(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022033818
(43)【公開日】2022-03-02
(54)【発明の名称】フレキシブルプリント配線板及び手振れ補正モジュール
(51)【国際特許分類】
H05K 1/16 20060101AFI20220222BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20220222BHJP
H01F 5/00 20060101ALI20220222BHJP
G03B 5/00 20210101ALI20220222BHJP
【FI】
H05K1/16 B
H05K1/02 B
H05K1/02 J
H01F5/00 M
G03B5/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021190538
(22)【出願日】2021-11-24
(62)【分割の表示】P 2021556333の分割
【原出願日】2021-03-24
(31)【優先権主張番号】P 2020059088
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500400216
【氏名又は名称】住友電工プリントサーキット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(72)【発明者】
【氏名】津田 幸枝
(72)【発明者】
【氏名】中村 悠一
(72)【発明者】
【氏名】山下 真直
(72)【発明者】
【氏名】新田 耕司
(72)【発明者】
【氏名】野口 航
(57)【要約】
【課題】手振れ補正モジュールの磁石の変位時に推力の変動を抑制できるフレキシブルプリント配線板を提供する。
【解決手段】本開示に係るフレキシブルプリント配線板は、絶縁性を有するベースフィルムと、上記ベースフィルムの表面に設けられる平面コイルとを備え、平面視で上記平面コイルのコイル幅に対して中心位置より内側の配線の数が、外側の配線の数より大きい。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性を有するベースフィルムと、
上記ベースフィルムの表面に設けられる平面コイルと
を備え、
平面視で上記平面コイルのコイル幅に対して中心位置より内側の配線の数が、外側の配線の数より大きいフレキシブルプリント配線板。
【請求項2】
全配線数に対する上記内側の配線の数の割合が55%以上である請求項1に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項3】
上記配線の平均線幅が10μm以上125μmである請求項1又は請求項2に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項4】
上記内側の配線の平均線幅に対する上記外側の配線の平均線幅の比率が1以上5以下である請求項1、請求項2又は請求項3に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項5】
上記内側の配線における隣接する配線間の平均間隔が同一である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項6】
上記内側の配線における隣接する配線間の平均間隔が異なる請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のフレキシブルプリント配線板と、
永久磁石と
を備える手振れ補正モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フレキシブルプリント配線板及び手振れ補正モジュールに関する。
本出願は、2020年3月27日出願の日本出願第2020-059088号に基づく優先権を主張し、上記日本出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板は、様々な電子機器の回路を構成するために広く利用されている。例えば、特許文献1には、平面視長方形状の2つの平面コイル(X方向駆動用コイル及びY方向駆動用コイル)を互いに垂直な向きに配向して形成したプリント配線板を用いたカメラの手振れ補正装置が記載されている(特開2006-67562号公報参考)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
本開示の一態様に係るフレキシブルプリント配線板は、絶縁性を有するベースフィルムと、上記ベースフィルムの表面に設けられる平面コイルとを備え、平面視で上記平面コイルのコイル幅に対して中心位置より内側の配線の数が、外側の配線の数より大きい。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る手振れ補正モジュールを備えるカメラの手振れ補正機構の例を示す模式的断面図である。
【
図2】
図2は、本開示の一実施形態に係る手振れ補正モジュールを示す模式的斜視図である。
【
図3】
図3は、本開示の一実施形態に係るフレキシブルプリント配線板を示す模式的斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3のフレキシブルプリント配線板のA-A線断面図である。
【
図5】
図5は、他の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板を示す断面図である。
【
図6】
図6は、他の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板を示す断面図である。
【
図7】
図7は、他の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板を示す断面図である。
【
図8】
図8は、他の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板を示す断面図である。
【
図9】
図9は、他の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[本開示が解決しようとする課題]
上述の従来技術は、永久磁石のN極とS極の境界付近の磁束変化を検出してコイル板の位置情報を得る方式であるが、カメラの手振れ補正モジュールとしては、コイルに働く磁力により手振れを打ち消す向きに撮像素子又は補正レンズを駆動させることで手振れを補正する方式も検討されている。しかしながら、このような方式の場合、上記コイルの巻き密度が一定であると、磁石が変位した場合のコイルに生じる磁力(推力)が、磁石とコイルとの位置関係により変動することを本発明者らは知見した。カメラの手振れ補正モジュールの手振れ補正の精度を向上するためには、磁石が変位した時の推力の変動を小さくすることが求められる。
【0007】
本開示は、このような事情に基づいてなされたものであり、手振れ補正モジュールの磁石の変位時に推力の変動を抑制できるフレキシブルプリント配線板を提供することを目的とする。
【0008】
[本開示の効果]
本開示のフレキシブルプリント配線板によれば、手振れ補正モジュールの磁石の変位時に推力の変動を抑制できる。
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示の一態様に係るフレキシブルプリント配線板は、絶縁性を有するベースフィルムと、上記ベースフィルムの表面に設けられる平面コイルとを備え、平面視で上記平面コイルのコイル幅に対して中心位置より内側の配線の数が、外側の配線の数より大きい。
【0011】
コイルの巻き密度が一定の場合、磁石が変位した場合の推力が、磁石がコイルの中心部に位置する場合と比較すると小さくなる。これは、コイルに生じるよる推力がコイルの巻き密度と磁石から発生する磁束密度との相互作用により生じることによる。従って、磁石から発生する磁束密度が高く、コイルの推力が生じやすいコイルの中心部周辺領域の配線密度を大きくする一方、コイルの外側の配線密度を小さくすることで、コイルの中心部周辺領域内においては、コイルに生じる推力が向上するとともに磁石の変位時にも変動が小さくなることを本発明者らは知見した。当該フレキシブルプリント配線板は、上記ベースフィルムの表面に設けられる平面コイルが、平面視で上記平面コイルのコイル幅に対して中心位置より内側の配線の数が、外側の配線の数より大きい。その結果、当該フレキシブルプリント配線板は、手振れ補正モジュールのコイルの中心部周辺領域内における磁石の変位時に推力の変動を抑制できる。従って、当該フレキシブルプリント配線板は、特に手振れの範囲が所定の中心部周辺領域内に収まる場合において、磁石の変位に依らず安定した推力が得られることで手振れ補正の精度が高い。さらに、当該フレキシブルプリント配線板は最大推力が向上するので、多数枚組のレンズ等、質量が大きい高性能光学構成にも対応できる。また、従来の同一質量の光学構成と比較すると、少ない電流量で推力を維持できるので、省電力化を図ることができる。なお、本願における「推力」とは、磁力を利用して直線方向に駆動するための力を意味する。
【0012】
当該フレキシブルプリント配線板においては、全配線数に対する上記内側の配線の数の割合が55%以上であることが好ましい。全配線数に対する上記内側の配線の数の割合が55%以上であることで、手振れ補正モジュールの磁石の変位時に推力の変動をより低減できる。
【0013】
上記配線の平均線幅が10μm以上125μmであることが好ましい。上記配線の平均線幅が上記範囲であることで、配線の形成が容易であるとともに、配線の厚さ及び密度が所望の範囲に設定しやすくなる。
【0014】
上記内側の配線の平均線幅に対する上記外側の配線の平均線幅の比率が1以上5以下であることが好ましい。上記内側の配線の平均線幅に対する上記外側の配線の平均線幅の比率が上記範囲であることで、配線の形成が容易であるとともに、配線の厚さ及び密度が所望の範囲に設定しやすくなる。
【0015】
上記内側の配線における隣接する配線間の平均間隔が同一であることが好ましい。上記内側の配線における隣接する配線間の平均間隔が同一であることで、平面コイルの形成が容易となる。
【0016】
上記内側の配線における隣接する配線間の平均間隔が異なることが好ましい。上記内側の配線における隣接する配線間の平均間隔が異なることで、上記内側の配線における配線密度の調整が容易となる。
【0017】
本開示の他の一態様に係る手振れ補正モジュールは、当該フレキシブルプリント配線板と、永久磁石とを備える。
【0018】
当該手振れ補正モジュールは、当該フレキシブルプリント配線板を備えているので、手振れ補正モジュールの磁石の変位時に推力の変動を抑制できる。従って、当該手振れ補正モジュールは、カメラの手振れ補正の精度を向上できる。
【0019】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の各実施形態に係るフレキシブルプリント配線板及び手振れ補正モジュールついて図面を参照しつつ詳説する。なお、本実施形態のフレキシブルプリント配線板における「表裏」は、フレキシブルプリント配線板の厚さ方向のうち補正レンズの配置側を「表」、補正レンズの配置側と反対側を「裏」とする方向を意味し、フレキシブルプリント配線板の使用状態における表裏を意味するものではない。
【0020】
[カメラの手振れ補正機構]
図1は、本開示の一実施形態に係る手振れ補正モジュールを備えるカメラの手振れ補正機構の例を示す模式的断面図である。
図2は、本開示の一実施形態に係る手振れ補正モジュールを示す模式的斜視図である。
図3は、本開示の一実施形態に係るフレキシブルプリント配線板を示す模式的斜視図である。デジタルカメラ、スマートフォン等に内蔵される手振れ補正機構60は、図示しない光学系と撮像素子80との間に、光軸に対して垂直に手振れ補正モジュール70が配設されている。手振れ補正モジュール70は、本開示の一実施形態に係るフレキシブルプリント配線板1を備え、手振れに起因する被写体の像ぶれを補正する。手振れ補正機構60においては、補正レンズ7に対向するように、CCD(Charge-Coupled Device)等のイメージセンサにより構成される撮像素子80が基板82に固定されている。撮像素子80は、上記光学系により結像された被写体像を撮像して電気信号に変換する。
【0021】
図3に示すようにベースフィルム2の表面側には平面コイル31、32、33、34が積層され、ベースフィルム2の裏面側には図示しない平面コイル41、42、43、44が積層されている。
図1の基板82には、主として上記平面コイル31、32、33、34及び平面コイル41、42、43、44と他の部材等との接触による損傷及び短絡を防止するための図示しない絶縁層が積層されている。絶縁層は、意図的に設けられる開口や切り欠きを除いて基板82の外面を全面的に被覆していることが好ましい。絶縁層は、ソルダーレジスト、カバーレイ等を用いて形成することができ、中でも感光性ドライフィルムの硬化によって形成されることが好ましい。
【0022】
<手振れ補正モジュール>
当該手振れ補正モジュール70は、当該フレキシブルプリント配線板1と、永久磁石51、52、53、54とを備える。
【0023】
4片の永久磁石51、52、53、54は、マグネットホルダー6の周囲に配置されている。また、マグネットホルダー6の中央には補正レンズ7が保持されている。上記永久磁石51、52、53、54は、図示しない光学系の光軸方向に垂直な方向に互いに離間し、かつ永久磁石51及び52と、永久磁石53及び54とが互いに対向して配置されている。また、永久磁石51、52、53、54は、上記光軸方向に垂直な方向にN極とS極とに分極している。
図1の永久磁石51及び永久磁石52においては、向かい合う永久磁石51の磁極92と永久磁石52の磁極93とが同一となる。例えば上記磁極92と磁極93とがN極の場合、永久磁石51の磁極91と永久磁石52の磁極94とがS極となる。1条の平面コイル31、32、33、34及び平面コイル41、42、43、44は、永久磁石51、52、53、54の長さ方向に平行な面内に、複数回の渦巻き状に巻かれている。また、平面コイル31、32、33、34及び平面コイル41、42、43、44は、永久磁石51、52、53、54と非接触の状態で対向して配置されている。平面コイル31、32、33、34及び平面コイル41、42、43、44は、常にそれぞれ4片の永久磁石51、52、53、54の磁界内に位置する。
【0024】
平面コイル31、32、33、34及び平面コイル41、42、43、44に電流を流すと、永久磁石51、52、53、54の磁界と平面コイル31、32、33、34及び平面コイル41、42、43、44に流れる電流による磁界との相互作用が生じる。例えば、平面コイル31、32、33、34及び平面コイル41、42、43、44に電流を流すと、フレミングの左手の規則に従って、平面コイル31、32、33、34及び平面コイル41、42、43、44には、電磁力、すなわち推力が生じる。その結果、永久磁石51、52、53、54とともにマグネットホルダー6の中央の補正レンズ7を駆動できる。手振れ補正モジュール70は、平面コイル31、32、33、34及び平面コイル41、42、43、44に働く磁力により、手振れを打ち消す方向に補正レンズ7を駆動させることで手振れを補正する。このように、当該手振れ補正モジュール70は、当該フレキシブルプリント配線板1を備えているので、手振れ補正モジュール70の永久磁石51、52、53、54の変位時に推力の変動を抑制できる。従って、当該手振れ補正モジュール70は、カメラの手振れ補正の精度を向上できる。
【0025】
<フレキシブルプリント配線板>
図3に示す当該フレキシブルプリント配線板1は、可撓性及び絶縁性を有するベースフィルム2と、上記ベースフィルム2の表面に設けられる平面コイル31、32、33、34及び平面コイル41、42、43、44等とを備える。
【0026】
(ベースフィルム)
ベースフィルム2は、合成樹脂を主成分とし、可撓性及び電気絶縁性を有する。ベースフィルム2は、平面コイル31、32、33、34及び平面コイル41、42、43、44等を形成するための基材層である。なお、「主成分」とは、質量換算で最も含有割合の大きい成分をいい、例えば含有量が50質量%以上の成分をいう。また、ベースフィルム2は、方形状の切り欠き9を備え、四角リング形状を有する。
【0027】
上記合成樹脂としては、例えばポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、液晶ポリマー、フッ素樹脂等が挙げられる。
【0028】
ベースフィルム2の平均厚さの下限としては、5μmが好ましく、10μmがより好ましい。一方、ベースフィルム2の平均厚さの上限としては、50μmが好ましく、40μmがより好ましい。ベースフィルム2の平均厚さが上記下限に満たないと、ベースフィルム2の絶縁強度が不十分となるおそれがある。逆に、ベースフィルム2の平均厚さが上記上限を超えると、当該フレキシブルプリント配線板1が不必要に厚くなるおそれや、可撓性が不十分となるおそれがある。なお、本明細書において「平均厚さ」とは、任意の10点の厚さの平均値をいう。
【0029】
(平面コイル)
図3に示すように、四角リング形状のベースフィルム2には、各片に沿って、ベースフィルム2の表面側及び裏面側に4対の平面コイル31、32、33、34及び平面コイル41、42、43、44が積層されている。なお、平面コイルは、ベースフィルム2の表面側にのみ積層されていてもよい。
【0030】
平面コイル31、32、33、34及び平面コイル41、42、43、44は、導電性を有する材料をパターニングして形成される。平面コイル31、32、33、34及び平面コイル41、42、43、44を形成する材料としては、例えば銅、ニッケル、銀等の金属が好ましく、中でも比較的安価で電気抵抗が小さい銅が特に好ましい。
【0031】
ベースフィルム2の表に4つの平面コイル31、32、33、34が固着され、ベースフィルム2の裏に図示しない4つの平面コイル41、42、43、44が固着されている。上記永久磁石51、52は、平面コイル31、32、41、42に対してX方向に往復移動可能であり、永久磁石53、54は、平面コイル33、34、43、44に対してX方向に往復移動可能である。このように、手振れ補正においては、補正レンズ7が上記光学系で結像した被写体像を撮像素子80の撮像面上においてX方向及びY方向に変位させ、この変位を撮影時に生じる手ぶれ、すなわち撮像面上での振動に対応させることで上記変位を相殺し、手ぶれを補正するものである。
【0032】
図4は、
図3のフレキシブルプリント配線板1のA-A線断面図である。上記平面コイル31、41は、平面視で上記平面コイルのコイル幅Wに対して中心位置Pより内側の配線31b、41bの数が、外側の配線31a、41aの数より大きい。そのため、当該フレキシブルプリント配線板1は、手振れ補正モジュール70のコイルの中心部周辺領域内における永久磁石51、52、53、54の変位時に推力の変動を抑制できる。従って、当該フレキシブルプリント配線板は、特に手振れの範囲が所定の中心部周辺領域内に収まる場合において、磁石の変位に依らず安定した推力が得られることで手振れ補正の精度が高い。さらに、当該フレキシブルプリント配線板は最大推力が向上するので、多数枚組のレンズ等、質量が大きい高性能光学構成にも対応できる。また、従来の同一質量の光学構成と比較すると、少ない電流量で推力を維持できるので、省電力化を図ることができる。
【0033】
当該フレキシブルプリント配線板1においては、全配線数に対する上記内側の配線の数の割合の下限としては、55%が好ましく、60%がより好ましい。全配線数に対する上記内側の配線の数の割合が上記範囲であることで、手振れ補正モジュールの磁石の変位時に推力の変動をより低減できる。
【0034】
平面コイル31、32、33、34及び平面コイル41、42、43、44を構成する配線の平均厚さの上限としては、100μmが好ましく、80μmがより好ましい。上記平均厚さが上記上限を超えると、当該フレキシブルプリント配線板1の薄型化の要請に反するおそれがある。一方、配線の平均厚さの下限としては、10μmが好ましく、20μmがより好ましい。上記平均厚さが上記下限に満たないと、電気抵抗が大きくなるおそれがある。
【0035】
上記内側の配線における隣接する配線間の平均間隔が同一であることが好ましい。上記内側の配線における隣接する配線間の平均間隔が同一であることで、平面コイルの形成が容易となる。また、
図5のフレキシブルプリント配線板20に示すように、内側の配線231b、241bにおける隣接する配線間の平均間隔が同一である場合、外側の配線231a、241aにおける隣接する配線間の平均間隔が同一でなくてもよい。また、フレキシブルプリント配線板20においても、平面コイル231、241は、コイル幅Wに対して中心位置Pより内側の配線231b、241bの数が、外側の配線231a、241aの数より大きい。
【0036】
隣接する配線間の平均間隔の下限としては、5μmが好ましく、8μmがより好ましい。一方、上記平均間隔の上限としては、120μmが好ましく、110μmがより好ましい。上記平均間隔が上記下限に満たないと、配線の形成が容易でなくなるおそれがある。逆に、上記平均間隔が上記上限を超えると、所望の配線密度を得難くなるおそれがある。なお、「平均間隔」とは、任意の3点の間隔の平均値をいう。
【0037】
平面コイル31、32、33、34及び平面コイル41、42、43、44を構成する配線の平均線幅の下限としては、10μmが好ましく、20μmがより好ましい。一方、上記配線の平均線幅の上限としては、125μmが好ましく、115μmがより好ましい。上記配線の平均線幅が上記下限に満たないと、上記配線の形成が容易でなくなるおそれがある。また、上記配線の平均線幅が上記下限に満たないと、上記配線の厚さ(ベースフィルム2の厚さ方向の高さ)を十分に大きくすることができないおそれがある。逆に、上記配線の平均線幅が上記上限を超えると、所望の配線密度を得難くなるおそれがある。なお、「平均線幅」とは、任意の3点の幅の平均値をいう。
【0038】
上記内側の配線の平均線幅に対する上記外側の配線の平均線幅の比率の下限としては、1.0が好ましく、1.2がより好ましい。一方、上記平均線幅の比率の上限としては、5.0が好ましく、4.0がより好ましい。上記平均線幅の比率が1未満の場合、上記平面コイル31、32、33、34及び平面コイル41、42、43、44の抵抗値が上昇するおそれがある。上記平均線幅の比率が5を超えると、所望の配線密度を得難くなるおそれがある。
【0039】
[フレキシブルプリント配線板の製造方法]
当該プリント配線板の製造方法は、絶縁性を有するベースフィルムの少なくとも一方の面側に平面コイルを積層する工程を備える。上記平面コイルを積層する工程では、ベースフィルムの少なくとも一方の面側に、コイルパターンを積層する。コイルパターンの積層方法としては、公知の方法が使用でき、サブトラクティブ法、セミアディティブ法などを用いることができる。特に、セミアディティブ法を用いることで、配線密度の高いコイルパターンを効率よく得ることができる。
【0040】
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0041】
上記実施形態では、上記内側の配線における隣接する配線間の平均間隔が同一であったが、
図6のフレキシブルプリント配線板10のように、上記内側の配線における隣接する配線間の平均間隔が異なっていてもよい。上記内側の配線における隣接する配線間の平均間隔が異なることで、上記内側の配線における配線密度の調整が容易となる。フレキシブルプリント配線板10は、内側の配線131b、141bにおける隣接する配線間の平均間隔が異なる。また、フレキシブルプリント配線板10においても、平面コイル131、141は、コイル幅Wに対して中心位置Pより内側の配線131b、141bの数は、外側の配線131a、141aの数より大きい。
【0042】
上記実施形態では、上記内側の配線の平均線幅と上記外側の配線の平均線幅とが同一であったが、
図7のフレキシブルプリント配線板150のように、上記内側の配線の平均線幅と上記外側の配線の平均線幅とが異なっていてもよい。上記内側の配線の平均線幅と上記外側の配線の平均線幅とが異なることで、抵抗値の増大を抑制することができる。フレキシブルプリント配線板150は、内側の配線331b、341bにおける隣接する配線間の平均間隔が異なる。フレキシブルプリント配線板150の平面コイル331、341においては、コイル幅Wに対して中心位置Pより内側の配線331b、341bの数が、外側の配線331a、341aの数より大きい。また、内側の配線331b、341bの平均線幅に対する外側の配線331a、341aの平均線幅の比率が1以上5以下である。
【0043】
さらに、
図8のフレキシブルプリント配線板170のように、上記内側の配線の平均線幅と上記外側の配線の平均線幅とが異なるとともに、同じ領域内で隣接する配線間の平均間隔が異なっていてもよい。フレキシブルプリント配線板170は、内側の配線531b、541bの平均線幅と外側の配線531a、541aの平均線幅とが異なるとともに、内側領域内及び外側領域内でそれぞれ隣接する配線間の平均間隔が異なる。フレキシブルプリント配線板170の平面コイル531、541においては、コイル幅Wに対して中心位置Pより内側の配線531b、541bの数が、外側の配線531a、541aの数より大きい。また、内側の配線531b、541bの平均線幅に対する外側の配線531a、541aの平均線幅の比率が1以上5以下である。
【0044】
さらに、
図9のフレキシブルプリント配線板160のように、同じ領域内で隣接する配線の平均線幅が異なっていてもよい。フレキシブルプリント配線板160の平面コイル431、441においては、コイル幅Wに対して中心位置Pより内側の配線431b、441bの数が、外側の配線431a、441aの数より大きい。また、内側の配線431b、441bの平均線幅に対する外側の配線431a、441aの平均線幅の比率が1以上5以下である。
【符号の説明】
【0045】
1、10、20、150、160、170 フレキシブルプリント配線板
2 ベースフィルム
6 マグネットホルダー
7 補正レンズ
9 切り欠き
31、32、33、34、41、42、43、44、131、141、231、241、331、341、431、441、531、541 平面コイル
31a、31b、41a、41b、131a、131b、141a、141b、231a、231b、241a、241b、331a、331b、341a、341b、431a、431b、441a、441b、531a、531b、541a、541b 配線
51、52、53、54 永久磁石
60 手振れ補正機構
70 手振れ補正モジュール
80 撮像素子
82 基板
91、92、93、94 磁極
P 中心位置
W コイル幅