(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022033874
(43)【公開日】2022-03-02
(54)【発明の名称】抗体およびその薬物コンジュゲートの製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 47/68 20170101AFI20220222BHJP
A61K 9/19 20060101ALI20220222BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20220222BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20220222BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20220222BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20220222BHJP
A61K 47/18 20060101ALI20220222BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20220222BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20220222BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20220222BHJP
C07K 16/46 20060101ALN20220222BHJP
【FI】
A61K47/68 ZNA
A61K9/19
A61K47/22
A61K47/26
A61K9/08
A61K47/12
A61K47/18
A61K47/20
A61K47/04
C07K16/28
C07K16/46
【審査請求】有
【請求項の数】73
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021195870
(22)【出願日】2021-12-02
(62)【分割の表示】P 2018536418の分割
【原出願日】2017-01-13
(31)【優先権主張番号】62/278,217
(32)【優先日】2016-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507316398
【氏名又は名称】ゲンマブ エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ハーロウ リーネ シャンツ
(72)【発明者】
【氏名】ポール ティモシー ウォーレン
(72)【発明者】
【氏名】メイヒュー ブレンダン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ロビー ケリー アン
(72)【発明者】
【氏名】サーシャ グレゴリー アラン
(72)【発明者】
【氏名】チン シャオナ
(72)【発明者】
【氏名】ハガーマン アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ハルブリーブ カール
(57)【要約】 (修正有)
【課題】哺乳動物受容体チロシンキナーゼ(RTK)のTAMサブファミリーであるAXLに結合する抗体および抗体薬物コンジュゲート(ADC)に特に適している、凍結乾燥製剤および水性製剤、ならびに、そのような製剤を調製し、かつ使用する方法を提供する。
【解決手段】抗AXL抗体-薬物コンジュゲート(AXL-ADC)の凍結乾燥製剤であって、AXL-ADCおよび1つまたは複数の賦形剤を含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得され、該水性製剤がいかなる界面活性剤も含まない、凍結乾燥製剤とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗AXL抗体-薬物コンジュゲート(AXL-ADC)の凍結乾燥製剤であって、AXL-ADCおよび1つまたは複数の賦形剤を含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得され、該水性製剤がいかなる界面活性剤も含まない、凍結乾燥製剤。
【請求項2】
AXL-ADC、ならびに
(a)水性製剤において約5~約7のpHを提供する緩衝剤;
(b)少なくとも1つの増量剤;および
(c)固体状態においてADCと無定形相を形成する、少なくとも1つの非還元糖
を含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得され、該水性製剤がいかなる界面活性剤も含まない、AXL-ADCの凍結乾燥製剤。
【請求項3】
水性製剤が、ヒスチジン、クエン酸塩、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、コハク酸塩、グリコール酸塩、炭酸、およびリン酸塩、または任意のそれらの組み合わせからなる群より選択される緩衝剤を含み、該水性製剤のpHが、約5~約7の範囲にある、請求項1または2に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項4】
水性製剤がヒスチジン緩衝剤を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項5】
水性製剤が、約5 mM~約100 mM、例えば約10 mM~約50 mM緩衝剤、例えば約20 mM~約40 mM、例えば約28 mM~約32 mM、例えば約30 mM緩衝剤の濃度で緩衝剤を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項6】
マンニトール、グリシン、およびそれらの組み合わせから選択される増量剤を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項7】
マンニトールを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項8】
水性製剤が、約1%(w/v)~約5%(w/v)、例えば約2%(w/v)~約4%(w/v)、例えば約2.5%(w/v)~約3.5%(w/v)、例えば約3%(w/v)の濃度で増量剤を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項9】
水性製剤が、約50 mM~約300 mM、例えば約100 mM~約225 mM、例えば約150 mM~約180 mM、例えば約165 mMの濃度で増量剤を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項10】
スクロース、トレハロース、およびそれらの組み合わせから選択される非還元糖を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項11】
スクロースを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項12】
水性製剤が、約0.5%(w/v)~約7%(w/v)、例えば約0.5%(w/v)~約4%(w/v)、例えば約1%(w/v)~約3%(w/v)または約2.5%~約3.5%、例えば約3%(w/v)の濃度で非還元糖を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項13】
水性製剤が、約15 mM~約200 mM、例えば約15 mM~約120 mM、例えば約30 mM~約90 mM、例えば約80 mM~約100 mM、例えば約84 mM~約92 mMスクロース、例えば約88 mMの濃度で非還元糖を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項14】
水性製剤におけるAXL-ADC濃度が、約5 mg/mL~約30 mg/mL、例えば約7 mg/mL~約20 mg/mL、例えば約8 mg/mL~約15 mg/mL、例えば約9 mg/mL~約11 mg/mL、例えば約10 mg/mLである、請求項1~13のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項15】
水性製剤のpHが、約5.5~約6.5、例えば約5.8~約6.2の範囲にあり、例えば約6である、請求項1~14のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項16】
約5~約7のpHを有し、かつ
(a)約5 mg/mL~約30 mg/mLのAXL-ADC、ならびに
(b)約10 mM~約50 mMヒスチジン;
(c)約15 mM~約120 mMスクロースまたはトレハロース;および
(d)約150 mM~約180 mMマンニトールまたはグリシン
を含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得され、該水性製剤がいかなる界面活性剤も含まない、凍結乾燥製剤。
【請求項17】
水性製剤が、約5.5~約6.5の範囲にあるpHを有し、かつ
(a)約9 mg/mL~約11 mg/mL AXL-ADC、例えば約10 mg/mLのAXL-ADC;
(b)約20 mM~約40 mMヒスチジン、例えば約30 mMヒスチジン;
(c)約80 mM~約100 mMスクロース、例えば約88 mMスクロース;および
(d)約150 mM~約180 mMマンニトール、例えば約165 mM
を含み、該水性製剤がいかなる界面活性剤も含まない、請求項16に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項18】
AXL-ADCが、N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)-ペンタノアート(SSP)、マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-p-アミノベンジルオキシカルボニル(mc-vc-PAB)、またはAV-1 K-lockバリン-シトルリンなどの切断可能なリンカーで抗体に連結された細胞傷害性作用物質を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項19】
AXL-ADCが、スクシンイミジル-4(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート(MCC)またはマレイミド-カプロイル(MC)などの切断不可能なリンカーで抗体に連結された細胞傷害性作用物質を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項20】
AXL-ADCが、DNAを標的とする作用物質、例えば、カリケアマイシン、デュオカルマイシン、ラシェルマイシン(CC-1065)、ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン(PBD)、およびインドリノベンゾジアゼピン(IGN)などのDNAアルキル化剤および架橋剤;微小管を標的とする作用物質、アウリスタチン、例えばモノメチルアウリスタチンE(MMAE)およびモノメチルアウリスタチンF(MMAF)、ドラスタチン、メイタンシン、N(2')-デアセチル-N(2')-(3-マルカプト-1-オキソプロピル)-メイタンシン(DM1)、ならびにツブリシン;ならびにヌクレオシド類似体;またはこれらの類似体、誘導体、もしくはプロドラッグからなる群より選択される細胞傷害性作用物質を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項21】
リンカーがmc-vc-PABであり、細胞傷害性作用物質がMMAEである、請求項1~17のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項22】
リンカーがSSPであり、細胞傷害性作用物質がDM1である、請求項1~17のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤を、滅菌水性希釈剤中に再構成することによって取得され、いかなる界面活性剤も含まない、AXL-ADCの薬学的製剤。
【請求項24】
約5~約7のpHを有し、かつ、水溶液中に
(a)約5 mg/mL~約30 mg/mLのAXL-ADC、ならびに
(b)約10 mM~約50 mMヒスチジン;
(c)約15 mM~約120 mMスクロースまたはトレハロース;および
(d)約50 mM~約300 mMマンニトールまたはグリシン
を含み、いかなる界面活性剤も含まない、薬学的製剤。
【請求項25】
約5.5~約6.5の範囲にあるpHを有し、かつ
(a)約9 mg/mL~約11 mg/mL AXL-ADC、例えば約10 mg/mLのAXL-ADC;
(b)約20 mM~約40 mMヒスチジン、例えば約30 mMヒスチジン;
(c)約80 mM~約100 mMスクロース、例えば約88 mMスクロース;および
(d)約150 mM~約180 mMマンニトール、例えば約165 mM
を含み、いかなる界面活性剤も含まない、請求項24に記載の薬学的製剤。
【請求項26】
1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含む抗AXL抗体の水性製剤であって、該水性製剤が、いかなる界面活性剤も含まず、かつ約50 mM~約300 mMマンニトールを含む、抗AXL抗体の水性製剤。
【請求項27】
緩衝剤およびマンニトールである少なくとも1つの安定剤を含む抗AXL抗体の水性製剤であって、pHが約5~約7であり、いかなる界面活性剤も含まず、かつ約50 mM~約300 mMマンニトールを含む、抗AXL抗体の水性製剤。
【請求項28】
ヒスチジン、クエン酸塩、MES、リン酸塩、炭酸、コハク酸塩、グリコール酸塩、または任意のそれらの組み合わせからなる群より選択される緩衝剤を含み、pHが、約5.5~約6.5、例えば約5.8~約6.2の範囲にある、請求項26および27のいずれか一項に記載の水性製剤。
【請求項29】
ヒスチジン緩衝剤を含む、請求項26~28のいずれか一項に記載の水性製剤。
【請求項30】
約10 mM~約50 mM、例えば約20 mM~約40 mM緩衝剤、例えば約28 mM~約34 mM、例えば約29 mM~約31 mM、例えば約30 mMの濃度で緩衝剤を含む、請求項26~29のいずれか一項に記載の水性製剤。
【請求項31】
約20 mM~約400 mM、例えば約30 mM~約300 mM、例えば約40 mM~約80 mM、例えば約50 mM~約60 mM、例えば約55 mMの濃度でマンニトールである安定剤を含む、請求項26~30のいずれか一項に記載の水性製剤。
【請求項32】
約0.4%(w/v)~約7%(w/v)、例えば約0.5%~約5%、例えば約0.7%~約1.5%、例えば約1%の濃度でマンニトールである安定剤を含む、請求項26~31のいずれか一項に記載の水性製剤。
【請求項33】
アルギニン、グリシン、グルタミン酸、ソルビトール、トレハロース、スクロース、および塩化ナトリウムのいずれか1つまたは複数を含まない、請求項26~32のいずれか一項に記載の水性製剤。
【請求項34】
抗体濃度が、約5 mg/mL~約40 mg/mL、例えば約8 mg/mL~約35 mg/mL、例えば約10 mg/mL~約30 mg/mL、例えば約15 mg/mL~約25 mg/mL、例えば約20 mg/mLである、請求項26~33のいずれか一項に記載の水性製剤。
【請求項35】
前記水性製剤のpHが、約5.5~6.5の範囲にあり、例えば約6である、請求項26~34のいずれか一項に記載の水性製剤。
【請求項36】
約5~約7のpHを有し、かつ
(a)約5 mg/mL~約40 mg/mLの抗AXL抗体、および
(b)約10 mM~約50 mMヒスチジン;
(c)約50 mM~約300 mMマンニトール
を含む、水性製剤。
【請求項37】
約5.5~約6.5の範囲にあるpHを有し、かつ
(a)約15 mg/mL~約25 mg/mL抗AXL抗体、例えば約20 mg/mLの抗AXL抗体;
(b)約20 mM~約40 mMヒスチジン、例えば約30 mMヒスチジン;
(c)約50 mM~約60 mMマンニトール、例えば約55 mM
を含み、いかなる添加された界面活性剤、アミノ酸賦形剤、NaCl、または任意のそれらの組み合わせも含まない、請求項36に記載の水性製剤。
【請求項38】
請求項26~37のいずれか一項に記載の水性製剤を凍結することによって取得された、抗AXL抗体の凍結水性製剤。
【請求項39】
抗AXL抗体またはAXL-ADCが、以下からなる群より選択されるVH領域およびVL領域を含む少なくとも1つの結合領域を含む、請求項1~38のいずれか一項に記載の製剤:
(a)それぞれ、SEQ ID NO:36、37、および38のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:39、GAS、およびSEQ ID NO:40のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [107];
(b)それぞれ、SEQ ID NO:46、47、および48のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:49、AAS、およびSEQ ID NO:50のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [148];
(c)それぞれ、SEQ ID NO:114、115、および116のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:117、DAS、およびSEQ ID NO:118のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [733];
(d)それぞれ、SEQ ID NO:51、52、および53のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:55、GAS、およびSEQ ID NO:56のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [154];
(e)それぞれ、SEQ ID NO:51、52、および54のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:55、GAS、およびSEQ ID NO:56のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [154-M103L];
(f)それぞれ、SEQ ID NO:57、58、および59のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:60、GAS、およびSEQ ID NO:61のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [171];
(g)それぞれ、SEQ ID NO:62、63、および64のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:65、GAS、およびSEQ ID NO:66のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [172];
(h)それぞれ、SEQ ID NO:67、68、および69のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:70、GAS、およびSEQ ID NO:71のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [181];
(i)それぞれ、SEQ ID NO:72、73、および75のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:76、ATS、およびSEQ ID NO:77のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [183];
(j)それぞれ、SEQ ID NO:72、74、および75のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:76、ATS、およびSEQ ID NO:77のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [183-N52Q];
(k)それぞれ、SEQ ID NO:78、79、および80のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:81、AAS、およびSEQ ID NO:82のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [187];
(l)それぞれ、SEQ ID NO:83、84、および85のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:86、GAS、およびSEQ ID NO:87のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [608-01];
(m)それぞれ、SEQ ID NO:88、89、および90のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:91、GAS、およびSEQ ID NO:92のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [610-01];
(n)それぞれ、SEQ ID NO:93、94、および95のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:96、GAS、およびSEQ ID NO:97のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [613];
(o)それぞれ、SEQ ID NO:98、99、および100のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:101、DAS、およびSEQ ID NO:102のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [613-08];
(p)それぞれ、SEQ ID NO:103、104、および105のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:106、GAS、およびSEQ ID NO:107のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [620-06];
(q)それぞれ、SEQ ID NO:108、109、および110のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:112、AAS、およびSEQ ID NO:113のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [726];
(r)それぞれ、SEQ ID NO:108、109、および111のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:112、AAS、およびSEQ ID NO:113のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [726-M101L];
(s)それぞれ、SEQ ID NO:41、42、および43のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:44、AAS、およびSEQ ID NO:45のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [140];
(t)それぞれ、SEQ ID NO:93、94、および95のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:128、XAS(配列中、XはDまたはGである)、およびSEQ ID NO:129のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [613 / 613-08];
(u)それぞれ、SEQ ID NO:46、119、および120のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:49、AAS、およびSEQ ID NO:50のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [148 / 140];
(v)それぞれ、SEQ ID NO:123、124、および125のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:60、GAS、およびSEQ ID NO:61のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [171 / 172 / 181];ならびに
(w)それぞれ、SEQ ID NO:121、109、および122のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:112、AAS、およびSEQ ID NO:113のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [726 / 187];ならびに
(x)それぞれ、SEQ ID NO:93、126、および127のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:96、GAS、およびSEQ ID NO:97のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [613 / 608-01 / 610-01 / 620-06]。
【請求項40】
抗AXL抗体またはAXL-ADCが、以下に対して少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも99%同一のVHおよびVL配列からなる群より選択されるVH領域およびVL領域を含む少なくとも1つの結合領域を含む、請求項1~39のいずれか一項に記載の製剤:
(a)SEQ ID NO:1を含むVH領域、およびSEQ ID NO:2を含むVL領域 [107];
(b)SEQ ID NO:5を含むVH領域、およびSEQ ID NO:6を含むVL領域 [148];
(c)SEQ ID NO:34を含むVH領域、およびSEQ ID NO:35を含むVL領域 [733];
(d)SEQ ID NO:7を含むVH領域、およびSEQ ID NO:9を含むVL領域 [154];
(e)SEQ ID NO:10を含むVH領域、およびSEQ ID NO:11を含むVL領域 [171];
(f)SEQ ID NO:16を含むVH領域、およびSEQ ID NO:18を含むVL領域 [183];
(g)SEQ ID NO:25を含むVH領域、およびSEQ ID NO:26を含むVL領域 [613];
(h)SEQ ID NO:31を含むVH領域、およびSEQ ID NO:33を含むVL領域 [726];
(i)SEQ ID NO:3を含むVH領域、およびSEQ ID NO:4を含むVL領域 [140];
(j)SEQ ID NO:8を含むVH領域、およびSEQ ID NO:9を含むVL領域 [154-M103L];
(k)SEQ ID NO:12を含むVH領域、およびSEQ ID NO:13を含むVL領域 [172];
(l)SEQ ID NO:14を含むVH領域、およびSEQ ID NO:15を含むVL領域 [181];
(m)SEQ ID NO:17を含むVH領域、およびSEQ ID NO:18を含むVL領域 [183-N52Q];
(n)SEQ ID NO:19を含むVH領域、およびSEQ ID NO:20を含むVL領域 [187];
(o)SEQ ID NO:21を含むVH領域、およびSEQ ID NO:22を含むVL領域 [608-01];
(p)SEQ ID NO:23を含むVH領域、およびSEQ ID NO:24を含むVL領域 [610-01];
(q)SEQ ID NO:27を含むVH領域、およびSEQ ID NO:28を含むVL領域 [613-08];
(r)SEQ ID NO:29を含むVH領域、およびSEQ ID NO:30を含むVL領域 [620-06];ならびに
(s)SEQ ID NO:32を含むVH領域、およびSEQ ID NO:33を含むVL領域 [726-M101L]。
【請求項41】
抗AXL抗体またはAXL-ADCが、以下からなる群より選択されるVH領域およびVL領域を含む少なくとも1つの結合領域を含む、請求項1~40のいずれか一項に記載の製剤:
(a)SEQ ID NO:1を含むVH領域、およびSEQ ID NO:2を含むVL領域 [107];
(b)SEQ ID NO:5を含むVH領域、およびSEQ ID NO:6を含むVL領域 [148];
(c)SEQ ID NO:34を含むVH領域、およびSEQ ID NO:35を含むVL領域 [733];
(d)SEQ ID NO:7を含むVH領域、およびSEQ ID NO:9を含むVL領域 [154];
(e)SEQ ID NO:10を含むVH領域、およびSEQ ID NO:11を含むVL領域 [171];
(f)SEQ ID NO:16を含むVH領域、およびSEQ ID NO:18を含むVL領域 [183];
(g)SEQ ID NO:25を含むVH領域、およびSEQ ID NO:26を含むVL領域 [613];
(h)SEQ ID NO:31を含むVH領域、およびSEQ ID NO:33を含むVL領域 [726];
(i)SEQ ID NO:3を含むVH領域、およびSEQ ID NO:4を含むVL領域 [140];
(j)SEQ ID NO:8を含むVH領域、およびSEQ ID NO:9を含むVL領域 [154-M103L];
(k)SEQ ID NO:12を含むVH領域、およびSEQ ID NO:13を含むVL領域 [172];
(l)SEQ ID NO:14を含むVH領域、およびSEQ ID NO:15を含むVL領域 [181];
(m)SEQ ID NO:17を含むVH領域、およびSEQ ID NO:18を含むVL領域 [183-N52Q];
(n)SEQ ID NO:19を含むVH領域、およびSEQ ID NO:20を含むVL領域 [187];
(o)SEQ ID NO:21を含むVH領域、およびSEQ ID NO:22を含むVL領域 [608-01];
(p)SEQ ID NO:23を含むVH領域、およびSEQ ID NO:24を含むVL領域 [610-01];
(q)SEQ ID NO:27を含むVH領域、およびSEQ ID NO:28を含むVL領域 [613-08];
(r)SEQ ID NO:29を含むVH領域、およびSEQ ID NO:30を含むVL領域 [620-06];ならびに
(s)SEQ ID NO:32を含むVH領域、およびSEQ ID NO:33を含むVL領域 [726-M101L]。
【請求項42】
抗AXL抗体またはAXL-ADCが、それぞれ、SEQ ID NO:36、37、および38のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:39、GAS、およびSEQ ID NO:40のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [107]を含む、請求項39および40のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項43】
抗AXL抗体またはAXL-ADCが、SEQ ID NO:1を含むVH領域、およびSEQ ID NO:2を含むVL領域 [107]を含む、請求項42に記載の製剤。
【請求項44】
抗AXL抗体またはAXL-ADCが、請求項41において定義される抗体のいずれかによって認識されるAXL上のエピトープに結合する、請求項1~38のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項45】
抗AXL抗体またはAXL-ADCが、AXLのIg1様ドメイン内のエピトープに結合し、該エピトープが、ヒトAXLの位置L121~Q129またはT112~Q124に対応する1つまたは複数のアミノ酸を含むかまたは必要とする、請求項1~38のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項46】
抗AXL抗体またはAXL-ADCが、AXLのIg2様ドメイン内のエピトープに結合し、該エピトープが、ヒトAXLの位置D170またはD179の組み合わせに対応するアミノ酸、および位置T182~R190に対応する1つまたは複数のアミノ酸を含むかまたは必要とする、請求項1~38のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項47】
抗AXL抗体またはAXL-ADCが、ヒトAXLのFN1様ドメイン内のエピトープに結合し、該エピトープが、ヒトAXLの位置Q272~A287およびG297~P301に対応する1つまたは複数のアミノ酸を含むかまたは必要とする、請求項1~38のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項48】
抗AXL抗体またはAXL-ADCの抗体部分が、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4からなる群より選択されるアイソタイプの重鎖を含む、請求項1~47のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項49】
抗AXL抗体またはAXL-ADCの抗体部分のアイソタイプが、IgG1、任意でアロタイプIgG1m(f)である、請求項48に記載の製剤。
【請求項50】
抗AXL抗体またはAXL-ADCの抗体部分が、完全長モノクローナル抗体、例えば完全長モノクローナルIgG1,κ抗体である、請求項1~49のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項51】
抗AXL抗体またはAXL-ADCの抗体部分が、エフェクター機能欠損抗体、安定化IgG4抗体、または一価抗体である、請求項1~48のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項52】
抗AXL抗体またはAXL-ADCの抗体部分の重鎖が、全ヒンジ領域が欠失しているように改変されている、請求項51に記載の製剤。
【請求項53】
抗AXL抗体またはAXL-ADCの抗体部分の配列が、N結合型グリコシル化のためのいかなるアクセプター部位も含まないように改変されている、請求項1~52のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項54】
抗AXL抗体またはAXL-ADCの抗体部分が、一本鎖抗体である、請求項1~53のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項55】
前記抗体またはAXL-ADCの抗体部分が、請求項39~47のいずれか一項に記載の抗AXL抗体の第1の結合領域と、該第1の結合領域とは異なる標的またはエピトープに結合する第2の結合領域とを含む二重特異性抗体である、請求項1~54のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項56】
二重特異性抗体が、第1および第2の重鎖を含み、該第1および第2の重鎖の各々が、少なくともヒンジ領域、CH2およびCH3領域を含み、該第1の重鎖において、ヒトIgG1重鎖中のK409、T366、L368、K370、D399、F405、およびY407からなる群より選択される位置に対応する位置のアミノ酸の少なくとも1つが置換されており、該第2の重鎖において、ヒトIgG1重鎖中のF405、T366、L368、K370、D399、Y407、およびK409からなる群より選択される位置に対応する位置のアミノ酸の少なくとも1つが置換されており、該第1の重鎖および該第2の重鎖の該置換が同じ位置ではない、請求項55に記載の製剤。
【請求項57】
ヒトIgG1重鎖中のK409に対応する位置のアミノ酸が第1の重鎖においてRであり、ヒトIgG1重鎖中のF405に対応する位置のアミノ酸が第2の重鎖においてLであるか、またはその逆である、請求項39~56のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項58】
約9 mg/mL~約11 mg/mLのAXL-ADC、ならびに
約5~約7のpHを提供する約30 mMヒスチジン緩衝剤;
約88 mMスクロース;および
約165 mMマンニトール
を含む薬学的に許容される賦形剤
を含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得された凍結乾燥製剤であって、
ADCの抗AXL抗体部分が、
(a)それぞれ、SEQ ID NO:36、37、および38のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:39、GAS、およびSEQ ID NO:40のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [107];
(b)それぞれ、SEQ ID NO:46、47、および48のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:49、AAS、およびSEQ ID NO:50のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [148];
(c)それぞれ、SEQ ID NO:114、115、および116のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:117、DAS、およびSEQ ID NO:118のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [733];
(d)それぞれ、SEQ ID NO:51、52、および53のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:55、GAS、およびSEQ ID NO:56のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [154];
(e)それぞれ、SEQ ID NO:51、52、および54のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:55、GAS、およびSEQ ID NO:56のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [154-M103L];
(f)それぞれ、SEQ ID NO:57、58、および59のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:60、GAS、およびSEQ ID NO:61のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [171];
(g)それぞれ、SEQ ID NO:62、63、および64のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:65、GAS、およびSEQ ID NO:66のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [172];
(h)それぞれ、SEQ ID NO:67、68、および69のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:70、GAS、およびSEQ ID NO:71のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [181];
(i)それぞれ、SEQ ID NO:72、73、および75のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:76、ATS、およびSEQ ID NO:77のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [183];
(j)それぞれ、SEQ ID NO:72、74、および75のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:76、ATS、およびSEQ ID NO:77のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [183-N52Q];
(k)それぞれ、SEQ ID NO:78、79、および80のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:81、AAS、およびSEQ ID NO:82のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [187];
(l)それぞれ、SEQ ID NO:83、84、および85のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:86、GAS、およびSEQ ID NO:87のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [608-01];
(m)それぞれ、SEQ ID NO:88、89、および90のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:91、GAS、およびSEQ ID NO:92のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [610-01];
(n)それぞれ、SEQ ID NO:93、94、および95のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:96、GAS、およびSEQ ID NO:97のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [613];
(o)それぞれ、SEQ ID NO:98、99、および100のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:101、DAS、およびSEQ ID NO:102のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [613-08];
(p)それぞれ、SEQ ID NO:103、104、および105のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:106、GAS、およびSEQ ID NO:107のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [620-06];
(q)それぞれ、SEQ ID NO:108、109、および110のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:112、AAS、およびSEQ ID NO:113のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [726];
(r)それぞれ、SEQ ID NO:108、109、および111のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:112、AAS、およびSEQ ID NO:113のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [726-M101L];
(s)それぞれ、SEQ ID NO:41、42、および43のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:44、AAS、およびSEQ ID NO:45のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [140];
(t)それぞれ、SEQ ID NO:93、94、および95のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:128、XAS(配列中、XはDまたはGである)、およびSEQ ID NO:129のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [613 / 613-08];
(u)それぞれ、SEQ ID NO:46、119、および120のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:49、AAS、およびSEQ ID NO:50のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [148 / 140];
(v)それぞれ、SEQ ID NO:123、124、および125のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:60、GAS、およびSEQ ID NO:61のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [171 / 172 / 181];ならびに
(w)それぞれ、SEQ ID NO:121、109、および122のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:112、AAS、およびSEQ ID NO:113のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [726 / 187];ならびに
(x)それぞれ、SEQ ID NO:93、126、および127のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:96、GAS、およびSEQ ID NO:97のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [613 / 608-01 / 610-01 / 620-06]
を含み、
リンカーがmc-vc-PABであり、細胞傷害性作用物質がMMAEであるか、または、リンカーがSSPであり、細胞傷害性作用物質がDM1であり、かつ該水性製剤がいかなる界面活性剤も含まない、
凍結乾燥製剤。
【請求項59】
水性製剤が、
約9 mg/mL~約11 mg/mLのAXL-ADC、ならびに
約5.5~約6.5のpHを提供する約30 mMヒスチジン緩衝剤;
約88 mMスクロース;および
約165 mMマンニトール
を含む薬学的に許容される賦形剤
から本質的になる、請求項58に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項60】
ADCの抗AXL抗体部分が、それぞれ、SEQ ID NO:36、37、および38のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:39、GAS、およびSEQ ID NO:40のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [107]を含む、請求項58および59のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項61】
ADCの抗AXL抗体部分が、SEQ ID NO:1を含むVH領域、およびSEQ ID NO:2を含むVL領域 [107]を含む、請求項60に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項62】
リンカーがmc-vc-PABであり、細胞傷害性作用物質がMMAEである、請求項58~61のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項63】
AXL-ADCが、2~8℃で、例えば5℃で、少なくとも6か月間、例えば少なくとも9か月間、例えば少なくとも15か月間、または好ましくは少なくとも18か月間、またはさらにより好ましくは少なくとも24か月間、または最も好ましくは少なくとも36か月間、薬学的使用のために安定である、請求項58~62のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項64】
5℃で、少なくとも6か月間、例えば少なくとも9か月間、例えば少なくとも15か月間、または好ましくは少なくとも18か月間、またはさらにより好ましくは少なくとも24か月間、または最も好ましくは少なくとも36か月間保存した時に、10%未満の凝集物、例えば5.0%未満の凝集物、例えば3.0%未満の凝集物、例えば2.0%未満の凝集物を有する場合に、安定である、請求項58~63のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項65】
安定性が、サイズ排除解析、cIEF、またはその両方によって決定される、請求項58~64のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項66】
3.0%未満の水分、例えば2.0%未満の水分、例えば1%未満の水分、または0.5%未満の水分を含有する、請求項58~65のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項67】
いかなる無機塩も含まない、請求項58~66のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項68】
AXL-ADCの凍結乾燥製剤を調製するのに適しており、かつ、約5~約7のpHを有し、
(a)約7 mg/mL~約20 mg/mLのAXL-ADC;
(b)約5 mM~100 mMヒスチジン;
(c)約15 mM~約120 mMスクロース;および
(d)約150 mM~約180 mMマンニトール
を含み、いかなる界面活性剤も含まない、水性製剤。
【請求項69】
ADCの抗AXL抗体部分が、それぞれ、SEQ ID NO:36、37、および38のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:39、GAS、およびSEQ ID NO:40のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [107]を含む、請求項68に記載の水性製剤。
【請求項70】
リンカーがmc-vc-PABであり、細胞傷害性作用物質がMMAEである、請求項68および69のいずれか一項に記載の水性製剤。
【請求項71】
請求項58~67のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤を、滅菌水性希釈剤中に再構成することによって取得され、いかなる界面活性剤も含まない、薬学的に許容される液体製剤。
【請求項72】
約5~約7のpHを有し、かつ、約5 mg/mL~約30 mg/mL AXL-ADC、約10 mM~約50 mMヒスチジン;約15 mM~約120 mMスクロース;および約50 mM~約300 mMマンニトールまたはグリシンを含み、マンニトール対スクロースの重量比が少なくとも約1である、請求項71に記載の液体製剤。
【請求項73】
約9 mg/mL~約11 mg/mL AXL-ADC、約20 mM~約40 mMヒスチジン、約80 mM~約100 mMスクロース、および約150 mM~約180 mMマンニトールを含む、請求項72に記載の液体製剤。
【請求項74】
約10 mg/mL AXL-ADC、約30 mMヒスチジン、約88 mMスクロース、および約165 mMマンニトールを含む、請求項73に記載の液体製剤。
【請求項75】
請求項58~67のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤を、滅菌水性希釈剤中に再構成する工程を含む、注射可能なAXL-ADC溶液を調製する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、AXLに結合する抗体および抗体薬物コンジュゲート(ADC)に特に適している、凍結乾燥製剤および水性製剤、ならびに、例えばがん療法において、そのような製剤を調製し、かつ使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
哺乳動物受容体チロシンキナーゼ(RTK)のTAMサブファミリーは、AXL、Tyro3、およびMerからなり、AXLは、形質転換能力を有する104~140 kDaの膜貫通タンパク質である[1]。RTKの標的指向性阻害は、抗腫瘍および/または転移療法として有効であり得る。これらのおよび他の目的での抗AXLモノクローナル抗体は、リガンドGas6のAXLに対する結合を遮断する抗体を含み、文献に記載されている。
【0003】
ADCは、がんおよび他の状態の処置のための非常に強力なかつ特異的な作用物質であり、抗体部分が標的細胞上のその抗原に特異的に結合することで、薬物が、任意で内部移行後に、標的細胞に対してその細胞傷害効果または他の治療効果を発揮することができる。しかし、抗体は、他のタンパク質薬剤と同様に、酸化、アミド分解、および断片化などの分解、ならびに、粒子および凝集物の形成の傾向がある。したがって、輸送および保存の最中に安定である抗体またはADC薬剤を提供するために、薬学的製剤における担体、賦形剤、および/または安定剤を、注意深く選択しなければならない。抗体またはADC調製物の凍結乾燥製剤またはフリーズドライ製剤が、特許文献に記載されている。例えば、[14]~[28]を参照されたい。
【0004】
ADCについては、薬物コンジュゲーション自体が、安定性を低減させ、抗体の物理化学特性を変更する可能性があるという追加的な難題がある。例えば、薬物部分DM1の抗HER2抗体トラスツズマブに対するコンジュゲーションは、抗体のCH2ドメインの不安定化を結果としてもたらしたことが報告されている[29]。さらに、細胞傷害性薬物は多くの場合疎水性であり、ADCコンジュゲートは全体として、コンジュゲートされていない抗体よりも可溶性が低い可能性があり、したがって、凝集、粒子形成、および表面吸着の傾向がより高くなる。そのため、抗体製剤およびADC製剤は両方とも、典型的に、凝集および吸着を低減させるように、界面活性剤、頻繁にはポリソルベート20または80を含む(例えば、[14]~[27]、[30]を参照されたい)。しかし、多くの界面活性剤は、両親媒性の性質、および生体膜と反応する能力のために、多かれ少なかれ毒性である。さらに、ポリソルベートの自己酸化または光への曝露は、過酸化水素の形成を結果としてもたらす可能性があり、これは次に、抗体分子を酸化して、不安定な生成物につながる可能性がある[31][32]。これは、ADCの効力を低減させるだけではなく、その潜在的に有害な分解産物の形成につながる可能性がある。
【0005】
したがって、界面活性剤を含まない抗体およびADCの薬学的製剤の必要性が、依然として残っている。
【0006】
本発明は、保存および輸送の最中に安定であり、かつ粒子、凝集物、および分解産物を実質的に含まない、抗AXL抗体およびAXL-ADCの液体製剤および凍結乾燥製剤に関する。
【発明の概要】
【0007】
本発明者らは、AXL-ADCが安定なままである、抗AXL抗体-薬物コンジュゲート(「AXL-ADC」、「AXL特異的ADC」、および「抗AXL ADC」とも呼ばれる)の凍結乾燥製剤を発見した。本発明者らはまた、凍結および融解の最中に抗体が安定なままである、抗AXL抗体の水性製剤も発見した。驚くべきことに、凍結乾燥製剤および水性製剤は両方とも、ポリソルベート20または80などの界面活性剤を含むことなく、かつ/または無機塩を伴わずに調製することができた。さらに、AXL-ADCの増量剤として効率的に機能するマンニトールが、対応する抗AXL抗体の安定剤として効率的に機能することが発見された。
【0008】
したがって、1つの局面において、本発明は、1つまたは複数の適切な賦形剤を伴う、安定な、界面活性剤を含まない、AXL-ADCの凍結乾燥製剤を提供する。任意で、凍結乾燥製剤はまた、いかなる塩も本質的に含まないことができる。
【0009】
1つの局面において、本発明は、凍結乾燥された、任意で界面活性剤を含まない、AXL-ADC製剤であって、AXL-ADCと、緩衝剤、少なくとも1つの増量剤、および、固体状態においてADCと無定形相を形成する少なくとも1つの非還元糖とを含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得可能であるか、または取得された凍結乾燥製剤に関する。
【0010】
そのような凍結乾燥製剤のための例示的な成分は、以下を含むが、それらに限定されない:
(a)典型的に、凍結乾燥前および/または再構成後の水性製剤において約5~約7のpHを提供する、例えば、ヒスチジン、クエン酸塩、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、コハク酸塩、グリコール酸塩、炭酸、リン酸塩、およびそれらの組み合わせなどの、緩衝剤構成要素;
(b)スクロースおよび/またはトレハロースなどの、1つまたは複数の非還元糖;
(c)マンニトールおよび/またはグリシンなどの、1つまたは複数の増量剤。
【0011】
1つの局面において、本発明は、薬学的に許容される賦形剤を伴う、安定な、界面活性剤を含まない、抗AXL抗体の水性製剤を提供し、任意で、該製剤は、いかなる塩も本質的に含まない。
【0012】
1つの局面において、本発明は、緩衝剤および少なくとも1つの安定剤を含む、水性の、任意で界面活性剤を含まない、抗AXL抗体製剤に関し、該水性製剤のpHは、約5~約7である。
【0013】
そのような水性製剤のための例示的な成分は、以下を含むが、それらに限定されない:
(a)典型的に、約5~約7のpHを提供する、例えば、ヒスチジン、クエン酸塩、MES、コハク酸塩、グリコール酸塩、炭酸、リン酸塩、およびそれらの組み合わせなどの、緩衝剤構成要素;
(b)任意で、スクロースおよび/またはトレハロースなどの、1つまたは複数の非還元糖;
(c)マンニトールなどの、1つまたは複数の安定剤。
【0014】
[本発明1001]
抗AXL抗体-薬物コンジュゲート(AXL-ADC)の凍結乾燥製剤であって、AXL-ADCおよび1つまたは複数の賦形剤を含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得可能であるか、または取得され、該水性製剤がいかなる界面活性剤も含まない、凍結乾燥製剤。
[本発明1002]
AXL-ADC、ならびに
(a)水性製剤において約5~約7のpHを提供する緩衝剤;
(b)少なくとも1つの増量剤;および
(c)固体状態においてADCと無定形相を形成する、少なくとも1つの非還元糖
を含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得可能であるか、または取得された、AXL-ADCの凍結乾燥製剤。
[本発明1003]
水性製剤がいかなる界面活性剤も含まない、本発明1002の凍結乾燥製剤。
[本発明1004]
水性製剤が、ヒスチジン、クエン酸塩、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、コハク酸塩、グリコール酸塩、炭酸、およびリン酸塩、または任意のそれらの組み合わせからなる群より選択される緩衝剤を含み、該水性製剤のpHが、約5~約7の範囲にある、前記本発明のいずれかの凍結乾燥製剤。
[本発明1005]
水性製剤がヒスチジン緩衝剤を含む、前記本発明のいずれかの凍結乾燥製剤。
[本発明1006]
水性製剤が、約5 mM~約100 mM、例えば約10 mM~約50 mM緩衝剤、例えば約20 mM~約40 mM、例えば約28 mM~約32 mM、例えば約30 mM緩衝剤の濃度で緩衝剤を含む、前記本発明のいずれかの凍結乾燥製剤。
[本発明1007]
マンニトール、グリシン、およびそれらの組み合わせから選択される増量剤を含む、前記本発明のいずれかの凍結乾燥製剤。
[本発明1008]
マンニトールを含む、前記本発明のいずれかの凍結乾燥製剤。
[本発明1009]
水性製剤が、約1%(w/v)~約5%(w/v)、例えば約2%(w/v)~約4%(w/v)、例えば約2.5%(w/v)~約3.5%(w/v)、例えば約3%(w/v)の濃度で増量剤を含む、前記本発明のいずれかの凍結乾燥製剤。
[本発明1010]
水性製剤が、約50 mM~約300 mM、例えば約100 mM~約225 mM、例えば約150 mM~約180 mM、例えば約165 mMの濃度で増量剤を含む、前記本発明のいずれかの凍結乾燥製剤。
[本発明1011]
スクロース、トレハロース、およびそれらの組み合わせから選択される非還元糖を含む、前記本発明のいずれかの凍結乾燥製剤。
[本発明1012]
スクロースを含む、前記本発明のいずれかの凍結乾燥製剤。
[本発明1013]
水性製剤が、約0.5%(w/v)~約7%(w/v)、例えば約0.5%(w/v)~約4%(w/v)、例えば約1%(w/v)~約3%(w/v)または約2.5%~約3.5%、例えば約3%(w/v)の濃度で非還元糖を含む、前記本発明のいずれかの凍結乾燥製剤。
[本発明1014]
水性製剤が、約15 mM~約200 mM、例えば約15 mM~約120 mM、例えば約30 mM~約90 mM、例えば約80 mM~約100 mM、例えば約84 mM~約92 mMスクロース、例えば約88 mMの濃度で非還元糖を含む、前記本発明のいずれかの凍結乾燥製剤。
[本発明1015]
水性製剤におけるAXL-ADC濃度が、約5 mg/mL~約30 mg/mL、例えば約7 mg/mL~約20 mg/mL、例えば約8 mg/mL~約15 mg/mL、例えば約9 mg/mL~約11 mg/mL、例えば約10 mg/mLである、前記本発明のいずれかの凍結乾燥製剤。
[本発明1016]
水性製剤のpHが、約5.5~約6.5、例えば約5.8~約6.2の範囲にあり、例えば約6である、前記本発明のいずれかの凍結乾燥製剤。
[本発明1017]
約5~約7のpHを有し、かつ
(a)約5 mg/mL~約30 mg/mLのAXL-ADC、ならびに
(b)約10 mM~約50 mMヒスチジン;
(c)約15 mM~約120 mMスクロースまたはトレハロース;および
(d)約150 mM~約180 mMマンニトールまたはグリシン
を含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得可能であるか、または取得された、凍結乾燥製剤。
[本発明1018]
水性製剤が、約5.5~約6.5の範囲にあるpHを有し、かつ
(a)約9 mg/mL~約11 mg/mL AXL-ADC、例えば約10 mg/mLのAXL-ADC;
(b)約20 mM~約40 mMヒスチジン、例えば約30 mMヒスチジン;
(c)約80 mM~約100 mMスクロース、例えば約88 mMスクロース;および
(d)約150 mM~約180 mMマンニトール、例えば約165 mM
を含み、該水性製剤がいかなる界面活性剤も含まない、本発明1017の凍結乾燥製剤。
[本発明1019]
AXL-ADCが、N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)-ペンタノアート(SSP)、マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-p-アミノベンジルオキシカルボニル(mc-vc-PAB)、またはAV-1 K-lockバリン-シトルリンなどの切断可能なリンカーで抗体に連結された細胞傷害性作用物質を含む、前記本発明のいずれかの凍結乾燥製剤。
[本発明1020]
AXL-ADCが、スクシンイミジル-4(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート(MCC)またはマレイミド-カプロイル(MC)などの切断不可能なリンカーで抗体に連結された細胞傷害性作用物質を含む、本発明1001~1018のいずれかの凍結乾燥製剤。
[本発明1021]
AXL-ADCが、DNAを標的とする作用物質、例えば、カリケアマイシン、デュオカルマイシン、ラシェルマイシン(CC-1065)、ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン(PBD)、およびインドリノベンゾジアゼピン(IGN)などのDNAアルキル化剤および架橋剤;微小管を標的とする作用物質、アウリスタチン、例えばモノメチルアウリスタチンE(MMAE)およびモノメチルアウリスタチンF(MMAF)、ドラスタチン、メイタンシン、N(2')-デアセチル-N(2')-(3-マルカプト-1-オキソプロピル)-メイタンシン(DM1)、ならびにツブリシン;ならびにヌクレオシド類似体;またはこれらの類似体、誘導体、もしくはプロドラッグからなる群より選択される細胞傷害性作用物質を含む、前記本発明のいずれかの凍結乾燥製剤。
[本発明1022]
リンカーがmc-vc-PABであり、細胞傷害性作用物質がMMAEである、本発明1001~1018のいずれかの凍結乾燥製剤。
[本発明1023]
リンカーがSSPであり、細胞傷害性作用物質がDM1である、本発明1001~1018のいずれかの凍結乾燥製剤。
[本発明1024]
前記本発明のいずれかの凍結乾燥製剤を、滅菌水性希釈剤中に再構成することによって取得されたか、または取得可能である、AXL-ADCの薬学的製剤。
[本発明1025]
約5~約7のpHを有し、かつ、水溶液中に
(a)約5 mg/mL~約30 mg/mLのAXL-ADC、ならびに
(b)約10 mM~約50 mMヒスチジン;
(c)約15 mM~約120 mMスクロースまたはトレハロース;および
(d)約50 mM~約300 mMマンニトールまたはグリシン
を含む、薬学的製剤。
[本発明1026]
約5.5~約6.5の範囲にあるpHを有し、かつ
(a)約9 mg/mL~約11 mg/mL AXL-ADC、例えば約10 mg/mLのAXL-ADC;
(b)約20 mM~約40 mMヒスチジン、例えば約30 mMヒスチジン;
(c)約80 mM~約100 mMスクロース、例えば約88 mMスクロース;および
(d)約150 mM~約180 mMマンニトール、例えば約165 mM
を含み、いかなる界面活性剤も含まない、本発明1025の薬学的製剤。
[本発明1027]
1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含み、いかなる界面活性剤も含まない、抗AXL抗体の水性製剤。
[本発明1028]
緩衝剤および少なくとも1つの安定剤を含み、pHが約5~約7であり、かついかなる界面活性剤も含まない、抗AXL抗体の水性製剤。
[本発明1029]
ヒスチジン、クエン酸塩、MES、リン酸塩、炭酸、コハク酸塩、グリコール酸塩、または任意のそれらの組み合わせからなる群より選択される緩衝剤を含み、pHが、約5.5~約6.5、例えば約5.8~約6.2の範囲にある、本発明1027および1028のいずれかの水性製剤。
[本発明1030]
ヒスチジン緩衝剤を含む、本発明1027~1029のいずれかの水性製剤。
[本発明1031]
約10 mM~約50 mM、例えば約20 mM~約40 mM緩衝剤、例えば約28 mM~約34 mM、例えば約29 mM~約31 mM、例えば約30 mMの濃度で緩衝剤を含む、本発明1027~1030のいずれかの水性製剤。
[本発明1032]
マンニトール、スクロース、およびトレハロースからなる群より選択される安定剤を含む、本発明1027~1031のいずれかの水性製剤。
[本発明1033]
マンニトールである安定剤を含む、本発明1027~1032のいずれかの水性製剤。
[本発明1034]
約20 mM~約400 mM、例えば約30 mM~約300 mM、例えば約40 mM~約80 mM、例えば約50 mM~約60 mM、例えば約55 mMの濃度で安定剤を含む、本発明1027~1033のいずれかの水性製剤。
[本発明1035]
約0.4%(w/v)~約7%(w/v)、例えば約0.5%~約5%、例えば約0.7%~約1.5%、例えば約1%の濃度で安定剤を含む、本発明1027~1034のいずれかの水性製剤。
[本発明1036]
スクロース、トレハロース、およびそれらの組み合わせから選択される安定剤を含む、本発明1027~1035のいずれかの水性製剤。
[本発明1037]
アルギニン、グリシン、グルタミン酸、ソルビトール、トレハロース、スクロース、および塩化ナトリウムのいずれか1つまたは複数を含まない、本発明1027~1036のいずれかの水性製剤。
[本発明1038]
抗体濃度が、約5 mg/mL~約40 mg/mL、例えば約8 mg/mL~約35 mg/mL、例えば約10 mg/mL~約30 mg/mL、例えば約15 mg/mL~約25 mg/mL、例えば約20 mg/mLである、本発明1027~1037のいずれかの水性製剤。
[本発明1039]
前記水性製剤のpHが、約5.5~6.5の範囲にあり、例えば約6である、本発明1027~1038のいずれかの水性製剤。
[本発明1040]
約5~約7のpHを有し、かつ
(a)約5 mg/mL~約40 mg/mLの抗AXL抗体、および
(b)約10 mM~約50 mMヒスチジン;
(c)約50 mM~約300 mMマンニトール
を含む、水性製剤。
[本発明1041]
約5.5~約6.5の範囲にあるpHを有し、かつ
(a)約15 mg/mL~約25 mg/mL抗AXL抗体、例えば約20 mg/mLの抗AXL抗体;
(b)約20 mM~約40 mMヒスチジン、例えば約30 mMヒスチジン;
(c)約50 mM~約60 mMマンニトール、例えば約55 mM
を含み、いかなる添加された界面活性剤、アミノ酸賦形剤、NaCl、または任意のそれらの組み合わせも含まない、本発明1040の水性製剤。
[本発明1042]
本発明1027~1041のいずれかの水性製剤を凍結することによって取得されたか、または取得可能である、抗AXL抗体の凍結水性製剤。
[本発明1043]
抗AXL抗体またはAXL-ADCが、以下からなる群より選択されるVH領域およびVL領域を含む少なくとも1つの結合領域を含む、前記本発明のいずれかの製剤:
(a)それぞれ、SEQ ID NO:36、37、および38のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:39、GAS、およびSEQ ID NO:40のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [107];
(b)それぞれ、SEQ ID NO:46、47、および48のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:49、AAS、およびSEQ ID NO:50のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [148];
(c)それぞれ、SEQ ID NO:114、115、および116のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:117、DAS、およびSEQ ID NO:118のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [733];
(d)それぞれ、SEQ ID NO:51、52、および53のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:55、GAS、およびSEQ ID NO:56のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [154];
(e)それぞれ、SEQ ID NO:51、52、および54のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:55、GAS、およびSEQ ID NO:56のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [154-M103L];
(f)それぞれ、SEQ ID NO:57、58、および59のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:60、GAS、およびSEQ ID NO:61のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [171];
(g)それぞれ、SEQ ID NO:62、63、および64のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:65、GAS、およびSEQ ID NO:66のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [172];
(h)それぞれ、SEQ ID NO:67、68、および69のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:70、GAS、およびSEQ ID NO:71のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [181];
(i)それぞれ、SEQ ID NO:72、73、および75のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:76、ATS、およびSEQ ID NO:77のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [183];
(j)それぞれ、SEQ ID NO:72、74、および75のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:76、ATS、およびSEQ ID NO:77のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [183-N52Q];
(k)それぞれ、SEQ ID NO:78、79、および80のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:81、AAS、およびSEQ ID NO:82のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [187];
(l)それぞれ、SEQ ID NO:83、84、および85のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:86、GAS、およびSEQ ID NO:87のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [608-01];
(m)それぞれ、SEQ ID NO:88、89、および90のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:91、GAS、およびSEQ ID NO:92のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [610-01];
(n)それぞれ、SEQ ID NO:93、94、および95のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:96、GAS、およびSEQ ID NO:97のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [613];
(o)それぞれ、SEQ ID NO:98、99、および100のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:101、DAS、およびSEQ ID NO:102のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [613-08];
(p)それぞれ、SEQ ID NO:103、104、および105のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:106、GAS、およびSEQ ID NO:107のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [620-06];
(q)それぞれ、SEQ ID NO:108、109、および110のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:112、AAS、およびSEQ ID NO:113のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [726];
(r)それぞれ、SEQ ID NO:108、109、および111のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:112、AAS、およびSEQ ID NO:113のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [726-M101L];
(s)それぞれ、SEQ ID NO:41、42、および43のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:44、AAS、およびSEQ ID NO:45のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [140];
(t)それぞれ、SEQ ID NO:93、94、および95のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:128、XAS(配列中、XはDまたはGである)、およびSEQ ID NO:129のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [613 / 613-08];
(u)それぞれ、SEQ ID NO:46、119、および120のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:49、AAS、およびSEQ ID NO:50のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [148 / 140];
(v)それぞれ、SEQ ID NO:123、124、および125のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:60、GAS、およびSEQ ID NO:61のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [171 / 172 / 181];ならびに
(w)それぞれ、SEQ ID NO:121、109、および122のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:112、AAS、およびSEQ ID NO:113のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [726 / 187];ならびに
(x)それぞれ、SEQ ID NO:93、126、および127のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:96、GAS、およびSEQ ID NO:97のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [613 / 608-01 / 610-01 / 620-06]。
[本発明1044]
抗AXL抗体またはAXL-ADCが、以下に対して少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも99%同一のVHおよびVL配列からなる群より選択されるVH領域およびVL領域を含む少なくとも1つの結合領域を含む、前記本発明のいずれかの製剤:
(a)SEQ ID NO:1を含むVH領域、およびSEQ ID NO:2を含むVL領域 [107];
(b)SEQ ID NO:5を含むVH領域、およびSEQ ID NO:6を含むVL領域 [148];
(c)SEQ ID NO:34を含むVH領域、およびSEQ ID NO:35を含むVL領域 [733];
(d)SEQ ID NO:7を含むVH領域、およびSEQ ID NO:9を含むVL領域 [154];
(e)SEQ ID NO:10を含むVH領域、およびSEQ ID NO:11を含むVL領域 [171];
(f)SEQ ID NO:16を含むVH領域、およびSEQ ID NO:18を含むVL領域 [183];
(g)SEQ ID NO:25を含むVH領域、およびSEQ ID NO:26を含むVL領域 [613];
(h)SEQ ID NO:31を含むVH領域、およびSEQ ID NO:33を含むVL領域 [726];
(i)SEQ ID NO:3を含むVH領域、およびSEQ ID NO:4を含むVL領域 [140];
(j)SEQ ID NO:8を含むVH領域、およびSEQ ID NO:9を含むVL領域 [154-M103L];
(k)SEQ ID NO:12を含むVH領域、およびSEQ ID NO:13を含むVL領域 [172];
(l)SEQ ID NO:14を含むVH領域、およびSEQ ID NO:15を含むVL領域 [181];
(m)SEQ ID NO:17を含むVH領域、およびSEQ ID NO:18を含むVL領域 [183-N52Q];
(n)SEQ ID NO:19を含むVH領域、およびSEQ ID NO:20を含むVL領域 [187];
(o)SEQ ID NO:21を含むVH領域、およびSEQ ID NO:22を含むVL領域 [608-01];
(p)SEQ ID NO:23を含むVH領域、およびSEQ ID NO:24を含むVL領域 [610-01];
(q)SEQ ID NO:27を含むVH領域、およびSEQ ID NO:28を含むVL領域 [613-08];
(r)SEQ ID NO:29を含むVH領域、およびSEQ ID NO:30を含むVL領域 [620-06];ならびに
(s)SEQ ID NO:32を含むVH領域、およびSEQ ID NO:33を含むVL領域 [726-M101L]。
[本発明1045]
抗AXL抗体またはAXL-ADCが、以下からなる群より選択されるVH領域およびVL領域を含む少なくとも1つの結合領域を含む、前記本発明のいずれかの製剤:
(a)SEQ ID NO:1を含むVH領域、およびSEQ ID NO:2を含むVL領域 [107];
(b)SEQ ID NO:5を含むVH領域、およびSEQ ID NO:6を含むVL領域 [148];
(c)SEQ ID NO:34を含むVH領域、およびSEQ ID NO:35を含むVL領域 [733];
(d)SEQ ID NO:7を含むVH領域、およびSEQ ID NO:9を含むVL領域 [154];
(e)SEQ ID NO:10を含むVH領域、およびSEQ ID NO:11を含むVL領域 [171];
(f)SEQ ID NO:16を含むVH領域、およびSEQ ID NO:18を含むVL領域 [183];
(g)SEQ ID NO:25を含むVH領域、およびSEQ ID NO:26を含むVL領域 [613];
(h)SEQ ID NO:31を含むVH領域、およびSEQ ID NO:33を含むVL領域 [726];
(i)SEQ ID NO:3を含むVH領域、およびSEQ ID NO:4を含むVL領域 [140];
(j)SEQ ID NO:8を含むVH領域、およびSEQ ID NO:9を含むVL領域 [154-M103L];
(k)SEQ ID NO:12を含むVH領域、およびSEQ ID NO:13を含むVL領域 [172];
(l)SEQ ID NO:14を含むVH領域、およびSEQ ID NO:15を含むVL領域 [181];
(m)SEQ ID NO:17を含むVH領域、およびSEQ ID NO:18を含むVL領域 [183-N52Q];
(n)SEQ ID NO:19を含むVH領域、およびSEQ ID NO:20を含むVL領域 [187];
(o)SEQ ID NO:21を含むVH領域、およびSEQ ID NO:22を含むVL領域 [608-01];
(p)SEQ ID NO:23を含むVH領域、およびSEQ ID NO:24を含むVL領域 [610-01];
(q)SEQ ID NO:27を含むVH領域、およびSEQ ID NO:28を含むVL領域 [613-08];
(r)SEQ ID NO:29を含むVH領域、およびSEQ ID NO:30を含むVL領域 [620-06];ならびに
(s)SEQ ID NO:32を含むVH領域、およびSEQ ID NO:33を含むVL領域 [726-M101L]。
[本発明1046]
抗AXL抗体またはAXL-ADCが、それぞれ、SEQ ID NO:36、37、および38のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:39、GAS、およびSEQ ID NO:40のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [107]を含む、本発明1043および1044のいずれかの製剤。
[本発明1047]
抗AXL抗体またはAXL-ADCが、SEQ ID NO:1を含むVH領域、およびSEQ ID NO:2を含むVL領域 [107]を含む、本発明1046の製剤。
[本発明1048]
抗AXL抗体またはAXL-ADCが、本発明1042において定義される抗体のいずれかによって認識されるAXL上のエピトープに結合する、本発明1001~1042のいずれかの製剤。
[本発明1049]
抗AXL抗体またはAXL-ADCが、AXLのIg1様ドメイン内のエピトープに結合し、該エピトープが、ヒトAXLの位置L121~Q129またはT112~Q124に対応する1つまたは複数のアミノ酸を含むかまたは必要とする、本発明1001~1042のいずれかの製剤。
[本発明1050]
抗AXL抗体またはAXL-ADCが、AXLのIg2様ドメイン内のエピトープに結合し、該エピトープが、ヒトAXLの位置D170またはD179の組み合わせに対応するアミノ酸、および位置T182~R190に対応する1つまたは複数のアミノ酸を含むかまたは必要とする、本発明1001~1042のいずれかの製剤。
[本発明1051]
抗AXL抗体またはAXL-ADCが、ヒトAXLのFN1様ドメイン内のエピトープに結合し、該エピトープが、ヒトAXLの位置Q272~A287およびG297~P301に対応する1つまたは複数のアミノ酸を含むかまたは必要とする、本発明1001~1042のいずれかの製剤。
[本発明1052]
抗AXL抗体またはAXL-ADCの抗体部分が、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4からなる群より選択されるアイソタイプの重鎖を含む、前記本発明のいずれかの製剤。
[本発明1053]
抗AXL抗体またはAXL-ADCの抗体部分のアイソタイプが、IgG1、任意でアロタイプIgG1m(f)である、本発明1051の製剤。
[本発明1054]
抗AXL抗体またはAXL-ADCの抗体部分が、完全長モノクローナル抗体、例えば完全長モノクローナルIgG1,κ抗体である、前記本発明のいずれかの製剤。
[本発明1055]
抗AXL抗体またはAXL-ADCの抗体部分が、エフェクター機能欠損抗体、安定化IgG4抗体、または一価抗体である、本発明1001~1052のいずれかの製剤。
[本発明1056]
抗AXL抗体またはAXL-ADCの抗体部分の重鎖が、全ヒンジ領域が欠失しているように改変されている、本発明1055の製剤。
[本発明1057]
抗AXL抗体またはAXL-ADCの抗体部分の配列が、N結合型グリコシル化のためのいかなるアクセプター部位も含まないように改変されている、前記本発明のいずれかの製剤。
[本発明1058]
抗AXL抗体またはAXL-ADCの抗体部分が、一本鎖抗体である、前記本発明のいずれかの製剤。
[本発明1059]
前記抗体またはAXL-ADCの抗体部分が、本発明1043~1051のいずれかの抗AXL抗体の第1の結合領域と、該第1の結合領域とは異なる標的またはエピトープに結合する第2の結合領域とを含む二重特異性抗体である、前記本発明のいずれかの製剤。
[本発明1060]
二重特異性抗体が、第1および第2の重鎖を含み、該第1および第2の重鎖の各々が、少なくともヒンジ領域、CH2およびCH3領域を含み、該第1の重鎖において、ヒトIgG1重鎖中のK409、T366、L368、K370、D399、F405、およびY407からなる群より選択される位置に対応する位置のアミノ酸の少なくとも1つが置換されており、該第2の重鎖において、ヒトIgG1重鎖中のF405、T366、L368、K370、D399、Y407、およびK409からなる群より選択される位置に対応する位置のアミノ酸の少なくとも1つが置換されており、該第1の重鎖および該第2の重鎖の該置換が同じ位置ではない、本発明1059の製剤。
[本発明1061]
ヒトIgG1重鎖中のK409に対応する位置のアミノ酸が第1の重鎖においてRであり、ヒトIgG1重鎖中のF405に対応する位置のアミノ酸が第2の重鎖においてLであるか、またはその逆である、本発明1043~1060のいずれかの製剤。
[本発明1062]
約9 mg/mL~約11 mg/mLのAXL-ADC、ならびに
約5~約7のpHを提供する約30 mMヒスチジン緩衝剤;
約88 mMスクロース;および
約165 mMマンニトール
を含む薬学的に許容される賦形剤
を含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得可能であるか、または取得された凍結乾燥製剤であって、
ADCの抗AXL抗体部分が、
(a)それぞれ、SEQ ID NO:36、37、および38のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:39、GAS、およびSEQ ID NO:40のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [107];
(b)それぞれ、SEQ ID NO:46、47、および48のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:49、AAS、およびSEQ ID NO:50のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [148];
(c)それぞれ、SEQ ID NO:114、115、および116のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:117、DAS、およびSEQ ID NO:118のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [733];
(d)それぞれ、SEQ ID NO:51、52、および53のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:55、GAS、およびSEQ ID NO:56のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [154];
(e)それぞれ、SEQ ID NO:51、52、および54のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:55、GAS、およびSEQ ID NO:56のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [154-M103L];
(f)それぞれ、SEQ ID NO:57、58、および59のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:60、GAS、およびSEQ ID NO:61のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [171];
(g)それぞれ、SEQ ID NO:62、63、および64のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:65、GAS、およびSEQ ID NO:66のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [172];
(h)それぞれ、SEQ ID NO:67、68、および69のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:70、GAS、およびSEQ ID NO:71のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [181];
(i)それぞれ、SEQ ID NO:72、73、および75のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:76、ATS、およびSEQ ID NO:77のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [183];
(j)それぞれ、SEQ ID NO:72、74、および75のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:76、ATS、およびSEQ ID NO:77のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [183-N52Q];
(k)それぞれ、SEQ ID NO:78、79、および80のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:81、AAS、およびSEQ ID NO:82のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [187];
(l)それぞれ、SEQ ID NO:83、84、および85のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:86、GAS、およびSEQ ID NO:87のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [608-01];
(m)それぞれ、SEQ ID NO:88、89、および90のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:91、GAS、およびSEQ ID NO:92のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [610-01];
(n)それぞれ、SEQ ID NO:93、94、および95のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:96、GAS、およびSEQ ID NO:97のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [613];
(o)それぞれ、SEQ ID NO:98、99、および100のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:101、DAS、およびSEQ ID NO:102のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [613-08];
(p)それぞれ、SEQ ID NO:103、104、および105のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:106、GAS、およびSEQ ID NO:107のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [620-06];
(q)それぞれ、SEQ ID NO:108、109、および110のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:112、AAS、およびSEQ ID NO:113のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [726];
(r)それぞれ、SEQ ID NO:108、109、および111のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:112、AAS、およびSEQ ID NO:113のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [726-M101L];
(s)それぞれ、SEQ ID NO:41、42、および43のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:44、AAS、およびSEQ ID NO:45のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [140];
(t)それぞれ、SEQ ID NO:93、94、および95のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:128、XAS(配列中、XはDまたはGである)、およびSEQ ID NO:129のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [613 / 613-08];
(u)それぞれ、SEQ ID NO:46、119、および120のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:49、AAS、およびSEQ ID NO:50のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [148 / 140];
(v)それぞれ、SEQ ID NO:123、124、および125のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:60、GAS、およびSEQ ID NO:61のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [171 / 172 / 181];ならびに
(w)それぞれ、SEQ ID NO:121、109、および122のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:112、AAS、およびSEQ ID NO:113のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [726 / 187];ならびに
(x)それぞれ、SEQ ID NO:93、126、および127のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:96、GAS、およびSEQ ID NO:97のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [613 / 608-01 / 610-01 / 620-06]
を含み、
リンカーがmc-vc-PABであり、細胞傷害性作用物質がMMAEであるか、または、リンカーがSSPであり、細胞傷害性作用物質がDM1である、
凍結乾燥製剤。
[本発明1063]
水性製剤が、
約9 mg/mL~約11 mg/mLのAXL-ADC、ならびに
約5.5~約6.5のpHを提供する約30 mMヒスチジン緩衝剤;
約88 mMスクロース;および
約165 mMマンニトール
を含む薬学的に許容される賦形剤
から本質的になる、本発明1062の凍結乾燥製剤。
[本発明1064]
ADCの抗AXL抗体部分が、それぞれ、SEQ ID NO:36、37、および38のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:39、GAS、およびSEQ ID NO:40のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [107]を含む、本発明1062および1063のいずれかの凍結乾燥製剤。
[本発明1065]
ADCの抗AXL抗体部分が、SEQ ID NO:1を含むVH領域、およびSEQ ID NO:2を含むVL領域 [107]を含む、本発明1064の凍結乾燥製剤。
[本発明1066]
リンカーがmc-vc-PABであり、細胞傷害性作用物質がMMAEである、本発明1062~1065のいずれかの凍結乾燥製剤。
[本発明1067]
AXL-ADCが、2~8℃で、例えば5℃で、少なくとも6か月間、例えば少なくとも9か月間、例えば少なくとも15か月間、または好ましくは少なくとも18か月間、またはさらにより好ましくは少なくとも24か月間、または最も好ましくは少なくとも36か月間、薬学的使用のために安定である、本発明1062~1066のいずれかの凍結乾燥製剤。
[本発明1068]
5℃で、少なくとも6か月間、例えば少なくとも9か月間、例えば少なくとも15か月間、または好ましくは少なくとも18か月間、またはさらにより好ましくは少なくとも24か月間、または最も好ましくは少なくとも36か月間保存した時に、10%未満の凝集物、例えば5.0%未満の凝集物、例えば3.0%未満の凝集物、例えば2.0%未満の凝集物を有する場合に、安定である、本発明1062~1067のいずれかの凍結乾燥製剤。
[本発明1069]
安定性が、サイズ排除解析、cIEF、またはその両方によって決定される、本発明1062~1068のいずれかの凍結乾燥製剤。
[本発明1070]
3.0%未満の水分、例えば2.0%未満の水分、例えば1%未満の水分、または0.5%未満の水分を含有する、本発明1062~1069のいずれかの凍結乾燥製剤。
[本発明1071]
いかなる無機塩も含まない、本発明1062~1070のいずれかの凍結乾燥製剤。
[本発明1072]
AXL-ADCの凍結乾燥製剤を調製するのに適しており、かつ、約5~約7のpHを有し、
(a)約7 mg/mL~約20 mg/mLのAXL-ADC;
(b)約5 mM~100 mMヒスチジン;
(c)約15 mM~約120 mMスクロース;および
(d)約150 mM~約180 mMマンニトール
を含む、水性製剤。
[本発明1073]
ADCの抗AXL抗体部分が、それぞれ、SEQ ID NO:36、37、および38のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:39、GAS、およびSEQ ID NO:40のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [107]を含む、本発明1072の水性製剤。
[本発明1074]
リンカーがmc-vc-PABであり、細胞傷害性作用物質がMMAEである、本発明1072および1073のいずれかの水性製剤。
[本発明1075]
本発明1062~1071のいずれかの凍結乾燥製剤を、滅菌水性希釈剤中に再構成することによって取得された、薬学的に許容される液体製剤。
[本発明1076]
約5~約7のpHを有し、かつ、約5 mg/mL~約30 mg/mL AXL-ADC、約10 mM~約50 mMヒスチジン;約15 mM~約120 mMスクロース;および約50 mM~約300 mMマンニトールまたはグリシンを含み、マンニトール対スクロースの重量比が少なくとも約1である、本発明1075の液体製剤。
[本発明1077]
約9 mg/mL~約11 mg/mL AXL-ADC、約20 mM~約40 mMヒスチジン、約80 mM~約100 mMスクロース、および約150 mM~約180 mMマンニトールを含む、本発明1076の液体製剤。
[本発明1078]
約10 mg/mL AXL-ADC、約30 mMヒスチジン、約88 mMスクロース、および約165 mMマンニトールを含む、本発明1077の液体製剤。
[本発明1079]
本発明1062~1071のいずれかの凍結乾燥製剤を、滅菌水性希釈剤中に再構成する工程を含む、注射可能なAXL-ADC溶液を調製する方法。
これらのおよび他の局面および態様を、下記節においてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】HuMax-AXL DoE研究についてのSEC(HMW種)の結果を示す。
【
図2】HuMax-AXL DoE研究についてのSEC(メインピーク)の結果を示す。
【
図3】HuMax-AXL DoE研究についてのSEC(LMW種)の結果を示す。
【
図4】HuMax-AXL DoE研究についてのcIEF(メインピーク)の結果を示す。
【
図5】ポリソルベートを含有し、撹拌および凍結融解サイクルに曝露されたHuMax-AXL-ADC試料についての、cIEFデータ(メインアイソフォーム、酸性アイソフォーム、および塩基性アイソフォームの%)を示す。
【
図6】HuMax-AXL-ADC緩衝剤DoE研究についてのSEC(メインピークの%)の結果を示す。試料を、25℃および40℃での保存の1週間後および2週間後に解析した。
【
図7】HuMax-AXL-ADC緩衝剤DoE研究において、25℃または40℃のいずれかで保存した試料について緩衝剤タイプ(A)、緩衝剤濃度(B)、およびpH(C)により、SECによるメインピークの%を比較する、一元配置分散分析データ(ANOVA)を示す。
【
図8】HuMax-AXL-ADC緩衝剤DoE研究において、25℃または40℃のいずれかで保存した試料について緩衝剤タイプ(A)、緩衝剤濃度(B)、およびpH(C)により、cIEFによるメインピークの%を比較する、一元配置分散分析データ(ANOVA)を示す。
【
図9】HuMax-AXL-ADC凍結乾燥賦形剤DoE研究において、25℃または40℃のいずれかで保存した試料について糖タイプ(A)、糖濃度(B)、およびpH(C)により、SECによるメインピークの%を比較する、一元配置分散分析データ(ANOVA)を示す。
【
図10】HuMax-AXL-ADC凍結乾燥賦形剤DoE研究において、25℃および40℃で保存した試料についてのSECデータ(メインピークの%)を示す。
【
図11】HuMax-AXL-ADC凍結乾燥賦形剤DoE研究において、25℃または40℃のいずれかで保存した試料について糖タイプ(A)、糖濃度(B)、およびpH(C)により、cIEFによるメインピークの%を比較する、一元配置分散分析データ(ANOVA)を示す。
【
図12】40℃で2か月後の、高水分、中間水分、および低水分のHuMax-AXL-ADC凍結乾燥試料についてのDSCリバーシングヒートフローデータを示す。Tgについての中間点の値は、およそ60℃~45℃の範囲にわたる。
【
図13】40℃で2か月後の、高水分、中間水分、および低水分の試料についてのcIEFデータ(メインピークの%)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の詳細な開示
定義
「凍結乾燥された」および「フリーズドライされた」という用語は、本明細書において互換的に使用され、最初に凍結させ、次いで物質中の凍結した水を昇華させるように周囲の圧力を低減させることによって脱水されている物質を指す。
【0017】
本明細書において使用される「緩衝剤」という用語は、薬学的に許容される緩衝剤を意味する。「緩衝剤」という用語は、溶液のpH値を、例えば許容される範囲に維持する作用物質を包含し、本明細書に記載されるようなヒスチジン、クエン酸塩、MES、リン酸塩、TRIS(登録商標)(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)、炭酸、コハク酸塩、グリコール酸塩などを含むが、それらに限定されない。概して、本明細書において使用される「緩衝剤」は、約5~約7、好ましくは約5.5~6.5、好ましくは約5.8~6.2のpH範囲、例えば約pH 6または約pH 6.0に適しているpKaおよび緩衝能力を有する。
【0018】
「増量剤」という用語は、(例えば、薬学的に許容されるケーキを提供するために)フリーズドライ産物に対して追加的な構造を提供することができる作用物質を含む。一般的に使用される増量剤には、マンニトール、グリシンなどが含まれる。薬学的に許容されるケーキの提供に加えて、増量剤はまた、典型的に、例えば、崩壊温度の改変、凍結融解の保護の提供、さらに、長期の保存にわたるタンパク質安定性の増強などの、凍結乾燥組成物に対する有用な品質も与える。これらの作用物質はまた、張性改変物質としても働くことができる。
【0019】
本明細書において使用される「安定剤」という用語は、例えば、凍結の最中の凍結保護物質、および/または(フリーズ)ドライもしくは「脱水」プロセスの最中の凍結乾燥保護物質として働く、タンパク質に対して安定性を提供する作用物質を含む。適切な安定剤は、非還元糖または糖類および糖アルコール、例えばスクロース、トレハロース、マンニトール、キシリトールなど、ならびにアミノ酸、例えばグリシン、アラニン、およびリジンを含む。安定剤はまた、増量剤、張性改変剤、および/または粘性増加剤としても働くことができる。
【0020】
本明細書において使用される「界面活性剤」とは、表面に対する薬物吸着およびまたは凝集を阻止するために薬学的製剤において典型的に使用される化合物である。さらに、界面活性剤は、2種類の液体の間、または液体と固体との間の表面張力(または界面張力)を低下させる。例えば、例示的な界面活性剤は、非常に低い濃度(例えば、5% w/w以下、例えば3% w/w以下、例えば1% w/w以下)で存在する場合に、表面張力を有意に低下させることができる。界面活性剤は両親媒性であり、これは、それらが通常、親水基と疎水基または親油基との両方から構成され、したがって、水溶液中でミセルまたは類似した自己組織化構造を形成できることを意味する。薬学的使用のための公知の界面活性剤には、グリセロールモノオレアート、塩化ベンゼトニウム、ナトリウムドクサート、リン脂質、ポリエチレンアルキルエーテル、ラウリル硫酸ナトリウム、およびトリカプリリン(アニオン性界面活性剤);塩化ベンザルコニウム、シトリミド(citrimide)、塩化セチルピリジニウム、およびリン脂質(カチオン性界面活性剤);ならびにαトコフェロール、グリセロールモノオレアート、ミリスチルアルコール、リン脂質、ポロキサマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンステアラート、ポリオキシ15ヒドロキシステアラート、ポリオキシグリセリド、ポリソルベート、プロピレングリコールジラウラート、プロピレングリコールモノラウラート、ソルビタンエステルスクロースパルミタート、スクロースステアラート、トリカプリリン、およびTPGS(非イオン性および両性イオン性界面活性剤)が含まれる。
【0021】
本明細書における関心対象の「希釈剤」とは、薬学的に許容され(ヒトへの投与について安全かつ非毒性であり)、かつ再構成製剤の調製に有用であるものである。例示的な希釈剤は、液体、好ましくは水性であり、滅菌水、注射用静菌水(BWFI)、pH緩衝溶液(例えば、リン酸緩衝食塩水)、滅菌生理食塩水、リンガー溶液、またはデキストロース溶液を含む。
【0022】
本明細書において使用される「抗体」という用語は、典型的な生理学的および/または腫瘍特異的条件下で、少なくとも約30分、少なくとも約45分、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約4時間、少なくとも約8時間、少なくとも約12時間、約24時間もしくはそれより長い時間、約48時間もしくはそれより長い時間、約3、4、5、6、7日もしくはそれより長い日数などの有意な期間の半減期、または任意の他の関連する機能的に定義される期間(抗原に対する抗体結合と関連する生理学的応答を誘導、促進、増強、および/もしくは調節するのに十分な時間、ならびに/または抗体が内部移行するのに十分な時間)で、抗原に特異的に結合する能力を有する、免疫グロブリン分子、免疫グロブリン分子の断片、またはそのいずれかの誘導体を指すように意図される。抗原と相互作用する結合領域(または本明細書において使用され得る結合ドメイン、両方は同じ意味を有する)は、免疫グロブリン分子の重鎖および軽鎖の両方の可変領域を含む。抗体(Ab)の定常領域は、免疫系の種々の細胞(エフェクター細胞など)、および、補体活性化の古典経路における第1の構成要素であるC1qなどの補体系の構成要素を含む、宿主組織または因子に対する免疫グロブリンの結合を媒介し得る。上記で示されるように、本明細書において使用される抗体という用語は、別の方法で述べられるか、または文脈によって明確に否定されない限り、抗原に対して特異的に相互作用する、例えば結合する能力を保持する抗体の断片を含む。抗体の抗原結合機能は、完全長抗体の断片によって行われ得ることが示されている。「抗体」という用語内に包含される結合断片の例は、(i)VL、VH、CL、およびCH1ドメインからなる一価断片、または[35]に記載されている一価抗体である、Fab'またはFab断片;(ii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋により連結されている2つのFab断片を含む二価断片である、F(ab')2断片;(iii)VHおよびCH1ドメインから本質的になるFd断片;(iv)抗体の単一アームのVLおよびVHドメインから本質的になるFv断片;(v)VHドメインから本質的になり、ドメイン抗体 [37]とも呼ばれる、dAb断片 [36];(vi)ラクダ科動物またはナノボディ [38]、ならびに(vii)単離された相補性決定領域(CDR)を含む。さらに、Fv断片の2つのドメインであるVLおよびVHは、別個の遺伝子によりコードされているが、組み換え法を用いて、VLおよびVH領域が対形成して一価分子を形成している単一のタンパク質鎖(一本鎖抗体または一本鎖Fv(scFv)として公知である、例として[39]および[40]を参照されたい)として作製されることを可能にする合成リンカーにより接続されていてもよい。そのような一本鎖抗体は、別の方法で言及されるか、または文脈によって明確に示されない限り、抗体という用語内に包含される。そのような断片は、概して、抗体の意味の内に含まれるが、それらは、集合的におよび各々独立的に、本発明の独特の特徴であり、異なる生物学的特性および有用性を呈する。本発明の文脈におけるこれらのおよび他の有用な抗体断片は、本明細書においてさらに議論される。抗体という用語は、別の方法で特定されない限り、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(mAb)、抗体様ポリペプチド、例えばキメラ抗体およびヒト化抗体、ならびに、酵素的切断、ペプチド合成、および組み換え技術などの任意の公知の技術によって提供され、かつ毒素にコンジュゲートされる能力を保持する、抗原に特異的に結合する能力を保持する「抗体断片」または「その断片」(抗原結合断片)も含むこともまた、理解されるべきである。生成される抗体は、任意のアイソタイプを所有することができる。
【0023】
本明細書において使用される「抗原結合領域」または「結合領域」という用語は、抗原に結合することができる抗体の領域を指す。「抗原」および「標的」という用語は、文脈によって明確に否定されない限り、本発明の文脈において互換的に使用され得る。
【0024】
本明細書において使用される「結合」という用語は、例として、BIAcore 3000機器において抗原をリガンドとして、および抗体を分析物として用いた表面プラズモン共鳴(SPR)により決定した場合に、典型的に、約10-6 M未満、例えば10-7 M未満、例えば約10-8 M未満、例えば約10-9 M未満、約10-10 M未満、または約10-11 Mもしくはさらにそれより低いKDに対応する結合親和性での、あらかじめ決定された抗原または標的に対する抗体の結合を指し、あらかじめ決定された抗原または密接に関連する抗原以外の非特異的抗原(例えば、BSA、カゼイン)に対する結合のKDよりも少なくとも10倍低い、例えば少なくとも100倍低い、例として少なくとも1,000倍低い、例えば少なくとも10,000倍低い、例として少なくとも100,000倍低いKDに対応する親和性で、あらかじめ決定された抗原に結合する。結合のKDがより低い量は、抗体のKDに依存するため、抗体のKDが非常に低い(すなわち、抗体が高度に特異的である)場合、抗原に対する親和性が非特異的抗原に対する親和性より低い量は、少なくとも10,000倍であり得る。本明細書において使用される「親和性」および「KD」という用語は逆相関しており、すなわち、高い親和性は低いKDを意味することを意図しており、低い親和性は高いKDを意味することを意図している。
【0025】
本明細書において、
・「KD」(M)という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の解離平衡定数を指し、kdをkaで割ることによって得られる。
・「kd」(秒-1)という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の解離速度定数を指す。前記値は、kオフ値またはオフ速度とも呼ばれる。
・「ka」(M-1×秒-1)という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の会合速度定数を指す。前記値は、kオン値またはオン速度とも呼ばれる。
・「KA」(M-1)という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の会合平衡定数を指し、kaをkdで割ることによって得られる。
【0026】
本明細書において使用される「AXLに結合する抗体」という用語は、AXLの細胞外部分上のエピトープに結合する任意の抗体を指す。
【0027】
「エピトープ」という用語は、抗体に特異的に結合することができるタンパク質決定基を意味する。エピトープは、通常、アミノ酸、糖側鎖、またはそれらの組み合わせなどの分子の表面グルーピングからなり、通常、特異的な3次元構造特性、および特異的な電荷特性を有する。コンフォメーションエピトープおよび非コンフォメーションエピトープは、変性溶媒の存在下で前者に対する結合が失われるが、後者に対する結合は失われないという点で区別される。エピトープは、結合に直接関与しているアミノ酸残基、および、特異的な抗原結合ペプチドによって有効に遮断されるかまたは覆われるアミノ酸残基(換言すると、アミノ酸残基が特異的な抗原結合ペプチドの占有面積内である)などの、結合に直接関与していない他のアミノ酸残基を含み得る。
【0028】
本明細書において使用される「AXL」という用語は、哺乳動物TAM受容体チロシンキナーゼ(RTK)のサブファミリーの一部である104~140 kDaの分子量を有する894アミノ酸タンパク質であり、UFOまたはJTK11とも呼ばれる、AXLという名称のタンパク質を指す。分子量は、タンパク質のグリコシル化における可能性のある差のために可変である。AXLタンパク質は、タンパク質のN末端上の2つの細胞外免疫グロブリン様(Ig様)ドメイン、2つの膜近位の細胞外フィブロネクチンIII型(FNIII)ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内キナーゼドメインからなる。AXLは、そのリガンドGas6の結合時に、AXL細胞外ドメイン間のリガンド非依存性同種親和性相互作用により、活性酸素種の存在下での自己リン酸化により、またはEGFRを通したトランス活性化により活性化され、いくつかの腫瘍タイプにおいて異常に発現している。ヒトにおいて、AXLタンパク質は、SEQ ID N0:130に示されるアミノ酸配列をコードする核酸配列によってコードされている(ヒトAXLタンパク質:Swissprot P30530;カニクイザルAXLタンパク質:GenbankアクセッションHB387229.1)。
【0029】
本明細書において使用される「モノクローナル抗体」、「モノクローナルAb」、「モノクローナル抗体組成物」、「mAb」などの用語は、単一分子組成物の抗体分子の調製物を指す。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対して単一の結合特異性および親和性を提示する。したがって、「ヒトモノクローナル抗体」という用語は、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有する、単一の結合特異性を提示する抗体を指す。ヒトモノクローナル抗体は、不死化細胞に融合させた、トランスジェニック非ヒト動物または染色体導入(transchromosomal)非ヒト動物、例えば、ヒト重鎖導入遺伝子および軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有するトランスジェニックマウスから取得されたB細胞を含むハイブリドーマによって、産生され得る。
【0030】
本発明の文脈において、「ADC」という用語は、抗体薬物コンジュゲートを指し、これは、本発明の文脈において、治療部分、例えば、本出願に記載されるような細胞傷害性部分にカップリングされている抗AXL抗体を指す。それは、例えば、リンカーにより、例えばシステインにカップリングされてもよく、または他のコンジュゲーション法により、他のアミノ酸にカップリングされてもよい。当該部分は、例えば、薬物または毒素などであってもよい。
【0031】
本明細書において使用される場合、「治療部分」とは、対象に投与された場合、特に、本明細書に記載されるようなADCとして送達された場合に、治療効果または予防効果を発揮する化合物を意味する。「細胞傷害性」または「細胞増殖抑制性」部分は、細胞に対して有害な(例えば、殺傷する)化合物である。ADCにおける使用のための、いくつかの細胞傷害性または細胞増殖抑制性部分は、疎水性であり、これは、それらが水において溶解性を有さないか、または、例えば、1 g/L以下(非常にわずかに可溶性である)、例えば0.8 g/L以下、例えば0.6 g/L以下、例えば0.4 g/L以下、例えば0.3 g/L以下、例えば0.2 g/L以下、例えば0.1 g/L以下(事実上、不溶性である)の限定された溶解性のみを有することを意味する。例示的な疎水性の細胞傷害性または細胞増殖抑制性部分は、アウリスタチンおよびその誘導体、例えば、MMAFおよびMMAE、ならびにメイタンシンおよびその誘導体、例えば、DM1などの、ある特定のマイクロチューブリン阻害剤を含むが、それらに限定されない。
【0032】
抗体およびリガンドの文脈において、または2種類以上の抗体の文脈において本明細書で使用される場合、「と競合する」または「と交差競合する」という用語は、抗体が、リガンドまたは別の抗体、例えば、「参照」抗体と、それぞれ、抗原に対する結合において競合することを示す。実施例13は、抗AXL抗体とAXLリガンドGas6との競合をいかに試験するかの例を記載する。2種類の抗体間の交差競合についての好ましい参照抗体は、表1に示されるような、107、148、733、154、171、183、613、726、140、154-M103L、172、181、183-N52Q、187、608-01、610-01、613-08、620-06、または726-M101Lと本明細書において称される抗体のVH領域およびVL領域を含む結合領域を含むものである。特に好ましい参照抗体は、107と称される抗体である。
【0033】
本発明はまた、1つの態様において、本明細書に記載される抗体のVL領域、VH領域、または1つもしくは複数のCDRの機能的バリアントを含む抗体の製剤も提供する。抗AXL抗体の文脈において使用されるVL、VH、またはCDRの機能的バリアントは、抗体が、親抗体の親和性/結合力および/または特異性/選択性の少なくとも実質的な割合(少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、またはそれよりも多く)を保持することを依然として可能にし、いくつかの場合、そのような抗AXL抗体は、親抗体よりも大きい親和性、選択性および/または特異性と関連し得る。
【0034】
そのような機能的バリアントは、典型的に、親抗体に対して有意な配列同一性を保持する。2つの配列間のパーセント同一性は、配列によって共有される同一の位置の数の関数(すなわち、%同一性=同一位置の数/位置の総数×100)であり、2つの配列の最適なアラインメントのために導入される必要があるギャップの数、および各ギャップの長さを考慮に入れる。2つの配列間の配列の比較およびパーセント同一性の決定は、下記のような数学アルゴリズムを用いて遂行され得る。
【0035】
本発明の目的で、2つのアミノ酸配列間の配列同一性は、好ましくはバージョン5.0.0またはそれより後の、EMBOSSパッケージ(EMBOSS: The European Molecular Biology Open Software Suite, Rice et al., 2000, Trends Genet. 16: 276-277)のNeedleプログラムにおいて実行されるような、Needleman-Wunschアルゴリズム(Needleman and Wunsch, 1970, J. Mol. Biol. 48: 443-453)を用いて決定される。使用されるパラメータは、10のギャップオープンペナルティ、0.5のギャップ伸長ペナルティ、およびEBLOSUM62(BLOSUM62のEMBOSSバージョン)置換マトリックスである。「最長同一性」と標識されるNeedleの出力(-nobriefオプションを用いて取得される)を、パーセント同一性として使用し、以下のように算出する:(同一残基×100)/(アラインメントの長さ-アラインメントにおけるギャップの総数)。
【0036】
類似した残基の保持は、同様にまたは代替的に、BLASTプログラム(例えば、標準的設定BLOSUM62、オープンギャップ=11、および伸長ギャップ=1を用いる、NCBIを通して利用可能なBLAST 2.2.8)の使用によって決定されるような、類似性スコアによって測定されてもよい。適切なバリアントは、親配列に対して、典型的に、少なくとも約45%、例えば少なくとも約55%、少なくとも約65%、少なくとも約75%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%の、またはそれよりも大きい(例えば、約99%の)類似性を呈する。
【0037】
CDR、VH、またはVLバリアントの配列は、主として保存的置換を通して親抗体のCDR、VH、またはVLの配列とは異なってもよく;例として、バリアントにおける置換の少なくとも約35%、約50%またはそれよりも多く、約60%またはそれよりも多く、約70%またはそれよりも多く、約75%またはそれよりも多く、約80%またはそれよりも多く、約85%またはそれよりも多く、約90%またはそれよりも多く、約95%またはそれよりも多く、例えば約96%、97%、または98%、または99%が、保存的なアミノ酸残基の置き換えである。例えば、CDR、VH、またはVLバリアントの配列は、主として保存的置換を通して親抗体のCDR、VH、またはVLの配列とは異なってもよく;例として、バリアントにおける置換の少なくとも10個、例えば少なくとも9、8、7、6、5、4、3、2、または1個が、保存的なアミノ酸残基の置き換えである。
【0038】
本発明の文脈において、保存的置換は、以下の表の1つまたは複数に反映されるアミノ酸のクラス内の置換によって定義され得る。
【0039】
【0040】
【0041】
本明細書において使用される「アイソタイプ」という用語は、重鎖定常領域遺伝子によりコードされる、免疫グロブリンクラス(例として、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgD、IgA、IgE、もしくはIgM)、または任意のそのアロタイプ、例えば、IgG1m(za)およびIgG1m(f))を指す。さらに、各重鎖アイソタイプは、カッパ(κ)またはラムダ(λ)軽鎖のいずれかと組み合わせることができる。1つの態様において、アイソタイプはIgG1、任意でアロタイプIgG1m(f)である。1つの態様において、抗体は、完全長モノクローナル抗体、任意で完全長モノクローナルIgG1,κ抗体である。
【0042】
本明細書において使用される場合の「完全長抗体」という用語は、そのアイソタイプの野生型抗体において普通に見出されるものに対応するすべての重鎖および軽鎖の定常ドメインおよび可変ドメインを含有する抗体(例えば、親抗体またはバリアント抗体)を指す。本発明による完全長抗体は、(i)完全な重鎖配列および完全な軽鎖配列を含む適切なベクター中に、CDR配列をクローニングする工程、ならびに(ii)適切な発現系において完全な重鎖および軽鎖配列を発現する工程、を含む方法によって産生され得る。CDR配列または完全な可変領域配列のいずれかから出発する場合に、完全長抗体を産生することは、当業者の知識内である。したがって、当業者は、本発明による完全長抗体を生成する方法を承知しているであろう。
【0043】
1つの好ましい局面において、本明細書に記載される製剤のいずれか1つは、その中に含まれる1つもしくは複数の構成要素の1つもしくは複数の正確な量、および/または正確なpH値を含む。換言すると、「約」という用語の1つまたは複数は、本発明のこの他の好ましい局面において失われている。
【0044】
ある特定の特徴または構成要素を「含む」製剤に関する各局面または態様において、そのような特徴または構成要素「から本質的になる」そのような製剤はまた、本発明の別個の局面または態様である。
【0045】
本発明の具体的な態様
本発明は、凍結乾燥された場合に、AXL-ADCの薬学的目的および治療適用に適している安定な凍結乾燥製剤を提供する、AXL-ADCのある特定の水性組成物、特に製剤の発見に、少なくとも部分的に基づく。そのような凍結乾燥製剤は、例えば、希釈剤、典型的には水性希釈剤を添加することによって、薬学的に許容される液体製剤へと再構成され得る。
【0046】
本発明はまた、抗体が凍結および融解の最中に安定である、抗AXL抗体のある特定の水性組成物、特に製剤の発見に、部分的に基づく。本明細書に開示される製剤はまた、例えば、ポリソルベート20および80などの界面活性剤;例えば、NaClなどの無機塩;またはその両方を排除する選択肢も提供する。
【0047】
薬学的生成物の長期保存(貯蔵寿命)の最中の効力および安全性を確実にするために、生成物を、典型的には、意図された保存温度および上昇した温度の両方での保存を含む、選択された条件下で保存し、安定性について規則的な時間間隔で解析する。安定性試験は、例えば、生成物の同一性、純度、および/または効能の解析を含んでもよい。純度は、例えば、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)、キャピラリー電気泳動ドデシル硫酸ナトリウム(CE-SDS)、キャピラリー等電点分画電気泳動(cIEF)、免疫電気泳動、逆相クロマトグラフィー(RP-HPLC)、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、イオン交換および親和性クロマトグラフィーを用いて解析することができる。安定性解析はまた、例えば、色および透明性などの外観、微粒子、pH、水分、ならびに再構成時間を含んでもよい。
【0048】
長期保存(貯蔵寿命)の最中の、特に純度および効能に関して、結果として生じる分解プロファイルは、薬学的生成物の組成および/または製剤によって影響を受ける。特に、製剤の妥当な選択は、分解プロファイルを有意に改善し得る。モノクローナル抗体およびモノクローナル抗体に由来するコンジュゲート薬物生成物の典型的な分解プロファイルは、共有結合性および非共有結合性の高分子量凝集物、断片、アミド分解および酸化産物の形成を含む。特に、アミド分解および酸化産物、ならびに酸性種は、通常、長期保存(貯蔵寿命)の最中に発生する。いくつかの場合、これらの分解産物は、薬学的組成物の許容される貯蔵寿命を限定する。分解産物は、cIEF、SEC、SDS-PAGE、CE-SDS、動的光散乱(DLS)、分析用超遠心(AUC)、およびフィールドフロー分画(FFF)などの様々な分析試験によって同定することができる。
【0049】
具体的には、cIEFは、その周囲のpHの関数である分子上の全体の電荷に起因するそれらの等電点(pI)における差によって、抗体アイソマーを分離する。ストレスを受けていないHuMax-AXL試料のcIEF電気泳動図は、典型的に、全ピーク面積の60%よりも多くを占める1つの主なピーク、ならびに酸性アイソフォームおよび塩基性アイソフォームの両方を示した。種々の製剤間のcIEFデータの比較のために、メインアイソフォーム、酸性アイソフォーム、および塩基性アイソフォームのパーセンテージを使用した。
【0050】
SECは、溶液中の分子が、それらのサイズおよび/または分子量によって分離されるクロマトグラフィー法である。ストレスを受けていないHuMax-AXL試料のSECクロマトグラムは、典型的に、単量体抗体に対応し、全ピーク面積の90%よりも多くを占める、1つの主なピークを示した。この1つの主なSECピークは、各製剤における抗体のサイズ均一性を反映した。種々の製剤間のSECデータの比較のために、メインピークの前に溶出された種についてのピーク面積値を合わせて、HMW(高分子量)種のパーセントとして報告し、通常、これは凝集した形態を表す。同様に、メインピークの後に溶出された種についてのピーク面積値を合わせて、LMW(低分子量)種のパーセントとして報告し、通常、これは分解された形態を表す。
【0051】
「A280」は、280 nmで紫外吸光度を測定する分光光度法である。紫外吸収(280nm)によるタンパク質濃度の決定は、タンパク質中の芳香族アミノ酸の存在に依存する。溶液の濃度は、以下のベール・ランバートの法則を用いて算出することができる:(c=A/ε・l);式中、cはモル濃度であり、lはキュベットの路長(単位はcm)であり、εはモル吸光係数(単位はM-1 cm-1)であり、Aは280 nmでの吸光度である。
【0052】
例えば、薬学的に許容される安定性の本発明の凍結乾燥AXL-ADC製剤は、約5±3℃または25±2℃の温度で、少なくとも約3か月、好ましくは約6か月、およびより好ましくは約12か月またはそれよりも長い、例えば18か月またはそれよりも長い期間、例えば少なくとも24か月間またはさらに36か月間保存した時に、凝集物の量が、例えば、実施例9によるSEC解析を用いて決定した場合に、約10%未満、好ましくは約5%未満、より好ましくは約2%未満であるものであることができる。追加的にまたは代替的に、本発明の安定な凍結乾燥AXL-ADC製剤は、約5±3℃または25±2℃の温度で、少なくとも約3か月、好ましくは約6か月、およびより好ましくは約12か月またはそれよりも長い期間保存した時に、メインアイソフォームの変化が、例えば、実施例9によるcIEF解析を用いて決定した場合に、15%未満、好ましくは10%未満、より好ましくは8%未満、最も好ましくは5%未満であるものであることができる。
【0053】
1つの態様において、薬学的に許容される安定性の凍結乾燥AXL-ADC製剤は、2~8℃で、例えば約5℃で、少なくとも6か月間、例えば少なくとも9か月間、例えば少なくとも15か月間、または好ましくは少なくとも18か月間、またはさらにより好ましくは少なくとも24か月間、または最も好ましくは少なくとも36か月間保存した時に、凝集物の量が、10%未満、例えば5.0%未満、例えば3.0%未満、例えば2.0%未満であるものであることができる。
【0054】
1つの態様において、薬学的に許容される安定性の水性抗AXL抗体製剤は、-70℃±10℃で、例えば約-70℃で、少なくとも6か月間、例えば少なくとも9か月間、例えば少なくとも15か月間、例えば少なくとも18か月間、例えば少なくとも24か月間、または例えば少なくとも36か月間保存した時に、凝集物の量が、15%未満、例えば10%未満、例えば8.0%未満、例えば5.0%未満であるものであることができる。
【0055】
AXL-ADC:
1)凍結乾燥製剤:
本発明は、したがって、各々が具体的な態様を表す、以下の例示的なかつ非限定的なAXL-ADCの凍結乾燥製剤を提供する。
【0056】
1つの態様において、本発明は、抗AXL抗体-薬物コンジュゲート(AXL-ADC)の凍結乾燥製剤であって、該AXL-ADCおよび1つまたは複数の賦形剤を含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得可能であるか、または取得され、該製剤が界面活性剤を含まないか、または少なくとも本質的に含まない、凍結乾燥製剤を提供する。適切な賦形剤は、水性製剤において約5~約7のpHを提供する緩衝剤、固体状態においてAXL-ADCと無定形相を形成する少なくとも1つの非還元糖;および少なくとも1つの増量剤を含む。
【0057】
別の態様において、本発明は、AXL-ADCの凍結乾燥製剤であって、
(a)AXL-ADC;
(b)水性製剤において約5~約7のpHを提供する緩衝剤;
(c)少なくとも1つの増量剤;および
(d)固体状態においてADCと無定形相を形成する、少なくとも1つの非還元糖
を含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得可能であるか、または取得された凍結乾燥製剤を提供する。
【0058】
1つの態様において、本発明は、約5~約7、例えば約5.5~約6.5の範囲にあるpHを有し、かつ、約5 mg/mL~約30 mg/mL AXL-ADC;約10 mM~約100 mMヒスチジン緩衝剤;約15 mM~約200 mMスクロースまたはトレハロース;および約50 mM~約300 mMマンニトールまたはグリシンを含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得されたか、または取得可能である凍結乾燥製剤に関する。
【0059】
1つの態様において、本発明は、約5~約7、例えば約5.5~約6.5の範囲にあるpHを有し、かつ、約5 mg/mL~約30 mg/mL AXL-ADC、ならびに約5 mM~約100 mMヒスチジン緩衝剤;約15 mM~約200 mMスクロースまたはトレハロース;および約100 mM~約225 mMマンニトールまたはグリシンを含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得されたか、または取得可能である凍結乾燥製剤に関する。
【0060】
1つの態様において、本発明は、約5~約7、任意で約5.5~約6.5の範囲にあるpHを有し;約5 mg/mL~約30 mg/mL AXL-ADC;約5 mM~約100 mMヒスチジン緩衝剤;約30 mM~約150 mMスクロースまたはトレハロース;および約100 mM~約225 mMマンニトールまたはグリシンを含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得されたか、または取得可能である凍結乾燥製剤に関する。
【0061】
1つの態様において、本発明は、約5~約7、任意で約5.5~約6.5の範囲にあるpHを有し;約5 mg/mL~約30 mg/mL AXL-ADC;約10 mM~約50 mMヒスチジン緩衝剤;約30 mM~150 mMスクロースまたはトレハロース;および約100 mM~約225 mMマンニトールまたはグリシンを含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得されたか、または取得可能である凍結乾燥製剤に関する。
【0062】
1つの態様において、本発明は、約5~約7、任意で約5.5~約6.5の範囲にあるpHを有し;約5 mg/mL~約30 mg/mL AXL-ADC;約10 mM~約50 mMヒスチジン緩衝剤;約30 mM~約150 mMスクロースまたはトレハロース;および約150 mM~約180 mM、例えば約160 mM~約170 mMマンニトールまたはグリシンを含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得されたか、または取得可能である凍結乾燥製剤に関する。
【0063】
1つの態様において、本発明は、約5~約7、任意で約5.5~約6.5の範囲にあるpHを有し;約5 mg/mL~約30 mg/mL AXL-ADC;約10 mM~約50 mMヒスチジン緩衝剤;約30 mM~約150 mMスクロースまたはトレハロース、例えば約80 mM~100 mM;および約100 mM~約225 mMマンニトールまたはグリシンを含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得されたか、または取得可能である凍結乾燥製剤に関する。
【0064】
1つの態様において、本発明は、約5~約7、任意で約5.5~約6.5の範囲にあるpHを有し;約5 mg/mL~約30 mg/mL AXL-ADC;約10 mM~約50 mMヒスチジン緩衝剤;約30 mM~約150 mMスクロース;および約100 mM~約225 mMマンニトールを含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得されたか、または取得可能である凍結乾燥製剤に関する。
【0065】
1つの態様において、本発明は、約5~約7の範囲にある、任意で約5.5~約6.5のpHを有し、かつ、約5 mg/mL~約30 mg/mL AXL-ADC;約10 mM~約50 mMヒスチジン緩衝剤;約30 mM~約150 mMスクロースまたはトレハロース;および約150 mM~約180 mMマンニトールまたはグリシンを含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得されたか、または取得可能である凍結乾燥製剤に関する。
【0066】
1つの態様において、本発明は、約5~約7、任意で約5.5~約6.5の範囲にあるpHを有し;約5 mg/mL~約30 mg/mL AXL-ADC;約10 mM~約50 mMヒスチジン緩衝剤;約15 mM~120 mMスクロースまたはトレハロース;および約100 mM~約225 mMマンニトールまたはグリシンを含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得されたか、または取得可能である凍結乾燥製剤に関する。
【0067】
1つの態様において、本発明は、約5~約7、任意で約5.5~約6.5の範囲にあるpHを有し;約5 mg/mL~約30 mg/mL AXL-ADC;約10 mM~約50 mMヒスチジン緩衝剤;約15 mM~約120 mMスクロースまたはトレハロース;および約150 mM~約180 mM、例えば約160 mM~約170 mMマンニトールまたはグリシンを含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得されたか、または取得可能である凍結乾燥製剤に関する。
【0068】
1つの態様において、本発明は、約5~約7、任意で約5.5~約6.5の範囲にあるpHを有し;約5 mg/mL~約30 mg/mL AXL-ADC;約10 mM~約50 mMヒスチジン緩衝剤;約15 mM~約120 mMスクロースまたはトレハロース、例えば約80 mM~100 mM;および約100 mM~約225 mMマンニトールまたはグリシンを含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得されたか、または取得可能である凍結乾燥製剤に関する。
【0069】
1つの態様において、本発明は、約5~約7、任意で約5.5~約6.5の範囲にあるpHを有し;約5 mg/mL~約30 mg/mL AXL-ADC;約10 mM~約50 mMヒスチジン緩衝剤;約15 mM~約120 mMスクロース;および約100 mM~約225 mMマンニトールを含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得されたか、または取得可能である凍結乾燥製剤に関する。
【0070】
1つの態様において、本発明は、約5~約7、任意で約5.5~約6.5のpHを有し、かつ、約5 mg/mL~約30 mg/mL AXL-ADC;約10 mM~約50 mMヒスチジン緩衝剤;約15 mM~約120 mMスクロースまたはトレハロース;および約150 mM~約180 mMマンニトールまたはグリシンを含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得されたか、または取得可能である凍結乾燥製剤に関する。
【0071】
1つの態様において、本発明は、約5~約7、例えば約5.5~約6.5の範囲にあるpHを有し、かつ、約5 mg/mL~約30 mg/mL AXL-ADC、ならびに約5 mM~約100 mMヒスチジン緩衝剤;約20 mM~約100 mM、例えば約30 mM~約90 mM、例えば約70~約90 mMスクロースまたはトレハロース;および約100 mM~約225 mMマンニトールまたはグリシンを含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得されたか、または取得可能である凍結乾燥製剤に関する。
【0072】
1つの態様において、本発明は、約5~約7、例えば約5.5~約6.5の範囲にあるpHを有し、かつ、約5 mg/mL~約30 mg/mL AXL-ADC、ならびに約10 mM~約50 mMヒスチジン緩衝剤;約20 mM~約100 mM、例えば約30 mM~約90 mM、例えば約70~約90 mMスクロースまたはトレハロース;および約150 mM~約180 mMマンニトールまたはグリシンを含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得されたか、または取得可能である凍結乾燥製剤に関する。
【0073】
1つの態様において、本発明は、約5~約7、任意で約5.5~約6.5のpHを有し;約5 mg/mL~約30 mg/mL AXL-ADC;約10 mM~約50 mMヒスチジン緩衝剤;約80 mM~約100 mMスクロースまたはトレハロース;および約150 mM~約180 mMマンニトールまたはグリシンを含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得されたか、または取得可能である凍結乾燥製剤に関する。
【0074】
1つの態様において、本発明は、約5~約7、任意で約5.5~約6.5のpHを有し;約5 mg/mL~約30 mg/mL AXL-ADC;約10 mM~約50 mMヒスチジン緩衝剤;約80 mM~約100 mMスクロース;および約150 mM~約180 mMマンニトールを含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得されたか、または取得可能である凍結乾燥製剤に関する。
【0075】
1つの態様において、本発明は、約5.5~約6.5のpHを有し、かつ、約5 mg/mL~約30 mg/mL AXL-ADC;約20 mM~約40 mMヒスチジン緩衝剤;約80 mM~約100 mMスクロース;および約150 mM~約180 mMマンニトールを含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得されたか、または取得可能である凍結乾燥製剤に関する。
【0076】
1つの態様において、本発明は、約5.5~約6.5のpHを有し、かつ、約7 mg/mL~約20 mg/mL AXL-ADC;約20 mM~約40 mMヒスチジン緩衝剤;約80 mM~約100 mMスクロース;および約150 mM~約180 mMマンニトールを含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得されたか、または取得可能である凍結乾燥製剤に関する。
【0077】
1つの態様において、本発明は、約5.5~約6.5のpHを有し、かつ、約7 mg/mL~約20 mg/mL AXL-ADC;約20 mM~約40 mMヒスチジン緩衝剤;約80 mM~約100 mMスクロース;および約158 mM~約172 mMマンニトールを含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得されたか、または取得可能である凍結乾燥製剤に関する。
【0078】
1つの態様において、本発明は、約5.5~約6.5のpHを有し、かつ、約7 mg/mL~約20 mg/mL AXL-ADC;約20 mM~約40 mMヒスチジン緩衝剤;約84 mM~約92 mMスクロース;および約158 mM~約172 mMマンニトールを含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得されたか、または取得可能である凍結乾燥製剤に関する。
【0079】
1つの態様において、本発明は、約5.5~約6.5のpHを有し、かつ、約9 mg/mL~約11 mg/mL AXL-ADC;約20 mM~約40 mMヒスチジン緩衝剤;約84 mM~約92 mMスクロース;および約158 mM~約172 mMマンニトールを含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得されたか、または取得可能である凍結乾燥製剤に関する。
【0080】
1つの態様において、本発明は、約6のpHを有し、かつ、約10 mg/mL AXL-ADC;約30 mMヒスチジン緩衝剤;約88 mMスクロース;および約165 mMマンニトールを含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得されたか、または取得可能である凍結乾燥製剤に関する。
【0081】
1つの態様において、本発明は、約9 mg/mL~約11 mg/mL AXL-ADC、例えば約10mg/mL AXL-ADC(AXL-ADCは、HuMax-AXL-ADC(IgG1、vcMMAE)であり、プロテアーゼで切断可能なバリンシトルリンリンカーmc-vc-PABを介して薬物モノメチルアウリスタチンE(vcMMAE)にコンジュゲートされた、「107」と本明細書において呼ばれるヒトモノクローナルIgG1,κ抗体から構成されたADCである)、ならびに、約6のpHを提供する約30 mMヒスチジン緩衝剤;約88 mMスクロース;および約165 mMマンニトールまたはグリシンを含む薬学的に許容される賦形剤を含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得されたか、または取得可能である凍結乾燥製剤に関する。
【0082】
1つの好ましい態様において、AXL-ADCの抗体部分は、それぞれ、SEQ ID NO:36、37、および38のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:39、GAS、およびSEQ ID NO:40のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [107]を含む、少なくとも1つの抗原結合領域を含む。
【0083】
別個のかつ具体的な態様において、製剤は、界面活性剤を本質的に含まない。
【0084】
他の別個のかつ具体的な態様において、製剤は、界面活性剤を含まない。
【0085】
1つの態様において、本発明は、AXL-ADCの凍結乾燥製剤であって、約5~約7の範囲にある水性製剤および再構成製剤のpHを提供する緩衝剤、固体状態においてAXL-ADCと無定形相を形成する少なくとも1つの非還元糖、および少なくとも1つの増量剤を含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得されたか、または取得可能である凍結乾燥製剤に関し、該AXL-ADCは、mc-vc-PABおよびSSPから選択されるリンカー、MMAE、MMAF、およびDM1から選択される細胞傷害性作用物質、ならびに、107、148、733、154、171、183、613、726、140、M103L、172、181、183-N52Q、187、608-01、610-01、613-08、620-06、およびM101Lからなる群より選択される抗AXL抗体由来のVHおよびVL領域を含む参照抗体と、AXLに対する結合について競合する抗AXL抗体を含み;任意で、該凍結乾燥製剤は、いかなる界面活性剤も本質的に含まない。
【0086】
他の別個のかつ具体的な態様において、本発明は、いかなるポリソルベートも、任意でいかなる界面活性剤も本質的に含まない、前記態様のいずれか1つの凍結乾燥製剤を提供する。
【0087】
前記態様のいずれか1つの、1つの具体的な態様において、前記態様のいずれか1つの凍結乾燥製剤は、マンニトールおよびスクロースを含み、マンニトール対スクロースの重量比は、少なくとも約1、例えば約1~約20、例えば約1~約10、例えば約1~約5、例えば約1~約2、例えば約1である。
【0088】
前記態様のいずれか1つの、1つの具体的な態様において、前記態様のいずれか1つの凍結乾燥製剤は、マンニトールおよびトレハロースを含み、マンニトール対トレハロースの重量比は、少なくとも約1、例えば約1~約20、例えば約1~約10、例えば約1~約5、例えば約1~約2、例えば約1である。
【0089】
前記態様のいずれか1つの、1つの具体的な態様において、前記態様のいずれか1つの凍結乾燥製剤は、マンニトールおよびスクロースを含み、マンニトール対スクロースの重量比は、約1~約10であり、マンニトール対ADCの重量比は、少なくとも約3、例えば約3~約20、例えば約3~約10である。
【0090】
本発明はまた、約5.5~約6.5の範囲にあるpHを有し、かつ、約9 mg/mL~約11 mg/mL AXL-ADC;約30 mMヒスチジン;約88 mMスクロース;および約165 mMマンニトールを含み、任意でそれらからなる水性製剤を凍結乾燥することによって取得されたか、または取得可能である凍結乾燥製剤も提供する。
【0091】
1つの態様において、本発明は、約5.5~約6.5のpHを有し、かつ、約7 mg/mL~約20 mg/mL AXL-ADC;約20 mM~約40 mMヒスチジン緩衝剤;約84 mM~約92 mMスクロース;および約2.5%~約3.5%(w/v)、例えば約3%(w/v)マンニトール、グリシン、またはそれらの組み合わせを含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得されたか、または取得可能である凍結乾燥製剤に関する。
【0092】
1つの態様において、本発明は、約5.5~約6.5のpHを有し、かつ、約7 mg/mL~約20 mg/mL AXL-ADC;約20 mM~約40 mMヒスチジン緩衝剤;約2.5%(w/v)~約3.5%(w/v)スクロース、トレハロース、またはそれらの組み合わせ;および約2.5%~約3.5%(w/v)のマンニトール、グリシン、またはそれらの組み合わせを含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得されたか、または取得可能である凍結乾燥製剤に関する。
【0093】
AXL-ADCの凍結乾燥製剤は、約9 mg/mL~約11 mg/mL AXL-ADC、ならびに、水性製剤において約5.5~約6.5のpHを提供する約30 mMヒスチジン緩衝剤;約88 mMスクロース;および約165 mMマンニトールを含む薬学的に許容される賦形剤を含むか、またはそれらから本質的になる水性製剤を凍結乾燥することによって調製することができ;該抗体は、107、148、733、154、171、183、613、726、140、M103L、172、181、183-N52Q、187、608-01、610-01、613-08、620-06、およびM101Lからなる群より選択される抗体のVHおよびVL CDR、またはVHおよびVL配列を含むVH領域およびVL領域を含む少なくとも1つの結合領域を含み;該薬物は、MMAEまたはDM1、例えば、mc-vc-PAB-MMAEまたはSSP-DM1であるリンカー-薬物である。1つの態様において、AXL-ADCは、抗体107のVHおよびVL CDR、またはVHおよびVL配列を含む少なくとも1つの結合領域を含み、リンカー-薬物は、mc-vc-PAB-MMAEである。追加的に、AXL-ADCの抗体部分は、好ましくは、完全長抗体、例えば完全長モノクローナルIgG1,κ抗体であり得る。
【0094】
1つの態様において、本発明の凍結乾燥AXL-ADC製剤は、3.0%未満の水分(重量/重量)を含有する。1つの態様において、本発明の凍結乾燥製剤は、2.0%未満の水分を含有する。1つの態様において、本発明の凍結乾燥製剤は、1.0%未満の水分を含有する。1つの態様において、本発明の凍結乾燥製剤は、0.5%未満の水分を含有する。
【0095】
1つの態様において、凍結乾燥製剤中で、AXL-ADCは、2~8℃で、例えば5℃で、少なくとも6か月間、例えば少なくとも9か月間、例えば少なくとも15か月間、または好ましくは少なくとも18か月間、またはさらにより好ましくは少なくとも24か月間、または最も好ましくは少なくとも36か月間、薬学的使用のために安定である。
【0096】
1つの態様において、凍結乾燥製剤は、5℃で、少なくとも6か月間、例えば少なくとも9か月間、例えば少なくとも15か月間、または好ましくは少なくとも18か月間、またはさらにより好ましくは少なくとも24か月間、または最も好ましくは少なくとも36か月間保存した時に、10%未満の凝集物、例えば5.0%未満の凝集物、例えば3.0%未満の凝集物、例えば2.0%未満の凝集物を有する場合に、安定である。
【0097】
1つの態様において、安定性は、サイズ排除解析、cIEF、またはその両方によって決定される。
【0098】
1つの態様において、凍結乾燥製剤は、いかなる無機塩も含まない。
【0099】
以下は、企図される追加的な態様である。
1. AXL-ADCの凍結乾燥製剤であって、AXL-ADCおよび1つまたは複数の賦形剤を含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得可能であるか、または取得され、該水性製剤がいかなる界面活性剤も含まない、凍結乾燥製剤。
2. AXL-ADC、ならびに
(a)水性製剤において約5~約7のpHを提供する緩衝剤;
(b)少なくとも1つの増量剤;および
(c)固体状態においてADCと無定形相を形成する、少なくとも1つの非還元糖
を含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得可能であるか、または取得された、AXL-ADCの凍結乾燥製剤。
3. 水性製剤がいかなる界面活性剤も含まない、態様2の凍結乾燥製剤。
4. 水性製剤が、ヒスチジン、クエン酸塩、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、コハク酸塩、グリコール酸塩、炭酸、およびリン酸塩、または任意のそれらの組み合わせからなる群より選択される緩衝剤を含み、該水性製剤のpHが、約5~約7の範囲にある、前記態様のいずれかの凍結乾燥製剤。
5. 水性製剤がヒスチジン緩衝剤を含む、前記態様のいずれかの凍結乾燥製剤。
6. 水性製剤が、約5 mM~約100 mM、例えば約10 mM~約50 mM緩衝剤、例えば約20mM~約40 mM、例えば約28 mM~約32 mM、例えば約30 mM緩衝剤の濃度で緩衝剤を含む、前記態様のいずれかの凍結乾燥製剤。
7. マンニトール、グリシン、およびそれらの組み合わせから選択される増量剤を含む、前記態様のいずれかの凍結乾燥製剤。
8. マンニトールを含む、前記態様のいずれかの凍結乾燥製剤。
9. 水性製剤が、約1%(w/v)~約5%(w/v)、例えば約2%(w/v)~約4%(w/v)、例えば約2.5%(w/v)~約3.5%(w/v)、例えば約3%(w/v)の濃度で増量剤を含む、前記態様のいずれかの凍結乾燥製剤。
10. 水性製剤が、約50 mM~約300 mM、例えば約100 mM~約225 mM、例えば約150 mM~約180 mM、例えば約165 mMの濃度で増量剤を含む、前記態様のいずれかの凍結乾燥製剤。
11. スクロース、トレハロース、およびそれらの組み合わせから選択される非還元糖を含む、前記態様のいずれかの凍結乾燥製剤。
12. スクロースを含む、前記態様のいずれかの凍結乾燥製剤。
13. 水性製剤が、約0.5%(w/v)~約7%(w/v)、例えば約0.5%(w/v)~約4%(w/v)、例えば約1%(w/v)~約3%(w/v)または約2.5%~約3.5%、例えば約3%(w/v)の濃度で非還元糖を含む、前記態様のいずれかの凍結乾燥製剤。
14. 水性製剤が、約15 mM~約200 mM、例えば約15 mM~約120 mM、例えば約30 mM~約90 mM、例えば約80 mM~約100 mM、例えば約84 mM~約92 mMスクロース、例えば約88 mMの濃度で非還元糖を含む、前記態様のいずれかの凍結乾燥製剤。
15. 水性製剤におけるAXL-ADC濃度が、約5 mg/mL~約30 mg/mL、例えば約7 mg/mL~約20 mg/mL、例えば約8 mg/mL~約15 mg/mL、例えば約9 mg/mL~約11 mg/mL、例えば約10 mg/mLである、前記態様のいずれかの凍結乾燥製剤。
16. 水性製剤のpHが、約5.5~6.5、例えば約5.8~約6.2の範囲にあり、例えば約6である、前記態様のいずれかの凍結乾燥製剤。
17. 約5~約7のpHを有し、かつ
(a)約5 mg/mL~約30 mg/mLのAXL-ADC、ならびに
(b)約10 mM~約50 mMヒスチジン;
(c)約15 mM~約120 mMスクロースまたはトレハロース;および
(d)約150 mM~約180 mMマンニトールまたはグリシン
を含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得可能であるか、または取得された、凍結乾燥製剤。
18. 水性製剤が、約5.5~約6.5の範囲にあるpHを有し、かつ
(a)約9 mg/mL~約11 mg/mL AXL-ADC、例えば約10 mg/mLのAXL-ADC;
(b)約20 mM~約40 mMヒスチジン、例えば約30 mMヒスチジン;
(c)約80 mM~約100 mMスクロース、例えば約88 mMスクロース;および
(d)約150 mM~約180 mMマンニトール、例えば約165 mM
を含み、該水性製剤がいかなる界面活性剤も含まない、態様17の凍結乾燥製剤。
【0100】
好ましい態様において、凍結乾燥製剤のAXL-ADCにおいて、
‐抗体部分は、ヒト抗ADC抗体107のVHおよびVL CDR、任意でVH(SEQ ID NO:1)およびVL(SEQ ID NO:2)配列を含み、かつ
‐リンカーはmc-vc-PABであり、細胞傷害性作用物質はMMAEである。
【0101】
別の好ましい態様において、凍結乾燥製剤のAXL-ADCにおいて、
‐抗体部分は、ヒト抗ADC抗体107のVHおよびVL CDR、任意でVH(SEQ ID NO:1)およびVL(SEQ ID NO:2)配列を含み、かつ
‐リンカーはSSPであり、細胞傷害性作用物質はDM1である。
【0102】
追加的に、AXL-ADCの抗体部分は、好ましくは、完全長抗体、例えば完全長モノクローナルIgG1,κ抗体であり得る。
【0103】
2)液体製剤:
本発明はまた、前記の局面または態様のいずれか1つの凍結乾燥製剤を、滅菌水性希釈剤中に再構成することによって取得されたか、または取得可能である、薬学的に許容される液体製剤も提供する。
【0104】
例えば、そのような液体製剤は、約5~約7のpHを有してもよく、かつ、約5 mg/mL~約30 mg/mL AXL-ADC、約10 mM~約50 mMヒスチジン;約30 mM~約150 mMスクロースまたはトレハロース;および約50 mM~約300 mMマンニトールまたはグリシンを含むか、またはそれらから本質的になってもよい。
【0105】
1つの態様において、液体製剤は、約5~約7のpHを有し、かつ、約5 mg/mL~約30 mg/mL AXL-ADC、約10 mM~約50 mMヒスチジン;約15 mM~約120 mMスクロースまたはトレハロース;および約100 mM~約225 mMマンニトールまたはグリシンを含むか、またはそれらから本質的になる。
【0106】
1つの態様において、液体製剤は、約5.5~約6.5のpHを有し、かつ、約9 mg/mL~約11 mg/mL AXL-ADC;約20 mM~約40 mMヒスチジン;約80 mm~約100 mMスクロース;および約150 mM~約180 mMマンニトールを含むか、またはそれらから本質的になり;該液体製剤は、いかなる界面活性剤も本質的に含まない。
【0107】
1つの態様において、液体製剤は、約6のpHを有し、かつ、約10 mg/mLのAXL-ADC;約30 mMヒスチジン;約88 mMスクロース;および約165 mMマンニトールを含むか、またはそれらから本質的になり;該液体製剤は、いかなる界面活性剤も本質的に含まない。
【0108】
1つの態様において、液体製剤は、約5.5~約6.5のpHを有し、かつ、約9 mg/mL~約11 mg/mL AXL-ADC、約28 mM~約34 mMヒスチジン、約84 mM~約92 mMスクロース;および約160~約170 mMマンニトールを含むか、またはそれらから本質的になる。
【0109】
好ましい態様において、液体製剤のAXL-ADCにおいて、
‐抗体部分は、ヒト抗ADC抗体107のVHおよびVL CDR、任意でVH(SEQ ID NO:1)およびVL(SEQ ID NO:2)配列を含み、かつ
‐リンカーはmc-vc-PABであり、細胞傷害性作用物質はMMAEである。
【0110】
別の好ましい態様において、液体製剤のAXL-ADCにおいて、
‐抗体部分は、ヒト抗ADC抗体107のVHおよびVL CDR、任意でVH(SEQ ID NO:1)およびVL(SEQ ID NO:2)配列を含み、かつ
‐リンカーはSSPであり、細胞傷害性作用物質はDM1である。
【0111】
追加的に、AXL-ADCの抗体部分は、好ましくは、完全長抗体、例えば完全長モノクローナルIgG1,κ抗体であり得る。
【0112】
3)水性製剤:
本発明はまた、前記の局面または態様のいずれか1つによるAXL-ADCの凍結乾燥製剤を調製するのに適している、水性製剤(本明細書において「水溶液」とも呼ばれる)も提供する。AXL-ADCの水性製剤はまた、それ自体が、AXL-ADCの薬学的目的および治療適用にも適している場合がある。
【0113】
そのような水性製剤は、例えば、
(a)任意で、抗AXL抗体107のVHおよびVL CDRまたはVHおよびVL配列を含む、約7 mg/mL~約20 mg/mL AXL-ADC、
(b)約10 mM~50 mMヒスチジン;
(c)約30 mM~約150 mMスクロース;
(d)約150 mM~約180 mMマンニトール;または
(e)(a)と、(b)~(d)のうちの任意の2つ、3つ、もしくはすべてとの組み合わせ
を含み得る。
【0114】
本発明はまた、
(a)任意で、抗AXL抗体107のVHおよびVL CDRまたはVHおよびVL配列を含む、約7 mg/mL~約20 mg/mL AXL-ADC、
(b)約10 mM~50 mMヒスチジン;
(c)約15 mM~約120 mMスクロース;
(d)約150 mM~約180 mMマンニトール;または
(e)(a)と、(b)~(d)のうちの任意の2つ、3つ、もしくはすべてとの組み合わせ
を含む、AXL-ADCの凍結乾燥製剤を調製するのに適している水性製剤も提供する。
【0115】
本発明はまた、
(a)任意で、抗AXL抗体107のVHおよびVL CDRまたはVHおよびVL配列を含む、約7 mg/mL~約20 mg/mL AXL-ADC、
(b)約10 mM~50 mMヒスチジン;
(c)約80 mM~約100 mMスクロース;
(d)約150 mM~約180 mMマンニトール;または
(e)(a)と、(b)~(d)のうちの任意の2つ、3つ、もしくはすべてとの組み合わせ
を含む、AXL-ADCの凍結乾燥製剤を調製するのに適している水性製剤も提供する。
【0116】
本発明はまた、AXL-ADCの凍結乾燥製剤を調製するのに適しており、界面活性剤を含有しない水性製剤も提供し、該溶液は、
(a)任意で、抗AXL抗体107のVHおよびVL CDRまたはVHおよびVL配列を含む、約7 mg/mL~約20 mg/mL AXL-ADC、
(b)約10 mM~50 mMヒスチジン;
(c)約30 mM~約150 mMスクロース;
(d)約150 mM~約180 mMマンニトール;または
(e)(a)と、(b)~(d)のうちの任意の2つ、3つ、もしくはすべてとの組み合わせ
を含む。
【0117】
本発明はまた、AXL-ADCの凍結乾燥製剤を調製するのに適しており、界面活性剤を含有しない水性製剤も提供し、該溶液は、
(a)任意で、抗AXL抗体107のVHおよびVL CDRまたはVHおよびVL配列を含む、約7 mg/mL~約20 mg/mL AXL-ADC、
(b)約10 mM~50 mMヒスチジン;
(c)約80 mM~約100 mMスクロース;
(d)約150 mM~約180 mMマンニトール;または
(e)(a)と、(b)~(d)のうちの任意の2つ、3つ、もしくはすべてとの組み合わせ
を含む。
【0118】
本発明はまた、
(a)任意で、抗AXL抗体107のVHおよびVL CDRまたはVHおよびVL配列を含む、約7 mg/mL~約20 mg/mL AXL-ADC、
(b)約10 mM~50 mMヒスチジン;
(c)約80 mM~約100 mMスクロース;
(d)約150 mM~約180 mMマンニトール;または
(e)(a)と、(b)~(d)のうちの任意の2つ、3つ、もしくはすべてとの組み合わせ
からなる、AXL-ADCの凍結乾燥製剤を調製するのに適している水性製剤も提供する。
【0119】
好ましくは、ヒスチジン緩衝剤は、水性製剤において、約5~約7、好ましくは約5.5~約6.5の範囲にあるpH、例えば約pH6を提供する。
【0120】
好ましい態様において、任意の水性製剤のAXL-ADCにおいて、
‐抗体部分は、ヒト抗ADC抗体107のVHおよびVL CDR、任意でVH(SEQ ID NO:1)およびVL(SEQ ID NO:2)配列を含み、かつ
‐リンカーはmc-vc-PABであり、細胞傷害性作用物質はMMAEである。
【0121】
別の好ましい態様において、任意の水性製剤のAXL-ADCにおいて、
‐抗体部分は、ヒト抗ADC抗体107のVHおよびVL CDR、任意でVH(SEQ ID NO:1)およびVL(SEQ ID NO:2)配列を含み、かつ
‐リンカーはSSPであり、細胞傷害性作用物質はDM1である。
【0122】
追加的に、AXL-ADCの抗体部分は、好ましくは、完全長抗体、例えば完全長モノクローナルIgG1,κ抗体であり得る。
【0123】
抗AXL抗体:
1つの局面において、本発明は、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含む、抗AXL抗体の水性製剤であって、いかなる界面活性剤も含まない水性製剤に関する。1つの態様において、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤は、緩衝剤、および少なくとも1つの安定剤を含み、水性製剤のpHは、約5~約7、好ましくは約5.5~約6.5、例えば約5.8~約6.2、例えば約6である。
【0124】
適切な緩衝剤の非限定的な例は、ヒスチジン、クエン酸塩、MES、リン酸塩、炭酸、コハク酸塩、グリコール酸塩、および任意のそれらの組み合わせを含む。1つの好ましい緩衝剤は、ヒスチジンである。水性製剤は、例えば、約10~約50 mM、例えば約20 mM~約40 mM緩衝剤、例えば約28 mM~約34 mM、例えば約29 mM~約31 mM、例えば約30 mM緩衝剤の濃度で緩衝剤を含み得る。
【0125】
適切な安定剤は、マンニトール、スクロース、およびトレハロース、ならびにそれらの組み合わせを含む。1つの態様において、安定剤はマンニトールである。水性製剤は、例えば、約20 mM~約400 mM、例えば約20 mM~約200 mMまたは約30 mM~約300 mM、例えば約30 mM~約100 mM、例えば約40 mM~約80 mM、例えば約50 mM~約60 mM、例えば約55 mMの濃度で安定剤を含み得る。1つの態様において、水性製剤は、約5%(w/v)以下、例えば約4%(w/v)以下、例えば約3%(w/v)以下、例えば約2%(w/v)以下、例えば約1%(w/v)以下、例えば約1%(w/v)、例えば0.4%~約7%(w/v)、例えば0.5%~約5%(w/v)、例えば0.5%~1.5%(w/v)、例えば約1%(w/v)の濃度で安定剤を含む。1つの態様において、安定剤はマンニトールである。
【0126】
任意で、水性製剤は、スクロース、トレハロース、およびそれらの組み合わせから選択される非還元糖をさらに含む。
【0127】
1つの態様において、抗AXL抗体の水性製剤は、アルギニン、グリシン、グルタミン酸、ソルビトール、トレハロース、スクロース、および塩化ナトリウムのいずれか1つまたは複数を含まない。
【0128】
1つの態様において、抗体濃度は、約5 mg/mL~約40 mg/mL、例えば約8 mg/mL~約35 mg/mL、例えば約10 mg/mL~約30 mg/mL、例えば約15 mg/mL~約25 mg/mL、例えば約20 mg/mLである。
【0129】
1つの態様において、水性製剤は、約5~約7のpHを有し、かつ
(a)約5 mg/mL~約40 mg/mLの抗AXL抗体、および
(b)約10 mM~約50 mMヒスチジン;
(c)約50 mM~約300 mMマンニトール
を含む。
【0130】
1つの態様において、水性製剤は、約5.5~約6.5の範囲にあるpHを有し、かつ
(a)約15 mg/mL~約25 mg/mL抗AXL抗体、例えば約20 mg/mLの抗AXL抗体;
(b)約20 mM~約40 mMヒスチジン、例えば約30 mMヒスチジン;
(c)約50 mM~約60 mMマンニトール、例えば約55 mM
を含み、いかなる添加された界面活性剤、アミノ酸賦形剤、および/または塩化ナトリウムも含まない。
【0131】
1つの態様において、抗AXL抗体は、それぞれ、SEQ ID NO:1および2のVHおよびVL領域配列を含む抗原結合領域を含む参照抗体と同じ、ヒトAXL上のエピトープに結合する。1つの態様において、抗AXL抗体は、抗AXL抗体107のVHおよびVL CDRを含む。
【0132】
1つの態様において、本発明は、任意の前記の局面または態様の水性製剤を凍結することによって取得されたか、または取得可能である、抗AXL抗体の凍結水性製剤に関する。
【0133】
1つの好ましい態様において、抗AXL抗体は、それぞれ、SEQ ID NO:36、37、および38のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:39、GAS、およびSEQ ID NO:40のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [107]を含む、少なくとも1つの抗原結合領域を含む。
【0134】
抗体
本節に記載される抗AXL抗体は、本明細書における局面および態様に記載されるような、本発明の水性製剤と、本発明の凍結乾燥製剤のAXL-ADCにおける使用との両方に適している。
【0135】
概して、任意の抗AXL抗体に適用可能であるが、VHおよびVL配列が本明細書において提供される抗AXL抗体のいずれか1つまたは複数と、1つまたは複数の物理化学的特性および/または抗原結合の結合特性を共有する抗AXL抗体が、特に適している(表1を参照されたい)。好ましい抗AXL抗体のVH、VL、およびCDR配列を、表1に示す。任意でIgG1,κフォーマットにおける、107と称される抗体(「HuMax AXL」または「IgG1-HuMax-AXL」とも呼ばれる)が、特に好ましい。
【0136】
1つの態様において、抗AXL抗体は、以下からなる群より選択されるVH領域およびVL領域を含む、少なくとも1つの結合領域を含む:
(a)それぞれ、SEQ ID NO:36、37、および38のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:39、GAS、およびSEQ ID NO:40のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [107];
(b)それぞれ、SEQ ID NO:46、47、および48のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:49、AAS、およびSEQ ID NO:50のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [148];
(c)それぞれ、SEQ ID NO:114、115、および116のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:117、DAS、およびSEQ ID NO:118のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [733];
(d)それぞれ、SEQ ID NO:51、52、および53のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:55、GAS、およびSEQ ID NO:56のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [154];
(e)それぞれ、SEQ ID NO:51、52、および54のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:55、GAS、およびSEQ ID NO:56のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [154-M103L];
(f)それぞれ、SEQ ID NO:57、58、および59のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:60、GAS、およびSEQ ID NO:61のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [171];
(g)それぞれ、SEQ ID NO:62、63、および64のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:65、GAS、およびSEQ ID NO:66のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [172];
(h)それぞれ、SEQ ID NO:67、68、および69のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:70、GAS、およびSEQ ID NO:71のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [181];
(i)それぞれ、SEQ ID NO:72、73、および75のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:76、ATS、およびSEQ ID NO:77のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [183];
(j)それぞれ、SEQ ID NO:72、74、および75のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:76、ATS、およびSEQ ID NO:77のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [183-N52Q];
(k)それぞれ、SEQ ID NO:78、79、および80のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:81、AAS、およびSEQ ID NO:82のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [187];
(l)それぞれ、SEQ ID NO:83、84、および85のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:86、GAS、およびSEQ ID NO:87のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [608-01];
(m)それぞれ、SEQ ID NO:88、89、および90のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:91、GAS、およびSEQ ID NO:92のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [610-01];
(n)それぞれ、SEQ ID NO:93、94、および95のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:96、GAS、およびSEQ ID NO:97のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [613];
(o)それぞれ、SEQ ID NO:98、99、および100のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:101、DAS、およびSEQ ID NO:102のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [613-08];
(p)それぞれ、SEQ ID NO:103、104、および105のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:106、GAS、およびSEQ ID NO:107のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [620-06];
(q)それぞれ、SEQ ID NO:108、109、および110のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:112、AAS、およびSEQ ID NO:113のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [726];
(r)それぞれ、SEQ ID NO:108、109、および111のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:112、AAS、およびSEQ ID NO:113のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [726-M101L];
(s)それぞれ、SEQ ID NO:41、42、および43のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:44、AAS、およびSEQ ID NO:45のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [140];
(t)それぞれ、SEQ ID NO:93、94、および95のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:128、XAS(配列中、XはDまたはGである)、およびSEQ ID NO:129のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [613 / 613-08];
(u)それぞれ、SEQ ID NO:46、119、および120のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:49、AAS、およびSEQ ID NO:50のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [148 / 140];
(v)それぞれ、SEQ ID NO:123、124、および125のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:60、GAS、およびSEQ ID NO:61のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [171 / 172 / 181];ならびに
(w)それぞれ、SEQ ID NO:121、109、および122のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:112、AAS、およびSEQ ID NO:113のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [726 / 187];ならびに
(x)それぞれ、SEQ ID NO:93、126、および127のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:96、GAS、およびSEQ ID NO:97のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [613 / 608-01 / 610-01 / 620-06]。
【0137】
1つの態様において、抗AXL抗体は、以下に対して少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも99%同一のVHおよびVL配列からなる群より選択されるVH領域およびVL領域を含む、少なくとも1つの結合領域を含む:
(a)SEQ ID NO:1を含むVH領域、およびSEQ ID NO:2を含むVL領域 [107];
(b)SEQ ID NO:5を含むVH領域、およびSEQ ID NO:6を含むVL領域 [148];
(c)SEQ ID NO:34を含むVH領域、およびSEQ ID NO:35を含むVL領域 [733];
(d)SEQ ID NO:7を含むVH領域、およびSEQ ID NO:9を含むVL領域 [154];
(e)SEQ ID NO:10を含むVH領域、およびSEQ ID NO:11を含むVL領域 [171];
(f)SEQ ID NO:16を含むVH領域、およびSEQ ID NO:18を含むVL領域 [183];
(g)SEQ ID NO:25を含むVH領域、およびSEQ ID NO:26を含むVL領域 [613];
(h)SEQ ID NO:31を含むVH領域、およびSEQ ID NO:33を含むVL領域 [726];
(i)SEQ ID NO:3を含むVH領域、およびSEQ ID NO:4を含むVL領域 [140];
(j)SEQ ID NO:8を含むVH領域、およびSEQ ID NO:9を含むVL領域 [154-M103L];
(k)SEQ ID NO:12を含むVH領域、およびSEQ ID NO:13を含むVL領域 [172];
(l)SEQ ID NO:14を含むVH領域、およびSEQ ID NO:15を含むVL領域 [181];
(m)SEQ ID NO:17を含むVH領域、およびSEQ ID NO:18を含むVL領域 [183-N52Q];
(n)SEQ ID NO:19を含むVH領域、およびSEQ ID NO:20を含むVL領域 [187];
(o)SEQ ID NO:21を含むVH領域、およびSEQ ID NO:22を含むVL領域 [608-01];
(p)SEQ ID NO:23を含むVH領域、およびSEQ ID NO:24を含むVL領域 [610-01];
(q)SEQ ID NO:27を含むVH領域、およびSEQ ID NO:28を含むVL領域 [613-08];
(r)SEQ ID NO:29を含むVH領域、およびSEQ ID NO:30を含むVL領域 [620-06];ならびに
(s)SEQ ID NO:32を含むVH領域、およびSEQ ID NO:33を含むVL領域 [726-M101L]。
【0138】
1つの態様において、抗AXL抗体は、以下からなる群より選択されるVH領域およびVL領域を含む、少なくとも1つの結合領域を含む:
(a)SEQ ID NO:1を含むVH領域、およびSEQ ID NO:2を含むVL領域 [107];
(b)SEQ ID NO:5を含むVH領域、およびSEQ ID NO:6を含むVL領域 [148];
(c)SEQ ID NO:34を含むVH領域、およびSEQ ID NO:35を含むVL領域 [733];
(d)SEQ ID NO:7を含むVH領域、およびSEQ ID NO:9を含むVL領域 [154];
(e)SEQ ID NO:10を含むVH領域、およびSEQ ID NO:11を含むVL領域 [171];
(f)SEQ ID NO:16を含むVH領域、およびSEQ ID NO:18を含むVL領域 [183];
(g)SEQ ID NO:25を含むVH領域、およびSEQ ID NO:26を含むVL領域 [613];
(h)SEQ ID NO:31を含むVH領域、およびSEQ ID NO:33を含むVL領域 [726];
(i)SEQ ID NO:3を含むVH領域、およびSEQ ID NO:4を含むVL領域 [140];
(j)SEQ ID NO:8を含むVH領域、およびSEQ ID NO:9を含むVL領域 [154-M103L];
(k)SEQ ID NO:12を含むVH領域、およびSEQ ID NO:13を含むVL領域 [172];
(l)SEQ ID NO:14を含むVH領域、およびSEQ ID NO:15を含むVL領域 [181];
(m)SEQ ID NO:17を含むVH領域、およびSEQ ID NO:18を含むVL領域 [183-N52Q];
(n)SEQ ID NO:19を含むVH領域、およびSEQ ID NO:20を含むVL領域 [187];
(o)SEQ ID NO:21を含むVH領域、およびSEQ ID NO:22を含むVL領域 [608-01];
(p)SEQ ID NO:23を含むVH領域、およびSEQ ID NO:24を含むVL領域 [610-01];
(q)SEQ ID NO:27を含むVH領域、およびSEQ ID NO:28を含むVL領域 [613-08];
(r)SEQ ID NO:29を含むVH領域、およびSEQ ID NO:30を含むVL領域 [620-06];ならびに
(s)SEQ ID NO:32を含むVH領域、およびSEQ ID NO:33を含むVL領域 [726-M101L]。
【0139】
1つの態様において、抗AXL抗体は、それらのVHおよびVL配列、例えば、SEQ ID NO:1を含むVH領域およびSEQ ID NO:2を含むVL領域 [107]によって定義されるような、前述の態様による抗体のいずれか1つまたは複数と同じ、AXL上のエピトープに結合する。
【0140】
抗体が結合するエピトープを決定する方法は、当技術分野において周知である。1つのそのような方法を、実施例15において使用し、ヒトIg1様、Ig2様、FN1、またはFN2ドメインが、そのマウス類似体によって置き換えられているヒト-マウスキメラAXL変異体のパネルを調製すること、および抗AXL抗体が結合した変異体を決定することによって、AXLエピトープおよび/またはドメイン特異性をマッピングした。そのように、別個のかつ具体的な態様において、抗体は、AXLのIg1様ドメイン、AXLのIg2様ドメイン、AXLのFN1ドメイン、またはAXLのFN2ドメインに結合する。
【0141】
より高解像度のエピトープマッピング法もまた、本実施例において使用した。具体的には、本方法は、細胞外ドメインにおいてヒトAXL配列(SEQ ID NO:130)と様々なレベルでの相同性を有する種に由来するAXL配列の組み換えによって生成されたAXL配列バリアントのライブラリーに対する、抗AXL抗体の結合を解析した。
【0142】
抗体結合に関与するAXL細胞外ドメインアミノ酸を特定する、より高解像度のエピトープマッピング法もまた、本実施例において使用した。具体的には、本方法は、細胞外ドメインにおいてヒトAXL配列(SEQ ID NO:130)と様々なレベルでの相同性を有する種に由来するAXL配列の組み換えによって生成されたAXL配列バリアントのライブラリーに対する、抗AXL抗体の結合を解析した。本方法は、これらのヒトAXL特異的抗体が、ヒトAXLを認識するが、本実施例において使用した他の種のいずれか由来のAXLは認識しないという原理に基づいた。
【0143】
したがって、1つの態様において、抗体は、AXLのIg1ドメイン内のエピトープに結合し、抗体結合は、ヒトAXLの位置L121~Q129に対応するアミノ酸の1つもしくは複数もしくはすべて、またはT112~Q124の1つもしくは複数もしくはすべてに依存し、ここで、アミノ酸残基のナンバリングは、ヒトAXL(SEQ ID NO:130)におけるそれらのそれぞれの位置を指す。1つの態様において、抗体は、AXLのIg1ドメイン内のエピトープに結合し、抗体結合は、ヒトAXLの位置L121~Q129またはT112~Q124に対応するアミノ酸に依存する。好ましい態様において、抗体結合は、本明細書において107と称される抗体の結合に関与するアミノ酸に対応する、位置L121、G122、H123、Q124、T125、F126、V127、S128、およびQ129の1つまたは複数またはすべてのアミノ酸に依存する。1つの態様において、抗体結合は、位置T112、G113、Q114、Y115、Q116、C117、L118、V119、F120、L121、G122、H123、およびQ124の1つまたは複数またはすべてのアミノ酸に依存する。
【0144】
別の態様において、抗体は、AXLのIg2ドメイン内のエピトープに結合し、抗体結合は、ヒトAXLの位置D170またはD179の組み合わせに対応するアミノ酸の1つもしくは複数もしくはすべて、または位置T182~R190のアミノ酸の1つもしくは複数もしくはすべてに依存する。1つの態様において、抗体結合は、位置T182、A183、P183、G184、H185、G186、P187、Q189、およびR190のアミノ酸に依存する。
【0145】
別の態様において、抗体は、ヒトAXLのFN1ドメインに結合し、抗体結合は、ヒトAXLの位置Q272~A287およびG297~P301に対応するアミノ酸の1つまたは複数またはすべてに依存する。1つの態様において、抗体結合は、ヒトAXLの位置Q272~A287およびG297~P301に対応するアミノ酸に依存する。
【0146】
別の態様において、抗体は、ヒトAXLのFN2ドメインに結合し、抗体結合は、ヒトAXLの位置A359、R386、およびQ436~K439に対応するアミノ酸の1つまたは複数またはすべてに依存する。
【0147】
さらに別の態様において、抗体は、AXLのIg1ドメイン内のエピトープに結合し、該エピトープは、ヒトAXLの位置L121~Q129に対応するアミノ酸の1つもしくは複数もしくはすべて、またはT112~Q124の1つもしくは複数もしくはすべてを含むかまたは必要とし、ここで、アミノ酸残基のナンバリングは、ヒトAXL(SEQ ID NO:130)におけるそれらのそれぞれの位置を指す。1つの態様において、抗体は、AXLのIg1ドメイン内のエピトープに結合し、該エピトープは、ヒトAXLの位置L121~Q129またはT112~Q124に対応するアミノ酸を含むかまたは必要とする。好ましい態様において、エピトープは、本明細書において107と称される抗体の結合に関与するアミノ酸に対応する、位置L121、G122、H123、Q124、T125、F126、V127、S128、およびQ129の1つまたは複数またはすべてのアミノ酸を含む。1つの態様において、エピトープは、位置T112、G113、Q114、Y115、Q116、C117、L118、V119、F120、L121、G122、H123、およびQ124の1つまたは複数またはすべてのアミノ酸を含む。
【0148】
別の態様において、抗体は、AXLのIg2ドメイン内のエピトープに結合し、該エピトープは、ヒトAXLの位置D170またはD179の組み合わせに対応するアミノ酸の1つもしくは複数もしくはすべて、または位置T182~R190のアミノ酸の1つもしくは複数もしくはすべてを含むかまたは必要とする。1つの態様において、エピトープは、位置T182、A183、P183、G184、H185、G186、P187、Q189、およびR190のアミノ酸を含むかまたは必要とする。
【0149】
別の態様において、抗体は、ヒトAXLのFN1ドメイン内のエピトープに結合し、該エピトープは、ヒトAXLの位置Q272~A287およびG297~P301に対応するアミノ酸の1つまたは複数またはすべてを含むかまたは必要とする。1つの態様において、エピトープは、ヒトAXLの位置Q272~A287およびG297~P301に対応するアミノ酸を含むかまたは必要とする。
【0150】
別の態様において、抗体は、ヒトAXLのFN2ドメイン内のエピトープに結合し、該エピトープは、ヒトAXLの位置A359、R386、およびQ436~K439に対応するアミノ酸の1つまたは複数またはすべてを含むかまたは必要とする。
【0151】
1つの態様において、抗体は、ヒトAXLのFN1様ドメイン内のエピトープに結合する。
【0152】
抗体-薬物コンジュゲート(ADC)
本発明のいずれかの局面または態様による凍結乾燥製剤は、細胞傷害性作用物質、化学療法薬、サイトカイン、免疫抑制剤、抗生物質、または放射性同位元素などの治療部分にコンジュゲートされた、先行する節におけるいずれかの態様による抗AXL抗体を含む、AXL-ADCを含み得る。
【0153】
1つの態様において、問題の薬物にコンジュゲートされた場合に、抗AXL抗体は、約5~約12、例えば約7~約10、例えば約8.5~約9.5、例えば約8.5~約9.0の範囲にあるpIを有することができる。
【0154】
いくつかの例において、AXL-ADCにとって、内部移行を受ける抗AXL抗体を使用することが望ましい場合がある。本明細書において使用される「内部移行される」または「内部移行」という用語は、本発明による抗体などの分子が、細胞膜により包み込まれて、細胞の内部中に引き込まれる生物学的プロセスを指す。それはまた、「エンドサイトーシス」とも呼ばれ得る。
【0155】
ADCは多くの場合、細胞傷害性ペイロードが、抗体にコンジュゲートされている時には不活性であるように設計される。ADCは、ひとたび内部移行されると、たいていの場合にリソソームへ送達され得、有効な薬物放出は、これらのオルガネラで見出される異化環境を利用する。細胞傷害性ペイロードは、したがって、細胞の形質膜への結合後のADCの内部移行時に細胞内で、あるいは、腫瘍微小環境中のタンパク質分解活性に応答して、放出され得る。そのように、細胞内で切断されるように設計されているリンカーを介して、抗AXL抗体を治療部分にコンジュゲートすることが、1つの選択肢である。
【0156】
特化されたリンカーが、標的腫瘍細胞中もしくは標的腫瘍細胞上、または腫瘍微小環境中に見出される特異的な微小環境においてのみ切断されるように設計されている。例は、酸性条件、還元条件、または特異的なプロテアーゼによって切断されるリンカーを含む。
【0157】
循環における抗体-リンカー-薬物の安定性は、これにより特異的な標的細胞への薬物の抗体媒介性送達が可能になるため、重要である。加えて、ADCの長い循環半減期により、注射後数日間から数週間の曝露が提供される。切断不可能なリンカーおよびプロテアーゼで切断可能なリンカーを通してコンジュゲートされている薬物は、ジスルフィドリンカーおよびヒドラゾンリンカーよりも、循環において概してより安定であるが、後者の2つのリンカーの安定性は、近隣の化学構造の変更によって調整することができる。
【0158】
1つの態様において、治療部分は細胞傷害性作用物質である。
【0159】
細胞毒素または細胞傷害性作用物質は、細胞に対して有害である(例えば、殺傷する)任意の作用物質を含む。本発明において用いられるADCを形成するのに適している細胞傷害性作用物質は、taxol、ツブリシン、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テニポシド(tenoposide)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン(dihydroxy anthracin dione)、メイタンシンまたはその類似体もしくは誘導体、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシン;カリケアマイシンまたはその類似体もしくは誘導体;抗代謝剤(メトトレキサート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、フルダラビン、5-フルオロウラシル、ダカルバジン(decarbazine)、ヒドロキシ尿素、アスパラギナーゼ、ゲムシタビン、クラドリビンなど)、アルキル化剤(メクロレタミン、チオテパ(thioepa)、クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)、ロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、ダカルバジン(DTIC)、プロカルバジン、マイトマイシンC、シスプラチン、およびカルボプラチンなどの他の白金誘導体;ならびにデュオカルマイシンA、デュオカルマイシンSA、CC-1065(ラシェルマイシンとしても公知である)、またはCC-1065の類似体もしくは誘導体など)、ドラスタチン、アウリスタチン、ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン(PDB)、インドリノベンゾジアゼピン(IGN)またはその類似体、抗生物質(ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ダウノルビシン(以前はダウノマイシン)、ドキソルビシン、イダルビシン、ミトラマイシン、マイトマイシン、ミトキサントロン、プリカマイシン、アントラマイシン(AMC)など)、抗有糸分裂作用物質(例えば、チューブリンを標的とする作用物質)、例えば、ジフテリア毒素および関連分子(ジフテリアA鎖およびその活性断片およびハイブリッド分子など);リシン毒素(リシンAまたは脱グリコシル化リシンA鎖毒素)、コレラ毒素、志賀様毒素(SLT-I、SLT-II、SLT-IIV)、LT毒素、C3毒素、志賀毒素、百日咳毒素、破傷風毒素、大豆ボーマン・バークプロテアーゼ阻害剤、緑膿菌(Pseudomonas)外毒素、アロリン、サポリン、モデシン、ゲラニン(gelanin)、アブリンA鎖、モデシンA鎖、α-サルシン、シナアブラギリ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチンタンパク質、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolacca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP-S)、ニガウリ(momordica charantia)阻害剤、クルシン、クロチン、サボンソウ(sapaonaria officinalis)阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン、フェノマイシン(phenomycin)、およびエノマイシン毒素を含む。他の適切なコンジュゲート分子は、CLIP、マガイニン2、メリチン、セクロピン、およびP18などの抗微生物/溶菌ペプチド;リボヌクレアーゼ(RNアーゼ)、DNアーゼI、ブドウ球菌腸毒素-A、ヨウシュヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、ジフテリア毒素、および緑膿菌内毒素を含む。例えば、Pastan et al., Cell 47, 641 (1986)およびGoldenberg, Calif. A Cancer Journal for Clinicians 44, 43 (1994)を参照されたい。例えば抗がんサイトカインまたはケモカインなどの、本明細書において別の場所に記載されるような、本発明の抗AXL抗体または抗体-薬物コンジュゲートと組み合わせて投与され得る治療用作用物質もまた、本発明において開示される抗体へのコンジュゲーションに有用な治療部分のための候補である。
【0160】
1つの態様において、細胞傷害性作用物質は、N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)-ペンタノアート(SSP)、マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-p-アミノベンジルオキシカルボニル(mc-vc-PAB)、またはAV-1 K-lockバリン-シトルリンなどの切断可能なリンカーで、前記抗体またはその断片に連結されている。
【0161】
本明細書において使用される「切断可能なリンカー」という用語は、標的とされる細胞中または腫瘍微小環境中で特異的なプロテアーゼによって触媒され、細胞傷害性作用物質の放出を結果としてもたらす、リンカーのサブセットを指す。切断可能なリンカーの例は、ジスルフィド、ヒドラゾン、またはペプチドを含む化学モチーフに基づくリンカーである。切断可能なリンカーの別のサブセットは、細胞傷害性作用物質と主要リンカーとの間、すなわち、リンカー-薬物の組み合わせを抗体に付着させる部位に、余分のリンカーモチーフが加わる。いくつかの態様において、余分のリンカーモチーフは、細胞内環境中(例えば、リソソームまたはエンドソームまたは小胞内)に存在する切断可能な作用物質によって切断可能である。リンカーは、例えば、リソソームまたはエンドソームのプロテアーゼを含むがこれらに限定されない、細胞内ペプチダーゼまたはプロテアーゼ酵素によって切断されるペプチジルリンカーであることができる。いくつかの態様において、ペプチジルリンカーは、少なくとも2アミノ酸長または少なくとも3アミノ酸長である。切断作用物質は、カテプシンBおよびD、ならびにプラスミンを含むことができ、これらのすべては、ジペプチド薬物誘導体を加水分解して、標的細胞の内側で活性薬物の放出を結果としてもたらすことが公知である(例えば、Dubowchik and Walker, 1999, Pharm. Therapeutics 83:67-123を参照されたい)。具体的な態様において、細胞内プロテアーゼによって切断可能なペプチジルリンカーは、Val-Cit(バリン-シトルリン)リンカーまたはPhe-Lys(フェニルアラニン-リジン)リンカーである(Val-Citリンカーを有するドキソルビシンの合成を記載している米国特許第6214345号を参照されたい)。治療用作用物質の細胞内タンパク質分解性放出を用いる利点は、作用物質が、コンジュゲートされている際には典型的に減衰されており、コンジュゲートの血清安定性が、典型的に高いことである。
【0162】
別の態様において、細胞傷害性作用物質は、スクシンイミジル-4(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート(MCC)またはマレイミドカプロイル(MC)などの切断不可能なリンカーで、前記抗体またはその断片に連結されている。
【0163】
本明細書において使用される「切断不可能なリンカー」という用語は、切断可能なリンカーとは対照的に、細胞内または細胞外のプロテアーゼによって特異的にかつ予想通りに認識されるモチーフを含まない、リンカーのサブセットを指す。したがって、切断不可能なリンカーに基づくADCは、完全な抗体-リンカー-薬物複合体がリソソーム区画において分解されるまで、抗体から放出または切断されない。切断不可能なリンカーの例は、チオエーテルである。さらに別の態様において、リンカー単位は切断可能ではなく、薬物は抗体分解によって放出される(US 2005/0238649を参照されたい)。典型的に、そのようなリンカーは、細胞外環境に対して実質的に感受性がない。本明細書において使用される際、リンカーの文脈における「細胞外環境に対して実質的に感受性がない」とは、抗体薬物コンジュゲート化合物の試料において、リンカーのわずか20%、典型的にはわずか約15%、より典型的にはわずか約10%、およびさらにより典型的にはわずか約5%、わずか約3%、またはわずか約1%が、抗体薬物コンジュゲート化合物が細胞外環境(例えば、血漿)中に存在する際に切断されることを意味する。リンカーが細胞外環境に対して実質的に感受性がないかどうかは、例えば、抗体薬物コンジュゲート化合物をあらかじめ設定された時間(例えば、2、4、8、16、または24時間)、血漿とインキュベートし、次いで、血漿中に存在する遊離の薬物の量を定量することによって判定することができる。
【0164】
1つの態様において、細胞傷害性作用物質は、DNAを標的とする作用物質、例えば、カリケアマイシン、デュオカルマイシン、ラシェルマイシン(CC-1065)、ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン(PBD)、およびインドリノベンゾジアゼピン(IGN)などのDNAアルキル化剤および架橋剤;微小管を標的とする作用物質、アウリスタチン、例えばモノメチルアウリスタチンE(MMAE)およびモノメチルアウリスタチンF(MMAF)、ドラスタチン、メイタンシン、N(2')-デアセチル-N(2')-(3-マルカプト-1-オキソプロピル)-メイタンシン(DM1)、およびツブリシン;ならびにヌクレオシド類似体;またはそれらの類似体、誘導体、もしくはプロドラッグの群から選択される。
【0165】
1つの態様において、イムノコンジュゲートは、以下の組み合わせを含む;
i)細胞傷害性作用物質、およびバイスタンダー殺傷能力を有する前記切断可能なリンカー;
ii)細胞傷害性作用物質、およびバイスタンダー殺傷能力を有さない前記切断可能なリンカー;
iii)細胞傷害性作用物質、およびバイスタンダー殺傷能力を有する前記切断不可能なリンカー;または
iv)細胞傷害性作用物質、およびバイスタンダー殺傷能力を有さない前記切断不可能なリンカー。
【0166】
本明細書において使用される「バイスタンダー殺傷効果」、「バイスタンダー殺傷」、「バイスタンダー殺傷能力」、または「バイスタンダー細胞傷害」という用語は、切断可能なリンカーまたは切断不可能なリンカーのいずれかにより抗体にコンジュゲートされている細胞傷害性作用物質が、抗体からの放出後に細胞膜を横切って拡散する能力を有し、それにより近隣細胞の殺傷を引き起こす効果を指す。細胞傷害性作用物質が切断可能なリンカーまたは切断不可能なリンカーによりコンジュゲートされている場合、バイスタンダー殺傷能力を有するのは、細胞傷害性作用物質のみまたはリンカーの一部を有する細胞傷害性作用物質のいずれかであり得る。細胞膜を横切って拡散する能力は、細胞傷害性作用物質または細胞傷害性作用物質とリンカーとの組み合わせの疎水性に関連する。そのような細胞傷害性作用物質は、有利には、プロテアーゼにより抗体から放出されているMMAEなどの膜透過性毒素であり得る。特に、不均質な標的発現を有する腫瘍および抗体浸透が限定され得る固形腫瘍において、バイスタンダー殺傷効果が望ましい場合がある。
【0167】
本明細書において使用される「非バイスタンダー殺傷能力」、「非バイスタンダー殺傷効果」、「非バイスタンダー殺傷」、または「非バイスタンダー細胞傷害」という用語は、切断可能なリンカーまたは切断不可能なリンカーのいずれかにより抗体にコンジュゲートされている細胞傷害性作用物質が、抗体からの放出後に細胞膜を横切って拡散する能力を有さない効果を指す。したがって、そのような細胞傷害性作用物質または細胞傷害性作用物質とリンカーとの組み合わせは、抗体からの放出時に近隣細胞を殺傷することができないことになる。理論により縛られることなく、細胞傷害性作用物質と切断可能なリンカーまたは切断不可能なリンカーのいずれかとのそのような組み合わせは、抗体が結合する標的を発現する細胞のみを殺傷することになると確信される。
【0168】
抗体と細胞傷害性作用物質との間の安定な連結は、ADCの重要な要因である。切断可能なタイプおよび切断不可能なタイプの両方のリンカーが、前臨床試験および臨床試験において安全であることが判明している。
【0169】
1つの態様において、細胞傷害性作用物質は、アウリスタチンおよびメイタンシノイドなどの微小管を標的とする作用物質の群から選択される。
【0170】
本明細書において使用される「微小管を標的とする作用物質」という用語は、有糸分裂(細胞分裂)を阻害する作用物質または薬物を指す。微小管は、細胞分裂中のDNAの妥当な分離に不可欠な構造であり、微小管機能は、「動的不安定性」、すなわち微小管構造が連続的に伸長および短縮するプロセスに決定的に依存する。微小管を標的とする作用物質は、微小管を破壊または安定化して、有糸分裂紡錘体の形成を阻止し、有糸分裂の停止およびアポトーシスを結果としてもたらす。微小管を標的とする作用物質は、例えば、植物アルカロイドなどの天然物質に由来することができ、微小管の重合を破壊または安定化し、かくして有糸分裂紡錘体の形成およびその後の細胞分裂を阻止することによって細胞が有糸分裂を経験するのを阻止し、がん性増殖の阻害を結果としてもたらす。微小管を標的とする作用物質の例は、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、アウリスタチン、メイタンシノイド、ツブリシン、およびドラスタチンである。
【0171】
1つの態様において、細胞傷害性作用物質は、アウリスタチンまたはアウリスタチンペプチド類似体および誘導体である[45][46]。アウリスタチンは、微小管動態、GTP加水分解、ならびに核分裂および細胞分裂を干渉し、抗がん活性および抗真菌活性を有することが示されている。アウリスタチン薬物部分は、ペプチド薬物部分のN(アミノ)末端またはC(末端)を通して、リンカーを介して抗体に付着され得る。
【0172】
例示的なアウリスタチン態様は、N末端連結モノメチルアウリスタチン薬物部分DEおよびDFを含む[47][48]。
【0173】
特定の態様において、細胞傷害性作用物質は、モノメチルアウリスタチンE(MMAE);
であり、抗体は、適切なリンカーにより上記の化学構造の左側の窒素(N)でMMAEに連結されている。
【0174】
1つの態様において、細胞傷害性作用物質モノメチルアウリスタチンE(MMAE)は、バリン-シトルリン(VC)リンカーを介して抗体に連結されている。
【0175】
別の態様において、細胞傷害性作用物質モノメチルアウリスタチンE(MMAE)は、バリン-シトルリン(VC)リンカーおよびマレイミドカプロイル(MC)リンカーを介して抗体に連結されており、細胞傷害性作用物質とリンカーとの組み合わせは、化学構造;
を有し、式中、MAbは抗体である。
【0176】
1つの態様において、細胞傷害性作用物質は、モノメチルアウリスタチンF(MMAF);
であり、抗体は、適切なリンカーにより上記の化学構造の左側の窒素(N)でMMAFに連結されている。
【0177】
1つの態様において、細胞傷害性作用物質モノメチルアウリスタチンF(MMAF)は、マレイミドカプロイル(mc)リンカーを介して抗体に連結されており、細胞傷害性作用物質とリンカーとの組み合わせは、化学構造;
を有し、式中、MAbは抗体である。
【0178】
別の特定の態様において、細胞傷害性作用物質はDNAを標的とする作用物質である。
【0179】
本明細書において使用される「DNA作用剤」という用語は、DNAをアルキル化および/または架橋することができる特定のクラスの細胞傷害性作用物質を指す。そのようなDNA作用剤の例は、DNAをアルキル化および架橋するそれらの能力のおかげで非常に強力である、インドリノ-ベンゾジアゼピン二量体およびピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン(PBD)を含むIGN剤である。別の例は、DNAをアルキル化のみする能力のおかげで非常に強力である、インドリノ-ベンゾジアセピン単量体を含むIGN剤である。デュオカルマイシンは、別のクラスのDNA作用剤である。デュオカルマイシンは、低分子の合成DNA副溝結合アルキル化剤である。これらの化合物は、固形腫瘍および血液腫瘍を標的とするのに適している。
【0180】
1つの態様において、イムノコンジュゲートは、抗体あたり2~4個の細胞傷害性分子を含む。毒素およびリンカー-毒素の組み合わせの化学的特性に応じて、抗体あたり2~4個の細胞傷害性作用物質は、より少量が負荷されているコンジュゲートよりも循環からより急速に浄化される、より多量に負荷されたコンジュゲートよりも優れている場合がある。細胞傷害性作用物質の負荷は、pにより表され、分子における抗体あたりの細胞傷害性作用物質部分の平均数(薬物対抗体の比、DARとも称される)である。細胞傷害性作用物質の負荷は、抗体あたり1~20個の薬物部分の範囲にわたり得、リジンまたはシステイン中のような、アミノ基またはスルフヒドリル基などであるがこれらに限定されない、有用な官能基を有するアミノ酸上で起こり得る。
【0181】
1つの態様において、抗体あたりの細胞傷害性作用物質の数は、1~8個、例えば2~7個、例えば2~6個、例えば2~5個、例えば2~4個、および例えば2~3個である。
【0182】
別の態様において、イムノコンジュゲートは、抗体あたり4~8個の細胞傷害性分子を含む。別の態様において、イムノコンジュゲートは、抗体あたり6~10個の細胞傷害性分子を含む。さらに別の態様において、イムノコンジュゲートは、抗体あたり10~30個、例えば15~25個、例えば20個の細胞傷害性分子を含む。
【0183】
コンジュゲーションの方法に応じて、抗体あたりの細胞傷害性分子の数は、抗体上の付着部位の数によって限定され得、例えば、付着はシステインチオールまたはリジンである。概して、抗体は、薬物部分に連結され得る多くの遊離かつ反応性のシステインチオール基を含有しておらず、なぜなら、抗体中のたいていのシステインチオール残基は、ジスルフィド架橋として存在するからである。そのため、細胞傷害性作用物質がシステインチオールを介してコンジュゲートされているそれらの態様において、抗体は、反応性のシステインチオール基を生成するために、部分的または完全な還元条件下で、ジチオスレイトール(DTT)またはトリカルボニルエチルホスフィン(TCEP)などの還元剤で還元され得る。ある特定の態様において、最大で8個の遊離システインチオール基が、抗体の(部分的)還元後に利用可能になる(鎖間ジスルフィド結合に関与する8個のシステインが存在する)ため、本発明のADCについての薬物負荷は、1~約8個の範囲にわたる。
【0184】
1つの態様において、薬物リンカー部分はvcMMAEである。vcMMAE薬物リンカー部分およびコンジュゲーション法は、[49]、[50]、[51]、[52]、および[53](参照により本明細書に組み入れられる)に開示されており、vcMMAEは、リンカーmc-vc-PABと細胞傷害性部分MMAEとのコンジュゲーションによって形成され、vcMMAE薬物リンカー部分は、その中に開示されているものと同様の方法を用いて、システイン残基で抗AXL抗体に結合されている。
【0185】
1つの態様において、薬物リンカー部分はmcMMAFである。mcMMAF薬物リンカー部分およびコンジュゲーション法は、[54]、[55]、および[56](参照により本明細書に組み入れられる)に開示されており、mcMMAF薬物リンカー部分は、その中に開示されているものと同様の方法を用いて、システイン残基で抗AXL抗体に結合されている。
【0186】
ヒドロキシル基を含むリンカーなどの他のリンカー技術が、本発明の抗AXL抗体薬物コンジュゲートにおいて使用され得る。
【0187】
1つの態様において、リンカーは、抗AXL抗体の(部分的)還元によって取得される抗AXL抗体の遊離システイン残基に付着される。
【0188】
本発明の凍結乾燥製剤のAXL-ADCに適している具体的な抗AXL抗体のVH、VL、およびCDR配列を、表1に示す。特定の態様において、リンカーはmc-vc-PABであり、細胞傷害性作用物質はMMAEであるか;またはリンカーはSSPであり、細胞傷害性作用物質はDM1である。別の特定の態様において、リンカーはMMCであり、細胞傷害性作用物質はDM1であるか;またはリンカーはMCであり、細胞傷害性作用物質はMMAFである。任意でIgG1,κフォーマットにおける、107と称される抗体(「IgG1-HuMax-AXL」とも呼ばれる)が、特に好ましい。
【0189】
1つの態様において、ADCは、リンカーmc-vc-PAB、細胞傷害性作用物質MMAE、および、抗体107などの前記の節のいずれかの局面または態様による抗AXL抗体を含む。
【0190】
製剤
本発明にしたがう抗AXL抗体およびADCの治療用製剤は、水性製剤または凍結乾燥製剤の形態において、所望の純度を有する抗体またはADCを、任意の薬学的に許容される担体、賦形剤、または安定剤とともに製剤化することによって、保存のために調製される(Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980))。許容される担体、賦形剤、または安定剤は、使用される投薬量および濃度においてレシピエントにとって非毒性である。
【0191】
概して、AXL-ADCの凍結乾燥製剤および再構成製剤は、AXL-ADC、緩衝剤、安定化剤(典型的には非還元糖)、および増量剤を含む。好ましい安定剤化は、スクロース、トレハロース、およびそれらの組み合わせである。好ましい増量剤は、マンニトール、グリシン、およびそれらの組み合わせである。
【0192】
概して、抗AXL抗体の水性製剤は、抗AXL抗体、緩衝剤、および安定化剤を含む。好ましい安定化剤は、マンニトール、スクロース、およびトレハロースである。
【0193】
本明細書において使用される「緩衝剤」という用語は、薬学的に許容される緩衝剤を意味する。概して、緩衝剤は、約5~約7、好ましくは約5.5~6.5のpH範囲、例えば約pH 6または約pH 6.0に適しているpKaおよび緩衝能力を有する。凍結乾燥製剤について、緩衝剤構成要素は、使用される濃度において、準周囲温度(sub-ambient temperature)で結晶化するべきではない。より高い崩壊温度を有する緩衝剤が、より速い、かつより堅牢な凍結乾燥サイクルを可能にするため、好ましい。適切な薬学的に許容される緩衝剤は、ヒスチジン緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤、コハク酸塩緩衝剤、炭酸緩衝剤、MES緩衝剤、リン酸塩緩衝剤、TRIS(登録商標)(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)緩衝剤、およびそれらの混合物を含むが、それらに限定されない。好ましい緩衝剤は、L-ヒスチジン、クエン酸塩、リン酸塩、炭酸、および/またはコハク酸塩、例えばヒスチジンおよび/またはクエン酸塩に基づき、例えば、L-ヒスチジンのL-ヒスチジン塩酸塩との、またはTRIS(登録商標)(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)との混合物も含む。潜在的に、当技術分野において公知の酸または塩基でのpH調整が、必要とされる場合がある。上述のL-ヒスチジン、クエン酸塩、リン酸塩、炭酸、および/またはコハク酸塩緩衝剤は、概して、約1 mM~約120 mM、例えば約5 mM~約100 mM、好ましくは約10 mM~約50 mM、より好ましくは約20 mM~約40 mM、およびさらにより好ましくは約30 mMの量で使用される。使用される緩衝剤とは独立的に、pHを、当技術分野において公知の酸または塩基での調整によって、または緩衝剤構成要素の妥当な混合物の使用によって、またはその両方で、約5~約7、および好ましくは約5.5~約6.5の範囲にある値に、および最も好ましくは約6または約6.0に、調整することができる。任意で、他の成分、例えば、増量剤、安定化剤、またはその両方もまた緩衝液中に存在する場合に、pHを、所望の範囲内に、または所望の値に調整することができる。好ましくは、緩衝液は、ヒスチジンおよび/またはクエン酸緩衝剤を、約10 mM~約50 mMの濃度で、例えばヒスチジン緩衝剤を約30 mMの濃度で含む。
【0194】
本発明の製剤は、本明細書において上記で定義されるような1つまたは複数の薬学的に許容される安定剤、ならびに当技術分野においてまた「凍結乾燥保護剤」としても公知の成分、例えば、当技術分野において公知のような糖、糖アルコール、アミノ糖、アミノ酸、およびデキストランをさらに含むことができる。典型的に、薬学的に許容される安定剤は、約1 mM~約500 mMの量で使用することができる。適切な糖は、単糖類および二糖類を含むが、それらに限定されない。本発明による使用のための糖および糖アルコールの非限定的な例は、トレハロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、マンノース、マルトース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラフィノース、グルコサミン、N-メチルグルコサミン(「メグルミン」とも呼ばれる)、ガラクトサミン、およびノイラミン酸、ならびにそれらの組み合わせを含む。好ましいものは、約15 mM~約200 mM、例えば約30 mm~150 mMまたは約15~約120 mM、例えば約20 mM~約100 mM、例えば約30 mM~約90 mMまたは約80 mM~約100 mM、例えば約70 mM~約90 mM、例えば約84 mM~92 mMの濃度の、非還元糖および糖アルコール、例えばスクロースまたはトレハロースである。最も好ましいものは、スクロースである。
【0195】
1つの態様において、製剤は、約5%(w/v)以下、例えば約0.5%(w/v)~約4%(w/v)、例えば約1%(w/v)~約3%(v/w)、例えば約2.5%~約3.5%(w/v)、例えば約3%(w/v)の総濃度の、1つまたは複数の非還元糖、例えばスクロース、トレハロース、またはそれらの組み合わせを含む。
【0196】
1つの態様において、製剤は、84 mM~92 mMスクロース、例えば85 mM、86 mM、87 mM、88 mM、89 mM、90 mM、91 mM、または92 mMスクロースを含む。最も好ましくは、製剤は88 mMスクロースを含む。
【0197】
特に、許容される時間内に、より具体的には0~600秒以内に再構成され得る、均質なかつ安定な凍結乾燥ケーキを生じるために、マンニトールなどの糖アルコールが、増量剤として使用されてもよい。概して、「増量剤」は、APIの総量が非常に少なくて、ケーキに対して妥当な構造を提供できない時に使用される。増量剤は、薬学的に洗練されたケーキをもたらす不活性マトリックスを提供するべきである。増量剤はまた、製剤の熱特性も改変する。活性薬物の濃度は、多くの場合、非常に低いため、システムのフリーズドライ特性は、もっぱら増量剤によるものである。一般的な増量剤は、結晶増量剤としてマンニトール、グリシン;無定形増量剤としてスクロース、トレハロース、ゼラチン、デキストランを含んでいる。好ましい増量剤は、マンニトール、およびグリシン、ならびにそれらの組み合わせである。
【0198】
1つの態様において、製剤は、約10%以下、例えば約7%以下、例えば約5%(w/v)以下、例えば約1%(w/v)~約5%(w/v)、例えば約2%(w/v)~約4%(w/v)、例えば約2.5(w/v)~約3.5%(w/v)、例えば約3%の総濃度で、1つまたは複数の増量剤、例えばマンニトール、グリシン、またはそれらの組み合わせを含む。
【0199】
1つの態様において、特にAXL-ADCについて、製剤は、約50 mM~約300 mM、例えば約100 mM~約225 mM、例えば約150 mM~約180 mM、例えば約165 mMの濃度で、増量剤、例えばマンニトールを含む。
【0200】
1つの態様において、特にAXL-ADCについて、製剤は、約100 mM~約225 mMマンニトール、例えば160 mM、または162 mM、または165 mM、または170 mM、または180 mM、または200 mMマンニトールを含む。最も好ましくは、それは、約165 mMマンニトール、または165 mMマンニトールを含む。
【0201】
1つの態様において、特に抗AXL抗体について、製剤は、約20 mM~約400 mM、例えば約30 mM~約300 mM、例えば約40 mM~約80 mM、例えば約50 mM~約60 mM、例えば約55 mMマンニトールを含む。
【0202】
本発明によるある特定の凍結乾燥製剤は、界面活性剤を排除することが可能であるように設計される。しかし、当業者が認識できるように、抗AXL抗体またはADCの安定性を保つために必要とされないが、それでもなお、いくつかの目的で、界面活性剤を含むことが望ましい場合がある。適切な薬学的に許容される界面活性剤は、ポリエチレン-ソルビタン-脂肪酸エステル、ポリエチレン-ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン-ステアラート、およびドデシル硫酸ナトリウムを含むが、それらに限定されない。ポリエチレン-ソルビタン-脂肪酸エステルは、ポリエチレン(20)-ソルビタン-エステル(Tween 20(商標)の商標(TM)で販売されているポリソルベート20に対する別名)およびポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレアート(Tween 80(商標)の商標で販売されているポリソルベート80に対する別名)を含む。ポリエチレン-ポリプロピレングリコールは、Pluronic(登録商標)F68またはPoloxamer 188(商標)の名称で販売されているものである。ポリオキシエチレン-ステアラートは、Myrj(商標)の商標で販売されている。ポリオキシエチレンモノラウリルエーテルは、Brij(商標)の商標で販売されているものである。望ましい場合、ポリエチレン-ソルビタン-ポリエチレン(20)-ソルビタン-エステル(Tween 20(商標))およびポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレアート(Tween 80(商標))を、例えば、約0.01%~約0.06%、例えば約0.02%~約0.04%の量で使用することができる。
【0203】
本発明によるある特定の凍結乾燥製剤は、多くの場合等張剤として使用される塩化ナトリウム(NaCl)などの無機塩を、凍結乾燥前の液体および凍結乾燥製剤から排除することが可能であるように設計される。塩の他の例は、カチオンのナトリウム、カリウム、カルシウム、またはマグネシウムと、アニオンの塩化物、リン酸、クエン酸、コハク酸、硫酸、またはそれらの混合物との任意の組み合わせの塩を含む。しかし、当業者が認識できるように、それでもなお、いくつかの目的で、例えば、凍結乾燥製剤の再構成のために、すなわち下記のような希釈剤として、無機塩を含むことが望ましい場合がある。
【0204】
本発明の製剤は、以下の成分の1つまたは複数をさらに含むことができる:抗酸化剤、アスコルビン酸、グルタチオン、保存剤(例えばオクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えばメチルまたはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール);シクロデキストリン、例えば、ヒドロキシプロピル- -シクロデキストリン、スルホブチルエチル- -シクロデキストリン、[β]-シクロデキストリン、ポリエチレングリコール、例えば、PEG 3000、3350、4000、または6000;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン;キレート剤、例えばEDTA;塩形成対イオン、例えばナトリウム;および金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体)。
【0205】
プロセス
フリーズドライは、概して、3つの主な工程:凍結、一次乾燥、および二次乾燥を含有する。第1段階は、生成物を、生成物の共融温度またはガラス転移温度よりも低い温度で凍結させることである。凍結の速度は、水の結晶のサイズおよびその後の乾燥の速度に影響を及ぼす。第2段階は、溶媒の(氷)水を除去する一次乾燥である。生成物温度が、崩壊温度よりも下のままであり、すべての氷/水が昇華することが重要である。第3段階は、「結合した」水または溶質由来の水を除去する二次乾燥であり、その最中に貯蔵温度を、多くの場合、脱着プロセスを加速するために40℃よりも高くに上げる。抗体および他のタンパク質またはタンパク質コンジュゲート製剤に適している凍結乾燥法は、当業者によって十分に知られており、例えば、Henry R. CostantinoおよびMichael J. Pikalによる「 Lyophilization of Biopharmaceuticals」;Louis ReyおよびJoan C. Mayによる「Freeze Drying / Lyophilization of Pharmaceuticals and Biological Products」に記載されている。凍結乾燥プロセスの非限定的な例を、実施例10に記載する。
【0206】
使用
別の局面において、本発明は、がんの処置における使用のための、本明細書における局面または態様のいずれかにおいて定義されるようなAXL-ADC製剤を提供する。例示的ながんは、大腸がん腫および大腸腺がんなどの大腸がん、膀胱がん、軟骨肉腫などの骨がん、トリプルネガティブ乳がんなどの乳がん、神経膠芽腫、星状細胞腫、神経芽腫などの中枢神経系のがん、子宮頸がん、結合組織がん、子宮内膜がん、線維芽細胞がん、胃がん腫などの胃がん、頭頸部がん、腎臓がん、肝細胞がんなどの肝臓がん、NSCLCおよび肺扁平上皮がんなどの肺がん、筋肉がん、神経組織がん、卵巣がん、膵管がんおよび膵臓腺がんなどの膵臓がん、悪性黒色腫などの皮膚がん、ならびに軟部組織肉腫を含むが、それらに限定されない。
【0207】
対象への投与の前に、治療的有効量のADCを含む本発明の凍結乾燥製剤を、薬学的に許容される希釈剤中に溶解する、すなわち再構成する。例示的な、非限定的な希釈剤は、滅菌の薬学的グレードの水(注射用水、WFI)または食塩水、注射用静菌水(BWFI)、pH緩衝溶液(例えば、リン酸緩衝食塩水)、リンガー溶液、およびデキストロース溶液を含む。例えば、本発明の凍結乾燥製剤は、水、pH緩衝溶液(例えば、リン酸緩衝食塩水)、リンガー溶液、およびデキストロース溶液中に再構成することができる。例えば、本発明の凍結乾燥製剤は、注射用滅菌水(WFI)中に再構成して、約5~約30 mg/mL AXL-ADC、例えば約7~約20 mg/mL ADC、例えば約8~15 mg/mL ADC、例えば約9~約11 mg/mL ADC、例えば約10 mg/mL ADCの濃度にすることができる。濃縮液を、任意で、例えば、pH緩衝溶液(例えば、リン酸緩衝食塩水、リンガー溶液、および/またはデキストロース溶液)中への注入のために、さらに希釈して、約0.05 mg/mL~30 mg/mL ADC、例えば、0.12 mg/mL~2.40 mg/mL ADCなどの濃度にしてもよい。
【0208】
典型的に、本発明の再構成製剤は、非経口投与に適している。本明細書において使用される「非経口投与」および「非経口的に投与される」という句は、通常、注射または注入による、経腸および局所投与以外の投与の様式を意味し、表皮、静脈内、筋肉内、動脈内、クモ膜下腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、腱内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、脊髄内、頭蓋内、胸腔内、硬膜外、および胸骨内の注射および注入を含む。1つの態様において、薬学的組成物は、例えば、凍結乾燥製剤を滅菌水または食塩水中に再構成することにより、静脈内または皮下の注射または注入によって投与され、対象への投与前にはIVバッグまたはシリンジにおいて保持される。
【0209】
本発明はまた、典型的には、活性作用物質の量を示すバイアル、アンプル、または小袋などの密封された容器において、本発明によるAXL-ADCの凍結乾燥製剤を含むキットも提供する。薬剤が注射によって投与される場合に、成分を投与の前に混合することができるように、注射用滅菌水または食塩水のアンプルが、例えば、任意でキットの一部として提供され得る。そのようなキットは、望ましい場合、例えば、当業者に容易に明らかであるような、1つまたは複数の薬学的に許容される担体を含む容器、追加の容器などの、種々の従来の薬学的キット構成要素の1つまたは複数をさらに含むことができる。投与されるべき構成要素の量、投与のための指針、および/または構成要素を混合するための指針を示す、挿入物またはラベルのいずれかとしての印刷された説明書もまた、キットに含めることができる。
【0210】
(表1)抗体VH、VL、およびCDR、ならびにAXLのアミノ酸配列。CDR配列を、可変領域配列において太字の下線文字で示す。
【実施例0211】
実施例1:化学的変性を用いたpH、緩衝剤、イオン強度、および賦形剤の試験[HuMax-AXL]
尿素による化学的変性を使用して、様々な製剤構成要素をスクリーニングし、IgG1-AXL-107またはHuMax-AXLとしても知られる抗AXLヒト抗体107の熱力学安定性に対するそれらの効果を評価した。本実施例は、HuMax-AXLの熱力学安定性に対する、pH、緩衝剤タイプ(ヒスチジン、クエン酸塩、および2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES))、緩衝剤濃度、および種々の賦形剤(糖、アミノ酸、ポリオール、および界面活性剤)の効果を示す。
【0212】
本実施例において、熱力学値C1/2、すなわちフォールディングされていないタンパク質に対するフォールディングされたタンパク質の画分が同等である変性剤の濃度を、様々な製剤構成要素の安定化効果を比較するためのパラメータとして使用する。C1/2値が高ければ高いほど、熱力学安定性が高い。
【0213】
pHをスクリーニングするために使用した複数の緩衝剤は、表2に示されるように、C1/2値が、pHが増大するとともに有意に増大したが、pH 6.5あたりで横ばい状態になったことを示した。pH 6.5に近いpKa値を有する3種類の異なる緩衝剤(ヒスチジン、クエン酸塩、および2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES))のスクリーニングにより、表3に示されるように、C1/2値の顕著な差は示されなかった。10~50 mMの範囲におけるヒスチジンのさらなる解析により、表4に示されるように、熱力学安定性は、ヒスチジン濃度に依存しなかったことが示された。0~500 mM NaClでのイオン強度の増大もまた、表5に示されるように、HuMax-AXLの熱力学安定性に影響を及ぼさなかった。
【0214】
(表2)HuMax-AXLの化学的変性における、pHをスクリーニングするために使用した様々な緩衝剤の効果としてのC
1/2値
【0215】
(表3)HuMax-AXLの化学的変性における、ヒスチジン、クエン酸塩、およびMES緩衝剤(6.5域のpKa)の効果としてのC
1/2値
【0216】
(表4)HuMax-AXLの化学的変性における、10~50 mMの様々な濃度でのヒスチジンの効果としてのC
1/2値
【0217】
(表5)HuMax-AXLの化学的変性における、イオン強度を2~500 mM NaClで増大させることの効果としてのC
1/2値
【0218】
30 mMヒスチジン pH 6.5の製剤を用いた様々な賦形剤(糖、アミノ酸、ポリオール、および界面活性剤)のスクリーニングにより、試験した3種類の糖(スクロース、トレハロース、およびマンニトール)はすべて安定化効果を有したことが示され、より高い糖濃度は、より大きい熱力学安定性を提供し、マンニトールは、トレハロースおよびスクロースよりも高いC1/2値を示した(表6)。
【0219】
(表6)HuMax-AXLの化学的変性における、スクロース、トレハロース、およびマンニトールを様々な濃度で安定剤として使用することの効果としてのC
1/2値
【0220】
様々なアミノ酸(アルギニン、グリシン、およびグルタミン酸)のスクリーニングにより、これらは製剤に対して追加的な安定性を付与しなかったことが示された。より高いC1/2値が、より高い濃度のグリシンおよびグルタミン酸を含む製剤について得られ、他方、より高い濃度のアルギニンについてC1/2値が減少したように、データは幾分異なっていた。グリシンおよびグルタミン酸製剤のpHは不安定であったため、これらの製剤について得られたより高いC1/2値は、おそらく、製剤のより高いpHによって付与された、より大きい熱力学安定性の結果であった。表7は、それぞれのC1/2値を示す。
【0221】
(表7)HuMax-AXLの化学的変性における、アルギニン、グルタミン酸、およびグリシンを様々な濃度で安定剤として使用することの効果としてのC
1/2値
【0222】
ポリオールのソルビトールおよびグリセロールは両方とも、HuMax-AXLの熱力学安定性に対して安定化効果を有することを示し、より高い濃度は、より大きい熱力学安定性を提供し、ソルビトールは、グリセロールよりも高いC1/2値を示した(表8)。
【0223】
(表8)HuMax-AXLの化学的変性における、ポリオールのソルビトールおよびグリセロールを様々な濃度で安定剤として使用することの効果としてのC
1/2値
【0224】
界面活性剤(PS-20およびPS-80)のスクリーニングについてのデータは、より低い界面活性剤の濃度(0.03% w/v)では、PS-20を含有する製剤が、PS-80を含有する製剤よりも高いC1/2値を有し、より高い界面活性剤の濃度(0.06% w/v)では、PS-80を含有する製剤が、PS-20を含有する製剤よりも高いC1/2値を有したため、結論に達しなかった(表9)。データは、したがって、いずれの界面活性剤についても、タンパク質安定性の増強を示さない。
【0225】
(表9)HuMax-AXLの化学的変性における、界面活性剤ポリソルベート80およびポリソルベート20を様々な濃度で安定剤として使用することの効果としてのC
1/2値
【0226】
実施例2:界面活性剤、凍結保護剤、およびNaClを用いたHuMax-AXLの凍結/融解安定性
界面活性剤または凍結保護剤のいずれかを含有する製剤の評価を、Humax-AXLの凍結融解ストレスの最中の保護作用物質として調べた。加えて、凍結の最中のHuMax-AXLの溶解性に対するNaClの効果を調べた。
【0227】
30 mMヒスチジン(pH 6.5)中の3種類の濃度のポリソルベート80(0.0%、0.03%、および0.06%)ならびに3種類の濃度のスクロース(0、5、または10%スクロース)を用いて、3回のサイクルの凍結融解時のHuMax-AXLの分解に対するそれらの保護効果を調べた。製剤を、その後、外見、濃度、濁度(A550)、還元CE-SDSおよび非還元CE-SDS、ならびにSECにより評価した。すべての製剤は、透明であり、目に見える粒子を含まず、表10および表11に示されるように、ストレスを受けていない試料とストレスを受けた試料との間で、タンパク質濃度、濁度、または純度におけるいかなる変化も観察されず、ポリソルベート80もスクロースも、凍結融解時のHuMax-AXLの安定性を増強しないことが示された。
【0228】
(表10)濃度(A280nm)、濁度(A550nm)、CE-SDS(還元および非還元)、SECにより測定された、凍結融解の最中のHuMax-AXLの安定性に対する様々な濃度のポリソルベート80の効果
【0229】
(表11)濃度(A280nm)、濁度(A550nm)、CE-SDS(還元および非還元)、SECにより測定された、凍結融解の最中のHuMax-AXLの安定性に対する様々な濃度のスクロースの効果
【0230】
また、NaCl(0 mM、25 mM、50 mM、および100 mMのNaCl)は、40 mg/mL濃度のHuMax-AXLで試験した時に、溶解性を増強しなかったことが示された。試料を、予冷した凍結乾燥機の棚で-5℃で保存し、24時間後に相分離について外観により評価した。いずれの試料においても相分離は観察されなかった。したがって、凍結の最中のHuMax-AXLの溶解性および相分離に対するNaClのいかなる効果も、見ることができなかった。
【0231】
実施例3:実験計画(DoE)[HuMax-AXL]
本実施例は、HuMax-AXL製剤のpH、マンニトール、およびソルビトール濃度についてのデザインスペースを用いたDoE研究を記載する。ヒスチジン緩衝剤濃度を、第4のパラメータとして使用した。下記の表を参照されたい。表12は、実験デザインスペースを示し、表13は、DoE研究の概要を示す。
【0232】
(表12)HuMax-AXLについてのDoEにおける賦形剤実験デザインスペース
*中心点
【0233】
試料を、最初に、および40℃で4週間の保存後に、評価した。製剤のサブセットを、追加的な5回の凍結融解サイクル、および追加的な40℃で2週間の保存に供した(6週間時点)。試料を、生成物特異的な解析、すなわち、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、キャピラリー等電点分画電気泳動(cIEF)、およびキャピラリー電気泳動-ドデシル硫酸ナトリウム(CE-SDS)(還元および非還元)を用いて試験した。選択された結果を、下記に示して考察する。
【0234】
【0235】
40℃で4週間および6週間インキュベートしたHuMax-AXL試料を、凝集(高分子量種(HMW))および分解(低分子量種(LMW))の程度に対する種々の製剤の効果を判定するために、SECにより評価した。最初の時点では、試料調製物のいずれにおいても、SECによってHMW種は検出されず、少量のLMW種のみが検出された。4週間および6週間の時点では、HMW種およびLMW種のパーセンテージの両方における増大が検出された。pH 7.0の製剤は、4週間の時点で、他の製剤よりも大きいパーセンテージのHMW種を結果としてもたらすように見られ(
図1)、6週間の時点には、試料F22~F35とともに含めなかった。30 mMヒスチジン(pH 6.0)を含有する試料は、それぞれ、
図2および3に示されるように、最高のパーセンテージのメインピークおよび最低のパーセンテージのLMW種を示した。
【0236】
40℃で4週間および6週間インキュベートしたHuMax-AXL試料を、電荷プロファイル、すなわち、酸性アイソフォームおよび塩基性アイソフォームの存在に対する種々の製剤の効果を判定するために、cIEFにより評価した。最初の時点は、ヒスチジン濃度、pH、マンニトール濃度、またはソルビトール濃度の差を基にした、メインアイソフォームおよび酸性アイソフォームのパーセントにおけるいかなる有意な傾向も示唆しなかった。安定性研究の時間経過にわたって、メインアイソフォームの有意な減少があり、これは、酸性ピークのパーセントにおける変化と反比例する傾向があり、したがって、メインピークアイソフォームのアミド分解に主として帰する可能性がある。pH 7.0の製剤は、4週間の時点で、他の製剤よりも大きいパーセンテージの酸性アイソフォームおよび塩基性アイソフォームを、ならびにより低いパーセンテージのメインピークアイソフォームを結果としてもたらすように見られ、残りの製剤も非常に類似していた。
図4に示されるように、6週間の時点は、30 mMヒスチジン、pH 6.0を有する製剤において最高のパーセンテージのメインピークアイソフォームを示し、差は統計学的に有意であった。
【0237】
40℃で4週間および6週間インキュベートしたHuMax-AXL試料を、HuMax-AXLの純度に対する種々の製剤の効果を判定するために、CE-SDS(還元および非還元)により評価した。最初の時点では、純度における変動は、方法の変動性の範囲内であり、試験した製剤について純度におけるいかなる有意な差もなかった。4週間の時点では、不純物の増加が、還元SDSおよび非還元SDSの両方においてすべての製剤について観察され、pH 7.0製剤のものは、最高のパーセンテージの不純物を有していた。pH 6.0およびpH 6.5のみを、6週間の時点で試験し、4週間の時点以降、新たな不純物(バンド)の出現はなかった。pH 6.0製剤はすべて、より低いパーセンテージの不純物を示したが、これは、予測された方法の変動性の範囲内である可能性があった。
【0238】
実施例4:ポリソルベートの効果‐凍結/融解および撹拌[HuMax-AXL-ADC]
凍結融解および撹拌によって、溶液における、「HuMax-AXL-ADC」と本明細書において呼ばれるHuMax-AXLの抗体-薬物コンジュゲート;IgG1-AXL-107-vcMMAEの界面応力に対するポリソルベート80(PS-80)の効果を試験するために、研究を設計した。30 mMヒスチジン、200 mMソルビトール(pH 6.0)中の10 mg/mL HuMax-AXL-ADCを、3種類のポリソルベート濃度、すなわち、0、0.02、および0.1%とともに製剤化した。PS-80を含むおよび含まない試料を、30および60分間の撹拌に曝露するか、または3および5回の凍結/融解サイクルに曝露して、その後試料を、A280(濃度)、SEC(凝集)、およびcIEF(アイソフォームにおける変化)により評価した。表14、
図5、および表15に見ることができるように、それぞれ、撹拌または凍結融解への曝露後に、濃度、cIEFにより測定されたメインピークのパーセント、またはSECにより測定されたメインピークのパーセントにおいていかなる減少も観察されなかった。データにより、HuMax-AXL-ADC製剤は、界面変性の保護のためにポリソルベート80を必要とせず、したがって製剤は、界面活性剤を含まなくてもよいことが示唆される。
【0239】
(表14)ポリソルベートを含有し、撹拌および凍結融解サイクルに曝露されたHuMax-AXL-ADC試料についての濃度データ(A280nm)
【0240】
(表15)ポリソルベートを含有し、撹拌および凍結融解サイクルに曝露されたHuMax-AXL-ADC試料についてのSECデータ(メインピークの%)
【0241】
実施例5:緩衝剤タイプ、濃度、およびpHの効果‐DoE[HuMax-AXL-ADC]
本実施例は、15種類の製剤を用いるpH、緩衝剤タイプ、および緩衝剤濃度についてのデザインスペースを用いた、HuMax-AXL-ADCについてのDoE(実験計画)研究を記載する。下記の表16を参照されたい。試料を、最初に、ならびに25℃および40℃で2週間の保存後に評価した。試料を、生成物特異的な解析、すなわち、A280、SEC、cIEFを用いて試験した。選択された結果を、下記で考察する。
【0242】
【0243】
25℃および40℃でインキュベートしたHuMax-AXL-ADC試料を、凝集(HMW種)および分解(LMW種)の程度に対する種々の製剤の効果を判定するために、SECにより評価した。メインピークの平均パーセントにおける減少が、25℃および40℃で保存した試料について観察され、当該効果は、時間および温度とともに増大した(
図6)。これらのデータは、高分子量種(HMW)の平均パーセントおよび低分子量種(LMW)の平均パーセントにおいて観察された増大と十分に対応していた。SECデータの統計解析(ANOVA‐一元配置分散分析)により、HMW種の平均パーセンテージおよびメインピークの平均パーセントは、溶液の緩衝剤濃度またはpHによって影響を受けず、他方、ヒスチジンとともに調製された製剤はより少ない凝集を呈したため、安定性は、緩衝剤に依存するように見られたことが示唆された。
図7は、緩衝剤タイプ、緩衝剤濃度、およびpHによるメインピークのANOVAプロットを図示する。
【0244】
25℃および40℃でインキュベートしたHuMax-AXL-ADC試料を、電荷アイソマー(すなわち、酸性および塩基性)の形成に対する種々の製剤の効果を判定するために、cIEFにより評価した。cIEFデータにより、HuMax-AXL-ADCの安定性は、溶液のpHによって主に影響を受けることが示唆される。溶液のpHが増大するにつれて、40℃で2週間の保存後に、メインピークの平均パーセントは減少し、酸性ピークの平均パーセントは増大した。さらに、ANOVA分析により、平均メインピークの平均値は、緩衝剤タイプに関して同等であったことが示唆された。しかし、グラフの目視観察により、リン酸緩衝剤とともに調製された製剤において、メインピークの平均パーセントが減少したことが示唆された。これは、酸性ピークの平均パーセントについてのデータの統計解析と十分に相関することが見出された。したがって、HuMax-AXL-ADCの安定性は、緩衝剤のタイプによって影響を受け、リン酸緩衝剤を用いて調製された製剤は、酸性ピークのより大きな増大を呈することが見られる。cIEFデータにより、pHおよび緩衝剤タイプがHuMax-AXL-ADCの安定性に影響を及ぼしたことが示唆されたが、データは、緩衝剤濃度が安定性に対していずれかの効果を有していたことを示さなかった。
図8は、緩衝剤タイプ、緩衝剤濃度、およびpHによるメインピークのANOVAプロットを図示する。
【0245】
実施例6:凍結乾燥サイクル研究
本実施例は、様々なpHでHuMax-AXL-ADCの凍結乾燥製剤の安定性に対する無定形(トレハロース/スクロース)糖および結晶(マンニトール)糖の効果を検討するための、スクリーニング研究を記載する。4種類の製剤は、10 mg/mL HuMax-AXL-ADC、30 mMヒスチジン、および5%マンニトールを含有しており、残りの4種類の製剤は、統計的設計のための中心点として使用し、3%マンニトールとともに、10 mg/mL HuMax-AXL-ADC、30 mMヒスチジン、3%スクロースまたはトレハロースを含有し、pH 5.5および6.5で調製した。試料を、保守的なサイクルを用いて凍結乾燥し、25℃および40℃で2か月間保存して、A280、SEC、cIEF、および動的光散乱DLSにより評価した。研究の概要を、表17に示す。選択された結果を、下記で考察する。
【0246】
【0247】
25℃および40℃でインキュベートしたHuMax-AXL-ADC試料を、凝集(HMW種)および分解(LMW種)の程度に対する種々の製剤の効果を判定するために、SECにより評価した。メインピークの平均パーセントは、T0で凍結乾燥前および凍結乾燥後においていかなる変化も示さなかった。25℃で2か月間の保存後に、HMW種の平均パーセントにおけるわずかな増加が観察され、LMW種は存在していなかった。40℃で2か月間の保存後に、HMW種の平均パーセントにおける増加が観察され、製剤のいくつかにおいてはLMW種が存在していた。
【0248】
メインピークの平均パーセントについての統計解析(
図9)により、データが、無定形糖の濃度によって影響を受けたことが示唆された(スクロースおよびトレハロース‐25℃でProb > F=0.0031、および40℃でProb > F=0.0510)。無定形糖の濃度が5%であった場合に、メインピークの平均パーセントにおける減少およびHMW種の平均パーセントにおける増大が、観察された。データは統計的に有意ではないが、メインおよびHMW種の平均パーセントのグラフは、製剤に対するpHの潜在的効果を示すように見える。より少ないメインピークおよびより多いHMW種が、pH 5で観察される。
図10は、40℃での2か月の保存後の、8種類の製剤におけるメインピークの平均パーセントを示す。
【0249】
25℃および40℃でインキュベートしたHuMax-AXL-ADC試料を、電荷アイソマー(すなわち、酸性および塩基性)の形成に対する種々の製剤の効果を判定するために、cIEFにより評価した。cIEFデータにより、データを比較した場合に、いずれの変数についても統計的有意性が観察されなかったことが示唆された(
図11)。
【0250】
結論として、データにより、溶液の糖濃度およびpHが、製剤の安定性にとって最も重要であったことが示唆された。全体的に、データにより、pH 5.5~6.5のpHで、5%未満の濃度のスクロースまたはトレハロースを用いて、類似した結果が得られたことが示唆された。
【0251】
実施例7:HuMax-AXL-ADCの凍結乾燥プロセスのための一次乾燥条件の決定
HuMax-AXL-ADC調製物(10 mg/mL HuMax-AXL-ADC、30 mMヒスチジン、88 mMスクロース、165 mMマンニトール、pH 6.0)のための凍結乾燥サイクルを、凍結溶液および乾燥固体の熱特性評価に基づいて、および一次乾燥の最中の破損点の特定によって決定した。破損点は、一次乾燥の最中の、乾燥固体の外観における変化をもたらす生成物温度として定義した。熱特性評価研究は、変調示差走査熱量測定(DSC)およびフリーズドライ顕微鏡観察(FDM)を用いて実施した。フリーズドライ顕微鏡観察実験は、製剤中のマンニトールを結晶化させるために、製剤の試料を-40℃まで冷却すること、および次いで、-15℃で30分間アニールすることによって実施した。試料を元の-40℃まで冷却し、100 mTorrの減圧を開始した。許容される乾燥層が確立され、次いで、試料の完全な破損が観察されるまで、生成物温度を2℃の増分により上昇させた。生成物温度が-16℃に達した時に、完全な破損が観察された。これは、破損点を特定するために使用した実験由来のインプロセス凍結乾燥サイクルデータと十分に対応した。製剤のために開発した凍結乾燥サイクルは、すべてのバイアルの生成物温度が、破損点として特定された温度よりもおよそ4℃冷たいままであることを確実にするように設計した。これは、棚の縁に沿って位置するバイアルについての生成物温度が、臨界生成物温度よりも十分に下のままであることを確実にする。
【0252】
凍結乾燥サイクルの熱処理工程の最中に-15℃での3時間のアニーリング工程を用いた場合に、マンニトールが完全に結晶化したかどうかを判定するために、乾燥固体の試料を、変調示差走査熱量測定を用いて検討した。データは、試料の加温の最中にいかなる発熱事象の証拠も示さないことにより、マンニトールが、乾燥固体において完全に結晶であること、およびしたがって、HuMax-AXL-ADC製剤において結晶増量剤として適していることを支持する。
【0253】
実施例8:HuMax-AXL-ADCの安定性に対する残留水分の効果
本実施例は、凍結乾燥HuMax-AXL-ADC(10 mg/mL HuMax-AXL-ADC、30 mMヒスチジン、88 mMスクロース、165 mMマンニトール、pH 6.0を含む水溶液から調製)における残留水分の効果を記載する。およそ2.28%、0.84%、および0.44%の規定された残留水分レベルを有する試料を、凍結乾燥の二次乾燥の最中に取り出し、その後、最大2か月間、40℃/75%RHで保存して、外見、A280、SEC、cIEF、およびDLSにより評価した。選択された結果を、下記で考察する。
【0254】
研究の2か月の時間枠にわたって、いずれの試料の外見においても変化は観察されなかった。しかし、予測されたように、残留水分のレベルにおける増大が試料において測定された(表18)。これはまた、時間とともに減少した固体の中間点Tg(ガラス転移温度)値を測定する、DSCによっても確認された。すなわち、水分は、Tgを低下させる可塑剤として作用する。Tg値は、研究の始めには、低水分試料についてのおよそ78℃から、高水分試料についてのおよそ60℃までの範囲にわたったが、低水分試料についてはおよそ60℃まで、中間水分試料および高水分試料についてはおよそ45℃まで減少した(
図12)。
【0255】
(表18)40℃/75% RHでの1か月および2か月の保存後の、HuMax-AXL-ADC凍結乾燥試料の残留水分値
【0256】
SECおよびcIEFでの試料の解析により、3%未満の水分レベルにおいて、SECにより測定されたメインピークのパーセンテージ(表19)およびcIEFにより測定されたメインアイソフォームのパーセンテージ(
図13)としての生成物の特性は、減少しなかったことが示され、したがって、製剤の安定性が支持された。
【0257】
(表19)40℃で2か月後の、高水分試料、中間水分試料、および低水分試料についてのSECデータ(メインピークの%)
【0258】
実施例9:実証バッチ
最終的な凍結乾燥サイクルを用いた実証バッチ由来の凍結乾燥HuMax-AXL-ADCを、5±3℃で長期安定性について評価した。再構成後のHumax-AXL-ADCの組成は、10 mg/mL、30 mMヒスチジン、88 mMスクロース、165 mMマンニトール、pH 6.0であった。長期安定性の試料を、T0、T1、T3、T6、T12、T18、およびT24の月に解析し、生成物特異的なアッセイ(SEC、cIEF、CE-SDSなど)によって、ならびにフリーズドライベースの試験(残留水分、再構成時間、および外見)によって解析した。
【0259】
5±3℃での少なくとも1か月の保存後に、すべての試料は安定のままであり、すなわち、試料は、いずれの試験法によっても有意な変化を示さなかった(表20)。これらのデータは、薬学的使用に許容されるHuMax-AXL-ADCの製剤を支持する。
【0260】
(表20)HuMax-AXL-ADC実証バッチ
n.d.=未決定
【0261】
実施例10:凍結乾燥サイクル
本発明のHuMax-AXL-ADCの凍結乾燥製剤のための凍結乾燥サイクルは、下記に明示される以下の工程:凍結、アニーリング、一次乾燥、および二次乾燥で、下記のように行われてもい。
【0262】
凍結工程においては、バイアルを、0.5℃/分~1℃/分で-40℃以下まで冷却して、等温で少なくとも120分間保持してもよい。アニーリング工程では、温度を、0.5℃/分~1℃/分の速度で-20℃~-15℃まで上げて、等温で少なくとも180分間保持する。一次乾燥は、-15℃~0℃の温度で、50~200 mTorrの圧力の減少で開始する。二次乾燥では、温度を、0.5℃/分の速度で30℃~40℃に増大させて、等温で少なくとも8時間保持する。残留水分は、2重量%よりも多いべきではない。
【0263】
実施例11:抗AXL抗体の生成
抗AXL抗体の生成および試験は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる国際出願第PCT/EP2015/065900号に詳細に記載されている。簡潔に言うと、以下のようである。
【0264】
ヒトおよび他の哺乳動物AXLの種々の完全長およびキメラ構築物を調製して、トランスジェニックマウス(Medarex, San Jose, CA, USA)を免疫化するために使用した。種々の完全長AXLバリアントの発現用の以下のコドン最適化構築物を生成した:ヒト(ホモ・サピエンス(Homo sapiens))AXL(Genbankアクセッション番号NP_068713.2)、ヒト細胞外ドメイン(ECD)がカニクイザル(マカカ・ファスシクラリス(Macaca fascicularis))AXLのECD(GenbankアクセッションHB387229.1の翻訳;アミノ酸1~447)で置き換えられたヒト-カニクイザルキメラAXL、ヒトECDがマウス(ハツカネズミ(Mus musculus))AXLのECD(GenbankアクセッションNP_033491.2;アミノ酸1~441)で置き換えられたヒト-マウスキメラAXL、ヒトIg様ドメインI(アミノ酸1~134、本明細書において「Ig1ドメイン」とも呼ばれる)がマウスAXLのIg様ドメインIで置き換えられたヒト-マウスキメラAXL、ヒトIg様ドメインII(アミノ酸148~194、本明細書において「Ig2ドメイン」とも呼ばれる)がマウスAXLのIg様ドメインIIにより置き換えられたヒト-マウスキメラAXL、ヒトFNIII様ドメインI(アミノ酸227~329、本明細書において「FN1ドメイン」とも呼ばれる)がマウスAXLのFNIII様ドメインIで置き換えられたヒト-マウスキメラAXL、ヒトFNIII様ドメインII(アミノ酸340~444、本明細書において「FN2ドメイン」とも呼ばれる)がマウスAXLのFNIII様ドメインIIにより置き換えられたヒト-マウスキメラAXL。加えて、種々のAXL ECDバリアント用の以下のコドン最適化構築物を生成した:C末端Hisタグを有するヒトAXLの細胞外ドメイン(ECD)(アミノ酸1~447)(AXLECDHis)、N末端シグナルペプチドおよびC末端Hisタグを有するヒトAXLのFNIII様ドメインII(アミノ酸327~447)(AXL-FN2ECDHis)、ならびに、C末端Hisタグを有するヒトAXLのIg1様ドメインおよびIg2様ドメイン(アミノ酸1~227)(AXL-Ig12ECDHis)。
【0265】
十分な抗原特異的タイターが生じたHuMabマウスを屠殺して、脾臓、ならびに腹部大動脈および大静脈に隣接したリンパ節を収集した。脾細胞およびリンパ節細胞のマウス骨髄腫細胞株(SP2.0細胞)への融合を、CytoPulse CEEF 50 Electrofusion System(Cellectis, Paris, フランス)を用いた電気融合により、本質的に製造業者の説明書にしたがって行った。
【0266】
初代ウェルを、ClonePix システム(Genetix, Hampshire, UK)を用いてサブクローニングした。免疫化マウスの血清中、またはHuMab(ヒトモノクローナル抗体)ハイブリドーマもしくはトランスフェクトーマの培養上清中の抗AXL抗体の存在を、Fluorometric Micro volume Assay Technology(FMAT; Applied Biosystems, Foster City, CA, USA)を用いた均質抗原特異的スクリーニングアッセイによって判定した。
【0267】
全RNAを0.2~5×106個のハイブリドーマ細胞から調製して、5'-RACE-相補DNA(cDNA)を、SMART RACE cDNA Amplificationキット(Clontech)を用い、製造業者の説明書にしたがって100 ng全RNAから調製した。VHおよびVLをコードする領域を、PCRにより増幅し、ライゲーション非依存性クローニング(Aslanidis, C. and P.J. de Jong, Nucleic Acids Res 1990;18(20): 6069-74)によってpG1fおよびpKappa発現ベクターにインフレームで直接クローニングした。各抗体について、12種類のVLクローンおよび12種類のVHクローンを配列決定した。結果として生じた配列を、表1に示す。CDR配列を、IMGT[41][42]にしたがって定義した。
【0268】
実施例のいくつかにおいて、以前に記載されている(EP 2 220 131; U3 Pharma [43];WO 2011/159980; Genentech [44])、AXLに対する比較抗体(IgG1-YW327.6S2)を使用した。これらのAXL特異的抗体のVHおよびVL配列を、pG1fおよびpKappa発現ベクター中にクローニングした。
【0269】
実施例のいくつかにおいて、gp120特異的抗体である抗体b12を、陰性対照として使用した。
【0270】
抗体を、IgG1,κとして発現させた。抗体の重鎖および軽鎖の両方をコードするプラスミドDNA混合物を、293fectin(Invitrogen, US)を用いてFreestyle HEK293F細胞(Invitrogen, US)に、本質的に製造業者により記載されているように、一過性にトランスフェクトした。
【0271】
実施例12:CHO細胞における抗AXL抗体の発現
HuMax AXL 107は、ヒト抗AXL mAb産生ハイブリドーマ細胞株に由来する可変領域遺伝子を保有するGSベクターをトランスフェクトした親のCHO細胞株からサブクローニングした、CHO細胞株CHO K1SV GS-KOにおいて産生される。標準的な哺乳動物細胞培養条件および精製技術を、HuMax AXLの製造において使用する。
【0272】
実施例13‐AXL抗体の結合特性
AXL抗体の結合親和性
9種類の抗AXL抗体、ならびに可変ドメイン中に単一のアミノ酸変異を有するこれらの抗体の3種類のバリアント(IgG1-AXL-154-M103L、IgG1-AXL-183-N52Q、IgG1-AXL-726-M101L)のパネルの親和性を判定した。
【0273】
親和性を、ForteBio OctetRED384上でバイオレイヤー干渉法を用いて判定した。抗ヒトFc Capture(AHC)バイオセンサー(ForteBio, Portsmouth, UK;カタログ番号18-5064)に、1 nmの負荷応答を目標にして、hIgG(1μg/mL)を150秒間負荷した。ベースライン(150秒)後に、AXLECDHis(実施例1に記載されている)の会合(1000秒)および解離(2000秒)を、2倍希釈工程で10μg/mL~0.16μg/mL(218 nM~3 nM)の濃度範囲を用いて判定した。算出のために、アミノ酸配列に基づくAXLECDHisの理論的な分子量、すなわち46 kDaを使用した。実験を、1000 rpmで振盪しながら30℃で、OctetRED384上で実施した。各抗体を、3回の独立した実験において試験した。
【0274】
データを、別の方法で述べない限り、1000秒の会合時間および1000秒の解離時間での1:1モデルおよびグローバルフルフィットを用いて、ForteBio Data Analysis Software v7.0.3.1で解析した。(獲得された2000秒の解離時間の代わりに)1000秒の解離時間を、これがより良好なフィットを結果としてもたらしたために使用した。抗体IgG1-AXL-154およびIgG1-AXL-154-M103Lについては、500秒の解離時間を使用した。IgG1-AXL-012およびIgG1-AXL-094については、200秒の解離時間を使用した。データ追跡を、参照曲線(AXLECDHisを含まない抗体)を引くことによって補正し、Y軸をベースラインの最後の5秒に整列させ、工程間補正およびサビツキー-ゴーレイフィルタリングを適用した。
【0275】
抗AXL抗体の親和性(KD)は、0.3*10-9M~63*10-9Mの範囲であった(表3)。変異体IgG1-AXL-183-N52Qについて、KDは、およそ2.5倍高い解離速度のために、野生型IgG1-AXL-183よりも低かった。他の2種の変異体の観察された速度論は、野生型IgGの速度論に類似していた。
【0276】
【0277】
ヒト、マウス、およびカニクイザルAXLに対するAXL抗体の結合
HEK293T細胞に、完全長ヒトAXL、カニクイザル細胞外ドメイン(ECD)を有するヒトAXL、またはマウスECDを有するヒトAXL用の発現構築物を一過性にトランスフェクトした。これらの細胞に対するHuMab-AXL抗体の結合を、フローサイトメトリーにより評価した。トランスフェクトしたHEK293細胞を、AXL抗体の連続希釈液(最終濃度範囲0.0024~10μg/mL)と4℃で30分間インキュベートした。PBS/0.1% BSA/0.02%アジド中で3回洗浄した後、細胞を、PBS/0.1% BSA/0.02%アジド中で1/100に希釈したR-フィコエリスリン(PE)コンジュゲートヤギ抗ヒトIgG F(ab')2(Jackson ImmunoResearch Laboratories, Inc., West Grove, PA;カタログ番号109-116-098)とインキュベートした(最終体積100μL)。次に、細胞を、PBS/0.1% BSA/0.02%アジド中で2回洗浄し、120μL PBS/0.1% BSA/0.02%アジド中に再懸濁して、FACS Cantoll(BD Biosciences)上で解析した。
【0278】
結合曲線を、GraphPad Prism V5.04ソフトウェア(GraphPad Software, San Diego, CA, USA)を使用し、非線形回帰(可変の勾配を有するシグモイド用量応答)を用いて解析した。
【0279】
HuMab-AXL抗体は、ヒトAXL-ECDを発現するHEK293細胞に対して用量依存性結合を示した。さらに、HuMab-AXL抗体は、完全ヒトAXLについてと同じ範囲のEC50値で、カニクイザルECDを有するAXLを認識した。対照的に、マウスECDを有するAXLに対するHuMabの結合は低かった(IgG1-AXL-107、IgG1-AXL-154、IgG1-AXL-154-M103L、IgG1-AXL-733、IgG1-AXL-183、IgG1-AXL-183-N52Q)か、または検出可能でなかった(IgG1-AXL-171、IgG1-AXL-613、IgG1-AXL-726、IgG1-AXL-726-M101L、IgG1-AXL-148)。予測されたように、陰性対照抗体IgG1-b12は、AXLバリアントのいずれを発現する細胞に対しても結合を示さなかった。下表は、ヒトAXLまたはカニクイザルAXL ECDを有するヒトAXLに対する抗AXL抗体の結合についてのEC50値および標準偏差(少なくとも3回の実験において決定された)を示す。マウスAXL ECDを有するヒトAXLに対する結合についてのEC50値は、非常に低いか、または欠如している結合のために決定できなかった。
【0280】
(表22)ヒトAXL、またはヒトAXLおよびカニクイザルAXL ECDに対する抗AXL抗体の結合
【0281】
AXL結合についてのAXL抗体とGas6との間の競合
AXLリガンドであるGas6が、AXLに対するAXL抗体の結合を干渉するかどうかを試験した。そのために、AXL陽性A431細胞を、10μg/mLの組み換えヒトGas6(R&D Systems, Abingdon, UK;カタログ番号885-GS)と4℃で15分間インキュベートした。その後、AXL抗体の連続希釈液を調製し(最終濃度範囲0.014~10μg/mL)、細胞に添加して、4℃で30分間インキュベートした。PBS/0.1% BSA/0.02%アジド中で3回洗浄した後、細胞を、100μLにおいて二次抗体と4℃で30分間、暗所でインキュベートした。Fc領域に結合する二次抗体として、PBS/0.1% BSA/0.02%アジド中で1/100に希釈したR-フィコエリスリン(PE)コンジュゲートヤギ抗ヒトIgG F(ab')2(Jackson ImmunoResearch Laboratories, Inc., West Grove, PA;カタログ番号109-116-098)を使用した。次に、細胞を、PBS/0.1% BSA/0.02%アジド中で2回洗浄し、120μL PBS/0.1% BSA/0.02%アジド中に再懸濁して、FACS Cantoll(BD Biosciences)上で解析した。
【0282】
あるいは、AXLリガンドであるGas6が、AXL抗体の存在下で依然として結合できるかどうかを評価するために、A431細胞を、10μg/mLのAXL抗体とプレインキュベート(15分、4℃)した。抗体のプレインキュベーション後に、組み換えヒトGas6(R&D Systems, Abingdon, UK;カタログ番号885-GS)の連続希釈液を、0.001~20μg/mLの最終濃度で細胞に添加して、4℃で30分間インキュベートした。PBS/0.1% BSA/0.02%アジド中で3回洗浄した後、細胞を、マウス抗Gas6 IgG2a(R&D Systems;カタログ番号MAB885)と4℃で30分間インキュベートした。PBS/0.1% BSA/0.02%アジド中で3回洗浄した後、細胞を、FITC標識ヤギ抗マウスIgG(Dako, Heverlee, ベルギー;カタログ番号F049702)と4℃で30分間、暗所でインキュベートした。次に、細胞を、PBS/0.1% BSA/0.02%アジド中で2回洗浄し、120μL PBS/0.1% BSA/0.02%アジド中に再懸濁して、FACS Cantoll(BD Biosciences)上で解析した。
【0283】
結合曲線を、GraphPad Prism V5.04ソフトウェア(GraphPad Software, San Diego, CA, USA)を使用し、非線形回帰(可変の勾配を有するシグモイド用量応答)を用いて解析した。
【0284】
A431細胞をGas6とプレインキュベートした実験(n=3)において、抗AXL抗体の最大結合値は、Gas6の非存在下での抗体結合に匹敵していた(Gas6プレインキュベーション後の最大結合は、Gas6プレインキュベーションを伴わない結合の90~108%であった)。Gas6プレインキュベーションを伴うかまたは伴わないAXL抗体結合についてのEC50値は、同じ範囲であったか、または、Gas6プレインキュベーション後にいくらか増強されていた(表23)。
【0285】
A431細胞に対する対照AXL抗体YW327.6S2の結合は、Gasを伴わない結合と比較して、Gas6の存在下で大きく低減した。Gas6の存在下でのYW327.6S2の最大結合は、Gas6を伴わない結合の19%であり、A431細胞に対する結合についてのEC50値は、細胞をGas6とプレインキュベートしていた際に21倍高かった。
【0286】
A431細胞を抗AXL抗体とプレインキュベートした実験において、Gas6結合を評価した(n=3)。A431細胞に対するGas6の結合は、HuMab-AXL抗体とのプレインキュベーションを伴うかまたは伴わない場合で類似していた。細胞をHuMab(0.34~0.83μg/mL)とプレインキュベートした際のGas6結合の平均EC50濃度、および最大Gas6結合は、陰性対照抗体b12の存在下でのGas6結合に類似していた(EC50濃度:0.40μg/mL;b12対照抗体の存在下でのGas6結合の95~115%)。A431細胞に対するGas6の結合は、b12とのプレインキュベーションと比較して、対照AXL抗体YW327.6S2の存在下で大きく低減した(EC50濃度は14倍高かった)。対照抗体YW327.6S2の存在下でのGas6の最大結合は、陰性対照抗体b12の存在下での結合の17%であった。
【0287】
(表23)AXL抗体とGas6との間における、AXL結合についての競合
an.a.、適用不可能
*低い結合のためにEC50は精度が低い値である。
【0288】
実施例14‐AXL抗体-薬物コンジュゲート(AXL-ADC)の結合特性
HEK293T細胞に、完全長ヒトAXL用の発現構築物を一過性にトランスフェクトした(実施例1を参照されたい)。これらの細胞に対する抗AXL抗体およびAXL-ADCの結合を、フローサイトメトリーにより評価した。一過性にトランスフェクトしたHEK293細胞を、抗AXL抗体またはAXL-ADCの連続希釈液(4倍希釈液;最終濃度範囲0.003~10μg/mL)と4℃で30分間インキュベートした。PBS/0.1% BSA/0.02%アジド中で3回洗浄した後、細胞を、100μLにおいて二次抗体と4℃で30分間、暗所でインキュベートした。二次抗体としては、PBS/0.1% BSA/0.02%アジド中で1/100に希釈したR-フィコエリスリン(PE)コンジュゲートヤギ抗ヒトIgG F(ab')2(Jackson ImmunoResearch Laboratories, Inc., West Grove, PA;カタログ番号109-116-098)を使用した。次に、細胞を、PBS/0.1% BSA/0.02%アジド中で2回洗浄し、120μL PBS/0.1% BSA/0.02%アジド中に再懸濁して、FACS Cantoll(BD Biosciences)上で解析した。
【0289】
結合曲線を、GraphPad Prism V5.04ソフトウェア(GraphPad Software, San Diego, CA, USA)を使用し、非線形回帰(可変の勾配を有するシグモイド用量応答)を用いて解析した。これらは、ヒトAXL-ECDを発現するHEK293細胞に対する抗AXL抗体の結合が、AXL-ADCの結合に類似していたことを示した。
【0290】
実施例15‐抗AXL抗体パネルのエピトープマッピング研究
ヒト-マウスAXLキメラ分子を用いたAXLドメイン特異性の判定
AXL抗体のAXLドメイン特異性を、ヒト-マウスキメラAXL変異体のパネルを用いて判定した。ヒトIg様ドメインI(Ig1)、Ig様ドメインII(Ig2)、ヒトFNIII様ドメインI(FN1)、またはヒトFNIII様ドメインIIドメイン(FN2)のいずれかがそれらのマウスホモログで置き換えられた、5種類の異なるキメラAXL分子を生成した。AXLヒト-マウスキメラの発現用のコドン最適化構築物を生成して、HEK293F細胞において発現させた。
【0291】
ヒト-マウスAXLキメラに対する1μg/mL抗AXL抗体の結合を、フローサイトメトリーにより判定した。IgG1-b12を、アイソタイプ対照IgG1として含めた。
【0292】
すべての抗AXL抗体が、ヒトAXLに対する結合を示したのに対して、ヒトAXL ECDがそのマウスホモログで置き換えられた場合には、結合は撤廃されたか、または強く低減した。ヒト-マウス交差反応性モノクローナルAXL抗体であるYW327.6S2を、hsAXL-mmECDの発現を確認するために含めた。
【0293】
抗AXL抗体107および613は、hsAXL-mmIg1に対して、強く低減した結合を示し、AXL Ig1ドメイン中のエピトープの認識が示された。IgG1-AXL-148およびIgG1-AXL-171は、hsAXL-mmIg2に対して、強く低減した結合を示し、AXL Ig2ドメイン中のエピトープの認識が示された。IgG1-AXL-154、IgG1-AXL-183、およびIgG1-AXL-733は、hsAXL-mmFN1に対して、低減した結合を示し、AXL FN1ドメイン中の結合エピトープを示した。最後に、IgG1-AXL-726の結合は、hsAXL-mmFN2において失われ、FN2ドメイン内のエピトープの認識が示された。
【0294】
AXL抗体の結合に関与するAXL細胞外ドメイン中のアミノ酸を特定するための高解像度エピトープマッピング
抗AXL抗体の結合に関与するAXL細胞外ドメイン中のアミノ酸を特定するために、ヒトAXL配列と様々なレベルでの相同性を有する種に由来するAXL配列の組み換えによって、AXL配列バリアントのライブラリーを細胞外ドメイン中に生成した。簡潔に言うと、ヒトAXL(Hs)をコードする発現プラスミドを、ハツカネズミ(Mm)、ハイイロジネズミオポッサム(Monodelphis domestica)(Md;フクロネズミ)、グリーンアノール(Anolis carolinensis)(Ac;トカゲ)、およびミドリフグ(Tetraodon nigroviridis)(Tn;フグ)のAXLホモログをコードするクローニングプラスミドと混合するか、またはその逆を行った。クローニングベクターまたは発現ベクターのいずれかに特異的な2種類のプライマーの組み合わせを使用して、PCRサイクリング中に新生DNA複製鎖を融解させおよびリアニーリングさせる、伸長時間が省略された、AXL細胞外ドメイン(ECD)を増幅するPCRを行った。両方のベクターから生じた終端を含有し、組み換え産物に再び特異的な、ネスティッドPCRを用いて、完全長ECDを増幅した。
【0295】
結果として生じたAXL ECD PCR産物を、完全長AXLを創り出す発現ベクター中にクローニングし、結果として生じたプラスミドを、配列決定し、鋳型ベクターに対する最大の差によってランク付けして、最大の差別化力を有する最小の集合を創り出すように選択した。Hs、Mm、Md、Ac、およびTn由来のAXLホモログをコードするプラスミド、マウスIg1、Ig2、Fn1、またはFn2ドメインを有するHs AXLをコードする4種類のヒト/マウスキメラプラスミド、ならびに組み換えライブラリー由来の16種類の最も差別化するプラスミドを、製造業者(Life technologies)により供給された仕様書にしたがって、HEK293-F細胞中にトランスフェクトした。1μg/mLの抗AXL抗体を用いたFACS結合データを、変異が結合の喪失と相関した(+1)か、または相関しなかった(-1)かをアミノ酸ごとにスコア化することによってデコンボリューションし、その後、ベースライン補正および-5~+5のスケールへの正規化を適用して、完全ECDにわたるアミノ酸あたりのインパクトスコアを結果として生じた。
【0296】
デコンボリューションした結合データを、結合に関与するアミノ酸として表24に要約する。結合部位の近傍での組み換え事象が欠如していたために、結合部位を高解像度にマップできなかった抗体を、解像されていないとして示す。
【0297】
(表24)すべての抗AXL抗体についてのAXLドメイン特異性
an.d.、未決定
【0298】
実施例16‐AXLに対する結合を可能にする抗体VHおよびVLのバリアント
VHまたはVL領域におけるアミノ酸残基の決定的または許容的な変化を特定するために、(実施例1に記載されている)抗AXL抗体パネルのVHおよびVL領域のタンパク質配列を、整列させて、AXL結合について比較した。そのために、同一のVHまたはVL領域を有する抗体を、グループ化して、それぞれ、ヒトAXLに対する結合およびVLまたはVH配列における差について比較した。HEK-293F細胞により一過性に発現されるヒトAXLに対する結合を、実施例1に記載されているような均質抗原特異的スクリーニングアッセイにおいて評価した。本実施例において行われたアラインメントについてのアミノ酸位置のナンバリングは、表1に提示される配列に基づいて行われ、すなわち、示される配列における1番目のアミノ酸を位置「1」とナンバリングし、2番目を位置「2」とする、などであった。
【0299】
最初に、同一のVL配列を有する抗体をグループ化した。
【0300】
IgG1-AXL-148およびIgG1-AXL-140は、同一のVL配列を有することが見出され、HC CDR3領域中に1個のアミノ酸の差を示した(アミノ酸位置109でIに対してF)。抗体は両方ともヒトAXLに結合して(表7)、位置109のアミノ酸は抗体結合にとって不可欠ではないことが示され、CDR2領域において特定された変異(アミノ酸位置56でAに対してG)は結合の喪失を補償しないことが仮定された。
【0301】
IgG1-AXL-726およびIgG1-AXL-187は、同一のVL配列を有することが見出され、抗体は両方ともヒトAXLに結合した(表25)。HC CDR3領域中の2個のアミノ酸残基の変化(位置97でSに対してR、および位置105でTに対してA)が、結合を失うことなく可能とされ、CDR1において特定された変異(位置32でHに対してY)および/またはフレームワーク領域において特定された変異(P3Q、V24I、Y25D、T86A、およびT117A)は、結合の喪失を補償しないことが仮定された。
【0302】
IgG1-AXL-171、IgG1-AXL-172、およびIgG1-AXL-181は、同一のVL配列を有することが見出され、すべての抗体はヒトAXLに結合した(表7)。これらの3種の抗体のCDR3領域は同一であったが、HC CDR1中のアミノ酸残基の変化(位置31でNに対してS)またはフレームワーク領域中のアミノ酸残基の変化(位置82でQに対してH)が、結合を失うことなく可能とされた。
【0303】
IgG1-AXL-613、IgG1-AXL-608-01、IgG1-AXL-610-01、およびIgG1-AXL-620-06は、同一のVL配列を有することが見出され、HC CDR3領域中に1個のアミノ酸の差を示した(アミノ酸位置101でDに対してN)。すべての抗体はヒトAXLに結合して(表7)、位置101のアミノ酸は不可欠ではないことが示され、HC CDR2において特定された変異(位置58でAに対してV)および/またはフレームワーク領域において特定された変異(N35S、M37V、A61V、L70I、S88A)は、結合の喪失を補償しないことが仮定された。
【0304】
次に、同一のVH配列を有する抗体をグループ化した。
【0305】
IgG1-AXL-613およびIgG1-AXL-613-08は、同一のVH配列を有することが見出され、LCのCDR3領域中に5個のアミノ酸の差を示した(位置92~96でYGSSYに対してRSNWL)。抗体は両方ともヒトAXLに結合して(表25)、位置92~96でのアミノ酸の変動が可能とされ、抗体結合に影響を及ぼさないことが示され、CDR1において特定された変異(位置30でSの欠失)、CDR2において特定された変異(G51D)、および/またはフレームワーク領域において特定された変異(G9A、S54N、R78S、Q100G、L104V)は、結合の喪失を補償しないことが仮定された。
【0306】
【0307】
実施例17‐MMAEコンジュゲートAXL抗体により誘導されるインビトロ細胞傷害
抗AXL抗体へのMMAEのコンジュゲーション
抗AXL抗体を、標準的な手順にしたがってプロテインAクロマトグラフィーにより精製し、vcMMAEにコンジュゲートした。文献に記載されている手順にしたがって([150]、[151]、および[152]を参照されたい)、薬物-リンカーvcMMAEを、還元された抗体のシステインにアルキル化した。過剰量のN-アセチルシステインの添加によって、反応を終息させた。いずれの残りのコンジュゲートされていない薬物も、精製によって除去し、最終的な抗AXL抗体薬物コンジュゲートを、PBSにおいて製剤化した。抗AXL抗体薬物コンジュゲートを、その後、濃度(280 nmでの吸光度により)、逆相クロマトグラフィー(RP-HPLC)および疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)により薬物対抗体の比(DAR)、コンジュゲートされていない薬物の量(逆相クロマトグラフィーにより)、凝集のパーセンテージ(サイズ排除クロマトグラフィー、SEC-HPLCにより)、ならびにエンドトキシンレベル(LALにより)について解析した。結果を、下記に示す。
【0308】
(表26)抗体-薬物コンジュゲートの様々な特性の概要
【0309】
細胞培養
LCLC-103H細胞(ヒト大細胞肺がん)およびA431細胞(DMSZ, Braunschweig, ドイツ)を、10%(体積/体積)熱不活化Cosmic Calf Serum(Perbio;カタログ番号SH30087.03)、2 mM L-グルタミン(Cambrex;カタログ番号US17-905C)、50 IU/mLペニシリン、および50μg/mLストレプトマイシン(Cambrex;カタログ番号DE17-603E)を補給した、L-グルタミンを含むRPMI1640(Cambrex;カタログ番号BE12-115F)中で培養した。MDA-MB231細胞を、高グルコースおよびHEPESを含むDMEM(Lonza #BE12-709F)、Donor Bovine Serum with Iron(Life Technologies #10371-029)、2 mM L-グルタミン(Lonza #BE17-605E)、1 mMピルビン酸ナトリウム(Lonza #BE13-115E)、およびMEM Non-Essential Amino Acids Solution(Life Technologies #11140)中で培養した。細胞株は、37℃で、5%(体積/体積)CO2加湿インキュベーターにおいて維持した。LCLC-103H、A431、およびMDA-MB231細胞を、コンフルエント近くまで培養し、その後、細胞をトリプシン処理して、培養培地中に再懸濁し、セルストレーナー(BD Falcon、カタログ番号352340)を通過させて、単一細胞懸濁液を取得した。1×103細胞を、96ウェル培養プレートの各ウェルに播種し、細胞を、室温で30分間、その後37℃、5% CO2で5時間インキュベートして、プレートに接着させた。
【0310】
細胞傷害アッセイ
MMAEコンジュゲートAXL抗体の連続希釈液(0.00015~10μg/mLの範囲にわたる最終濃度)を培養培地中で調製し、プレートに添加した。細胞と1μMスタウロスポリン(#S6942-200, Sigma)とのインキュベーションを、100%腫瘍細胞殺傷用の参照として使用した。無処置の細胞を、100%細胞成長用の参照として使用した。プレートを、37℃、5% CO2で5日間インキュベートした。次に、CellTiter-Glo Reagent(Promega;カタログ番号G7571)をウェルに添加して(ウェルあたり20μL)、プレートを37℃、5% CO2で1.5時間インキュベートした。その後、ウェルあたり180μLを、白色96ウェルOptiplate(商標)プレート(PerkinElmer, Waltham, MA;カタログ番号6005299)に移して、室温で30分間インキュベートした。最後に、発光を、EnVisionマルチプレートリーダー(Envision, Perkin Elmer)上で測定した。
【0311】
MMAEコンジュゲートAXL抗体は、下表27aに示されるように、0.004~0.219μg/mLの濃度で、LCLC-103H細胞において50%細胞殺傷を誘導した。
【0312】
同様に、AXL-ADCは、A431細胞およびMDA-MB231細胞(下表27b)において細胞傷害を効率的に誘導した。
【0313】
(表27a)LCLC-103H細胞におけるMMAEコンジュゲートAXL抗体の細胞傷害(EC50値)
【0314】
(表27b)A431およびMDA-MB-231細胞におけるMMAEコンジュゲートAXL抗体の細胞傷害(EC50値)
【0315】
実施例17‐SCIDマウスにおけるLCLC-103H腫瘍異種移植片のMMAEコンジュゲート抗AXL抗体での治療的処置
MMAEコンジュゲート抗AXL抗体のインビボ効力を、確立されたSCIDマウスにおける皮下(SC)LCLC-103H異種移植腫瘍において判定した。200μL PBS中の5×106個のLCLC-103H(大細胞肺がん)腫瘍細胞(Leibniz-Institut DSMZ-Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH (DSMZ)から取得)を、雌SCIDマウスの右側腹部の皮下に注射した。平均腫瘍サイズが100~200 mm3よりも大きく、明瞭な腫瘍成長が観察された、腫瘍細胞接種の14~21日後に開始して、1 mg/kg(20μg/マウス)のIgG1-AXL-vcMMAE抗体(補足的な実施例1に記載されている)または対照(コンジュゲートされていないIgG1-b12)での単回注射を、腹腔内に与えた(100μL/マウス)。腫瘍体積を、少なくとも週あたり2回判定した。腫瘍体積(mm3)を、キャリパー(PLEXX)測定値から0.52×(長さ)×(幅)2として算出した。
【0316】
抗AXL-vcMMAE抗体のパネルは、確立されたSC LCLC-103H腫瘍において広範囲の抗腫瘍活性を示した。クローンIgG1-AXL-733-vcMMAE、IgG1-AXL-107-vcMMAE、およびIgG1-AXL-148-vcMMAEは、腫瘍退縮を誘導し、クローンAXL-171-vcMMAE、IgG1-AXL-511-vcMMAE、およびIgG1-AXL-613-vcMMAEは、腫瘍成長阻害を誘導し、クローンIgG1-AXL-154-M103L-vcMMAE、IgG1-AXL-183-N52Q-vcMMAE、およびIgG1-AXL-726-M101L-vcMMAEは、腫瘍成長阻害を示さなかったか、または軽微の腫瘍成長阻害のみを示した。
【0317】
一元配置分散分析(対照IgG1-b12に対するダネットの多重比較検定)を用いた、すべての群が無傷であった最後の日(30日目)の統計解析により、IgG1-b12対IgG1-AXL-733-vcMMAE、IgG1-AXL-107-vcMMAE、およびIgG1-AXL-148-vcMMAEの間で腫瘍体積における非常に有意な差(p<0.0001)が示された。これらのクローンでの処置は、これらの群内のいくつかのマウスにおいて、完全な腫瘍低減につながった。クローンIgG1-AXL-171-vcMMAE、IgG1-AXL-511-vcMMAE、およびIgG1-AXL-613-vcMMAEでの処置もまた、IgG1-b12と比較して有意な腫瘍成長阻害を示したが、差はさほど明白ではなかった(p<0.05~p<0.001)。クローンIgG1-AXL-154-M103L-vcMMAE、IgG1-AXL-183-N52Q-vcMMAE、およびIgG1-AXL-726-M101L-vcMMAEで処置したマウスの腫瘍成長は、IgG1-b12対照と比較して有意に影響を受けなかった。
【0318】
抗AXL-vcMMAE抗体の抗腫瘍活性は、種々の他のインビボ腫瘍モデルにおいて観察された。2種の細胞株由来の異種移植モデル(A431;類表皮腺がん、およびMDA-MB-231;乳がん)において、抗AXL-vcMMAE抗体は腫瘍成長阻害を誘導し、腫瘍退縮が、膵臓がんおよび子宮頸がんを有する患者からの2種の患者由来の異種移植モデルにおいて、抗AXL-vcMMAE抗体により誘導された。
【0319】
実施例18‐不均質な標的発現を有する膵臓がん患者由来の異種移植(PDX)モデルにおけるAXL-ADCの抗腫瘍効力
IgG1-AXL-107-vcMMAE、IgG1-AXL-148-vcMMAE、およびIgG1-AXL-733-vcMMAEの抗腫瘍活性を、PAXF1657膵臓がんPDXモデルにおいて判定した(Oncotest, Freiburg, ドイツにより行われた実験)。ヒト膵臓腫瘍組織を、5~7週齢の雌NMRI nu/nuマウスの左側腹部の皮下に移植した。動物の無作為化を、以下のように行った:50~250 mm3、好ましくは80~200 mm3の体積の腫瘍を有する動物を、群腫瘍体積の比較可能な中央値および平均値を考慮して、7種の実験群(群あたり8匹の動物)に分配した。無作為化の日(0日目)に、3種のADCを、4 mg/kgまたは2 mg/kgのいずれかで静脈内に(i.v.)投与し、対照群は、単一用量のIgG1-b12(4 mg/kg)を受けた。腫瘍体積(mm3)を、週に2回モニターして、キャリパー(PLEXX)測定値から0.52×(長さ)×(幅)2として算出した。
【0320】
2 mg/kgのIgG1-AXL-107-vcMMAE、IgG1-AXL-148-vcMMAE、およびIgG1-AXL-733-vcMMAEでのマウスの処置は、対照群と比較して、PAXF1657腫瘍の成長を有意に低減させた。4 mg/kgの用量で、IgG1-AXL-107-vcMMAE、IgG1-AXL-148-vcMMAE、およびIgG1-AXL-733-vcMMAEは、PAXF1657腫瘍の腫瘍退縮を誘導した。処置後の14日目に、2 mg/kgまたは4 mg/kgのIgG1-AXL-107-MMAE、IgG1-AXL-148-MMAE、またはIgG1-AXL-733-MMAEで処置していたマウスにおける平均腫瘍サイズは、アイソタイプ対照IgG(IgG1-b12)で処置していたマウスにおけるよりも有意に小さかった(p<0.001;チューキーの多重比較検定)。
【0321】
コンジュゲートされていないIgG1-AXL-148でのマウスの処置は、PAXF1657モデルにおいて抗腫瘍活性を結果としてもたらさなかった。しかし、コンジュゲートされたIgG1-AXL-148-vcMMAEは、このモデルにおいて用量依存性抗腫瘍活性を誘導し、AXL-ADCの治療能力はMMAEの細胞傷害活性に依存していることが示された。
【0322】
さらに、標的化されていないADCであるIgG1-b12-vcMMAEでのマウスの処置は、PAXF1657モデルにおいて抗腫瘍活性を示さず、AXL-ADCの治療能力は特異的な標的結合にも依存することが示された。
【0323】
実施例19‐Ig1ドメインに結合するAXL抗体
AXL抗体IgG1-AXL-061、IgG1-AXL-107、IgG1-AXL-137、およびIgG1-AXL-613のAXLドメイン特異性を、ヒト-マウスキメラAXL変異体のパネルを用いて判定した。ヒト-マウス交差反応性モノクローナルAXL抗体であるYW327.6S2を、hsAXL-mmECDの発現を確認するために含めた。IgG1-b12を、アイソタイプ対照抗体として含めた。5種の異なるキメラAXL分子を生成して、HEK293Fにおいて発現させた。簡潔に言うと、ヒトIg様ドメインI(Ig1)、Ig様ドメインII(Ig2)、ヒトFNIII様ドメインI(FN1)、またはヒトFNIII様ドメインIIドメイン(FN2)を、それらのマウスホモログで置き換えた。ヒト-マウスAXLキメラに対する1μg/mL抗AXL抗体の結合を、フローサイトメトリーにより判定した。
【0324】
すべての抗AXL抗体が、ヒトAXLに対する結合を示したのに対して、ヒトAXL ECDがそのマウスホモログで置き換えられた際には、結合は撤廃された。予測されたように、ヒト-マウス交差反応性モノクローナルAXL抗体YW327.6S2は、hsAXL-mmECDに対する結合を示し、hsAXL-mmECDの妥当な発現が確認された。
【0325】
AXL抗体IgG1-AXL-061、IgG1-AXL-107、IgG1-AXL-137、およびIgG1-AXL-613は、hsAXL-mmIg1に対して、強く低減した結合を示し、AXL Ig1ドメイン中のエピトープの認識が示された。これと合致して、IgG1-AXL-061、IgG1-AXL-107、IgG1-AXL-137、およびIgG1-AXL-613のhsAXL-mmIg2、hsAXL-mmFN1、またはhsAXL-mmFN2に対する結合は、影響を受けなかった。ヒト-マウス交差反応性モノクローナルAXL抗体YW327.6S2は、すべてのキメラAXLバリアントに対する結合を示し、これらのタンパク質の妥当な発現が確認された。
【0326】
実施例20‐AXL抗体IgG1-AXL-107およびIgG1-AXL-613はIg1ドメインに結合するが、Gas6結合と競合しない
AXL抗体IgG1-AXL-061、IgG1-AXL-107、IgG1-AXL-137、またはIgG1-AXL-613の結合が、AXLリガンドであるGas6のAXLに対する結合を干渉するかどうかを試験した。そのために、10μg/mL AXL抗体とプレインキュベートしていたA431細胞に対するGas6の結合を試験した。AXL結合についてGas6と競合することが記載されたAXL抗体YW327.6S2、IgG1-b12(アイソタイプ対照)、または培地(陰性対照)とのプレインキュベーションを、対照として含めた。
【0327】
結合曲線を、GraphPad Prism V5.04ソフトウェア(GraphPad Software, San Diego, CA, USA)を使用した非線形回帰(可変の勾配を有するシグモイド用量応答)を用いて解析した。
【0328】
表28は、IgG1-AXL-107およびIgG1-AXL-613抗体とプレインキュベートしていたA431細胞に対するGas6の結合が、IgG1-b12および培地対照に類似していたことを示す。これは、実施例13に示されるように、AXLに対するIgG1-AXL-107およびIgG1-AXL-613の結合が、Gas6結合を干渉しないことを示す。A431細胞に対するGas6の結合は、IgG1-b12および培地対照と比較して、IgG1-AXL-061、IgG1-AXL-137、および対照AXL抗体YW327.6S2の存在下で大きく低減した。
【0329】
A431細胞をGas6とプレインキュベートした実験において、IgG1-AXL-107およびIgG1-AXL-613の最大結合値は、Gas6の非存在下での抗体結合に匹敵していた(Gas6プレインキュベーション後の最大結合は、Gas6プレインキュベーションを伴わない結合の91~108%であった)(表28)。Gas6プレインキュベーションを伴うかまたは伴わない、IgG1-AXL-107およびIgG1-AXL-613結合についてのEC50値は、同じ範囲であったか、またはGas6プレインキュベーション後にいくらか高く(表28)、IgG1-AXL-107およびIgG1-AXL-613がGas6結合と競合しないことが示された。
【0330】
対照抗体YW327.6S2と同様に、A431細胞に対するIgG1-AXL-061およびIgG1-AXL-137の結合は、Gas6を伴わない結合と比較して、Gas6の存在下で大きく低減した(Gas6プレインキュベーション後の最大結合は、Gas6プレインキュベーションを伴わない結合の40~43%であった;表28)。IgG1-AXL-061およびIgG1-AXL-137についてのEC50値は、Gas6プレインキュベーション後には妥当に決定できなかった(表28)。これは、IgG1-AXL-061およびIgG1-AXL-137がAXLへの結合についてGas6と競合することを示す。
【0331】
これらのデータは、AXL Ig1ドメインに結合する抗体が、Gas6結合に対して差別的な効果を有することを実証する。
【0332】
(表28)
an.a.、適用不可能
*低い結合のためにEC50は精度が低い値である。
【0333】
実施例21‐自己分泌(内在性)Gas6産生を伴うおよび伴わない異種移植モデルにおけるAXL-ADCのインビボ抗腫瘍効力
A431およびLCLC-103H腫瘍細胞のGas6産生
A431細胞およびLCLC-103H細胞がGas6を産生するかどうかを試験した。そのために、細胞を、完全培養培地中で3日間成長させた。上清中のGas6レベルを、Quantikine Human Gas6 ELISA(R&D Systems, Minneapolis, MN)を用い、製造業者の説明書にしたがって決定した。このアッセイは、定量的サンドイッチELISA技術を使用する。ヒトGas6に特異的なモノクローナルAbが、マイクロプレート上にプレコーティングされている。標準品および試料をウェル中にピペットで移すと、存在する任意のヒトGas6が、固定されたAbによって結合される。任意の結合していない物質を洗浄して除去した後、ヒトGas6に特異的な酵素連結ポリクローナルAbをウェルに添加する。任意の結合していないAb-酵素試薬を除去するための洗浄後に、基質をウェルに添加すると、最初の工程において結合したヒトGas6の量に比例して色が顕出する。顕色を停止して、色の強度を測定する。
【0334】
A431細胞によって調整された細胞培養培地は、2576 ng/mLのGas6を含有することが見出され、他方、LCLC-103H細胞によって調整された培地中のGas6の濃度は、20倍より大きく、低かった(表29)。
【0335】
【0336】
インビボでのAXL-ADCの抗腫瘍活性
IgG1-AXL-061-vcMMAE(Ig1結合剤)、IgG1-AXL-107-vcMMAE(Ig1結合剤)、IgG1-AXL-137-vcMMAE(Ig1結合剤)、IgG1-AXL-148-vcMMAE(Ig2結合剤)、IgG1-AXL-183-vcMMAE(FN1結合剤)、およびIgG1-AXL-726-vcMMAE(FN2結合剤)のインビボ抗腫瘍活性を、高レベルのGas6を産生するA431(類表皮がん)腫瘍モデル、および、低レベルのGas6を産生するLCLC-103H(大細胞肺がん)腫瘍モデルにおいて判定した。
【0337】
腫瘍誘導を、200μL PBS中の5×106個のA431またはLCLC-103H腫瘍細胞(両方ともLeibniz-Institut - Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH (DSMZ)から取得)の、雌SCIDマウスの右側腹部における皮下注射によって行った。処置は、平均腫瘍サイズが100~200 mm3よりも大きく、明瞭な腫瘍成長が観察された、腫瘍細胞接種の14~21日後に開始した。マウスは、示されているように、IgG1-AXL-vcMMAE ADCまたは対照抗体(コンジュゲートされていないIgG1-b12)での単回注射、または合計で4回の週2回の腹腔内注射を受けた。腫瘍体積を、少なくとも週あたり2回判定した。腫瘍体積(mm3)を、キャリパー(PLEXX)測定値から0.52×(長さ)×(幅)2として算出した。
【0338】
結果:
3 mg/kgのIgG1-AXL-107-vcMMAE、IgG1-AXL-148-vcMMAE、およびIgG1-AXL-733-vcMMAEでのマウスの処置は、A431腫瘍の成長阻害を誘導した。
【0339】
3 mg/kgのIgG1-AXL-148-vcMMAE、IgG1-AXL-183-vcMMAE(FN1結合剤)、およびIgG1-AXL-726-vcMMAE(FN2結合剤)でのマウスの処置は、A431腫瘍の成長阻害を誘導した。対照的に、クローンIgG1-AXL-061-vcMMAEおよびIgG1-AXL-137-vcMMAEは、A431異種移植モデルにおいて抗腫瘍活性を示さなかった。
【0340】
3 mg/kgのIgG1-AXL-061-vcMMAE、IgG1-AXL-137-vcMMAE、IgG1-AXL-148-vcMMAE、IgG1-AXL-183-vcMMAE、およびIgG1-AXL-726-vcMMAEでのマウスの処置は、LCLC-103H異種移植モデルにおいて腫瘍退縮を誘導した。同様に、1 mg/kgのIgG1-AXL-107-vcMMAEまたは1 mg/kgのIgG1-AXL-613-vcMMAEでのマウスの処置は、LCLC-103H腫瘍の退縮を誘導した。
【0341】
要約すると、すべてのAXL-ADCは、低レベルのGas6を産生するLCLC-103H異種移植モデルにおいて抗腫瘍活性を示した。高レベルのGas6を産生するA431異種移植モデルにおいて、抗腫瘍活性は、AXLリガンドであるGas6と競合しなかったAXL-ADCについてのみ観察された。
【0342】
実施例22‐食道がん患者由来の異種移植(PDX)モデルにおけるAXL-ADCの抗腫瘍効力
IgG1-AXL-107-vcMMAEの抗腫瘍活性を、BALB/cヌードマウスにおける皮下食道PDXモデルES0195において評価した(Crown Bioscience. Taicang Jiangsu Province, 中国により行われた実験)。患者由来の食道異種移植片を有するドナーマウスからの腫瘍断片(ES0195)を、BALB/cヌードマウス中への接種のために使用した。各マウスに、1つの腫瘍断片(直径2~3 mm)を右側腹部の皮下に接種して、腫瘍体積が約150 mm3になるまで腫瘍を成長させた。動物の無作為化を、以下のように行った:約150 mm3の体積の腫瘍を有する動物を、群腫瘍体積の比較可能な中央値および平均値を考慮して、5種の実験群(群あたり8匹の動物)に分配した。処置群は、IgG1-b12、IgG1-b12-vcMMAE、IgG1-AXL-107、IgG1-AXL-107-vcMMAE、およびパクリタキセルであった。抗体およびADCを、無作為化の日(0日目)および7日目に、4 mg/kgで静脈内に(i.v.)投与した。パクリタキセルは、0、7、および14日目に、20 mg/kgで腹腔内に(i.p.)投与した。腫瘍体積(mm3)を、週に2回モニターして、キャリパー(PLEXX)測定値から0.52×(長さ)×(幅)2として算出した。
【0343】
IgG1-AXL-107-vcMMAEでのマウスの処置は、IgG1-b12およびIgG1-b12-MMAE対照群と比較して、ES0195腫瘍の腫瘍退縮を誘導した(23日目にp<0.001、一元配置分散分析検定)。標的化されていないADCであるIgG1-b12-vcMMAEでのマウスの処置は、このモデルにおいて抗腫瘍活性を示さず、AXL-ADCの治療能力は特異的な標的結合に依存することが示された。パクリタキセルで処置したマウスは、腫瘍成長阻害を示したが、これはIgG1-AXL-107-vcMMAEでの処置と比較して有効性が低かった(23日目にp<0.05、一元配置分散分析検定)。
【0344】
実施例23‐AXL特異的抗体薬物コンジュゲートにより誘導されるインビトロ細胞傷害は標的発現に依存する
IgG1-AXL-107-vcMMAEのインビトロ細胞傷害を、様々なレベルのAXL発現を有するヒト腫瘍細胞株において試験した。
【0345】
細胞培養
LS174T細胞(ヒト結腸直腸腺がん細胞株;ATCC、カタログ番号CL-188)を、Glutamax、Hepes、およびフェノールレッドを含む最小必須培地(MEM)(Life Technologies、カタログ番号42360-024)中で培養した。構成要素は、10% Donor Bovine Serium with Iron(DBSI)(Life Technologies、カタログ番号10371-029)および1%ピルビン酸ナトリウム(100 mM;Lonza、カタログ番号BE13-115E)および1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Lonza、カタログ番号DE17-603E)である。
【0346】
NCI-H226細胞(ヒト肺扁平上皮がん;ATCC、カタログ番号CRL-5826)、NCI-H661細胞(ヒト大細胞肺がん;ATCC、カタログ番号HTB-183)、およびNCI-H1299細胞(ヒト非小細胞肺がん;ATCC、カタログ番号CRL-5803)を、RPMI 1640培地(ATCC改変;Life Technologies、カタログ番号A10491-01)中で培養した。構成要素は、10% Donor Bovine Serium with Iron(DBSI;Life Technologies、カタログ番号10371-029)および1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Lonza、カタログ番号DE17-603E)である。
【0347】
SKOV-3細胞(ヒト卵巣腺がん;ATCC、カタログ番号HTB-77)を、L-グルタミンおよびHEPESを含むマッコイ5A培地(Lonza、カタログ番号BE12-168F)中で培養した。構成要素は、10% Donor Bovine Serium with Iron(DBSI;Life Technologies、カタログ番号10371-029)および1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Lonza、カタログ番号DE17-603E)である。
【0348】
Calu-1細胞(ヒト肺類表皮がん;ATCC、カタログ番号HTB-54)を、カトペプトン(Catopeptone)を含み、HEPESを含まないマッコイ5A培地(Life Technologies、カタログ番号26600-023)中で培養した。構成要素は、10% Donor Bovine Serium with Iron(DBSI;Life Technologies、カタログ番号10371-029)および0.85% NaCl溶液中の1% L-グルタミン(200 nM)(Lonza、カタログ番号BE17-605F)および1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Lonza、カタログ番号DE17-603E)である。Calu-1細胞は、EGFR標的療法に対して耐性である。
【0349】
LCLC-103H細胞(ヒト大細胞肺がん)、A431細胞(ヒト類表皮腺がん)、およびMDA-MB-231細胞(ヒト乳がん)は、実施例16に記載されているように培養した。
【0350】
ヒト腫瘍細胞株の形質膜上のAXL発現の定量
ヒト腫瘍細胞株の形質膜上のAXL発現を、QIFIKIT(DAKO、カタログ番号K0078)をマウスモノクローナル抗体Z49M(Santa Cruz biotechnology、カタログ番号sc-73719)とともに用いた間接免疫蛍光により評価した。接着細胞をトリプシン処理し、セルストレーナーを通過させて、単一細胞懸濁液を取得した。細胞を、1,200 rpmで5分間の遠心分離によってペレットにし、PBSで洗浄して、1×106細胞/mLの濃度で再懸濁した。次の工程は、氷上で行った。100μLの単一細胞懸濁液(ウェルあたり100,000細胞)を、ポリスチレン96ウェル丸底プレート(Greiner Bio-One、カタログ番号650101)に播種した。細胞を、300×gで3分間の遠心分離によってペレットにし、10μg/mLの濃度の50μL抗体試料またはマウスIgG1アイソタイプ対照試料(BD/Pharmingen、カタログ番号555746)中に再懸濁した。4℃で30分のインキュベーション後に、細胞をペレットにし、150μL FACS緩衝液中に再懸濁した。セットアップおよび較正ビーズを、製造業者の説明書にしたがってプレートに添加した。細胞およびビーズを、並行して、150μL FACS緩衝液でさらに2回洗浄し、50μLのFITCコンジュゲートヤギ抗マウスIgG(1/50;DAKO、カタログ番号K0078)中に再懸濁した。二次抗体を、4℃で30分間、暗所でインキュベートした。細胞およびビーズを、150μL FACS緩衝液で2回洗浄し、100μL FACS緩衝液中に再懸濁した。免疫蛍光を、FACS Canto II(BD Biosciences)上で、生細胞のゲート内の10,000イベントを記録することによって測定した。較正ビーズの平均蛍光強度を、GraphPad Prismソフトウェア(GraphPad Software, San Diego, CA, USA)を用いて較正曲線を算出するために使用した。各細胞株について、抗体結合能力(ABC)、形質膜上に発現しているAXL分子の数の推定値を、較正曲線の方程式に基づき、AXL抗体染色細胞の平均蛍光強度を用いて算出した(GraphPadソフトウェアを用いた、標準曲線からの未知のものの内挿)。
【0351】
細胞傷害アッセイ
LCLC-103H、A431、MDA-MB-231、NCI-H226、NCI-H661、NCI-H1299、LS174T、およびSKOV-3細胞について、インビトロ細胞傷害アッセイを、実施例16に記載されているように行った。Calu-1については、細胞培養を5日の代わりに11日インキュベートしたという調節を伴い、実施例8に記載されているように行った。用量応答曲線を、Graphpad Prismソフトウェアを使用し、非線形回帰解析を用いて生成した。1μg/mLのIgG1-AXL-107-vcMMAE濃度での生細胞のパーセンテージを、用量応答曲線から内挿した。
【0352】
IgG1-AXL-107-vcMMAEは、高いAXL発現を有する細胞株において最も強力な細胞傷害を誘導したのに対して、低いAXL発現を有する細胞株においては、細胞傷害は低かったか、または欠如していた。このことは、IgG1-AXL-107-vcMMAEが、Calu-1などのEGFR標的療法に対して耐性である細胞における細胞傷害の誘導に有効であることを示す。
【0353】
抗AXL抗体-薬物コンジュゲート(AXL-ADC)の凍結乾燥製剤であって、AXL-ADCおよび1つまたは複数の賦形剤を含む水性製剤を凍結乾燥することによって取得され、該水性製剤が、いかなる界面活性剤も含まず、かつ0.5%(w/v)~4%(w/v)の濃度で、スクロース、トレハロース、およびそれらの組み合わせから選択される非還元糖を含む、凍結乾燥製剤。
水性製剤が、ヒスチジン、クエン酸塩、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、コハク酸塩、グリコール酸塩、炭酸、およびリン酸塩、または任意のそれらの組み合わせからなる群より選択される緩衝剤を含み、該水性製剤のpHが、約5~約7の範囲にある、請求項1または2に記載の凍結乾燥製剤。
水性製剤が、約5 mM~約100 mM、例えば約10 mM~約50 mM緩衝剤、例えば約20 mM~約40 mM、例えば約28 mM~約32 mM、例えば約30 mM緩衝剤の濃度で緩衝剤を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
水性製剤が、約1%(w/v)~約5%(w/v)、例えば約2%(w/v)~約4%(w/v)、例えば約2.5%(w/v)~約3.5%(w/v)、例えば約3%(w/v)の濃度で増量剤を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
水性製剤が、約50 mM~約300 mM、例えば約100 mM~約225 mM、例えば約150 mM~約180 mM、例えば約165 mMの濃度で増量剤を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
水性製剤が、約15 mM~約200 mM、例えば約15 mM~約120 mM、例えば約30 mM~約90 mM、例えば約80 mM~約100 mM、例えば約84 mM~約92 mMスクロース、例えば約88 mMの濃度で非還元糖を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
水性製剤におけるAXL-ADC濃度が、約5 mg/mL~約30 mg/mL、例えば約7 mg/mL~約20 mg/mL、例えば約8 mg/mL~約15 mg/mL、例えば約9 mg/mL~約11 mg/mL、例えば約10 mg/mLである、請求項1~11のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
AXL-ADCが、N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)-ペンタノアート(SSP)、マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-p-アミノベンジルオキシカルボニル(mc-vc-PAB)、またはAV-1 K-lockバリン-シトルリンなどの切断可能なリンカーで抗体に連結された細胞傷害性作用物質を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
AXL-ADCが、スクシンイミジル-4(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート(MCC)またはマレイミド-カプロイル(MC)などの切断不可能なリンカーで抗体に連結された細胞傷害性作用物質を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
AXL-ADCが、DNAを標的とする作用物質、例えば、カリケアマイシン、デュオカルマイシン、ラシェルマイシン(CC-1065)、ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン(PBD)、およびインドリノベンゾジアゼピン(IGN)などのDNAアルキル化剤および架橋剤;微小管を標的とする作用物質、アウリスタチン、例えばモノメチルアウリスタチンE(MMAE)およびモノメチルアウリスタチンF(MMAF)、ドラスタチン、メイタンシン、N(2')-デアセチル-N(2')-(3-マルカプト-1-オキソプロピル)-メイタンシン(DM1)、ならびにツブリシン;ならびにヌクレオシド類似体;またはこれらの類似体、誘導体、もしくはプロドラッグからなる群より選択される細胞傷害性作用物質を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含む抗AXL抗体の水性製剤であって、該水性製剤が、いかなる界面活性剤も含まず、かつ約50 mM~約300 mMマンニトールを含む、抗AXL抗体の水性製剤。
緩衝剤およびマンニトールである少なくとも1つの安定剤を含む抗AXL抗体の水性製剤であって、pHが約5~約7であり、いかなる界面活性剤も含まず、かつ約50 mM~約300 mMマンニトールを含む、抗AXL抗体の水性製剤。
ヒスチジン、クエン酸塩、MES、リン酸塩、炭酸、コハク酸塩、グリコール酸塩、または任意のそれらの組み合わせからなる群より選択される緩衝剤を含み、pHが、約5.5~約6.5、例えば約5.8~約6.2の範囲にある、請求項24および25のいずれか一項に記載の水性製剤。
約10 mM~約50 mM、例えば約20 mM~約40 mM緩衝剤、例えば約28 mM~約34 mM、例えば約29 mM~約31 mM、例えば約30 mMの濃度で緩衝剤を含む、請求項24~27のいずれか一項に記載の水性製剤。
約20 mM~約400 mM、例えば約30 mM~約300 mM、例えば約40 mM~約80 mM、例えば約50 mM~約60 mM、例えば約55 mMの濃度でマンニトールである安定剤を含む、請求項24~28のいずれか一項に記載の水性製剤。
抗体濃度が、約5 mg/mL~約40 mg/mL、例えば約8 mg/mL~約35 mg/mL、例えば約10 mg/mL~約30 mg/mL、例えば約15 mg/mL~約25 mg/mL、例えば約20 mg/mLである、請求項24~31のいずれか一項に記載の水性製剤。
抗AXL抗体またはAXL-ADCが、以下に対して少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも99%同一のVHおよびVL配列からなる群より選択されるVH領域およびVL領域を含む少なくとも1つの結合領域を含む、請求項1~37のいずれか一項に記載の製剤:
(a)SEQ ID NO:1を含むVH領域、およびSEQ ID NO:2を含むVL領域 [107];
(b)SEQ ID NO:5を含むVH領域、およびSEQ ID NO:6を含むVL領域 [148];
(c)SEQ ID NO:34を含むVH領域、およびSEQ ID NO:35を含むVL領域 [733];
(d)SEQ ID NO:7を含むVH領域、およびSEQ ID NO:9を含むVL領域 [154];
(e)SEQ ID NO:10を含むVH領域、およびSEQ ID NO:11を含むVL領域 [171];
(f)SEQ ID NO:16を含むVH領域、およびSEQ ID NO:18を含むVL領域 [183];
(g)SEQ ID NO:25を含むVH領域、およびSEQ ID NO:26を含むVL領域 [613];
(h)SEQ ID NO:31を含むVH領域、およびSEQ ID NO:33を含むVL領域 [726];
(i)SEQ ID NO:3を含むVH領域、およびSEQ ID NO:4を含むVL領域 [140];
(j)SEQ ID NO:8を含むVH領域、およびSEQ ID NO:9を含むVL領域 [154-M103L];
(k)SEQ ID NO:12を含むVH領域、およびSEQ ID NO:13を含むVL領域 [172];
(l)SEQ ID NO:14を含むVH領域、およびSEQ ID NO:15を含むVL領域 [181];
(m)SEQ ID NO:17を含むVH領域、およびSEQ ID NO:18を含むVL領域 [183-N52Q];
(n)SEQ ID NO:19を含むVH領域、およびSEQ ID NO:20を含むVL領域 [187];
(o)SEQ ID NO:21を含むVH領域、およびSEQ ID NO:22を含むVL領域 [608-01];
(p)SEQ ID NO:23を含むVH領域、およびSEQ ID NO:24を含むVL領域 [610-01];
(q)SEQ ID NO:27を含むVH領域、およびSEQ ID NO:28を含むVL領域 [613-08];
(r)SEQ ID NO:29を含むVH領域、およびSEQ ID NO:30を含むVL領域 [620-06];ならびに
(s)SEQ ID NO:32を含むVH領域、およびSEQ ID NO:33を含むVL領域 [726-M101L]。
抗AXL抗体またはAXL-ADCが、それぞれ、SEQ ID NO:36、37、および38のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:39、GAS、およびSEQ ID NO:40のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [107]を含む、請求項37および38のいずれか一項に記載の製剤。
抗AXL抗体またはAXL-ADCが、AXLのIg1様ドメイン内のエピトープに結合し、該エピトープが、ヒトAXLの位置L121~Q129またはT112~Q124に対応する1つまたは複数のアミノ酸を含むかまたは必要とする、請求項1~36のいずれか一項に記載の製剤。
抗AXL抗体またはAXL-ADCが、AXLのIg2様ドメイン内のエピトープに結合し、該エピトープが、ヒトAXLの位置D170またはD179の組み合わせに対応するアミノ酸、および位置T182~R190に対応する1つまたは複数のアミノ酸を含むかまたは必要とする、請求項1~36のいずれか一項に記載の製剤。
抗AXL抗体またはAXL-ADCが、ヒトAXLのFN1様ドメイン内のエピトープに結合し、該エピトープが、ヒトAXLの位置Q272~A287およびG297~P301に対応する1つまたは複数のアミノ酸を含むかまたは必要とする、請求項1~36のいずれか一項に記載の製剤。
二重特異性抗体が、第1および第2の重鎖を含み、該第1および第2の重鎖の各々が、少なくともヒンジ領域、CH2およびCH3領域を含み、該第1の重鎖において、ヒトIgG1重鎖中のK409、T366、L368、K370、D399、F405、およびY407からなる群より選択される位置に対応する位置のアミノ酸の少なくとも1つが置換されており、該第2の重鎖において、ヒトIgG1重鎖中のF405、T366、L368、K370、D399、Y407、およびK409からなる群より選択される位置に対応する位置のアミノ酸の少なくとも1つが置換されており、該第1の重鎖および該第2の重鎖の該置換が同じ位置ではない、請求項53に記載の製剤。
ヒトIgG1重鎖中のK409に対応する位置のアミノ酸が第1の重鎖においてRであり、ヒトIgG1重鎖中のF405に対応する位置のアミノ酸が第2の重鎖においてLであるか、またはその逆である、請求項37~54のいずれか一項に記載の製剤。
ADCの抗AXL抗体部分が、それぞれ、SEQ ID NO:36、37、および38のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:39、GAS、およびSEQ ID NO:40のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [107]を含む、請求項56および57のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
AXL-ADCが、2~8℃で、例えば5℃で、少なくとも6か月間、例えば少なくとも9か月間、例えば少なくとも15か月間、または好ましくは少なくとも18か月間、またはさらにより好ましくは少なくとも24か月間、または最も好ましくは少なくとも36か月間、薬学的使用のために安定である、請求項56~60のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
5℃で、少なくとも6か月間、例えば少なくとも9か月間、例えば少なくとも15か月間、または好ましくは少なくとも18か月間、またはさらにより好ましくは少なくとも24か月間、または最も好ましくは少なくとも36か月間保存した時に、10%未満の凝集物、例えば5.0%未満の凝集物、例えば3.0%未満の凝集物、例えば2.0%未満の凝集物を有する場合に、安定である、請求項56~61のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
ADCの抗AXL抗体部分が、それぞれ、SEQ ID NO:36、37、および38のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVH領域;ならびに、それぞれ、SEQ ID NO:39、GAS、およびSEQ ID NO:40のCDR1、CDR2、およびCDR3配列を含むVL領域 [107]を含む、請求項66に記載の水性製剤。
約5~約7のpHを有し、かつ、約5 mg/mL~約30 mg/mL AXL-ADC、約10 mM~約50 mMヒスチジン;約15 mM~約120 mMスクロース;および約50 mM~約300 mMマンニトールまたはグリシンを含み、マンニトール対スクロースの重量比が少なくとも約1である、請求項69に記載の液体製剤。
約9 mg/mL~約11 mg/mL AXL-ADC、約20 mM~約40 mMヒスチジン、約80 mM~約100 mMスクロース、および約150 mM~約180 mMマンニトールを含む、請求項70に記載の液体製剤。