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特開2022-33896母材用の要素、ファイバ製造方法、および、母材から線引きされた光ファイバ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022033896
(43)【公開日】2022-03-02
(54)【発明の名称】母材用の要素、ファイバ製造方法、および、母材から線引きされた光ファイバ
(51)【国際特許分類】
   C03B 37/012 20060101AFI20220222BHJP
   G02B 6/02 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
C03B37/012 A
G02B6/02 356A
【審査請求】有
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021196882
(22)【出願日】2021-12-03
(62)【分割の表示】P 2018523498の分割
【原出願日】2016-11-10
(31)【優先権主張番号】PA201570724
(32)【優先日】2015-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(71)【出願人】
【識別番号】506179491
【氏名又は名称】エヌケイティー フォトニクス アクティーゼルスカブ
【氏名又は名称原語表記】NKT PHOTONICS A/S
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】シモンセン、ハーラル ロエーヤ
(72)【発明者】
【氏名】ヤコブセン、クリスチャン
(57)【要約】
【課題】微細構造光ファイバの製造方法を提供する。
【解決手段】微細構造光ファイバの製造方法は、母材要素を用意する工程と、前記母材要素と少なくとも1つの追加の母材要素とから母材アセンブリを組み立てる工程と、前記母材アセンブリを微細構造光ファイバに線引きする工程とを備える。母材要素は、長さと、母材要素外側表面OSと、バックグラウンド材料の中に長手方向孔部を形成するように配置されている複数の長手方向構造体14と、母材要素外側表面OSから延在して長手方向孔部14aのうちの少なくとも1つと交差するが母材要素と完全には交差しない少なくとも1つのスロットとを備える。前記複数の長手方向構造体14は、複数の長手方向構造体14からなるリングの形態でリング壁部内側バックグラウンド材料とリング壁部外側バックグラウンド材料との間に閉じ込められてバックグラウンド材料12、13の中に長手方向孔部のリングを形成するとともに母材要素の長さ方向に延在する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細構造光ファイバの製造方法であって、
母材要素を用意する工程と、
前記母材要素と少なくとも1つの追加の母材要素とから母材アセンブリを組み立てる工程と、
前記母材アセンブリを微細構造光ファイバに線引きする工程とを備え、
前記母材要素は、長さと、その長さに沿う中心軸線と、その長さによって画定される第1の端部および第2の端部と、母材要素外側表面とを有しており、前記母材要素は、バックグラウンド材料の中に複数の長手方向孔部を形成するように設けられる複数の長手方向構造体を備えており、前記母材要素は、前記母材要素外側表面から延在して前記複数の長手方向孔部のうちの少なくとも1つと交差するが前記母材要素と完全には交差しない少なくとも1つのスロットを備えており、前記バックグラウンド材料は、リング壁部バックグラウンド材料の形態であり、前記リング壁部バックグラウンド材料は、リング壁部内側バックグラウンド材料と、当該リング壁部内側バックグラウンド材料を同軸に取り囲むリング壁部外側バックグラウンド材料とを備えており、前記リング壁部内側バックグラウンド材料および前記リング壁部外側バックグラウンド材料の各々は、壁部厚さを有するとともに長手方向孔部を有しておらず、前記複数の長手方向構造体は、複数の長手方向構造体からなるリングの形態で前記リング壁部内側バックグラウンド材料と前記リング壁部外側バックグラウンド材料との間に閉じ込められて前記バックグラウンド材料の中に長手方向孔部のリングを形成するとともに前記母材要素の長さ方向に延在しており、好ましくは、前記バックグラウンド材料の少なくとも一部は、中実の長手方向構造体によっておよび/または中空の長手方向構造体の材料によって提供されている、製造方法。
【請求項2】
前記複数の長手方向構造体のうちの1つ以上は、複数の長手方向孔部を有する中空チューブであり、および/または、複数の長手方向孔部は、前記複数の長手方向構造体間に形成される複数の長手方向インタースペース孔部であり、前記母材要素外側表面から延在する前記少なくとも1つのスロットは、前記中空チューブの前記複数の長手方向孔部のうちの少なくとも1つおよび/または前記複数の長手方向インタースペース孔部のうちの少なくとも1つと交差している、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記バックグラウンド材料は、シリカガラス、軟質ガラス、カルコゲナイドガラス、または、それらの任意の組み合わせなどのガラスであり、任意選択で、前記バックグラウンド材料は、Ge、B、F、P、Alなどの1つまたは複数の屈折率変更ドーパント、および/または、希土類元素ErまたはYbなどの1つまたは複数の活性材料ドーパントといった1つまたは複数のドーパントを含む、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記複数の長手方向構造体は、前記母材要素の前記中心軸線に対して実質的に平行に配置されており、好ましくは、前記母材要素は、複数の中空チューブからなる少なくとも1つのリングを備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記中空チューブは、前記母材要素の前記中心軸線と実質的に平行な複数の長手方向孔部を有しており、前記中空チューブの前記複数の長手方向孔部は、好ましくは複数の孔部からなる少なくとも1つのリング、および任意選択で中央孔部、を備える所定の断面パターンで配置されている、請求項2に記載の製造方法。
【請求項6】
前記中空チューブは、シリカガラス、軟質ガラス、カルコゲナイドガラス、または、それらの任意の組み合わせなどのガラス製であり、任意選択で、前記中空チューブのガラスは、Ge、B、F、P、Alなどの1つまたは複数の屈折率変更ドーパント、および/または、希土類元素ErまたはYbなどの1つまたは複数の活性材料ドーパントといった1つまたは複数のドーパントを含む、請求項2または5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記母材要素は、前記中心軸線の周りの回転に関してn回回転対称性を有しており、ここで、nは500までであり、たとえば100までであり、たとえば50までであり、たとえば2~20である、請求項1~6のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記複数の長手方向構造体は実質的に前記母材要素の全長に延在している、請求項1~7のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのスロットは、前記母材要素外側表面から前記母材要素への半径方向内向きのカットの形態であり、前記半径方向内向きのカットは、前記中心軸線に対して実質的に垂直である、請求項1~8のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つのスロットは、前記母材要素の前記第1の端部から所定の距離に位置し、前記所定の距離は、好ましくは、前記母材要素の長さの1/10までであり、当該距離は、好ましくは、少なくとも0.5mm以上であり、少なくとも5mm以上であり、たとえば1cm~20cmである、請求項1~9のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項11】
交差する前記孔部は、前記スロットから前記第1の端部までの所定の位置で閉じられており、たとえば、前記母材の前記第1の端部で、および/または、前記第1の端部を向く交差部で、および/または、それらの間の位置で閉じられている、請求項1~10のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項12】
前記母材要素は、微細構造光ファイバ用の母材の一部を形成するように適合されており、前記母材要素は、少なくとも1つの追加の母材要素とともに組み立てられるように適合されている、請求項1~11のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項13】
前記母材要素外側表面から前記少なくとも1つの交差された孔部のうちの半径方向に最も外側のものまでの距離は、前記母材要素の直径の1/8未満であり、前記母材直径の、たとえば1/10未満であり、たとえば1cm未満であり、たとえば0.5cm未満であり、たとえば3mm未満である、請求項1~12のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つのスロットは、前記中空チューブの複数の前記孔部と交差する環状のスロットである、請求項2に記載の製造方法。
【請求項15】
前記母材要素は母材リング要素であり、前記母材リング要素は母材要素内側表面を有しており、前記母材要素外側表面は外側母材リング要素表面の形態であり、前記少なくとも1つの長手方向孔部と交差する前記スロットは前記母材要素外側表面から広がっており、前記少なくとも1つのスロットは前記リング壁部内側バックグラウンド材料と完全には交差していない、請求項1~13のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項16】
前記リング壁部内側バックグラウンド材料および前記リング壁部外側バックグラウンド材料は、互いに同じであるか、または、互いに異なる、請求項15に記載の製造方法。
【請求項17】
前記複数の長手方向構造体からなるリングを形成する長手方向構造体は、隣接する長手方向構造体の間にインタースペースを伴って配置されて1つまたは複数の長手方向インタースペース孔部を形成し、前記リング壁部バックグラウンド材料の中に閉じ込められている前記長手方向構造体は、任意選択で、1つまたは複数の中実の構造体、たとえば、前記リング壁部バックグラウンド材料の屈折率とは異なる屈折率を有する少なくとも1つの中実の構造体を備える、請求項15または16に記載の製造方法。
【請求項18】
前記リング壁部内側バックグラウンド材料および前記リング壁部外側バックグラウンド材料の一方または両方は、少なくとも一断面における、好ましくはその全長におけるいずれの断面における、環状の広がりにわたって実質的に同一の厚さを有しており、より好ましくは、前記母材リング要素は、厚さに関して、前記中心軸線の周りで実質的に円対称である、請求項15~17のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項19】
前記リング壁部内側バックグラウンド材料は、前記母材要素内側表面によって画定される平均内径(ID)を有しており、前記リング壁部外側バックグラウンド材料は、前記母材要素外側表面によって画定される平均外径(OD)を有しており、少なくとも前記母材リング要素の断面におけるID/ODは、0.3~0.95であり、たとえば0.7~0.9である、請求項15に記載の製造方法。
【請求項20】
前記IDおよび前記ODは、前記母材リング要素の前記長さに沿って実質的に一定であり、好ましくは、(OD-ID)×0.5によって定義される前記母材リング要素の厚さは、0.3mm~2cmであり、たとえば1mm~1cmであり、たとえば、3mm~6mmである、請求項19に記載の製造方法。
【請求項21】
前記リング壁部内側バックグラウンド材料は、中空の内側ケインの材料を備え、前記リング壁部外側バックグラウンド材料は、中空の外側ケインの材料を備える、請求項15~20のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項22】
前記中空の内側ケインは内側ケイン壁部厚さを有しており、前記外側ケインは外側ケイン壁部厚さを有しており、内側ケイン壁部厚さおよび外側ケイン壁部厚さは、互いに独立して、1mm~1cmであり、たとえば2mm~5mmである、請求項21に記載の製造方法。
【請求項23】
前記複数の長手方向構造体は、前記リング壁部内側バックグラウンド材料および前記リング壁部外側バックグラウンド材料のリング形状に沿って横並び配列で配置されて複数の長手方向構造体からなる少なくとも1つのリングを形成しており、このリングは、前記少なくとも1つのスロットと交差している複数の長手方向孔部を有しており、任意選択で、前記複数の長手方向構造体は、複数の長手方向構造体からなる少なくとも2つのリングたとえば複数の長手方向構造体からなる3つのリングを形成するように配置されている、請求項15~22のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つのスロットは、前記中空チューブの実質的にすべての孔部および/またはすべての前記インタースペース孔部といった複数の孔部と交差する環状のスロットである、請求項2に記載の製造方法。
【請求項25】
前記母材リング要素は、少なくとも3mmの、たとえば少なくとも5mmの、たとえば少なくとも10mmの、たとえば15mm~50mmの内径を有している、請求項15~23のいずれか1項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファイバの少なくともある長さ部分に沿って延在する1つまたは複数の孔部を有する微細構造光ファイバに関し、特に、その製造に関する。本発明は、光ファイバ用の母材要素、および、母材要素を製造する方法を含む。
【背景技術】
【0002】
少なくともある長さ部分に沿って延在する1つまたは複数の孔部を有する微細構造光ファイバが当技術分野において周知であり、特に、この微細構造光ファイバには以下でPCFと称されるフォトニック結晶ファイバが含まれる。微細構造光ファイバは、バックグラウンド材料の中に典型的には規則的なアレイで配置されている複数の含有物(クラッディング構造または微細構造と呼ばれることもある)を有するクラッディング領域によって取り囲まれているコアを有するファイバである。含有物は、ガス、液体、または固体の含有物であり得る。原理的には、含有物は、ボイドであり得るが、実際には、ボイドは、通常、いくつかのガス分子を含むこととなる。
【0003】
微細構造ファイバは、たとえば、シリカガラス製であり得る。その屈折率を変更するために、または、光の増幅や感度などのような効果をもたらすために、他の材料をシリカガラスに追加することがある。
【0004】
通常、微細構造光ファイバは、所望の断面構造を有する母材(preform)を最初に製造し、その後、母材の材料が完全には溶融しないが十分に柔らかくするのを確実にする適切な温度で、母材からファイバを線引きすること(drawing)によって製造される。そのような方法は、たとえば、特許文献1に記載されている。母材は、複数のケインを積み重ねることによって製造され、複数のケインの各々は、長手方向軸線、第1の端部、および第2の端部を有しており、複数のケインのうちの少なくともいくつかはキャピラリであり、これらキャピラリの各々は、そのケインの長手方向軸線に対して平行でかるそのケインの第1の端部から第2の端部へ走っている孔部を有している。ケインは、積み重ね状に形成されており、ここで、それらの長手方向軸線が、互いに実質的に平行である状態で、および、積み重ねの長手方向軸線に対して実質的に平行である状態で配置されているケインが母材となる。その後に、少なくとも1つのキャピラリの孔部が第1の圧力において流体の供給源と連通している状態を維持しながら、また、第1の圧力とは異なる第2の圧力において、キャピラリの周りの圧力を維持しながら、母材がファイバへと線引きされ、線引き中における第1の圧力における孔部は、圧力差がない場合に孔部がとるサイズとは異なるサイズになる。
【0005】
特許文献2は、微細構造ファイバを製造する方法を開示しており、その方法は、複数の長手方向孔部を有する母材を用意する工程と;孔部のうちの少なくとも1つ(しかし、すべてではない)をコネクタと嵌合し、孔部を外部圧力コントローラと接続する工程と;圧力コントローラに接続されている孔部の中のガス圧力を制御しながら、母材をファイバへと線引きする工程とを備える。この方法によって、ファイバの線引きの間に、母材の中のそれぞれの孔部を個別に対処して、その孔部の中の圧力を変化させることによって、個々の孔部のサイズが制御され得る。いくつかの孔部が同時に対処される場合には、実際のファイバの中に出現する構造が、線引きプロセスの間に変更され得る。コネクタは、複数のチャンバを有することができ、それぞれのチャンバは、外部圧力供給源に接続可能になっており、コネクタおよび母材は、長手方向孔部のうちの少なくとも第1のものがチャンバのうちの第1のものの中で終端し、長手方向孔部のうちの少なくとも第2のものがチャンバのうちの第2のものの中で終端するように、配置され得、母材は、チャンバのうちの1つまたは複数を通過するように配置されており、長手方向孔部のうちの少なくとも1つが、母材が通過するチャンバの隣に配置されているチャンバの中で終端するようになっている。
【0006】
特許文献3は、フォトニック結晶光ファイバまたはフォトニックバンドギャップ光ファイバの製作方法を開示しており、その方法は、外径の中に、各々が母材の第1の端部から母材の第2の端部へ延在している複数の孔部を有する完全な母材を用意する工程と、少なくとも1つの半径方向内向きに延在するスロットであって、孔部のうちの少なくともいくつかと交差するが少なくとも1つの孔部とは交差していない前記スロットを母材の中に形成する工程とを備える。この方法は、スロットに第1の圧力を導入することによって、スロットと交差する孔部の中に第1の圧力を生じさせる工程と、スロットと交差していない少なくとも1つの孔部の端部に第2の圧力を導入することによって、スロットと交差していない少なくとも1つの孔部の中に第2の圧力を生じさせる工程とを備える。この方法は、第1および第2の圧力を独立して制御しながら、母材をファイバへと線引きする工程をさらに備える。
【0007】
特許文献4は、ゾルゲル法を使用して、微細構造光ファイバ用の母材を作製する方法を開示しており、説明されている母材は、同心円状のチューブと、その同心円状のチューブ間に設置された複数のチューブおよび/またはロッドとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6954574号明細書
【特許文献2】米国特許第8215129号明細書
【特許文献3】米国特許第7793521号明細書
【特許文献4】国際公開第03/078338号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一実施形態では、母材の製造を先行技術方法よりも簡単にできる微細構造光ファイバ母材用の母材要素を提供することを目的とする。
一実施形態では、母材の製造を先行技術方法よりも経済的に有益にできる微細構造光ファイバ母材用の母材要素を提供することを目的とする。
【0010】
一実施形態では、ファイバの長さに沿って延在する複数の孔部を有する微細構造光ファイバ用の母材要素を提供することを目的とする。
一実施形態では、長手方向孔部の直径が高い精度で制御でき、比較的簡単で、ファイバ設計の自由度を向上できる微細構造光ファイバを製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これらのおよび他の目的は、特許請求の範囲で定義された本発明によって、および、本明細書で下記に説明されている実施形態によって解決される。
本発明またはその実施形態は、複数の追加の利点を有していることが見出され、それは、以下の説明から当業者に明らかになろう。
【0012】
「半径方向の距離」という用語は、中心軸線に対して垂直な半径方向に決定される距離を意味している。「半径方向」という語句は、中心軸線から半径方向外向きの方向、または、中心軸線に向けて半径方向内向きの方向である。本明細書において、「実質的に」という用語は、通常の製造物の分散および公差が含まれていることを意味すると見なされるべきである。
【0013】
「微細構造ファイバ」および「微細構造光ファイバ」という用語は、相互交換可能に使用されており、この文脈において、フォトニック結晶ファイバ、フォトニックバンドギャップファイバ、リーキーチャネルファイバ、ホーリーファイバなどのような、微細構造を有するファイバを包含することを意味している。微細構造光ファイバは、コア領域と、コアを取り囲むクラッディング領域とを有し、クラッディング領域は、異なる屈折率を有するいくつかの層および/またはクラッディングサブ領域を有することができ、そのようなサブ領域は、通常、内側クラッディング領域、外側クラッディング領域、および任意選択でさらなる領域と称されることがあり、ここで、内側および外側は、光ファイバ、母材、または母材要素の中心軸線からの半径方向に決定される。コア領域およびクラッディング領域という用語が母材または母材要素について使用される場合、これらの用語は、母材要素を備える母材アセンブリがファイバへと線引きされた後の領域を表す。別段の記述がない限り、屈折率は、通常、コア領域、および、コア領域を取り囲むそれぞれのクラッディング層に関して、および/または、任意選択で、それぞれのクラッディングサブ領域に関して別々に計算される平均屈折率を表している。クラッディング層は、所定の厚さを有する層として定義され、その層は、コア領域を取り囲み、そこでは、屈折率が実質的に均質になっており、または、その層が、実質的に均質な屈折率を有するベース材料、および、均一なパターンで配置された複数の微細構造を有している。
【0014】
「約」という用語は、概して測定不確かさの中にあるものを含むために使用されている。本明細書において、「約」という用語は、範囲に関して使用されるときには、測定不確かさの中にあるものがその範囲の中に含まれていることを意味すると見なされるべきである。
【0015】
「長手方向孔部」という用語は、孔部が、概して母材リング要素の長さに沿って延在しており、たとえば、孔部の長さに沿って、または、ある長さ部分に沿って延在していることを意味している。「孔部」という用語は、他に何かが明記されていない限り、「長手方向孔部」を意味している。
【0016】
本明細書において使用される「含む、備える」という用語は、開放型の用語として解釈されるべきであることが強調されるべきであり、すなわち、それは、具体的に述べられている特徴、たとえば、要素、ユニット、整数、工程、コンポーネント、および、それらの組み合わせなどの存在を明記していると見なされるべきであり、1つまたは複数の他の述べられている特徴の存在または付加を除外していない。
【0017】
明細書または特許請求の範囲の全体を通して、単数形は、別段の定めがない限り、または、文脈によって要求されていない限り、複数形を包含している。
本発明によれば、母材およびそれから線引きされるファイバの製造において、本発明による母材要素を使用することは、極めて有利であることが見出された。したがって、母材要素は、任意で追加の母材要素とともに、ビルディングブロックとして使用され得る。したがって、それによって、微細構造光ファイバおよび母材の非常にフレキシブルなおよびコスト効率の良い製造方法が提供されている。
【0018】
特に、1つまたは複数の追加の母材要素とは別々に、本発明の実施形態による母材要素を製造することは、非常にコスト効率が良いことが見出された。その理由は、本発明の実施形態による母材要素が、交差するスロットを設けることを備える工程の間に損傷を受ける場合にも、追加の母材要素は、損傷を受けることとはならず、したがって、依然として使用され得るからである。
【0019】
「追加の母材要素」という用語は、本発明の実施形態による母材要素に対して、追加の母材要素を意味するために使用されており、ここで、追加の母材要素は、本発明の実施形態による母材要素であってもなくてもよい。
【0020】
「母材要素」という用語は、概して本発明の実施形態による母材要素を意味している。
さらに、長手方向孔部のうちの1つまたは複数と交差するスロットを介して、非常に有益な方式で、高い精度で、圧力制御が可能となり得るという点で、母材要素は、母材要素の長手方向孔部の中の圧力を制御する所望の方法を確保することが見出された。さらに、母材要素に起因して、母材の追加の母材要素とともに母材要素を組み立てる前に、このスロットが設けられ得る。これは、はるかに簡単である可能性がある。その理由は、母材要素は、交差するスロットを作る間に、最終的な母材アセンブリよりも、取り扱うのが簡単であり得るからであり、さらに、母材アセンブリを損傷させるリスクが低減され得る。
【0021】
母材要素は、長さと、その長さに沿う中心軸線と、その長さによって画定される第1および第2の端部、ならびに、母材要素外側表面を有している。母材要素は、バックグラウンド材料の中に長手方向孔部を形成するように設けられる複数の長手方向構造体を備える。母材要素は、少なくとも1つのスロットを有し、少なくとも1つのスロットは、その母材要素外側表面から延在し、長手方向孔部のうちの少なくとも1つと交差しており、少なくとも1つのスロットは、母材要素と完全には交差していない。
【0022】
交差するスロットは、母材アセンブリをファイバへと線引きする間に、交差された孔部の中の圧力制御を可能にするように適合されている。母材要素は、最終的な母材を構成していないが、少なくとも1つの追加の母材要素とともに組み立てられ、母材アセンブリを形成する必要があり、光ファイバは、母材アセンブリに関して線引きされ得る。
【0023】
下記にさらに説明されるように、母材要素は、有利には、母材中央要素または母材リング要素であり得るが、しかし、母材要素が、母材アセンブリの他のパーツ、たとえば、ハーフ母材リング要素などを形成可能であることは除外されない。
【0024】
背景技術において説明したように、微細構造光ファイバへの母材の線引きの間に、孔部の圧力を制御することが周知である。たとえば、特許文献3(米国特許第7793521号明細書)に開示されている方法は、線引きの間に孔部圧力を制御する有利な方式を説明している。しかし、この方法は、圧力制御されることになる孔部と交差するように、最終的な母材の中に半径方向内向きに延在するスロットを設けることを必要とする。最終的な母材の高い壊れやすさに起因して、そのようなスロットを作製しようとする間に、たとえば、深くまでカットすることによって、または、母材を完全に破壊することによって、母材が損傷を受けることが頻繁に起こる可能性がある。そのようなケースでは、特許文献3(米国特許第7793521号明細書)の方法において、全体の母材が廃棄されなければならない。
【0025】
本発明において、スロット、たとえば、半径方向内向きに延在するスロットは、事前線引き(pre-drawing)の前または後に、母材要素の中に簡単に作成され得る。その段階において、母材要素は、取り扱うのがはるかに容易であり、深くカットし過ぎる任意のリスクが低減され得る。さらに、スロットのカッティングの間に母材要素が損傷を受ける場合にも、この母材要素だけ、または、カットされ得るその部分だけが廃棄されることになり、全体の母材は廃棄されることとはならない。母材要素は、後で使用するために保管される(shelved)ように製造され得、また、本発明に起因して、最終的な母材アセンブリの製造において使用する準備ができた母材要素のストックを有することは、非常に有利である。それによって、母材要素がスロットカッティングの間に損傷を受ける場合には、それは、新しい母材要素と簡単に交換され得、それによって、いかなる遅れも、低減されるかまたは完全に回避され得る。
【0026】
好ましくは、複数の長手方向構造体は、バックグラウンド材料の中に閉じ込められ、および/または、バックグラウンド材料の一部を形成しており、母材要素の長さ方向に延在しており、複数の長手方向構造体のうちの1つまたは複数は、長手方向孔部を形成している。バックグラウンド材料は、たとえば、中実の長手方向構造体によって、および/または、中空の長手方向構造体、たとえば、中空チューブなど、たとえば、キャピラリチューブの材料によって、完全にまたは部分的に提供され得る。
【0027】
「中に閉じ込められている」という用語は、バックグラウンド材料を形成する下記に説明されているケインなどのような要素によって、長手方向構造体が適切な位置に機械的にロックまたは保持されていることを意味するために使用されている。
【0028】
一実施形態では、複数の長手方向構造体のうちの1つまたは複数は、長手方向孔部を備えた中空チューブであり、および/または、長手方向孔部は、長手方向構造体間に形成された長手方向のインタースペース孔部であり、その母材要素外側表面から延在する少なくとも1つのスロットは、中空チューブの孔部のうちの少なくとも1つ、および/または、インタースペース孔部のうちの少なくとも1つと交差している。
【0029】
長手方向構造体、および、もしある場合には、母材要素のさらなるパーツは、原理的には、光ファイバがそれから線引きされ得る任意の材料製であり得る。適切な材料は、任意の種類のガラス、たとえば、シリカガラス、軟質ガラス、カルコゲナイドガラス、または、それらの任意の組み合わせなどを含む。
【0030】
長手方向構造体は、原理的には、光ファイバに適用され得る任意の種類の長手方向構造体であり得る。長手方向構造体は、原理的には、母材要素の任意の長さに延在し得る。有利には、母材リング要素は、母材要素の実質的に全体の長さに延在している。
【0031】
長手方向孔部は、1つまたは複数の中空チューブを使用することによって、および/または、隣接する長手方向構造体の間に長手方向のインタースペース孔部を形成するように、長手方向構造体を配置することによって、提供され得る。
【0032】
一実施形態では、長手方向構造体は、1つまたは複数の中実の構造体、たとえば、ロッドなどを備える。
一実施形態では、長手方向構造体は、1つまたは複数の中空チューブ、たとえば、キャピラリチューブなどを備える。有利には、中空チューブは、ガラス、たとえば、シリカガラス、軟質ガラス、カルコゲナイドガラス、または、それらの任意の組み合わせなどのものであり、任意選択で、中空チューブのガラスは、1つまたは複数のドーパント、たとえば、1つまたは複数の屈折率変更ドーパント(index changing dopant)など、たとえば、Ge、B、F、P、Alなど、および/または、1つまたは複数の活性材料ドーパント、たとえば、希土類元素ErまたはYbなどを含む。
【0033】
有利には、バックグラウンド材料は、ガラス、たとえば、シリカガラス、軟質ガラス、カルコゲナイドガラス、または、それらの任意の組み合わせなどであり、任意選択で、バックグラウンド材料は、1つまたは複数のドーパント、たとえば、1つまたは複数の屈折率変更ドーパントなど、たとえば、Ge、B、F、P、Alなど、および/または、1つまたは複数の活性材料ドーパント、たとえば、希土類元素ErまたはYbなどを含む。
【0034】
概して母材要素が複数の長手方向構造体を備え、複数の長手方向構造体は、母材要素中に分配されており、最終的な微細構造光ファイバに所望の光学的な機能を提供し、たとえば、クラッディングの一部に、たとえば、微細構造光ファイバの層および/またはクラッディングサブ領域などに、所望の効果的な屈折率を提供することが望ましい。
【0035】
長手方向構造体は、好ましくは、中心軸線に対して実質的に平行になるように配置されており、好ましくは、実質的に母材要素の全長に延在している。一実施形態では、長手方向構造体は、中心軸線を螺旋状に取り囲むように配置されている。そのような母材リング要素は、CCC(chirally-coupled-core)ファイバの製造において有利である。
【0036】
一実施形態では、複数の中空チューブの各々は、母材要素の中心軸線に対して実質的に平行な複数の長手方向孔部を有し、各中空チューブの複数の孔部は、好ましくは複数の孔部からなる少なくとも1つのリング、および任意選択で中央孔部、を備える所定の断面パターンで配置されている。
【0037】
一実施形態では、それぞれの中空チューブは、単一の長手方向孔部を有し、たとえば、中空チューブは、キャピラリチューブの形態である。
一実施形態では、中空チューブは、いくつかの長手方向孔部、たとえば、中空チューブの長さ方向に延在する複数の実質的に平行な孔部をそれぞれ含む。2つ以上の孔部を備えた中空チューブを適用することによって、さらに下記に説明されるように、母材要素を有する母材から微細構造光ファイバを提供することが、より簡単になり得る。一実施形態では、中空チューブは、3個以上の孔部を有している。一実施形態では、中空チューブは、6個以上の孔部、たとえば、少なくとも9個の孔部を有している。中空チューブの孔部は、有利には、複数の孔部からなる少なくとも1つのリング、および任意選択で中央孔部、を備える所定の断面パターンで配置されている。
【0038】
本明細書において、「複数の孔部からなるリング」という語句は、複数の孔部の断面リング形状のパターンを意味するものとして解釈されるべきであり、孔部間の中間材料ブリッジが隣接する孔部を互いに分離している。換言すれば、「複数の孔部からなるリング」は、断面カットで見たときに、孔部とブリッジとが交互になって構成されている。それぞれのブリッジは、複数の孔部からなるリングにおいて2つの隣接する孔部の間の最短の距離として決定される最小幅を有している。
【0039】
2つ以上の孔部を備えた中空チューブは、マルチ中空チューブとも称される。
一実施形態では、複数の長手方向構造体は、複数の長手方向構造体からなる少なくとも1つのリングを備える。
【0040】
「複数の長手方向構造体からなるリング」という語句は、リングを形成するように横並び配列で配置された、複数の中実の構造体、複数の中空チューブ、または、それらの組み合わせの形態の複数の長手方向構造体を意味するものとして解釈されるべきである。
【0041】
一実施形態では、母材要素は、その中心軸線の周りの回転に関するn回回転対称性を有しており、ここで、nは、500までであり、たとえば100までであり、たとえば50までであり、たとえば2~20である。
【0042】
有利には、長手方向構造体は、実質的に母材要素の全体長さに延在している。
有利には、母材要素は、スロットの形成前(perform)に少なくとも部分的に溶融される。
【0043】
一実施形態では、複数の長手方向構造体のうちの少なくとも1つ、たとえば、複数の長手方向構造体のうちの少なくともすべては、中空チューブであり、および/または、母材要素は、1つまたは複数のインタースペース孔部を有し、母材要素は、少なくとも1つのスロットを有し、少なくとも1つのスロットは、その母材要素外側表面から延在しており、また、中空チューブの孔部のうちの少なくとも1つ、および/または、インタースペース孔部のうちの少なくとも1つと交差しており、少なくとも1つのスロットが母材要素と完全には交差しないようになっている。好ましくは、少なくとも1つのスロットは、中空チューブの孔部および/またはインタースペース孔部のうちの複数と、たとえば、半分または実質的にすべてと交差する環状のスロットである。
【0044】
実際には、スロットは、スロットが母材要素の中に作られているという相違を伴って、特許文献3(米国特許第7793521号明細書)に説明されているようなものであり得る。
【0045】
一実施形態では、少なくとも1つのスロットは、その母材要素外側表面からの、母材要素の中の半径方向内向きのカットの形態である。スロットは、中心軸線に対して実質的に垂直であってよく、または、それは、中心軸線に対して垂直な断面平面に対して角度を有してよく、たとえば、約45度まで、たとえば約25度まで、たとえば約15度までといった角度を有する、たとえば、斜めの環状のカットの形態になっていてよい。実際には、中心軸線に対して実質的に垂直になるようにスロットを準備することが、より簡単である。
【0046】
有利には、少なくとも1つのスロットは、中空チューブの孔部のうちの複数、および/または、インタースペース孔部のすべてと交差する環状のスロットであり、好ましくは、たとえば、中空チューブの孔部の実質的にすべて、および/または、母材クラッディング領域または母材外側クラッディング領域のインタースペース孔部のすべてが前記環状のスロットと交差している。
【0047】
母材要素は、交差されることになる所望の孔部と一緒に交差する、いくつかのスロット、たとえば、1つまたは複数のアーチ形状のスロットを有してよい。一実施形態では、母材要素は、各々が母材要素外側表面に対して少なくとも約50度の、たとえば、80度~約350度の、たとえば、約150度~約180度の円弧形状を有する複数の円弧形状のスロットを備える。複数のスロットは、たとえば、母材要素中心軸線に沿って軸線方向に変位され得る。
【0048】
いくつかの軸線方向に変位されたスロットを母材要素に設けることによって、スロットは、母材要素の高い機械的な安定性を同時に確保しながら、比較的に多くの孔部と交差するように提供され得る。
【0049】
一実施形態では、母材要素は、互いに対して回転変位とともに配置されている、2つ以上の円弧形状のスロットを備える。
一実施形態では、母材要素は、特許文献3(米国特許第7793521号明細書)に説明されているような相対的な構成によって配置されている、2つ以上の円弧形状のスロットを備える。
【0050】
スロットは、実際には、好ましくは、母材要素の第1の端部から遠過ぎない任意の位置に位置決めされ得る。したがって、母材要素の第1の端部は、圧力制御が提供されるように適合されている端部であり、また、母材要素の第2の端部は、微細構造光ファイバが線引きされるように適合されている端部である。
【0051】
一実施形態では、少なくとも1つのスロットは、母材要素の第1の端部から所定の距離に位置決めされており、所定の距離は、母材要素の長さの1/10までであり、距離は、好ましくは、少なくとも約0.5mm以上であり、たとえば少なくとも約5mm以上であり、たとえば約1cm以上である。述べられているように、スロットが第1の端部から離れ過ぎていないことが望まれる。その理由は、微細構造光ファイバに線引きされ得る母材要素の一部は、最大でも第2の端部からスロットへの間にあり、当然ながら、不必要に母材要素の長さを無駄にすることは望まれないからである。
【0052】
有利には、母材要素外側表面から前記少なくとも1つの交差された孔部のうちの半径方向に最も外側のものへの距離は、母材要素直径の約1/8未満であり、たとえば、母材直径の約1/10未満であり、たとえば、1cm未満であり、たとえば、約0.5cm未満であり、たとえば、約3mm未満である。外側表面から交差された孔部への距離を可能な限り短く維持することによって、スロットを作る間に母材要素を損傷させるリスクが極めて低減され得る。母材要素がオーバークラッディングチューブの形態の追加の母材要素とともに組み立てられるように適合されている場合に、この実施形態は、特に有用である。オーバークラッディングチューブは、母材アセンブリおよび最終的な光ファイバに機械的な強度を提供し、多くの光ファイバに関して、そのようなオーバークラッディングチューブは、低い光の漏れを確保するために必要とされ、さらに、オーバークラッディングチューブは、コア領域材料よりも低い純度、および、好ましくは、また、コア領域を直接に取り囲んでいるクラッディング材料よりも低い純度を有する、より安価なガラス材料から作製され得る。オーバークラッディングチューブは、たとえば、シリカ、または、フッ素がドープされたシリカ製であり得る。
【0053】
一実施形態では、(中空チューブまたはインタースペース孔部から生じる)交差された孔部は、スロットから第1の端部への位置において、たとえば、母材の第1の端部において、および/または、第1の端部を向く交差部において、および/または、それらの間の位置において、閉じられる。
【0054】
一実施形態では、交差された孔部は、そのような孔部を閉じるために作られた追加のスロットにおいて閉じられる。交差された孔部は、エポキシまたは同様のシーリング材料のような、閉鎖材料を使用することによって閉じられ得、および/または、交差された孔部が、孔部を潰すために熱を加えることによって閉じられ得る。
【0055】
上記に述べられているように、母材要素は、有利には、母材中央要素であり得る。母材中央要素は、母材中央要素を取り囲む少なくとも1つの追加の母材要素とともに組み立てられるように適合されている。少なくとも1つの追加の母材要素は、本発明の実施形態による母材リング要素のような、追加の母材リング要素であり得る。
【0056】
母材中央要素は、少なくとも、母材コア領域と、母材コア領域を取り囲む母材クラッディング領域とを有し、長手方向孔部を形成する複数の長手方向構造体は、母材クラッディング領域に設けられる。孔部は、原理的には、好ましくは、孔部のパターンを有する断面構成によって配置され得る。有利には、孔部は、断面6角形または8角形のパターンで配置されている。
【0057】
一実施形態では、母材クラッディング領域は、母材コア領域を取り囲む母材内側クラッディング領域と、母材内側クラッディング領域を取り囲む母材外側クラッディング領域とを有し、長手方向孔部を形成する複数の長手方向構造体は、母材外側クラッディング領域に設けられる。それによって、母材外側クラッディング領域の中の長手方向孔部は、スロットを介して、線引きの間の圧力制御を受け得る。
【0058】
一実施形態では、複数の長手方向構造体は、母材クラッディング領域に複数の長手方向孔部からなるリングを形成するように設けられる。そのような複数の長手方向孔部からなるリングは、たとえば、母材要素を有する母材から線引きされたファイバ中に空気クラッディングを形成するように適合され得る。スロットを介して複数の孔部からなるリングに圧力制御にかけることによって、極めて正確な圧力制御が、取得され得、また、実現される空気クラッディングの空気充填ファクターは、望ましくは、高くなり得る。
【0059】
上記に述べられているように、母材要素は、有利には、母材リング要素であり得る。母材リング要素は、有利には、少なくとも追加の母材中央要素、任意選択で、1つまたは複数の追加の母材リング要素、および、任意選択で、オーバークラッディングチューブを備える少なくとも1つの追加の母材要素とともに組み立てられるように適合されている。
【0060】
一実施形態では、本発明の実施形態の母材リング要素は、長さとその長さに沿う中心軸線とを有するリング形状の壁部を備える。母材リング要素は、母材要素外側表面、母材要素内側表面、ならびに、その長さによって画定される第1および第2の端部を有している。母材リング要素は、リング壁部バックグラウンド材料および複数の長手方向構造体を有し、複数の長手方向構造体は、リング壁部バックグラウンド材料の中に閉じ込められており、母材の長さ方向に延在している。
【0061】
複数の長手方向構造体のうちの1つまたは複数は、母材リング要素の中に長手方向孔部を形成している。母材リング要素は、少なくとも1つのスロットを有し、少なくとも1つのスロットは、その母材要素外側表面から延在しており、また、長手方向孔部のうちの少なくとも1つと交差しており、少なくとも1つのスロットが、リング壁部と完全には交差しないようになっている。「リング形状の壁部の長さ」および「母材リング要素の長さ」という語句は、相互交換可能に使用されている。
【0062】
母材リング要素は、母材中央要素とともに組み立てられるように適合され得、母材中央要素は、微細構造光ファイバに線引きされるための最終的なファイバ母材のコア部を備える。
【0063】
本発明の実施形態の(追加の)母材中央要素および(追加の)母材リング要素を別々に製造することによって、はるかに簡単な製造が取得され得、また、母材要素は、比較的に長い長さで製造され得、所望の長さにカットされ得、選択される母材中央要素とともに後に使用するために貯蔵され得る。
【0064】
母材リング要素は、有利には、中空の外側ケインの内側に中空の内側ケインを配置することによって、および、内側ケインと外側ケインとの間に長手方向構造体を配置することによって提供され得る。
【0065】
リング壁部バックグラウンド材料は、任意の屈折率を有してよく、ドープされていてもよいし、ドープされていなくてもよい。
一実施形態では、リング壁部バックグラウンド材料には、たとえば内側ケインによって提供される、リング壁部内側バックグラウンド材料、および、たとえば外側ケインによって提供される、リング壁部外側バックグラウンド材料が含まれ、内側および外側バックグラウンド材料は、同じでもよくまたは互いに異なっていてもよい。内側および外側バックグラウンド材料は、たとえば、屈折率、Ge、B、F、P、Alといった屈折率変更ドーパント、および/または、希土類元素ErまたはYbといった活性材料ドーパントの点で互いに異なっていてもよい。
【0066】
一実施形態では、内側および外側バックグラウンド材料は、実質的に、活性材料ドーパントがない。
一実施形態では、内側リング壁部内側バックグラウンド材料は、フッ素がドープされたシリカであり、外側バックグラウンド材料は、シリカがドープされていない。
【0067】
母材リング要素の要素、すなわち、リング壁部バックグラウンド材料および長手方向構造体を形成する要素は、原理的には、光ファイバがそれから線引きされ得る任意の材料製であり得る。適切な材料には、任意の種類のガラス、たとえば、シリカガラス、軟質ガラス、カルコゲナイドガラス、または、それらの任意の組み合わせが含まれる。
【0068】
リング壁部バックグラウンド材料の中に閉じ込められている長手方向構造体は、原理的には、光ファイバに適用され得る任意の種類の長手方向構造体であり得る。長手方向構造体は、原理的には、母材リング要素の任意の長さに延在してよい。有利には、母材リング要素は、母材リング要素の実質的に全体の長さに延在している。
【0069】
概して、母材リング要素が複数の長手方向構造体を備え、複数の長手方向構造体は、母材リング要素のリング形状の壁部に分配されており、最終的な微細構造光ファイバに所望の光学的な機能をもたらし、たとえば、クラッディングの一部に、たとえば微細構造光ファイバの層および/またはクラッディングサブ領域に、所望の効果的な屈折率をもたらすことが望まれている。
【0070】
長手方向構造体が複数の長手方向構造体からなるリングに配置されている実施形態では、複数の長手方向構造体からなるリングは、接触している複数の長手方向構造体からなるリングを含み、そこでは、長手方向構造体は、それらの長さに沿って、隣接する長手方向構造体と接触している構成で配置されている。複数の長手方向構造体からなるリングは、代替的に、非接触の複数の長手方向構造体からなるリングであり、そこでは、長手方向構造体は、それらがそれらの長さに沿って隣接する長手方向構造体に接触していない構成で配置されており、それによって、インタースペース孔部を形成している。
【0071】
本明細書において、「インタースペース孔部」という用語は、隣接する長手方向構造体の間に提供される長手方向孔部を指すために使用されている。
距離構成体は、有利には、長手方向構造体の距離を制御するために、母材要素の長さに沿って、2つ以上の位置において配置されている。一実施形態では、少なくとも1つの距離構成体は、母材要素のそれぞれの端部に配置されており、たとえば、長手方向構造体間に配置されているブラインド要素の形態になっており、長手方向構造体間に所望の距離を提供し、母材要素の長手長さ方向に延在する、好ましくは、ブラインドを除く母材要素の全体の長さに延在する、インタースペース孔部を形成している。ブラインドは、たとえば、シリカロッドのある部分であり得る。原理的には、ブラインドは、任意の長さを有してよいが、有利には、ブラインドは、不必要な材料を無駄にしないために、比較的に短くなるように選択される。同時に、ブラインドは、有利には、母材リング要素の高い安定性を確保するのに十分に長くなっているべきである。ブラインドの長さは、たとえば、母材長さの50%までである。実際には、ブラインドは、距離要素として位置するのに依然として十分に大きくなっていながら、可能な限り短くなっていてよい。
【0072】
一実施形態では、リング壁部バックグラウンド材料の中に閉じ込められている長手方向構造体は、中実の構造体を含む。中実の構造体は、有利には、リング壁部バックグラウンド材料の屈折率とは異なる屈折率を有する中実の構造体である。中実の構造体は、シリカなどのような、リング壁部バックグラウンド材料と同じ材料のものであってもよく、または、リング壁部バックグラウンド材料とは異なる材料であってもよく、また、それは、たとえば、異なる屈折率を有するようにドープされていてもよい。一実施形態では、母材リング要素は、中実の複数の長手方向構造体からなるリングを含み、中実の長手方向構造体のうちの少なくともいくつかは、リング壁部バックグラウンド材料の屈折率とは異なる屈折率を有している。
【0073】
一実施形態では、複数の中実の構造体からなるリングは、非接触の複数の中実の構造体からなるリングを含み、そこでは、複数の中実の構造体は、それらがそれらの長さに沿って隣接する中実の構造体と接触していない構成で配置されており、それによって、上に説明したようなインタースペース孔部を形成している。距離構成体は、有利には、隣接する中実の構造体の間の距離を制御するために、母材リング要素の長さに沿って、2つ以上の位置に配置され得、それによって、長手方向のインタースペース孔部のサイズを画定している。
【0074】
母材リング要素が、異なる屈折率を有するリング壁部内側バックグラウンド材料およびリング壁部外側バックグラウンド材料を含む実施形態では、好ましくは、中実の長手方向構造体のうちの少なくともいくつかは、リング壁部内側バックグラウンド材料およびリング壁部外側バックグラウンド材料のうちの少なくとも1つとは異なる屈折率を有している。リング壁部内側バックグラウンド材料およびリング壁部外側バックグラウンド材料は、有利には、さらに下記に説明されているように、中空の内側ケインおよび中空の外側ケインによって提供され得る。
【0075】
一実施形態では、リング壁部バックグラウンド材料の中に閉じ込められている長手方向構造体は、中空チューブの長さに沿って、および、好ましくは、母材リング要素の長さに沿って延在する孔部、すなわち、長手方向孔部を有する少なくとも1つの中空チューブを備える。中空チューブは、好ましくは、母材リング要素の中心軸線に実質的に平行である。
【0076】
好ましくは、母材要素、たとえば、母材中央要素または母材リング要素は、複数の中空チューブからなるリングを備える。
たとえば、孔部が、その端部のうちの一方または両方において、および/または、さらに下記に説明されているように、スロットにおいて、閉じられ得ることを除いて、中空チューブの1つまたは複数の孔部は、好ましくは、実質的に、中空チューブの全長に延在している。
【0077】
「複数の中空チューブからなるリング」という語句は、たとえば、リング形状の壁部に対応して、横並び配列で配置されている複数の中空チューブを意味するものとして解釈されるべきであり、たとえば、複数の中空チューブからなるリングが、リング形状の壁部と同心円状になっており、または、代替的に、6角形または8角形の配置になっている。
【0078】
一実施形態では、複数の中空チューブからなるリングは、接触している中空チューブを含み、そこでは、中空チューブは、それらの長さに沿って、隣接する中空チューブと接触している構成で配置されている。複数の中空チューブからなるリングは、代替的に、非接触の複数の中空チューブからなるリングであり、そこでは、中空チューブは、それらがそれらの長さに沿って隣接する中空チューブに接触していない構成で配置されており、それによって、長手方向のインタースペース孔部を形成している。たとえば上記に説明されているように、距離構成体が、有利には、中空チューブの距離を制御するために、母材リング要素の長さに沿って、2つ以上の位置に配置され得、それによって、長手方向のインタースペース孔部のサイズを画定している。
【0079】
一般的に、長手方向孔部は、同じ断面形状を有していてもよく、または、異なる断面形状を有していてもよい。
母材要素が中空チューブの孔部およびインタースペース孔部から生じる孔部を有する実施形態では、中空チューブ孔部およびインタースペース孔部は、そのサイズおよび断面形状が同じでもよく、または、異なっていてもよい。それによって、大きい設計の自由が取得され得る。
【0080】
一実施形態では、母材リング要素は、中空チューブ、たとえば、マルチ中空チューブを含み、中空チューブは、たとえば、上記に議論されている材料のような、1つまたは複数のリング壁部バックグラウンド材料と同じまたは異なる材料製であり得る。
【0081】
長手方向構造体は、原理的には、任意の断面周辺部、たとえば、丸形、方形、または、任意の数の角度を備えたものを有してよい。母材要素が、下記に説明されているように、溶融および/または事前線引きされる場合に、長手方向構造体は、所定の断面周辺部を有するように変形され得、所定の断面周辺部は、母材要素が母材リング要素である場合に、おおよそ方形または矩形であり、また、母材要素が母材中央要素である場合に、おおよそ方形、6角形、または8角形である。
【0082】
一実施形態では、長手方向構造体は、複数の長手方向構造体からなるリングで配置されており、各長手方向構造体は、大きいクロス寸法(cross dimension)および短いクロス寸法を有するおおよそ矩形になっており、好ましくは、長手方向構造体は、それらのそれぞれの大きいクロス寸法が実質的に半径方向になっている状態で配置されている。
【0083】
母材要素が母材リング要素である実施形態では、リング壁部は、母材要素内側表面から母材要素外側表面へ決定される任意の厚さを有してよい。実際には、リング壁部の厚さは、リング形状の環状の延在に沿って、異なっていてもよく、または、同じでもよい。好ましくは、リング壁部厚さは、その長さに沿って実質的に均一になっており、それは、母材リング要素を1つまたは複数の追加の母材要素とともに最終的な母材アセンブリに組み立てること、および、母材アセンブリから微細構造光ファイバに線引きすることを、より簡単にする。
【0084】
一実施形態では、リング壁部は、少なくとも断面において、好ましくは、その全体の長さにおいて、その環状の延在に沿って、実質的に同一の厚さを有しており、より好ましくは、母材リング要素は、厚さに関して、その中心軸線において実質的に円形対称的である。
【0085】
リング壁部は、母材要素内側表面によって画定される平均内径(ID)、および、母材要素外側表面によって画定される平均外径(OD)を有している。
平均内径(ID)および平均外径(OD)は、任意のサイズを有してよく、ここで、OD>IDである。実際には、平均内径(ID)は、有利には、小さくなり過ぎないべきである。母材中央要素とともに組み立てられることになる母材リング要素の平均内径(ID)が、大き過ぎる平均内径(ID)を有する場合には、母材リング要素は、所望の平均内径(ID)を取得するように事前線引きされ得る。
【0086】
一般的に、平均内径(ID)は、少なくとも約1mm、たとえば、少なくとも約2mm、たとえば少なくとも約3mm、たとえば、少なくとも約5mm、たとえば、少なくとも約8mmであることが望まれる。
【0087】
平均内径(ID)および平均外径(OD)は、有利には、母材リング要素の長さに沿って実質的に一定であり、好ましくは、(OD-ID)×0.5によって定義される母材リング要素の厚さは、約0.3mm~約2cmであり、たとえば、約1mm~約1cmであり、たとえば、約3mm~約6mmである。
【0088】
実際には、好ましくは、母材リング要素の少なくとも1つの断面におけるID/ODが、約0.3~約0.95であるように、たとえば、約0.7~約0.9であるように、IDおよびODの相対的なサイズが選択される。
【0089】
一実施形態では、リング壁部は、中空の内側ケインと、中空の外側ケインと、内側ケインと外側ケインとの間に閉じ込められている複数の長手方向構造体とを備える。
一実施形態では、リング形状の壁部バックグラウンド材料の中の適切な場所に、たとえば、中空の内側ケインと中空の外側ケインとの間に保持されることによって、長手方向構造体は閉じ込められている。長手方向構造体が閉じ込め状態から滑り出るいかなるリスクもなしに、母材リング要素の安全な取扱いを確保するために、長手方向構造体は、母材リング要素の一方または両方の端部において、および/または、母材リング要素の一部において位置決めされた保持構成体によって、適切な位置に保持され得、たとえば、長手方向構造体およびリング形状の壁部バックグラウンド材料は、一緒に溶融され得る。保持構成体は、同時に、任意選択の孔部を閉じる役割を果たしてよく、および/または、上記に説明されているような距離構成体としての役割を果たしてよい。
【0090】
中空の内側ケインおよび中空の外側ケインは、同じか異なるケイン壁部厚さを有してよく、また、それらは、同じか異なる材料製であってよく、および/または、同じか異なる屈折率を有してよい。
【0091】
一実施形態では、中空の内側ケインは、内側ケイン壁部厚さを有しており、外側ケインは、外側ケイン壁部厚さを有しており、内側ケイン壁部厚さおよび外側ケイン壁部厚さは、互いに独立して、約1mm~約1cmであり、たとえば、約2mm~約5mmである。
【0092】
中空の内側ケインは、内側ケイン平均内径(ICID)および内側ケイン平均外径(ICOD)を有しており、中空の外側ケインは、外側ケイン平均内径(OCID)および外側ケイン平均外径(OCOD)を有している。
【0093】
ICID/ICODおよびOCID/OCODは、好ましくは、互いに独立して、約0.3~約0.95であり、たとえば、約0.7~約0.9である。
説明されているように、母材要素は、追加の母材要素とともに組み立てられる前に、所望の内径に事前線引きされ得る。したがって、母材要素が母材リング要素である場合に、母材リング要素の内径および外径の相対的なサイズ、ならびに、内側および外側ケインの相対的なサイズは、実際のサイズよりも重要であり、また、有利には、母材リング要素は、実際に最終的な母材における使用に関して必要とされることが予期されるものよりも大きい内径で、最初に製造される。
【0094】
追加の母材要素とともに組み立てられることになる母材要素は、原理的には、取扱い可能な任意の長さを有してよく、一般的に、母材要素は、たとえば、事前線引きの後に、組み立てられるためのその状態において、約50cmから約150cmの長さを有することが望まれる。一実施形態では、母材要素は、約1.5mまでの、たとえば約1mまでの、たとえば約0.5mまでの長さを有するように最初に製造される。その後に、母材要素は、より大きい長さを有するように事前線引きされ得、事前線引きの後または間に、それは、より短い長さのいくつかの母材要素へカットされ、および/または、最初に製造された母材要素が、より短い長さの、たとえば、それぞれ50~150cmのいくつかの母材要素へカットされ、その前に、それぞれのより短い長さの母材要素が、最終的な母材アセンブリのために追加の母材要素とともに組み立てられる前に、事前線引きされ得る。
【0095】
一実施形態では、母材リング要素は、少なくとも約5mmの、たとえば、少なくとも約10mmの、たとえば、約15cm~約5cmの、または、さらには10cmの内径を有している。
【0096】
一実施形態では、母材リング要素のリング壁部は、厚さに関して完全な回転対称性を有している。実際には、そのような母材リング要素を取り扱うのは、より簡単である。その理由は、それらは、追加の母材要素とともに組み立てるのにより簡単であるからである。
【0097】
代替的に、母材リング要素のリング壁部は、厚さに関して、その中心軸線においてn回回転対称性を有することが可能であり、ここで、nは、500までであり、たとえば100までであり、たとえば50までであり、たとえば2~20である。実際には、その中心軸線に対してn回回転対称性を有する母材リング要素のリング壁部は、上限で10回回転対称性を有し、たとえば、6~9回回転対称性を有していることが望まれる。
【0098】
有利には、母材リング要素は、リング壁部バックグラウンド材料の中に閉じ込められている複数の長手方向構造体を備え、長手方向構造体は、好ましくは、母材リング要素の実質的に全体長さに延在している。
【0099】
一実施形態では、リング壁部バックグラウンド材料の中に閉じ込められている長手方向構造体は、材料および/または形状および/またはサイズが同じかまたは異なっている。
有利には、母材リング要素は、複数の長手方向構造体からなる1つのまたは複数のリングを備え、複数の長手方向構造体からなるそれぞれのリングは、同じ外側寸法を有しており、それによって、たとえば、複数の長手方向構造体からなるリングを中空の内側ケインと中空の外側ケインとの間に閉じ込めることによって、母材リング要素を組み立てることを相対的に簡単にする。複数の長手方向構造体からなるリングにおける長手方向構造体は、任意選択で、互いに異なっていてもよい。一実施形態では、複数の長手方向構造体からなるリングにおける長手方向構造体は、交互になっている中実の構造体および中空チューブを備える。一実施形態では、複数の長手方向構造体からなるリングにおける長手方向構造体は、交互になっている大きい孔部直径および小さい孔部直径を有する、中空チューブを備える。
【0100】
一実施形態では、複数の長手方向構造体は、リング形状の壁部の環状の延在に沿って、横並び配列で配置され、複数の長手方向構造体からなる少なくとも1つのリング、たとえば、複数の長手方向構造体からなる2つのリング、たとえば、複数の長手方向構造体からなる3つのリングを形成している。複数の長手方向構造体からなる2つ以上のリングを有する場合には、最終的な母材アセンブリを簡単な方式で準備するために、さらにより多くの自由度をもたらし、したがって、母材リング要素は、クラッディング領域の大きいパーツ、たとえば、内側クラッディング、外側クラッディング、または、それらのパーツを提供するために、または、母材リング要素を有する母材から線引きされる最終的な微細構造光ファイバのクラッディングのすべてを提供するために使用され得る。
【0101】
母材リング要素が複数の長手方向構造体からなる2つ以上のリングを備える実施形態では、複数の長手方向構造体からなる2つ以上のリングは、有利には、回転方向にオフセットされており、それは、長手方向構造体を中空の外側ケインと中空の内側ケインとの間に配置させることを、より簡単にする。簡単な組み立てのために、長手方向構造体は、上記に説明されているように、角のある外側形状、たとえば、方形または矩形、または、単一の平面的な側部を備えた形状を有することが可能である。
【0102】
一実施形態では、母材リング要素は、複数の長手方向構造体からなる最大で2つのリングを備える。
本発明は、母材要素が少なくとも1つの中空チューブおよび/または少なくとも1つのインタースペース孔部を有する場合に特に有益である。母材要素に起因して、中空チューブのそのような孔部、および、そのようなインタースペース孔部は、そのような母材リング要素を備える最終的な母材を光ファイバに線引きする間に、簡単な方式で制御され得る。
【0103】
母材要素は、有利には、以下に説明されている方法によって取得される。
また、本発明は、たとえば、上記に説明されているように、母材要素を製造する方法を含む。
【0104】
方法は、複数の長手方向構造体を用意する工程と、バックグラウンド材料の中に長手方向孔部を形成するように長手方向構造体を用意する工程とを備え、方法は、少なくとも1つのスロットを設ける工程を備え、少なくとも1つのスロットは、母材要素外側表面から延在し、長手方向孔部のうちの少なくとも1つと交差しており、少なくとも1つのスロットは、母材要素と完全には交差していない。
【0105】
長手方向構造体は、上記に説明されているようなものであってよく、長手方向孔部は、中空チューブによって提供されるか、または、長手方向構造体間のインタースペース孔部として提供され得る。
【0106】
有利には、方法は、母材要素の中心軸線に対して実質的に平行な複数の長手方向孔部を設けるように、長手方向構造体を配置する工程を備える。
好ましくは、方法は、その母材要素外側表面からの母材要素の中の半径方向内向きのカットの形態の少なくとも1つのスロットを設ける工程を備え、半径方向内向きのカットは、中心軸線に対して実質的に垂直である。カットは、たとえば、約45度まで、たとえば約25度まで、たとえば約15度までといった角度を有する、たとえば、斜めの環状のカットの形態であり得る。実際には、中心軸線に対して実質的に垂直になるようにスロットを準備することが、より簡単である。
【0107】
一実施形態では、方法は、交差されることになる所望の孔部と一緒に交差する、いくつかのスロット、たとえば、1つまたは複数のアーチ形状のスロットを設ける工程を備える。
【0108】
一実施形態では、方法は、少なくとも約50度、たとえば、約80度~約350度、たとえば、約150度~約180度の、母材要素外側表面に対する円弧形状をそれぞれ有する、複数の円弧形状の半径方向内向きのカットを設けることによって、複数のスロットを設ける工程を備える。複数のスロットは、たとえば、母材要素中心軸線に沿って軸線方向に変位され得る。
【0109】
カットが比較的に多くの孔部と交差することになる場合でも、高い安定性を確保するために、複数の半径方向内向きのカットは、有利には、母材要素の軸線に沿って変位され得、好ましくは、互いに対して回転方向にオフセットされ得る。
【0110】
有利には、少なくとも1つのスロットは、母材要素の第1の端部から所定の距離に提供されており、所定の距離は、好ましくは、母材要素の長さの1/10までであり、距離は、好ましくは、少なくとも約0.5mm以上であり、少なくとも約5mm以上であり、たとえば約1cm~約20cmである。
【0111】
方法は、母材の第1の端部から交差部までの所定の位置において、たとえば、母材の第1の端部において、および/または、母材の第1の端部を向く交差部において、および/または、孔部と交差する追加のスロットにおいて、交差された孔部を閉じる工程をさらに備えることが可能であり、交差された孔部は、好ましくは、上記に説明されているように、潰すことによって、および/または、中実の材料を孔部の中へ充填することによって閉じられる。
【0112】
一実施形態では、方法は、長手方向構造体を積み重ねる工程と、任意選択で、積み重ねられた長手方向構造体を外側ケインの中に配置する工程とを備える。長手方向構造体を積み重ねる方法は、当技術分野で周知であり、したがって、本明細書においてさらに説明されることとはならない。
【0113】
母材要素が母材中央要素である実施形態では、方法は、長手方向構造体を重ね、少なくとも、母材コア領域と、母材コア領域を取り囲む母材クラッディング領域とを形成する工程を備え、長手方向孔部を形成する複数の長手方向構造体は、母材クラッディング領域に設けられる。長手方向構造体は、原理的には、任意の断面構造によって孔部を形成するように重ねられ得るが、しかし、孔部が断面6角形または8角形のパターンで配置されることが好適である。
【0114】
一実施形態では、方法は、長手方向構造体を配置し、母材クラッディング領域を形成する工程を備え、母材クラッディング領域が、母材コア領域を取り囲む母材内側クラッディング領域と、母材内側クラッディング領域を取り囲む母材外側クラッディング領域とを備えるようになっている。それによって、スロットは、外側クラッディング領域の孔部と交差するように作られ得る。
【0115】
一実施形態では、方法は、母材クラッディング領域に複数の長手方向孔部からなるリングを形成するように、複数の長手方向構造体を配置する工程を備える。複数の長手方向孔部からなるリングは、母材要素を有する母材から線引きされたファイバ中に空気クラッディングを形成するように適合され得る。
【0116】
一実施形態では、方法は、中空チューブの孔部のうちの複数、および/または、インタースペース孔部のすべてと交差する、環状のスロットの形態の少なくとも1つのスロットを作る工程を備える。母材要素が母材リング要素である場合に、中空チューブの孔部の実質的にすべて、および/または、母材リング要素のインタースペース孔部のすべてが、環状のスロットと交差していることが有利である。母材要素が母材中央要素である場合に、少なくとも、中空チューブの孔部のすべて、および/または、母材クラッディング領域または母材外側クラッディング領域のインタースペース孔部のすべてが好適である。
【0117】
母材要素が母材リング要素で一実施形態では、方法は、外側リング壁部分、内側リング壁部分、および、複数の長手方向構造体を用意する工程と、外側リング壁部分と内側リング壁部分との間に長手方向構造体を閉じ込め、長手方向孔部を形成する工程と、外側リング壁部分を通って延在し、前記長手方向孔部のうちの少なくとも1つと交差する、少なくとも1つのスロットを設ける工程とを備える。上記に述べられているように、母材リング要素は、保持構成体および/または距離構成体といった追加の要素を備えることが可能である。
【0118】
外側リング壁部分は、母材要素外側表面を提供する外側表面を有することが可能であり、また、方法は、母材要素外側表面から延在するように、少なくとも1つのスロットを作る工程と、前記長手方向孔部と交差させる工程とを備える。内側および外側リング壁部分、ならびに、長手方向構造体は、上記に説明されているようなものであり得る。
【0119】
有利には、外側リング壁部分は、中空の外側ケインであり、内側リング壁部分は、中空の内側ケインである。
好ましくは、外側リング壁部分と内側リング壁部分との間に長手方向構造体を閉じ込める工程は、外側リング壁部分および内側リング壁部分を、その間に長手方向構造体がある状態で組み立てる工程と、任意選択で、保持構成体および/または距離構成体を配置する工程と、長手方向構造体を介して外側リング壁部分および内側リング壁部分を一緒に溶融させる工程とを備える。
【0120】
一実施形態では、組み立てる工程は、内側リング壁部の外側表面が外側リング壁部の内側表面に面する状態で、内側リング壁部分を配置する工程と、内側リング壁部の外側表面と外側リング壁部の内側表面との間に1つまたは複数の長手方向構造体を配置する工程、たとえば、任意選択で距離構成体によって、複数の長手方向構造体からなるリングに、内側リング壁部の外側表面の間に複数の長手方向構造体を配置し、隣接する長手方向構造体の間に1つまたは複数のインタースペース孔部を設ける工程とを備える。
【0121】
一実施形態では、内側および外側リング壁部分は、中空ケインであり、また、組み立てる工程は、内側リング壁部分を外側リング壁部分の中へ挿入する工程と、任意選択で距離構成体によって、内側リング壁部分と外側リング壁部分との間に複数の長手方向構造体を配置し、隣接する中空ケインの間に1つまたは複数のインタースペース孔部を設ける工程とを備える。
【0122】
一実施形態では、方法は、内側リング壁部分を取り囲むように、長手方向構造体を横並び配列で配置し、複数の長手方向構造体からなる少なくとも1つのリング、たとえば、複数の長手方向構造体からなる2つのリング、たとえば、複数の長手方向構造体からなる3つのリングを形成する工程を備える。
【0123】
有利には、複数の長手方向構造体のうちの1つまたは複数は、長手方向孔部を備えた中空チューブであり、および/または、長手方向孔部は、長手方向構造体間の長手方向のインタースペース孔部であり、少なくとも1つのスロットが、中空チューブの孔部のうちの少なくとも1つ、および/または、インタースペース孔部のうちの少なくとも1つと交差するように提供されている。好ましくは、長手方向構造体のすべては、任意選択で、母材要素の中心軸線に対して実質的に平行な複数の長手方向孔部を備えた1つまたは複数のチューブ(マルチ中空チューブ)を有する中空チューブである。
【0124】
一実施形態では、それぞれの長手方向構造体がそれらの長さに沿って隣接する長手方向構造体と接触している構成で、長手方向構造体は配置されている。
一実施形態では、長手方向構造体は、それぞれの長手方向構造体が隣接する長手方向構造体と接触していない構成で、複数の長手方向構造体からなるリングの中に配置されており、それによって、上記に説明されているように、インタースペース長手方向孔部の形態の長手方向孔部を形成する。好ましくは、方法は、長手方向構造体間の距離を制御するために、母材リング要素の長さに沿って、2つ以上の位置に距離構成体を配置する工程を備える。また、それによって、距離構成体は、長手方向構造体のインタースペース孔部のサイズを制御するために適用され得る。
【0125】
一実施形態では、母材要素は、母材リング要素であり、長手方向構造体のうちの複数は、中空チューブであり、それぞれが少なくとも1つの孔部を有し、および/または、母材は、インタースペース孔部を備えた複数の長手方向構造体からなるリングを含み、方法は、少なくとも1つのスロットを設ける工程を備え、少なくとも1つのスロットは、母材要素外側表面から延在しており、孔部および/またはインタースペース孔部のうちの複数と交差しており、少なくとも1つのスロットは、リング壁部と完全には交差していない。好ましくは、少なくとも1つのスロットは、孔部および/またはインタースペース孔部のうちの複数、たとえば、孔部および/またはインタースペース孔部のうちの実質的にすべてと交差する、環状のスロットである。スロットは、上記に説明されているようなものであり得る。
【0126】
有利には、カッティングプロセスの間に母材要素の安定性を確保するために、母材要素は、スロットを作る前に、少なくとも部分的に溶融される。「少なくとも部分的に溶融される」という用語は、長手方向構造体が、隣接する長手方向構造体と溶融され、および/または、バックグラウンド材料を形成する構造体、たとえば、母材リング要素の場合は内側および/または中空の外側ケインと溶融されることを意味することが意図されている。
【0127】
また、本発明は、上記に説明されているような母材要素、および、少なくとも1つの追加の母材要素を備える、母材アセンブリから微細構造光ファイバを製造する方法を含む。
一実施形態では、微細構造ファイバを製造する方法は、母材を母材アセンブリに組み立てるという第1の工程と、母材要素の交差された孔部の中の圧力を制御しながら、母材アセンブリから微細構造光ファイバを線引きするという第2の工程とを備える。
【0128】
有利には、方法は、線引きの間に、スロットと交差する前記母材要素の長手方向孔部に、母材リング要素制御圧力を付与する工程を備え、母材リング要素制御圧力は、前記スロットを介して適用される。
【0129】
一実施形態では、少なくとも1つの追加の母材要素は、長さ、第1および第2の端部、ならびにボアを備えたオーバークラッディングチューブであり、母材組み立て工程は、前記オーバークラッディングチューブの前記ボアの中へ前記母材要素を配置し、母材要素-オーバークラッディングチューブ間のインターフェースを形成する工程を備え、母材アセンブリは、前記母材要素の前記第1の端部、および、前記オーバークラッディングチューブの前記第1の端部を含む、第1の端部分を有している。
【0130】
「母材要素-オーバークラッディングチューブ間のインターフェース」という語句は、母材要素とオーバークラッディングチューブとの間のインターフェースを指すために使用されており、母材要素は、任意選択で、母材リング要素または母材中央要素であることが特定される。
【0131】
「母材リング要素-母材中央要素間のインターフェース」という語句は、母材リング要素と母材中央要素との間のインターフェースを指すために使用されており、母材要素のうちの少なくとも1つは、本発明の実施形態にしたがっており、母材要素のうちの他の1つは、追加の母材要素であり得る。
【0132】
一緒に、上記に議論されているインターフェースは、「要素間インターフェース」と称され、それらのそれぞれは、要素間インターフェースと称される。要素間インターフェースは、要素間インターフェースを形成する母材要素と追加の母材要素との間のボイドの形態のインターフェースボイドを有することが可能である。
【0133】
オーバークラッディングチューブは、有利にはシリカ製、任意選択で、たとえばフッ化物がドープされたシリカ製であり得る。
一実施形態では、母材要素は、母材中央要素である。
【0134】
一実施形態では、母材要素は、母材リング要素である。
一実施形態では、方法は、本発明の実施形態による母材リング要素を用意する工程と、追加の母材中央要素を取り囲むように、リング形状の壁部を配置し、母材リング要素-母材中央要素間のインターフェースを形成する工程とを備える。母材アセンブリが、母材中央要素の第1の端部、および、母材リング要素の第1の端部を含む、第1の端部分を有するように、追加の母材中央要素および母材リング要素は組み立てられている。
【0135】
一実施形態では、微細構造ファイバを製造する方法は、母材を組み立てる工程と、母材アセンブリを微細構造ファイバに線引きする工程とを備え、母材を組み立てる工程は、長さと第1の端部と第2の端部とを有する追加の母材中央要素と、長さと第1の端部と第2の端部とボアとを有するオーバークラッディングチューブと、たとえば上述したような少なくとも1つの母材リング要素とを用意する工程を備え、母材中央要素を取り囲むようにリング形状の壁部を配置して母材リング要素-母材中央要素間のインターフェースを形成する工程と、オーバークラッディングチューブのボアの中へリング形状の壁部を配置して、母材リング要素-オーバークラッディングチューブ間のインターフェースを形成する工程とを備え、母材アセンブリは、母材中央要素の第1の端部、母材リング要素の第1の端部、および、オーバークラッディングチューブの第1の端部を含む、第1の端部分を有している。
【0136】
(追加の)母材中央要素は、通常、コア領域および通常は微細構造光ファイバのクラッディング領域の一部を提供することになる材料を含むことになる。一実施形態では、(追加の)母材中央要素は、たとえば、中空のファイバを提供するための中空の母材中央要素である。
【0137】
(追加の)母材中央要素は、先行技術の母材の中で通常使用される任意の材料を含むことが可能である。
「コア」および「コア領域」という用語は、相互交換可能に使用されており、また、「クラッディング」および「クラッディング領域」という用語は、相互交換可能に使用されている。
【0138】
一実施形態では、方法は、本発明の実施形態による母材中央要素を用意する工程と、母材中央要素を取り囲むように追加の母材リング要素を配置する工程とを備える。母材アセンブリが、母材中央要素の第1の端部および母材リング要素の第1の端部を含む、第1の端部分を有するように、母材中央要素および追加の母材リング要素が組み立てられる。
【0139】
母材の組み立ての前に、母材要素は、事前線引きされ、所望の外径を有することが可能であり、および/または、母材リング要素のケースでは、追加の母材中央要素の外径に対して所望の内径を有することが可能であり、たとえば、内側母材リング要素直径は、追加の母材中央要素の外径よりもわずかに大きくなっている。母材アセンブリに組み立てられることになるいくつかの母材リング要素が存在する場合に、これらの2つ以上の母材リング要素は、同時にまたは別々に、事前線引きされ得る。
【0140】
スロットは、事前線引きする前または後に提供され得る。
一実施形態では、母材を組み立てる工程は、本発明の実施形態の2つ以上の母材リング要素を用意する工程と、母材リング要素を追加の母材中央要素と同軸に半径方向に最も内側に配置する工程とを備える。
【0141】
一実施形態では、母材を組み立てる工程は、長手方向構造体なしの追加のブラインド母材リング要素を用意する工程と、本発明の実施形態の母材リング要素、および、ブラインド母材リング要素を、追加の母材中央要素と同軸に半径方向に最も内側に配置する工程とを備える。
【0142】
一実施形態では、母材を組み立てる工程は、本発明の実施形態の母材中央要素、および、追加の母材リング要素を用意する工程と、追加の母材リング要素を母材中央要素と同軸に半径方向に最も内側に配置する工程とを備える。
【0143】
要素は、線引きの前に、部分的にまたは完全に溶融され得るが、さまざまな要素がオーバークラッディングチューブの中に完全に閉じ込められているかまたはロックされているという条件で、要素を溶融させることは必要でない可能性がある。
【0144】
母材の組み立ての後に、母材アセンブリは、たとえば、線引きタワーにおいて微細構造光ファイバへと線引きされる。有利には、母材は、その第1の端部の近くで、第1の端部分において保持され、微細構造光ファイバは、たとえば、先行技術のファイバ線引き方法から知られているように、上昇した温度において、母材の第2の端部から線引きされる。
【0145】
一実施形態では、少なくとも1つの要素間インターフェースは、微細構造ファイバへの母材アセンブリの線引きの少なくとも一部の間に、大気圧力に対して低減された圧力にかけられる。
【0146】
母材リング要素を備える実施形態では、母材リング要素-母材中央要素間のインターフェースおよび母材リング要素-オーバークラッディングチューブ間のインターフェースのうちの少なくとも1つは、微細構造ファイバへの母材アセンブリの線引きの少なくとも一部の間に、大気圧力に対して低減された圧力にかけられる。
【0147】
要素間インターフェースにおいて低減された圧力は、空気(または、他のガス)がそれぞれの要素間インターフェースの中に捕獲されず、最終的な微細構造光ファイバの中に望ましくないバブルを形成せず、母材要素が追加の母材要素と完全に溶融されることを確実にする。
【0148】
一実施形態では、母材リング要素は、(追加の)母材中央要素と完全に溶融され、および/または、母材リング要素は、線引きされた微細構造光ファイバの中のオーバークラッディングチューブと完全に溶融される。
【0149】
低減された圧力は、有利には、ファイバ製造業者によって選択されることになる選択可能な圧力である。
一実施形態では、(追加の)母材中央要素は、好ましくは、(追加の)母材中央要素の第1の端部から、実質的に(追加の)母材中央要素の第2の端部へ、その長さに沿って延在する、少なくとも1つの孔部、たとえば、中空チューブまたはインタースペース孔部から生じる孔部を有し、方法は、線引きの間に、(追加の)母材中央要素の少なくとも1つの孔部に母材中央制御圧力を付与する工程を備える。母材中央要素が本発明の実施形態にしたがっている場合に、圧力制御は、有利には、母材中央要素の中のスロットを介して提供される。
【0150】
母材中央制御圧力は、微細構造光ファイバの中の孔部の最終的なサイズを制御するように選択される。母材中央制御圧力が、大気圧力に対して低減された圧力である場合に、孔部は、線引きされた微細構造光ファイバの中で、完全にまたは部分的に潰され得る。母材中央制御圧力が、大気圧力であるか、または、大気圧力に対して増加した圧力である場合に、孔部のサイズは、当技術分野で知られているように調節され得る。
【0151】
一実施形態では、(追加の)母材中央要素は、長さ方向、たとえば、(追加の)母材中央要素の第1の端部から第2の端部へ延在する、少なくとも第1のカテゴリー孔部および少なくとも第2のカテゴリー孔部を有し、方法は、線引きの間に、少なくとも1つの第1のカテゴリー孔部に、第1の母材中央制御圧力を付与する工程と、少なくとも1つの第2のカテゴリー孔部に、第2の母材中央制御圧力を付与する工程とを備える。
【0152】
一実施形態では、(追加の)母材中央要素孔部の圧力制御、または、第1および第2のカテゴリー孔部のうちの半径方向に最も内側のものの圧力制御は、特許文献2(米国特許第8215129号明細書)および/または特許文献1(米国特許第6954574号明細書)に説明されているように提供され得る。母材中央要素が本発明の実施形態にしたがっている場合に、第1および第2のカテゴリー孔部のうちの半径方向に最も外側のものの圧力制御は、有利には、母材中央要素の中のスロットを介して提供される。
【0153】
一実施形態では、母材要素は、長さ方向に、たとえば、母材要素の第1の端部から母材要素の第2の端部へ延在する、孔部および/または少なくとも1つのインタースペース孔部を備えた少なくとも1つの中空チューブを含み、また、方法は、線引きの間に、母材要素の少なくとも1つの孔部に母材要素制御圧力を付与する工程を備える。
【0154】
有利には、スロットと交差する孔部は、線引きの間に、スロットを介して母材要素制御圧力にかけられる。
母材要素制御圧力は、線引きされた微細構造光ファイバの中の母材要素から生じる交差された孔部の最終的なサイズを制御するように選択される。母材要素制御圧力は、大気圧力に対して低減された圧力、大気圧力、または、大気圧力に対して上昇した圧力であり、線引きされた微細構造光ファイバの中の孔部のサイズを調節することが可能である。
【0155】
好ましくは、母材要素制御圧力は、線引きの間に、追加の母材中央要素の孔部に与えられる母材中央制御圧力といった少なくとも1つの他の制御圧力から独立して制御される。
有利には、少なくとも1つのスロットは、組み立てられた母材の中のオーバークラッディングチューブを越えて突出する母材リング要素の端部分に位置決めされている。それによって、母材要素制御圧力は、スロットを介して、オーバークラッディングチューブによってカバーされていない端部分に適用され得る。スロットは、好ましくは、母材要素の第1の端部から所定の距離に位置決めされており、その距離は、母材リング要素の長さの1/10までであり、その距離は、好ましくは、少なくとも約5mm以上であり、たとえば上記に説明されているように、約1cm~約20cmである。
【0156】
一実施形態では、(追加の)母材中央要素の第1の端部、(追加の)母材リング要素の第1の端部、および、オーバークラッディングチューブの第1の端部は、母材端部分においてシーケンシャルにオフセットされており、(追加の)母材リング要素の端部分が、オーバークラッディングチューブの端部を越えて突出するようになっており、また、好ましくは、(追加の)母材中央要素の端部分が、(追加の)母材リング要素の端部を越えて突出するようになっている。(追加の)母材中央要素および(追加の)母材リング要素のうちの少なくとも1つおよび任意選択で両方は、本発明の実施形態にしたがっている。
【0157】
この配置によって、低減された圧力をそれぞれの要素間インターフェースに加えること、ならびに、母材中央要素および/または母材リング要素のスロットを介して母材要素制御圧力を加えることが好都合であり、任意選択で、追加の母材中央制御圧力が、(追加の)母材中央要素の端部に加えられる。それぞれの圧力制御は、シーケンシャルにオフセットされた母材中央要素第1の端部、母材リング要素第1の端部、およびオーバークラッディングチューブ第1の端部によって、好ましくは、別々の部分間のシールによって、母材アセンブリの端部分に沿って、別々の部分において適用され得る。
【0158】
一実施形態では、1つまたは複数の圧力制御は、2つ以上の圧力制御部を含む圧力制御キャップによって母材アセンブリの端部分を囲むことによって、および、スロットの反対側に少なくとも1対のスロットシールを含む、圧力制御された孔部を独立して密封するためにシールを適用することによって提供される。好ましくは、交差された孔部は、母材要素の第1の端部から交差部スロットまでの所定の位置で、たとえば、母材要素の第1の端部で、および/または、第1の端部を向く交差部で、および/または、追加の交差するスロットにて、閉じられている。1対のスロットシールのそれぞれは、好ましくは、圧力制御キャップとおよび母材要素の端部分の母材要素外側表面との間に、環状のシールを形成している。
【0159】
好ましくは、母材アセンブリの線引きは、線引きタワーにおいて母材アセンブリを微細構造光ファイバへと線引きすることを含み、母材アセンブリは、その第1の端部分において、少なくとも1つの圧力制御、好ましくは、2つ以上の独立して制御される圧力制御を受ける。
【0160】
一実施形態では、母材アセンブリを線引きする工程は、上昇した温度で、その第2の端部分から母材アセンブリを線引きする工程を備える。
また、本発明は、上記に説明されている方法によって取得可能な微細構造光ファイバを含む。
【0161】
ある範囲および好適な範囲を含む、上記に説明されているようなすべての本発明の特徴、および、本発明の実施形態は、そのような特徴を組み合わせない特有の理由が存在しない限り、本発明の範囲内でさまざまな方式で組み合わされ得る。
【0162】
本発明の上記のおよび/または追加の目的、特徴、および利点は、添付の図面を参照して、本発明の実施形態の以下の例示的で非限定的な説明によって、さらに解明されよう。
【図面の簡単な説明】
【0163】
図1】中実の構造体および/または中空ケインを備えた、本発明の実施形態の母材リング要素の実施形態の断面図。
図2a】中空チューブを備えた、本発明の実施形態の母材リング要素の実施形態の断面図。
図2b】母材リング要素が溶融および事前線引きされた、図2aの実施形態に対応する母材リング要素の実施形態の断面図のイメージの一部分。
図3】インタースペース孔部を備えた、本発明の実施形態の母材リング要素の実施形態の断面図。
図4a】マルチ中空チューブを備えた、本発明の実施形態の母材リング要素の実施形態の断面図。
図4b】母材リング要素が溶融および事前線引きされた、図4aの実施形態に対応する母材リング要素の実施形態の断面図のイメージの一部分。
図5a】7個の孔部を備えたマルチ中空チューブの断面図。
図5b】19個の孔部を備えたマルチ中空チューブの断面図。
図6】スロットを備えた母材リング要素を備える母材の端部分の側面図。
図7a】圧力制御構成体とともに装着されている母材リング要素を備える母材アセンブリの端部分の概略図。
図7b】圧力制御構成体とともに装着されている母材リング要素および母材要素を備える母材アセンブリの端部分の概略図。
図8】母材リング要素を備える、組み立てられた母材の断面図。
図9】母材リング要素を備える、組み立てられた母材の断面図。
図10】母材リング要素を備える、組み立てられた母材の断面図。
図11】母材リング要素を備える、組み立てられた母材の断面図。
図12】本発明の実施形態による母材リング要素を備える、母材アセンブリから線引きされた微細構造光ファイバの断面図。
図13】本発明の実施形態による母材リング要素を備える、母材アセンブリから線引きされた微細構造光ファイバの断面図。
図14】本発明の実施形態による母材リング要素を備える、母材アセンブリから線引きされた微細構造光ファイバの断面図。
図15】本発明の実施形態による母材中央要素の断面図。
図16】本発明の別の実施形態による母材中央要素の断面図。
図17】本発明の実施形態による母材中央要素を備える、母材アセンブリから線引きされた微細構造光ファイバの断面図。
図18】本発明の実施形態による母材中央要素を備える、母材アセンブリから線引きされた微細構造光ファイバの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0164】
図は、概略的なものであり、明確化のために簡単化されている可能性がある。全体を通して、同じ参照番号は、同一のパーツまたは対応するパーツに関して使用されている。
本発明の適用可能性のさらなる範囲は、以降に与えられている説明から明らかになろう。しかし、本発明の趣旨および範囲の中のさまざまな変形例および修正例が、この詳細な説明から当業者に明らかになるので、詳細な説明および特有の例は、本発明の好適な実施形態を示しているが、単に例示目的として与えられていることが理解されるべきである。
【0165】
図1に示されている母材リング要素は、断面図に対して垂直の長さと中心軸線Cとを有するリング形状の壁部1を備える。リング形状の壁部1は、外径ODを画定する母材要素外側表面OSと、内径IDを画定する母材要素内側表面ISとを有している。母材リング要素は、中空の内側ケイン2および中空の外側ケイン3によって提供されるリング壁部バックグラウンド材料、ならびに、複数の長手方向構造体4を備え、少なくとも1つは、中空チューブであり、中空チューブは、リング壁部バックグラウンド材料の中に閉じ込められており、母材リング要素の長さ方向に延在している。不図示のスロットが、外側表面OSから提供されており、また、長手方向構造体4の中空チューブの少なくとも1つの孔部と交差している。
【0166】
内側ケイン2および外側ケイン3は、上記に説明されているようになっていることが可能である。示されている実施形態では、中空の内側ケイン2は、中空の外側ケイン3よりも薄い壁部厚さを有しており、有利には、中空の内側ケインは、フッ素がドープされていることが可能である。母材要素外側表面OSは、中空の外側ケイン3の外側表面によって提供されており、中空の外側ケイン3は、内側表面ISOを有している。母材要素内側表面は、中空の内側ケイン2の内側表面によって提供されており、中空の内側ケイン2は、外側表面OSIをさらに有している。
【0167】
長手方向構造体4は、少なくとも1つの中空チューブを備え、また、残りのものは、中実の構造体および/または中空チューブであり得る。好ましくは、長手方向構造体4は、たとえば、キャピラリチューブの形態の中空チューブである。
【0168】
長手方向構造体4は、リング形状の壁部のリング形状に沿って横並び配列に配置され、複数の長手方向構造体からなるリングを形成している。
図2aおよび図2bに示されている母材リング要素は、断面図に対して垂直の長さと中心軸線とを有するリング形状の壁部11を備える。リング形状の壁部11は、外径ODを画定する母材要素外側表面OS、および、内径IDを画定する母材要素内側表面ISを有している。母材リング要素は、中空の内側ケイン12および中空の外側ケイン13によって提供されるリング壁部バックグラウンド材料、ならびに、複数の長手方向構造体14を備え、複数の長手方向構造体14は、リング壁部バックグラウンド材料の中に閉じ込められており、母材リング要素の長さ方向に延在している。
【0169】
長手方向構造体14は、長手方向孔部14aをそれぞれ含む中空チューブの形態である。中空チューブ14は、中空の内側ケイン12と中空の外側ケイン13との間に閉じ込められている。不図示のスロットが、外側表面OSから提供されており、また、中空チューブ14の少なくとも1つの孔部と交差している。
【0170】
図2bでは、母材リング要素は、溶融されて事前線引きされており、また、中空チューブ14とそれぞれ中空の内側ケイン12および中空の外側ケイン13との間の隙間が除去されており、さらに、中空チューブが実質的に方形形状となるように変形されていることを見ることが可能である。
【0171】
図3に示されている母材リング要素は、断面図に対して垂直の長さと中心軸線とを有するリング形状の壁部21を備える。リング形状の壁部21は、外径ODを画定する母材要素外側表面OSと、内径IDを画定する母材要素内側表面ISとを有している。母材リング要素は、中空の内側ケイン22および中空の外側ケイン23によって提供されるリング壁部バックグラウンド材料、ならびに、複数の長手方向構造体24を備え、複数の長手方向構造体24は、リング壁部バックグラウンド材料の中に閉じ込められており、母材リング要素の長さ方向に延在している。
【0172】
長手方向構造体24は、中実の構造体および/または中空ケインである。好ましくは、長手方向構造体24は、たとえば、キャピラリチューブの形態の中空チューブである。
長手方向構造体24は、中空の内側ケイン22と中空の外側ケイン23との間に閉じ込められている。
【0173】
長手方向構造体24は、非接触の複数の長手方向構造体からなるリングの中に配置されており、非接触の複数の長手方向構造体からなるリングでは、長手方向構造体が、それらの長さに沿って、隣接する長手方向構造体と接触していない状態になっており、それによって、インタースペース孔部25を形成する構成で、長手方向構造体が配置されている。不図示のスロットが、母材要素外側表面OSから提供されており、インタースペース孔部25の少なくとも1つの孔部と交差している。
【0174】
長手方向構造体を適切な位置に保持するために、不図示の距離構成体が、有利には、上記に説明されているように、母材リング要素の長さに沿って2つ以上の位置において配置されている。
【0175】
図4aおよび図4bに示されている母材リング要素は、断面図に対して垂直の長さと中心軸線とを有するリング形状の壁部を備える。リング形状の壁部は、外径ODを画定する母材要素外側表面OSと、内径IDを画定する母材要素内側表面ISとを有している。母材リング要素は、中空の内側ケイン32および中空の外側ケイン33によって提供されるリング壁部バックグラウンド材料、ならびに、マルチ中空チューブ34の形態の複数の長手方向構造体を備え、複数の長手方向構造体は、リング壁部バックグラウンド材料の中に閉じ込められており、母材リング要素の長さ方向に延在している。
【0176】
マルチ中空チューブ34は、その長さ方向に延在する複数の長手方向孔部をそれぞれ含む。
マルチ中空チューブ34は、母材リング要素または母材中央要素の中で使用するのに非常に有利であり、そこでは、スロットが孔部のうちの少なくともいくつかと交差することになる。その理由は、そのような状況では、所望の空気率(air fraction)を依然として得ながら、孔部のうちのいくつかと交差することが十分である可能性があるからであり、空気率は、微細構造光ファイバの線引きの間に、母材要素制御圧力によって制御され得る。
【0177】
図4bでは、母材リング要素は、溶融されて事前線引きされており、また、マルチ中空チューブ34とそれぞれ中空の内側ケイン32および中空の外側ケイン33との間の隙間が除去されており、さらに、中空チューブが実質的に方形形状となるように変形されていることを見ることが可能である。
【0178】
図5aにあるのは、母材リング要素または母材中央要素といった、本発明の実施形態の母材要素の実施形態で使用するのに適切な7個の孔部を備えたマルチ中空チューブの例である。
【0179】
図5aにあるのは、母材リング要素または母材中央要素といった、本発明の実施形態の母材リング要素の実施形態で使用するのに適切な7個の孔部を備えたマルチ中空チューブの例である。
【0180】
図5bにあるのは、母材リング要素または母材中央要素といった、本発明の実施形態の母材リング要素の実施形態で使用するのに適切な19個の孔部を備えたマルチ中空チューブの例である。
【0181】
マルチ中空チューブは、たとえば、(孔部の所望の数に対応する)複数のキャピラリチューブCを積み重ねることによって、および、より大きい中空チューブTの中にそれらを配置し、孔部の圧力制御の下でアセンブリを事前線引きすることによって製造され、それらが潰されないことを確実にし、また、マルチ中空チューブの所望の外径を得る。有利には、非常に長いマルチ中空チューブが線引きされ、その後に、長いマルチ中空チューブは、適切な長さのいくつかのマルチ中空チューブに切断される。
【0182】
その端部分が図6に示されている母材アセンブリは、追加の母材中央要素41、本発明の実施形態の母材リング要素42、および、オーバークラッディングチューブ43の形態の追加の母材要素を備える。代替的な不図示の実施形態では、母材リング要素は、追加の母材リング要素と交換され、追加の母材中央要素は、本発明の実施形態による母材中央要素である。
【0183】
ホルダー44が、オーバークラッディングチューブ43、ならびに、追加の母材中央要素41および母材リング要素42を適切な位置に保持するように装着されている。また、ホルダー44は、不図示の圧力制御キャップを、たとえば、ホルダーのカラー部44aに装着するために使用され得る。
【0184】
母材リング要素42は、母材リング要素42の複数の孔部と交差するスロット45を備える。交差された孔部は、母材リング要素42の第1の端部42aにおいて閉じられている。
【0185】
追加の母材中央要素41の第1の端部41a、母材リング要素42の第1の端部42a、および、オーバークラッディングチューブ43の第1の端部43aは、母材端部分においてシーケンシャルにオフセットされており、スロット45を有する母材リング要素の端部分が、オーバークラッディングチューブ43の端部を越えて突出するようになっており、また、追加の母材中央要素41の端部分が、母材リング要素42の端部42aを越えて突出するようになっている。
【0186】
図6に示されている実施形態の変形例では、母材アセンブリは、オーバークラッディングチューブを有しておらず、ホルダー44は、たとえば、オーバークラッディングチューブの代わりに配置されている不図示のガイドチューブによって、線引きの間の母材アセンブリの安定性を保持および制御するように装着されている。
【0187】
その端部分が図7aに示されている母材アセンブリは、追加の母材中央要素51、本発明の実施形態の母材リング要素52、およびオーバークラッディングチューブ53を備える。母材アセンブリの端部分は、圧力制御キャップ56を含む圧力制御構成体とともに、および、複数の圧力チューブ接続P1、P2、P3、およびP4を含む加圧構成体とともに装着されている。
【0188】
母材リング要素52は、母材リング要素52の複数の孔部54と交差するスロット55を有する。交差された孔部は、母材リング要素52の第1の端部52aにおいて閉じられている。
【0189】
追加の母材中央要素51の第1の端部51a、母材リング要素52の第1の端部52a、および、オーバークラッディングチューブ53の第1の端部53aは、母材アセンブリ端部分においてシーケンシャルにオフセットされており、スロット55を有する母材リング要素の端部分が、オーバークラッディングチューブ53aの端部を越えて突出するようになっており、また、追加の母材中央要素51の端部分が、母材リング要素52の端部52aを越えて突出するようになっている。
【0190】
オーバークラッディングチューブ53は、その第1の端部53aにおいて圧力制御キャップ56に装着されており、それによって、複数のチャンバ、ここでは、さまざまなシール57によって分離されている4個のチャンバC1、C2、C3、およびC4を提供している。
【0191】
追加の母材中央要素51は、複数の不図示の孔部を有し、複数の不図示の孔部は、追加の母材中央要素51の第1の端部51aにおいて終端しており、追加の母材中央要素51の不図示の孔部が、第1のチャンバC1に流体連通するようになっており、これらの孔部の中の圧力が圧力チューブ接続P1を介して第1のチャンバC1の中で制御され得るようになっている。
【0192】
母材リング要素52の第1の端部52aは、第2のチャンバC2の中に位置しており、第2のチャンバC2では、圧力が、圧力チューブ接続P2を介して制御され得、母材リング要素-母材中央要素間のインターフェースによって形成されるインターフェースボイドは、第2のチャンバC2に流体連通しており、それによって、母材リング要素-母材中央要素間のインターフェースにおいて低減された圧力を加える。
【0193】
スロット55が、第3のチャンバC3の中に位置しており、第3のチャンバC3では、圧力が、圧力チューブ接続P3を介して制御され得、母材リング要素52の交差された孔部が、スロット55を介して第3のチャンバC3に流体連通するようになっており、それによって、母材リング要素52の交差された孔部の中の圧力を制御する。
【0194】
母材リング要素-オーバークラッディングチューブ間のインターフェースの圧力は、第4のチャンバC4に流体連通しており、圧力が、圧力チューブ接続P4を介して制御され得るようになっており、それによって、母材リング要素-オーバークラッディングチューブ間のインターフェースに低減された圧力を加え、インターフェースボイドが、線引きされたファイバの中で閉じられるようになっている。
【0195】
多くの他の構成が、それぞれの孔部および/またはインターフェースの個々の制御を提供するために適用され得る。
その端部分が図7bに示されている母材アセンブリは、図7aに示されている母材アセンブリの変形例であり、そこでは、母材中央要素および母材リング要素の両方が、本発明の実施形態にしたがっている。母材アセンブリは、母材中央要素58、母材リング要素52、およびオーバークラッディングチューブ53を備える。母材アセンブリの端部分は、圧力制御キャップ56を含む圧力制御構成体とともに、および、複数の圧力チューブ接続P1、P2、P3、P4、およびP5を含む加圧構成体とともに装着されている。
【0196】
母材リング要素52は、母材リング要素52の複数の孔部54と交差するスロット55を有する。交差された孔部は、母材リング要素52の第1の端部52aにおいて閉じられている。
【0197】
母材中央要素58は、複数の不図示の長手方向孔部を有し、複数の不図示の長手方向孔部は、母材中央要素58の第1の端部58aにおいて終端している。母材中央要素は、スロット59を有し、スロット59は、母材中央要素58の不図示の孔部のうちのいくつかと交差しており、たとえば、母材中央要素58の長手方向孔部のすべて、または、外側クラッディングおよび/または空気クラッディングを形成するように適合されている、母材中央要素58の半径方向に最も外側の長手方向孔部と交差している。本実施形態では、母材中央要素は、交差された長手方向孔部に対して半径方向内向きに配置されている、複数の交差されていない長手方向孔部を有することが可能である。そのような交差されていない孔部は、たとえば、母材アセンブリから線引きされた最終的な光ファイバのコア領域および/または内側クラッディング領域の一部を形成するように適合され得る。交差された孔部は、さらなるスロット59aにおいて閉じられており、さらなるスロット59aは、たとえば、エポキシまたはシリカなどのようなシーリング材料によって充填されており、または、さらなるスロット59aの上方部は、簡単に潰される。
【0198】
母材中央要素58の第1の端部58a、母材リング要素52の第1の端部52a、および、オーバークラッディングチューブ53の第1の端部53aは、母材アセンブリ端部分においてシーケンシャルにオフセットされており、スロット55を有する母材リング要素52の端部分が、オーバークラッディングチューブ53aの端部を越えて突出するようになっており、また、スロット59を有する母材中央要素58の端部分が、母材リング要素52の端部52aを越えて突出するようになっている。
【0199】
オーバークラッディングチューブ53は、その第1の端部53aにおいて圧力制御キャップ56に装着されており、それによって、複数のチャンバ、ここでは、さまざまなシール57によって分離されている5個のチャンバC1、C2、C3、C4、およびC5を提供している。
【0200】
母材中央要素58の第1の端部58aにおいて終端している、母材中央要素58の交差されていない長手方向孔部は、第1のチャンバC1に流体連通しており、これらの孔部の中の圧力が、圧力チューブ接続P1を介して第1のチャンバC1の中で制御され得るようになっている。
【0201】
母材中央要素58の中のスロット59は、第2のチャンバC2の中に位置しており、第2のチャンバC2では、圧力が、圧力チューブ接続P2を介して制御され得、母材要素58の交差された孔部が、スロット59を介して第2のチャンバC2に流体連通するようになっており、それによって、母材要素58の交差された孔部の中の圧力を制御する。
【0202】
母材リング要素52の第1の端部52aは、第3のチャンバC3の中に位置しており、第3のチャンバC3では、圧力が、圧力チューブ接続P3を介して制御され得、また、母材リング要素-母材中央要素間のインターフェースは、第3のチャンバC3に流体連通しており、それによって、母材リング要素-母材中央要素間のインターフェースにおいて低減された圧力を加える。
【0203】
母材リング要素52の中のスロット55は、第4のチャンバC4の中に位置しており、第4のチャンバC4では、圧力が、圧力チューブ接続P4を介して制御され得、母材リング要素52の交差された孔部が、スロット55を介して第4のチャンバC4に流体連通するようになっており、それによって、母材リング要素52の交差された孔部の中の圧力を制御する。
【0204】
母材リング要素-オーバークラッディングチューブ間のインターフェースの圧力は、第5のチャンバC5に流体連通しており、圧力が、圧力チューブ接続P5を介して制御され得るようになっており、それによって、母材リング要素-オーバークラッディングチューブ間のインターフェースに低減された圧力を加える。
【0205】
多くの他の構成が、それぞれの孔部および/またはインターフェースの個々の制御を提供するために適用され得る。
図8に示されている組み立てられた母材は、ダブルクラッド微細構造光ファイバを提供するように適合されており、ダブルクラッド微細構造光ファイバは、空気クラッディングリングによって分離された内側クラッディング領域および外側クラッディング領域を備えている。母材アセンブリは、追加の母材中央要素61を備え、追加の母材中央要素61は、第1の母材リング要素62によって取り囲まれており、第1の母材リング要素62は、第2の母材リング要素63によって取り囲まれており、第2の母材リング要素63は、オーバークラッディングチューブ64によって取り囲まれている。
【0206】
追加の母材中央要素61は、微細構造光ファイバのコア領域となるように、ドープされた中央エリア61aを有する。
第1の母材リング要素62は、上記に説明されているような中空チューブまたはインタースペース孔部によって提供される、複数の孔部62aを有する。孔部62aは、非対称的に配置されており、また、最終的な微細構造光ファイバの内側クラッディング領域の中にスクランブラー要素を提供する機能を有しており、内側クラッディング領域の中の望ましくないスクリュー光(screw rays)を除去する。
【0207】
第2の母材リング要素63は、複数の孔部からなるリング63aを備え、複数の孔部からなるリングは、最終的な微細構造光ファイバにおいて空気クラッディングリングを形成し、それは、選択された波長の光が内側クラッディング領域の中を確実にガイドされるようにする。
【0208】
複数の孔部からなるリング63aの孔部は、大きいクロス寸法および短いクロス寸法を有するおおよそ矩形になっており、それぞれの大きいクロス寸法が実質的に半径方向になっている状態で配置されている。それによって、より長いブリッジが、複数の孔部からなるリングの隣接する孔部の間に配置されており、それは、所望の波長(たとえば、2μm以下、たとえば、1μm以下、または、さらには、500nm以下などに至る)を有する光を、内側クラッディング領域にガイドすることを確実にするための高品質の空気クラッドを、微細構造光ファイバ中に結果として生じさせる。代替的な不図示の実施形態では、複数の孔部からなるリングの孔部は、おおよそ方形またはおおよそ矩形になっており、それらのそれぞれの短い方のクロス寸法が実質的に半径方向になっている状態で配置されている。それによって、ブリッジは、比較的に短くなり、それは、ファイバが切断される(cleaved)ことになる場合には、利点となる可能性がある。
【0209】
見ることができるように、それぞれの母材要素、追加の母材中央要素61、第1の母材リング要素62、第2の母材リング要素63、およびオーバークラッディングチューブ64は、小さいギャップGとともに配置されている。これらのギャップGは、有利には、たとえば、溶融によって、微細構造光ファイバの線引きの前に除去され得る。代替的に、これらのギャップGは、微細構造光ファイバの線引きの間に除去されることになる。
【0210】
図8の母材アセンブリの変形例では、追加の母材中央要素は、本発明の実施形態にしたがっており、また、母材リング要素のうちの一方または両方は、追加の母材リング要素である。
【0211】
図9に示されている組み立てられた母材は、ダブルクラッドの中空のコアの微細構造光ファイバを提供するように適合されており、ダブルクラッドの中空のコアの微細構造光ファイバは、空気クラッディングリングによって分離された内側クラッディング領域および外側クラッディング領域を備えている。母材アセンブリは、追加の母材中央要素71を備え、追加の母材中央要素71は、母材リング要素73によって取り囲まれており、母材リング要素73は、オーバークラッディングチューブ74によって取り囲まれている。
【0212】
追加の母材中央要素71は、複数のキャピラリチューブ71bを有し、複数のキャピラリチューブ71bは、相対的に大きい中央孔部71aとなるように配置されており、中央孔部71aは、最終的な微細構造光ファイバにおいて中空のコア領域になる。
【0213】
母材リング要素73は、複数の孔部からなるリング73aを有し、複数の孔部からなるリングは、最終的な微細構造光ファイバにおいて空気クラッディングリングを形成し、それは、選択された波長の光が内側クラッディング領域の中を確実にガイドされるようにする
図9の母材アセンブリの変形例では、追加の母材中央要素は、本発明の実施形態にしたがっており、また、母材リング要素は、追加の母材リング要素である。
【0214】
図10に示されている組み立てられた母材は、ダブルクラッドの中実のコアの微細構造光ファイバを提供するように適合されており、ダブルクラッドの中実のコアの微細構造光ファイバは、空気クラッディングリングによって分離された内側クラッディング領域および外側クラッディング領域を備えている。
【0215】
母材アセンブリは、追加の母材中央要素81を有し、追加の母材中央要素81は、母材リング要素83によって取り囲まれており、母材リング要素83は、オーバークラッディングチューブ84によって取り囲まれている。
【0216】
追加の母材中央要素81は、図9の実施形態で使用されているキャピラリチューブ71bよりも大きい壁部厚さを有する複数のキャピラリチューブ81bを有する。キャピラリチューブ81bは、6角形のパターンで配置されており、最終的な微細構造光ファイバの中の取り巻かれた中央領域81aが中実のコア領域になっている。
【0217】
母材リング要素83は、複数の孔部からなるリング83aを有しており、複数の孔部からなるリングは、最終的な微細構造光ファイバにおいて空気クラッディングリングを形成し、それは、選択された波長の光が内側クラッディング領域の中を確実にガイドされるようにする
図10の母材アセンブリの変形例では、追加の母材中央要素は、本発明の実施形態にしたがっており、また、母材リング要素は、追加の母材リング要素である。
【0218】
図11に示されている組み立てられた母材は、ダブルクラッドの中実のドープされたコアの微細構造光ファイバを提供するように適合されており、ダブルクラッドの中実のドープされたコアの微細構造光ファイバは、空気クラッディングリングによって分離された内側クラッディング領域および外側クラッディング領域を備えている。
【0219】
母材は、追加の母材中央要素91を有し、追加の母材中央要素91は、母材リング要素93によって取り囲まれており、母材リング要素93は、オーバークラッディングチューブ94によって取り囲まれている。
【0220】
追加の母材中央要素91は、ドープされた中央領域91aを有し、ドープされた中央領域91aは、最終的な微細構造光ファイバにおいて、中実のドープされたコア領域となることになる。
【0221】
追加の母材リング要素93は、複数の孔部からなるリング93aを有しており、複数の孔部からなるリングは、最終的な微細構造光ファイバにおいて空気クラッディングリングを形成し、それは、選択された波長の光が内側クラッディング領域の中を確実にガイドされるようにする
母材リング要素を備える母材アセンブリから線引きされた、図12に示されているような微細構造光ファイバは、コア領域101、内側クラッディング領域102、外側クラッディング領域104、および空気クラッド103を有し、空気クラッド103は、内側クラッディング領域103および外側クラッディング領域104を分離している。空気クラッド103は、本発明の実施形態の母材リング要素の中の複数の孔部からなるリングから生じる。コア領域は、中空のコアであり、内側クラッディング領域は、複数の孔部微細構造を有し、複数の孔部微細構造は、中空のコアの中をガイドされることになる光を閉じ込めるためのパターンで配置されている。
【0222】
母材リング要素を備える母材アセンブリから線引きされた、図13に示されているような複屈折のある微細構造光ファイバは、コア領域111、内側クラッディング領域112、外側クラッディング領域114、および空気クラッド113を有し、空気クラッド113は、内側クラッディング領域113および外側クラッディング領域114を分離している。空気クラッド113は、本発明の実施形態の母材リング要素の中の複数の孔部からなるリングから生じる。
【0223】
コア領域は、任意選択でドープされた中実のコアである。内側クラッディング領域は、複数の孔部微細構造112aおよび複数のホウ素がドープされた微細構造112bを有し、それらは、2回回転対称的なパターンで配置されており、複屈折のあるファイバを提供している。微細構造光ファイバの外周部は、複屈折と関連する2つの向かい側の平面的な表面部114aを有している。
【0224】
母材リング要素を備える母材アセンブリから線引きされた、図14に示されているような中実の微細構造光ファイバは、コア領域121、内側クラッディング領域122、外側クラッディング領域124、および空気クラッド123を有し、空気クラッド123は、内側クラッディング領域123および外側クラッディング領域124を分離している。空気クラッド123は、本発明の実施形態の母材リング要素の中の複数の孔部からなるリングから生じる。
【0225】
コア領域121は、中実のドープされたコアである。内側クラッディング領域は、2つの比較的に大きいホウ素がドープされた構造体122aを有する。
図15に示されている母材中央要素は、複数の長手方向孔部131からなるリング、クラッディング領域、およびコア領域132を有する。たとえば、上記に説明されているように、母材中央要素の不図示の端部に対して比較的に短い距離において、母材中央要素は、孔部131と交差する環状のスロットを有する。スロットと第1の端部との間の位置において、または、母材中央要素の第1の端部において、交差された孔部は、たとえば、エポキシまたは上記に説明されているような別の方法を使用して閉じられている。長手方向孔部131の中の圧力は、それによって、母材中央要素を備える母材アセンブリを光ファイバへと線引きする間に、スロットを介して制御され得る。
【0226】
図15に示されている母材中央要素は、長手方向孔部131のリング、クラッディング領域、およびコア領域132を有する。たとえば、上記に説明されているように、母材中央要素の不図示の端部に対して比較的に短い距離において、母材中央要素は、孔部131と交差する環状のスロットを有する。スロットと第1の端部との間の位置において、または、母材中央要素の第1の端部において、交差された孔部は、たとえば、エポキシまたは上記に説明されているような別の方法を使用して閉じられている。長手方向孔部131の中の圧力は、それによって、光ファイバへの母材中央要素を備える母材アセンブリの線引きの間に、スロットを介して制御され得る。コア領域132は、たとえば、ドープされたコア領域であってよく、および/または、クラッディング領域133は、たとえば、ドープされ得、および/または、微細構造、たとえば、中実の微細構造を有することが可能であり、および/または、スロットと交差していない長手方向孔部の形態になっていることが可能である。スロットと交差していないそのような長手方向孔部は、たとえば、図7bに関連して上記に説明されているように、母材アセンブリの第1の端部から圧力制御され得る。
【0227】
母材組み立ての間に、母材中央要素は、少なくともオーバークラッディングチューブとともに組み立てられ、任意選択で、1つまたは複数の追加の母材リング要素が、母材中央要素とオーバークラッディングチューブとの間に組み立てられる。
【0228】
見ることができるように、母材要素外側表面134から長手方向孔部131への距離(材料厚さt)は、比較的に短く、それは、スロットのカッティングの間に母材中央要素を損傷させるリスクを低減させる。望ましくない光の漏れを最終的なファイバに少ししかもたらさないように必要とされる、長手方向孔部に対して半径方向外向きの厚さは、したがって、オーバークラッディングチューブ、および、任意選択で、追加の母材リング要素によって提供される。
【0229】
図16に示されている母材中央要素は、母材コア領域141、母材内側クラッディング領域142、および母材外側クラッディング領域143を有する。母材内側クラッディング領域142は、6角形配置の内側クラッディング長手方向孔部142aを有し、母材外側クラッディング領域143は、6角形配置の外側クラッディング長手方向孔部143aを有する。
【0230】
たとえば、上記に説明されているように、母材中央要素の不図示の端部に対して比較的に短い距離において、母材中央要素は、外側クラッディング長手方向孔部143aと交差する環状のスロットを有する。点線の円形は、母材要素外側表面144から延在するスロットの深さを示しており、内側クラッディング長手方向孔部142aは交差しないようになっている。
【0231】
スロットと第1の端部との間の位置において、または、母材中央要素の第1の端部において、交差された孔部143aは、たとえば、エポキシまたは上記に説明されているような別の方法を使用して閉じられている。交差された長手方向孔部143aの中の圧力は、それによって、光ファイバへの母材中央要素を備える母材アセンブリの線引きの間に、スロットを介して制御され得る。交差されていない長手方向孔部142aの中の圧力は、たとえば図7bに関連して上記に説明されているように、母材中央要素の第1の端部におけるそれらの開口部を介して制御され得る。
【0232】
コア領域141は、ドープされていてもよく、または、ドープされていなくてもよく、たとえば、ドープされたシリカ、または、ドープされていないシリカの形態であり得る。
母材組み立ての間に、母材中央要素は、少なくともオーバークラッディングチューブとともに組み立てられ、任意選択で、1つまたは複数の追加の母材リング要素が、母材中央要素とオーバークラッディングチューブとの間に組み立てられる。
【0233】
図示した例では、母材要素外側表面144から交差された長手方向孔部143aへの距離(材料厚さt)は、比較的に短く、それは、スロットのカッティングの間に母材中央要素を損傷させるリスクを低減させる。望ましくない光の漏れを最終的なファイバにほとんどもたらさないために必要とされる、長手方向孔部に対して半径方向外向きの厚さtは、したがって、オーバークラッディングチューブ、および、任意選択で、追加の母材リング要素によって提供される。
【0234】
図17の断面図に示されている光ファイバは、図16に示されている母材中央要素に対応する母材中央要素を備える母材アセンブリから線引きされるが、長手方向孔部の数が異なっている。光ファイバは、コア領域151、内側クラッディング領域152、および外側クラッディング領域153を有する。内側クラッディング領域152は、6角形配置の内側クラッディング長手方向孔部152aを有し、外側クラッディング領域153は、6角形配置の外側クラッディング長手方向孔部153aを有する。比較的に厚いシリカ層155が、外側クラッディング領域153を取り囲んでいる。イメージは、単に、シリカ層155の一部を示している。実際のシリカ層155の厚さは、示されているものよりも約5倍厚くなっており、光ファイバの丸い外周部となる。シリカ層155の大部分は、ファイバの線引きの間に母材中央要素に完全に融合されているオーバークラッディングチューブから生じる。
【0235】
図18の断面図に示されている光ファイバは、本発明の実施形態による母材中央要素を備える母材アセンブリから線引きされる。光ファイバは、4個の部分的に重なり合っているクラッディング領域162および空気クラッディング163によって取り囲まれている4個のコア領域161を有する。4個の部分的に重なり合っているクラッディング領域162は、4個のコア領域161のそれぞれの周りに6角形パターンで配置されたクラッディング領域孔部162aを有する。空気クラッディングは、8角形の形状を有するリングで配置された空気クラッディング孔部の2重層を有する。空気クラッディング163の8角形の形状は、クラッディング領域162の中に可能な限り少ない孔部を有すると同時に、光ファイバの中のシングルモード伝送を確実にするように提供されている。さらに、空気クラッディング163の8角形の形状は、母材中央要素の長手方向構造体のスタッキングをより簡単にすることが可能であることが見出された。比較的に厚いシリカ層165が、空気クラッディング163を取り囲んでいる。イメージは、単に、シリカ層165の一部を示している。実際にはシリカ層165の厚さは、示されているものよりも約2~5倍厚くなっており、光ファイバの丸い外周部となる。シリカ層155の大部分は、ファイバの線引きの間に母材中央要素に完全に融合されているオーバークラッディングチューブから生じる。コア領域161、クラッディング領域162、および空気クラッディングは、母材中央要素から生じており、母材中央要素において、母材中央要素のスロットが、空気クラッディング163を形成する中空チューブと交差している。
【0236】
本開示は以下を包含する。
[付記1]ファイバ母材用の母材要素であって、
前記母材要素は、長さと、その長さに沿う中心軸線と、その長さによって画定される第1の端部および第2の端部と、母材要素外側表面とを有しており、前記母材要素は、バックグラウンド材料の中に一つ以上の長手方向孔部を形成するように設けられる複数の長手方向構造体を備えており、前記母材要素は、前記母材要素外側表面から延在して前記一つ以上の長手方向孔部のうちの少なくとも1つと交差するが前記母材要素と完全には交差しない少なくとも1つのスロットを備えており、好ましくは、前記複数の長手方向構造体は、前記バックグラウンド材料の中に閉じ込められており、および/または、前記バックグラウンド材料を形成するとともに前記母材要素の長さ方向に延在しており、前記複数の長手方向構造体のうちの1つ以上は、前記一つ以上の長手方向孔部を形成しており、好ましくは、前記バックグラウンド材料の少なくとも一部は、中実の長手方向構造体によっておよび/または中空の長手方向構造体の材料によって提供されている、母材要素。
[付記2]前記複数の長手方向構造体のうちの1つ以上は、複数の長手方向孔部を有する中空チューブであり、および/または、複数の長手方向孔部は、前記複数の長手方向構造体間に形成される複数の長手方向インタースペース孔部であり、前記母材要素外側表面から延在する前記少なくとも1つのスロットは、前記中空チューブの前記複数の長手方向孔部のうちの少なくとも1つおよび/または前記複数の長手方向インタースペース孔部のうちの少なくとも1つと交差している、付記1に記載の母材要素。
[付記3]前記バックグラウンド材料は、シリカガラス、軟質ガラス、カルコゲナイドガラス、または、それらの任意の組み合わせなどのガラスであり、任意選択で、前記バックグラウンド材料は、Ge、B、F、P、Alなどの1つまたは複数の屈折率変更ドーパント、および/または、希土類元素ErまたはYbなどの1つまたは複数の活性材料ドーパントといった1つまたは複数のドーパントを含む、付記1または2に記載の母材要素。
[付記4]前記複数の長手方向構造体は、前記母材要素の前記中心軸線に対して実質的に平行に配置されており、好ましくは、前記母材要素は、複数の中空チューブからなる少なくとも1つのリングを備える、付記1~3のいずれか1つに記載の母材要素。
[付記5]前記複数の中空チューブの各々は、前記母材要素の前記中心軸線と実質的に平行な複数の長手方向孔部を有しており、各中空チューブの前記複数の長手方向孔部は、好ましくは複数の孔部からなる少なくとも1つのリング、および任意選択で中央孔部、を備える所定の断面パターンで配置されている、付記1~4のいずれか1つに記載の母材要素。
[付記6]前記複数の中空チューブは、シリカガラス、軟質ガラス、カルコゲナイドガラス、または、それらの任意の組み合わせなどのガラス製であり、任意選択で、前記複数の中空チューブのガラスは、Ge、B、F、P、Alなどの1つまたは複数の屈折率変更ドーパント、および/または、希土類元素ErまたはYbなどの1つまたは複数の活性材料ドーパントといった1つまたは複数のドーパントを含む、付記1~5のいずれか1つに記載の母材要素。
[付記7]前記母材要素は、前記中心軸線の周りの回転に関してn回回転対称性を有しており、ここで、nは500までであり、たとえば100までであり、たとえば50までであり、たとえば2~20である、付記1~6のいずれか1つに記載の母材要素。
[付記8]前記複数の長手方向構造体は実質的に前記母材要素の全長に延在している、付記1~7のいずれか1つに記載の母材要素。
[付記9]前記少なくとも1つのスロットは、前記母材要素外側表面から前記母材要素への半径方向内向きのカットの形態であり、前記半径方向内向きのカットは、前記中心軸線に対して実質的に垂直である、付記1~8のいずれか1つに記載の母材要素。
[付記10]前記少なくとも1つのスロットは、前記母材要素の前記第1の端部から所定の距離に位置し、前記所定の距離は、好ましくは、前記母材要素の長さの1/10までであり、当該距離は、好ましくは、少なくとも約0.5mm以上であり、少なくとも約5mm以上であり、たとえば約1cm~約20cmである、付記1~9のいずれか1つに記載の母材要素。
[付記11]交差する前記孔部は、前記スロットから前記第1の端部までの所定の位置で閉じられており、たとえば、前記母材の前記第1の端部で、および/または、前記第1の端部を向く交差部で、および/または、それらの間の位置で閉じられている、付記1~10のいずれか1つに記載の母材要素。
[付記12]前記母材要素は、微細構造光ファイバ用の母材の一部を形成するように適合されており、前記母材要素は、少なくとも1つの追加の母材要素とともに組み立てられるように適合されている、付記1~11のいずれか1つに記載の母材要素。
[付記13]前記母材要素外側表面から前記少なくとも1つの交差された孔部のうちの半径方向に最も外側のものまでの距離は、前記母材要素の直径の約1/8未満であり、前記母材直径の、たとえば約1/10未満であり、たとえば1cm未満であり、たとえば約0.5cm未満であり、たとえば約3mm未満である、付記1~12のいずれか1つに記載の母材要素。
[付記14]前記母材要素は、母材コア領域と、前記母材コア領域を取り囲む母材クラッディング領域とを少なくとも有する母材中央要素であり、前記複数の長手方向孔部を形成する前記複数の長手方向構造体は、前記母材クラッディング領域に設けられており、前記複数の孔部は、好ましくは断面6角形または断面8角形のパターンで配置されている、付記1~13のいずれか1つに記載の母材要素。
[付記15]前記母材クラッディング領域は、前記母材コア領域を取り囲む母材内側クラッディング領域と、前記母材内側クラッディング領域を取り囲む母材外側クラッディング領域とを有しており、前記複数の長手方向孔部を形成する前記複数の長手方向構造体は、前記母材外側クラッディング領域に設けられる、付記14に記載の母材要素。
[付記16]前記複数の長手方向構造体は、複数の長手方向孔部からなるリングを前記母材クラッディング領域に形成するように配置されており、好ましくは、前記複数の長手方向孔部からなるリングは、前記母材要素を有する母材から線引きされたファイバの中に空気クラッディングを形成するように適合されている、付記14または15に記載の母材要素。
[付記17]前記少なくとも1つのスロットは、前記中空チューブの複数の前記孔部と交差する環状のスロットであり、および/または、前記インタースペース孔部のすべてが、好ましくは、前記中空チューブの前記孔部の実質的にすべておよび/または前記母材クラッディング領域または前記母材外側クラッディング領域の前記インタースペース孔部のすべてが、前記環状のスロットと交差している、付記1~16のいずれか1つに記載の母材要素。
[付記18]前記母材要素は母材リング要素であり、前記母材リング要素は母材要素内側表面を有しており、前記母材外側表面は外側母材リング要素表面の形態であり、前記バックグラウンド材料はリング壁部バックグラウンド材料の形態であり、前記少なくとも1つの長手方向孔部と交差する前記スロットは前記母材要素外側表面から広がっており、前記少なくとも1つのスロットは前記リング壁部と完全には交差していない、付記1~13のいずれか1つに記載の母材要素。
[付記19]前記リング壁部バックグラウンド材料は、リング壁部内側バックグラウンド材料およびリング壁部外側バックグラウンド材料を備え、それらリング壁部内側バックグラウンド材料およびリング壁部外側バックグラウンド材料は、互いに同じでもよく、または、互いに異なってもよい、付記18に記載の母材要素。
[付記20]前記母材リング要素は、隣接する長手方向構造体の間にインタースペースを伴って配置されて前記1つまたは複数の長手方向インタースペース孔部を形成する前記複数の長手方向構造体からなるリングを備え、前記リング壁部バックグラウンド材料の中に閉じ込められている前記長手方向構造体は、任意選択で、1つまたは複数の中実の構造体、たとえば、前記リング壁部バックグラウンド材料の屈折率とは異なる屈折率を有する少なくとも1つの中実の構造体を備える、付記18または19に記載の母材要素。
[付記21]前記母材リング要素は、複数の中空チューブからなるリングを備えており、好ましくは、前記複数の中空チューブの各々は、前記母材リング要素の前記中心軸線に対して実質的に平行な複数の長手方向孔部を有しており、各中空チューブの前記複数の孔部は、好ましくは複数の孔部からなる少なくとも1つのリング、および任意選択で中央孔部、を備える所定の断面パターンで配置されている、付記18~20のいずれか1つに記載の母材要素。
[付記22]前記リング壁部は、少なくとも一断面における、好ましくはその全長におけるいずれの断面における、環状の広がりにわたって実質的に同一の厚さを有しており、より好ましくは、前記母材リング要素は、厚さに関して、前記中心軸線の周りで実質的に円対称である、付記18~21のいずれか1つに記載の母材要素。
[付記23]前記リング壁部は、前記母材要素内側表面によって画定される平均内径(ID)と、前記母材要素外側表面によって画定される平均外径(OD)とを有しており、少なくとも前記母材リング要素の断面におけるID/ODは、約0.3~約0.95であり、たとえば約0.7~約0.9である、付記18~22のいずれか1つに記載の母材要素。
[付記24]前記IDおよび前記ODは、前記母材リング要素の前記長さに沿って実質的に一定であり、好ましくは、(OD-ID)×0.5によって定義される前記母材リング要素の厚さは、約0.3mm~約2cmであり、たとえば約1mm~約1cmであり、たとえば、約3mm~約6mmである、付記23に記載の母材要素。
[付記25]前記リング壁部は、中空の内側ケインと、中空の外側ケインと、前記内側ケインと前記外側ケインとの間に閉じ込められる前記複数の長手方向構造体とを備える、付記18~24のいずれか1つに記載の母材要素。
[付記26]前記中空の内側ケインは内側ケイン壁部厚さを有しており、前記外側ケインは外側ケイン壁部厚さを有しており、内側ケイン壁部厚さおよび外側ケイン壁部厚さは、互いに独立して、約1mm~約1cmであり、たとえば約2mm~約5mmである、付記25に記載の母材要素。
[付記27]前記複数の長手方向構造体は、前記リング形状の壁部のリング形状に沿って横並び配列で配置されて複数の長手方向構造体からなる少なくとも1つのリングを形成しており、このリングは、前記少なくとも1つのスロットと交差している複数の長手方向孔部を有しており、任意選択で、前記複数の長手方向構造体は、複数の長手方向構造体からなる少なくとも2つのリングたとえば複数の長手方向構造体からなる3つのリングを形成するように配置されている、付記18~26のいずれか1つに記載の母材要素。
[付記28]前記少なくとも1つのスロットは、前記中空チューブの実質的にすべての孔部および/またはすべての前記インタースペース孔部といった複数の孔部と交差する環状のスロットである、付記18~27のいずれか1つに記載の母材要素。
[付記29]前記母材リング要素は、少なくとも約3mmの、たとえば少なくとも約5mmの、たとえば少なくとも約10mmの、たとえば約15mm~約50mmの内径を有している、付記18~28のいずれか1つに記載の母材要素。
[付記30]付記31~51のいずれか1つに記載の方法によって取得可能である、付記1~29のいずれか1つに記載の母材要素。
[付記31]付記1~30のいずれか1つに記載の母材要素を製造する方法であって、
複数の長手方向構造体を用意する工程と、バックグラウンド材料の中に一つまたは複数の長手方向孔部を形成するように前記複数の長手方向構造体を配置する工程と、前記母材要素外側表面から延在する少なくとも1つのスロットであって、少なくとも1つの長手方向孔部と交差するが前記母材要素と完全には交差していない少なくとも1つのスロットを設ける工程とを備える方法。
[付記32]前記母材要素の中心軸線に対して複数の長手方向孔部が実質的に平行になるように前記長手方向構造体を配置する工程を備える、付記31に記載の方法。
[付記33]母材要素外側表面から前記母材要素への半径方向内向きのカットの形態の少なくとも1つのスロットを設ける工程を備え、前記半径方向内向きのカットは、前記中心軸線に対して実質的に垂直である、付記31または32に記載の方法。
[付記34]前記少なくとも1つのスロットは、前記母材要素の前記第1の端部から所定の距離に設けられており、前記所定の距離は、好ましくは、前記母材要素の長さの1/10までであり、当該距離は、好ましくは、少なくとも約0.5mm以上であり、少なくとも約5mm以上であり、たとえば約1cm~約20cmである、付記31~33のいずれか1つに記載の方法。
[付記35]交差された孔部を、前記母材の前記第1の端部から交差部までの所定の位置で、たとえば前記母材の前記第1の端部で、および/または、前記母材の前記第1の端部を向く交差部で、および/または、前記孔部と交差する追加のスロットにて、閉じる工程をさらに備え、交差された孔部は、好ましくは、潰されることによっておよび/または中実の材料を前記孔部の中へ充填することによって、閉じられる、付記31~34のいずれか1つに記載の方法。
[付記36]前記長手方向構造体を積み重ねる工程と、任意選択で、積み重ねられた長手方向構造体を外側ケインの中に配置する工程とを備える、付記31~35のいずれか1つに記載の方法。
[付記37]前記母材要素は、母材中央要素であり、前記方法は、少なくとも、前記母材コア領域と、前記母材コア領域を取り囲む前記母材クラッディング領域とを形成するように、前記長手方向構造体を積み重ねる工程を備え、前記長手方向孔部を形成する前記複数の長手方向構造体は、前記母材クラッディング領域に配置されており、好ましくは、前記方法は、断面6角形または8角形のパターンで前記孔部を配置する工程を備える、付記31~36のいずれか1つに記載の方法。
[付記38]前記母材コア領域を取り囲む母材内側クラッディング領域と、前記母材内側クラッディング領域を取り囲む母材外側クラッディング領域とを有する前記母材クラッディング領域を形成するように前記長手方向構造体を配置する工程を備える、付記37に記載の方法。
[付記39]前記母材クラッディング領域の中に複数の長手方向孔部からなるリングを形成するように前記複数の長手方向構造体を配置する工程を備え、好ましくは、前記複数の長手方向孔部からなるリングは、前記母材要素を有する母材から線引きされたファイバの中に空気クラッディングを形成するように適合されている、付記37または38に記載の方法。
[付記40]前記少なくとも1つのスロットが、前記中空チューブの複数の孔部と、および/または、前記インタースペース孔部のすべてと、好ましくは、前記中空チューブの前記孔部の半分または実質的にすべてと、および/または、前記母材クラッディング領域または前記母材外側クラッディング領域の前記インタースペース孔部のすべてと、交差する環状のスロットであるように前記少なくとも1つのスロットを作る工程を備える、付記31~39のいずれか1つに記載の方法。
[付記41]前記母材要素は、母材リング要素であり、前記方法は、外側リング壁部分、内側リング壁部分、および、複数の長手方向構造体を用意する工程と、長手方向孔部を形成するように前記長手方向構造体を外側リング壁部分と内側リング壁部分との間に閉じ込める工程と、外側リング壁部分を通って延在し長手方向孔部のうちの少なくとも1つと交差する前記少なくとも1つのスロットを設ける工程とを備える、付記31~36のいずれか1つに記載の方法。
[付記42]前記外側リング壁部分は中空の外側ケインであり、前記内側リング壁部分は中空の内側ケインであり、好ましくは、中空の外側ケインは母材要素外側表面を形成する外側表面を有しており、前記方法は、母材要素外側表面から延在し長手方向孔部と交差する前記少なくとも1つのスロットを作る工程を備える、付記41に記載の方法。
[付記43]前記外側リング壁部分と前記内側リング壁部分との間に前記少なくとも1つの長手方向構造体を閉じ込める工程は、前記外側リング壁部分と前記内側リング壁部分との間に前記長手方向構造体がある状態で前記外側リング壁部分および前記内側リング壁部分を組み立てる工程と、前記長手方向構造体を介して前記外側リング壁部分および前記内側リング壁部分を少なくとも部分的に一緒に溶融させる工程とを備える、付記41または42に記載の方法。
[付記44]前記組み立てる工程は、前記内側リング壁部の外側表面が前記外側リング壁部の内側表面に面するように前記内側リング壁部分を配置する工程と、前記内側リング壁部の外側表面と前記外側リング壁部の内側表面との間に前記長手方向構造体を配置する工程とを備える、付記41または42に記載の方法。
[付記45]前記内側リング壁部分および前記外側リング壁部分は中空ケインであり、前記組み立てる工程は、前記内側リング壁部分を前記外側リング壁部分の中へ挿入する工程と、前記内側リング壁部分と前記外側リング壁部分との間に複数の長手方向構造体を配置する工程とを備える、付記41~44のいずれか1つに記載の方法。
[付記46]前記内側リング壁部分を取り囲むように前記長手方向構造体を横並び配列で配置して、複数の長手方向構造体からなる少なくとも1つのリング、たとえば、複数の長手方向構造体からなる2つのリング、たとえば、複数の長手方向構造体からなる3つのリングを形成する工程を備える、付記41~45のいずれか1つに記載の方法。
[付記47]前記複数の長手方向構造体のうちの1つ以上は前記長手方向孔部を備えた中空チューブであり、および/または、前記長手方向孔部は前記長手方向構造体間の長手方向のインタースペース孔部であり、前記少なくとも1つのスロットは前記中空チューブの前記長手方向孔部孔部のうちの少なくとも1つと、および/または、インタースペース孔部のうちの少なくとも1つと交差するように設けられており、好ましくは、前記長手方向構造体のすべては、前記母材リング要素の前記中心軸線に対して実質的に平行な複数の長手方向孔部を有する1つまたは複数のチューブを任意選択で備える、中空チューブである、付記41~46のいずれか1つに記載の方法。
[付記48]前記複数の長手方向構造体からなるリングは、それぞれの長手方向構造体がそれらの長さに沿って隣接する長手方向構造体と接触している構成で配置されている、付記46または47に記載の方法。
[付記49]前記複数の長手方向構造体からなるリングは、それぞれの長手方向構造体が隣接する長手方向構造体と接触していない構成で配置されて、インタースペース長手方向孔部の形態の前記長手方向孔部を形成しており、好ましくは、前記方法は、前記長手方向構造体間の距離を制御するために、前記母材リング要素の前記長さに沿って2つ以上の位置において距離構成体を配置する工程を備える、付記46または47に記載の方法。
[付記50]前記少なくとも1つのスロットは、前記外側リング壁部分を通る半径方向内向きのカットによって設けられており、前記半径方向内向きのカットは、前記中心軸線に対して実質的に垂直である、付記41~49のいずれか1つに記載の方法。
[付記51]前記母材の第1の端部から交差部までの所定の位置で、たとえば、前記母材の第1の端部で、および/または、前記母材の第1の端部を向く交差部で、および/または、前記孔部と交差する追加のスロットにて、交差された孔部を閉じる工程をさらに含み、交差された孔部は、好ましくは、潰されることによっておよび/または中実の材料を前記孔部の中へ充填することによって、閉じられる、付記41~49のいずれか1つに記載の方法。
[付記52]微細構造光ファイバの製造方法であって、母材を組み立てる工程と、前記母材アセンブリを微細構造光ファイバに線引きする工程とを備え、前記母材を組み立てる工程が、付記1~22のいずれか1つに記載の母材要素を用意する工程と、その母材要素を少なくとも1つの追加の母材要素と組み立てる工程とを備えるファイバ製造方法。
[付記53]前記少なくとも1つの追加の母材要素は、長さ、第1および第2の端部、ならびにボアを備えたオーバークラッディングチューブであり、前記母材組み立て工程は、オーバークラッディングチューブのボアの中へ前記母材要素を配置し、母材要素-オーバークラッディングチューブ間のインターフェースを形成する工程を備え、前記母材アセンブリは、前記母材要素の前記第1の端部、および、オーバークラッディングチューブの第1の端部を含む、第1の端部分を有している、付記52に記載のファイバ製造方法。
[付記54]前記母材要素は、追加の母材リング要素および/またはオーバークラッディングチューブとともに組み立てられる母材中央要素であり、または、前記母材要素は、追加の母材中央要素および任意選択でオーバークラッディングチューブとともに組み立てられる母材リング要素である、付記52または53に記載のファイバ製造方法。
[付記55]長さと第1の端部と第2の端部とを有する母材中央要素を用意する工程と、母材中央要素を取り囲むようにリング形状の壁部を配置し、母材リング要素-母材中央要素間のインターフェースを形成する工程とを備え、前記母材アセンブリは、第1の端部分を有しており、第1の端部分は、前記母材中央要素の第1の端部、および、前記母材リング要素の前記第1の端部を含む、付記54に記載のファイバ製造方法。
[付記56]前記母材中央要素は、付記1~17のいずれか1つに記載の母材中央要素である、付記55に記載のファイバ製造方法。
[付記57]前記母材を組み立てる工程は、長さ、第1の端部、第2の端部、およびボアを有するオーバークラッディングチューブの形態の追加の母材要素を用意する工程と、オーバークラッディングチューブのボアの中へ前記リング形状の壁部を配置して、母材リング要素-オーバークラッディングチューブ間のインターフェースを形成する工程とを備え、前記母材アセンブリは、第1の端部分を有しており、この第1の端部分は、前記母材中央要素の前記第1の端部、前記母材リング要素の前記第1の端部、および、オーバークラッディングチューブの第1の端部を含む、付記56に記載のファイバ製造方法。
[付記58]前記要素間インターフェースのうちの少なくとも1つは、微細構造光ファイバへの前記母材アセンブリの線引きの少なくとも一部の間に、低減された圧力を受け、好ましくは、前記母材要素-オーバークラッディングチューブ間のインターフェースおよび前記母材リング要素-母材中央要素間のインターフェースのうちの少なくとも1つは、前記母材アセンブリを微細構造光ファイバへと線引きする少なくとも一部の間に、低減された圧力を受け、前記母材要素-オーバークラッディングチューブ間のインターフェースは、母材中央要素-オーバークラッディングチューブ間のインターフェース、および、母材リング要素-オーバークラッディングチューブ間のインターフェースから選択される、付記52~57のいずれか1つに記載のファイバ製造方法。
[付記59]前記母材中央要素は、その長さに沿って延在する少なくとも1つの孔部を有し、前記方法は、線引きの間に、前記母材中央要素の少なくとも1つの孔部に、母材中央制御圧力を付与する工程を備え、好ましくは、前記母材中央要素は、付記1~17のいずれか1つに記載のものであり、制御圧力は、前記母材中央要素の前記スロットを介して加えられる、付記52~58のいずれか1つに記載のファイバ製造方法。
[付記60]前記母材中央要素は、前記母材中央要素の長さに延在する、少なくとも第1のカテゴリー孔部および少なくとも第2のカテゴリー孔部を有し、前記方法は、線引きの間に、少なくとも1つの第1のカテゴリー孔部に、第1の母材中央制御圧力を付与する工程と、少なくとも1つの第2のカテゴリー孔部に、第2の母材中央制御圧力を付与する工程とを備える、付記52~59のいずれか1つに記載のファイバ製造方法。
[付記61]線引きの間に、前記母材リング要素の前記長手方向孔部に、母材リング要素制御圧力を付与する工程を備え、母材リング要素制御圧力は、線引きの間に、前記母材中央制御圧力などのような少なくとも1つの他の制御圧力から独立して制御される、付記55~60のいずれか1つに記載のファイバ製造方法。
[付記62]線引きの間に、前記スロットと交差している前記母材リング要素の前記長手方向孔部に、母材リング要素制御圧力を付与する工程を備え、母材リング要素制御圧力は、前記スロットを介して加えられる、付記55~61のいずれか1つに記載のファイバ製造方法。
[付記63]前記母材中央要素の前記第1の端部、および、前記オーバークラッディングチューブの前記第1の端部は、前記母材端部分においてシーケンシャルにオフセットされており、前記母材中央要素の前記端部分が、前記オーバークラッディングチューブの前記端部を越えて突出するようになっている、付記52~62のいずれか1つに記載のファイバ製造方法。
[付記64]前記追加の母材中央要素の前記第1の端部、前記母材リング要素の前記第1の端部、および、前記オーバークラッディングチューブの前記第1の端部は、前記母材端部分においてシーケンシャルにオフセットされており、前記母材リング要素の前記端部分が、前記オーバークラッディングチューブの前記端部を越えて突出するようになっており、また、好ましくは、前記追加の母材中央要素の端部分が、前記母材リング要素の前記端部を越えて突出するようになっている、付記54~63のいずれか1つに記載のファイバ製造方法。
[付記65]前記母材中央要素の前記第1の端部、前記追加の母材リング要素の前記第1の端部、および、前記オーバークラッディングチューブの前記第1の端部は、前記母材端部分においてシーケンシャルにオフセットされ、前記追加の母材リング要素の前記端部分が、前記オーバークラッディングチューブの前記端部を越えて突出するようになっており、また、好ましくは、前記母材中央要素の端部分が、前記追加の母材リング要素の前記端部を越えて突出するようになっている、付記55~64のいずれか1つに記載のファイバ製造方法。
[付記66]前記1つまたは複数の圧力制御は、2つ以上の圧力制御部を含む圧力制御キャップによって前記母材アセンブリの前記端部分を囲むことによって、および、前記母材要素の前記スロットの反対側に少なくとも1対のスロットシールを有する圧力制御された孔部を独立して密封するためにシールを適用することによって行われ、好ましくは、前記母材要素の交差された孔部は、前記母材の前記第1の端部から前記第1の端部に向けての前記スロット交差部への所定の位置で閉じられ、前記1対のスロットシールは、前記母材要素の前記端部分の前記母材要素外側表面に対して環状のシールを形成する、付記51~65のいずれか1つに記載のファイバ製造方法。
[付記67]前記母材アセンブリの線引きは、線引きタワーにおいて前記母材アセンブリを前記微細構造光ファイバへと線引きすることを含み、前記母材アセンブリは、その第1の端部分において、少なくとも1つの圧力制御、好ましくは、2つ以上の独立して制御される圧力制御を受ける、付記51~66のいずれか1つに記載のファイバ製造方法。
[付記68]光ファイバを形成する方法であって、
少なくとも1つのインターフェースボイドと、複数の長手方向孔部と、1つまたは複数の長手方向に延在するボイドとを有する光ファイバ母材アセンブリを形成する工程と、
前記光ファイバ母材アセンブリにおいて半径方向内向きに延在するスロットを通して少なくとも1つの前記孔部を加圧しながら、かつ、少なくとも1つのインターフェースボイドを減圧しながら、前記光ファイバ母材アセンブリを光ファイバに線引きする工程とを備える、方法。
[付記69]付記51~67のいずれか1つに記載の方法に従う付記68に記載のファイバ製造方法。
[付記70]前記少なくとも1つのインターフェースボイドが、線引きされたファイバの中で閉じられるように前記光ファイバを線引きする工程を備える、付記68または付記69に記載のファイバ製造方法。
図1
図2a
図2b
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図6
図7a
図7b
図8
図9
図10
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図18