因、例えば、ポリマー分子量、ポリマー重量配分、分岐
度、ポリマー鎖及び可塑剤及び溶融粘度調整剤、UV安定剤、熱安定剤、光学的光沢剤、
着色剤、顔料又は充填剤などのポリマー加工添加剤の中の1つ又は複数の点で異なる。
【0164】
別の実施形態において、プラットフォームとの結合を増大させ、部品又は部品のセクシ
ョンがプラットフォームから押し上げられないようにすることが望ましい。従っていくつ
かの実施形態において、表面エネルギー調整剤をプラットフォームに塗布して、押出しフ
ィラメントのプラットフォームへの接着を促進させてもよい。いくつかの実施形態におい
て、上述の接着調整剤を、箱の隅などのいくつかの主要領域で第1結合層のプラットフォ
ームへの接着を増大させるために使用し、部品がプラットフォームから剥離する可能性の
最も高い部分に大きな接着をもたらすことができる。しかしながら箱の中心には表面エネ
ルギー調整剤をほぼ使用せず、除去がしやすい様にしてもよい。
【0165】
いくつかの実施形態において、連続炭素繊維などの連続コアを、半芳香族ポリアミド並
びに/又は上述の連続炭素繊維に優れた湿潤及び接着特性を呈する線状ポリアミドとの半
芳香族ポリアミド混合物と組み合わせる。このような半芳香族ポリアミドの例として、Gr
ivory HT1、Grivory HT2、Grivory HT3などの、スイスのEMS-Grivoryにある、Domat/Ems
の半芳香及び線状ポリアミドの混合物並びにその他の同様の混合物がある。連続強化繊維
トウプレグを高温溶融及び繊維湿潤ポリアミド並びにそれらの混合物と組み合わせること
により、複合トウの押出し能力、繊維とマトリックスの優れた湿潤能力、繊維トウプレグ
の樹脂への完璧な浸透及び繊維とマトリックスのインターフェースにおける優れたせん断
強度を保証しつつ、非常に優れた機械的強度及び長期間に亘る温度の安定性(120℃以
上)の特徴を持つ部品を製造することができる。
【0166】
連続コアの適切な前処理には、低粘度又は高溶融フローインデックス樹脂又はポリマー
融解の使用が含まれる。更に、低分子重量及び/又は線状鎖を呈するポリマーを使用して
もよい。粘度が大きく変化する鋭い溶融点遷移を呈するポリマーも使用することができる
。このような遷移はポリアミドの呈する典型的な特性である。
【0167】
適切な繊維湿潤前処理には、同じ又は同様のポリマーの非常に薄い層を有する繊維表面
の希薄なポリマー溶液からの除去、その後の溶融面及び繊維面の間に同等の(like-to-li
ke)相互作用を得るための溶媒蒸発が含まれる。中立及び適合溶媒内のポリマー又は樹脂
の溶液は、約0.1重量%~1重量%又はそれ以上の濃度とすることができる。更に、1
つ又は複数の表面活性化法を用いて、繊維表面の極性の変化及び/又はポリマーマトリッ
クスを繊維面と物理的又は化学的に結合することによる、湿潤/含浸(接触角度)及び接
着(マトリックスと繊維の界面せん断強度)に影響を与える化学反応表面グループを導入
してもよい。繊維面は、特に高温での、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)蒸気の存在
下におけるシラン処理などの、気相及び液相における活性化法、及びトリス(エポキシ)
-3-アミノプロピルシラン、トリス(エポキシ)グリシジルシラン、テトラアルコキシ
チタン酸塩などの有機ケイ素又は有機チタン接着促進剤を用いた溶媒相表面改質を使って
化学的に活性化することもできる。
【0168】
なお、本明細書に記載する特定の測定値には下記のSI単位系が相当する。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図15D
図16
図17A
図17B
図17C
図18
図19A
図19B
図19C
図19D
図19E
図20A
図20B
図21
図22
図23
図24A
図24B
図24C
図24D
図25
図26
図27
【手続補正書】
【提出日】2021-12-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのリニア送り機構と、プラテン体の近くに位置するプリントヘッドとを備える3Dプリンタを使用した積層造形方法であって、
未溶融の繊維強化複合フィラメントを、前記少なくとも1つのリニア送り機構により、ある送り速度で供給するステップと;
前記フィラメントの溶融マトリックスを、前記プリントヘッドの少なくとも1つの丸みを帯びた出口内に流すステップと;
ある印刷速度で、前記プリントヘッド及び前記プラテン体を相対移動させるステップと;
前記プリントヘッドの前記少なくとも1つの丸みを帯びた出口と前記プラテン体との間で、前記フィラメントに拡散力を作用させるステップと;
前記送り速度および前記印刷速度がほぼ同じになるように、(前記)しごきリップの下流に中立から正の張力を作用させるステップと;
を備える方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記しごきリップの下流に前記中立から正の張力を作用させる前記ステップは、前記送り速度と前記印刷速度との差を前記フィラメントに沿って制御することには、前記少なくとも1つのリニア送り機構を使用することが含まれることを含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、前記送り速度及び/又は印刷速度の1つ又は両方は、前記フィラメントの繊維ストランド及び前記フィラメントの未溶融のマトリックスを通して中立から正の張力を作用させるように設定される、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、前記送り速度及び/又は印刷速度の1つ又は両方は、前記フィラメントの繊維ストランド及び前記プラテン体を通して中立から正の張力を作用させるように設定される、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、前記3Dプリンタに動作可能に接続されたコントローラを使用して、前記送り速度及び/又は印刷速度を調整するステップを更に備える、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、前記送り速度及び/又は印刷速度を調整する前記ステップは、前記送り速度を前記印刷速度未満に調整することを含む、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、前記少なくとも1つのリニア送り機構は、摩擦ローラ、コンベヤ、送りトラック、重力送り、又は油圧送りの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、前記摩擦ローラは、駆動ローラとアイドルローラとを含む、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、前記しごきリップの下流に中立から正の張力を作用させる前記ステップは、前記少なくとも1つのリニア送り機構に組み込まれたスリップクラッチ又は一方向ベアリングを使用して、前記送り速度と前記印刷速度との前記差を吸収することを含む、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、前記拡散力を作用させる前記ステップは、前記プリントヘッドの先端に接続されたしごきリップ、しごき先端、又はしごきプレートを使用して前記拡散力を作用させることを含む、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法において、所定の終端点で前記繊維強化複合フィラメントを切断するステップを更に備える、方法。
【請求項12】
少なくとも1つのリニア送り機構と、プラテン体の近くに位置するプリントヘッドとを備える3Dプリンタを使用した積層造形方法であって、
繊維強化複合フィラメントを、少なくとも1つのリニア送り機構により適用された、ある送り速度で、前記プリントヘッドに供給するステップと;
ある印刷速度で、前記プリントヘッド及び前記プラテン体を相対移動させるステップと;
スリップクラッチ又は一方向ベアリングの少なくとも1つを含む前記少なくとも1つのリニア送り機構を使用して、前記フィラメントに沿って前記送り速度と印刷速度との差を制御するステップと;
プリントヘッドと前記プラテン体との間で、前記フィラメントに拡散力を作用させるステップと;
を備える方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、前記フィラメントに沿って前記送り速度と印刷速度との前記差を制御する前記ステップは、前記少なくとも1つのリニア送り機構を使用して、前記フィラメントに沿った前記送り速度と前記印刷速度との前記差を吸収することを含む、方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法において、前記フィラメント内のマトリックス材が前記プリントヘッドの出口から流れ出る温度まで前記フィラメントを加熱するステップを更に備える、方法。
【請求項15】
請求項12に記載の方法において、 前記プリントヘッドと印刷されている部分との間における前記繊維強化複合フィラメント内で、中立から正の張力を維持するように前記送り速度及び前記印刷速度の1つ又は両方を設定するステップを更に備える、方法。
【請求項16】
請求項12に記載の方法において、前記少なくとも1つのリニア送り機構の下流の位置で、前記繊維強化複合フィラメントに圧縮力を供給するステップを更に備える、方法。
【請求項17】
請求項12に記載の方法において、前記3Dプリンタに動作可能に接続されたコントローラを使用して、前記送り速度及び/又は印刷速度を調整するステップを更に備える、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、前記送り速度及び/又は印刷速度を調整する前記ステップは、前記送り速度を前記印刷速度未満に調整することを含む、方法。
【請求項19】
請求項12に記載の方法において、前記少なくとも1つのリニア送り機構は、摩擦ローラ、コンベヤ、送りトラック、重力送り、又は油圧送りの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、前記摩擦ローラは、駆動ローラとアイドルローラとを含む、方法。
【請求項21】
請求項12に記載の方法において、前記拡散力を作用させる前記ステップは、前記プリントヘッドの先端に接続された、しごきリップ、しごき先端、又はしごきプレートを使用して前記拡散力を作用させることを含む、方法。
【請求項22】
請求項12に記載の方法において、所定の終端点で前記繊維強化複合フィラメントを切断するステップを更に備える、方法。
【外国語明細書】